説明

造血器腫瘍の遺伝子診断

【課題】従来の造血器腫瘍の遺伝子診断は、オーダーメイドのものであった。このような従来の検査が有していた問題を解決し、一般臨床へのレディーメイド化を実現することを目的とする。
【解決手段】IgH遺伝子は、基本のVDJ領域の再構成後のV・D・J接合体(CDRIII)を、サザン法では、J領域に対するJHプローブ(LJH,VLJH)を使用し、PCR法では、V領域に対するプライマーFR3AとJ領域に対するプライマーLJHとVLJHを使用したSemi−nested PCR法を用いた。TCR遺伝子は、基本のVDJ領域の再構成後のV・D・J接合体(Vデルタ1・D・Jデルタ1)を、V領域中のVデルタ1に対するプライマーD3とJ領域中のJデルタ1に対するプライマーD4、V領域の外側に対するプライマーD1とJ領域の外側に対するプライマーD6を使用したNested PCR法を用いた。これにより、検査法の自動化と検査キットが完成でき、一般臨床の現場でレディーメイド化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般臨床への普及を図った造血機腫瘍の遺伝子診断に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の造血器腫瘍の遺伝子診断は、衛生検査所等でのオーダーメイドのものがある。
【0003】
【非特許文献1】「造血器腫瘍の遺伝子診断」、第51回日本臨床検査医学学会総会、臨床病理誌捕冊(総会抄録集)、2004年、p.196
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の造血器腫瘍の遺伝子診断は、オーダーメイドのものである。
【0005】
本発明は、このような従来の検査が有していた問題を解決しようとするものであり、一般臨床へのレディーメイド化を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、本発明は上記目的を達成するために検査法の自動化と検査キットの完成を設けたものである。
【0007】
また、第2の課題解決手段は、Nested PCR法を用いたものである。
【0008】
上記第1の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、検査法の自動化と検査キットの完成において、一般臨床の現場でレディーメイド化できる。
【0009】
また、第2の課題解決手段による作用は、Nested PCR法を用いたことにより検査方法が簡素化されるため、さらに一般臨床の現場でレディーメイド化できるという効果を発揮する。
【発明の効果】
【0010】
上述したように本発明の造血器腫瘍の遺伝子診断は、一般臨床の現場でレディーメイド化することができ、一般臨床での精度の高いレディーメイド検査を提供できる。
【0011】
また、Nested PCR法を用いたため、さらに精度が上昇するという効果を発揮するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
IgH(Immunogloblin Heavy Chain)遺伝子は、Germ lineでは、V領域(V1,V2・・Vn)、D領域(D1,D2,・・Dn)、J領域(J1,J2・・Jn)であり、再構成後にIgH遺伝子特有のV・D・J接合体(CDRIII)ができる。
【0014】
この特有の接合体を検出するために、サザン法では、J領域に対するJHプローブ(LJH,VLJH)を使用し、PCR法では、V領域に対するプライマーFR3AとJ領域に対するプライマーLJHとVLJHを使用した。
【0015】
さらに、検出感度を高めるために、Semi−nested PCR法を用いた。
【0016】
TCR(T Cell Receptor)遺伝子は、Germ lineでは、V領域(Vデルタ1,Vデルタ2・・Vデルタn)、D領域(Dデルタ1,Dデルタ2,Dデルタ3)、J領域(Jデルタ1,Jデルタ2・・Jデルタn)であり、再構成後にTCR遺伝子特有のV・D・J接合体(Vデルタ1・D・Jデルタ1)がでる。
【0017】
この特有の接合体を検出するために、V領域中のVデルタ1に対するプライマーD3とJ領域中のJデルタ1に対するプライマーD4、V領域の外側に対するプライマーD1とJ領域の外側に対するプライマーD6を使用する。
【0018】
さらに、検出感度を高めるために、Nested PCR法を用いた。以上のように、本実施形態によれば精度の高いレディーメイド検査が実現するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IgH(Immunogloblin Heavy Chain)遺伝子は、Germ lineでは、V領域(V1,V2・・Vn)、D領域(D1,D2,・・Dn)、J領域(J1,J2・・Jn)であり、再構成後にIgH遺伝子特有のV・D・J接合体(CDRIII)ができる。この特有の接合体を検出するために、サザン法では、J領域に対するJHプローブ(LJH,VLJH)を使用し、PCR法では、V領域に対するプライマーFR3AとJ領域に対するプライマーLJHとVLJHを使用した。TCR(T Cell Receptor)遺伝子は、Germlineでは、V領域(Vデルタ1,Vデルタ2・・Vデルタn)、D領域(Dデルタ1,Dデルタ2,Dデルタ3)、J領域(Jデルタ1,Jデルタ2・・Jデルタn)であり、再構成後にTCR遺伝子特有のV・D・J接合体(Vデルタ1・D・Jデルタ1)ができる。この特有の接合体を検出するために、PCR法で、V領域中のVデルタ1に対するプライマーD3とJ領域中のJデルタ1に対するプライマーD4、V領域の外側に対するプライマーD1とJ領域の外側に対するプライマーD6を使用した。以上のように、本実施形態によれば精度の高いレディーメイド検査を実現することができる造血器腫瘍の遺伝子診断。
【請求項2】
さらに検出感度を高めるために、Nested PCR法を設けた請求項1記載の造血器腫瘍の遺伝子診断。

【公開番号】特開2006−158364(P2006−158364A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−382281(P2004−382281)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(505009911)
【Fターム(参考)】