連続セパレータ及びシート状電極の積層装置
【課題】セパレータの円滑な折り曲げ及び積層体の生産性向上を可能とし、併せて吸着痕等の塑性変形を生じさせることなく安定した積層体の品質を確保する。
【解決手段】テープ状セパレータSを積層ステージ10を中心として往復移動させるセパレータ往復移動手段と、セパレータSの折り返しをガイドする折り曲げガイド部材20と、シート状正電極Pを吸着保持する正電極保持搬送手段50Pと、シート状負電極Nを吸着保持する負電極保持搬送手段50Nとを備え、各電極保持搬送手段50P(N)は、電極吸着部58P(N)を有し、該電極吸着部58P(N)は、複数の吸引孔581hを有する内部吸引板581と、該内部吸引板581を封着すると共に先端部がシート状電極P(N)の表面と倣うように接触する弾性部材により形成された傘状の周辺吸着部583とを具備している。
【解決手段】テープ状セパレータSを積層ステージ10を中心として往復移動させるセパレータ往復移動手段と、セパレータSの折り返しをガイドする折り曲げガイド部材20と、シート状正電極Pを吸着保持する正電極保持搬送手段50Pと、シート状負電極Nを吸着保持する負電極保持搬送手段50Nとを備え、各電極保持搬送手段50P(N)は、電極吸着部58P(N)を有し、該電極吸着部58P(N)は、複数の吸引孔581hを有する内部吸引板581と、該内部吸引板581を封着すると共に先端部がシート状電極P(N)の表面と倣うように接触する弾性部材により形成された傘状の周辺吸着部583とを具備している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、つづら折り状に折り返された連続セパレータの間にシート状電極が介装された積層体を製造する積層装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平9−274935号公報
【特許文献2】特開2000−251923号公報
【0003】
近年、電気自動車やハイブリッド自動車あるいはUPS(無停電電源)等に適用可能で、小型化・大容量化が容易な二次電池の一例として、リチウムイオン二次電池が注目されている。このリチウムイオン二次電池は、一般的には、シート状の正極集電体とその表面に塗布された正極活物質とで構成されたシート状の正電極と、シート状の負極集電体とその表面に塗布された負極活物質とで構成されたシート状の負電極とをセパレータを介して積層することにより形成されたシート状の内部電極対(積層体)と、この内部電極対を密封状態に被覆すると共に内部に電解液を収容する電池ケースと、この電池ケース内の内部電極対の各正電極及び各負電極にそれぞれ接続される正電極端子及び負電極端子とで構成されている。そして、充電時には正極活物質からリチウムイオンが電解液とセパレータを介して移動し負極活物質にインターカレートされ、放電時にはその逆の順序でリチウムイオンが移動することにより二次電池として充放電を行うものである。
【0004】
上述のようなセパレータとシート状電極とで構成された内部電極対の一例として、内部短絡による電池損傷や周囲への影響を最小限に抑制する等の目的を達成するために、シート状電極間に介在するセパレータを連続的に形成して積層体を構成したものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
ここで、特許文献1には、内部短絡の波及抑制や放熱性能の向上等を図るために、微多孔性フィルムを2枚貼り合わせた袋状のセパレータの内部にシート状電極を収容した電極ユニットを形成し、これらの電極ユニットを順次積層した内部電極対(積層体)を有するリチウムイオン二次電池が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、デッドスペースを省略して電池容量の増大等を図るために、その下端辺が折り曲げられた長尺の帯状セパレータをつづら折り(ジグザグ状)に折り曲げて、折り曲げられた連続セパレータ間に正負各極性のシート状電極を交互に配置した内部電極対(積層体)を有する角型二次電池が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献に開示された先行技術においては、いずれも次のような問題点を有していた。
【0008】
例えば、特許文献1に開示された先行技術においては、微多孔性フィルムを貼り合わせた袋状のセパレータ内にシート状電極を収容するために自動化が困難であり、また、セパレータの切断工程が必要となり、作業性・生産性が著しく劣るといった問題が生じていた。
【0009】
また、特許文献2に開示された先行技術においては、組み立ての過程で、シート状の正負各電極とセパレータとの位置を正確に調整しつつセパレータを折り曲げて積層体を形成していく必要があるため、作業性・生産性が劣るといった問題を生じていた。さらに、セパレータを折り曲げる際に、介装されるシート状電極端部に無理な力が加わり、当該電極の位置ずれや電極端部に機械的なダメージが生じ易く、このような組み立ての際のシート状電極の位置ずれやシート状電極に対する機械的ダメージは、電池容量の低下といった性能の劣化や内部短絡の発生の要因となるといった問題が生じていた。
【0010】
さらにまた、極薄のシート状電極及びセパレータを積層する際に、かかるシート状電極には吸着痕等の塑性変形が生じ易く、均一に積層することが困難であり、このような積層体を形成する際の積層品質の向上が望まれていた。
【0011】
そこで、本発明は、上述のような従来技術の問題点に鑑みて、連続セパレータを折り曲げる際のシート状電極端部を保護すると共に、当該セパレータの円滑な折り曲げ及び積層体の生産性向上を可能とし、併せてシート状電極を吸着搬送する際に、吸着痕等の塑性変形を生じさせることなく安定した積層体の品質を確保することができる連続セパレータ及びシート状電極の積層装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置は、連続するテープ状のセパレータを折り返しつつ、該セパレータ及びシート状電極を順次積層して積層体を形成する連続セパレータ及びシート状電極の積層装置であって、前記テープ状のセパレータの先端部を保持し、その上にシート状電極及びセパレータが順次積層される積層ステージと、前記積層ステージの上方にて、前記テープ状セパレータを、該積層ステージを中心として往復移動させるセパレータ往復移動手段と、積層された前記シート状電極の前記セパレータの移動方向両端部の辺を覆うように前記積層ステージに対して近接又は離隔可能に構成され、前記セパレータの往復移動に伴う前記シート状電極両端部での折り返しをガイドする折り曲げガイド部材と、複数のシート状正電極が収容された正電極収容部から、シート状正電極を吸着保持して前記積層ステージ上に搬送供給する正電極保持搬送手段と、複数のシート状負電極が収容された負電極収容部から、シート状負電極を吸着保持して前記積層ステージ上に搬送供給する負電極保持搬送手段とを備え、前記各電極保持搬送手段は、対応するシート状電極を搬送可能に吸着する電極吸着部をその先端に有しており、該電極吸着部は、複数の吸引孔を有してシート状電極と対向し中心部に配設された内部吸引板と、該内部吸引板の周縁部を封着すると共に先端部がシート状電極の表面と倣うように接触する弾性部材により形成された傘状の周辺吸着部とを具備していることを特徴とするものである。
【0013】
このように構成した場合には、その上にシート状電極及びセパレータが順次積層される積層ステージと、該積層ステージを中心としてテープ状セパレータを往復移動させるセパレータ往復移動手段と、セパレータの往復移動に伴うシート状電極両端部での折り返しをガイドする折り曲げガイド部材とを備えているので、シート状電極を積層する度のセパレータの切断工程を省略して生産性の向上を図ると共に、往復移動するテープ状セパレータを折り返す際のシート状電極との直接的な接触に伴う電極端部へのダメージを防止しつつテープ状セパレータの均質な折り返しを容易に実現することができる。併せて、複数の吸引孔を有してシート状電極と対向し中心部に配設された内部吸引板と、該内部吸引板の周縁部を封着すると共に、その先端部がシート状電極の表面と倣うように接触する弾性部材により形成された傘状の周辺吸着部とを備えた電極吸着部により、シート状電極を吸着する際の吸着痕やしわ等の発生による塑性変形や複数枚の吸着を未然に防止して、シート状電極の安定した吸着搬送と連続セパレータ及びシート状電極から構成される積層体の積層品質の向上に寄与することができる。
【0014】
また、前記電極吸着部は、シート状電極と略同等の大きさを有して、該シート状電極と対向する板状の吸着プレートに複数配設されており、かつ、前記電極吸着部の配設箇所は、積層ステージ上の前記折り曲げガイド部材と干渉しない領域におけるシート状電極の四隅及び各辺に沿って等間隔に配置されていてもよい。
【0015】
このように構成した場合には、複数の電極吸着部を所定の箇所に配置することにより、シート状電極を吸着する際に緩やかなうねり(波打ち)を形成することができ、シート状電極を複数枚吸着する重ね取りをより効果的に防止することができる。
【0016】
さらに、前記内部吸引板は、樹脂部材により円盤状に形成されていると共に、前記周辺吸着部は、ゴム部材で形成されており、かつ、前記複数の吸引孔は、中心部及び周方向に等間隔で配置形成されていてもよい。
【0017】
このように構成した場合には、シート状電極の凹凸表面と点接触する内部吸引板と、面的に接触する周辺吸着部と容易に実現すると共に、複数の細孔が所定の位置に配置形成された吸引孔により、吸着痕の発生をより効果的に防止しつつ、バランスの良い吸着を実現することができる。
【0018】
さらにまた、前記各電極保持搬送手段は、前記折り曲げガイド部材に沿って折り曲げられた連続セパレータを、前記積層ステージ上で積層方向に押さえ付ける押え部材をさらに備えていてもよい。
【0019】
このように構成した場合には、折り曲げられた連続セパレータの戻り(スプリングバック)を押え部材により抑制して、積層品質の向上に寄与することができる。
【0020】
また、前記テープ状セパレータは、複数のローラに懸架されて複数の屈曲個所を形成していると共に、少なくとも一の屈曲個所は、前記ローラに支持されることなく非接触な状態で吸引されており、かつ、重力方向に移動可能に形成されていてもよい。
【0021】
このように構成した場合には、少なくとも一の屈曲個所が、ローラに支持されることなく非接触な状態で吸引され、かつ、重力方向に移動可能に形成されているので、連続するテープ状のセパレータに常に一定のテンションを付与して弛みや皺の発生を防止すると共に、連続セパレータの全ての屈曲個所をローラに懸架して支持する構成に比し、ローラ軸方向の位置ずれや捩れに対する調整が容易となり、特に、連続セパレータを積層ステージ上に位置決めする初期セッティング時の作業性を向上させることができる。
【0022】
さらに、前記セパレータ往復移動手段は、その間に前記テープ状セパレータが挿通されたローラ対を、前記積層ステージを中心として該ステージ面に沿って往復移動させることにより構成されていてもよい。
【0023】
このように構成した場合には、連続セパレータを切断することなく、各シート状電極端部での順次折り返しを可能とするセパレータ往復移動手段を簡易な構成で容易に実現することができる。
【0024】
さらにまた、前記セパレータ往復移動手段と、前記正電極保持搬送手段及び負電極保持搬送手段とは略同一直線上を一体に往復移動することができる。
【0025】
このように構成した場合には、セパレータ往復移動手段と、正電極保持搬送手段及び負電極保持搬送手段とが略同一直線上を一体となって往復移動するので、例えば、互いに材質が異なるシート状正電極及びシート状負電極を積層する必要がある二次電池の製造への容易な適用が可能となる。さらに、連続セパレータを介したシート状正電極及びシート状負電極の積層ステージ上での交互の順次自動積層が可能となり、各シート状電極の搬送供給やセパレータの折り曲げのための自由度を削減して構成のコンパクト化や制御の簡素化を可能とし、大容量化や生産性の向上及びコストダウンに寄与することができる。
【0026】
また、前記セパレータ往復移動手段は、前記正電極保持搬送手段と前記負電極保持搬送手段との略中央に配置されていると共に、前記積層ステージは、前記正電極収容部と前記負電極収容部との略中央に配置されており、かつ、前記セパレータ往復移動手段と前記各電極保持搬送手段との水平方向の離隔距離は、前記積層ステージと前記各電極収容部との水平方向の離隔距離の略半分に設定されていてもよい。
【0027】
ここで、セパレータ往復移動手段と各電極保持搬送手段との水平方向の離隔距離とは、例えば同一極性の電極保持搬送手段を構成する電極吸着部が水平方向に複数配設されている場合には、水平方向におけるセパレータ往復移動手段(例えば、ローラ対)の中心と複数の上記電極吸着部の配設中心との離隔距離をいうものとし、同様に、積層ステージと各電極収容部との水平方向の離隔距離とは、水平方向における積層ステージの配設中心と各シート状電極収容部の配設中心との離隔距離をいうものとする。
【0028】
このように構成した場合には、ローラ対と各電極保持搬送手段との水平方向の離隔距離が、積層ステージと各電極収容部との水平方向の離隔距離の略半分に設定されているので、簡易な制御により、一方の極性のシート状電極を対応する電極収容部から積層ステージへ移動させる供給動作、他方の極性のシート状電極を積層ステージから対応する電極収容部へ移動させる移動動作、連続セパレータを電極端部で折り返す折り曲げ動作の同時実施が可能となり、生産性の大幅な向上を実現することができる。
【0029】
さらに、前記折り曲げガイド部材及び/又はいずれかの前記電極保持搬送手段は、積層ステージ上で積層体を形成する際に、常に、積層ステージとの間で該積層体を挟みこんでいるように構成することができる。
【0030】
このように構成した場合には、積層体上にて積層体を形成する際のシート状電極の位置ずれを確実に防止することができる。
【0031】
さらにまた、前記積層ステージは、前記シート状電極の積層枚数に応じて、その高さが調整可能であってもよい。
【0032】
このように構成した場合には、シート状電極の積層枚数に応じて、セパレータの折り曲げ位置(高さ)を常に一定に維持することができるので、簡易な制御によりセパレータの均質な折り返しを可能として品質の維持向上に寄与することができる。
【0033】
また、本発明においては、例えば、耐熱性は高いが、切断が困難で切断工程で損傷する可能性が高く折り曲げの際の脆性が問題となる無機化合物の複合材料又は全芳香族ポリアミド材料にて形成されたセパレータに対しても好適に適用可能であり、用途に応じたセパレータの選定の自由度を増大させることができる。
【0034】
さらに、本発明においては、前記シート状正電極を、例えばアルミニウム製の金属箔の両面に正極活物質が塗布されたリチウムイオン電池用正電極とし、前記シート状負電極を、例えば銅製の金属箔の両面に負極活物質が塗布されたリチウムイオン電池用負電極とすることにより、連続セパレータを用いた小型で大容量化が容易なリチウムイオン二次電池の内部電極対(積層体)の製造に好適に適用することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、連続セパレータを折り曲げる際のシート状電極端部を保護すると共に、当該セパレータの円滑な折り曲げ及び積層体の生産性向上を可能とし、併せてシート状電極を吸着搬送する際に、吸着痕等の塑性変形を生じさせることなく安定した積層体の品質を確保することができる連続セパレータ及びシート状電極の積層装置を簡易な構成で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下に、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態では、本発明の一適用例であるリチウムイオン二次電池の製造を例にとって説明する。
【0037】
まず、本実施の形態に係る積層体の製造装置(以下、積層装置とも称する)の概要について図1を参照して説明する。ここで、図1(a)は、本実施の形態に係る積層装置の全体構成を示す模式的正面図であり、図1(b)は、模式的平面図である。なお、明瞭化のため、図1(a)では、セパレータが複数のローラに懸架されて積層ステージへ供給されている状態を示すのに対し、図1(b)では、当該セパレータを省略した状態を示すものとする。
【0038】
本発明に係る積層装置1は、図1に示すように、複数のローラに懸架されたテープ状(フィルム状)の連続したセパレータSと、その上にシート状正電極P及びシート状負電極Nが、連続したテープ状のセパレータSを介して交互に積層される昇降自在に形成された積層ステージ10と、所定の高さを維持しつつ積層ステージ10に対して前進又は後退(近接又は離隔)が可能なように形成され、セパレータSのジグザグ状の順次折り曲げを所定の位置(高さ)でガイドする折り曲げガイド部材20と、セパレータSの供給方向(本例では、図中、右側から左側)に沿って積層ステージ10の上流側(本例では、図中、右側)に配設され、積層状態の複数のシート状正電極Pを収容する正電極収容部30と、積層ステージ10の下流側(本例では、図中、左側)に配設され、積層状態の複数のシート状負電極Nを収容する負電極収容部40と、積層ステージ10の上方に配設され、積層ステージ10、正電極収容部30、負電極収容部40との間を往復移動可能なように構成されたスライド往復ユニット500と、これらの構成機器の動作を制御する不図示の装置コントローラ等を備えている。
【0039】
本実施の形態におけるスライド往復ユニット500は、積層ステージ10の背面側にて、不図示のモータ等の駆動源により水平方向に往復移動可能に構成したスライド部材51を備え、このスライド部材51の略中央部には、垂直方向に延在する垂直アーム53が取り付けられていると共に、スライド部材51の両端部には、積層ステージ10側(図中、背面側から前面側)に略水平に突出形成された幅広の右支持アーム55R及び左支持アーム55Lがそれぞれ取り付けられている。さらに、垂直アーム53の上端部には、セパレータSが懸架される上部ローラ60Uが、積層ステージ10側に略水平に突出するように取り付けられていると共に、垂直アーム53の下端部には、一対の下部ローラ対60Dが、積層ステージ10の上表面近傍に略水平に突出するように取り付けられている。かかるローラ対60Dは、本発明に係るセパレータ往復移動手段を構成するものであり、具体的には、積層ステージ10上の所定の位置に前進する上記折り曲げガイド部材20と略平行であって、その高さがガイド部材20の表面近傍に位置するように取り付けられている。また、右支持アーム55Rの先端部には、正電極収容部30からシート状正電極Pを一枚ずつ吸着保持して積層ステージ10への移動供給を可能とする上下方向に伸縮自在に形成された正電極吸着部58Pを有する正電極保持搬送手段50Pが懸装されている。同様に、左支持アーム55Lの先端部には、負電極収容部40からシート状負電極Nを一枚ずつ吸着保持して積層ステージ10への移動供給を可能とする上下方向に伸縮自在に形成された負電極吸着部58Nを有する負電極保持搬送手段50Nが懸装されている。すなわち、本実施の形態におけるスライド往復ユニット500は、上部ローラ60Uと、下部ローラ対60Dと、正電極保持搬送手段50P、負電極保持搬送手段50Nとが一体に形成され、積層ステージ10に対して、単一の駆動源により一体に連続的に往復移動可能なように構成されている。
【0040】
本実施の形態において、各電極保持搬送手段50P,50Nは、不図示のエアー源により駆動される従来公知のエアーシリンダにより上下方向に伸縮自在に形成されていると共に、さらにその先端(下端)に取り付けられた各電極吸着部58P,58Nは、バネ等の弾性部材を介して上下方向に弾性変形可能に取り付けられている。なお、各電極保持搬送手段50P,50Nの詳細については後述する。
【0041】
また、本実施の形態における上部ローラ60Uと下部ローラ対60Dとの配置に関しては、両者を鉛直線上よりも水平方向にずらして配置することも可能であるが、セパレータSを折り曲げる際に、当該セパレータSや折り曲げガイド部材20に対して折り曲げ方向以外の不要な力が加わることを未然に防止して円滑な折り曲げを可能とすると共に、供給部61側の電極保持搬送手段50Pの可動領域を十分に確保するという観点から、両者は略鉛直線上に配置することが好ましい。
【0042】
また、本発明のセパレータ往復移動手段を構成する下部ローラ対60Dの取り付け高さに関しては、同様に、セパレータSや折り曲げガイド部材20に不要な力が加わることを未然に防止するという観点から、所定の高さに配置される折り曲げガイド部材20の上方近傍に位置するようにその配置高さを設定することが好ましい。
【0043】
本実施の形態に係る積層ステージ10は、その表面部分に、不図示のエアー源からの吸引によりセパレータSの先端部の吸着固定を可能とする複数の細孔が形成されていると共に、セパレータSを折り返す際の折り曲げ位置が常に所定の位置(高さ)となるように、不図示のモータによりシート状電極P,NやセパレータSの積層状態(積層枚数)に応じて昇降(上下移動)可能なように構成されている。
【0044】
セパレータSは、図1(a)に示すように、回転軸61s回りに回転自在となるように取り付けられたテープ状の供給部61から供給されるようになっており、供給部61の下方に設けられたバッファ部65を介して複数のローラに懸架され、積層ステージ10上に連続的に供給されるようになっている。具体的には、その内部にてテープ状のセパレータSが上下方向に移動自在となるように形成された中空箱状のバッファ部65の上部に設けられた一対のガイドローラ62,63と、このガイドローラ62,63と略同等の高さに配設された上部ローラ60U(スライド往復ユニット500の垂直アーム53に取り付け)とに懸架され、さらに上部ローラ60Uの下方に配置された一対の下部ローラ対60D(スライド往復ユニット500の垂直アーム53に取り付け)のローラ間に挿通されて、その先端部が積層ステージ10上で吸着固定されるようになっている。
【0045】
そして、本発明に係るセパレータ往復移動手段を構成する下部ローラ対60Dが設けられたスライド往復ユニット500を、積層ステージ10を中心として該ステージ面に沿って往復移動させることにより、その先端が積層ステージ10上に吸着固定されたセパレータSが、積層ステージ10上で順次折り返し可能なように連続的に供給されるようになっている。
【0046】
本実施の形態において、上記バッファ部65は、中空の箱状に形成されており、その内部空間に導かれた連続セパレータSの下方端での屈曲個所Sdは、ローラ等に支持されておらず、当該個所が上下方向に移動可能となっていると共に、バッファ部65の底部には、吸引ファン67が設置されており、所定の吸引力にてバッファ部65内の連続セパレータS(屈曲個所Sd)を吸引することにより、一定の張力を連続セパレータSに付与するようになっている。
【0047】
このように連続セパレータSの一の屈曲個所(本例では、下方端に位置する屈曲個所Sd)を、敢えてローラ等で支持することなく、非接触な状態でエアー吸引することにより、連続セパレータSが屈曲する個所を全てローラにより懸架する構成に比し、連続セパレータSのローラ軸方向に対するズレや捩れに対する調整が容易となる。特に、連続セパレータSを積層ステージ10に積層されたシート状電極P,Nの辺と平行となるように位置調整する初期セッティング作業を容易化し、作業性の向上に寄与することができる。また、吸引ファン67の吸引力を変更することによりセパレータSのテンション調整が容易になると共に、セパレータS表面に付着したごみを吸い取ることも可能となる。
【0048】
また、本実施の形態において、バッファ部65には、連続セパレータSの上下方向の移動可能領域を検知する光学式センサLSu,LSdが配設されており、連続セパレータSが上限検知センサLSuの上方に移動した際には、供給部61を供給方向に回転させる一方、下限検知センサLSdの下方に移動した際には、供給部61を逆方向(巻き取る方向)に回転させて、常に、連続セパレータSが検知センサLSu,LSdにて規制される所定の領域内に存在するように制御し、連続セパレータSのバッファ部65からの脱落や、吸引ファン67への吸い込みを未然に防止している。
【0049】
また、本発明に係る積層装置1では、図1(b)に最も良く示されるように、正電極収容部30、正電極保持搬送手段50P、積層ステージ10、負電極保持搬送手段50N、負電極収容部40が、セパレータSの供給方向(移動方向)に沿って略一直線上に配置されていると共に、図1(a)に示すように、積層ステージ10と、各電極収容部30,40との水平方向の離隔距離は、共に均等な値dとなるように配設されている。
【0050】
一方、図1(b)に示すように、下部ローラ対60Dの中心と各電極保持搬送手段50P,50Nの吸着中心との水平方向の離隔距離は、積層ステージ10と各電極収容部30,40との離隔距離dの略半分(d/2)となるように設定されている。
【0051】
本実施の形態に係るスライド往復ユニット500においては、このようにセパレータ往復移動手段を構成するローラ対60Dと、各シート状電極P,Nを吸着保持して積層ステージ10への供給を可能とする各電極保持搬送手段50P,50Nとを一体に構成しつつ、各構成部材の位置関係を上述した所定の配置とすることにより、詳細な動作を後述するように、一方の極性のシート状電極の積層ステージ10への供給動作と、他方の極性のシート状電極の電極収容部への移動動作と、所定の位置におけるセパレータSの折り曲げ動作とを同時に実施可能とし、大幅な生産性の向上を図っている。
【0052】
本発明に係る積層装置が適用可能なリチウムイオン二次電池用の各シート状電極P,Nは、図1(b)に模式的に示すように、略方形に形成されており、その一辺端部に電極リード部PT,NTを有している。より具体的には、本実施の形態において、シート状正電極Pは、例えばその厚さが5〜30μm程度のアルミニウム製の長方形(本例では、L:300mm×W:122mm)の正極集電体PBの両面に不図示の正極活物質を塗布して形成されており、同様に、シート状負電極Nは、例えばその厚さが5〜30μm程度の銅製の長方形(本例では、L:303mm×W:125mm)の負極集電体NBの両面に不図示の負極活物質を塗布して形成されている。さらに、シート状正電極Pに設けられる正電極リードPTは、上記正極集電体PBと同じアルミニウム製であり、シート状負電極Nに設けられる負電極リードNTは上記負極集電体NBと同じ銅製である。なお、正電極リードPT及び負電極リードNTには、いずれも上記活物質は塗布されていない。
【0053】
本実施の形態において、正極活物質としては、コバルト酸リチウム複合酸化物(LCO)、マンガン酸リチウム複合酸化物(LMO)、ニッケル酸リチウム複合酸化物(LNO)等のリチウム複合酸化物を用いることができる。また、LNMCOといった3元素材料やLMNO,LMCO,LNCOといった2元素材料を用いてもよい。さらにこれらの主材料を混合したものでもよい。
【0054】
一方、負極活物質としては、グラファイトやハードカーボン等の炭素材料を用いることができる。またこれらの主材料を混合したものでもよい。
【0055】
そして、各シート状電極P,Nは、対応する各電極収容部30,40内においては、同極性の各電極リード(例えば、PT)の位置が揃えられて積層収容されているのに対し、逆極性のシート状電極の各電極リード(例えば、NT)とは、互いに反対側に位置(本例では、正電極リードPTが、シート状正電極Pの右端部に位置しているのに対し、負電極リードNTは、シート状負電極Nの左端部に位置)するように、各電極収容部30,40内に積層状態で収容されている。
【0056】
セパレータSは、多孔質膜、不織布、網など、電子絶縁性でシート状正電極P及びシート状負電極Nとの密着に対して充分な強度を有するものであれば、どのようなものでも使用可能であるが、ポリエチレン、ポリプロピレンの単層多孔質膜及びこれらの多層化した多孔質膜が接着性及び安全性の観点から好ましい。但し、本発明のように連続したセパレータSにより積層体を形成する場合には、折り曲げの際の脆性が特に問題となる耐熱性の高い不織布等で形成された無機材料複合セパレータ(例えば、無機化合物を複合した微多孔質セパレータ(セパリオン:登録商標)等)や、全芳香族ポリアミド素材(不織布、アラミド、ナイロン:登録商標)で形成されたセパレータ等に、より好適に適用可能である。
【0057】
一方、本実施の形態において、セパレータSをジグザグ状に折り曲げる際のガイドの役割を果たす折り曲げガイド部材20は、比較的大型のシート状電極P(N)に対してセパレータSの安定した折り曲げをガイドするという観点から、図2に拡大して示すような、積層ステージ10を挟んで互いに対向する一対のコ字状部材20A,20Bによりガイド部材20を構成している。なお、上記一対の折り曲げガイド部材20A,20Bのそれぞれは、不図示のアクチュエータにより積層ステージ10に対して前進/後退(近接/離隔)が可能なように構成されていると共に、各ガイド部材20A,20Bは、前進した際に積層ステージ10上のシート状電極P(N)の両端辺(セパレータSの移動方向と略直交する両端辺)を覆うようなガイド辺21R,21Lをそれぞれ有している。
【0058】
かかる折り曲げガイド部材20は、積層の際にシート状電極P,Nを押えつつ、セパレータSを折り曲げる際のガイド及びシート状電極P,N端部の保護ができるような形状・構成であれば差し支えなく、例えばガイド辺21R,21Lを棒状部材で形成してもよいし、テープ状セパレータSの折り曲げ位置を任意に調整できるようガイド辺21R,21Lの間隔が調整できるような構成としてもよい。また、シート状電極P,NやセパレータSと接触した場合でも、円滑な前進/後退が可能となるような材質で形成することが好ましく、さらに、その表面の摩擦抵抗が小さくなるような表面処理を施すことが好ましい。具体的には、例えばステンレス鋼材を用いて、その表面粗さが、0.5μm程度となるように電解研磨処理することが好ましい。
【0059】
また、折り曲げガイド部材20、後述する各電極保持搬送手段50P(50N)の電極吸着部58P(58N)の配置数、位置、大きさについては、積層動作時に両者が干渉しないような配置構成であれば任意に設定することができる。すなわち、積層ステージ10上にガイド部材20(本例では、一対のコ字状ガイド部材20A,20B)が前進したときに、昇降する電極吸着部58P(58N)と干渉しないように(折り曲げガイド部材20と、電極吸着部58P(58N)との積層ステージ10上への投影面が互いに干渉しないように)、両者の形状、大きさ、位置、配置数等を設定することができる。
【0060】
次に、本実施の形態に係る正電極保持搬送手段50P及び負電極保持搬送手段50Nの構成について、図3を参照して説明する。なお、各電極保持搬送手段50P,50Nを構成する各構成部材は、それぞれ同様な構造を有しているので、以下、総称表記(例えば、電極保持搬送手段50)とする。
【0061】
図3に模式的に示すように、本実施の形態に係る電極保持搬送手段50は、積層ステージ10に向かって水平方向に突出した幅広の支持アーム55の先端部に設けられており、不図示のエアー源により駆動されるエアーシリンダSdを介して、支持アーム55と直交するように取り付けられた略長方形の支持プレート56と、この支持プレート56に取り付けられ、積層ステージ10上のシート状電極P(N)と対向するように配設された吸着プレート57とを備えている。そして、吸着プレート57には、複数の電極吸着部58a,58b,58c・・・が配設されていると共に、支持プレート56の左右方向(セパレータSが往復移動する方向)両端部には、折り曲げガイド部材20と対向するように(折り曲げガイド部材20と同方向に平行に延在するように)、略直方体形状の樹脂製(例えば、テフロン(登録商標)の押さえ部材59が上下方向に伸縮自在となるようにエアーシリンダSdを介して配設されている。
【0062】
ところで、一般に、吸着搬送用の吸着部100は、図4(a)に模式的に示すように、ゴム等の弾性部材によりカップ(スカート)状に形成されており、吸着時のエアー漏れが少ないため、少量のエアー吸引にて十分な吸着力を発揮する(図4(b)参照)。しかし、弾性部材で形成された吸着部100にはゆがみが生じ易く、極薄(例えば、集電体PB(NB)の両面に活物質を塗布した状態で、厚さ50〜70μm)のシート状電極P(N)を搬送する際には、吸着時にしわが形成され、かかるしわは吸着部100の外周部から中心部に向かって盛り上がるように形成され、図4(c)〜(e)に模式的に示すように、シート状電極P(N)の表面に凹凸が形成された(吸着部100の中心部に対応するシート状電極P(N)の表面が凸部となった)吸着痕となってしまう。そして、このような吸着痕が形成されたシート状電極P(N)を多数積層した場合には、積層方向の高さが不均一となったり、セパレータSとシート状電極P(N)との間隔が局所定に不均一となったりして、製品品質(積層品質)のばらつきの要因となってしまう。特に、比較的大型(例えば、L:250〜350mm×W:100〜150mm)のシート状電極P(N)を搬送する場合には、複数の吸着部100にて吸着搬送することとなるため、必然的に多数の吸着痕が形成され(図4(f)参照)、上記のような問題が顕著に表れてしまう。
【0063】
一方、図5(a)に模式的に示すように、板状の吸着部110によりシート状電極P(N)を吸着する場合には、板状の吸着部110と、シート状電極P(N)の表面に塗布された活物質とは共に剛性を有するため、両者は点接触することとなり、所定の吸引力に対するエアー漏れが多くなって吸着力が低減し、確実な吸着搬送が困難となってしまう(図5(b)参照)。これに対して、板状の吸着部110において、エアー源の吸引力を増大させた場合でも、剛性の高い吸着部110は、シート状電極P(N)の表面の凹凸に追従できないため、吸着部をシート状電極P(N)に十分に押し付ける必要が生じ、隣接するシート状電極P(N)同士をより密着させてしまう。具体的には、最上部のシート状電極P(N)を吸着した際に、当該シート状電極P(N)が張って、積層方向に隣接するシート状電極P(N)との間に微小な隙間が生じ、かかる状態でシート状電極P(N)を押し付けた場合、微小隙間内の空気が押し出されて隣接するシート状電極P(N)同士を密着させるように作用し、これにより、最上部のシート状電極P(N)を一枚ずつ吸着することが困難となって複数のシート状電極P(N)を吸着してしまう、いわゆる重ね取りが発生してしまう。
【0064】
そこで、本実施の形態に係る電極保持搬送手段50では、電極吸着部58として、次のような構成を採用することにより、極薄で比較的大型のシート状電極P(N)を吸着搬送する際に、吸着痕等の塑性変形を防止しつつ、一枚ずつの安定した取り出しを可能としている。
【0065】
以下に、本実施の形態に係る電極吸着部58の構成及び作用を図6、図7を参照して説明する。ここで、図6(a)は、本実施の形態に係る電極吸着部58の構成を説明するための側面図であり、(b)は底面図であり、(c)は先端部分の分解図である。また、図7は、本実施の形態に係る電極吸着部58の作用を説明するための模式図である。
【0066】
図6(a)に示すように、本実施の形態に係る電極吸着部58は、上下方向に伸縮自在に形成された吸着プレート57にバネ等の弾性部材を介して取り付けられ、その内部にエアー配管を有する支持部材580と、この支持部材580先端の中心部に配設され、複数の吸引孔(貫通孔)581hが形成された樹脂製の円盤状の内部吸引板581と、この円盤状の内部吸引板581の周縁部と接着された傘状(カップ状)の周辺吸着部583とを備えている。
【0067】
円盤状の内部吸引板581は、図6(b)に最も良く示されるように、その中心部に吸引孔581h0を有していると共に、この中心部から等距離の周方向に沿って均等間隔で配置された複数の吸引孔581hを有している。本実施の形態において、内部吸引板581は、厚さ0.5mmの樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコン、ポリカーボネート等)で形成されており、その外径が、8〜10mm、各吸引孔581h0,581hの径が、0.5〜1.0mmに設定されている。なお、吸引孔581h0,581hの径が、0.5mmよりも小さくなると十分な吸引力が得られず、1.0mmよりも大きくなると吸着痕が発生してしまう。
【0068】
このように、吸引孔581として、所定の細孔を中心部及び周方向に沿って等間隔で複数配置することにより、シート状電極P(N)における吸着痕の発生を効果的に防止すると共に、バランスのよい吸着搬送が可能となる。
【0069】
また、図6(c)に最も良く示されるように、円盤状の内部吸引板581の側面(周縁部)は、傾斜面581cとなっており、この傾斜面581cが、周辺吸着部583との接着面となっている。
【0070】
周辺吸着部583は、弾性部材(例えば、ニトリルゴムやフロロシリコンゴム等のゴム状弾性体)によりカップ状に形成され、傘状に広がったスカート部583cの上端部が内部吸引板581の傾斜面581cと接着されて、上記内部吸引板581の周縁部を封着すると共に、スカート部583cの先端部が、内部吸引板581の周囲のシート状電極P(N)の凹凸面(活物質の凹凸面)と接触するようになっている。なお、本実施の形態では、上記周辺吸着部583のスカート部583cの外径(弾性変形していない定常状態での直径)は、15〜25mmに設定されている。
【0071】
このように構成した本実施の形態に係る電極吸着部58によれば、図7に模式的に示すように、電極吸着部58の中心部においては、内部吸引板581がシート状電極P(N)の表面に塗布された活物質Maの凹凸面と点接触(A部詳細)して、接触部における微小隙間からエアー漏れが生じて吸着力を弱めるため、しわ等が累積されて中心部に生じ易い吸着痕の発生を防止する。一方、周辺部(外周部)では、活物質Maの凹凸面に倣うように自らが変形してかかる表面と面的に接触(B部詳細)する弾性部材(例えば、ニトリルゴム)で形成された周辺吸着部583(スカート部583c)により、エアー漏れを抑制して十分な吸着力を安定して確保することができる。
【0072】
すなわち、本実施の形態に係る電極吸着部58では、その中心部にシート状電極P(N)の凹凸面(活物質Maの凹凸面)と点接触するような、剛性部材(本例では樹脂)で形成された板状の内部吸引板581と、その周囲(外周部)の凹凸面(活物質Maの凹凸面)と面接触するような周辺吸着部583とを設けることにより、重ね取りを防止して安定した吸着力を確保すると共に、電極吸着部58の中心部に対応するシート状電極P(N)の表面に生じ易い吸着痕等の塑性変形を効果的に防止することができる。
【0073】
さらに、本実施の形態では、比較的大型のシート状電極P(N)が吸着搬送可能なように、上述した吸着プレート57に複数の電極吸着部58を配設している。
【0074】
吸着プレート57上の複数の電極吸着部58の具体的な配置としては、図2に模式的に示したように、少なくとも折り曲げガイド部材20A,20Bと干渉しないシート状電極P(N)の表面領域の四隅に対応するように配置(図中、58a,58c,58d,58f)することが好ましく、シート状電極P(N)の各辺に沿って等間隔(本例では、40〜50mm)で配置(図中、58b,58e)することが好ましい。さらに、シート状電極P(N)をバランス良く搬送するという観点からは、シート状電極P(N)の中心部に対応する位置に配置(図中、58g)することが好ましい。
【0075】
このように、複数の電極吸着部58(本例では、58a〜58g)を四隅を含んで等間隔に配置することにより、比較的大型のシート状電極P(N)を吸着する際に、図8に模式的に示すように、シート状電極P(N)に緩やかなうねり(波打ち)が形成され、このうねりは、当該シート状電極P(N)と、その下方に配置されたシート状電極P(N)とを分離させるように作用するため、重ね取りをより効果的に防止することができる。
【0076】
次に、このように構成した本実施の形態に係る積層装置の動作について、図9〜図15を参照して説明する。
【0077】
ST0:まず、初期状態としては、複数のローラに懸架されたセパレータSの先端部を積層ステージ10上に手作業にて誘導し、当該先端部を積層ステージ10の下方からエアーにて吸着して固定する。なおこの際、積層ステージ10は、セパレータSの折り返しを可能とする所定の高さよりも下降していると共に、折り曲げガイド部材20(本例では、一対のコ字状ガイド部材20A,20B)は、積層ステージ10から後退している。そして、図9に示すように、一方の電極保持搬送手段(例えば、負電極保持搬送手段50N)にシート状負電極Nを1枚吸着させた状態で、当該シート状負電極Nの積層が可能となる積層ステージ10上方の所定の位置(図中、水平方向の所定位置であり、以下、積層ポジションともいう)に当該負電極保持搬送手段50Nが位置するようにスライド往復ユニット500をスライドさせる。この際、下部ローラ対60Dと、各電極保持搬送手段50P,50Nとの間隔は、積層ステージ10と各電極収容部30,40との離隔距離dの半分(d/2)に設定されているので、セパレータSが挿通された下部ローラ対60Dは積層ステージ10の右側に移動すると共に、他方の電極保持搬送手段(例えば、正電極保持搬送手段50P)は、対応するシート状正電極Pの吸着を可能とする正電極収容部30上方の所定の位置(図中、水平方向の所定位置であり、以下、吸着ポジションともいう)に必然的に移動することとなる。 また、スライド往復ユニット500の水平移動(本例では、図中、左から右)に伴って、連続セパレータSのバッファ部65内の屈曲個所Sdは下方に移動する。
【0078】
なお、シート状電極P(N)を吸着する際には、前述した電極吸着部58P(N)を採用したことにより、シート状電極P(N)に吸着痕等の塑性変形を生じさせることなく、かつ、1枚ずつの安定した吸着搬送が可能となる。
【0079】
ST1:続いて、図10に示すように、シート状負電極Nを保持した負電極保持搬送手段50N(負電極吸着部58N)を積層ステージ10上に伸長させて、シート状負電極Nを介してセパレータSを積層ステージ10上に押し付けると共に、吸着ポジションにあった正電極保持搬送手段50P(正電極吸着部58P)を伸縮させて、正電極収容部30内のシート状正電極Pを1枚吸着保持する。同時に、折り曲げガイド部材20を、セパレータSの折り曲げを可能とする積層ステージ10上方の所定の位置(図中、前後方向の所定位置であり、以下、折り曲げポジションともいう)へ前進させると共に、積層ステージ10を上昇させ、セパレータS及びシート状負電極Nを積層ステージ10と、折り曲げガイド部材20とで挟み込むと共に、スライド動作の際のガイド部材20との干渉を回避するために負電極保持搬送手段50N(負電極吸着部58N)を短縮させる。なお積層ステージ10を上昇させる際には、負電極保持搬送手段50Nは、その先端に弾性支持された負電極吸着部58Nが弾性的に縮んで、セパレータS及びシート状負電極Nを積層ステージ10との間で挟み込んだ状態で積層ステージ10の上昇動作に追従するようになっている。
【0080】
ST2:次に、図11に示すように、下部ローラ対60Dが積層ステージ10の反対側(本例では、積層ステージ10の左側)まで移動するようにスライド往復ユニット500を水平距離dだけスライドさせる。これにより、セパレータSが折り曲げガイド部材20により所定の折り曲げポジションにて折り曲げられると共に、負電極保持搬送手段50N(負電極吸着部58N)が吸着ポジションに移動し、正電極保持搬送手段50P(正電極吸着部58P)が積層ポジションに移動することとなる。すなわち、正電極保持搬送手段50Pの吸着ポジションから積層ポジションへの移動動作、負電極保持搬送手段50Nの積層ポジションから吸着ポジションへの移動動作、及びセパレータSの所定の折り曲げポジションでの一定の張力での折り曲げ動作の同時実施が可能となり、生産性の大幅な向上を実現することができる。
【0081】
ST3:次に、図12に示すように、正電極保持搬送手段50P(正電極吸着部58P)を積層ステージ10上へ伸長させ、シート状正電極Pを折り返されたセパレータS上に積層すると共に、折り曲げガイド部材20を積層ステージ10から後退させた後、正電極保持搬送手段50Pの両端の押え部材59を積層ステージ10上に伸長させて、セパレータSの折り曲げ部分を押さえつける。このように、所定の折り曲げポジションにて折り曲げられたセパレータSを、再度押え部材59により押さえ付けることにより、かかるセパレータSの戻り(スプリングバック)を防止して、均質な積層体の形成に寄与することができる。また、折り曲げガイド部材20が折り曲げポジションに移動する際に、セパレータSと干渉することを未然に防止することができる。
【0082】
なおこの際、吸着ポジションにあった負電極保持搬送手段50N(負電極吸着部58N)を伸縮させて、負電極収容部40内のシート状負電極Nを1枚吸着保持しておく。また、折り曲げガイド部材20を後退させる際には、各シート状電極P,N及びセパレータSは、ガイド部材20と干渉しないようにガイド辺21R,21Lの間に配置された正電極吸着部58Pと、積層ステージ10とで挟み込まれているので、これらのシート状電極P,N及びセパレータSの位置ずれが生じることはない。
【0083】
ST4:続いて、図13に示すように、各シート状電極P,N及びセパレータSを、正電極保持搬送手段50P(正電極吸着部58P)と積層ステージ10とで挟み込んだ状態で正電極保持搬送手段50P(正電極吸着部58P)及び積層ステージ10を若干下降させると共に、折り曲げガイド部材20を折り曲げポジションまで前進させ、各シート状電極P,N及びセパレータSと折り曲げガイド部材20との干渉を確実に回避する。その後、積層ステージ10を再び上昇させることにより、折り曲げられたセパレータSを介して積層されたシート状負電極N及びシート状正電極Pを、積層ステージ10と折り曲げガイド部材20とで挟み込むと共に、スライド動作の際のガイド部材20との干渉を回避するために正電極保持搬送手段50P(正電極吸着部58P)を短縮させる。
【0084】
ST5:次に、図14に示すように、下部ローラ対60Dが積層ステージ10の反対側(本例では、積層ステージ10の右側)まで移動するようにスライド往復ユニット500を水平距離dだけスライドさせる。これにより、セパレータSが折り曲げガイド部材20により所定の折り曲げポジションにて折り曲げられると共に、正電極保持搬送手段50Pが吸着ポジションに移動し、負電極保持搬送手段50Nが積層ポジションに移動することとなる。
【0085】
ST6:以上のステップST1〜ST5を繰り返すことにより、図15に示すような、一定の折り曲げポジションでジグザグ状に折り返された連続セパレータSの間に、所望の枚数(段数)のシート状電極P,Nが介装された積層体70が積層ステージ10上に形成される。
【0086】
ST7:そして、最終段のシート状電極の積層及びセパレータSの折り曲げが完了した後、下部ローラ対60Dの近傍にてセパレータSを切断した後、端末処理を行って積層体70を完成させる。
【0087】
その後、この積層体70を所定の電解液と共に、所望の外装体(例えば、缶状の外装体や、可撓性のあるシート状外装体等)内に封止することにより、リチウムイオン二次電池が完成される。
【0088】
以上のように、本発明に係る積層装置によれば、内部吸引板581と周辺吸着部583とを備える電極吸着部58により、シート状電極P(N)を吸着搬送する際に、かかるシート状電極P(N)に吸着痕等の塑性変形を生じさせることなく、かつ、1枚ずつの安定した吸着搬送が可能となり、積層体70を形成する際の積層品質の向上に寄与することができる。さらに、上記電極吸着部58を所定の配置で複数設けることにより、シート状電極P(N)の重ね取りをより効果的に防止することができる。
【0089】
また、従来のセパレータの切断工程を省略して生産性の向上を図ると共に、セパレータ往復移動手段を構成する下部ローラ対60D(スライド往復ユニット500)の移動によりセパレータSを折り曲げる際には、所定の折り曲げポジションに配置された折り曲げガイド部材20によりシート状電極P(N)の端部(端辺)に無理な力が加わることを防止することができる。併せて、常に積層ステージ10上のセパレータS及びシート状電極P(N)は、積層ステージ10と、折り曲げガイド部材20、電極吸着部58P(58N)、押え部材59の少なくともいずれかとで挟み込まれているため、セパレータSを折り曲げる際のシート状電極P(N)の位置ずれを確実に防止することができる。
【0090】
また、セパレータ往復移動手段を構成する下部ローラ対60Dと、各電極保持搬送手段50P,50Nとをスライド往復ユニット500と一体に構成すると共に、積層ステージ10、各電極収容部30,40との位置関係を所定の配置とすることにより、一方の極性のシート状電極の吸着ポジションから積層ポジションへの移動動作、他方の極性のシート状電極の積層ポジションから吸着ポジションへの移動動作、及びセパレータSの所定の折り曲げポジションでの一定の張力での折り曲げ動作の連続的な同時実施が可能となり、生産性の大幅な向上を実現することができる。
【0091】
さらに、セパレータ往復移動手段と各電極保持搬送手段50P,50Nとを、スライド往復ユニット500として、単一の駆動源により一体に往復移動させることにより、アクチュエータ数の削減、構成の大幅な簡素化、コンパクト化、コストダウン等に寄与することができる。
【0092】
さらに、例えば従来の回旋構造の積層体に比し、セパレータSに対して過大な張力を付与することなく、かつ、介装されるシート状電極の位置ずれを防止しつつ、常に一定の折り曲げポジションで、一定の張力にてセパレータSを均一に折り曲げることが可能となるので、セパレータSへのダメージを抑制して適用可能なセパレータ(例えば、耐熱性が高いが折り曲げの際の脆性が問題となる無機材料複合セパレータ等)の選定の自由度が増大し、用途に応じた電池品質の一層の向上に寄与することができる。
【0093】
なお、本発明の技術的範囲は詳述した実施形態の範囲に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨に逸脱しない範囲において多様な変更もしくは改良を加え得るものである。上述した実施形態においては、リチウムイオン二次電池を製造する場合の製造手順を例にして説明したが、本発明に係る積層装置は、このようなリチウムイオン二次電池の製造のみならず、吸着痕やしわ等の塑性変形を生じ易い極薄のシート状部材(本例では、シート状電極)の吸着搬送に当然に適用可能である。例えば、各シート状電極をいずれもその表面に活性炭などの炭素材料が塗布されたアルミニウム箔にて構成することにより、電気二重層キャパシタの製造にも容易に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明に係る積層装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明に係る折り曲げガイド部材の構成及び電極吸着部との配置関係を示す模式図である。
【図3】本発明に係る電極保持搬送手段の構成を説明するための模式図である。
【図4】従来の弾性部材により形成された吸着部を説明するための模式図である。
【図5】従来の板状部材により形成された吸着部を説明するための模式図である。
【図6】本発明に係る電極吸着部の構成を示す図であり、(a)は側面図、(b)は底面図、(c)は吸着部先端の分解図である。
【図7】本発明に係る電極吸着部の作用を説明するための模式図である。
【図8】本発明に係る電極吸着部を複数配設した吸着プレートの作用を説明するための模式図である。
【図9】本発明に係る積層装置による積層動作を説明するための模式図である。
【図10】本発明に係る積層装置による積層動作を説明するための模式図である。
【図11】本発明に係る積層装置による積層動作を説明するための模式図である。
【図12】本発明に係る積層装置による積層動作を説明するための模式図である。
【図13】本発明に係る積層装置による積層動作を説明するための模式図である。
【図14】本発明に係る積層装置による積層動作を説明するための模式図である。
【図15】本発明に係る積層装置による積層動作を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0095】
10:積層ステージ、20:ガイド部材、20A,20B:コ字状ガイド部材、21R,21L:ガイド辺、30:正電極収容部、40:負電極収容部、50P:正電極保持搬送手段、50N:負電極保持搬送手段、51:スライド部材、53:垂直アーム、55R:右支持アーム、55L:左支持アーム、56:支持プレート、57:吸着プレート、58P:正電極吸着部、58N:負電極吸着部、59:押え部材、60U:上部ローラ、60D:下部ローラ対、61:供給部、61s:回転軸、62,63:ガイドローラ、65:バッファ部、67:吸引ファン、70:積層体、500:スライド往復ユニット、581:内部吸引板、581:吸引孔、581c:傾斜面、581h0,581h:吸引孔、583:周辺吸着部、583c:スカート部、LSu:上限検知センサ、LSd:下限検知センサ、Ma:活物質、P:シート状正電極、N:シート状負電極、S:セパレータ、Sd:エアーシリンダ
【技術分野】
【0001】
本発明は、つづら折り状に折り返された連続セパレータの間にシート状電極が介装された積層体を製造する積層装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平9−274935号公報
【特許文献2】特開2000−251923号公報
【0003】
近年、電気自動車やハイブリッド自動車あるいはUPS(無停電電源)等に適用可能で、小型化・大容量化が容易な二次電池の一例として、リチウムイオン二次電池が注目されている。このリチウムイオン二次電池は、一般的には、シート状の正極集電体とその表面に塗布された正極活物質とで構成されたシート状の正電極と、シート状の負極集電体とその表面に塗布された負極活物質とで構成されたシート状の負電極とをセパレータを介して積層することにより形成されたシート状の内部電極対(積層体)と、この内部電極対を密封状態に被覆すると共に内部に電解液を収容する電池ケースと、この電池ケース内の内部電極対の各正電極及び各負電極にそれぞれ接続される正電極端子及び負電極端子とで構成されている。そして、充電時には正極活物質からリチウムイオンが電解液とセパレータを介して移動し負極活物質にインターカレートされ、放電時にはその逆の順序でリチウムイオンが移動することにより二次電池として充放電を行うものである。
【0004】
上述のようなセパレータとシート状電極とで構成された内部電極対の一例として、内部短絡による電池損傷や周囲への影響を最小限に抑制する等の目的を達成するために、シート状電極間に介在するセパレータを連続的に形成して積層体を構成したものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
ここで、特許文献1には、内部短絡の波及抑制や放熱性能の向上等を図るために、微多孔性フィルムを2枚貼り合わせた袋状のセパレータの内部にシート状電極を収容した電極ユニットを形成し、これらの電極ユニットを順次積層した内部電極対(積層体)を有するリチウムイオン二次電池が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、デッドスペースを省略して電池容量の増大等を図るために、その下端辺が折り曲げられた長尺の帯状セパレータをつづら折り(ジグザグ状)に折り曲げて、折り曲げられた連続セパレータ間に正負各極性のシート状電極を交互に配置した内部電極対(積層体)を有する角型二次電池が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献に開示された先行技術においては、いずれも次のような問題点を有していた。
【0008】
例えば、特許文献1に開示された先行技術においては、微多孔性フィルムを貼り合わせた袋状のセパレータ内にシート状電極を収容するために自動化が困難であり、また、セパレータの切断工程が必要となり、作業性・生産性が著しく劣るといった問題が生じていた。
【0009】
また、特許文献2に開示された先行技術においては、組み立ての過程で、シート状の正負各電極とセパレータとの位置を正確に調整しつつセパレータを折り曲げて積層体を形成していく必要があるため、作業性・生産性が劣るといった問題を生じていた。さらに、セパレータを折り曲げる際に、介装されるシート状電極端部に無理な力が加わり、当該電極の位置ずれや電極端部に機械的なダメージが生じ易く、このような組み立ての際のシート状電極の位置ずれやシート状電極に対する機械的ダメージは、電池容量の低下といった性能の劣化や内部短絡の発生の要因となるといった問題が生じていた。
【0010】
さらにまた、極薄のシート状電極及びセパレータを積層する際に、かかるシート状電極には吸着痕等の塑性変形が生じ易く、均一に積層することが困難であり、このような積層体を形成する際の積層品質の向上が望まれていた。
【0011】
そこで、本発明は、上述のような従来技術の問題点に鑑みて、連続セパレータを折り曲げる際のシート状電極端部を保護すると共に、当該セパレータの円滑な折り曲げ及び積層体の生産性向上を可能とし、併せてシート状電極を吸着搬送する際に、吸着痕等の塑性変形を生じさせることなく安定した積層体の品質を確保することができる連続セパレータ及びシート状電極の積層装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置は、連続するテープ状のセパレータを折り返しつつ、該セパレータ及びシート状電極を順次積層して積層体を形成する連続セパレータ及びシート状電極の積層装置であって、前記テープ状のセパレータの先端部を保持し、その上にシート状電極及びセパレータが順次積層される積層ステージと、前記積層ステージの上方にて、前記テープ状セパレータを、該積層ステージを中心として往復移動させるセパレータ往復移動手段と、積層された前記シート状電極の前記セパレータの移動方向両端部の辺を覆うように前記積層ステージに対して近接又は離隔可能に構成され、前記セパレータの往復移動に伴う前記シート状電極両端部での折り返しをガイドする折り曲げガイド部材と、複数のシート状正電極が収容された正電極収容部から、シート状正電極を吸着保持して前記積層ステージ上に搬送供給する正電極保持搬送手段と、複数のシート状負電極が収容された負電極収容部から、シート状負電極を吸着保持して前記積層ステージ上に搬送供給する負電極保持搬送手段とを備え、前記各電極保持搬送手段は、対応するシート状電極を搬送可能に吸着する電極吸着部をその先端に有しており、該電極吸着部は、複数の吸引孔を有してシート状電極と対向し中心部に配設された内部吸引板と、該内部吸引板の周縁部を封着すると共に先端部がシート状電極の表面と倣うように接触する弾性部材により形成された傘状の周辺吸着部とを具備していることを特徴とするものである。
【0013】
このように構成した場合には、その上にシート状電極及びセパレータが順次積層される積層ステージと、該積層ステージを中心としてテープ状セパレータを往復移動させるセパレータ往復移動手段と、セパレータの往復移動に伴うシート状電極両端部での折り返しをガイドする折り曲げガイド部材とを備えているので、シート状電極を積層する度のセパレータの切断工程を省略して生産性の向上を図ると共に、往復移動するテープ状セパレータを折り返す際のシート状電極との直接的な接触に伴う電極端部へのダメージを防止しつつテープ状セパレータの均質な折り返しを容易に実現することができる。併せて、複数の吸引孔を有してシート状電極と対向し中心部に配設された内部吸引板と、該内部吸引板の周縁部を封着すると共に、その先端部がシート状電極の表面と倣うように接触する弾性部材により形成された傘状の周辺吸着部とを備えた電極吸着部により、シート状電極を吸着する際の吸着痕やしわ等の発生による塑性変形や複数枚の吸着を未然に防止して、シート状電極の安定した吸着搬送と連続セパレータ及びシート状電極から構成される積層体の積層品質の向上に寄与することができる。
【0014】
また、前記電極吸着部は、シート状電極と略同等の大きさを有して、該シート状電極と対向する板状の吸着プレートに複数配設されており、かつ、前記電極吸着部の配設箇所は、積層ステージ上の前記折り曲げガイド部材と干渉しない領域におけるシート状電極の四隅及び各辺に沿って等間隔に配置されていてもよい。
【0015】
このように構成した場合には、複数の電極吸着部を所定の箇所に配置することにより、シート状電極を吸着する際に緩やかなうねり(波打ち)を形成することができ、シート状電極を複数枚吸着する重ね取りをより効果的に防止することができる。
【0016】
さらに、前記内部吸引板は、樹脂部材により円盤状に形成されていると共に、前記周辺吸着部は、ゴム部材で形成されており、かつ、前記複数の吸引孔は、中心部及び周方向に等間隔で配置形成されていてもよい。
【0017】
このように構成した場合には、シート状電極の凹凸表面と点接触する内部吸引板と、面的に接触する周辺吸着部と容易に実現すると共に、複数の細孔が所定の位置に配置形成された吸引孔により、吸着痕の発生をより効果的に防止しつつ、バランスの良い吸着を実現することができる。
【0018】
さらにまた、前記各電極保持搬送手段は、前記折り曲げガイド部材に沿って折り曲げられた連続セパレータを、前記積層ステージ上で積層方向に押さえ付ける押え部材をさらに備えていてもよい。
【0019】
このように構成した場合には、折り曲げられた連続セパレータの戻り(スプリングバック)を押え部材により抑制して、積層品質の向上に寄与することができる。
【0020】
また、前記テープ状セパレータは、複数のローラに懸架されて複数の屈曲個所を形成していると共に、少なくとも一の屈曲個所は、前記ローラに支持されることなく非接触な状態で吸引されており、かつ、重力方向に移動可能に形成されていてもよい。
【0021】
このように構成した場合には、少なくとも一の屈曲個所が、ローラに支持されることなく非接触な状態で吸引され、かつ、重力方向に移動可能に形成されているので、連続するテープ状のセパレータに常に一定のテンションを付与して弛みや皺の発生を防止すると共に、連続セパレータの全ての屈曲個所をローラに懸架して支持する構成に比し、ローラ軸方向の位置ずれや捩れに対する調整が容易となり、特に、連続セパレータを積層ステージ上に位置決めする初期セッティング時の作業性を向上させることができる。
【0022】
さらに、前記セパレータ往復移動手段は、その間に前記テープ状セパレータが挿通されたローラ対を、前記積層ステージを中心として該ステージ面に沿って往復移動させることにより構成されていてもよい。
【0023】
このように構成した場合には、連続セパレータを切断することなく、各シート状電極端部での順次折り返しを可能とするセパレータ往復移動手段を簡易な構成で容易に実現することができる。
【0024】
さらにまた、前記セパレータ往復移動手段と、前記正電極保持搬送手段及び負電極保持搬送手段とは略同一直線上を一体に往復移動することができる。
【0025】
このように構成した場合には、セパレータ往復移動手段と、正電極保持搬送手段及び負電極保持搬送手段とが略同一直線上を一体となって往復移動するので、例えば、互いに材質が異なるシート状正電極及びシート状負電極を積層する必要がある二次電池の製造への容易な適用が可能となる。さらに、連続セパレータを介したシート状正電極及びシート状負電極の積層ステージ上での交互の順次自動積層が可能となり、各シート状電極の搬送供給やセパレータの折り曲げのための自由度を削減して構成のコンパクト化や制御の簡素化を可能とし、大容量化や生産性の向上及びコストダウンに寄与することができる。
【0026】
また、前記セパレータ往復移動手段は、前記正電極保持搬送手段と前記負電極保持搬送手段との略中央に配置されていると共に、前記積層ステージは、前記正電極収容部と前記負電極収容部との略中央に配置されており、かつ、前記セパレータ往復移動手段と前記各電極保持搬送手段との水平方向の離隔距離は、前記積層ステージと前記各電極収容部との水平方向の離隔距離の略半分に設定されていてもよい。
【0027】
ここで、セパレータ往復移動手段と各電極保持搬送手段との水平方向の離隔距離とは、例えば同一極性の電極保持搬送手段を構成する電極吸着部が水平方向に複数配設されている場合には、水平方向におけるセパレータ往復移動手段(例えば、ローラ対)の中心と複数の上記電極吸着部の配設中心との離隔距離をいうものとし、同様に、積層ステージと各電極収容部との水平方向の離隔距離とは、水平方向における積層ステージの配設中心と各シート状電極収容部の配設中心との離隔距離をいうものとする。
【0028】
このように構成した場合には、ローラ対と各電極保持搬送手段との水平方向の離隔距離が、積層ステージと各電極収容部との水平方向の離隔距離の略半分に設定されているので、簡易な制御により、一方の極性のシート状電極を対応する電極収容部から積層ステージへ移動させる供給動作、他方の極性のシート状電極を積層ステージから対応する電極収容部へ移動させる移動動作、連続セパレータを電極端部で折り返す折り曲げ動作の同時実施が可能となり、生産性の大幅な向上を実現することができる。
【0029】
さらに、前記折り曲げガイド部材及び/又はいずれかの前記電極保持搬送手段は、積層ステージ上で積層体を形成する際に、常に、積層ステージとの間で該積層体を挟みこんでいるように構成することができる。
【0030】
このように構成した場合には、積層体上にて積層体を形成する際のシート状電極の位置ずれを確実に防止することができる。
【0031】
さらにまた、前記積層ステージは、前記シート状電極の積層枚数に応じて、その高さが調整可能であってもよい。
【0032】
このように構成した場合には、シート状電極の積層枚数に応じて、セパレータの折り曲げ位置(高さ)を常に一定に維持することができるので、簡易な制御によりセパレータの均質な折り返しを可能として品質の維持向上に寄与することができる。
【0033】
また、本発明においては、例えば、耐熱性は高いが、切断が困難で切断工程で損傷する可能性が高く折り曲げの際の脆性が問題となる無機化合物の複合材料又は全芳香族ポリアミド材料にて形成されたセパレータに対しても好適に適用可能であり、用途に応じたセパレータの選定の自由度を増大させることができる。
【0034】
さらに、本発明においては、前記シート状正電極を、例えばアルミニウム製の金属箔の両面に正極活物質が塗布されたリチウムイオン電池用正電極とし、前記シート状負電極を、例えば銅製の金属箔の両面に負極活物質が塗布されたリチウムイオン電池用負電極とすることにより、連続セパレータを用いた小型で大容量化が容易なリチウムイオン二次電池の内部電極対(積層体)の製造に好適に適用することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、連続セパレータを折り曲げる際のシート状電極端部を保護すると共に、当該セパレータの円滑な折り曲げ及び積層体の生産性向上を可能とし、併せてシート状電極を吸着搬送する際に、吸着痕等の塑性変形を生じさせることなく安定した積層体の品質を確保することができる連続セパレータ及びシート状電極の積層装置を簡易な構成で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下に、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態では、本発明の一適用例であるリチウムイオン二次電池の製造を例にとって説明する。
【0037】
まず、本実施の形態に係る積層体の製造装置(以下、積層装置とも称する)の概要について図1を参照して説明する。ここで、図1(a)は、本実施の形態に係る積層装置の全体構成を示す模式的正面図であり、図1(b)は、模式的平面図である。なお、明瞭化のため、図1(a)では、セパレータが複数のローラに懸架されて積層ステージへ供給されている状態を示すのに対し、図1(b)では、当該セパレータを省略した状態を示すものとする。
【0038】
本発明に係る積層装置1は、図1に示すように、複数のローラに懸架されたテープ状(フィルム状)の連続したセパレータSと、その上にシート状正電極P及びシート状負電極Nが、連続したテープ状のセパレータSを介して交互に積層される昇降自在に形成された積層ステージ10と、所定の高さを維持しつつ積層ステージ10に対して前進又は後退(近接又は離隔)が可能なように形成され、セパレータSのジグザグ状の順次折り曲げを所定の位置(高さ)でガイドする折り曲げガイド部材20と、セパレータSの供給方向(本例では、図中、右側から左側)に沿って積層ステージ10の上流側(本例では、図中、右側)に配設され、積層状態の複数のシート状正電極Pを収容する正電極収容部30と、積層ステージ10の下流側(本例では、図中、左側)に配設され、積層状態の複数のシート状負電極Nを収容する負電極収容部40と、積層ステージ10の上方に配設され、積層ステージ10、正電極収容部30、負電極収容部40との間を往復移動可能なように構成されたスライド往復ユニット500と、これらの構成機器の動作を制御する不図示の装置コントローラ等を備えている。
【0039】
本実施の形態におけるスライド往復ユニット500は、積層ステージ10の背面側にて、不図示のモータ等の駆動源により水平方向に往復移動可能に構成したスライド部材51を備え、このスライド部材51の略中央部には、垂直方向に延在する垂直アーム53が取り付けられていると共に、スライド部材51の両端部には、積層ステージ10側(図中、背面側から前面側)に略水平に突出形成された幅広の右支持アーム55R及び左支持アーム55Lがそれぞれ取り付けられている。さらに、垂直アーム53の上端部には、セパレータSが懸架される上部ローラ60Uが、積層ステージ10側に略水平に突出するように取り付けられていると共に、垂直アーム53の下端部には、一対の下部ローラ対60Dが、積層ステージ10の上表面近傍に略水平に突出するように取り付けられている。かかるローラ対60Dは、本発明に係るセパレータ往復移動手段を構成するものであり、具体的には、積層ステージ10上の所定の位置に前進する上記折り曲げガイド部材20と略平行であって、その高さがガイド部材20の表面近傍に位置するように取り付けられている。また、右支持アーム55Rの先端部には、正電極収容部30からシート状正電極Pを一枚ずつ吸着保持して積層ステージ10への移動供給を可能とする上下方向に伸縮自在に形成された正電極吸着部58Pを有する正電極保持搬送手段50Pが懸装されている。同様に、左支持アーム55Lの先端部には、負電極収容部40からシート状負電極Nを一枚ずつ吸着保持して積層ステージ10への移動供給を可能とする上下方向に伸縮自在に形成された負電極吸着部58Nを有する負電極保持搬送手段50Nが懸装されている。すなわち、本実施の形態におけるスライド往復ユニット500は、上部ローラ60Uと、下部ローラ対60Dと、正電極保持搬送手段50P、負電極保持搬送手段50Nとが一体に形成され、積層ステージ10に対して、単一の駆動源により一体に連続的に往復移動可能なように構成されている。
【0040】
本実施の形態において、各電極保持搬送手段50P,50Nは、不図示のエアー源により駆動される従来公知のエアーシリンダにより上下方向に伸縮自在に形成されていると共に、さらにその先端(下端)に取り付けられた各電極吸着部58P,58Nは、バネ等の弾性部材を介して上下方向に弾性変形可能に取り付けられている。なお、各電極保持搬送手段50P,50Nの詳細については後述する。
【0041】
また、本実施の形態における上部ローラ60Uと下部ローラ対60Dとの配置に関しては、両者を鉛直線上よりも水平方向にずらして配置することも可能であるが、セパレータSを折り曲げる際に、当該セパレータSや折り曲げガイド部材20に対して折り曲げ方向以外の不要な力が加わることを未然に防止して円滑な折り曲げを可能とすると共に、供給部61側の電極保持搬送手段50Pの可動領域を十分に確保するという観点から、両者は略鉛直線上に配置することが好ましい。
【0042】
また、本発明のセパレータ往復移動手段を構成する下部ローラ対60Dの取り付け高さに関しては、同様に、セパレータSや折り曲げガイド部材20に不要な力が加わることを未然に防止するという観点から、所定の高さに配置される折り曲げガイド部材20の上方近傍に位置するようにその配置高さを設定することが好ましい。
【0043】
本実施の形態に係る積層ステージ10は、その表面部分に、不図示のエアー源からの吸引によりセパレータSの先端部の吸着固定を可能とする複数の細孔が形成されていると共に、セパレータSを折り返す際の折り曲げ位置が常に所定の位置(高さ)となるように、不図示のモータによりシート状電極P,NやセパレータSの積層状態(積層枚数)に応じて昇降(上下移動)可能なように構成されている。
【0044】
セパレータSは、図1(a)に示すように、回転軸61s回りに回転自在となるように取り付けられたテープ状の供給部61から供給されるようになっており、供給部61の下方に設けられたバッファ部65を介して複数のローラに懸架され、積層ステージ10上に連続的に供給されるようになっている。具体的には、その内部にてテープ状のセパレータSが上下方向に移動自在となるように形成された中空箱状のバッファ部65の上部に設けられた一対のガイドローラ62,63と、このガイドローラ62,63と略同等の高さに配設された上部ローラ60U(スライド往復ユニット500の垂直アーム53に取り付け)とに懸架され、さらに上部ローラ60Uの下方に配置された一対の下部ローラ対60D(スライド往復ユニット500の垂直アーム53に取り付け)のローラ間に挿通されて、その先端部が積層ステージ10上で吸着固定されるようになっている。
【0045】
そして、本発明に係るセパレータ往復移動手段を構成する下部ローラ対60Dが設けられたスライド往復ユニット500を、積層ステージ10を中心として該ステージ面に沿って往復移動させることにより、その先端が積層ステージ10上に吸着固定されたセパレータSが、積層ステージ10上で順次折り返し可能なように連続的に供給されるようになっている。
【0046】
本実施の形態において、上記バッファ部65は、中空の箱状に形成されており、その内部空間に導かれた連続セパレータSの下方端での屈曲個所Sdは、ローラ等に支持されておらず、当該個所が上下方向に移動可能となっていると共に、バッファ部65の底部には、吸引ファン67が設置されており、所定の吸引力にてバッファ部65内の連続セパレータS(屈曲個所Sd)を吸引することにより、一定の張力を連続セパレータSに付与するようになっている。
【0047】
このように連続セパレータSの一の屈曲個所(本例では、下方端に位置する屈曲個所Sd)を、敢えてローラ等で支持することなく、非接触な状態でエアー吸引することにより、連続セパレータSが屈曲する個所を全てローラにより懸架する構成に比し、連続セパレータSのローラ軸方向に対するズレや捩れに対する調整が容易となる。特に、連続セパレータSを積層ステージ10に積層されたシート状電極P,Nの辺と平行となるように位置調整する初期セッティング作業を容易化し、作業性の向上に寄与することができる。また、吸引ファン67の吸引力を変更することによりセパレータSのテンション調整が容易になると共に、セパレータS表面に付着したごみを吸い取ることも可能となる。
【0048】
また、本実施の形態において、バッファ部65には、連続セパレータSの上下方向の移動可能領域を検知する光学式センサLSu,LSdが配設されており、連続セパレータSが上限検知センサLSuの上方に移動した際には、供給部61を供給方向に回転させる一方、下限検知センサLSdの下方に移動した際には、供給部61を逆方向(巻き取る方向)に回転させて、常に、連続セパレータSが検知センサLSu,LSdにて規制される所定の領域内に存在するように制御し、連続セパレータSのバッファ部65からの脱落や、吸引ファン67への吸い込みを未然に防止している。
【0049】
また、本発明に係る積層装置1では、図1(b)に最も良く示されるように、正電極収容部30、正電極保持搬送手段50P、積層ステージ10、負電極保持搬送手段50N、負電極収容部40が、セパレータSの供給方向(移動方向)に沿って略一直線上に配置されていると共に、図1(a)に示すように、積層ステージ10と、各電極収容部30,40との水平方向の離隔距離は、共に均等な値dとなるように配設されている。
【0050】
一方、図1(b)に示すように、下部ローラ対60Dの中心と各電極保持搬送手段50P,50Nの吸着中心との水平方向の離隔距離は、積層ステージ10と各電極収容部30,40との離隔距離dの略半分(d/2)となるように設定されている。
【0051】
本実施の形態に係るスライド往復ユニット500においては、このようにセパレータ往復移動手段を構成するローラ対60Dと、各シート状電極P,Nを吸着保持して積層ステージ10への供給を可能とする各電極保持搬送手段50P,50Nとを一体に構成しつつ、各構成部材の位置関係を上述した所定の配置とすることにより、詳細な動作を後述するように、一方の極性のシート状電極の積層ステージ10への供給動作と、他方の極性のシート状電極の電極収容部への移動動作と、所定の位置におけるセパレータSの折り曲げ動作とを同時に実施可能とし、大幅な生産性の向上を図っている。
【0052】
本発明に係る積層装置が適用可能なリチウムイオン二次電池用の各シート状電極P,Nは、図1(b)に模式的に示すように、略方形に形成されており、その一辺端部に電極リード部PT,NTを有している。より具体的には、本実施の形態において、シート状正電極Pは、例えばその厚さが5〜30μm程度のアルミニウム製の長方形(本例では、L:300mm×W:122mm)の正極集電体PBの両面に不図示の正極活物質を塗布して形成されており、同様に、シート状負電極Nは、例えばその厚さが5〜30μm程度の銅製の長方形(本例では、L:303mm×W:125mm)の負極集電体NBの両面に不図示の負極活物質を塗布して形成されている。さらに、シート状正電極Pに設けられる正電極リードPTは、上記正極集電体PBと同じアルミニウム製であり、シート状負電極Nに設けられる負電極リードNTは上記負極集電体NBと同じ銅製である。なお、正電極リードPT及び負電極リードNTには、いずれも上記活物質は塗布されていない。
【0053】
本実施の形態において、正極活物質としては、コバルト酸リチウム複合酸化物(LCO)、マンガン酸リチウム複合酸化物(LMO)、ニッケル酸リチウム複合酸化物(LNO)等のリチウム複合酸化物を用いることができる。また、LNMCOといった3元素材料やLMNO,LMCO,LNCOといった2元素材料を用いてもよい。さらにこれらの主材料を混合したものでもよい。
【0054】
一方、負極活物質としては、グラファイトやハードカーボン等の炭素材料を用いることができる。またこれらの主材料を混合したものでもよい。
【0055】
そして、各シート状電極P,Nは、対応する各電極収容部30,40内においては、同極性の各電極リード(例えば、PT)の位置が揃えられて積層収容されているのに対し、逆極性のシート状電極の各電極リード(例えば、NT)とは、互いに反対側に位置(本例では、正電極リードPTが、シート状正電極Pの右端部に位置しているのに対し、負電極リードNTは、シート状負電極Nの左端部に位置)するように、各電極収容部30,40内に積層状態で収容されている。
【0056】
セパレータSは、多孔質膜、不織布、網など、電子絶縁性でシート状正電極P及びシート状負電極Nとの密着に対して充分な強度を有するものであれば、どのようなものでも使用可能であるが、ポリエチレン、ポリプロピレンの単層多孔質膜及びこれらの多層化した多孔質膜が接着性及び安全性の観点から好ましい。但し、本発明のように連続したセパレータSにより積層体を形成する場合には、折り曲げの際の脆性が特に問題となる耐熱性の高い不織布等で形成された無機材料複合セパレータ(例えば、無機化合物を複合した微多孔質セパレータ(セパリオン:登録商標)等)や、全芳香族ポリアミド素材(不織布、アラミド、ナイロン:登録商標)で形成されたセパレータ等に、より好適に適用可能である。
【0057】
一方、本実施の形態において、セパレータSをジグザグ状に折り曲げる際のガイドの役割を果たす折り曲げガイド部材20は、比較的大型のシート状電極P(N)に対してセパレータSの安定した折り曲げをガイドするという観点から、図2に拡大して示すような、積層ステージ10を挟んで互いに対向する一対のコ字状部材20A,20Bによりガイド部材20を構成している。なお、上記一対の折り曲げガイド部材20A,20Bのそれぞれは、不図示のアクチュエータにより積層ステージ10に対して前進/後退(近接/離隔)が可能なように構成されていると共に、各ガイド部材20A,20Bは、前進した際に積層ステージ10上のシート状電極P(N)の両端辺(セパレータSの移動方向と略直交する両端辺)を覆うようなガイド辺21R,21Lをそれぞれ有している。
【0058】
かかる折り曲げガイド部材20は、積層の際にシート状電極P,Nを押えつつ、セパレータSを折り曲げる際のガイド及びシート状電極P,N端部の保護ができるような形状・構成であれば差し支えなく、例えばガイド辺21R,21Lを棒状部材で形成してもよいし、テープ状セパレータSの折り曲げ位置を任意に調整できるようガイド辺21R,21Lの間隔が調整できるような構成としてもよい。また、シート状電極P,NやセパレータSと接触した場合でも、円滑な前進/後退が可能となるような材質で形成することが好ましく、さらに、その表面の摩擦抵抗が小さくなるような表面処理を施すことが好ましい。具体的には、例えばステンレス鋼材を用いて、その表面粗さが、0.5μm程度となるように電解研磨処理することが好ましい。
【0059】
また、折り曲げガイド部材20、後述する各電極保持搬送手段50P(50N)の電極吸着部58P(58N)の配置数、位置、大きさについては、積層動作時に両者が干渉しないような配置構成であれば任意に設定することができる。すなわち、積層ステージ10上にガイド部材20(本例では、一対のコ字状ガイド部材20A,20B)が前進したときに、昇降する電極吸着部58P(58N)と干渉しないように(折り曲げガイド部材20と、電極吸着部58P(58N)との積層ステージ10上への投影面が互いに干渉しないように)、両者の形状、大きさ、位置、配置数等を設定することができる。
【0060】
次に、本実施の形態に係る正電極保持搬送手段50P及び負電極保持搬送手段50Nの構成について、図3を参照して説明する。なお、各電極保持搬送手段50P,50Nを構成する各構成部材は、それぞれ同様な構造を有しているので、以下、総称表記(例えば、電極保持搬送手段50)とする。
【0061】
図3に模式的に示すように、本実施の形態に係る電極保持搬送手段50は、積層ステージ10に向かって水平方向に突出した幅広の支持アーム55の先端部に設けられており、不図示のエアー源により駆動されるエアーシリンダSdを介して、支持アーム55と直交するように取り付けられた略長方形の支持プレート56と、この支持プレート56に取り付けられ、積層ステージ10上のシート状電極P(N)と対向するように配設された吸着プレート57とを備えている。そして、吸着プレート57には、複数の電極吸着部58a,58b,58c・・・が配設されていると共に、支持プレート56の左右方向(セパレータSが往復移動する方向)両端部には、折り曲げガイド部材20と対向するように(折り曲げガイド部材20と同方向に平行に延在するように)、略直方体形状の樹脂製(例えば、テフロン(登録商標)の押さえ部材59が上下方向に伸縮自在となるようにエアーシリンダSdを介して配設されている。
【0062】
ところで、一般に、吸着搬送用の吸着部100は、図4(a)に模式的に示すように、ゴム等の弾性部材によりカップ(スカート)状に形成されており、吸着時のエアー漏れが少ないため、少量のエアー吸引にて十分な吸着力を発揮する(図4(b)参照)。しかし、弾性部材で形成された吸着部100にはゆがみが生じ易く、極薄(例えば、集電体PB(NB)の両面に活物質を塗布した状態で、厚さ50〜70μm)のシート状電極P(N)を搬送する際には、吸着時にしわが形成され、かかるしわは吸着部100の外周部から中心部に向かって盛り上がるように形成され、図4(c)〜(e)に模式的に示すように、シート状電極P(N)の表面に凹凸が形成された(吸着部100の中心部に対応するシート状電極P(N)の表面が凸部となった)吸着痕となってしまう。そして、このような吸着痕が形成されたシート状電極P(N)を多数積層した場合には、積層方向の高さが不均一となったり、セパレータSとシート状電極P(N)との間隔が局所定に不均一となったりして、製品品質(積層品質)のばらつきの要因となってしまう。特に、比較的大型(例えば、L:250〜350mm×W:100〜150mm)のシート状電極P(N)を搬送する場合には、複数の吸着部100にて吸着搬送することとなるため、必然的に多数の吸着痕が形成され(図4(f)参照)、上記のような問題が顕著に表れてしまう。
【0063】
一方、図5(a)に模式的に示すように、板状の吸着部110によりシート状電極P(N)を吸着する場合には、板状の吸着部110と、シート状電極P(N)の表面に塗布された活物質とは共に剛性を有するため、両者は点接触することとなり、所定の吸引力に対するエアー漏れが多くなって吸着力が低減し、確実な吸着搬送が困難となってしまう(図5(b)参照)。これに対して、板状の吸着部110において、エアー源の吸引力を増大させた場合でも、剛性の高い吸着部110は、シート状電極P(N)の表面の凹凸に追従できないため、吸着部をシート状電極P(N)に十分に押し付ける必要が生じ、隣接するシート状電極P(N)同士をより密着させてしまう。具体的には、最上部のシート状電極P(N)を吸着した際に、当該シート状電極P(N)が張って、積層方向に隣接するシート状電極P(N)との間に微小な隙間が生じ、かかる状態でシート状電極P(N)を押し付けた場合、微小隙間内の空気が押し出されて隣接するシート状電極P(N)同士を密着させるように作用し、これにより、最上部のシート状電極P(N)を一枚ずつ吸着することが困難となって複数のシート状電極P(N)を吸着してしまう、いわゆる重ね取りが発生してしまう。
【0064】
そこで、本実施の形態に係る電極保持搬送手段50では、電極吸着部58として、次のような構成を採用することにより、極薄で比較的大型のシート状電極P(N)を吸着搬送する際に、吸着痕等の塑性変形を防止しつつ、一枚ずつの安定した取り出しを可能としている。
【0065】
以下に、本実施の形態に係る電極吸着部58の構成及び作用を図6、図7を参照して説明する。ここで、図6(a)は、本実施の形態に係る電極吸着部58の構成を説明するための側面図であり、(b)は底面図であり、(c)は先端部分の分解図である。また、図7は、本実施の形態に係る電極吸着部58の作用を説明するための模式図である。
【0066】
図6(a)に示すように、本実施の形態に係る電極吸着部58は、上下方向に伸縮自在に形成された吸着プレート57にバネ等の弾性部材を介して取り付けられ、その内部にエアー配管を有する支持部材580と、この支持部材580先端の中心部に配設され、複数の吸引孔(貫通孔)581hが形成された樹脂製の円盤状の内部吸引板581と、この円盤状の内部吸引板581の周縁部と接着された傘状(カップ状)の周辺吸着部583とを備えている。
【0067】
円盤状の内部吸引板581は、図6(b)に最も良く示されるように、その中心部に吸引孔581h0を有していると共に、この中心部から等距離の周方向に沿って均等間隔で配置された複数の吸引孔581hを有している。本実施の形態において、内部吸引板581は、厚さ0.5mmの樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコン、ポリカーボネート等)で形成されており、その外径が、8〜10mm、各吸引孔581h0,581hの径が、0.5〜1.0mmに設定されている。なお、吸引孔581h0,581hの径が、0.5mmよりも小さくなると十分な吸引力が得られず、1.0mmよりも大きくなると吸着痕が発生してしまう。
【0068】
このように、吸引孔581として、所定の細孔を中心部及び周方向に沿って等間隔で複数配置することにより、シート状電極P(N)における吸着痕の発生を効果的に防止すると共に、バランスのよい吸着搬送が可能となる。
【0069】
また、図6(c)に最も良く示されるように、円盤状の内部吸引板581の側面(周縁部)は、傾斜面581cとなっており、この傾斜面581cが、周辺吸着部583との接着面となっている。
【0070】
周辺吸着部583は、弾性部材(例えば、ニトリルゴムやフロロシリコンゴム等のゴム状弾性体)によりカップ状に形成され、傘状に広がったスカート部583cの上端部が内部吸引板581の傾斜面581cと接着されて、上記内部吸引板581の周縁部を封着すると共に、スカート部583cの先端部が、内部吸引板581の周囲のシート状電極P(N)の凹凸面(活物質の凹凸面)と接触するようになっている。なお、本実施の形態では、上記周辺吸着部583のスカート部583cの外径(弾性変形していない定常状態での直径)は、15〜25mmに設定されている。
【0071】
このように構成した本実施の形態に係る電極吸着部58によれば、図7に模式的に示すように、電極吸着部58の中心部においては、内部吸引板581がシート状電極P(N)の表面に塗布された活物質Maの凹凸面と点接触(A部詳細)して、接触部における微小隙間からエアー漏れが生じて吸着力を弱めるため、しわ等が累積されて中心部に生じ易い吸着痕の発生を防止する。一方、周辺部(外周部)では、活物質Maの凹凸面に倣うように自らが変形してかかる表面と面的に接触(B部詳細)する弾性部材(例えば、ニトリルゴム)で形成された周辺吸着部583(スカート部583c)により、エアー漏れを抑制して十分な吸着力を安定して確保することができる。
【0072】
すなわち、本実施の形態に係る電極吸着部58では、その中心部にシート状電極P(N)の凹凸面(活物質Maの凹凸面)と点接触するような、剛性部材(本例では樹脂)で形成された板状の内部吸引板581と、その周囲(外周部)の凹凸面(活物質Maの凹凸面)と面接触するような周辺吸着部583とを設けることにより、重ね取りを防止して安定した吸着力を確保すると共に、電極吸着部58の中心部に対応するシート状電極P(N)の表面に生じ易い吸着痕等の塑性変形を効果的に防止することができる。
【0073】
さらに、本実施の形態では、比較的大型のシート状電極P(N)が吸着搬送可能なように、上述した吸着プレート57に複数の電極吸着部58を配設している。
【0074】
吸着プレート57上の複数の電極吸着部58の具体的な配置としては、図2に模式的に示したように、少なくとも折り曲げガイド部材20A,20Bと干渉しないシート状電極P(N)の表面領域の四隅に対応するように配置(図中、58a,58c,58d,58f)することが好ましく、シート状電極P(N)の各辺に沿って等間隔(本例では、40〜50mm)で配置(図中、58b,58e)することが好ましい。さらに、シート状電極P(N)をバランス良く搬送するという観点からは、シート状電極P(N)の中心部に対応する位置に配置(図中、58g)することが好ましい。
【0075】
このように、複数の電極吸着部58(本例では、58a〜58g)を四隅を含んで等間隔に配置することにより、比較的大型のシート状電極P(N)を吸着する際に、図8に模式的に示すように、シート状電極P(N)に緩やかなうねり(波打ち)が形成され、このうねりは、当該シート状電極P(N)と、その下方に配置されたシート状電極P(N)とを分離させるように作用するため、重ね取りをより効果的に防止することができる。
【0076】
次に、このように構成した本実施の形態に係る積層装置の動作について、図9〜図15を参照して説明する。
【0077】
ST0:まず、初期状態としては、複数のローラに懸架されたセパレータSの先端部を積層ステージ10上に手作業にて誘導し、当該先端部を積層ステージ10の下方からエアーにて吸着して固定する。なおこの際、積層ステージ10は、セパレータSの折り返しを可能とする所定の高さよりも下降していると共に、折り曲げガイド部材20(本例では、一対のコ字状ガイド部材20A,20B)は、積層ステージ10から後退している。そして、図9に示すように、一方の電極保持搬送手段(例えば、負電極保持搬送手段50N)にシート状負電極Nを1枚吸着させた状態で、当該シート状負電極Nの積層が可能となる積層ステージ10上方の所定の位置(図中、水平方向の所定位置であり、以下、積層ポジションともいう)に当該負電極保持搬送手段50Nが位置するようにスライド往復ユニット500をスライドさせる。この際、下部ローラ対60Dと、各電極保持搬送手段50P,50Nとの間隔は、積層ステージ10と各電極収容部30,40との離隔距離dの半分(d/2)に設定されているので、セパレータSが挿通された下部ローラ対60Dは積層ステージ10の右側に移動すると共に、他方の電極保持搬送手段(例えば、正電極保持搬送手段50P)は、対応するシート状正電極Pの吸着を可能とする正電極収容部30上方の所定の位置(図中、水平方向の所定位置であり、以下、吸着ポジションともいう)に必然的に移動することとなる。 また、スライド往復ユニット500の水平移動(本例では、図中、左から右)に伴って、連続セパレータSのバッファ部65内の屈曲個所Sdは下方に移動する。
【0078】
なお、シート状電極P(N)を吸着する際には、前述した電極吸着部58P(N)を採用したことにより、シート状電極P(N)に吸着痕等の塑性変形を生じさせることなく、かつ、1枚ずつの安定した吸着搬送が可能となる。
【0079】
ST1:続いて、図10に示すように、シート状負電極Nを保持した負電極保持搬送手段50N(負電極吸着部58N)を積層ステージ10上に伸長させて、シート状負電極Nを介してセパレータSを積層ステージ10上に押し付けると共に、吸着ポジションにあった正電極保持搬送手段50P(正電極吸着部58P)を伸縮させて、正電極収容部30内のシート状正電極Pを1枚吸着保持する。同時に、折り曲げガイド部材20を、セパレータSの折り曲げを可能とする積層ステージ10上方の所定の位置(図中、前後方向の所定位置であり、以下、折り曲げポジションともいう)へ前進させると共に、積層ステージ10を上昇させ、セパレータS及びシート状負電極Nを積層ステージ10と、折り曲げガイド部材20とで挟み込むと共に、スライド動作の際のガイド部材20との干渉を回避するために負電極保持搬送手段50N(負電極吸着部58N)を短縮させる。なお積層ステージ10を上昇させる際には、負電極保持搬送手段50Nは、その先端に弾性支持された負電極吸着部58Nが弾性的に縮んで、セパレータS及びシート状負電極Nを積層ステージ10との間で挟み込んだ状態で積層ステージ10の上昇動作に追従するようになっている。
【0080】
ST2:次に、図11に示すように、下部ローラ対60Dが積層ステージ10の反対側(本例では、積層ステージ10の左側)まで移動するようにスライド往復ユニット500を水平距離dだけスライドさせる。これにより、セパレータSが折り曲げガイド部材20により所定の折り曲げポジションにて折り曲げられると共に、負電極保持搬送手段50N(負電極吸着部58N)が吸着ポジションに移動し、正電極保持搬送手段50P(正電極吸着部58P)が積層ポジションに移動することとなる。すなわち、正電極保持搬送手段50Pの吸着ポジションから積層ポジションへの移動動作、負電極保持搬送手段50Nの積層ポジションから吸着ポジションへの移動動作、及びセパレータSの所定の折り曲げポジションでの一定の張力での折り曲げ動作の同時実施が可能となり、生産性の大幅な向上を実現することができる。
【0081】
ST3:次に、図12に示すように、正電極保持搬送手段50P(正電極吸着部58P)を積層ステージ10上へ伸長させ、シート状正電極Pを折り返されたセパレータS上に積層すると共に、折り曲げガイド部材20を積層ステージ10から後退させた後、正電極保持搬送手段50Pの両端の押え部材59を積層ステージ10上に伸長させて、セパレータSの折り曲げ部分を押さえつける。このように、所定の折り曲げポジションにて折り曲げられたセパレータSを、再度押え部材59により押さえ付けることにより、かかるセパレータSの戻り(スプリングバック)を防止して、均質な積層体の形成に寄与することができる。また、折り曲げガイド部材20が折り曲げポジションに移動する際に、セパレータSと干渉することを未然に防止することができる。
【0082】
なおこの際、吸着ポジションにあった負電極保持搬送手段50N(負電極吸着部58N)を伸縮させて、負電極収容部40内のシート状負電極Nを1枚吸着保持しておく。また、折り曲げガイド部材20を後退させる際には、各シート状電極P,N及びセパレータSは、ガイド部材20と干渉しないようにガイド辺21R,21Lの間に配置された正電極吸着部58Pと、積層ステージ10とで挟み込まれているので、これらのシート状電極P,N及びセパレータSの位置ずれが生じることはない。
【0083】
ST4:続いて、図13に示すように、各シート状電極P,N及びセパレータSを、正電極保持搬送手段50P(正電極吸着部58P)と積層ステージ10とで挟み込んだ状態で正電極保持搬送手段50P(正電極吸着部58P)及び積層ステージ10を若干下降させると共に、折り曲げガイド部材20を折り曲げポジションまで前進させ、各シート状電極P,N及びセパレータSと折り曲げガイド部材20との干渉を確実に回避する。その後、積層ステージ10を再び上昇させることにより、折り曲げられたセパレータSを介して積層されたシート状負電極N及びシート状正電極Pを、積層ステージ10と折り曲げガイド部材20とで挟み込むと共に、スライド動作の際のガイド部材20との干渉を回避するために正電極保持搬送手段50P(正電極吸着部58P)を短縮させる。
【0084】
ST5:次に、図14に示すように、下部ローラ対60Dが積層ステージ10の反対側(本例では、積層ステージ10の右側)まで移動するようにスライド往復ユニット500を水平距離dだけスライドさせる。これにより、セパレータSが折り曲げガイド部材20により所定の折り曲げポジションにて折り曲げられると共に、正電極保持搬送手段50Pが吸着ポジションに移動し、負電極保持搬送手段50Nが積層ポジションに移動することとなる。
【0085】
ST6:以上のステップST1〜ST5を繰り返すことにより、図15に示すような、一定の折り曲げポジションでジグザグ状に折り返された連続セパレータSの間に、所望の枚数(段数)のシート状電極P,Nが介装された積層体70が積層ステージ10上に形成される。
【0086】
ST7:そして、最終段のシート状電極の積層及びセパレータSの折り曲げが完了した後、下部ローラ対60Dの近傍にてセパレータSを切断した後、端末処理を行って積層体70を完成させる。
【0087】
その後、この積層体70を所定の電解液と共に、所望の外装体(例えば、缶状の外装体や、可撓性のあるシート状外装体等)内に封止することにより、リチウムイオン二次電池が完成される。
【0088】
以上のように、本発明に係る積層装置によれば、内部吸引板581と周辺吸着部583とを備える電極吸着部58により、シート状電極P(N)を吸着搬送する際に、かかるシート状電極P(N)に吸着痕等の塑性変形を生じさせることなく、かつ、1枚ずつの安定した吸着搬送が可能となり、積層体70を形成する際の積層品質の向上に寄与することができる。さらに、上記電極吸着部58を所定の配置で複数設けることにより、シート状電極P(N)の重ね取りをより効果的に防止することができる。
【0089】
また、従来のセパレータの切断工程を省略して生産性の向上を図ると共に、セパレータ往復移動手段を構成する下部ローラ対60D(スライド往復ユニット500)の移動によりセパレータSを折り曲げる際には、所定の折り曲げポジションに配置された折り曲げガイド部材20によりシート状電極P(N)の端部(端辺)に無理な力が加わることを防止することができる。併せて、常に積層ステージ10上のセパレータS及びシート状電極P(N)は、積層ステージ10と、折り曲げガイド部材20、電極吸着部58P(58N)、押え部材59の少なくともいずれかとで挟み込まれているため、セパレータSを折り曲げる際のシート状電極P(N)の位置ずれを確実に防止することができる。
【0090】
また、セパレータ往復移動手段を構成する下部ローラ対60Dと、各電極保持搬送手段50P,50Nとをスライド往復ユニット500と一体に構成すると共に、積層ステージ10、各電極収容部30,40との位置関係を所定の配置とすることにより、一方の極性のシート状電極の吸着ポジションから積層ポジションへの移動動作、他方の極性のシート状電極の積層ポジションから吸着ポジションへの移動動作、及びセパレータSの所定の折り曲げポジションでの一定の張力での折り曲げ動作の連続的な同時実施が可能となり、生産性の大幅な向上を実現することができる。
【0091】
さらに、セパレータ往復移動手段と各電極保持搬送手段50P,50Nとを、スライド往復ユニット500として、単一の駆動源により一体に往復移動させることにより、アクチュエータ数の削減、構成の大幅な簡素化、コンパクト化、コストダウン等に寄与することができる。
【0092】
さらに、例えば従来の回旋構造の積層体に比し、セパレータSに対して過大な張力を付与することなく、かつ、介装されるシート状電極の位置ずれを防止しつつ、常に一定の折り曲げポジションで、一定の張力にてセパレータSを均一に折り曲げることが可能となるので、セパレータSへのダメージを抑制して適用可能なセパレータ(例えば、耐熱性が高いが折り曲げの際の脆性が問題となる無機材料複合セパレータ等)の選定の自由度が増大し、用途に応じた電池品質の一層の向上に寄与することができる。
【0093】
なお、本発明の技術的範囲は詳述した実施形態の範囲に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨に逸脱しない範囲において多様な変更もしくは改良を加え得るものである。上述した実施形態においては、リチウムイオン二次電池を製造する場合の製造手順を例にして説明したが、本発明に係る積層装置は、このようなリチウムイオン二次電池の製造のみならず、吸着痕やしわ等の塑性変形を生じ易い極薄のシート状部材(本例では、シート状電極)の吸着搬送に当然に適用可能である。例えば、各シート状電極をいずれもその表面に活性炭などの炭素材料が塗布されたアルミニウム箔にて構成することにより、電気二重層キャパシタの製造にも容易に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明に係る積層装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明に係る折り曲げガイド部材の構成及び電極吸着部との配置関係を示す模式図である。
【図3】本発明に係る電極保持搬送手段の構成を説明するための模式図である。
【図4】従来の弾性部材により形成された吸着部を説明するための模式図である。
【図5】従来の板状部材により形成された吸着部を説明するための模式図である。
【図6】本発明に係る電極吸着部の構成を示す図であり、(a)は側面図、(b)は底面図、(c)は吸着部先端の分解図である。
【図7】本発明に係る電極吸着部の作用を説明するための模式図である。
【図8】本発明に係る電極吸着部を複数配設した吸着プレートの作用を説明するための模式図である。
【図9】本発明に係る積層装置による積層動作を説明するための模式図である。
【図10】本発明に係る積層装置による積層動作を説明するための模式図である。
【図11】本発明に係る積層装置による積層動作を説明するための模式図である。
【図12】本発明に係る積層装置による積層動作を説明するための模式図である。
【図13】本発明に係る積層装置による積層動作を説明するための模式図である。
【図14】本発明に係る積層装置による積層動作を説明するための模式図である。
【図15】本発明に係る積層装置による積層動作を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0095】
10:積層ステージ、20:ガイド部材、20A,20B:コ字状ガイド部材、21R,21L:ガイド辺、30:正電極収容部、40:負電極収容部、50P:正電極保持搬送手段、50N:負電極保持搬送手段、51:スライド部材、53:垂直アーム、55R:右支持アーム、55L:左支持アーム、56:支持プレート、57:吸着プレート、58P:正電極吸着部、58N:負電極吸着部、59:押え部材、60U:上部ローラ、60D:下部ローラ対、61:供給部、61s:回転軸、62,63:ガイドローラ、65:バッファ部、67:吸引ファン、70:積層体、500:スライド往復ユニット、581:内部吸引板、581:吸引孔、581c:傾斜面、581h0,581h:吸引孔、583:周辺吸着部、583c:スカート部、LSu:上限検知センサ、LSd:下限検知センサ、Ma:活物質、P:シート状正電極、N:シート状負電極、S:セパレータ、Sd:エアーシリンダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続するテープ状のセパレータを折り返しつつ、該セパレータ及びシート状電極を順次積層して積層体を形成する連続セパレータ及びシート状電極の積層装置であって、
前記テープ状のセパレータの先端部を保持し、その上にシート状電極及びセパレータが順次積層される積層ステージと、
前記積層ステージの上方にて、前記テープ状セパレータを、該積層ステージを中心として往復移動させるセパレータ往復移動手段と、
積層された前記シート状電極の前記セパレータの移動方向両端部の辺を覆うように前記積層ステージに対して近接又は離隔可能に構成され、前記セパレータの往復移動に伴う前記シート状電極両端部での折り返しをガイドする折り曲げガイド部材と、
複数のシート状正電極が収容された正電極収容部から、シート状正電極を吸着保持して前記積層ステージ上に搬送供給する正電極保持搬送手段と、
複数のシート状負電極が収容された負電極収容部から、シート状負電極を吸着保持して前記積層ステージ上に搬送供給する負電極保持搬送手段と
を備え、
前記各電極保持搬送手段は、対応するシート状電極を搬送可能に吸着する電極吸着部をその先端に有しており、該電極吸着部は、複数の吸引孔を有してシート状電極と対向し中心部に配設された内部吸引板と、該内部吸引板の周縁部を封着すると共に先端部がシート状電極の表面と倣うように接触する弾性部材により形成された傘状の周辺吸着部とを具備していることを特徴とする連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項2】
前記電極吸着部は、シート状電極と略同等の大きさを有して、該シート状電極と対向する板状の吸着プレートに複数配設されており、かつ、前記電極吸着部の配設箇所は、積層ステージ上の前記折り曲げガイド部材と干渉しない領域におけるシート状電極の四隅及び各辺に沿って等間隔に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項3】
前記内部吸引板は、樹脂部材により円盤状に形成されていると共に、前記周辺吸着部は、ゴム部材で形成されており、かつ、前記複数の吸引孔は、中心部及び周方向に等間隔で配置形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項4】
前記各電極保持搬送手段は、前記折り曲げガイド部材に沿って折り曲げられた連続セパレータを、前記積層ステージ上で積層方向に押さえ付ける押え部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項5】
前記テープ状セパレータは、複数のローラに懸架されて複数の屈曲個所を形成していると共に、少なくとも一の屈曲個所は、前記ローラに支持されることなく非接触な状態で吸引されており、かつ、重力方向に移動可能に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項6】
前記セパレータ往復移動手段は、その間に前記テープ状セパレータが挿通されたローラ対を、前記積層ステージを中心として該ステージ面に沿って往復移動させることにより構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項7】
前記セパレータ往復移動手段と、前記正電極保持搬送手段及び負電極保持搬送手段とは略同一直線上を一体に往復移動することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項8】
前記セパレータ往復移動手段は、前記正電極保持搬送手段と前記負電極保持搬送手段との略中央に配置されていると共に、前記積層ステージは、前記正電極収容部と前記負電極収容部との略中央に配置されており、かつ、前記セパレータ往復移動手段と前記各電極保持搬送手段との水平方向の離隔距離は、前記積層ステージと前記各電極収容部との水平方向の離隔距離の略半分に設定されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項9】
前記折り曲げガイド部材及び/又はいずれかの前記電極保持搬送手段は、積層ステージ上で積層体を形成する際に、常に、積層ステージとの間で該積層体を挟みこんでいることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項10】
前記積層ステージは、前記シート状電極の積層枚数に応じて、その高さが調整可能であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項11】
前記セパレータは、無機化合物の複合材料又は全芳香族ポリアミド材料にて形成されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項12】
前記シート状正電極は、金属箔の両面に正極活物質が塗布されたリチウムイオン電池用正電極であり、前記シート状負電極は、金属箔の両面に負極活物質が塗布されたリチウムイオン電池用負電極であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項1】
連続するテープ状のセパレータを折り返しつつ、該セパレータ及びシート状電極を順次積層して積層体を形成する連続セパレータ及びシート状電極の積層装置であって、
前記テープ状のセパレータの先端部を保持し、その上にシート状電極及びセパレータが順次積層される積層ステージと、
前記積層ステージの上方にて、前記テープ状セパレータを、該積層ステージを中心として往復移動させるセパレータ往復移動手段と、
積層された前記シート状電極の前記セパレータの移動方向両端部の辺を覆うように前記積層ステージに対して近接又は離隔可能に構成され、前記セパレータの往復移動に伴う前記シート状電極両端部での折り返しをガイドする折り曲げガイド部材と、
複数のシート状正電極が収容された正電極収容部から、シート状正電極を吸着保持して前記積層ステージ上に搬送供給する正電極保持搬送手段と、
複数のシート状負電極が収容された負電極収容部から、シート状負電極を吸着保持して前記積層ステージ上に搬送供給する負電極保持搬送手段と
を備え、
前記各電極保持搬送手段は、対応するシート状電極を搬送可能に吸着する電極吸着部をその先端に有しており、該電極吸着部は、複数の吸引孔を有してシート状電極と対向し中心部に配設された内部吸引板と、該内部吸引板の周縁部を封着すると共に先端部がシート状電極の表面と倣うように接触する弾性部材により形成された傘状の周辺吸着部とを具備していることを特徴とする連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項2】
前記電極吸着部は、シート状電極と略同等の大きさを有して、該シート状電極と対向する板状の吸着プレートに複数配設されており、かつ、前記電極吸着部の配設箇所は、積層ステージ上の前記折り曲げガイド部材と干渉しない領域におけるシート状電極の四隅及び各辺に沿って等間隔に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項3】
前記内部吸引板は、樹脂部材により円盤状に形成されていると共に、前記周辺吸着部は、ゴム部材で形成されており、かつ、前記複数の吸引孔は、中心部及び周方向に等間隔で配置形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項4】
前記各電極保持搬送手段は、前記折り曲げガイド部材に沿って折り曲げられた連続セパレータを、前記積層ステージ上で積層方向に押さえ付ける押え部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項5】
前記テープ状セパレータは、複数のローラに懸架されて複数の屈曲個所を形成していると共に、少なくとも一の屈曲個所は、前記ローラに支持されることなく非接触な状態で吸引されており、かつ、重力方向に移動可能に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項6】
前記セパレータ往復移動手段は、その間に前記テープ状セパレータが挿通されたローラ対を、前記積層ステージを中心として該ステージ面に沿って往復移動させることにより構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項7】
前記セパレータ往復移動手段と、前記正電極保持搬送手段及び負電極保持搬送手段とは略同一直線上を一体に往復移動することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項8】
前記セパレータ往復移動手段は、前記正電極保持搬送手段と前記負電極保持搬送手段との略中央に配置されていると共に、前記積層ステージは、前記正電極収容部と前記負電極収容部との略中央に配置されており、かつ、前記セパレータ往復移動手段と前記各電極保持搬送手段との水平方向の離隔距離は、前記積層ステージと前記各電極収容部との水平方向の離隔距離の略半分に設定されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項9】
前記折り曲げガイド部材及び/又はいずれかの前記電極保持搬送手段は、積層ステージ上で積層体を形成する際に、常に、積層ステージとの間で該積層体を挟みこんでいることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項10】
前記積層ステージは、前記シート状電極の積層枚数に応じて、その高さが調整可能であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項11】
前記セパレータは、無機化合物の複合材料又は全芳香族ポリアミド材料にて形成されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【請求項12】
前記シート状正電極は、金属箔の両面に正極活物質が塗布されたリチウムイオン電池用正電極であり、前記シート状負電極は、金属箔の両面に負極活物質が塗布されたリチウムイオン電池用負電極であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の連続セパレータ及びシート状電極の積層装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−102871(P2010−102871A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271594(P2008−271594)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(397009152)エナックス株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(397009152)エナックス株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
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