説明

連結式引戸

【課題】引戸パネルの奥行き寸法を小さくし、隣接するフェンスとのデザイン上の統一性をとれるようにした連結式引戸を提供する。
【解決手段】台車に引戸パネルP1,P2を立設した引戸を複数個用い、各引戸を一方の引戸パネルに設けたガイドレール4,5と他方の引戸パネルに取付けたガイドローラ6,7で係合して伸縮自在に連結した連結式引戸であって、引戸パネルP1,P2は、左右の縦框1,2と、左右の縦框1,2の間に並列して立設される複数本の縦格子3を備え、複数本の縦格子3を上部に配置される上ガイドレール4と下部に配置される下ガイドレール5で互いに固定している。上ガイドレール4は、縦格子3の上方部分における裏面側を切り欠いて形成した切り欠きに嵌められている。上下ガイドレール4,5におけるガイドローラ6,7に対向する側の外側面は、縦格子3の裏面と面一となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結式引戸に関する。さらに詳しくは、門扉、玄関戸、雨戸、間仕切り扉等の開口部を開け閉めする連結式引戸に関する。
【背景技術】
【0002】
連結式引戸は、複数台の台車に載せた複数枚の引戸パネルを互いに連結したもので、収納時はコンパクトでありながら、長さの長い開口部を開け閉めすることができる引戸である。このような連結式引戸の従来例としては、特許文献1,2を例示できるが、基本構造は、図5に示すとおりである。
【0003】
図5において、(A)図は閉戸状態を示し、(B)図は開戸状態を示す。この連結引戸は3連型であり、3枚の引戸パネルP1〜P3を4台の台車C1〜C4に載せている。各台車C1〜C4は地面に設置された一対のレールR,R上を走行する。引戸パネルP1の吊元は台車C1に支持され、引戸パネルP2の吊元は台車C2に支持され、引戸パネルP3の両端、すなわち吊元と戸当りは2台の台車C3,C4に支持されている。
そして、引戸パネルP1,P2の戸当り側にはガイドローラroを取付けており、それぞれ引戸パネルP2,P3に設けたガイドレール(図示省略)に嵌められている。すなわち、引戸パネルP1,P2の戸当り側はガイドローラroと相手方引戸パネルP2,P3のガイドレールで支持されるようになっている。なお、4連以上の連結式引戸は、引戸パネルと台車の数が多くなるだけで、基本構造に変りはない。
【0004】
ところで、連結式引戸は、開口部の両側にフェンスFが設けられた場所に設置されることも多く、フェンスFが縦格子で構成されたものであるときは、デザインの統一性を持たせるため、引戸パネルも縦桟を入れて構成することが多くなっている。
【0005】
図6の引戸パネルPはその一例であり、左右の縦框1,2と上下の胴縁3,4で形作られた四角形の枠体の中に多数本の縦格子5を並べている。この多数の縦格子5は、図5に示すフェンスFの縦格子と同じか、よく似た形状、寸法であると、デザインの統一性を持たせることができ、建物の外観をすっきりした美しいものにすることができる。
【0006】
ところで、図6に示す引戸パネルPでは、隣接する引戸パネルのガイドローラroを支持するガイドレールraは縦格子5の側面に外付け方式で取付けるものであった。この場合、縦格子5に対しガイドレールraが出っ張って見えるので見映えがよくない。また、左右の縦框1,2は奥付き寸法を大きくして、縦格子5とガイドレールraを合わした寸法wとしなければならない。この場合、隣接するフェンスFの縦格子よりも太くなってしまうので、デザイン上の統一感が失われてしまう。
また、隣り合う引戸パネルP,P間に隙間dが生じるので、連結枚数の多い連結式引戸では奥行き寸法が嵩張ったものとなり、さらには、小動物の進入を許すなどの弊害も生ずる。
さらに、目隠し効果を期待する場合は、縦格子の奥行き寸法を大きくしたものが好まれているが、連結式引戸の奥行き寸法の嵩張りが顕著なものとなっていた。
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第2528615号
【特許文献2】実用新案登録第2544291号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、引戸パネルの奥行き寸法を小さくし、隣接するフェンスとのデザイン上の統一性をとれるようにした連結式引戸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明の連結式引戸は、台台車に引戸パネルを立設した引戸を複数個用い、各引戸を一方の引戸パネルに設けたガイドレールと他方の引戸パネルに取付けたガイドローラで係合して伸縮自在に連結した連結式引戸であって、前記引戸パネルは、左右の縦框と、該左右の縦框の間に並列して立設される複数本の縦格子を備え、前記複数本の縦格子を上部に配置される上ガイドレールと下部に配置される下ガイドレールで互いに固定している少なくとも上ガイドレールは縦格子の上方部分における裏面側を切り欠いて形成した切り欠きに嵌合していることを特徴とする。
第2発明の連結式引戸は、第1発明において、前記上下ガイドレールにおける前記ガイドローラに対向する側の外側面は、前記縦格子の裏面と面一となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、上下のガイドレールを用いて引戸パネルの枠体を構成するので、上下の胴縁を別に用意する必要はなく、引戸パネルをコンパクトな構成にすることができる。また、上ガイドレールは縦格子の切欠きの中に入っているので、ガイドレールが引戸パネルから出張らない。このため、隣り合う引戸パネルとの間で奥行き方向の隙間が生じないので、引戸の閉鎖性能を高めることができ、小動物等の進入も防止できる。
第2発明によれば、上下のガイドレールとも縦格子に対し面一となって段差が生じないので、すっきりとした美しいデザインに仕上る。このため、縦格子付きのフェンスと共に設置した場合のデザインの統一性も向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図4は本発明の一実施形態に係る連結式引戸の全体を示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
まず、図4に基づき、本発明の連結式引戸の基本構成を説明しておく。この連結式引戸は2連型であって、2枚の引戸パネルP1,P2が3台の台車C1〜C3に立設されている。各台車C1〜C3は地面に設置された一対のレールR,R上を走行する。引戸パネルP1の吊元は台車C1に支持され、引戸パネルP2の両端、すなわち吊元と戸当りは2台の台車C2,C3に支持されている。なお、3連以上の連結式引戸は、台車の数と引戸パネルの数が多くなるが、基本構造は同様である。
【0012】
また、同図においてFはフェンスを示し、連結式引戸が設置される開口部の両側、または一方の側方に設置される。フェンスFには種々のものがあるが、縦格子fを沢山、並列に立てたデザインのものを例示している。
【0013】
図1は本発明の連結式引戸における引戸パネルを示し、(A)は側面図、(B)は正面図である。また、図1は図4に示す引戸パネルP2を示している。
この引戸パネルP2は、左右の縦框1,2の間に沢山の縦格子3を立てて並べたものである。そして、左右の縦框1,2間の縦格子3は上ガイドレール4と下ガイドレール5で結合されている。つまり、上下のガイドレール4,5は従来の引戸パネルにおける上下の胴縁を兼ねている。なお、左右の縦框1,2に対する上ガイドレール4の固定および下ガイドレール5の固定は、適宜のビスをねじ込む等の公知の方法によって行われる。
【0014】
また、上ガイドレール4は、各縦格子3の上方部分を切り欠いた切り欠き3hに嵌め込み、さらにビス止め等によって各縦格子3と連結される。
下ガイドレール5の上面には、各縦格子3の下端が当てられ、下ガイドレール5と各縦格子3がビス等によって連結されている。なお、各縦格子3の上端は防犯に有利な剣先形となっている。
【0015】
図2は上下ガイドレールを示す図で、図4のII矢視図である。図3は上下ガイドレールを示す図で、(A)図は図2のIIIA矢視図、(B)図は図2のIIIB矢視図である。
上記図2および図3に基づき、さらに詳しく説明する。
前記上ガイドレール4はアルミニウム製の押出形材であり、断面が長四角形の外枠41と、その内部に形成された断面V字形のレール部42とからなる。また、隣り合う引戸パネルP1に向き合う側の外側面には開口43が形成され、後述するガイドローラの軸が通されている。
【0016】
この上ガイドレール4は各縦格子3の上方部分に形成された長四角形の切欠き3hに嵌めこまれている。さらに、縦格子3の上部はビス46で上ガイドレール4に固定されている。
そして、上ガイドレール4の外側面44は、縦格子3の裏面34と面一となっている。すなわち、外側面44と裏面34は同一平面上にあって、いずれも出張らず段差のない形状となっている。
【0017】
前記下ガイドレール5はアルミニウム製の押出形材であり、断面が長四角形の外枠51と、その内部に形成された断面V字形のレール部52とを有している。
前記外枠51の上面には長手方向に延びる取付枠55を係合爪を介して結合している。そして、縦格子3の下部はビス56で取付枠55に固定されている。
そして、前記外枠51の奥行き寸法は左右の縦框1,2と同一寸法である。
この外枠51の外側面には開口53が形成され、後述するガイドローラの軸が通されている。
【0018】
前記引戸パネルP2と隣り合う引戸パネルP1の戸当り側の端部には、上下のガイドローラ6,7が取付けられている。上ガイドローラ6は、上ブラケット8で引戸パネルP1の縦框に固定され、下ガイドローラ7は下ブラケット9で引戸パネルP1の縦框に固定されている。
【0019】
前記引戸パネルP1の上下のガイドローラ6,7は、引戸パネルP2のガイドレール4,5を走行するように嵌められている。このような係合支持構造によって、引戸パネルP1の戸当り側が下がらないように支持されている。また、ガイドローラ6,7が縦框に当ることによって、引戸パネルP1を引出すと引戸パネルP2を連れ動かすことができ、ガイドローラ6,7がガイドレール4,5上を転動することによって、引戸パネルP1を押し戻すと引戸パネルP2の戸当り側へ戻すことができる。
【0020】
上記に2連式の連結式引戸を説明したが、3連以上の連結式引戸にも本発明を適用でき、各引戸パネルは上記実施形態と同様に構成できる。上ガイドレール4を縦格子3の切り欠き3hに嵌めたが、下ガイドレールも同様に縦格子に形成した切り欠きに嵌めても構わない。
【0021】
上記に2連式の連結式引戸を説明したが、3連以上の連結式引戸にも本発明を適用でき、各引戸パネルは上記実施形態と同様に構成できる。
【0022】
上記実施形態の連結式引戸によれば、つぎの利点を奏することができる。
a)上下のガイドレール4,5を用いて引戸パネルの枠体を構成するので、上下の胴縁を別に用いる必要はなく、引戸パネルをコンパクトな構成にすることができる。
b)上ガイドレール4は縦格子3の切欠き3hの中に入っており、下ガイドレール5は縦框1,2と同じ奥行き寸法であるので、ガイドレール4,5が引戸パネルから出張らない。このため、隣り合う引戸パネルP1,P2との間で奥行き方向の隙間dが生じないので、引戸としての閉鎖性能を高めることができる。また、そのため小動物等の進入も防止できる。
c)上下のガイドレール4,5とも縦格子3に対し面一となって段差が生じないので、すっきりとした美しいデザインに仕上る。このため、縦格子付きのフェンスFと共に設置した場合のデザインの統一性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る連結式引戸における引戸パネルを示し、(A)は側面図、(B)は正面図である。
【図2】上下ガイドレールを示す図で、図4のII矢視図である。
【図3】上下ガイドレールを示す図で、(A)図は図2のIIIA矢視図、(B)図は図2のIIIB矢視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る連結式引戸を示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図5】連結式引戸の説明図である。
【図6】従来の連結式引戸における引戸パネルを示し、(A)図は側面図、(B)図は正面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 左縦框
2 右縦框
3 縦格子
4 上ガイドレール
5 下ガイドレール
6 上ガイドローラ
7 下ガイドローラ
P1,P2 引戸パネル
C1〜C4 台車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車に引戸パネルを立設した引戸を複数個用い、各引戸を一方の引戸パネルに設けたガイドレールと他方の引戸パネルに取付けたガイドローラで係合して伸縮自在に連結した連結式引戸であって、
前記引戸パネルは、左右の縦框と、該左右の縦框の間に並列して立設される複数本の縦格子を備え、前記複数本の縦格子を上部に配置される上ガイドレールと下部に配置される下ガイドレールで互いに固定している
少なくとも上ガイドレールは縦格子の上方部分における裏面側を切り欠いて形成した切り欠きに嵌合している
ことを特徴とする連結式引戸。
【請求項2】
前記上下ガイドレールにおける前記ガイドローラに対向する側の外側面は、前記縦格子の裏面と面一となっている
ことを特徴とする請求項1記載の連結式引戸。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−174152(P2009−174152A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12205(P2008−12205)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000180302)四国化成工業株式会社 (167)
【出願人】(000230928)シコク景材株式会社 (18)
【Fターム(参考)】