説明

連結梁装置及びユニット建物

【課題】凹所に掛け渡した連結梁を有効活用することができる連結梁装置及びユニット建物を得る。
【解決手段】ユニット住宅10の外周の中間部には、屋内側に凹んだ凹所20が形成されている。凹所20には、連結梁装置30として、凹所20に跨るように掛け渡された連結梁32と、連結梁32に凹所20内に引き出し可能に取り付けられたオーニングテント34とが設けられている。オーニングテント34の引き出し方向の先端部34Aには、支持部材36が設けられている。支持部材36はホルダー50に保持されており、ホルダー50は、凹所20内の建物ユニット12A、12Bと建物ユニット13A、13Bとの角部、及び建物ユニット14B等と建物ユニット15A、15Bとの角部に配設されたレール部38に沿って、上下方向にスライドする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外周の中間部に屋内側へ凹むように形成された凹所に設けられる連結梁装置、及びこの連結梁装置を備えたユニット建物に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ユニット建物の外周に形成された凹所を挟んで対向する建物ユニット間に、凹所に跨るように補強梁を掛け渡した構造が開示されている。
【特許文献1】特開平10−306504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記先行技術では、ユニット建物の凹所に補強梁を掛け渡すことで、構造的にはユニット建物の剛性を高める効果があるが、補強梁そのものに付随的な機能性を施したものではなく、補強梁が有効活用されていない。
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、凹所に掛け渡した連結梁を有効活用することができる連結梁装置及びユニット建物を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明に係る連結梁装置は、建物の外周の端部を除く所定位置に屋内側へ凹むように形成された凹所に設けられる連結梁装置であって、前記凹所内で対向する建物外壁部の間に跨るように掛け渡された連結梁と、前記連結梁に、環境調整機能、防犯機能及び管理機能の少なくとも何れか1つからなる付随的な機能を付加する機能付加手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の連結梁装置において、前記機能付加手段は、前記連結梁に前記凹所における建物本体方向又は建物本体に対して平行な方向に引き出し可能に取付けられたオーニングテントであることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2に記載の連結梁装置において、前記機能付加手段は、前記凹所における建物本体に建物高さ方向にスライド可能取付けられ、かつ前記オーニングテントが建物本体方向に引き出されたときに、前記オーニングテントの先端部が係止される係止部材をさらに備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1に記載の連結梁装置において、前記機能付加手段は、前記連結梁に長手方向に水平移動が可能に取付けられ、かつ下方側へ散水が可能なシャワーヘッドであることを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1に記載の連結梁装置において、前記機能付加手段は、前記連結梁の下方側に引き出しが可能に取付けられ、かつ前記凹所を閉鎖可能な防犯シャッタであることを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1に記載の連結梁装置において、前記機能付加手段は、前記連結梁に取付けられ、かつ前記連結梁の下方側の略全長を感知領域とする人感センサを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、請求項6に記載の連結梁装置において、前記機能付加手段は、前記連結梁に取付けられた照明装置及びスピーカの少なくとも一方をさらに備え、かつ前記人感センサにより前記凹所へ近づき又は侵入する者が感知されたときに、前記照明装置の点灯及び前記スピーカからの威嚇音の出力の少なくとも一方を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明に係る建物ユニットは、複数の建物ユニットをつなぎ合わせて構築されるユニット建物であって、ユニット建物の外周の端部を除く所定位置に屋内側へ凹むように凹所が形成され、かつ前記凹所を挟んで対向する建物ユニット間に、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の連結梁装置を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明は、請求項8に記載のユニット建物において、前記連結梁装置の取付け相手となる建物ユニットには、前記機能付加手段に接続される付帯設備が予め工場で組み込まれ、建築地で前記建物ユニットと前記連結梁装置をセットして前記付帯設備と前記機能付加手段とを接続することを特徴とする。
【0014】
請求項1記載の本発明によれば、建物の外周の端部を除く所定位置に屋内側へ凹むように凹所が形成されており、凹所内で対向する建物外壁部には、当該建物外壁部の間に跨るように連結梁が掛け渡されている。さらに、凹所には、連結梁に環境調整機能、防犯機能及び管理機能の少なくとも何れか1つからなる付随的な機能を付加する機能付加手段が設けられている。この機能付加手段によって、凹所内の環境調整、防犯及び管理の少なくとも何れか1つを行うことができ、連結梁により建物の剛性を高めることに加えて、連結梁を有効活用することができる。
【0015】
請求項2記載の本発明によれば、凹所内で対向する建物外壁部の間に掛け渡された連結梁には、凹所における建物本体方向又は建物本体に対して平行な方向に引き出し可能にオーニングテントが取付けられている。このオーニングテントを連結梁から建物本体方向に引き出すことにより、例えば、状況に応じて凹所内へ入る西日、風、若しくは雨等を遮り、又は屋外側からの視線を遮るなどの環境調整、凹所内の管理等を行うことが可能となる。従って、連結梁によって建物の剛性を高めることに加えて、連結梁に取付けられたオーニングテントによって環境調整機能、管理機能を付加することができ、連結梁を有効活用することができる。
【0016】
請求項3記載の本発明によれば、凹所における建物本体に建物高さ方向にスライド可能に係止部材が取付けられており、オーニングテントが建物本体方向に引き出されたときに、オーニングテントの先端部が係止部材に係止される。これによって、係止部材を建物本体の上下方向の所望の位置にスライドさせて、オーニングテントの先端部を係止させることで、オーニングテントの角度を調整することができる。このため、状況に応じて凹所の環境調整、管理等をより効果的に行うことができる。
【0017】
請求項4記載の本発明によれば、凹所内で対向する建物外壁部の間に掛け渡された連結梁には、長手方向に水平移動が可能にシャワーヘッドが取付けられており、シャワーヘッドから下方側に散水が可能となっている。例えば、凹所内へ自動車などを止めてシャワーヘッドから下方側に散水することで、洗車を行うことができる。このため、連結梁によって建物の剛性を高めることに加えて、連結梁に取付けられたシャワーヘッドによって給水、散水などの管理機能等を付加することができ、連結梁を有効活用することができる。
【0018】
請求項5記載の本発明によれば、凹所内で対向する建物外壁部の間に掛け渡された連結梁には、下方側に引き出しが可能に防犯シャッタが取付けられており、防犯シャッタを下方側に引き出すことにより、凹所が閉鎖される。従って、防犯シャッタで凹所を閉鎖することで、凹所への侵入者を阻止することができ、防犯性を高めることができる。このため、連結梁によって建物の剛性を高めることに加えて、連結梁に取付けられた防犯シャッタによって防犯機能を付加することができ、連結梁を有効活用することができる。
【0019】
請求項6記載の本発明によれば、凹所内で対向する建物外壁部の間に掛け渡された連結梁には、当該連結梁の下方側の略全長を感知領域とする人感センサが取付けられており、凹所へ近づく者又は凹所への侵入者を感知することができる。このため、連結梁によって建物の剛性を高めることに加えて、連結梁に取付けられた人感センサによって防犯機能を付加することができ、連結梁を有効活用することができる。
【0020】
請求項7記載の本発明によれば、連結梁に防犯照明及びスピーカの少なくとも一方が設けられており、人感センサにより凹所へ近づく者又は凹所への侵入者が感知されたときに、防犯照明の点灯及びスピーカからの威嚇音の出力の少なくとも一方が行われる。このため、防犯機能をより一層高めることができる。
【0021】
請求項8記載の本発明によれば、ユニット建物の外周の端部を除く所定位置に屋内側へ凹むように凹所が形成されており、凹所を挟んで対向する建物ユニット間に請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の連結梁装置が設けられているので、連結梁に環境調整機能、防犯機能及び管理機能の少なくとも何れか1つからなる付随的な機能を付加することができる。このため、連結梁によって建物の剛性を高めることに加えて、付随的な機能を付加することで、連結梁を有効活用することができる。
【0022】
請求項9記載の本発明によれば、連結梁装置の取付け相手となる建物ユニットには、機能付加手段に接続される付帯設備が予め工場で組み込まれており、建築地で建物ユニットと連結梁装置をセットして付帯設備と機能付加手段とを接続する。これにより、建築地での作業が少なくなり、施工期間の短縮が可能となる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係る連結梁装置は、建物の凹所に掛け渡した連結梁に付随的な機能を付加することができ、連結梁を有効活用することができるという優れた効果を有する。
【0024】
請求項2記載の本発明に係る連結梁装置は、建物の凹所に掛け渡した連結梁にオーニングテントを取付けることで、環境調整機能又は管理機能を付加することができ、連結梁を有効活用することができるという優れた効果を有する。
【0025】
請求項3記載の本発明に係る連結梁装置は、オーニングテントの先端部の建物本体に引き出される位置を調整することができ、環境調整機能又は管理機能を高めることができるという優れた効果を有する。
【0026】
請求項4記載の本発明に係る連結梁装置は、建物の凹所に掛け渡した連結梁にシャワーヘッドを取付けることで、管理機能等を付加することができ、連結梁を有効活用することができるという優れた効果を有する。
【0027】
請求項5記載の本発明に係る連結梁装置は、建物の凹所に掛け渡した連結梁に防犯シャッタを取付けることで、防犯機能を付加することができ、連結梁を有効活用することができるという優れた効果を有する。
【0028】
請求項6記載の本発明に係る連結梁装置は、建物の凹所に掛け渡した連結梁に人感センサを取付けることで、防犯機能を付加することができ、連結梁を有効活用することができるという優れた効果を有する。
【0029】
請求項7記載の本発明に係る連結梁装置は、凹所への侵入者が感知されたときに、防犯照明を点灯し、又はスピーカから威嚇音を出力することができ、防犯機能を高めることができるという優れた効果を有する。
【0030】
請求項8記載の本発明に係るユニット建物は、ユニット建物の凹所に掛け渡した連結梁に付随的な機能を付加することができ、連結梁を有効活用することができるという優れた効果を有する。
【0031】
請求項9記載の本発明に係るユニット建物は、建築地での作業が少なくなり、施工期間の短縮が可能となるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
〔第1実施形態〕
以下、図1〜図4を用いて、本発明に係る建物の第1実施形態について説明する。
【0033】
図1には、本実施形態に係る建物としてのユニット住宅の外観の斜視図が示されている。この図に示されるように、ユニット住宅10は、工場で箱形の建物ユニット11A〜17A(建物ユニット14Aについては符号を省略)、11B〜17Bを生産した後、建物ユニット11A〜17A、11B〜17Bを現場に搬入して、順次クレーンで据付けていくことにより構築されるようになっている。このユニット住宅10は、基礎(図示省略)上に隣接して配置された1階の建物ユニット11A〜17Aと、これらの1階の建物ユニット11A〜17Aの上に隣接して配置された2階の建物ユニット11B〜17Bとで構成されており、2階の建物ユニット11B〜17Bの上には図示しない屋根が設けられている。
【0034】
建物ユニット11A〜12A、15A〜17A、11B〜12B、15B〜17Bは、同一サイズの箱形ユニットとされており、平面視で長辺を妻方向として配置されている。ユニット住宅10の桁方向の中間部に配置された2階の建物ユニット13B、14Bは、両側に配置された建物ユニット12B、15Bよりも妻方向のスパン長が短く形成されており、同様に1階の建物ユニット13A等(建物ユニット13Aに隣接する建物ユニットは省略)も、両側に配置された建物ユニット12A、15Aよりも妻方向のスパン長が短く形成されている。建物ユニット13A、13B、14Bは同一サイズの箱形ユニットとされており、建物ユニット13A、13B、14Bの図1中背面側が建物ユニット11A〜12A、15A〜17A、11B〜12B、15B〜17Bの図1中の背面側と面一となるように配置されている。
【0035】
ユニット住宅10の外周における図1中前方側の桁方向中間部には、建物ユニット12A、12Bと建物ユニット15A、15Bの前方側の外壁面18から屋内側に凹んだ凹所20が形成されている。凹所20は、建物ユニット12A、12Bと、建物ユニット13A、13B、14B等と、建物ユニット15A、15Bとで囲まれた部分に設けられており、平面視にて略コ字状に形成されている。
【0036】
凹所20には、本実施形態の主要部である連結梁装置30が配設されている。この連結梁装置30は、凹所20内の外壁部22に跨るように掛け渡された連結梁32と、連結梁32に凹所20内に引き出し可能に取り付けられたオーニングテント34と、を備えている。連結梁32は、凹所20を挟んで対向する建物ユニット12A、12Bの外壁部22の連結部分と、建物ユニット15A、15Bの外壁部22(図示省略)の連結部分との間に、建物ユニット12A、12B、15A、15Bの外壁面18に沿って掛け渡されている。この連結梁32は、化粧現し梁であり、連結梁32に日常生活を豊かにする機能を持たせている。
【0037】
オーニングテント34は、凹所20内の建物本体としての建物ユニット13B、14B方向に引き出し可能となっており、建物ユニット13B、14B側には、オーニングテント34の引き出し方向の先端部34Aに取付けられた支持部材36と、支持部材36が係止(保持)される係止部材としてのホルダー50と、が配設されている。凹所20内における建物ユニット12A、12Bと建物ユニット13A、13Bとの角部、及び建物ユニット14B等と建物ユニット15A、15Bとの角部には、上下方向に沿ってホルダー50がスライド可能なレール部38が配設されている。
【0038】
図2に示されるように、連結梁32は、箱形に形成されており、連結梁32の下部には、長手方向に沿って開口部33Aが形成されている。連結梁32の下部には、開口部33Aを塞ぐ見切り板32Aが取付けられている。また、連結梁32の上部には、長手方向に沿って開口部33Bが形成されており、連結梁32の上部に開口部33Bを塞ぐカバー32Bが取付けられている。連結梁32の建物ユニット13B、14B(図1参照)側の側壁部32Cの上部側には、長手方向に沿って開口40が形成されており、開口40には、一対のローラ42が配置されている。一対のローラ42は、連結梁32内に回転可能に支持されている。
【0039】
連結梁32の内部には、オーニングテント34が軸部44に巻き付けられた巻き取り部34Bが配設されている。巻き取り部34Bの上方部から建物ユニット13B、14B(図1参照)側へ引き出されたオーニングテント34は、一対のローラ42に挟持された状態でローラ42の回転により開口40を通って連結梁32の外部へ引き出されるようになっている。オーニングテント34の巻き取り部34Bの屋外側の側部と下部には、オーニングテント34を引き出し方向にガイドするための側面視にて略逆L字状のガイド部材46が配設されている。またオーニングテント34は、図示しないぜんまいばねによって、軸部44の巻き取り方向に付勢されている。
【0040】
図3(A)に示されるように、支持部材36は、箱形に形成されており、凹所20内の建物ユニット13B、14B等とほぼ平行に長手方向に沿って配置されている。支持部材36の屋外側の側壁部36Aは、上部に対して下部が屋内側(レール部38側)となるように斜め方向に形成されており、側壁部36Aの下部側には、オーニングテント34の先端部34Aが挿通される開口36Bが形成されている。支持部材36の内部には軸部48が配設されており、オーニングテント34の先端部34Aが軸部48に取付けられている。
【0041】
ホルダー50は、支持部材36の外壁面に沿って凹状に形成されており、上部に長手方向に沿って、支持部材36を挿入及び取り出し可能な開口部51が形成されている。ホルダー50の屋外側の側壁部50Aの下部側には、支持部材36の開口36Bと対向する位置に、オーニングテント34の先端部34Aが挿通される開口50Bが形成されている。ホルダー50の側壁部50Aの上部には、板状のロック部材52がその中間部に設けられた回転軸54を中心に揺動可能に支持されている。支持部材36の側壁部36Aの上部には、レール部38側に凹状に窪んだ凹部36Cが形成されている。ホルダー50の側壁部50Aの上部内壁には、板ばね56が取付けられており、板ばね56は回転軸54に装着されて、その先端部がロック部材52の下端部52Aに形成された突起52Bに係止されている。この板ばね56の付勢力により、ロック部材52の下端部52Aが支持部材36の凹部36Cに係止され、支持部材36がホルダー50内でロックされるようになっている。また、ロック部材52のロックを外す際には、ロック部材52の上端部を板ばね56の付勢力に抗して矢印B方向に揺動させることで、ロック部材52の下端部52Aと凹部36Cとの係止状態が外れ、支持部材36を矢印C方向に引き出すことができる。
【0042】
ホルダー50の屋内側(レール部38側)の側壁部50Cの上部には、板状の取付部58がレール部38側へ突出するように設けられており、取付部58の先端部には回転軸62を中心に回転するローラ60が設けられている。図3(B)に示されるように、レール部38は、断面が略コ字状の部材からなり、対向する壁部の内壁面がローラ60の周面に当接するように配置されている。レール部38の対向する壁部の先端部には、ローラ60の脱落を防止するために内側へ突出したリップ38Aが設けられている。ローラ60の回転は、遠隔操作により図示しないモータで行われる。
【0043】
このようなホルダー50では、遠隔操作によりローラ60を回転させてレール部38の上下方向(図3中の矢印方向)に移動させることにより、ホルダー50内に保持された支持部材36を上下方向の所定の位置に移動させることができる。そして、ローラ60がレール部38の所定の位置まで上昇したときに、図示しないロック装置が作動してローラ60の回転が所定の位置で停止することにより、支持部材36をレール部38の所定の位置、例えば図4(A)、(B)に示す位置に保持するようになっている。
【0044】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0045】
図4(A)、(B)に示されるように、支持部材36が保持されたホルダー50をレール部38に沿って上下方向に移動させることで、オーニングテント34の先端部34Aの位置を移動させ、オーニングテント34の角度を調整することができる。例えば、図4(A)に示されるように、支持部材36をレール部38の上下方向最上部に移動させることにより、オーニングテント34を建物ユニット13B、14Bの上部から連結梁32までの間で屋外側に下り勾配となるように配置することができる。これにより、オーニングテント34で凹所20内の建物ユニット13B、14B側への日射、風、雨等を遮ることができる。また、図4(B)に示されるように、ホルダー50に保持された支持部材36をレール部38の上下方向中間部に移動させることで、オーニングテント34を凹所20内に水平方向に配置することができる。これにより、建物ユニット13B、14Bの採光を確保するとともに、オーニングテント34で建物ユニット13A等への日射、雨等を遮ることができる。また、図4(C)に示されるように、支持部材36をホルダー50から取外して凹所20内の連結梁32の下方側に配置することで、オーニングテント34を建物ユニット12A、15Aの外壁面18に沿って上下方向に配置することができる。これにより、連結梁32と建物ユニット13A等との間から採光を確保すること共に、屋外側から建物ユニット13A等への視線等を遮ることができる。
【0046】
従って、状況に応じてオーニングテント34を所定の位置に配置することにより、凹所20への日射、風、若しくは雨を遮り、又は調整することができ、また、凹所20への視線を遮ることでプライバシーを確保することができる。このため、凹所20の環境調整や管理等を行うことができ、凹所20の快適性が増す。従って、凹所20に設けられた連結梁32によりユニット住宅10の剛性を高めることに加えて、オーニングテント34により環境調整機能、管理機能等を付加して連結梁32を有効活用することができる。また、連結梁32とこれに付随する機能を有するオーニングテント34等は、建物を構造体と内装、設備に分けて設計した、所謂スケルトンインフィルの関係にあり、オーニングテント34等を容易にメンテナンスすることができる。
【0047】
また、連結梁装置30の取付け相手となる建物ユニット12A〜15A、12B〜15Bの少なくとも何れか1つには、ローラ60等に接続されるモータや電源等の付帯設備(図示省略)が予め工場で組み込まれている。そして、現場で建物ユニット12A〜15A、12B〜15Bと連結梁装置30をセットした後、付帯設備と連結梁装置30のローラ60等の接続部とを接続する。これにより、現場での作業が少なくなり、施工期間を短縮化することができる。
【0048】
〔第2実施形態〕
以下、図5〜図7を用いて、本発明に係る建物の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0049】
図5及び図6に示されるように、このユニット住宅70では、凹所20に連結梁装置72が配設されている。この連結梁装置72は、凹所20内で対向する建物ユニット12A,12B、15A、15Bの外壁部22に跨るように掛け渡された連結梁74と、連結梁74に長手方向に沿って移動可能に取り付けられたシャワーヘッド80と、を備えている。連結梁74は、化粧現し梁であり、連結梁74に日常生活を豊かにする機能を持たせている。この連結梁74は、箱形に形成されており、連結梁74の内壁部74Aの開口部33A付近には、長手方向と直交する方向の両側に略L字状のレール部78が左右対称に2個配設されている。また、連結梁74の上部には、連結梁74の上部に形成された開口部33Bを塞ぐカバー74Bが取付けられている。
【0050】
レール部78は、その側壁部78Aが連結梁74の内壁部74Aに取付けられ、先端部に上方に突出する突出部78Bを備えている。シャワーヘッド80は、レール部78の間から下方側に突出するように配置されており、連結梁74の内部には、シャワーヘッド80をレール部78に沿って水平方向に移動させる移動部材82が配設されている。
【0051】
シャワーヘッド80は、下面部に水を噴射可能な複数のノズル(図示省略)が形成された略扇状のヘッド部80Aと、このヘッド部80Aの上部に接続されて当該ヘッド部80Aに水を供給する連結管80Bと、を備えている。移動部材82は、軸部82Aの両端部に円板状の車輪82Bを備えており、2個の車輪82Bはそれぞれレール部78の上部に配置されている。軸部82Aには、連結管80Bの後方部が、軸部82Aの回転を阻害しないように挿通されている。移動部材82は、車輪82Bを手動又はモータ(図示省略)で回転させることで、シャワーヘッド80を長手方向の所定位置に移動させることが可能となっている。
【0052】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0053】
連結梁74には、下方側に水を噴出可能なシャワーヘッド80が取付けられており、移動部材82の車輪82Bを手動等で回転させ、レール部78に沿って水平方向に移動させることにより、軸部82Aに支持されたシャワーヘッド80を長手方向の所定位置に移動させる。そして、図7に示されるように、凹所20(図5参照)に自動車84を停車させ、シャワーヘッド80のヘッド部80Aに設けられた複数のノズル(図示省略)から水Wを噴射させることにより、自動車84を洗車することができる。このシャワーヘッド80により、凹所20への水の供給及び散水を行うことで、連結梁74に管理機能等を付加することができ、凹所20の快適性が増す。従って、凹所20に設けられた連結梁74によりユニット住宅70の剛性を高めることに加えて、シャワーヘッド80により水の供給及び散水などの管理機能等を付加して連結梁74を有効活用することができる。また、連結梁74と、これに付随する機能を有するシャワーヘッド80等は、スケルトンインフィルの関係にあり、シャワーヘッド80等を容易にメンテナンスすることができる。
【0054】
また、連結梁装置72の取付け相手となる建物ユニット12A、12B、15A、15Bの少なくとも何れか1つには、連結管80Bに水を供給する供給装置、車輪82Bを回転させるモータや電源等の付帯設備(図示省略)が予め工場で組み込まれている。そして、現場で建物ユニット12A、12B、15A、15Bと連結梁装置72をセットして上記付帯設備と連結管80B、車輪82B等の接続部とを接続する。これにより、現場での作業が少なくなり、施工期間を短縮化することができる。
【0055】
〔第3実施形態〕
以下、図8〜図9を用いて、本発明に係る建物の第3実施形態について説明する。なお、前述した第1又は第2実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0056】
図8に示されるように、このユニット住宅90では、凹所20に連結梁装置92が配設されている。この連結梁装置92は、凹所20内で対向する建物ユニット12A,12B、15A、15Bの外壁部22に跨るように掛け渡された連結梁94と、連結梁94から下方側に引き出し可能に取り付けられた防犯シャッタ96と、を備えている。連結梁94は、化粧現し梁であり、連結梁94に日常生活を豊かにする機能を持たせている。
【0057】
図9に示されるように、連結梁94は、箱形に形成されており、連結梁94の下部には、開口部33Aを塞ぐ見切り板94Aが取付けられている。見切り板94Aには、長手方向に沿って防犯シャッタ96が挿通される開口94Bが形成されている。連結梁94の内部には、軸部98に防犯シャッタ96が巻き付けられた巻き取り部96Aが配置されており、巻き取り部96Aの屋内側方向から引き出された防犯シャッタ96は、連結梁94内から開口94Bを通って下方側へ引き出されるようになっている。防犯シャッタ96は、水平方向両端部に上下方向に沿って配置された縦部材96Bと、縦部材96Bの間に水平方向に所定の間隔で配置された複数の棒状部材96Cと、で構成されている。縦部材96Bは、チェーン状の部材からなり、折り曲げが可能となっており、また、複数の棒状部材96Cはほぼ平行に掛け渡され、棒状部材96Cの間には隙間が形成されている。防犯シャッタ96は、手動又は図示しないモータにより上下方向に移動させるように構成されている。
【0058】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0059】
図8に示されるように、連結梁94内の軸部98に巻き取られた防犯シャッタ96を開口94Bから下方側に引き出すことにより、防犯シャッタ96が建物ユニット12A、15Aの外壁面18に沿った状態で配置され、凹所20が閉鎖される。この防犯シャッタ96により、凹所20への侵入者を阻止することができ、防犯性を高めることができる。従って、凹所20に設けられた連結梁94によりユニット住宅90の剛性を高めることに加えて、防犯シャッタ96により防犯機能を付加して連結梁94を有効活用することができる。また、連結梁94と、これに付随する機能を有する防犯シャッタ96は、スケルトンインフィルの関係にあり、防犯シャッタ96を容易にメンテナンスすることができる。
【0060】
また、連結梁装置92の取付け相手となる建物ユニット12A、12B、15A、15Bの少なくとも何れか1つには、防犯シャッタ96を動作させるモータや電源等の付帯設備(図示省略)が予め工場で組み込まれている。そして、現場で建物ユニット12A、12B、15A、15Bと連結梁装置92をセットして付帯設備と防犯シャッタ96の接続部とを接続する。これにより、現場での作業が少なくなり、施工期間を短縮化することができる。
【0061】
〔第4実施形態〕
以下、図10を用いて、本発明に係る建物の第4実施形態について説明する。なお、前述した第1〜第3実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0062】
図10に示されるように、このユニット住宅100では、1階側の建物ユニット102A及びその上部の2階側の建物ユニット102Bと、1階側の建物ユニット104A及びその上部の2階側の建物ユニット104Bとの間に、屋内側に凹んだ凹所106が形成されている。凹所106を挟んで対向する建物ユニット102A、102Bの外壁部108と、建物ユニット104A、104Bの外壁部108との間に、建物ユニット102A、102B、104A、104Bの屋外側の外壁面(図示省略)に沿って凹所106に跨るように連結梁110が掛け渡されている。この連結梁110は、化粧現し梁であり、連結梁110に日常生活を豊かにする機能を持たせている。
【0063】
凹所106には、中庭112が形成されており、中庭112の中央部には樹木114が植えられている。また、1階側の建物ユニット102A、104Aには、凹所106に連通する掃き出し窓116が設けられており、また1階側の建物ユニット102Bには、並列に配置された2つの窓118が設けられている。
【0064】
連結梁110と建物ユニット102A、102Bとの角部、及び連結梁110と建物ユニット104A、104Bとの角部には、それぞれ照明装置としての防犯ライト120が取付けられている。防犯ライト120には、連結梁110の下方側の略全長を感知領域とする人感センサ(図示省略)が設けられており、人感センサにより凹所106へ近づく者等が感知されたときに、防犯ライト120を点灯させるようになっている。
【0065】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0066】
連結梁110の両端部付近に防犯ライト120が配設されているので、人感センサによって凹所106へ近づく者や、連結梁110の下方を通過する者が感知されると、防犯ライト120が点灯する。このため、凹所106へ近づく者等に対して光を照らして威嚇することで、防犯性を高めることができ、凹所106の安全性が増す。従って、凹所20に設けられた連結梁110によりユニット住宅100の剛性を高めることに加えて、防犯ライト120により防犯機能を付加して連結梁110を有効活用することができる。また、連結梁110と、これに付随する機能を有する防犯ライト120は、スケルトンインフィルの関係にあり、防犯ライト120を容易にメンテナンスすることができる。
【0067】
また、連結梁110の取付け相手となる建物ユニット12A、12B、15A、15Bの少なくとも何れか1つには、防犯ライト120を点灯させる電源等の付帯設備(図示省略)が予め工場で組み込まれている。そして、現場で建物ユニット12A、12B、15A、15Bと連結梁110をセットして付帯設備と防犯ライト120の接続部とを接続する。これにより、現場での作業が少なくなり、施工期間を短縮化することができる。
【0068】
〔第4実施形態のバリエーション〕
防犯ライト120に代えて又は防犯ライト120と共に、威嚇音を出力させるスピーカを設けることができる。そして、人感センサにより凹所106へ近づく者等が感知されたときに、スピーカから威嚇音を出力することで、防犯性を高めることができる。
【0069】
また、防犯ライト120等に連動して、ユニット住宅100の居住者に凹所106へ近づく者等が感知されたことを音により伝える第2のスピーカや、映像により伝える映写装置等を設けてもよい。
【0070】
〔前述した実施形態の補足説明〕
前述した実施形態では、凹所に設けられた連結梁装置によって、環境調整機能、管理機能及び防犯機能の少なくとも何れか1つからなる付随的な機能を付加するものであるが、連結梁装置は前述した実施形態に限らず、他の構成でもよい。ここで、環境調整機能とは、凹所へ入り込む日射、風若しくは雨等を調整し、又は屋外側から凹所への視線等を遮る機能などをいう。また、管理機能とは、凹所への水の供給及び散水、又は電源の供給等を行う機能などをいう。また、防犯機能とは、凹所の安全性を確保する機能をいう。
【0071】
前述した実施形態では、工場で複数の建物ユニット及び連結梁装置を生産し、現場に建物ユニット及び連結梁装置を搬入して順次クレーンで据付けていくことにより、ユニット住宅を構築するので、現場での連結梁装置の組み立て作業工程を省くことができ、施工期間の短縮化を図ることができる。さらに、連結梁装置を工場内で組み立てるので、品質管理を容易に行うことができる。
【0072】
前述した実施形態では、ユニット住宅を例として説明したが、在来工法の住宅、又は住宅以外の用途に供される建物に対して本発明の連結梁を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第1実施形態に係るユニット住宅を示す斜視図である。
【図2】図1に示す連結梁及びオーニングテントを示す断面図である。
【図3】(A)は図1に示すオーニングテントの支持部材及びレール部を示す断面図、(B)は図3(A)中のA−A線における断面図である。
【図4】図1に示すユニット住宅に用いられる連結梁及びオーニングテントの使用状態を示す斜視図である。
【図5】第2実施形態に係るユニット住宅を示す斜視図である。
【図6】図5に示す連結梁及びシャワーヘッドを示す断面図である。
【図7】図5に示すユニット住宅に用いられる連結梁及びシャワーヘッドの使用状態を示す側面図である。
【図8】第3実施形態に係るユニット住宅を示す斜視図である。
【図9】図8に示すユニット住宅に用いられる連結梁及び防犯シャッタを示す断面図である。
【図10】第4実施形態に係るユニット住宅に用いられる連結梁及び照明装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0074】
10 ユニット住宅(ユニット建物)
11A〜17A 建物ユニット
11B〜17B 建物ユニット
13A、13B、14B 建物ユニット(建物本体)
20 凹所
22 外壁部(建物外壁部)
30 連結梁装置
32 連結梁
34 オーニングテント(機能付加手段)
38 レール部(オーニングテントの先端部を上下方向に移動させる部材)
50 ホルダー(係止部材)
70 ユニット住宅(ユニット建物)
72 連結梁装置
74 連結梁
80 シャワーヘッド(機能付加手段)
82 移動部材(シャワーヘッドを水平方向に移動させる部材)
90 ユニット住宅(ユニット建物)
92 連結梁装置
94 連結梁
96 防犯シャッタ(機能付加手段)
100 ユニット住宅(ユニット建物)
102A、102B 建物ユニット
104A、104B 建物ユニット
106 凹所
108 外壁部(建物外壁部)
110 連結梁
120 防犯ライト(照明装置、機能付加手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外周の端部を除く所定位置に屋内側へ凹むように形成された凹所に設けられる連結梁装置であって、
前記凹所内で対向する建物外壁部の間に跨るように掛け渡された連結梁と、
前記連結梁に、環境調整機能、防犯機能及び管理機能の少なくとも何れか1つからなる付随的な機能を付加する機能付加手段と、
を有することを特徴とする連結梁装置。
【請求項2】
前記機能付加手段は、前記連結梁に前記凹所における建物本体方向又は建物本体に対して平行な方向に引き出し可能に取付けられたオーニングテントであることを特徴とする請求項1に記載の連結梁装置。
【請求項3】
前記機能付加手段は、前記凹所における建物本体に建物高さ方向にスライド可能取付けられ、かつ前記オーニングテントが建物本体方向に引き出されたときに、前記オーニングテントの先端部が係止される係止部材をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の連結梁装置。
【請求項4】
前記機能付加手段は、前記連結梁に長手方向に水平移動が可能に取付けられ、かつ下方側へ散水が可能なシャワーヘッドであることを特徴とする請求項1に記載の連結梁装置。
【請求項5】
前記機能付加手段は、前記連結梁の下方側に引き出しが可能に取付けられ、かつ前記凹所を閉鎖可能な防犯シャッタであることを特徴とする請求項1に記載の連結梁装置。
【請求項6】
前記機能付加手段は、前記連結梁に取付けられ、かつ前記連結梁の下方側の略全長を感知領域とする人感センサを備えたことを特徴とする請求項1に記載の連結梁装置。
【請求項7】
前記機能付加手段は、前記連結梁に取付けられた照明装置及びスピーカの少なくとも一方をさらに備え、かつ前記人感センサにより前記凹所へ近づき又は侵入する者が感知されたときに、前記照明装置の点灯及び前記スピーカからの威嚇音の出力の少なくとも一方を行うことを特徴とする請求項6に記載の連結梁付き建物。
【請求項8】
複数の建物ユニットをつなぎ合わせて構築されるユニット建物であって、
ユニット建物の外周の端部を除く所定位置に屋内側へ凹むように凹所が形成され、かつ前記凹所を挟んで対向する建物ユニット間に、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の連結梁装置を設けたことを特徴とするユニット建物。
【請求項9】
前記連結梁装置の取付け相手となる建物ユニットには、前記機能付加手段に接続される付帯設備が予め工場で組み込まれ、建築地で前記建物ユニットと前記連結梁装置をセットして前記付帯設備と前記機能付加手段とを接続することを特徴とする請求項8に記載のユニット建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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