連結分子を用いた標的分子の粒子ベースの検出における方法および組成物
標的分子と基質とを含む結合複合体を形成する強度および/又は確率を増やすために用いられうる方法および組成物を開示する。一態様では、複合体内結合相互作用の数を増やすために用いられうる連結分子を開示する。共有結合を導入し、これらの結合相互作用の強度を更に増やすことができる。これらの方法と関連して複合体内の架橋結合を利用し、開示された結合複合体をさらに強化し、安定させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の説明)
本出願は、すべての目的のため、および出典明記によってその全体が本明細書中に援用される2008年11月17日に出願した米国仮特許出願61/115399の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
ハードウェアのリードヘッドのようなアプリケーションの電子工学および半導体産業において開発された磁気検知能力は、ここ20〜30年で感度と密度に大きく進歩した。近年、生体分子の検出にこれらの能力を応用することが注目されている。本開示内容は、これらの問題に対処し、関連した利点を提供するものである。
【発明の概要】
【0003】
核酸標的分子と基質とを含む結合複合体を形成する強度および/又は確率を増やすために用いられうる方法および組成物を開示する。一態様では、核酸標的分子と基質とを含む複合体における複合体内結合相互作用の数を増やすために用いられうる連結分子を開示する。共有結合を導入し、これらの結合相互作用の強度を更に増やすことができる。これらの方法と関連して複合体内の架橋結合を利用し、開示された結合複合体をさらに強化し、安定させることができる。
【0004】
第一態様では、本開示内容は、核酸標的分子を含む複合体の製造方法であって、基質に結合した複数の捕捉プローブを含む基質と、核酸標的分子を含有すると思われる試料と、連結分子とを、反応混合物に混合することを含む方法を提供する。次に、連結分子は、存在する場合には核酸標的分子に特異的に結合する一又は複数の標的特異的結合部分を含む。連結分子が複数の標的特異的結合部分を含むとき、この標的特異的結合部分のそれぞれが、存在する場合には核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する。また、連結分子は、基質表面に結合した複数の捕捉プローブの少なくとも一つに特異的に結合する一又は複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む。連結分子が単一の標的特異的結合部分を含むとき、この連結分子は、複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含み、連結分子が単一の捕捉プローブ特異的結合部分を含むとき、この連結分子は、複数の標的特異的結合部分を含む。更にこの方法は、前記の混合が、連結分子が(存在する場合には)核酸標的分子と複数の捕捉プローブの少なくとも一つに特異的に結合するために十分な反応条件下であることを必要とする。場合によってこの方法には、反応混合物に架橋剤を添加し、(存在する場合には)特異的に結合した核酸分子間に共有結合を形成させることが含まれる。核酸標的分子が試料中に存在するとき、連結分子は、核酸標的分子と基質に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって核酸標的分子、連結分子および基質を含む複合体が形成される。
【0005】
前記方法は、複合体の有無を検出することを更に含んでよい。
一実施態様では、前記方法により複合体の形成が生じる。
他の実施態様では、前記方法は、複合体の少なくとも2のメンバーを架橋結合することを更に含む。
前記方法の他の実施態様では、連結分子は、複数の標的特異的結合部分と一つの捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。
前記方法の他の実施態様では、連結分子は、一つの標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む。
前記方法の他の実施態様では、連結分子は、複数の標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。
前記方法の一実施態様では、複数の複合体が形成され、このとき、この複数のそれぞれのメンバーが核酸標的分子、連結分子および基質を含む。そのような実施態様では、方法は、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により複数の複合体のうちの少なくとも2つを連結させることを更に含む。
前記方法の一実施態様では、基質はバイオチップ表面を含む。前記方法の他の実施態様では、基質は検出可能な標識である。基質が検出可能な標的である一実施態様では、検出可能な標識は磁性粒子である。
【0006】
本開示内容の第二態様では、第一態様で記述される方法の実施態様であって、基質が検出可能な標識であり、バイオチップ表面を含む基質を反応混合物に含めることを更に含み、このバイオチップ表面がバイオチップ表面に結合した少なくとも一の標的固定化プローブを含み、この混合が(存在する場合に)核酸標的分子が標的固定化プローブに特異的に結合するために十分な反応条件下である方法が開示される。核酸標的分子が試料中に存在するとき、標的固定化プローブは核酸標的分子に特異的に結合し、核酸標的分子は連結分子に特異的に結合し、そして連結分子は検出可能な標識に結合した一又は複数の捕捉プローブに特異的に結合し、それによってバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、連結分子および検出可能な標識を含む複合体が形成される。
本開示内容の第二態様で記述される方法の一実施態様では、前記方法は、バイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、連結分子および検出可能な標識を含む複合体の有無を検出することを更に含む。
本開示内容の第二態様で記述される方法の他の実施態様では、前記方法により、バイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、連結分子および検出可能な標識を含む複合体の形成が生じる。前記の一実施態様では、方法は、バイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、連結分子および検出可能な標識を含む複合体の少なくとも2のメンバーを架橋結合させることを更に含む。
【0007】
本開示内容の第二態様で記述される方法の他の実施態様では、連結分子は、複数の標的特異的結合部分と一つの捕捉プローブ特異的結合部分を含む。
本開示内容の第二態様で記述される方法の他の実施態様では、連結分子は、一つの標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む。
本開示内容の第二態様で記述される方法の他の実施態様では、連結分子は、複数の標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む。
本開示内容の第二態様で記述される方法の他の実施態様では、バイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、連結分子および検出可能な標識を含む複合体は、2以上の検出可能な標識を含まない。
本開示内容の第二態様で記述される方法の他の実施態様では、バイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、連結分子および検出可能な標識を含む複合体は、2以上の標的分子を含まない。
本開示内容の第二態様で記述される方法の他の実施態様では、複数の複合体が形成され、このとき複数のメンバーのそれぞれがバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子および検出可能な標識を含んでおり、前記方法は、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により複数の複合体の少なくとも2を連結させることを更に含む。
本開示内容の第二態様で記述される方法の他の実施態様では、検出可能な標識は磁性粒子である。
【0008】
本開示内容の第三態様では、基質が検出可能な標識であり、前記方法が、バイオチップ表面を含む基質を反応混合物に含ませることを更に含み、このバイオチップ表面がバイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブを含むものである、第一態様で記述される方法の実施態様が開示される。また、前記方法は、第二連結分子を反応混合物に含ませることを更に含み、このとき第二連結分子は、(存在する場合に)核酸標的分子に特異的に結合する一又は複数の標的特異的結合部分を含む。第二連結分子が複数の標的特異的結合部分を含むとき、標的特異的結合部分のそれぞれが(存在する場合には)核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する。また、第二連結分子は、バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブのうちの少なくとも一つに特異的に結合する一又は複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む。第二連結分子が単一の標的特異的結合部分を含むとき、第二連結分子は複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含み、第二連結分子が単一の捕捉プローブ特異的結合部分を含むとき、第二連結分子は複数の標的特異的結合部分を含む。この混合は、第二連結分子が(存在する場合に)核酸標的分子、およびバイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブのうちの少なくとも一つに特異的に結合するために十分な反応条件下である。核酸標的分子が試料中に存在するとき、連結分子は、核酸標的分子と検出可能な標識に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、第二連結分子は、核酸標的分子とバイオチップ表面に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって検出可能な標識、連結分子、核酸標的分子、第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体が形成される。
本開示内容の第三態様で記述される方法の一実施態様では、前記方法は、検出可能な標識、連結分子、核酸標的分子、第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体の有無を検出することを更に含む。
本開示内容の第三態様で記述される方法の他の実施態様では、前記方法により、検出可能な標識、連結分子、核酸標的分子、第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体の形成が生じる。前記の実施態様では、前記方法は、検出可能な標識、連結分子、核酸標的分子、第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体の少なくとも2のメンバーを架橋することを更に含む。
【0009】
本開示内容の第三態様で記述される方法の他の実施態様では、第二連結分子は、複数の標的特異的結合部分と一つの捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。
本開示内容の第三態様で記述される方法の他の実施態様では、第二連結分子は、一つの標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。
本開示内容の第三態様で記述される方法の他の実施態様では、第二連結分子は、複数の標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。
本開示内容の第三態様で記述される方法の他の実施態様では、検出可能な標識、連結分子、核酸標的分子、第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体は、2以上の検出可能な標識を含まない。
本開示内容の第三態様で記述される方法の他の実施態様では、検出可能な標識、連結分子、核酸標的分子、第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体は、2以上の標的分子を含まない。
本開示内容の第三態様で記述される方法の他の実施態様では、複数の複合体が形成され、このとき複数のそれぞれのメンバーは、バイオチップ表面、第一および第二の連結分子、核酸標的分子および検出可能な標識を含み、前記方法は、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により複数の複合体のうちの少なくとも2つを連結させることを更に含む。
本開示内容の第三態様で記述される方法の一実施態様では、検出可能な標識は磁性粒子である。
【0010】
第四態様では、本開示内容は、核酸標的分子を含む複合体の製造方法であって、基質に結合した複数の捕捉プローブを含む基質と、核酸標的分子を含有すると思われる試料と、複数の連結分子とを、反応混合物に混合させることを含む方法を提供する。複数の連結分子のそれぞれのメンバーは一又は複数のコピーで各々存在し、それぞれのメンバーは、(存在する場合には)核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分を含む。また、複数の連結分子のそれぞれのメンバーは、複数の捕捉プローブの一つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分を含む。この混合は、複数の連結分子が(存在する場合には)核酸標的分子、および基質に結合した複数の捕捉プローブに特異的に結合するために十分な反応条件下である。場合によって、前記方法は、反応混合物に架橋剤を添加し、(存在する場合には)特異的に結合した核酸分子間に共有結合を形成させることを含む。核酸標的分子が試料中に存在するとき、複数の連結分子は、核酸標的分子の複数の異なる領域と基質に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって核酸標的分子、複数の連結分子および基質を含む複合体が形成される。
本開示内容の第四態様で記述される方法の一実施態様では、前記方法は、複合体の有無を検出することを更に含む。
本開示内容の第四態様で記述される方法の他の実施態様では、前記の方法により複合体が形成され、前記の実施態様では、前記方法は、複合体の少なくとも2つのメンバーを架橋結合させることを含む。
本開示内容の第四態様で記述される方法の他の実施態様では、複数の複合体が形成され、このとき複数のメンバーのそれぞれがバイオチップ表面、複数の連結分子、核酸標的分子および検出可能な標識を含んでおり、前記方法は、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により複数の複合体の少なくとも2を連結させることを更に含む。
本開示内容の第四態様で記述される方法の一実施態様では、基質はバイオチップ表面を含む。他の実施態様では、基質は検出可能な標識である。基質が検出可能な標識である一実施態様では、検出可能な標識は磁性粒子である。
【0011】
第五態様では、本開示内容は、本開示内容の第四態様で記載される方法であって、基質が検出可能な標識であり、前記方法が、バイオチップ表面を含む基質を反応混合物に含ませることを更に含み、このバイオチップ表面がバイオチップ表面に結合した少なくとも一の標的固定化プローブを含むものであり、この混合が、(存在する場合には)核酸標的分子が標的固定化プローブに特異的に結合するために十分な反応条件下である方法を提供する。核酸標的分子が試料中に存在するとき、標的固定化プローブは核酸標的分子に特異的に結合し、核酸標的分子は複数の連結分子に特異的に結合し、複数の連結分子は検出可能な標識に結合した複数の捕捉プローブに特異的に結合し、これによってバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、複数の連結分子および検出可能な標識を含む複合体が形成される。
本開示内容の第五態様で記述される方法の一実施態様では、前記方法は、バイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、複数の連結分子および検出可能な標識を含む複合体の有無を検出することを更に含む。
【0012】
本開示内容の第五態様で記述される方法の他の実施態様では、前記方法により、バイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、複数の連結分子および検出可能な標識を含む複合体が形成される。前記の実施態様では、前記方法は、バイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、複数の連結分子および検出可能な標識を含む複合体の少なくとも2つのメンバーを架橋結合させることを更に含む。
本開示内容の第五態様で記述される方法の他の実施態様では、バイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、複数の連結分子および検出可能な標識を含む複合体は、2以上の検出可能な標識を含まない。
本開示内容の第五態様で記述される方法の他の実施態様では、バイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、複数の連結分子および検出可能な標識を含む複合体は、2以上の標的分子を含まない。
本開示内容の第五態様で記述される方法の他の実施態様では、複数の複合体が形成され、複数のメンバーのそれぞれがバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、複数の連結分子および検出可能な標識を含んでおり、前記方法は、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により複数の複合体の少なくとも2を連結させることを更に含む。
本開示内容の第五態様で記述される方法の一実施態様では、検出可能な標識は磁性粒子である。
【0013】
第六態様では、本開示内容は、本開示内容の第四態様で記載される方法であって、基質が検出可能な標識であり、前記方法が、バイオチップ表面を含む基質を反応混合物に含ませることを更に含み、このバイオチップ表面がバイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブを含むものである方法を提供する。また、前記方法は、複数の第二の連結分子を反応混合物に含めることを更に含み、このとき複数の第二の連結分子のそれぞれのメンバーは一又は複数のコピーで各々存在する。複数の第二の連結分子のそれぞれのメンバーは、(存在する場合には)核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分を含む。また、複数の第二の連結分子のそれぞれのメンバーは、バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブの一つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分を含む。この混合は、複数の第二の連結分子が(存在する場合には)核酸標的分子、およびバイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブに特異的に結合するために十分な反応条件下である。核酸標的分子が試料中に存在するとき、複数の連結分子は、核酸標的分子と検出可能な標識に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、複数の第二の連結分子は、核酸標的分子とバイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二の連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体が形成される。
本開示内容の第六態様で記述される方法の一実施態様では、前記方法は、検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二の連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体の有無を検出することを更に含む。
【0014】
本開示内容の第六態様で記述される方法の他の実施態様では、前記方法により、検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二の連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体の形成が生じる。前記の実施態様では、前記方法は、検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二の連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体の少なくとも2のメンバーを架橋することを更に含む。
本開示内容の第六態様で記述される方法の他の実施態様では、検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二の連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体は、2以上の検出可能な標識を含まない。
本開示内容の第六態様で記述される方法の他の実施態様では、検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二の連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体は、2以上の標的分子を含まない。
本開示内容の第六態様で記述される方法の他の実施態様では、複数の複合体が形成され、このとき複数のそれぞれのメンバーは、検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二の連結分子およびバイオチップ表面を含み、前記方法は、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により複数の複合体のうちの少なくとも2つを連結させることを更に含む。
本開示内容の第六態様で記述される方法の一実施態様では、検出可能な標識は磁性粒子である。
【0015】
第七態様では、本開示内容は、基質に結合した複数の捕捉プローブを含む基質と、核酸標的分子を含有すると思われる試料と、連結分子とを含む反応混合物を提供する。連結分子は、(存在する場合には)核酸標的分子に特異的に結合する一又は複数の標的特異的結合部分を含む。連結分子が複数の標的特異的結合部分を含むとき、標的特異的結合部分のそれぞれは(存在する場合には)核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する。また、連結分子は、複数の捕捉プローブの少なくとも一つに特異的に結合する一又は複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む。連結分子が単一の標的特異的結合部分を含むとき、連結分子は複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含み、そして、連結分子が単一の捕捉プローブ特異的結合部分を含むとき、連結分子は複数の標的特異的結合部分を含む。核酸標的分子が試料中に存在するとき、連結分子は、核酸標的分子と基質に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって核酸標的分子、連結分子および基質を含む複合体が形成される。
本開示内容の第七態様で記述される反応混合物の一実施態様では、基質はバイオチップ表面を含む。
本開示内容の第七態様で記述される反応混合物の他の実施態様では、基質は検出可能な標識である。基質が検出可能な標識である一実施態様では、基質は磁性粒子である。
本開示内容の第七態様で記述される反応混合物の他の実施態様では、連結分子は、複数の標的特異的結合部分と一つの捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。
本開示内容の第七態様で記述される反応混合物の他の実施態様では、連結分子は、一つの標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。
本開示内容の第七態様で記述される反応混合物の他の実施態様では、連結分子は、複数の標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。
【0016】
本開示内容の第八態様では、基質が検出可能な標識であり、前記反応混合物が、バイオチップ表面を含む基質を更に含み、このバイオチップ表面がバイオチップ表面に結合した少なくとも一の標的固定化プローブを含むものである、第七態様で記述される反応混合物の実施態様が開示される。核酸標的分子が試料中に存在するとき、標的固定化プローブは核酸標的分子に特異的に結合し、核酸標的分子は連結分子に特異的に結合し、そして、連結分子は検出可能な標識に結合した一又は複数の捕捉プローブに特異的に結合し、それによってバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、連結分子および検出可能な標識を含む複合体が形成される。
本開示内容の第八態様で記述される反応混合物の一実施態様では、検出可能な標識は磁性粒子である。
本開示内容の第八態様で記述される反応混合物の他の実施態様では、連結分子は、複数の標的特異的結合部分と一つの捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。
本開示内容の第八態様で記述される反応混合物の他の実施態様では、連結分子は、一つの標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。
本開示内容の第八態様で記述される反応混合物の他の実施態様では、連結分子は、複数の標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。
【0017】
本開示内容の第九態様では、基質は検出可能な標識であり、反応混合物はバイオチップ表面を含む基質を更に含んでおり、バイオチップ表面はバイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブを含むものである、第七態様で記述される反応混合物の実施態様が開示される。また、反応混合物は第二連結分子を更に含み、このとき第二の連結分子は、(存在する場合には)核酸標的分子に特異的に結合する一又は複数の標的特異的結合部分を含む。第二連結分子が複数の標的特異的結合部分を含むとき、標的特異的結合部分のそれぞれは(存在する場合には)核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する。また、第二連結分子は、バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブのうちの少なくとも1つに特異的に結合する一又は複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む。第二連結分子が単一の標的特異的結合部分を含むとき、第二連結分子は複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含み、そして、第二連結分子が単一の捕捉プローブ特異的結合部分を含むとき、第二連結分子は複数の標的特異的結合部分を含む。核酸標的分子が試料中に存在するとき、連結分子は、核酸標的分子と検出可能な標識に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、第二連結分子は、核酸標的分子とバイオチップ表面に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって検出可能な標識、連結分子、核酸標的分子、第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体が形成される。
本開示内容の第九態様で記述される反応混合物の一実施態様では、検出可能な標識は磁性粒子である。
本開示内容の第九態様で記述される反応混合物の他の実施態様では、第二連結分子は、複数の標的特異的結合部分と一つの捕捉プローブ特異的結合部分を含む。
本開示内容の第九態様で記述される反応混合物の他の実施態様では、第二連結分子は、一つの標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む。
本開示の第九態様で記述される反応混合物の他の実施態様では、第二連結分子は、複数の標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む。
【0018】
第十態様では、本開示内容は、基質に結合した複数の捕捉プローブを含む基質と、核酸標的分子を含有すると思われる試料と、複数の連結分子とを含む反応混合物を提供する。複数の連結分子のそれぞれのメンバーは一又は複数のコピーで各々存在し、それぞれのメンバーは、(存在する場合には)核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分を含む。また、複数の連結分子のそれぞれのメンバーは、複数の捕捉プローブの一つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分を含む。核酸標的分子が試料中に存在するとき、複数の連結分子は、核酸標的分子の複数の異なる領域と基質に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって核酸標的分子、複数の連結分子および基質を含む複合体が形成される。
本開示内容の第十態様で記述される反応混合物の一実施態様では、基質はバイオチップ表面を含む。他の実施態様では、基質は検出可能な標識である。基質が検出可能な標識である一実施態様では、基質は磁性粒子である。
【0019】
第十一態様では、本開示内容は、基質は検出可能な標識であり、反応混合物はバイオチップ表面を含む基質を更に含むものである、第十態様で記述される反応混合物を提供する。バイオチップ表面は、バイオチップ表面に結合した少なくとも一の標的固定化プローブを含む。核酸標的分子が試料中に存在するとき、標的固定化プローブは核酸標的分子に特異的に結合し、核酸標的分子は複数の連結分子に特異的に結合し、そして、複数の連結分子は検出可能な標識に結合した複数の捕捉プローブに特異的に結合し、それによってバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、複数の連結分子および検出可能な標識を含む複合体が形成される。
本開示内容の第十一態様で記述される反応混合物の一実施態様では、検出可能な標識は磁性粒子である。
【0020】
第十二態様では、本開示内容は、基質は検出可能な標識であり、反応混合物はバイオチップ表面を含む基質を更に含み、バイオチップ表面はバイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブを含むものである、第十態様で記述される反応混合物を提供する。また、反応混合物は複数の第二の連結分子を更に含み、このとき複数の第二の連結分子のそれぞれのメンバーは一又は複数のコピーで各々存在する。複数の第二の連結分子のそれぞれのメンバーは、(存在する場合には)核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分を含む。また、複数の第二の連結分子のそれぞれのメンバーは、バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブの一つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分を含む。核酸標的分子が試料中に存在するとき、複数の連結分子は、核酸標的分子と検出可能な標識に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、そして、複数の第二の連結分子は、核酸標的分子とバイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二の連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体が形成される。
本開示内容の第十二態様で記述される反応混合物の一実施態様では、検出可能な標識は磁性粒子である。
【0021】
また、キットが本明細書に記述される。例えば、検出可能な粒子と連結分子を具備するキットが記述され、このとき、検出可能な粒子はそれに結合した複数の捕捉プローブを含み、この連結分子は、(存在する場合には)核酸標的分子に特異的に結合する一又は複数の標的特異的結合部分を含む。連結分子が複数の標的特異的結合部分を含むとき、標的特異的結合部分のそれぞれは(存在する場合には)核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する。また、連結分子は、複数の捕捉プローブの少なくとも一つに特異的に結合する一又は複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む。連結分子が単一の標的特異的結合部分を含むとき、連結分子は複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含み、連結分子が単一の捕捉プローブ特異的結合部分を含むとき、連結分子は複数の標的特異的結合部分を含む。検出可能な粒子は磁性粒子であってよい。
一実施態様では、キットは、バイオチップ表面を含む基質を更に具備し、このとき、バイオチップ表面はそれに結合した少なくとも一つの標的固定化プローブを含み、この標的固定化プローブは(存在する場合には)核酸標的分子を特異的に結合する。
他の実施態様では、検出可能な粒子と複数の連結分子を具備するキットが記載され、このとき、検出可能な粒子はそれに結合した複数の捕捉プローブを含む。複数の連結分子のメンバーのそれぞれは一又は複数のコピーで独立して存在し、メンバーのそれぞれは(存在する場合には)前記核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分と、複数の捕捉プローブの一つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。前記のある実施態様では、キットは、バイオチップ表面を含む基質を更に具備し、このとき、バイオチップ表面はそれに結合した少なくとも一の標的固定化プローブを含み、この標的固定化プローブは(存在する場合には)核酸標的分子を特異的に結合する。他の実施態様では、キットは、バイオチップ表面を含む基質を具備し、このとき、バイオチップ表面はそれに結合した複数の捕捉プローブと複数の第二の連結分子とを含む。前記複数の第二の連結分子のメンバーのそれぞれは一又は複数のコピーで独立して存在し、メンバーのそれぞれは(存在する場合には)前記核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分と、バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブの一つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。核酸標的分子が試料中に存在するとき、複数の連結分子は、前記核酸標的分子と検出可能な標識に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、複数の第二の連結分子はその核酸標的分子とバイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二の連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体が形成される。一実施態様では、検出可能な粒子は磁性粒子である。
【0022】
添付の図面とともに読むと、開示内容は以下の詳細な説明から十分に理解される。一般的な実施に従い、図面の様々な特徴が必ずしも一定の比率であるというわけではないことを強調する。様々な特徴の寸法は、明確にするために任意に拡大又は縮小される。以下の図は図面に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】捕捉プローブ機能化基質、標的分子および複数の連結分子を伴う複合体の結合の図を示す。図1の図は、検出可能な標識を含む基質としての基質を示す。
【図2】捕捉プローブ機能化基質、標的分子および複数の連結分子を伴う複合体の結合の図を示す。図2の図は、バイオチップ表面を含む基質としての基質を示す。
【図3】捕捉プローブ機能化基質、標的分子および連結分子を伴う結合複合体であって、連結分子が標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分とを含むものである複合体の図を示す。図3の図は、分岐型配位の連結分子を示す。
【図4】捕捉プローブ機能化基質、標的分子および連結分子を伴う結合複合体であって、連結分子が標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分とを含むものである複合体の図を示す。図4の図は、線形配位の連結分子を示す。
【図5】捕捉プローブ機能化基質、標的分子および連結分子を伴う結合複合体であって、連結分子が複数の標的特異的結合部分と捕捉プローブ特異的結合部分とを含むものである複合体の図を示す。
【図6A】捕捉プローブ機能化基質、標的分子および連結分子を伴う結合複合体であって、連結分子が複数の標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分とを含むものである複合体の図を示す。
【図6B】第一の複数の連結分子(L1)、捕捉プローブ(C1)機能化検出可能標識、標的分子、複数の第二の連結分子(L2)、およびバイオチップ表面を含む捕捉プローブ(C2)機能化基質を伴う結合複合体の図を示す。
【図7】バイオチップ表面、標的固定化プローブ、複数の連結分子および検出可能な標識を含む複合体へ共有結合を導入するための、架橋剤としてのアルキン/アジド官能基の使用を例示する。
【図8】バイオチップ表面、第一の複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二の連結分子および検出可能な標識を含む複合体へ共有結合を導入するための、架橋剤の使用を例示する。
【図9】磁気ビーズのための複数の非共有結合部位を有する固定されたオリゴヌクレオチドの磁気ビーズ標識の結果を示す。画像は低拡大率で示す。
【図10】磁気ビーズのための複数の非共有結合部位を有する固定されたオリゴヌクレオチドの磁気ビーズ標識の結果を示す。画像は高拡大率で示す。
【図11】複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む分岐型の連結分子の直接合成の合成スキームを示す。
【図12】複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む分岐型部分の合成の合成スキームを示す。
【図13】複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む連結分子を形成するための、ODNと分岐型部分との間のコンジュゲート反応を示す。
【図14】複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含むデンドリマー又は星状オリゴマーへのODNのコンジュゲートによる連結分子の形成を示す。
【図15】複数の捕捉プローブ特異的結合部分の接着と、デンドリマー又は星状オリゴマーへのカップリングリンカーの導入を示す。
【図16】非共有結合対の複数の第一メンバーを含む分岐型部分の合成のための様々な単量体Xによるホスホラミダイト化学を使用した合成スキームを示す。
【図17】非共有結合対の様々な第一メンバーに変換しうる複数のアミノ基を含む分岐型部分の合成スキームを示す。
【図18】非共有結合対の複数の第一メンバーを含む分岐型部分の合成と、標的特異的結合部分とのコンジュゲートについての、図17に示す複数のアミノ基を含む分岐型部分を使用した合成スキームを示す。
【図19】ODN標的特異的結合部分および非共有結合対の複数の第一メンバーを含む分岐型連結分子の直接合成のスキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(定義)
文脈に応じて、ここで使用する「基質」なる用語は、検出可能な標識(又は、検出可能な標識として働くように修飾される)、例えば磁性粒子又はその後の検出のための標的分子を固定するために用いられうるバイオチップ表面を含む基質として働きうる基質を指す。
ここで使用する「バイオチップ」なる用語は、対象の他の生物学的分子に結合可能な生物学的分子のアレイによって機能化されている表面を有する固形、通常実質的に平面の支持体を指す。バイオチップの製造には、例えば、ガラススライド、石英ガラス、シリコンおよびプラスチックを含む様々な材料が用いられうる。ここで開示する特定の実施態様では、対象のバイオチップは、バイオチップの表面に固定された標的分子に結合した磁性粒子の存在を検出することができる磁気センサーを含む。例として、Baselt et al., (1998) Biosens. Bioelectron., vol. 13, pp. 731-739;Edelstein et al., (2000) Biosens. Bioelectron., vol. 14, pp. 805-813;Miller et al., (2001) J. Magn. Magn. Mater., vol. 225, pp. 138-144;Graham et al. (2002) J. Appl. Phys., vol. 91, pp. 7786-7788;Ferreira et al. (2003) J. Appl. Phys., vol. 93, pp. 7281;Li et al. (2003) J. Appl. Phys., vol. 93, pp. 7557-7559, May;Li et al. (2004) IEEE Trans. Magn., vol.40, pp. 3000;Wang et al., (2005) J. Magn. Magn. Mater., vol. 293, pp. 731-736;Shen et al. (2005) Appl. Phys. Lett., vol. 86, pp. 253901;Baselt et al. 米国特許第5981297号;Tondra, 米国特許第6743639号;および、Tondra, 米国特許第6875621号を参照のこと。
【0025】
ここで使用する「検出可能な標識」なる用語は、検出が可能な分子又は粒子を指し、限定するものではないが、放射性同位体、蛍光剤、化学発光剤、酵素、酵素基質、酵素補助因子、酵素阻害剤、発色基、色素、金属イオン、磁性粒子、特定の結合対のメンバーなどを含む。
「連結分子」なる用語は、少なくとも一つの「捕捉プローブ特異的結合部分」と少なくとも一つの「標的特異的結合部分」とを含む分子を指すためにここで使用する。連結分子との関連で用いる「分子」なる言葉は単一の分子体に限定するものではなく、連結分子を生産するために互い結合した複数の分子を含みうる。
「標的特異的結合部分」は、対象の標的分子又は他の分析物と接触したときに対象の標的分子又は他の分析物に特異的に結合することができる連結分子の領域を指すためにここで使用する。
「捕捉プローブ特異的結合部分」なる用語は、捕捉プローブと接触したときに、「捕捉プローブ」に特異的に結合することができる連結分子の領域を指すためにここで使用する。
「捕捉プローブ」なる用語は、基質に結合した実体を指すためにここで使用し、この実体は、連結分子と接触したときに連結分子の捕捉プローブ特異的結合部分に特異的に結合することができるものである。例えば、一実施態様では、捕捉プローブ特異的結合部分は核酸配列を含み、対応する捕捉プローブは、捕捉プローブが捕捉プローブ特異的結合部分と特異的にハイブリダイズすることができるようにその配列に相補的な配列を含む。
「標的固定化プローブ」なる用語は、基質の表面に結合した実体、例えばバイオチップを指すためにここで使用し、この実体は、標的分子と接触したときに標的分子に特異的に結合することができるものである。
【0026】
ここで交換可能に使用する「ポリペプチド」および「タンパク質」なる用語は、任意の長さのアミノ酸の重合型を指し、コード化および非コード化アミノ酸、化学的ないし生化学的に修飾されたか又は誘導体化されたアミノ酸、および修飾したペプチド主鎖を有するポリペプチドを含みうる。この用語には、限定するものではないが、異種性アミノ酸配列を有する融合タンパク質、N末端メチオニン残基を有する又は有さない異種性および天然のリーダー配列を有する融合物;免疫学的にタグを付けたタンパク質;検出可能な融合パートナーを有する融合タンパク質、例えば融合パートナーとして蛍光タンパク質であるβガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼなどを含む融合タンパク質などを含む融合タンパク質が含まれる。
「核酸」、「核酸分子」および「ポリヌクレオチド」なる用語は交換可能に用い、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド何れかの任意の長さのヌクレオチドの重合型、又は、2つの天然に生じる核酸と同じように配列特異的な様式で天然に生じる核酸とハイブリダイズすることができる、例えばワトソン−クリック塩基対相互作用に加わることができる、合成によって製造された化合物を指す。ポリヌクレオチドは三次元構造を有し、公知又は未知何れの機能でも発揮しうる。ポリヌクレオチドの非限定的な例には、遺伝子、遺伝子断片、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファRNA、リボソームRNA、cDNA、組換えポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離したDNA、コントロール領域、任意の配列の単離したRNA、核酸プローブ、およびプライマーが含まれる。
「部分(moiety)」なる用語は、典型的に特定の機能的又は構造的な特徴を有する実体又は分子の一部を指すために用いられる。
【0027】
「抗体」、「免疫グロブリン」なる用語およびこれらの複数形は、Fab、Fv、scFv、およびFdフラグメント、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、および抗体の抗原結合部分と非抗体タンパク質を含む融合タンパク質を含むがこれらに限定せず、任意のアイソタイプの抗体又はイムノグロブリン、抗原への特異的結合を保持する抗体の断片が含まれる。抗体は、例えば放射性同位体、検出可能な生成物を生成する酵素、蛍光タンパク質などにて検出可能に標識されてよい。抗体はさらに、例えばビオチン(ビオチン-アビジン特異的結合対のメンバー)などの特定の結合対のメンバーといった他の部分にコンジュゲートしてよい。また、抗体は、ポリスチレンプレート又はビーズなどを含むがこれらに限定せず、固形支持体に結合していてよい。また、この用語には、Fab'、Fv、F(ab')2、および抗原への特異的結合を保持する他の抗体断片も包含される。
抗体は、例えばFv、Fabおよび2(Fab')2、並びに二官能性(すなわち二特異性)ハイブリッド抗体を含む様々な形態で(例えばLanzavecchia et al., Eur. J. Immunol. 17, 105 (1987))、および単鎖で(例えばHuston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 85, 5879-5883 (1988);Bird et al., Science, 242, 423-426 (1988);Hood et al., "Immunology", Benjamin, N.Y., 2nd ed. (1984), and Hunkapiller and Hood, Nature, 323, 15-16 (1986)を参照)ありうる。
【0028】
「特異的結合」、「特異的に結合する」などといった用語は、反応混合物中の他の分子又は部分と比較して、第二結合分子又は部分(例えば標的分子又は特異的結合対の第二メンバー)に(共有結合又は非共有結合で)優先的に結合する、第一結合分子又は部分(例えば標的特異的結合部分又は特異的結合対の第一メンバー)の能力を指す。例えば、タンパク質−タンパク質結合相互作用を伴うある実施態様では、結合複合体内で互いに特異的に結合するとき、第一結合分子又は部分と第二結合分子又は部分との間の親和性は、10−6M未満、10−7M未満、10−8M未満、10−9M未満、10−10M未満、10−11M未満、10−12M未満、10−13M未満、10−14M未満、又は10−15M未満のKD(解離係数)によって特徴付けられる。
ここで使用する「特異的結合対のメンバー」は特異的結合対相互作用のメンバーである。結合対のいずれかのメンバーが第一メンバーとみなされる場合、残りのメンバーが第二メンバーであると考え、その逆も同様であることは注記すべきである。特異的結合対相互作用の例には、抗原/抗体およびハプテン/抗体といった免疫性結合相互作用、並びに相補的核酸結合、ビオチン/アビジンおよびビオチン/ストレプトアビジンのような非免疫性結合相互作用が含まれる。ここで使用する「特異的結合対のメンバー」はまた、反応性対のメンバーを指すために用い、この反応性対のメンバーは相互に一又は複数の共有結合を形成することが可能である。反応性対を形成する共有結合の例には、Rostovtsev et al. (2002) Angew. Chem. Int. Ed. 41: 2596-2599およびTornoe et al. (2002) /. Org. Chem. 67: 3057-3064に記述される、Cu-触媒アジド/アルキン[3+2]環化付加「クリックケミストリー」;Baskin et al. (2007) PNAS Vol. 104, No. 43: 167393-16797に記述される、アジド/DIFO(二フッ素化シクロオクタン)無Cuクリックケミストリー;Lin et al. (2005) /. Am. Chem. Soc. Ill: 2686-2695に記述される、アジド/ホスフィン「シュタウディンガー反応」;Saxon and Bertozzi (2000) Mar 17 Science 287(5460): 2007-10に記述される、アジド/トリアリールホスフィン「変性シュタウディンガー反応」;そして、Casey (2006) J. of Chem. Edu. Vol. 83, No. 2: 192-195、Lynn et al. (2000) /. Am. Chem. Soc. 122: 6601-6609およびChen et al. (2003) Progress in Chemistry 15: 401-408に記述される、触媒オレフィンメタセシス反応に触媒作用が含まれる。
【0029】
ここで使用する「ハイブリダイズすることができる」、「ハイブリダイズする」および「ハイブリダイゼーション」なる用語は、相補的又は部分的に相補的な核酸分子間の「特異的結合」相互作用(例えばDNA−DNA、RNA−RNA)を指す。
「相補的」なる用語は、ポリヌクレオチドの配列に基づいたポリヌクレオチド間の特異的結合の特性を示す。ここで使用するように、ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションアッセイにおいて互いに結合する場合、例えばハイブリダイゼーションアッセイにおいて所定又は検出可能なレベルのシグナルが産生する場合に、ポリヌクレオチドは相補的である。従来の塩基対合法則に従う場合、例えばAがT(又はU)と、GがCと対になる場合、ポリヌクレオチドの各部分は各々に相補的である。「相補的」には、絶対的な配列相補性がある実施態様、更に実質的な配列相補性がある実施態様が含まれる。
「絶対的な配列相補性」とは、第一ポリヌクレオチドと第二ポリヌクレオチドとの間に100%の配列相補性がある、すなわち、他のポリヌクレオチドとの関連で(相補的な領域に対して)第一および第二いずれかのポリヌクレオチドに挿入、欠失又は置換がないことを意味する。言い換えれば、相補的領域のすべての塩基は、通常の塩基対合法則に従ってその相補的塩基と対になる。
「実質的配列相補性」は、他のポリヌクレオチドと比較して(相補的な領域に対して)第一および又は第二のポリヌクレオチドに一又は複数の相対的に小さい(10塩基未満、例えば5塩基未満、典型的には3塩基未満、より典型的には単一塩基)挿入、欠失又は置換を認める。相補的領域は、第一ポリヌクレオチドと第二ポリヌクレオチド(例えば核酸標的分子の異なる配列と連結分子の結合部分)との間で相補的である領域である。相補配列は一般的により大きなポリヌクレオチド内に埋まっているので、2つの相対的に長いポリヌクレオチドはその全長の一部のみに対して相補的であってもよい。相補的領域は典型的に、少なくともおよそ10塩基長、より典型的には少なくともおよそ12塩基長、より典型的には少なくともおよそ15塩基長、さらにより典型的には少なくともおよそ20塩基長であり、又は少なくともおよそ25塩基長であってよい。
【0030】
核酸ハイブリダイゼーションの関係において本明細書中で記載するハイブリダイゼーションは、典型的に「ストリンジェントな条件」下で生じる。「ストリンジェント条件」なる用語は、第一核酸が第二核酸配列に選択的にハイブリダイズし、他の配列にはほとんどあるいはまったくハイブリダイズしない条件を指す。言い換えれば、ここで使用する「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、相補的な結合メンバー間、例えば連結分子の結合部分と標的核酸の相補的配列との間の二本鎖を製造するのに適している条件を指す。
核酸ハイブリダイゼーションの関連で(例えばアレイ、サザン又はノーザンハイブリダイゼーションにおける)「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」および「ストリンジェントなハイブリダイゼーション洗浄条件」は、配列依存性であり、異なる環境パラメーター下で異なる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、例えば、50%ホルムアミド、5×SSCおよび1%SDSを含むバッファ中、42℃でのハイブリダイゼーション、又は、5×SSCおよび1%SDSを含むバッファ中、65℃でのハイブリダイゼーション、何れも65℃の0.2×SSCおよび0.1%SDSの洗浄を行うものが含まれる。また、例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、40%ホルムアミド、1M NaClおよび1%SDSのバッファ中、37℃でのハイブリダイゼーションと、1×SSCでの45℃での洗浄を含む。あるいは、0.5M NaHPO4、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mnM EDTA中、65℃でのフィルター結合DNAへのハイブリダイゼーションと、0.1×SSC/0.1%SDS中、68℃での洗浄を実施することもできる。更なる他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、3×SSC(450mM 塩化ナトリウム/45mM クエン酸ナトリウム)中、60℃以上でのハイブリダイゼーション、又は、30%ホルムアミド、1M NaCl、0.5%ナトリウムサルコシン、50mM MES、pH6.5を含む溶液中、42℃でのインキュベーションが含まれる。当業者であれば、別であるが同程度のハイブリダイゼーションと洗浄の条件を用いて、同様なストリンジェンシーの条件が得られることを理解するであろう。
【0031】
ある実施態様では、洗浄状態のストリンジェンシーは、核酸分子が特異的にハイブリダイズする程度に影響しうる。適切な洗浄条件には、例えば、pH7のおよそ0.02モルの塩濃度と少なくともおよそ50℃又はおよそ55℃からおよそ60℃の温度;又は、およそ0.15M NaClの塩濃度、72℃、およそ15分間;又は、およそ0.2×SSCの塩濃度、少なくともおよそ50℃又はおよそ55℃からおよそ60℃の温度、およそ1からおよそ20分間;又は、0.1%SDSを含むおよそ0.1×SSCの塩濃度を有する溶液にて、20から50℃、1から15分間複数回洗浄;又は同等な条件が含まれる。また、洗浄のためのストリンジェント条件は、例えば0.2×SSC/0.1%SDS、42℃であってよい。核酸分子がオリゴデオキシヌクレオチド(例えばデオキシリボヌクレオチドサブユニットから構成するオリゴヌクレオチド)である例では、ストリンジェント条件は、6×SSC/0.05%ピロリン酸ナトリウム中、37℃(14塩基オリゴのとき)、48℃(17塩基オリゴのとき)、55℃(20塩基オリゴのとき)、および60℃(23塩基オリゴのとき)での洗浄を含む。等価ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件の詳細、試薬やバッファ、例えばSSCバッファおよび等価試薬および条件については、Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, (1989) Cold Spring Harbor, N. Y.)を参照のとこ。
【0032】
また、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、反復配列を抑えるための複雑性低減核酸との水性核酸の「プレハイブリダイゼーション」が含まれる。例えば、あるストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、表面に結合したポリヌクレオチドに対するハイブリダイゼーションの前に、Cot-1 DNAと、又は、ランダム配列合成オリゴヌクレオチド等(例えば25mer)とのハイブリダイゼーションを含む。
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、上記の代表的な条件と少なくとも同じくらいストリンジェントであるハイブリダイゼーション条件であり、この条件は、上記のあるストリンジェントな条件と少なくともおよそ80%、典型的には少なくともおよそ90%同じくらいストリンジェントである場合に少なくともストリンジェントであるとみなす。他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は当分野で公知であり、必要に応じて用いてもよい。
【0033】
ここで使用する「結合する」および「結合した」なる用語は、2以上の実体間の結合相互作用を指す。2つの実体、例えば分子が互いに結合する場合、例えば共有結合、イオン結合、水素結合、静電気的相互作用、疎水性相互作用、ファン・デル・ワールス力又はこれらの組合せにより「直接結合」してもよいし、例えば中間連結部分の使用により「間接的に結合」してもよい。
「検出」、「検出する」などの用語は、定量的並びに定質的な測定値を包含する。
【0034】
本発明をさらに記載する前に、本発明は記載された特定の実施態様に限定されるものではなく、もちろん変化しうることが理解されるべきである。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、ここで使用する用語は特定の実施態様のみを記載するためのものであり、限定するためのものではないことも理解されるべきである。
値の範囲を示す場合、特に明確に示さない限り、その範囲の上限と下限の間の下限の10分の1の単位までの各介在値、および他の示す値かあるいは示した範囲内の介在値は、本発明の範囲内に包含される。これらの小さい範囲の上限および下限はそれぞれ、その小さい範囲内に含まれ、本発明にも包含され、その示す範囲の限定が明示的に除かれる。示す範囲がその限界値の一又は両方を含む場合、これらの含まれる限界値の何れか又は両方を除く範囲もまた本発明に含まれる。
特別に定義しない限り、ここで使用するすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の技術者によって共通して理解される意味と同じである。また、ここに記載するものと同様又は等価な方法および材料はいずれも本発明の実施又は試験に使用することができるが、好適な方法および材料をここに記載する。この文脈で「好適な」なる用語の使用は、いずれの場合であっても本発明の範囲を限定するものではないことを注記する。
ここで示したすべての出版物は、関連して出版物が引用される方法および/又は材料を開示および記載するために、出典明記によってここに援用される。
【0035】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用するように、単数形の「a」、「and」および「the」は、特に明示しない限り、複数形を含むことを注記する。ゆえに、例えば「連結分子」を指す言葉には複数の該連結分子が含まれ、「結合複合体」を指す言葉には一又は複数の結合複合体および当分野の技術者に公知なその等価物などが含まれる。さらに、特許請求の範囲は任意の要素を除くために記載されていることを注記する。よって、この記述は、「単に」や「のみ」といった排他的な用語およびクレームする要素の記載と関連するものの使用、又は「ネガティブな」限定の使用の例示となるものである。
ここで論じる出版物は単に、本出願の出願日前の開示内容のために示す。ここで、本発明が先行発明によってこれら出版物に先行する権利がないと認めているものではない。さらに、示した出版物の日付は、第三者的な機関によって確認することが必要である実際の出版日と異なっていてもよい。
【0036】
以下の詳細な記載は、当分野の技術者に、本発明の製造および使用方法についての完全な開示および記載を提供するために示すものであり、発明者が発明として認める範囲を限定するためのものではない。特に示されない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧あるいは大気圧付近である。例えば、bp、塩基対;kb、キロベース;pl、ピコリットル;s又はsec、秒;min、分;h又はhr、時間;aa、アミノ酸;kb、キロベース;bp、塩基対;nt、ヌクレオチドなどといった標準の略語を用いてよい。
【0037】
(詳細な説明)
本開示内容は、標的分子および基質を含む結合複合体を形成する強度および/又は可能性を増すために用いられうる方法および組成物に関する。一態様では、複合体内結合相互作用の数を増やすために用いられうる連結分子が開示される。これら複合体内結合相互作用の結合強度をさらに増やすために共有結合を導入してよい。複合体間架橋、すなわち2以上の異なる結合複合体の架橋は、開示した結合複合体をさらに強くし、安定化するための方法と関連して利用してよい。
【0038】
複数の複合体内結合相互作用部位を有する標的分子−基質複合体の製造
一態様では、本開示内容は、標的分子および一又は複数の基質を含む結合複合体を製造するために利用されうる方法および組成物であって、この結合複合体は複数の複合体内結合相互作用部位を有するものである方法および組成物に関する。一又は複数の連結分子を利用して、標的分子−基質結合複合体内に複数の複合体内結合相互作用部位を作製する。ある実施態様では、一又は複数の連結分子を用いて、標的分子と検出可能な標識を含む結合複合体内に複数の複合体内結合相互作用部位を提供する。他の実施態様では、一又は複数の連結分子を用いて、標的分子とバイオチップ表面を含む結合複合体内に複数の複合体内結合相互作用部位を提供する。これらの実施態様は、標的分子の有無および/又は定量を検出するために設計されたアッセイといった特定のアッセイにおいて別々又は一緒に用いられてよい。
一又は複数の連結分子を用いて、標的分子および検出可能な標識を含む結合複合体内に複数の複合体内結合相互作用部位を提供する場合、この連結分子は、一又は複数の検出可能な標識実体が連結分子(一又は複数)を介して標的分子を結合するように設計されてよい。例えば、一実施態様では、単一の検出可能な標識実体、例えば単一の磁性粒子のみが、連結分子(一又は複数)を介して特定の標的分子に結合している。他の実施態様では、複数の検出可能な標識実体が連結分子(一又は複数)を介して特定の標的分子に結合している。
様々な分子標的は、核酸標的を含むがこれに限らず現在開示されている方法および組成物と関連して利用されてよい。
【0039】
核酸連結分子
標的分子が核酸である場合、核酸連結分子を用いて、複数の複合体内結合部位を有する核酸標的分子−基質複合体を形成することができる。本開示内容の一態様では、複数の核酸連結分子の各核酸連結分子が2つの異なる結合部分を含んでいる、複数の核酸連結分子が開示される。第一結合部分である標的特異的結合部分は、核酸標的分子の異なる配列に特異的にハイブリダイズすることができる核酸配列を含む。第二結合部分である捕捉プローブ特異的結合部分は、捕捉プローブとして基質に結合した核酸分子の配列に特異的にハイブリダイズすることができる核酸配列を含む。一般に、基質は、基質に結合した複数の前記核酸捕捉プローブを含む。複数の連結分子は、標的分子の複数の異なる領域と基質に結合した複数の捕捉プローブとに結合することができるように設計される。このようにして、複数の複合体内結合部位を有する核酸標的分子−基質複合体が形成されてよい。
【0040】
図1および2は、本明細書において開示される核酸連結分子の特定の実施態様を利用した結合相互作用を例示する。
図1は、基質が検出可能な標識、例えば磁性粒子である実施態様を示す。図1に図示したように、複数の核酸連結分子は、複数のうちのメンバーが核酸標的分子の異なる配列に結合する一方で、複数のうちのメンバーが同じ基質に結合するように設計されてよい。これにより、複数の複合体内結合相互作用部位を有する標的分子−基質結合複合体が形成される。図1において、「A−D」の各々は異なる標的特異的結合部分を表し、各「M」は捕捉プローブ特異的結合部分を表し、各「N」は捕捉プローブとして基質に結合した核酸分子を表す。図1の特定の実施態様では、結合部分「A−D」の各々は互いに比較して異なる核酸配列を含み、各「M」は他の「M」と比較して同じ核酸配列を含み、各「N」は他の「N」と同じ核酸配列を含む。この実施態様では、「M」および「N」は相補配列を含む。
【0041】
図2は、基質がバイオチップの表面を含む実施態様を示す。この実施態様では、複数の核酸連結分子が、複数の複合体内結合相互作用部位を有する標的分子−バイオチップ基質結合複合体の形成を促す。
図2において、「A−D」の各々は異なる標的特異的結合部分を表し、各「M」は捕捉プローブ特異的結合部分を表し、各「N」は捕捉プローブとして基質に結合した核酸分子を表す。図2の実施態様では、結合部分「A−G」の各々は互いに比較して異なる核酸配列を含み、各「M」は他の「M」と比較して同じ核酸配列を含み、各「N」は他の「N」と同じ核酸配列を含む。この実施態様では、「M」および「N」は相補配列を含む。
ゆえに、本開示内容のある態様では、連結分子は、標的分子上の異種性配列切片を翻訳して、基質に結合した核酸分子に相補的な同一の配列の複数部位になると考えられうる。これにより、基質が標的分子に結合し、より効率よく基質が結合する可能性が増す。
【0042】
図6Bに図示するように、本明細書に記述される連結分子を利用して、核酸標的分子および2つの異なる機能化した基質、例えば検出可能な標識基質およびバイオチップ基質を含む基質を含む結合複合体を形成することができる。
ある実施態様では、複数の連結分子は、基質と接触する前に標的分子(又は標的分子を含むことが予測される試料)と接触して、標的分子との結合の前に、標的分子との相対的な連結分子の位置が、連結分子が捕捉プローブを介して基質を結合する位置によってさほど影響を受けないようにする。この概念の単純バージョンは、図1を参照して理解される。ここで、標的分子との関連で「A−D」の順序は、複数の連結分子が基質と接触する前に複数の連結分子が標的分子に接触することにより維持される。
本開示内容の他の態様では、標的特異的結合部分および複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む核酸連結分子が開示される。標的特異的結合部分は、核酸標的分子の異なる配列に特異的にハイブリダイズすることができ、複数の捕捉プローブ特異的結合部分のそれぞれのメンバーは、捕捉プローブとして基質に結合した複数の核酸分子の一つの核酸分子に特異的にハイブリダイズすることができる。このようにして、連結分子は、標的分子と基質に結合した複数の核酸捕捉プローブとを結合することができる。
【0043】
図3および4は、本明細書中で開示する核酸連結分子の特定の実施態様を利用する結合相互作用を例示する。
図3は、分岐型構造を有する核酸連結分子の例を示す。図3において、「A」は標的特異的結合部分を表し、各「M」は捕捉プローブ特異的結合部分を表し、各「N」は捕捉プローブとして基質に結合した核酸分子を表す。図3に示す実施態様では、「M」は各々他の「M」と比較して同じ核酸配列を含み、各「N」は他の「N」と同じ核酸配列を含む。この実施態様では、「M」および「N」は相補配列を含む。
【0044】
図4は、線状構造を有する核酸連結分子の例を示す。図4において、「A」は標的特異的結合部分を表し、各「M」は捕捉プローブ特異的結合部分を表し、各「N」は捕捉プローブとして基質に結合した複数の核酸分子の一つの核酸分子を表す。図4に示す実施態様では、各「M」は他の「M」と比較して同じ核酸配列を含み、各「N」は他の「N」と同じ核酸配列を含む。この実施態様では、「M」および「N」は相補配列を含む。
本開示内容の他の態様では、捕捉プローブ特異的結合部分と複数の標的特異的結合部分とを含む核酸連結分子が開示される。捕捉プローブ特異的結合部分は、捕捉プローブとして基質に結合した核酸分子に特異的にハイブリダイズすることができる核酸配列を含む。さらに、複数の標的特異的結合部分の各々のメンバーは、核酸標的分子の異なる核酸配列に特異的にハイブリダイズすることができる核酸配列を含む。
【0045】
図5は、この連結分子の特定の実施態様を利用した結合相互作用を示す。図5は分岐型連結分子を示し、ここで「M」は捕捉プローブ特異的結合部分を表し、「N」は捕捉プローブとして基質に結合した核酸分子を表し、「A−C」は複数の標的特異的結合部分を表す。図5に示す実施態様では、「M」および「N」は相補配列を含む。図5は分岐型連結分子を示すが、図5に示す実施態様もまた線形構造で調製されてよい。
本開示内容の他の態様では、複数の捕捉プローブ特異的結合部分と複数の標的特異的結合部分とを含む核酸連結分子が開示される。捕捉プローブ特異的結合部分は、捕捉プローブとして基質に結合した核酸分子に特異的にハイブリダイズすることができる核酸配列を含む。さらに、複数の標的特異的結合部分の各々のメンバーは、核酸標的分子の異なる核酸配列に特異的にハイブリダイズすることができる核酸配列を含む。
【0046】
図6Aは、この連結分子の特定の実施態様を利用した結合相互作用を示す。図6Aは分岐型連結分子を示し、ここで各「M」は捕捉プローブ特異的結合部分を表し、各「N」は捕捉プローブとして基質に結合した核酸分子を表し、そして「A−C」は複数の標的特異的結合部分を表す。図6Aに示す実施態様では、各「M」は他の「M」と比較して同じ核酸配列を含み、各「N」は他の「N」と比較して同じ核酸配列を含む。この実施態様では、「M」および「N」は相補的配列を含む。図6Aは分岐型連結分子を示すが、図6Aに示す実施態様もまた線形構造で調製されてよい。
【0047】
捕捉プローブ特異的結合部分と基質に結合した捕捉プローブとの間の結合のメカニズムとして配列ベースのハイブリダイゼーションを利用するための別法として、本明細書において開示される連結分子は、更に特定の非共有結合相互作用、例えばビオチン又はビオチン類似体/アビジン又はストレプトアビジン、ハプテン/抗体又は抗体断片、糖類/レクチンおよび特定のリガンド/レセプターが使用できるように設計されうる。
【0048】
核酸連結分子の調製
現在開示されている連結分子の結合部分には、DNA、RNA、これらのアナログ、修飾ヌクレオチド又はこれらの組合せが含まれうる。
連結分子の結合部分は、ホスホジエステル結合、又は、核酸、アミノ酸、糖質ないしはポリオール架橋のような一又は複数の連結試薬、又は、核酸ないしは修飾核酸鎖を架橋結合することができる他の架橋剤によって、互いに直接共有結合的に連結されてよい。結合の部位(一又は複数)が、結合部分の端、および/又は鎖の一又は複数の内部ヌクレオチドであってよい。
現在開示されている連結分子の結合部分は、およそ10〜およそ80のヌクレオチド長の核酸配列を含んでいてよい。例えば、第一および/又は第二の結合部分は、およそ10からおよそ20、およそ20からおよそ30、およそ30からおよそ40、およそ40からおよそ50、およそ50からおよそ60、およそ60からおよそ70、又はおよそ70〜およそ80のヌクレオチド長の核酸配列を含んでいてよい。より典型的には、現在開示されている連結分子の第一および/又は第二の結合部分は、およそ10からおよそ60のヌクレオチド長、更に典型的にはおよそ10〜およそ45のヌクレオチド長の配列を含む。
【0049】
捕捉プローブとして基質に結合した核酸分子は、典型的におよそ10からおよそ80の塩基長である。例えば、粒子標識にコンジュゲートした核酸分子は、およそ10からおよそ20、およそ20からおよそ30、およそ30からおよそ40、およそ40からおよそ50、およそ50からおよそ60、およそ60からおよそ70、又はおよそ70からおよそ80のヌクレオチド長であってよい。より典型的には、粒子標識にコンジュゲートした核酸分子は、およそ10からおよそ60のヌクレオチド長、さらにより典型的にはおよそ10からおよそ45のヌクレオチド長である。
開示された連結分子が複数の標的特異的結合部分を含む場合、この複数とは、例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、又は10以上の標的特異的結合部分を含んでいてよい。
開示された連結分子が複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む場合、この複数とは、例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、又は10以上の捕捉プローブ特異的結合部分を含んでいてよい。
【0050】
ある実施態様では、本明細書において開示される核酸連結分子は、例えば図1および4に図示するように、線形構造で調製される。線形核酸連結分子は、当分野で公知の様々な技術を用いて調製されてよい。例えば、連結分子は、ポリメラーゼ増幅(例えばPCR)、クローニング技術、化学的架橋、酵素的集合(アセンブリ)、直接的な化学合成又はこれらの組合せを用いることによって調製されうる。
核酸連結分子をポリメラーゼ増幅および/又はクローニングによって調製する場合、すべての連結分子をコードする核酸配列又はその断片は従来の手順によって一本鎖又は二本鎖の形態で作製されてよい。二本鎖の形態で作製する場合、連結分子および/又はその断片は、最終的に変性するか、又は一本鎖エキソヌクレアーゼによって加水分解して、一本鎖の連結分子および/又はその断片とする。また、核酸連結分子は、M13といった従来の一本鎖ファージベクターを用いて一本鎖の形態でクローニングされてよい。断片を酵素的又は化学的に連結して、連結分子を形成してもよい。酵素的にアセンブリする場合、個々の断片は、T4 DNA又はRNAリガーゼといったリガーゼによってライゲートしてよい。化学的架橋によって調製する場合、個体断片は、連結部位を提供する官能基を有するように誘導体化された一又は複数の核酸によって合成してもよいし、又は、このような部位を提供するように断片を合成した後に断片を誘導体化してもよい。
また、本開示内容の連結分子は、図3、5および6に示すように、分岐型構造で設計され、構築されてよい。分岐型連結分子は、5'末端、3'末端又はこれらの組合せである、少なくとも3つの末端を有するという点で、線形連結分子と区別される。分岐型核酸分子の調製方法は、1992年6月23日発行の米国特許第5124246号、8−13および18−25の段落に示されており、これは分岐型の多量体調製の説明のために出典明記によってここに援用される。更に、1996年12月3日発行の米国特許第5580731号は、現在開示された分岐型連結分子の合成に使われうるN−4修飾ピリミジンヌクレオチドの説明のために出典明記によってここに援用される。
【0051】
また、分岐型連結分子は、デンドリマー的なオリゴヌクレオチドの形態で調製されてよい。例として、Shchepinov et al. (1997) Nucleic Acids Research 25(22): 4447-4454を参照のこと。ここでは、著者は複数の保護した一次水酸基を有する分岐型ホスホラミダイトを利用して従来のモノマー的なオリゴヌクレオチドの上にデンドリマーの頭部の合成を記述する。また、デンドリマーオリゴヌクレオチドの他の種類とその調製を記載しているShchepinov et al. (1999) Nucleic Acids Research 27(15): 3035-3041も参照のこと。これらの参考文献は、デンドリマーオリゴヌクレオチドとその調製の説明のために、出典明記によってここに援用される。
更に、分岐型連結分子は、アビジン/ストレプトアビジンとビオチン化核酸の組合せを使用して調製されてよい。例えば、個々のアビジン/ストレプトアビジン分子は、アビジン/ストレプトアビジン− ビオチン相互作用により、4つのビオチン化された核酸に連結されてよい。この種の連結分子は、4つのビオチン化核酸のうちの1つが対象の核酸標的分子の異なる領域に特異的にハイブリダイズすることができる核酸配列を含み、その一方で、残りの3つのビオチン化核酸が捕捉プローブとして基質に結合した核酸分子にハイブリダイズすることができる核酸配列を含むように、調製されてよい。
また、核酸連結分子は、コンジュゲート、ライゲーション又はポリメリゼーションといった化学的又は酵素的な技術を使用して調製してよい。これらの化学的又は酵素的な技術は、線形および様々な分岐型の形態で複数の部位を形成するために応用してよい。
ある実施態様では、連結分子の一又は複数の結合部分は、相補的核酸のハイブリダイゼーション以外の特異的な非共有結合相互作用を利用するために設計される。このような相互作用には、例えば以下の結合パートナー間の相互作用、ビオチン又はビオチンアナログ/アビジン又はストレプトアビジン、ハプテン/抗体ないし抗体断片、糖類/レクチンおよび特異的なリガンド/レセプターが含まれる。
【0052】
例として、図11−15は、オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)(又はそのアナログ)標的特異的結合部分と、ビオチン又は他の非共有結合パートナーを含む複数の捕捉プローブ特異的結合部分とを含む様々な「分岐型」および「星型」連結分子の合成スキームを示す。これらの図は結合部分としてビオチンの使用を示すが、この使用は例示のためのみであって、いずれの適切な非共有結合パートナーでも置き換えられうることを注記する。これらの連結分子は、ODN(又はそのアナログ)での直接合成によっても二工程合成方法によってでも調製され得、この二工程合成方法では、ビオチン分子又は他の非共有結合パートナーを含む分岐型又は星型の部分は修飾したODN(又はそのアナログ)から別々に調製され、2つの成分はその後コンジュゲートされて、標的特異的結合部分および複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む連結分子が形成される。
【0053】
図11は、分岐型部分が固形支持体に結合したODN上へ直接合成される分岐型連結分子の調製についての直接合成スキームを示す。分岐型連結分子は、様々な公知の固形支持体又はインサイツ合成方法によって合成されてよい。
図12は、複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む分岐型部分の合成を示す。図13に示すように、この分岐型部分は、その後、ODNにコンジュゲートされ、連結分子を形成する。様々な官能基およびコンジュゲート化学、例えばクリック化学、チオおよびマレイミド、チオおよびブロモ−アルキル、アルデヒドおよびヒドラジンないしヒドラジド、アミンおよびNHSエステル、ジスルフィド結合形成、ディールスアルダー反応などはこのコンジュゲートを促すために有用である。これらの反応の官能基は図13に示したXおよびZである。
また、連結分子は、複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含むデンドリマー(樹状)又は星状のオリゴマーに修飾したODNをコンジュゲートさせることによって合成されてもよい。図14および15は共に、複数の捕捉プローブ特異的結合部分によりデンドリマー又は星状のオリゴマーを合成ないし修飾した後、修飾したオリゴヌクレオチドとコンジュゲートする二工程方法を示す。XおよびZは、例えばクリック化学、チオおよびマレイミド、チオおよびブロモ−アルキル、アルデヒドおよびヒドラジンないしヒドラジド、アミンおよびNHSエステル、ジスルフィド結合形成、ディールスアルダー反応などを用いたコンジュゲートに適切である官能基を表す。
【0054】
検出可能な標識
開示した方法および組成物と関連して利用されうる当分野で公知の様々な検出可能な標識がある。これらには、例えば放射性同位体、蛍光物質、化学発光物質、発色団、酵素、酵素基質、酵素補助因子、酵素インヒビター、金属イオン、磁性粒子、特定の結合対のメンバーなどが含まれる。
検出可能な標識は、微粒子又はナノ粒子といった粒子の形態であってよい。磁性粒子が本明細書において開示する方法および/又は組成物に利用される場合、磁性粒子は、例えば、磁気ナノ粒子又は微粒子であってもよい。磁性粒子には、例えば、磁気ビーズ又は、強磁性体、フェリ磁性体、常磁性体、又はスーパー常磁性体といった磁性体から造られた他の小さい物体が含まれる。ある実施態様では、磁性粒子は、およそ10ナノメートルからおよそ100マイクロメートルの直径を有する酸化鉄(Fe2O3および/又はFe3O4)を含む。磁気ナノ粒子は、例えばベルギッシュグラートバハ、ドイツのミルテニーバイオテク社から入手可能である。典型的にはおよそ5からおよそ500ナノメートルの直径の、コートされた単一ドメイン酸化鉄粒子から造られた相対的に小さい粒子がある。また、磁性粒子は、ポリスチレンといった高分子マトリックスに包埋された磁気ナノ粒子から造られてよい。およそ0.2〜およそ5マイクロメートルの直径を有する典型的に滑らかで一般に球状である。この種の粒子は、カリフォルニア州カールズバッドのインヴィトロジェン社から入手可能である。磁性粒子の他の例には、Baselt et al. (1998) Biosensors & Bioelectronics 13: 731-739、Edelstein et al. (2000) Biosensors & Bioelectronics 14: 805-813、Miller et al. (2001) J. of Magnetism and Magnetic Materials 225: 138-144、Graham et al. (2002) J. Appl. Phys. 91: 7786-7788、Ferreira et al. (2003) J. Appl. Phys. 93, pp. 7281-7286および米国公開特許2005/0100930(2005年5月12日公開)によって記述されるものが含まれる。
一態様では、およそ10ナノメートル〜およそ1000ナノメートルの平均直径を有する磁性粒子、例えばおよそ100ナノメートル〜およそ900ナノメートル、およそ200ナノメートル〜およそ800ナノメートル、およそ300ナノメートル〜およそ700ナノメートル、およそ400ナノメートル〜およそ600ナノメートル又はおよそ500ナノメートルの平均直径を有する磁性粒子が、開示した方法および組成物に利用される。
【0055】
結合複合体を強化および/又は安定させる架橋結合
結合複合体の強度および/又は安定性は、架橋結合および強い共有結合の導入によって増加しうる。これらの技術はここに記載する連結部分と組み合わせて用いて、強力で安定した標的分子−基質結合複合体を提供することができる。
例えば、単一の標的分子−基質結合複合体に見られる2以上の結合実体間の結合相互作用は、一又は複数の架橋剤の導入により強化および/又は安定化されうる。この種の架橋は「複合体内架橋結合」として記載されうる。ある実施態様では、この「複合体内架橋結合」は分子内複合体内への共有結合の導入を伴う。例えば、検出可能な標識を含む基質と接触する前に一又は複数の連結分子によりバイオチップ表面に結合した標的を安定させることが望ましい。ある実施態様では、検出可能な標識が一又は複数の連結分子によって標的分子に結合した後に、結合複合体をさらに安定化することが望ましい。
また、開示内容は、「複合体間架橋結合」を導入するために架橋剤を使用することを考慮する。例えば、一実施態様では、単一の複合体は、式A−B−C−Dによって表され得、ここでAは複数の標的固定化プローブを含むバイオチップ表面、Bは標的分子、Cは一又は複数の連結分子、Dは結合した複数の捕捉プローブを含む検出可能な標識である。この単一の複合体は、架橋剤の導入により基質表面に存在する一又は複数の他の複合体に連結してもよい。
【0056】
共有結合の導入による架橋結合
架橋剤は、結合複合体のメンバー間および/又は複合体間での共有結合の形成を容易にするために導入されてよい。共有結合は、通常300〜400kJ/molの範囲である。これらの結合は、レセプターとそのリガンドとの間、タンパク質とタンパク質との間、又は複数のハイブリダイズした二本鎖核酸間の非共有結合相互作用より何倍も強い。
図7および8は、共有結合を導入するために架橋剤の使用を伴う例示的な実施態様を示す。図7は、架橋剤が特異的結合対の第一メンバー(例えばアジド/アルキン)および特異的結合対の第二メンバー(例えばアルキン/アジド)を含み、そしてこの特異的な結合対の第二メンバーと好適な条件下で反応するとき、この特異的結合対の第一メンバーが共有結合を形成する、実施態様を示す。図7において、バイオチップ表面上の標的固定化プローブと検出可能な標識上の捕捉プローブの両方は別々に、特異的結合対の第一メンバー(例えばアルキン/アジド)を含む。核酸標的分子に結合した連結分子の捕捉プローブ特異的結合部分にコンジュゲートした、特異的な結合対の第二メンバー(例えばアジド/アルキン)を示す。適切な条件下では、特異的な結合対の第一および第二のメンバーが反応し、一又は複数の共有結合を形成し、これによりバイオチップ表面、標的固定化プローブ、連結分子および検出可能な標識を含む結合複合体を強化し、安定化させる。図7は特定の連結分子実施態様に関する架橋結合を示すが、この架橋結合はここで開示する連結分子実施態様のいずれを含む複合体にも応用されうることは理解される。
【0057】
結合対相互作用を形成する様々な共有結合は、Cu触媒アジド/アルキン[3+2]付加環化「クリックケミストリー」、アジド/DIFO(ジフッ化シクロオクチン)Cu遊離クリックケミストリー、アジド/ホスフィン「シュタウディンガー反応」、アジド/トリアリールホスフィン「変性シュタウディンガー反応」、および触媒されたオレフィンクロスメタセシスを含め、当分野で公知である。これらの結合対反応は、共有結合を導入するために利用して、(標的)−(連結分子)−(基質)結合複合体のメンバー間の相互作用を安定化および/又は強化する。当業者は、これらの反応のいくつか、例えばCu触媒アジド/アルキン[3+2]付加環化が結合対相互作用を触媒するために触媒剤の添加が必要であるのに対して、アジド/DIFO反応のような他のものはその必要がないことは理解するであろう。
図8は、架橋剤の導入によりハイブリダイズした核酸鎖間に共有結合が形成される例示的な実施態様を示す。図8は、バイオチップ表面に結合した捕捉プローブと核酸標的分子に結合した連結分子との間の共有結合形成を示す。また、図8は、検出可能な標識の表面に結合した捕捉プローブと核酸標的分子に結合した連結分子との間の共有結合形成を示す。
【0058】
ハイブリダイズした核酸の鎖間、核酸とタンパク質との間、および異なるタンパク質分子間を架橋結合させるために用いられる当分野で有用な様々な試薬がある。異なる長さの架橋剤および官能基の組合せは、市販されている。
例えば、光化学付加により共有核酸付加物を形成する光変異原性化合物の種類であるソラレンが利用されてよい。一次反応は、DNAのチミジンの5,6二重結合とソラレンの4',5'ないしは3,4何れかの二重結合との間でのシクロブタン環形成である。4',5'二重結合での反応によりフラン-側単一付加物が作製される。これは、対する鎖上に隣接するピリミジンを有する部位でさらに反応し、鎖間架橋が造られる。Spielmann et al. (1995) Proc. Natl. Acad. ScL USA Vol. 92, pp. 2345-2349。また、8-メトキシソラレンからのペプチド核酸(PNA)を含むソラレンの合成を記載している、Okamoto et al. (2001) Org. Lett. Mar 22;3(6): 925-7を参照のこと。鎖端にソラレン単位を含有するPNAは、相補的なDNAを有する安定した二体鎖を形成する。更なる機能性を有するソラレンも合成されている。例えば、Saffran et al. (1988) Nucleic Acids Research;16(l5): 7221-31は、ビオチン化したソラレン(BPsor)の合成を記述する。BPsorはDNAと光反応して鎖間架橋結合を形成する一方で、その後ストレプトアビジン分子と反応することができる付着したビオチンの形態で更なる結合機能性を提供する。
【0059】
また、ハイブリダイズした核酸分子の架橋結合は、米国特許第6800768号(2004年10月5日に発行)に記載されるように実施されてよい。この特許文献では、非ヌクレオシド光活性クマリン誘導体が核酸に組み込まれて架橋を促している。
あるいは、特定の架橋結合条件の必要性に合うように架橋剤を設定し、合成してもよい。
Pendergrast et al. (1992) Proc. Natl Acad. ScL USA Vol. 89, pp.10287-10291に記載されるように、光架橋結合は、また、タンパク質と核酸との間の結合相互作用を安定させるために利用されてよい。具体的には、Pedergrast et al.は、部位特異的突然変異とその後のシステイン特異的化学修飾からなる二工程手順によってタンパク質内の単一のアミノ酸で光反応性架橋剤を組み込む。まず、部位特異的突然変異を用いて、対象の位置に特定の溶媒へのアクセス可能なシステイン残基を導入する。それから、結果として生じたタンパク質を、システイン特異的異種二機能化光反応性架橋剤、例えば4-アジドフェナシル臭化物にて誘導体化する。定められた条件下で、特定の溶媒へのアクセス可能なシステイン残基を有するタンパク質と4-アジドフェナシル臭化物とが反応して、システイン残基の完全かつ非常に選択的な誘導体化が生じ、[(4-アジドフェナシル)-Cys]タンパク質形態のコンジュゲートが得られる。それから、タンパク質−DNA複合体を形成し、タンパク質−DNA複合体をUV照射して架橋結合を導入する。
架橋剤は、異なる独立した試薬として応用されてよい。あるいは、架橋結合官能基は、連結分子、捕捉プローブ、標的固定化プローブ、基質などに直接コンジュゲートしてよい。官能基は、所望の時に適用される光、pH変化又は特定の化学物質といった投入による命令で活性化されうる。さらに、本明細書に開示される結合部分および/又は連結分子は、選択する架橋剤の適用に適するように設計されうる。例えば、核酸を含む標的特異的結合部分へのタンパク質又は他の化学物質実体のコンジュゲートにより、架橋剤の選択性が拡がり、本来は核酸に適用できないものも適用可能となる。
【0060】
相補的核酸の導入
相補的核酸配列を導入して、結合複合体間の結合の強度を上げることができる。例えば、本明細書中に記載する2以上の結合複合体の連結分子に相補的な核酸の領域を含む分子を利用して、複合体間架橋結合を生成してよい。このような核酸は、適切にハイブリダイゼーションさせるために好適な長さに設計してよい。これは、所望の長さのリンカー切片を架橋核酸に挿入することによって達成されうる。リンカー切片は、ヌクレオチドおよびポリエチレングリコールといったポリマーを含む任意の好適な物質を含みうる。
【0061】
複数の複合体内結合相互作用部位を有する標的分子−基質複合体の作製方法
本明細書中に記載する連結分子は、複数の複合体内結合相互作用部位を有する標的−基質複合体を作製するように設計された方法において使用される。これらの方法は、例えば試料中における特定の標的分子の有無を決定するために設計されたアッセイと組み合わせて使用されうる。また、開示した方法を用いて、特定の試料中における特定の標的分子の量を量的に決定することができる。一般に、本明細書中に記載する方法は、本明細書中に記載する、標的分子、一又は複数の捕捉プローブ機能化基質および一又は複数の連結分子を含有することが疑われる試料を反応混合物に混合することを含む。
一実施態様では、この方法は、2つの異なる種類の基質を利用する。第一の種類はバイオチップ表面を含み、第二の種類は検出可能な標識であるか又は検出可能な標識を含むように修飾されている。標的分子を含むことが疑われる試料は、本明細書中に記載する一又は複数の連結分子と反応混合物中で組合わす。十分な時間をおいて、連結分子を(存在する場合には)標的分子に結合させた後、反応混合物を、本明細書中に記載のバイオチップ表面を含む基質と接触させる。バイオチップ表面は、一又は複数の標的固定化プローブによって機能化されてよい。標的固定化プローブを利用する場合、(標的分子)−(連結分子)複合体は標的固定化プローブによって直接結合されていてよい。ついで、反応混合物を、第二種類の基質、すなわち検出可能な標識と接触する。検出可能な標識に存在する捕捉プローブにより、標的分子に結合した一又は複数の連結分子への結合が可能になる。この様式で、標的分子と検出可能な標識を含む固定された複合体であって、複数の結合相互作用部位を含む複合体が形成される。ついで、検出可能な標識の存在および/又は量は、例えばバイオチップに組み込まれる磁気センサーの使用により、当分野で公知の様々な方法に従って検出されうる。
ある実施態様では、一又は複数の上記の結合工程の後に一又は複数の洗浄工程を行い、非特異的に結合した分子を除去する。
いくつかの実施態様は標的固定化プローブを利用してバイオチップ表面上の標的分子を固定しているが、バイオチップ表面に結合した一又は複数の捕捉プローブと組み合わせて一又は複数の連結分子を使用して、バイオチップ表面上の標的分子も固定されうることを注記する。よって、ある実施態様では、開示された方法により結合複合体が形成される。この複合体では、バイオチップ表面上の捕捉プローブに結合する連結分子により標的分子はバイオチップ表面に結合しており、そして、検出可能な標識上の捕捉プローブに結合する連結分子によって検出可能な標識は標的分子に結合している。
【0062】
キット
また、本開示内容によって本明細書中で開示される方法を実施するためのキットが提供される。キットは典型的に、上記のような一又は複数の連結分子を具備する。加えて、対象のキットは、上記のような一又は複数の検出可能な標識、例えば、複数の捕捉プローブを含む一又は複数の磁性粒子を更に具備しうる。また、対象のキットは、上記のようなバイオチップ表面を含む基質を具備しうる。さらに、キットは、一又は複数のポジティブ又はネガティブのコントロールを具備してよい。また、キットは、ここに記載のような一又は複数の架橋剤を具備しうる。
キットの様々な構成成分は別々の容器にあってもよいし、ある適切な構成成分は、要望どおり単一の容器に予め組み合わせていてもよい。
上記の構成成分に加えて、キットは、ここに記載の方法を実施するための指示書を更に具備しうる。これらの指示書は様々な形態でキットにあってもよいし、一又は複数の形態がキットにあってもよい。これらの指示書が存在するある一つの形態は、適切な媒体又は基体、例えば情報が印刷された一片ないし数枚の紙、キットのパッケージ、添付物などに印刷された情報としてである。更に他の手段は、情報が記録されているコンピュータで読み取り可能な媒体、例えばディスケット、CDなどである。存在しうる更に他の手段は、インターネットによって隔たれた部位で情報にアクセスするために使用されうるウェブ上のアドレスである。何か便利な手段もキットに存在してもよい。
【実施例】
【0063】
以下の実施例は、本発明をどのように造り、使用するかについての完全な開示内容および記載を当業者に提供するために示すものであって、発明者が発明とみなす範囲を限定するためのものでも、以下の実験がすべてあるいは実施される実験であることを表すためのものでもない。用いた数値(例えば含量、温度など)に関して正確に示したが、いくつかの実験誤差および偏差は説明される。特に示さない限り、部位は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏度であり、気圧は大気圧ないし大気圧程度である。標準的な略語、例えばbp、塩基対;kb、キロベース;pl、ピコリットル;sないしはsec、秒;min、分;hないしはhr、時間;aa、アミノ酸;kb、キロベース;bp、塩基対;nt、ヌクレオチド;などを用いてよい。
【0064】
実施例1:複数の非共有結合相互作用を用いることによる磁気ビーズによる基質に固定したオリゴの標識の改善
複数の非共有結合相互作用を用いることによる基質に固定した核酸の標識の改善を示すために、0、1又は2のビオチン標識を含む固定化オリゴ複合体を、異なる大きさの磁気ビーズを繋留する際の性能に基づき比較した。
材料および方法
2つの異なるオリゴ機能化基質を以下のように調製した。同じ核酸配列のオリゴヌクレオチドプローブの第一セットは第一基質表面にコンジュゲートし、同じ核酸配列を有するオリゴヌクレオチドプローブの第二セットは第二基質表面にコンジュゲートした。オリゴヌクレオチドプローブは、その5'末端にスルフヒドリル基を持ち、基質表面上のマレイミド基によって2つの基質表面に別々にコンジュゲートした。第一基質のために、オリゴヌクレオチドプローブは、基質表面に対してプローブの遠端でビオチン分子により標識した(図9および10において010で示す)。第二基質のために、オリゴヌクレオチドプローブは標識しなかった(図9および10において001で示す)。
4つの実験的な基質は、ハイブリダイゼーション条件下でオリゴ機能化基質表面の各々にオリゴヌクレオチドの2つの異なるセットを適用することによって調製した。表面に適用したオリゴヌクレオチドは同じ配列のものであり、基質表面上に固定されたオリゴヌクレオチドの配列に相補である。2つの異なるオリゴヌクレオチドセットの第一のものをビオチン分子にて標識して、そのセットの適用したオリゴヌクレオチドを基質表面上に固定しているオリゴヌクレオチドにハイブリダイズしたときに、ビオチン分子が基質表面に対して適用したオリゴヌクレオチドの遠端に位置させるようにした(図9および10において008で示す)。2つの異なるオリゴヌクレオチドセットの第二のものは標識しなかった(図9および10において025で示す)。この様式で、4つの並列な実験的基質を図9および10のそれぞれに示すように実施した。4つそれぞれの実験的基質のために、3つの平行した実験を、3つのサイズの異なるストレプトアビジンコート常磁性ビーズのうちの1つを適用することによって実施した(A=直径0.3μm、B=直径0.5μm、およびC=直径1.0μm)。実験的基質のそれぞれにおよそ5〜10の洗浄工程を行い、結合していないビーズを取り除いた。ついで、基質は、結合したビーズの数に関して定性的に測定するために、低および高拡大率で撮像した。
【0065】
結果
図9および10は、それぞれ低および高拡大率での様々な基質の画像を示す。これらの画像に示すように、ビオチン−ストレプトアビジン結合相互作用の数を増やすことによってビーズとハイブリダイズしたDNA複合体との間の非共有結合相互作用部位の数を増やすことにより、ハイブリダイズしたDNA複合体により基質表面に結合した磁気ビーズの数が可視的に増えた。この結合するビーズの増加は、対象の核酸標的のために検出可能な標識を用いた場合に、検出感度を増すであろう。
【0066】
実施例2:核酸連結分子を利用した標的−基質複合体の形成
本明細書において開示される方法および組成物を利用した予測的実施例を後述する。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)配列のセグメントをクローニングし、モデル核酸標的分子としてRNAに転写させる。あるいは、一本鎖エキソヌクレアーゼを適用して、モデル核酸標的分子としてのHIV配列から逆転写したDNAのPCR産物を消化することによって一本鎖DNAを形成する。ついで、核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合することができる核酸連結分子を調製する。また、核酸連結分子のそれぞれを消化して、連結分子の各々に共通する核酸配列を含める。この連結分子の「捕捉プローブ特異的結合部分」は、磁性粒子の表面に結合した核酸配列(「捕捉プローブ」)にハイブリダイズすることができるように設計する。この配位は図6Bにグラフで示す。共通の捕捉プローブ特異的結合部分は、分子内ハイブリダイゼーションを最小化して、連結分子に対して最大に開かれた構造となるように設計する。
核酸連結分子は、市販のソフトウェア、例えばアプライドバイオシステムから入手可能なプライマーエクスプレス又はインビトロゲンから入手可能なベクターNTIを使用して設計される。核酸連結分子を設計するために、少量の二次構造を有する配列を計算し、設計し、反復して確認する。ヘアピン構造と内部二次構造を最小化することが特に重要である。これにより、連結分子は、標的分子と磁性粒子の表面に結合した核酸配列との両方にハイブリダイズするために開かれアクセス可能となる。標的分子および核酸「捕捉プローブ」によって非常に安定したハイブリダイズ構造を達成するために、G、C含量の高い領域を有する連結分子および標的配列領域を選択するのが好ましい。また、核酸連結分子配列は、互いに最小の結合遊離エネルギーを表すように選択して、連結分子間の結合が連結分子の標的結合能を干渉しないようにする。
まず、HIV核酸標的分子を含有する試料を、リンカーが標的分子と結合するために適切な条件下で、2セットのリンカーL1およびL2と共にインキュベートする。各セットの各々のメンバーは、標的分子の異なる領域に相補的な配列を有するセグメントと、バイオチップ表面上で機能化した捕捉プローブあるいは検出可能な標識粒子上で機能化した捕捉プローブの何れかに結合する第二セグメントとを有する。その後、連結分子と結合した標的分子は、バイオチップ表面に適用する。ついで、非特異的に結合した連結分子を取り除くために設計した洗浄工程を行う。最終ハイブリダイゼーション工程では、反応混合物を、連結分子の共通する捕捉プローブ特異的結合部分を結合することができる核酸捕捉プローブにて機能化した常磁性ビーズと接触させる。(連結分子)−(標的核酸)−(標的固定化プローブ)結合複合体に特異的に結合しなかった常磁性ビーズを取り除くために、最終洗浄工程を行った。
その後、固定化した常磁性ビーズの存在および/又は量を、バイオチップに組み込んだ磁気トンネル接合(MTJ)センサーを用いて検出する。
【0067】
実施例3:分岐型分子上の複数の捕捉プローブ特異的結合部分の合成と、標的結合部分としてオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)および場合によって基質と共有結合を形成するための反応基とのコンジュゲート
上記のように、図11−15は、オリゴデオキシヌクレオチド(ODN) 標的特異的結合部分および複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む様々な「分岐型」および「星型」連結分子の合成スキームを示す。わずかな修飾により、反応基を生成し、捕捉プローブに対して特異的な結合親和性で核酸、ビオチン、ポリペプチドタグ、レセプター又は他の試薬とコンジュゲートするために合成を実施することができる。(場合によって、複数の捕捉プローブ特異的結合部分に加えて、一又は複数の反応基を導入し、共有結合を形成させ、連結分子を含む結合複合体を更に強化することができる。)
2つの例示的な合成方法を以下の予測的な実施例に記載する。この方法はいずれも、所望のスペーシングおよび化学を生産するために異なるサイズおよび官能基の固形表面合成のために単量体を適応するなどといった、変更を有する固相オリゴヌクレオチド合成化学スキームを使用する。1つの方法は、図11に示すように、核酸標的に結合するためのオリゴヌクレオチド配列と個体支持体上の全体としての捕捉プローブを結合するための分岐型部分とを合成することである。あるいは、図12および13に示すように、分岐型部分と標的結合部分を別々に合成し、それからコンジュゲートして全分子を形成する。
両方法では、固形支持体上にクリーバブルな保護基DMT(ジメトキシトリチル)を有する制御細孔ガラス(CPG)を用いて、固相合成を始める。酸溶液にてDMT基を取り除いた後、この方法が全連結分子を直接合成することである場合、オリゴ核酸合成を最初に行い、図11に示すように分岐型部分の合成を始める前に標的結合オリゴヌクレオチドの伸長を生成する。この方法が2つの部分を別々に合成してそれらをコンジュゲートする場合、図12および13に示すように、固形表面上での分岐型部分の合成は固形支持体上ですぐに始めることができる。
【0068】
「Y」型の二官能性リンカーのユニットは、ホスホラミダイト合成化学を用いて固形支持体上にカップリングする。図12に示すように、「Y」型の二官能性リンカーは、その2つの対称アームの末端に、DMTなどの保護基Xによって覆われた2つの官能基を有する。DMT基は酸性溶液を使用して非ブロック化されてよく、「Y」型の二官能性リンカーの他方のユニットは組み込まれてよい。所望の数の「Y」型二官能性リンカーのユニットを骨格に組み込んだ後に、DMT基を酸性溶液を用いて非ブロック化することができ、標準的なオリゴヌクレオチド合成技術を用いて、リンカーの各アームの末端にオリゴヌクレオチドの伸長を形成してよい。このオリゴヌクレオチドの伸長は基質上の捕捉プローブに対して相補的な配列を有する。オリゴヌクレオチド以外の捕捉プローブ結合基のために、DMTのような保護基を除去した後、ポリペプチド又は選択した他の実体と更にコンジュゲートするために、露出した水酸基を、ビオチン基を含むリンカーによって修飾しても、又はアミノ基やチオ基のような他の基に変換してもよい。合成が終わったとき、全分岐型リンカー分子を、強力なアルカリ性溶液を使用してCPG固形支持体から切断してよい。最終的な化合物を用いて、MTJバイオセンサー上に標的分子および検出可能な磁性粒子を含む複合体を生産することができる。
【0069】
実施例4:デンドリマー分子上の複数の捕捉プローブ特異的結合部分の合成と、標的結合部分としてのオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)とのコンジュゲート
デンドリマーを利用した連結分子合成スキームの予測的実施例は以下のとおりである。
デンドロンにシスタミンコアおよび末端アミノ基を有する様々な生成物(サイズ)のポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマーは、デンドリティックナノテクノロジー社から市販されている(Dendritic Nanotechnologies, Inc., 2625 Denison Drive. Mount Pleasant, MI 48858)。末端アミノ基はすぐに誘導体化して、他の官能基を形成させることができ、様々な修飾又は架橋試薬を用いて抗体や様々なタグといったタンパク質およびペプチド、核酸又は反応基に架橋結合させることができる。この試薬は、シグマ−アルドリッヒ社又はサーモフィッシャーサイエンティフィックのピアスバイオテクノロジー社から市販されている。
複数の捕捉プローブ特異的結合部分が形成される末端アミノ基の修飾の前あるいは後に、シスタミンコアを有するデンドリマーを、様々な標的特異的結合部分のコンジュゲートが可能な特定の部位を提供するスルフヒドリル基に還元されてよい。核酸標的特異的結合部分への遊離スルファヒドリル基による機能化樹状分子のコンジュゲートには、通常、スクシンイミジル4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシラートといったヘテロ二官能性架橋リンカーの使用が必要である。場合によって、コンジュゲートは、十分なスペーシングを提供し立体障害を最小にするスペーサーにより媒介されてよい。
このようにして、標的特異的結合部分および複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む連結分子が合成されてよい。
【0070】
実施例5:分岐型連結分子の「二工程」合成スキーム
分岐型連結分子を合成するために、固形支持体にホスホラミダイト化学を利用した以下の予測的合成スキームを実施することができる。
図16に示すように、クリーバブル単量体(1)によって誘導体化した制御細孔ガラスビーズ(CPG)を、固形支持体として用いて合成を始める。酸性溶液にて保護基DMT(ジメトキシトリチル)を取り除いた後に、水酸基を露出させる。「Y」型の二官能性単量体のユニット(2)を、ホスホラミダイト化学を用いて単量体(1)にカップリングさせる。非対称性ダブラーホスホラミダイトと称する「Y」型二官能性単量体(2)は、各々の末端に、酸性易動性基であるDMTと塩基性易動性基であるFMOCの2つの異なる保護基を有する。DMT基は酸性溶液を使用して再び取り除き、その後、「Y」型二官能性単量体の他方のユニット(2)を組み込んで、分岐型実体の主鎖を伸長する。
「Y」型二官能性単量体の複数のユニットは、同じホスホラミダイト化学を繰り返して組み込むことができる。FMOC保護基は、カップリング反応を複数回繰り返している間安定である。「Y」型二官能性単量体の所望の数のユニットが主鎖に取り込まれた後に、FMOC保護基は、弱アルカリ性溶液、例えば1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク−7−エン(DBU)を含むアセトニトリルを用いて還元し、分岐の末端上に水酸基を露出させる。様々な官能基Xは、異なるホスホラミダイト修飾体(114)を使用して水酸基上に導入することができる。例えば、官能基Xは、ビオチン又は他の好適な非共有結合パートナーであってよい。
分岐型実体の側鎖に導入されたいくつかの官能基、例えばアミン、ヒドラジドアルデヒド、カルボン酸塩などは、オリゴヌクレオチド(例えばDNA又はRNA)、ペプチド、タンパク質、糖質、脂質などといった生体分子とコンジュゲートさせるために用いることができる。
【0071】
ホスホラミダイト修飾体を官能基と接着させた後に、分岐型実体を有するCPG固形支持体(115)を濃縮した水酸化アンモニウムにて処理して、保護基を取り除き、分岐型実体を固形支持体から切断する。トリチル疎水性基を含む所望の長さの分岐型生成物は、HPLC(高性能液体クロマトグラフィ)を用いて粗混合物から単離することができる。その後、トリチル基は、精製した生成物を酸にて処理して取り除く。ジスルフィド結合は、DTTといった還元剤を用いて還元し、分岐型リンカー(116)の末端にチオ基を生成させる。分岐型リンカー(116)は、標的分子、例えばオリゴヌクレオチドに対する親和性を有する生体分子とコンジュゲートさせるために用いてよい。
様々な生体分子とコンジュゲートするための、分岐型実体の側鎖上にアミノ官能基を導入する方法を、図17に示す。
上記のホスホラミダイト合成化学を使用して、「Y」型二官能性単量体のユニット(2)を選択した数だけ組み込み、固形支持体上に分岐型実体(3)を形成させる。FMOC保護基は、弱アルカリ性溶液、例えばDBUを含むアセトニトリルによって取り除くことができる。露出した水酸基に、5'-アミノ修飾体C6-TFA(グレン研究所から入手)といったアミノ修飾体ホスホラミダイト単量体(117)をカップリングさせ、分子(118A)を生成することができる。それから、分岐型実体を脱保護し、濃縮した水酸化アンモニウムにて処理して固形支持体から切断する。
【0072】
HPLC精製の後、その側鎖(118B)上にアミノ基を有する分岐型実体は更なるコンジュゲートに用いることができる。多くの修飾および架橋結合試薬が使われてよい。図18に示すように、N-ヒドロキシスクシミド(NHS)エステルを一端に、そして非共有結合パートナー(W)を他方の末端に有する連結試薬(119)を用いることができる。リンカー類(119)は市販されているか、特別に合成することもできる。糖質、ペプチド、タンパク質、DNA、RNAなどの多くの生体分子は、化学的に修飾してもよいし、リンカーとコンジュゲートさせて、分岐型実体(118B)上のアミノ基と反応させるためにNHSエステル基を導入してよい。
(118B)の側鎖を(119)にて修飾することによって(120)を形成させた後、(120)のジスルフィド結合を、DTTのような還元剤を適用して、(121)の遊離チオ基に変換してよい。次いで、マレイミド機能化生体分子(122)例えばオリゴヌクレオチドを、(121)上のチオとコンジュゲートさせてよい。
【0073】
実施例6:分岐型連結分子の「直接」合成スキーム
図19に記載の他の方法は、固相上のオリゴヌクレオチドの5'末端の分岐型リンカーを合成し修飾することである。多くの官能基および分子は、分岐型リンカーの側鎖に連結してよい。
オリゴヌクレオチドは、ホスホラミダイト合成化学を用いて固形支持体に合成してよい。場合によって、化学的スペーサーは、ホスホラミダイトを持つスペーサーにてオリゴヌクレオチドの末端に組み込んでよい。次いで、分岐型実体は、存在する場合にはオリゴヌクレオチド上に又はスペーサー上に直接合成してよい。オリゴヌクレオチド又はスペーサーからDMT保護基を取り除いた後に、「Y」型の二官能性単量体(2)のユニットを、ホスホラミダイト合成化学を用いて露出した水酸基にカップリングさせる。「Y」型二官能性単量体(2)は、各々の末端に、酸性易動性基であるDMTと塩基性易動性基であるFMOCの2つの異なる保護基を有する。DMT基は酸性溶液を使用して脱ブロックし、その後、「Y」型二官能性単量体の他方のユニット(2)を組み込んで、分岐主鎖を伸長する。この工程を繰り返すことによって、「Y」型二官能性単量体の既定数を、(221)から分岐型構造に組み込むことができる。
分岐型実体の側鎖上のFMOC保護基を、弱酸性溶液、例えばDBUを含むアセトニトリルを用いて除去し、多くの官能基を形成させるか又は生体分子とコンジュゲートさせるように修飾できる水酸基を露出させる。これらの修飾は、適切なホスホラミダイト修飾体(222)を使用して導入してもよい。修飾に使用される官能基および分子には、例えば、アルキン、アジド、ビオチン、アミン、カルボキシ、ヒドラジド、アルデヒド、オリゴヌクレオチドなどが含まれる。
側鎖上に複数の官能基又は分子を持つ合成したオリゴヌクレオチドおよび分岐型リンカー(223)を脱保護し、濃縮した水酸化アンモニウムによって固形支持体から切断する。アンモニアは蒸発によって除去する。トリチル疎水基を含有する所望の分岐型リンカー生成物は、HPLCを用いて粗混合物から単離する。トリチル基は酸にて処理することによって切断し、n−ブタノール抽出によって取り除かれうる。側鎖上に複数の官能基又は分子を持つ純オリゴヌクレオチドおよび分岐型リンカー(224)は、核酸標的分子とMTJバイオセンサー上の磁性粒子との架橋結合を含むがこれに限定されず多くの用途に利用することができる。
【0074】
本発明を特別な実施態様を参照しながら説明したが、当業者は、様々な変更がなされること、本発明の精神および権利範囲を逸脱しない範囲で均等物と置き換えられることは理解するであろう。さらに、特定の状況、物質、組成物、方法、工程を本発明の対象物、精神および権利範囲に合わせるために多くの変更がなされうる。このような変更のすべては本明細書に添付した特許請求の範囲の権利範囲内である。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の説明)
本出願は、すべての目的のため、および出典明記によってその全体が本明細書中に援用される2008年11月17日に出願した米国仮特許出願61/115399の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
ハードウェアのリードヘッドのようなアプリケーションの電子工学および半導体産業において開発された磁気検知能力は、ここ20〜30年で感度と密度に大きく進歩した。近年、生体分子の検出にこれらの能力を応用することが注目されている。本開示内容は、これらの問題に対処し、関連した利点を提供するものである。
【発明の概要】
【0003】
核酸標的分子と基質とを含む結合複合体を形成する強度および/又は確率を増やすために用いられうる方法および組成物を開示する。一態様では、核酸標的分子と基質とを含む複合体における複合体内結合相互作用の数を増やすために用いられうる連結分子を開示する。共有結合を導入し、これらの結合相互作用の強度を更に増やすことができる。これらの方法と関連して複合体内の架橋結合を利用し、開示された結合複合体をさらに強化し、安定させることができる。
【0004】
第一態様では、本開示内容は、核酸標的分子を含む複合体の製造方法であって、基質に結合した複数の捕捉プローブを含む基質と、核酸標的分子を含有すると思われる試料と、連結分子とを、反応混合物に混合することを含む方法を提供する。次に、連結分子は、存在する場合には核酸標的分子に特異的に結合する一又は複数の標的特異的結合部分を含む。連結分子が複数の標的特異的結合部分を含むとき、この標的特異的結合部分のそれぞれが、存在する場合には核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する。また、連結分子は、基質表面に結合した複数の捕捉プローブの少なくとも一つに特異的に結合する一又は複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む。連結分子が単一の標的特異的結合部分を含むとき、この連結分子は、複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含み、連結分子が単一の捕捉プローブ特異的結合部分を含むとき、この連結分子は、複数の標的特異的結合部分を含む。更にこの方法は、前記の混合が、連結分子が(存在する場合には)核酸標的分子と複数の捕捉プローブの少なくとも一つに特異的に結合するために十分な反応条件下であることを必要とする。場合によってこの方法には、反応混合物に架橋剤を添加し、(存在する場合には)特異的に結合した核酸分子間に共有結合を形成させることが含まれる。核酸標的分子が試料中に存在するとき、連結分子は、核酸標的分子と基質に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって核酸標的分子、連結分子および基質を含む複合体が形成される。
【0005】
前記方法は、複合体の有無を検出することを更に含んでよい。
一実施態様では、前記方法により複合体の形成が生じる。
他の実施態様では、前記方法は、複合体の少なくとも2のメンバーを架橋結合することを更に含む。
前記方法の他の実施態様では、連結分子は、複数の標的特異的結合部分と一つの捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。
前記方法の他の実施態様では、連結分子は、一つの標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む。
前記方法の他の実施態様では、連結分子は、複数の標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。
前記方法の一実施態様では、複数の複合体が形成され、このとき、この複数のそれぞれのメンバーが核酸標的分子、連結分子および基質を含む。そのような実施態様では、方法は、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により複数の複合体のうちの少なくとも2つを連結させることを更に含む。
前記方法の一実施態様では、基質はバイオチップ表面を含む。前記方法の他の実施態様では、基質は検出可能な標識である。基質が検出可能な標的である一実施態様では、検出可能な標識は磁性粒子である。
【0006】
本開示内容の第二態様では、第一態様で記述される方法の実施態様であって、基質が検出可能な標識であり、バイオチップ表面を含む基質を反応混合物に含めることを更に含み、このバイオチップ表面がバイオチップ表面に結合した少なくとも一の標的固定化プローブを含み、この混合が(存在する場合に)核酸標的分子が標的固定化プローブに特異的に結合するために十分な反応条件下である方法が開示される。核酸標的分子が試料中に存在するとき、標的固定化プローブは核酸標的分子に特異的に結合し、核酸標的分子は連結分子に特異的に結合し、そして連結分子は検出可能な標識に結合した一又は複数の捕捉プローブに特異的に結合し、それによってバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、連結分子および検出可能な標識を含む複合体が形成される。
本開示内容の第二態様で記述される方法の一実施態様では、前記方法は、バイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、連結分子および検出可能な標識を含む複合体の有無を検出することを更に含む。
本開示内容の第二態様で記述される方法の他の実施態様では、前記方法により、バイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、連結分子および検出可能な標識を含む複合体の形成が生じる。前記の一実施態様では、方法は、バイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、連結分子および検出可能な標識を含む複合体の少なくとも2のメンバーを架橋結合させることを更に含む。
【0007】
本開示内容の第二態様で記述される方法の他の実施態様では、連結分子は、複数の標的特異的結合部分と一つの捕捉プローブ特異的結合部分を含む。
本開示内容の第二態様で記述される方法の他の実施態様では、連結分子は、一つの標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む。
本開示内容の第二態様で記述される方法の他の実施態様では、連結分子は、複数の標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む。
本開示内容の第二態様で記述される方法の他の実施態様では、バイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、連結分子および検出可能な標識を含む複合体は、2以上の検出可能な標識を含まない。
本開示内容の第二態様で記述される方法の他の実施態様では、バイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、連結分子および検出可能な標識を含む複合体は、2以上の標的分子を含まない。
本開示内容の第二態様で記述される方法の他の実施態様では、複数の複合体が形成され、このとき複数のメンバーのそれぞれがバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子および検出可能な標識を含んでおり、前記方法は、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により複数の複合体の少なくとも2を連結させることを更に含む。
本開示内容の第二態様で記述される方法の他の実施態様では、検出可能な標識は磁性粒子である。
【0008】
本開示内容の第三態様では、基質が検出可能な標識であり、前記方法が、バイオチップ表面を含む基質を反応混合物に含ませることを更に含み、このバイオチップ表面がバイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブを含むものである、第一態様で記述される方法の実施態様が開示される。また、前記方法は、第二連結分子を反応混合物に含ませることを更に含み、このとき第二連結分子は、(存在する場合に)核酸標的分子に特異的に結合する一又は複数の標的特異的結合部分を含む。第二連結分子が複数の標的特異的結合部分を含むとき、標的特異的結合部分のそれぞれが(存在する場合には)核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する。また、第二連結分子は、バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブのうちの少なくとも一つに特異的に結合する一又は複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む。第二連結分子が単一の標的特異的結合部分を含むとき、第二連結分子は複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含み、第二連結分子が単一の捕捉プローブ特異的結合部分を含むとき、第二連結分子は複数の標的特異的結合部分を含む。この混合は、第二連結分子が(存在する場合に)核酸標的分子、およびバイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブのうちの少なくとも一つに特異的に結合するために十分な反応条件下である。核酸標的分子が試料中に存在するとき、連結分子は、核酸標的分子と検出可能な標識に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、第二連結分子は、核酸標的分子とバイオチップ表面に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって検出可能な標識、連結分子、核酸標的分子、第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体が形成される。
本開示内容の第三態様で記述される方法の一実施態様では、前記方法は、検出可能な標識、連結分子、核酸標的分子、第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体の有無を検出することを更に含む。
本開示内容の第三態様で記述される方法の他の実施態様では、前記方法により、検出可能な標識、連結分子、核酸標的分子、第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体の形成が生じる。前記の実施態様では、前記方法は、検出可能な標識、連結分子、核酸標的分子、第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体の少なくとも2のメンバーを架橋することを更に含む。
【0009】
本開示内容の第三態様で記述される方法の他の実施態様では、第二連結分子は、複数の標的特異的結合部分と一つの捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。
本開示内容の第三態様で記述される方法の他の実施態様では、第二連結分子は、一つの標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。
本開示内容の第三態様で記述される方法の他の実施態様では、第二連結分子は、複数の標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。
本開示内容の第三態様で記述される方法の他の実施態様では、検出可能な標識、連結分子、核酸標的分子、第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体は、2以上の検出可能な標識を含まない。
本開示内容の第三態様で記述される方法の他の実施態様では、検出可能な標識、連結分子、核酸標的分子、第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体は、2以上の標的分子を含まない。
本開示内容の第三態様で記述される方法の他の実施態様では、複数の複合体が形成され、このとき複数のそれぞれのメンバーは、バイオチップ表面、第一および第二の連結分子、核酸標的分子および検出可能な標識を含み、前記方法は、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により複数の複合体のうちの少なくとも2つを連結させることを更に含む。
本開示内容の第三態様で記述される方法の一実施態様では、検出可能な標識は磁性粒子である。
【0010】
第四態様では、本開示内容は、核酸標的分子を含む複合体の製造方法であって、基質に結合した複数の捕捉プローブを含む基質と、核酸標的分子を含有すると思われる試料と、複数の連結分子とを、反応混合物に混合させることを含む方法を提供する。複数の連結分子のそれぞれのメンバーは一又は複数のコピーで各々存在し、それぞれのメンバーは、(存在する場合には)核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分を含む。また、複数の連結分子のそれぞれのメンバーは、複数の捕捉プローブの一つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分を含む。この混合は、複数の連結分子が(存在する場合には)核酸標的分子、および基質に結合した複数の捕捉プローブに特異的に結合するために十分な反応条件下である。場合によって、前記方法は、反応混合物に架橋剤を添加し、(存在する場合には)特異的に結合した核酸分子間に共有結合を形成させることを含む。核酸標的分子が試料中に存在するとき、複数の連結分子は、核酸標的分子の複数の異なる領域と基質に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって核酸標的分子、複数の連結分子および基質を含む複合体が形成される。
本開示内容の第四態様で記述される方法の一実施態様では、前記方法は、複合体の有無を検出することを更に含む。
本開示内容の第四態様で記述される方法の他の実施態様では、前記の方法により複合体が形成され、前記の実施態様では、前記方法は、複合体の少なくとも2つのメンバーを架橋結合させることを含む。
本開示内容の第四態様で記述される方法の他の実施態様では、複数の複合体が形成され、このとき複数のメンバーのそれぞれがバイオチップ表面、複数の連結分子、核酸標的分子および検出可能な標識を含んでおり、前記方法は、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により複数の複合体の少なくとも2を連結させることを更に含む。
本開示内容の第四態様で記述される方法の一実施態様では、基質はバイオチップ表面を含む。他の実施態様では、基質は検出可能な標識である。基質が検出可能な標識である一実施態様では、検出可能な標識は磁性粒子である。
【0011】
第五態様では、本開示内容は、本開示内容の第四態様で記載される方法であって、基質が検出可能な標識であり、前記方法が、バイオチップ表面を含む基質を反応混合物に含ませることを更に含み、このバイオチップ表面がバイオチップ表面に結合した少なくとも一の標的固定化プローブを含むものであり、この混合が、(存在する場合には)核酸標的分子が標的固定化プローブに特異的に結合するために十分な反応条件下である方法を提供する。核酸標的分子が試料中に存在するとき、標的固定化プローブは核酸標的分子に特異的に結合し、核酸標的分子は複数の連結分子に特異的に結合し、複数の連結分子は検出可能な標識に結合した複数の捕捉プローブに特異的に結合し、これによってバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、複数の連結分子および検出可能な標識を含む複合体が形成される。
本開示内容の第五態様で記述される方法の一実施態様では、前記方法は、バイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、複数の連結分子および検出可能な標識を含む複合体の有無を検出することを更に含む。
【0012】
本開示内容の第五態様で記述される方法の他の実施態様では、前記方法により、バイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、複数の連結分子および検出可能な標識を含む複合体が形成される。前記の実施態様では、前記方法は、バイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、複数の連結分子および検出可能な標識を含む複合体の少なくとも2つのメンバーを架橋結合させることを更に含む。
本開示内容の第五態様で記述される方法の他の実施態様では、バイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、複数の連結分子および検出可能な標識を含む複合体は、2以上の検出可能な標識を含まない。
本開示内容の第五態様で記述される方法の他の実施態様では、バイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、複数の連結分子および検出可能な標識を含む複合体は、2以上の標的分子を含まない。
本開示内容の第五態様で記述される方法の他の実施態様では、複数の複合体が形成され、複数のメンバーのそれぞれがバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、複数の連結分子および検出可能な標識を含んでおり、前記方法は、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により複数の複合体の少なくとも2を連結させることを更に含む。
本開示内容の第五態様で記述される方法の一実施態様では、検出可能な標識は磁性粒子である。
【0013】
第六態様では、本開示内容は、本開示内容の第四態様で記載される方法であって、基質が検出可能な標識であり、前記方法が、バイオチップ表面を含む基質を反応混合物に含ませることを更に含み、このバイオチップ表面がバイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブを含むものである方法を提供する。また、前記方法は、複数の第二の連結分子を反応混合物に含めることを更に含み、このとき複数の第二の連結分子のそれぞれのメンバーは一又は複数のコピーで各々存在する。複数の第二の連結分子のそれぞれのメンバーは、(存在する場合には)核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分を含む。また、複数の第二の連結分子のそれぞれのメンバーは、バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブの一つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分を含む。この混合は、複数の第二の連結分子が(存在する場合には)核酸標的分子、およびバイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブに特異的に結合するために十分な反応条件下である。核酸標的分子が試料中に存在するとき、複数の連結分子は、核酸標的分子と検出可能な標識に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、複数の第二の連結分子は、核酸標的分子とバイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二の連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体が形成される。
本開示内容の第六態様で記述される方法の一実施態様では、前記方法は、検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二の連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体の有無を検出することを更に含む。
【0014】
本開示内容の第六態様で記述される方法の他の実施態様では、前記方法により、検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二の連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体の形成が生じる。前記の実施態様では、前記方法は、検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二の連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体の少なくとも2のメンバーを架橋することを更に含む。
本開示内容の第六態様で記述される方法の他の実施態様では、検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二の連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体は、2以上の検出可能な標識を含まない。
本開示内容の第六態様で記述される方法の他の実施態様では、検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二の連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体は、2以上の標的分子を含まない。
本開示内容の第六態様で記述される方法の他の実施態様では、複数の複合体が形成され、このとき複数のそれぞれのメンバーは、検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二の連結分子およびバイオチップ表面を含み、前記方法は、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により複数の複合体のうちの少なくとも2つを連結させることを更に含む。
本開示内容の第六態様で記述される方法の一実施態様では、検出可能な標識は磁性粒子である。
【0015】
第七態様では、本開示内容は、基質に結合した複数の捕捉プローブを含む基質と、核酸標的分子を含有すると思われる試料と、連結分子とを含む反応混合物を提供する。連結分子は、(存在する場合には)核酸標的分子に特異的に結合する一又は複数の標的特異的結合部分を含む。連結分子が複数の標的特異的結合部分を含むとき、標的特異的結合部分のそれぞれは(存在する場合には)核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する。また、連結分子は、複数の捕捉プローブの少なくとも一つに特異的に結合する一又は複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む。連結分子が単一の標的特異的結合部分を含むとき、連結分子は複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含み、そして、連結分子が単一の捕捉プローブ特異的結合部分を含むとき、連結分子は複数の標的特異的結合部分を含む。核酸標的分子が試料中に存在するとき、連結分子は、核酸標的分子と基質に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって核酸標的分子、連結分子および基質を含む複合体が形成される。
本開示内容の第七態様で記述される反応混合物の一実施態様では、基質はバイオチップ表面を含む。
本開示内容の第七態様で記述される反応混合物の他の実施態様では、基質は検出可能な標識である。基質が検出可能な標識である一実施態様では、基質は磁性粒子である。
本開示内容の第七態様で記述される反応混合物の他の実施態様では、連結分子は、複数の標的特異的結合部分と一つの捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。
本開示内容の第七態様で記述される反応混合物の他の実施態様では、連結分子は、一つの標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。
本開示内容の第七態様で記述される反応混合物の他の実施態様では、連結分子は、複数の標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。
【0016】
本開示内容の第八態様では、基質が検出可能な標識であり、前記反応混合物が、バイオチップ表面を含む基質を更に含み、このバイオチップ表面がバイオチップ表面に結合した少なくとも一の標的固定化プローブを含むものである、第七態様で記述される反応混合物の実施態様が開示される。核酸標的分子が試料中に存在するとき、標的固定化プローブは核酸標的分子に特異的に結合し、核酸標的分子は連結分子に特異的に結合し、そして、連結分子は検出可能な標識に結合した一又は複数の捕捉プローブに特異的に結合し、それによってバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、連結分子および検出可能な標識を含む複合体が形成される。
本開示内容の第八態様で記述される反応混合物の一実施態様では、検出可能な標識は磁性粒子である。
本開示内容の第八態様で記述される反応混合物の他の実施態様では、連結分子は、複数の標的特異的結合部分と一つの捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。
本開示内容の第八態様で記述される反応混合物の他の実施態様では、連結分子は、一つの標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。
本開示内容の第八態様で記述される反応混合物の他の実施態様では、連結分子は、複数の標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。
【0017】
本開示内容の第九態様では、基質は検出可能な標識であり、反応混合物はバイオチップ表面を含む基質を更に含んでおり、バイオチップ表面はバイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブを含むものである、第七態様で記述される反応混合物の実施態様が開示される。また、反応混合物は第二連結分子を更に含み、このとき第二の連結分子は、(存在する場合には)核酸標的分子に特異的に結合する一又は複数の標的特異的結合部分を含む。第二連結分子が複数の標的特異的結合部分を含むとき、標的特異的結合部分のそれぞれは(存在する場合には)核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する。また、第二連結分子は、バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブのうちの少なくとも1つに特異的に結合する一又は複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む。第二連結分子が単一の標的特異的結合部分を含むとき、第二連結分子は複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含み、そして、第二連結分子が単一の捕捉プローブ特異的結合部分を含むとき、第二連結分子は複数の標的特異的結合部分を含む。核酸標的分子が試料中に存在するとき、連結分子は、核酸標的分子と検出可能な標識に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、第二連結分子は、核酸標的分子とバイオチップ表面に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって検出可能な標識、連結分子、核酸標的分子、第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体が形成される。
本開示内容の第九態様で記述される反応混合物の一実施態様では、検出可能な標識は磁性粒子である。
本開示内容の第九態様で記述される反応混合物の他の実施態様では、第二連結分子は、複数の標的特異的結合部分と一つの捕捉プローブ特異的結合部分を含む。
本開示内容の第九態様で記述される反応混合物の他の実施態様では、第二連結分子は、一つの標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む。
本開示の第九態様で記述される反応混合物の他の実施態様では、第二連結分子は、複数の標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む。
【0018】
第十態様では、本開示内容は、基質に結合した複数の捕捉プローブを含む基質と、核酸標的分子を含有すると思われる試料と、複数の連結分子とを含む反応混合物を提供する。複数の連結分子のそれぞれのメンバーは一又は複数のコピーで各々存在し、それぞれのメンバーは、(存在する場合には)核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分を含む。また、複数の連結分子のそれぞれのメンバーは、複数の捕捉プローブの一つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分を含む。核酸標的分子が試料中に存在するとき、複数の連結分子は、核酸標的分子の複数の異なる領域と基質に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって核酸標的分子、複数の連結分子および基質を含む複合体が形成される。
本開示内容の第十態様で記述される反応混合物の一実施態様では、基質はバイオチップ表面を含む。他の実施態様では、基質は検出可能な標識である。基質が検出可能な標識である一実施態様では、基質は磁性粒子である。
【0019】
第十一態様では、本開示内容は、基質は検出可能な標識であり、反応混合物はバイオチップ表面を含む基質を更に含むものである、第十態様で記述される反応混合物を提供する。バイオチップ表面は、バイオチップ表面に結合した少なくとも一の標的固定化プローブを含む。核酸標的分子が試料中に存在するとき、標的固定化プローブは核酸標的分子に特異的に結合し、核酸標的分子は複数の連結分子に特異的に結合し、そして、複数の連結分子は検出可能な標識に結合した複数の捕捉プローブに特異的に結合し、それによってバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、複数の連結分子および検出可能な標識を含む複合体が形成される。
本開示内容の第十一態様で記述される反応混合物の一実施態様では、検出可能な標識は磁性粒子である。
【0020】
第十二態様では、本開示内容は、基質は検出可能な標識であり、反応混合物はバイオチップ表面を含む基質を更に含み、バイオチップ表面はバイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブを含むものである、第十態様で記述される反応混合物を提供する。また、反応混合物は複数の第二の連結分子を更に含み、このとき複数の第二の連結分子のそれぞれのメンバーは一又は複数のコピーで各々存在する。複数の第二の連結分子のそれぞれのメンバーは、(存在する場合には)核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分を含む。また、複数の第二の連結分子のそれぞれのメンバーは、バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブの一つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分を含む。核酸標的分子が試料中に存在するとき、複数の連結分子は、核酸標的分子と検出可能な標識に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、そして、複数の第二の連結分子は、核酸標的分子とバイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二の連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体が形成される。
本開示内容の第十二態様で記述される反応混合物の一実施態様では、検出可能な標識は磁性粒子である。
【0021】
また、キットが本明細書に記述される。例えば、検出可能な粒子と連結分子を具備するキットが記述され、このとき、検出可能な粒子はそれに結合した複数の捕捉プローブを含み、この連結分子は、(存在する場合には)核酸標的分子に特異的に結合する一又は複数の標的特異的結合部分を含む。連結分子が複数の標的特異的結合部分を含むとき、標的特異的結合部分のそれぞれは(存在する場合には)核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する。また、連結分子は、複数の捕捉プローブの少なくとも一つに特異的に結合する一又は複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む。連結分子が単一の標的特異的結合部分を含むとき、連結分子は複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含み、連結分子が単一の捕捉プローブ特異的結合部分を含むとき、連結分子は複数の標的特異的結合部分を含む。検出可能な粒子は磁性粒子であってよい。
一実施態様では、キットは、バイオチップ表面を含む基質を更に具備し、このとき、バイオチップ表面はそれに結合した少なくとも一つの標的固定化プローブを含み、この標的固定化プローブは(存在する場合には)核酸標的分子を特異的に結合する。
他の実施態様では、検出可能な粒子と複数の連結分子を具備するキットが記載され、このとき、検出可能な粒子はそれに結合した複数の捕捉プローブを含む。複数の連結分子のメンバーのそれぞれは一又は複数のコピーで独立して存在し、メンバーのそれぞれは(存在する場合には)前記核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分と、複数の捕捉プローブの一つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。前記のある実施態様では、キットは、バイオチップ表面を含む基質を更に具備し、このとき、バイオチップ表面はそれに結合した少なくとも一の標的固定化プローブを含み、この標的固定化プローブは(存在する場合には)核酸標的分子を特異的に結合する。他の実施態様では、キットは、バイオチップ表面を含む基質を具備し、このとき、バイオチップ表面はそれに結合した複数の捕捉プローブと複数の第二の連結分子とを含む。前記複数の第二の連結分子のメンバーのそれぞれは一又は複数のコピーで独立して存在し、メンバーのそれぞれは(存在する場合には)前記核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分と、バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブの一つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分とを含む。核酸標的分子が試料中に存在するとき、複数の連結分子は、前記核酸標的分子と検出可能な標識に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、複数の第二の連結分子はその核酸標的分子とバイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二の連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体が形成される。一実施態様では、検出可能な粒子は磁性粒子である。
【0022】
添付の図面とともに読むと、開示内容は以下の詳細な説明から十分に理解される。一般的な実施に従い、図面の様々な特徴が必ずしも一定の比率であるというわけではないことを強調する。様々な特徴の寸法は、明確にするために任意に拡大又は縮小される。以下の図は図面に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】捕捉プローブ機能化基質、標的分子および複数の連結分子を伴う複合体の結合の図を示す。図1の図は、検出可能な標識を含む基質としての基質を示す。
【図2】捕捉プローブ機能化基質、標的分子および複数の連結分子を伴う複合体の結合の図を示す。図2の図は、バイオチップ表面を含む基質としての基質を示す。
【図3】捕捉プローブ機能化基質、標的分子および連結分子を伴う結合複合体であって、連結分子が標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分とを含むものである複合体の図を示す。図3の図は、分岐型配位の連結分子を示す。
【図4】捕捉プローブ機能化基質、標的分子および連結分子を伴う結合複合体であって、連結分子が標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分とを含むものである複合体の図を示す。図4の図は、線形配位の連結分子を示す。
【図5】捕捉プローブ機能化基質、標的分子および連結分子を伴う結合複合体であって、連結分子が複数の標的特異的結合部分と捕捉プローブ特異的結合部分とを含むものである複合体の図を示す。
【図6A】捕捉プローブ機能化基質、標的分子および連結分子を伴う結合複合体であって、連結分子が複数の標的特異的結合部分と複数の捕捉プローブ特異的結合部分とを含むものである複合体の図を示す。
【図6B】第一の複数の連結分子(L1)、捕捉プローブ(C1)機能化検出可能標識、標的分子、複数の第二の連結分子(L2)、およびバイオチップ表面を含む捕捉プローブ(C2)機能化基質を伴う結合複合体の図を示す。
【図7】バイオチップ表面、標的固定化プローブ、複数の連結分子および検出可能な標識を含む複合体へ共有結合を導入するための、架橋剤としてのアルキン/アジド官能基の使用を例示する。
【図8】バイオチップ表面、第一の複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二の連結分子および検出可能な標識を含む複合体へ共有結合を導入するための、架橋剤の使用を例示する。
【図9】磁気ビーズのための複数の非共有結合部位を有する固定されたオリゴヌクレオチドの磁気ビーズ標識の結果を示す。画像は低拡大率で示す。
【図10】磁気ビーズのための複数の非共有結合部位を有する固定されたオリゴヌクレオチドの磁気ビーズ標識の結果を示す。画像は高拡大率で示す。
【図11】複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む分岐型の連結分子の直接合成の合成スキームを示す。
【図12】複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む分岐型部分の合成の合成スキームを示す。
【図13】複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む連結分子を形成するための、ODNと分岐型部分との間のコンジュゲート反応を示す。
【図14】複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含むデンドリマー又は星状オリゴマーへのODNのコンジュゲートによる連結分子の形成を示す。
【図15】複数の捕捉プローブ特異的結合部分の接着と、デンドリマー又は星状オリゴマーへのカップリングリンカーの導入を示す。
【図16】非共有結合対の複数の第一メンバーを含む分岐型部分の合成のための様々な単量体Xによるホスホラミダイト化学を使用した合成スキームを示す。
【図17】非共有結合対の様々な第一メンバーに変換しうる複数のアミノ基を含む分岐型部分の合成スキームを示す。
【図18】非共有結合対の複数の第一メンバーを含む分岐型部分の合成と、標的特異的結合部分とのコンジュゲートについての、図17に示す複数のアミノ基を含む分岐型部分を使用した合成スキームを示す。
【図19】ODN標的特異的結合部分および非共有結合対の複数の第一メンバーを含む分岐型連結分子の直接合成のスキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(定義)
文脈に応じて、ここで使用する「基質」なる用語は、検出可能な標識(又は、検出可能な標識として働くように修飾される)、例えば磁性粒子又はその後の検出のための標的分子を固定するために用いられうるバイオチップ表面を含む基質として働きうる基質を指す。
ここで使用する「バイオチップ」なる用語は、対象の他の生物学的分子に結合可能な生物学的分子のアレイによって機能化されている表面を有する固形、通常実質的に平面の支持体を指す。バイオチップの製造には、例えば、ガラススライド、石英ガラス、シリコンおよびプラスチックを含む様々な材料が用いられうる。ここで開示する特定の実施態様では、対象のバイオチップは、バイオチップの表面に固定された標的分子に結合した磁性粒子の存在を検出することができる磁気センサーを含む。例として、Baselt et al., (1998) Biosens. Bioelectron., vol. 13, pp. 731-739;Edelstein et al., (2000) Biosens. Bioelectron., vol. 14, pp. 805-813;Miller et al., (2001) J. Magn. Magn. Mater., vol. 225, pp. 138-144;Graham et al. (2002) J. Appl. Phys., vol. 91, pp. 7786-7788;Ferreira et al. (2003) J. Appl. Phys., vol. 93, pp. 7281;Li et al. (2003) J. Appl. Phys., vol. 93, pp. 7557-7559, May;Li et al. (2004) IEEE Trans. Magn., vol.40, pp. 3000;Wang et al., (2005) J. Magn. Magn. Mater., vol. 293, pp. 731-736;Shen et al. (2005) Appl. Phys. Lett., vol. 86, pp. 253901;Baselt et al. 米国特許第5981297号;Tondra, 米国特許第6743639号;および、Tondra, 米国特許第6875621号を参照のこと。
【0025】
ここで使用する「検出可能な標識」なる用語は、検出が可能な分子又は粒子を指し、限定するものではないが、放射性同位体、蛍光剤、化学発光剤、酵素、酵素基質、酵素補助因子、酵素阻害剤、発色基、色素、金属イオン、磁性粒子、特定の結合対のメンバーなどを含む。
「連結分子」なる用語は、少なくとも一つの「捕捉プローブ特異的結合部分」と少なくとも一つの「標的特異的結合部分」とを含む分子を指すためにここで使用する。連結分子との関連で用いる「分子」なる言葉は単一の分子体に限定するものではなく、連結分子を生産するために互い結合した複数の分子を含みうる。
「標的特異的結合部分」は、対象の標的分子又は他の分析物と接触したときに対象の標的分子又は他の分析物に特異的に結合することができる連結分子の領域を指すためにここで使用する。
「捕捉プローブ特異的結合部分」なる用語は、捕捉プローブと接触したときに、「捕捉プローブ」に特異的に結合することができる連結分子の領域を指すためにここで使用する。
「捕捉プローブ」なる用語は、基質に結合した実体を指すためにここで使用し、この実体は、連結分子と接触したときに連結分子の捕捉プローブ特異的結合部分に特異的に結合することができるものである。例えば、一実施態様では、捕捉プローブ特異的結合部分は核酸配列を含み、対応する捕捉プローブは、捕捉プローブが捕捉プローブ特異的結合部分と特異的にハイブリダイズすることができるようにその配列に相補的な配列を含む。
「標的固定化プローブ」なる用語は、基質の表面に結合した実体、例えばバイオチップを指すためにここで使用し、この実体は、標的分子と接触したときに標的分子に特異的に結合することができるものである。
【0026】
ここで交換可能に使用する「ポリペプチド」および「タンパク質」なる用語は、任意の長さのアミノ酸の重合型を指し、コード化および非コード化アミノ酸、化学的ないし生化学的に修飾されたか又は誘導体化されたアミノ酸、および修飾したペプチド主鎖を有するポリペプチドを含みうる。この用語には、限定するものではないが、異種性アミノ酸配列を有する融合タンパク質、N末端メチオニン残基を有する又は有さない異種性および天然のリーダー配列を有する融合物;免疫学的にタグを付けたタンパク質;検出可能な融合パートナーを有する融合タンパク質、例えば融合パートナーとして蛍光タンパク質であるβガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼなどを含む融合タンパク質などを含む融合タンパク質が含まれる。
「核酸」、「核酸分子」および「ポリヌクレオチド」なる用語は交換可能に用い、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド何れかの任意の長さのヌクレオチドの重合型、又は、2つの天然に生じる核酸と同じように配列特異的な様式で天然に生じる核酸とハイブリダイズすることができる、例えばワトソン−クリック塩基対相互作用に加わることができる、合成によって製造された化合物を指す。ポリヌクレオチドは三次元構造を有し、公知又は未知何れの機能でも発揮しうる。ポリヌクレオチドの非限定的な例には、遺伝子、遺伝子断片、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファRNA、リボソームRNA、cDNA、組換えポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離したDNA、コントロール領域、任意の配列の単離したRNA、核酸プローブ、およびプライマーが含まれる。
「部分(moiety)」なる用語は、典型的に特定の機能的又は構造的な特徴を有する実体又は分子の一部を指すために用いられる。
【0027】
「抗体」、「免疫グロブリン」なる用語およびこれらの複数形は、Fab、Fv、scFv、およびFdフラグメント、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、および抗体の抗原結合部分と非抗体タンパク質を含む融合タンパク質を含むがこれらに限定せず、任意のアイソタイプの抗体又はイムノグロブリン、抗原への特異的結合を保持する抗体の断片が含まれる。抗体は、例えば放射性同位体、検出可能な生成物を生成する酵素、蛍光タンパク質などにて検出可能に標識されてよい。抗体はさらに、例えばビオチン(ビオチン-アビジン特異的結合対のメンバー)などの特定の結合対のメンバーといった他の部分にコンジュゲートしてよい。また、抗体は、ポリスチレンプレート又はビーズなどを含むがこれらに限定せず、固形支持体に結合していてよい。また、この用語には、Fab'、Fv、F(ab')2、および抗原への特異的結合を保持する他の抗体断片も包含される。
抗体は、例えばFv、Fabおよび2(Fab')2、並びに二官能性(すなわち二特異性)ハイブリッド抗体を含む様々な形態で(例えばLanzavecchia et al., Eur. J. Immunol. 17, 105 (1987))、および単鎖で(例えばHuston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 85, 5879-5883 (1988);Bird et al., Science, 242, 423-426 (1988);Hood et al., "Immunology", Benjamin, N.Y., 2nd ed. (1984), and Hunkapiller and Hood, Nature, 323, 15-16 (1986)を参照)ありうる。
【0028】
「特異的結合」、「特異的に結合する」などといった用語は、反応混合物中の他の分子又は部分と比較して、第二結合分子又は部分(例えば標的分子又は特異的結合対の第二メンバー)に(共有結合又は非共有結合で)優先的に結合する、第一結合分子又は部分(例えば標的特異的結合部分又は特異的結合対の第一メンバー)の能力を指す。例えば、タンパク質−タンパク質結合相互作用を伴うある実施態様では、結合複合体内で互いに特異的に結合するとき、第一結合分子又は部分と第二結合分子又は部分との間の親和性は、10−6M未満、10−7M未満、10−8M未満、10−9M未満、10−10M未満、10−11M未満、10−12M未満、10−13M未満、10−14M未満、又は10−15M未満のKD(解離係数)によって特徴付けられる。
ここで使用する「特異的結合対のメンバー」は特異的結合対相互作用のメンバーである。結合対のいずれかのメンバーが第一メンバーとみなされる場合、残りのメンバーが第二メンバーであると考え、その逆も同様であることは注記すべきである。特異的結合対相互作用の例には、抗原/抗体およびハプテン/抗体といった免疫性結合相互作用、並びに相補的核酸結合、ビオチン/アビジンおよびビオチン/ストレプトアビジンのような非免疫性結合相互作用が含まれる。ここで使用する「特異的結合対のメンバー」はまた、反応性対のメンバーを指すために用い、この反応性対のメンバーは相互に一又は複数の共有結合を形成することが可能である。反応性対を形成する共有結合の例には、Rostovtsev et al. (2002) Angew. Chem. Int. Ed. 41: 2596-2599およびTornoe et al. (2002) /. Org. Chem. 67: 3057-3064に記述される、Cu-触媒アジド/アルキン[3+2]環化付加「クリックケミストリー」;Baskin et al. (2007) PNAS Vol. 104, No. 43: 167393-16797に記述される、アジド/DIFO(二フッ素化シクロオクタン)無Cuクリックケミストリー;Lin et al. (2005) /. Am. Chem. Soc. Ill: 2686-2695に記述される、アジド/ホスフィン「シュタウディンガー反応」;Saxon and Bertozzi (2000) Mar 17 Science 287(5460): 2007-10に記述される、アジド/トリアリールホスフィン「変性シュタウディンガー反応」;そして、Casey (2006) J. of Chem. Edu. Vol. 83, No. 2: 192-195、Lynn et al. (2000) /. Am. Chem. Soc. 122: 6601-6609およびChen et al. (2003) Progress in Chemistry 15: 401-408に記述される、触媒オレフィンメタセシス反応に触媒作用が含まれる。
【0029】
ここで使用する「ハイブリダイズすることができる」、「ハイブリダイズする」および「ハイブリダイゼーション」なる用語は、相補的又は部分的に相補的な核酸分子間の「特異的結合」相互作用(例えばDNA−DNA、RNA−RNA)を指す。
「相補的」なる用語は、ポリヌクレオチドの配列に基づいたポリヌクレオチド間の特異的結合の特性を示す。ここで使用するように、ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションアッセイにおいて互いに結合する場合、例えばハイブリダイゼーションアッセイにおいて所定又は検出可能なレベルのシグナルが産生する場合に、ポリヌクレオチドは相補的である。従来の塩基対合法則に従う場合、例えばAがT(又はU)と、GがCと対になる場合、ポリヌクレオチドの各部分は各々に相補的である。「相補的」には、絶対的な配列相補性がある実施態様、更に実質的な配列相補性がある実施態様が含まれる。
「絶対的な配列相補性」とは、第一ポリヌクレオチドと第二ポリヌクレオチドとの間に100%の配列相補性がある、すなわち、他のポリヌクレオチドとの関連で(相補的な領域に対して)第一および第二いずれかのポリヌクレオチドに挿入、欠失又は置換がないことを意味する。言い換えれば、相補的領域のすべての塩基は、通常の塩基対合法則に従ってその相補的塩基と対になる。
「実質的配列相補性」は、他のポリヌクレオチドと比較して(相補的な領域に対して)第一および又は第二のポリヌクレオチドに一又は複数の相対的に小さい(10塩基未満、例えば5塩基未満、典型的には3塩基未満、より典型的には単一塩基)挿入、欠失又は置換を認める。相補的領域は、第一ポリヌクレオチドと第二ポリヌクレオチド(例えば核酸標的分子の異なる配列と連結分子の結合部分)との間で相補的である領域である。相補配列は一般的により大きなポリヌクレオチド内に埋まっているので、2つの相対的に長いポリヌクレオチドはその全長の一部のみに対して相補的であってもよい。相補的領域は典型的に、少なくともおよそ10塩基長、より典型的には少なくともおよそ12塩基長、より典型的には少なくともおよそ15塩基長、さらにより典型的には少なくともおよそ20塩基長であり、又は少なくともおよそ25塩基長であってよい。
【0030】
核酸ハイブリダイゼーションの関係において本明細書中で記載するハイブリダイゼーションは、典型的に「ストリンジェントな条件」下で生じる。「ストリンジェント条件」なる用語は、第一核酸が第二核酸配列に選択的にハイブリダイズし、他の配列にはほとんどあるいはまったくハイブリダイズしない条件を指す。言い換えれば、ここで使用する「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、相補的な結合メンバー間、例えば連結分子の結合部分と標的核酸の相補的配列との間の二本鎖を製造するのに適している条件を指す。
核酸ハイブリダイゼーションの関連で(例えばアレイ、サザン又はノーザンハイブリダイゼーションにおける)「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」および「ストリンジェントなハイブリダイゼーション洗浄条件」は、配列依存性であり、異なる環境パラメーター下で異なる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、例えば、50%ホルムアミド、5×SSCおよび1%SDSを含むバッファ中、42℃でのハイブリダイゼーション、又は、5×SSCおよび1%SDSを含むバッファ中、65℃でのハイブリダイゼーション、何れも65℃の0.2×SSCおよび0.1%SDSの洗浄を行うものが含まれる。また、例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、40%ホルムアミド、1M NaClおよび1%SDSのバッファ中、37℃でのハイブリダイゼーションと、1×SSCでの45℃での洗浄を含む。あるいは、0.5M NaHPO4、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mnM EDTA中、65℃でのフィルター結合DNAへのハイブリダイゼーションと、0.1×SSC/0.1%SDS中、68℃での洗浄を実施することもできる。更なる他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、3×SSC(450mM 塩化ナトリウム/45mM クエン酸ナトリウム)中、60℃以上でのハイブリダイゼーション、又は、30%ホルムアミド、1M NaCl、0.5%ナトリウムサルコシン、50mM MES、pH6.5を含む溶液中、42℃でのインキュベーションが含まれる。当業者であれば、別であるが同程度のハイブリダイゼーションと洗浄の条件を用いて、同様なストリンジェンシーの条件が得られることを理解するであろう。
【0031】
ある実施態様では、洗浄状態のストリンジェンシーは、核酸分子が特異的にハイブリダイズする程度に影響しうる。適切な洗浄条件には、例えば、pH7のおよそ0.02モルの塩濃度と少なくともおよそ50℃又はおよそ55℃からおよそ60℃の温度;又は、およそ0.15M NaClの塩濃度、72℃、およそ15分間;又は、およそ0.2×SSCの塩濃度、少なくともおよそ50℃又はおよそ55℃からおよそ60℃の温度、およそ1からおよそ20分間;又は、0.1%SDSを含むおよそ0.1×SSCの塩濃度を有する溶液にて、20から50℃、1から15分間複数回洗浄;又は同等な条件が含まれる。また、洗浄のためのストリンジェント条件は、例えば0.2×SSC/0.1%SDS、42℃であってよい。核酸分子がオリゴデオキシヌクレオチド(例えばデオキシリボヌクレオチドサブユニットから構成するオリゴヌクレオチド)である例では、ストリンジェント条件は、6×SSC/0.05%ピロリン酸ナトリウム中、37℃(14塩基オリゴのとき)、48℃(17塩基オリゴのとき)、55℃(20塩基オリゴのとき)、および60℃(23塩基オリゴのとき)での洗浄を含む。等価ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件の詳細、試薬やバッファ、例えばSSCバッファおよび等価試薬および条件については、Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, (1989) Cold Spring Harbor, N. Y.)を参照のとこ。
【0032】
また、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、反復配列を抑えるための複雑性低減核酸との水性核酸の「プレハイブリダイゼーション」が含まれる。例えば、あるストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、表面に結合したポリヌクレオチドに対するハイブリダイゼーションの前に、Cot-1 DNAと、又は、ランダム配列合成オリゴヌクレオチド等(例えば25mer)とのハイブリダイゼーションを含む。
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、上記の代表的な条件と少なくとも同じくらいストリンジェントであるハイブリダイゼーション条件であり、この条件は、上記のあるストリンジェントな条件と少なくともおよそ80%、典型的には少なくともおよそ90%同じくらいストリンジェントである場合に少なくともストリンジェントであるとみなす。他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は当分野で公知であり、必要に応じて用いてもよい。
【0033】
ここで使用する「結合する」および「結合した」なる用語は、2以上の実体間の結合相互作用を指す。2つの実体、例えば分子が互いに結合する場合、例えば共有結合、イオン結合、水素結合、静電気的相互作用、疎水性相互作用、ファン・デル・ワールス力又はこれらの組合せにより「直接結合」してもよいし、例えば中間連結部分の使用により「間接的に結合」してもよい。
「検出」、「検出する」などの用語は、定量的並びに定質的な測定値を包含する。
【0034】
本発明をさらに記載する前に、本発明は記載された特定の実施態様に限定されるものではなく、もちろん変化しうることが理解されるべきである。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、ここで使用する用語は特定の実施態様のみを記載するためのものであり、限定するためのものではないことも理解されるべきである。
値の範囲を示す場合、特に明確に示さない限り、その範囲の上限と下限の間の下限の10分の1の単位までの各介在値、および他の示す値かあるいは示した範囲内の介在値は、本発明の範囲内に包含される。これらの小さい範囲の上限および下限はそれぞれ、その小さい範囲内に含まれ、本発明にも包含され、その示す範囲の限定が明示的に除かれる。示す範囲がその限界値の一又は両方を含む場合、これらの含まれる限界値の何れか又は両方を除く範囲もまた本発明に含まれる。
特別に定義しない限り、ここで使用するすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の技術者によって共通して理解される意味と同じである。また、ここに記載するものと同様又は等価な方法および材料はいずれも本発明の実施又は試験に使用することができるが、好適な方法および材料をここに記載する。この文脈で「好適な」なる用語の使用は、いずれの場合であっても本発明の範囲を限定するものではないことを注記する。
ここで示したすべての出版物は、関連して出版物が引用される方法および/又は材料を開示および記載するために、出典明記によってここに援用される。
【0035】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用するように、単数形の「a」、「and」および「the」は、特に明示しない限り、複数形を含むことを注記する。ゆえに、例えば「連結分子」を指す言葉には複数の該連結分子が含まれ、「結合複合体」を指す言葉には一又は複数の結合複合体および当分野の技術者に公知なその等価物などが含まれる。さらに、特許請求の範囲は任意の要素を除くために記載されていることを注記する。よって、この記述は、「単に」や「のみ」といった排他的な用語およびクレームする要素の記載と関連するものの使用、又は「ネガティブな」限定の使用の例示となるものである。
ここで論じる出版物は単に、本出願の出願日前の開示内容のために示す。ここで、本発明が先行発明によってこれら出版物に先行する権利がないと認めているものではない。さらに、示した出版物の日付は、第三者的な機関によって確認することが必要である実際の出版日と異なっていてもよい。
【0036】
以下の詳細な記載は、当分野の技術者に、本発明の製造および使用方法についての完全な開示および記載を提供するために示すものであり、発明者が発明として認める範囲を限定するためのものではない。特に示されない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧あるいは大気圧付近である。例えば、bp、塩基対;kb、キロベース;pl、ピコリットル;s又はsec、秒;min、分;h又はhr、時間;aa、アミノ酸;kb、キロベース;bp、塩基対;nt、ヌクレオチドなどといった標準の略語を用いてよい。
【0037】
(詳細な説明)
本開示内容は、標的分子および基質を含む結合複合体を形成する強度および/又は可能性を増すために用いられうる方法および組成物に関する。一態様では、複合体内結合相互作用の数を増やすために用いられうる連結分子が開示される。これら複合体内結合相互作用の結合強度をさらに増やすために共有結合を導入してよい。複合体間架橋、すなわち2以上の異なる結合複合体の架橋は、開示した結合複合体をさらに強くし、安定化するための方法と関連して利用してよい。
【0038】
複数の複合体内結合相互作用部位を有する標的分子−基質複合体の製造
一態様では、本開示内容は、標的分子および一又は複数の基質を含む結合複合体を製造するために利用されうる方法および組成物であって、この結合複合体は複数の複合体内結合相互作用部位を有するものである方法および組成物に関する。一又は複数の連結分子を利用して、標的分子−基質結合複合体内に複数の複合体内結合相互作用部位を作製する。ある実施態様では、一又は複数の連結分子を用いて、標的分子と検出可能な標識を含む結合複合体内に複数の複合体内結合相互作用部位を提供する。他の実施態様では、一又は複数の連結分子を用いて、標的分子とバイオチップ表面を含む結合複合体内に複数の複合体内結合相互作用部位を提供する。これらの実施態様は、標的分子の有無および/又は定量を検出するために設計されたアッセイといった特定のアッセイにおいて別々又は一緒に用いられてよい。
一又は複数の連結分子を用いて、標的分子および検出可能な標識を含む結合複合体内に複数の複合体内結合相互作用部位を提供する場合、この連結分子は、一又は複数の検出可能な標識実体が連結分子(一又は複数)を介して標的分子を結合するように設計されてよい。例えば、一実施態様では、単一の検出可能な標識実体、例えば単一の磁性粒子のみが、連結分子(一又は複数)を介して特定の標的分子に結合している。他の実施態様では、複数の検出可能な標識実体が連結分子(一又は複数)を介して特定の標的分子に結合している。
様々な分子標的は、核酸標的を含むがこれに限らず現在開示されている方法および組成物と関連して利用されてよい。
【0039】
核酸連結分子
標的分子が核酸である場合、核酸連結分子を用いて、複数の複合体内結合部位を有する核酸標的分子−基質複合体を形成することができる。本開示内容の一態様では、複数の核酸連結分子の各核酸連結分子が2つの異なる結合部分を含んでいる、複数の核酸連結分子が開示される。第一結合部分である標的特異的結合部分は、核酸標的分子の異なる配列に特異的にハイブリダイズすることができる核酸配列を含む。第二結合部分である捕捉プローブ特異的結合部分は、捕捉プローブとして基質に結合した核酸分子の配列に特異的にハイブリダイズすることができる核酸配列を含む。一般に、基質は、基質に結合した複数の前記核酸捕捉プローブを含む。複数の連結分子は、標的分子の複数の異なる領域と基質に結合した複数の捕捉プローブとに結合することができるように設計される。このようにして、複数の複合体内結合部位を有する核酸標的分子−基質複合体が形成されてよい。
【0040】
図1および2は、本明細書において開示される核酸連結分子の特定の実施態様を利用した結合相互作用を例示する。
図1は、基質が検出可能な標識、例えば磁性粒子である実施態様を示す。図1に図示したように、複数の核酸連結分子は、複数のうちのメンバーが核酸標的分子の異なる配列に結合する一方で、複数のうちのメンバーが同じ基質に結合するように設計されてよい。これにより、複数の複合体内結合相互作用部位を有する標的分子−基質結合複合体が形成される。図1において、「A−D」の各々は異なる標的特異的結合部分を表し、各「M」は捕捉プローブ特異的結合部分を表し、各「N」は捕捉プローブとして基質に結合した核酸分子を表す。図1の特定の実施態様では、結合部分「A−D」の各々は互いに比較して異なる核酸配列を含み、各「M」は他の「M」と比較して同じ核酸配列を含み、各「N」は他の「N」と同じ核酸配列を含む。この実施態様では、「M」および「N」は相補配列を含む。
【0041】
図2は、基質がバイオチップの表面を含む実施態様を示す。この実施態様では、複数の核酸連結分子が、複数の複合体内結合相互作用部位を有する標的分子−バイオチップ基質結合複合体の形成を促す。
図2において、「A−D」の各々は異なる標的特異的結合部分を表し、各「M」は捕捉プローブ特異的結合部分を表し、各「N」は捕捉プローブとして基質に結合した核酸分子を表す。図2の実施態様では、結合部分「A−G」の各々は互いに比較して異なる核酸配列を含み、各「M」は他の「M」と比較して同じ核酸配列を含み、各「N」は他の「N」と同じ核酸配列を含む。この実施態様では、「M」および「N」は相補配列を含む。
ゆえに、本開示内容のある態様では、連結分子は、標的分子上の異種性配列切片を翻訳して、基質に結合した核酸分子に相補的な同一の配列の複数部位になると考えられうる。これにより、基質が標的分子に結合し、より効率よく基質が結合する可能性が増す。
【0042】
図6Bに図示するように、本明細書に記述される連結分子を利用して、核酸標的分子および2つの異なる機能化した基質、例えば検出可能な標識基質およびバイオチップ基質を含む基質を含む結合複合体を形成することができる。
ある実施態様では、複数の連結分子は、基質と接触する前に標的分子(又は標的分子を含むことが予測される試料)と接触して、標的分子との結合の前に、標的分子との相対的な連結分子の位置が、連結分子が捕捉プローブを介して基質を結合する位置によってさほど影響を受けないようにする。この概念の単純バージョンは、図1を参照して理解される。ここで、標的分子との関連で「A−D」の順序は、複数の連結分子が基質と接触する前に複数の連結分子が標的分子に接触することにより維持される。
本開示内容の他の態様では、標的特異的結合部分および複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む核酸連結分子が開示される。標的特異的結合部分は、核酸標的分子の異なる配列に特異的にハイブリダイズすることができ、複数の捕捉プローブ特異的結合部分のそれぞれのメンバーは、捕捉プローブとして基質に結合した複数の核酸分子の一つの核酸分子に特異的にハイブリダイズすることができる。このようにして、連結分子は、標的分子と基質に結合した複数の核酸捕捉プローブとを結合することができる。
【0043】
図3および4は、本明細書中で開示する核酸連結分子の特定の実施態様を利用する結合相互作用を例示する。
図3は、分岐型構造を有する核酸連結分子の例を示す。図3において、「A」は標的特異的結合部分を表し、各「M」は捕捉プローブ特異的結合部分を表し、各「N」は捕捉プローブとして基質に結合した核酸分子を表す。図3に示す実施態様では、「M」は各々他の「M」と比較して同じ核酸配列を含み、各「N」は他の「N」と同じ核酸配列を含む。この実施態様では、「M」および「N」は相補配列を含む。
【0044】
図4は、線状構造を有する核酸連結分子の例を示す。図4において、「A」は標的特異的結合部分を表し、各「M」は捕捉プローブ特異的結合部分を表し、各「N」は捕捉プローブとして基質に結合した複数の核酸分子の一つの核酸分子を表す。図4に示す実施態様では、各「M」は他の「M」と比較して同じ核酸配列を含み、各「N」は他の「N」と同じ核酸配列を含む。この実施態様では、「M」および「N」は相補配列を含む。
本開示内容の他の態様では、捕捉プローブ特異的結合部分と複数の標的特異的結合部分とを含む核酸連結分子が開示される。捕捉プローブ特異的結合部分は、捕捉プローブとして基質に結合した核酸分子に特異的にハイブリダイズすることができる核酸配列を含む。さらに、複数の標的特異的結合部分の各々のメンバーは、核酸標的分子の異なる核酸配列に特異的にハイブリダイズすることができる核酸配列を含む。
【0045】
図5は、この連結分子の特定の実施態様を利用した結合相互作用を示す。図5は分岐型連結分子を示し、ここで「M」は捕捉プローブ特異的結合部分を表し、「N」は捕捉プローブとして基質に結合した核酸分子を表し、「A−C」は複数の標的特異的結合部分を表す。図5に示す実施態様では、「M」および「N」は相補配列を含む。図5は分岐型連結分子を示すが、図5に示す実施態様もまた線形構造で調製されてよい。
本開示内容の他の態様では、複数の捕捉プローブ特異的結合部分と複数の標的特異的結合部分とを含む核酸連結分子が開示される。捕捉プローブ特異的結合部分は、捕捉プローブとして基質に結合した核酸分子に特異的にハイブリダイズすることができる核酸配列を含む。さらに、複数の標的特異的結合部分の各々のメンバーは、核酸標的分子の異なる核酸配列に特異的にハイブリダイズすることができる核酸配列を含む。
【0046】
図6Aは、この連結分子の特定の実施態様を利用した結合相互作用を示す。図6Aは分岐型連結分子を示し、ここで各「M」は捕捉プローブ特異的結合部分を表し、各「N」は捕捉プローブとして基質に結合した核酸分子を表し、そして「A−C」は複数の標的特異的結合部分を表す。図6Aに示す実施態様では、各「M」は他の「M」と比較して同じ核酸配列を含み、各「N」は他の「N」と比較して同じ核酸配列を含む。この実施態様では、「M」および「N」は相補的配列を含む。図6Aは分岐型連結分子を示すが、図6Aに示す実施態様もまた線形構造で調製されてよい。
【0047】
捕捉プローブ特異的結合部分と基質に結合した捕捉プローブとの間の結合のメカニズムとして配列ベースのハイブリダイゼーションを利用するための別法として、本明細書において開示される連結分子は、更に特定の非共有結合相互作用、例えばビオチン又はビオチン類似体/アビジン又はストレプトアビジン、ハプテン/抗体又は抗体断片、糖類/レクチンおよび特定のリガンド/レセプターが使用できるように設計されうる。
【0048】
核酸連結分子の調製
現在開示されている連結分子の結合部分には、DNA、RNA、これらのアナログ、修飾ヌクレオチド又はこれらの組合せが含まれうる。
連結分子の結合部分は、ホスホジエステル結合、又は、核酸、アミノ酸、糖質ないしはポリオール架橋のような一又は複数の連結試薬、又は、核酸ないしは修飾核酸鎖を架橋結合することができる他の架橋剤によって、互いに直接共有結合的に連結されてよい。結合の部位(一又は複数)が、結合部分の端、および/又は鎖の一又は複数の内部ヌクレオチドであってよい。
現在開示されている連結分子の結合部分は、およそ10〜およそ80のヌクレオチド長の核酸配列を含んでいてよい。例えば、第一および/又は第二の結合部分は、およそ10からおよそ20、およそ20からおよそ30、およそ30からおよそ40、およそ40からおよそ50、およそ50からおよそ60、およそ60からおよそ70、又はおよそ70〜およそ80のヌクレオチド長の核酸配列を含んでいてよい。より典型的には、現在開示されている連結分子の第一および/又は第二の結合部分は、およそ10からおよそ60のヌクレオチド長、更に典型的にはおよそ10〜およそ45のヌクレオチド長の配列を含む。
【0049】
捕捉プローブとして基質に結合した核酸分子は、典型的におよそ10からおよそ80の塩基長である。例えば、粒子標識にコンジュゲートした核酸分子は、およそ10からおよそ20、およそ20からおよそ30、およそ30からおよそ40、およそ40からおよそ50、およそ50からおよそ60、およそ60からおよそ70、又はおよそ70からおよそ80のヌクレオチド長であってよい。より典型的には、粒子標識にコンジュゲートした核酸分子は、およそ10からおよそ60のヌクレオチド長、さらにより典型的にはおよそ10からおよそ45のヌクレオチド長である。
開示された連結分子が複数の標的特異的結合部分を含む場合、この複数とは、例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、又は10以上の標的特異的結合部分を含んでいてよい。
開示された連結分子が複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む場合、この複数とは、例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、又は10以上の捕捉プローブ特異的結合部分を含んでいてよい。
【0050】
ある実施態様では、本明細書において開示される核酸連結分子は、例えば図1および4に図示するように、線形構造で調製される。線形核酸連結分子は、当分野で公知の様々な技術を用いて調製されてよい。例えば、連結分子は、ポリメラーゼ増幅(例えばPCR)、クローニング技術、化学的架橋、酵素的集合(アセンブリ)、直接的な化学合成又はこれらの組合せを用いることによって調製されうる。
核酸連結分子をポリメラーゼ増幅および/又はクローニングによって調製する場合、すべての連結分子をコードする核酸配列又はその断片は従来の手順によって一本鎖又は二本鎖の形態で作製されてよい。二本鎖の形態で作製する場合、連結分子および/又はその断片は、最終的に変性するか、又は一本鎖エキソヌクレアーゼによって加水分解して、一本鎖の連結分子および/又はその断片とする。また、核酸連結分子は、M13といった従来の一本鎖ファージベクターを用いて一本鎖の形態でクローニングされてよい。断片を酵素的又は化学的に連結して、連結分子を形成してもよい。酵素的にアセンブリする場合、個々の断片は、T4 DNA又はRNAリガーゼといったリガーゼによってライゲートしてよい。化学的架橋によって調製する場合、個体断片は、連結部位を提供する官能基を有するように誘導体化された一又は複数の核酸によって合成してもよいし、又は、このような部位を提供するように断片を合成した後に断片を誘導体化してもよい。
また、本開示内容の連結分子は、図3、5および6に示すように、分岐型構造で設計され、構築されてよい。分岐型連結分子は、5'末端、3'末端又はこれらの組合せである、少なくとも3つの末端を有するという点で、線形連結分子と区別される。分岐型核酸分子の調製方法は、1992年6月23日発行の米国特許第5124246号、8−13および18−25の段落に示されており、これは分岐型の多量体調製の説明のために出典明記によってここに援用される。更に、1996年12月3日発行の米国特許第5580731号は、現在開示された分岐型連結分子の合成に使われうるN−4修飾ピリミジンヌクレオチドの説明のために出典明記によってここに援用される。
【0051】
また、分岐型連結分子は、デンドリマー的なオリゴヌクレオチドの形態で調製されてよい。例として、Shchepinov et al. (1997) Nucleic Acids Research 25(22): 4447-4454を参照のこと。ここでは、著者は複数の保護した一次水酸基を有する分岐型ホスホラミダイトを利用して従来のモノマー的なオリゴヌクレオチドの上にデンドリマーの頭部の合成を記述する。また、デンドリマーオリゴヌクレオチドの他の種類とその調製を記載しているShchepinov et al. (1999) Nucleic Acids Research 27(15): 3035-3041も参照のこと。これらの参考文献は、デンドリマーオリゴヌクレオチドとその調製の説明のために、出典明記によってここに援用される。
更に、分岐型連結分子は、アビジン/ストレプトアビジンとビオチン化核酸の組合せを使用して調製されてよい。例えば、個々のアビジン/ストレプトアビジン分子は、アビジン/ストレプトアビジン− ビオチン相互作用により、4つのビオチン化された核酸に連結されてよい。この種の連結分子は、4つのビオチン化核酸のうちの1つが対象の核酸標的分子の異なる領域に特異的にハイブリダイズすることができる核酸配列を含み、その一方で、残りの3つのビオチン化核酸が捕捉プローブとして基質に結合した核酸分子にハイブリダイズすることができる核酸配列を含むように、調製されてよい。
また、核酸連結分子は、コンジュゲート、ライゲーション又はポリメリゼーションといった化学的又は酵素的な技術を使用して調製してよい。これらの化学的又は酵素的な技術は、線形および様々な分岐型の形態で複数の部位を形成するために応用してよい。
ある実施態様では、連結分子の一又は複数の結合部分は、相補的核酸のハイブリダイゼーション以外の特異的な非共有結合相互作用を利用するために設計される。このような相互作用には、例えば以下の結合パートナー間の相互作用、ビオチン又はビオチンアナログ/アビジン又はストレプトアビジン、ハプテン/抗体ないし抗体断片、糖類/レクチンおよび特異的なリガンド/レセプターが含まれる。
【0052】
例として、図11−15は、オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)(又はそのアナログ)標的特異的結合部分と、ビオチン又は他の非共有結合パートナーを含む複数の捕捉プローブ特異的結合部分とを含む様々な「分岐型」および「星型」連結分子の合成スキームを示す。これらの図は結合部分としてビオチンの使用を示すが、この使用は例示のためのみであって、いずれの適切な非共有結合パートナーでも置き換えられうることを注記する。これらの連結分子は、ODN(又はそのアナログ)での直接合成によっても二工程合成方法によってでも調製され得、この二工程合成方法では、ビオチン分子又は他の非共有結合パートナーを含む分岐型又は星型の部分は修飾したODN(又はそのアナログ)から別々に調製され、2つの成分はその後コンジュゲートされて、標的特異的結合部分および複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む連結分子が形成される。
【0053】
図11は、分岐型部分が固形支持体に結合したODN上へ直接合成される分岐型連結分子の調製についての直接合成スキームを示す。分岐型連結分子は、様々な公知の固形支持体又はインサイツ合成方法によって合成されてよい。
図12は、複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む分岐型部分の合成を示す。図13に示すように、この分岐型部分は、その後、ODNにコンジュゲートされ、連結分子を形成する。様々な官能基およびコンジュゲート化学、例えばクリック化学、チオおよびマレイミド、チオおよびブロモ−アルキル、アルデヒドおよびヒドラジンないしヒドラジド、アミンおよびNHSエステル、ジスルフィド結合形成、ディールスアルダー反応などはこのコンジュゲートを促すために有用である。これらの反応の官能基は図13に示したXおよびZである。
また、連結分子は、複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含むデンドリマー(樹状)又は星状のオリゴマーに修飾したODNをコンジュゲートさせることによって合成されてもよい。図14および15は共に、複数の捕捉プローブ特異的結合部分によりデンドリマー又は星状のオリゴマーを合成ないし修飾した後、修飾したオリゴヌクレオチドとコンジュゲートする二工程方法を示す。XおよびZは、例えばクリック化学、チオおよびマレイミド、チオおよびブロモ−アルキル、アルデヒドおよびヒドラジンないしヒドラジド、アミンおよびNHSエステル、ジスルフィド結合形成、ディールスアルダー反応などを用いたコンジュゲートに適切である官能基を表す。
【0054】
検出可能な標識
開示した方法および組成物と関連して利用されうる当分野で公知の様々な検出可能な標識がある。これらには、例えば放射性同位体、蛍光物質、化学発光物質、発色団、酵素、酵素基質、酵素補助因子、酵素インヒビター、金属イオン、磁性粒子、特定の結合対のメンバーなどが含まれる。
検出可能な標識は、微粒子又はナノ粒子といった粒子の形態であってよい。磁性粒子が本明細書において開示する方法および/又は組成物に利用される場合、磁性粒子は、例えば、磁気ナノ粒子又は微粒子であってもよい。磁性粒子には、例えば、磁気ビーズ又は、強磁性体、フェリ磁性体、常磁性体、又はスーパー常磁性体といった磁性体から造られた他の小さい物体が含まれる。ある実施態様では、磁性粒子は、およそ10ナノメートルからおよそ100マイクロメートルの直径を有する酸化鉄(Fe2O3および/又はFe3O4)を含む。磁気ナノ粒子は、例えばベルギッシュグラートバハ、ドイツのミルテニーバイオテク社から入手可能である。典型的にはおよそ5からおよそ500ナノメートルの直径の、コートされた単一ドメイン酸化鉄粒子から造られた相対的に小さい粒子がある。また、磁性粒子は、ポリスチレンといった高分子マトリックスに包埋された磁気ナノ粒子から造られてよい。およそ0.2〜およそ5マイクロメートルの直径を有する典型的に滑らかで一般に球状である。この種の粒子は、カリフォルニア州カールズバッドのインヴィトロジェン社から入手可能である。磁性粒子の他の例には、Baselt et al. (1998) Biosensors & Bioelectronics 13: 731-739、Edelstein et al. (2000) Biosensors & Bioelectronics 14: 805-813、Miller et al. (2001) J. of Magnetism and Magnetic Materials 225: 138-144、Graham et al. (2002) J. Appl. Phys. 91: 7786-7788、Ferreira et al. (2003) J. Appl. Phys. 93, pp. 7281-7286および米国公開特許2005/0100930(2005年5月12日公開)によって記述されるものが含まれる。
一態様では、およそ10ナノメートル〜およそ1000ナノメートルの平均直径を有する磁性粒子、例えばおよそ100ナノメートル〜およそ900ナノメートル、およそ200ナノメートル〜およそ800ナノメートル、およそ300ナノメートル〜およそ700ナノメートル、およそ400ナノメートル〜およそ600ナノメートル又はおよそ500ナノメートルの平均直径を有する磁性粒子が、開示した方法および組成物に利用される。
【0055】
結合複合体を強化および/又は安定させる架橋結合
結合複合体の強度および/又は安定性は、架橋結合および強い共有結合の導入によって増加しうる。これらの技術はここに記載する連結部分と組み合わせて用いて、強力で安定した標的分子−基質結合複合体を提供することができる。
例えば、単一の標的分子−基質結合複合体に見られる2以上の結合実体間の結合相互作用は、一又は複数の架橋剤の導入により強化および/又は安定化されうる。この種の架橋は「複合体内架橋結合」として記載されうる。ある実施態様では、この「複合体内架橋結合」は分子内複合体内への共有結合の導入を伴う。例えば、検出可能な標識を含む基質と接触する前に一又は複数の連結分子によりバイオチップ表面に結合した標的を安定させることが望ましい。ある実施態様では、検出可能な標識が一又は複数の連結分子によって標的分子に結合した後に、結合複合体をさらに安定化することが望ましい。
また、開示内容は、「複合体間架橋結合」を導入するために架橋剤を使用することを考慮する。例えば、一実施態様では、単一の複合体は、式A−B−C−Dによって表され得、ここでAは複数の標的固定化プローブを含むバイオチップ表面、Bは標的分子、Cは一又は複数の連結分子、Dは結合した複数の捕捉プローブを含む検出可能な標識である。この単一の複合体は、架橋剤の導入により基質表面に存在する一又は複数の他の複合体に連結してもよい。
【0056】
共有結合の導入による架橋結合
架橋剤は、結合複合体のメンバー間および/又は複合体間での共有結合の形成を容易にするために導入されてよい。共有結合は、通常300〜400kJ/molの範囲である。これらの結合は、レセプターとそのリガンドとの間、タンパク質とタンパク質との間、又は複数のハイブリダイズした二本鎖核酸間の非共有結合相互作用より何倍も強い。
図7および8は、共有結合を導入するために架橋剤の使用を伴う例示的な実施態様を示す。図7は、架橋剤が特異的結合対の第一メンバー(例えばアジド/アルキン)および特異的結合対の第二メンバー(例えばアルキン/アジド)を含み、そしてこの特異的な結合対の第二メンバーと好適な条件下で反応するとき、この特異的結合対の第一メンバーが共有結合を形成する、実施態様を示す。図7において、バイオチップ表面上の標的固定化プローブと検出可能な標識上の捕捉プローブの両方は別々に、特異的結合対の第一メンバー(例えばアルキン/アジド)を含む。核酸標的分子に結合した連結分子の捕捉プローブ特異的結合部分にコンジュゲートした、特異的な結合対の第二メンバー(例えばアジド/アルキン)を示す。適切な条件下では、特異的な結合対の第一および第二のメンバーが反応し、一又は複数の共有結合を形成し、これによりバイオチップ表面、標的固定化プローブ、連結分子および検出可能な標識を含む結合複合体を強化し、安定化させる。図7は特定の連結分子実施態様に関する架橋結合を示すが、この架橋結合はここで開示する連結分子実施態様のいずれを含む複合体にも応用されうることは理解される。
【0057】
結合対相互作用を形成する様々な共有結合は、Cu触媒アジド/アルキン[3+2]付加環化「クリックケミストリー」、アジド/DIFO(ジフッ化シクロオクチン)Cu遊離クリックケミストリー、アジド/ホスフィン「シュタウディンガー反応」、アジド/トリアリールホスフィン「変性シュタウディンガー反応」、および触媒されたオレフィンクロスメタセシスを含め、当分野で公知である。これらの結合対反応は、共有結合を導入するために利用して、(標的)−(連結分子)−(基質)結合複合体のメンバー間の相互作用を安定化および/又は強化する。当業者は、これらの反応のいくつか、例えばCu触媒アジド/アルキン[3+2]付加環化が結合対相互作用を触媒するために触媒剤の添加が必要であるのに対して、アジド/DIFO反応のような他のものはその必要がないことは理解するであろう。
図8は、架橋剤の導入によりハイブリダイズした核酸鎖間に共有結合が形成される例示的な実施態様を示す。図8は、バイオチップ表面に結合した捕捉プローブと核酸標的分子に結合した連結分子との間の共有結合形成を示す。また、図8は、検出可能な標識の表面に結合した捕捉プローブと核酸標的分子に結合した連結分子との間の共有結合形成を示す。
【0058】
ハイブリダイズした核酸の鎖間、核酸とタンパク質との間、および異なるタンパク質分子間を架橋結合させるために用いられる当分野で有用な様々な試薬がある。異なる長さの架橋剤および官能基の組合せは、市販されている。
例えば、光化学付加により共有核酸付加物を形成する光変異原性化合物の種類であるソラレンが利用されてよい。一次反応は、DNAのチミジンの5,6二重結合とソラレンの4',5'ないしは3,4何れかの二重結合との間でのシクロブタン環形成である。4',5'二重結合での反応によりフラン-側単一付加物が作製される。これは、対する鎖上に隣接するピリミジンを有する部位でさらに反応し、鎖間架橋が造られる。Spielmann et al. (1995) Proc. Natl. Acad. ScL USA Vol. 92, pp. 2345-2349。また、8-メトキシソラレンからのペプチド核酸(PNA)を含むソラレンの合成を記載している、Okamoto et al. (2001) Org. Lett. Mar 22;3(6): 925-7を参照のこと。鎖端にソラレン単位を含有するPNAは、相補的なDNAを有する安定した二体鎖を形成する。更なる機能性を有するソラレンも合成されている。例えば、Saffran et al. (1988) Nucleic Acids Research;16(l5): 7221-31は、ビオチン化したソラレン(BPsor)の合成を記述する。BPsorはDNAと光反応して鎖間架橋結合を形成する一方で、その後ストレプトアビジン分子と反応することができる付着したビオチンの形態で更なる結合機能性を提供する。
【0059】
また、ハイブリダイズした核酸分子の架橋結合は、米国特許第6800768号(2004年10月5日に発行)に記載されるように実施されてよい。この特許文献では、非ヌクレオシド光活性クマリン誘導体が核酸に組み込まれて架橋を促している。
あるいは、特定の架橋結合条件の必要性に合うように架橋剤を設定し、合成してもよい。
Pendergrast et al. (1992) Proc. Natl Acad. ScL USA Vol. 89, pp.10287-10291に記載されるように、光架橋結合は、また、タンパク質と核酸との間の結合相互作用を安定させるために利用されてよい。具体的には、Pedergrast et al.は、部位特異的突然変異とその後のシステイン特異的化学修飾からなる二工程手順によってタンパク質内の単一のアミノ酸で光反応性架橋剤を組み込む。まず、部位特異的突然変異を用いて、対象の位置に特定の溶媒へのアクセス可能なシステイン残基を導入する。それから、結果として生じたタンパク質を、システイン特異的異種二機能化光反応性架橋剤、例えば4-アジドフェナシル臭化物にて誘導体化する。定められた条件下で、特定の溶媒へのアクセス可能なシステイン残基を有するタンパク質と4-アジドフェナシル臭化物とが反応して、システイン残基の完全かつ非常に選択的な誘導体化が生じ、[(4-アジドフェナシル)-Cys]タンパク質形態のコンジュゲートが得られる。それから、タンパク質−DNA複合体を形成し、タンパク質−DNA複合体をUV照射して架橋結合を導入する。
架橋剤は、異なる独立した試薬として応用されてよい。あるいは、架橋結合官能基は、連結分子、捕捉プローブ、標的固定化プローブ、基質などに直接コンジュゲートしてよい。官能基は、所望の時に適用される光、pH変化又は特定の化学物質といった投入による命令で活性化されうる。さらに、本明細書に開示される結合部分および/又は連結分子は、選択する架橋剤の適用に適するように設計されうる。例えば、核酸を含む標的特異的結合部分へのタンパク質又は他の化学物質実体のコンジュゲートにより、架橋剤の選択性が拡がり、本来は核酸に適用できないものも適用可能となる。
【0060】
相補的核酸の導入
相補的核酸配列を導入して、結合複合体間の結合の強度を上げることができる。例えば、本明細書中に記載する2以上の結合複合体の連結分子に相補的な核酸の領域を含む分子を利用して、複合体間架橋結合を生成してよい。このような核酸は、適切にハイブリダイゼーションさせるために好適な長さに設計してよい。これは、所望の長さのリンカー切片を架橋核酸に挿入することによって達成されうる。リンカー切片は、ヌクレオチドおよびポリエチレングリコールといったポリマーを含む任意の好適な物質を含みうる。
【0061】
複数の複合体内結合相互作用部位を有する標的分子−基質複合体の作製方法
本明細書中に記載する連結分子は、複数の複合体内結合相互作用部位を有する標的−基質複合体を作製するように設計された方法において使用される。これらの方法は、例えば試料中における特定の標的分子の有無を決定するために設計されたアッセイと組み合わせて使用されうる。また、開示した方法を用いて、特定の試料中における特定の標的分子の量を量的に決定することができる。一般に、本明細書中に記載する方法は、本明細書中に記載する、標的分子、一又は複数の捕捉プローブ機能化基質および一又は複数の連結分子を含有することが疑われる試料を反応混合物に混合することを含む。
一実施態様では、この方法は、2つの異なる種類の基質を利用する。第一の種類はバイオチップ表面を含み、第二の種類は検出可能な標識であるか又は検出可能な標識を含むように修飾されている。標的分子を含むことが疑われる試料は、本明細書中に記載する一又は複数の連結分子と反応混合物中で組合わす。十分な時間をおいて、連結分子を(存在する場合には)標的分子に結合させた後、反応混合物を、本明細書中に記載のバイオチップ表面を含む基質と接触させる。バイオチップ表面は、一又は複数の標的固定化プローブによって機能化されてよい。標的固定化プローブを利用する場合、(標的分子)−(連結分子)複合体は標的固定化プローブによって直接結合されていてよい。ついで、反応混合物を、第二種類の基質、すなわち検出可能な標識と接触する。検出可能な標識に存在する捕捉プローブにより、標的分子に結合した一又は複数の連結分子への結合が可能になる。この様式で、標的分子と検出可能な標識を含む固定された複合体であって、複数の結合相互作用部位を含む複合体が形成される。ついで、検出可能な標識の存在および/又は量は、例えばバイオチップに組み込まれる磁気センサーの使用により、当分野で公知の様々な方法に従って検出されうる。
ある実施態様では、一又は複数の上記の結合工程の後に一又は複数の洗浄工程を行い、非特異的に結合した分子を除去する。
いくつかの実施態様は標的固定化プローブを利用してバイオチップ表面上の標的分子を固定しているが、バイオチップ表面に結合した一又は複数の捕捉プローブと組み合わせて一又は複数の連結分子を使用して、バイオチップ表面上の標的分子も固定されうることを注記する。よって、ある実施態様では、開示された方法により結合複合体が形成される。この複合体では、バイオチップ表面上の捕捉プローブに結合する連結分子により標的分子はバイオチップ表面に結合しており、そして、検出可能な標識上の捕捉プローブに結合する連結分子によって検出可能な標識は標的分子に結合している。
【0062】
キット
また、本開示内容によって本明細書中で開示される方法を実施するためのキットが提供される。キットは典型的に、上記のような一又は複数の連結分子を具備する。加えて、対象のキットは、上記のような一又は複数の検出可能な標識、例えば、複数の捕捉プローブを含む一又は複数の磁性粒子を更に具備しうる。また、対象のキットは、上記のようなバイオチップ表面を含む基質を具備しうる。さらに、キットは、一又は複数のポジティブ又はネガティブのコントロールを具備してよい。また、キットは、ここに記載のような一又は複数の架橋剤を具備しうる。
キットの様々な構成成分は別々の容器にあってもよいし、ある適切な構成成分は、要望どおり単一の容器に予め組み合わせていてもよい。
上記の構成成分に加えて、キットは、ここに記載の方法を実施するための指示書を更に具備しうる。これらの指示書は様々な形態でキットにあってもよいし、一又は複数の形態がキットにあってもよい。これらの指示書が存在するある一つの形態は、適切な媒体又は基体、例えば情報が印刷された一片ないし数枚の紙、キットのパッケージ、添付物などに印刷された情報としてである。更に他の手段は、情報が記録されているコンピュータで読み取り可能な媒体、例えばディスケット、CDなどである。存在しうる更に他の手段は、インターネットによって隔たれた部位で情報にアクセスするために使用されうるウェブ上のアドレスである。何か便利な手段もキットに存在してもよい。
【実施例】
【0063】
以下の実施例は、本発明をどのように造り、使用するかについての完全な開示内容および記載を当業者に提供するために示すものであって、発明者が発明とみなす範囲を限定するためのものでも、以下の実験がすべてあるいは実施される実験であることを表すためのものでもない。用いた数値(例えば含量、温度など)に関して正確に示したが、いくつかの実験誤差および偏差は説明される。特に示さない限り、部位は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏度であり、気圧は大気圧ないし大気圧程度である。標準的な略語、例えばbp、塩基対;kb、キロベース;pl、ピコリットル;sないしはsec、秒;min、分;hないしはhr、時間;aa、アミノ酸;kb、キロベース;bp、塩基対;nt、ヌクレオチド;などを用いてよい。
【0064】
実施例1:複数の非共有結合相互作用を用いることによる磁気ビーズによる基質に固定したオリゴの標識の改善
複数の非共有結合相互作用を用いることによる基質に固定した核酸の標識の改善を示すために、0、1又は2のビオチン標識を含む固定化オリゴ複合体を、異なる大きさの磁気ビーズを繋留する際の性能に基づき比較した。
材料および方法
2つの異なるオリゴ機能化基質を以下のように調製した。同じ核酸配列のオリゴヌクレオチドプローブの第一セットは第一基質表面にコンジュゲートし、同じ核酸配列を有するオリゴヌクレオチドプローブの第二セットは第二基質表面にコンジュゲートした。オリゴヌクレオチドプローブは、その5'末端にスルフヒドリル基を持ち、基質表面上のマレイミド基によって2つの基質表面に別々にコンジュゲートした。第一基質のために、オリゴヌクレオチドプローブは、基質表面に対してプローブの遠端でビオチン分子により標識した(図9および10において010で示す)。第二基質のために、オリゴヌクレオチドプローブは標識しなかった(図9および10において001で示す)。
4つの実験的な基質は、ハイブリダイゼーション条件下でオリゴ機能化基質表面の各々にオリゴヌクレオチドの2つの異なるセットを適用することによって調製した。表面に適用したオリゴヌクレオチドは同じ配列のものであり、基質表面上に固定されたオリゴヌクレオチドの配列に相補である。2つの異なるオリゴヌクレオチドセットの第一のものをビオチン分子にて標識して、そのセットの適用したオリゴヌクレオチドを基質表面上に固定しているオリゴヌクレオチドにハイブリダイズしたときに、ビオチン分子が基質表面に対して適用したオリゴヌクレオチドの遠端に位置させるようにした(図9および10において008で示す)。2つの異なるオリゴヌクレオチドセットの第二のものは標識しなかった(図9および10において025で示す)。この様式で、4つの並列な実験的基質を図9および10のそれぞれに示すように実施した。4つそれぞれの実験的基質のために、3つの平行した実験を、3つのサイズの異なるストレプトアビジンコート常磁性ビーズのうちの1つを適用することによって実施した(A=直径0.3μm、B=直径0.5μm、およびC=直径1.0μm)。実験的基質のそれぞれにおよそ5〜10の洗浄工程を行い、結合していないビーズを取り除いた。ついで、基質は、結合したビーズの数に関して定性的に測定するために、低および高拡大率で撮像した。
【0065】
結果
図9および10は、それぞれ低および高拡大率での様々な基質の画像を示す。これらの画像に示すように、ビオチン−ストレプトアビジン結合相互作用の数を増やすことによってビーズとハイブリダイズしたDNA複合体との間の非共有結合相互作用部位の数を増やすことにより、ハイブリダイズしたDNA複合体により基質表面に結合した磁気ビーズの数が可視的に増えた。この結合するビーズの増加は、対象の核酸標的のために検出可能な標識を用いた場合に、検出感度を増すであろう。
【0066】
実施例2:核酸連結分子を利用した標的−基質複合体の形成
本明細書において開示される方法および組成物を利用した予測的実施例を後述する。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)配列のセグメントをクローニングし、モデル核酸標的分子としてRNAに転写させる。あるいは、一本鎖エキソヌクレアーゼを適用して、モデル核酸標的分子としてのHIV配列から逆転写したDNAのPCR産物を消化することによって一本鎖DNAを形成する。ついで、核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合することができる核酸連結分子を調製する。また、核酸連結分子のそれぞれを消化して、連結分子の各々に共通する核酸配列を含める。この連結分子の「捕捉プローブ特異的結合部分」は、磁性粒子の表面に結合した核酸配列(「捕捉プローブ」)にハイブリダイズすることができるように設計する。この配位は図6Bにグラフで示す。共通の捕捉プローブ特異的結合部分は、分子内ハイブリダイゼーションを最小化して、連結分子に対して最大に開かれた構造となるように設計する。
核酸連結分子は、市販のソフトウェア、例えばアプライドバイオシステムから入手可能なプライマーエクスプレス又はインビトロゲンから入手可能なベクターNTIを使用して設計される。核酸連結分子を設計するために、少量の二次構造を有する配列を計算し、設計し、反復して確認する。ヘアピン構造と内部二次構造を最小化することが特に重要である。これにより、連結分子は、標的分子と磁性粒子の表面に結合した核酸配列との両方にハイブリダイズするために開かれアクセス可能となる。標的分子および核酸「捕捉プローブ」によって非常に安定したハイブリダイズ構造を達成するために、G、C含量の高い領域を有する連結分子および標的配列領域を選択するのが好ましい。また、核酸連結分子配列は、互いに最小の結合遊離エネルギーを表すように選択して、連結分子間の結合が連結分子の標的結合能を干渉しないようにする。
まず、HIV核酸標的分子を含有する試料を、リンカーが標的分子と結合するために適切な条件下で、2セットのリンカーL1およびL2と共にインキュベートする。各セットの各々のメンバーは、標的分子の異なる領域に相補的な配列を有するセグメントと、バイオチップ表面上で機能化した捕捉プローブあるいは検出可能な標識粒子上で機能化した捕捉プローブの何れかに結合する第二セグメントとを有する。その後、連結分子と結合した標的分子は、バイオチップ表面に適用する。ついで、非特異的に結合した連結分子を取り除くために設計した洗浄工程を行う。最終ハイブリダイゼーション工程では、反応混合物を、連結分子の共通する捕捉プローブ特異的結合部分を結合することができる核酸捕捉プローブにて機能化した常磁性ビーズと接触させる。(連結分子)−(標的核酸)−(標的固定化プローブ)結合複合体に特異的に結合しなかった常磁性ビーズを取り除くために、最終洗浄工程を行った。
その後、固定化した常磁性ビーズの存在および/又は量を、バイオチップに組み込んだ磁気トンネル接合(MTJ)センサーを用いて検出する。
【0067】
実施例3:分岐型分子上の複数の捕捉プローブ特異的結合部分の合成と、標的結合部分としてオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)および場合によって基質と共有結合を形成するための反応基とのコンジュゲート
上記のように、図11−15は、オリゴデオキシヌクレオチド(ODN) 標的特異的結合部分および複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む様々な「分岐型」および「星型」連結分子の合成スキームを示す。わずかな修飾により、反応基を生成し、捕捉プローブに対して特異的な結合親和性で核酸、ビオチン、ポリペプチドタグ、レセプター又は他の試薬とコンジュゲートするために合成を実施することができる。(場合によって、複数の捕捉プローブ特異的結合部分に加えて、一又は複数の反応基を導入し、共有結合を形成させ、連結分子を含む結合複合体を更に強化することができる。)
2つの例示的な合成方法を以下の予測的な実施例に記載する。この方法はいずれも、所望のスペーシングおよび化学を生産するために異なるサイズおよび官能基の固形表面合成のために単量体を適応するなどといった、変更を有する固相オリゴヌクレオチド合成化学スキームを使用する。1つの方法は、図11に示すように、核酸標的に結合するためのオリゴヌクレオチド配列と個体支持体上の全体としての捕捉プローブを結合するための分岐型部分とを合成することである。あるいは、図12および13に示すように、分岐型部分と標的結合部分を別々に合成し、それからコンジュゲートして全分子を形成する。
両方法では、固形支持体上にクリーバブルな保護基DMT(ジメトキシトリチル)を有する制御細孔ガラス(CPG)を用いて、固相合成を始める。酸溶液にてDMT基を取り除いた後、この方法が全連結分子を直接合成することである場合、オリゴ核酸合成を最初に行い、図11に示すように分岐型部分の合成を始める前に標的結合オリゴヌクレオチドの伸長を生成する。この方法が2つの部分を別々に合成してそれらをコンジュゲートする場合、図12および13に示すように、固形表面上での分岐型部分の合成は固形支持体上ですぐに始めることができる。
【0068】
「Y」型の二官能性リンカーのユニットは、ホスホラミダイト合成化学を用いて固形支持体上にカップリングする。図12に示すように、「Y」型の二官能性リンカーは、その2つの対称アームの末端に、DMTなどの保護基Xによって覆われた2つの官能基を有する。DMT基は酸性溶液を使用して非ブロック化されてよく、「Y」型の二官能性リンカーの他方のユニットは組み込まれてよい。所望の数の「Y」型二官能性リンカーのユニットを骨格に組み込んだ後に、DMT基を酸性溶液を用いて非ブロック化することができ、標準的なオリゴヌクレオチド合成技術を用いて、リンカーの各アームの末端にオリゴヌクレオチドの伸長を形成してよい。このオリゴヌクレオチドの伸長は基質上の捕捉プローブに対して相補的な配列を有する。オリゴヌクレオチド以外の捕捉プローブ結合基のために、DMTのような保護基を除去した後、ポリペプチド又は選択した他の実体と更にコンジュゲートするために、露出した水酸基を、ビオチン基を含むリンカーによって修飾しても、又はアミノ基やチオ基のような他の基に変換してもよい。合成が終わったとき、全分岐型リンカー分子を、強力なアルカリ性溶液を使用してCPG固形支持体から切断してよい。最終的な化合物を用いて、MTJバイオセンサー上に標的分子および検出可能な磁性粒子を含む複合体を生産することができる。
【0069】
実施例4:デンドリマー分子上の複数の捕捉プローブ特異的結合部分の合成と、標的結合部分としてのオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)とのコンジュゲート
デンドリマーを利用した連結分子合成スキームの予測的実施例は以下のとおりである。
デンドロンにシスタミンコアおよび末端アミノ基を有する様々な生成物(サイズ)のポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマーは、デンドリティックナノテクノロジー社から市販されている(Dendritic Nanotechnologies, Inc., 2625 Denison Drive. Mount Pleasant, MI 48858)。末端アミノ基はすぐに誘導体化して、他の官能基を形成させることができ、様々な修飾又は架橋試薬を用いて抗体や様々なタグといったタンパク質およびペプチド、核酸又は反応基に架橋結合させることができる。この試薬は、シグマ−アルドリッヒ社又はサーモフィッシャーサイエンティフィックのピアスバイオテクノロジー社から市販されている。
複数の捕捉プローブ特異的結合部分が形成される末端アミノ基の修飾の前あるいは後に、シスタミンコアを有するデンドリマーを、様々な標的特異的結合部分のコンジュゲートが可能な特定の部位を提供するスルフヒドリル基に還元されてよい。核酸標的特異的結合部分への遊離スルファヒドリル基による機能化樹状分子のコンジュゲートには、通常、スクシンイミジル4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシラートといったヘテロ二官能性架橋リンカーの使用が必要である。場合によって、コンジュゲートは、十分なスペーシングを提供し立体障害を最小にするスペーサーにより媒介されてよい。
このようにして、標的特異的結合部分および複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含む連結分子が合成されてよい。
【0070】
実施例5:分岐型連結分子の「二工程」合成スキーム
分岐型連結分子を合成するために、固形支持体にホスホラミダイト化学を利用した以下の予測的合成スキームを実施することができる。
図16に示すように、クリーバブル単量体(1)によって誘導体化した制御細孔ガラスビーズ(CPG)を、固形支持体として用いて合成を始める。酸性溶液にて保護基DMT(ジメトキシトリチル)を取り除いた後に、水酸基を露出させる。「Y」型の二官能性単量体のユニット(2)を、ホスホラミダイト化学を用いて単量体(1)にカップリングさせる。非対称性ダブラーホスホラミダイトと称する「Y」型二官能性単量体(2)は、各々の末端に、酸性易動性基であるDMTと塩基性易動性基であるFMOCの2つの異なる保護基を有する。DMT基は酸性溶液を使用して再び取り除き、その後、「Y」型二官能性単量体の他方のユニット(2)を組み込んで、分岐型実体の主鎖を伸長する。
「Y」型二官能性単量体の複数のユニットは、同じホスホラミダイト化学を繰り返して組み込むことができる。FMOC保護基は、カップリング反応を複数回繰り返している間安定である。「Y」型二官能性単量体の所望の数のユニットが主鎖に取り込まれた後に、FMOC保護基は、弱アルカリ性溶液、例えば1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク−7−エン(DBU)を含むアセトニトリルを用いて還元し、分岐の末端上に水酸基を露出させる。様々な官能基Xは、異なるホスホラミダイト修飾体(114)を使用して水酸基上に導入することができる。例えば、官能基Xは、ビオチン又は他の好適な非共有結合パートナーであってよい。
分岐型実体の側鎖に導入されたいくつかの官能基、例えばアミン、ヒドラジドアルデヒド、カルボン酸塩などは、オリゴヌクレオチド(例えばDNA又はRNA)、ペプチド、タンパク質、糖質、脂質などといった生体分子とコンジュゲートさせるために用いることができる。
【0071】
ホスホラミダイト修飾体を官能基と接着させた後に、分岐型実体を有するCPG固形支持体(115)を濃縮した水酸化アンモニウムにて処理して、保護基を取り除き、分岐型実体を固形支持体から切断する。トリチル疎水性基を含む所望の長さの分岐型生成物は、HPLC(高性能液体クロマトグラフィ)を用いて粗混合物から単離することができる。その後、トリチル基は、精製した生成物を酸にて処理して取り除く。ジスルフィド結合は、DTTといった還元剤を用いて還元し、分岐型リンカー(116)の末端にチオ基を生成させる。分岐型リンカー(116)は、標的分子、例えばオリゴヌクレオチドに対する親和性を有する生体分子とコンジュゲートさせるために用いてよい。
様々な生体分子とコンジュゲートするための、分岐型実体の側鎖上にアミノ官能基を導入する方法を、図17に示す。
上記のホスホラミダイト合成化学を使用して、「Y」型二官能性単量体のユニット(2)を選択した数だけ組み込み、固形支持体上に分岐型実体(3)を形成させる。FMOC保護基は、弱アルカリ性溶液、例えばDBUを含むアセトニトリルによって取り除くことができる。露出した水酸基に、5'-アミノ修飾体C6-TFA(グレン研究所から入手)といったアミノ修飾体ホスホラミダイト単量体(117)をカップリングさせ、分子(118A)を生成することができる。それから、分岐型実体を脱保護し、濃縮した水酸化アンモニウムにて処理して固形支持体から切断する。
【0072】
HPLC精製の後、その側鎖(118B)上にアミノ基を有する分岐型実体は更なるコンジュゲートに用いることができる。多くの修飾および架橋結合試薬が使われてよい。図18に示すように、N-ヒドロキシスクシミド(NHS)エステルを一端に、そして非共有結合パートナー(W)を他方の末端に有する連結試薬(119)を用いることができる。リンカー類(119)は市販されているか、特別に合成することもできる。糖質、ペプチド、タンパク質、DNA、RNAなどの多くの生体分子は、化学的に修飾してもよいし、リンカーとコンジュゲートさせて、分岐型実体(118B)上のアミノ基と反応させるためにNHSエステル基を導入してよい。
(118B)の側鎖を(119)にて修飾することによって(120)を形成させた後、(120)のジスルフィド結合を、DTTのような還元剤を適用して、(121)の遊離チオ基に変換してよい。次いで、マレイミド機能化生体分子(122)例えばオリゴヌクレオチドを、(121)上のチオとコンジュゲートさせてよい。
【0073】
実施例6:分岐型連結分子の「直接」合成スキーム
図19に記載の他の方法は、固相上のオリゴヌクレオチドの5'末端の分岐型リンカーを合成し修飾することである。多くの官能基および分子は、分岐型リンカーの側鎖に連結してよい。
オリゴヌクレオチドは、ホスホラミダイト合成化学を用いて固形支持体に合成してよい。場合によって、化学的スペーサーは、ホスホラミダイトを持つスペーサーにてオリゴヌクレオチドの末端に組み込んでよい。次いで、分岐型実体は、存在する場合にはオリゴヌクレオチド上に又はスペーサー上に直接合成してよい。オリゴヌクレオチド又はスペーサーからDMT保護基を取り除いた後に、「Y」型の二官能性単量体(2)のユニットを、ホスホラミダイト合成化学を用いて露出した水酸基にカップリングさせる。「Y」型二官能性単量体(2)は、各々の末端に、酸性易動性基であるDMTと塩基性易動性基であるFMOCの2つの異なる保護基を有する。DMT基は酸性溶液を使用して脱ブロックし、その後、「Y」型二官能性単量体の他方のユニット(2)を組み込んで、分岐主鎖を伸長する。この工程を繰り返すことによって、「Y」型二官能性単量体の既定数を、(221)から分岐型構造に組み込むことができる。
分岐型実体の側鎖上のFMOC保護基を、弱酸性溶液、例えばDBUを含むアセトニトリルを用いて除去し、多くの官能基を形成させるか又は生体分子とコンジュゲートさせるように修飾できる水酸基を露出させる。これらの修飾は、適切なホスホラミダイト修飾体(222)を使用して導入してもよい。修飾に使用される官能基および分子には、例えば、アルキン、アジド、ビオチン、アミン、カルボキシ、ヒドラジド、アルデヒド、オリゴヌクレオチドなどが含まれる。
側鎖上に複数の官能基又は分子を持つ合成したオリゴヌクレオチドおよび分岐型リンカー(223)を脱保護し、濃縮した水酸化アンモニウムによって固形支持体から切断する。アンモニアは蒸発によって除去する。トリチル疎水基を含有する所望の分岐型リンカー生成物は、HPLCを用いて粗混合物から単離する。トリチル基は酸にて処理することによって切断し、n−ブタノール抽出によって取り除かれうる。側鎖上に複数の官能基又は分子を持つ純オリゴヌクレオチドおよび分岐型リンカー(224)は、核酸標的分子とMTJバイオセンサー上の磁性粒子との架橋結合を含むがこれに限定されず多くの用途に利用することができる。
【0074】
本発明を特別な実施態様を参照しながら説明したが、当業者は、様々な変更がなされること、本発明の精神および権利範囲を逸脱しない範囲で均等物と置き換えられることは理解するであろう。さらに、特定の状況、物質、組成物、方法、工程を本発明の対象物、精神および権利範囲に合わせるために多くの変更がなされうる。このような変更のすべては本明細書に添付した特許請求の範囲の権利範囲内である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸標的分子を含む複合体の製造方法であって、
基質に結合した複数の捕捉プローブを含む基質と、
核酸標的分子を含有すると思われる試料と、
連結分子、
とを反応混合物に混合することを含み、
このとき、前記連結分子が、
存在する核酸標的分子に特異的に結合する標的特異的結合部分であって、該連結分子が標的特異的結合部分を複数含むとき、その標的特異的結合部分のそれぞれが、存在する核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する、一又は複数の標的特異的結合部分と、
複数の捕捉プローブの少なくとも一つに特異的に結合する一又は複数の捕捉プローブ特異的結合部分
とを含むものであり、
このとき、前記連結分子が単一の標的特異的結合部分を含むとき、その連結分子は複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含み、そして、前記連結分子が単一の捕捉プローブ特異的結合部分を含むとき、その連結分子は複数の標的特異的結合部分を含んでおり、
このとき、前記の混合が、前記連結分子が存在する核酸標的分子と複数の捕捉プローブの少なくとも一つとに特異的に結合するために十分な反応条件下にあり、
場合によって、反応混合物に架橋剤を添加し、存在する特異的に結合した核酸分子間に共有結合を形成させ、
このとき、核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記連結分子が、核酸標的分子と、基質に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって核酸標的分子、連結分子および基質を含む複合体が形成される、方法。
【請求項2】
さらに、前記複合体の有無を検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の方法により前記複合体が形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記複合体の少なくとも2つのメンバーを架橋結合することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
1つの前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記連結分子が、
1つの前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
複数の複合体が形成され、この複数のうちのそれぞれのメンバーが核酸標的分子、連結分子および基質を含み、このとき前記方法が、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により前記複数の複合体のうちの少なくとも2つを連結させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記基質がバイオチップ表面を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記基質が検出可能な標識である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記の方法が、バイオチップ表面を含む基質を前記反応混合物に含めることを更に含み、
このとき前記バイオチップ表面がバイオチップ表面に結合した少なくとも一の標的固定化プローブを含むものであり、
このとき前記混合が、存在する核酸標的分子が前記標的固定化プローブに特異的に結合するために十分な反応条件下にあり、そして、
このとき核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記標的固定化プローブが核酸標的分子に特異的に結合し、前記核酸標的分子が前記連結分子に特異的に結合し、そして前記連結分子が検出可能な標識に結合した一又は複数の捕捉プローブに特異的に結合し、これによってバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、連結分子および検出可能な標識を含む複合体が形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、前記バイオチップ表面、前記標的固定化プローブ、前記核酸標的分子、前記連結分子および前記検出可能な標識を含む前記複合体の有無を検出することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記方法により、前記バイオチップ表面、前記標的固定化プローブ、前記核酸標的分子、前記連結分子および前記検出可能な標識を含む前記複合体が形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、前記バイオチップ表面、前記標的固定化プローブ、前記核酸標的分子、前記連結分子および前記検出可能な標識を含む前記複合体の少なくとも2つのメンバーを架橋結合することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
1つの前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記連結分子が、
1つの前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部
分とを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記バイオチップ表面、前記標的固定化プローブ、前記核酸標的分子、前記連結分子および前記検出可能な標識を含む前記複合体は、2以上の検出可能な標識を含まない、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記バイオチップ表面、前記標的固定化プローブ、前記核酸標的分子、前記連結分子および前記検出可能な標識を含む前記複合体は、2以上の標的分子を含まない、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
複数の複合体が形成され、この複数のうちのそれぞれのメンバーがバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子および検出可能な標識を含んでおり、前記方法が、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により複数の複合体の少なくとも2つを連結させることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
前記方法が、
バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブを含むバイオチップ表面を含む基質と、
第二連結分子
とを反応混合物に含ませることを更に含み、
このとき、前記第二連結分子が、
存在する核酸標的分子に特異的に結合する一又は複数の標的特異的結合部分であって、該連結分子が標的特異的結合部分を複数含むとき、その標的特異的結合部分のそれぞれが、存在する核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する、一又は複数の標的特異的結合部分と、
バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブの少なくとも一つに特異的に結合する一又は複数の捕捉プローブ特異的結合部分
とを含むものであり、
このとき、前記第二連結分子が単一の標的特異的結合部分を含むとき、その第二連結分子は複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含み、そして、前記第二連結分子が単一の捕捉プローブ特異的結合部分を含むとき、その第二連結分子は複数の標的特異的結合部分を含んでおり、
このとき、前記の混合が、前記第二連結分子が、存在する核酸標的分子と、バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブの少なくとも一つとに特異的に結合するために十分な反応条件下にあり、
このとき、核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記連結分子が、前記核酸標的分子と、検出可能な標識に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、そして、前記第二連結分子が、核酸標的分子と、バイオチップ表面に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって検出可能な標識、連結分子、核酸標的分子、第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体が形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項24】
前記方法が、前記検出可能な標識、前記連結分子、前記核酸標的分子、前記第二連結分子および前記バイオチップ表面を含む前記複合体の有無を検出することを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記方法により、前記検出可能な標識、前記連結分子、前記核酸標的分子、前記第二連結分子および前記バイオチップ表面を含む前記複合体が形成される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記方法が、前記検出可能な標識、前記連結分子、前記核酸標的分子、前記第二連結分子および前記バイオチップ表面を含む前記複合体の少なくとも2つのメンバーを架橋結合させることを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記第二連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
1つの前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記第二連結分子が、
1つの前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記第二連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記検出可能な標識、前記連結分子、前記核酸標的分子、前記第二連結分子および前記バイオチップ表面を含む前記複合体が、2以上の検出可能な標識を含まない、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記検出可能な標識、前記連結分子、前記核酸標的分子、前記第二連結分子および前記バイオチップ表面を含む前記複合体が、2以上の標的分子を含まない、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
複数の複合体が形成され、この複数のうちのそれぞれのメンバーが、バイオチップ表面、第一および第二の連結分子、核酸標的分子および検出可能な標識を含んでおり、前記方法が、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により複数の複合体のうちの少なくとも2つを連結させることを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項23に記載の方法。
【請求項34】
核酸標的分子を含む複合体の製造方法であって、
基質に結合した複数の捕捉プローブを含む基質と、
核酸標的分子を含有すると思われる試料と、
複数の連結分子
とを、反応混合物に混合させることを含み、
このとき前記複数の連結分子のそれぞれのメンバーが一又は複数のコピーで各々存在し、それぞれのメンバーが、
存在する核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分と、
複数の捕捉プローブのうちの一つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分
とを含むものであり、
このとき前記の混合が、複数の連結分子が、存在する核酸標的分子と、基質に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合するために十分な反応条件下にあり、
場合によって、反応混合物に架橋剤を添加し、存在する特異的に結合した核酸分子間に共有結合を形成させることを含み、
このとき、核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記の複数の連結分子が、核酸標的分子の複数の異なる領域と、基質に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって核酸標的分子、複数の連結分子および基質を含む複合体が形成される、方法。
【請求項35】
前記方法が、前記複合体の有無を検出することを更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記方法により前記複合体が形成される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記方法が、前記複合体の少なくとも2つのメンバーを架橋結合させることを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
複数の複合体が形成され、この複数のうちのそれぞれのメンバーがバイオチップ表面、複数の連結分子、核酸標的分子および検出可能な標識を含んでおり、前記方法が、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により複数の複合体の少なくとも2つを連結させることを更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記基質がバイオチップ表面を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記基質が検出可能な標識である、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
バイオチップ表面を含む基質を反応混合物に含ませることを更に含み、
このとき前記バイオチップ表面がバイオチップ表面に結合した少なくとも一の標的固定化プローブを含むものであり、
このとき前記混合が、存在する核酸標的分子が前記標的固定化プローブに特異的に結合するために十分な反応条件下にあり、
このとき、核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記標的固定化プローブがこの核酸標的分子に特異的に結合し、この核酸標的分子が前記複数の連結分子に特異的に結合し、そして、前記複数の連結分子が検出可能な標識に結合した複数の捕捉プローブに特異的に結合し、これによってバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、複数の連結分子および検出可能な標識を含む複合体が形成される、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記方法が、前記バイオチップ表面、前記標的固定化プローブ、前記核酸標的分子、前記複数の連結分子および前記検出可能な標識を含む前記複合体の有無を検出することを更に含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記方法により、前記バイオチップ表面、前記標的固定化プローブ、前記核酸標的分子、前記複数の連結分子および前記検出可能な標識を含む前記複合体が形成される、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記方法が、前記バイオチップ表面、前記標的固定化プローブ、前記核酸標的分子、前記複数の連結分子および前記検出可能な標識を含む前記複合体の少なくとも2つのメンバーを架橋結合することを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記バイオチップ表面、前記標的固定化プローブ、前記核酸標的分子、前記複数の連結分子および前記検出可能な標識を含む前記複合体が、2以上の検出可能な標識を含まない、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記バイオチップ表面、前記標的固定化プローブ、前記核酸標的分子、前記複数の連結分子および前記検出可能な標識を含む前記複合体が、2以上の標的分子を含まない、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
複数の複合体が形成され、この複数のうちのそれぞれのメンバーがバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、複数の連結分子および検出可能な標識を含んでおり、前記方法が、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により複数の複合体の少なくとも2つを連結させることを更に含む、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項42に記載の方法。
【請求項50】
前記方法が、
バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブを含むバイオチップ表面を含む基質と、
複数の第二連結分子
とを反応混合物に含ませることを更に含み、
このとき、前記複数の第二連結分子のそれぞれのメンバーが一又は複数のコピーで各々存在し、このそれぞれのメンバーが、
存在する核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分と、
バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブのうちの一つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分
とを含むものであり、
このとき、前記の混合が、前記複数の第二連結分子が、存在する核酸標的分子と、バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合するために十分な反応条件下にあり、
このとき、核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記複数の連結分子が、核酸標的分子と、検出可能な標識に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、そして、前記複数の第二連結分子が、核酸標的分子と、バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体が形成される、請求項40に記載の方法。
【請求項51】
前記方法が、前記検出可能な標識、前記複数の連結分子、前記核酸標的分子、前記複数の第二連結分子および前記バイオチップ表面を含む前記複合体の有無を検出することを更に含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記方法により、前記検出可能な標識、前記複数の連結分子、前記核酸標的分子、前記複数の第二連結分子および前記バイオチップ表面を含む前記複合体が形成される、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記方法が、前記検出可能な標識、前記複数の連結分子、前記核酸標的分子、前記複数の第二連結分子および前記バイオチップ表面を含む前記複合体の少なくとも2つのメンバーを架橋結合することを更に含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記検出可能な標識、前記複数の連結分子、前記核酸標的分子、前記複数の第二連結分子および前記バイオチップ表面を含む前記複合体が、2以上の検出可能な標識を含まない、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
前記検出可能な標識、前記複数の連結分子、前記核酸標的分子、前記複数の第二連結分子および前記バイオチップ表面を含む前記複合体が、2以上の標的分子を含まない、請求項50に記載の方法。
【請求項56】
複数の複合体が形成され、この複数のうちのそれぞれのメンバーが、検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二連結分子およびバイオチップ表面を含んでおり、前記方法が、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により複数の複合体のうちの少なくとも2つを連結させることを更に含む、請求項50に記載の方法。
【請求項57】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項50に記載の方法。
【請求項58】
基質に結合した複数の捕捉プローブを含む基質と、
核酸標的分子を含有すると思われる試料と、
連結分子
とを含む反応混合物であって、
このとき、前記連結分子が、
存在する核酸標的分子に特異的に結合する一又は複数の標的特異的結合部分であって、前記連結分子が複数の標的特異的結合部分を含むとき、この標的特異的結合部分のそれぞれが、存在する核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する、一又は複数の標的特異的結合部分と、
複数の捕捉プローブの少なくとも一つに特異的に結合する一又は複数の捕捉プローブ特異的結合部分
とを含むものであり、
このとき、前記連結分子が単一の標的特異的結合部分を含むとき、この連結分子が複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含み、そして、前記連結分子が単一の捕捉プローブ特異的結合部分を含むとき、この連結分子が複数の標的特異的結合部分を含んでおり、そして、
このとき、核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記連結分子が、核酸標的分子と、基質に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって核酸標的分子、連結分子および基質を含む複合体が形成される、反応混合物。
【請求項59】
前記基質がバイオチップ表面を含む、請求項58に記載の反応混合物。
【請求項60】
前記基質が検出可能な標識である、請求項58に記載の反応混合物。
【請求項61】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項60に記載の反応混合物。
【請求項62】
前記連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
1つの前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項58に記載の反応混合物。
【請求項63】
前記連結分子が、
1つの前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項58に記載の反応混合物。
【請求項64】
前記連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項58に記載の反応混合物。
【請求項65】
前記反応混合物が、バイオチップ表面を含む基質を更に含み、
このとき、前記バイオチップ表面がバイオチップ表面に結合した少なくとも一の標的固定化プローブを含むものであり、
このとき、核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記標的固定化プローブが核酸標的分子に特異的に結合し、この核酸標的分子が前記連結分子に特異的に結合し、そして、前記連結分子が検出可能な標識に結合した一又は複数の捕捉プローブに特異的に結合し、それによってバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、連結分子および検出可能な標識を含む複合体が形成される、請求項60に記載の反応混合物。
【請求項66】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項65に記載の反応混合物。
【請求項67】
前記連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
1つの前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項65に記載の反応混合物。
【請求項68】
前記連結分子が、
1つの前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項65に記載の反応混合物。
【請求項69】
前記連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項65に記載の反応混合物。
【請求項70】
前記反応混合物が、
バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブを含むバイオチップ表面を含む基質と、
第二連結分子
とを更に含み、
このとき、前記第二連結分子が、
存在する核酸標的分子に特異的に結合する一又は複数の標的特異的結合部分であって、前記第二連結分子が複数の標的特異的結合部分を含むとき、この標的特異的結合部分のそれぞれが、存在する核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する、一又は複数の標的特異的結合部分と、
バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブの少なくとも一つに特異的に結合する一又は複数の捕捉プローブ特異的結合部分
とを含むものであり、
このとき、前記第二連結分子が単一の標的特異的結合部分を含むとき、この第二連結分子が複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含み、そして、前記第二連結分子が単一の捕捉プローブ特異的結合部分を含むとき、この第二連結分子が複数の標的特異的結合部分を含んでおり、そして、
このとき、核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記連結分子が、核酸標的分子と、検出可能な標識に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、そして、前記第二連結分子が、核酸標的分子と、バイオチップ表面に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって検出可能な標識、連結分子、核酸標的分子、第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体が形成される、請求項60に記載の反応混合物。
【請求項71】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項70に記載の反応混合物。
【請求項72】
前記第二連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
1つの前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項70に記載の反応混合物。
【請求項73】
前記第二連結分子が、
1つの前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項70に記載の反応混合物。
【請求項74】
前記第二連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項70に記載の反応混合物。
【請求項75】
基質に結合した複数の捕捉プローブを含む基質と、
核酸標的分子を含有すると思われる試料と、
複数の連結分子
とを含む反応混合物であって、
このとき、前記の複数の連結分子のそれぞれのメンバーが一又は複数のコピーで各々存在し、このそれぞれのメンバーが、
存在する核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブのうちの一つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分
とを含むものであり、
このとき、核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記複数の連結分子が、この核酸標的分子の複数の異なる領域と、基質に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって核酸標的分子、複数の連結分子および基質を含む複合体が形成される、反応混合物。
【請求項76】
前記基質がバイオチップ表面を含む、請求項75に記載の反応混合物。
【請求項77】
前記基質が検出可能な標識である、請求項75に記載の反応混合物。
【請求項78】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項77に記載の反応混合物。
【請求項79】
前記反応混合物が、バイオチップ表面を含む基質を更に含み、
このとき、前記バイオチップ表面がバイオチップ表面に結合した少なくとも一の標的固定化プローブを含むものであり、
このとき、核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記標的固定化プローブが核酸標的分子に特異的に結合し、この核酸標的分子が前記複数の連結分子に特異的に結合し、そして、前記複数の連結分子が検出可能な標識に結合した複数の捕捉プローブに特異的に結合し、それによってバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、複数の連結分子および検出可能な標識を含む複合体が形成される、請求項77に記載の反応混合物。
【請求項80】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項79に記載の反応混合物。
【請求項81】
前記反応混合物が、
バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブを含むバイオチップ表面を含む基質と、
複数の第二連結分子
とを更に含み、
このとき、前記複数の第二連結分子が一又は複数のコピーで各々存在し、このそれぞれのメンバーが、
存在する核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分と、
バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブのうちの一つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分
とを含むものであり、
このとき、前記核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記複数の連結分子が、核酸標的分子と、検出可能な標識に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、そして、前記複数の第二連結分子が、この核酸標的分子と、バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体が形成される、請求項77に記載の反応混合物。
【請求項82】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項81に記載の反応混合物。
【請求項83】
検出可能な粒子に結合した複数の捕捉プローブを含む検出可能な粒子と、
連結分子
とを具備するキットであって、
このとき、前記連結分子が、
存在する核酸標的分子に特異的に結合する一又は複数の標的特異的結合部分であって、前記連結分子が複数の標的特異的結合部分を含むとき、この標的特異的結合部分のそれぞれが、存在する核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する、一又は複数の標的特異的結合部分と、
複数の捕捉プローブの少なくとも一つに特異的に結合する一又は複数の捕捉プローブ特異的結合部分
とを含むものであり、
このとき、前記連結分子が単一の標的特異的結合部分を含むとき、この連結分子が複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含み、そして、前記連結分子が単一の捕捉プローブ特異的結合部分を含むとき、この連結分子が複数の標的特異的結合部分を含むものである、キット。
【請求項84】
前記キットが、バイオチップ表面を含む基質を更に具備し、このとき、前記バイオチップ表面がバイオチップ表面に結合した少なくとも一つの標的固定化プローブを含み、この標的固定化プローブが、存在する核酸標的分子を特異的に結合するものである、請求項83に記載のキット。
【請求項85】
前記検出可能な粒子が磁性粒子である、請求項83に記載のキット。
【請求項86】
検出可能な粒子に結合した複数の捕捉プローブを含む検出可能な粒子と
複数の連結分子
とを具備するキットであって、
このとき、前記複数の連結分子が一又は複数のコピーで各々存在し、このそれぞれのメンバーが、
存在する核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分と、
前記複数の捕捉プローブのうちの1つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分とを含むものである、キット。
【請求項87】
バイオチップ表面を含む基質を更に具備し、
このとき前記バイオチップ表面がバイオチップ表面に結合した少なくとも一の標的固定化プローブを含み、この標的固定化プローブが、存在する核酸標的分子を特異的に結合するものである、請求項86に記載のキット。
【請求項88】
前記キットが、
バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブを含むバイオチップ表面を含む基質と
複数の第二連結分子
とを更に具備し、
このとき、前記複数の第二連結分子が一又は複数のコピーで各々存在し、このそれぞれのメンバーが、
存在する核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分と、
バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブの一つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分
とを含むものであり、
このとき、核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記複数の連結分子が、核酸標的分子と、検出可能な標識に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、そして、前記複数の第二連結分子が、この核酸標的分子と、バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体が形成される、請求項86に記載のキット。
【請求項89】
前記検出可能な粒子が磁性粒子である、請求項86に記載のキット。
【請求項1】
核酸標的分子を含む複合体の製造方法であって、
基質に結合した複数の捕捉プローブを含む基質と、
核酸標的分子を含有すると思われる試料と、
連結分子、
とを反応混合物に混合することを含み、
このとき、前記連結分子が、
存在する核酸標的分子に特異的に結合する標的特異的結合部分であって、該連結分子が標的特異的結合部分を複数含むとき、その標的特異的結合部分のそれぞれが、存在する核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する、一又は複数の標的特異的結合部分と、
複数の捕捉プローブの少なくとも一つに特異的に結合する一又は複数の捕捉プローブ特異的結合部分
とを含むものであり、
このとき、前記連結分子が単一の標的特異的結合部分を含むとき、その連結分子は複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含み、そして、前記連結分子が単一の捕捉プローブ特異的結合部分を含むとき、その連結分子は複数の標的特異的結合部分を含んでおり、
このとき、前記の混合が、前記連結分子が存在する核酸標的分子と複数の捕捉プローブの少なくとも一つとに特異的に結合するために十分な反応条件下にあり、
場合によって、反応混合物に架橋剤を添加し、存在する特異的に結合した核酸分子間に共有結合を形成させ、
このとき、核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記連結分子が、核酸標的分子と、基質に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって核酸標的分子、連結分子および基質を含む複合体が形成される、方法。
【請求項2】
さらに、前記複合体の有無を検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の方法により前記複合体が形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記複合体の少なくとも2つのメンバーを架橋結合することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
1つの前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記連結分子が、
1つの前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
複数の複合体が形成され、この複数のうちのそれぞれのメンバーが核酸標的分子、連結分子および基質を含み、このとき前記方法が、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により前記複数の複合体のうちの少なくとも2つを連結させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記基質がバイオチップ表面を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記基質が検出可能な標識である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記の方法が、バイオチップ表面を含む基質を前記反応混合物に含めることを更に含み、
このとき前記バイオチップ表面がバイオチップ表面に結合した少なくとも一の標的固定化プローブを含むものであり、
このとき前記混合が、存在する核酸標的分子が前記標的固定化プローブに特異的に結合するために十分な反応条件下にあり、そして、
このとき核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記標的固定化プローブが核酸標的分子に特異的に結合し、前記核酸標的分子が前記連結分子に特異的に結合し、そして前記連結分子が検出可能な標識に結合した一又は複数の捕捉プローブに特異的に結合し、これによってバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、連結分子および検出可能な標識を含む複合体が形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、前記バイオチップ表面、前記標的固定化プローブ、前記核酸標的分子、前記連結分子および前記検出可能な標識を含む前記複合体の有無を検出することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記方法により、前記バイオチップ表面、前記標的固定化プローブ、前記核酸標的分子、前記連結分子および前記検出可能な標識を含む前記複合体が形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、前記バイオチップ表面、前記標的固定化プローブ、前記核酸標的分子、前記連結分子および前記検出可能な標識を含む前記複合体の少なくとも2つのメンバーを架橋結合することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
1つの前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記連結分子が、
1つの前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部
分とを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記バイオチップ表面、前記標的固定化プローブ、前記核酸標的分子、前記連結分子および前記検出可能な標識を含む前記複合体は、2以上の検出可能な標識を含まない、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記バイオチップ表面、前記標的固定化プローブ、前記核酸標的分子、前記連結分子および前記検出可能な標識を含む前記複合体は、2以上の標的分子を含まない、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
複数の複合体が形成され、この複数のうちのそれぞれのメンバーがバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子および検出可能な標識を含んでおり、前記方法が、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により複数の複合体の少なくとも2つを連結させることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
前記方法が、
バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブを含むバイオチップ表面を含む基質と、
第二連結分子
とを反応混合物に含ませることを更に含み、
このとき、前記第二連結分子が、
存在する核酸標的分子に特異的に結合する一又は複数の標的特異的結合部分であって、該連結分子が標的特異的結合部分を複数含むとき、その標的特異的結合部分のそれぞれが、存在する核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する、一又は複数の標的特異的結合部分と、
バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブの少なくとも一つに特異的に結合する一又は複数の捕捉プローブ特異的結合部分
とを含むものであり、
このとき、前記第二連結分子が単一の標的特異的結合部分を含むとき、その第二連結分子は複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含み、そして、前記第二連結分子が単一の捕捉プローブ特異的結合部分を含むとき、その第二連結分子は複数の標的特異的結合部分を含んでおり、
このとき、前記の混合が、前記第二連結分子が、存在する核酸標的分子と、バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブの少なくとも一つとに特異的に結合するために十分な反応条件下にあり、
このとき、核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記連結分子が、前記核酸標的分子と、検出可能な標識に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、そして、前記第二連結分子が、核酸標的分子と、バイオチップ表面に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって検出可能な標識、連結分子、核酸標的分子、第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体が形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項24】
前記方法が、前記検出可能な標識、前記連結分子、前記核酸標的分子、前記第二連結分子および前記バイオチップ表面を含む前記複合体の有無を検出することを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記方法により、前記検出可能な標識、前記連結分子、前記核酸標的分子、前記第二連結分子および前記バイオチップ表面を含む前記複合体が形成される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記方法が、前記検出可能な標識、前記連結分子、前記核酸標的分子、前記第二連結分子および前記バイオチップ表面を含む前記複合体の少なくとも2つのメンバーを架橋結合させることを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記第二連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
1つの前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記第二連結分子が、
1つの前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記第二連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記検出可能な標識、前記連結分子、前記核酸標的分子、前記第二連結分子および前記バイオチップ表面を含む前記複合体が、2以上の検出可能な標識を含まない、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記検出可能な標識、前記連結分子、前記核酸標的分子、前記第二連結分子および前記バイオチップ表面を含む前記複合体が、2以上の標的分子を含まない、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
複数の複合体が形成され、この複数のうちのそれぞれのメンバーが、バイオチップ表面、第一および第二の連結分子、核酸標的分子および検出可能な標識を含んでおり、前記方法が、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により複数の複合体のうちの少なくとも2つを連結させることを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項23に記載の方法。
【請求項34】
核酸標的分子を含む複合体の製造方法であって、
基質に結合した複数の捕捉プローブを含む基質と、
核酸標的分子を含有すると思われる試料と、
複数の連結分子
とを、反応混合物に混合させることを含み、
このとき前記複数の連結分子のそれぞれのメンバーが一又は複数のコピーで各々存在し、それぞれのメンバーが、
存在する核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分と、
複数の捕捉プローブのうちの一つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分
とを含むものであり、
このとき前記の混合が、複数の連結分子が、存在する核酸標的分子と、基質に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合するために十分な反応条件下にあり、
場合によって、反応混合物に架橋剤を添加し、存在する特異的に結合した核酸分子間に共有結合を形成させることを含み、
このとき、核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記の複数の連結分子が、核酸標的分子の複数の異なる領域と、基質に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって核酸標的分子、複数の連結分子および基質を含む複合体が形成される、方法。
【請求項35】
前記方法が、前記複合体の有無を検出することを更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記方法により前記複合体が形成される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記方法が、前記複合体の少なくとも2つのメンバーを架橋結合させることを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
複数の複合体が形成され、この複数のうちのそれぞれのメンバーがバイオチップ表面、複数の連結分子、核酸標的分子および検出可能な標識を含んでおり、前記方法が、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により複数の複合体の少なくとも2つを連結させることを更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記基質がバイオチップ表面を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記基質が検出可能な標識である、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
バイオチップ表面を含む基質を反応混合物に含ませることを更に含み、
このとき前記バイオチップ表面がバイオチップ表面に結合した少なくとも一の標的固定化プローブを含むものであり、
このとき前記混合が、存在する核酸標的分子が前記標的固定化プローブに特異的に結合するために十分な反応条件下にあり、
このとき、核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記標的固定化プローブがこの核酸標的分子に特異的に結合し、この核酸標的分子が前記複数の連結分子に特異的に結合し、そして、前記複数の連結分子が検出可能な標識に結合した複数の捕捉プローブに特異的に結合し、これによってバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、複数の連結分子および検出可能な標識を含む複合体が形成される、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記方法が、前記バイオチップ表面、前記標的固定化プローブ、前記核酸標的分子、前記複数の連結分子および前記検出可能な標識を含む前記複合体の有無を検出することを更に含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記方法により、前記バイオチップ表面、前記標的固定化プローブ、前記核酸標的分子、前記複数の連結分子および前記検出可能な標識を含む前記複合体が形成される、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記方法が、前記バイオチップ表面、前記標的固定化プローブ、前記核酸標的分子、前記複数の連結分子および前記検出可能な標識を含む前記複合体の少なくとも2つのメンバーを架橋結合することを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記バイオチップ表面、前記標的固定化プローブ、前記核酸標的分子、前記複数の連結分子および前記検出可能な標識を含む前記複合体が、2以上の検出可能な標識を含まない、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記バイオチップ表面、前記標的固定化プローブ、前記核酸標的分子、前記複数の連結分子および前記検出可能な標識を含む前記複合体が、2以上の標的分子を含まない、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
複数の複合体が形成され、この複数のうちのそれぞれのメンバーがバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、複数の連結分子および検出可能な標識を含んでおり、前記方法が、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により複数の複合体の少なくとも2つを連結させることを更に含む、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項42に記載の方法。
【請求項50】
前記方法が、
バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブを含むバイオチップ表面を含む基質と、
複数の第二連結分子
とを反応混合物に含ませることを更に含み、
このとき、前記複数の第二連結分子のそれぞれのメンバーが一又は複数のコピーで各々存在し、このそれぞれのメンバーが、
存在する核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分と、
バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブのうちの一つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分
とを含むものであり、
このとき、前記の混合が、前記複数の第二連結分子が、存在する核酸標的分子と、バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合するために十分な反応条件下にあり、
このとき、核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記複数の連結分子が、核酸標的分子と、検出可能な標識に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、そして、前記複数の第二連結分子が、核酸標的分子と、バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体が形成される、請求項40に記載の方法。
【請求項51】
前記方法が、前記検出可能な標識、前記複数の連結分子、前記核酸標的分子、前記複数の第二連結分子および前記バイオチップ表面を含む前記複合体の有無を検出することを更に含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記方法により、前記検出可能な標識、前記複数の連結分子、前記核酸標的分子、前記複数の第二連結分子および前記バイオチップ表面を含む前記複合体が形成される、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記方法が、前記検出可能な標識、前記複数の連結分子、前記核酸標的分子、前記複数の第二連結分子および前記バイオチップ表面を含む前記複合体の少なくとも2つのメンバーを架橋結合することを更に含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記検出可能な標識、前記複数の連結分子、前記核酸標的分子、前記複数の第二連結分子および前記バイオチップ表面を含む前記複合体が、2以上の検出可能な標識を含まない、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
前記検出可能な標識、前記複数の連結分子、前記核酸標的分子、前記複数の第二連結分子および前記バイオチップ表面を含む前記複合体が、2以上の標的分子を含まない、請求項50に記載の方法。
【請求項56】
複数の複合体が形成され、この複数のうちのそれぞれのメンバーが、検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二連結分子およびバイオチップ表面を含んでおり、前記方法が、反応混合物に架橋剤を添加し、一又は複数の共有結合により複数の複合体のうちの少なくとも2つを連結させることを更に含む、請求項50に記載の方法。
【請求項57】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項50に記載の方法。
【請求項58】
基質に結合した複数の捕捉プローブを含む基質と、
核酸標的分子を含有すると思われる試料と、
連結分子
とを含む反応混合物であって、
このとき、前記連結分子が、
存在する核酸標的分子に特異的に結合する一又は複数の標的特異的結合部分であって、前記連結分子が複数の標的特異的結合部分を含むとき、この標的特異的結合部分のそれぞれが、存在する核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する、一又は複数の標的特異的結合部分と、
複数の捕捉プローブの少なくとも一つに特異的に結合する一又は複数の捕捉プローブ特異的結合部分
とを含むものであり、
このとき、前記連結分子が単一の標的特異的結合部分を含むとき、この連結分子が複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含み、そして、前記連結分子が単一の捕捉プローブ特異的結合部分を含むとき、この連結分子が複数の標的特異的結合部分を含んでおり、そして、
このとき、核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記連結分子が、核酸標的分子と、基質に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって核酸標的分子、連結分子および基質を含む複合体が形成される、反応混合物。
【請求項59】
前記基質がバイオチップ表面を含む、請求項58に記載の反応混合物。
【請求項60】
前記基質が検出可能な標識である、請求項58に記載の反応混合物。
【請求項61】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項60に記載の反応混合物。
【請求項62】
前記連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
1つの前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項58に記載の反応混合物。
【請求項63】
前記連結分子が、
1つの前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項58に記載の反応混合物。
【請求項64】
前記連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項58に記載の反応混合物。
【請求項65】
前記反応混合物が、バイオチップ表面を含む基質を更に含み、
このとき、前記バイオチップ表面がバイオチップ表面に結合した少なくとも一の標的固定化プローブを含むものであり、
このとき、核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記標的固定化プローブが核酸標的分子に特異的に結合し、この核酸標的分子が前記連結分子に特異的に結合し、そして、前記連結分子が検出可能な標識に結合した一又は複数の捕捉プローブに特異的に結合し、それによってバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、連結分子および検出可能な標識を含む複合体が形成される、請求項60に記載の反応混合物。
【請求項66】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項65に記載の反応混合物。
【請求項67】
前記連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
1つの前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項65に記載の反応混合物。
【請求項68】
前記連結分子が、
1つの前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項65に記載の反応混合物。
【請求項69】
前記連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項65に記載の反応混合物。
【請求項70】
前記反応混合物が、
バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブを含むバイオチップ表面を含む基質と、
第二連結分子
とを更に含み、
このとき、前記第二連結分子が、
存在する核酸標的分子に特異的に結合する一又は複数の標的特異的結合部分であって、前記第二連結分子が複数の標的特異的結合部分を含むとき、この標的特異的結合部分のそれぞれが、存在する核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する、一又は複数の標的特異的結合部分と、
バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブの少なくとも一つに特異的に結合する一又は複数の捕捉プローブ特異的結合部分
とを含むものであり、
このとき、前記第二連結分子が単一の標的特異的結合部分を含むとき、この第二連結分子が複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含み、そして、前記第二連結分子が単一の捕捉プローブ特異的結合部分を含むとき、この第二連結分子が複数の標的特異的結合部分を含んでおり、そして、
このとき、核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記連結分子が、核酸標的分子と、検出可能な標識に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、そして、前記第二連結分子が、核酸標的分子と、バイオチップ表面に結合した一又は複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって検出可能な標識、連結分子、核酸標的分子、第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体が形成される、請求項60に記載の反応混合物。
【請求項71】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項70に記載の反応混合物。
【請求項72】
前記第二連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
1つの前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項70に記載の反応混合物。
【請求項73】
前記第二連結分子が、
1つの前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項70に記載の反応混合物。
【請求項74】
前記第二連結分子が、
複数の前記標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブ特異的結合部分
とを含む、請求項70に記載の反応混合物。
【請求項75】
基質に結合した複数の捕捉プローブを含む基質と、
核酸標的分子を含有すると思われる試料と、
複数の連結分子
とを含む反応混合物であって、
このとき、前記の複数の連結分子のそれぞれのメンバーが一又は複数のコピーで各々存在し、このそれぞれのメンバーが、
存在する核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分と、
複数の前記捕捉プローブのうちの一つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分
とを含むものであり、
このとき、核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記複数の連結分子が、この核酸標的分子の複数の異なる領域と、基質に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって核酸標的分子、複数の連結分子および基質を含む複合体が形成される、反応混合物。
【請求項76】
前記基質がバイオチップ表面を含む、請求項75に記載の反応混合物。
【請求項77】
前記基質が検出可能な標識である、請求項75に記載の反応混合物。
【請求項78】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項77に記載の反応混合物。
【請求項79】
前記反応混合物が、バイオチップ表面を含む基質を更に含み、
このとき、前記バイオチップ表面がバイオチップ表面に結合した少なくとも一の標的固定化プローブを含むものであり、
このとき、核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記標的固定化プローブが核酸標的分子に特異的に結合し、この核酸標的分子が前記複数の連結分子に特異的に結合し、そして、前記複数の連結分子が検出可能な標識に結合した複数の捕捉プローブに特異的に結合し、それによってバイオチップ表面、標的固定化プローブ、核酸標的分子、複数の連結分子および検出可能な標識を含む複合体が形成される、請求項77に記載の反応混合物。
【請求項80】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項79に記載の反応混合物。
【請求項81】
前記反応混合物が、
バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブを含むバイオチップ表面を含む基質と、
複数の第二連結分子
とを更に含み、
このとき、前記複数の第二連結分子が一又は複数のコピーで各々存在し、このそれぞれのメンバーが、
存在する核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分と、
バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブのうちの一つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分
とを含むものであり、
このとき、前記核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記複数の連結分子が、核酸標的分子と、検出可能な標識に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、そして、前記複数の第二連結分子が、この核酸標的分子と、バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体が形成される、請求項77に記載の反応混合物。
【請求項82】
前記検出可能な標識が磁性粒子である、請求項81に記載の反応混合物。
【請求項83】
検出可能な粒子に結合した複数の捕捉プローブを含む検出可能な粒子と、
連結分子
とを具備するキットであって、
このとき、前記連結分子が、
存在する核酸標的分子に特異的に結合する一又は複数の標的特異的結合部分であって、前記連結分子が複数の標的特異的結合部分を含むとき、この標的特異的結合部分のそれぞれが、存在する核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する、一又は複数の標的特異的結合部分と、
複数の捕捉プローブの少なくとも一つに特異的に結合する一又は複数の捕捉プローブ特異的結合部分
とを含むものであり、
このとき、前記連結分子が単一の標的特異的結合部分を含むとき、この連結分子が複数の捕捉プローブ特異的結合部分を含み、そして、前記連結分子が単一の捕捉プローブ特異的結合部分を含むとき、この連結分子が複数の標的特異的結合部分を含むものである、キット。
【請求項84】
前記キットが、バイオチップ表面を含む基質を更に具備し、このとき、前記バイオチップ表面がバイオチップ表面に結合した少なくとも一つの標的固定化プローブを含み、この標的固定化プローブが、存在する核酸標的分子を特異的に結合するものである、請求項83に記載のキット。
【請求項85】
前記検出可能な粒子が磁性粒子である、請求項83に記載のキット。
【請求項86】
検出可能な粒子に結合した複数の捕捉プローブを含む検出可能な粒子と
複数の連結分子
とを具備するキットであって、
このとき、前記複数の連結分子が一又は複数のコピーで各々存在し、このそれぞれのメンバーが、
存在する核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分と、
前記複数の捕捉プローブのうちの1つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分とを含むものである、キット。
【請求項87】
バイオチップ表面を含む基質を更に具備し、
このとき前記バイオチップ表面がバイオチップ表面に結合した少なくとも一の標的固定化プローブを含み、この標的固定化プローブが、存在する核酸標的分子を特異的に結合するものである、請求項86に記載のキット。
【請求項88】
前記キットが、
バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブを含むバイオチップ表面を含む基質と
複数の第二連結分子
とを更に具備し、
このとき、前記複数の第二連結分子が一又は複数のコピーで各々存在し、このそれぞれのメンバーが、
存在する核酸標的分子の異なる領域に特異的に結合する標的特異的結合部分と、
バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブの一つの捕捉プローブに特異的に結合する捕捉プローブ特異的結合部分
とを含むものであり、
このとき、核酸標的分子が前記試料中に存在するとき、前記複数の連結分子が、核酸標的分子と、検出可能な標識に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、そして、前記複数の第二連結分子が、この核酸標的分子と、バイオチップ表面に結合した複数の捕捉プローブとに特異的に結合し、それによって検出可能な標識、複数の連結分子、核酸標的分子、複数の第二連結分子およびバイオチップ表面を含む複合体が形成される、請求項86に記載のキット。
【請求項89】
前記検出可能な粒子が磁性粒子である、請求項86に記載のキット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2012−509062(P2012−509062A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536388(P2011−536388)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/063210
【国際公開番号】WO2010/056577
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(508097571)マジック・テクノロジーズ・インク (3)
【氏名又は名称原語表記】MAGIC TECHNOLOGIES INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/063210
【国際公開番号】WO2010/056577
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(508097571)マジック・テクノロジーズ・インク (3)
【氏名又は名称原語表記】MAGIC TECHNOLOGIES INC.
【Fターム(参考)】
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