説明

遊技機の盤面構造

【課題】演出表示装置等の種々の装置を大型化した場合にも、遊技領域における設計の自由度を確保することができる遊技機の盤面構造を提供する。
【解決手段】遊技領域110は複数のレール部材によって囲繞形成される。排出口121を境にしてガイド通路106と反対側の下方には、遊技面102から前面側に突出するように表示装置150が固定される。遊技領域110の底面は、表示装置150の傾斜面150aに沿って固定される底面レール151と、ガイド通路106と遊技領域110とを区画する内レール105と、によって区画される。底面レール151の傾斜角度は内レール105の傾斜角度よりも緩やかに形成される。底面レール151は、表示装置150の上面である傾斜面150aよりも排出口121側に突出する突出部位151aを有し、この突出部位151aを内レール105の下端105bの上方に臨ませる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球が遊技領域を転動、流下する遊技機の盤面構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技領域に設けられた入球口に遊技球が入球すると、所定の賞球が払い出されたり、あるいは遊技者に有利な特別遊技を実行する権利獲得の抽選が行われたりする遊技機が知られている。こうした遊技機においては、遊技領域のもっとも低い位置に排出口が設けられ、いずれの入球口にも入球しなかった遊技球が排出口を通じて遊技盤の背面側に排出されるようにしている。
近年においては、演出効果を高めるべく、遊技領域を区画形成するレール部材の内側に大型の演出表示装置や演出役物装置が設けられるとともに、遊技領域の外側(レール部材の外側)にも、遊技結果を報知する装置や演出用の装置等、種々の遊技装置が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−125150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように演出表示装置や演出役物装置を大型化すると、その分、遊技領域が狭くなってしまい、入球口の配置や、こうした入球口等に遊技球を導くための釘や風車の配置等の設計の自由度が失われてしまう。
このように、従来の遊技機の盤面構造においては、演出表示装置や演出役物装置といった演出用の装置の大型化による演出効果の向上と、遊技領域の確保による設計の自由度の確保とを両立するのが難しいという問題があった。
特に、近年においては、特許文献1に示すように、演出表示装置を境にして遊技領域の左右にさまざまな入球口が配置され、遊技の進行状況に応じて遊技球を左右に打ち分けさせるといった遊技機の盤面構造が広く採用されている。こうしたいわゆる右打ちを可能とする遊技機の盤面構造においては、演出表示装置の右側に遊技球が転動する領域を確保する必要性から、どうしても演出表示装置を小型化せざるを得えないという問題があった。
【0005】
本発明は、演出表示装置等の種々の装置を大型化した場合にも、遊技領域における設計の自由度を確保することができる遊技機の盤面構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、接地面に接地する枠体に保持された遊技盤と、該遊技盤の所定の一面によって形成される遊技面と、該遊技面に起立して固定される複数のレール部材と、該レール部材によって前記遊技面上に囲繞形成される遊技領域と、前記遊技面の幅方向の一端近傍において高さ方向に延伸して設けられ、前記遊技領域の上方に遊技球を導くガイド通路と、該ガイド通路から導かれて前記遊技領域を転動する遊技球が入球可能な入球口と、該入球口に入球しなかった遊技球を前記遊技領域から排出する排出口と、を備え、前記遊技領域の底面を区画形成するレール部材の高さ位置を、前記遊技面の幅方向外側から前記排出口に臨む位置に向かって徐々に低くして、前記入球口に入球しなかった遊技球を前記レール部材によって前記排出口に導く遊技機の盤面構造において、前記遊技面の幅方向において前記排出口を境にして前記ガイド通路とは反対側であって、かつ、前記遊技面の高さ方向において前記排出口と略同じ高さ位置に、前記遊技面から突出して固定される遊技装置と、該遊技装置の上面に沿って固定され、前記遊技領域の底面を区画形成する第1レール部材と、該第1レール部材に連続して前記遊技領域の底面を区画形成する第2レール部材と、を備え、前記第2レール部材は、前記排出口に臨む最も低い位置から前記ガイド通路側に向かって上方に傾斜する内側傾斜部と、該内側傾斜部に連続するとともに前記排出口に臨む最も低い位置から前記遊技装置側に向かって上方に傾斜する外側傾斜部と、を有し、前記遊技装置の上面は、前記排出口側から前記遊技面の幅方向外側に向かって上方に傾斜するとともに、この傾斜角度を前記第2レール部材の内側傾斜部の傾斜角度よりも小さくしてなり、前記第1レール部材は、前記遊技装置の上面よりも前記排出口側に突出するとともに、この突出部位を前記第2レール部材の外側傾斜部の上方に臨ませてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、遊技領域の下方、特には排出口を境にしてガイド通路とは反対側の領域を広く確保することができる。したがって、仮に演出表示装置や演出役物装置等、演出用の装置を大型化したとしても、遊技領域の下方に入球口等を配置することが可能となり、演出効果の向上と、遊技領域の確保による設計の自由度の向上とを両立することができる。
また、第1レール部材を遊技装置の上面から排出口側に突出させるとともに、当該突出部位を第2レール部材の上方に臨ませたので、第1レール部材と第2レール部材との継ぎ目に隙間が生じることがない。
したがって、遊技領域の下方の領域を広く確保するために第1レール部材の傾斜角度を緩やかにしても、レール部材の継ぎ目に生じる隙間によって遊技球の転動が妨げられることがなく、遊技球を確実にかつ速やかに排出口から排出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】遊技機の開放状態を示す斜視図である。
【図2】遊技機の正面図である。
【図3】遊技盤の正面図である。
【図4】ユニット装置の斜視図である。
【図5】図3の部分拡大図である。
【図6】表示装置を背面側から見た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
図1、図2に示すように、遊技機1は、支持体2と、この支持体2に回転可能に枢支された透過部材保持枠5および遊技盤保持枠6と、を備えている。支持体2は、上板2a、下板2b、側板2c,2dによって四辺を構成する枠体からなる。各板2a〜2dは、変形や歪みが生じにくい木材等を材質とするもので、略長方形状に囲繞空間が形成されるように連結金具によって連結されている。
そして、これら連結金具のうち、上板2aと側板2cとを連結する金具および側板2cと下板2bとを連結する金具には、一対のヒンジ4a,4bが、遊技機1の前面側に突出した位置で対面するように固定されており、これら一対のヒンジ4a,4bに透過部材保持枠5および遊技盤保持枠6が枢支されている。
【0010】
具体的には、透過部材保持枠5には、側辺5cの上方に突出する枢支軸16a、および側辺5cの下方に突出する枢支軸16bが固定されており、枢支軸16aがヒンジ4aに、枢支軸16bがヒンジ4bに回転可能に枢支されている。これにより、透過部材保持枠5が支持体2に対して開閉可能に支持されることとなる。
なお、図1は、支持体2に対して透過部材保持枠5が開放され、遊技盤保持枠6が支持体2に対して閉じられた状態を示しているが、これら透過部材保持枠5および遊技盤保持枠6を支持体2に対して閉じた状態では、支持体2、透過部材保持枠5および遊技盤保持枠6が全て略平行に位置することとなる。
【0011】
透過部材保持枠5は、支持体2と同様に、上辺5a、下辺5b、側辺5c,5dからなる四辺によって略長方形状の囲繞空間が形成される枠体からなり、後述する遊技盤101の前面を覆う透過部材7が囲繞空間に固定される。本実施形態においては、透明のガラス板によって透過部材7を構成しているが、この透過部材7を介して後述する遊技盤101が見えるものであれば、その材質や形状は特に問わず、例えば合成樹脂等によって構成してもよい。また、透過部材保持枠5の材質も特に問わないが、軽量化や装飾性の向上の目的から合成樹脂性とすることが望ましく、特にこの場合には補強金具8を固定して歪みや変形を防止するとよい。
なお、図2に示すように、遊技機1の前面すなわち透過部材保持枠5の前面には、装飾ランプ9、遊技球を発射するための操作ハンドル10、払い出された賞球を溜める上皿11、スピーカー12が固定されている。また、図1に示すように、上記の補強金具8や、上皿11に賞球を送球する供給路13、装飾ランプ9の照射方向を変更するためのモーター等を制御する制御基板14が、透過部材保持枠5の背面側に位置するように設けられている。
【0012】
また、ヒンジ4a,4bには、透過部材保持枠5と同様に、遊技盤保持枠6が回転可能に枢支されている。図1に示すように、遊技盤保持枠6は、上辺6a、下辺6b、側辺6c,6dからなる四辺によって略長方形状の囲繞空間が形成される枠体からなり、この囲繞空間に図3に示す遊技盤101が固定される。透過部材保持枠5および遊技盤保持枠6が閉じられて遊技が可能な状態では、遊技盤101に所定の間隔を維持して略平行に透過部材7が対面するとともに、遊技盤101の前面が透過部材7によって覆われる。
説明の都合上、図1においては遊技盤101を省略しているが、遊技盤101の背面には遊技の進行を制御するさまざまな制御基板が固定されている。また、遊技盤保持枠6において、遊技盤101の固定位置の下方には、スピーカー19や、操作ハンドル10の操作に応じて遊技球を発射する発射装置20等が固定され、その背面にはさらに各種の制御基板が固定されている。
【0013】
図3を用いて、遊技盤101について説明する。
上記したとおり、遊技盤保持枠6に固定される遊技盤101は、接地面に対して略垂直に位置する遊技面102が、上記透過部材7を介して遊技機1の正面に臨んで位置している。つまり、透過部材保持枠5および遊技盤保持枠6が支持体2に対して閉じられて遊技を可能な状態では、遊技面102が透過部材7を介して遊技者に対面することとなる。
この遊技面102の幅方向の一端近傍(図中左側近傍)には、その高さ方向に延伸するようにして、薄板細長形状の金属部材からなる外レール103が垂直に起立して固定されている。このとき、外レール103は、その下端103aを遊技面102の正面視で左下に位置させ、上端103bを遊技面102の正面視で右上に位置させており、下端103aから上端103bまでが、遊技面102の左側面および上面近傍を、円弧を描くように湾曲して固定されている。また、遊技面102の幅方向の他端近傍(図中右側近傍)には、遊技面102の正面視で上方から下方に向かって起立面104aを延設する飾り部材104が設けられている。この飾り部材104は、起立面104aの起立高さを外レール103の起立高さと同じにしており、起立面104aを外レール103の内側面に連続させている。
【0014】
また、遊技面102の正面視で左側端部近傍には、外レール103と同様の薄板細長形状の金属部材からなる内レール105が、垂直に起立して固定されている。この内レール105は、外レール103よりも遊技面102の内側に配置され、その上端105aを遊技面102の正面視で左上に位置させ、下端105bを遊技面102の正面視で右下に位置させている。このとき、内レール105は、外レール103と所定の間隔をもって対向配置されており、当該内レール105と外レール103との間には、遊技球が通過可能なガイド通路106が形成されている。このガイド通路106は、図1に示すように、接続通路21を介して発射装置20に接続され、発射装置20によって発射された遊技球が、接続通路21およびガイド通路106を介して、遊技面102の下方から上方に向かって飛び出すようにしている。
【0015】
また、上記内レール105は、その下端105bが、遊技面102の幅方向の中心線L1よりも遊技面102の正面視で右側に位置するように固定されている。このとき、内レール105は、中心線L1近傍においてもっとも低くなるとともに、このもっとも低い位置から下端105bに向かって右上方に緩やかに傾斜するように湾曲している。
そして、遊技面102の下面近傍であって、中心線L1よりも遊技面102の正面視で右側には表示装置150が設けられている。詳しくは後述するが、この表示装置150は、遊技面102から突出して固定されており、遊技面102の幅方向の中心側から外側に向かって上方に緩やかに傾斜する直線状の傾斜面150aを有し、この傾斜面150aに沿って底面レール151が固定されている。
【0016】
これにより、外レール103→飾り部材104→表示装置150→内レール105が連続することとなり、これら各部材によってガイド通路106および遊技領域110が隣接した状態で囲繞形成されることとなる。
具体的には、外レール103の下端103aから図中符号103cで示す部分と、内レール105の上端105aに固定された逆流防止部材107から図中符号105cで示す内レール105の部分と、によってガイド通路106が区画形成される。また、外レール103のうち図中符号103cで示す部分〜上端103b、飾り部材104の起立面104a、表示装置150の傾斜面150aに固定された底面レール151および内レール105によって遊技領域110が区画形成される。
なお、本実施形態における底面レール151が本発明の第1レール部材に相当し、内レール105が本発明の第2レール部材に相当する。
【0017】
以下では、遊技領域110の幅方向の中心線をL2とし、遊技領域110の高さ方向の中心線をL3としたときに、これら両中心線L2,L3によって区画される象限のうち、遊技面102の正面視で、左上の象限を第1上部領域110aとし、右上の象限を第2上部領域110bとし、左下の象限を第1下部領域110cとし、右下の象限を第2下部領域110dとして説明する。
なお、遊技領域110の幅方向の中心線L2は、遊技面102の幅方向の中心線L1よりも、当該遊技面102の正面視で右側に位置しているが、これは、遊技面102の左側端部近傍にガイド通路106が設けられているためである。
【0018】
遊技面102には、遊技領域110の略半分に相当する広さにわたって演出装置固定孔111が形成されている。この演出装置固定孔111は、遊技領域110の上端近傍からその高さ方向の略2/3に及ぶ範囲に形成されており、また、遊技領域110の幅方向においては、ガイド通路106に隣接する範囲の一部を除くほぼ全域にわたって形成されている。
この演出装置固定孔111は、遊技中にさまざまな演出を表示する液晶表示装置等の演出表示装置や演出役物装置等を固定するためのもので、その周囲には、遊技面102から遊技機1の正面に向かって起立する起立壁112が形成され、遊技領域110を転動、流下する遊技球が演出装置に衝突しないようにしている。したがって、実際に遊技球が転動するのは、遊技領域110のうち演出装置固定孔111を除いた部分ということになる。
なお、第1上部領域110aおよび第1下部領域110cにおいては、演出装置固定孔111の縁から起立する起立壁112と、外レール103および内レール105との間隔を、多数の釘が打ち込める程度に広くしている。これにより、演出装置固定孔111の左側においては、遊技球が多数の釘や風車に衝突しながら、その転動方向を不規則にして第1上部領域110aから第1下部領域110cへと流下することとなる。
【0019】
一方、第2上部領域110bおよび第2下部領域110dにおいては、演出装置固定孔111の縁から起立する起立壁112と、外レール103および飾り部材104との間隔を、遊技球が通過可能な程度、言い換えれば、釘を打ち込むと遊技球が通過できなくなる程度にまで狭くしている。したがって、発射装置20の発射強度を強くして演出装置固定孔111の右側に遊技球を発射した場合には、遊技球は飾り部材104の起立面104aに固定された緩衝ゴム113に衝突した後、第2上部領域110bから第2下部領域110dへと起立壁112に沿ってほぼまっすぐに流下することとなる。
また、演出装置固定孔111の下縁には、遊技球が転動可能なステージ114が形成されており、第1上部領域110aを流下する遊技球の一部が、導入通路115を介してステージ114上に導かれるようにしている。このステージ114は、上記中心線L3よりも下方、より詳細には、遊技領域110の高さ方向において、その上端から略2/3程度の場所に位置している。
【0020】
そして、遊技領域110において、ステージ114の下方には、多数の釘が打ち込まれるとともに、複数の一般入賞口116、第1始動口117、第2始動口118、ゲート119、大入賞口120、排出口121が設けられている。
一般入賞口116は、第1下部領域110cにおいて、内レール105に沿うようにして4つ設けられている。これら各一般入賞口116には、検出スイッチがそれぞれ設けられており、検出スイッチが遊技球の入球を検出すると、所定の賞球が払い出されるように制御手段が処理を行う。
第1始動口117は、ステージ114の直下であって、遊技領域110の幅方向の中心線L2上に位置している。この第1始動口117は、遊技領域110の左側すなわち第1上部領域110aおよび第1下部領域110cから流下する遊技球のみが入球可能な高さ位置に配置されている。そして、第1始動口117にも検出スイッチが設けられており、この検出スイッチが遊技球の入球を検出すると、所定の賞球が払い出されるとともに、遊技者に有利な特別遊技の実行の有無の決定(以下「大当たりの抽選」という)が行われる。
【0021】
第2始動口118は、第2下部領域110dに設けられている。第2始動口118は、一対の可動片118aを有しており、これら一対の可動片118aが図示の開状態と、図中点線で示す閉状態とに可動制御される。なお、第2始動口118が閉状態となっているときには、当該第2始動口118の真上に位置する入球阻止片122が障害物となって、遊技球の受入れを不可能または困難としている。一方で、第2始動口118が開状態に制御されているときには、上記一対の可動片118aが受け皿として機能し、第2始動口118への遊技球の入球が容易となる。つまり、第2始動口118は、閉状態にあるときには遊技球がほとんど入球することはなく、開状態にあるときには遊技球が容易に入球することとなる。この第2始動口118にも検出スイッチが設けられており、この検出スイッチが遊技球の入球を検出すると、所定の賞球が払い出されるとともに、上記第1始動口117に遊技球が入球したときと同様に大当たりの抽選が行われる。
【0022】
ゲート119は、第2下部領域110dにおいて、第2始動口118よりも遊技面102の正面視で右側であって、当該第2始動口118とほぼ同じ高さ位置に配置されている。このゲート119は、遊技球が通過可能に設けられており、当該ゲート119を通過した遊技球が、さらに遊技領域110上を転動、流下するようにしている。このゲート119にも遊技球の通過を検出する検出スイッチが設けられており、この検出スイッチが遊技球の通過を検出すると、第2始動口を開放するか否かを決定する普通図柄の抽選が行われる。この普通図柄の抽選によって当たりに当選すると、設定されている遊技状態に応じて第2始動口118が所定の態様で開放される。
【0023】
大入賞口120は、第2下部領域110dにおいて上記第2始動口118の直下に設けられている。この大入賞口120は、通常は、開閉扉120aによって閉状態に維持されているが、上記第1始動口117または第2始動口118に遊技球が入球して所定の抽選結果が得られた場合に、所定の態様で開放されて遊技球が入球可能となる。この大入賞口120にも遊技球の入球を検出する検出スイッチが設けられており、この検出スイッチが遊技球の入球を検出すると、所定の賞球が払い出される。
なお、本実施形態においては、第2始動口118、ゲート119および大入賞口120には、第2上部領域110bおよび第2下部領域110dから流下する遊技球のみが入球または通過しうるようにしており、第1上部領域110aおよび第1下部領域110cから流下する遊技球は、第1始動口117または一般入賞口116にのみ入球しうるようにしている。
【0024】
排出口121は、遊技領域110の幅方向の中心線L2上であって、遊技領域110のもっとも低い位置に設けられている。この排出口121は、上記一般入賞口116、第1始動口117、第2始動口118、大入賞口120のいずれにも入球しなかった遊技球を、遊技盤101の背面側に排出するためのものである。
なお、一般入賞口116、第1始動口117、第2始動口118、大入賞口120が本発明の入球口を構成している。
【0025】
ここで、本実施形態においては、第2始動口118、大入賞口120、入球阻止片122、および、大当たりの抽選結果等を表示するための表示装置150を一体的に備えたユニット装置Uが、第2下部領域110dに固定されている。このユニット装置Uについて、図4を用いて説明する。
【0026】
図4はユニット装置Uの斜視図であるが、この図4に示すように、ユニット装置Uは、遊技面102に固定される装飾部材161を備えている。この装飾部材161は、図3に示すように、その平面161aを遊技機1の正面側に臨ませた状態で遊技面102に固定され、ユニット装置Uは第2下部領域110dの下方に配置されることとなる。
装飾部材161の平面161aの上部には、入球阻止片122を垂直に突設させており、その直下に第2始動口118が設けられている。この第2始動口118は、断面コ字形の箱部材118bを有しており、その開口を上方に臨ませた状態で平面161aから突出するように固定されている。そして、箱部材118bの開口には、上記した一対の可動片118aが設けられており、一対の可動片118a上に流下した遊技球が、箱部材118b内に導かれるとともに、当該箱部材118bから遊技盤101の背面側に排出されるようにしている。なお、装飾部材161の背面側には、一対の可動片118aを開閉するための可動ソレノイドを有する第2始動口可動装置118cが固定されている。
【0027】
また、装飾部材161の平面161aであって箱部材118bの直下には、当該平面161aを貫通する大入賞口120が形成されており、この大入賞口120には開閉扉120aが設けられている。この開閉扉120aが閉成している状態では大入賞口120に遊技球が入球することはないが、開閉扉120aが開放されると、当該開閉扉120aが遊技球を大入賞口120に導く受け皿として機能する。なお、装飾部材161の背面側には、一対の大入賞口120を開閉するための可動ソレノイドを有する大入賞口開閉装置120bが固定されており、大入賞口120に入球した遊技球が、大入賞口開閉装置120bを介して遊技盤101の背面側に排出されるようにしている。
【0028】
そして、装飾部材161の平面161aであって、大入賞口120のさらに下方には、ランプやLEDを点灯または点滅表示して遊技結果を遊技者に報知する表示装置150がビス止めによって固定されている。この表示装置150は、遊技の進行を制御する制御手段に接続されており、第1始動口117または第2始動口118に遊技球が入球して行われる大当たりの抽選の結果や、第1始動口117や第2始動口118に遊技球が入球して留保されている大当たりの抽選の権利の数(保留数)、普通図柄の抽選結果等、制御手段の処理結果(遊技結果)が表示される。
【0029】
この表示装置150は、その厚さxを、上記した外レール103、飾り部材104の起立面104aおよび内レール105の起立高さとほぼ等しくしている。また、表示装置150は、その正面視で上方に臨む面を直線状の傾斜面150aとしている。この傾斜面150aは、図5に示すように、排出口121側から遊技面102の幅方向外側に向かって上方に傾斜しており、外レール103および内レール105と同様の金属部材からなる底面レール151が固定されている。この底面レール151は、その一端を、表示装置150の傾斜面150aよりも排出口121側に突出する突出部位151aとしており、この突出部位151aを上記の内レール105の下端105bの上方に臨ませている。この底面レール151と内レール105との関係について以下に詳細に説明する。
【0030】
すなわち、表示装置150は、遊技面102の幅方向において排出口121を境にしてガイド通路106とは反対側であって、かつ、遊技面102の高さ方向において排出口121と略同じ高さ位置に固定されている。
一方、内レール105は、排出口121に臨む部分をその高さ方向において最も低い位置としおり、この最も低い位置からガイド通路106側に向かって上方に傾斜する部分を内側傾斜部105dとし、この内側傾斜部105dに連続するとともに、排出口121に臨む最も低い位置から表示装置150側に向かって上方に傾斜する部分を外側傾斜部105eとしている。そして、底面レール151の突出部位151aを、外側傾斜部105eの先端すなわち内レール105の下端105bの上方に臨ませることにより、底面レール151と内レール105とを重ねるようにして位置させている。これにより、遊技領域110の底面を区画形成するレール部材が隙間なく連続するとともに、当該遊技領域110の底面を区画形成するレール部材の高さ位置が、遊技面102の幅方向外側から排出口121に臨む位置に向かって徐々に低くなり、いずれの入球口にも入球しなかった遊技球が排出口121に導かれることとなる。
【0031】
そして、表示装置150の傾斜面150a(底面レール151a)は、内レール105の内側傾斜部105dよりも傾斜角度を緩やかにしている。つまり、第1下部領域110cと第2下部領域110dとにおいて、遊技領域110の幅方向の中心線L2を境にして、ガイド通路106に対応する位置まで遊技領域110が形成されるように、傾斜面150a(底面レール151a)の傾斜角度が設定されている。これにより、第2下部領域110dの面積は、第1下部領域110cに比べて広く形成されることとなる。
ここで、上記のようにして第2下部領域110dの面積を広く確保するために、表示装置150の傾斜面150a(底面レール151a)の傾斜角度を緩やかにすると、排出口121に向かう遊技球の転動速度が遅くなってしまう。そのため、内レール105の下端105bと、底面レール151の突出部位151aとの間に隙間等が生じると、この隙間に遊技球が閊えて転動しなくなってしまうおそれがある。
また、通常、内レール105は、遊技面102にピンやビスを所定の間隔で突き刺して固定するが、このとき下端105bをビス等で遊技面102に固定することが望ましい。なぜなら、下端105bを遊技面102に固定しないと、遊技球が下端105b(外側傾斜部105e)上を転動するたびに、下端105bを下方に押し曲げる力が作用して、内レール105(外側傾斜部105e)が歪んでしまうおそれがあるからである。
【0032】
ところが、内レール105の下端105bを表示装置150に近接させてビス等で固定しようとすると、当該ビスが表示装置150に干渉してしまうおそれがあるため、下端105bは、表示装置150から離間させた状態でビス止めしなければならない。また、下端105bの位置に、遊技面102に設けられた装飾部材(例えば排出口を縁取った部材)等がある場合のように、下端105bをビス止めすることができないこともある。このように、内レール105の下端105bを、表示装置150に近接させてビス止めすることができないと、上記のように遊技球が排出口121に排出されなくなってしまったり、内レール105が歪んでしまったりする。そこで、本実施形態においては、表示装置150の傾斜面150aに沿って固定される底面レール151を、傾斜面150aよりも排出口121側に突出させるとともに、この排出口121側に突出する突出部位121aを外側傾斜部105eの上方に臨ませるようにしたのである。
これにより、内レール105(外側傾斜部105e)の下端105bを、表示装置150から離間した状態でビス等によって固定したとしても、内レール105と底面レール151との間に隙間が生じることがない。また、遊技球が下端105b上を直接転動することがなくなるため、下端105bを下方に押し曲げる力が作用することもなくなる。したがって、下端105bを遊技面102に固定することができなくても特段の問題が生じることがない。
【0033】
なお、傾斜面150aにレール部材151を固定する際には、これら両者間に、レール部材151に衝突する遊技球の衝撃を緩衝するための緩衝部材や、遊技球がレール部材151に衝突した際に生じるノイズを除去するノイズ除去部材を介在させることが望ましい。具体的には、傾斜面150aと底面レール151との間に、ゴム等からなる弾性部材を介在させることで、緩衝機能とノイズ除去機能との双方を同時に実現することができる。
また、各レール部材の材質は特に問わないが、特に遊技領域110の底面を区画形成する底面レール151や内レール105は遊技球による衝撃を受けやすく、また、一度歪んでしまうと遊技球が停留してしまうといった問題が生じることから、金属製とすることが望ましい。
【0034】
また、傾斜面150aや底面レール151に衝撃が与えられると、表示装置150に設けられた制御基板が損傷するおそれがある。そこで、本実施形態においては、表示装置150を図6に示すように構成し、制御基板が損傷しないようにしている。具体的には、表示装置150は、傾斜面150a、低面150b、側面150c,150dが一体成形された断面台形状のケース152を備えており、このケース152の空間を塞ぐようにして、表示装置150の背面側から制御基板154が固定される。
【0035】
制御基板154は、その外周面が、ケース152の内周囲と一致する形状を有しており、LED等からなる発光体がケース152内の空間に位置するように、回路上に配設されている。一方、表示面153には、制御基板154に搭載された発光体に対応する位置に孔が形成されており、表示装置150を正面から見たときに、いずれの発光体が発光しているのかを視認できるようにしている。
また、ケース152には一対のビス止め孔155が設けられており、制御基板154には、上記一対のビス止め孔155に対応する貫通孔156が形成されている。制御基板154は、ビス止め孔155に貫通孔156を一致させた状態でビス157を取り付けることにより、ケース152に固定される。このとき、ビス止め孔155と貫通孔156との間には、リング状のゴムからなる緩衝材158を介在させている。これにより、傾斜面150a(底面レール151)に遊技球が衝突して生じる衝撃が、制御基板154に伝達するのを緩衝することができ、制御基板154の損傷を防ぐことができる。
【0036】
以上のように、本実施形態によれば、遊技面102の正面視で右下に位置する第2下部領域110dが、遊技面102の正面視で左下に位置する第1下部領域110cに比べて広く確保される。この第2下部領域110dは、従来、右打ち遊技が可能な遊技機において、演出表示装置の右側に設けられていた第2始動口118、ゲート119、大入賞口120を全て演出表示装置の下方に設けることが可能な程度に確保されている。したがって、演出装置固定孔111すなわち演出表示装置や演出役物装置を、遊技領域110の右端部近傍まで延設することができ、大型の演出装置による演出効果の向上と、遊技領域110の確保による設計の自由度の確保とを両立することができる。
【0037】
しかも、表示装置150の傾斜面150aに沿って固定される底面レール151を、傾斜面150aから排出口121側に突出させて突出部位151aとし、この突出部位151aを内レール105の下端105bの上方に臨ませたので、底面レール151と内レール105との継ぎ目に隙間が生じることがない。
したがって、遊技領域110の下方の領域を広く確保するために底面レール151の傾斜角度を緩やかにしても、継ぎ目に生じる隙間によって遊技球の転動が妨げられることがなく、遊技球を確実にかつ速やかに排出口121から排出することが可能となる。
【0038】
なお、本実施形態における表示装置150が本発明の遊技装置に相当する。また、上記実施形態においては、大当たりの抽選の権利の数や遊技結果が表示される表示装置150を本発明の遊技装置として説明したが、遊技装置としての役割は特に問わず、例えば演出を行うための装置であっても構わない。
また、本実施形態においては、傾斜面150a(底面レール151)を直線状に形成することとしたが、傾斜面150a(底面レール151)は直線に限らず、曲線状に湾曲させて形成することとしてもよい。いずれにしても、第1下部領域110cの面積よりも、第2下部領域110dの面積が広くなる範囲であって、しかも、排出口121に向かって高さ位置が徐々に低くなる関係を維持していればよい。
【符号の説明】
【0039】
6 遊技盤保持枠
101 遊技盤
102 遊技面
103 外レール
105 内レール
105d 内側傾斜部
105e 外側傾斜部
106 ガイド通路
110 遊技領域
116 一般入賞口
117 第1始動口
118 第2始動口
120 大入賞口
121 排出口
150 表示装置
150a 傾斜面
151 底面レール
151a 突出部位



【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地面に接地する枠体に保持された遊技盤と、
該遊技盤の所定の一面によって形成される遊技面と、
該遊技面に起立して固定される複数のレール部材と、
該レール部材によって前記遊技面上に囲繞形成される遊技領域と、
前記遊技面の幅方向の一端近傍において高さ方向に延伸して設けられ、前記遊技領域の上方に遊技球を導くガイド通路と、
該ガイド通路から導かれて前記遊技領域を転動する遊技球が入球可能な入球口と、
該入球口に入球しなかった遊技球を前記遊技領域から排出する排出口と、を備え、
前記遊技領域の底面を区画形成するレール部材の高さ位置を、前記遊技面の幅方向外側から前記排出口に臨む位置に向かって徐々に低くして、前記入球口に入球しなかった遊技球を前記レール部材によって前記排出口に導く遊技機の盤面構造において、
前記遊技面の幅方向において前記排出口を境にして前記ガイド通路とは反対側であって、かつ、前記遊技面の高さ方向において前記排出口と略同じ高さ位置に、前記遊技面から突出して固定される遊技装置と、
該遊技装置の上面に沿って固定され、前記遊技領域の底面を区画形成する第1レール部材と、
該第1レール部材に連続して前記遊技領域の底面を区画形成する第2レール部材と、を備え、
前記第2レール部材は、前記排出口に臨む最も低い位置から前記ガイド通路側に向かって上方に傾斜する内側傾斜部と、該内側傾斜部に連続するとともに前記排出口に臨む最も低い位置から前記遊技装置側に向かって上方に傾斜する外側傾斜部と、を有し、
前記遊技装置の上面は、前記排出口側から前記遊技面の幅方向外側に向かって上方に傾斜するとともに、この傾斜角度を前記第2レール部材の内側傾斜部の傾斜角度よりも小さくしてなり、
前記第1レール部材は、前記遊技装置の上面よりも前記排出口側に突出するとともに、この突出部位を前記第2レール部材の外側傾斜部の上方に臨ませてなることを特徴とする遊技機の盤面構造。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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