説明

遊技機

【課題】 停電から復帰したときに、遊技者に与える不安感を緩和するのに好適な遊技機を提供する。
【解決手段】 電源からの電力投入時には、EEPROM204の制御コマンドに基づいて、停電直前に出力した制御コマンドの次に出力すべき表示制御コマンドから出力が開始するようになっているバックアップ機能付きパチンコ機において、特別図柄表示装置100は、電源からの電力投入時には、遊技可能な状態である旨を表示するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックアップ機能付き遊技機およびそれに適用する装置に係り、特に、停電から復帰したときに、遊技者に与える不安感を緩和するのに好適な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機等の遊技機としては、停電から復帰したときに停電直前の状態に制御状態を復帰させるバックアップ機能付きの遊技機があった。これは、遊技機を駆動するための電源とは別の電源からの電力によりデータを記憶する記憶装置と、遊技機の遊技制御を行う遊技制御装置と、遊技制御装置からの複数の制御コマンドからなる制御コマンド群ごとにその制御コマンドに基づいて図柄の表示制御を行う図柄表示装置とを有して構成されている。
【0003】
遊技制御装置は、図柄表示装置に出力した制御コマンドを記憶装置に記憶し、停電から復帰したときは、記憶装置の制御コマンドに基づいて、停電直前に出力していた制御コマンド群の最初の制御コマンドから再送を行うようになっている。遊技制御装置が図柄の変動表示制御を行う場合は、「特別図柄を変動させ、変動開始後どれだけ時間経過してから特別図柄を停止させるかを指示するための変動パターン指定コマンド」と、「特別図柄のうち左図柄の停止図柄を指定する左図柄指定コマンド」と、「特別図柄のうち中図柄の停止図柄を指定する中図柄指定コマンド」と、「特別図柄のうち右図柄の停止図柄を指定する右図柄指定コマンド」と、「特別図柄を停止させるための図柄停止コマンド」とからなる制御コマンド群をその順序で図柄表示装置に出力する。
【0004】
例えば、右図柄指定コマンドを出力してから図柄停止コマンドを出力するまでの間に停電が発生した場合、停電から復帰したときは、変動パターン指定コマンド、左図柄指定コマンド、中図柄指定コマンドおよび右図柄指定コマンドを再送する。
なお、バックアップ機能付きの遊技機としては、特許文献1記載の遊技機が知られている。
【特許文献1】特開平6−285231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、遊技機は、市場に流通させる前に所定の検定機関で検定試験に付される。検定機関で検査をするにあたっては、例えば、入賞口への遊技球の入賞率、特賞状態が生起する特賞確率、あるいは役物の作動率が合格のための仕様条件を満足するか否かを検査する。そして、その仕様条件をすべて満たした遊技機のみが市場に流通することを許可される。
【0006】
しかしながら、最近、検査機関の指導により、1度出力した制御コマンドを再送することが禁止され、制御コマンドを再送しないことが上記仕様条件の一つとして盛り込まれるようになった。そのため、例えば、右図柄指定コマンドを出力してから図柄停止コマンドを出力するまでの間に停電が発生した場合、停電から復帰したときは、変動パターン指定コマンド、左図柄指定コマンド、中図柄指定コマンドおよび右図柄指定コマンドを再送することができず、図柄停止コマンドから出力を開始することとなる。一方、図柄表示装置は、制御コマンド群ごとにその制御コマンドに基づいて図柄の表示制御を行うようになっているため、制御コマンド群の途中の制御コマンドを入力しても正常な制御コマンド群ではないと判定される。したがって、停電から復帰したときに図柄停止コマンドを入力しても正常な制御コマンド群ではないと判定されるので、次の制御コマンド群の最初の制御コマンド(変動パターン指定コマンド)を入力するまでは、画面に何も表示されない状態が継続する。
【0007】
そのため、停電から復帰して遊技可能な状態となったときに、画面に何も表示されない状態が継続すると、停電の影響により遊技機がまだ遊技不能な状態にあるのではないかという不安感を遊技者に与えてしまう。
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、停電から復帰したときに、遊技者に与える不安感を緩和するのに好適な遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1記載の遊技機は、遊技機を駆動するための電源からの電力供給の有無によらずデータを記憶可能な記憶手段と、遊技状態を制御する遊技制御手段と、前記遊技制御手段と一方向通信により接続しかつ前記遊技制御手段からの複数の制御コマンドからなる制御コマンド群に基づいて遊技状態に関する表示を行う表示装置とを備え、前記制御コマンドは、当該制御コマンドの分類を識別するためのデータと、当該制御コマンドの実行内容を示すデータとからなり、前記遊技制御手段は、コマンド変化時に自身が生成するストローブ信号の1つ目の立ち上がりを契機として、前記分類を識別するためのデータを出力ポートを介して出力し、前記ストローブ信号の2つ目の立ち上がりを契機として、前記実行内容を示すデータを前記出力ポートを介して出力することにより前記制御コマンドを前記表示装置に出力し、前記表示装置への制御コマンドを前記記憶手段に記憶し、前記電源からの電力投入時には、前記記憶手段の制御コマンドに基づいて、停電直前に前記表示装置に出力した制御コマンドの次に出力すべき制御コマンドから出力を開始する遊技機であって、前記遊技制御手段は、前記制御コマンドが前記記憶手段に格納されているか否かを電源投入時に判定し、前記制御コマンドが前記記憶手段に格納されていると判定したときは、遊技可能な状態である旨を表示するための復帰表示コマンドおよび前記次に出力すべき制御コマンドを前記出力ポートを介して出力し、前記表示装置は、電源投入後初めての処理であると判定したときは、少なくともスタックポインタの設定やRAMの初期化やレジスタクリアを行って、前記復帰表示コマンドの入力により、遊技可能な状態である旨を表示するようになっている。
【0009】
このような構成であれば、遊技制御手段により、複数の制御コマンドからなる制御コマンド群が表示装置に出力されるとともに、表示装置への制御コマンドが記憶手段に記憶され、表示装置により、制御コマンド群に基づいて遊技状態に関する表示が行われる。制御コマンドの出力は、ストローブ信号の1つ目の立ち上がりを契機として、分類を識別するためのデータが出力ポートを介して出力され、ストローブ信号の2つ目の立ち上がりを契機として、実行内容を示すデータが出力ポートを介して出力されることにより行われる。
【0010】
そして、停電等により電源からの電力が遮断された場合に、停電から復帰して電源投入時には、遊技制御手段により、制御コマンドが記憶手段に格納されているか否かが判定される。その結果、制御コマンドが記憶手段に格納されていると判定されると、遊技制御手段により、復帰表示コマンドおよび次に出力すべき制御コマンドが出力ポートを介して出力される。
【0011】
表示装置では、電源投入後初めての処理であると判定されると、少なくともスタックポインタの設定やRAMの初期化やレジスタクリアが行われる。そして、復帰表示コマンドを入力すると、遊技可能な状態である旨が表示される。
ここで、記憶手段は、遊技機を駆動するための電源からの電力供給の有無によらずデータを記憶可能なものであればどのような構成であってもよく、例えば、遊技機を駆動するための電源とは別の電源からの電力によりデータを記憶可能なものであってもよいし、フラッシュROM等のデータ書換可能な不揮発性の記憶素子からなるものであってもよい。
【0012】
さらに、本発明に係る請求項2記載の遊技機は、請求項1記載の遊技機において、前記表示装置は、電源投入時から前記制御コマンド群の最初の制御コマンドを入力するまでは、遊技可能な状態である旨を表示するようになっている。
このような構成であれば、表示装置では、電源投入時から制御コマンド群の最初の制御コマンドを入力するまでは、遊技可能な状態である旨が表示される。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明に係る請求項1または2記載の遊技機によれば、停電から復帰して遊技可能な状態となったときに、画面に何も表示されない状態とならず、遊技可能な状態である旨が表示されるので、従来に比して、遊技者に与える不安感を比較的緩和することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1ないし図15は、本発明に係る遊技機の実施の形態を示す図である。
本実施の形態は、本発明に係る遊技機を、停電から復帰したときに停電直前の状態に制御状態を復帰させるバックアップ機能付きのパチンコ機に適用したものである。
まず、パチンコ機における遊技盤面の構成を図1を参照しながら説明する。図1は、パチンコ機における遊技盤面の正面部、特に説明に必要な部分を模式的に示した図である。
【0015】
遊技盤10のほぼ中央部には、図1に示すように、3つ(左、中、右)の表示エリアを有していて、各表示エリアにおいて、独立して数字やキャラクタによる図柄で構成される識別情報を横一列の配列パターンで変動表示可能である特別図柄表示装置100が配設されており、その真下には、特別図柄始動口104が配設されていて、この特別図柄始動口104の両側には、普通図柄作動ゲート102,102が配設されている。また、一対の開閉部材120,120が特別図柄始動口104を形成するように離間して開閉可能に設けられている。
【0016】
さらに、特別図柄始動口104の下方には、大入賞口106と、普通図柄表示装置108と、アウト口114とがこの順で配設されており、さらに、特別図柄始動口104の両斜め上方には、ランプ表示装置110,110が配設されているとともに、遊技盤10の両側端部近傍にもランプ表示装置(より具体的には、LED装置)112,112が配設されている。
【0017】
そして、特別図柄始動口104に遊技球が入賞して乱数抽選が行われ、この抽選された乱数が大当り値であるときには、各表示エリアにおいて少なくとも1つの識別情報の変動表示が開始され、その後、所定パターン(例えば、「7、7、7」)の表示が特別図柄表示装置100によって行われ、大入賞口106が所定パターンで開閉制御されて遊技者にとって有利な大当り遊技状態となる。
【0018】
また、普通図柄作動ゲート102が遊技球の通過を検出すると、乱数抽選が行われ、この抽選された乱数が小当り値であるときには、普通図柄表示装置108の表示部を所定パターン(例えば、「7」や「3」)に表示させ、その後に、開閉部材120が開状態となって遊技球が特別図柄始動口104に入賞した場合にも、同様に乱数抽選が行われ、この抽選された乱数が大当り値であるときには、各表示エリアにおける変動表示が開始され、その後、所定表示パターン(例えば、「7、7、7」)の表示が特別図柄表示装置100によって行われ、大入賞口106が所定パターンで開閉制御されて遊技者にとって有利な大当り状態となる。一方、いずれの入賞口にも入賞しない遊技球は、アウト口114を介して排出される。また、この遊技機は、奇数図柄が出目で大当りとなった場合には、次回の大当り確率が向上する確率変動機能を有している。
【0019】
次に、パチンコ機における主制御部200の構成を図2を参照しながら説明する。図2は、主制御部200の構成を示すブロック図である。
主制御部200は、図2に示すように、CPUを内蔵したマイクロプロセッサを搭載していて、一連の遊技機制御手順を記述した遊技制御プログラムや制御データ等を格納するためのROM201と、ワークエリアが形成されるRAM203と、電気的にデータ書換可能な不揮発性メモリであるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)204とが設けられていて、一体型のワンチップマイコンとなっている。
【0020】
ROM201は、遊技制御プログラムのほか、後に説明する、特別図柄表示装置100を制御するための各種のコマンドを少なくとも含む、多種多様な制御コマンドを格納するコマンドデータテーブル領域202を有している。
EEPROM204は、停電から復帰したときに停電直前の状態に制御状態を復帰させるために、特別図柄表示装置100等に出力した制御コマンドを格納するためのものである。停電から復帰したときは、EEPROM204の制御コマンドに基づいて、停電直前に出力した制御コマンドの次に出力すべき制御コマンドから出力を開始することにより、停電直前の状態に制御状態を復帰させる。
【0021】
主制御部200には、入力ポート210を介して、特別図柄始動口104内部に設けられ遊技球の特別図柄始動口104への入賞を検出する特別図柄始動スイッチ304と、普通図柄作動ゲート102の内部に設けられ遊技球のゲート通過を検出する普通図柄作動スイッチ306と、大入賞口106の内部に設けられ遊技球の大入賞口106への入賞を検出する大入賞ロスイッチ308とが接続され、主制御部200は、各検出信号を入力可能となっている。
【0022】
また、主制御部200には、出力ポート215を介して、周辺装置が多数接続されている。すなわち、主制御部200には、出力ポート215を介して、特別図柄やキャラクタを表示する表示部を3つ有してそれぞれを独立して可変表示可能でLCD(Liquid Crystal Display)等で実現される特別図柄表示装置100と、ランプを点灯制御するランプ表示装置110,112と、効果音を発生する効果音発生装置116と、7セグメント表示デバイス等で実現される普通図柄表示装置108と、始動口の開閉部材120を開閉制御するための始動口作動ソレノイド300と、大入賞口106の幅広な開閉部材を開閉制御するための大入賞口作動ソレノイド302とが接続されている。そして、主制御部200は、各周辺装置を制御するための制御コマンドを出力可能となっている。主制御部200は、特に特別図柄表示装置100、ランプ表示装置110(112)、効果音発生装置116および普通図柄表示装置108に対しては、所定数個の制御コマンドを所定のタイミングで出力可能となっていて、これら周辺装置は、受け取った制御コマンドに基づいて、主制御部200に頼らずに自身内のCPUが細かな制御を行うようになっている。さらに、主制御部200から周辺装置へ制御コマンドを出力するのみの一方同通信による通信形態を採っている。
【0023】
また、主制御部200には、電源供給を行うための電源回路212と、所定時間ごとにリセット信号を出力するリセット回路213とが接続されていて、さらに、リセット回路213には、主制御部200から周期的タイマカウンタによって生成されたパルス信号が入力されるとともに、電源回路212からの電流供給状況を監視するためのモニタ信号が入力される。
【0024】
次に、主制御部200から特別図柄表示装置100に出力される表示制御コマンドの構造および内容を図3ないし図7を参照しながら説明する。図3は、表示制御コマンドのデータ構造を示す図であり、図4ないし図7は、表示制御コマンドの内容を示す図である。
主制御部200から特別図柄表示装置100に出力される表示制御コマンドは、図3に示すように、表示制御コマンドの分類を識別するための識別子で1バイト長のディジタルデータであるモード(MODE)と、実行される表示制御コマンドの内容(機能)を示す1バイト長のディジタルデータであるイベント(EVENT)とからなる。なお、特別図柄表示装置100以外の周辺装置に出力される制御コマンドも、これと同様のデータ構造になっている。
【0025】
表示制御コマンドには、図4ないし図7に示すように、「特別図柄を変動させ、変動開始後どれだけ時間経過してから特別図柄を停止させるかを指示するための変動パターン指定コマンド」と、「特別図柄のうち左図柄の停止図柄を指定する左図柄指定コマンド」と、「特別図柄のうち中図柄の停止図柄を指定する中図柄指定コマンド」と、「特別図柄のうち右図柄の停止図柄を指定する右図柄指定コマンド」と、「特別図柄を停止させるための図柄停止コマンド」とがある。これらのコマンドは、遊技状況に応じて変動表示の変動態様がどのように変化しても必ず必要なものであり、主制御部200は、図柄変動表示を開始させるような遊技状況となったとき、これらの5つのコマンドを1回の変動表示制御において所定のタイミングで特別図柄表示装置100に出力する。また、図柄停止コマンドを、左・中・右図柄指定コマンドに対応させて用意するようにしても良い。
【0026】
次に、主制御部200の構成および主制御部200で実行される処理を図8を参照しながら詳細に説明する。
主制御部200は、CPUを内蔵したマイクロプロセッサを搭載し、CPUは、リセット回路213からのリセット信号により所定の動作クロック(例えば、4[ms])で1サイクルを実行可能な遊技制御プログラムに基づいて動作するようになっており、ROM201の所定領域に格納されている遊技制御プログラムを起動させ、図8のフローチャートに示す遊技制御処理を実行するようになっている。図8は、遊技制御処理を示すフローチャートである。
【0027】
遊技制御処理は、主制御部200のCPUにおいて実行されると、図8に示すように、まず、ステップS110に移行するようになっている。
ステップS110では、電源投入が行われてから初めての処理が実行されたか否かを判定する。電源投入後、初めての処理のとき(Yes)は、ステップS200に移行する一方、これ以外のとき(No)は、ステップS120に移行する。
【0028】
ステップS200では、EEPROM204に制御コマンドが格納されているか否かを判定し、EEPROM204に制御コマンドが格納されていないと判定されたとき(No)は、ステップS202に移行して、RAM203の初期化処理として記憶エリアのクリア処理を実行し、次いで、ステップS210では、初期制御処理を行うためのデータをRAM203の所定の領域にセットする。
【0029】
一方、ステップS120では、RAM203内に形成される図示しない、大当り判定用、小当り判定用等の各種の乱数生成用ループカウンタのカウント値をインクリメントし、ステップS130では、遊技機制御に用いる各種のタイマのタイマ値を更新する。
次に、ステップS140において、特別図柄始動スイッチ304、普通図柄作動スイッチ306および大入賞ロスイッチ308が出力した検出信号を入力ポート203を介して図示しない自身内のレジスタに読み込み格納する入力ポート処理を実行し、次いで、ステップS150に移行して、ポート入力処理で読み込み格納したデータを把握するためのスイッチチェック処理を実行する。
【0030】
次に、ステップS160にて、各スイッチ304,306,308等の断線や短絡の有無のチェックを行い、これらの障害が発生しているとき(Yes)は、ステップS220に移行する一方、これ以外のとき(No)は、ステップS180に移行する(ステップS170)。
そして、ステップS180において、普通図柄表示装置107の表示制御に必要なデータをRAM203の所定領域に格納するとともに、特別図柄表示装置100の表示制御コマンド(図4ないし図7にて説明した表示制御コマンドを含む)をRAM203の所定領域に格納して、各種のタイマのタイマ値を減じる(ステップS190)。なお、ステップS180において、主制御部200は、遊技制御に応じて必要なモード、イベントの表示制御コマンドをコマンドデータテーブル領域202を参照して決定し、決定したモード、イベントを示すディジタルデータをRAM203の所定エリアに格納する。
【0031】
次に、ステップS195において、大入賞口106と特別図柄始動口104の開閉部材120とを所定パターンで開閉制御するために、始動口作動ソレノイド300と大入賞口作動ソレノイド302とを駆動制御し、次いで、ステップS220において、図示しない賞球払出装置に払出し動作を行わせるための制御コマンドをRAM203の所定エリアに格納する賞球セット処理を実行し、さらに、ステップS230,S240,S250において、図示しない遊技機管理装置に各種の遊技データを出力する外部情報処理と、ランプ表示装置110,112を遊技状態に対応させて点灯制御するための制御コマンドをRAM203の所定エリアに格納する表示灯制御処理と、効果音発生装置116を遊技状態に対応させて効果音発生制御するための制御コマンドをRAM203の所定エリアに格納する効果音処理とを実行する。
【0032】
次に、ステップS260では、各処理でRAM203に格納したデータを出力ポート215を介して対応する装置に出力し(ポート出力処理)、これを受け取った装置側はこれに基づいた制御動作を行う。特別図柄表示装置100に対しては、まず、ストローブ信号を出力し、ステップS180にてRAM203に格納されたモード、イベントの表示制御コマンドを出力する。これによって、特別図柄表示装置100には、例えば、図4ないし図7にて示した表示制御コマンドが主制御部200から出力されることになる。また、表示制御コマンドを出力するとともに、出力した表示制御コマンドをEEPROM204の所定領域に格納する。
【0033】
ステップS270では、リセット回路213からリセット信号が入力されるまでリセット待機処理を実行するとともに、リセット信号が入力された場合には、ステップS110に移行して、遊技機制御を継続する。なお、このリセット待機処理としては、各種の乱数生成用のカウンタの更新等が挙げられる。
一方、ステップS200で、EEPROM204に制御コマンドが格納されていると判定されたとき(Yes)は、ステップS280に移行して、EEPROM204の制御コマンドに基づいて、特別図柄表示装置100で遊技可能な状態である旨を表示するための復帰画面表示コマンドおよび停電直前に出力した制御コマンドの次に出力すべき制御コマンドをRAM203の所定エリアに格納し、ステップS260に移行する。停電から復帰したときは、ステップS280の処理により、遊技可能な状態である旨の表示である復帰画面を表示するとともに停電直前の状態に制御状態を復帰させることができる。
【0034】
次に、特別図柄表示装置100の構成を図9を参照しながら説明する。図9は、特別図柄表示装置100の構成を示すブロック図である。
特別図柄表示装置100は、図9に示すように、主制御部200からのストローブ信号や表示制御コマンドを受信するためのデータ受信回路1140(データレベルを変換する電圧変換回路を含む)と、この電圧変換回路等に電源供給を行う電源回路1160と、受信した表示制御コマンドに基づいて表示制御を行うために必要な制御データを生成して画像処理用LSI(VDP)1060に出力するCPU1020と、CPU1020の動作手順を記述した表示制御プログラムを内蔵するプログラムROM1040と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM1090と、画像展開処理を行う画像処理用LSI1060と、画像処理用LSI1060が展開した画像データを一時的に記憶するビデオRAM1080と、画像処理用LSI1060が画像展開するために必要なデータを格納したキャラクタROM1180と、ビデオRAM1080に一時的に記憶された画像データを受け取って送出するLCDパネル用インターフェース回路1100と、LCDパネル用インターフェース回路1100から送出された画像データを用いて表示画像を出力するLCDパネル1120とで構成されている。
【0035】
次に、キャラクタROM1180に格納されているデータ構造を図10を参照しながら説明する。図10は、キャラクタROM1180に格納されているデータ構造を示す図である。
キャラクタROM1180は、図10(a)に示すように、ROMタイトル領域と、ROM管理情報領域と、実際のキャラクタデータを格納したキャラクタイメージデータ領域と、キャラクタの色彩データを格納したパレットデータ領域と、キャラクタの動きを定義したデータを格納したシナリオデータ領域とを有していて、キャラクタデータは、特定の圧縮方法で圧縮された状態でキャラクタイメージデータ領域に格納されており、さらに、図10(b)に示すように、パレットデータ領域は、色番号とカラーコードとが対となったものが複数種類格納されている。
【0036】
CPU1020は、データ受信回路1140が受信した表示制御コマンドに応じて生成した制御データを画像処理用LSI1060に与えると、画像処理用LSI1060は、キャラクタイメージデータ領域から獲得したキャラクタデータを解凍し、パレットデータ領域から獲得した色彩データに基づいて配色し、シナリオデータ領域から獲得したデータで指定されたビデオRAM1080上の位置に画像展開したデータを一時的に格納し、一時的に格納したデータをLCDパネル用インターフェース回路1100に送ることによって、LCDパネル1120によって、変動表示速度変化等を含む様々な画像表示が細かに行われる。
【0037】
次に、表示制御コマンドの入出力タイミングを図11を参照しながら説明する。図11は、表示制御コマンドの入出力タイミングを示すタイミングチャートである。
表示制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)とからなっていて、図11の例では、主制御部200は、コマンド変化時に自身が生成するストローブ信号(DUSTB)の1つ目の立ち上がりを契機として、モード(MODE)データを出力し、次いでストローブ信号(DUSTB)の2つ目の立ち上がりを契機として、イベント(EVENT)データを出力する。すると、これに対応して、CPU1020は、ストローブ信号(DUSTB)が出力されてくると割込を発生させ、この割込処理によって表示制御コマンドを受信してRAM1090に格納する。
【0038】
次に、CPU1020の構成およびCPU1020で実行される処理を図12を参照しながら詳細に説明する。
CPU1020は、マイクロプロセッシングユニットMPU等からなり、図示しないリセット回路からのリセット信号により所定の動作クロック(例えば、4[ms])で1サイクルを実行可能な表示制御プログラムに基づいて動作するようになっており、プログラムROM1040の所定領域に格納されている表示制御プログラムを起動させ、図12のフローチャートに示す表示制御処理を実行するようになっている。図12は、表示制御処理を示すフローチャートである。
【0039】
表示制御処理は、CPU1020において実行されると、図12に示すように、まず、ステップS1000に移行するようになっている。
ステップS1000では、電源投入が行われてから初めての処理が実行されたか否かを判定する。電源投入後、初めての処理のとき(Yes)は、ステップS1100に移行する一方、これ以外のとき(No)は、ステップS1102に移行する。
【0040】
ステップS1100では、CPU1020は自身のスタックポインタの設定、RAM1090の初期化、レジスタクリア等の自身の初期化等を行い、ステップS1101に移行して、遊技可能な状態である旨を表示し、ステップS1102に移行して、新たな表示制御コマンドが入力されたか否かを判定する。新たな表示制御コマンドが入力されたと判定されたとき(Yes)は、ステップS1104に移行する一方、これ以外のとき(No)は、ステップS1110に移行する。
【0041】
ステップS1104では、図11において説明した割込処理において、データ受信回路1140が受信した表示制御コマンドをRAM1090にコピーし、表示制御コマンドが正常か否かのチェック等を行う。次に、CPU1020は、主制御部200とは独立して細かな表示制御を行うための必要な表示制御コマンドを得るべく、処理テーブル(図示せず)の先頭アドレスを決定し、次いでステップS1108において、画像処理用LSI1060へ出力するためにRAM1090の必要なエリアのデータを更新する。
【0042】
次に、ステップS1110において、RAM1090にセットされている図柄制御データに基づいて、画像処理用LSI1060へ出力するためのスクロールデータを求めてRAM1090にセットし、図柄表示位置を設定し、次いで、ステップS1112において、図柄速度制御に必要なデータを、プログラムROM1040に内蔵されている速度テーブル(図示せず)から取得してRAM1090にセットし、次にステップS1114において、速度データに基づいて図柄オフセット値を更新し、設定された速度で図柄変動を行うための準備を行う。
【0043】
次に、ステップS1116において、RAM1090にセットされているアニメーション処理用データが格納されているアニメーション処理用テーブル(図示せず)からアニメーションデータを取得し背景画像の表示のための準備を行い、RAM1090内のVDP出力用バッファにセットし、出力許可フラグが「1」か否かを判定する(ステップS1118)。
【0044】
そして、出力許可フラグが「1」でないとき(No)は、ステップS1102に戻って一連の処理を繰り返す一方、出力許可フラグが「1」であるとき(Yes)は、ステップS1120にて、VDP出力用バッファにセットされているデータを画像処理用LSI1060に出力する。画像処理用LSI1060は、これに応じてキャラクタROM1180のデータを獲得して画像展開し、画像展開されたデータは、ビデオRAM1080に一時的に記憶された後、LCDパネル用インターフェース回路1100に送られ、LCDパネル1120による画像表示が行われる。
【0045】
次に、上記実施の形態の動作を図13ないし図15を参照しながら説明する。図13および図14は、主制御部200から特別図柄表示装置100に出力される表示制御コマンドの出力タイミングの一例を示す図であり、図15は、特別図柄表示装置100の表示画面を示す図である。
まず、パチンコ機に電源が投入され、特別図柄始動口104に遊技球が入賞すると、主基板200により、複数の表示制御コマンドからなる表示制御コマンド群が特別図柄表示装置100に出力されることにより、図柄の変動表示制御が開始される。
【0046】
具体的には、主制御部200では、図13および図14に示すように、ステップS180,S260を繰り返し経て、変動パターン指定コマンドが出力され(1)、それからT1時間経過後に左図柄指定コマンドが出力され(2)、それからT2時間経過後に中図柄指定コマンドが出力される(3)。そして、それからT3時間経過後に右図柄指定コマンドが出力され(4)、変動開始からT時間経過後に図柄停止コマンド(5)が出力される。一方、このように出力された表示制御コマンドは、ステップS260を経て、EEPROM204に格納される。
【0047】
特別図柄表示装置100では、これらの表示制御コマンドを受信すると、CPU1020により、変動パターン指定コマンドにて指定された時間が経過する前に、変動速度変化等の細かな表示制御が行われて一連の変動表示制御が行われ、変動開始からT時間経過後に変動表示制御が終了する。
次に、例えば、主制御部200が右図柄指定コマンドを出力してから図柄停止コマンドを出力するまでの間に停電が発生した場合、停電から復帰したときは、次のように動作する。
【0048】
主制御部200では、停電から復帰して電源からの電力投入時には、EEPROM204の表示制御コマンドに基づいて、停電直前に出力した表示制御コマンド(右図柄指定コマンド)の次に出力すべき表示制御コマンド(図柄停止コマンド)から出力が開始される。
特別図柄表示装置100では、停電から復帰して電源からの電力投入時には、主制御部200から図柄停止コマンドを入力しても正常な制御コマンド群ではないと判定されるので、次の表示制御コマンド群の最初の表示制御コマンド(変動パターン指定コマンド)を入力するまでは、ステップS1101を経て、図15に示すように、遊技可能な状態である旨が表示される。
【0049】
このようにして、本実施の形態では、電源からの電力投入時には、EEPROM204の制御コマンドに基づいて、停電直前に出力した制御コマンドの次に出力すべき表示制御コマンドから出力が開始するようになっているバックアップ機能付きパチンコ機において、特別図柄表示装置100は、電源からの電力投入時には、図15に示すように、遊技可能な状態である旨を表示するようにした。
【0050】
これにより、停電から復帰して遊技可能な状態となったときに、画面に何も表示されない状態とならず、遊技可能な状態である旨が表示されるので、従来に比して、遊技者に与える不安感を比較的緩和することができる。
上記実施の形態において、EEPROM204は、請求項1記載の記憶手段に対応し、主制御部200は、請求項1記載の遊技制御手段に対応し、特別図柄表示装置100は、請求項1または2記載の表示装置に対応している。
【0051】
なお、上記実施の形態においては、特別図柄表示装置100は、電源からの電力投入時には、遊技可能な状態である旨を表示するように構成したが、これに限らず、ランプ表示装置110、効果音発生装置116、普通図柄表示装置108、または図示しない賞球払出装置は、電源からの電力投入時には、音や表示により遊技可能な状態である旨を通知するように構成してもよい。
【0052】
また、上記実施の形態において、図8のフローチャートに示す処理を実行するにあたっては、ROM201にあらかじめ格納されている遊技制御プログラムを実行する場合について説明したが、これに限らず、これらの手順を示したプログラムが記憶された記憶媒体から、そのプログラムをRAM203に読み込んで実行するようにしてもよい。
また、上記実施の形態において、図12のフローチャートに示す処理を実行するにあたっては、プログラムROM1040にあらかじめ格納されている表示制御プログラムを実行する場合について説明したが、これに限らず、これらの手順を示したプログラムが記憶された記憶媒体から、そのプログラムをRAM1090に読み込んで実行するようにしてもよい。
【0053】
ここで、記憶媒体とは、RAM、ROM等の半導体記憶媒体、FD、HD等の磁気記憶型記憶媒体、CD、CDV、LD、DVD等の光学的読取方式記憶媒体、MO等の磁気記憶型/光学的読取方式記憶媒体であって、電子的、磁気的、光学的等の読み取り方法のいかんにかかわらず、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体であれば、あらゆる記憶媒体を含むものである。
【0054】
また、上記実施の形態においては、パチンコ機に本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他のアミューズメントゲーム機にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】パチンコ機における遊技盤面の正面部、特に説明に必要な部分を模式的に示した図である。
【図2】主制御部200の構成を示すブロック図である。
【図3】表示制御コマンドのデータ構造を示す図である。
【図4】表示制御コマンドの内容を示す図である。
【図5】表示制御コマンドの内容を示す図である。
【図6】表示制御コマンドの内容を示す図である。
【図7】表示制御コマンドの内容を示す図である。
【図8】遊技制御処理を示すフローチャートである。
【図9】特別図柄表示装置100の構成を示すブロック図である。
【図10】キャラクタROM1180に格納されているデータ構造を示す図である。
【図11】表示制御コマンドの入出力タイミングを示すタイミングチャートである。
【図12】表示制御処理を示すフローチャートである。
【図13】主制御部200から特別図柄表示装置100に出力される表示制御コマンドの出力タイミングの一例を示す図である。
【図14】主制御部200から特別図柄表示装置100に出力される表示制御コマンドの出力タイミングの一例を示す図である。
【図15】特別図柄表示装置100の表示画面を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
10 遊技盤
100 特別図柄表示装置
102 普通図柄作動ゲート
104 特別図柄始動口
106 大入賞口
108 普通図柄表示装置
110,112 ランプ表示装置
114 アウト口
116 効果音発生装置
120 開閉部材
200 主制御部
201 ROM
202 コマンドデータテーブル領域
203 RAM
210 入力ポート
213 リセット回路
212 電源回路
215 出力ポート
300 始動口作動ソレノイド
302 大入賞口作動ソレノイド
304 特別図柄始動スイッチ
306 普通図柄作動スイッチ
308 大入賞口スイッチ
1020 CPU
1040 プログラムROM
1060 画像処理用LSI
1080 ビデオRAM
1090 RAM
1100 LCDパネル用インターフェース回路
1120 LCDパネル
1140 データ受信回路
1160 電源回路
1180 キャラクタROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機を駆動するための電源からの電力供給の有無によらずデータを記憶可能な記憶手段と、遊技状態を制御する遊技制御手段と、前記遊技制御手段と一方向通信により接続しかつ前記遊技制御手段からの複数の制御コマンドからなる制御コマンド群に基づいて遊技状態に関する表示を行う表示装置とを備え、
前記制御コマンドは、当該制御コマンドの分類を識別するためのデータと、当該制御コマンドの実行内容を示すデータとからなり、
前記遊技制御手段は、コマンド変化時に自身が生成するストローブ信号の1つ目の立ち上がりを契機として、前記分類を識別するためのデータを出力ポートを介して出力し、前記ストローブ信号の2つ目の立ち上がりを契機として、前記実行内容を示すデータを前記出力ポートを介して出力することにより前記制御コマンドを前記表示装置に出力し、
前記表示装置への制御コマンドを前記記憶手段に記憶し、前記電源からの電力投入時には、前記記憶手段の制御コマンドに基づいて、停電直前に前記表示装置に出力した制御コマンドの次に出力すべき制御コマンドから出力を開始する遊技機であって、
前記遊技制御手段は、前記制御コマンドが前記記憶手段に格納されているか否かを電源投入時に判定し、前記制御コマンドが前記記憶手段に格納されていると判定したときは、遊技可能な状態である旨を表示するための復帰表示コマンドおよび前記次に出力すべき制御コマンドを前記出力ポートを介して出力し、
前記表示装置は、電源投入後初めての処理であると判定したときは、少なくともスタックポインタの設定やRAMの初期化やレジスタクリアを行って、前記復帰表示コマンドの入力により、遊技可能な状態である旨を表示するようになっていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1において、
前記表示装置は、電源投入時から前記制御コマンド群の最初の制御コマンドを入力するまでは、遊技可能な状態である旨を表示するようになっていることを特徴とする遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2006−670(P2006−670A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−235291(P2005−235291)
【出願日】平成17年8月15日(2005.8.15)
【分割の表示】特願2000−152329(P2000−152329)の分割
【原出願日】平成12年5月24日(2000.5.24)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】