説明

遊戯装置

【課題】 過去のゲーム時間及び遊戯装置の待機時間を使用して、全体のゲーム時間を決定することにより、ゲームの顧客吸引力を高めつつ収益の向上を図ることができる遊戯装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、遊戯装置の平均待機時間及び平均ゲーム時間を算出し、この算出された平均待機時間及び平均ゲーム時間に基づいて運営モードを選択する(S50)。その後、選択された運営モードに基づいてゲーム時間を選択する(S51)。そして、この選択されたゲーム時間に基づいて、プレイヤーの体力値の減少値を調整することにより(S58)、全体のゲーム時間を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊戯装置に関し、特に、コンピュータ或いは相手との対戦を行なう対戦型遊戯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊戯装置、とりわけ対戦型の遊戯装置ではゲームの勝敗についてユーザの技能が占める割合が大きいため、ゲーム開始からゲーム終了までのゲーム時間の制御を行なうことができなかった。
【0003】
例えば、対戦型遊戯装置である株式会社タイトー製のダイノキングバトルでは、時間的にその長さが変化するタイミングゲージをユーザがストップボタンを押下することにより停止して、その結果に基づいて勝敗を決定していた(非特許文献1参照。)。
【非特許文献1】ダイノキングバトル、2006年3月3日検索<URL:http:dinoking.jp/play.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような遊戯装置の場合、プレイヤーの技能が優れている場合には、ゲーム時間が長くなる。このような場合、遊戯装置でのゲーム時間が長くなればなるほどプレイヤーの満足感は向上するが、遊戯装置自体の収益が悪化してしまうという問題がある。
【0005】
一方、ゲーム時間を短くすればするほど遊戯装置自体の収益は向上するが、プレイヤーの満足感は低下してしまうという問題がある。特に、技能の低いプレイヤーでは、極端にゲーム時間が短くなってしまうため、この満足感の低下が著しい。また、ゲーム時間を短くしても、遊戯装置のゲーム終了から次のゲームの開始までの待機時間が長い場合には、それほど遊戯装置の収益は向上しないという問題もある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、過去のゲーム時間及び遊戯装置の待機時間を使用して、全体のゲーム時間を決定することにより、ゲームの顧客吸引力を高めつつ収益の向上を図ることができる遊戯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、遊戯装置のゲーム開始からゲーム終了までのゲーム時間の所定回数分の平均ゲーム時間を算出する手段と、遊戯装置のゲーム終了から次のゲームの開始までの待機時間の所定回数分の平均待機時間を算出する手段と、前記平均ゲーム時間及び平均待機時間を含む複数の関係式と、複数のゲームの運営時間を示す運営モードとをそれぞれ関連付けて記憶する運営モード選択テーブルと、前記複数の運営モードと、複数のゲーム時間とをそれぞれ関連付けて記憶するゲーム時間選択テーブルと、前記算出された平均ゲーム時間及び平均待機時間をキーとして、前記運営モード選択テーブルを検索して運営モードを決定し、この決定された運営モードをキーとして前記ゲーム時間選択テーブルを検索してゲーム時間を決定する手段と、前記決定されたゲーム時間内にゲームが終了するように、ゲーム時間に影響するパラメータの値を変更する手段とを具備することを特徴とする遊戯装置、である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、過去のゲーム時間及び遊戯装置の待機時間を使用して、全体のゲーム時間を決定することにより、ゲームの顧客吸引力を高めつつ収益の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る対戦型遊戯装置について説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態に係る対戦型遊戯装置の外観を示す図である。
【0011】
同図に示すように、本発明の対戦型遊戯装置1は、その筐体2に操作盤3が設けられている。この操作盤3には対戦型ゲームを行なう際に、各プレイヤーにそれぞれ使用されるストップボタン4a,4bが設けられている。すなわち、各プレイヤーに対してストップボタンは1つが割り当てられ、プレイヤーは、この1つのストップボタンのみを使用してゲームをプレイする。なお、コンピュータを相手に対戦を行なう場合(一人プレイの場合)には、いずれか一方のストップボタンのみが使用される。
【0012】
また、筐体2の正面にはディスプレイ5が設けられ、このディスプレイ5の上方には2つのスピーカ6a,6bが設けられている。2つのストップボタン4a,4bの間には、ゲームにおいて使用されるカードを読み取る(スキャンする)ためのカードスキャン口7が設けられている。ゲームをプレイすると筐体2の正面下部に設けられたカード出口8からカードが1枚払い出される。さらに、筐体2の正面にはコインの投入及び返却を行なうコインセレクター9が設けられている。
【0013】
筐体2の内部には、本発明の実施の形態に係るゲーム全体の制御を司る中央制御ユニット10が配置されている。図2は、中央制御ユニットの構成を示す図である。
【0014】
同図に示すように、バス11には、CPU12、ディスプレイコントローラ13、メモリ14、カードスキャン部15、コイン投入検出部16、入力インターフェイス(I/F)17及び記憶装置18が接続されている。
【0015】
CPU12は、記憶装置18に記憶された対戦型ゲームプログラム18と協働して、本発明の実施の形態に係る処理全体を司るものである。
【0016】
ディスプレイコントローラ13は、本発明の実施の形態に係る対戦型ゲームの表示制御処理を司るものであり、ディスプレイ5に対戦型ゲームを表示させる。
【0017】
メモリ14は、対戦型ゲームプログラム21を実行する際に必要とされるワークエリアなどとして使用される。
【0018】
カードスキャン部15は、カードスキャン口7に投入されたプレイヤーのカードをスキャンして、その内容を記憶装置18のパラメータ記憶部23に記憶する。
【0019】
コイン投入検出部16は、コインセレクタ9にコインが投入されたことを検出して、CPU12に通知する。
【0020】
入力I/F17は、ストップボタン4a,4bが押下された場合の押下イベントをCPU12に通知する。
【0021】
記憶装置18は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)であり、対戦型ゲームプログラム21、テーブル記憶部22及びパラメータ記憶部23などを記憶する。
【0022】
対戦型ゲームプログラム21は、CPU12と協働して、本発明の実施の形態に係る対戦型ゲームを実現するものであって、後述するフローチャートの処理を実現するものである。
【0023】
テーブル記憶部22は、対戦型ゲームを行なうために必要とされるテーブルを格納するものであり、運営モード選択テーブル、ゲーム時間選択テーブル、演出モードテーブル及び演出モードサブテーブルなどを記憶している。
【0024】
図3は、ディスプレイに表示されるゲーム画面の一例を示す図である。
【0025】
同図に示すように、ディスプレイ5には、プレイヤーのキャラクタの体力値を示すゲージ31a、対戦相手のキャラクタの体力値を示すゲージ31b、プレイヤーのキャラクタ32a、相手のキャラクタ32b、戦闘の際に使用されるプレイヤーのキャラクタのタイミングゲージ33a、戦闘の際に使用される相手のキャラクタのタイミングゲージ33b、戦闘の際にプレイヤーのキャラクタに発生する技を示す発生技シンボル群34a、戦闘の際に相手のキャラクタに発生する技を示す発生技シンボル群34bが表示される。
【0026】
ゲージ31a、31bは、キャラクタの体力値を示すものであり、この体力ゲージが零になった時点でキャラクタの戦闘の負けを意味するものである。
【0027】
キャラクタ32a、32bは各プレイヤーのキャラクタを示すものであり、戦闘の際には戦闘が行なわれているような動きを行なうなど、その表示の態様は問わない。
【0028】
タイミングゲージ33a、33bは、対応するストップボタン4a、4bが押下された場合に、その動きが所定のタイミングで停止する。このタイミングゲージの停止のタイミングの制御は、ストップボタンが押下されたタイミングによらず、演出モードサブテーブルに定義された確率に基づく勝敗の抽選結果によるものである。ストップボタンが押下されるタイミングは、タイミングゲージを停止させるための開始イベントにすぎない。
【0029】
図4は、タイミングゲージの動きを説明するための図である。タイミングゲージ33a、33bの動きは、対応するストップボタン4a、4bが押下されたイベントを開始イベントとして、勝敗の抽選結果に基づいて停止する。例えば、勝敗の抽選によりプレイヤーの勝利が決定した場合には、ストップボタン押下のタイミングにかかわらず、プレイヤーのタイミングゲージの方が対戦相手のタイミングゲージよりも長くなるように停止する。すなわち、ユーザのストップボタンを押下する技能は、タイミングゲージを使用して行なう戦闘の勝敗には無関係である。
【0030】
発生技シンボル群34a、34bは、カードスキャン部15によって読み取られたプレイヤーの技カードを示すものであり、図5(a)〜(d)に示すように、スキャンされた技カードの数に応じて技シンボルを強調して表示する。
【0031】
戦闘の勝者の技シンボルに対して、技の抽選が行なわれる。この技の抽選は、図6に示すように、技シンボルを回転しながら選択する。技カードがスキャンされていない技シンボルに停止した場合にはノーマル攻撃となり、スキャンされている技シンボルに停止した場合には、スキャンしたカードに従った攻撃となる。
【0032】
図7は、運営モード選択テーブルを示す図である。同図に示すように、運営モード選択テーブルは、ゲームの運営時間を示す運営モード(ショート、ノーマル、ロング)と、ゲーム開始からゲーム終了までのゲーム時間の所定回数分の平均ゲーム時間g及びゲーム終了から次のゲームの開始までの待機時間の所定回数分の平均待機時間tとを関連付けて記憶する。
【0033】
図7の例においては、「t<10秒」以下の場合には運営モードは「ショート」、「10秒<t<(g×2)」の場合には運営モードは「ノーマル」、「(g×2)≦t≦(g×5)」の場合には運営モードは「ロング」であることが示されている。
【0034】
図8は、ゲーム時間選択テーブルを示す図である。同図に示すように、ゲーム時間選択テーブは、複数の運営モードと、複数のゲーム時間とをそれぞれ関連付けて記憶する。図8の例においては、運営モード「ショート」の場合にはゲーム時間「通常のゲーム時間×0.9」、運営モード「ノーマル」の場合にはゲーム時間「通常」、運営モード「ロング」の場合にはゲーム時間「通常×1.5」である。
【0035】
図9は、演出モードテーブルを示す図である。同図に示すように、演出モードテーブルには、対戦型ゲームの攻撃側の特性に対して、最終的なゲームの勝敗を決定し、かつ勝負の際の演出を示す演出モードの出現確率が定義されている。
【0036】
図9の例においては、対戦型ゲームのプレイヤーのキャラクタの特性(レアカード、ノーマルカード)に対して、最終的なゲームの勝敗を決定し、かつ勝負の際の演出を示す演出モード(圧勝、逆転勝利、逆転負け、完敗、通常)の出現確率が定義されている。
【0037】
レアカードに対しては圧勝が10%、逆転勝利が20%、逆転負け5%、完敗0%、通常65%が定義され、ノーマルカードに対しては圧勝が5%、逆転勝利が10%、逆転負け10%、完敗5%、通常70%が定義されている。
【0038】
図10(a)〜図10(e)は、演出モードサブテーブルを示す図である。
【0039】
同図に示すように、演出モードサブテーブルは、演出モードテーブルに定義された複数の各演出モードに対して、勝負の結果の出現確率が定義されている。例えば、図10(a)においては、演出モード「圧勝モード」に対して、勝ちの確率90%、引き分けの確率5%、負けの確率5%が定義されている。また、図10(b)においては、演出モード「逆転勝ちモード」に対して、勝ちの前半3ゲームの確率0%、後半残りゲームの確率90%、引き分けの前半3ゲームの確率10%、後半残りゲームの確率10%、負けの前半3ゲームの確率90%、後半残りゲームの確率0%が定義されている。
【0040】
なお、通常モードの場合には、図10(e)に示すように、勝負の結果にかかわらず、インジゲータの動作をストップボタンを押下することにより停止させる技ストップの結果による。
【0041】
図10(a)〜図10(e)に示した演出モードサブテーブルに定義された確率は、あくまで最終的なゲームの勝敗を決定する演出モードが決定された後に行なわれる複数の戦闘の勝敗の確率を定義しているにすぎず、これら確率を調整することにより、同じ勝ちでも圧勝や逆転勝ちなど種々のドラマティックなストリーを構築することができる。
【0042】
パラメータ記憶部23は、カードスキャン部15によってスキャンされたプレイヤーのカード、プレイヤーの技カードのパラメータや、ゲームにおいて使用される算出された平均待機時間、平均ゲーム時間などのパラメータを記憶する。
【0043】
図11は、スキャンされたカードから得られるパラメータを示す図である。同図に示すように、各プレイヤーのキャラクタの体力値、スキャンされた各技カードの攻撃力が記憶されている。
【0044】
図12は、平均待機時間を算出するためのフローチャートを示す図である。
【0045】
同図に示すように、まず、遊戯装置の電源が投入されると、ゲーム回数α=0とし(S1)、待機時間=0とした後(S2)、待機時間の測定が開始される(S3)
その後、コイン投入検出部16によってコインが投入されたか否かの判断が行なわれ(S4)、投入されたと判断された場合には待機時間の測定を終了し(S5)、ゲーム回数α=α+1とし(S6)、待機時間Time(α)=測定された待機時間とする(S7)。
【0046】
その後、ゲーム回数α>10であるか否かの判断が行なわれ(S8)、α>10であると判断された場合にはα=10として(S9)、S10の処理に移る。また、α>10ではないと判断された場合にもS10の処理に移る。
【0047】
S10においては、下記式(1)に基づいて平均待機時間の算出が行なわれる。
【数1】

【0048】
S10において平均待機時間の算出が行なわれた後、α≧10であるか否かの判断が行なわれ(S11)、α≧10であると判断された場合には、α=0であるとして(S12)、S2の処理に戻る。一方、α≧10ではないと判断された場合には、S2の処理に戻る。このようにして、平均待機時間の算出が行なわれる。
【0049】
図13は、平均ゲーム時間を算出するためのフローチャートを示す図である。
【0050】
同図に示すように、まず、遊戯装置の電源が投入されると、ゲーム回数α=0とし(S21)、コイン投入検出部16によってコインが投入されたか否かの判断が行なわれる(S22)。投入されたと判断された場合には、ゲーム回数α=α+1とし(S23)、ゲーム時間=0とする(S24)。
【0051】
その後、ゲームが開始し(S25)、ゲーム時間の測定が開始される(S26)。次に、ゲームが終了したか否かの判断が行なわれ(S27)、ゲームが終了したと判断された場合には、ゲーム時間の測定を終了し(S28)、Time’(α)=ゲーム時間とする(S30)。
【0052】
次に、ゲーム回数α>10であるか否かの判断が行なわれ(S30)、ゲーム回数α>10であると判断された場合には、ゲーム回数=10として(S31)、S32の処理に移る。
【0053】
S32においては、下記式(2)に基づいて平均ゲーム時間の算出が行なわれる。
【数2】

【0054】
S32において平均ゲーム時間の算出が行なわれた後、α≧10であるか否かの判断が行なわれ(S33)、α≧10であると判断された場合には、α=0であるとして(S34)、S22の処理に戻る。一方、α≧10ではないと判断された場合には、S22の処理に戻る。このようにして、平均ゲーム時間の算出が行なわれる。
【0055】
なお、上述の説明においては、平均待機時間及び平均ゲーム時間の算出処理を2つのフローチャートで説明したが、これらを組み合わせて1つのフローチャートで実現してもよいことはいうまでもない。
【0056】
次に、図14乃至図16のフローチャートを参照して、本発明の実施の形態に対戦型遊戯装置の動作について説明する。
【0057】
待機している対戦型遊戯装置について、コイン投入検出部16によってコインが投入されたか否かの判断が行なわれ(S41)、投入されたと判断された場合には、一人プレイ(コンピュータが対戦相手)或いは二人プレイか否かの判断が行なわれる(S42)。この判断は、プレイヤーからの一人プレイ或いは二人プレイを示す指示に基づいて決定される。
【0058】
S42において、一人プレイであると判断された場合には、カードスキャンのための待機時間=0とした後(S43)、待機時間の計測を開始する(S44)。
【0059】
次に、プレイヤーのカードが存在するか否かの判断が行なわれ(S45)、存在すると判断された場合には、カードスキャン部15によりプレイヤーのカードのスキャンが行なわれる(S46)。その後、プレイヤーのカードからスキャンされた各パラメータ(例えば、プレイヤーのキャラクタの体力値、技カードの攻撃力、カードの種別(レアカード、ノーマルカード)など)が保存される(S47)。
【0060】
次に、待機時間が30秒を超えたか否かの判断が行なわれ(S48)、超えていないと判断された場合にはS45の処理に戻り、超えていると判断された場合には、演出モードの抽選が行なわれる(S49)。
【0061】
この演出モードの抽選は、図9に示すように、カードの種別と演出モードとの関係で定められた確率によって定まるものである。例えば、プレイヤーのカードが「レアカード」である場合には、「圧勝」の確率は10%、「逆転勝利」の確率は20%、「逆転負け」の確率は5%、「完敗」の確率は0%、「通常」の確率は65%となる。すなわち、これら確率を基に、1つの演出モードが決定され、「通常」の演出モードの場合を除き、予めプレイヤーの最終的な勝敗が決定されることになる。
【0062】
その後、運営モードの選択が行なわれる(S50)。この運営モードの選択は、図12のフローチャートで算出された平均待機時間及び図13のフローチャートで算出された平均ゲーム時間に基づいて、図7の運営モード選択テーブルを使用して選択される。
【0063】
具体的には、図7の運営モード選択テーブルにより、平均待機時間tが、「t<10秒」以下の場合には運営モードは「ショート」、「10秒<t<(g×2)」の場合には運営モードは「ノーマル」、「(g×2)≦t≦(g×5)」の場合には運営モードは「ロング」が選択される。
【0064】
S50において運営モードが選択された後、図8のゲーム時間選択テーブルを使用して、選択された運営モードに対応するゲーム時間が決定される(S51)。例えば、運営モードとして「ショート」が選択された場合には、ゲーム時間は(通常のゲーム時間)×0.9となり、「ロング」が選択された場合には、ゲーム時間は(通常のゲーム時間)×1.5となる。
【0065】
その後、対戦ゲームがスタートし(S52)、プレイヤーのストップボタンの待機時間の計測が開始され(S53)、ストップボタンが押下されたか否かの判断が行なわれる(S54)。
【0066】
S54において、ストップボタンが押下されていないと判断された場合には、次に、待機時間が10秒を経過しているか否かの判断が行なわれ(S55)、10秒を経過していると判断された場合にはS54の処理に戻る。
【0067】
一方、S55において待機時間が10秒を経過していると判断された場合、S54においてストップボタンが押下されたと判断された場合には、S49において選択された演出モードの下において行なわれる対戦の勝敗の抽選が行なわれる(S56)。この勝敗の抽選は複数回行なわれ、その回数は所定の範囲でランダムで定めても良いし、所定の規則にしたがって定めてもよい。
【0068】
この対戦の抽選は、S49において抽選された演出モードに対応する図10(a)〜図10(e)に示した演出モードサブテーブルにしたがって行なわれる。例えば、S49において演出モードとして「圧勝モード」が選択された場合には、図10(a)に示す演出モードサブテーブルに定義された確率に基づいて勝敗の決定が行なわれる。「通常モード」が選択された場合には、ストップボタンを押した時にインジゲータの動きを停止する技ストップの結果に従う。
【0069】
なお、最終的な勝敗はS49における演出モードの抽選によってすでに決定しているので、S56における勝敗の抽選は最終的な勝敗には影響しない。たとえば、圧勝モードにおいて100回勝敗の抽選が行なわれた場合、90回の勝ち(90%の確率)により相手方の体力値をゼロにして、5回の負け(5%の確率)によっても相手からの攻撃により自己の体力値はゼロにならない。
【0070】
逆転勝ちモードにおいて100回勝敗の抽選が行なわれた場合、前半3ゲームについては0回の勝ち(0パーセントの確率)、引き分け10回(10パーセントの確率)、負け90回(90パーセントの確率)、後半残りゲームについては90回の勝ち(90パーセントの確率)、引き分け10回(10パーセントの確率)、負け0回(0パーセントの確率)となり、後半残りゲームにおいてプレイヤーが対戦相手の体力値を0にして逆転勝ちとなる。
【0071】
例外として、S49において「通常モード」が選択された場合には、対戦の勝敗は、タイミングインジゲータの動きを停止するタイミングで勝敗を競う通常の技ストップの結果による。
【0072】
その後、勝敗に従った対戦映像の表示が行なわれ(S57)、プレイヤーの体力値の修正が、勝敗の結果及びS51において選択されたゲーム時間に基づいて行なわれる(S58)。プレイヤーの体力値の修正は、プレイヤーが負けたときに行なわれ、その体力値を減少するように行なわれる。
【0073】
体力値の減少値は、種々のパラメータに基づいて決定される。例えば、相手方のキャラクタの攻撃力、相手方の技カードの攻撃力などのパラメータに基づいて決定される。本実施の形態においては、体力値の減少値を定めるパラメータとして、上記パラメータに加えて、S51において選択されたゲーム時間が含まれる。
【0074】
すなわち、ゲーム時間がショートである場合には、ゲームを早く終了するために体力値の減少値を通常の減少値よりも大きくし、ロングである場合には、ゲームを長引かせるために体力値の減少値を通常の減少値よりも小さくする。減少値の定め方は、種々考えられるが、選択されたゲーム時間でゲームが終了するように定められる。例えば、選択されたゲーム時間内に終了するように、ゲーム時間終了間際の体力値の減少値を体力値が0以下となるように大きくするなどの制御も可能である。
【0075】
その後、プレイヤーの体力値が0より大きいか否かの判断が行なわれ(S59)、0より大きいと判断された場合には、S53の処理に移り、再度、対戦ゲームが行なわれる。一方、体力値が0より少ないと判断された場合には、エンディングムービーをディスプレイ上に表示するなどのエンディング処理を行ない(S60)、S41の処理に戻る。
【0076】
一方、S42において二人プレイであると判断された場合、カードスキャンのための待機時間=0とした後(S71)、待機時間の計測を開始する(S72)。次に、1プレイヤー側のカードが存在するか否かの判断が行なわれ(S73)、存在すると判断された場合には、カードスキャン部15により1プレイヤー側のカードのスキャンが行なわれる(S74)。
【0077】
その後、1プレイヤーのカードからスキャンされた各パラメータ(例えば、プレイヤーのキャラクタの体力値、技カードの攻撃力、カードの種別(レアカード、ノーマルカード)など)が保存される(S75)。
【0078】
次に、待機時間が30秒を超えたか否かの判断が行なわれ(S76)、超えていないと判断された場合にはS73の処理に戻り、超えていると判断された場合には、2プレイヤー側のカードスキャンのための待機時間=0とした後(S77)、待機時間の計測を開始する(S78)。
【0079】
次に、2プレイヤー側のカードが存在するか否かの判断が行なわれ(S79)、存在すると判断された場合には、カードスキャン部15により2プレイヤー側のカードのスキャンが行なわれる(S80)。その後、2プレイヤーのカードからスキャンされた各パラメータ(例えば、プレイヤーのキャラクタの体力値、技カードの攻撃力、カードの種別(レアカード、ノーマルカード)など)が保存される(S81)。
【0080】
次に、待機時間が30秒を超えたか否かの判断が行なわれ(S82)、超えていないと判断された場合にはS79の処理に戻り、超えていると判断された場合には、演出モードの抽選が行なわれる(S83)。
【0081】
この演出モードの抽選は、図9に示すように、1プレイヤー側或いは2プレイや側のカードの種別と演出モードとの関係で定められた確率によって定まるものである。例えば、プレイヤーのカードが「レアカード」である場合には、「圧勝」の確率は10%、「逆転勝利」の確率は20%、「逆転負け」の確率は5%、「完敗」の確率は0%、「通常」の確率は65%となる。すなわち、これら確率を基に、1つの演出モードが決定され、「通常」の演出モードの場合を除き、予めプレイヤーの最終的な勝敗が決定されることになる。
【0082】
その後、運営モードの選択が行なわれる(S84)。この運営モードの選択は、図12のフローチャートで算出された平均待機時間及び図13のフローチャートで算出された平均ゲーム時間に基づいて、図7の運営モード選択テーブルを使用して選択される。
【0083】
具体的には、図7の運営モード選択テーブルにより、平均待機時間tが、「t<10秒」以下の場合には運営モードは「ショート」、「10秒<t<(g×2)」の場合には運営モードは「ノーマル」、「(g×2)≦t≦(g×5)」の場合には運営モードは「ロング」が選択される。
【0084】
S84において運営モードが選択された後、図8のゲーム時間選択テーブルを使用して、選択された運営モードに対応するゲーム時間が決定される(S85)。例えば、運営モードとして「ショート」が選択された場合には、ゲーム時間は(通常のゲーム時間)×0.9となり、「ロング」が選択された場合には、ゲーム時間は(通常のゲーム時間)×1.5となる。
【0085】
その後、対戦ゲームがスタートし(S86)、プレイヤーのストップボタンの待機時間の計測が開始され(S87)、1プレイヤー側及び2プレイヤー側の各ストップボタンが押下されたか否かの判断が行なわれる(S88)。
【0086】
S88において、各ストップボタンが押下されていないと判断された場合には、次に、待機時間が10秒を経過しているか否かの判断が行なわれ(S89)、10秒を経過していないと判断された場合にはS88の処理に戻る。
【0087】
一方、S89において待機時間が10秒を経過していると判断された場合、S88において1プレイヤー側及び2プレイヤー側のストップボタンが押下されたと判断された場合には、最終的な勝敗を決定するために行なわれる複数の対戦の勝敗の抽選が行なわれる(S90)。この勝敗の抽選は複数回行なわれ、その回数は所定の範囲でランダムで定めても良いし、所定の規則にしたがって定めてもよい。
【0088】
この対戦の抽選は、S83において抽選された演出モードに対応する図10(a)〜図10(e)に示した演出モードサブテーブルにしたがって行なわれる。例えば、S83において演出モードとして「圧勝モード」が選択された場合には、図10(a)に示す演出モードサブテーブルに定義された確率に基づいて勝敗の決定が行なわれる。「通常モード」が選択された場合には、ストップボタンを押した時にインジゲータの動きを停止する技ストップの結果に従う。
【0089】
なお、最終的な勝敗はS83における演出モードの抽選によってすでに決定しているので、S90における勝敗の抽選は最終的な勝敗には影響しない。たとえば、圧勝モードにおいて100回勝敗の抽選が行なわれた場合、90回の勝ち(90%の確率)により相手方の体力値をゼロにして、5回の負け(5%の確率)によっても相手からの攻撃により自己の体力値はゼロにならない。
【0090】
その後、勝敗に従った対戦映像の表示が行なわれ(S91)、プレイヤーの体力値の修正が、勝敗の結果及びS85において選択されたゲーム時間に基づいて行なわれる(S92)。プレイヤーの体力値の修正は、プレイヤーが負けたときに行なわれ、その体力値を減少するように行なわれる。
【0091】
体力値の減少値は、種々のパラメータに基づいて決定される。例えば、相手方のキャラクタの攻撃力、相手方の技カードの攻撃力などのパラメータに基づいて決定される。本実施の形態においては、体力値の減少値を定めるパラメータとして、上記パラメータに加えて、S85において選択されたゲーム時間が含まれる。
【0092】
すなわち、ゲーム時間がショートである場合には、ゲームを早く終了するために体力値の減少値を通常の減少値よりも大きくし、ロングである場合には、ゲームを長引かせるために体力値の減少値を通常の減少値よりも小さくする。減少値の定め方は、種々考えられるが、選択されたゲーム時間でゲームが終了するように定められる。例えば、選択されたゲーム時間内に終了するように、ゲーム時間終了間際の体力値の減少値を体力値が0以下となるように大きくするなどの制御も可能である。
【0093】
その後、プレイヤーの体力値が0より大きいか否かの判断が行なわれ(S93)、0より大きいと判断された場合には、S87の処理に移り、再度、対戦ゲームが行なわれる。一方、体力値が0より少ないと判断された場合には、エンディングムービーをディスプレイ上に表示するなどのエンディング処理を行ない(S94)、S41の処理に戻る。
【0094】
したがって、本発明の実施の形態によれば、過去のゲーム時間及び遊戯装置の待機時間を使用して、全体のゲーム時間を決定することにより、ゲームの顧客吸引力を高めつつ収益の向上を図ることができる。また、ゲーム技能を有しないユーザであってもドラマティックなゲームストーリを楽しむことができる遊戯装置を提供することができる。
【0095】
さらに、本実施の形態によれば、ストップボタンのみでゲームが進行するので、幼い子供でも遊戯が可能となる。
【0096】
本発明の実施の形態によれば、演出モード(圧勝、逆転勝ちなど)を選択することによりコンピュータにストーリを持たせることができ、その結果、偶発的ではなくストーリー性のある勝負演出を行なうことが可能となる。
【0097】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0098】
また、実施形態に記載した手法は、計算機(コンピュータ)に実行させることができるプログラム(ソフトウエア手段)として、例えば磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD、MO等)、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ等)等の記録媒体に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるプログラムには、計算機に実行させるソフトウエア手段(実行プログラムのみならずテーブルやデータ構造も含む)を計算機内に構成させる設定プログラムをも含む。本装置を実現する計算機は、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウエア手段を構築し、このソフトウエア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書でいう記録媒体は、頒布用に限らず、計算機内部あるいはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスクや半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施の形態に係る対戦型遊戯装置の外観を示す図である。
【図2】中央制御ユニットの構成を示す図である。
【図3】ディスプレイに表示されるゲーム画面の一例を示す図である。
【図4】タイミングゲージの動きを説明するための図である。
【図5】技カードのスキャン方法を説明するための図である。
【図6】技カードのスキャン方法を説明するための図である。
【図7】運営モード選択テーブルを示す図である。
【図8】ゲーム時間選択テーブルを示す図である。
【図9】演出モードテーブルを示す図である。
【図10】演出モードサブテーブルを示す図である。
【図11】スキャンされたカードから得られるパラメータを示す図である。
【図12】平均待機時間を算出するためのフローチャートを示す図である。
【図13】平均ゲーム時間を算出するためのフローチャートを示す図である。
【図14】本発明の実施の形態に対戦型遊戯装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態に対戦型遊戯装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態に対戦型遊戯装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0100】
1…対戦型遊戯装置、2…筐体、3…操作盤、4a,4b…ストップボタン、5…ディスプレイ、6a,6b…スピーカ、7…カードスキャン口、8…カード出口、9…コインセレクター、10…中央制御ユニット、11…バス、12…CPU、13…ディスプレイコントローラ、14…メモリ、15…カードスキャン部、16…コイン投入検出部、17…入力インターフェイス(I/F)、18…記憶装置、21…対戦型ゲームプログラム、22…テーブル記憶部、23…パラメータ記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊戯装置のゲーム開始からゲーム終了までのゲーム時間の所定回数分の平均ゲーム時間を算出する手段と、
遊戯装置のゲーム終了から次のゲームの開始までの待機時間の所定回数分の平均待機時間を算出する手段と、
前記平均ゲーム時間及び平均待機時間を含む複数の関係式と、複数のゲームの運営時間を示す運営モードとをそれぞれ関連付けて記憶する運営モード選択テーブルと、
前記複数の運営モードと、複数のゲーム時間とをそれぞれ関連付けて記憶するゲーム時間選択テーブルと、
前記算出された平均ゲーム時間及び平均待機時間をキーとして、前記運営モード選択テーブルを検索して運営モードを決定し、この決定された運営モードをキーとして前記ゲーム時間選択テーブルを検索してゲーム時間を決定する手段と、
前記決定されたゲーム時間内にゲームが終了するように、ゲーム時間に影響するパラメータの値を変更する手段と
を具備することを特徴とする遊戯装置。
【請求項2】
前記パラメータは、所定の値になった場合にゲームを終了することを示すパラメータであることを特徴とする請求項1記載の遊戯装置。
【請求項3】
前記変更する手段は、
ゲーム中に行なわれる複数の勝負においてプレイヤーが負けた場合に、前記パラメータの値を減ずることを特徴とする請求項2記載の遊戯装置。
【請求項4】
前記複数の勝負は、遊戯装置の1つのボタンのみが使用されることを特徴とする請求項3記載の遊戯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−275289(P2007−275289A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−105379(P2006−105379)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】