遊技機の可動装飾装置
【課題】小型のモータによって駆動されるリンク機構によって、装飾部材にほぼ直線的な昇降運動を行わせることができる遊技機の可動装飾装置を提供する。
【解決手段】基部がベース1に枢着された第1アーム3と、この第1アーム3と平行リンクを形成する第2とアーム6との先端に装飾部材5を支持させ、モータ13により第1アーム3を上下方向に揺動することにより、装飾部材5を昇降させる。この昇降工程中に、ベース1に設けたカム11によって第2アーム6の基部の第4軸9を第1アーム3の基部の第2軸2に対して後方に移動させ、装飾部材5に近似直線運動を行わせる。
【解決手段】基部がベース1に枢着された第1アーム3と、この第1アーム3と平行リンクを形成する第2とアーム6との先端に装飾部材5を支持させ、モータ13により第1アーム3を上下方向に揺動することにより、装飾部材5を昇降させる。この昇降工程中に、ベース1に設けたカム11によって第2アーム6の基部の第4軸9を第1アーム3の基部の第2軸2に対して後方に移動させ、装飾部材5に近似直線運動を行わせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機の盤面に装着されて入賞時の演出効果を高める遊技機の可動装飾装置に関するものであり、特に昇降式の可動装飾装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機の可動装飾装置には従来から各種の構造のものが用いられているが、昇降式の可動装飾装置としては、特許文献1に記載のように可動アームの先端に装飾部材を取り付け、この可動アームをモータを利用して揺動させる構造が一般的であった。しかしこの構造では装飾部材に円弧状の昇降運動をさせることしかできず、装飾部材を直線的に上下動させることはできなかった。
【0003】
なお、エアシリンダやチェーンを利用すれば装飾部材に直線的な昇降運動を行わせることは可能となる。しかし、パチンコ遊技機の盤面は機構を設置可能なスペース上の制約が厳しく、また動力源は実質的に小型モータに限定されるため、装飾部材の駆動にエアシリンダやチェーンを利用することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−190401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、小型のモータによって駆動されるリンク機構によって、装飾部材にほぼ直線的な昇降運動を行わせることができる遊技機の可動装飾装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた本発明の遊技機の可動装飾装置は、基部がベースに枢着された第1アームと、この第1アームと平行リンクを形成する第2アームとの先端に装飾部材を支持させ、第1アームを上下方向に揺動することにより装飾部材を昇降させるとともに、ベースに設けたカムによって昇降工程中に第2アームの基部を第1アームの基部に対して後方に移動させることにより、装飾部材に近似直線運動を行わせることを特徴とするものである。
【0007】
なお請求項2のように、前記カムの側面に突設したピンを第1アームの溝部に嵌合させ、第1アームを揺動させる構造とすることが好ましい。また請求項3のように、第2アームの基部を揺動リンクに枢着し、この揺動リンクを前記カムによって揺動させることにより、昇降工程中に第2アームの基部を第1アームの基部に対して後方に移動させることが好ましい。さらに請求項4のように、装飾部材を上昇させた状態から前記カムを逆転させてその側面に突設したピンを第1アームの溝部から離脱させ、装飾部材に自由落下運動を生じさせることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1アームと第2アームとによって形成される平行リンクを利用し、モータによって装飾部材を昇降させる際に、カムによって第2アームの基部を第1アームの基部に対して後方に移動させることにより、装飾部材に近似直線運動を行わせることができる。この運動は厳密には直線運動ではないものの、遊技者の目には直線運動として認識され、従来とは異なった面白さを感じさせることができる。
【0009】
なお、請求項3のように同一のカムの回転を利用して近似直線運動を行わせることができ、複雑な制御は不要である。また請求項4のようにカムを逆転させて装飾部材に自由落下運動をさせることも可能となり、更に興趣を増すことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態の可動装飾装置を遊技機の正面側から見た斜視図である。
【図2】図1の状態における機構部分を示す背面図である。
【図3】カムの形状を示す正面図、側面図、背面図である。
【図4】従来の円弧状の昇降運動を示す説明図である。
【図5】本発明による近似直線運動を示す説明図である。
【図6】ベースの背面図である。
【図7】装飾部材が上昇位置にある状態を示す正面図である。
【図8】装飾部材が途中位置にある状態を示す正面図である。
【図9】装飾部材が最下降位置にある状態を示す正面図である。
【図10】自由落下の開始状態を示す正面図である。
【図11】自由落下の終了状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1は実施形態の可動装飾装置を遊技機の正面側から見た斜視図であり、内部構造を分かり易くするために装飾部材5が最も降下した状態を示している。また図2はこの状態の機構部分を示す背面図である。
【0012】
これらの図において、1は遊技盤の上部に取り付けられる偏平なボックス状のベースであり、その一方の端部付近には水平な第1軸2によって第1アーム3の基部が枢着されている。この第1アーム3は第1軸2を中心として上下方向に揺動可能なアームであり、その先端には第2軸4によって、装飾部材5が枢着されている。装飾部材5は円で示したが、さまざまな形状とすることができ、また装飾部材5上に更に装飾部材を搭載することもできる。また6は第2アームであり、その先端は第3軸7によって装飾部材5に枢着されている。この第2アーム6の基部は、図2に示されるL字状の搖動リンク8の屈曲部に第4軸9によって枢着されている。
【0013】
図1、図2に示す装飾部材5が最も降下した状態では、第1軸2、第2軸4、第3軸7、第4軸9は平行四辺形の頂点位置にあり、かつ第2軸4と第3軸7は垂直であり、また第1軸2と第4軸9も垂直である。このため第1アーム3と第2アーム6とは平行リンクを形成し、装飾部材5をその中心線が垂直となるように保持している。なお図10に示すように装飾部材5が上昇位置にある状態においても、第2軸4と第3軸7は垂直であり、また第1軸2と第4軸9も垂直である。
【0014】
図1に示されるように、ベース1の内部には水平軸10に支持されたカム11が設けられている。このカム11の形状は図3に示される通りであり、外周のギア12をベース1の背面の小型モータ13により駆動されるモータギア14とかみ合わせることによって、正逆両方向に回転することができる。このカム11の側面にはピン15が突設されている。また第1アーム3の基部上方には側方が開口した溝部16が設けられており、図1に示すようにこの溝部16にピン15を嵌合させた状態でカム11を回転させることにより、第1アーム3を第1軸2を中心として上下方向に揺動させることができる。
【0015】
このようにして第1アーム3を上下方向に揺動させれば、第1アーム3と平行リンクを形成している第2アーム6も追従して揺動するため、装飾部材5を傾斜させることなく、すなわち中心線を垂直に維持したまま、装飾部材5を昇降させることができる。しかしこのままでは装飾部材5の昇降軌跡は図4に示すように円弧となり、従来の昇降機構と変わらない。そこで本発明では図5に示すように、昇降の途中の第1アーム3及び第2アーム6が水平に近づいた状態のときに、第2アーム6の基部の第4軸9を第1アーム3の基部の第1軸2に対して後方に移動させることにより、装飾部材5に近似直線運動を行わせるようにした。
【0016】
このために、ピン15による第1アーム3の昇降運動と連動させて、第4軸9を支持しているL字状の搖動リンク8をカム11によって揺動させる。すなわち、図2に示すようにL字状の搖動リンク8の先端の当接部17をカム11のカム面と接触させ、搖動リンク8を第1軸2を中心として、図2における時計方向(図1、図5における反時計方向)に揺動させる。これによって第4軸9は図5のように後退し、第3軸7を第1軸2の方向に後退させる。この結果、装飾部材5は中心軸を僅かに傾斜させながら全体としては第1軸2側に引き寄せられ、昇降の軌跡は図4に見られるような円弧運動から中央部分の膨らみを除いたような近似直線となる。
【0017】
ただしこの動きは完全な直線ではなく、また装飾部材5は図4の場合には平行リンクによって中心線を常に垂直に維持されているのに対して、図5の場合には昇降の途中で中心線は外側に傾き、その後に垂直に復帰する動きとなる。しかしこのような細かな動きは遊技者の目にとまりにくく、装飾部材5がほぼ直線的に昇降するかのように見える。
【0018】
なお図6に示すように、搖動リンク8はコイルバネ18によって当接部17がカム11のカム面と常に接触するように付勢されている。また図2に示すように第1軸2の周囲にはトーションバネ19が設けられ、第1アーム3に上向きの力を与えている。これは装飾部材5を上昇させる際のモータ13の負荷を軽減させるためである。装飾部材5には更に他の装飾機器を搭載することができ、そのような場合には装飾部材5の重量が重くなるが、トーションバネ19の強度を適切に設定しておけば、小型のモータ13によって無理なく上昇させることが可能となる。なおこのモータ13は、ステッピングモータのような回転角度を正確に制御できるモータであることが望ましい。
【0019】
このように構成された本発明の可動装飾装置は、図7に示す通常状態においては装飾部材5が上端位置まで持ち上げられているが、入賞状態等の際にカム11をモータ13によって時計方向に回転させると、図8のように第1アーム3は下向きに揺動して装飾部材5を下降させる。この中間状態においてはカム11により搖動リンク8が図8における反時計方向に揺動され、第4軸9を後退させるので、装飾部材5は近似直線を描きながら降下し、図9のように最降下状態となる。この最降下状態では搖動リンク8は時計方向に戻るため、第4軸9の位置は図7に示す通常状態と同一位置になる。このようにして装飾部材5をほぼ垂直に降下させることができ、従来にない面白さを感じさせることができる。なお、図9の状態からカム11を逆回転させれば装飾部材5は再び図7に示す通常状態に戻るが、このときトーションバネ19が装飾部材5の上昇を補助することとなる。
【0020】
上記した装飾部材5の下降運動は、カム11の回転速度に応じて比較的低速で行われるが、図7に示した通常状態から図10のようにカム11を反時計方向に回転させると、カム11のピン15は第1アーム3の溝部16の開口側に移動して溝部16から外れる。この結果、第1アーム3はカム11による拘束がなくなるため、装飾部材5の重量によって自由落下運動を行わせることができる。図11は自由落下終了状態を示す。このような自由落下は上記したカム11による降下よりもはるかに高速で行われるので、遊技者に異なった面白さを感じさせることができる。なおこの際の衝撃を避けるために、ベース1の内部底面の第1アーム3が衝突する位置にエラストマー等からなる防振板を設けて振動を吸収させることが好ましい。
【0021】
また図11に示す自由落下終了状態においては、カム11のピン15は第1アーム3の溝部16から離脱している。このためモータ13によってカム11を反時計方向に回転させて図9のようにピン15を溝部16に嵌合させたうえ、再び図2に示すセンサ20によって原点位置検出板21が検出される図7に示す通常状態に戻すことが好ましい。
【0022】
以上に説明したように、本発明の可動装飾装置は小型のモータ13によって駆動される平行リンク機構によって、装飾部材5にほぼ直線的な昇降運動を行わせることができ、従来にない面白さを遊技者に感じさせることができる。また実施形態に示したようにカム11を逆転させれば、装飾部材5に自由落下運動を行わせることもでき、更に興趣を高めることができる。
【符号の説明】
【0023】
1 ベース
2 第1軸
3 第1アーム
4 第2軸
5 装飾部材
6 第2アーム
7 第3軸
8 搖動リンク
9 第4軸
10 水平軸
11 カム
12 ギア
13 モータ
14 モータギア
15 ピン
16 溝部
17 当接部
18 コイルバネ
19 トーションバネ
20 センサ
21 原点位置検出板
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機の盤面に装着されて入賞時の演出効果を高める遊技機の可動装飾装置に関するものであり、特に昇降式の可動装飾装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機の可動装飾装置には従来から各種の構造のものが用いられているが、昇降式の可動装飾装置としては、特許文献1に記載のように可動アームの先端に装飾部材を取り付け、この可動アームをモータを利用して揺動させる構造が一般的であった。しかしこの構造では装飾部材に円弧状の昇降運動をさせることしかできず、装飾部材を直線的に上下動させることはできなかった。
【0003】
なお、エアシリンダやチェーンを利用すれば装飾部材に直線的な昇降運動を行わせることは可能となる。しかし、パチンコ遊技機の盤面は機構を設置可能なスペース上の制約が厳しく、また動力源は実質的に小型モータに限定されるため、装飾部材の駆動にエアシリンダやチェーンを利用することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−190401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、小型のモータによって駆動されるリンク機構によって、装飾部材にほぼ直線的な昇降運動を行わせることができる遊技機の可動装飾装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた本発明の遊技機の可動装飾装置は、基部がベースに枢着された第1アームと、この第1アームと平行リンクを形成する第2アームとの先端に装飾部材を支持させ、第1アームを上下方向に揺動することにより装飾部材を昇降させるとともに、ベースに設けたカムによって昇降工程中に第2アームの基部を第1アームの基部に対して後方に移動させることにより、装飾部材に近似直線運動を行わせることを特徴とするものである。
【0007】
なお請求項2のように、前記カムの側面に突設したピンを第1アームの溝部に嵌合させ、第1アームを揺動させる構造とすることが好ましい。また請求項3のように、第2アームの基部を揺動リンクに枢着し、この揺動リンクを前記カムによって揺動させることにより、昇降工程中に第2アームの基部を第1アームの基部に対して後方に移動させることが好ましい。さらに請求項4のように、装飾部材を上昇させた状態から前記カムを逆転させてその側面に突設したピンを第1アームの溝部から離脱させ、装飾部材に自由落下運動を生じさせることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1アームと第2アームとによって形成される平行リンクを利用し、モータによって装飾部材を昇降させる際に、カムによって第2アームの基部を第1アームの基部に対して後方に移動させることにより、装飾部材に近似直線運動を行わせることができる。この運動は厳密には直線運動ではないものの、遊技者の目には直線運動として認識され、従来とは異なった面白さを感じさせることができる。
【0009】
なお、請求項3のように同一のカムの回転を利用して近似直線運動を行わせることができ、複雑な制御は不要である。また請求項4のようにカムを逆転させて装飾部材に自由落下運動をさせることも可能となり、更に興趣を増すことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態の可動装飾装置を遊技機の正面側から見た斜視図である。
【図2】図1の状態における機構部分を示す背面図である。
【図3】カムの形状を示す正面図、側面図、背面図である。
【図4】従来の円弧状の昇降運動を示す説明図である。
【図5】本発明による近似直線運動を示す説明図である。
【図6】ベースの背面図である。
【図7】装飾部材が上昇位置にある状態を示す正面図である。
【図8】装飾部材が途中位置にある状態を示す正面図である。
【図9】装飾部材が最下降位置にある状態を示す正面図である。
【図10】自由落下の開始状態を示す正面図である。
【図11】自由落下の終了状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1は実施形態の可動装飾装置を遊技機の正面側から見た斜視図であり、内部構造を分かり易くするために装飾部材5が最も降下した状態を示している。また図2はこの状態の機構部分を示す背面図である。
【0012】
これらの図において、1は遊技盤の上部に取り付けられる偏平なボックス状のベースであり、その一方の端部付近には水平な第1軸2によって第1アーム3の基部が枢着されている。この第1アーム3は第1軸2を中心として上下方向に揺動可能なアームであり、その先端には第2軸4によって、装飾部材5が枢着されている。装飾部材5は円で示したが、さまざまな形状とすることができ、また装飾部材5上に更に装飾部材を搭載することもできる。また6は第2アームであり、その先端は第3軸7によって装飾部材5に枢着されている。この第2アーム6の基部は、図2に示されるL字状の搖動リンク8の屈曲部に第4軸9によって枢着されている。
【0013】
図1、図2に示す装飾部材5が最も降下した状態では、第1軸2、第2軸4、第3軸7、第4軸9は平行四辺形の頂点位置にあり、かつ第2軸4と第3軸7は垂直であり、また第1軸2と第4軸9も垂直である。このため第1アーム3と第2アーム6とは平行リンクを形成し、装飾部材5をその中心線が垂直となるように保持している。なお図10に示すように装飾部材5が上昇位置にある状態においても、第2軸4と第3軸7は垂直であり、また第1軸2と第4軸9も垂直である。
【0014】
図1に示されるように、ベース1の内部には水平軸10に支持されたカム11が設けられている。このカム11の形状は図3に示される通りであり、外周のギア12をベース1の背面の小型モータ13により駆動されるモータギア14とかみ合わせることによって、正逆両方向に回転することができる。このカム11の側面にはピン15が突設されている。また第1アーム3の基部上方には側方が開口した溝部16が設けられており、図1に示すようにこの溝部16にピン15を嵌合させた状態でカム11を回転させることにより、第1アーム3を第1軸2を中心として上下方向に揺動させることができる。
【0015】
このようにして第1アーム3を上下方向に揺動させれば、第1アーム3と平行リンクを形成している第2アーム6も追従して揺動するため、装飾部材5を傾斜させることなく、すなわち中心線を垂直に維持したまま、装飾部材5を昇降させることができる。しかしこのままでは装飾部材5の昇降軌跡は図4に示すように円弧となり、従来の昇降機構と変わらない。そこで本発明では図5に示すように、昇降の途中の第1アーム3及び第2アーム6が水平に近づいた状態のときに、第2アーム6の基部の第4軸9を第1アーム3の基部の第1軸2に対して後方に移動させることにより、装飾部材5に近似直線運動を行わせるようにした。
【0016】
このために、ピン15による第1アーム3の昇降運動と連動させて、第4軸9を支持しているL字状の搖動リンク8をカム11によって揺動させる。すなわち、図2に示すようにL字状の搖動リンク8の先端の当接部17をカム11のカム面と接触させ、搖動リンク8を第1軸2を中心として、図2における時計方向(図1、図5における反時計方向)に揺動させる。これによって第4軸9は図5のように後退し、第3軸7を第1軸2の方向に後退させる。この結果、装飾部材5は中心軸を僅かに傾斜させながら全体としては第1軸2側に引き寄せられ、昇降の軌跡は図4に見られるような円弧運動から中央部分の膨らみを除いたような近似直線となる。
【0017】
ただしこの動きは完全な直線ではなく、また装飾部材5は図4の場合には平行リンクによって中心線を常に垂直に維持されているのに対して、図5の場合には昇降の途中で中心線は外側に傾き、その後に垂直に復帰する動きとなる。しかしこのような細かな動きは遊技者の目にとまりにくく、装飾部材5がほぼ直線的に昇降するかのように見える。
【0018】
なお図6に示すように、搖動リンク8はコイルバネ18によって当接部17がカム11のカム面と常に接触するように付勢されている。また図2に示すように第1軸2の周囲にはトーションバネ19が設けられ、第1アーム3に上向きの力を与えている。これは装飾部材5を上昇させる際のモータ13の負荷を軽減させるためである。装飾部材5には更に他の装飾機器を搭載することができ、そのような場合には装飾部材5の重量が重くなるが、トーションバネ19の強度を適切に設定しておけば、小型のモータ13によって無理なく上昇させることが可能となる。なおこのモータ13は、ステッピングモータのような回転角度を正確に制御できるモータであることが望ましい。
【0019】
このように構成された本発明の可動装飾装置は、図7に示す通常状態においては装飾部材5が上端位置まで持ち上げられているが、入賞状態等の際にカム11をモータ13によって時計方向に回転させると、図8のように第1アーム3は下向きに揺動して装飾部材5を下降させる。この中間状態においてはカム11により搖動リンク8が図8における反時計方向に揺動され、第4軸9を後退させるので、装飾部材5は近似直線を描きながら降下し、図9のように最降下状態となる。この最降下状態では搖動リンク8は時計方向に戻るため、第4軸9の位置は図7に示す通常状態と同一位置になる。このようにして装飾部材5をほぼ垂直に降下させることができ、従来にない面白さを感じさせることができる。なお、図9の状態からカム11を逆回転させれば装飾部材5は再び図7に示す通常状態に戻るが、このときトーションバネ19が装飾部材5の上昇を補助することとなる。
【0020】
上記した装飾部材5の下降運動は、カム11の回転速度に応じて比較的低速で行われるが、図7に示した通常状態から図10のようにカム11を反時計方向に回転させると、カム11のピン15は第1アーム3の溝部16の開口側に移動して溝部16から外れる。この結果、第1アーム3はカム11による拘束がなくなるため、装飾部材5の重量によって自由落下運動を行わせることができる。図11は自由落下終了状態を示す。このような自由落下は上記したカム11による降下よりもはるかに高速で行われるので、遊技者に異なった面白さを感じさせることができる。なおこの際の衝撃を避けるために、ベース1の内部底面の第1アーム3が衝突する位置にエラストマー等からなる防振板を設けて振動を吸収させることが好ましい。
【0021】
また図11に示す自由落下終了状態においては、カム11のピン15は第1アーム3の溝部16から離脱している。このためモータ13によってカム11を反時計方向に回転させて図9のようにピン15を溝部16に嵌合させたうえ、再び図2に示すセンサ20によって原点位置検出板21が検出される図7に示す通常状態に戻すことが好ましい。
【0022】
以上に説明したように、本発明の可動装飾装置は小型のモータ13によって駆動される平行リンク機構によって、装飾部材5にほぼ直線的な昇降運動を行わせることができ、従来にない面白さを遊技者に感じさせることができる。また実施形態に示したようにカム11を逆転させれば、装飾部材5に自由落下運動を行わせることもでき、更に興趣を高めることができる。
【符号の説明】
【0023】
1 ベース
2 第1軸
3 第1アーム
4 第2軸
5 装飾部材
6 第2アーム
7 第3軸
8 搖動リンク
9 第4軸
10 水平軸
11 カム
12 ギア
13 モータ
14 モータギア
15 ピン
16 溝部
17 当接部
18 コイルバネ
19 トーションバネ
20 センサ
21 原点位置検出板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部がベースに枢着された第1アームと、この第1アームと平行リンクを形成する第2アームとの先端に装飾部材を支持させ、第1アームを上下方向に揺動することにより装飾部材を昇降させるとともに、ベースに設けたカムによって昇降工程中に第2アームの基部を第1アームの基部に対して後方に移動させることにより、装飾部材に近似直線運動を行わせることを特徴とする遊技機の可動装飾装置。
【請求項2】
前記カムの側面に突設したピンを第1アームの溝部に嵌合させ、第1アームを揺動させることを特徴とする請求項1に記載の遊技機の可動装飾装置。
【請求項3】
第2アームの基部を揺動リンクに枢着し、この揺動リンクを前記カムによって揺動させることにより、昇降工程中に第2アームの基部を第1アームの基部に対して後方に移動させることを特徴とする請求項1に記載の遊技機の可動装飾装置。
【請求項4】
装飾部材を上昇させた状態から前記カムを逆転させてその側面に突設したピンを第1アームの溝部から離脱させ、装飾部材に自由落下運動を生じさせることを特徴とする請求項2に記載の遊技機の可動装飾装置。
【請求項1】
基部がベースに枢着された第1アームと、この第1アームと平行リンクを形成する第2アームとの先端に装飾部材を支持させ、第1アームを上下方向に揺動することにより装飾部材を昇降させるとともに、ベースに設けたカムによって昇降工程中に第2アームの基部を第1アームの基部に対して後方に移動させることにより、装飾部材に近似直線運動を行わせることを特徴とする遊技機の可動装飾装置。
【請求項2】
前記カムの側面に突設したピンを第1アームの溝部に嵌合させ、第1アームを揺動させることを特徴とする請求項1に記載の遊技機の可動装飾装置。
【請求項3】
第2アームの基部を揺動リンクに枢着し、この揺動リンクを前記カムによって揺動させることにより、昇降工程中に第2アームの基部を第1アームの基部に対して後方に移動させることを特徴とする請求項1に記載の遊技機の可動装飾装置。
【請求項4】
装飾部材を上昇させた状態から前記カムを逆転させてその側面に突設したピンを第1アームの溝部から離脱させ、装飾部材に自由落下運動を生じさせることを特徴とする請求項2に記載の遊技機の可動装飾装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−85747(P2013−85747A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229582(P2011−229582)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000148287)株式会社浅間製作所 (114)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000148287)株式会社浅間製作所 (114)
【Fターム(参考)】
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