遊技媒体貸出システム
【課題】会員カードのような認証用の記憶媒体を所持しているだけで、会員が遊技を実行できるようにする。
【解決手段】玉貸機1は金額価値を有するICスティックを発行する処理と受け付けたICスティックの金額価値に応じて隣接するパチンコ機2へ玉貸する処理とを実行する。玉貸システムは、会員カードと、各パチンコ機2の前方の空間に会員カードの内蔵回路との交信が可能な交信領域Sを形成するアンテナ71,72と、交信領域S内の会員カードと交信して会員コードを取得する制御装置とを含んでいる。玉貸機1は、ICスティックの発行要求操作があると、発行するICスティックに会員コードを書き込み、玉貸要求操作があると、受け付けたICスティックより読み出された会員コードと通信により取得した会員コードとを照合し、会員コードの一致を条件として玉貸を実行する。
【解決手段】玉貸機1は金額価値を有するICスティックを発行する処理と受け付けたICスティックの金額価値に応じて隣接するパチンコ機2へ玉貸する処理とを実行する。玉貸システムは、会員カードと、各パチンコ機2の前方の空間に会員カードの内蔵回路との交信が可能な交信領域Sを形成するアンテナ71,72と、交信領域S内の会員カードと交信して会員コードを取得する制御装置とを含んでいる。玉貸機1は、ICスティックの発行要求操作があると、発行するICスティックに会員コードを書き込み、玉貸要求操作があると、受け付けたICスティックより読み出された会員コードと通信により取得した会員コードとを照合し、会員コードの一致を条件として玉貸を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パチンコホールなどの遊技場において、パチンコ玉や遊技用メダルのような遊技媒体の貸出に導入される遊技媒体貸出システムに関するもので、特にこの発明は、「台間機」と呼ばれる遊技媒体の貸出機により隣接する特定の遊技機へ遊技媒体を貸し出すための遊技媒体貸出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のパチンコホールでは、遊技用の記憶媒体を利用した遊技媒体貸出システムが導入されている。遊技用の記憶媒体として、磁気カードなど(以下、単に「カード」という。)が一般に用いられている。この貸出システムはパチンコ機やスロットマシンのような遊技機に隣接して「台間機」や「カードユニット」などと呼ばれる遊技媒体の貸出機を配置して構成されている。遊技機と貸出機との間は相互に信号のやり取りが可能なように電気的に接続されている。貸出機は金額価値を有するカードを受け付けたとき貸出処理が可能となる。この状態下で遊技者が貸出要求操作を行うと、隣接する遊技機へ遊技媒体の貸出を要求する貸出要求信号が送られる。遊技機では貸出要求信号を受けて遊技媒体の貸出処理が実行される。例えば遊技機がパチンコ機であれば受け皿にパチンコ玉が放出される。
【0003】
この種の貸出機として、カードによる遊技媒体の貸出機能に加えて、貨幣を受け付けてカードを発行する発券機能を備えたものがある。この貸出機では、機械内部に金額価値がゼロのカードをストックするためのカード収容部が設けられている。
貨幣が受け付けられると、カード収容部にストックされている1枚のカードが搬出され、そのカードに金額価値データを含む情報(以下「カード情報」という。)が書き込まれてカード受付口まで搬送される。その後、遊技者がカード投入操作を行うと、カードが所定位置まで取り込まれてカード情報が読み取られる。遊技者が貸出要求操作を行うと、遊技機に貸出要求信号が出され、カードの金額価値より一定の金額価値が引き落とされる。遊技機の側では、貸出要求信号を受けて、引き落とされた金額価値に相当する個数の遊技媒体が放出される。
【0004】
前記カード受付口は他の貸出機で発券されたカードを受け付けることも可能となっている。そのカードがカード受付口に挿入されると、カードは所定位置に取り込まれてカード情報が読み取られる。遊技者が貸出要求操作を行うと、遊技機に貸出要求信号が出され、カードの金額価値より所定の金額価値が引き落とされる。カードの金額価値がゼロになると、カード収容部に1枚のカードがストックされていれば、金額価値がゼロの空のカードはカード受付口へ搬出される。カード収容部に1枚のカードがストックされていなければ、空のカードはカード収容部に取り込まれる。
【0005】
ところで、最近の遊技媒体貸出システムでは、遊技用の記憶媒体として、従来のカードに代えて、アンテナを含むICチップが内蔵されたICスティックを用いたものが提案されている。また、一方で、不特定人を対象として付与される遊技用の記憶媒体(ICスティック)だけでなく、特定人(会員)を対象として付与される会員カードが発行され、その会員カードを遊技媒体の貸出に利用できるようにした遊技媒体の貸出機も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2005−73945号公報
【0007】
この会員カードが導入された貸出システムは、顧客の固定化と新たな客の取込みとを狙ったものであり、例えば、会員カードに遊技媒体の獲得数(例えば、パチンコ玉の持玉数)を記憶させて利用させる機能を持たせるなどして、会員に特別の便宜をはかっている。この種の貸出機では、遊技用の記憶媒体を受け付ける受付口の他に、会員カードを受け付ける会員カード受付口が別個に設けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した貸出システムでは、会員は遊技の開始に際して、会員カードを所持品の中から取り出して会員カード受付口へ挿入する必要がある。また、遊技終了後は会員カード受付口より会員カードを抜き取る必要がある。これらの操作は会員にとって煩雑である。また、遊技中に席を離れたり、遊技終了後に会員カードを抜き忘れたりすると、会員カードが他人に盗まれて悪用されるおそれがある。さらに、会員カード受付口に対して会員カードを頻繁に出し入れすることで、会員カードが損傷し易く、また汚れ易いという問題もある。一方、貸出機は、会員カードを受け付ける受付口を設ける必要があるため、構造が複雑化し、コスト高の要因にもなる。
【0009】
この発明は、上記の問題に着目してなされたもので、会員カード受付口に対する会員カードの挿脱を必要とせず、会員カードのような認証用の記憶媒体を所持しているだけで、会員が遊技を実行できるようにすることにより、認証用の記憶媒体の盗用や損傷などを防止し、貸出機に認証用の記憶媒体の受付口を設ける必要がない遊技媒体貸出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明による遊技媒体貸出システムは、複数台の遊技機と、各遊技機に隣接して設けられる複数台の貸出機とを含むものである。各貸出機は、金額価値を有する遊技用の記憶媒体を発行する処理を実行する発行手段と、受け付けた遊技用の記憶媒体の金額価値に応じて隣接する特定の遊技機へ遊技媒体を貸し出す処理を実行する貸出手段とを備えている。
この発明による遊技媒体貸出システムは、各会員に付与された個人認証のための会員コードを記憶する回路を内蔵する認証用の記憶媒体と、各遊技機の前方の空間に認証用の記憶媒体が内蔵する回路との交信が可能な交信領域をそれぞれ形成する通信手段と、前記交信領域内に存在する認証用の記憶媒体と前記通信手段との交信を介して前記会員コードを取得する通信制御手段とをさらに含んでいる。
前記貸出機の発行手段は、遊技用の記憶媒体の発行要求操作があったとき、発行する遊技用の記憶媒体に前記通信制御手段で取得した会員コードを書き込む処理を実行する。
前記貸出機の貸出手段は、遊技媒体の貸出要求操作があったとき、受け付けた遊技用の記憶媒体より読み出された会員コードと前記通信制御手段が認証用の記憶媒体より取得した会員コードとを照合する処理を実行し、会員コードが一致することを条件として遊技媒体の貸出を実行する。
【0011】
上記した構成の遊技媒体貸出システムにおいて、各遊技機の前方の空間は認証用の記憶媒体が内蔵する回路との交信が可能な交信領域になっており、認証用の記憶媒体を所持する遊技者(会員)が、遊技を行うに際して、遊技機の前に腰を掛けると、前記交信領域内に存在する認証用の記憶媒体と前記通信手段とが交信し、その交信を介して通信制御手段は会員コードを取得する。
その遊技者が遊技用の記憶媒体の発行を受けるために、貨幣を投入するなどの発行要求操作を行うと、貸出機の発行手段は、発行する遊技用の記憶媒体に通信制御手段で取得した会員コードを書き込む処理を実行する。これにより会員コードが記憶されかつ投入金額に応じた金額価値が付与された遊技用の記憶媒体が発行される。
一方、遊技者が、遊技用の記憶媒体を用いて遊技媒体の貸出要求操作を行うと、貸出機に受け付けられた遊技用の記憶媒体より会員コードが読み出されるとともに、前記通信制御手段が認証用の記憶媒体より会員コードを取得する。貸出機の貸出手段は、読み出された会員コードと取得した会員コードとを照合する処理を実行し、会員コードが一致するとき、遊技媒体の貸出が実行される。
【0012】
つぎに、認証用の記憶媒体を所持していない一般の遊技者が遊技機の前に腰を掛けたとき、交信領域内に認証用の記憶媒体が存在しないので、通信制御手段は会員コードを取得できない。この場合には、遊技用の記憶媒体の発行要求操作に対しては、会員コードが記憶されていない遊技用の記憶媒体を発行するように構成することができる。また、会員コードが記憶されていない遊技用の記憶媒体による遊技媒体の貸出要求操作に対しては、会員コードは読み出されず、また、通信制御手段も会員コードを取得できないので、この場合は遊技媒体の貸出を許可するように構成することができる。
【0013】
つぎに、認証用の記憶媒体を所持していない一般の遊技者が会員コードを記憶している遊技用の記憶媒体を用いて遊技媒体の貸出要求操作を行うと、貸出機に受け付けられた遊技用の記憶媒体より会員コードが読み出されるものの、前記通信制御手段は認証用の記憶媒体より会員コードを取得できないので、会員コードの照合は不能もしくは不一致となり、この場合は遊技媒体の貸出は実行されない。
また、認証用の記憶媒体を所持している会員が他の会員の会員コードを記憶している遊技用の記憶媒体を用いて遊技媒体の貸出要求操作を行った場合は、遊技用の記憶媒体より読み出された会員コードと前記通信制御手段が認証用の記憶媒体より取得した会員コードとは不一致となり、この場合も遊技媒体の貸出は実行されない。
【0014】
認証用の記憶媒体を忘れてきた会員が自己の会員コードを記憶している遊技用の記憶媒体を用いて遊技媒体の貸出要求操作を行うこともあり得る。このことを想定して、受け付けられた遊技用の記憶媒体より読み出された会員コードと一致する会員コードがデータ入力手段より入力されたことを条件として、遊技媒体の貸出を実行するように構成することもできる。なお、前記データ入力手段は、例えばテンキーなどを有する簡易なキーボードを貸出機に設けておくことにより実現できる。
【0015】
この発明の上記した構成において、遊技用の記憶媒体や認証用の記憶媒体は、典型的には、磁気カードやICカードのようなカード状の記憶媒体であるが、必ずしもカード状である必要はなく、スティック状やメダル状であってもよく、その形態は問わない。
また、発行手段や貸出手段の制御主体や通信制御手段は専用のハードウェア回路によっても実現できるし、プログラムされたコンピュータによって実現することもできる。
【0016】
この発明の好ましい実施態様においては、前記通信手段と認証用の記憶媒体とは、互いに電磁結合するアンテナをそれぞれ含んでおり、認証用の記憶媒体が記憶している会員コードは前記電磁結合によって形成される回路を介して通信制御手段により読み取られるものである。
さらに、認証用の記憶媒体は、アンテナを構成するコイルを有し、そのコイルは通信手段からの電波によって内蔵回路駆動用の電圧を発生するものである。
【0017】
この発明による他の遊技媒体貸出システムは、複数台の遊技機と、各遊技機に隣接して設けられる複数台の貸出機とに加えて、精算機を含むものである。
この精算機は、受け付けた遊技用の記憶媒体の金額価値を精算する処理を実行する精算手段を備えており、その精算機の精算手段は、遊技用の記憶媒体の精算要求操作があったとき、受け付けた遊技用の記憶媒体より読み出された会員コードと前記通信制御手段が認証用の記憶媒体より取得した会員コードとを照合する処理を実行し、会員コードが一致することを条件として遊技用の記憶媒体の精算を実行するようにする。
【0018】
上記した構成の遊技媒体貸出システムにおいて、精算機の前方の空間は認証用の記憶媒体が内蔵する回路との交信が可能な交信領域になっており、認証用の記憶媒体を所持する遊技者(会員)が、精算を行うに際して、精算機の前にくると、前記交信領域内に存在する認証用の記憶媒体と前記通信手段とが交信し、その交信を介して通信制御手段は会員コードを取得する。
その遊技者が精算を受けるために、精算要求操作を行うと、精算機に受け付けられた遊技用の記憶媒体より会員コードが読み出されるとともに、前記通信制御手段は認証用の記憶媒体より会員コードを取得する。精算機の精算手段は、読み出された会員コードと取得した会員コードとを照合する処理を実行し、会員コードが一致するとき、遊技用の記憶媒体の精算が実行される。
【0019】
つぎに、認証用の記憶媒体を所持していない一般の遊技者が会員コードを記憶している遊技用の記憶媒体を用いて精算要求操作を行うと、精算機に受け付けられた遊技用の記憶媒体より会員コードが読み出されるものの、前記通信制御手段は認証用の記憶媒体より会員コードを取得できないので、会員コードの照合は不能もしくは不一致となり、この場合は遊技用の記憶媒体の精算は実行されない。
また、認証用の記憶媒体を所持している会員が他の会員の会員コードを記憶している遊技用の記憶媒体を用いて精算要求操作を行った場合は、遊技用の記憶媒体より読み出された会員コードと前記通信制御手段が認証用の記憶媒体より取得した会員コードとは不一致となり、この場合も遊技用の記憶媒体の精算は実行されない。
【0020】
認証用の記憶媒体を忘れてきた会員が自己の会員コードを記憶している遊技用の記憶媒体を用いて精算要求操作を行うこともあり得る。このことを想定して、受け付けられた遊技用の記憶媒体より読み出された会員コードと一致する会員コードが精算機に設けられたデータ入力手段より入力されたことを条件として、遊技用の記憶媒体の精算を実行するように構成することもできる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によると、会員は遊技や精算を行うに際して、認証用の記憶媒体を受付口に対して挿脱する必要がなく、操作の負担が軽減される。また、遊技終了後に認証用の記憶媒体を抜き忘れたりすることもなく、認証用の記憶媒体が他人に盗まれて悪用されることがない。さらに、認証用の記憶媒体を受付口に対して出し入れする必要がないので、認証用の記憶媒体が損傷したり汚れたりすることがない。また、貸出機の方は、認証用の記憶媒体を受け付ける受付口を設ける必要がないので、構造の簡易化がはかられ、コストの低減を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、この発明の一実施例であるパチンコホールにおけるパチンコ玉の貸出システムの概略構成を示している。なお、この発明は、パチンコ機の遊技媒体であるパチンコ玉に限らず、スロットマシンの遊技媒体である遊技用メダルを貸し出すシステムにも適用することができる。
パチンコホール内は複数列の島A,Bより成り、各島A,Bにそれぞれ複数台のパチンコ機2が背中合わせの状態で整列配置されている。各パチンコ機2の前にはそれぞれ椅子9が固定状態で設置されている。
【0023】
図示例の玉貸システムは、パチンコホールにおいて、金額価値が付与された遊技用の記憶媒体を介在させてパチンコ玉の貸出処理を行うものであり、パチンコホール内の全てのパチンコ機2にそれぞれ隣接して配備された複数台の玉貸機1と、遊技用の記憶媒体が現に保有する金額価値(残価値)を精算するための精算機3と、発行された遊技用の記憶媒体についての管理を行うための管理装置4とで構成されている。この実施例の各玉貸機1は、玉貸機能と遊技用の記憶媒体の発行機能とを併せ持っているので、遊技用の記憶媒体を発行するための専用の発行機は必ずしも必要でないが、パチンコホールの適所に必要に応じて専用の発行機を配置してもよい。
【0024】
各玉貸機1は、隣接する特定のパチンコ機2との間で相互に信号のやり取りを行うために、そのパチンコ機2と電気接続されている。また、精算機3は少なくとも1台がパチンコホールの適所に設置されている。なお、玉貸機1の具体的な構成は図2に、精算機3の具体的な構成は図3に、それぞれ示してあり、その詳細は後述する。
各玉貸機1、精算機3、および管理装置4は、双方向性の通信回線10を介して相互に通信することが可能なように電気接続されている。なお、各玉貸機1は島A,B毎に配備された中継装置(図示せず)を介して前記通信回線10に接続されている。
【0025】
図4は、この実施例の玉貸システムで用いられている遊技用の記憶媒体としてのICスティック5を示している。図示例のICスティック5は、合成樹脂成形体であり、上下に重ねて一体化された分割体51,52より成る。上側の分割体51の上面には両端部に凹部53,53が、下側の分割体52の下面には長さ方向の溝部54が、それぞれ形成されている。
ICスティック5の内部にはアンテナを含むICチップ50が収納されている。前記アンテナは、玉貸機1や精算機3の内部の所定位置に配備されたアンテナとの間で微少な電力によって通信が可能となっている。
【0026】
このICスティック5のICチップ50には、玉貸機1への投入金額に応じた金額価値分の度数データの他、発行した玉貸機の台番号、ICスティック5の識別番号、発行日付や時刻、必要に応じて発行した店舗など、種々の情報が書き込まれる。また、発行を受ける遊技者が後述する会員である場合には、その会員の会員コードも書き込まれるようになっている。この実施例では、ICスティック5に書き込まれた情報は発行元の玉貸機1に登録されて管理される。
【0027】
図5は、会員登録をした遊技者(会員)に付与される会員カード6を示している。この会員カード6は、適所にアンテナを含むICチップ60が埋め込まれており、このICチップ60に会員毎に付与された個人認証のための会員コード(ID番号)が記憶させてある。
会員は、パチンコホールにおいて会員としての特典を享受するには会員カード6を所持しておく必要がある。しかし、会員は、遊技や精算に際して、会員カード6を取り出して玉貸機1や精算機3に挿入する必要はない。会員は会員カード6を所持してパチンコ機2の前の椅子9に腰掛けて遊技を行うだけで、会員カード6と玉貸機1との間の交信によって会員カード6に記憶されている会員コードが玉貸機1で取得される。これにより会員の来店がパチンコホール側で把握されることになる。
【0028】
図1に戻って、各パチンコ機2の正面部分の適所とパチンコ機毎の椅子9とには通信装置7を構成するアンテナ71,72がそれぞれ設置されている。前記通信装置7は図示しない送受信回路などを含むもので、後述する図9に示されるように、玉貸機1の制御装置100に接続されている。各アンテナ71,72は指向性を有し、パチンコ機2と椅子9との間、すなわち、パチンコ機2の前方の空間には、前記会員カード6に埋設されたアンテナとの交信が可能な交信領域Sが形成される。前記制御装置100はアンテナ71,72から同じ位相の電波を送信して交信領域Sを形成する。この交信領域S内に会員カード6を所持する遊技者がいれば、アンテナ71,72と会員カード6のアンテナとの間に回路が形成され、会員カード6のICチップ60に記憶されている会員コードが制御装置100によって読み取られる。
【0029】
前記会員カード6のICチップ60は、図6に示すように、コイル部61とダイオード62と電子回路部63とを含んでいる。コイル部61はアンテナとして機能するとともに電源としても機能し、電波を受信して起電力を誘起する。ダイオード62はコイル部61の誘起起電力による電流を整流して直流電圧を得る。この直流電圧は電子回路部63へ与えられ、これにより電子回路部63が動作する。電子回路部63に記憶されている会員コードに対応してコイル部61を含む共振回路のQ値を変化させ、それをアンテナ71,72の側で誘起起電力の変化として検出して前記会員コードを読み取る。
【0030】
つぎに、図2に示される玉貸機1は、パチンコ機に側面が隣接した状態で配備されるものであり、紙幣aの投入を受け付けてICスティック5を発行して放出した後、そのICスティック5の挿入を受け付けて隣接する特定のパチンコ機2へパチンコ玉の貸出処理を行う。
なお、この実施例では、パチンコ機2へのパチンコ玉の貸出をデータ送信によって行っているが、この発明はこれに限らず、パチンコ玉を直接外部へ放出する方式にも適用できる。
【0031】
図示例の玉貸機1は、縦に長く幅の狭い筐体11を有し、筐体11の前面に、種々の金種の紙幣a(この実施例では、千円札、二千円札、五千円札、一万円札)を縦向きにして受け付けるスリット状の紙幣投入口12と、矩形状の蓋13で塞がれた貨幣回収口14とが設けられている。前記蓋13は、前方への起伏動作によって開閉するもので、蓋13の開放によって内部にストックされた紙幣を回収することが可能となる。
【0032】
筐体11の内部には、図示していないが、紙幣投入口12の位置に対応させて紙幣処理部が、紙幣回収口14の位置に対応させて紙幣収納部が、それぞれ配置されている。前記紙幣処理部は、紙幣投入口12へ投入された紙幣aを取り込む紙幣取込機構と、取り込まれた紙幣aの適否を判別する紙幣識別器83(図9)と、適正判別された紙幣aを前記紙幣収納部へ搬送する紙幣搬送機構とを含んでいる。前記紙幣識別器83によって不適正であると判断された紙幣は紙幣投入口12へ返却される。なお、上記の紙幣取込機構と紙幣搬送機構とは図9に示す紙幣処理機構部84を構成している。
【0033】
前記紙幣回収口14の下方にはICスティック5を出し入れするための挿排口15が設けられ、その下方に、情報を表示するための表示器16と、表示器16の背後位置に、遠隔制御装置110からの解錠操作信号を受光する受光素子87(図9)とが、それぞれ配置されている。前記受光素子87が遠隔制御装置110からの解錠操作信号を受光すると、外側へ付勢された状態の蓋13が押し開かれる。
なお、図中、17は紙幣aが受付可能かどうかなどを表示するためのランプ、18は停電時などに鍵を差し込んで蓋13の開放を行うためのシリンダ錠の鍵挿入孔である。
【0034】
筐体11の内部には、前記ICスティック5の挿排口15の位置に対応して、1Cスティック5を保持して情報の読み書きを行うための記憶媒体処理部が配置されている。
この実施例の記憶媒体処理部は、図7に示すように、回転軸80上に回転自由に支持されるホルダー8を有するもので、このホルダー8の等角度位置(図示例では60度毎)には、ICスティック5を水平姿勢で保持するための収納部81が設けられている。ホルダー8は、図示しない間欠送り機構により60ずつ間欠回転させて前記挿排口15の位置にいずれかの収納部81を定位させることが可能であり、また、図示しない繰出機構により前記挿排口15の位置にあるホルダー8の収納部81よりICスティック5を挿排口15へ送り出すことが可能となっている。なお、上記した間欠送り機構と繰出機構とは図9に示すICスティック処理機構部86を構成している。
【0035】
前記挿排口15の位置にあるホルダー8の収納部81に対応させてリードライター85のアンテナ82が配置されており、収納部81に収納されたICスティック5とリードライター85とがアンテナ82を介して情報を送受信することが可能となっている。
【0036】
玉貸機1は、上記のホルダー8に形成された6個の収納部81のうち、少なくとも1個の収納部81に金額価値がゼロのICスティック5が収納され、かつ少なくとも1個の収納部81にICスティック5が収納されていない空状態で運用される。
【0037】
なお、上記の実施例では、隣接する一方のパチンコ機へパチンコ玉を貸し出すものであるが、図8に示す実施例のように、隣接する両方のパチンコ機へパチンコ玉を貸し出すような構成であってもよい。
【0038】
同図の玉貸機1は、前記紙幣回収口12の下方に、右隣のパチンコ機でパチンコ玉の貸出を受けるために操作される第1の操作部19aと、左隣のパチンコ機でパチンコ玉の貸出を受けるために操作される第2の操作部19bとが設けられている。
第1、第2の各操作部19a,19bには、ICスティック5の出し入れを行うためのICスティック5の挿排口15a,15bと、パチンコ機を指定するために紙幣の投入前に押される指定ボタン20a,20bと、隣の遊技者からの視線を遮るための目隠し21a,21bとがそれぞれ設けられている。
【0039】
筐体11の内部には、各挿排口15a,15bの位置に対応して、1Cスティック5を保持して情報の読み書きを行うための記憶媒体処理部がそれぞれ配置されている。なお、各記憶媒体処理部の構成は図2の実施例と同様であり、ここでは説明を省略する。また、その他の構成も図2の実施例と同様であり、ここでは対応する構成に同じ符号を付することで説明を省略する。
【0040】
つぎに、図3に示される精算機3は、ICスティック5を受け付け、そのICスティック5が現に保有している金額価値を払い戻すための精算処理を行うものである。
図示例の精算機3は、筐体31の前面にICスティック5の挿入を受け付ける受付口32と、精算処理を要求するための精算ボタン33と、挿入したICスティック5の返却を求めるための返却ボタン34と、受け付けられたICスティック5の金額価値に応じた金額を紙幣や硬貨によって払い出すための紙幣放出口35および硬貨放出口36とが設けられている。
なお、図中、37は受け付けられたICスティック5を回収するための回収ボックス、38は受け付けられたICスティック5の金額価値などを表示するための表示器である。
【0041】
筐体31の内部には、ICスティック5の受付口32の位置に対応して、1Cスティック5を保持して情報の読み書きを行うための記憶媒体処理部が配置されている。
この記憶媒体処理部は、図示していないが、挿入されたICスティック5を内部へ取り込むための取込機構と、ICスティック5が取り込まれる位置に対応して配置されたリードライター90(図10)のアンテナと、ICスティック5を前記回収ボックス37へ導出するための導出機構とを含んでおり、ICスティック5とリードライター90とがアンテナを介して情報を送受信することが可能となっている。なお、上記した取込機構と導出機構とは図10に示したICスティック処理機構部91を構成している。
【0042】
また、筐体31の内部には、図示していないが、紙幣放出口35の位置に対応させて紙幣処理部が、硬貨放出口36の位置に対応させて硬貨処理部が、それぞれ配置されている。前記紙幣処理部は複数種の金種の紙幣を精算金額に応じて紙幣処理機構部92(図10)により導出させて紙幣放出口35へ繰り出すものである。また、硬貨処理部は所定の金種(例えば百円)の硬貨を硬貨収納部より精算金額に応じた枚数だけ硬貨処理機構部93(図10)により導出させて硬貨放出口36へ放出するものである。さらに、筐体31の内部には、通信装置7を構成するアンテナ73が設けてあり、このアンテナ73によって精算機3の前方の空間に交信領域を形成している。
【0043】
図1に示した管理装置4は、コンピュータにより構成され、定期的(例えば10分毎)に各玉貸機1および精算機3のデータ記憶部(例えばRAM)をアクセスしてICスティック5の販売状況や利用状況に関わる情報を受信して記憶するとともに、パチンコホール内におけるICスティック5の売上、ICスティック5の利用個数、パチンコ玉の貸出に消費された金額などを集計する。この管理装置4による各種データの集計結果は閉店時などにシステム管理装置へ送られる。システム管理装置は複数のパチンコホールからのデータ送信を受け付けることが可能なサーバー用コンピュータであり、送信を受けた日々のデータを用いて各パチンコホールに対する請求処理のためのデータを集計する。
【0044】
各玉貸機1においてICスティック5に書き込まれた情報(発行元の玉貸機の台番号、ICスティックの金額価値、識別番号、発行日付や時刻、発行した店舗など)は、そのICスティック5を発行した玉貸機1に登録されて管理される。
各玉貸機1や精算機3がICスティック5を受け付けると、ICスティック5の発行元の玉貸機1との間で交信し、受け付けたICスティック5の情報を照合する。もし、情報が適正であれば、そのICスティック5に対する貸出や精算などの処理が進められ、貸出や精算に応じて登録データが書き換えられる。
なお、この実施例ではICスティック5に関わる情報は発行元の玉貸機1において分散管理しているが、これに限らず、管理装置4において集中管理してもよい。
【0045】
図9は、上記した玉貸機1の電気的な構成の概略を示している。同図中、100は制御装置であり、制御の主体であるCPU101とROM102とRAM103とを含んでいる。制御装置100にはバス104を介してI/Oインターフェイス回路105が接続され、I/Oインターフェイス回路105には紙幣識別機83、紙幣処理機構部84、リードライター85、ICスティック処理機構部86、受光素子87、表示器16、貸出スイッチ88、通信装置7、通信インターフェイス回路106,107が接続されている。
貸出スイッチ88はパチンコ機2の側に設けてあり、遊技者がパチンコ玉の貸出を要求するときに押操作される。一方の通信インターフェイス回路106は隣接するパチンコ機2との間の各種制御信号を中継する。他方の通信インターフェイス回路107は全てのパチンコ機2、精算機3、および管理装置4との間の通信を行うためのものである。
【0046】
図10は上記した精算機3の電気的な構成を示している。同図中、120は制御装置であり、制御の主体であるCPU121とROM122とRAM123とを含んでいる。制御装置120にはバス124を介してI/Oインターフェイス回路125が接続され、I/Oインターフェイス回路125にはリードライター90、ICスティック処理機構部91、紙幣処理機構部92、硬貨処理機構部93、精算ボタン33、返却ボタン34、表示器38、通信装置7、および通信インターフェイス回路126が接続されている。通信インターフェイス回路126は全てのパチンコ機2、精算機3、および管理装置4と通信を行うためのものである。
なお、図示していないが、前記した遠隔制御装置110は、玉貸機1の前で所定の解錠キーを押すと、解錠操作信号が玉貸機1の受光素子87に向けて送出されるもので、玉貸機1では前記CPU101がコード照合を行い、それが一致していれば、ロック解除されて蓋13が押し開かれる。
【0047】
図11は、玉貸機1の制御装置100による制御の流れを示している。図中、「ST」は「STEP」の略であり、一連の流れにおける各手順を示している。制御装置100のCPU101はROM102に格納されたプログラムに従ってRAM103に対するデータの読み書きを実行しつつ入出力各部の動作を一連に制御するものである。
【0048】
まず、CPU101は、同図のST1,2において、遊技者によるICスティック5の発行要求操作とパチンコ玉の貸出要求操作とに待機している。いま、遊技者が紙幣投入口12に紙幣aを投入すると、ST1の判定が「YES」であり、CPU101は金額価値がゼロのICスティック5を収納した収納部81が挿排口15の位置にくるようにホルダー8を回動させ、アンテナ82を介して、受け付けた紙幣aの金額をICスティック5に書き込んで発行する処理を実行する(ST3)。
一方、遊技者が貸出スイッチ88を押操作すると、ST2の判定が「YES」であり、CPU101は金額価値を有するICスティック5が挿排口15に存在することを条件として玉貸処理を実行する(ST4,5)。もし、金額価値を有するICスティック5が挿排口15に存在していないければST4の判定が「NO」であり、原則として玉貸処理は実行されない。
【0049】
図12は、図11のST3のICスティック発行処理の詳細を示している。
同図のST3−1では、CPU101は遊技者が会員カードを所持しているかどうか、すなわち、交信領域S内に会員カード6が存在するかどうかを通信により判定している。もし、遊技者が会員カード6を所持していれば、ST3−1の判定が「YES」であり、CPU101は会員カード6のICチップ60に記憶されている会員コードを通信により取得する(ST3−2)。つぎのST3−3では、CPU101はICスティック5に金額価値、ICスティック5の識別番号、会員コードなどの所定の情報を書き込み、さらに、それらの情報をRAM103に登録データとして記憶させる(ST3−4)。
【0050】
もし、遊技者が会員カード6を所持していなければ、ST3−1の判定は「NO」であり、CPU101はICスティック5に金額価値、ICスティック5の識別番号などの所定の情報(会員コードを含まず)を書き込み(ST3−6)、さらに、それらの情報をRAM103に登録データとして記憶させる(ST3−4)。
【0051】
図13は、図11のST5の玉貸処理の詳細を示している。
同図のST5−1では、CPU101はICスティック5の情報を読み取り、その情報の中に会員コードが含まれているかどうかを判断する。もし、会員コードが含まれていれば、ST5−2の判定が「YES」であり、つぎに、CPU101は遊技者が会員カードを所持しているかどうか、すなわち、交信領域S内の会員カード6が存在するかどうかを通信により判定する(ST5−3)。
【0052】
もし、遊技者が会員カード6を所持していれば、ST5−3の判定が「YES」であり、CPU101は会員カード6のICチップ60に記憶されている会員コードを通信により取得し(ST5−4)、読み取った会員コードと通信により取得した会員コードとを照合する(ST5−5)。その結果、会員コードが一致していれば、ST5−6の判定が「YES」であり、CPU101はICスティック5の発行元の玉貸機1と交信して登録データの書換処理を行った後(ST5−7)、パチンコ機2に対して玉貸要求信号を送出する(ST5−8)。
【0053】
もし、ICスティック5より読み取った情報に会員コードが含まれていなければ、ST5−2の判定が「NO」であり、CPU101はICスティック5の発行元の玉貸機1と交信して登録データの書換処理を行った後(ST5−7)、パチンコ機2に対して玉貸要求信号を送出する(ST5−8)。
【0054】
もし、ICスティック5より読み取った情報に会員コードが含まれ、かつ遊技者が会員カードを所持していないときは、ST5−3の判定が「NO」であり、CPU101は表示器16に玉貸を許可しない旨を表示させて玉貸を禁止する(ST5−9)。また、ST5−6において会員コードが不一致であると判定されたときも、ST5−6の判定が「NO」であり、同様に玉貸が禁止される(ST5−9)。
なお、会員が会員カードを紛失した場合や忘れてきた場合には、パチンコホールのカウンタへ行って会員コードを告げるなどして会員であることを証明すれば、ICスティック5より会員コードの記憶データを消去するようにする。
【0055】
図14は、精算機3の制御装置120による制御の流れを示している。制御装置120のCPU121はROM122に格納されたプログラムに従ってRAM123に対するデータの読み書きを実行しつつ入出力各部の動作を一連に制御するものである。
【0056】
まず、同図のST1において、CPU121は遊技者がICスティック5を受付口32へ挿入するのに待機している。ICスティック5が受付口32で受け付けられると、ST1の判定が「YES」であり、つぎにCPU121は遊技者による精算ボタン33または返却ボタン34の押操作に待機する(ST2,3)。もし、精算ボタン33が押操作されると、ST2の判定が「YES」であり、CPU121は精算処理を実行する(ST4)。もし、返却ボタン34が押操作されると、ST3の判定が「YES」であり、CPU121は挿入されたICスティック5を受付口32より返却する。
【0057】
図15は、図14のST4の精算処理の詳細を示している。
同図のST4−1では、CPU121はICスティック5の情報を読み取り、その情報の中に会員コードが含まれているかどうかを判断する。もし、会員コードが含まれていれば、ST4−2の判定が「YES」であり、つぎに、CPU121は遊技者が会員カードを所持しているかどうか、すなわち、交信領域S内の会員カード6が存在するかどうかを通信により判定する(ST4−3)。
【0058】
もし、遊技者が会員カード6を所持していれば、ST4−3の判定が「YES」であり、CPU121は会員カード6のICチップ60に記憶されている会員コードを通信により取得し(ST4−4)、読み取った会員コードと通信により取得した会員コードとを照合する(ST4−5)。その結果、会員コードが一致していれば、ST4−6の判定が「YES」であり、CPU121はICスティック5の発行元の玉貸機1と交信して登録データの書換処理を行った後(ST4−7)、精算処理を行ってICスティック5の金額価値に応じた金額を紙幣または硬貨によって払い戻す(ST4−8)。
【0059】
もし、ICスティック5より読み取った情報に会員コードが含まれていなければ、ST4−2の判定が「NO」であり、CPU121はICスティック5の発行元の玉貸機1と交信して登録データの書換処理を行った後(ST4−7)、精算処理を行ってICスティック5の金額価値に応じた金額を紙幣または硬貨によって払い戻す(ST4−8)。
【0060】
もし、ICスティック5より読み取った情報に会員コードが含まれ、かつ遊技者が会員カードを所持していないときは、ST4−3の判定が「NO」であり、CPU121は表示器38に精算を許可しない旨を表示させて精算を禁止する(ST4−9)。また、ST4−6において会員コードが不一致であると判定されたときも、同様に精算が禁止される(ST4−9)。
【0061】
上記した実施例は、会員カード6およびICスティック5が1店舗に限って有効である玉貸システムについての構成であるが、会員カード6およびICスティック5が複数の店舗にわたって有効である玉貸システムについては、図16に示すように、各店舗の管理装置4から外部サーバ130にリアルタイムにデータが集積されるように構成されている。
また、上記した実施例では、ICスティック5を発行元の玉貸機1で管理する分散管理システムが導入されているが、図16に示す実施例では、ICスティック5を外部サーバ130で一括管理する集中管理システムが導入されている。
なお、同図における各店舗の玉貸機1や精算機3は上記した実施例と同様のものであり、ここでは図示並びに説明を省略する。
【0062】
図17は、図16に示した玉貸システムにおける貸出処理の詳細を示すもので、同図のST5−1において、CPU101はICスティック5の記憶情報を読み取っている。その記憶情報にはICスティック5を発行した店舗に関わるデータが含まれており、その店舗に関わるデータによってICスティック5が当店で発行されたものであるかどうかを判定する(ST5−2)。もし、当店発行のものであれば、ST5−2の判定が「YES」であり、つぎに、読み取った情報の中に会員コードが含まれているかどうかを判断する(ST5−3)。もし、会員コードが含まれていれば、ST5−3の判定が「YES」であり、CPU101は遊技者が会員カードを所持しているかどうか、すなわち、交信領域S内の会員カード6が存在するかどうかを通信により判定する(ST5−4)。
【0063】
もし、遊技者が会員カードを所持していれば、ST5−4の判定が「YES」であり、CPU101は会員カード6のICチップ60に記憶されている会員コードを通信により取得する(ST5−5)。つぎにCPU101は、読み取った会員コードと通信により取得した会員コードとを照合する(ST5−6)。その結果、会員コードが一致していれば、ST5−7の判定が「YES」であり、CPU101は外部サーバ130と交信して登録データの書換処理を行った後(ST5−8)、パチンコ機2に対して玉貸要求信号を送出する(ST5−9)。
【0064】
もし、ST5−2において、ICスティック5が当店発行のものでないと判定されると、つぎにCPU101は、外部サーバ130にICスティック5についての登録データがあるかどうかを確認し(ST5−11)、登録データがあれば、ST5−12の判定が「YES」であり、ST5−4へ移行する。
【0065】
もし、ST5−3において、ICスティック5より読み取った情報に会員コードが含まれていないと判定されたときは、CPU101は外部サーバ130と交信して登録データの書換処理を行った後(ST5−8)、パチンコ機2に対して玉貸要求信号を送出する(ST5−9)。
【0066】
もし、ST5−4において、遊技者が会員カードを所持していないと判定されたときは、CPU101は表示器16に玉貸を許可しない旨を表示させて玉貸を禁止する(ST5−10)。また、ST5−6において、会員コードが不一致であると判定されたときも、同様に玉貸が禁止される(ST5−9)。
【0067】
図16に示す玉貸システムにおける精算処理の詳細については図示していないが、図17に示した貸出処理と同様、受け付けたICスティック5が当店発行のものでなければ外部サーバ130で登録データの確認を行い、また、精算処理を実行する場合には外部サーバ130と交信して登録データの書換処理を実行するもので、その他の制御の流れは図15に示したものと同様である。。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】この発明の一実施例であるパチンコ玉の貸出システムの概略構成を示す説明図である。
【図2】玉貸機の外観を示す斜視図である。
【図3】精算機の外観を示す斜視図である。
【図4】ICスティックの外観を示す斜視図である。
【図5】会員カードの外観を示す斜視図である。
【図6】会員カードのICチップの構成を示す電気回路図である。
【図7】玉貸機のホルダーの構成を示す正面図である。
【図8】玉貸機の他の実施例を示す斜視図である。
【図9】玉貸機の電気的な構成を示すブロック図である。
【図10】精算機の電気的な構成を示すブロック図である。
【図11】玉貸機の制御装置による制御の流れを示すフローチャートである。
【図12】ICスティックの発行処理の詳細を示すフローチャートである。
【図13】玉貸処理の詳細を示すフローチャートである。
【図14】精算機の制御装置による制御の流れを示すフローチャートである。
【図15】精算処理の詳細を示すフローチャートである。
【図16】他の実施例にかかるパチンコ玉貸出システムの概略構成を示す説明図である。
【図17】図16の実施例における玉貸機の制御装置による玉貸処理の制御の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1 玉貸機
2 パチンコ機
3 精算機
5 ICスティック
6 会員カード
7 通信装置
61 コイル部
71,72 アンテナ
100,120 制御装置
101,121 CPU
102,122 ROM
103,123 RAM
【技術分野】
【0001】
この発明は、パチンコホールなどの遊技場において、パチンコ玉や遊技用メダルのような遊技媒体の貸出に導入される遊技媒体貸出システムに関するもので、特にこの発明は、「台間機」と呼ばれる遊技媒体の貸出機により隣接する特定の遊技機へ遊技媒体を貸し出すための遊技媒体貸出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のパチンコホールでは、遊技用の記憶媒体を利用した遊技媒体貸出システムが導入されている。遊技用の記憶媒体として、磁気カードなど(以下、単に「カード」という。)が一般に用いられている。この貸出システムはパチンコ機やスロットマシンのような遊技機に隣接して「台間機」や「カードユニット」などと呼ばれる遊技媒体の貸出機を配置して構成されている。遊技機と貸出機との間は相互に信号のやり取りが可能なように電気的に接続されている。貸出機は金額価値を有するカードを受け付けたとき貸出処理が可能となる。この状態下で遊技者が貸出要求操作を行うと、隣接する遊技機へ遊技媒体の貸出を要求する貸出要求信号が送られる。遊技機では貸出要求信号を受けて遊技媒体の貸出処理が実行される。例えば遊技機がパチンコ機であれば受け皿にパチンコ玉が放出される。
【0003】
この種の貸出機として、カードによる遊技媒体の貸出機能に加えて、貨幣を受け付けてカードを発行する発券機能を備えたものがある。この貸出機では、機械内部に金額価値がゼロのカードをストックするためのカード収容部が設けられている。
貨幣が受け付けられると、カード収容部にストックされている1枚のカードが搬出され、そのカードに金額価値データを含む情報(以下「カード情報」という。)が書き込まれてカード受付口まで搬送される。その後、遊技者がカード投入操作を行うと、カードが所定位置まで取り込まれてカード情報が読み取られる。遊技者が貸出要求操作を行うと、遊技機に貸出要求信号が出され、カードの金額価値より一定の金額価値が引き落とされる。遊技機の側では、貸出要求信号を受けて、引き落とされた金額価値に相当する個数の遊技媒体が放出される。
【0004】
前記カード受付口は他の貸出機で発券されたカードを受け付けることも可能となっている。そのカードがカード受付口に挿入されると、カードは所定位置に取り込まれてカード情報が読み取られる。遊技者が貸出要求操作を行うと、遊技機に貸出要求信号が出され、カードの金額価値より所定の金額価値が引き落とされる。カードの金額価値がゼロになると、カード収容部に1枚のカードがストックされていれば、金額価値がゼロの空のカードはカード受付口へ搬出される。カード収容部に1枚のカードがストックされていなければ、空のカードはカード収容部に取り込まれる。
【0005】
ところで、最近の遊技媒体貸出システムでは、遊技用の記憶媒体として、従来のカードに代えて、アンテナを含むICチップが内蔵されたICスティックを用いたものが提案されている。また、一方で、不特定人を対象として付与される遊技用の記憶媒体(ICスティック)だけでなく、特定人(会員)を対象として付与される会員カードが発行され、その会員カードを遊技媒体の貸出に利用できるようにした遊技媒体の貸出機も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2005−73945号公報
【0007】
この会員カードが導入された貸出システムは、顧客の固定化と新たな客の取込みとを狙ったものであり、例えば、会員カードに遊技媒体の獲得数(例えば、パチンコ玉の持玉数)を記憶させて利用させる機能を持たせるなどして、会員に特別の便宜をはかっている。この種の貸出機では、遊技用の記憶媒体を受け付ける受付口の他に、会員カードを受け付ける会員カード受付口が別個に設けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した貸出システムでは、会員は遊技の開始に際して、会員カードを所持品の中から取り出して会員カード受付口へ挿入する必要がある。また、遊技終了後は会員カード受付口より会員カードを抜き取る必要がある。これらの操作は会員にとって煩雑である。また、遊技中に席を離れたり、遊技終了後に会員カードを抜き忘れたりすると、会員カードが他人に盗まれて悪用されるおそれがある。さらに、会員カード受付口に対して会員カードを頻繁に出し入れすることで、会員カードが損傷し易く、また汚れ易いという問題もある。一方、貸出機は、会員カードを受け付ける受付口を設ける必要があるため、構造が複雑化し、コスト高の要因にもなる。
【0009】
この発明は、上記の問題に着目してなされたもので、会員カード受付口に対する会員カードの挿脱を必要とせず、会員カードのような認証用の記憶媒体を所持しているだけで、会員が遊技を実行できるようにすることにより、認証用の記憶媒体の盗用や損傷などを防止し、貸出機に認証用の記憶媒体の受付口を設ける必要がない遊技媒体貸出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明による遊技媒体貸出システムは、複数台の遊技機と、各遊技機に隣接して設けられる複数台の貸出機とを含むものである。各貸出機は、金額価値を有する遊技用の記憶媒体を発行する処理を実行する発行手段と、受け付けた遊技用の記憶媒体の金額価値に応じて隣接する特定の遊技機へ遊技媒体を貸し出す処理を実行する貸出手段とを備えている。
この発明による遊技媒体貸出システムは、各会員に付与された個人認証のための会員コードを記憶する回路を内蔵する認証用の記憶媒体と、各遊技機の前方の空間に認証用の記憶媒体が内蔵する回路との交信が可能な交信領域をそれぞれ形成する通信手段と、前記交信領域内に存在する認証用の記憶媒体と前記通信手段との交信を介して前記会員コードを取得する通信制御手段とをさらに含んでいる。
前記貸出機の発行手段は、遊技用の記憶媒体の発行要求操作があったとき、発行する遊技用の記憶媒体に前記通信制御手段で取得した会員コードを書き込む処理を実行する。
前記貸出機の貸出手段は、遊技媒体の貸出要求操作があったとき、受け付けた遊技用の記憶媒体より読み出された会員コードと前記通信制御手段が認証用の記憶媒体より取得した会員コードとを照合する処理を実行し、会員コードが一致することを条件として遊技媒体の貸出を実行する。
【0011】
上記した構成の遊技媒体貸出システムにおいて、各遊技機の前方の空間は認証用の記憶媒体が内蔵する回路との交信が可能な交信領域になっており、認証用の記憶媒体を所持する遊技者(会員)が、遊技を行うに際して、遊技機の前に腰を掛けると、前記交信領域内に存在する認証用の記憶媒体と前記通信手段とが交信し、その交信を介して通信制御手段は会員コードを取得する。
その遊技者が遊技用の記憶媒体の発行を受けるために、貨幣を投入するなどの発行要求操作を行うと、貸出機の発行手段は、発行する遊技用の記憶媒体に通信制御手段で取得した会員コードを書き込む処理を実行する。これにより会員コードが記憶されかつ投入金額に応じた金額価値が付与された遊技用の記憶媒体が発行される。
一方、遊技者が、遊技用の記憶媒体を用いて遊技媒体の貸出要求操作を行うと、貸出機に受け付けられた遊技用の記憶媒体より会員コードが読み出されるとともに、前記通信制御手段が認証用の記憶媒体より会員コードを取得する。貸出機の貸出手段は、読み出された会員コードと取得した会員コードとを照合する処理を実行し、会員コードが一致するとき、遊技媒体の貸出が実行される。
【0012】
つぎに、認証用の記憶媒体を所持していない一般の遊技者が遊技機の前に腰を掛けたとき、交信領域内に認証用の記憶媒体が存在しないので、通信制御手段は会員コードを取得できない。この場合には、遊技用の記憶媒体の発行要求操作に対しては、会員コードが記憶されていない遊技用の記憶媒体を発行するように構成することができる。また、会員コードが記憶されていない遊技用の記憶媒体による遊技媒体の貸出要求操作に対しては、会員コードは読み出されず、また、通信制御手段も会員コードを取得できないので、この場合は遊技媒体の貸出を許可するように構成することができる。
【0013】
つぎに、認証用の記憶媒体を所持していない一般の遊技者が会員コードを記憶している遊技用の記憶媒体を用いて遊技媒体の貸出要求操作を行うと、貸出機に受け付けられた遊技用の記憶媒体より会員コードが読み出されるものの、前記通信制御手段は認証用の記憶媒体より会員コードを取得できないので、会員コードの照合は不能もしくは不一致となり、この場合は遊技媒体の貸出は実行されない。
また、認証用の記憶媒体を所持している会員が他の会員の会員コードを記憶している遊技用の記憶媒体を用いて遊技媒体の貸出要求操作を行った場合は、遊技用の記憶媒体より読み出された会員コードと前記通信制御手段が認証用の記憶媒体より取得した会員コードとは不一致となり、この場合も遊技媒体の貸出は実行されない。
【0014】
認証用の記憶媒体を忘れてきた会員が自己の会員コードを記憶している遊技用の記憶媒体を用いて遊技媒体の貸出要求操作を行うこともあり得る。このことを想定して、受け付けられた遊技用の記憶媒体より読み出された会員コードと一致する会員コードがデータ入力手段より入力されたことを条件として、遊技媒体の貸出を実行するように構成することもできる。なお、前記データ入力手段は、例えばテンキーなどを有する簡易なキーボードを貸出機に設けておくことにより実現できる。
【0015】
この発明の上記した構成において、遊技用の記憶媒体や認証用の記憶媒体は、典型的には、磁気カードやICカードのようなカード状の記憶媒体であるが、必ずしもカード状である必要はなく、スティック状やメダル状であってもよく、その形態は問わない。
また、発行手段や貸出手段の制御主体や通信制御手段は専用のハードウェア回路によっても実現できるし、プログラムされたコンピュータによって実現することもできる。
【0016】
この発明の好ましい実施態様においては、前記通信手段と認証用の記憶媒体とは、互いに電磁結合するアンテナをそれぞれ含んでおり、認証用の記憶媒体が記憶している会員コードは前記電磁結合によって形成される回路を介して通信制御手段により読み取られるものである。
さらに、認証用の記憶媒体は、アンテナを構成するコイルを有し、そのコイルは通信手段からの電波によって内蔵回路駆動用の電圧を発生するものである。
【0017】
この発明による他の遊技媒体貸出システムは、複数台の遊技機と、各遊技機に隣接して設けられる複数台の貸出機とに加えて、精算機を含むものである。
この精算機は、受け付けた遊技用の記憶媒体の金額価値を精算する処理を実行する精算手段を備えており、その精算機の精算手段は、遊技用の記憶媒体の精算要求操作があったとき、受け付けた遊技用の記憶媒体より読み出された会員コードと前記通信制御手段が認証用の記憶媒体より取得した会員コードとを照合する処理を実行し、会員コードが一致することを条件として遊技用の記憶媒体の精算を実行するようにする。
【0018】
上記した構成の遊技媒体貸出システムにおいて、精算機の前方の空間は認証用の記憶媒体が内蔵する回路との交信が可能な交信領域になっており、認証用の記憶媒体を所持する遊技者(会員)が、精算を行うに際して、精算機の前にくると、前記交信領域内に存在する認証用の記憶媒体と前記通信手段とが交信し、その交信を介して通信制御手段は会員コードを取得する。
その遊技者が精算を受けるために、精算要求操作を行うと、精算機に受け付けられた遊技用の記憶媒体より会員コードが読み出されるとともに、前記通信制御手段は認証用の記憶媒体より会員コードを取得する。精算機の精算手段は、読み出された会員コードと取得した会員コードとを照合する処理を実行し、会員コードが一致するとき、遊技用の記憶媒体の精算が実行される。
【0019】
つぎに、認証用の記憶媒体を所持していない一般の遊技者が会員コードを記憶している遊技用の記憶媒体を用いて精算要求操作を行うと、精算機に受け付けられた遊技用の記憶媒体より会員コードが読み出されるものの、前記通信制御手段は認証用の記憶媒体より会員コードを取得できないので、会員コードの照合は不能もしくは不一致となり、この場合は遊技用の記憶媒体の精算は実行されない。
また、認証用の記憶媒体を所持している会員が他の会員の会員コードを記憶している遊技用の記憶媒体を用いて精算要求操作を行った場合は、遊技用の記憶媒体より読み出された会員コードと前記通信制御手段が認証用の記憶媒体より取得した会員コードとは不一致となり、この場合も遊技用の記憶媒体の精算は実行されない。
【0020】
認証用の記憶媒体を忘れてきた会員が自己の会員コードを記憶している遊技用の記憶媒体を用いて精算要求操作を行うこともあり得る。このことを想定して、受け付けられた遊技用の記憶媒体より読み出された会員コードと一致する会員コードが精算機に設けられたデータ入力手段より入力されたことを条件として、遊技用の記憶媒体の精算を実行するように構成することもできる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によると、会員は遊技や精算を行うに際して、認証用の記憶媒体を受付口に対して挿脱する必要がなく、操作の負担が軽減される。また、遊技終了後に認証用の記憶媒体を抜き忘れたりすることもなく、認証用の記憶媒体が他人に盗まれて悪用されることがない。さらに、認証用の記憶媒体を受付口に対して出し入れする必要がないので、認証用の記憶媒体が損傷したり汚れたりすることがない。また、貸出機の方は、認証用の記憶媒体を受け付ける受付口を設ける必要がないので、構造の簡易化がはかられ、コストの低減を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、この発明の一実施例であるパチンコホールにおけるパチンコ玉の貸出システムの概略構成を示している。なお、この発明は、パチンコ機の遊技媒体であるパチンコ玉に限らず、スロットマシンの遊技媒体である遊技用メダルを貸し出すシステムにも適用することができる。
パチンコホール内は複数列の島A,Bより成り、各島A,Bにそれぞれ複数台のパチンコ機2が背中合わせの状態で整列配置されている。各パチンコ機2の前にはそれぞれ椅子9が固定状態で設置されている。
【0023】
図示例の玉貸システムは、パチンコホールにおいて、金額価値が付与された遊技用の記憶媒体を介在させてパチンコ玉の貸出処理を行うものであり、パチンコホール内の全てのパチンコ機2にそれぞれ隣接して配備された複数台の玉貸機1と、遊技用の記憶媒体が現に保有する金額価値(残価値)を精算するための精算機3と、発行された遊技用の記憶媒体についての管理を行うための管理装置4とで構成されている。この実施例の各玉貸機1は、玉貸機能と遊技用の記憶媒体の発行機能とを併せ持っているので、遊技用の記憶媒体を発行するための専用の発行機は必ずしも必要でないが、パチンコホールの適所に必要に応じて専用の発行機を配置してもよい。
【0024】
各玉貸機1は、隣接する特定のパチンコ機2との間で相互に信号のやり取りを行うために、そのパチンコ機2と電気接続されている。また、精算機3は少なくとも1台がパチンコホールの適所に設置されている。なお、玉貸機1の具体的な構成は図2に、精算機3の具体的な構成は図3に、それぞれ示してあり、その詳細は後述する。
各玉貸機1、精算機3、および管理装置4は、双方向性の通信回線10を介して相互に通信することが可能なように電気接続されている。なお、各玉貸機1は島A,B毎に配備された中継装置(図示せず)を介して前記通信回線10に接続されている。
【0025】
図4は、この実施例の玉貸システムで用いられている遊技用の記憶媒体としてのICスティック5を示している。図示例のICスティック5は、合成樹脂成形体であり、上下に重ねて一体化された分割体51,52より成る。上側の分割体51の上面には両端部に凹部53,53が、下側の分割体52の下面には長さ方向の溝部54が、それぞれ形成されている。
ICスティック5の内部にはアンテナを含むICチップ50が収納されている。前記アンテナは、玉貸機1や精算機3の内部の所定位置に配備されたアンテナとの間で微少な電力によって通信が可能となっている。
【0026】
このICスティック5のICチップ50には、玉貸機1への投入金額に応じた金額価値分の度数データの他、発行した玉貸機の台番号、ICスティック5の識別番号、発行日付や時刻、必要に応じて発行した店舗など、種々の情報が書き込まれる。また、発行を受ける遊技者が後述する会員である場合には、その会員の会員コードも書き込まれるようになっている。この実施例では、ICスティック5に書き込まれた情報は発行元の玉貸機1に登録されて管理される。
【0027】
図5は、会員登録をした遊技者(会員)に付与される会員カード6を示している。この会員カード6は、適所にアンテナを含むICチップ60が埋め込まれており、このICチップ60に会員毎に付与された個人認証のための会員コード(ID番号)が記憶させてある。
会員は、パチンコホールにおいて会員としての特典を享受するには会員カード6を所持しておく必要がある。しかし、会員は、遊技や精算に際して、会員カード6を取り出して玉貸機1や精算機3に挿入する必要はない。会員は会員カード6を所持してパチンコ機2の前の椅子9に腰掛けて遊技を行うだけで、会員カード6と玉貸機1との間の交信によって会員カード6に記憶されている会員コードが玉貸機1で取得される。これにより会員の来店がパチンコホール側で把握されることになる。
【0028】
図1に戻って、各パチンコ機2の正面部分の適所とパチンコ機毎の椅子9とには通信装置7を構成するアンテナ71,72がそれぞれ設置されている。前記通信装置7は図示しない送受信回路などを含むもので、後述する図9に示されるように、玉貸機1の制御装置100に接続されている。各アンテナ71,72は指向性を有し、パチンコ機2と椅子9との間、すなわち、パチンコ機2の前方の空間には、前記会員カード6に埋設されたアンテナとの交信が可能な交信領域Sが形成される。前記制御装置100はアンテナ71,72から同じ位相の電波を送信して交信領域Sを形成する。この交信領域S内に会員カード6を所持する遊技者がいれば、アンテナ71,72と会員カード6のアンテナとの間に回路が形成され、会員カード6のICチップ60に記憶されている会員コードが制御装置100によって読み取られる。
【0029】
前記会員カード6のICチップ60は、図6に示すように、コイル部61とダイオード62と電子回路部63とを含んでいる。コイル部61はアンテナとして機能するとともに電源としても機能し、電波を受信して起電力を誘起する。ダイオード62はコイル部61の誘起起電力による電流を整流して直流電圧を得る。この直流電圧は電子回路部63へ与えられ、これにより電子回路部63が動作する。電子回路部63に記憶されている会員コードに対応してコイル部61を含む共振回路のQ値を変化させ、それをアンテナ71,72の側で誘起起電力の変化として検出して前記会員コードを読み取る。
【0030】
つぎに、図2に示される玉貸機1は、パチンコ機に側面が隣接した状態で配備されるものであり、紙幣aの投入を受け付けてICスティック5を発行して放出した後、そのICスティック5の挿入を受け付けて隣接する特定のパチンコ機2へパチンコ玉の貸出処理を行う。
なお、この実施例では、パチンコ機2へのパチンコ玉の貸出をデータ送信によって行っているが、この発明はこれに限らず、パチンコ玉を直接外部へ放出する方式にも適用できる。
【0031】
図示例の玉貸機1は、縦に長く幅の狭い筐体11を有し、筐体11の前面に、種々の金種の紙幣a(この実施例では、千円札、二千円札、五千円札、一万円札)を縦向きにして受け付けるスリット状の紙幣投入口12と、矩形状の蓋13で塞がれた貨幣回収口14とが設けられている。前記蓋13は、前方への起伏動作によって開閉するもので、蓋13の開放によって内部にストックされた紙幣を回収することが可能となる。
【0032】
筐体11の内部には、図示していないが、紙幣投入口12の位置に対応させて紙幣処理部が、紙幣回収口14の位置に対応させて紙幣収納部が、それぞれ配置されている。前記紙幣処理部は、紙幣投入口12へ投入された紙幣aを取り込む紙幣取込機構と、取り込まれた紙幣aの適否を判別する紙幣識別器83(図9)と、適正判別された紙幣aを前記紙幣収納部へ搬送する紙幣搬送機構とを含んでいる。前記紙幣識別器83によって不適正であると判断された紙幣は紙幣投入口12へ返却される。なお、上記の紙幣取込機構と紙幣搬送機構とは図9に示す紙幣処理機構部84を構成している。
【0033】
前記紙幣回収口14の下方にはICスティック5を出し入れするための挿排口15が設けられ、その下方に、情報を表示するための表示器16と、表示器16の背後位置に、遠隔制御装置110からの解錠操作信号を受光する受光素子87(図9)とが、それぞれ配置されている。前記受光素子87が遠隔制御装置110からの解錠操作信号を受光すると、外側へ付勢された状態の蓋13が押し開かれる。
なお、図中、17は紙幣aが受付可能かどうかなどを表示するためのランプ、18は停電時などに鍵を差し込んで蓋13の開放を行うためのシリンダ錠の鍵挿入孔である。
【0034】
筐体11の内部には、前記ICスティック5の挿排口15の位置に対応して、1Cスティック5を保持して情報の読み書きを行うための記憶媒体処理部が配置されている。
この実施例の記憶媒体処理部は、図7に示すように、回転軸80上に回転自由に支持されるホルダー8を有するもので、このホルダー8の等角度位置(図示例では60度毎)には、ICスティック5を水平姿勢で保持するための収納部81が設けられている。ホルダー8は、図示しない間欠送り機構により60ずつ間欠回転させて前記挿排口15の位置にいずれかの収納部81を定位させることが可能であり、また、図示しない繰出機構により前記挿排口15の位置にあるホルダー8の収納部81よりICスティック5を挿排口15へ送り出すことが可能となっている。なお、上記した間欠送り機構と繰出機構とは図9に示すICスティック処理機構部86を構成している。
【0035】
前記挿排口15の位置にあるホルダー8の収納部81に対応させてリードライター85のアンテナ82が配置されており、収納部81に収納されたICスティック5とリードライター85とがアンテナ82を介して情報を送受信することが可能となっている。
【0036】
玉貸機1は、上記のホルダー8に形成された6個の収納部81のうち、少なくとも1個の収納部81に金額価値がゼロのICスティック5が収納され、かつ少なくとも1個の収納部81にICスティック5が収納されていない空状態で運用される。
【0037】
なお、上記の実施例では、隣接する一方のパチンコ機へパチンコ玉を貸し出すものであるが、図8に示す実施例のように、隣接する両方のパチンコ機へパチンコ玉を貸し出すような構成であってもよい。
【0038】
同図の玉貸機1は、前記紙幣回収口12の下方に、右隣のパチンコ機でパチンコ玉の貸出を受けるために操作される第1の操作部19aと、左隣のパチンコ機でパチンコ玉の貸出を受けるために操作される第2の操作部19bとが設けられている。
第1、第2の各操作部19a,19bには、ICスティック5の出し入れを行うためのICスティック5の挿排口15a,15bと、パチンコ機を指定するために紙幣の投入前に押される指定ボタン20a,20bと、隣の遊技者からの視線を遮るための目隠し21a,21bとがそれぞれ設けられている。
【0039】
筐体11の内部には、各挿排口15a,15bの位置に対応して、1Cスティック5を保持して情報の読み書きを行うための記憶媒体処理部がそれぞれ配置されている。なお、各記憶媒体処理部の構成は図2の実施例と同様であり、ここでは説明を省略する。また、その他の構成も図2の実施例と同様であり、ここでは対応する構成に同じ符号を付することで説明を省略する。
【0040】
つぎに、図3に示される精算機3は、ICスティック5を受け付け、そのICスティック5が現に保有している金額価値を払い戻すための精算処理を行うものである。
図示例の精算機3は、筐体31の前面にICスティック5の挿入を受け付ける受付口32と、精算処理を要求するための精算ボタン33と、挿入したICスティック5の返却を求めるための返却ボタン34と、受け付けられたICスティック5の金額価値に応じた金額を紙幣や硬貨によって払い出すための紙幣放出口35および硬貨放出口36とが設けられている。
なお、図中、37は受け付けられたICスティック5を回収するための回収ボックス、38は受け付けられたICスティック5の金額価値などを表示するための表示器である。
【0041】
筐体31の内部には、ICスティック5の受付口32の位置に対応して、1Cスティック5を保持して情報の読み書きを行うための記憶媒体処理部が配置されている。
この記憶媒体処理部は、図示していないが、挿入されたICスティック5を内部へ取り込むための取込機構と、ICスティック5が取り込まれる位置に対応して配置されたリードライター90(図10)のアンテナと、ICスティック5を前記回収ボックス37へ導出するための導出機構とを含んでおり、ICスティック5とリードライター90とがアンテナを介して情報を送受信することが可能となっている。なお、上記した取込機構と導出機構とは図10に示したICスティック処理機構部91を構成している。
【0042】
また、筐体31の内部には、図示していないが、紙幣放出口35の位置に対応させて紙幣処理部が、硬貨放出口36の位置に対応させて硬貨処理部が、それぞれ配置されている。前記紙幣処理部は複数種の金種の紙幣を精算金額に応じて紙幣処理機構部92(図10)により導出させて紙幣放出口35へ繰り出すものである。また、硬貨処理部は所定の金種(例えば百円)の硬貨を硬貨収納部より精算金額に応じた枚数だけ硬貨処理機構部93(図10)により導出させて硬貨放出口36へ放出するものである。さらに、筐体31の内部には、通信装置7を構成するアンテナ73が設けてあり、このアンテナ73によって精算機3の前方の空間に交信領域を形成している。
【0043】
図1に示した管理装置4は、コンピュータにより構成され、定期的(例えば10分毎)に各玉貸機1および精算機3のデータ記憶部(例えばRAM)をアクセスしてICスティック5の販売状況や利用状況に関わる情報を受信して記憶するとともに、パチンコホール内におけるICスティック5の売上、ICスティック5の利用個数、パチンコ玉の貸出に消費された金額などを集計する。この管理装置4による各種データの集計結果は閉店時などにシステム管理装置へ送られる。システム管理装置は複数のパチンコホールからのデータ送信を受け付けることが可能なサーバー用コンピュータであり、送信を受けた日々のデータを用いて各パチンコホールに対する請求処理のためのデータを集計する。
【0044】
各玉貸機1においてICスティック5に書き込まれた情報(発行元の玉貸機の台番号、ICスティックの金額価値、識別番号、発行日付や時刻、発行した店舗など)は、そのICスティック5を発行した玉貸機1に登録されて管理される。
各玉貸機1や精算機3がICスティック5を受け付けると、ICスティック5の発行元の玉貸機1との間で交信し、受け付けたICスティック5の情報を照合する。もし、情報が適正であれば、そのICスティック5に対する貸出や精算などの処理が進められ、貸出や精算に応じて登録データが書き換えられる。
なお、この実施例ではICスティック5に関わる情報は発行元の玉貸機1において分散管理しているが、これに限らず、管理装置4において集中管理してもよい。
【0045】
図9は、上記した玉貸機1の電気的な構成の概略を示している。同図中、100は制御装置であり、制御の主体であるCPU101とROM102とRAM103とを含んでいる。制御装置100にはバス104を介してI/Oインターフェイス回路105が接続され、I/Oインターフェイス回路105には紙幣識別機83、紙幣処理機構部84、リードライター85、ICスティック処理機構部86、受光素子87、表示器16、貸出スイッチ88、通信装置7、通信インターフェイス回路106,107が接続されている。
貸出スイッチ88はパチンコ機2の側に設けてあり、遊技者がパチンコ玉の貸出を要求するときに押操作される。一方の通信インターフェイス回路106は隣接するパチンコ機2との間の各種制御信号を中継する。他方の通信インターフェイス回路107は全てのパチンコ機2、精算機3、および管理装置4との間の通信を行うためのものである。
【0046】
図10は上記した精算機3の電気的な構成を示している。同図中、120は制御装置であり、制御の主体であるCPU121とROM122とRAM123とを含んでいる。制御装置120にはバス124を介してI/Oインターフェイス回路125が接続され、I/Oインターフェイス回路125にはリードライター90、ICスティック処理機構部91、紙幣処理機構部92、硬貨処理機構部93、精算ボタン33、返却ボタン34、表示器38、通信装置7、および通信インターフェイス回路126が接続されている。通信インターフェイス回路126は全てのパチンコ機2、精算機3、および管理装置4と通信を行うためのものである。
なお、図示していないが、前記した遠隔制御装置110は、玉貸機1の前で所定の解錠キーを押すと、解錠操作信号が玉貸機1の受光素子87に向けて送出されるもので、玉貸機1では前記CPU101がコード照合を行い、それが一致していれば、ロック解除されて蓋13が押し開かれる。
【0047】
図11は、玉貸機1の制御装置100による制御の流れを示している。図中、「ST」は「STEP」の略であり、一連の流れにおける各手順を示している。制御装置100のCPU101はROM102に格納されたプログラムに従ってRAM103に対するデータの読み書きを実行しつつ入出力各部の動作を一連に制御するものである。
【0048】
まず、CPU101は、同図のST1,2において、遊技者によるICスティック5の発行要求操作とパチンコ玉の貸出要求操作とに待機している。いま、遊技者が紙幣投入口12に紙幣aを投入すると、ST1の判定が「YES」であり、CPU101は金額価値がゼロのICスティック5を収納した収納部81が挿排口15の位置にくるようにホルダー8を回動させ、アンテナ82を介して、受け付けた紙幣aの金額をICスティック5に書き込んで発行する処理を実行する(ST3)。
一方、遊技者が貸出スイッチ88を押操作すると、ST2の判定が「YES」であり、CPU101は金額価値を有するICスティック5が挿排口15に存在することを条件として玉貸処理を実行する(ST4,5)。もし、金額価値を有するICスティック5が挿排口15に存在していないければST4の判定が「NO」であり、原則として玉貸処理は実行されない。
【0049】
図12は、図11のST3のICスティック発行処理の詳細を示している。
同図のST3−1では、CPU101は遊技者が会員カードを所持しているかどうか、すなわち、交信領域S内に会員カード6が存在するかどうかを通信により判定している。もし、遊技者が会員カード6を所持していれば、ST3−1の判定が「YES」であり、CPU101は会員カード6のICチップ60に記憶されている会員コードを通信により取得する(ST3−2)。つぎのST3−3では、CPU101はICスティック5に金額価値、ICスティック5の識別番号、会員コードなどの所定の情報を書き込み、さらに、それらの情報をRAM103に登録データとして記憶させる(ST3−4)。
【0050】
もし、遊技者が会員カード6を所持していなければ、ST3−1の判定は「NO」であり、CPU101はICスティック5に金額価値、ICスティック5の識別番号などの所定の情報(会員コードを含まず)を書き込み(ST3−6)、さらに、それらの情報をRAM103に登録データとして記憶させる(ST3−4)。
【0051】
図13は、図11のST5の玉貸処理の詳細を示している。
同図のST5−1では、CPU101はICスティック5の情報を読み取り、その情報の中に会員コードが含まれているかどうかを判断する。もし、会員コードが含まれていれば、ST5−2の判定が「YES」であり、つぎに、CPU101は遊技者が会員カードを所持しているかどうか、すなわち、交信領域S内の会員カード6が存在するかどうかを通信により判定する(ST5−3)。
【0052】
もし、遊技者が会員カード6を所持していれば、ST5−3の判定が「YES」であり、CPU101は会員カード6のICチップ60に記憶されている会員コードを通信により取得し(ST5−4)、読み取った会員コードと通信により取得した会員コードとを照合する(ST5−5)。その結果、会員コードが一致していれば、ST5−6の判定が「YES」であり、CPU101はICスティック5の発行元の玉貸機1と交信して登録データの書換処理を行った後(ST5−7)、パチンコ機2に対して玉貸要求信号を送出する(ST5−8)。
【0053】
もし、ICスティック5より読み取った情報に会員コードが含まれていなければ、ST5−2の判定が「NO」であり、CPU101はICスティック5の発行元の玉貸機1と交信して登録データの書換処理を行った後(ST5−7)、パチンコ機2に対して玉貸要求信号を送出する(ST5−8)。
【0054】
もし、ICスティック5より読み取った情報に会員コードが含まれ、かつ遊技者が会員カードを所持していないときは、ST5−3の判定が「NO」であり、CPU101は表示器16に玉貸を許可しない旨を表示させて玉貸を禁止する(ST5−9)。また、ST5−6において会員コードが不一致であると判定されたときも、ST5−6の判定が「NO」であり、同様に玉貸が禁止される(ST5−9)。
なお、会員が会員カードを紛失した場合や忘れてきた場合には、パチンコホールのカウンタへ行って会員コードを告げるなどして会員であることを証明すれば、ICスティック5より会員コードの記憶データを消去するようにする。
【0055】
図14は、精算機3の制御装置120による制御の流れを示している。制御装置120のCPU121はROM122に格納されたプログラムに従ってRAM123に対するデータの読み書きを実行しつつ入出力各部の動作を一連に制御するものである。
【0056】
まず、同図のST1において、CPU121は遊技者がICスティック5を受付口32へ挿入するのに待機している。ICスティック5が受付口32で受け付けられると、ST1の判定が「YES」であり、つぎにCPU121は遊技者による精算ボタン33または返却ボタン34の押操作に待機する(ST2,3)。もし、精算ボタン33が押操作されると、ST2の判定が「YES」であり、CPU121は精算処理を実行する(ST4)。もし、返却ボタン34が押操作されると、ST3の判定が「YES」であり、CPU121は挿入されたICスティック5を受付口32より返却する。
【0057】
図15は、図14のST4の精算処理の詳細を示している。
同図のST4−1では、CPU121はICスティック5の情報を読み取り、その情報の中に会員コードが含まれているかどうかを判断する。もし、会員コードが含まれていれば、ST4−2の判定が「YES」であり、つぎに、CPU121は遊技者が会員カードを所持しているかどうか、すなわち、交信領域S内の会員カード6が存在するかどうかを通信により判定する(ST4−3)。
【0058】
もし、遊技者が会員カード6を所持していれば、ST4−3の判定が「YES」であり、CPU121は会員カード6のICチップ60に記憶されている会員コードを通信により取得し(ST4−4)、読み取った会員コードと通信により取得した会員コードとを照合する(ST4−5)。その結果、会員コードが一致していれば、ST4−6の判定が「YES」であり、CPU121はICスティック5の発行元の玉貸機1と交信して登録データの書換処理を行った後(ST4−7)、精算処理を行ってICスティック5の金額価値に応じた金額を紙幣または硬貨によって払い戻す(ST4−8)。
【0059】
もし、ICスティック5より読み取った情報に会員コードが含まれていなければ、ST4−2の判定が「NO」であり、CPU121はICスティック5の発行元の玉貸機1と交信して登録データの書換処理を行った後(ST4−7)、精算処理を行ってICスティック5の金額価値に応じた金額を紙幣または硬貨によって払い戻す(ST4−8)。
【0060】
もし、ICスティック5より読み取った情報に会員コードが含まれ、かつ遊技者が会員カードを所持していないときは、ST4−3の判定が「NO」であり、CPU121は表示器38に精算を許可しない旨を表示させて精算を禁止する(ST4−9)。また、ST4−6において会員コードが不一致であると判定されたときも、同様に精算が禁止される(ST4−9)。
【0061】
上記した実施例は、会員カード6およびICスティック5が1店舗に限って有効である玉貸システムについての構成であるが、会員カード6およびICスティック5が複数の店舗にわたって有効である玉貸システムについては、図16に示すように、各店舗の管理装置4から外部サーバ130にリアルタイムにデータが集積されるように構成されている。
また、上記した実施例では、ICスティック5を発行元の玉貸機1で管理する分散管理システムが導入されているが、図16に示す実施例では、ICスティック5を外部サーバ130で一括管理する集中管理システムが導入されている。
なお、同図における各店舗の玉貸機1や精算機3は上記した実施例と同様のものであり、ここでは図示並びに説明を省略する。
【0062】
図17は、図16に示した玉貸システムにおける貸出処理の詳細を示すもので、同図のST5−1において、CPU101はICスティック5の記憶情報を読み取っている。その記憶情報にはICスティック5を発行した店舗に関わるデータが含まれており、その店舗に関わるデータによってICスティック5が当店で発行されたものであるかどうかを判定する(ST5−2)。もし、当店発行のものであれば、ST5−2の判定が「YES」であり、つぎに、読み取った情報の中に会員コードが含まれているかどうかを判断する(ST5−3)。もし、会員コードが含まれていれば、ST5−3の判定が「YES」であり、CPU101は遊技者が会員カードを所持しているかどうか、すなわち、交信領域S内の会員カード6が存在するかどうかを通信により判定する(ST5−4)。
【0063】
もし、遊技者が会員カードを所持していれば、ST5−4の判定が「YES」であり、CPU101は会員カード6のICチップ60に記憶されている会員コードを通信により取得する(ST5−5)。つぎにCPU101は、読み取った会員コードと通信により取得した会員コードとを照合する(ST5−6)。その結果、会員コードが一致していれば、ST5−7の判定が「YES」であり、CPU101は外部サーバ130と交信して登録データの書換処理を行った後(ST5−8)、パチンコ機2に対して玉貸要求信号を送出する(ST5−9)。
【0064】
もし、ST5−2において、ICスティック5が当店発行のものでないと判定されると、つぎにCPU101は、外部サーバ130にICスティック5についての登録データがあるかどうかを確認し(ST5−11)、登録データがあれば、ST5−12の判定が「YES」であり、ST5−4へ移行する。
【0065】
もし、ST5−3において、ICスティック5より読み取った情報に会員コードが含まれていないと判定されたときは、CPU101は外部サーバ130と交信して登録データの書換処理を行った後(ST5−8)、パチンコ機2に対して玉貸要求信号を送出する(ST5−9)。
【0066】
もし、ST5−4において、遊技者が会員カードを所持していないと判定されたときは、CPU101は表示器16に玉貸を許可しない旨を表示させて玉貸を禁止する(ST5−10)。また、ST5−6において、会員コードが不一致であると判定されたときも、同様に玉貸が禁止される(ST5−9)。
【0067】
図16に示す玉貸システムにおける精算処理の詳細については図示していないが、図17に示した貸出処理と同様、受け付けたICスティック5が当店発行のものでなければ外部サーバ130で登録データの確認を行い、また、精算処理を実行する場合には外部サーバ130と交信して登録データの書換処理を実行するもので、その他の制御の流れは図15に示したものと同様である。。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】この発明の一実施例であるパチンコ玉の貸出システムの概略構成を示す説明図である。
【図2】玉貸機の外観を示す斜視図である。
【図3】精算機の外観を示す斜視図である。
【図4】ICスティックの外観を示す斜視図である。
【図5】会員カードの外観を示す斜視図である。
【図6】会員カードのICチップの構成を示す電気回路図である。
【図7】玉貸機のホルダーの構成を示す正面図である。
【図8】玉貸機の他の実施例を示す斜視図である。
【図9】玉貸機の電気的な構成を示すブロック図である。
【図10】精算機の電気的な構成を示すブロック図である。
【図11】玉貸機の制御装置による制御の流れを示すフローチャートである。
【図12】ICスティックの発行処理の詳細を示すフローチャートである。
【図13】玉貸処理の詳細を示すフローチャートである。
【図14】精算機の制御装置による制御の流れを示すフローチャートである。
【図15】精算処理の詳細を示すフローチャートである。
【図16】他の実施例にかかるパチンコ玉貸出システムの概略構成を示す説明図である。
【図17】図16の実施例における玉貸機の制御装置による玉貸処理の制御の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1 玉貸機
2 パチンコ機
3 精算機
5 ICスティック
6 会員カード
7 通信装置
61 コイル部
71,72 アンテナ
100,120 制御装置
101,121 CPU
102,122 ROM
103,123 RAM
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の遊技機と、各遊技機に隣接して設けられる複数台の貸出機とを含み、各貸出機は、金額価値を有する遊技用の記憶媒体を発行する処理を実行する発行手段と、受け付けた遊技用の記憶媒体の金額価値に応じて隣接する特定の遊技機へ遊技媒体を貸し出す処理を実行する貸出手段とを備えた遊技媒体貸出システムであって、
各会員に付与された個人認証のための会員コードを記憶する回路を内蔵する認証用の記憶媒体と、各遊技機の前方の空間に認証用の記憶媒体が内蔵する回路との交信が可能な交信領域をそれぞれ形成する通信手段と、前記交信領域内に存在する認証用の記憶媒体と前記通信手段との交信を介して前記会員コードを取得する通信制御手段とをさらに含んでおり、
前記貸出機の発行手段は、遊技用の記憶媒体の発行要求操作があったとき、発行する遊技用の記憶媒体に前記通信制御手段で取得した会員コードを書き込む処理を実行し、
前記貸出機の貸出手段は、遊技媒体の貸出要求操作があったとき、受け付けた遊技用の記憶媒体より読み出された会員コードと前記通信制御手段が認証用の記憶媒体より取得した会員コードとを照合する処理を実行し、会員コードが一致することを条件として遊技媒体の貸出を実行するようにした遊技媒体貸出システム。
【請求項2】
前記通信手段と認証用の記憶媒体とは、互いに電磁結合するアンテナをそれぞれ含んでおり、認証用の記憶媒体が記憶している会員コードは、前記電磁結合によって形成される回路を介して通信制御手段により読み取られるものである請求項1に記載された遊技媒体貸出システム。
【請求項3】
前記貸出機の貸出手段は、前記通信制御手段が認証用の記憶媒体より会員コードを取得できなかったとき、受け付けられた遊技用の記憶媒体より読み出された会員コードと一致する会員コードがデータ入力手段より入力されることを条件として遊技媒体の貸出を実行するようにした請求項1に記載された遊技媒体貸出システム。
【請求項4】
複数台の遊技機と、各遊技機に隣接して設けられる複数台の貸出機と、精算機とを含み、各貸出機は、金額価値を有する遊技用の記憶媒体を発行する処理を実行する発行手段と、受け付けた遊技用の記憶媒体の金額価値に応じて隣接する特定の遊技機へ遊技媒体を貸し出す処理を実行する貸出手段とを備え、前記精算機は、受け付けた遊技用の記憶媒体の金額価値を精算する処理を実行する精算手段を備えた遊技媒体貸出システムであって、
各会員に付与された個人認証のための会員コードを記憶する回路を内蔵する認証用の記憶媒体と、各遊技機および精算機の前方の空間に認証用の記憶媒体が内蔵する回路との交信が可能な交信領域をそれぞれ形成する通信手段と、前記交信領域内に存在する認証用の記憶媒体と前記通信手段との交信を介して前記会員コードを取得する通信制御手段とをさらに含んでおり、
前記貸出機の発行手段は、遊技用の記憶媒体の発行要求操作があったとき、発行する遊技用の記憶媒体に前記通信制御手段で取得した会員コードを書き込む処理を実行し、
前記貸出機の貸出手段は、遊技媒体の貸出要求操作があったとき、受け付けた遊技用の記憶媒体より読み出された会員コードと前記通信制御手段が認証用の記憶媒体より取得した会員コードとを照合する処理を実行し、会員コードが一致することを条件として遊技媒体の貸出を実行するようにし、
前記精算機の精算手段は、遊技用の記憶媒体の精算要求操作があったとき、受け付けた遊技用の記憶媒体より読み出された会員コードと前記通信制御手段が認証用の記憶媒体より取得した会員コードとを照合する処理を実行し、会員コードが一致することを条件として遊技用の記憶媒体の精算を実行するようにした遊技媒体貸出システム。
【請求項1】
複数台の遊技機と、各遊技機に隣接して設けられる複数台の貸出機とを含み、各貸出機は、金額価値を有する遊技用の記憶媒体を発行する処理を実行する発行手段と、受け付けた遊技用の記憶媒体の金額価値に応じて隣接する特定の遊技機へ遊技媒体を貸し出す処理を実行する貸出手段とを備えた遊技媒体貸出システムであって、
各会員に付与された個人認証のための会員コードを記憶する回路を内蔵する認証用の記憶媒体と、各遊技機の前方の空間に認証用の記憶媒体が内蔵する回路との交信が可能な交信領域をそれぞれ形成する通信手段と、前記交信領域内に存在する認証用の記憶媒体と前記通信手段との交信を介して前記会員コードを取得する通信制御手段とをさらに含んでおり、
前記貸出機の発行手段は、遊技用の記憶媒体の発行要求操作があったとき、発行する遊技用の記憶媒体に前記通信制御手段で取得した会員コードを書き込む処理を実行し、
前記貸出機の貸出手段は、遊技媒体の貸出要求操作があったとき、受け付けた遊技用の記憶媒体より読み出された会員コードと前記通信制御手段が認証用の記憶媒体より取得した会員コードとを照合する処理を実行し、会員コードが一致することを条件として遊技媒体の貸出を実行するようにした遊技媒体貸出システム。
【請求項2】
前記通信手段と認証用の記憶媒体とは、互いに電磁結合するアンテナをそれぞれ含んでおり、認証用の記憶媒体が記憶している会員コードは、前記電磁結合によって形成される回路を介して通信制御手段により読み取られるものである請求項1に記載された遊技媒体貸出システム。
【請求項3】
前記貸出機の貸出手段は、前記通信制御手段が認証用の記憶媒体より会員コードを取得できなかったとき、受け付けられた遊技用の記憶媒体より読み出された会員コードと一致する会員コードがデータ入力手段より入力されることを条件として遊技媒体の貸出を実行するようにした請求項1に記載された遊技媒体貸出システム。
【請求項4】
複数台の遊技機と、各遊技機に隣接して設けられる複数台の貸出機と、精算機とを含み、各貸出機は、金額価値を有する遊技用の記憶媒体を発行する処理を実行する発行手段と、受け付けた遊技用の記憶媒体の金額価値に応じて隣接する特定の遊技機へ遊技媒体を貸し出す処理を実行する貸出手段とを備え、前記精算機は、受け付けた遊技用の記憶媒体の金額価値を精算する処理を実行する精算手段を備えた遊技媒体貸出システムであって、
各会員に付与された個人認証のための会員コードを記憶する回路を内蔵する認証用の記憶媒体と、各遊技機および精算機の前方の空間に認証用の記憶媒体が内蔵する回路との交信が可能な交信領域をそれぞれ形成する通信手段と、前記交信領域内に存在する認証用の記憶媒体と前記通信手段との交信を介して前記会員コードを取得する通信制御手段とをさらに含んでおり、
前記貸出機の発行手段は、遊技用の記憶媒体の発行要求操作があったとき、発行する遊技用の記憶媒体に前記通信制御手段で取得した会員コードを書き込む処理を実行し、
前記貸出機の貸出手段は、遊技媒体の貸出要求操作があったとき、受け付けた遊技用の記憶媒体より読み出された会員コードと前記通信制御手段が認証用の記憶媒体より取得した会員コードとを照合する処理を実行し、会員コードが一致することを条件として遊技媒体の貸出を実行するようにし、
前記精算機の精算手段は、遊技用の記憶媒体の精算要求操作があったとき、受け付けた遊技用の記憶媒体より読み出された会員コードと前記通信制御手段が認証用の記憶媒体より取得した会員コードとを照合する処理を実行し、会員コードが一致することを条件として遊技用の記憶媒体の精算を実行するようにした遊技媒体貸出システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−18033(P2008−18033A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192265(P2006−192265)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(000169477)アビリット株式会社 (294)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(000169477)アビリット株式会社 (294)
【Fターム(参考)】
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