説明

遊技機の回路基板冷却構造

【課題】 遊技機裏面側空間が狭い場所に設置しても、遊技機裏面に取り付けられカバーで覆われた回路基板を効率よく冷却させて、高温により回路の機能を停止させるという問題を解決し得る遊技機の回路基板冷却構造を提供する。
【解決手段】 回路基板32の部品実装面側及び半田付け面側の双方の空間63,64を上方及び下方で各々連通させる上及び下連通室65,62を設けた。遊技機上方の正面側に形成された上開口14及び上連通室65相互間を連通させる上通気路66と、遊技機下方の正面側に形成された下開口16及び下連通室62相互間を連通させる下通気路61とを設けた。昇温した回路基板32の部品実装面側及び半田付け面側の空気の熱交換先を、遊技機島内の空間ではなく遊技者通路側の空間とし、回路基板32を効率よく冷却させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面に制御回路基板が取り付けられ、その周囲がカバーで覆われた遊技機の回路基板冷却構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パチンコ機等の遊技機は、マイクロコンピュータ等を制御回路に用いた電子回路化が進んでいる。この制御回路が組み込まれた制御回路基板は遊技機の裏面に取り付けられ、その周囲はカバーで覆われている。
このカバーは、制御回路基板を物理的に保護すると共に、制御回路基板に外部から手が加えられることを防止できる利点があるが、この制御回路基板から、詳しくはこの基板に実装された電子/電気部品(以下、部品と略記する。)から発生する熱をこもらせるようにも作用する。
【0003】
このため、カバーに多数の通気孔を設けて対処していたが、これではカバー内側に対面する制御回路基板の部品実装面側の通気、放熱(冷却)は可能であっても、この部品実装面側とは反対側の面、つまり半田付け面側の通気、放熱はなされない。したがって、カバー内の半田付け面側の空間を昇温させて半田を溶かし、実装部品の電気的な接続を不安定にし、最悪の場合には制御回路の機能を停止させた。
【0004】
そこで従来、制御回路基板の部品実装面側の空間のみならず、これとは反対側の半田付け面側の空間も、通気孔によって外部と通気されるようにし、両方の空間の温度上昇を抑制するようにした遊技機が提案された(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2541156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来技術では、制御回路基板のカバー内の空間を通気するだけであるため、つぎのような問題点があった。
遊技機、特にパチンコ機は、通常、島と呼ばれる設置場所(遊技機島)に複数台左右方向に並べて取り付けられる。この場合、正面(遊技盤面)側は、遊技者が遊技をする側であるので遊技機島外側、つまり遊技者通路側に面している。
したがって、遊技機の裏面側は遊技機島内側に面し、遊技機島内は多数の遊技機の裏面側が露出している。一方、遊技機島内には、遊技球を循環させる遊技球還元機等も設置されている。つまり遊技機島内は、狭い空間にも拘わらず、各遊技機のランプや電源装置、ホールコンピュータとの通信回路、更には遊技球還元機やこれに付設される結露防止用ヒータ等、発熱源となる部品や装置が多数置かれている。
【0006】
このため、従来技術において、遊技機の制御回路基板の部品実装面側及び半田付け面側の空間共に通気孔によって外部と通気されるようにしても、結局は遊技機島内で熱交換されるだけに過ぎない。したがって、島電源オンからの時間経過に伴い、遊技島内に熱がこもってくると、やはり制御回路基板のカバー内の温度は高温となる。その結果、制御回路基板の半田付け面の半田を溶かし、実装部品の電気的な接続を不安定にする等によって、最悪の場合、制御回路の機能を停止させるという問題を解決するに至らなかった。
【0007】
本発明は、上記のような実情に鑑みなされたもので、遊技機島のように遊技機設置場所の遊技機裏面側空間が狭く、あるいは熱交換効率の低い場合でも、遊技機裏面に取り付けられて周囲がカバーで覆われた遊技機制御用等の回路基板を効率よく放熱(冷却)させ、高温により回路の機能を停止させるという問題を解決し得る遊技機の回路基板冷却構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、回路基板が裏面に取り付けられ、その周囲がカバーで覆われ、前記回路基板の部品実装面側及び半田付け面側の双方の空間が各々面方向に通気可能に形成された遊技機の回路基板冷却構造において、前記カバーは、前記回路基板の遊技機裏面側の露出面全周を通気不能に覆うように形成され、このカバー内には、前記双方の空間をその上方及び下方で各々連通させる上及び下連通室と、遊技機上方の正面側に形成された上開口及び前記上連通室相互間を連通させる上通気路と、遊技機下方の正面側に形成された下開口及び前記下連通室相互間を連通させる下通気路とを具備することを特徴とする。
【0009】
また、特許請求の範囲の請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、上開口及び下開口相互間の通気経路途中に配置され、前記下開口から吸気した外気を前記通気経路を通って前記上開口から排気させる強制冷却空気流を発生させるファンを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
特許請求の範囲の請求項1に記載の発明では、回路基板の部品実装面側及び半田付け面側の双方の空間を上方及び下方で各々連通させる上及び下連通室を設けた。そして、遊技機上方の正面側に形成された上開口及び上記上連通室相互間を連通させる上通気路と、遊技機下方の正面側に形成された下開口及び上記下連通室相互間を連通させる下通気路とを設けた。
これによれば、昇温した回路基板の部品実装面側及び半田付け面側の空気の熱交換先が、低効率のパチンコ島内の空間ではなく高効率の遊技者通路側の空間となり、上記回路基板を効率よく冷却させ、高温により回路の機能を停止させるという問題を解決し得る。
【0011】
また、特許請求の範囲の請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明において、強制冷却空気流を発生させるファンを設けたので、上記回路基板を高効率で冷却させ得、高温により回路の機能を停止させるという問題を充分に解決し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、各図間において、同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1は、本発明に係る回路基板冷却構造が適用されたパチンコ機、ここでは映像式パチンコ機の一実施形態を正面側から示す斜視図、図2は同じく裏面側から示す斜視図である。
【0013】
始めに映像式パチンコ機について説明する。
映像式パチンコ機は、旧来からの機械式のパチンコ機(実パチンコ機)と同様の発射操作部を備え、入賞口、アウト口、遊技釘等の盤面構成部材が実パチンコ機の遊技盤面形態を模して配置された遊技盤面、及びこの遊技盤面上の遊技領域に打ち込まれ流下する遊技球等を画像表示器に表示して仮想的に遊技を行うパチンコ機である。
【0014】
このような映像式パチンコ機において、遊技者は、遊技球貸出し可能金額を記憶させたカードをカードリーダ・ライタに読み込ませ、遊技媒体、ここではスコアに変換して遊技を行う。遊技終了時には、獲得したスコアを上記カードリーダ・ライタによりカードに記憶させ、そのスコアを媒介に景品と交換するものである。後述するコントロールパネルセットは、このような映像式パチンコ機における遊技の開始及び終了時に、遊技者が上記カードを用いて操作する装置部である。
【0015】
図1、図2において、額縁状に形成された筐体11の前面には、前面装飾枠12が図示しないヒンジにより開閉自在に取り付けられている。
この前面装飾枠12には、ランプ類やスピーカ等(図示せず)が搭載され、またこの前面装飾枠12の裏面側には、前面側からの外力から後述する画像表示器を保護するための前面ガラス13が取り付け固定されている。
また前面装飾枠12の上方左右側には、各々排気用開口(上開口)14が開けられている。更に前面装飾枠12の下方には、遊技の開始及び終了時等に、遊技者が操作するコントロールパネルセット(以下、パネルセットと略記する。)15が取付け固定されている。
【0016】
パネルセット15上面には、遊技に使用する遊技媒体の使用可能量(遊技球貸出し可能金額)を表示するカード残高表示部15a及び獲得スコア表示部15bがある。
またパネルセット15前面には、遊技者が操作する貸出し球ボタン15c、カード返却ボタン15d、獲得スコア精算ボタン15e、図柄停止ボタン15fがある。
【0017】
パネルセット15中央下方にはカード挿入口15gがあり、パネルセット15の左下方には、灰皿15hが取り付けられている。また、パネルセット15の右下方には、遊技球を、その発射強度を調整しながら発射するためのハンドルセット15iが取り付けられている。
更に、パネルセット15の下方左右側(灰皿15h及びハンドルセット15iの下方)には、各々吸気用開口(下開口)16が開けられている。
なお、図1,図2中の17は裏セットカバーである。
【0018】
図3は、図1に示したパチンコ機の正面側から示す分解斜視図、図4は、同じく裏面側から示す分解斜視図である。
これらの図から分かるように、画像表示装置、ここでは液晶画像表示装置31は、筐体11と前面装飾枠12の間に位置し、図示しない固定装置により筐体11に取付け固定される。
筐体11の裏面には、主制御回路基板32、画像表示制御回路基板33、音声制御回路基板34、電源回路基板35等の回路基板群36が取付け固定されている。これら回路基板32〜35は、各々回路基板本体に回路部品が実装されてなり、その部品実装面側を外方に向け、それとは反対側の半田付け面側を内方に向けた状態で、基板取付台32a〜35aに取付固定されている。少なくとも基板取付台32a,33aの外周には、通気穴群(図示省略)が開けられている。
【0019】
また筐体11の、画像表示装置31を収納する表示装置収納室37の上下各一箇所には通気口38が開けられ、上部の通気口38aは排気口、下部の通気口38bは吸気口となっている。以下、これらを筐体排気口38a、筐体吸気口38bという。
更に、筐体11の上方左右側の、上記前面装飾枠12に開けられた排気用開口14との対応箇所には、各々排気開口(以下、筐体排気開口という。)39が開けられている。そして、筐体11の下方左右側の、上記パネルセット15に開けられた吸気用開口16との対応箇所には、各々吸気開口(以下、筐体吸気開口という。)40が開けられている。
【0020】
なお、主制御回路基板32に備わる主制御回路は、パチンコ機全般の制御を司る、特に後述画像表示器に表示される遊技盤面画像における遊技状態を制御する回路である。
また、画像表示制御回路基板33に備わる画像表示制御回路は、上記主制御回路の制御に基づき上記遊技盤面画像における表示制御を行う回路であり、音声制御回路基板34に備わる音声制御回路は、上記主制御回路の制御に基づきスピーカ(図示せず)を用いた音声による演出の制御を行う回路である。
電源回路基板35に備わる電源回路は、上記各回路や後述するファン等、パチンコ機各部に電源を供給する回路である。
【0021】
各回路基板32〜34は、外力からの保護用のカバー(符号省略)に覆われており、各保護用のカバーには、カバー内部の電子/電気回路部品から発生した熱をカバー外部に放出するための通気穴群(図示省略)が開けられている。
そしてこれら各回路基板32〜34、つまり回路基板群36の後方には、同回路基板群36を外力や不正行為等から保護するための裏セットカバー17が、同回路基板群36が取付け固定された筐体11の後部を丸ごと覆うように取付け固定されている。つまり回路基板群36の裏面側の露出面全周は、裏セットカバー17によりパチンコ機裏面側からはほぼ密閉状態で保護されている。
【0022】
この裏セットカバー17の中央内部には、排気用開口14及び吸気用開口16相互間の通気経路途中に位置し、吸気用開口16から吸気した外気を上記通気経路を通って排気用開口14から排気させる強制冷却空気流を発生させるファン41が取り付けらている。
なお、各回路基板32〜35やファン41の配線は図示を省略している。各回路基板32〜35は、図4中に表れている面側が部品実装面側であり、したがってその反対面側が半田付け面側となっている。
【0023】
図5は、図3中の画像表示装置31の正面側から示す分解斜視図、図6は、同じく裏面側から示す分解斜視図である。
これらの図から分かるように、画像表示装置31は、画像表示器、ここでは液晶画像表示器31aと、その前後面を各別に覆う前カバー31b及び後カバー31cとを備えてなり、画像表示器31aの裏面には冷却用の通気穴群31dが開けられている。
【0024】
後カバー31c内面の左右側部分には、この部分を、各々上下方向に2つの空間に仕切るリブ31eが形成されている。また後カバー31cの、上記筐体排気口38a及び吸気口38bと対応する上下各箇所には通気口51が開けられ、上部の通気口は排気口、下部の通気口は吸気口となっている。以下、これらを後カバー排気口51a、後カバー吸気口51bという。
【0025】
上述したようなパチンコ機の構造により、本実施形態が構成されるもので、以下これについて説明する。
なお本実施形態では、部品実装面側に加えて半田付け面側の放熱(冷却)をする対象を、主制御回路基板32及び画像表示制御回路基板33とした場合の構造を例示している。しかし画像表示器31aも、これら制御回路基板32,33と同じ裏セットカバー17により同様にほぼ密閉されていることから、この画像表示器31aも冷却作用を受け、また音声制御回路基板34や電源回路基板35についても、部品実装面側については冷却作用を受ける構造となっている。
【0026】
図7は図1に示すパチンコ機の正面概略図、図8はこの図7中の一点鎖線に沿って切断した右側断面の拡大図であって、この図8に本実施形態の回路基板冷却構造全体を示す。
図8(図1、図7)から分かるように、パネルセット15の下方には吸気用開口16が開けられ、前面装飾枠12の上方には、排気用開口14が開けられている。そして、これら吸気用及び排気用開口16,14相互間には、同吸気用開口16から排気用開口14に向かって第1及び第2冷却気流81,82が生じるように、次のような通気経路が形成されている。
【0027】
すなわち、吸気用開口16→筐体吸気開口40→下通気路61→ファン41→下連通室62→主制御回路基板32の部品実装面側空間63及び半田付け面側空間64→上連通室65→上通気路66→筐体排気開口39→排気用開口14という経路で第1冷却気流81が生じるように通気経路が形成されている。
また、吸気用開口16→筐体吸気開口40→下通気路61→ファン41→下連通室62→筐体吸気口38b→後カバー吸気口51b→画像表示装置31の部品収納部空間67→後カバー排気口51a→筐体排気口38a→上連通室65→上通気路66→筐体排気開口39→排気用開口14という経路で第2冷却気流82が生じるように通気経路が形成されている。
【0028】
ここで連通室62,65は、主制御回路基板32の部品実装面側空間63及び半田付け面側空間64の双方を連通させる通気空間で、下方に位置する連通室62が下連通室、上方に位置する連通室65が上連通室である。
また上通気路66は、パチンコ機上方の正面側に形成された開口、本実施形態では排気用開口14及び上連通室65相互間を連通させる通気路を指し、下通気路61は、同パチンコ機上方の正面側に形成された開口、本実施形態では吸気用開口16及び下連通室62相互間を連通させる通気路を指す。
【0029】
主制御回路基板32の部品実装面側空間63は、主制御回路基板32の部品実装面側に形成された空間、具体的には裏面に主制御回路基板32及び画像表示制御回路基板33(図4参照)が取り付けられた筐体11と裏セットカバー17との間に形成された空間を指す。
【0030】
また、主制御回路基板32の半田付け面側空間64は、主制御回路基板32の半田付け面側に形成された空間を指す。本実施形態では、下連通室62に臨む基板取付台32a外周の図中、下方側の通気穴群(図示省略)を経て、同基板取付台32aの内方を通り、同基板取付台32a外周の図中、上方側の通気穴群(図示省略)を経て上連通室65に至る空間(通気経路)を指す。
【0031】
画像表示装置31の部品収納部空間67は、第2冷却気流82を通して画像表示装置31の構成部品(画像表示器31aを含む。)を冷却するための空間である。本実施形態では、下連通室62に臨む筐体吸気口38b、後カバー吸気口51bを経て、画像表示器31a裏面に開けられた通気穴群31d中の上記リブ31eで仕切られた下方部分に至り、ここから画像表示器31a内部に入る。そしてこの画像表示器31a内部を通って同リブ31eで仕切られた通気穴群31d中の上方部分を経て、上連通室65に臨む後カバー排気口51a、筐体排気口38aに至る空間(通気経路)を指す。
【0032】
なお、本実施形態において下通気路61は、パネルセット15と裏セットカバー17との間に形成され、音声制御回路基板34(図4参照)及び電源回路基板35収納用の部屋(以下、下部収納室という。)ともなっている。この下部収納室も、吸気用開口16から排気用開口14に至る通気経路中にあるので、これら回路基板34,35もこの下部収納室内、つまり下通気路61内において冷却される。
【0033】
ファン41は、吸気用開口16及び排気用開口14相互間の通気経路途中において、これら開口16,14の一方側から他方側への、本実施形態では吸気用開口16側から排気用開口14側に向かう強制冷却空気流を発生させる強制空冷用のファンである。このファン41は、図示例では下通気路61及び下連通室62相互間に設けたが、吸気用開口16及び排気用開口14相互間の通気経路途中であればこれ以外の位置に設けてもよい。
【0034】
図8においては、主制御回路基板32で隠れて見えないが、図4に示す画像表示制御回路基板33についても、上述した主制御回路基板32の場合と同様にして冷却作用を受ける。また、電源回路基板35で隠れて見えないが、同図4に示す音声制御回路基板34についても、上述した電源回路基板35の場合と同様の冷却作用を受ける。
【0035】
以上の構成において、図8に示すパチンコ機が稼働、つまり電源投入され、筐体11裏面の回路基板群36(図4参照)が発熱し始めたものとする。以降は、同回路基板群36中の主制御回路基板32の発熱に着目して説明する。
主制御回路基板32が発熱すると、同主制御回路基板32の部品実装面側空間63及び半田付け面側空間64において昇温された空気は軽くなって上方(図8においても上方)に移動する。
この時、双方の空間63,64は上連通室65で連通されており、この上連通室65は上通気路66を介して排気用開口14に通じているので、同空間63,64内の昇温された空気は、上連通室65で合流された後、上通気路66を通って排気用開口14から排気される。
【0036】
一方、吸気用開口16からは、比較的低温の外気が吸気され、下通気路61を通って下連通室62に移動し、ここで上記空間63,64の2方向に分流される。分流された各外気は、発熱中の主制御回路基板32の部品実装面及び半田付け面と熱交換して同両面を冷却し、同時に昇温され、軽くなって上方に移動する。
【0037】
つまり、吸気用開口16→下通気路61→ファン41→下連通室62→主制御回路基板32の部品実装面側空間63及び半田付け面側空間64→上連通室65→上通気路66→排気用開口14という通気経路に沿う空気流(図中、点線矢印で示す第1冷却気流81)による冷却が行われ、主制御回路基板32の部品実装面のみならず、半田付け面の冷却も有効に行われる。
【0038】
ここで、吸気用開口16及び排気用開口14は、各々パチンコ機正面側、つまりパチンコ島とは反対側の遊技者通路側に向けられ、主制御回路基板32の発熱により昇温した空気の熱交換先は遊技者通路側の空間となっている。したがって、パチンコ島内が熱交換先となる従来技術に比べて主制御回路基板32の半田付け面の冷却が効率よく行われ、同半田付け面の半田を溶かし、実装部品の電気的な接続を不安定にすることを防止できる。
【0039】
特に、遊技者通路側の空気は、通常、エア・コンディショニングされ、また循環している、熱交換(主制御回路基板32の冷却)に極めて有効な空気である。したがって、このような空気が、吸気用開口16から裏セットカバー17内に取り込まれ、上記通気経路を経て排気用開口14から遊技者通路側に排気されるという空気流の循環によれば、主制御回路基板32の半田付け面の冷却が高効率で行われ、主制御回路基板32の半田付け面の半田を溶かすことを防止できる。
【0040】
しかも本実施形態では、ファン41を吸気用開口16及び排気用開口14相互間の通気経路途中、図示例では下通気路61及び下連通室62相互間に設けたので、吸気用開口16側から排気用開口14側に向かう強制冷却空気流を発生させることができ、主制御回路基板32の半田付け面の半田を溶かすことを充分に防止できる。
本実施形態では、吸気用開口16→筐体吸気開口40→下通気路61→ファン41→下連通室62→画像表示装置31の部品収納部空間67→上連通室65→上通気路66→排気用開口14という通気経路に沿う空気流(図中、下連通室62以降における実線矢印で示す第2冷却気流82)による冷却も行われ、画像表示装置31の構成部品の冷却も有効に行われる。
【0041】
なお、主制御回路基板32が発熱すれば、上述したように吸気用開口16側から排気用開口14側に向かう空気流が生じ、遊技者通路側の空気と熱交換して主制御回路基板32の半田付け面の冷却(自然通気冷却)が行われるので、ファン41は必ず設けなければならないものではない。
またファン41は、パチンコ機の電源のオン/オフに伴って回転/停止するように、つまりパチンコ機稼働中、常時回転動作するようにしてもよいが、サーモスタットのような温度検出装置を設け、予め設定した温度以上においてのみ回転するようにしてもよい。この場合、ファン41停止時には上記自然通気冷却が行われ、省電力が図れる。
【0042】
上述実施形態において、下連通室62から上記空間63,64への空気の分流割合については、例えば図8中の二点鎖線で示す位置83に適宜高さ(図中左右方向の寸法)の衝立板を所定の幅(図示面に垂直な方向の寸法)で設けることにより調整可能である。
【0043】
なお上述実施形態では、本発明を映像式パチンコ機の回路基板冷却構造に適用した場合について述べたが、実パチンコ機の回路基板冷却構造に適用してもよく、更には、パチンコ機以外の遊技機の回路基板冷却構造に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る回路基板冷却構造が適用された映像式パチンコ機の一実施形態を正面側から示す斜視図である。
【図2】同じく裏面側から示す斜視図である。
【図3】図1に示したパチンコ機の正面側から示す分解斜視図である。
【図4】同じく裏面側から示す分解斜視図である。
【図5】図3中の画像表示装置の正面側から示す分解斜視図である。
【図6】同じく裏面側から示す分解斜視図である。
【図7】図1に示すパチンコ機の正面概略図である。
【図8】本発明に係る回路基板冷却構造の実施形態につき、図7中の一点鎖線に沿う切断面を右側から拡大して示す図である。
【符号の説明】
【0045】
11:筐体、12:前面装飾枠、14:排気用開口(上開口)、16:吸気用開口(下開口)、17:裏セットカバー(カバー)、31:画像表示装置、31a:画像表示器、31d:通気穴群、32:主制御回路基板、38a:筐体排気口、38b:筐体吸気口、39:筐体排気開口、40:筐体吸気開口、51a:後カバー排気口、51b:後カバー吸気口、61:下通気路、62:下連通室、63:主制御回路基板の部品実装面側空間、64:主制御回路基板の半田付け面側空間、65:上連通室、66:上通気路、81:第1冷却気流、82:第2冷却気流。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板が裏面に取り付けられ、その周囲がカバーで覆われ、前記回路基板の部品実装面側及び半田付け面側の双方の空間が各々面方向に通気可能に形成された遊技機の回路基板冷却構造において、
前記カバーは、前記回路基板の遊技機裏面側の露出面全周を通気不能に覆うように形成され、
このカバー内には、
前記双方の空間をその上方及び下方で各々連通させる上及び下連通室と、
遊技機上方の正面側に形成された上開口及び前記上連通室相互間を連通させる上通気路と、
遊技機下方の正面側に形成された下開口及び前記下連通室相互間を連通させる下通気路とを具備することを特徴とする遊技機の回路基板冷却構造。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機の回路基板冷却構造において、
上開口及び下開口相互間の通気経路途中に配置され、前記下開口から吸気した外気を前記通気経路を通って前記上開口から排気させる強制冷却空気流を発生させるファンを具備することを特徴とする遊技機の回路基板冷却構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−26292(P2006−26292A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213162(P2004−213162)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】