説明

遊技機用玉計数装置の玉受皿

【課題】遊技機に設けられた遊技機用玉計数装置の玉受皿に遊技機の下皿から落下したパチンコ玉の飛散を防止するための飛散防止部材を設け、この飛散防止部材を使用する際の利便性や作業性を向上することができるようにした遊技機用玉計数装置の玉受皿を提供する。
【解決手段】遊技機の下皿から排出されるパチンコ玉を受けてその個数を計数しながら回収する遊技機用玉計数装置の一部を構成し、遊技機の下皿の下方且つ遊技機の前面側に配設され、遊技機の下皿から落下するパチンコ玉を受けるようにした玉受皿において、前記玉受皿には、該玉受皿の前方上部を覆うカバー部を有する飛散防止部材を設け、前記飛散防止部材は、前記玉受皿に対し回動自在に枢設され、該飛散防止部材が玉受皿の前方側から上部を覆うように回動方向に昇降可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の下皿の下方に配設され、該下皿から排出されたパチンコ玉を受けてその個数を計数しながら回収する遊技機用玉計数装置の玉受皿に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、遊技機において遊技客が獲得したパチンコ玉は、専用のケースに収納され、このケースを玉計数装置又は景品交換所まで運んだ後、獲得したパチンコ玉を計数することが行われている。
【0003】
ところが、ケース内のパチンコ玉の個数が多い場合には、その個数に比例してケースの重量が重くなるため、多量のパチンコ玉を収納した重いケースを玉計数装置又は景品交換所まで運ぶ作業に多大な労力を要するものであった。また、パチンコ玉を収納した複数のケースを遊技客の足下周辺に積み上げると、他の遊技客や店員の通行の邪魔になるおそれがあった。さらに、パチンコ玉がケースに収納されたままの状態に置かれると、ケース内のパチンコ玉は遊技に供せられないため、遊技場全体でパチンコ玉の個数が多く必要になるという不都合があった。
【0004】
そこで、このような不都合を解消するために、上記のパチンコ玉の専用ケースを不要とする遊技機用玉計数装置が開発されている。この装置は、特許文献1に記載されているように、遊技客が獲得したパチンコ玉を遊技機に隣設された玉貸機の内部を通過させ、遊技機の背面側の遊技島内へ移送して回収する際に、パチンコ玉の個数を計数し、その計数結果をカード等の媒体に記憶させるようにしたものである。また、このようにしてカード等の媒体を提供された遊技客は、その媒体を景品交換所に持ち込むことによって所望の景品と交換することが可能となる。
【0005】
ところで、上記の特許文献1の遊技機用玉計数装置は、遊技機の下皿の下方に配設された玉受け部と、玉貸機の内部に形成された計数通路と、該計数通路と玉受け部とを連結する連結通路と、計数通路に設けられた計数センサとを有するものである。
【0006】
このように構成された遊技機用玉計数装置において、遊技機の下皿から落下するパチンコ玉は玉受け部で受けられる。また、このように玉受け部で受けられたパチンコ玉は、連結通路及び計数通路を経て遊技機の背面側の遊技島内へ回収され、計数通路の移送過程においてその個数が計数センサによって計数される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−89786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記のように遊技機の下皿から落下したパチンコ玉が玉受け部の玉受面上に落下した際、玉受面に衝突したり、パチンコ玉同士が衝突することによって飛散し、玉受け部から外方へ落下することがあった。そこで、パチンコ玉が玉受け部から落下しないように、上記の特許文献1の遊技機用玉計数装置に設けられた玉受け部には、玉受け部の壁部に沿って上方に延出する延出壁部材が設けられている。ところが、遊技機の本体扉を遊技台枠から開閉する際、上記の延出壁部材に本体扉の下端部が衝突すると、遊技機の開閉動作が妨げられ、また延出壁部材が破損するという問題があった。
【0009】
上記の延出壁部材の破損を防ぐためには、遊技機を開く前に延出壁部材を取外し、遊技機を閉めた後に延出壁部材を取り付ける作業が必要となる。このため、遊技機を開閉する際の作業性が悪くなり、また遊技機を閉めた後に延出壁部材の取り付けを忘れてしまうおそれがあった。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、遊技機に設けられた遊技機用玉計数装置の玉受け部(以下、この玉受け部を「玉受皿」と称する)に、遊技機の下皿から落下したパチンコ玉の飛散を防止するための飛散防止部材を設け、この飛散防止部材を使用する際の利便性や作業性を向上することができるようにした遊技機用玉計数装置の玉受皿を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明における請求項1は、遊技機の下皿から排出されるパチンコ玉を受けてその個数を計数しながら回収する遊技機用玉計数装置の一部を構成し、遊技機の下皿の下方且つ遊技機の前面側に配設され、遊技機の下皿から落下するパチンコ玉を受けるようにした玉受皿において、前記玉受皿には、該玉受皿の前方上部を覆うカバー部を有する飛散防止部材を設け、前記飛散防止部材は、前記玉受皿に対し回動自在に枢設され、該飛散防止部材が玉受皿の前方側から上部を覆うように回動方向に昇降可能とすることを特徴とする遊技機用玉計数装置の玉受皿である。
【0012】
また、本発明の請求項2は、前記飛散防止部材の両側には、前記カバー部が上昇した際、前方へ向かって上り勾配を有する傾斜状となる上縁を備え、前記飛散防止部材の傾斜した前記上縁が開動作する遊技機との当接に伴って前記飛散防止部材が回動しカバー部が下降することを特徴とする請求項1の遊技機用玉計数装置の玉受皿である。
【0013】
また、本発明の請求項3は、前記飛散防止部材は、前記玉受皿の後方側に、前方方向に向かって下方に傾斜した遮蔽部と、該遮蔽部の両側を支持し、前記カバー部が下降した際に後方に向かって上り勾配を有する傾斜状となる支持部と、を備え、傾斜した前記支持部が閉動作する遊技機との当接に伴って該飛散防止部材が回動し前記カバー部を上昇することを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の遊技機用玉計数装置の玉受皿である。
【0014】
また、本発明の請求項4は、前記玉受皿には、該玉受皿の両側に弾性バネにより支持された係止ピンを備えると共に、前記飛散防止部材には、複数の係止凹部を設け、前記玉受皿と前記飛散防止部材とが枢設される近傍にて、前記係止ピンが前記係止凹部に段階的に係止されることにより、前記機飛散防止部材の回動動作による昇降位置を間欠的に停止可能としたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の遊技機用玉計数装置の玉受皿である。
【0015】
さらに、本発明の請求項5は、回動自在に枢設された前記飛散防止部材は、前記玉受皿に対して着脱自在に取付けられることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の遊技機用玉計数装置の玉受皿である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、玉受皿の前方上部を覆うカバー部を有する飛散防止部材を設け、前記飛散防止部材を前記玉受皿に対し回動自在に枢設し、該飛散防止部材が玉受皿の前方側を回動自在に昇降可能としたことで、該飛散防止部材を回動してカバー部を上昇させておくことにより、遊技機の下皿から落下するパチンコ玉を受ける際に、パチンコ玉が飛散して外方へ落下するのを防止することができる。また、飛散防止部材のカバー部が玉受皿の前方を覆う傾斜状に形成されているため、該カバー部に下皿から落下するパチンコ玉が衝突した際も、このパチンコ玉を確実に玉受皿の玉受面側へ返すことができる。
【0017】
また、請求項2の発明によれば、前記飛散防止部材の両側に、前記カバー部が上昇した際、前方へ向かって上り勾配を有する傾斜状となる上縁を備え、開動作する遊技機との当接に伴って前記飛散防止部材が回動しカバー部が下降するので、該飛散防止部材を手作業で取り外したりする必要がなく、遊技機を開閉する際の作業性が良くなり、併せて飛散防止部材が遊技機と衝突した際でも、該飛散防止部材の破損や連結通路等の玉受皿周辺機器の破損を招くことがない。
【0018】
また、請求項3の発明によれば、飛散防止部材に遮蔽部を備えたことで、玉受皿内のパチンコ玉が後方へこぼれるのを防止すると共に、該遮蔽部の両側を支持し、前記カバー部が下降した際に後方に向かって上り勾配を有する傾斜状となる支持部を備えたことで、傾斜した前記支持部が閉動作する遊技機との当接に伴ってカバー部が上昇するので、遊技機の開閉動作によって飛散防止部材を昇降することが可能となり、遊技機を開閉する際の作業性が極めてよく、併せて飛散防止部材が開閉する遊技機と衝突した際でも、該飛散防止部材の破損を招くことがない。
【0019】
また、請求項4の発明によれば、飛散防止部材は上記のように回動自在であり、玉受皿の両側に設けられた係止ピンが該飛散防止部材に設けられた複数の係止凹部に段階的に係止されることによって、飛散防止部材を間欠的に回動すると共に、飛散防止部材の停止状態を保持することが可能であるため、遊技機の機種によって異なる下皿の設置高さの違いに対応することが可能となる。
【0020】
さらに、本発明の請求項5によれば、回動自在に枢設された飛散防止部材は玉受皿に着脱自在に取付けられるため、この飛散防止部材を取り外して、該飛散防止部材や玉受皿の清掃を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による実施例1の遊技機用玉計数装置の玉受皿を設けた遊技機の全体斜視図である。
【図2】本発明による実施例1の遊技機用玉計数装置の玉受皿とその周辺を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施例1に係る遊技機の下皿から玉受皿へ向けてパチンコ玉が落下している状況を示す断面図である。
【図4】本発明による実施例1の遊技機用玉計数装置の玉受皿と飛散防止部材と支持部材の分解斜視図である。
【図5】本発明による実施例1の遊技機用玉計数装置の玉受皿に飛散防止部材を取付ける前の状況を示す分解斜視図である。
【図6】(a)は本発明による実施例1の遊技機用玉計数装置の玉受皿に設けた飛散防止部材を回動しカバー部を上昇した状況を示す部分断面図であり、(b)はその飛散防止部材を回動しカバー部を下降した状況を示す部分断面図である。
【図7】(a)及び(b)は、本発明による実施例1に係る遊技機の本体扉を開くことにより、玉受皿に設けた飛散防止部材を回動してカバー部を下降する状況を示す側面図である。
【図8】(a)及び(b)は、本発明による実施例1に係る遊技機の本体扉を開閉する際の状況を示す斜視図である。
【図9】本発明による実施例2の遊技機用玉計数装置の玉受皿に飛散防止部材を取付ける前の状況を示す分解斜視図である。
【図10】本発明による実施例2の遊技機用玉計数装置の玉受皿の飛散防止部材を回動してカバー部を上昇した状況を示す斜視図である。
【図11】本発明による実施例2の遊技機用玉計数装置の玉受皿の飛散防止部材を回動してカバー部を下降した状況を示す斜視図である。
【図12】(a)及び(b)は、本発明による実施例2に係る遊技機の本体扉の開閉に伴う飛散防止部材の昇降に関する状況を示す側面図である。
【図13】(a)及び(b)は、本発明による実施例2に係る遊技機の本体扉を開閉する際の状況を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0023】
本実施例の遊技機用玉計数装置1の玉受皿2は、図1、図2又は図3に示すように、遊技機3の下皿4から落下するパチンコ玉Pを受けて、その個数を計数しながら回収する遊技機用玉計数装置1の一部を構成するものである。
【0024】
図1に示すように、パチンコ店等の遊技場に設置されている遊技機3は、本体枠5の前面に片開き式に本体扉6が軸支され、本体扉6にはその前面に突出してなる上皿7と下皿4とが設けられている。上皿7は後述する玉貸機13に設けられた玉払出ノズル15から供給されるパチンコ玉を一時的に貯留するものであり、この上皿7からパチンコ玉が遊技機3内に順次供給される。下皿4は遊技機3から排出されたパチンコ玉(「出玉」又は「当たり玉」という)を一時的に貯留するものである。また、図3に示すように下皿4の底面に不図示のシャッターを備えた通過穴4aが形成され、シャッターを開放することにより下皿4に貯留されているパチンコ玉Pが通過穴4aを経て落下され、下皿4の下方に配設された玉受皿2で受けとめられる。
【0025】
玉受皿2は、図3に示すように、遊技機3の下皿4の下方且つ遊技機3の前面側に配設され、下皿4から落下するパチンコ玉Pを受けるようにしたものである。その構造は、図2又は図3に示すように、下皿4から落下したパチンコ玉Pを受ける玉受面8を備え、この玉受面8はその後方に設けられたレール9に向かって下り勾配を有する。また、玉受皿2は、図2に示すように玉受面8の前方側と両側に囲い部10が曲線をなして連続的に形成され、図3に示すように下皿4から玉受面8に落下したパチンコ玉Pは囲い部10で外方への落下を防止されると共に、玉受面8に沿って流下し、レール9に上載される。
【0026】
レール9は、図2に示すように玉受皿2の左方に図示された開口部11の方向へ下り勾配を有し、レール9に上載されたパチンコ玉Pはレール9の下り勾配に沿って開口部11の方向へ流下し、開口部11を経て玉受皿2に連結された連結通路12へ流入する。
【0027】
一方、図1に示すように、遊技機3の側部には玉貸機13が設けられている。この玉貸機13の前面上部には、縦方向に長いスリット状の紙幣挿入口14が設けられ、高さ方向の中間部には水平方向に回動可能な玉払出ノズル15が設けられている。また、玉貸機13の玉払出ノズル15の下方の前面下部には表示部16が設けられている。
【0028】
さらに、図2に示すように、玉貸機13の内部下方には、上記の連結通路12と結合されてなる計数通路17が設けられ、この計数通路17に設けられた不図示の計数センサによって連結通路12から計数通路17を通過するパチンコ玉Pの個数が計数される。その計数結果をカード等の媒体に記憶させた後、この媒体を遊技客に提供する。遊技客は、その媒体を景品交換所に持ち込むことにより所望の景品と交換することができる。
【0029】
ところで、上記の構造において、例えば、遊技客が当たり玉を多く出した場合には、多数のパチンコ玉Pが下皿4から玉受皿2に落下するが、その際、該パチンコ玉Pと玉受面8との衝突、或はパチンコ玉P同士の衝突により、玉受皿2内で飛散し、パチンコ玉Pが囲い部10を越して外方へ落下する状況となる。
【0030】
本実施例においては、このような不都合を解消するために、玉受皿2の前方上部を傾斜状に覆うカバー部18を備えた飛散防止部材19が玉受皿2に対して着脱自在かつ回動自在に枢設され、該飛散防止部材19が玉受皿2の前方側を回動方向に昇降可能とされている。
【0031】
上記の本実施例の飛散防止部材19について詳細に述べると、図4又は図5に示すように、飛散防止部材19を玉受皿2に着脱自在かつ回動自在に枢設する構造として、玉受皿2の両側部には別途形成した支持部材20を固設し、この支持部材20に設けた後述する取付突起部22や枢支部24等を介して飛散防止部材19を回動自在に取り付けるようにしている。
【0032】
上記の各支持部材20は左右対称の構造を有するが、図4に示すように連結通路12を有する側の支持部材20には連結通路12を跨ぐ凹形状の嵌合溝21が設けられている。また、各支持部材20の内側面は玉受皿2の各側面に応じた形状に形成され、各支持部材20の上端は内側に上縁23が突出した形状とされている。この支持部材20を玉受皿2の側部に取付けるには、図4、図5に示すように、各支持部材20の上縁23を玉受皿2の上端部2aに当てることによって容易に位置決めができる。そして、各支持部材20の内側面と玉受皿2の側面とを両面粘着テープ等によって接着するか又はボルト等で固定することによって各支持部材20の取付けが完了する。
【0033】
また、図5に示すように、各支持部材20には外方へ突出した取付突起部22が設けられている。この取付突起部22の外端には円形の枢支部24が形成され、この枢支部24が飛散防止部材19の両側の押え部29、29に形成された取付穴29aに回動自在に嵌合される。
【0034】
さらに、図6(a)、(b)に示すように、各取付突起部22には玉受皿2の前方斜め上方に向けられたピン受け部26が形成されている。このピン受け部26は内部に空洞26aを有すると共に、ピン受け部26の上端に内部の空洞26aよりも細径のピン通路26bが形成され、このピン通路26bに係止ピン27が摺動自在に挿通されている。なお、図6(a)、(b)に示すように取付突起部22の外周から補強部22aが突出形成され、取付突起部22に切欠部25が形成されたことによる強度を補強するようにしている。
【0035】
上記の係止ピン27は、上記のピン通路26bを摺動自在に上下動するが、その後端には拡径された係止部27aが形成されている。この係止ピン27をピン受け部26のピン通路26bに挿入すると共に、係止部27aを空洞26a内に収納し、さらに空洞26a内に収納した弾性バネ28によって係止部27aを支持することにより、係止ピン27を外方へ弾性的に付勢することが可能とされている。
【0036】
一方、図4又は図5に示すように、飛散防止部材19は玉受皿2の前方上部を傾斜状に覆うカバー部18と玉受皿2の両側部に着脱自在かつ回動自在に枢設される両側の押え部29とを有する。即ち、この飛散防止部材19は、上記のカバー部18が玉受皿2の曲線をなす外形に倣った連続形状に形成されると共に、飛散防止部材19の両側部には外方へやや突出した押え部29、29が形成されている。なお、飛散防止部材19のカバー部18の中央には図2に示す指掛突起部19aが設けられ、この指掛突起部19aに指を掛けることによって飛散防止部材19を上方又は下方へ回動する際の指掛りとすることができる。
【0037】
また、上記の構成において、飛散防止部材19を弾性合成樹脂等により形成することにより、飛散防止部材19の両側の押え部29、29を手作業で互いに外側へ広げることが可能であり、このような変形によって両側の押え部29、29の各取付穴29a、29aを両側の支持部材20、20の各枢支部24、24に容易に嵌合することができる。
【0038】
さらに、本実施例においては、図4、5に示すように、飛散防止部材19の両側の押え部29、29の上縁から下方へ向けて弾性を有するカバー押え片30、30が垂設されている。一方、支持部材20の各取付突起部22の側部には、図6(a)、(b)に示すように、玉受皿2の後方側に切欠部25が形成されている。
【0039】
このような構成において、各カバー押え片30、30を、図6(a)、(b)に示すように取付突起部22の切欠部25に嵌合することにより、各カバー押え片30、30は枢支部24、24(図5参照)に係止された状態を保つこととなる。これによって、飛散防止部材19の両側の押え部29、29の各取付穴29a、29aが各枢支部24、24に嵌合した状態から抜け出すのを防止することが可能となる。さらに、飛散防止部材19の両側の押え部29、29が玉受皿2に対して着脱自在かつ回動自在に枢設された構造における左右方向へのぶれを防止することが可能となる。
【0040】
また、図6(a)、(b)に示すように、飛散防止部材19には、各押え部29に形成された湾曲形状の天井部29bの内側に沿って複数の係止凹部31、31…が順次配設されている。そして、取付突起部22のピン受け部26に弾性バネ28で支持された係止ピン27が上記の各係止凹部31、31…に段階的に係止されることによって飛散防止部材19の回動動作を間欠的に停止することが可能となる。このような構成により、図4に示すような下皿4の高さが遊技機3の機種によって異なる場合でも、飛散防止部材19の回動角度を段階的に調整してカバー部18を所望の高さにすることが可能となる。
【0041】
上記の構成により、図6(a)に示すように、飛散防止部材19を上方へ回動したとき、上記の係止ピン27が飛散防止部材19の複数の係止凹部31、31…を順次乗り越し、係止ピン27が最前部の係止凹部31aに係止される。この位置でカバー部18の上縁18aの後端18bが支持部材20の上縁23に当接することにより、飛散防止部材19のカバー部18の上縁18aが玉受皿2の前方へ向けて上り勾配を有する傾斜状態となる。
【0042】
さらに、上記のように飛散防止部材19が上方へ回動し、カバー部18が上昇した状態にあるとき、図3に示すように、カバー部18が玉受皿2の前方上部を傾斜状に覆うことにより、下皿4から玉受皿2に落下したパチンコ玉Pが前方へ飛散したときでも、飛散防止部材19のカバー部18の内側に当たって内方へ跳ね返り、玉受皿2の内部へ戻すことが可能となる。
【0043】
また、図7(a)に示すように遊技機3の本体扉6を開くとき、この本体扉6の下端部が傾斜した飛散防止部材19の上縁18aに当接する。図8(a)、(b)に示す点線Lは、遊技機3の本体扉6が開閉する際の本体扉6の下端が移動する軌跡を示すものであり、図8(a)に示すように、本体扉6の下端部が傾斜した飛散防止部材19の上縁18aを前方へ押し出して自動的に飛散防止部材19を下降方向へ回動し、図7(b)又は図8(b)に示すようにカバー部18を下降状態にすることができる。従って、遊技機3の本体扉6を開く際に、飛散防止部材19を手作業で取り外す必要がなく、遊技機3の本体扉6を開閉する際の作業性が良くなり、飛散防止部材19は遊技機3の本体扉6と衝突しても破損することはない。
【実施例2】
【0044】
遊技機用玉計数装置1(図1参照)の玉受皿2には、図9に示すように、レール9の後方に傾斜状の遮蔽部材34が設けられ、パチンコ玉Pがレール9の後方へ落下しないようにしている。このような構造を利用して、本実施例の飛散防止部材19は、玉受皿2の前方側を傾斜状に覆うカバー部18の他に、玉受皿2内のパチンコ玉Pが後方へこぼれるのを防止する遮蔽部32が設けられている。この遮蔽部32は玉受皿2の遮蔽部材34を傾斜状に覆う形状を有すると共に、カバー部18の両側後端の上部から後方へ上り勾配を有する傾斜状の支持部33、33で支持された構成とされている。
【0045】
実施例2のその他の構成は、実施例1と同様の構成を有する。従って、本実施例の飛散防止部材19を玉受皿2に取付けた状況は図10に示す通りであり、飛散防止部材19の遮蔽部32を下方へ倒し込んだ状況にすると、両側の支持部33、33は玉受皿2の上端に沿って略水平状態となる。また、この状態で、飛散防止部材19が上方へ回動してカバー部18を上昇すると共に、カバー部18の上縁18aが玉受皿2の前方へ向けて上り勾配を有する傾斜状態となる。
【0046】
一方、図11に示すように、飛散防止部材19を下方へ回動してカバー部18を下降した状態にすると、飛散防止部材19の遮蔽部32が上昇して両側の支持部33、33が玉受皿2の後方へ向けて上り勾配を有する傾斜状態となる。
【0047】
従って、上記の構成において、図12(a)に示すように遊技機3の本体扉6を開くとき、この本体扉6の下端部が傾斜した飛散防止部材19の上縁18aに当接する。このとき、図13(a)に示すように、本体扉6の下端部が、傾斜した飛散防止部材19の上縁18aを前方へ押し出して自動的に飛散防止部材19を下降方向へ回動し、図11、図12(b)又は図13(b)に示すようにカバー部18を下降状態となると共に後方の遮蔽部32が上昇状態となる。なお、図13(a)、(b)に示す点線Lは、遊技機3の本体扉6が開閉する際の本体扉6の下端が移動する軌跡を示すものである。
【0048】
さらに、図12(b)に示す状態から遊技機3の本体扉6を閉じるとき、この本体扉6の下端部が遮蔽部32の傾斜した支持部33に当接する。このとき、図13(b)に示すように、本体扉6の下端部が傾斜した支持部33を後方へ押し込んで自動的に飛散防止部材19を上昇方向へ回動し、図10又は図13(a)に示すようにカバー部18を上昇状態にすることができる。
【0049】
このような本実施例によれば、遊技機3の本体扉6を開く動作によって飛散防止部材19を自動的に下方へ回動してカバー部18を下降するだけではなく、遊技機3の本体扉6を閉じる動作によって飛散防止部材19を自動的に上方へ回動してカバー部18を上昇することができる。従って、本実施例によれば、遊技機3の本体扉6を開閉する際の作業性が極めてよく、また遊技機3の本体扉6を開閉する際に飛散防止部材19を破損するおそれもなくなる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の遊技機用玉計数装置の玉受皿は、この玉受皿に遊技機の下皿から落下したパチンコ玉の飛散を防止するための飛散防止部材を設けると共に、玉受皿に対して回動自在に枢設することにより、遊技機の本体扉を開閉する際の動作に応じて飛散防止部材を回動するようにして、この飛散防止部材を使用する際の利便性や作業性を向上することができる遊技機用玉計数装置の玉受皿として利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 遊技機用玉計数装置
2 玉受皿
2a 上端部
3 遊技機
4 下皿
4a 通過穴
5 本体枠
6 本体扉
7 上皿
8 玉受面
9 レール
10 囲い部
11 開口部
12 連結通路
13 玉貸機
14 紙幣挿入口
15 玉払出ノズル
16 表示部
17 計数通路
18 カバー部
18a 上縁
18b 上縁の後端
19 飛散防止部材
19a 指掛突起部
20 支持部材
21 嵌合溝
22 取付突起部
22a 補強部
23 上縁
24 枢支部
25 切欠部
26 ピン受け部
26a 空洞
26b ピン通路
27 係止ピン
27a 係止部
28 弾性バネ
29 押え部
29a 取付穴
30 カバー押え片
31 係止凹部
31a 最前部の係止凹部
31b 最後部の係止凹部
32 遮蔽部
33 支持部
34 遮蔽部材
P パチンコ玉
L 本体扉の下端部の移動軌跡


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の下皿から排出されるパチンコ玉を受けてその個数を計数しながら回収する遊技機用玉計数装置の一部を構成し、遊技機の下皿の下方且つ遊技機の前面側に配設され、遊技機の下皿から落下するパチンコ玉を受けるようにした玉受皿において、
前記玉受皿には、該玉受皿の前方上部を覆うカバー部を有する飛散防止部材を設け、
前記飛散防止部材は、前記玉受皿に対し回動自在に枢設され、
該飛散防止部材が玉受皿の前方側から上部を覆うように回動方向に昇降可能とすることを特徴とする遊技機用玉計数装置の玉受皿。
【請求項2】
前記飛散防止部材の両側には、
前記カバー部が上昇した際、前方へ向かって上り勾配を有する傾斜状となる上縁を備え、前記飛散防止部材の傾斜した前記上縁が開動作する遊技機との当接に伴って前記飛散防止部材が回動しカバー部が下降することを特徴とする請求項1記載の遊技機用玉計数装置の玉受皿。
【請求項3】
前記飛散防止部材は、
前記玉受皿の後方側に、前方方向に向かって下方に傾斜した遮蔽部と、
該遮蔽部の両側を支持し、前記カバー部が下降した際に後方に向かって上り勾配を有する傾斜状となる支持部と、を備え、
傾斜した前記支持部が閉動作する遊技機との当接に伴って該飛散防止部材が回動し前記カバー部を上昇することを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の遊技機用玉計数装置の玉受皿。
【請求項4】
前記玉受皿には、該玉受皿の両側に弾性バネにより支持された係止ピンを備えると共に、前記飛散防止部材には、複数の係止凹部を設け、
前記玉受皿と前記飛散防止部材とが枢設される近傍にて、前記係止ピンが前記係止凹部に段階的に係止されることにより、
前記機飛散防止部材の回動動作による昇降位置を間欠的に停止可能としたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の遊技機用玉計数装置の玉受皿。
【請求項5】
回動自在に枢設された前記飛散防止部材は、前記玉受皿に対して着脱自在に取付けられることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の遊技機用玉計数装置の玉受皿。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−115423(P2011−115423A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276228(P2009−276228)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(591164554)シルバー電研株式会社 (19)
【Fターム(参考)】