説明

遊技機の施錠装置

【課題】キーを用いてシリンダ錠を不正に解錠操作した場合でも、他のロック手段を用いて不正解錠を防止することができる遊技機の施錠装置を提供する。
【解決手段】本体フレーム2の支持板3の上部と下部にフック5,6が枢軸を介して傾動可能に枢支される。上下のフックが支持板に沿って摺動可能に配設された連結杆7により連結され、本体フレーム2の中間部にシリンダ錠10が取り付けられる。シリンダ錠10の錠軸にカム板8が固定され、カム板8が係合可能な係合部7bが連結杆7に設けられる。シリンダ錠10のケース11内に上錠軸17と下錠軸27が連係可能に配設され、ケース11内に電磁ソレノイド20が配設され、電磁ソレノイド20の作動に応じて上錠軸17の回動が下錠軸27に連係される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機或はスロットマシン等の遊技機の前面枠を施錠する遊技の施錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の遊技機用の施錠装置として、遊技機の本体枠(キャビネット)の前面にヒンジを介して開閉可能に取り付けられた前面枠(前扉)を施錠するために、前面枠の内側に縦に装着され、本体枠側に取り付けた受け金具にフック状のフックを係止させて施錠する施錠装置が、下記特許文献1などで知られている。
【0003】
この施錠装置は、通常、取付板と支持板を横断面略L形に成形してなる縦長の基枠体を有し、その基枠体の内側に、鉤部を上部と下部に前方を向けて突設した施錠杆が摺動可能に配設され、基枠体の取付板の中間部にシリンダ錠が取り付けられ、その錠軸の先端に取り付けたカム板を施錠杆に連結させ、シリンダ錠のキー操作によりカム板を回動させ、施錠杆を摺動させて鉤部を上下に動かし、受け金具との係合を外して解錠する構造である。また、施錠杆には鉤部を施錠側に付勢するコイルばねが掛止され、前面枠を本体枠に対し閉鎖した時、鉤部が受け金具の縁部に当って摺動しながら、係止状態となり、コイルばねの付勢力で、鉤部が係止位置に戻り、施錠状態となるように動作する。
【0004】
ところで、この種の遊技機は、近年、大当たり入賞状態になれば、多くの球やコインの払出が行なわれる機種が人気を呼び、大当たり入賞の生じる遊技機が多く製造されている。しかし、大当たり入賞の当選の確率は、通常、制御回路内のプログラムやメモリのデータにより決定されることから、遊技場の営業中や非営業中に係らず、遊技機の前面枠を不正に開き、制御回路内の回路部品を不正な部品と交換し、有利な条件で遊技を行なうことにより、不正に多くの球やコインの払出を得るような不正行為が発生している。
【0005】
遊技機には、殆ど全てに上記のような構造の施錠装置が装着されており、正常なキーを用いてシリンダ錠を操作して、施錠装置を解錠しなければ、遊技機の前面枠は、殆ど開くことが難しい。しかしながら、不正に施錠装置が無理やり或は真正キーから作られた不正キー等を用いて不正解錠が行なわれ、前面枠を開いて、上記のような不正操作が行なわれる場合があった。このため、真正キーから不正に作られた不正キー等により施錠装置が解錠操作された場合であっても、他の手段で施錠装置のロックが働き、不正解錠を阻止することができる施錠装置が要望されていた。
【特許文献1】特開平12−116917号公報
【特許文献2】特開2001−20573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、従来、シリンダ錠の錠軸にカムを固定した構造の錠装置において、そのカムの軸を錠軸に対し係合、非係合可能に連結すると共に、カムの外側に電磁ソレノイドを取り付け、その電磁ソレノイドによりカムの軸を錠軸に対し係合させ、或は係合を解除させる構造の錠装置が、上記特許文献2において提案されている。しかしながら、この従来の錠装置は、カムの外側に電磁ソレノイドが取り付けられているため、この種の錠装置を遊技機の施錠装置に使用した場合、施錠装置の基枠体から電磁ソレノイドが遊技機の前面枠内に突き出し、前面枠内の各種の部品と干渉しやすく、結局、遊技機の施錠装置には使用できないという課題があった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、キーを用いてシリンダ錠を不正に解錠操作した場合でも、他のロック手段を用いて不正解錠を防止することができる遊技機の施錠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の施錠装置は、取付板と支持板を断面L形に曲折して縦長の本体フレームが形成され、該本体フレームの支持板の上部と下部にフックが枢軸を介して傾動可能に枢支され、該上下のフックが該支持板に沿って摺動可能に配設された連結杆により連結され、該本体フレームの中間部にシリンダ錠が取り付けられ、該シリンダ錠の錠軸にカム板が固定され、該カム板が係合可能な係合部が該連結杆に設けられ、該フックが遊技機の本体枠側に取り付けた受け金具の係止部に係止されて施錠する遊技機の施錠装置において、該シリンダ錠のケース内には上錠軸と下錠軸が連係可能に配設され、該ケース内に電磁ソレノイドが配設され、該電磁ソレノイドの作動に応じて該上錠軸の回動が下錠軸に連係されることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の施錠装置は、取付板と支持板を断面L形に曲折して縦長の本体フレームが形成され、該本体フレームの内側に、上部と下部にフック部を前方に向けて突設した施錠杆が上下摺動可能に配設され、該本体フレームの中間部にシリンダ錠が取り付けられ、該シリンダ錠の錠軸にカム板が固定され、該カム板が係合可能な係合部が該施錠杆に設けられ、該フックが遊技機の本体枠側に取り付けた受け金具の係止部に係止されて施錠する遊技機の施錠装置において、該シリンダ錠のケース内には上錠軸と下錠軸が連係可能に配設され、該ケース内に電磁ソレノイドが配設され、該電磁ソレノイドの作動に応じて該上錠軸の回動が下錠軸に連係されることを特徴とする。
【0010】
ここで、上記施錠装置においては、シリンダ錠内の上錠軸と下錠軸の間に電磁ソレノイドがそのソレノイドプランジャを係合可能に配設され、該電磁ソレノイドのソレノイドプランジャが作動時に該上錠軸と下錠軸に係合して回動を伝達するように構成することができる。
【発明の効果】
【0011】
上記構成の施錠装置は、遊技機の前扉の内側に縦に取り付けられ、遊技機のキャビネット側に取り付けた受け金具の係止部に、上下のフックが係止されて施錠が行なわれる。シリンダ錠の電磁ソレノイドには例えば管理用コンピュータに接続された駆動回路に電気的に接続される。そして、通常時の施錠装置のシリンダ錠は、上錠軸と下錠軸が非連係状態であるため、キーを差し込んでシリンダ錠を回したとしても、下錠軸に固定されたカム板は回動せず、解錠操作を行なうことはできない。
【0012】
前面枠を開く場合、管理用コンピュータから解錠指令信号を駆動回路に出力し、駆動回路(ソレノイド用の電源をオンオフする回路)によってシリンダ錠内の電磁ソレノイドが動作する。これにより、シリンダ錠内の上錠軸と下錠軸が連係状態となって、差し込んだキー操作により上錠軸を回動させたとき、下錠軸が回動する状態となり、カム板が回動可能な状態となる。したがって、その状態で、キーをシリンダ錠に差し込み、回動操作すれば、上錠軸、下錠軸及びカム板が解錠方向に回動し、前扉を解錠することができる。
【0013】
一方、管理用コンピュータから解錠指令信号が出力されず、駆動部の電磁ソレノイドが動作しない状態では、ロックピンがカム板をロックしており、シリンダ錠に差し込んだキーより解錠しようとしても、カム板は動かず、解錠することができない。
【0014】
例えば、真正キーから不正キーを作り、或は真正キーを使用して不正解錠しようとする者がいた場合、シリンダ錠にキーを差し込み、カム板を回して連結杆または施錠杆を摺動させようとしても、電磁ソレノイドの作動による上錠軸と下錠軸の連係がなければ、施錠装置を解錠することはできず、キーを用いた不正解錠は防止される。
【0015】
また、この施錠装置は、構造的には、既存の施錠装置に対し、シリンダ錠を交換するだけで、簡単に実施することができる。さらに、シリンダ錠内に電磁ソレノイドを収納したため、電磁ソレノイドが施錠装置から突出した構造となることがなく、遊技機内の非常に狭いスペースに施錠装置を装着しても、内部の部品が干渉せず、パチンコ機、スロットマシンなどの遊技機において、セキュリティの高い施錠装置として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1はスロットマシンの前扉を施錠する施錠装置の右側面図を示し、図2はその正面図を、図3はそのシリンダ錠10の拡大断面図を示している。この施錠装置のシリンダ錠10は、通常より長い円筒状のケース11を有して形成され、そのケース11内に電磁ソレノイド20を配設し、電磁ソレノイド20の作動によりシリンダ錠10の解錠操作をロックし、或はアンロックするように構成される。
【0017】
施錠装置の本体フレーム2は、図1に示すように、取付板4と支持板3を断面L形に成形した縦長の本体フレーム2を有し、その支持板3の上部と下部に、鉤状のフック5、6がその中間部を枢軸5a,6aを介して傾動可能に枢支され、両フック5、6の末端部が、本体フレーム2内に摺動可能に配設した連結杆7により、連結軸5b,6bを介して連結される。
【0018】
連結杆7の中間部には、ガイド孔7a(長孔)が長手方向に形成され、そのガイド孔7aにガイドピン19が挿通されてその先端が支持板3に固定され、連結杆7は所定の長手方向の移動範囲内で、摺動可能に保持されている。また、連結杆7の中間部には後述のカム板8に係合可能な係合部7bが形成されている。連結杆7と支持板3の間に、スイッチ作動杆31が摺動可能に配設される。スイッチ作動杆31にはスイッチ作動片31aが支持板3から外側突き出すように設けられ、そのスイッチ作動片31aが図示しない非接触スイッチをオンオフ作動して、ゲームリセット信号などを発生させる。このスイッチ作動杆31は上記ガイドピン19をその一部に設けた長孔に挿通係合させ、所定の範囲での上下摺動をガイドさせている。このスイッチ作動杆31は取付板4との間に装着されたコイルばね34により上方に付勢される。また、連結杆7は、取付板4との間に装着されたコイルばね35により下方に付勢されている。
【0019】
図2に示すように、本体フレーム2の取付板4の中央下寄りに幅広部が設けられ、そこに長尺のシリンダ錠10が前面に突き出し且つその下錠軸27を本体フレーム2の内側に挿入する形態で取り付けられる。シリンダ錠10は、図3に示すように、長尺の円筒状のケース11を有して形成され、ケース11の上部(先端部)には、内側フランジ11aが形成され、その内側フランジ11a内に、キーを挿入するための略円形のキー挿入空間16が形成されている。ケース11の末端にはフランジ部11bが上下の張り出すように設けられ、シリンダ錠10は、取付板4に設けた大径孔にそのケース11を内側から外側に差し込むように装着され、フランジ部11bを介して固定ねじによって取付板4に締め付け固定される。
【0020】
そのキー挿入空間16の真下のケース11内に、上錠軸17が回動可能に配設され、錠本体12がケース11内に上錠軸17を回動可能に支持するように固定されている。図4に示すように、上錠軸17には大径のフランジ部17aが形成され、そのフランジ部17aの中央上に円柱状の突部17cが形成され、この突部17cには、キー挿入空間16にキーを挿入したとき、キー先端の凹部が嵌入する。上錠軸17のフランジ部17a内には、複数のピン孔17dが軸方向に沿って穿設され、これらのピン孔17dに、各々、上タンブラーピン14が挿入される。また、上錠軸17の下端部(末端部)には、後述のソレノイドプランジャ23と嵌合可能な嵌合部17bが嵌合穴として形成されている。この嵌合部は穴以外に突部として形成することもでき、その場合はソレノイドプランジャの先端に嵌合穴を形成して嵌合させる。
【0021】
ケース11内には円柱状の錠本体12が固定され、上記上錠軸17はこの錠本体12によって回動可能に支持される。錠本体12は、図4に示すように、中央軸方向に軸孔12aが穿設され、その軸孔12aに上錠軸17の軸部が回動可能に挿入される。また、錠本体12の軸孔12aの周囲に、複数のピン孔12bが上錠軸17のピン孔17dと対応した位置に穿設される。
【0022】
そして、図3に示すように、上錠軸17の各ピン孔17dには、上タンブラーピン14が挿入され、錠本体12の軸孔12aには、下タンブラーピン15がコイルばね18と共に挿入される。上錠軸17のフランジ部17aの下面と錠本体12の上面の境界にシャーラインが設定され、その境界に上タンブラーピン14と下タンブラーピン15の当接面が一致したとき、シリンダ錠10は解錠状態となる。
【0023】
ケース11内の錠本体12及び上錠軸17の下側に小形の電磁ソレノイド20が収納される。図4に示すように、電磁ソレノイド20のヨーク21は、ケース11内に挿入可能に小形に形成され、円筒形のヨーク21内に励磁コイル22を巻装し、そのヨーク21の軸孔にソレノイドプランジャ23が軸方向に摺動可能に配設される。ソレノイドプランジャ23は、その上端(先端)に先端嵌合部23aが形成され、先端嵌合部23aの元部に円盤部23cが設けられている。先端嵌合部23aは円柱の一部側面が平坦に形成され、上記上錠軸17の嵌合部(穴)17bに嵌入したとき、回転を伝達可能である。この電磁ソレノイド20は、励磁コイル22の非通電時、コイルばね28の付勢力により押上られ、先端嵌合部23が上錠軸17の嵌合部17bに嵌合する。
【0024】
一方、ヨーク21内の励磁コイル22の通電時、円盤部23cがヨーク21に効果的に吸着され、ソレノイドプランジャ23がその末端の末端嵌合部23bを下錠軸27側に突き出すように移動する構造である。プランジャ23の先端嵌合部23aは、上記のように、非通電時、上錠軸17の嵌合部17bに嵌合している。ソレノイドプランジャ23の下端(末端)に形成される末端嵌合部23bは、例えば矩形形状に形成され、下錠軸27の嵌合部27b(矩形孔)に嵌合したとき、回転を伝達可能である。なお、電磁ソレノイド20のソレノイドプランジャ23は通電時、回動力を受けた状態であっても、回動可能な構造である。
【0025】
シリンダ錠10のケース11内も末端には、円環状の固定支持部29が固定され、固定支持部29の軸孔に下錠軸27の軸部が回動可能に嵌挿される。上記のように、下錠軸27の先端には嵌合部27bが嵌合穴として形成され、その奥にコイルばね28が挿入され、嵌合部27b内に進入したソレノイドプランジャ23の末端嵌合部23bを上方につまり嵌合させない状態に付勢している。電磁ソレノイド20の通電時には、ソレノイドプランジャ23の末端嵌合部23bがこのコイルばね28の付勢力に抗して、下錠軸27の嵌合部27b(矩形孔)に嵌合する。
【0026】
下錠軸27の末端の軸部27aは、ケース11の末端から施錠装置の本体フレーム2内に突出し、その先端にカム板8が固定ねじなどにより固定される。カム板8には、第1係合部8aと第2係合部8bが形成され、第1係合部8aはキーを右に回したとき、連結杆7の対応箇所に設けた係合部7bに係合し、連結杆7を上方に摺動させる。また、第2係合部8bはキーを左に回したとき、スイッチ作動杆31の対応箇所に設けた係合部31bに係合し、スイッチ作動杆31を下方に摺動させる。
【0027】
上記構成の施錠装置は、例えばスロットマシンの前扉の内側に、フック5,6をその本体のキャビネット側に向けて、その取付板4を介して縦に固定され、キャビネットのフック5,6の対向位置には、受け金具が固定される。シリンダ錠10内の電磁ソレノイド20の電気配線は、図示しない駆動回路(電源回路)に接続される。その駆動回路は管理用コンピュータにより制御可能に構成され、管理用コンピュータからその遊技機の施錠装置に対し解錠指令信号が出力されると、駆動回路が動作して電磁ソレノイド20を駆動するように構成される。
【0028】
キャビネットに対し、施錠装置を取り付けた前扉を閉じると、施錠装置の上下のフック5、6の傾斜部が、受け金具の係止部に当接しながら下方に回動し、フック5、6のフック凹部の先端が係止部を越えたところで、コイルばね35の付勢力により水平位置に戻るように動作して、フック5、6が係止部に係止され施錠状態となる。
【0029】
一方、遊技機の前扉を解錠する場合には、先ず、管理用コンピュータに入力して解錠しようとする遊技機の解錠指令信号を発生させ、駆動回路を介してその遊技機の施錠装置の電磁ソレノイド20に通電を行なう。これにより、図5に示すように、電磁ソレノイド20が動作し、ソレノイドプランジャ23が吸引されて図の右側に移動し、コイルばね28の付勢力に抗してその末端嵌合部23bを下錠軸27の嵌合部27bに嵌合させる。このとき、電磁ソレノイド20のソレノイドプランジャ23の先端嵌合部23aは、上錠軸17との嵌合連結を保持しているから、シリンダ錠10の上錠軸17が電磁ソレノイド20を介して下錠軸27に連結された状態となる。
【0030】
次に、その施錠装置のシリンダ錠10に所定のキーを差し込み右に回すと、同方向に上錠軸17、ソレノイドプランジャ23、及び下錠軸27が一体的に回動し、これによって、カム板8が同方向に回動する。これにより、カム板8の第1係合部8aが連結杆7の係合部7bに係合して、それをコイルばね35の付勢力に抗して上方に摺動させる。これにより、上下のフック5、6が下側に傾動し、受け金具に対する係止が外れ、解錠される。したがって、電磁ソレノイド20を作動した状態で、シリンダ錠10にキーを挿入して回すと、カム板8が回動して、連結杆7が上方に摺動し、フック5,6が傾動し、解錠が行なわれる。
【0031】
一方、電磁ソレノイド20が非作動状態で、所定のキーをシリンダ錠10に挿入し回すと、図3のように、ソレノイドプランジャ23の先端嵌合部23aは、上錠軸17との嵌合連結を保持しているが、その末端嵌合部23bは下錠軸27の嵌合部27bとは非嵌合状態を保持し、キーによりシリンダ錠10の上錠軸17を回したとしても、電磁ソレノイド20のソレノイドプランジャ23が回動するのみで、下錠軸27は回動しない。したがって、シリンダ錠10をキーにより回したとしても、下錠軸27及びカム板8は回動せず、連結杆7、フック5,6が傾動しないため、施錠装置は解錠されないこととなる。
【0032】
このように、シリンダ錠10内の電磁ソレノイド20に通電していない通常時には、カム板8の解錠側へ回動が不可能となるから、キーをシリンダ錠10に差し込んで解錠操作したとしても、カム板8を回動することができず、前扉の施錠状態は保持される。そして、管理者の管理用コンピュータによる解錠スイッチ操作と、係員のキー操作の二重操作によってのみ、施錠装置の解錠を行なうことができ、遊技機のセキュリティを、より向上させることができる。また、施錠装置には、シリンダ錠10のケース11内に電磁ソレノイド20を収納するため、従来のように、電磁ソレノイドがカム板の外側に突出することがなく、施錠装置が大型化したり、突出する部品と他の部品との干渉が回避され、非常に狭い遊技機の隙間にも施錠装置を取り付けることができる。
【0033】
なお、上記電磁ソレノイド20には、通電時、ソレノイドプランジャ23がヨーク21内で回動可能な構造のものを使用したが、通電時にヨーク21内でソレノイドプランジャ23が回動不能な電磁ソレノイドの場合、ケース11内でソレノイドプランジャ23と共にヨーク21を回動させて、上錠軸17の回動を下錠軸27に伝達することもできる。
【0034】
図6は他の実施形態を示し、この例では、より小形の電磁ソレノイド50をシリンダ錠40のケース41内に収納し、通常は、そのソレノイドプランジャ53により下錠軸57の回動をロックし、電磁ソレノイド50の作動時に、そのロックを解除してシリンダ錠40の解錠操作を可能にしている。
【0035】
すなわち、図6に示すように、上記と同様な構成のシリンダ錠40の上錠軸17の下端の嵌合部17bに、下錠軸57の上端を嵌合して連結している。その下錠軸57は円筒状のケース41の軸心位置に配設され、ケース端部に嵌着した固定支持部59に回動可能に支持される。下錠軸57の一側部には、係止片56が突設され、電磁ソレノイド50は、ケース41の内側で下錠軸57の近傍にその軸方向に沿って取り付けられる。電磁ソレノイド50のソレノイドプランジャ53は、通常時(非通電時)、係止片56に係合しており、通電時に、ソレノイドプランジャ53が引戻されたとき、係止片56との係合が解除される。下錠軸57の末端は、本体フレーム2の内側に突出し、その端部には、カム板58が固定される。カム板58には、連結杆7の係合部7bに係合可能な第1係合部58aと、スイッチ作動杆31の係合部31bに係合可能な第2係合部58bが設けられている。
【0036】
このような構成の施錠装置では、通常時、つまり電磁ソレノイド50が非作動状態において、所定のキーをシリンダ錠40に挿入して回わそうとしても、図6のように、ソレノイドプランジャ53の先端が下錠軸57の係止片56に係合しているため、下錠軸57は回動不可能となり、施錠装置は解錠することができない。
【0037】
一方、施錠装置を解錠する場合には、上記と同様に、例えば管理用コンピュータに入力して解錠しようとする遊技機の解錠指令信号を発生させ、駆動回路を介してその遊技機の施錠装置の電磁ソレノイド50に通電を行なう。これにより、電磁ソレノイド50が動作し、そのソレノイドプランジャ53が吸引されて本体側に引戻され、下錠軸57の係止片56との係合が解除される。この状態で、施錠装置のシリンダ錠40に所定のキーを差し込み右に回すと、同方向に上錠軸17と下錠軸57が一体的に回動する。これによって、カム板58が同方向に回動し、カム板58の第1係合部58aが連結杆7の係合部7bに係合して連結杆7を上方に摺動させ、連結杆7に連結されるフックを傾動させて、前面枠が解錠される。
【0038】
このように、本施錠装置においても、電磁ソレノイド50に通電していない通常時には、カム板8の解錠側へ回動が不可能となるから、例えば管理者の管理用コンピュータによる解錠スイッチ操作と、係員のキー操作の二重操作によってのみ、施錠装置の解錠を行なうことができ、遊技機のセキュリティを、より向上させることができる。また、施錠装置には、シリンダ錠40のケース41内に電磁ソレノイド50を収納するため、上記と同様に、施錠装置が大型化したり、本体フレームから電磁ソレノイドなどの部品が突出することがない。よって、突出する部品と他の部品との干渉が回避され、非常に狭い遊技機の隙間にも本施錠装置を取り付けることができる。
【0039】
なお、上記2つの実施形態では、支持板3にフック5,6が傾動可能に枢支され、上下のフック5,6が連結杆7により連結される構造の施錠装置に適用したが、フックを一体的に突設して形成した施錠杆を本体フレーム内に摺動可能に配設した構造の施錠具であっても、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態を示す施錠装置の右側面図である。
【図2】同施錠装置の正面図である。
【図3】(a)はシリンダ錠近傍の拡大断面図、(b)はシリンダ錠の正面図である。
【図4】電磁ソレノイド20、カム板8を含むシリンダ錠10の分解斜視図である。
【図5】解錠時のシリンダ錠近傍の断面図である。
【図6】他の実施形態を示し、(a)はシリンダ錠近傍の拡大断面図、(b)はそのb−b断面図である。
【符号の説明】
【0041】
2−本体フレーム
3−支持板
4−取付板
5,6−フック
7−連結杆
8−カム板
10−シリンダ錠
11−ケース
12−錠本体
17−上錠軸
20−電磁ソレノイド
23−ソレノイドプランジャ
27−下錠軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付板と支持板を断面L形に曲折して縦長の本体フレームが形成され、該本体フレームの支持板の上部と下部にフックが枢軸を介して傾動可能に枢支され、該上下のフックが該支持板に沿って摺動可能に配設された連結杆により連結され、該本体フレームの中間部にシリンダ錠が取り付けられ、該シリンダ錠の錠軸にカム板が固定され、該カム板が係合可能な係合部が該連結杆に設けられ、該フックが遊技機の本体側に取り付けた受け金具の係止部に係止されて施錠する遊技機の施錠装置において、
該シリンダ錠のケース内に上錠軸と下錠軸が連係可能に配設され、該ケース内に電磁ソレノイドが配設され、該電磁ソレノイドの作動に応じて該上錠軸の回動が下錠軸に連係されることを特徴とする遊技機の施錠装置。
【請求項2】
取付板と支持板を断面L形に曲折して縦長の本体フレームが形成され、該本体フレームの内側に、上部と下部にフック部を前方に向けて突設した施錠杆が上下摺動可能に配設され、該本体フレームの中間部にシリンダ錠が取り付けられ、該シリンダ錠の錠軸にカム板が固定され、該カム板が係合可能な係合部が該施錠杆に設けられ、該フックが遊技機の本体側に取り付けた受け金具の係止部に係止されて施錠する遊技機の施錠装置において、
該シリンダ錠のケース内には上錠軸と下錠軸が連係可能に配設され、該ケース内に電磁ソレノイドが配設され、該電磁ソレノイドの作動に応じて該上錠軸の回動が下錠軸に連係されることを特徴とする遊技機の施錠装置。
【請求項3】
前記シリンダ錠内の前記上錠軸と下錠軸の間に、前記電磁ソレノイドがそのソレノイドプランジャを該上錠軸または下錠軸の一方に連結させその他方に係合可能に配設され、該電磁ソレノイドのソレノイドプランジャが作動時に該上錠軸または下錠軸に係合して回動を伝達することを特徴とする請求項1または2記載の遊技機の施錠装置。
【請求項4】
取付板と支持板を断面L形に曲折して縦長の本体フレームが形成され、該本体フレームの支持板の上部と下部にフックが枢軸を介して傾動可能に枢支され、該上下のフックが該支持板に沿って摺動可能に配設された連結杆により連結され、該本体フレームの中間部にシリンダ錠が取り付けられ、該シリンダ錠の錠軸にカム板が固定され、該カム板が係合可能な係合部が該連結杆に設けられ、該フックが遊技機の本体側に取り付けた受け金具の係止部に係止されて施錠する遊技機の施錠装置において、
該シリンダ錠のケース内の軸心位置に配置された錠軸の側部に係止片が突設され、該ケース内に電磁ソレノイドが配設され、該電磁ソレノイドのソレノイドプランジャが該錠軸の係止片に係合して該錠軸の回動を阻止するように配置され、該電磁ソレノイドの作動により該ソレノイドプランジャと該係止片との係合が解除されることを特徴とする遊技機の施錠装置。
【請求項5】
取付板と支持板を断面L形に曲折して縦長の本体フレームが形成され、該本体フレームの内側に、上部と下部にフック部を前方に向けて突設した施錠杆が上下摺動可能に配設され、該本体フレームの中間部にシリンダ錠が取り付けられ、該シリンダ錠の錠軸にカム板が固定され、該カム板が係合可能な係合部が該施錠杆に設けられ、該フックが遊技機の本体枠側に取り付けた受け金具の係止部に係止されて施錠する遊技機の施錠装置において、
該シリンダ錠のケース内の軸心位置に配置された錠軸の側部に係止片が突設され、該ケース内に電磁ソレノイドが配設され、該電磁ソレノイドのソレノイドプランジャが該錠軸の係止片に係合して該錠軸の回動を阻止するように配置され、該電磁ソレノイドの作動により該ソレノイドプランジャと該係止片との係合が解除されることを特徴とする遊技機の施錠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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