説明

遊技機枠ユニット

【課題】遊技盤の後方への不正アクセスを防止することができる遊技機枠ユニットを提供すること。
【解決手段】この遊技機枠ユニットは、遊技盤の後面の少なくとも一部を覆う閉鎖位置と、開放する開放位置と、の間を移動する開閉部材42と、閉鎖位置の開閉部材42の移動を規制するロック部材43と、ロック位置のロック部材43の移動を規制する規制部材44と、を備え、規制部材44は、外力が加えられることにより非規制状態に変形し、外力を除去されることにより非規制状態から規制状態に戻る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤の後面を開閉する開閉部材の移動を規制するロック部材を備える遊技機枠ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機においては、弾球された遊技球が遊技領域(遊技盤面上又はその近傍に形成された領域であって、遊技球の流下による遊技や演出を実現するための領域。)を流下して、その流下の過程で遊技球が遊技領域内の遊技釘や風車に衝突しつつ転回して流下方向が変化する。その結果、遊技球は、遊技領域上に配置された各種入賞口(入球口)に入賞したり、入賞せずにアウト口に導かれたりする。
【0003】
各種入賞口には、遊技球の通過を検出する球通過検出手段が設けられており、この球通過検出手段による遊技球の検出を契機として所定の賞球払出しがなされる。また、球通過検出手段によって検出された遊技球は、遊技盤の背面に設けられた球通路に導かれ、球通路を通過した後に遊技機の下方に集められて、遊技済球として遊技機外に排出される。
【0004】
球通路は、遊技機の下方に遊技球を排出するため、その球出口は開放されており、近年、球出口から球通路内に不正具が挿入される不正行為が行われている。この不正行為は、球出口から球通路内に不正具等を挿入し、球通路内の遊技球を逆流させて球通過検出手段を通過した遊技球を再度球通過検出手段によって検出させたり、不正具によって球通過検出手段を誤作動させたりして、不正に賞球の払出しをさせることにより行われる。このような不正行為がなされると、公平な遊技を実現できなくなる。
【0005】
このような問題に鑑みて特許文献1には、入賞球を検出する検出孔を有する入賞球検出スイッチを誤作動させて賞球を不正に獲得するという不正行為を抑制するパチンコ機が記載されている。このパチンコ機は、入賞球検出スイッチの検出孔の下側に、検出孔への外部からの異物(不正具)の侵入を防止するための蓋部材を備えている。蓋部材は、定常時は付勢手段によって閉状態に保たれ、入賞時は落下してくる入賞球の重さによって開いて入賞球を通過させ、入賞球の通過後は付勢手段によって閉状態に戻るように構成されている。
【0006】
このパチンコ機は、パチンコ機前面の下受け皿から針金等の異物が差し込まれ入賞球検出スイッチを誤作動させようとしても、閉状態にある蓋部材が検出孔への異物の侵入を邪魔するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−145756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
また、遊技球が入球する入球装置は、遊技盤を前後方向に貫通して装着されており、遊技盤の前面に設けられた遊技領域を流下する遊技球を流入させ、流入した遊技球を遊技盤の後方に導くように構成されている。遊技盤の後方から入球装置にアクセスされることにより、入賞球検出スイッチを誤作動させて賞球を不正に獲得するという不正行為が行われる可能性がある。したがって、不正行為を防ぐために遊技盤の後方を開放し難くする必要がある。
【0009】
遊技盤の後方には、遊技を制御する各種制御手段を収容する制御基板ケースや各種遊技部品が装着されている。制御基板ケースは、遊技盤を内包する遊技機枠に固定されており、通常の遊技中は遊技盤の後方を覆うように配置されている。しかし、制御基板の検査等メンテナンスを実施する際は、制御基板ケース等を外して遊技盤の後方を開放する必要がある。したがって、遊技盤の後方に装着された制御基板ケース等の遊技部品は、取り外し可能に構成されていたり、開閉可能に構成されていたりする。
【0010】
このとき、遊技盤の後方に装着された遊技部品が容易に取り外されたり、開放されたりするように構成されていると、不正具によって遊技盤の後方を覆う遊技部品を外されてしまい、遊技盤の後面に容易にアクセスされてしまうおそれがある。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、遊技盤の後方を開閉可能に構成された開閉部材を有する遊技機枠ユニットにおいて、開閉部材の開閉移動を規制し、遊技盤の後方への不正アクセスを防止することができる遊技機枠ユニットを提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の例示的な側面としての遊技機枠ユニットは、遊技盤を保持する遊技機枠と、遊技機枠に対して揺動開閉され、遊技機枠に保持された遊技盤の後面の少なくとも一部を覆う閉鎖位置と、後面を開放する開放位置と、の間を移動する開閉部材と、閉鎖位置の開閉部材の移動を規制するロック位置と、規制を解除した非ロック位置と、の間を移動するロック部材と、ロック位置のロック部材の移動を規制する規制部材と、を備える遊技機枠ユニットであって、規制部材は、外力が加えられることにより非規制状態に変形し、かつ外力が除去されることにより非規制状態から規制状態に戻るように構成されている。
【0013】
開閉部材は、遊技機枠に対して揺動開閉するように構成されており、遊技機枠に装着された遊技盤の後面の少なくとも一部を覆う閉鎖位置と、遊技盤の後方を開放した開放位置と、の間を移動する。ロック部材は、開閉部材が遊技盤の後面を覆う閉鎖位置において開閉部材の移動を規制するロック位置と、移動を規制しない(規制を解除した)非ロック位置と、の間を移動する。したがって、ロック部材によって開閉部材が閉鎖位置から開放位置へ移動することを規制して、不正に遊技盤の後方が開放されることを防止することができる。
【0014】
また、規制部材は、外力が加えられることによりロック位置のロック部材の移動を規制しない非規制状態に変形し、かつ外力を除去されることにより非規制状態から規制状態に戻るように構成されており、ロック位置のロック部材の移動を規制する規制状態と、移動を規制しない非規制状態と、を実現する。したがって、規制部材によってロック位置から非ロック位置へのロック部材の移動を規制して、ロック部材による開閉部材の移動規制を維持することができる。
【0015】
このようにロック部材と規制部材とが設けられているため、開閉部材を開放位置とするためには、まず、規制部材に対して外力を付加して、規制部材によるロック部材に対する移動規制を解除する。次いで、規制部材による移動規制を解除した状態で、ロック部材をロック位置から非ロック位置に移動して、ロック部材による開閉部材の移動規制を解除する。そして、開閉部材を閉鎖位置から開放位置に移動することができる。
【0016】
すなわち、規制部材によるロック部材の移動規制と、ロック部材による開閉部材の移動規制と、を解除しなければ開閉部材を閉鎖位置から開放位置に移動することができないため、遊技盤の後面に対する不正アクセスをし難くすることができる。また、規制部材を一旦非規制状態に変形させても、外力を除去すると元の規制状態に戻るように構成されているため、規制部材に対して外力を加えた状態でロック部材を操作しなければ開閉部材を開放位置に移動することができない。
【0017】
規制部材の外力の付加とは、例えば、手指等による押圧である。手指等で押圧することにより規制部材を変形させると、開閉部材の移動操作を片手で操作することは困難であり、両手で開閉部材の移動操作を行う必要がある。すなわち、単なるスライド移動等、単純な操作のみでは開閉部材の移動規制を解除できず、不正なアクセスを効果的に防止することができる。具体的には、遊技機枠に対して不正具が挿入され、規制部材の規制が解除された場合であっても、規制部材の規制を解除した状態でロック部材を移動することができないため、不正具による遊技盤の後面への不正アクセスを防止することができる。
【0018】
このように、不正具等による開閉部材の開閉操作を難しくすることにより、遊技盤の後面へのアクセスを防止して、入賞球検出スイッチを誤作動させて賞球を不正に獲得するという不正行為を防止することができる。
【0019】
なお、規制部材の変形方向と、ロック部材の移動方向と、を異ならせることにより、不正具等による操作を更にし難くすることができ、効果的に不正行為を防止して、セキュリティー性を高めることができる。
【0020】
また、ロック部材は、開閉部材と別個に設けられ、開閉部材と係合するように構成されていてもよいし、開閉部材と一体化して設けられ、遊技機枠と係合することによって開閉部材の移動を規制するように構成されていてもよい。
【0021】
また、規制部材は、ロック部材と対向する傾斜面を有し、規制状態においてロック位置から非ロック位置に向かうロック部材の移動方向の延長線上に配置されており、規制状態においてロック部材がロック位置から非ロック位置に向かって移動することによって、規制部材が規制状態から非規制状態に向かう方向と反対方向に移動するように構成されていてもよい。
【0022】
このように構成された規制部材によれば、規制状態においてロック部材がロック位置から非ロック位置に向かって移動すると、ロック部材によって押圧され、規制状態から非規制状態に向かう方向と反対方向に変形する。したがって、規制部材によるロック部材の移動規制が解除されていない(規制部材によってロック部材の移動を規制している)規制状態において、ロック部材が非ロック位置に向かって移動した場合であっても、規制部材は、規制を解除する方向と逆方向に移動して、更に非規制状態から遠ざかる。このように、不正行為を起因として規制部材によるロック部材の移動規制が解除されることを防ぐことができる。
【0023】
規制部材は、合成樹脂によって形成されており、非規制状態から規制状態に弾性変形するように構成されていてもよい。規制部材を合成樹脂によって形成することにより、外力を付加することによって非規制状態とすることができ、かつ非規制状態の規制部材を弾性変形によって規制状態に戻すことができる。
【0024】
例えば、ゴムやバネ等の弾性部材によって規制部材を非規制状態に変形するように構成することも可能である。しかし、規制部材と別個に弾性部材を設けると、部品点数が増加してしまう。一方、規制部材を合成樹脂によって形成し、規制部材自体の材質の性質によって変形するように構成することにより、規制部材を移動するための弾性部材等の部品が不要となり、部品点数の削減を図ったり、スペース効率を向上させたりすることが可能となる。
【0025】
規制部材の所定範囲外の移動を規制するストッパ部材を更に備えており、所定範囲は、規制部材が弾性変形する範囲であって、かつ規制部材が塑性変形しない範囲であってもよい。合成樹脂は、弾性変形する範囲においては変形しても元の状態に戻るが、一旦塑性変形してしまうと元の状態に戻ることができず、仮に戻ったとしても歪みが生じ、強度が低下したり、位置がずれてしまったりするおそれがある。
【0026】
しかし、規制部材の移動範囲を制限するストッパ部材を設けることにより、規制部材の弾性変形を許容する一方、規制部材の塑性変形を阻止することができる。したがって、規制部材が塑性変形することによる不具合の発生を抑制することが可能となる。
【0027】
開閉部材は、遊技盤の表面に形成された遊技領域を流下する遊技球が入球する入球部材の後方を覆うように配置されるように構成されていてもよい。入球装置の後方を覆うように開閉部材を設けて、入球装置の後方へのアクセスを防止することにより、入賞球検出スイッチを誤作動させて賞球を獲得するという不正行為を効果的に防止することができる。
【0028】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ロック部材と規制部材とが設けられているため、規制部材によるロック部材の移動規制と、ロック部材による開閉部材の移動規制と、を解除しなければ開閉部材を閉鎖位置から開放位置に移動することができないため、遊技盤の後面に対するアクセスをし難くすることができる。
【0030】
また、規制部材を一旦非規制状態に変形させても、外力を除去すると元の規制状態に戻るように構成されているため、規制部材に対して外力を付加した状態でロック部材を操作しなければ開閉部材を開放位置に移動することができない。すなわち、単なるスライド移動等単純な操作のみでは開閉部材の移動規制を解除できず、不正なアクセスを効果的に防止することができる。したがって、遊技盤の後面への不正アクセスを防止して、入賞球検出スイッチを誤作動させて賞球を獲得するという不正行為を防止することができる。
【0031】
また、規制状態においてロック部材がロック位置から非ロック位置に向かって移動することによって、規制部材が規制状態から非規制状態に向かう方向と反対方向に移動するよう構成することにより、規制状態においてロック部材が非ロック位置に向かって移動した場合において、規制部材を更に非規制状態から遠ざけることができ、不正行為を起因として規制部材によるロック部材の移動規制が解除されることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施の形態1に係る遊技機枠ユニットを有するパチンコ機の正面図である。
【図2】図1に示すパチンコ機の背面図である。
【図3】遊技機枠ユニットを構成する前枠の下部を拡大した背面図である。
【図4】開閉部材を開放した前枠の斜視図である。
【図5】前枠のロック部材部分の拡大斜視図である。(a)は右上後方から視認した図であり、(b)は左下前方から視認した図である。
【図6】図3に示すA部分の拡大図であり、ロック部材のロック位置から非ロック位置への移動態様を示した図である。
【図7】図3に示すA部分の拡大図であり、規制部材によるロック部材の移動規制態様を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る遊技機枠ユニット3を有するパチンコ機(遊技機)2の正面図であり、図2は、図1に示すパチンコ機2の背面図である。このパチンコ機2は、遊技機枠ユニット3、遊技盤ユニット5、ガラス10、発射ユニット(図示せず)、球皿14等を有している。発射ユニットは、1個ずつ遊技球23を遊技盤ユニット5に構成される遊技領域16に向けて発射可能に構成されている。
【0034】
パチンコ機2は、遊技者が後述する発射装置ハンドル15を操作することによって、遊技領域16に向けて球が発射ユニットによって発射され、球の流下による遊技が実現される。なお、遊技機は、パチンコ機2の他にパチンコ式スロットマシン機、コインゲーム機等のアーケードマシン、各種ゲーム機を概念することができ、要するに、遊技媒体の流下による遊技を実現する遊技領域を有するあらゆる遊技機が含まれる。
【0035】
なお、パチンコ機においても、アレンジボール機、雀球機等の組合せ式パチンコ機、いわゆるデジパチタイプ(1種タイプ)やハネモノタイプ(2種タイプ)のパチンコ機等のあらゆるパチンコ機が概念できるが、本実施の形態においては、デジパチ遊技(1種遊技、図柄変動遊技ともいう。)を実現するいわゆる1種タイプのパチンコ機について例示説明する。なお、図柄変動遊技については後述する。
【0036】
パチンコ機2の遊技機枠ユニット3は、後述する遊技盤ユニット5を保持するためのものであり、このパチンコ機2の周囲側面及び前方を囲むように構成されている。遊技機枠ユニット3の内部側には、遊技盤ユニット5の他にも後述する各種制御基板や遊技球用の経路、及び遊技球の発射装置等各種機構部品が配置され、遊技機枠ユニット3によって周囲側面及び前方からのパチンコ機2内部側への不正アクセスが防止されるようになっている。
【0037】
パチンコ機2の周囲を囲む外枠4、その内側に前方開閉可能にヒンジ22を介して揺動支持されて遊技盤ユニット5を保持する前枠9、前枠9の前方に前方開閉可能に揺動支持されガラス10及びその周囲を装飾する装飾部材32を保持するガラス枠12、を有して遊技機枠ユニット3が構成される。
【0038】
ガラス10は、遊技機枠ユニット3内部側に保持された遊技盤6を前方から遊技者が視認することができるようにするための透明部材である。ガラス10は、遊技盤6に対して一定距離以上離間して配置された透明板である。ガラス10は、2枚の透明平板ガラスで形成されてガラス枠12の後面側に保持され、遊技盤6との間に遊技球23が流下する流下空間を形成する機能、遊技者がガラス10を通して遊技盤6を視認できるように視認性を確保する機能、遊技者が遊技盤6に不正にアクセス(接触)できないように不正アクセスを防止する機能、を発揮する。
【0039】
球皿14は、遊技者の持ち球を貯留するためにパチンコ機2の前面に配置された皿部材であって、本実施の形態においては上球皿14aと下球皿14bとを有している。上球皿14aは、球抜き部材14cを有して遊技盤6の下方、すなわちガラス枠12の下方部分に配置され、下球皿14bは、その上球皿14aの更に下方に配置されている。
【0040】
発射ユニット(図示せず)は、球送り装置(図示せず)によって球皿14の一部としての上球皿14aから発射位置に送り出された遊技球23を遊技領域16の上部に向けて発射(弾球)するためのものである。発射ユニットは、前枠9の下部に取り付けられており、発射位置の遊技球23を弾球する発射杆、その発射杆を駆動する発射モータ、発射杆を付勢して弾球力を発生させる発射バネを有している。
【0041】
遊技盤ユニット5は、遊技盤面(遊技盤の表面)6a側の略中央に遊技役物としてのセンター役物7が配置された遊技盤6を有しており、その遊技盤面6aには多数の遊技釘27も配置されている。センター役物7の中央部には、画像表示手段としての演出表示装置7aが配置されるとともに、この演出表示装置7aの表示部7bを露出させるための表示開口部7dが形成されている。
【0042】
遊技盤6は、その表面側に遊技球23の流下による遊技を実現するための遊技領域16を構成するための盤状部材であり、遊技盤6を前方から遊技者にとって視認可能となるように遊技機枠ユニット3の一部としての前枠9に保持されている。
【0043】
遊技盤6の表面には略円形状に周囲を囲むようにレール飾り26が取り付けられており、レール飾り26の外レール26aが遊技盤に対して立設するように配置されている。そして、レール飾り26の外レール26aによって画定され、外レール26aに面した略円形状の領域が遊技領域16となっている。
【0044】
遊技釘27は、遊技領域16を流下する遊技球23と衝突してその流下方向を変更させる流下変更部材であり、多数が遊技領域16内に配置されている。また、遊技領域16には、普通入賞口28、始動入賞口29、大入賞口31等の入球部材及びアウト口30が配置されている。
【0045】
これらの入球部材及びアウト口30は、遊技盤6を前後方向に貫通して装着されており、遊技盤面6aに形成された遊技領域16を流下する遊技球23が流入し、流入した遊技球23を遊技盤6の後面6b側に導くように構成されている。遊技盤6の後面6bには、これらの入球部材及びアウト口30の後方を覆うように裏セット部材40が装着されている。この裏セット部材40については、後述にて詳細に説明する。
【0046】
更に、遊技領域16には、ゲート33、風車34等が配置されており、流下する遊技球23が各入球部材に流入したり、ゲート33を通過したり、風車34を回転させたりすることによって、遊技球23による流下遊技を楽しむことができるようになっている。
【0047】
演出表示装置7aは、例えば、液晶表示装置・有機ELディスプレイ・LED等により構成されて遊技者が遊技盤面6a側から視認可能となるように配置され、その表示部7b上に映像表示を行うものである。この演出表示装置7aの表示部7bには、第1図柄に連動する第1装飾図柄の表示がなされる。第1装飾図柄は、第1抽選手段の抽選結果を視覚的に演出するための図柄であり、第1の遊技に対応する。また、例えば、キャラクター等によるストーリー仕立ての映像としての演出映像も表示部7b上に表示されるようになっている。演出表示装置7aには、遊技制御手段としての演出制御基板が中継基板を介して電気的に接続されており、演出制御基板によって画像表示が制御される。
【0048】
遊技盤6の後面6b側には、パチンコ機2の全体の制御を行う遊技制御手段としての主制御基板を収容した主制御基板ケース35と、演出表示装置7aの画像表示の制御等を行う演出制御基板を収容した演出制御基板ケース36と、が配置されている。また、裏セット部材40の後方には、賞球払出ユニット60による賞球の払出しを制御する払出制御基板(図示せず)を収容した払出制御基板ケース37と、電源基板(図示せず)を収容した電源基板ケース38と、が配置されている。この各制御基板ケースに収容された各制御基板によって遊技が実現される。更に、遊技盤6の後面6b側には、パチンコ機2の遊技状態等の遊技情報を外部に出力するための外部出力端子板39が設けられている。
【0049】
また、パチンコ機2の背面には、複数のパチンコ機2が隣接して配置された遊技機島に設けられた遊技球循環装置(図示せず)から供給された遊技球23を一時的に貯留するための遊技球貯留タンクと、遊技球貯留タンクからの遊技球23が流入し、この遊技球23を1球ずつ通過させる賞球払出ユニット60と、が設けられている。
【0050】
賞球払出ユニット60は、払出制御手段によって駆動制御されるように構成されており、各種入賞口への遊技球23の入球や、遊技者からの遊技球23の貸出し要求に応じて、遊技者に遊技球23を供給するように構成されている。
【0051】
発射ユニットにより遊技球23が発射されると、遊技球23はレール飾り26の外レール26aに沿いつつ進行して遊技領域16内の上部に至る。その後、遊技球23は、複数の通過軌跡に沿って移動し、あるものはレール飾り26の外レール26aに沿って右側に移動し、あるものは遊技釘27に衝突しつつ遊技領域16内を下方に流下し、あるものは普通入賞口28に流入して一定数の賞球払出しの契機となり、あるものはいずれの入球装置にも流入せずに遊技領域16内最下部に位置するアウト口30に流入してアウト球としてパチンコ機2の外部側へと排出される。
【0052】
図柄変動遊技中に遊技球23が始動入賞口29に流入すると、その流入に起因して演出表示装置7aの表示図柄7cが回転表示(第1の特別遊技の抽選)を開始し、その表示図柄7cが所定の図柄(例えば、「7・7・7」。)で停止表示すれば、図柄変動遊技における大当り(第1の特別遊技。以下、図柄変動大当りという。)が発生する。そして、大入賞口31が開放して多量の入賞球を受け入れ、多量の賞球が球皿14へと払い出されるようになっている。
【0053】
次いで、図3から図7に基づいて裏セット部材40について詳細に説明する。図3は遊技機枠ユニット3を構成する前枠9の下部部分の拡大背面図である。なお、図3においては、説明の便宜上、払出制御基板ケース37と電源基板ケース38とを外した状態を示している。裏セット部材40は、前枠9の背面に装着されており、遊技盤6の後面6bの下部近傍を覆うように配置されている。裏セット部材40は、電源基板ケース38が装着されるベース部材41と、払出制御基板ケース37が装着される開閉部材42と、開閉部材42の移動を規制するロック部材43と、ロック部材43の移動を規制する規制部材44と、を有している。
【0054】
開閉部材42は、前枠9の左端部に設けられたヒンジ部9aを中心に揺動開閉され、遊技盤6の後面6bを覆う閉鎖位置と、遊技盤6の後面を開放した開放位置と、の間を移動する。図3は、開閉部材42が閉鎖位置の状態を示した図であり、ロック部材43によって開閉部材42の移動が規制されている。図4は、開閉部材42が開放位置の状態を示した前枠9の斜視図である。図5は、開閉部材42が閉鎖位置の状態におけるロック部材43を拡大した斜視図である。
【0055】
図4に示すように、開閉部材42が開放位置の状態では、遊技盤6の後面6bの下部が開放されており、遊技領域16の下部に設けられたアウト口30が視認可能となる。また、アウト口30の下方には、アウト口30に入球した遊技球23や普通入賞口28等入球部材に入球した遊技球23が流入し、これらの遊技球23を集める遊技済球回収路46と、遊技済球回収路46に流入した遊技球23をパチンコ機2の下方に導く回収球通路47と、が設けられている。回収球通路47は、ベース部材41の前面に形成されている。回収球通路47を通過した遊技球23は、パチンコ機2外部へ排出される。
【0056】
ロック部材43は、ベース部材41の後面の左端部に突設された突起部41aと、開閉部材42の右端部に形成された係合部42aと、が各々挿入されるスリット部43aが形成されている。ロック部材43は、上下方向にスライド移動されるように構成されており、上端に位置し開閉部材42の移動を規制するロック位置と、下端に位置し開閉部材42の移動を規制しない非ロック位置と、の間を上下方向にスライド移動する。
【0057】
ロック位置の状態では、閉鎖位置の開閉部材42の係合部42aと突起部41aとがスリット部43a内に挿入されており、ロック部材43によって突起部41aと係合部42aとが挟持され、開閉部材42の開放位置に向けての移動が規制される。ロック位置から下方に移動されると非ロック位置となり、スリット部43aから突起部41aが抜け、開閉部材42が開放位置に向けて移動可能となる。
【0058】
ロック部材43の上方には、規制部材44が設けられている。規制部材44は、ベース部材41の後面において後方に突出して形成されている。規制部材44は、ベース部材41と一体化されており、ベース部材41と共に合成樹脂によって形成されている。規制部材44は、後方に突出した板形状であり、その下面44aは、左側が下降するように傾斜している。また、規制部材44の左側部44bは、前方に向けて傾斜している。規制部材44は、手指等で押圧されることにより弾性変形可能に構成されており、押圧されて右方に湾曲した非規制状態と、押圧が解除された規制状態と、を実現する。
【0059】
規制部材44の右方には、規制部材44の移動範囲を画定するストッパ部材45が設けられている。ストッパ部材45は、ベース部材41の後面において後方に突出して形成されている。ストッパ部材45は、非規制状態に移動した規制部材44と接するように配置されている。規制部材44は、ストッパ部材45と接する非規制状態では弾性変形している。しかし、非規制状態よりも更に右側に移動すると塑性変形する。ストッパ部材45によって、規制部材44の塑性変形を防止しており、塑性変形に基づく不具合の発生が抑制されている。
【0060】
次いで、図6及び図7に基づいて規制部材44の変形態様について詳細に説明する。図6は、ロック部材43のロック位置から非ロック位置への移動態様を示しており、図7は、規制部材44によるロック部材43の移動規制態様を示している。図6(a)は、規制部材44によってロック部材43の移動を規制した規制状態を示している。この状態では、ロック部材43の非ロック位置に向かう移動方向(上方)に規制部材44が配置されており、ロック部材43の解除方向への移動が規制されている。
【0061】
(a)に示す状態において指等で右方に規制部材44を押圧すると、規制部材44が右方に変形して(b)に示す状態となる。右方に押圧された規制部材44は、ベース部材41に固定された根元から湾曲して、後端面44cがストッパ部材45に当接する。ストッパ部材45は、規制部材44の上端と下端とに当接するように2箇所設けられており、規制部材44の右方向への移動を規制する。
【0062】
このストッパ部材45と規制部材44とが当接した状態では、ロック部材43の上方が開放されており、規制部材44がロック部材43の移動を規制しない非規制状態となる。非規制状態においてロック部材43が上方に移動可能となり、(c)に示すようにロック部材43を非ロック位置に向かって上方に移動することにより、ロック部材43による開閉部材42の規制が解除される。このようにロック部材43を非ロック位置に移動することにより、開閉部材42を閉鎖位置から開放位置に移動することができる状態となる。
【0063】
また、開閉部材42が閉鎖位置の状態においてロック部材43を下方に移動することにより、再びロック部材43がロック位置となり、更に規制部材44への押圧を解除すると、規制部材44は変形前の状態に戻り、再び規制状態となる。
【0064】
なお、ロック部材43は、開放位置に移動した状態においても開閉部材42に装着されており、開閉部材42の移動規制を解除した状態(非ロック位置の状態)で開閉部材42と共に開閉移動される。開閉部材42は、ヒンジ部9aを中心に開閉移動されるように構成されており、開閉部材42を閉鎖位置に向けて移動すると、非ロック位置のロック部材43と規制部材44とが衝突する。このとき、規制部材44の左側部44bは、前方に向けて傾斜しているため、規制部材44の左側部44bに沿ってロック部材43を移動させることができ、開閉部材42を円滑に閉鎖位置に導くことができる。
【0065】
このように、本実施の形態に係る遊技機枠ユニット3によれば、まず、規制部材44を規制状態から非規制状態として、次いで、ロック部材43をロック位置から非ロック位置に移動することにより、開閉部材42を閉鎖位置から開放位置に移動することができる。すなわち、規制部材44によるロック部材43の移動規制と、ロック部材43による開閉部材42の移動規制と、を解除しなければ開閉部材42を閉鎖位置から開放位置に移動することができないため、遊技盤6の後面6bに対する不正アクセスをし難くすることができる。
【0066】
また、規制部材44がロック部材43の移動を規制した規制状態では、ロック部材43を上方に移動しても、規制部材44によるロック部材43の移動規制を解除できないように構成されている。図7は、規制部材44がロック部材43の移動を規制した規制状態においてロック部材43を解除方向に移動した態様を模式的に示した図である。
【0067】
(a)は、規制部材44がロック部材43の移動を規制した規制状態を示している。この状態においてロック部材43を非ロック位置に向かう上方に移動すると、(b)に示すように規制部材44の下面44aにロック部材43が接する。更にロック部材43を上方に移動すると、規制部材44の下面44aがロック部材43によって押圧され、下面44aの傾斜に沿って規制部材44が左方に変形して(c)に示す状態となる。
【0068】
このように、規制部材44の下面44aが傾斜しているため、ロック部材43によって下方から押圧された際に、規制部材44を非規制状態に向かう左方向と反対となる右方向に変形させて、規制部材44を非規制状態から遠ざけることができる。したがって、不正具等によって不正に開閉部材42が開放されることを防ぐことができる。
【0069】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
2:パチンコ機(遊技機)
3:遊技機枠ユニット
4:外枠
5:遊技盤ユニット
6:遊技盤
6a:遊技盤面(遊技盤の表面)
6b:後面
7:センター役物
7a:演出表示装置
7b:表示部
7c:表示図柄
7d:表示開口部
9:前枠
9a:ヒンジ部
10:ガラス
12:ガラス枠
14:球皿
14a:上球皿
14b:下球皿
14c:球抜き部材
15:発射装置ハンドル
16:遊技領域
22:ヒンジ
23:遊技球
26:レール飾り
26a:外レール
27:遊技釘
28:普通入賞口
29:始動入賞口
30:アウト口
31:大入賞口
32:装飾部材
33:ゲート
34:風車
35:主制御基板ケース
36:演出制御基板ケース
37:払出制御基板ケース
38:電源基板ケース
39:外部出力端子板
40:裏セット部材
41:ベース部材
41a:突起部
42:開閉部材
42a:係合部
43:ロック部材
43a:スリット部
44:規制部材
44a:下面
44b:左側部
44c:後端部
45:ストッパ部材
46:遊技済球回収路
47:回収球通路
60:賞球払出ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤を保持する遊技機枠と、
該遊技機枠に対して揺動開閉され、該遊技機枠に保持された該遊技盤の後面の少なくとも一部を覆う閉鎖位置と、該後面を開放する開放位置と、の間を移動する開閉部材と、
該閉鎖位置の該開閉部材の移動を規制するロック位置と、該移動を規制しない非ロック位置と、の間を移動するロック部材と、
該ロック位置の該ロック部材の移動を規制する規制状態と、該移動を規制しない非規制状態と、を実現する規制部材と、を備える遊技機枠ユニットであって、
該規制部材は、外力が加えられることにより該非規制状態に変形し、かつ該外力が除去されることにより該非規制状態から該規制状態に戻るように構成されている、遊技機枠ユニット。
【請求項2】
前記規制部材は、前記ロック部材と対向する傾斜面を有し、前記規制状態において前記ロック位置から前記非ロック位置に向かう該ロック部材の移動方向の延長線上に配置されており、
該規制状態において該ロック部材が該ロック位置から該非ロック位置に向かって移動することによって、該規制部材が該規制状態から該非規制状態に向かう方向と反対方向に変形するように構成されている、請求項1に記載の遊技機枠ユニット。
【請求項3】
前記規制部材は、合成樹脂によって形成されており、前記非規制状態から前記規制状態に弾性変形するように構成されている、請求項1又は請求項2に記載の遊技機枠ユニット。
【請求項4】
前記規制部材の所定範囲外の変形を規制するストッパ部材を更に備えており、
該所定範囲は、該規制部材が弾性変形する範囲であって、かつ該規制部材が塑性変形しない範囲である、請求項3に記載の遊技機枠ユニット。
【請求項5】
前記開閉部材は、前記遊技盤の表面を流下する遊技球が入球する入球部材の後方を覆うように配置される、請求項1から請求項4のいずれかに記載の遊技機枠ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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