説明

遊技機の音声システム

【課題】 パチンコ機、スロット機等の遊技機でプレイしながら、当該遊技機のリーチ等の稼働状況を音声で聞くことができるとともに、外部からの音楽等の音声を楽しむこともできる音声システムを提供すること。
【解決手段】
各遊技機から出力される当該遊技機の稼働状況を示す稼働状況信号と、外部から供給される音声信号とが入力する音声信号制御装置を、遊技機ごとに取り付けられている呼び出しランプ装置やその他の機器装置に付設し、前記稼働状況信号及び外部からの音声信号を前記音声信号制御装置で処理して、イヤホン、スピーカ等の音声出力装置で遊技者が聞くことができるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、スロット機等の遊技機に付設され、各遊技機の稼働状況等の情報や、音楽等の音声を聞くことのできる音声システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機、スロット機等の遊技機には、当該遊技機の稼働状況を店員(ホールスタッフ)に素早く知らせることを主たる目的とした表示装置として、呼び出しランプ装置が付設されている。この表示装置は、大当たりが出た場合に点灯して客や店員に知らせるとともに、玉詰まり等のトラブルが発生した時に、客がランプを点灯させることにより、これを店員に知らせることができるもので、店員はこの表示装置の点灯によって、直ちに各種のトラブルに対処することができるようになっている。
【0003】
また、上記遊技機の表示装置には、それが取り付けられている遊技機の大当たり回数(特賞状態となった回数)、確率変動(特賞状態が発生する確率)、スタート回数(特賞状態が終了してから現在までに電動役物が作動した回数)等の遊技データ(稼働状況)に関する情報を視覚的に表示する機能も設けられているものが多く、これによって外部から各遊技機の遊技データを知ることができるようになっている。
【0004】
一方、パチンコ機等の遊技機において、音声で臨場感を高めるようにしたものや、遊技者が遊技中に音楽等を楽しむことができるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−45521号公報
【特許文献2】登録実用新案第3013302号公報
【0006】
上記特許文献1に記載のものは、パチンコ機等の遊技機の図柄表示装置で通常変動状態からリーチ状態に移行する際、新たな背景画像を表示するとともに、この背景画像に適合した環境音を出力するものである。これにより、演出の臨場感を高め、遊技の興趣を向上させることができるとされている。
【0007】
また、上記特許文献2に記載のものは、パチンコ機にヘッドホン端子を設け、玉が入れられたことを検知して稼働状況を判別するセンサと、該センサの検知に応動して閉路し、前記ヘッドホン端子に音声電流を流通可能とする継電器を備えたもので、ヘッドホン端子にヘッドホンを接続することによって、個々にゆったりと音楽を楽しむことができ、さらに、稼働状態判別センサを、備えていることにより、パチンコ機が稼働している間だけ音楽を楽しむことができ、空いているパチンコ機で音楽だけ聞くようなことが防止されるとされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に記載のものは、通常変動状態からリーチ演出状態などといった画面切り替え時に、それぞれの背景画像にあった環境音が出力されるものであるから、臨場感を高める効果は期待できるが、各遊技機の稼働状況自体を音声で聞くことはできないものである。また、この装置では、遊技者が遊技中にゲームとは関係のない音楽等を楽しむことはできない。さらに、上記特許文献2に記載のものは、パチンコ機にヘッドホン端子を設け、これに接続したヘッドホンで遊技者が個々に音楽を楽しむことができるものであるが、この装置で稼働状況を知ることはできない。また、パチンコ機自体に音楽を聞くための装置を設けるのは、パチンコ機自体の構造が複雑となるので、好ましくない。
【0009】
そこで、本発明は、パチンコ機等の遊技機自体に特別な加工を施す必要がなく、遊技者が遊技中に当該遊技機の稼働状況を音声で聞くことができると共に、外部から供給される音楽等の音声を楽しむことができる音声装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するため、次のような音声装置を提供する。すなわち、請求項1に記載の遊技機の音声システムは、各遊技機から出力される当該遊技機の稼働状況を示す稼働状況信号と、外部から供給される音声信号とが入力する音声信号制御装置を、遊技機ごとに取り付けられている呼び出しランプ装置やその他の機器装置に付設し、前記稼働状況信号及び外部からの音声信号を前記音声信号制御装置で処理して、イヤホン、スピーカ等の音声出力装置で遊技者が聞くことができるように構成したことを特徴としている。
【0011】
また、請求項2に記載の遊技機の音声システムは、上記請求項1に記載の音声装置が付設されている呼び出しランプ装置やその他の機器装置に、イヤホンを接続するためのイヤホン接続端子が設けられ、各遊技者はイヤホンをこれに接続することにより音声を聞くことができるように構成されているものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る遊技機の音声システムは、任意の遊技機でプレイをしながら、当該プレイ中の遊技機の稼働状況を音声で聞くことができるので、視力に問題のある人でもゲームを楽しむことができ、入賞等に際して遊技の興趣を向上することができる。また、ゲームを楽しみながら、本人の選択によって、外部から供給される音楽等を楽しむことができる。この音声装置は、遊技機本体に特別な加工を施す必要がなく、従来から設けられている呼び出しランプ装置やその他の機器装置に付設するので、これを設けておいても、遊技機に何らかのトラブルが発生するおそれはない。さらに、請求項2に記載の発明によれば、イヤホンの接続端子を呼び出しランプ装置やその他の機器装置に設けておくので、使用しない場合も邪魔にならず、構造的に簡単なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。図1は遊技機であるパチンコ機のと付設の呼び出しランプ装置の外観図、図2は表示装置における表示システムの説明図である。各遊技機1の上部にはそれぞれ呼び出しランプ装置2が付設され、遊技機1の側部には、公知の玉貸機3が設けられている。呼び出しランプ装置2は、遊技者が必要に応じて呼び出しボタンを操作して呼び出しランプ4を点灯させ、遊技場の店員を呼び出すためのものであるとともに、上記のとおり、当該遊技機の遊技データを表示し、客の遊技機選択のための情報を提供する表示手段として構成されている。
【0014】
この呼び出しランプ装置2は、遊技機に対する影響を避けるため、遊技機からの電源供給は受けず、別途電源を供給されるようになっているが、制御部は遊技機の大当たり、確率変動、スタート等の情報端子に接続されていて、これらの情報が遊技機から入力されるようになっている。なお、情報端子がない遊技機の場合は、入賞時に動作するランプの光、リレーの磁気等をセンサで検出して作動させるようになっている。
【0015】
図2は、呼び出しランプ装置2と音声システムの概略を表すブロック図で、遊技機1からの遊技データ(情報)が演算部を含む制御部(CPU)10に入力され、そこで演算処理されたデータが該制御部から呼び出しランプ装置2本体の液晶表示部20に出力される。また、この呼び出しランプ装置2には、点灯・点滅するランプ4が設けられ、必要に応じて表示ランプが点灯・点滅させられる。
【0016】
図3は、表示装置のシステムを表す図で、遊技機であるパチンコ機1の情報端末が呼び出しランプ装置2の入力ボード5に接続され、該入力ボードから入力回路7に当該遊技機の稼働データと呼び出し信号が入力される。なお、入力回路7には不正検出装置9が接続されていて、不正電波等を検出した場合は警報を発するようになっている。
【0017】
入力回路7は、制御部であるCPU(マイコン)10に接続されている。このマイコン10に入力された遊技データは、所定の演算処理が施され、その結果がそれぞれ増幅回路12,…を通って外部コンピュータへの出力回路21、他の遊技機へデータを送るための通信回路22、当該遊技台に付設の呼び出しランプ装置2に設けられている液晶式表示装置20にデータを表示するための表示回路23、大当たりの際にランプ4を点滅させるランプ回路24等に入力される。他の遊技台へデータを送るための通信回路22は、通信線27により他の各遊技機に接続されており、各遊技台の稼働データを他の各遊技台へ送信するとともに、他の遊技機のデータを受信するようになっている。なお、このように有線で通信する代りに、無線で通信するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0018】
一方、トラブルが発生した場合の呼び出し信号は、上記マイコン10から増幅回路12を経て代表ランプ出力回路26に入力される。この場合は、代表ランプが点灯し、店員に何らかのトラブルがあったことを報知する。
【0019】
つぎに、この呼び出しランプ装置2には、音声システムを構成する音声処理装置(基板)50が設けられている。音声処理装置50は、上記制御部10から大当たり等のデータ信号(稼働状況信号)が供給され、この信号を処理して音声信号として出力端子に供給したり、背景画像に合った環境音等の音声信号を出力端子51に出力するようになっている。イヤホン用の出力端子51は、呼び出しランプ装置2に設けられており、遊技者は、この端子にイヤホンのコードに設けた端子(イヤホンジャック)を接続することにより、音声を聞くことができる。なお、音声処理装置50には、遊技機から供給されるデータ信号に基づく音声と、外部から供給される音楽等を切り替える切り換えスイッチ52が設けられていて、このスイッチ52を操作することにより、遊技機の稼働状況を表す音声信号と、外部から供給される音声信号とを選択して聞くことができる。
【0020】
なお、図示例の呼び出しランプ装置2には、呼び出しランプ点灯用のスイッチ(呼び出しボタン)28と、他の遊技機を選択するための遊技機選択手段として、押しボタンスイッチ29(a,b,c)が設けられている。これらの押しボタンスイッチにより、所望の遊技機の機械番号を入力して指定すれば、その遊技機の遊技データと稼働状態が外部情報として表示部に表示される。遊技機選択手段としては、図示例の押しボタンスイッチに限らず、タッチパネルや他のスイッチを用いることもできる。
【0021】
図4は、上記表示装置20の表示部分の画面を例示するもので、この表示装置20には、本日の大当たり回数(特賞回数)を表示する当日大当たり表示部分20a、前日の大当たり回数を表示する前日大当たり表示部分20b、前々日の大当たり回数を表示する前々日大当たり表示部分20c、本日の確率変動回数を表示する確変表示部分20d、本日の当たり間スタート回数を表示するスタート回数表示部分20e、複数日の当たり履歴バーグラフ表示部分20f、当たり間スタート履歴グラフ表示部分20g等が設けられている。
【0022】
なお、上記表示装置20の当日大当たり表示部分20a、確変表示部分20d、スタート回数表示部分20eには、本日もしくは複数日間(図示例では7日間)の累計データ(順に、大当たり回数、確変回数、スタート回数)を表示することもできるようになっている。
【0023】
次に、遊技機1がパチスロ機である場合は、当該遊技機からの出力がマルチ基盤31を介して上記入力回路7に入力される一方、該マルチ基盤31から増幅回路32を経てコンピュータ出力回路33に入力され、図示を省略した遊技条件設定等のためのコンピュータに入力される。
【0024】
また、パチスロ機用の表示装置30は、本日の大当たり(BB)回数表示部分30a、前日及び前々日のBB回数表示部分30b、30c、特役(RB)回数表示部分30d、ボーナス履歴バーグラフ表示部30e、本日当たり間ゲーム回数、獲得枚数表示部30f等が設けられている。これらの表示部に、本日及び7日間累計データ、本日ゲーム回数平均、過去最高データを表示することも可能である。
【0025】
通常の遊技状態においては、遊技時間の経過とともに、当該遊技機に付設の呼び出しランプ装置2に当該遊技機1から種々の遊技データが稼働状況信号として入力され、制御部10によって演算された情報の集計結果が、表示装置に表示されるとともに、音声信号として出力端子51に供給される。現在空きとなっているいずれかの遊技機1を選んで遊技しようとする者は、当該空きとなっている各遊技機に付設されている表示装置の表示内容を見ることにより、当該遊技機の稼働状態を一目で知ることができるので便利である。
【0026】
なお、玉詰まり等のトラブルが発生した場合は、従来と同様に、呼び出しボタン28を押して呼び出しランプ装置のランプ4を自発的に点灯(点滅)させればよい。すると、店員がすぐにこれに気づいてやって来るので、トラブルを迅速に解消することができる。
【0027】
本発明の音声システムでは、パチンコ機等の遊技機1に設けられている既存の呼び出しランプ装置2(その他の機器装置でもよい。)を利用して、外部から供給される音声を楽しむことができるので、遊技者はあまり変化が起こらない遊技中でも退屈しなくてすむ。また、音楽の内容によっては、負けが込んでいる場合でも不快感を紛らわせることができる。この音声装置は、ゲーム状況(稼働状況)を表す音声と、外部から供給される音声とを選択的に聞くことができるので便利である。イヤホンとしては、片耳に取り付けて聞くものでもよく、ヘッドホンでもよい。なお、周りの人に聞こえず、遊技者本人だけが聞き取ることができるものであれば、イヤホンのかわりに、小さなスピーカを設けておき、このスピーカで聞くことができるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明に係る遊技機の音声システムは、電気回路を組み合わせることにより構成されるもので、工業的に製造することができ、遊技機の分野できわめて効果的に採用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】遊技機であるパチンコ機の外観図である。
【図2】その表示装置のブロック図である。
【図3】呼び出しランプ装置のブロック図である。
【図4】パチンコ機用呼び出しランプ装置の外観図である。
【図5】スロット機用呼び出しランプ装置の外観図である。
【符号の説明】
【0030】
1 遊技機
2 呼び出しランプ装置
3 玉貸し機
4 ランプ
7 入力回路
10 制御部(マイコン)
20 パチンコ機用表示部
27 通信線
28 呼び出しボタン
29 押しボタンスイッチ(遊技機選択手段)
30 スロット機用表示部
50 音声処理装置
51 イヤホン接続端子
52 切替スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ機等の各遊技機から出力される当該遊技機の稼働状況を示す稼働状況信号と、外部から供給される音声信号とが入力する音声信号制御装置を、遊技機ごとに取り付けられている呼び出しランプ装置やその他の機器装置に付設し、前記稼働状況信号及び外部からの音声信号を前記音声信号制御装置で処理して、イヤホン、スピーカ等の音声出力装置で遊技者が聞くことができるように構成したことを特徴とする遊技機の音声システム。
【請求項2】
呼び出しランプ装置やその他の機器装置に、イヤホンを接続するためのイヤホン接続端子が設けられ、各遊技者はイヤホンをこれに接続することにより音声を聞くことができるように構成されている請求項1に記載の遊技機の音声システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−125076(P2007−125076A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318062(P2005−318062)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(505212588)株式会社スターベックス (7)
【Fターム(参考)】