説明

遊技場用管理装置

【課題】玉の払い出しに関して2種類の信号を遊技機から出力する場合に、それらの信号に基づいて玉の払い出しに関する遊技情報を適切に算出することが可能な遊技場用管理装置を提供する。
【解決手段】中継装置4は、セーフ1ポート14b及びセーフ2ポート14cに入力するように配線された実セーフ信号及び入賞セーフ信号のうち、所定条件成立後、最初に入力した信号を入賞セーフ信号として管理装置に出力する。これにより、管理装置は、入賞セーフ信号及び実セーフ信号に基づいてセーフに関する遊技情報を適切に管理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玉数の払い出しに関して2種類の信号を出力する遊技機を管理する遊技場用管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技場用管理装置では、例えば通常状態における出玉率や大当たり1回分の差玉などの遊技情報を算出して表示したり、使用玉数に対する払出玉数が少なすぎる場合に異常を報知したりするように構成されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−125445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、実際に払い出した玉数に応じて信号(実セーフ信号)を出力する他、玉が入賞した時点で払い出す予定の玉数に応じて信号(入賞セーフ信号)を出力する遊技機が市場に流通している。このような遊技機の遊技情報を管理する場合、遊技状態毎の遊技情報を算出する方が好ましいが、逆に払出状態を点検するための情報については実セーフ信号に基づいて算出する方が好ましいという事情がある。
よって、両方の信号を入力できるように配線した場合、各遊技情報に適した方の信号に基づいて算出することで、遊技場管理に必要な遊技情報を適切に算出することが可能となる。
しかし、セーフ信号の入力ポートを2つ設けた場合、管理装置のメーカー側は遊技場管理者がどちらのハーネスをどちらの入力ポートに配線するか指示することはできても、それを徹底することは困難であることから、適切な遊技情報を算出して提供することが難しかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、玉の払い出しに関して2種類の信号を遊技機から出力する場合に、それらの信号に基づいて玉の払い出しに関する遊技情報を適切に算出することが可能な遊技場用管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、遊技領域を流下する玉が入賞可能な始動口を少なくとも含む複数の入賞口と、前記入賞口への入賞を検知する入賞検知手段と、前記入賞検知手段が入賞を検知した場合に入賞した入賞口に対応して予め定められた数の遊技媒体を遊技者に払い出す払出手段と、前記入賞検知手段が所定数の遊技媒体を検知する毎に払出予定信号を出力する払出予定信号出力手段と、前記払出手段が所定数の遊技媒体を払い出す毎に払出完了信号を出力する払出完了信号出力手段と、を有する複数のパチンコ遊技機の遊技情報を管理する遊技場用管理装置であって、
前記払出予定信号及び前記払出完了信号を別々に入力するための信号入力手段と、前記払出予定信号及び前記払出完了信号のうち、予め設定された所定条件成立後、前記信号入力手段が先に入力した信号を前記払出予定信号であると判定する判定手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、払出予定信号と払出完了信号の両方を入力する場合に、信号を自動判別することができるので、払出に関する遊技情報を適切に算出することができる。その結果、不正検知や異常をより正確に特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態における遊技場用システムの全体構成を示す概略図
【図2】中継装置の入力ポートに対する遊技機側からの遊技信号の入力関係を示す図
【図3】セーフの配線パターンを示す図
【図4】管理装置による自動判別設定画面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は遊技場用システムの全体構成を示す概略図である。遊技場には遊技機1に対応して貸出装置2が設置され、管理室には管理装置3が設置されている。中継装置4は、2台の遊技機1、2台の貸出装置2及び管理装置3とLAN5を介して接続されている。管理装置3は、遊技機側(遊技機1、貸出装置2等)から送信される遊技信号を中継装置4を介して受信することにより遊技機1毎の遊技データを管理する。LAN5には島端計数機6が接続されており、管理装置3は、島端計数機6で計数された玉数を管理することで景品交換処理を実行する。本実施形態では、管理装置3及び中継装置4により遊技場用管理装置が構成されている。
【0009】
管理対象となる遊技機1は、マイクロコンピュータにより次のように動作する。
操作ハンドル7に対する操作により発射されて盤面8(遊技領域に相当)を流下する玉(遊技媒体)が入賞可能な始動口9aと、遊技領域を流下する玉が入賞可能な開放状態と入賞不可能な閉鎖状態とを呈する大入賞口9bと、一般入賞口9cを含む複数の入賞口9を備えている。各入賞口9に対応して入賞検知部(入賞検知手段に相当)が備えられており、入賞口9への入賞を検知した場合に、入賞した入賞口9に対応して予め定められた数の玉を遊技者に払い出す(払出手段に相当)。始動口9a及び一般入賞口9cへの入賞に応じて払い出す玉数は3個、大入賞口9bへの入賞に応じて払い出す玉数は14個である。このとき、入賞を検知する毎に払い出す玉数を加算し(加算手段)、この加算した値が予め定められた規定値である10個に達する毎に払出予定信号を1パルス出力してリセットする(払出予定信号出力手段に相当)。また、入賞に応じて玉を払い出した場合に、払い出した玉を検知すると(払出遊技媒体検知手段)、その検知した玉数を計数し(計数手段)、その計数した玉数が規定値である10個に達する毎に払出完了信号を1パルス出力してリセットする(払出完了信号出力手段に相当)。
【0010】
一方、始動口9aへの入賞を検知した場合に(始動検知手段)、抽選処理を実行し(抽選手段)、その抽選結果を特図保留として所定の上限値まで記憶し(記憶手段)、その記憶している特図保留を記憶した順に1つずつ読み出し(読出手段)、その読み出した特図保留の当否を判定し(当否判定手段)、その判定結果が当選であった場合(液晶表示部10に表示された図柄が大当たり図柄の場合)に大当たり状態を発生し(大当たり状態発生手段)、大当たり状態中に大当たり信号を出力する(大当たり信号出力手段)。大当たりが発生すると15ラウンド(R)分だけ大入賞口9bを開放する。入賞により遊技機1から払出された玉は上部受皿11にて受けられ、この上部受皿11が満杯状態となって溢れた玉は下部受皿12で受けられる。尚、1Rの上限入賞数は10個で、上限開放時間は30秒であり、上限入賞数又は上限開放時間のいずれかが満たされた場合に1Rを終了する。
【0011】
遊技機1は遊技状態に応じて遊技信号を出力し、例えば機種Aの遊技機1は以下の遊技信号を出力する。
・実セーフ信号(払出完了信号に相当)……遊技機1から払い出された玉を10個検知する毎に出力。但し、電源がOFFになると、カウンタが0になる。
・入賞セーフ信号(払出予定信号に相当)……入賞に応じた払出予定数が10個となる毎に出力。但し、電源がOFFになると、カウンタが0になる。
・大当たり信号……大当たり状態中に出力。
・確変信号……大当たり状態及び確変状態中に出力。
・スタート信号……遊技機1から出力される図柄変動数(役物作動数、スタート)を特定可能な信号。始動口9aへの入賞により変動(作動)する表示部10における図柄変動(役物作動、スタート処理)1回につき1パルスが出力されるので、「スタート信号数×1」をスタートとして特定する。尚、始動口9aへの入賞に応じて出力される始動入賞信号をスタート信号としてもよい。
保留が上限値に達していない状態で始動口9aの入賞検知部が検知する毎に出力。
尚、遊技機1から排出された玉を受けるアウトボックス13が設けられており、アウトボックス13からは遊技機1から排出された玉を10個検知する毎にアウト信号が出力される。
【0012】
遊技機側から出力される遊技信号を中継装置4に入力するように接続する。
図2は、中継装置4に対する遊技機側からの遊技信号の入力関係を示している。中継装置4は入力ポート14(信号入力手段に相当)を備えており、遊技機側から出力される遊技信号を対応する入力ポート14に入力するように接続する。つまり、アウト入力ポート14aにアウトボックス13からのアウト信号を入力するように接続し、セーフ1入力ポート14b及びセーフ2入力ポート14cに実セーフ信号及び入賞セーフ信号を入力するように接続し、大当たり入力ポート14dに大当たり信号を入力するように接続し、確変入力ポート14eに確変信号を入力するように接続し、スタート入力ポート14fにスタート信号を入力するように接続する。
【0013】
ここで、セーフ1及びセーフ2に対する実セーフ信号及び入賞セーフ信号の入力関係は任意となっている。
図3はセーフ1及びセーフ2に対するセーフ信号の入力関係(配線パターン)を示している。つまり、セーフ1に実セーフ信号を入力するパターンA、セーフ1に実セーフ信号を入力し、かつセーフ2に入賞セーフ信号を入力するパターンB、セーフ1に入賞セーフ信号を入力し、かつセーフ2に実セーフ信号を入力するパターンC、セーフ1に入賞セーフ信号を入力するパターンDがある。尚、セーフ2のみに何れかのセーフ信号を入力するパターンも考えられるが、セーフ1のみに入力した場合と同一であるので、省略する。
【0014】
中継装置4は、マイクロコンピュータ(判定手段に相当)を備えており、セーフ1及びセーフ2以外の遊技信号に関しては入力した遊技信号を所定の信号レベルに変換した状態で管理装置3に出力する。セーフ1及びセーフ2に関しては、機種毎に設定した所定条件成立後、セーフ1及びセーフ2の何れから信号が入力するかを監視し、先に信号が入力した一方のセーフ入力ポートに入力した信号の方を入賞セーフ信号と判定するセーフ信号判定処理を実行する。このセーフ信号判定処理の実行後においては、先に信号が入力した一方のセーフ入力ポートから信号が入力する毎に入賞セーフ信号として出力し、他方のセーフ入力ポートから信号が入力する毎に実セーフ信号として出力する。所定条件としては、管理装置3で営業開始処理がされたこと(営業開始)、管理装置3で遊技機1の新規登録をしたこと(新規登録)、遊技機側でセーフ信号のカウンタが0にリセットされた場合に遊技場側が操作する操作手段が操作されたこと(RAMクリア。RAMクリア操作の検知は遊技場側による管理装置3への操作、又は遊技機1に対応して設けられた呼出ランプへのリモコン操作に応じて行う)等がある。
【0015】
管理装置3は、中継装置4から入力した遊技信号を受けて、所定の遊技情報を算出する。この場合、セーフ信号に基づいて算出する遊技情報については、自動判別設定画面での設定状況に応じて各遊技情報を算出する。
図4は管理装置3による自動判別設定画面を示しており、以下の各項目が設定されている。
・有効/無効……配線パターンの自動判別の有効/無効を設定。
・条件……自動判別を「有効」とした場合に、所定条件を設定。営業開始、RAMクリア、新規登録の3パターンを設定可能。
・セーフ1、セーフ2……自動判別を「無効」とした場合に、配線状況を入力。
【0016】
管理装置3は、中継装置4から入力した遊技信号に基づいて遊技情報を管理する。この場合、セーフ1、セーフ2に入力する遊技信号の入力パターン(配線パターン)により管理可能な遊技情報が異なる。
上記パターンA,Dの場合、入賞セーフ信号しか入力していないので、入賞セーフ信号に基づいて次の遊技情報を算出する。
(1)ベース、T1Y、BA(後述)など遊技状態毎の遊技情報の算出。
(2)特賞履歴情報の算出、誤差玉検知、セーフ点検。
パターンB,Cの場合、両方のセーフ信号を入力しているので、遊技状態毎の遊技情報は実際の払い出しが遅れても正確なデータを算出できるように、(1)については入賞セーフ信号に基づいて算出する。一方、(2)は実際の払い出し状況から不正や異常を検知するものであるから、実セーフ信号に基づいて算出する。
具体的には、実セーフ信号を入力するまでは入賞セーフ信号に基づいて(1)(2)を算出し、実セーフ信号を入力した場合に(2)については実セーフ信号に基づいて算出する。この場合、実セーフ信号を入力した場合は、実セーフ信号を入力するまでの(2)については算出対象外とする。
【0017】
管理装置3が算出する各遊技情報の意味は次の通りである。
・ベース・・・通常状態中の出玉率((通常状態中のセーフ)/(通常状態中のアウト)×100[%])。
・T1Y・・・大当たり状態1回当たりの差玉の平均値。
・BA・・・時短状態中の出玉率((時短状態中のセーフ)/(時短状態中のアウト)×100[%])。
・特賞履歴情報・・・各大当たり状態中の差玉など。
・誤差玉検知・・・計数玉数と持玉数との差が許容範囲外であった場合に不正(遊技場外から持ち込まれた玉が計数された場合など)や異常(配線ミスや信号線の断線など)のが発生したと判定。
・セーフ点検・・・通常状態において、アウト玉数が設定された検出値(例えば500個)に達するまでの期間におけるセーフ玉数が、設定された判定値(例えば50個)以下であった場合に異常(セーフ玉詰まりや信号線の断線、コネクタ外れ、セーフ玉カウンタの故障など)が発生したと判定。
【0018】
このような実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
中継装置4は、セーフ1ポート14b及びセーフ2ポート14cに入力するように配線された実セーフ信号及び入賞セーフ信号のうち、所定条件成立後、最初に入力した信号を入賞セーフ信号として管理装置3に出力するので、管理装置3は、入賞セーフ信号及び実セーフ信号に基づいてセーフに関する遊技情報を適切に管理することができる。
【0019】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形又は拡張できる。
上記実施形態では、セーフ信号が10個入賞或いは払い出しで1パルス出力するように構成したが、1パルスを出力する入賞数或いは払出数は任意である。
入賞セーフ信号及び実セーフ信号は例えば1個入賞或いは払い出す毎に1パルス出力するようにしても良い。つまり、本実施形態では、セーフ信号が10個入賞或いは払い出しで1パルス出力するので、前日のカウントがリセットされていない状態で営業開始を迎えると、入賞セーフ信号よりも実セーフ信号が先に出力されることがあり、このような不具合を解決するには、遊技機側でセーフ信号のカウンタが0にリセットすると共に管理装置3でRAMリセット操作する必要がある。しかし、1個入賞或いは払い出す毎に1パルス出力する構成の場合、このような問題がないので、所定条件として、全ての機種に対して営業開始を設定すればよい。これにより、機種に関わらずに設定が容易であると共に正確にセーフを判別することができる。
中継装置4のセーフ信号判定機能を管理装置3に設けるようにしてもよい。この場合、中継装置4は、セーフ1ポートに入力した信号をセーフ1信号、セーフ2ポートに入力した信号をセーフ2信号として出力し、管理装置3は、所定条件成立後、先に入力したセーフ信号を入賞セーフ信号として判定する。
【符号の説明】
【0020】
図面中、1は遊技機(入賞検知手段、払出手段、払出予定信号出力手段、払出完了信号出力手段)、3は管理装置(遊技場用管理装置)、4は中継装置(遊技場用管理装置、判定手段)、8は盤面(遊技領域)、9aは始動口、9は入賞口、14は入力ポート(信号入力手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域を流下する玉が入賞可能な始動口を少なくとも含む複数の入賞口と、
前記入賞口への入賞を検知する入賞検知手段と、
前記入賞検知手段が入賞を検知した場合に入賞した入賞口に対応して予め定められた数の遊技媒体を遊技者に払い出す払出手段と、
前記入賞検知手段が所定数の遊技媒体を検知する毎に払出予定信号を出力する払出予定信号出力手段と、
前記払出手段が所定数の遊技媒体を払い出す毎に払出完了信号を出力する払出完了信号出力手段と、を有する複数のパチンコ遊技機の遊技情報を管理する遊技場用管理装置であって、
前記払出予定信号及び前記払出完了信号を別々に入力するための信号入力手段と、
前記払出予定信号及び前記払出完了信号のうち、予め設定された所定条件成立後、前記信号入力手段が先に入力した信号を前記払出予定信号であると判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とする遊技場用管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−81587(P2013−81587A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222791(P2011−222791)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000108937)ダイコク電機株式会社 (893)
【Fターム(参考)】