説明

遊技システム

【課題】携帯情報端末の持ち去りが困難で安全性の高い遊技システムを提供する。
【解決手段】パチンコ玉を用いて遊技を行うパチンコ機10と、電子マネー決済によってパチンコ玉を貸し出す台間玉貸機50とを備える遊技システムにおいて、パチンコ機10の向って左側に当該パチンコ機10と一対になる台間玉貸機50を配設し、台間玉貸機50の所定位置には、電子マネー決済に用いる非接触ICチップ63を備えた携帯情報端末60と非接触状態で通信可能な通信部51を設け、遊技者の操作し易い所定位置に、携帯情報端末60を出し入れ可能な開口部が開口し、且つ携帯情報端末60を開口部から出し入れする着脱位置と、挿入された携帯情報端末60を保持して通信部51と通信可能な通信位置とに変位可能なホルダーを設け、通信部51を覆うと共に通信可能状態で携帯情報端末60を保持するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技媒体を用いて遊技を行う遊技機と、電子マネー決済によって遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置と、を備える遊技システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、IT(Information Technology)技術の発展に伴い、電子マネー管理会社が運営するプリペイド型電子マネーサービスが始まっており、既に、電子マネーを非接触ICカードに予め入金(チャージ)し、飲物等の自動販売機、駅での乗車券の購入や、コンビニエンスストア等での商品購入時等の決済に利用されている。即ち、チャージされた電子マネーが、決済時に電子マネーカードから差し引かれて、支払が可能になっている。
【0003】
例えば、飲物の自動販売機では、利用者の電子マネーカードを受け付けると、カードリーダ/ライタコントローラの制御のもと、カード情報読取/書込部で読み取ったカード情報に対し、電子マネー処理部で暗号解読処理を行ない、解読後のデータに基づき残高情報を表示し、利用者によりジュース等の商品選択ボタンが押下されると、電子マネー処理部でその商品を提供する際の対価を残高情報から減算処理し、この減算後の値となるようにカード情報読取/書込部が現在受け付けている電子マネーカードの残高情報を減算書込を行なう。そして、その減算書き込みが完了すると、該当するジュース等の商品を排出し、電子マネーカードを利用者に返却する。また、自動販売機では、電子マネー処理部が電子マネーカードに割り当てられている固有のモジュール番号と共に、売上情報を電子マネー管理会社に送信する。
【0004】
一方、電子マネー処理部を備える携帯電話も普及し、電子マネーカードと同様にして、買い物が可能になりつつある。そこで、以下、電子マネー処理部を備える電子マネーカードや携帯電話等を、携帯情報端末と総称する。
【0005】
ところで、パチンコやスロットマシンの遊技店においても、遊技媒体としてのパチンコ玉やメダルの貸し出しに、前記した携帯情報端末を利用可能になっている。即ち、カード情報読取/書込部を備える台間玉貸機や台間メダル貸出機によれば、電子マネーによってパチンコ玉やメダルの貸し出しを受けることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2005−107734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のカード情報読取/書込部を備える台間玉貸機や台間メダル貸出機(以下、台間遊技媒体貸出機という)にあっては、カード情報読取/書込部において、カード情報を読み取ると共に書き込みが可能なように、携帯情報端末を載置しているに過ぎない。
【0008】
具体的には、台間遊技媒体貸出機のパネル前面に、ポケット状の載置部を形成し、この載置部に携帯情報端末を載置している。即ち、載置部は、上方及び左右の側方が開放しているので、携帯情報端末を載置し易い反面、どの方向へも引き出し易い構造にある。
【0009】
また、通常、台間遊技媒体貸出機は、遊技機の向って左側に配置され、遊技者の正面から偏位している。従って、台間遊技媒体貸出機は、遊技に熱中している遊技者の視界に入り難い。
【0010】
そこで、悪意のある者が、遊技者の背後から近づいて手を延ばし、携帯情報端末を、左側斜め上方に抜き去っても、遊技者からは死角となって、気が付かない虞れが多分にある。
【0011】
一方、電子マネーカードは、貨幣と同じ価値があり、所持している者が正当な所有者と見なされて容易に利用可能である。また、携帯電話には重要な個人情報が満載されている。このため、電子マネーカードや携帯電話等の携帯情報端末の持ち去りを防止し、個人の財産やプライバシー等を守らなければならない。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、携帯情報端末の持ち去りが困難で安全性の高い遊技システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係る発明は、遊技媒体を用いて遊技を行う遊技機と、電子マネー決済によって遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置と、を備える遊技システムにおいて、遊技機の向って左側に当該遊技機と一対になる遊技媒体貸出装置を配設し、遊技媒体貸出装置の所定位置には、電子マネー決済に用いる携帯情報端末と非接触状態で通信可能な通信部を設け、遊技機に対面している遊技者の左側の操作し易い所定位置に、前記携帯情報端末を出し入れ可能な開口部が開口するホルダーを、前記通信部を覆うと共に通信可能状態で前記携帯情報端末を保持するように備えることを特徴とする遊技システムである。
【0014】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の遊技システムであって、前記ホルダーは、携帯情報端末を開口部から出し入れする着脱位置と、挿入された携帯情報端末を保持して通信部と通信可能な通信位置と、に変位可能である。
【0015】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の遊技システムであって、前記携帯情報端末は、非接触ICチップを備えた携帯電話または電子マネーカードである。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3の何れかに記載の遊技システムであって、前記ホルダーには、開口部から挿入した携帯情報端末の取り出しを阻止するロック手段と、該ロック手段を解除して携帯情報端末を開口部から突出させる操作手段と、を設けたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、遊技媒体を用いて遊技を行う遊技機と、電子マネー決済によって遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置とを備える遊技システムにおいて、電子マネー決済に使用される携帯情報端末の持ち去りを、どのような状態においても防止することができる。即ち、携帯情報端末の出し入れが可能な着脱位置にあっても、携帯情報端末が遊技媒体貸出装置の通信部と通信可能可能な通信位置にあっても、第三者による取り出し行為が遊技者の視界に入ってしまい、不正行為を遊技者に気づかれてしまうため、第三者による携帯情報端末の持ち去りを未然に防止することができる。従って、遊技者の財産やプライバシーを守ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、遊技媒体を用いて遊技を行う遊技機と、電子マネー決済によって遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置とを備える遊技システムにおいて、遊技機の向って左側に当該遊技機と一対になる遊技媒体貸出装置を配設し、遊技媒体貸出装置の所定位置には、電子マネー決済に用いる非接触ICチップを備えた携帯情報端末と非接触状態で通信可能な通信部を設け、遊技機に対面している遊技者の左側の操作し易い所定位置に、前記携帯情報端末を出し入れ可能な開口部が開口し、且つ携帯情報端末を開口部から出し入れする着脱位置と、挿入された携帯情報端末を保持して通信部と通信可能な通信位置とに変位可能なホルダーを設け、前記通信部を覆うと共に通信可能状態で前記携帯情報端末を保持するようにした。
【実施例】
【0019】
次に、本発明の一実施例を図面について説明する。図1は、遊技システムの概略を説明する模式図である。遊技機10を設置した遊技店20(以下、ホール20ということがある)は、インターネットサービスによって、電子マネー管理会社30及び処理センター40に繋がっている。なお、以下は、遊技機10としてパチンコ機10について説明するが、スロットマシン等、他の遊技機についても同様のものである。
【0020】
ホール20においては、多数のパチンコ機10が列設されると共に、隣り合うパチンコ機10の間には遊技媒体としてのパチンコ玉を貸し出す台間玉貸機50が、遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置として配設されて、いわゆる遊技島が構成されている。なお、各パチンコ機10は、左側に隣接して配設されている台間玉貸機50を占有することになる。
【0021】
そして、各パチンコ機10及び各台間玉貸機50は、ホール20が備える管理コンピュータ21或いはサーバーによって制御されると共に、種々のデータが逐次記憶される。
【0022】
台間玉貸機50は、例えば、硬貨、紙幣、CRカード(プリペイドカード)、電子マネーカードを利用でき、これらに対応する投入口が適所に設けてある。なお、図示及び説明を省略するが、台間玉貸機50の内部には、投入された硬貨や紙幣の真贋を判別する判別装置や、CRカードのリーダー/ライター等が収設してあり、必要なインターフェースを介してパチンコ機10や管理コンピュータ21に接続してある。
【0023】
また、台間玉貸機50には、携帯情報端末60を保持するために、後述するホルダー70が設けてある。更に、この台間玉貸機50には、携帯情報端末60と非接触状態で通信可能な通信部51(リーダー/ライター)を設け、携帯情報端末60が有する情報を読み書きする。そして、この通信部51は、適宜なインターフェース部を介して、遊技店20の管理コンピュータ21或いはサーバーと接続され、更に電子マネー管理会社30及び処理センター40とインターネット回線を通じて接続される。
【0024】
携帯情報端末60の使用、言い換えると、電子マネーによるパチンコ玉の貸し出しに関しては、電子マネー管理会社30が介在して、遊技者とホール20との間の決済が行なわれる。即ち、遊技者が携帯情報端末60を用いてパチンコ玉の貸し出しを受けると、その情報は、通信部51を介してホール20と電子マネー管理会社30に送信される。また、使用した分の電子マネーが減額され、残額が通信部51により携帯情報端末60に書き込まれる。なお、現在高を台間玉貸機50の表示部53に表示するようにしてもよい。
【0025】
電子マネー管理会社30では、玉貸に必要な電子マネーが残っているか、即ち予めチャージしてある電子マネーの残高があるか否かを判別し、残高がある場合にのみ、台間玉貸機50による払い出しを許可することになる。一方、ホール20に対しては、遊技者が貸し出しを受けたパチンコ玉に対応する金額が、ホール20に振り込まれて、決済が行なわれる。なお、これらの処理は、処理センター40により行なわれるが、電子マネー管理会社30が行なうようにしてもよい。
【0026】
一方、携帯情報端末60は、非接触ICチップ63を備える携帯電話61や電子マネーカード62である。そして、非接触ICチップ63には暗号化されたデータが記憶され、前記した台間玉貸機50に設けた通信部51との間で処理される。なお、必要な電力は、アンテナを介して通信部51から供給される。
【0027】
次に、携帯情報端末60を持ち去り困難に保持することのできるホルダー70について説明する。このホルダー70は、台間玉貸機50の下方に設定した所定の位置に配置される。この位置は、パチンコ機10の前枠やガラス枠を開閉する際に、邪魔にならない位置であって、また遊技中の遊技者の手が届き易く、操作し易い位置でもある。
【0028】
このホルダー70の概略は、基板部71と、この基板部71上で回動しながら移動する本体部72とを備えている。なお、図示の実施例においては、台間玉貸機50の前面板52が基板部71を兼ねているが、基板部71を別個に介在させるようにしてもよい。
【0029】
ホルダー70の基板部71には、本体部72の移動をガイドする案内孔711が開設してある。この案内孔711は、図示の実施例では斜めに延びるほゞ直線状の長孔に形成してあるが、適宜湾曲するものであってもよく、本体部72が所望の軌跡を画いて移動するように設定してある。
【0030】
案内孔711の上端部分には、本体部72が所定の停止位置を保持して係止するように、ほゞ水平方向に延びる係止孔部712が設けてある。また、この係止孔部712の下辺を若干凹陥させ、この凹陥部分に、本体部72に設けたガイドピン721が嵌入することにより、本体部72を一旦持ち上げないと、本体部72の移動を開始できないように構成してある。
【0031】
次に、携帯情報端末60、即ち携帯電話61及び電子マネーカード62を、保持するための本体部72について、例えば図3を参照しながら説明する。
【0032】
本体部72は、携帯電話61よりもやや大きめの底面積を有するベース部材722と、このベース部材722に対して可動可能な調整部材723と、挿入した携帯情報端末60である携帯電話61または電子マネーカード62が脱落しないように押え付ける押え部材724と、前記した調整部材723を付勢して携帯電話61または電子マネーカード62の大きさに、収容部の大きさを適合させる付勢部材725と、を備えている。
【0033】
ベース部材722は、ほゞ矩形の背板部7221の各外辺から、それぞれ起立片7222が立ち上がるほゞ箱枠状の部材である。即ち、背板部7221の上辺から上側起立片7222Uが前方(手前)へ向って立ち上がっている。そして、この上側起立片7222Uは、後述する他の起立片7222に比べて高さが高く形成してある。なお、ここでいう上側とは、矩形の背板部7221が、縦長になるように位置させたときを基準としており、以下、下側及び左右の説明も同様である。
【0034】
上側起立片7222Uに対向するように、下辺からは下側起立片7222Dが前記上側起立片7222Uに比べて低く起立している。また、背板部7221の右辺からは、高さの低い右側起立片7222Rが起立し、同じく左辺からは、一部に高さの高い部分を有し、全体としては、右辺及び下辺から起立する右側起立片7222R及び下側起立片7222Dと同様に、高さの低い左側起立片7222Lが起立している。
【0035】
左側起立片7222Lの上端付近、言い換えると、上側起立片7222Uの近くには、突出量を増やして大きく突出する取付部726が設けてある。この取付部726は、後述する押え部材724を取り付けるための部位である。
【0036】
押え部材724は、携帯情報端末60の厚みの違いを吸収するためのものである。例えば、携帯電話61の厚みは、スリム携帯と呼ばれる約12mm程度のものから、多彩な機能を備えて30mmを超えるものまで、多種多様なものが数多く市販されている。一方、電子マネーカード62の厚さは、精々約2〜3mm程度のものである。従って、同じ携帯情報端末60であっても、両者の間には、厚みにおいて10倍以上の開きが存在している。
【0037】
そこで、図示の押え部材724は、基端側を取付部726に沿って前後にスライド可能に構成すると共に、先端側には弾性を持たせている。具体的には、押え部材724の基端側に形成した取付帯片7241を、前記した板状の取付部726に巻き付けるように屈曲させ、この屈曲させた取付帯片7241の先端7241aを、取付部726にスライド方向に開設したスライド孔7261に更に嵌入している。
【0038】
このため、押え部材724は、基端部分が取付部726に面接触した状態で、取付帯片7241の先端7241aがスライド孔7261に嵌入すると共に、取付部726の側端面に取付帯片7241の屈曲部分が接することになる。従って、この押え部材724を、引いたり、押したりすると、取付部726に沿って前進または後退するため、押え部材724の先端部分7242と、前記した本体部72のベース部材722との間隔を調整することができる。
【0039】
押え部材724の先端部分7242には、弾性を与えて、ベース部材722に収容した携帯情報端末60を、弾性によって押え付けるようにする。そこで、図示の実施例における押え部材724は、前記した取付部726に面接触している部分から延出している部分を、一旦ヘアピン状に折り返し、更にほゞ90度に折り曲げ、この折り曲げた部分で携帯情報端末60を前記したベース部材722との間に挟み込むようにしている。従って、挟み込まれた携帯情報端末60には、押え部材724が備える弾性による付勢力が加わることになる。
【0040】
一方、調整部材723は、ベース部材722の前面において、上下方向即ち長手方向にスライドすることにより、携帯情報端末60の長手方向の大きさの違いを吸収するものである。そこで、図示の実施例に示す調整部材723は、断面ほゞL字状の部材であって、前記したベース部材722の背板部7221に対応する小背板部7231の下縁から、小底板部7232がほゞ直角に屈曲して手前に延出しており、また小背板部7231の右側縁から、高さの低いガード片7233が手前に延出している。なお、小底板部7232の高さ(延出量)は、前記した背板部7221の上側起立片7222Uの高さとほゞ同じであって、挿入する携帯電話61の厚みとほゞ同じか若干大きく形成してある。
【0041】
そして、この調整部材723には付勢部材725を設けることにより、当該調整部材723を上方へ付勢する。即ち、ベース部材722の上側起立片7222Uと、調整部材723の小底板部7232と、の間隔を、両者の間に挿入する携帯情報端末60の高さに対応するように調整するのである。そこで、図面に示す実施例においては、調整部材723の小底板部7232とベース部材722の下側起立片7222Dとの間に、2本のコイルスプリング7251を介在させることにより、小底板部7232言い換えると調整部材723を、コイルスプリング7251の弾発力によって、上方に向けて、即ち両者の間隔が狭まる方向に付勢している。
【0042】
このため、挿入する携帯情報端末60が小さい場合であっても、前記した押え部材724の作用と相俟って、挿入した携帯情報端末60が脱落する虞れがない、なお、図示の実施例では、付勢部材725として、2本のコイルスプリング7251を使用しているが、これに限定されるものではなく、適宜な付勢部材725を採用することができる。例えば、小底板部7232と下側起立片7222Dとの間に、「横U字型」或いは「くの字型」に湾曲させた板バネを介在させるようにしてもよいし、調整部材723の上縁部を引き上げるように構成することもできる。
【0043】
次に、前記したような各部材を備えるホルダー70の組立法について、簡単に説明する。ベース部材722の左側起立片7222Lに設けた取付部726には、前後方向へスライド可能に押え部材724を取り付ける。また、ベース部材722の基板部71の前面側には、付勢部材725によって上方を付勢された状態で調整部材723を取り付ける。
【0044】
そして、調整部材723を取り付けたベース部材722を、基板部71上で回動しながら所定の軌跡を画いて移動するように止着するための止着手段が、基板部71の所定位置に設けてある。この止着手段は、例えば、取付部726の近傍に、止めネジを設けることによって形成している。即ち、小さなボルトナットと、必要に応じて装着するワッシャによって構成してある。更に、詳しく説明すれば、ベース部材722の背板部7221の所定位置に、ボルトを取り付け、背板部7221の裏面側に前記ボルトのネジ部を突出させ、このネジ部をベース部材722の案内孔711に挿通し、ベース部材722の裏面側から、必要に応じてワッシャを介して前記ネジ部にナットを螺合するのである。
【0045】
すると、本体部72が基板部71に対して移動可能に取り付けられ、前記ボルトが案内孔711に遊合する前記したガイドピン721として機能する。このため、本体部72は、基板部71に開設した案内孔711に遊嵌しているボルトが、案内孔711によってガイドされながら昇降すると共に、ボルトを支点にして回動自在になる。
【0046】
そこで、このホルダー70においては、本体部72を横に寝かせた第1状態と、本体部72を縦に起立させた第2状態とに、変換させることができる。
【0047】
また、基板部71の所望の箇所に、案内片713を突設し、この案内片713に本体部72の角部を当接させながら移動させるようにすることもでき、本体部72を容易に所定の位置に導くことが可能である。
【0048】
本体部72が横に寝た第1状態では、本体部72の上側起立片7222Uが左側に位置し、調整部材723の小底板部7232が、前記上側起立片7222Uと向き合った状態に位置する。また、第1状態にある本体部72では、下方の底板に相当する部分には、押え部材724が臨んで、挿入された携帯情報端末60の落下を防止可能である。
【0049】
一方、第1状態にある本体部72の上方は、横長に開口している。そこで、この開口した部分から、携帯情報端末60を、横向きに挿入することができる。従って、この第1状態を、携帯情報端末60を開口部から出し入れする着脱位置ということがある。
【0050】
そして、この着脱位置において、携帯情報端末60を挿入すると、この携帯情報端末60は、本体部72の上側、即ち図8においては、左側に起立状態に位置している上側起立片7222Uと、右側に起立状態に位置している調整部材723の小底板部7232との間に、付勢部材725による押圧によって挟まれた状態になる。また、携帯情報端末60の下側は、本体部72の基板部71から突出している取付部726によって支えられている。更に、取付部726に設けた押え部材724によって、携帯情報端末60が、基板部71側に向けて軽く押圧され、即ち奥へ向けて押圧され、前側(手前側)への落下を防止している。
【0051】
言い換えると、本体部72が第1状態にあるときは、本体部72の上方のみが開口しており、この開口部から、携帯情報端末60の挿入及び取り出しが、可能である。そして、この本体部72が第1状態にあるときは、遊技者の視界に入り易く、万が一、第三者が手を延ばした場合には、遊技者がこの状況に容易に気が付き、第三者による持ち去りが不可能である。
【0052】
次に、携帯情報端末60を装着した本体部72を起立させ、第2状態とする。これは、携帯情報端末60を起立させて遊技の邪魔にならないようにするためと、携帯情報端末60と台間玉貸機50に設けた通信部51との通信を行なうためでもある。即ち、携帯情報端末60が備える非接触ICチップ63が、通信部51と通信可能な範囲に位置するように、携帯情報端末60を保持するのである。そこで、この第2状態を、通信位置ということがある。
【0053】
本体部72を起立した第2状態、即ち通信位置に変位させることは、きわめて容易であって、第1状態にある本体部72を、時計回りに90度回転させながら、上昇させればよい。即ち、図9(a)〜(d)に示すように、横方向に位置する本体部72に挿入されている携帯情報端末60を、徐々に回動させながら上昇させて、縦方向に位置させるのである。そして、起立したら、案内孔711の上端に設けた係止孔部712に、ガイドピン721を落とし込んで、本体部72から手を離したときに、本体部72が下降してしまうことを防止するようにする。
【0054】
本体部72が起立した第2状態では、本体部72の右側のみが開口することになる。言い換えると、本体部72の上側、左側、下側の三方は、みな塞がっている。従って、挿入した携帯情報端末60は、右側の開口部からでないと、取り出すことができない。このとき、本体部72の右側は、遊技盤や遊技者に近い方向にある。このため、悪意のある第三者が遊技者の背後から近付いて、携帯情報端末60を持ち去ろうする場合には、携帯情報端末60を開口している右側へ引き出さなければ、本体部72から取り出すことはできない。従って、遊技者がどんなに遊技に熱中していても、延ばした手が遊技者の視界に入ってしまい、不正行為を遊技者に気づかれてしまう。このため、第三者による携帯情報端末60の持ち去りを未然に防止することができる。
【0055】
一方、遊技者が遊技を終えて、携帯情報端末60を取り出す場合には、通信位置にある本体部72を、反時計回りに回動させながら下降させることにより、着脱位置に戻せば、開口部が上向きになる。従って、この着脱位置において、携帯情報端末を、上方へ引き抜けばよい。なお、通信位置においても、右側にスペースがあれば、引き抜きは可能であり、遊技者本人が取り出すのであるから、視界に入ろうが、何ら問題はない。
【0056】
なお、図示していないが、本体部72には、挿入した携帯情報端末60の取り出しを妨害するロック手段を設けることも可能である。例えば、本体部72へ一旦挿入した携帯情報端末60には、外部からアクセスできないように、即ち携帯情報端末60を掴めないように、一部を除いてほゞ全面を覆うと共に、挿入した携帯情報端末60を取り出すときには、この携帯情報端末60の一部が外部に若干飛び出すように構成し、挿入した携帯情報端末60を飛び出させるための操作手段を、遊技者に近い側、即ち本体部72の右側に設け、携帯情報端末60を挿入したり、飛び出してくる開口部も、本体部72の右側に設けるのである。
【0057】
上記した図面に基づく説明では、携帯情報端末60としての携帯電話61と電子マネーカード62とを、共通に使用可能なホルダー70を示したが、携帯電話専用或いは電子マネーカード専用のホルダー70としてもよい。これは、例えば、押え部材724を交換することによって、きわめて容易に実現させることができる。
【0058】
また、携帯情報端末60を、一つの開口部から出し入れ可能ならば、本体部72の形状に拘るものではなく、この開口部は所定の方向へ向いて開口していればよい。そして、材質も、所望の強度が得られれば、金属や合成樹脂を適宜に使用できる。
【0059】
更に、前記した実施例では、本体部72を回動させながら上昇或いは下降するように構成して着脱位置と通信位置とに変位させており、限られたスペースにホルダー70を配置する場合にきわめて有効である。しかし、ホルダー70を余裕のあるスペースに配置する場合には、本体部72をその場で回動させることにより、着脱位置と通信位置とに変位させてもよい。
【0060】
ところで、携帯情報端末60には、固有のID(IDentifer Number)、即ち識別番号が割り振られている。そこで、このIDに基づいて、CRM(Customer Relationship Management)を行うようにすることができる。例えば、図1に二点鎖線で示すように、ネットワーク上にサービス会社80を介在させるのである。このサービス会社80においては、ネットワークを通じて、台間玉貸機50の稼動状態に応じ、この台間玉貸機50と対になっているパチンコ機10の遊技状態が分り、また遊技店20の管理コンピュータ21からは、このパチンコ機10の遊技履歴等を得ることができる。一方、携帯情報端末60のIDからは、台間玉貸機50及びパチンコ機10を利用した携帯情報端末60を特定することができる。そこで、サービス会社80において、携帯情報端末60のIDと、台間玉貸機50及びパチンコ機10の遊技履歴等とを組み合わせることにより、現在台間玉貸機50を利用している遊技者の遊技情報を獲得することができる。例えば、どのような機種で主に遊技しているか、主に遊技する曜日や時間帯はいつ頃か、1回当りに消費する金額はどの程度か、などの遊技情報を携帯情報端末60のIDに基づいて獲得することができる。そして、サービス会社80では、CRM手法を用いて、この遊技情報を分析し、各遊技者の嗜好にあったサービスを、各遊技者に対して個別に提供するようにするのである。例えば、遊技者が好んで遊技する機種に関する情報を、遊技店20に代わって携帯メール等を利用して遊技者に提供し、遊技者を遊技店20へ誘うようにすることができる。
【0061】
また、遊技者が電子マネーを使って、遊技店20内または店外を含めて、自動販売機で飲物を購入している場合には、過去の購入履歴に基づいて遊技者の嗜好をつかめるので、例えば遊技店20のサービスタイムに、遊技者の好みに合った飲物をプレゼントするなど、遊技者一人一人に適合したサービスを提供することが可能になる。そして、遊技者に満足感や安心感を与えることができるので、遊技者は自分がこの遊技店20にとって大切な客であると感じるようになり、ひいては、当該遊技店20の優良な顧客となる。
【0062】
更に、地理情報システム(GIS:Geographical Information Systems)を利用することにより、遊技者の問い合わせに対して、現在地の近くにある遊技店20を紹介することも可能である。一方、遊技店20の近くにある携帯情報端末60に対して、その遊技店20のイベント情報等を提供して、近くにいる遊技者をその遊技店20へ誘うようにすることも可能である。
【0063】
そして、この携帯情報端末60を、遊技店20の会員カードとして利用することも可能である。この場合には、会員登録手続を省略、或いは簡素化することができ、更に会員管理業務をサービス会社80に移管して、遊技店20の負担を低減することも可能になる。
【0064】
以上、本発明を図示の実施例について説明したが、本発明は前記した各実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限り適宜に実施できる。例えば、遊技機としてパチンコ機について説明したが、コインを遊技媒体とするスロットマシン等、他の遊技機についても同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】遊技システムの概略を示す模式図である。
【図2】パチンコ機及び台間玉貸機の正面図である。
【図3】携帯情報端末を挿入するホルダーの分解斜視図である。
【図4】ホルダーの正面図である。
【図5】図4のA−A線に沿った断面図である。
【図6】ホルダーの左側面図である。
【図7】ホルダーに携帯情報端末を挿入した状態の断面図である。
【図8】ホルダーに携帯情報端末を挿入し、着脱位置にある状態の正面図である。
【図9】ホルダーが着脱位置から通信位置に変位する過程の説明図である。
【符号の説明】
【0066】
10 遊技機(パチンコ機)
20 遊技店(ホール)
21 管理コンピュータ
30 電子マネー管理会社
40 処理センター
50 台間玉貸機
51 通信部
52 前面板
53 表示部
60 携帯情報端末
61 携帯電話
62 電子マネーカード
63 非接触ICチップ
70 ホルダー
71 基板部
72 本体部
80 サービス会社
711 案内孔
712 係止孔部
713 案内片
721 ガイドピン
722 ベース部材
723 調整部材
724 押え部材
725 付勢部材
726 取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体を用いて遊技を行う遊技機と、電子マネー決済によって遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置と、を備える遊技システムにおいて、
遊技機の向って左側に当該遊技機と一対になる遊技媒体貸出装置を配設し、
遊技媒体貸出装置の所定位置には、電子マネー決済に用いる携帯情報端末と非接触状態で通信可能な通信部を設け、
遊技機に対面している遊技者の左側の操作し易い所定位置に、前記携帯情報端末を出し入れ可能な開口部が開口するホルダーを、前記通信部を覆うと共に通信可能状態で前記携帯情報端末を保持するように備えることを特徴とする遊技システム。
【請求項2】
前記ホルダーは、携帯情報端末を開口部から出し入れする着脱位置と、挿入された携帯情報端末を保持して通信部と通信可能な通信位置と、に変位可能な請求項1に記載の遊技システム。
【請求項3】
前記携帯情報端末は、非接触ICチップを備えた携帯電話または電子マネーカードである請求項1または2に記載の遊技システム。
【請求項4】
前記ホルダーには、開口部から挿入した携帯情報端末の取り出しを阻止するロック手段と、該ロック手段を解除して携帯情報端末を開口部から突出させる操作手段と、を設けた請求項1ないし3の何れかに記載の遊技システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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