遊戯乗物システム
【課題】遊戯者とりわけ複数の遊戯者が同時に搭乗した状態でライドを横揺れさせる場合に特に好適な構造の遊戯乗物システムを提供する。
【解決手段】遊戯乗物システムは、中心軸線周りに回転自在に支持された円状部材2と、円状部材2を回転自在に支持するローラ3と、該ローラ3を回転自在に支持するローラ支持部材4と、円状部材2と固設され、ゲームの遊戯者が搭乗した状態で回転可能であり、さらに段部が形成されているライド部5と、該ライド部5の段部に対応して座面が異なる位置に設けられた遊戯者用の座席部52,53と、ライド部5を中心軸線周りに振子動作または回転動作させるアクチュエータと、該アクチュエータを制御する制御手段と、ライド部5の前方に配置され当該ゲームの映像を映し出す表示手段と、を備えており、該表示手段に映し出される映像に連動させてライド部5を動作させる。
【解決手段】遊戯乗物システムは、中心軸線周りに回転自在に支持された円状部材2と、円状部材2を回転自在に支持するローラ3と、該ローラ3を回転自在に支持するローラ支持部材4と、円状部材2と固設され、ゲームの遊戯者が搭乗した状態で回転可能であり、さらに段部が形成されているライド部5と、該ライド部5の段部に対応して座面が異なる位置に設けられた遊戯者用の座席部52,53と、ライド部5を中心軸線周りに振子動作または回転動作させるアクチュエータと、該アクチュエータを制御する制御手段と、ライド部5の前方に配置され当該ゲームの映像を映し出す表示手段と、を備えており、該表示手段に映し出される映像に連動させてライド部5を動作させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊戯乗物システムに関する。さらに詳述すると、本発明は、ゲーム映像が表示される画面の出力に応じて乗物の挙動を変化させる、シミュレータ装置に類する遊戯乗物システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばレース用自動車や雪上そり等を模したアトラクション型の業務用ゲーム機器(いわゆるアーケードゲーム)として、ディスプレイ上に映像を映し出しつつ、遊戯者が搭乗する乗物(以下、ライドともいう)を動作させてリアルで迫力のある遊戯を提供しようとする体感型の遊戯乗物システムが提供されている。また、操作入力装置を使って遊戯者がディスプレイ上の仮想移動体を操作できるようにするとともに、当該仮想移動体の挙動や状態にライドのモーション(動き)を連動させるようにした遊戯乗物システムも提供されている。
【0003】
このように遊戯者の操作対象となる仮想移動体の状態にライドを連動させる構成の遊戯乗物システムとしては、従来、遊戯者が搭乗した状態でライドが横揺れするもの、すなわち前後方向に延びる中心軸線周りに左右に揺れるかまたは回転するローリング動作をするもの等が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−021425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献には、例えば2人乗りのライドや当該ライドを横揺れさせる構成などは開示されているものの、このように複数人が同時に搭乗できるライドとして特に好適な構成までは開示されていない。
【0006】
特に特許文献1に開示されているような遊戯乗物システムにおいては、前端に支持軸を有する構造であるため、前席の遊戯者の視界内に前端部の支持軸の軸受が前席に着座した遊戯者の視界を著しく妨げることとなる。
【0007】
そこで、前席の視界を確保するために、前席の配置を支持軸に対して、垂直方向に引き上げる必要が生じており、さらに後席の視界を確保するために前席と段差をつける必要が生じてしまい、結果として、遊戯乗物システムのサイズが大きくなってしまっていた。
【0008】
また、遊戯乗物システムのサイズが大きくなることによる重量増加に応じて、慣性モーメントが増大するため、その駆動にはさらに大きなトルクが必要になってしまっていた。
【0009】
そこで、本発明は、遊戯者とりわけ複数の遊戯者が同時に搭乗した状態でライドを横揺れさせる場合に特に好適な構造の遊戯乗物システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる遊戯乗物システムは、中心軸線周りに回転自在に支持された円状部材と、円状部材を回転自在に支持するローラと、該ローラを回転自在に支持するローラ支持部材と、円状部材と固設され、ゲームの遊戯者が搭乗した状態で回転可能であり、さらに段部が形成されているライド部と、該ライド部の段部に対応して座面が異なる位置に設けられた遊戯者用の座席部と、ライド部を中心軸線周りに振子動作または回転動作させるアクチュエータと、該アクチュエータを制御する制御手段と、ライド部の前方に配置され当該ゲームの映像を映し出す表示手段と、を備え、制御手段は、表示手段に映し出される映像に連動させてライド部を動作させるようにアクチュエータを制御する、というものである。
【0011】
円状部材は、ローラによって回転自在に支持されており、固設されているライド部とともに振子動作または回転動作することができる。ライド部は、アクチュエータに駆動されて表示手段に映し出される映像に連動する。
【0012】
また、段部が形成されているこのライド部においては、当該段部に対応して座面が異なる位置に遊戯者用の座席部が設けられている。例えば後方の座席(2番目以降の座席)を前席よりも高く配置することにより、後方の座席に着座している遊戯者にも表示手段が見やすいライド部を構成することができる。
【0013】
円状部材は、当該ライド部の前後に配置された座席部の前席と後席との間に配置され、後席に着座した遊戯者が表示手段の少なくとも一部を視認できる開部を備えており、さらに当該円状部にはローラからの脱輪を回避するフランジを備えていることが好ましい。前席と後席の間に配置された円状部材は、ライド部の略中央つまり重心に近い位置を支持することが可能である。こうした場合、ライド部を構成するフレームの剛性を極度に高くしなくても済むから、ライド部の軽量化を図ることも可能となる。
【0014】
また本発明にかかる遊戯乗物システムにおいてはローラが複数設けられており、さらに、該ローラを円状部材側へ押圧する付勢手段が設けられている。付勢手段により円状部材側へ付勢されたローラによれば、負荷変動を吸収して精度誤差を補正し、さらには振動による共振運動を抑え、より円滑な回転を実現することができる。
【0015】
さらに遊戯乗物システムは、ライド部の座席部に設けられた遊戯者が操作入力するための操作手段と、ライド部の回転角度を検出する角度検出手段と、を備え、アクチュエータの出力がライド部の後方側に伝達されるものであることが好ましい。このようにアクチュエータの出力をライド部の後方側に伝達し、尚かつ前席と後席との間に円状部材を配置すれば、ライド部の前方を支持する必要のない構成とすることができ、こうした場合には例えば前席への乗込み用ステップを前席の前方に設けることもできる。
【0016】
また、本発明にかかる遊戯乗物システムは、仮想空間内に設けられる所定のコースを移動する移動体を所定のプログラムまたは操作手段からの入力に応じて移動および振子動作ないしは回転動作させ、仮想空間内の仮想カメラから見た移動および振子動作ないしは回転動作の様子をゲーム映像として表示手段に出力し、仮想カメラの回転角度に基づいてライド部を振子動作あるいは回転動作させている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、遊戯者とりわけ複数の遊戯者が同時に搭乗した状態でライドを横揺れさせる場合に特に好適な構造のシステムを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明にかかる遊戯乗物システム1およびその制御方法の実施形態について説明する。
【0019】
遊戯乗物システム1は、遊戯者(以下、プレイヤともいう)が搭乗するライド(乗物)5が、ディスプレイ(表示手段)8に表示される移動体の左右方向回転と連動して基台(以下、モーションベースともいう)9上において360度ローリングすることが可能に構成されたシミュレーション型のゲーム装置である。当該遊戯乗物システム1においては、ライドの形態やビデオ映像、音響などを適宜設計することにより例えばジェット戦闘機、宇宙船、未来の乗物など種々の乗物をシミュレートすることが可能である。例えば本実施形態ではボブスレーのような雪上そりをシミュレートし、プレイヤが雪上競技を乗員として体感しうるシステムとしている。
【0020】
この遊戯乗物システム1においては、ポリゴン等で構成された移動体(操作オブジェクト)を、三次元空間座標上に形成された仮想のゲーム空間内で移動させ、所定の視点からの画像(映像)を生成して(より具体的には、当該移動体の移動状態、および仮想視点から見た回転移動状態の様子を生成して)ゲーム映像としてディスプレイ8上に映し出す。ライド5に搭乗しているプレイヤは、該ディスプレイ8上の映像を見ながら操作レバー80およびボタン84を動かして移動体を操作する。本実施形態の遊戯乗物システム1においては、操作レバー80等からの操作入力の結果、仮想視点たる仮想カメラ(図24〜図26にて符号VCを付して示す)の座標値が変化し、当該変化に応じた映像がディスプレイ8に映し出される。ライド5は、三次元空間座標内の所定コース上で移動体が左右へ振子動作または回転動作するとこれに連動して振子動作または回転動作するように制御されている。
【0021】
また、三次元空間座標内の所定コース上には、移動体および仮想カメラVCが振子動作または回転動作する際の断面が環状の仮想走行面が形成されている。この断面環状の仮想走行面は、上下左右に曲折しながら移動体の進行方向に連なっており、途中が適宜曲折した筒状の仮想走行面を形成している(図24、図25参照)。本実施形態の場合、移動体および仮想カメラVCがこの仮想走行面に沿って振子動作または回転動作をする。また、このような筒状の仮想走行面の周囲には背景(雪上競技をシミュレートした場合であればコース映像やその周辺の風景など)が映し出される(図24等参照)。なお、図24(A)、図25(A)、図26(A)に示している「上」「下」の文字は、仮想カメラVCの上下方向を表すために便宜的に記しているものであり、ディスプレイ8上の映像に実際に映し出されるわけではない。
【0022】
遊戯乗物システム1は、ライド5、ディスプレイ8等を複数備えたシステムとして構成されていてもよい。ライド5、ディスプレイ8等を4機ずつ備えたシステムであれば、1機のライド5にプレイヤが2人ずつ搭乗可能であれば最大8人のプレイヤが同時に遊戯することが可能である(図1、図2参照)。この場合、通信手段を用いて各ライド5等を接続することにより、4機のライド5で競争するという同時プレイを楽しむことができる。
【0023】
また、このように複数のライド5やディスプレイ8等を用いて複数のプレイヤが同時に遊戯することを可能とする場合、マスター操作盤1Cが必要に応じて設置される(図2等参照)。本実施形態の遊戯乗物システム1の場合には、2番目と3番目のライド5の間にマスター操作盤1Cが設置されている。このマスター操作盤1Cは、例えばゲーム店(アミューズメントアーケード)の店員など、プレイヤ以外のゲーム管理者(以下、アテンダントという)が操作するもので、4機のライド5による競争ゲームを開始する際などに操作が行われる。
【0024】
以下、遊戯乗物システム1の構造を説明する。本実施形態の遊戯乗物システム1は、中央リング部材2、ローラ3、ローラ支持部材4、ライド5、アクチュエータ6、制御手段7、ディスプレイ(表示手段)8、モーションベース(基台)9などによって構成されている。それぞれの構成は以下のとおりである。
【0025】
遊戯する際にプレイヤが搭乗するライド5は、プレイヤが搭乗した状態でローリング、すなわち前後方向に延びる中心軸線C周りに回転することが自在な状態で設けられている。プレイヤが着座する座席部52,53には、身体を保持するためのシートベルト99やセーフティバー100等からなる装置が設けられ、ライド5が振子動作ないしは回転する際に座席部52,53から離脱しないようプレイヤを確実に保持できるようになっている。ライド5の前方には、ゲーム映像を映し出すためのディスプレイ8が設けられている(図1、図2参照)。前席52の前方両側には前席用スピーカ59、後席53の前方両側には後席用スピーカ60がそれぞれ設けられている(図3参照)。
【0026】
また、ライド5は前席52と後席53とを備えた2人乗りであり、各席に1人ずつ計2人が同時に搭乗して遊戯できるようになっている(図3〜図6等参照)。これら前席52と後席53との間には段部54による段差が形成され、前席52よりも後席53のほうが高くなる配置を可能としている。これにより、本実施形態の遊戯乗物システム1においては、前席52に着座したプレイヤはもちろん後席53に着座したプレイヤでもディスプレイ8が見やすくなっている(図4等参照)。なお、段部54は、後席53を前席52よりも高く配置することを可能とする構造であればよく、階段状の段差形状であるか傾斜形状であるか、あるいはその他の形状であるかを問わない。例えば後席53を上げ底とするための台座などもこの段部54たりえる(図4参照)。
【0027】
ライド5を回転自在に支持するための構造としては種々のものがあるが、本実施形態では前席52と後席53との間に配置された中央リング部材2と、ライド5の後部の中心軸線C上に配置された軸などの機械要素からなる機構とでライド5を支持している(図4等参照)。本実施形態の場合、ライド5は、中央リング部材2の略中心軸位置からずれた位置において当該中央リング部材2と固設されている。より具体的に説明すれば、本実施形態のライド5は、当該ライド5の重心が中央リング部材2の中心軸よりも鉛直下方に位置する状態で当該中央リング部材2と固設されている。軸などの機械的要素からなる機構はモーションベース9とライド5との間に設けられているもので、モーションベース9に内蔵されているアクチュエータ6の駆動力(トルク)をライド5に伝達する。
【0028】
中央リング部材2は、中心軸線C周りに回転自在に設けられているフランジ2f付きのリング状部材である(図3、図4等参照)。この中央リング部材2はライド5に固設されており、当該ライド5と一体となって中心軸線C周りを回転する。本実施形態では、この中央リング部材2をリング状のリム部2aおよび該リム部2aとライド5とを接続するアーム部2bで形成し、必要な強度を備えつつ軽量化を図っている。また、後席53に着座したプレイヤがディスプレイ8を見る際の妨げとならないよう、アーム部2bは後席53の前方となる位置を避けるように配置され、これによってプレイヤがディスプレイ8を視認できるようにするための開部2cが形成されている(図3参照)。この開部2cには透明のフィルムやシートが設けられていてもよい。
【0029】
また、上述のように中央リング部材2を前席52と後席53との間に配置したことにより、本実施形態の遊戯乗物システム1では以下のことを実現している。すなわち、中央リング部材2でライド5の略中央つまり重心に近い位置を支持しているため、ライド5を構成するフレームの剛性を極度に高くしなくても済むようにしている(図4等参照)。したがって、2人乗りのライド5でありながらも軽量化を図ることが可能であり、これによりアクチュエータの出力を抑えることも可能である。
【0030】
加えて、ライド5の前端を支持しない構造であることから、当該前端部分の仕様が比較的自由である。つまり、前端部にライド5の支持軸がないため、前席52に着座した遊戯者(プレイヤ)の視界を妨げないといった利点がある。
【0031】
具体的には、例えば従来の前端を支持する構造の場合には前席の遊戯者の視線の前に軸受が配置されていたが、本実施形態によればこのような配置を必要としなくなるため、著しく視界を妨げることがなくなる。これにより、前席52の配置を中心軸線Cに対して垂直方向に引き上げて視界を確保する必要がなくなる。そのため、後席53に着座する遊戯者の視界を確保するために前席52と後席53との間に段差を設けたとしても、ライド5が大型化するのを抑えて軽量化を図ることができる。その結果、ライド5の慣性モーメントが増大するのを抑え、油圧モータ(アクチュエータ)6の出力を抑えることも可能となる。
【0032】
さらに、例えば本実施形態では、前席乗込み用ステップ55を前席52の前方に設け、前席52に着座するプレイヤが前方から乗り込みあるいは前方へと降りることができるようにしている(図3等参照)。このように乗込み用ステップ55を前方に設ける場合、ライド5の側方に設ける場合よりもステップ幅を確保しやすいことから、乗降のしやすさを向上させることが可能である。
【0033】
なお、前席52の乗込み用ステップ55をライド5の側方に設ける場合、遊戯者の乗降時におけるふらつき・落下防止のため、柵や手すり等を設置する必要がある。この場合において、その柵や手すりの設置場所に応じて、着座した遊戯者の視界を妨げる恐れがある。それに対し、このように乗込み用ステップ55を前方に設ける場合においては、柵や手すりなどを上記のように設ける必要がないため、遊戯者がディスプレイ(表示手段)8に表示されている映像等を見やすい状態にすることができ、視界を妨げる恐れがない。加えて、乗込み用ステップ55が前方に設けられている前席52は、左右対称の比較的簡単な設計とすることが可能だという利点もある。
【0034】
さらに本実施形態における後席乗込み用ステップ56はライド5の左側に設けられている(図3等参照)。この後席乗込み用ステップ56の例えば後方寄りにはセーフティバーラチェット開放ペダル57が設けられている。
【0035】
また、本実施形態では上述の中央リング部材2をモーションベース9上のローラ3およびローラ支持部材4によって回転自在に支持している(図3、図4等参照)。ローラ3は、中央リング部材2のリム部2aの外周面に接触するように左右一対が設けられている。なお、中央リング部材2のリム部2aには、ローラ3が脱落するのを防ぐフランジ2fが形成されている(図3、図4参照)。また、ローラ3はローラ支持部材4によって回転自在に支持されている。
【0036】
ローラ支持部材4はローラ3を回転自在に支持し、さらに当該ローラ3を付勢して押し上げている。例えば本実施形態ではローラ3が回転自在に取付けられている支持板4aを支点4bを中心として揺動可能な跳上げ式とし、尚かつ、この支持板4aの先端付近を付勢部材5cによって押し上げている(図7等参照)。このように付勢部材4cを備えローラ3を押し上げる構造のローラ支持部材4は、中央リング部材2の回転精度を向上させることができる。すなわち、中央リング部材2のリム部2aを完全な円(真円)とすることは困難であることから、当該中央リング部材2の回転時、ローラ支持部材4が受ける負荷に変動が生じることがあるが、付勢部材4cを備えたローラ支持部材4によれば負荷変動を吸収して精度誤差を補正し、さらには振動による共振運動を抑え、より円滑な回転を実現することが可能である。
【0037】
モーションベース9は、回転自在に設けられるライド5を支持するための土台となる構造部分である。例えば本実施形態のモーションベース9は、構造用角パイプ、構造用丸パイプ、フレーム継ぎ目の補強板などが組み合わされて構成されている(図7参照)。このようなモーションベース9のうち、略矩形に組み合わされて底板となるベースフレーム9aには上述した左右一対のローラ支持部材4が設けられている。また、かかるベースフレーム9aの後端部には、構造用角パイプなどが略A字形の櫓状に組まれてタワーフレーム9bが設けられている。このタワーフレーム9bには、アクチュエータ6を含むモーションベース駆動部10が設けられている。さらにタワーフレーム9bの足元には油圧機構マニホールド40が設けられている(図7参照)。
【0038】
モーションベース駆動部10は、アクチュエータ6と、該アクチュエータ6のトルクをライド5に伝達するための機械要素からなる機構とを含む(図11参照)。アクチュエータ6はライド5を振子動作または回転動作させるための動力の発生源であり、例えば本実施形態では油圧モータをこのアクチュエータ6として用いている。アクチュエータ6は、平行キー16a,16bを備えたプーリシャフト16を介して第1プーリ17を回転させ、さらにベルト19を介して第2プーリ20を回転させる。第2プーリ20のプーリシャフト21はライド5側に突出して減速機36に接続されており、当該減速機36にトルクを伝達する。該減速機36はライド5にトルクを伝達して該ライド5を振子動作ないしは回転動作させる。
【0039】
モーションベース9のその他の構成については以下のとおりである。上述の油圧モータ(アクチュエータ)6は、プーリケース12上に取り付けられるモータブラケット11によって保持されている。プーリケース12は、プーリケースブラケット14が取り付けられているもう一方のプーリケース13にねじ止めされる。プーリケース12にはシャフト16が通る透孔が設けられており、該透孔に深溝玉軸受18がワッシャ18’とともに設けられる。プーリケース12,13は、モーションベース9のタワーフレーム9bにテンションプレート15とともにねじ止めされて固定されている(図7、図11参照)。
【0040】
また、プーリシャフト21のベアリング22は、板状に形成されているベアリングホルダ23に取り付けられている。このベアリングホルダ23は、ベアリングホルダブラケット24を介してタワーフレーム9bにねじ止めされて固定されている(図7、図11参照)。またベアリングホルダ23には、ハイトルクタイミングプーリ25、ロータリエンコーダ26、エンコーダブラケット27,28、ポジションセンサ29、ポジションセンサブラケット30、初期位置センサ31、初期位置センサブラケット32が取り付けられている。さらに、ベアリングホルダ23には、スリップリングブラケット33を介してスリップリング34が軸37の同軸上に位置するように取り付けられている(図11等参照)。また、図示しないが、軸37の他端はライド5に直結されている。なお、本実施形態のプーリシャフト21は、油圧モータ6と同じ回転数で回転する中空構造の伝達軸である。上述の軸37は、ベアリング22によって一端側を軸受された状態でこのプーリシャフト21の内側に配置されており、ライド5を同角度で振子動作ないしは回転動作させる。
【0041】
さらに軸37には、ハイトルクタイミングベルト35が設けられている(図11参照)。軸37の回転は、ハイトルクタイミングベルト35を介してハイトルクタイミングプーリ25へと伝達され、該プーリ25と同軸上に配置されたロータリエンコーダ26を回転させる。回転時、ロータリエンコーダ26は回転量を符号化した出力信号をコンピュータ72等の制御手段7へと送信することにより、ライド5の角度検出手段として機能する。スリップリング34は、軸37の回転時に出力されるパルス数を増加させる。本実施形態では、かかるスリップリング34を介し、ライド5内のI/Oボード(図示省略)がライド5側の制御信号の入出力を行う。
【0042】
油圧機構マニホールド40は油圧回路に設けられている装置で、内蔵する比例弁41(図14参照)を開閉させて作動油の流量を調整し、さらには流路を切り換えて流れ方向を変える。特に図示していないが、かかる油圧機構マニホールド40は油圧ポンプ等を備える駆動源、および上述した油圧モータ(アクチュエータ)6のそれぞれと接続されていて、制御手段7から命令信号を受けて動作する。
【0043】
制御手段7は、上述の油圧機構マニホールド40やアクチュエータ6を制御してライド5に所定の動作を行わせ、さらにはディスプレイ8上の映像やスピーカからの音響等の制御も行うものである。ここで、本実施形態の遊戯乗物システム1における制御手段7と他の装置の構成の概略を示すと以下のとおりである(図14参照)。
【0044】
制御ボード71は、ライド5の動作等に関する情報(モーションデータ)を格納しており、かかるモーションデータをコンピュータ72に出力する。コンピュータ72は、エンコーダ(ロータリエンコーダ26)からの符号化出力信号(位置情報)と制御ボード71からのモーションデータを受信し、仮想視点の座標位置に基づくデータを出力する。後述するように、本実施形態ではコンピュータ72内にフィルタを設けてデータをフィルタリングし、後述するいわゆるデータの処理落ちが生じる状況にも対処できるようにしている。
【0045】
PLC(プログラマブルコントローラ)73は、CPUやメモリ等を内蔵している制御装置で、外部からの信号を取り込み、あらかじめプログラムされた条件で出力回路をオンオフし、アンプ39を介して比例弁41を制御する。本実施形態のPLC73はI/Oモジュールによってディストリビュータ74と接続されている。
【0046】
PLC73からの出力信号はアンプ39で増幅された後に油圧機構マニホールド40へと送信され、比例弁41を動作させる。上述したように、比例弁41は作動油の流量調整や流路切換を行い、アクチュエータ6を動作させてライド5に所定の動作(振子動作ないしは回転動作)を行わせる。ライド5の動作や位置は、各種センサ(ポジションセンサ29、初期位置センサ31等)、エンコーダ(ロータリエンコーダ26)の出力を通じて検出することができる。本実施形態の遊戯乗物システム1では、センサ出力はディストリビュータ74へ送信された後、PLC73へ送信される(図14参照)。
【0047】
上述の制御手段7による制御の内容については後述することとし、遊戯乗物システム1のその他の構成について以下に説明する。
【0048】
操作レバー80は、プレイヤの操作手段としてライド5の前席52および後席53の両側に一対ずつ計4機設置されているいわばツインスティック型の操作桿である(図3等参照)。本実施形態の操作レバー80は、プレイヤが把持しながら前後方向に倒すことができ、手を離せば中立位置に戻る傾動可能型のものであり、尚かつグリップエンド(グリップ81の上端)にはグリップ81を把持しながら親指で押し込むことのできるボタン84が設けられている。例えば本実施形態では、左右の操作レバー80およびボタン84の動きを組み合わせることによって、ディスプレイ8に表示される移動体(仮想空間内の移動体)を下記のように操作できるようにしている。
【0049】
すなわち、両方の操作レバー80を前方へ押し出すことにより移動体が「加速」する。右の操作レバー80を前方へ押し出し、左の操作レバー80を手前側へ引くと「左旋回」する。逆に左の操作レバー80を前方へ押し出し、右の操作レバー80を手前側へ引くと「右旋回」する。また、仮想三次元空間座標内の仮想コース上における所定のエリア内で左右のいずれかのボタン84を押すと、移動体は加速しながらボタンを押したときのレバー80への入力に応じて、回転する。即ち、レバー80が「左旋回」の状態であれば「左回転」、レバー80が「右旋回」の状態であれば「右回転」というように、レバー80の入力方向へ回転する。ボタン84を押したとき、レバー80が「中立」の状態であれば移動体を例えば「右回転」させるようにしてもよい。さらに、2人のプレイヤがほぼ同時にボタン84を押せば移動体は2回転する。プレイヤが搭乗しているライド5は、ディスプレイ8上の移動体の動きに連動して左右へ振子動作ないしは回転動作する。
【0050】
また、操作レバー80の構造(ハンドルメカ)の一例を示せば以下のとおりである(図12、図13参照)。グリップ81は握りやすい形状の樹脂製であり、上端には操作時に当該操作レバー80から手が滑ってずれるのを抑えるように周囲に広がる鍔部81aが形成されている。鍔部81aの中心位置には親指で押し込み可能なボタン84が設けられている。グリップ81は中空状であり、グリップ支持パイプ83によってカラー82、傾動板85ととともに回転軸87に取付けられている。また、グリップ81はグリップ支持パイプ83に対して例えば側部からねじ止めされている。
【0051】
グリップ支持パイプ83はグリップ81およびカラー82の中空部分に差し込まれて当該グリップ81を回転軸87に固定させる。本実施形態のグリップ支持パイプ83の上端部には、グリップ81の中空部分の内径よりも大きいフランジ部83aが形成されており、グリップ81が上方に抜けるのを防ぐ。またグリップ支持パイプ83の下端部には、回転軸87やナット90等のキー溝87a,90a等に嵌り込んで回り止めとなる平行キー83bが形成されている。さらにグリップ支持パイプ83の下端の小径部にはナット90に螺合するおねじが形成されている。
【0052】
ボタン84は、プレイヤが親指で押し込むことができる被押圧部84aと、被押圧部84aに接続されているロッド部84bと、該ロッド部84bの下端付近に設けられている着脱可能なセットカラー84cとを備えている。このボタン84は、ロッド部84bが支持パイプ83の中を通り、被押圧部84aがフランジ部83aの上側に位置した状態で設けられる(図12、図13参照)。また、ボタン84は、圧縮コイルばね91により上方へ付勢されており、プレイヤが被押圧部84aを押し下げた際の指の力を抜けば押される前の元位置に復帰する。
【0053】
傾動板85はグリップ81等とともに前後方向に傾動する部材で、例えばカラー82を介してグリップ支持パイプ83にねじ止めされる。傾動板85の上面は、座席部52,53において露出した場合にも違和感の少ない円弧状の周面とされている。また、傾動板85の前後下方には、当該傾動板85の前端および後端がそれぞれ当接するようにストッパ86が設けられている。本実施形態の操作レバー80は、一体的に傾動する傾動板85がこれらストッパ86に突き当たることによって可動範囲が限定されている。
【0054】
回転軸87は、上述した操作レバー80の回転中心として機能する軸であり、例えば操作レバー80用のケーシング(ないしはフレーム等)89に軸受されて回転自在となっている。この回転軸87の一端には、当該回転軸87を介して操作レバー80の傾動量を検出するための傾動量検出装置88が設けられている。傾動量検出装置88は、例えば、回転軸87と同軸上に配置されている大歯車88a、この大歯車88aと噛み合う小歯車88b、小歯車88bの回転量を出力するボリューム88cなどで構成されている(図13参照)。
【0055】
この回転軸87の一部は断面矩形の矩形部87bとされ、ラバースプリング95に嵌め込まれている(図13参照)。ラバースプリング95は、金属製の内殻および外殻との間にゴム材を圧入して内殻を揺動可能に構成したもので、スプリング機能、ダンパー機能、軸受機能を同時に発揮しうる緩衝装置である。操作レバー80を前後方向に傾動させるとゴム材が変形し、弾性力により当該操作レバー80を元位置に復帰させる。本実施形態のラバースプリング95は、ケーシング89内のフレームに嵌め込まれて固定されている。
【0056】
また、支持パイプ83やボタン84の下端側(被押圧部84a等とは反対の側)には、ナット90、圧縮コイルばね91、センサ92、支持用フレーム93,94等が設けられている(図12参照)。ナット90は、グリップ支持パイプ83の下端のおねじと螺合して、グリップ支持パイプ83、グリップ81、カラー82、傾動板85、支持用フレーム93等に締付力を与えて回転軸87に固定させる。センサ92は、ボタン84を構成するロッド部84bの下端を検出する非接触型センサ(例えば光センサ)である。
【0057】
以上のように、本実施形態の操作レバー80はフランジ83aがグリップ81の抜けを抑える構造となっており、尚かつグリップ81の上端には周囲に広がる鍔部81aが形成されていることから、操作入力装置としてばかりでなく、プレイヤが座席中で自分自身の安定を図るために握る装置としても機能しうる。特に、ライド5が回転する本実施形態の遊戯乗物システム1の場合には、何らかの事情によって万が一ライド5が反転状態で停止したとしても、プレイヤはシートベルト99やセーフティバー100に保持された状態のままグリップ81を握って自ら身体を支えることができる。
【0058】
また、本実施形態の操作レバー80には耐久性も期待できる。従来、ボタン84の動きをリミットスイッチで検出する構造が一般に多く見られるが、ライド5や操作レバー80が時に激しく動作する中で強く押圧されることのあるリミットスイッチはその耐久性に不安がある。この点、非接触型のセンサ92を用いている本実施形態の操作レバー80においては、リミットスイッチを用いる場合よりも高い耐久性を実現することができる。また、本実施形態の場合にはボタン84の動きをロッド84bで伝達する構造としているため、センサ92のラインをグリップ支持パイプ83の内部に通したり配置したりしなくて済むという利点もある。
【0059】
シートベルト99およびセーフティバー100は、プレイヤの身体を保持するために前席52と後席53とに設けられている装置である(図3等参照)。例えばセーフティバー100のみでもプレイヤの身体を保持することは可能であるが、本実施形態の遊戯乗物システム1におけるプレイヤはまずシートベルト99を着用し、さらにその上からセーフティバー100を着用することによってライド5の回転時にも身体を確実に保持される。
【0060】
特に詳しく図示していないが、本実施形態のシートベルト99はいわゆる4点式であり、プレイヤの例えば両肩付近、腰の両側付近にてベルトが各座席部52,53に取り付けられ、プレイヤの腹部付近のバックルにて着脱可能となっている。
【0061】
セーフティバー100は、前席52と後席53のそれぞれに上げ下げ可能に設けられている装置で、上がった状態(開放状態)のときプレイヤを開放し、下がった状態(保持状態)のとき着座したプレイヤの肩や腰部等を押さえて身体を保持する。本実施形態のセーフティバー100は、バー本体101、バー本体101を回転可能に支持するベアリングユニット110、バー本体101をロックするロック用シリンダ130等を備えている(図8〜図10参照)。
【0062】
バー本体101は、着座したプレイヤの肩や腰部等を押さえるように身体に合わせて曲折したシャフト部材101aが、ハーネスメインシャフト103を回転中心として上げ下げ可能に構成された装置である。例えば本実施形態のバー本体101は、下がった状態(保持状態)のとき下側に位置する横バー100hでプレイヤの腹部付近を押さえる(図8等参照)。また、保持状態のとき前後方向に延びた状態となる左右それぞれのバーは、プレイヤの肩や側頭部が動くのを抑えて上体を保持する。曲折したシャフト部材101aには、プレイヤの身体に当たって凹むカバー部材101bが被せられている。バー本体101は、ブラケット102を介してハーネスメインシャフト103に取り付けられている(図9参照)。
【0063】
ハーネスメインシャフト103は、バー本体101の回転中心として機能する軸である。このハーネスメインシャフト103の左右両端には、ベアリングユニット110のラチェット爪111が噛み合うラチェットホイール104が設けられている。
【0064】
また、上述したセーフティバー100が、さらにプレイヤの脚部を保持するための装置を備えていることも好ましい。例えば本実施形態では、セーフティバー100のバー本体101に脚部押さえ用バー108を設け、座席部52,53に着座したプレイヤの脚部を上から押さえるようにしている(図4、図8等参照)。この脚部押さえ用バー108は、横バー100hに固定されたT字形状の部材からなり、セーフティバー100の本体101を下げて保持状態とすれば当該脚部押さえ用バー108がプレイヤの膝上部ないしは大腿部付近を上から押さえるように配置されている。したがってこの遊戯乗物システム1のプレイヤは、バー本体100によって主に上半身を保持され、さらに脚部押さえ用バー108によって脚部を押さえられており、ライド5の振子動作ないしは回転動作の際に上半身や脚部が浮き上がったり振られたりせず安定した姿勢を保持しやすい。
【0065】
さらに本実施形態のセーフティバー100は、プレイヤの手や腕がライド5の外へ出ないようにするための腕出し抑制カバー109を備えている(図8等参照)。この腕出し抑制カバー109は、シャフト部材101a(およびカバー部材101b)の外側へ張り出すように設けられた板状部材で、当該シャフト部材101aに沿って湾曲するように形成されている。セーフティバー100の本体101を下げて保持状態とすると、かかる腕出し抑制カバー109がプレイヤの両肩の前方および上方に位置し、当該プレイヤが手や腕を上げたり前に出したりするのを抑制する(図8等参照)。このような腕出し抑制カバー109によれば、ライド5の振子動作ないしは回転動作の際、特にライド5が反転状態となる際、プレイヤの手や腕が地面(ここでいう地面とは、ライド5が反転状態となった際に露出する部分)や他部材等に触れるのを回避することができる。
【0066】
ベアリングユニット110は左右一対であり、ハーネスメインシャフト103を介してバー本体101を回転可能に支持している。例えば本実施形態のベアリングユニット110においては、ベース112にボルト113で固定されるハーネスメインシャフト保持用ベアリングホルダ114によってハーネスメインシャフト103の軸端を保持している(図9、図10参照)。
【0067】
また、ベアリングユニット110において、ラチェット爪111はラチェット爪シャフト115によって回転可能に支持されている。このラチェット爪シャフト115は、一端側をラチェット爪シャフト保持用ベアリングホルダ116、他端側をラチェット爪シャフト保持用ピローブロック118によってそれぞれ支持されている。ラチェット爪シャフト保持用ベアリングホルダ116は、ボルト117でベース112に固定されている。ラチェット爪シャフト保持用ピローブロック118は、ベース112のブラケット部112bにボルト119で固定されている(図10参照)。
【0068】
また、ラチェット爪シャフト115は、ラチェット爪111の軸方向両側に配置された一対のラチェット爪保持プレート120を介してスプリングワイヤホルダ121を回転可能な状態で支持している(図10参照)。一対のラチェット爪保持プレート120は、プレート固定ピン122およびEリング123によってラチェット爪111に固定されており、ラチェット爪シャフト115を中心に当該ラチェット爪111と同軸回転する。また、本実施形態では一対のラチェット爪保持プレート120の一方に突起を設けて強制開放レバー120aとし、状況によっては当該レバーを手動で押し下げることによってもラチェット爪111を開放することを可能としている(図10参照)。
【0069】
ラチェットロック用コイルスプリング124は、スプリングワイヤホルダ121を図中上方へと付勢し、ラチェット爪111をラチェットホイール104へと押し付けている付勢部材として設けられている。本実施形態のラチェットロック用コイルスプリング124は、ベース112のブラケット部112b上に設けられたスプリングガイドシャフト125によって、スプリングワイヤホルダ121の底部を押し上げるように案内されている。
【0070】
また、スプリングワイヤホルダ121には開放用ワイヤ126の一端が取り付けられている。この開放用ワイヤ126は、ライド5の外部から操作があった場合にスプリングワイヤホルダ121を引き下げ、ラチェット爪111をラチェットホイール104から引き離すための入力伝達手段として設けられているもので、他端側はセーフティバーラチェット開放ペダル57(またはこのペダルに連動する別部材)に連結されている。プレイヤ以外の者(例えばアテンダント)がこのセーフティバーラチェット開放ペダル57を踏むと開放用ワイヤ126が引かれ、ラチェット爪111がラチェットホイール104から引き離される。符号127は、開放用ワイヤ126のアウタチューブである(図10参照)。
【0071】
ロック用シリンダ130はセーフティバー100を保持状態に維持するための装置である。本実施形態では油圧の作用を利用するロック用油圧シリンダをこのロック用シリンダ130として用いている(図9参照)。ロック用シリンダ130は、例えばシリンダ保持用ベアリングホルダ131によってライド5の本体に取り付けられている。また、ロック用シリンダ130のビストン部130aは、例えばハーネスメインシャフト103に一体化されたシリンダ接続用アーム105に回転自在に接続されている(図9参照)。なお、このロック用シリンダ130の油圧を外部からの操作により開放するための装置を併設しておくことも好ましい。例えば本実施形態では、中央リング部材2の水平なアーム部2bの端部寄り(後席乗込み用ステップ56寄り)に、押圧することによりロック用シリンダ130の油圧を開放するセーフティバーロック用シリンダ開放スイッチ58を設けている(図3参照)。
【0072】
ハーネス開放センサドグ106およびハーネス開放センサ107は、バー本体101が開放状態にあるかどうかを検出する装置である。本実施形態のセーフティバー100においては、ハーネスメインシャフト103の一端に例えば半円形状のハーネス開放センサドグ106を取付け、該ハーネス開放センサドグ106をハーネス開放センサ107で検出することとしている。ハーネス開放センサ107は例えば光センサからなるもので、ベアリングユニット110のベース112に取り付けられている(図9参照)。
【0073】
開放用ガススプリング132は、バー本体101を押し上げて開放状態に戻しやすくし、尚かつ開放状態にあるバー本体101をその状態に維持しやすくしている。例えば本実施形態の開放用ガススプリング132は、一端側をブラケット102に、他端側をライド5に固定されたブラケット133にそれぞれ取り付けられている(図9参照)。
【0074】
以上説明したセーフティバー100において、ラチェット爪111は、開放状態のバー本体101が下がって保持状態となることを妨げないが、ラチェットホイール104に噛み合っている状態のとき、保持状態のバー本体101が上がることは許容しない。したがって本実施形態セーフティバー100は、各プレイヤの体躯に合う位置までバー本体101を下げて適切な保持状態を形成し、尚かつラチェット爪111を開放するまでは当該保持状態を維持することができるものである。
【0075】
続いて、上述の制御手段7による制御の内容について説明する。
【0076】
本実施形態の遊戯乗物システム1においては、モーションベース9によるライド5の動きとディスプレイ8上に表示されるゲーム映像(ゲーム画像)との同期がずれた場合(つまり、制御ボード71ないしコンピュータ72からPLC73に送られるゲームに関するある値をもった情報の間隔に大きな差が生じた場合)に、送信されたデータの間隔とモーションベースの動作速度とに基づいて差分を演算し、演算された差分に基づき当該モーションベースの動作速度とゲーム映像(ゲーム画像)との同期にずれが生じないようにする。これを実現するため、遊戯乗物システム1は、コンピュータ72内にフィルタを備え、データをフィルタリングしていわゆるデータの処理落ちが生じる状況にも対処できるようにしている(図15参照)。本実施形態の遊戯乗物システム1は、コンピュータ72に所定の処理を実行させるためのプログラムを格納している。
【0077】
ここで、データの処理落ちについて説明する。ゲームに関するある値をもった情報(以下、ゲーム値ともいう)は、例えば仮想カメラVCの位置(仮想視点座標)、仮想空間中の移動体の姿勢、所定コース上での現在位置、操作レバー80およびボタン84の操作入力に基づく速度および加速度等に基づき算出されるライド5の位置(回転角度)に関するデータである(図16(A)中では「a,b,c,…」と例示している)。まず、通常の場合(処理落ちが生じていない場合)、かかるゲーム値はある所定速度(例えば30回/秒)でコンピュータ72からPLC73へと一方向に出力される(図16(A)参照)。PLC73は受信したゲーム値に従い、あらかじめプログラムされた条件で出力回路をオンオフし、アンプ39を介して比例弁41を制御する(図14等参照)。この結果、ライド5は、順次送信されるゲーム値の値に即して振子動作ないしは回転動作を円滑に行う。
【0078】
一方、処理落ちが生じると、例えばゲーム値例における「b」「e」「g」「h」が欠落するといったように連続するゲーム値の一部が欠けて不連続のデータとなる(図16(B)参照)。仮に、このときの一連のゲーム値が増分データだとして、例えば時間t5とt6のそれぞれに対応するゲーム値(D5,D6)が欠落したとすると(図17(B)参照)、その間のデータがないため、ライド5の位置(回転角度)は時間t5,t6の間もその直前の時間t4に対応するゲーム値D4のままである。その後、時間t7にゲーム値D7を受け取ったPLC73は、当該ゲーム値D7とゲーム値D4との差分が大きく開いているにもかかわらず、当該ゲーム値に追従させようとしてライド5に急激な動作を強いる。この結果、処理落ちの規模に応じてライド5の円滑な動作(モーション)が妨げられ、雪上競技等の体感ゲームとしてのモーションの質が低下せざるを得ない。
【0079】
具体例を挙げて説明する。ライド5の制御に使用するためのゲーム中のデータ(角度情報+時間情報)は、60fps(frame per second)の場合であれば理論的には16.667msecごとにゲーム中におけるデータが算出されるが、リアルタイムに膨大な演算を必要とするゲーム処理において実際には処理落ちが生じてしまい、16.667msecごとにデータが算出されない場合が起こりうる。この場合、そのままライド5の制御のためにゲーム中のデータを送信してしまうと、ライド5の制御ないしは動作を急激に行うこととなる。
【0080】
これに対し、本実施形態では、PLC73に送信するデータをフィルタリングすることにより、たとえ処理落ちが生じた場合にもライド5を円滑に動作させるようにしている。すなわち、ゲーム値を出力するコンピュータ72にフィルタ機能をもたせ、処理落ちが生じた場合にフィルタリングしたデータをPLC73に出力し、ライド5のモーションを初期のゲーム値にできるだけ追従させるようにしている(図17(A)参照)。
【0081】
ここでフィルタリングの一例を示す(図18参照)。まず、データの実時間を記述した、当該データと対になる情報(以下、タイムスタンプという)を導入する。データ間隔がわかればデータ推移の傾向が把握できるので、次の時間に処理落ちが生じてデータが送られてこないとしても、本来あるべきデータの値を予測することは可能である。本実施形態の場合、該タイムスタンプと対となったゲーム値が入力されたフィルタにおいて当該入力値と出力値とを比較し、差分を計算し、実際の位置(回転角度)との比較を行う。さらに、これまでの出力の推移から増加分(または減少分)を予測し、予測分を加算(減算)した値をフィルタリング後のデータとしてPLC73に出力する。出力データは、引き続き入力されるゲーム値との比較を行うためにフィードバックされる(図18参照)。フィルタリング後のデータが入力されたPLC73では、当該データを、機械制御にさらに適した高分解能の比例弁制御用電圧値に変換し、当該電圧を発生させて油圧モータ6の制御を行う。
【0082】
フローチャートを用いてさらに詳しいフィルタリング例(処理落ちによる影響を考慮した出力データフィルタの1フレームにおける処理例)を以下に示す(図19参照)。
【0083】
まず、コンピュータ72内にて、ゲーム値(本例では角度データ)に実時間を記述し、対にした実時間データ込みの情報をフィルタに入力する(ステップSP1)。角度データは、仮想空間内における仮想カメラVCの位置に基づいて算出される。ここでの時間(角度データに記述される時間)は必ずしも等間隔でなくて構わない。
【0084】
フィルタでは、データが入力されたことを確認したら(ステップSP2)、当該入力された角度データと前入力との時間間隔をバッファに保存(記憶)したうえで(ステップSP3)、前回の出力データと入力データとの差分(この場合、角度の差分)を計算するという処理を実施する(ステップSP4)。差分データはバッファに保存(記憶)される(ステップSP5)。
【0085】
続いて、差分データに基づくデータ予測を行う(ステップSP6〜SP8)。まず、現在の入出力差分から比例項(現在の入出力の差分データから次の予測を行うための値)を計算する(ステップSP6)。また、一定期間期間内の入出力の差分データから積分項(一定期間の入出力の差分データから今までの傾向の予測を行うための値)を計算する(ステップSP7)。さらに、前フレームと現在の入出力の差分データから微分項(前フレームの入出力と現在の入出力の差分データからどの程度、補間するかの予測を行うための値)を計算する(ステップSP8)。なお、比例項、積分項、微分項の各計算処理をここではステップSP6〜SP8として並列に示したがこれはチャート上での便宜的な表現にすぎず、処理順などが特に限られることはない。
【0086】
その後、比例項、積分項、微分項をそれぞれ定数倍して加算する(ステップSP9)。さらに、この値を、前フレームでの出力値に加算する(ステップSP10)。このようにして得られた値は、フィルタリングされたデータとしてPLC73に角度データとして出力される(ステップSP11)。また、出力された角度データはバッファに保存(記憶)され(ステップSP12)、次の入力データとの差分を計算する際に利用される(ステップSP4)。
【0087】
このように、本実施形態ではPID制御(比例−積分−微分制御)理論に基づき、動作予測演算を行い、データ推移から予測されるデータをフィルタリングしたデータとして出力する。上述したとおり、これによれば処理落ちが生じた場合にも予測データを出力し、ライド5のモーションを初期のゲーム値に追従させることが可能である。なお、上述の例ではPID制御を例示したが(ステップSP6〜ステップSP8)、これ以外の制御(例えばPI制御(比例−積分制御)など)によるフィルタリングを行うことももちろん可能である。
【0088】
ここで、上述した処理(例えばPI制御によるフィルタリング処理)の際、場合によっては油圧モータ6による所定のトルクが得られないことがある。すなわち、PI制御の結果、ライド5の回転時における比例弁41の動作電圧として、頂点付近(すなわち、ライド5の回転角度が180度となる付近)にて期待値(入力値)と実際の値との差が大きくなることから、当該頂点付近で最大電圧値となるような山形(やまなり)の電圧波形が得られることがある(図20(A)参照)。ところが、例えば当該比例弁41の動作電圧に許容範囲(一例として−10V〜10V)が設けられていると、上限値を超える電圧がカットされてしまい、所望の作動電圧が得られない(図20(B)参照)。そうすると、油圧モータ6に送るべき作動油の流量を増やせないから、ライド5を回転させるために十分なトルクを得ることが難しい場合がある。
【0089】
この点、PI制御においては、
GPI(s)=KP(1+1/TIs)
という式で表されることからも明らかなように、最終出力にゲイン(比例ゲイン、比例定数)KPが乗算される。このPI制御によれば、可変パラメータであるゲインKPの値を変化させることにより、上限値内に電圧波形が収まるようにしつつ、回転に比べて狭い所定範囲における動作であっても、素早いライド5の動作(モーション)を実現することが可能である。この内容について具体例を挙げて説明すれば以下のとおりである(図21参照)。
【0090】
図21は、ライド5の回転状態を円周上に簡略化して表示しているもので、ここではライド5の底部の中心を基準点とし、当該底部(基準点)が頂点に近付いていく動作を上昇、底部が頂点から離れていく動作を下降と称している。例えば(1)は0度の状態、(3)は頂点付近つまりライド5が180度反転した状態を示している。ここでライド5の動作について述べると、(1)の0度付近では、動作命令に素早く反応して動きだすことが求められ、ゲインKPが小さすぎると十分な動作ができなくなる。(2)の回転上昇中は、ライド5を持ち上げるような力が必要であり、ゲインKPが小さすぎると十分な動作ができなくなる。 (3)の頂点付近では、電圧の上限値を超えないようにしつつ、以後の動作(下降動作)に備えゲインKPを小さくして加速度を抑える。(4)の下降動作中は、重力の影響により回転方向へ自由落下して加速するのでライド5に対するトルクを抑える。ゲインKPは小さいままでよい。(5)の位置(270度付近)では、回転速度を抑え、場合によっては0度位置付近にて停止させるため、ゲインKPを徐々に大きくする。以上のようなゲインKPの変化の一例をグラフに表す(図22参照)。この例で、ゲインKPは(1)と(5)で最大値、頂点付近で最小値となっている。
【0091】
また、ライド5を連続2回転(立て続けに2回転)させる場合には、これに合わせて途中のゲインKPを変化させることが好ましい。具体的には、1回転目のライド5に対し、上述の(5)におけるようにゲインKPを最大とするのではなく、ある程度の大きさの中間値とし、ライド5の回転を抑えすぎないようにする(図22中の二点鎖線参照)。これにより、ライド5の回転時の慣性を利用してそのまま2回転目に突入させ、より効率的に動作させることができる。
【0092】
フローチャートを用いてさらに詳しい制御例(処理フレームにおけるライド位置により、回転時のPI制御に用いるゲイン(比例定数)KPを変化させる処理例)を以下に示す(図23参照)。なお、以下では、遊戯乗物システム1の動作中における繰り返し処理の一例を途中から示している。
【0093】
まず、角度検出手段に検出されたライド5の現在位置(本実施形態の場合、より具体的には現在角度位置)の情報は、コンピュータ72に送信され、さらにPLC73に送信される(ステップSP21)。本実施形態では、上述したようにロータリエンコーダ26を角度検出手段として用いることによりライド5の現在角度位置を検出している。
【0094】
信号を受信したPLC73は(ステップSP22)、ライド5の回転動作が終了した状態になっているかどうかを判断し(ステップSP23)、終了した状態になっていれば回転動作中判定をオフにし(ステップSP24)、ライド5が回転動作中かどうかを判断する(ステップSP25)。「回転動作中」の判定は、回転動作判定がオンになっているかどうか確認することと等しい。回転動作中でない場合(ノーの場合)は回転判断角度を随時チェックし、当該回転判断角度を超えた場合には回転動作に移行したと判断して次の回転動作判定がオンとなる。本実施形態の場合、回転動作が終了した状態になっていれば、回転動作中判定を行わない状態(初期状態と同様のノーマルステイタス)に戻る。一方、ステップSP23でライド5の回転動作が終了した状態になっていなければ、そのままステップSP25に進む。
【0095】
ステップSP25においては、ライド5が回転動作中ではないと判断したら、ライド5の現在角度が回転判断角度以上かどうかを判断する(ステップSP26)。ここでいう「回転判断角度」とは、振子動作中には超えることのない所定のしきい値(例えば90度以上のある角度)であり、ライド5の現在角度がこれを超えた場合は回転動作に突入したと判断することができる。また、現在角度が回転判断角度以上であれば回転動作中判定をオンにする(ステップSP27)。
【0096】
ここで、図21に示した具体例に照らせば、(1)の0度付近の状態(ライド5がほぼ傾いていない状態)および(2)の状態(頂点に向けて上昇中の状態)は、ステップSP26にて現在角度が回転判断角度以上ではない場合に該当する(ステップSP26にてNO)。また、(2)の状態から(3)の状態(ライド5が180度反転した状態)への移行中、「回転判断角度」(しきい値)を超えると、ステップSP26においてYES(現在角度が回転判断角度以上である)と判断され、回転動作中判定がオンに切り換わる(ステップSP26にてYES)。
【0097】
続いてライド5が回転下降中かどうか、つまりライド5の重心が頂点(180度)を過ぎて自由落下している状態にあるかどうかを判断する(ステップSP28)。図21に示した具体例に照らせば、(4)がこの状態に該当する。ライド5が回転下降中であれば(ステップSP28にてYES)、下降停止角(一例として、270度)を通過したかどうかを判断する(ステップSP29)。ライド5(の基準点)がこの下降停止角を通過するまでは(ステップSP29にてNO)、ゲイン(比例定数)KPは最小値のままでよい(ステップSP33、図22参照)。このように、本明細書でいう「下降停止角」とは、ライド5(の基準点)が下降している際、当該ライド5の次なる動作に備えて判断(より具体的には下降の停止を開始するかどうかの判断)を加える回転角である。
【0098】
一方、ライド5がこの下降停止角を通過すれば(ステップSP29にてYES)、当該ライド5の回転が連続2回転の1回転目であり、2回転目に突入するところなのかどうか判断する(ステップSP30)。連続2回転でなければ(ステップSP30にてNO)、最下部(0度付近)にて最大値となるようにゲイン(比例定数)KPを変化させ、ライド5を所定の角度位置にて停止させる。これとは逆に連続2回転であれば(ステップ30にてYES)、最下部(0度付近)にて中間値に抑え、最上部の頂点付近にて最小値となるようにゲインKPを変化させる(ステップSP34)。ゲインKPの変化は、例えば三角関数により、あるいはこれと他の関数との組合せにより算出することができる。
【0099】
また、ステップSP28においてライド5が回転下降中ではない場合には(ステップSP28にてNO)、当該ライド5の回転が連続2回転の2回転目かどうか判断する(ステップSP31)。2回転目であれば、最下部(0度付近)にて中間値に抑え、最上部(頂点)付近にて最小値となるようにゲインKPを変化させる(ステップSP34)。逆に、2回転目でなければ(ステップSP31にてNO)、最下部(0度付近)にて最大値、最上部(頂点)付近にて最小値となるようにゲインKPを変化させる(ステップSP32)。
【0100】
また、上述したステップSP32〜35のいずれにおいても、当該処理を終えたらステップSP37に移行する。一方で、制御ボード71ないしはコンピュータ72からは、ゲーム内のマシン位置(指示角度)すなわち仮想空間内における移動体の角度データが出力され、PLC73へと送信される(ステップSP36)。角度データを受信したPLC73は、当該角度データ中の指示角度とライド5の現在角度とを参照しつつ、比例項および積分項を算出してPI制御を行う(ステップSP37)。PI制御による制御指令はライド制御用電圧信号としてアンプ39、比例弁41へと送信され、ライド5に所定の動作をさせる(ステップSP38)。その後、PLC73はステップSP22に戻り、回転時のPI制御に用いるゲイン(比例定数)KPを変化させる処理ループを繰り返す。
【0101】
ここまで説明したように、本実施形態の遊戯乗物システム1においては、ライド5の動作等に関する情報(モーションデータ)が制御ボード71に格納されている。かかるモーションデータとエンコーダ(ロータリエンコーダ26)からの符号化出力信号(位置情報)とを受信したコンピュータ72は、仮想視点の座標位置に基づくデータ、より具体的には、移動体の移動状態や仮想カメラVCから見た回転移動状態からゲーム映像を生成し、ディスプレイ8上に映し出す。また、所定コース内の筒状仮想走行面に沿って移動体が振子動作または回転動作した場合、これに連動してライド5も振子動作または回転動作する。
【0102】
また、このようにライド5が振子動作または回転動作する際、本実施形態では仮想カメラVCの位置座標のみ画面に反映させることとしている。すなわち、例えば従来の遊戯乗物システム(特に、ライドが回転動作などしない非可動ゲームである場合)であれば、仮想カメラVCの「位置座標」と「角度」の両方をディスプレイの画面に反映させることにより、移動体を筒状仮想走行面に沿って移動させつつ画面全体を回転させることが一般的である(図26参照)。これに対し、本実施形態では、仮想カメラVCの「位置座標」のみディスプレイ8の画面に反映させることにより、画面全体を回転させることなく、移動体を筒状仮想走行面に沿って移動させる(図25参照)。要は、従来はディスプレイ8の映像全体を回転させることによって移動体が回転していることを視覚的に演出していたのに対し、ライド5自体を回転させる本実施形態の場合には、ディスプレイ8上の画面を回転させなくてもライド5に搭乗しているプレイヤにとってみれば画面が回転して見えるので、画面全体を回転させるという演出をしなくても視覚的効果が得られる。
【0103】
また、このような遊戯システムにおいては、連続したデータが制御ボード71からコンピュータ72を経てPLC73へと送信されていればライド5は問題なく動作しうるが、いわゆるデータの処理落ちが生じると回転が不均等になることがある。この点、上述したように、本実施形態では制御ボード71内でゲーム空間内におけるカメラ座標情報に時間情報を関連づけておき、実際の出力値と算出されたゲーム値(例えば角度データの値)とを比較し、比較の結果、差分が大きい場合には、推移を予測した増分データを出力するというフィルタリングを行い、処理落ちが発生してもライド5の回転が不均等になることを回避している。
【0104】
特に、現状、ディスプレイ8上の映像やプレイヤによる操作入力にライド5がリアルタイムに追従可能なインタラクティブ方式での処理を実現しようとすれば、自ずと処理すべきデータ量が多くなり、ゲーム中の処理落ち現象が不可避である。したがって、これを回避するため、動きに遅れや違和感があるにせよ、予め用意した制御用テーブルに従ってライド5を動作させているのが実際である。この点、処理落ちに対処可能なフィルタを備えた本実施形態の遊戯乗物システム1は、カメラ映像に同期させたリアルで違和感のないライド5の動作(モーション)を実現することができる。したがって、この遊戯乗物システム1は、例示したボブスレーをはじめとする種々のシミューション型遊戯に適用して好適である。
【0105】
なお、以上の各実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述した実施形態の遊戯乗物システム1は前席52と後席53とを備えた2人乗りであったがこれは一例に過ぎず、1人乗りとすることもできるし、3人以上が同時に搭乗可能な構成とすることもできる。あるいは、着座するための座席部に代え、着座しない状態でプレイヤを保持するための装置(例えば立った状態のプレイヤを保持するための装置)を備え付けるなど、着座しない機器とすることもできる。
【0106】
また、図21等においてはライド5を時計回りに回転させる場合を例示して説明したが、もちろん、ライド5を反時計回りに回転させる場合もあり、この場合は回転方向が異なるだけで同様の処理にて実施することができる。
【0107】
また、本実施形態ではPID制御を例示したがこれ以外の制御によるフィルタリングを行うこともできるのは上述したとおりである。すなわち、例えばPI制御は、積分動作における偏差の積算値が操作量となるので偏差が0になるまで値は増加し、偏差が0になったときには目標値を保つだけの操作量を出力することから、これによってもフィルタリングを行うことは可能である。ただ、本実施形態で述べたPID制御によれば、例えばライド部の慣性モーメントが大きい場合に応答時間の遅れを改善し、また外乱により目標値からのずれが生じた場合にその影響を少なくするための微分動作が追加されているという特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明にかかる遊戯乗物システムの一例を示す全体斜視図である。
【図2】遊戯乗物システムの平面図である。
【図3】遊戯乗物システムを構成するライドの一例を示す斜視図である。
【図4】ライドの内部構造を示す左側面図である。
【図5】ライドの内部構造を示す平面図で、前席を左側にした状態で表したものである。
【図6】ライドの内部構造を示す正面図である。
【図7】ライドを構成するモーションベースの構造を示す背面側からの斜視図である。
【図8】セーフティバーの構造を示す斜視図である。
【図9】セーフティバーの内部構造を示す背面からの分解斜視図である。
【図10】セーフティバーのベアリングユニットの構造を示す分解斜視図である。
【図11】モーションベース駆動部の構造を示す分解斜視図である。
【図12】操作レバーの構造を示す分解斜視図である。
【図13】操作レバーを支持している回転軸およびその周辺の部分の構造を示す分解斜視図である。
【図14】遊戯乗物システムにおける制御系、機械系の構成を簡略化して示すブロック図である。
【図15】制御ボード、PLC、ライド間の信号の流れを簡略化して示す図である。
【図16】コンピュータからPLCへと出力されるデータ(ゲーム値)の流れを簡略に示す図で、(A)は通常の場合、(B)は処理落ちが生じた場合である。
【図17】データ(ゲーム値)に対するライドの追従の様子を示すグラフで、(A)は通常の場合、(B)は処理落ちが生じた場合である。
【図18】遊戯乗物システムにおけるフィルタリングの一例を示すブロック線図である。
【図19】フィルタリング例(処理落ちによる影響を考慮した出力データフィルタの1フレームにおける処理例)を示すフローチャートである。
【図20】(A)PI制御の結果による、ライドの回転時における比例弁の動作電圧波形の一例を示すグラフ、(B)比例弁の最高動作電圧に上限が設けられている場合の実際の電圧波形の一例を示すグラフである。
【図21】ライドの回転状態を円周上に簡略化して示す図である。
【図22】ライドの回転状態に応じたゲインKPの変化の一例を示すグラフである。
【図23】処理フレームにおけるライド位置により、回転時のPI制御に用いるゲイン(比例定数)KPを変化させる処理例を示すフローチャートである。
【図24】図21中の(1)の状態に対応した(A)ディスプレイ上の映像の一例と(B)仮想空間内での移動体の筒状仮想走行面および仮想カメラの状態を示す図である。
【図25】図21中の(2)の状態(回転上昇中の状態)に対応した(A)ディスプレイ上の映像の一例と(B)仮想空間内での移動体の筒状仮想走行面および仮想カメラの状態を示す図である。
【図26】ライドが回転動作しない非可動ゲームである場合の従来の遊戯乗物システムにおける(A)ディスプレイ上の映像の一例と(B)仮想空間内での移動体の筒状仮想走行面および仮想カメラの状態を比較例として示す参考図である。
【符号の説明】
【0109】
1…遊戯乗物システム、1C…マスター操作盤、2…中央リング部材(円状部材)、2a…リム部、2b…アーム部、2c…開部、2f…フランジ、3…ローラ、4…ローラ支持部材、5…ライド(ライド部)、5a…支持板、5b…支点、5c…付勢部材(付勢手段)、6…油圧モータ(アクチュエータ)、7…制御手段、8…ディスプレイ(表示手段)、9…モーションベース(基台)、9a…ベースフレーム、9b…タワーフレーム、10…モーションベース駆動部、11…モータブラケット、12…プーリケース、13…プーリケース、14…プーリケースブラケット、15…テンションプレート、16…プーリシャフト、17…第1プーリ、18…深溝玉軸受、18’…ワッシャ、19…ベルト、20…第2プーリ、21…プーリシャフト、22…ベアリング、23…ベアリングホルダ、24…ベアリングホルダブラケット、25…ハイトルクタイミングプーリ、26…ロータリエンコーダ(角度検出手段)、27…エンコーダブラケット、28…エンコーダブラケット、29…ポジションセンサ、30…ポジションセンサブラケット、31…初期位置センサ、32…初期位置センサブラケット、33…スリップリングブラケット、34…スリップリング、35…ハイトルクタイミングベルト、36…減速機、37…軸、39…アンプ、40…油圧機構マニホールド、41…比例弁、52…前席(座席部)、53…後席(座席部)、54…段部、55…前席乗込み用ステップ、56…後席乗込み用ステップ、57…セーフティバーラチェット開放ペダル、58…セーフティバーロック用シリンダ開放スイッチ、59…前席用スピーカ、60…後席用スピーカ、71…制御ボード、72…コンピュータ、73…PLC、74…ディストリビュータ、80…操作レバー(操作手段)、81…グリップ、81a…鍔部、82…カラー、83…グリップ支持パイプ、83a…フランジ部、83b…平行キー、84…ボタン、84a…被押圧部、84b…ロッド部、84c…セットカラー、85…傾動板、86…ストッパ、87…回転軸、87a…キー溝、87b…矩形部、88…揺動量検出装置、88a…大歯車、88b…小歯車、88c…ボリューム、89…ケーシング、90…ナット、90a…キー溝、91…圧縮コイルばね、92…センサ、93…支持用フレーム、94…支持用フレーム、95…ラバースプリング、99…シートベルト、100…セーフティバー、100h…横バー、101…バー本体、101a…シャフト部材、101b…カバー部材、102…ブラケット、103…ハーネスメインシャフト、104…ラチェットホイール、105…シリンダ接続用アーム、106…ハーネス開放センサドグ、107…ハーネス開放センサ、108…脚部押さえ用バー、109…腕出し抑制カバー、110…ベアリングユニット、111…ラチェット爪、112…ベース、112b…ブラケット部、113…ボルト、114…ハーネスメインシャフト保持用ベアリングホルダ、115…ラチェット爪シャフト、116…ラチェット爪シャフト保持用ベアリングホルダ、117…ボルト、118…ラチェット爪シャフト保持用ピローブロック、119…ボルト、120…ラチェット爪保持プレート、120a…強制開放レバー、121…スプリングワイヤホルダ、122…プレート固定ピン、123…Eリング、124…ラチェットロック用コイルスプリング、125…スプリングガイドシャフト、126…開放用ワイヤ、127…アウタチューブ、130…ロック用シリンダ、130a…ピストン部、131…シリンダ保持用ベアリングホルダ、132…開放用ガススプリング、C…中心軸線、VC…仮想カメラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊戯乗物システムに関する。さらに詳述すると、本発明は、ゲーム映像が表示される画面の出力に応じて乗物の挙動を変化させる、シミュレータ装置に類する遊戯乗物システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばレース用自動車や雪上そり等を模したアトラクション型の業務用ゲーム機器(いわゆるアーケードゲーム)として、ディスプレイ上に映像を映し出しつつ、遊戯者が搭乗する乗物(以下、ライドともいう)を動作させてリアルで迫力のある遊戯を提供しようとする体感型の遊戯乗物システムが提供されている。また、操作入力装置を使って遊戯者がディスプレイ上の仮想移動体を操作できるようにするとともに、当該仮想移動体の挙動や状態にライドのモーション(動き)を連動させるようにした遊戯乗物システムも提供されている。
【0003】
このように遊戯者の操作対象となる仮想移動体の状態にライドを連動させる構成の遊戯乗物システムとしては、従来、遊戯者が搭乗した状態でライドが横揺れするもの、すなわち前後方向に延びる中心軸線周りに左右に揺れるかまたは回転するローリング動作をするもの等が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−021425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献には、例えば2人乗りのライドや当該ライドを横揺れさせる構成などは開示されているものの、このように複数人が同時に搭乗できるライドとして特に好適な構成までは開示されていない。
【0006】
特に特許文献1に開示されているような遊戯乗物システムにおいては、前端に支持軸を有する構造であるため、前席の遊戯者の視界内に前端部の支持軸の軸受が前席に着座した遊戯者の視界を著しく妨げることとなる。
【0007】
そこで、前席の視界を確保するために、前席の配置を支持軸に対して、垂直方向に引き上げる必要が生じており、さらに後席の視界を確保するために前席と段差をつける必要が生じてしまい、結果として、遊戯乗物システムのサイズが大きくなってしまっていた。
【0008】
また、遊戯乗物システムのサイズが大きくなることによる重量増加に応じて、慣性モーメントが増大するため、その駆動にはさらに大きなトルクが必要になってしまっていた。
【0009】
そこで、本発明は、遊戯者とりわけ複数の遊戯者が同時に搭乗した状態でライドを横揺れさせる場合に特に好適な構造の遊戯乗物システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる遊戯乗物システムは、中心軸線周りに回転自在に支持された円状部材と、円状部材を回転自在に支持するローラと、該ローラを回転自在に支持するローラ支持部材と、円状部材と固設され、ゲームの遊戯者が搭乗した状態で回転可能であり、さらに段部が形成されているライド部と、該ライド部の段部に対応して座面が異なる位置に設けられた遊戯者用の座席部と、ライド部を中心軸線周りに振子動作または回転動作させるアクチュエータと、該アクチュエータを制御する制御手段と、ライド部の前方に配置され当該ゲームの映像を映し出す表示手段と、を備え、制御手段は、表示手段に映し出される映像に連動させてライド部を動作させるようにアクチュエータを制御する、というものである。
【0011】
円状部材は、ローラによって回転自在に支持されており、固設されているライド部とともに振子動作または回転動作することができる。ライド部は、アクチュエータに駆動されて表示手段に映し出される映像に連動する。
【0012】
また、段部が形成されているこのライド部においては、当該段部に対応して座面が異なる位置に遊戯者用の座席部が設けられている。例えば後方の座席(2番目以降の座席)を前席よりも高く配置することにより、後方の座席に着座している遊戯者にも表示手段が見やすいライド部を構成することができる。
【0013】
円状部材は、当該ライド部の前後に配置された座席部の前席と後席との間に配置され、後席に着座した遊戯者が表示手段の少なくとも一部を視認できる開部を備えており、さらに当該円状部にはローラからの脱輪を回避するフランジを備えていることが好ましい。前席と後席の間に配置された円状部材は、ライド部の略中央つまり重心に近い位置を支持することが可能である。こうした場合、ライド部を構成するフレームの剛性を極度に高くしなくても済むから、ライド部の軽量化を図ることも可能となる。
【0014】
また本発明にかかる遊戯乗物システムにおいてはローラが複数設けられており、さらに、該ローラを円状部材側へ押圧する付勢手段が設けられている。付勢手段により円状部材側へ付勢されたローラによれば、負荷変動を吸収して精度誤差を補正し、さらには振動による共振運動を抑え、より円滑な回転を実現することができる。
【0015】
さらに遊戯乗物システムは、ライド部の座席部に設けられた遊戯者が操作入力するための操作手段と、ライド部の回転角度を検出する角度検出手段と、を備え、アクチュエータの出力がライド部の後方側に伝達されるものであることが好ましい。このようにアクチュエータの出力をライド部の後方側に伝達し、尚かつ前席と後席との間に円状部材を配置すれば、ライド部の前方を支持する必要のない構成とすることができ、こうした場合には例えば前席への乗込み用ステップを前席の前方に設けることもできる。
【0016】
また、本発明にかかる遊戯乗物システムは、仮想空間内に設けられる所定のコースを移動する移動体を所定のプログラムまたは操作手段からの入力に応じて移動および振子動作ないしは回転動作させ、仮想空間内の仮想カメラから見た移動および振子動作ないしは回転動作の様子をゲーム映像として表示手段に出力し、仮想カメラの回転角度に基づいてライド部を振子動作あるいは回転動作させている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、遊戯者とりわけ複数の遊戯者が同時に搭乗した状態でライドを横揺れさせる場合に特に好適な構造のシステムを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明にかかる遊戯乗物システム1およびその制御方法の実施形態について説明する。
【0019】
遊戯乗物システム1は、遊戯者(以下、プレイヤともいう)が搭乗するライド(乗物)5が、ディスプレイ(表示手段)8に表示される移動体の左右方向回転と連動して基台(以下、モーションベースともいう)9上において360度ローリングすることが可能に構成されたシミュレーション型のゲーム装置である。当該遊戯乗物システム1においては、ライドの形態やビデオ映像、音響などを適宜設計することにより例えばジェット戦闘機、宇宙船、未来の乗物など種々の乗物をシミュレートすることが可能である。例えば本実施形態ではボブスレーのような雪上そりをシミュレートし、プレイヤが雪上競技を乗員として体感しうるシステムとしている。
【0020】
この遊戯乗物システム1においては、ポリゴン等で構成された移動体(操作オブジェクト)を、三次元空間座標上に形成された仮想のゲーム空間内で移動させ、所定の視点からの画像(映像)を生成して(より具体的には、当該移動体の移動状態、および仮想視点から見た回転移動状態の様子を生成して)ゲーム映像としてディスプレイ8上に映し出す。ライド5に搭乗しているプレイヤは、該ディスプレイ8上の映像を見ながら操作レバー80およびボタン84を動かして移動体を操作する。本実施形態の遊戯乗物システム1においては、操作レバー80等からの操作入力の結果、仮想視点たる仮想カメラ(図24〜図26にて符号VCを付して示す)の座標値が変化し、当該変化に応じた映像がディスプレイ8に映し出される。ライド5は、三次元空間座標内の所定コース上で移動体が左右へ振子動作または回転動作するとこれに連動して振子動作または回転動作するように制御されている。
【0021】
また、三次元空間座標内の所定コース上には、移動体および仮想カメラVCが振子動作または回転動作する際の断面が環状の仮想走行面が形成されている。この断面環状の仮想走行面は、上下左右に曲折しながら移動体の進行方向に連なっており、途中が適宜曲折した筒状の仮想走行面を形成している(図24、図25参照)。本実施形態の場合、移動体および仮想カメラVCがこの仮想走行面に沿って振子動作または回転動作をする。また、このような筒状の仮想走行面の周囲には背景(雪上競技をシミュレートした場合であればコース映像やその周辺の風景など)が映し出される(図24等参照)。なお、図24(A)、図25(A)、図26(A)に示している「上」「下」の文字は、仮想カメラVCの上下方向を表すために便宜的に記しているものであり、ディスプレイ8上の映像に実際に映し出されるわけではない。
【0022】
遊戯乗物システム1は、ライド5、ディスプレイ8等を複数備えたシステムとして構成されていてもよい。ライド5、ディスプレイ8等を4機ずつ備えたシステムであれば、1機のライド5にプレイヤが2人ずつ搭乗可能であれば最大8人のプレイヤが同時に遊戯することが可能である(図1、図2参照)。この場合、通信手段を用いて各ライド5等を接続することにより、4機のライド5で競争するという同時プレイを楽しむことができる。
【0023】
また、このように複数のライド5やディスプレイ8等を用いて複数のプレイヤが同時に遊戯することを可能とする場合、マスター操作盤1Cが必要に応じて設置される(図2等参照)。本実施形態の遊戯乗物システム1の場合には、2番目と3番目のライド5の間にマスター操作盤1Cが設置されている。このマスター操作盤1Cは、例えばゲーム店(アミューズメントアーケード)の店員など、プレイヤ以外のゲーム管理者(以下、アテンダントという)が操作するもので、4機のライド5による競争ゲームを開始する際などに操作が行われる。
【0024】
以下、遊戯乗物システム1の構造を説明する。本実施形態の遊戯乗物システム1は、中央リング部材2、ローラ3、ローラ支持部材4、ライド5、アクチュエータ6、制御手段7、ディスプレイ(表示手段)8、モーションベース(基台)9などによって構成されている。それぞれの構成は以下のとおりである。
【0025】
遊戯する際にプレイヤが搭乗するライド5は、プレイヤが搭乗した状態でローリング、すなわち前後方向に延びる中心軸線C周りに回転することが自在な状態で設けられている。プレイヤが着座する座席部52,53には、身体を保持するためのシートベルト99やセーフティバー100等からなる装置が設けられ、ライド5が振子動作ないしは回転する際に座席部52,53から離脱しないようプレイヤを確実に保持できるようになっている。ライド5の前方には、ゲーム映像を映し出すためのディスプレイ8が設けられている(図1、図2参照)。前席52の前方両側には前席用スピーカ59、後席53の前方両側には後席用スピーカ60がそれぞれ設けられている(図3参照)。
【0026】
また、ライド5は前席52と後席53とを備えた2人乗りであり、各席に1人ずつ計2人が同時に搭乗して遊戯できるようになっている(図3〜図6等参照)。これら前席52と後席53との間には段部54による段差が形成され、前席52よりも後席53のほうが高くなる配置を可能としている。これにより、本実施形態の遊戯乗物システム1においては、前席52に着座したプレイヤはもちろん後席53に着座したプレイヤでもディスプレイ8が見やすくなっている(図4等参照)。なお、段部54は、後席53を前席52よりも高く配置することを可能とする構造であればよく、階段状の段差形状であるか傾斜形状であるか、あるいはその他の形状であるかを問わない。例えば後席53を上げ底とするための台座などもこの段部54たりえる(図4参照)。
【0027】
ライド5を回転自在に支持するための構造としては種々のものがあるが、本実施形態では前席52と後席53との間に配置された中央リング部材2と、ライド5の後部の中心軸線C上に配置された軸などの機械要素からなる機構とでライド5を支持している(図4等参照)。本実施形態の場合、ライド5は、中央リング部材2の略中心軸位置からずれた位置において当該中央リング部材2と固設されている。より具体的に説明すれば、本実施形態のライド5は、当該ライド5の重心が中央リング部材2の中心軸よりも鉛直下方に位置する状態で当該中央リング部材2と固設されている。軸などの機械的要素からなる機構はモーションベース9とライド5との間に設けられているもので、モーションベース9に内蔵されているアクチュエータ6の駆動力(トルク)をライド5に伝達する。
【0028】
中央リング部材2は、中心軸線C周りに回転自在に設けられているフランジ2f付きのリング状部材である(図3、図4等参照)。この中央リング部材2はライド5に固設されており、当該ライド5と一体となって中心軸線C周りを回転する。本実施形態では、この中央リング部材2をリング状のリム部2aおよび該リム部2aとライド5とを接続するアーム部2bで形成し、必要な強度を備えつつ軽量化を図っている。また、後席53に着座したプレイヤがディスプレイ8を見る際の妨げとならないよう、アーム部2bは後席53の前方となる位置を避けるように配置され、これによってプレイヤがディスプレイ8を視認できるようにするための開部2cが形成されている(図3参照)。この開部2cには透明のフィルムやシートが設けられていてもよい。
【0029】
また、上述のように中央リング部材2を前席52と後席53との間に配置したことにより、本実施形態の遊戯乗物システム1では以下のことを実現している。すなわち、中央リング部材2でライド5の略中央つまり重心に近い位置を支持しているため、ライド5を構成するフレームの剛性を極度に高くしなくても済むようにしている(図4等参照)。したがって、2人乗りのライド5でありながらも軽量化を図ることが可能であり、これによりアクチュエータの出力を抑えることも可能である。
【0030】
加えて、ライド5の前端を支持しない構造であることから、当該前端部分の仕様が比較的自由である。つまり、前端部にライド5の支持軸がないため、前席52に着座した遊戯者(プレイヤ)の視界を妨げないといった利点がある。
【0031】
具体的には、例えば従来の前端を支持する構造の場合には前席の遊戯者の視線の前に軸受が配置されていたが、本実施形態によればこのような配置を必要としなくなるため、著しく視界を妨げることがなくなる。これにより、前席52の配置を中心軸線Cに対して垂直方向に引き上げて視界を確保する必要がなくなる。そのため、後席53に着座する遊戯者の視界を確保するために前席52と後席53との間に段差を設けたとしても、ライド5が大型化するのを抑えて軽量化を図ることができる。その結果、ライド5の慣性モーメントが増大するのを抑え、油圧モータ(アクチュエータ)6の出力を抑えることも可能となる。
【0032】
さらに、例えば本実施形態では、前席乗込み用ステップ55を前席52の前方に設け、前席52に着座するプレイヤが前方から乗り込みあるいは前方へと降りることができるようにしている(図3等参照)。このように乗込み用ステップ55を前方に設ける場合、ライド5の側方に設ける場合よりもステップ幅を確保しやすいことから、乗降のしやすさを向上させることが可能である。
【0033】
なお、前席52の乗込み用ステップ55をライド5の側方に設ける場合、遊戯者の乗降時におけるふらつき・落下防止のため、柵や手すり等を設置する必要がある。この場合において、その柵や手すりの設置場所に応じて、着座した遊戯者の視界を妨げる恐れがある。それに対し、このように乗込み用ステップ55を前方に設ける場合においては、柵や手すりなどを上記のように設ける必要がないため、遊戯者がディスプレイ(表示手段)8に表示されている映像等を見やすい状態にすることができ、視界を妨げる恐れがない。加えて、乗込み用ステップ55が前方に設けられている前席52は、左右対称の比較的簡単な設計とすることが可能だという利点もある。
【0034】
さらに本実施形態における後席乗込み用ステップ56はライド5の左側に設けられている(図3等参照)。この後席乗込み用ステップ56の例えば後方寄りにはセーフティバーラチェット開放ペダル57が設けられている。
【0035】
また、本実施形態では上述の中央リング部材2をモーションベース9上のローラ3およびローラ支持部材4によって回転自在に支持している(図3、図4等参照)。ローラ3は、中央リング部材2のリム部2aの外周面に接触するように左右一対が設けられている。なお、中央リング部材2のリム部2aには、ローラ3が脱落するのを防ぐフランジ2fが形成されている(図3、図4参照)。また、ローラ3はローラ支持部材4によって回転自在に支持されている。
【0036】
ローラ支持部材4はローラ3を回転自在に支持し、さらに当該ローラ3を付勢して押し上げている。例えば本実施形態ではローラ3が回転自在に取付けられている支持板4aを支点4bを中心として揺動可能な跳上げ式とし、尚かつ、この支持板4aの先端付近を付勢部材5cによって押し上げている(図7等参照)。このように付勢部材4cを備えローラ3を押し上げる構造のローラ支持部材4は、中央リング部材2の回転精度を向上させることができる。すなわち、中央リング部材2のリム部2aを完全な円(真円)とすることは困難であることから、当該中央リング部材2の回転時、ローラ支持部材4が受ける負荷に変動が生じることがあるが、付勢部材4cを備えたローラ支持部材4によれば負荷変動を吸収して精度誤差を補正し、さらには振動による共振運動を抑え、より円滑な回転を実現することが可能である。
【0037】
モーションベース9は、回転自在に設けられるライド5を支持するための土台となる構造部分である。例えば本実施形態のモーションベース9は、構造用角パイプ、構造用丸パイプ、フレーム継ぎ目の補強板などが組み合わされて構成されている(図7参照)。このようなモーションベース9のうち、略矩形に組み合わされて底板となるベースフレーム9aには上述した左右一対のローラ支持部材4が設けられている。また、かかるベースフレーム9aの後端部には、構造用角パイプなどが略A字形の櫓状に組まれてタワーフレーム9bが設けられている。このタワーフレーム9bには、アクチュエータ6を含むモーションベース駆動部10が設けられている。さらにタワーフレーム9bの足元には油圧機構マニホールド40が設けられている(図7参照)。
【0038】
モーションベース駆動部10は、アクチュエータ6と、該アクチュエータ6のトルクをライド5に伝達するための機械要素からなる機構とを含む(図11参照)。アクチュエータ6はライド5を振子動作または回転動作させるための動力の発生源であり、例えば本実施形態では油圧モータをこのアクチュエータ6として用いている。アクチュエータ6は、平行キー16a,16bを備えたプーリシャフト16を介して第1プーリ17を回転させ、さらにベルト19を介して第2プーリ20を回転させる。第2プーリ20のプーリシャフト21はライド5側に突出して減速機36に接続されており、当該減速機36にトルクを伝達する。該減速機36はライド5にトルクを伝達して該ライド5を振子動作ないしは回転動作させる。
【0039】
モーションベース9のその他の構成については以下のとおりである。上述の油圧モータ(アクチュエータ)6は、プーリケース12上に取り付けられるモータブラケット11によって保持されている。プーリケース12は、プーリケースブラケット14が取り付けられているもう一方のプーリケース13にねじ止めされる。プーリケース12にはシャフト16が通る透孔が設けられており、該透孔に深溝玉軸受18がワッシャ18’とともに設けられる。プーリケース12,13は、モーションベース9のタワーフレーム9bにテンションプレート15とともにねじ止めされて固定されている(図7、図11参照)。
【0040】
また、プーリシャフト21のベアリング22は、板状に形成されているベアリングホルダ23に取り付けられている。このベアリングホルダ23は、ベアリングホルダブラケット24を介してタワーフレーム9bにねじ止めされて固定されている(図7、図11参照)。またベアリングホルダ23には、ハイトルクタイミングプーリ25、ロータリエンコーダ26、エンコーダブラケット27,28、ポジションセンサ29、ポジションセンサブラケット30、初期位置センサ31、初期位置センサブラケット32が取り付けられている。さらに、ベアリングホルダ23には、スリップリングブラケット33を介してスリップリング34が軸37の同軸上に位置するように取り付けられている(図11等参照)。また、図示しないが、軸37の他端はライド5に直結されている。なお、本実施形態のプーリシャフト21は、油圧モータ6と同じ回転数で回転する中空構造の伝達軸である。上述の軸37は、ベアリング22によって一端側を軸受された状態でこのプーリシャフト21の内側に配置されており、ライド5を同角度で振子動作ないしは回転動作させる。
【0041】
さらに軸37には、ハイトルクタイミングベルト35が設けられている(図11参照)。軸37の回転は、ハイトルクタイミングベルト35を介してハイトルクタイミングプーリ25へと伝達され、該プーリ25と同軸上に配置されたロータリエンコーダ26を回転させる。回転時、ロータリエンコーダ26は回転量を符号化した出力信号をコンピュータ72等の制御手段7へと送信することにより、ライド5の角度検出手段として機能する。スリップリング34は、軸37の回転時に出力されるパルス数を増加させる。本実施形態では、かかるスリップリング34を介し、ライド5内のI/Oボード(図示省略)がライド5側の制御信号の入出力を行う。
【0042】
油圧機構マニホールド40は油圧回路に設けられている装置で、内蔵する比例弁41(図14参照)を開閉させて作動油の流量を調整し、さらには流路を切り換えて流れ方向を変える。特に図示していないが、かかる油圧機構マニホールド40は油圧ポンプ等を備える駆動源、および上述した油圧モータ(アクチュエータ)6のそれぞれと接続されていて、制御手段7から命令信号を受けて動作する。
【0043】
制御手段7は、上述の油圧機構マニホールド40やアクチュエータ6を制御してライド5に所定の動作を行わせ、さらにはディスプレイ8上の映像やスピーカからの音響等の制御も行うものである。ここで、本実施形態の遊戯乗物システム1における制御手段7と他の装置の構成の概略を示すと以下のとおりである(図14参照)。
【0044】
制御ボード71は、ライド5の動作等に関する情報(モーションデータ)を格納しており、かかるモーションデータをコンピュータ72に出力する。コンピュータ72は、エンコーダ(ロータリエンコーダ26)からの符号化出力信号(位置情報)と制御ボード71からのモーションデータを受信し、仮想視点の座標位置に基づくデータを出力する。後述するように、本実施形態ではコンピュータ72内にフィルタを設けてデータをフィルタリングし、後述するいわゆるデータの処理落ちが生じる状況にも対処できるようにしている。
【0045】
PLC(プログラマブルコントローラ)73は、CPUやメモリ等を内蔵している制御装置で、外部からの信号を取り込み、あらかじめプログラムされた条件で出力回路をオンオフし、アンプ39を介して比例弁41を制御する。本実施形態のPLC73はI/Oモジュールによってディストリビュータ74と接続されている。
【0046】
PLC73からの出力信号はアンプ39で増幅された後に油圧機構マニホールド40へと送信され、比例弁41を動作させる。上述したように、比例弁41は作動油の流量調整や流路切換を行い、アクチュエータ6を動作させてライド5に所定の動作(振子動作ないしは回転動作)を行わせる。ライド5の動作や位置は、各種センサ(ポジションセンサ29、初期位置センサ31等)、エンコーダ(ロータリエンコーダ26)の出力を通じて検出することができる。本実施形態の遊戯乗物システム1では、センサ出力はディストリビュータ74へ送信された後、PLC73へ送信される(図14参照)。
【0047】
上述の制御手段7による制御の内容については後述することとし、遊戯乗物システム1のその他の構成について以下に説明する。
【0048】
操作レバー80は、プレイヤの操作手段としてライド5の前席52および後席53の両側に一対ずつ計4機設置されているいわばツインスティック型の操作桿である(図3等参照)。本実施形態の操作レバー80は、プレイヤが把持しながら前後方向に倒すことができ、手を離せば中立位置に戻る傾動可能型のものであり、尚かつグリップエンド(グリップ81の上端)にはグリップ81を把持しながら親指で押し込むことのできるボタン84が設けられている。例えば本実施形態では、左右の操作レバー80およびボタン84の動きを組み合わせることによって、ディスプレイ8に表示される移動体(仮想空間内の移動体)を下記のように操作できるようにしている。
【0049】
すなわち、両方の操作レバー80を前方へ押し出すことにより移動体が「加速」する。右の操作レバー80を前方へ押し出し、左の操作レバー80を手前側へ引くと「左旋回」する。逆に左の操作レバー80を前方へ押し出し、右の操作レバー80を手前側へ引くと「右旋回」する。また、仮想三次元空間座標内の仮想コース上における所定のエリア内で左右のいずれかのボタン84を押すと、移動体は加速しながらボタンを押したときのレバー80への入力に応じて、回転する。即ち、レバー80が「左旋回」の状態であれば「左回転」、レバー80が「右旋回」の状態であれば「右回転」というように、レバー80の入力方向へ回転する。ボタン84を押したとき、レバー80が「中立」の状態であれば移動体を例えば「右回転」させるようにしてもよい。さらに、2人のプレイヤがほぼ同時にボタン84を押せば移動体は2回転する。プレイヤが搭乗しているライド5は、ディスプレイ8上の移動体の動きに連動して左右へ振子動作ないしは回転動作する。
【0050】
また、操作レバー80の構造(ハンドルメカ)の一例を示せば以下のとおりである(図12、図13参照)。グリップ81は握りやすい形状の樹脂製であり、上端には操作時に当該操作レバー80から手が滑ってずれるのを抑えるように周囲に広がる鍔部81aが形成されている。鍔部81aの中心位置には親指で押し込み可能なボタン84が設けられている。グリップ81は中空状であり、グリップ支持パイプ83によってカラー82、傾動板85ととともに回転軸87に取付けられている。また、グリップ81はグリップ支持パイプ83に対して例えば側部からねじ止めされている。
【0051】
グリップ支持パイプ83はグリップ81およびカラー82の中空部分に差し込まれて当該グリップ81を回転軸87に固定させる。本実施形態のグリップ支持パイプ83の上端部には、グリップ81の中空部分の内径よりも大きいフランジ部83aが形成されており、グリップ81が上方に抜けるのを防ぐ。またグリップ支持パイプ83の下端部には、回転軸87やナット90等のキー溝87a,90a等に嵌り込んで回り止めとなる平行キー83bが形成されている。さらにグリップ支持パイプ83の下端の小径部にはナット90に螺合するおねじが形成されている。
【0052】
ボタン84は、プレイヤが親指で押し込むことができる被押圧部84aと、被押圧部84aに接続されているロッド部84bと、該ロッド部84bの下端付近に設けられている着脱可能なセットカラー84cとを備えている。このボタン84は、ロッド部84bが支持パイプ83の中を通り、被押圧部84aがフランジ部83aの上側に位置した状態で設けられる(図12、図13参照)。また、ボタン84は、圧縮コイルばね91により上方へ付勢されており、プレイヤが被押圧部84aを押し下げた際の指の力を抜けば押される前の元位置に復帰する。
【0053】
傾動板85はグリップ81等とともに前後方向に傾動する部材で、例えばカラー82を介してグリップ支持パイプ83にねじ止めされる。傾動板85の上面は、座席部52,53において露出した場合にも違和感の少ない円弧状の周面とされている。また、傾動板85の前後下方には、当該傾動板85の前端および後端がそれぞれ当接するようにストッパ86が設けられている。本実施形態の操作レバー80は、一体的に傾動する傾動板85がこれらストッパ86に突き当たることによって可動範囲が限定されている。
【0054】
回転軸87は、上述した操作レバー80の回転中心として機能する軸であり、例えば操作レバー80用のケーシング(ないしはフレーム等)89に軸受されて回転自在となっている。この回転軸87の一端には、当該回転軸87を介して操作レバー80の傾動量を検出するための傾動量検出装置88が設けられている。傾動量検出装置88は、例えば、回転軸87と同軸上に配置されている大歯車88a、この大歯車88aと噛み合う小歯車88b、小歯車88bの回転量を出力するボリューム88cなどで構成されている(図13参照)。
【0055】
この回転軸87の一部は断面矩形の矩形部87bとされ、ラバースプリング95に嵌め込まれている(図13参照)。ラバースプリング95は、金属製の内殻および外殻との間にゴム材を圧入して内殻を揺動可能に構成したもので、スプリング機能、ダンパー機能、軸受機能を同時に発揮しうる緩衝装置である。操作レバー80を前後方向に傾動させるとゴム材が変形し、弾性力により当該操作レバー80を元位置に復帰させる。本実施形態のラバースプリング95は、ケーシング89内のフレームに嵌め込まれて固定されている。
【0056】
また、支持パイプ83やボタン84の下端側(被押圧部84a等とは反対の側)には、ナット90、圧縮コイルばね91、センサ92、支持用フレーム93,94等が設けられている(図12参照)。ナット90は、グリップ支持パイプ83の下端のおねじと螺合して、グリップ支持パイプ83、グリップ81、カラー82、傾動板85、支持用フレーム93等に締付力を与えて回転軸87に固定させる。センサ92は、ボタン84を構成するロッド部84bの下端を検出する非接触型センサ(例えば光センサ)である。
【0057】
以上のように、本実施形態の操作レバー80はフランジ83aがグリップ81の抜けを抑える構造となっており、尚かつグリップ81の上端には周囲に広がる鍔部81aが形成されていることから、操作入力装置としてばかりでなく、プレイヤが座席中で自分自身の安定を図るために握る装置としても機能しうる。特に、ライド5が回転する本実施形態の遊戯乗物システム1の場合には、何らかの事情によって万が一ライド5が反転状態で停止したとしても、プレイヤはシートベルト99やセーフティバー100に保持された状態のままグリップ81を握って自ら身体を支えることができる。
【0058】
また、本実施形態の操作レバー80には耐久性も期待できる。従来、ボタン84の動きをリミットスイッチで検出する構造が一般に多く見られるが、ライド5や操作レバー80が時に激しく動作する中で強く押圧されることのあるリミットスイッチはその耐久性に不安がある。この点、非接触型のセンサ92を用いている本実施形態の操作レバー80においては、リミットスイッチを用いる場合よりも高い耐久性を実現することができる。また、本実施形態の場合にはボタン84の動きをロッド84bで伝達する構造としているため、センサ92のラインをグリップ支持パイプ83の内部に通したり配置したりしなくて済むという利点もある。
【0059】
シートベルト99およびセーフティバー100は、プレイヤの身体を保持するために前席52と後席53とに設けられている装置である(図3等参照)。例えばセーフティバー100のみでもプレイヤの身体を保持することは可能であるが、本実施形態の遊戯乗物システム1におけるプレイヤはまずシートベルト99を着用し、さらにその上からセーフティバー100を着用することによってライド5の回転時にも身体を確実に保持される。
【0060】
特に詳しく図示していないが、本実施形態のシートベルト99はいわゆる4点式であり、プレイヤの例えば両肩付近、腰の両側付近にてベルトが各座席部52,53に取り付けられ、プレイヤの腹部付近のバックルにて着脱可能となっている。
【0061】
セーフティバー100は、前席52と後席53のそれぞれに上げ下げ可能に設けられている装置で、上がった状態(開放状態)のときプレイヤを開放し、下がった状態(保持状態)のとき着座したプレイヤの肩や腰部等を押さえて身体を保持する。本実施形態のセーフティバー100は、バー本体101、バー本体101を回転可能に支持するベアリングユニット110、バー本体101をロックするロック用シリンダ130等を備えている(図8〜図10参照)。
【0062】
バー本体101は、着座したプレイヤの肩や腰部等を押さえるように身体に合わせて曲折したシャフト部材101aが、ハーネスメインシャフト103を回転中心として上げ下げ可能に構成された装置である。例えば本実施形態のバー本体101は、下がった状態(保持状態)のとき下側に位置する横バー100hでプレイヤの腹部付近を押さえる(図8等参照)。また、保持状態のとき前後方向に延びた状態となる左右それぞれのバーは、プレイヤの肩や側頭部が動くのを抑えて上体を保持する。曲折したシャフト部材101aには、プレイヤの身体に当たって凹むカバー部材101bが被せられている。バー本体101は、ブラケット102を介してハーネスメインシャフト103に取り付けられている(図9参照)。
【0063】
ハーネスメインシャフト103は、バー本体101の回転中心として機能する軸である。このハーネスメインシャフト103の左右両端には、ベアリングユニット110のラチェット爪111が噛み合うラチェットホイール104が設けられている。
【0064】
また、上述したセーフティバー100が、さらにプレイヤの脚部を保持するための装置を備えていることも好ましい。例えば本実施形態では、セーフティバー100のバー本体101に脚部押さえ用バー108を設け、座席部52,53に着座したプレイヤの脚部を上から押さえるようにしている(図4、図8等参照)。この脚部押さえ用バー108は、横バー100hに固定されたT字形状の部材からなり、セーフティバー100の本体101を下げて保持状態とすれば当該脚部押さえ用バー108がプレイヤの膝上部ないしは大腿部付近を上から押さえるように配置されている。したがってこの遊戯乗物システム1のプレイヤは、バー本体100によって主に上半身を保持され、さらに脚部押さえ用バー108によって脚部を押さえられており、ライド5の振子動作ないしは回転動作の際に上半身や脚部が浮き上がったり振られたりせず安定した姿勢を保持しやすい。
【0065】
さらに本実施形態のセーフティバー100は、プレイヤの手や腕がライド5の外へ出ないようにするための腕出し抑制カバー109を備えている(図8等参照)。この腕出し抑制カバー109は、シャフト部材101a(およびカバー部材101b)の外側へ張り出すように設けられた板状部材で、当該シャフト部材101aに沿って湾曲するように形成されている。セーフティバー100の本体101を下げて保持状態とすると、かかる腕出し抑制カバー109がプレイヤの両肩の前方および上方に位置し、当該プレイヤが手や腕を上げたり前に出したりするのを抑制する(図8等参照)。このような腕出し抑制カバー109によれば、ライド5の振子動作ないしは回転動作の際、特にライド5が反転状態となる際、プレイヤの手や腕が地面(ここでいう地面とは、ライド5が反転状態となった際に露出する部分)や他部材等に触れるのを回避することができる。
【0066】
ベアリングユニット110は左右一対であり、ハーネスメインシャフト103を介してバー本体101を回転可能に支持している。例えば本実施形態のベアリングユニット110においては、ベース112にボルト113で固定されるハーネスメインシャフト保持用ベアリングホルダ114によってハーネスメインシャフト103の軸端を保持している(図9、図10参照)。
【0067】
また、ベアリングユニット110において、ラチェット爪111はラチェット爪シャフト115によって回転可能に支持されている。このラチェット爪シャフト115は、一端側をラチェット爪シャフト保持用ベアリングホルダ116、他端側をラチェット爪シャフト保持用ピローブロック118によってそれぞれ支持されている。ラチェット爪シャフト保持用ベアリングホルダ116は、ボルト117でベース112に固定されている。ラチェット爪シャフト保持用ピローブロック118は、ベース112のブラケット部112bにボルト119で固定されている(図10参照)。
【0068】
また、ラチェット爪シャフト115は、ラチェット爪111の軸方向両側に配置された一対のラチェット爪保持プレート120を介してスプリングワイヤホルダ121を回転可能な状態で支持している(図10参照)。一対のラチェット爪保持プレート120は、プレート固定ピン122およびEリング123によってラチェット爪111に固定されており、ラチェット爪シャフト115を中心に当該ラチェット爪111と同軸回転する。また、本実施形態では一対のラチェット爪保持プレート120の一方に突起を設けて強制開放レバー120aとし、状況によっては当該レバーを手動で押し下げることによってもラチェット爪111を開放することを可能としている(図10参照)。
【0069】
ラチェットロック用コイルスプリング124は、スプリングワイヤホルダ121を図中上方へと付勢し、ラチェット爪111をラチェットホイール104へと押し付けている付勢部材として設けられている。本実施形態のラチェットロック用コイルスプリング124は、ベース112のブラケット部112b上に設けられたスプリングガイドシャフト125によって、スプリングワイヤホルダ121の底部を押し上げるように案内されている。
【0070】
また、スプリングワイヤホルダ121には開放用ワイヤ126の一端が取り付けられている。この開放用ワイヤ126は、ライド5の外部から操作があった場合にスプリングワイヤホルダ121を引き下げ、ラチェット爪111をラチェットホイール104から引き離すための入力伝達手段として設けられているもので、他端側はセーフティバーラチェット開放ペダル57(またはこのペダルに連動する別部材)に連結されている。プレイヤ以外の者(例えばアテンダント)がこのセーフティバーラチェット開放ペダル57を踏むと開放用ワイヤ126が引かれ、ラチェット爪111がラチェットホイール104から引き離される。符号127は、開放用ワイヤ126のアウタチューブである(図10参照)。
【0071】
ロック用シリンダ130はセーフティバー100を保持状態に維持するための装置である。本実施形態では油圧の作用を利用するロック用油圧シリンダをこのロック用シリンダ130として用いている(図9参照)。ロック用シリンダ130は、例えばシリンダ保持用ベアリングホルダ131によってライド5の本体に取り付けられている。また、ロック用シリンダ130のビストン部130aは、例えばハーネスメインシャフト103に一体化されたシリンダ接続用アーム105に回転自在に接続されている(図9参照)。なお、このロック用シリンダ130の油圧を外部からの操作により開放するための装置を併設しておくことも好ましい。例えば本実施形態では、中央リング部材2の水平なアーム部2bの端部寄り(後席乗込み用ステップ56寄り)に、押圧することによりロック用シリンダ130の油圧を開放するセーフティバーロック用シリンダ開放スイッチ58を設けている(図3参照)。
【0072】
ハーネス開放センサドグ106およびハーネス開放センサ107は、バー本体101が開放状態にあるかどうかを検出する装置である。本実施形態のセーフティバー100においては、ハーネスメインシャフト103の一端に例えば半円形状のハーネス開放センサドグ106を取付け、該ハーネス開放センサドグ106をハーネス開放センサ107で検出することとしている。ハーネス開放センサ107は例えば光センサからなるもので、ベアリングユニット110のベース112に取り付けられている(図9参照)。
【0073】
開放用ガススプリング132は、バー本体101を押し上げて開放状態に戻しやすくし、尚かつ開放状態にあるバー本体101をその状態に維持しやすくしている。例えば本実施形態の開放用ガススプリング132は、一端側をブラケット102に、他端側をライド5に固定されたブラケット133にそれぞれ取り付けられている(図9参照)。
【0074】
以上説明したセーフティバー100において、ラチェット爪111は、開放状態のバー本体101が下がって保持状態となることを妨げないが、ラチェットホイール104に噛み合っている状態のとき、保持状態のバー本体101が上がることは許容しない。したがって本実施形態セーフティバー100は、各プレイヤの体躯に合う位置までバー本体101を下げて適切な保持状態を形成し、尚かつラチェット爪111を開放するまでは当該保持状態を維持することができるものである。
【0075】
続いて、上述の制御手段7による制御の内容について説明する。
【0076】
本実施形態の遊戯乗物システム1においては、モーションベース9によるライド5の動きとディスプレイ8上に表示されるゲーム映像(ゲーム画像)との同期がずれた場合(つまり、制御ボード71ないしコンピュータ72からPLC73に送られるゲームに関するある値をもった情報の間隔に大きな差が生じた場合)に、送信されたデータの間隔とモーションベースの動作速度とに基づいて差分を演算し、演算された差分に基づき当該モーションベースの動作速度とゲーム映像(ゲーム画像)との同期にずれが生じないようにする。これを実現するため、遊戯乗物システム1は、コンピュータ72内にフィルタを備え、データをフィルタリングしていわゆるデータの処理落ちが生じる状況にも対処できるようにしている(図15参照)。本実施形態の遊戯乗物システム1は、コンピュータ72に所定の処理を実行させるためのプログラムを格納している。
【0077】
ここで、データの処理落ちについて説明する。ゲームに関するある値をもった情報(以下、ゲーム値ともいう)は、例えば仮想カメラVCの位置(仮想視点座標)、仮想空間中の移動体の姿勢、所定コース上での現在位置、操作レバー80およびボタン84の操作入力に基づく速度および加速度等に基づき算出されるライド5の位置(回転角度)に関するデータである(図16(A)中では「a,b,c,…」と例示している)。まず、通常の場合(処理落ちが生じていない場合)、かかるゲーム値はある所定速度(例えば30回/秒)でコンピュータ72からPLC73へと一方向に出力される(図16(A)参照)。PLC73は受信したゲーム値に従い、あらかじめプログラムされた条件で出力回路をオンオフし、アンプ39を介して比例弁41を制御する(図14等参照)。この結果、ライド5は、順次送信されるゲーム値の値に即して振子動作ないしは回転動作を円滑に行う。
【0078】
一方、処理落ちが生じると、例えばゲーム値例における「b」「e」「g」「h」が欠落するといったように連続するゲーム値の一部が欠けて不連続のデータとなる(図16(B)参照)。仮に、このときの一連のゲーム値が増分データだとして、例えば時間t5とt6のそれぞれに対応するゲーム値(D5,D6)が欠落したとすると(図17(B)参照)、その間のデータがないため、ライド5の位置(回転角度)は時間t5,t6の間もその直前の時間t4に対応するゲーム値D4のままである。その後、時間t7にゲーム値D7を受け取ったPLC73は、当該ゲーム値D7とゲーム値D4との差分が大きく開いているにもかかわらず、当該ゲーム値に追従させようとしてライド5に急激な動作を強いる。この結果、処理落ちの規模に応じてライド5の円滑な動作(モーション)が妨げられ、雪上競技等の体感ゲームとしてのモーションの質が低下せざるを得ない。
【0079】
具体例を挙げて説明する。ライド5の制御に使用するためのゲーム中のデータ(角度情報+時間情報)は、60fps(frame per second)の場合であれば理論的には16.667msecごとにゲーム中におけるデータが算出されるが、リアルタイムに膨大な演算を必要とするゲーム処理において実際には処理落ちが生じてしまい、16.667msecごとにデータが算出されない場合が起こりうる。この場合、そのままライド5の制御のためにゲーム中のデータを送信してしまうと、ライド5の制御ないしは動作を急激に行うこととなる。
【0080】
これに対し、本実施形態では、PLC73に送信するデータをフィルタリングすることにより、たとえ処理落ちが生じた場合にもライド5を円滑に動作させるようにしている。すなわち、ゲーム値を出力するコンピュータ72にフィルタ機能をもたせ、処理落ちが生じた場合にフィルタリングしたデータをPLC73に出力し、ライド5のモーションを初期のゲーム値にできるだけ追従させるようにしている(図17(A)参照)。
【0081】
ここでフィルタリングの一例を示す(図18参照)。まず、データの実時間を記述した、当該データと対になる情報(以下、タイムスタンプという)を導入する。データ間隔がわかればデータ推移の傾向が把握できるので、次の時間に処理落ちが生じてデータが送られてこないとしても、本来あるべきデータの値を予測することは可能である。本実施形態の場合、該タイムスタンプと対となったゲーム値が入力されたフィルタにおいて当該入力値と出力値とを比較し、差分を計算し、実際の位置(回転角度)との比較を行う。さらに、これまでの出力の推移から増加分(または減少分)を予測し、予測分を加算(減算)した値をフィルタリング後のデータとしてPLC73に出力する。出力データは、引き続き入力されるゲーム値との比較を行うためにフィードバックされる(図18参照)。フィルタリング後のデータが入力されたPLC73では、当該データを、機械制御にさらに適した高分解能の比例弁制御用電圧値に変換し、当該電圧を発生させて油圧モータ6の制御を行う。
【0082】
フローチャートを用いてさらに詳しいフィルタリング例(処理落ちによる影響を考慮した出力データフィルタの1フレームにおける処理例)を以下に示す(図19参照)。
【0083】
まず、コンピュータ72内にて、ゲーム値(本例では角度データ)に実時間を記述し、対にした実時間データ込みの情報をフィルタに入力する(ステップSP1)。角度データは、仮想空間内における仮想カメラVCの位置に基づいて算出される。ここでの時間(角度データに記述される時間)は必ずしも等間隔でなくて構わない。
【0084】
フィルタでは、データが入力されたことを確認したら(ステップSP2)、当該入力された角度データと前入力との時間間隔をバッファに保存(記憶)したうえで(ステップSP3)、前回の出力データと入力データとの差分(この場合、角度の差分)を計算するという処理を実施する(ステップSP4)。差分データはバッファに保存(記憶)される(ステップSP5)。
【0085】
続いて、差分データに基づくデータ予測を行う(ステップSP6〜SP8)。まず、現在の入出力差分から比例項(現在の入出力の差分データから次の予測を行うための値)を計算する(ステップSP6)。また、一定期間期間内の入出力の差分データから積分項(一定期間の入出力の差分データから今までの傾向の予測を行うための値)を計算する(ステップSP7)。さらに、前フレームと現在の入出力の差分データから微分項(前フレームの入出力と現在の入出力の差分データからどの程度、補間するかの予測を行うための値)を計算する(ステップSP8)。なお、比例項、積分項、微分項の各計算処理をここではステップSP6〜SP8として並列に示したがこれはチャート上での便宜的な表現にすぎず、処理順などが特に限られることはない。
【0086】
その後、比例項、積分項、微分項をそれぞれ定数倍して加算する(ステップSP9)。さらに、この値を、前フレームでの出力値に加算する(ステップSP10)。このようにして得られた値は、フィルタリングされたデータとしてPLC73に角度データとして出力される(ステップSP11)。また、出力された角度データはバッファに保存(記憶)され(ステップSP12)、次の入力データとの差分を計算する際に利用される(ステップSP4)。
【0087】
このように、本実施形態ではPID制御(比例−積分−微分制御)理論に基づき、動作予測演算を行い、データ推移から予測されるデータをフィルタリングしたデータとして出力する。上述したとおり、これによれば処理落ちが生じた場合にも予測データを出力し、ライド5のモーションを初期のゲーム値に追従させることが可能である。なお、上述の例ではPID制御を例示したが(ステップSP6〜ステップSP8)、これ以外の制御(例えばPI制御(比例−積分制御)など)によるフィルタリングを行うことももちろん可能である。
【0088】
ここで、上述した処理(例えばPI制御によるフィルタリング処理)の際、場合によっては油圧モータ6による所定のトルクが得られないことがある。すなわち、PI制御の結果、ライド5の回転時における比例弁41の動作電圧として、頂点付近(すなわち、ライド5の回転角度が180度となる付近)にて期待値(入力値)と実際の値との差が大きくなることから、当該頂点付近で最大電圧値となるような山形(やまなり)の電圧波形が得られることがある(図20(A)参照)。ところが、例えば当該比例弁41の動作電圧に許容範囲(一例として−10V〜10V)が設けられていると、上限値を超える電圧がカットされてしまい、所望の作動電圧が得られない(図20(B)参照)。そうすると、油圧モータ6に送るべき作動油の流量を増やせないから、ライド5を回転させるために十分なトルクを得ることが難しい場合がある。
【0089】
この点、PI制御においては、
GPI(s)=KP(1+1/TIs)
という式で表されることからも明らかなように、最終出力にゲイン(比例ゲイン、比例定数)KPが乗算される。このPI制御によれば、可変パラメータであるゲインKPの値を変化させることにより、上限値内に電圧波形が収まるようにしつつ、回転に比べて狭い所定範囲における動作であっても、素早いライド5の動作(モーション)を実現することが可能である。この内容について具体例を挙げて説明すれば以下のとおりである(図21参照)。
【0090】
図21は、ライド5の回転状態を円周上に簡略化して表示しているもので、ここではライド5の底部の中心を基準点とし、当該底部(基準点)が頂点に近付いていく動作を上昇、底部が頂点から離れていく動作を下降と称している。例えば(1)は0度の状態、(3)は頂点付近つまりライド5が180度反転した状態を示している。ここでライド5の動作について述べると、(1)の0度付近では、動作命令に素早く反応して動きだすことが求められ、ゲインKPが小さすぎると十分な動作ができなくなる。(2)の回転上昇中は、ライド5を持ち上げるような力が必要であり、ゲインKPが小さすぎると十分な動作ができなくなる。 (3)の頂点付近では、電圧の上限値を超えないようにしつつ、以後の動作(下降動作)に備えゲインKPを小さくして加速度を抑える。(4)の下降動作中は、重力の影響により回転方向へ自由落下して加速するのでライド5に対するトルクを抑える。ゲインKPは小さいままでよい。(5)の位置(270度付近)では、回転速度を抑え、場合によっては0度位置付近にて停止させるため、ゲインKPを徐々に大きくする。以上のようなゲインKPの変化の一例をグラフに表す(図22参照)。この例で、ゲインKPは(1)と(5)で最大値、頂点付近で最小値となっている。
【0091】
また、ライド5を連続2回転(立て続けに2回転)させる場合には、これに合わせて途中のゲインKPを変化させることが好ましい。具体的には、1回転目のライド5に対し、上述の(5)におけるようにゲインKPを最大とするのではなく、ある程度の大きさの中間値とし、ライド5の回転を抑えすぎないようにする(図22中の二点鎖線参照)。これにより、ライド5の回転時の慣性を利用してそのまま2回転目に突入させ、より効率的に動作させることができる。
【0092】
フローチャートを用いてさらに詳しい制御例(処理フレームにおけるライド位置により、回転時のPI制御に用いるゲイン(比例定数)KPを変化させる処理例)を以下に示す(図23参照)。なお、以下では、遊戯乗物システム1の動作中における繰り返し処理の一例を途中から示している。
【0093】
まず、角度検出手段に検出されたライド5の現在位置(本実施形態の場合、より具体的には現在角度位置)の情報は、コンピュータ72に送信され、さらにPLC73に送信される(ステップSP21)。本実施形態では、上述したようにロータリエンコーダ26を角度検出手段として用いることによりライド5の現在角度位置を検出している。
【0094】
信号を受信したPLC73は(ステップSP22)、ライド5の回転動作が終了した状態になっているかどうかを判断し(ステップSP23)、終了した状態になっていれば回転動作中判定をオフにし(ステップSP24)、ライド5が回転動作中かどうかを判断する(ステップSP25)。「回転動作中」の判定は、回転動作判定がオンになっているかどうか確認することと等しい。回転動作中でない場合(ノーの場合)は回転判断角度を随時チェックし、当該回転判断角度を超えた場合には回転動作に移行したと判断して次の回転動作判定がオンとなる。本実施形態の場合、回転動作が終了した状態になっていれば、回転動作中判定を行わない状態(初期状態と同様のノーマルステイタス)に戻る。一方、ステップSP23でライド5の回転動作が終了した状態になっていなければ、そのままステップSP25に進む。
【0095】
ステップSP25においては、ライド5が回転動作中ではないと判断したら、ライド5の現在角度が回転判断角度以上かどうかを判断する(ステップSP26)。ここでいう「回転判断角度」とは、振子動作中には超えることのない所定のしきい値(例えば90度以上のある角度)であり、ライド5の現在角度がこれを超えた場合は回転動作に突入したと判断することができる。また、現在角度が回転判断角度以上であれば回転動作中判定をオンにする(ステップSP27)。
【0096】
ここで、図21に示した具体例に照らせば、(1)の0度付近の状態(ライド5がほぼ傾いていない状態)および(2)の状態(頂点に向けて上昇中の状態)は、ステップSP26にて現在角度が回転判断角度以上ではない場合に該当する(ステップSP26にてNO)。また、(2)の状態から(3)の状態(ライド5が180度反転した状態)への移行中、「回転判断角度」(しきい値)を超えると、ステップSP26においてYES(現在角度が回転判断角度以上である)と判断され、回転動作中判定がオンに切り換わる(ステップSP26にてYES)。
【0097】
続いてライド5が回転下降中かどうか、つまりライド5の重心が頂点(180度)を過ぎて自由落下している状態にあるかどうかを判断する(ステップSP28)。図21に示した具体例に照らせば、(4)がこの状態に該当する。ライド5が回転下降中であれば(ステップSP28にてYES)、下降停止角(一例として、270度)を通過したかどうかを判断する(ステップSP29)。ライド5(の基準点)がこの下降停止角を通過するまでは(ステップSP29にてNO)、ゲイン(比例定数)KPは最小値のままでよい(ステップSP33、図22参照)。このように、本明細書でいう「下降停止角」とは、ライド5(の基準点)が下降している際、当該ライド5の次なる動作に備えて判断(より具体的には下降の停止を開始するかどうかの判断)を加える回転角である。
【0098】
一方、ライド5がこの下降停止角を通過すれば(ステップSP29にてYES)、当該ライド5の回転が連続2回転の1回転目であり、2回転目に突入するところなのかどうか判断する(ステップSP30)。連続2回転でなければ(ステップSP30にてNO)、最下部(0度付近)にて最大値となるようにゲイン(比例定数)KPを変化させ、ライド5を所定の角度位置にて停止させる。これとは逆に連続2回転であれば(ステップ30にてYES)、最下部(0度付近)にて中間値に抑え、最上部の頂点付近にて最小値となるようにゲインKPを変化させる(ステップSP34)。ゲインKPの変化は、例えば三角関数により、あるいはこれと他の関数との組合せにより算出することができる。
【0099】
また、ステップSP28においてライド5が回転下降中ではない場合には(ステップSP28にてNO)、当該ライド5の回転が連続2回転の2回転目かどうか判断する(ステップSP31)。2回転目であれば、最下部(0度付近)にて中間値に抑え、最上部(頂点)付近にて最小値となるようにゲインKPを変化させる(ステップSP34)。逆に、2回転目でなければ(ステップSP31にてNO)、最下部(0度付近)にて最大値、最上部(頂点)付近にて最小値となるようにゲインKPを変化させる(ステップSP32)。
【0100】
また、上述したステップSP32〜35のいずれにおいても、当該処理を終えたらステップSP37に移行する。一方で、制御ボード71ないしはコンピュータ72からは、ゲーム内のマシン位置(指示角度)すなわち仮想空間内における移動体の角度データが出力され、PLC73へと送信される(ステップSP36)。角度データを受信したPLC73は、当該角度データ中の指示角度とライド5の現在角度とを参照しつつ、比例項および積分項を算出してPI制御を行う(ステップSP37)。PI制御による制御指令はライド制御用電圧信号としてアンプ39、比例弁41へと送信され、ライド5に所定の動作をさせる(ステップSP38)。その後、PLC73はステップSP22に戻り、回転時のPI制御に用いるゲイン(比例定数)KPを変化させる処理ループを繰り返す。
【0101】
ここまで説明したように、本実施形態の遊戯乗物システム1においては、ライド5の動作等に関する情報(モーションデータ)が制御ボード71に格納されている。かかるモーションデータとエンコーダ(ロータリエンコーダ26)からの符号化出力信号(位置情報)とを受信したコンピュータ72は、仮想視点の座標位置に基づくデータ、より具体的には、移動体の移動状態や仮想カメラVCから見た回転移動状態からゲーム映像を生成し、ディスプレイ8上に映し出す。また、所定コース内の筒状仮想走行面に沿って移動体が振子動作または回転動作した場合、これに連動してライド5も振子動作または回転動作する。
【0102】
また、このようにライド5が振子動作または回転動作する際、本実施形態では仮想カメラVCの位置座標のみ画面に反映させることとしている。すなわち、例えば従来の遊戯乗物システム(特に、ライドが回転動作などしない非可動ゲームである場合)であれば、仮想カメラVCの「位置座標」と「角度」の両方をディスプレイの画面に反映させることにより、移動体を筒状仮想走行面に沿って移動させつつ画面全体を回転させることが一般的である(図26参照)。これに対し、本実施形態では、仮想カメラVCの「位置座標」のみディスプレイ8の画面に反映させることにより、画面全体を回転させることなく、移動体を筒状仮想走行面に沿って移動させる(図25参照)。要は、従来はディスプレイ8の映像全体を回転させることによって移動体が回転していることを視覚的に演出していたのに対し、ライド5自体を回転させる本実施形態の場合には、ディスプレイ8上の画面を回転させなくてもライド5に搭乗しているプレイヤにとってみれば画面が回転して見えるので、画面全体を回転させるという演出をしなくても視覚的効果が得られる。
【0103】
また、このような遊戯システムにおいては、連続したデータが制御ボード71からコンピュータ72を経てPLC73へと送信されていればライド5は問題なく動作しうるが、いわゆるデータの処理落ちが生じると回転が不均等になることがある。この点、上述したように、本実施形態では制御ボード71内でゲーム空間内におけるカメラ座標情報に時間情報を関連づけておき、実際の出力値と算出されたゲーム値(例えば角度データの値)とを比較し、比較の結果、差分が大きい場合には、推移を予測した増分データを出力するというフィルタリングを行い、処理落ちが発生してもライド5の回転が不均等になることを回避している。
【0104】
特に、現状、ディスプレイ8上の映像やプレイヤによる操作入力にライド5がリアルタイムに追従可能なインタラクティブ方式での処理を実現しようとすれば、自ずと処理すべきデータ量が多くなり、ゲーム中の処理落ち現象が不可避である。したがって、これを回避するため、動きに遅れや違和感があるにせよ、予め用意した制御用テーブルに従ってライド5を動作させているのが実際である。この点、処理落ちに対処可能なフィルタを備えた本実施形態の遊戯乗物システム1は、カメラ映像に同期させたリアルで違和感のないライド5の動作(モーション)を実現することができる。したがって、この遊戯乗物システム1は、例示したボブスレーをはじめとする種々のシミューション型遊戯に適用して好適である。
【0105】
なお、以上の各実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述した実施形態の遊戯乗物システム1は前席52と後席53とを備えた2人乗りであったがこれは一例に過ぎず、1人乗りとすることもできるし、3人以上が同時に搭乗可能な構成とすることもできる。あるいは、着座するための座席部に代え、着座しない状態でプレイヤを保持するための装置(例えば立った状態のプレイヤを保持するための装置)を備え付けるなど、着座しない機器とすることもできる。
【0106】
また、図21等においてはライド5を時計回りに回転させる場合を例示して説明したが、もちろん、ライド5を反時計回りに回転させる場合もあり、この場合は回転方向が異なるだけで同様の処理にて実施することができる。
【0107】
また、本実施形態ではPID制御を例示したがこれ以外の制御によるフィルタリングを行うこともできるのは上述したとおりである。すなわち、例えばPI制御は、積分動作における偏差の積算値が操作量となるので偏差が0になるまで値は増加し、偏差が0になったときには目標値を保つだけの操作量を出力することから、これによってもフィルタリングを行うことは可能である。ただ、本実施形態で述べたPID制御によれば、例えばライド部の慣性モーメントが大きい場合に応答時間の遅れを改善し、また外乱により目標値からのずれが生じた場合にその影響を少なくするための微分動作が追加されているという特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明にかかる遊戯乗物システムの一例を示す全体斜視図である。
【図2】遊戯乗物システムの平面図である。
【図3】遊戯乗物システムを構成するライドの一例を示す斜視図である。
【図4】ライドの内部構造を示す左側面図である。
【図5】ライドの内部構造を示す平面図で、前席を左側にした状態で表したものである。
【図6】ライドの内部構造を示す正面図である。
【図7】ライドを構成するモーションベースの構造を示す背面側からの斜視図である。
【図8】セーフティバーの構造を示す斜視図である。
【図9】セーフティバーの内部構造を示す背面からの分解斜視図である。
【図10】セーフティバーのベアリングユニットの構造を示す分解斜視図である。
【図11】モーションベース駆動部の構造を示す分解斜視図である。
【図12】操作レバーの構造を示す分解斜視図である。
【図13】操作レバーを支持している回転軸およびその周辺の部分の構造を示す分解斜視図である。
【図14】遊戯乗物システムにおける制御系、機械系の構成を簡略化して示すブロック図である。
【図15】制御ボード、PLC、ライド間の信号の流れを簡略化して示す図である。
【図16】コンピュータからPLCへと出力されるデータ(ゲーム値)の流れを簡略に示す図で、(A)は通常の場合、(B)は処理落ちが生じた場合である。
【図17】データ(ゲーム値)に対するライドの追従の様子を示すグラフで、(A)は通常の場合、(B)は処理落ちが生じた場合である。
【図18】遊戯乗物システムにおけるフィルタリングの一例を示すブロック線図である。
【図19】フィルタリング例(処理落ちによる影響を考慮した出力データフィルタの1フレームにおける処理例)を示すフローチャートである。
【図20】(A)PI制御の結果による、ライドの回転時における比例弁の動作電圧波形の一例を示すグラフ、(B)比例弁の最高動作電圧に上限が設けられている場合の実際の電圧波形の一例を示すグラフである。
【図21】ライドの回転状態を円周上に簡略化して示す図である。
【図22】ライドの回転状態に応じたゲインKPの変化の一例を示すグラフである。
【図23】処理フレームにおけるライド位置により、回転時のPI制御に用いるゲイン(比例定数)KPを変化させる処理例を示すフローチャートである。
【図24】図21中の(1)の状態に対応した(A)ディスプレイ上の映像の一例と(B)仮想空間内での移動体の筒状仮想走行面および仮想カメラの状態を示す図である。
【図25】図21中の(2)の状態(回転上昇中の状態)に対応した(A)ディスプレイ上の映像の一例と(B)仮想空間内での移動体の筒状仮想走行面および仮想カメラの状態を示す図である。
【図26】ライドが回転動作しない非可動ゲームである場合の従来の遊戯乗物システムにおける(A)ディスプレイ上の映像の一例と(B)仮想空間内での移動体の筒状仮想走行面および仮想カメラの状態を比較例として示す参考図である。
【符号の説明】
【0109】
1…遊戯乗物システム、1C…マスター操作盤、2…中央リング部材(円状部材)、2a…リム部、2b…アーム部、2c…開部、2f…フランジ、3…ローラ、4…ローラ支持部材、5…ライド(ライド部)、5a…支持板、5b…支点、5c…付勢部材(付勢手段)、6…油圧モータ(アクチュエータ)、7…制御手段、8…ディスプレイ(表示手段)、9…モーションベース(基台)、9a…ベースフレーム、9b…タワーフレーム、10…モーションベース駆動部、11…モータブラケット、12…プーリケース、13…プーリケース、14…プーリケースブラケット、15…テンションプレート、16…プーリシャフト、17…第1プーリ、18…深溝玉軸受、18’…ワッシャ、19…ベルト、20…第2プーリ、21…プーリシャフト、22…ベアリング、23…ベアリングホルダ、24…ベアリングホルダブラケット、25…ハイトルクタイミングプーリ、26…ロータリエンコーダ(角度検出手段)、27…エンコーダブラケット、28…エンコーダブラケット、29…ポジションセンサ、30…ポジションセンサブラケット、31…初期位置センサ、32…初期位置センサブラケット、33…スリップリングブラケット、34…スリップリング、35…ハイトルクタイミングベルト、36…減速機、37…軸、39…アンプ、40…油圧機構マニホールド、41…比例弁、52…前席(座席部)、53…後席(座席部)、54…段部、55…前席乗込み用ステップ、56…後席乗込み用ステップ、57…セーフティバーラチェット開放ペダル、58…セーフティバーロック用シリンダ開放スイッチ、59…前席用スピーカ、60…後席用スピーカ、71…制御ボード、72…コンピュータ、73…PLC、74…ディストリビュータ、80…操作レバー(操作手段)、81…グリップ、81a…鍔部、82…カラー、83…グリップ支持パイプ、83a…フランジ部、83b…平行キー、84…ボタン、84a…被押圧部、84b…ロッド部、84c…セットカラー、85…傾動板、86…ストッパ、87…回転軸、87a…キー溝、87b…矩形部、88…揺動量検出装置、88a…大歯車、88b…小歯車、88c…ボリューム、89…ケーシング、90…ナット、90a…キー溝、91…圧縮コイルばね、92…センサ、93…支持用フレーム、94…支持用フレーム、95…ラバースプリング、99…シートベルト、100…セーフティバー、100h…横バー、101…バー本体、101a…シャフト部材、101b…カバー部材、102…ブラケット、103…ハーネスメインシャフト、104…ラチェットホイール、105…シリンダ接続用アーム、106…ハーネス開放センサドグ、107…ハーネス開放センサ、108…脚部押さえ用バー、109…腕出し抑制カバー、110…ベアリングユニット、111…ラチェット爪、112…ベース、112b…ブラケット部、113…ボルト、114…ハーネスメインシャフト保持用ベアリングホルダ、115…ラチェット爪シャフト、116…ラチェット爪シャフト保持用ベアリングホルダ、117…ボルト、118…ラチェット爪シャフト保持用ピローブロック、119…ボルト、120…ラチェット爪保持プレート、120a…強制開放レバー、121…スプリングワイヤホルダ、122…プレート固定ピン、123…Eリング、124…ラチェットロック用コイルスプリング、125…スプリングガイドシャフト、126…開放用ワイヤ、127…アウタチューブ、130…ロック用シリンダ、130a…ピストン部、131…シリンダ保持用ベアリングホルダ、132…開放用ガススプリング、C…中心軸線、VC…仮想カメラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線周りに回転自在に支持された円状部材と、
前記円状部材を回転自在に支持するローラと、
該ローラを回転自在に支持するローラ支持部材と、
前記円状部材と固設され、ゲームの遊戯者が搭乗した状態で回転可能であり、さらに段部が形成されているライド部と、
該ライド部の前記段部に対応して座面が異なる位置に設けられた遊戯者用の座席部と、
前記ライド部を前記中心軸線周りに振子動作または回転動作させるアクチュエータと、
該アクチュエータを制御する制御手段と、
前記ライド部の前方に配置され当該ゲームの映像を映し出す表示手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記表示手段に映し出される映像に連動させて前記ライド部を動作させるように前記アクチュエータを制御する、
遊戯乗物システム。
【請求項2】
前記円状部材は、
当該ライド部の前後に配置された前記座席部の前席と後席との間に配置され、
後席に着座した遊戯者が前記表示手段の少なくとも一部を視認できる開部を備えており、
さらに当該円状部には前記ローラからの脱輪を回避するフランジを備えている、
請求項1に記載の遊戯乗物システム。
【請求項3】
前記ローラが複数設けられており、
さらに、該ローラを前記円状部材側へ押圧する付勢手段が設けられている、
請求項1または2に記載の遊戯乗物システム。
【請求項4】
前記ライド部の前記座席部に設けられた遊戯者が操作入力するための操作手段と、
前記ライド部の回転角度を検出する角度検出手段と、
を備え、
前記アクチュエータの出力が前記ライド部の後方側に伝達される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の遊戯乗物システム。
【請求項5】
前記円状部材がリング状に形成されている
請求項1から4のいずれか一項に記載の遊戯乗物システム。
【請求項6】
前記制御手段は、
仮想空間内に設けられる所定のコースを移動する移動体を所定のプログラムまたは操作手段からの入力に応じて移動および振子動作ないしは回転動作させ、
前記仮想空間内の仮想カメラから見た移動および振子動作ないしは回転動作の様子をゲーム映像として前記表示手段に出力し、
前記仮想カメラの回転角度に基づいて、前記ライド部を振子動作あるいは回転動作させる、
請求項1から5のいずれか一項に記載の遊戯乗物システム。
【請求項1】
中心軸線周りに回転自在に支持された円状部材と、
前記円状部材を回転自在に支持するローラと、
該ローラを回転自在に支持するローラ支持部材と、
前記円状部材と固設され、ゲームの遊戯者が搭乗した状態で回転可能であり、さらに段部が形成されているライド部と、
該ライド部の前記段部に対応して座面が異なる位置に設けられた遊戯者用の座席部と、
前記ライド部を前記中心軸線周りに振子動作または回転動作させるアクチュエータと、
該アクチュエータを制御する制御手段と、
前記ライド部の前方に配置され当該ゲームの映像を映し出す表示手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記表示手段に映し出される映像に連動させて前記ライド部を動作させるように前記アクチュエータを制御する、
遊戯乗物システム。
【請求項2】
前記円状部材は、
当該ライド部の前後に配置された前記座席部の前席と後席との間に配置され、
後席に着座した遊戯者が前記表示手段の少なくとも一部を視認できる開部を備えており、
さらに当該円状部には前記ローラからの脱輪を回避するフランジを備えている、
請求項1に記載の遊戯乗物システム。
【請求項3】
前記ローラが複数設けられており、
さらに、該ローラを前記円状部材側へ押圧する付勢手段が設けられている、
請求項1または2に記載の遊戯乗物システム。
【請求項4】
前記ライド部の前記座席部に設けられた遊戯者が操作入力するための操作手段と、
前記ライド部の回転角度を検出する角度検出手段と、
を備え、
前記アクチュエータの出力が前記ライド部の後方側に伝達される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の遊戯乗物システム。
【請求項5】
前記円状部材がリング状に形成されている
請求項1から4のいずれか一項に記載の遊戯乗物システム。
【請求項6】
前記制御手段は、
仮想空間内に設けられる所定のコースを移動する移動体を所定のプログラムまたは操作手段からの入力に応じて移動および振子動作ないしは回転動作させ、
前記仮想空間内の仮想カメラから見た移動および振子動作ないしは回転動作の様子をゲーム映像として前記表示手段に出力し、
前記仮想カメラの回転角度に基づいて、前記ライド部を振子動作あるいは回転動作させる、
請求項1から5のいずれか一項に記載の遊戯乗物システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2010−12113(P2010−12113A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176360(P2008−176360)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】
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