説明

連続鋳造用浸漬ノズル及びその設計方法

【課題】浸漬ノズルにおいて整流板ノズル本体の破壊を防ぐための構造を有した連続鋳造用浸漬ノズルを提供する。
【解決手段】ノズル本体の膨張係数をM1α[×10−6/℃]、ノズル本体の弾性率をM1E[MPa]、ノズル本体の管壁の厚さをTnzl[mm]、整流板の弾性率をM2E[MPa]、ノズル本体の曲げ強さをσ[MPa]、ノズル本体が破壊しない応力強度比指数の最大値をSest/σとするとき、全部分板の固定部間のノズル軸方向の長さ距離Lspan[mm]を、次式(1a)により規定される範囲内の長さとする。0<Lspan≦{−b−(b−4ac)1/2}/2a・・・(1a)、ただし、a=c18/σ、c18=−4.83886×10−5とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳型に溶鋼を注入する連続鋳造に使用する浸漬ノズルに関し、特に、溶鋼の鋳型内の溶鋼流を改善するために、ノズル本体の管壁外面に、高さが少なくともノズル本体の浸漬部分の長さより長く、横幅が少なくともノズル本体の管外幅よりも広い板状の耐火物からなる整流板を左右対称に固定した、溶鋼の連続鋳造用浸漬ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
溶鋼の連続鋳造において浸漬ノズルは、溶鋼の鋳型内に浸漬して溶鋼をその鋳型内に注入するのみならず、鋳型内の溶鋼の整流化も重要な役割を担っている。この整流化(溶鋼流の改善)のために、浸漬ノズルの形状や構造には種々の工夫がなされている。整流化のための方法の一つとして、浸漬ノズルのノズル本体の外周に、溶鋼流の方向を強制的に制御するための特異な構造の構造物(整流板)を付設することが試みられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、鋳型内湯面下における浸漬ノズルの外形または浸漬ノズルに取り付けた整流板の外形の水平断面形状を鋳型長手方向の中心線に対して非対称形状としたことを特徴とする連続鋳造方法が示されている。
【0004】
また、特許文献2には、溶湯湯面に旋回流を形成させるための整流板を外周面に取り付けた連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、整流板を中空部を設けた箱状構造としたことを特徴とする連続鋳造用浸漬ノズルが示されている。
【0005】
さらに、近年、単なる板状の整流板を外部、具体的には、ノズル本体の管壁外面に、高さが少なくともノズル本体の浸漬部分の長さよりも長く、横幅が少なくとも当該ノズル本体の管外幅よりも広い板状の耐火物からなる整流板を、左右対称に固定した浸漬ノズルが開発されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1,2のような整流板をノズル本体の外周面に取り付けた浸漬ノズルは、その特異な構造に起因する破壊が生じやすい。これらの整流板が破壊すると、整流化の目的を果たせなくなり、浸漬ノズル本体部の破壊も招来し、操業停止その他の重大なトラブルを招来することがある。特許文献1,2にはこの点に関する解決策は示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−286993号公報
【特許文献2】特開平8−112657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は、ノズル本体の外部に単なる板状の整流板を付設した浸漬ノズルにおいて、上述したようなノズル本体の破壊を防ぐための構造を有した連続鋳造用浸漬ノズル及びその設計方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、連続鋳造用浸漬ノズルのノズル本体と整流板の熱応力解析を行った結果、以下の知見を得た。
(1)ノズル本体の破損は主として熱的応力によること。
(2)熱的応力は、整流板の高さ方向に、ノズル本体との接続部を中心に大きく生じること。
(3)熱的応力は、整流板の縦方向(高さ方向)の長さ、すなわち、整流板をいくつかの部分板を縦方向に組み合わせて構成する場合に、各部分板の縦方向の長さに大きく依存すること。
本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものであり、ノズル本体に整流板を付設するに際して、整流板の縦方向(高さ方向)の長さを最適な長さとすることにより、熱間で発生する応力を緩和し、浸漬ノズルの破壊を防止するように構成したものである。
【0010】
すなわち、本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルは、溶鋼の連続鋳造に使用される浸漬ノズルであって、
ノズル軸に沿った方向の長さが少なくとも当該浸漬ノズルのノズル本体の浸漬部分の長さより長く、ノズル軸に垂直な方向の横幅が少なくとも当該ノズル本体の管外幅よりも広い板状の耐火物からなる整流板が、当該ノズル本体の管壁外面に左右対称に固定されており、前記整流板は複数の部分板を縦方向に接続してなり、
当該ノズル本体の膨張係数をM1α[×10−6/℃]、
当該ノズル本体の弾性率をM1E[MPa]、
当該ノズル本体の管壁の厚さをTnzl[mm]、
前記整流板の弾性率をM2E[MPa]、
当該ノズル本体の曲げ強さをσ[MPa]、
前記ノズル本体が破壊しない応力強度比指数の最大値をSest/σ
とするとき、取り付けた全ての部分板について板の固定部間のノズル軸方向の長さ距離Lspan[mm]が、次式(1a)〜(1d)により規定される範囲内の長さであることを特徴とする。
【0011】
【数1】

【0012】
また、本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルの設計方法は、溶鋼の連続鋳造に使用される浸漬ノズルであって、ノズル軸に沿った方向の長さが少なくとも当該浸漬ノズルのノズル本体の浸漬部分の長さより長く、ノズル軸に垂直な方向の横幅が少なくとも当該ノズル本体の管外幅よりも広い板状の耐火物からなる整流板が、当該ノズル本体の管壁外面に左右対称に固定され、前記整流板は複数の部分板を縦方向に接続してなる連続鋳造用浸漬ノズルの設計方法であって、
当該ノズル本体の膨張係数をM1α[×10−6/℃]、
当該ノズル本体の弾性率をM1E[MPa]、
当該ノズル本体の管壁の厚さをTnzl[mm]、
前記整流板の弾性率をM2E[MPa]、
当該ノズル本体の曲げ強さをσ[N/mm]、
前記整流板が破壊しない応力強度比指数の最大値をSest/σ
とするとき、取り付けた全ての部分板について板の固定部間のノズル軸方向の長さLspan[mm]を、上式(1a)〜(1d)により規定される範囲内の長さとすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルは、上記のような構成とすることにより、連続鋳造での使用時において整流板の破壊を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルの全体構成を表す図である。
【図2】図1に示したZG及びAGの部分板を切り出してモデル化した図である。
【図3】図2(a)の解析切片についての寸法パラメータを示した図である。
【図4】連続鋳造用浸漬ノズルの各パラメータの感度を計算した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルについて、その構成の導出に至るまでの過程について説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルの全体構成を表す図である。図1(a),(b)は縦断面図、図1(c)は横断面図である。図1(a),(b)は、ぞれぞれ、図1(c)に示したA−A線,B−B線で切った場合の断面図であり、図1(c)は、図1(a)のC−C線で切った場合の断面図である。
【0017】
図1において、連続鋳造用浸漬ノズル1は、ノズル本体2と2枚の整流板3,3とから構成されている。ノズル本体2は、略円筒状の形状を有し、基端(上側)から先端(下側)にかけて、外径が段階的に細くなっている。ノズル本体2は、基端部2a、スラグイン部2b、先端部2c、及び内筒部2dから構成されている。先端部2cには、斜め下側方に向かって、互いに反対方向を向いた2つの吐出口4,4が形成されている。内筒部2dは、基端部2aの中間から先端部2cの中間にかけて管内に挿設されている。また、筒状のノズル本体2の中心軸がノズル軸5である。
【0018】
溶鋼の連続鋳造時において、基端部2aから先端部2cに向けてノズル本体2の筒内を流下する溶鋼は、吐出口4,4から溶鋼溜内に注入される。このとき、連続鋳造用浸漬ノズル1は、先端部2cが溶鋼溜内に完全に浸漬され、溶鋼溜の湯面はスラグイン部2bの中程となる。基端部2a、先端部2c、及び内筒部2dは、通常、アルミナ−黒鉛質耐火物やスピネル−黒鉛質耐火物により構成される。一方、スラグイン部2bは、溶鋼溜の湯面付近に存在するモールドパウダー層と接触し、消耗しやすいため、ジルコニア−黒鉛質耐火物により構成されている。
【0019】
整流板3,3は、ノズル軸5に沿った方向の長さが少なくとも連続鋳造用浸漬ノズル1の溶鋼溜内に浸漬される部分(先端部2cからスラグイン部2bの中程にかけての部分)の長さより長く、ノズル軸5と垂直な方向(水平方向)の幅が少なくとも連続鋳造用浸漬ノズル1の管外幅よりも広い、矩形板状の耐火物からなる。各整流板3,3は、それぞれ、連続鋳造用浸漬ノズル1を挟んで、連続鋳造用浸漬ノズル1の管壁外面に左右対称に固定されており、その板面は吐出口4,4の中心軸6,6に対して平行である。尚、各整流板3,3は、複数の部分板を縦方向に接続することにより、部分板の複合体として構成されている。この、整流板3を構成する部分板の縦方向(ノズル軸方向)の長さをLspan[mm]とする。
【0020】
図2は、図1に示したZG及びAGの部分板を切り出してモデル化した図である。図2(a)はZG部分、図2(b)はAG部分の部分板を取り出したものである。連続鋳造用浸漬ノズル1の対称性を考慮して、ノズル本体2の管周の1/4を切り取りモデル化している。また、本発明では、整流板3の高さ方向の固定ボス間の距離Lspanを決定するために、有限要素法による熱応力解析を行うため、図2の各部分のモデルを多数のメッシュに分割している。以下では、これらの取り出した部分を、以下では「解析切片」と呼ぶ。
【0021】
図2において、スラグイン部2b及び先端部2cの外壁面にはボス2eが設けられており、整流板3に開口形成されたボス穴を、それぞれのボス2eに嵌め込むことにより、整流板3がスラグイン部2b又は先端部2cに固定されている。
【0022】
図3は、図2(a)の解析切片についての寸法パラメータを示した図である。尚、図2(b)の解析切片の寸法パラメータについてもこれと同様に定義される。
【0023】
図3において、Tita[mm]は整流板3の厚さ、Lstraight[mm]は整流板3とノズル本体2とが接触している部分の幅(図1(c)も参照)、Tnzl[mm]はノズル本体の管壁の厚さ、Lspan[mm]は上下のボス2e,2e間の間隔を表す。
【0024】
尚、計算の簡単化のため、ノズル本体2の基端部2a、スラグイン部2b、先端部2cの膨張係数、弾性率、及び熱伝導率は同一であると仮定し、それぞれ、膨張係数をM1α[×10−6/℃]、弾性率をM1E[MPa]、熱伝導率をM1λ[W/m・K]と記す。また、整流板3の膨張係数、弾性率、及び熱伝導率を、それぞれ、M2α[×10−6/℃]、M2E[MPa]、M2λ[W/m・K]と記す。また、整流板3の曲げ強さをσ[N/mm]、整流板3に加わる熱応力の最大値をSest[N/mm]、応力強度比指数をSest/σと記す。
【0025】
まず、上述の各パラメータのうち、熱間での整流板3の破壊に大きく影響するパラメータを抽出する。そこで、まず、各パラメータの代表的な値を中心値に決め、それぞれのパラメータを中心値から±5%の範囲で変動させたときに、熱間において整流板3に発生する熱応力がどの程度変化するかを評価した。図4にその計算結果を示す。注目する各パラメータPの中心値をP、+5%変動した値をP+5、−5%変動した値をP−5とし、パラメータPに対して有限要素法による熱応力解析を行った結果得られる整流板3に加わる熱応力の最大値をSest(P)[MPa]とする。このとき、パラメータPに対する感度Seを、Se=(Sest(P+5)−Sest(P−5))/Sest(P)により定義する。図4は、こうして求められた各パラメータの感度を示したものである。感度Seの絶対値が大きいパラメータが、熱間での整流板3の破壊に大きく影響するパラメータ(有効なパラメータ)であると考えられる。この結果から、有効なパラメータとして、ノズル本体2の膨張係数M1α、ノズル本体2の弾性率M1E、ノズル本体2の管壁の厚さTnzl、整流板3の弾性率M2E、及び上下のボス間距離Lspanが抽出された。
【0026】
次に、抽出した5つのパラメータのそれぞれに対して、表1に示したように、パラメータの最小値と最大値を決め、この最大・最小値間で各パラメータを変化させながら有限要素法による熱応力解析を行い、整流板3に加わる熱応力の最大値をSestを求めた。尚、各パラメータの変動は、ラテン超方格法(LHS)を用いた区分モンテカルロ法によって行った。パラメータの最小値と最大値は、実際の設計時においてとり得る値がすべてカバーできるように設定した。
【0027】
熱応力解析は、初期温度を25℃とし、ノズル内面には溶鋼を想定して、接触温度1550℃、熱伝達率1160W/mkの条件を、ノズル外周面には周囲への抜熱を想定して、接触温度25℃、熱伝達率11.6W/mkの条件を付与して実施し、ノズル本体に発生する最大応力を計算により求めた。
【0028】
なお,パラメータ数については,ステップワイズ法その他の検証を併せて行ったが,本発明に採用した20個が最適であるとの結果を得た。
【0029】
【表1】

【0030】
この区分モンテカルロ法によって得られるパラメータP=(M1α,M1E,M2E,Lspan,Tnzl)と最大熱応力Sest(P)との関係から、重回帰分析によって最大熱応力Sest(P)をパラメータ(M1α,M1E,M2E,Lspan,Tnzl)の2次式で近似した。次式(2)は、この重回帰分析によって得られた、パラメータ(M1α,M1E,M2E,Lspan,Tnzl)に対する最大熱応力Sest(P)の応答曲面を表す近似式である。
【0031】
【数2】

【0032】
式(1)の両辺を整流板3の曲げ強さσで割ると、応力強度比指数Sest/σの式が得られる。そこで、この応力強度比指数Sest/σの式をパラメータLspanの2次方程式と考えて、パラメータLspanについて式(1)を解く。これにより、部分板の長さLspanは、次式(3a)又は式(3b)によって表される。ここで、係数a,b,cは、前述の式(1b)〜(1d)で表される。
【0033】
【数3】

【0034】
最大熱応力Sestを7.5〜22.5MPa(材料の曲げ強さを5〜15 MPa、後述の応力強度比指数Sest/σを1.5として、評価すべき応力の範囲を見積もったもの。)の範囲で振るとともに、表1のパラメータ範囲において各パラメータ(M1α,M1E,M2E,Tnzl)を振って、式(3a),(3b)により部分板の長さLspanを算出した結果、式(3b)は常に500mm以上となった。一方、表1に示したように、ボス間距離Lspanの範囲は40〜356.66mmとしているため、式(3b)の解は適当ではない。そこで、式(3a)を採用した。部分板の長さLspanが長くなるほど最大熱応力Sestは大きくなるため、整流板3が破壊する応力強度比指数Sest/σが決まれば、部分板の固定部間の距離Lspanの最大値(非破壊限界値)は、この応力強度比指数Sest/σを式(3a)に代入することによって求めることができる。従って、熱応力による破壊が生じない部分板の固定部間の距離Lspanの範囲は、式(1a)によって規定されることが分かる。
【0035】
次に、応力強度比指数Sest/σについて説明する。応力強度比指数Sest/σは、部分板に加わる最大熱応力Sestを、部分板の曲げ強さσで除したものであり、部分板の材質に依存せず、ほぼ共通の値となると考えられる。そこで、この最大熱応力Sestを破壊が生じない部分板の固定部間の距離Lspanの範囲を規定するパラメータとして採用する。
【0036】
整流板3が破壊しない応力強度比指数の最大値は、有限要素法による最大熱応力Sestの計算結果と、連続鋳造用浸漬ノズル1に対する注湯試験の結果を照合することにより決定する。表2〜表4に、近似式(3b)により推定される最大熱応力と注湯試験の結果との比較を示す。尚、表2〜表4において、各数値の単位は、前述の説明において既に示した通りである。
【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【0039】
【表4】

【0040】
表2〜表4において、下段の「実験」の表は、パラメータ(M1α,M1E,M2E,Tnzl)及び整流板3の曲げ強さをσを決めたときの最大熱応力Sest及び応力強度比指数Sest/σの計算値と、それと同一条件に於ける注湯試験結果との比較を示している。注湯試験結果の「○」は整流板3及びノズル本体2に破壊が生じなかったことを示し、「×」は整流板3又はノズル本体2に破壊が生じたことを示す。表2〜表4の結果から、整流板3及びノズル本体2に破壊が生じない応力強度比指数Sest/σの最大値は、Sest/σ=1.5であることが分かる。
【0041】
表2〜表4の上段の「計算」の表は、Sest/σ=1.5として、パラメータ(M1α,M1E,M2E,Tnzl)及び整流板3の曲げ強さをσを決めたときの破壊が生じない部分板の固定部間の距離Lspanの推定値を式(3b)によって求めた結果である。これらの結果から、Sest/σ=1.5として式(3b)により求まる部分板の固定ボス間の最大長さLspanの推定値は、注湯試験結果とよく一致していることが確認された。
【0042】
以上の結果から、部分板の1枚あたりのノズル軸方向の固定部間の距離Lspanを、式(1a)で表される範囲とすることによって、整流板3及びノズル本体2の熱応力による破壊を防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0043】
1 連続鋳造用浸漬ノズル
2 ノズル本体
2a 基端部
2b スラグイン部
2c 先端部
2d 内筒部
2e ボス
3 整流板
4 吐出口
5 ノズル軸
6 吐出口の中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶鋼の連続鋳造に使用される浸漬ノズルであって、
ノズル軸に沿った方向の長さが少なくとも当該浸漬ノズルのノズル本体の浸漬部分の長さより長く、ノズル軸に垂直な方向の横幅が少なくとも当該ノズル本体の管外幅よりも広い板状の耐火物からなる整流板が、当該ノズル本体の管壁外面に左右対称に固定されており、前記整流板は複数の部分板を縦方向に接続してなり、
当該ノズル本体の膨張係数をM1α[×10−6/℃]、
当該ノズル本体の弾性率をM1E[MPa]、
当該ノズル本体の管壁の厚さをTnzl[mm]、
前記整流板の弾性率をM2E[MPa]、
当該ノズル本体の曲げ強さをσ[MPa]、
前記整流板が破壊しない応力強度比指数の最大値をSest/σ
とするとき、取り付けた全ての部分板について板の固定部間のノズル軸方向の長さLspan[mm]が、次式(1a)〜(1d)により規定される範囲内の長さであることを特徴とする連続鋳造用浸漬ノズル。

【請求項2】
溶鋼の連続鋳造に使用される浸漬ノズルであって、ノズル軸に沿った方向の長さが少なくとも当該浸漬ノズルのノズル本体の浸漬部分の長さより長く、ノズル軸に垂直な方向の横幅が少なくとも当該ノズル本体の管外幅よりも広い板状の耐火物からなる整流板が、当該ノズル本体の管壁外面に左右対称に固定され、前記整流板は複数の部分板を縦方向に接続してなる連続鋳造用浸漬ノズルの設計方法であって、
当該ノズル本体の膨張係数をM1α[×10−6/℃]、
当該ノズル本体の弾性率をM1E[MPa]、
当該ノズル本体の管壁の厚さをTnzl[mm]、
前記整流板の弾性率をM2E[MPa]、
当該ノズル本体の曲げ強さをσ[MPa]、
前記整流板が破壊しない応力強度比指数の最大値をSest/σ
とするとき、取り付けた全ての部分板について板の固定部間のノズル軸方向の長さLspan[mm]を、請求項1に記載の式(1a)〜(1d)により規定される範囲内の長さとすることを特徴とする連続鋳造用浸漬ノズルの設計方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−183573(P2012−183573A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49701(P2011−49701)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000170716)黒崎播磨株式会社 (314)
【Fターム(参考)】