説明

連続急速冷却凍結装置

【課題】ベルトコンベア出入口開口部よりの外気の侵入を防止し、冷却器コイルへの着霜を防ぎ、装置の連続運転を可能にする。
【解決手段】冷却室2内を水平に移動するベルトコンベア5の上方に、多数のスリット状吹出口10を有するスリット板11と、複数台の冷却器6,6を設置し、これら冷却器6,6からの冷風がスリット状吹出口10からベルトコンベア5上の被凍結物に吹き出すように構成した連続急速冷却凍結装置において、ベルトコンベア出入口開口部3,4の内側に隣接し、かつ、該ベルトコンベア5の下側に、斜め上方に冷却室2内へ向けて立ち上がる風向き変更板12を設けた連続急速冷却凍結装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生鮮食料品等を連続急速冷却凍結するための連続急速冷却凍結装置に関するものであり、特に、冷却室内における冷却コイルへの着霜を防いで装置の連続運転を可能する連続急速冷却凍結装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生鮮食料品等を連続急速冷却凍結するための空気吹出方式による連続急速冷却凍結装置は知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1で知られる連続急速冷却凍結装置は、概略、図5及び図6に示すように構成されている。図5及び図6において、装置外板101で画成された冷却室102は、前後の位置にベルトコンベア出入口開口部103,104が設けられている。
【0004】
前記冷却室102内の下部には、水平に移動するベルトコンベア105がベルトコンベア出入口開口部103,104間にわたって設置されている。該ベルトコンベア105は、ネットベルトまたはスチールベルトからなる。そして、ベルトコンベア出入口開口部103でベルトコンベア105上に乗せられた生鮮食料品等の被凍結物は、冷却室102内を通ってベルトコンベア出入口開口部104まで運ばれた後、該冷却室102の外側に排出できるようになっている。
【0005】
前記冷却室102内の上部には、2台の冷却器106,106が前後に配置されている。これら冷却器106,106のベルトコンベア出入口開口部103,104側を向く冷風吹出口部には、それぞれ送風機107,107が取り付けられている。
【0006】
このように構成される連続急速冷却凍結装置では、前後の冷却器106,106からそれぞれ吹き出された冷風は、スリット状吹出口108を抜けてベルトコンベア105上の被凍結物に吹き下ろされ、該被凍結物を急速冷凍する。また、ベルトコンベア105を抜けた冷風は、空気通路部110を通り、前後の冷却器106,106の後部側の空気吸い込み部から該冷却器106,106内に戻されて循環する。
【特許文献1】特開平8−5213号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した連続急速冷却凍結装置では、前後の冷却器106,106から吹き出された冷風は、大部分が被凍結物やベルトコンベア105に接触して流れた後、冷却器106,106の空気吸い込み部から冷却器106,106内に戻されて循環する。
【0008】
しかし、冷風の一部は図7に示すように、パネル底面に到達し、跳ね返ることでベルトコンベア出入口開口部103,104より冷却室102外へと吹き出してしまう。そして、冷却室102が負圧になるのと、空気抵抗の少ないベルトコンベア105の両側端部を通って冷却器106,106の空気吸い込み部へと循環する冷風流れの誘引作用により、ベルトコンベア出入口開口部103,104から冷却室102内に外気が侵入する。このため、外気の持っている湿分が冷却器106,106の冷却器コイルに霜となって付着し、頻繁に除霜運転が必要になり、冷却器106,106の連続運転を妨げるという問題が生じていた。
【0009】
そこで、ベルトコンベア出入口開口部よりの外気の侵入を防止し、冷却器コイルへの着霜を防ぎ、装置の連続運転を可能にした連続急速冷却凍結装置を提供するために解決すべき技術課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、冷却室内を水平に移動するベルトコンベアの上方に、多数のスリット状吹出口を有するスリット板と、複数台の冷却器を設置し、これら冷却器からの冷風が前記スリット状吹出口からベルトコンベア上の被凍結物に吹き出すように構成した連続急速冷却凍結装置において、前記ベルトコンベアの出入口開口部の内側に隣接し、かつ、該ベルトコンベアの下側に、斜め上方に前記冷却室内へ向けて立ち上がる風向き変更板を設けた連続急速冷却凍結装置を提供する。
【0011】
この構成によれば、ベルトコンベアの出入口開口部の内側に隣接して該ベルトコンベアの下側に、斜め上方に冷却室内へ向けて立ち上がる風向き変更板を設けたことにより、スリット状吹出口より吹き出す気流が風向き変更板に沿い、かつ、冷却室内に向けて斜め上方に吹き上げられるため、開口部へ到達する冷気を少なくでき、外への冷気吹き出しを少なくできる。これにより、冷却室内が負圧になるのを防ぎ、外気の侵入をしにくくする。
【0012】
請求項2記載の発明は、上記ベルトコンベアの出入口部側に隣接して設けられる上記スリット状吹出口の吹出方向を、それぞれ上記ベルトコンベアの出入口開口部と反対方向に向けて斜めに形成してなる連続急速冷却凍結装置を提供する。
【0013】
この構成によれば、スリット状吹出口の吹出方向を斜めに形成することにより、コンベア出入口開口部から冷却室の外に向かう空気のエネルギーを相殺し、漏れ空気を押さえる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明は、ベルトコンベアの出入口開口部の内側に隣接して該ベルトコンベアの下側に設けた風向き変更板により、スリット状吹出口より吹き出す気流が風向き変更板に沿って冷却室内へ向けて斜め上方に吹き上げられ、開口部へ到達する冷気を少なくでき、外への冷気吹き出しを少なくできる。同時に、冷却室内が負圧になるのを防ぎ、外気の侵入を防止する。これにより、外気の湿分が冷却器コイルに付着しなくなり、従来は頻繁に除霜運転が必要であったが、本発明では除霜運転の頻度を少なくでき、装置の高効率な連続運転が可能になる。
【0015】
請求項2記載の発明は、冷却室の外に漏れる空気を抑えて冷却室内が負圧にならないようにし、ベルトコンベアの出入口開口部からの外気の侵入を一層抑制することができる。これにより、外気の湿分はさらに冷却器コイルに付着しなくなり、請求項1記載の発明の効果に加えて、より一層長い連続運転が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ベルトコンベア出入口開口部よりの外気の侵入を防止し、冷却器コイルへの着霜を防ぎ、装置の連続運転を可能にするという目的を達成するために、冷却室内を水平に移動するベルトコンベアの上方に、多数のスリット状吹出口を有するスリット板と、複数台の冷却器を設置し、これら冷却器からの冷風が前記スリット状吹出口からベルトコンベア上の被凍結物に吹き出すように構成した連続急速冷却凍結装置において、前記ベルトコンベアの出入口開口部の内側に隣接して該ベルトコンベアの下側に、斜め上方に前記冷却室内へ向けて立ち上がる風向き変更板を設けたことにより実現した。
【実施例】
【0017】
以下、本発明の連続急速冷却凍結装置について、好適な実施例をあげて説明する。図1〜図3は本発明に係る連続急速冷却凍結装置の第1実施例を示し、図1は該装置の横断面図、図2は該装置の縦断面図、図3は図2のA−A線断面図を示す。
【0018】
図1〜図3において、装置外板1で画成された冷却室2は、前後にベルトコンベア出入口開口部3,4を設けている。
【0019】
前記冷却室2内の下部には、水平に移動するベルトコンベア5がベルトコンベア出入口開口部3,4間にわたって設置されている。該ベルトコンベア5は、ネットベルトまたはスチールベルトからなる。そして、ベルトコンベア出入口開口部3でベルトコンベア5上に乗せられた生鮮食料品等の被凍結物は、冷却室2内を通ってベルトコンベア出入口開口部4まで運ばれた後、該冷却室2の外側に排出できるようになっている。
【0020】
前記冷却室2内の上部には、前後1対の縦置き式の冷却器6,6が配置されている。これら冷却器6,6は、ベルトコンベア出入口開口部3,4側を向く冷風吹出口部にそれぞれ送風機7,7を取り付け、ベルトコンベア出入口開口部3,4側に向けて冷風を吹き出す冷却器として構成されている。
【0021】
また、ベルトコンベア5と冷却器6,6の間には、ベルトコンベア5と直交するスリットよりなる吹出口(スリット状吹出口)10を開口させたスリット板11が配設されている。
【0022】
前記スリット板11は、ベルトコンベア5上に対応する吹出口10,10…を設けて配され、該ベルトコンベア5に冷風を吹き付けることができるようにして配置されている。また、スリット板11のベルトコンベア出入口開口部3,4に近接した第1吹出口10a,10aは、図2に示すように、吹き出し方向をそれぞれベルトコンベア5のベルトコンベア入口開口部3側とベルトコンベア出口開口部4側と反対方向(内側)に向けて斜めに形成して設けられ、第1吹出口10a,10aの間に設けられた他の吹出口10b,10b…は吹き出し方向をほぼ垂直に形成されている。
【0023】
なお、第1吹出口10a,10aの吹き出し方向を斜めにした形状は、吹出口10b,10b…を通ってベルトコンベア5上に吹き出される空気流のうち、ベルトコンベア出入口開口部3,4に向かって外側へ進む空気流の一部に、第1吹出口10a,10aからの空気流を衝突させてエネルギーを相殺し、ベルトコンベア出入口開口部3,4から冷却室2の外に向かって吹き出される空気流の量を減少させる作用を有する。これにより、冷却室2の外に漏れる空気が抑えられて冷却室2内が負圧にならないようにし、ベルトコンベア5の出入口開口部3,4から外気の侵入を抑制することが可能となる。したがって、外気の湿分が冷却器コイルに付着しなくなり、除霜運転の頻度を少なくして装置の高効率な連続運転を可能にする。
【0024】
また、前記冷却室2内の下部には、ベルトコンベア出入口開口部3,4の内側寄り、すなわちベルトコンベア出入口開口部3,4の内側と隣接して風向き変更板12,12が冷却室2の左右方向に延設して形成されている。該風向き変更板12,12は、図4に示すように、冷却室2の底面からベルトコンベア5の下面に向かって垂直に立ち上がるとともに、上下方向における途中の箇所から上部12a,12a側が該冷却室2の内側斜め上方に向かって傾斜され、該風向き変更板12,12に当たった冷風が冷却室2の内側へ案内されて戻されるようにして形成されている。
【0025】
このように構成される連続急速冷却凍結装置では、運転が開始されると、冷却器6,6からベルトコンベア出入口開口部3,4側を向く冷風が吹き出される。また、冷却器6,6から吹き出された冷風は、吹出口10を抜けてベルトコンベア5上の被凍結物に吹き下ろされ、該被凍結物を急速冷凍する。さらに、ベルトコンベア5を抜けた冷風は、冷却器6,6の吸い込み口からそれぞれ該冷却器6,6内に吸い込まれて循環する。
【0026】
また、ベルトコンベア出入口部3,4に隣接して風向き変更板12,12を設けたことにより、ベルトコンベア出入口部3,4から外に向かって吹き出ようとする冷風は、風向き変更板12,12で冷却室2内側に変更され、冷却室2の外に漏れる空気が抑えられる。これにより、冷却室2内が負圧にならず、ベルトコンベア5の出入口開口部3,4から外気が侵入するのを抑える。この結果、外気の湿分が冷却器6,6の冷却コイルに付着しなくなり、除霜運転の頻度を少なくして装置の連続運転を可能にする。
【0027】
したがって、本発明によれば、風向き変更板12,12を設けたことにより冷却室2の外に漏れる空気を抑え、冷却室2内が負圧にならないようにしてベルトコンベア5の出入口開口部3,4から外気が侵入しないようにすることができるので、外気の湿分が冷却器6,6の冷却コイルに付着する着霜を減らすことができる。これにより、除霜運転の頻度を少なくして装置の連続運転を可能にする。
【0028】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例に係る連続急速冷却凍結装置の横断面図。
【図2】同じく、実施例に係る連続急速冷却凍結装置の縦断面図。
【図3】図1のA−A線断面図。
【図4】図1のB−B線拡大断面図。
【図5】従来例して示す連続急速冷却凍結装置の横断面図。
【図6】同じく、従来装置の縦断面図。
【図7】図5のC−C線拡大断面図。
【符号の説明】
【0030】
1 装置外板
1a 装置外板の一部
2 冷却室
3 ベルトコンベア出入口開口部
4 ベルトコンベア出入口開口部
5 ベルトコンベア
6 冷却器
7 送風機
10 吹出口(スリット状吹出口)
10a 第1吹出口
10b 他の吹出口
11 スリット板
12 風向き変更板
12a 風向き変更板の上部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却室内を水平に移動するベルトコンベアの上方に、多数のスリット状吹出口を有するスリット板と、数台の冷却器を設置し、これら冷却器からの冷風が前記スリット状吹出口からベルトコンベア上の被凍結物に吹き出すように構成した連続急速冷却凍結装置において、
前記ベルトコンベアの出入口開口部の内側に隣接して該ベルトコンベアの下側に、斜め上方に前記冷却室内へ向けて立ち上がる風向き変更板を設けたことを特徴とする連続急速冷却凍結装置。
【請求項2】
上記ベルトコンベアの出入口開口部側に隣接して設けられる上記スリット状吹出口の吹出方向を、それぞれ上記ベルトコンベアの出入口開口部と反対方向に向けて斜めに形成してなることを特徴とする請求項1記載の連続急速冷却凍結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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