説明

遊技機

【課題】 球排出装置を異常状態から復帰させる作業を迅速に行うことができる遊技機を提供する。
【解決手段】 遊技球を貯留可能な球貯留タンクと、該球貯留タンクの一側に連通し、球貯留タンクに貯留された遊技球を排出可能な球排出装置と、球貯留タンクを揺動して、該球貯留タンクをその底部が球排出装置側へ向けて下り傾斜した第1状態と、底部が球排出装置とは反対側へ下り傾斜した第2状態とに変換可能とする揺動機構と、球貯留タンクの状態変換を検出する検出機構と、球排出装置の排出動作異常を検出可能であり、球排出装置の遊技球の排出動作を制御可能な排出制御装置15とを備え、該排出制御装置15は、球排出装置の排出動作異常を検出すると、球排出装置の排出動作を停止し、該排出動作停止状態において、検出機構の検出センサ85が球貯留タンクの第2状態から第1状態への変換を検出すると、排出制御装置15が球排出装置の排出動作を許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を貯留する球貯留タンクと、該球貯留タンクに貯留された遊技球を排出するための球排出装置とを備えたパチンコ遊技機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技球を使用して遊技を行う遊技機の代表的なものとしてパチンコ遊技機がある。このパチンコ遊技機の裏面側の上部には、遊技球を貯留する球貯留タンクが設けられており、遊技球が入賞すると、球排出装置が作動して球貯留タンクに貯留された遊技球を賞球としてパチンコ遊技機の前面の上皿に排出するように構成されている。また、球貸し操作が行われた場合にも同様に球排出装置が作動して球貯留タンクの球を上皿に排出する。そして、球排出装置の制御に関し、リスタートスイッチを操作して球排出装置を異常状態から復帰させることが提案されている。具体的には、球詰まり等により排出エラーが発生すると球排出装置の排出動作を停止し、この停止状態において遊技店の店員により球排出装置の不具合が解消され、且つパチンコ遊技機の裏面側に設けられたリスタートスイッチが操作されると、球排出装置の停止状態を解除して正常状態に復帰し、再び球排出装置の排出動作を行えるように制御することが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−313699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献に記載のパチンコ遊技機においては、リスタートスイッチを操作しなければ球排出装置の停止状態を解除することができない。したがって、店員がリスタートスイッチの操作を忘れてしまうと、パチンコ遊技機(詳しくは、パチンコ遊技機の球排出手段)は、球排出装置が異常状態から正常状態へ復帰したことを認識することができず、球排出装置の排出動作を許容できない。このことから、球排出装置の復帰作業を迅速に行って終了させることができない虞がある。
【0004】
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、球排出装置を異常状態から復帰させる作業を迅速に行うことができる遊技機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、遊技球を貯留可能な球貯留タンクと、
該球貯留タンクの一側に連通し、球貯留タンクに貯留された遊技球を排出可能な球排出装置と、
前記球貯留タンクを揺動して、該球貯留タンクをその底部が球排出装置側へ向けて下り傾斜した第1状態と、前記底部が球排出装置とは反対側へ下り傾斜した第2状態とに変換可能とする揺動機構と、
前記球貯留タンクの状態変換を検出する検出手段と、
前記球排出装置の排出動作異常を検出可能であり、球排出装置の遊技球の排出動作を制御可能な排出制御手段と、
を備え、
該排出制御手段は、球排出装置の排出動作異常を検出すると、球排出装置の排出動作を停止し、
該排出動作停止状態において、検出手段が球貯留タンクの第2状態から第1状態への変換を検出すると、排出制御手段が球排出装置の排出動作を許容することを特徴とする遊技機である。
【0006】
請求項2に記載のものは、前記検出手段は、
前記球貯留タンク内に配置され、前記第1状態において球貯留タンク内の遊技球が載ると第1変位状態に変換し、遊技球が外れると第2変位状態に変換する変位片と、
該変位片に設けられ、球貯留タンクに係合可能な変位係合部と、
前記変位片の状態変換を検出可能な変位センサと、
を備え、
前記変位片に遊技球を載せた状態で前記球貯留タンクが第2状態に変換すると、変位係合部が球貯留タンクに係合して変位片を第2変位状態に変換させるとともに、変位片の第1変位状態への変換を規制し、変位センサにより変位片が第2変位状態に変換したことを検出することで、球貯留タンクの第2状態への変換を検出可能とし、
前記球貯留タンクが第1状態に変換して前記変位片に遊技球が載ると、変位片が第1変位状態に変換し、変位センサにより変位片が第1変位状態に変換したことを検出することで、球貯留タンクの第1状態への変換を検出可能としたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機である。
【0007】
請求項3に記載のものは、前記揺動機構は、球貯留タンクを揺動可能な状態で軸着する揺動軸を備え、
前記検出手段は、変位片を回動自在な状態で軸着する回動軸を備え、該回動軸を前記揺動軸の延長線上に配置したことを特徴とする請求項2に記載の遊技機である。
【0008】
請求項4に記載のものは、前記排出制御手段により球排出装置の排出動作が許容されている状態において、前記変位センサにより変位片が第1変位状態から第2変位状態へ変換したことを検出すると、遊技機設置島設備の補給装置へ補給要求信号を送信し、補給装置から球貯留タンクへ遊技球を補給するように構成したことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の遊技機である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、遊技球を貯留可能な球貯留タンクと、該球貯留タンクの一側に連通し、球貯留タンクに貯留された遊技球を排出可能な球排出装置と、球貯留タンクを揺動して、該球貯留タンクをその底部が球排出装置側へ向けて下り傾斜した第1状態と、底部が球排出装置とは反対側へ下り傾斜した第2状態とに変換可能とする揺動機構と、球貯留タンクの状態変換を検出する検出手段と、球排出装置の排出動作異常を検出可能であり、球排出装置の遊技球の排出動作を制御可能な排出制御手段とを備え、該排出制御手段は、球排出装置の排出動作異常を検出すると、球排出装置の排出動作を停止し、該排出動作停止状態において、検出手段が球貯留タンクの第2状態から第1状態への変換を検出すると、排出制御手段が球排出装置の排出動作を許容するので、球貯留タンクの底部を球排出装置側へ向けて下り傾斜する操作と、球排出装置の排出動作を許容する操作とを別個に行う必要がない。したがって、球排出装置の排出動作を許容し忘れることを防ぐことができ、球排出装置を異常状態から復帰させる作業を迅速に行うことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、検出手段は、球貯留タンク内に配置され、第1状態において球貯留タンク内の遊技球が載ると第1変位状態に変換し、遊技球が外れると第2変位状態に変換する変位片と、該変位片に設けられ、球貯留タンクに係合可能な変位係合部と、変位片の状態変換を検出可能な変位センサとを備え、変位片に遊技球を載せた状態で球貯留タンクが第2状態に変換すると、変位係合部が球貯留タンクに係合して変位片を第2変位状態に変換させるとともに、変位片の第1変位状態への変換を規制し、変位センサにより変位片が第2変位状態に変換したことを検出することで、球貯留タンクの第2状態への変換を検出可能とし、球貯留タンクが第1状態に変換して前記変位片に遊技球が載ると、変位片が第1変位状態に変換し、変位センサにより変位片が第1変位状態に変換したことを検出することで、球貯留タンクの第1状態への変換を検出可能としたので、検出手段は、球貯留タンクの状態変換を検出する機能と、球貯留タンク内の遊技球の有無を検出する機能とを備えることができる。したがって、球貯留タンクの構成が複雑になることを抑えることができ、球貯留タンクの製造コストの低減を図ることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、揺動機構は、球貯留タンクを揺動可能な状態で軸着する揺動軸を備え、検出手段は、変位片を回動自在な状態で軸着する回動軸を備え、該回動軸を前記揺動軸の延長線上に配置したので、球貯留タンクの揺動中心と変位片の回動中心とを同一直線上に配置することができ、球貯留タンクの揺動に伴って変位片を円滑に回動させることができる。したがって、球貯留タンクの状態変換を確実に検出することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、排出制御手段により球排出装置の排出動作が許容されている状態において、変位センサにより変位片が第1変位状態から第2変位状態へ変換したことを検出すると、遊技機設置島設備の補給装置へ補給要求信号を送信し、補給装置から球貯留タンクへ遊技球を補給するように構成したので、球排出装置を異常状態から復帰させた後で、球貯留タンクへの遊技球の補給を迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例に挙げて本発明の実施の最良の形態を図面に基づき説明する。図1はパチンコ遊技機の前方斜視図、図2はパチンコ遊技機の後方斜視図である。
パチンコ遊技機1は、外枠(機枠あるいは本体枠)2に、大きな矩形状開口部を有する略額縁状の前面枠(内枠)3を開閉可能に軸着し、この前面枠3に矩形状の遊技盤(図示せず)を収納可能とし、前面枠3の前側には、一側(図1中左側)が軸着された前面カバー部材4を開閉可能に設け、該前面カバー部材4に透視可能なガラス板5を収納し、ガラス板5を通して遊技盤の前面に形成された遊技領域(図示せず)を前方から透視できるように構成している。さらに、前面カバー部材4の下方に上皿ユニット6と下皿ユニット7とを左右に少し位置をずらした状態で上下に設け、上皿ユニット6と下皿ユニット7との間には、遊技状態に応じて音を発生するスピーカー8を配置し、下皿ユニット7の左側に灰皿9を備え、下皿ユニット7の右側に、遊技球を遊技領域へ向けて発射操作するための発射操作ユニット(発射操作ハンドル)10を備えている。
【0014】
また、図2に示すように、前面枠3の裏面側には裏機構ユニット12を取り付けている。裏機構ユニット12は、液晶表示装置などの表示装置13を前方から嵌め込み、この表示装置13の前面側を遊技盤に開設した開口から前方(遊技者側)へ臨ませている。そして、裏機構ユニット12の下方には、遊技を統括的に制御する遊技制御装置14、排出制御装置15(本発明における排出制御手段に相当)、電源装置16、中継基板17等をそれぞれ配設している。さらに、裏機構ユニット12の上方に球貯留ユニット20を配設し、裏機構ユニット12の側部(図2中右側部)には、球貯留ユニット20から排出される遊技球を流下させる球流路(具体的には、遊技球をパチンコ遊技機1の前面の上皿ユニット6へ案内する球流下路21と、球貯留ユニット20内の遊技球を遊技機島設備内の下部の球回収樋(図示せず)へ案内するための球抜流路22)を備えている。そして、球貯留ユニット20の上方には、遊技機設置島設備内に設けられ、遊技機設置島設備からパチンコ遊技機1の球貯留ユニット20へ遊技球を補給するための補給装置23が配置されている。なお、排出制御装置15については、後で詳細に説明する。
【0015】
次に、球貯留ユニット20について説明する。
球貯留ユニット20は、補給装置23から補給された遊技球を貯留するとともに、この貯留した遊技球を排出可能な装置である。この球貯留ユニット20は、図3および図4に示すように、横長な板状の取付ベース25と、遊技球を貯留可能な球貯留タンク26と、該球貯留タンク26を取付ベース25に支持するとともに左右方向へ傾けた状態に揺動(変換)可能な揺動機構27と、球貯留タンク26の状態変換を規制する変換規制機構28と、球貯留タンク26に貯留された遊技球を球流下路21あるいは球抜流路22へ排出可能な球排出装置29とを備えて構成されている。
【0016】
球貯留タンク26は、上面が開口した横長な有底箱体状に形成されたものであり、取付ベース25の裏側の一側寄り(図4中右寄り)に配置されている。また、球貯留タンク26内の底部には、下り傾斜して遊技球を転動可能な遊技球流路30を形成し、球貯留タンク26の長手方向の一側(図4中左側)には、遊技球流路30から流下してきた遊技球を排出する排出口31を開設している。
【0017】
遊技球流路30は、図5および図6に示すように、球貯留タンク26内の取付ベース25側(前側)に配置され、排出口31とは反対側へ向けて下り傾斜した第1流路34と、球貯留タンク26内の取付ベース25とは反対側(後側)、且つ第1流路34よりも低い位置に配置され、排出口31へ向けて下り傾斜した第2流路35と、第1流路34の下端部と第2流路35の上端部とを接続し、第1流路34の下端部から第2流路35の上端部へ向けて下り傾斜した接続流路36とから構成されている。また、第1流路34の途中には、その下流側を上流側よりも1段低く設定する第1段差部37を形成し、該第1段差部37よりも上流側および下流側に、遊技球よりも狭く設定された埃落とし用の溝部38を下り傾斜方向に沿って開設している。さらに、第2流路35の途中には、その下流側を上流側よりも1段低く設定する第2段差部39を形成し、該第2段差部39よりも上流側に、埃落とし用の溝部40を下り傾斜方向に沿って開設している。そして、第2段差部39には、その下流側へ臨ませた段差開口部41を開設し、該段差開口部41から後述する検出機構43の一部を突出できるように構成されている。また、第1流路34、第2流路35および接続流路36と、球貯留タンク26の内部空間を区画形成する起立壁26aとの間には、遊技球よりも狭い開口幅の開口部44を複数開設し、球貯留タンク26の隅部に残り易い埃等の異物を球貯留タンク26の外へ排除し易いように構成されている。
【0018】
揺動機構27は、取付ベース25の左右方向の中央周辺に配置された揺動軸受47と、球貯留タンク26の下部の中央周辺に配置され、取付ベース25へ向けて前後方向に延設された揺動軸48とから構成されている。そして、揺動軸受47に揺動軸48を回動自在な状態で嵌合して球貯留タンク26を揺動可能な状態で軸着し、球貯留タンク26をその底部が球排出装置29へ向けて下り傾斜した第1状態(図11(a)参照)と、底部が球排出装置29とは反対側へ下り傾斜した第2状態(図12参照)とに変換可能な状態で支持している。さらに、揺動軸受47に揺動軸48を前後方向(揺動軸48の延設方向)へ摺動自在な状態で嵌合して、球貯留タンク26を取付ベース25に対して進退可能な状態で支持している。また、揺動軸48の先端部(取付ベース25側の端部)を取付ベース25の前側(前面枠3側)へ突出し、この揺動軸48の先端部に揺動軸受47の孔径よりも大きなリング状のスライド規制部材(ストッパー)50を備え(図4参照)、該スライド規制部材50と揺動軸受47の前側端部(すなわち前面枠3側に位置する端部)との離間距離を遊技球の直径よりも短く設定している。
【0019】
変換規制機構28は、球貯留タンク26の左右両側方に配置され、球貯留タンク26の端部を係止して球貯留タンク26の揺動を規制するための機構である。この変換規制機構28は、取付ベース25の裏側から後方へ向けて突設された円柱状の規制係止部52と、球貯留タンク26の側部から外方へ突設された被係止部53とから構成されている。規制係止部52は、取付ベース25の一端側(図4中右端側)に2つ上下に並べて配置されるとともに、取付ベース25の他側寄り(図4中左側寄り)の上縁部周辺に1つ配置されている。なお、説明の便宜上、取付ベース25の一端側の上側に配置された規制係止部52を第1規制係止部52a、下側に配置された規制係止部52を第2規制係止部52b、取付ベース25の他側寄りに配置された規制係止部52を第3規制係止部52cと称する。
【0020】
また、被係止部53は、取付ベース25へ向けて開放したキャップ状を呈しており、当該被係止部53内に規制係止部52の先端部を着脱可能な状態で嵌合して、球貯留タンク26の端部を取付ベース25に係止できるように構成されている。また、被係止部53の後面部に取付孔54を開設し、該取付孔54に被係止部53と規制係止部52の先端部とを止着可能な止着部材55を取り付け、被係止部53内に嵌合された規制係止部52の先端部に嵌脱自在な状態で止着して、被係止部53と規制係止部52との嵌合状態を維持するように構成されている。
【0021】
そして、球貯留タンク26のうち排出口31とは反対側の端部に設けられた被係止部53(第1被係止部53a)は、球貯留タンク26が第1状態に変換すると、第1規制係止部52aの後方に配置されて、第1規制係止部52aの先端部に係止可能となり、球貯留タンク26が第2状態に変換すると、第2規制係止部52bの後方に配置されて、第2規制係止部52bの先端部に係止可能となる(図11および図12参照)。また、排出口31側の端部に設けられた被係止部53(第2被係止部53b)は、球排出装置29へ向けて突出した状態で備えられており、球貯留タンク26が第1状態に変換すると第3規制係止部52cの後方に配置されて、第1規制係止部52aの先端部に係止可能となり、球貯留タンク26が第2状態に変換すると、第3規制係止部52cよりも上方に配置される(図11および図12参照)。
【0022】
次に、球排出装置29について説明する。
球排出装置29は、球貯留タンク26の他側方(図4中左側方)に配置され、球貯留タンク26の底部の傾斜下端に開口した排出口31に連通可能な装置である。この球排出装置29は、図7に示すように、球貯留タンク26の排出口31に連通して球貯留タンク26内の遊技球を受け入れ可能な球受部60と、該球受部60の底部を下方へ凹ませた状態で形成された略円筒状のスプロケット収容部61と、該スプロケット収容部61の下部に配置された排出ステージ部材62と、スプロケット収容部61内に回動可能な状態で収容されたスプロケット(球保持回転体)63と、該スプロケット63の上部に接続されてスプロケット63を回転駆動する排出駆動モータ64と、スプロケット63を覆う状態で球受部60の上方に配置され、上面に排出駆動モータ64を取り付けるモータベース65とから構成されている。
【0023】
排出ステージ部材62は、図8に示すように、その上面(すなわちスプロケット63の下部に対向する面)の略中央に、スプロケット63の下部から突設された回転軸(図示せず)を支持する軸受孔67を開設している。また、軸受孔67よりも外周側には、球流下路21に連通する排出流下口68と、球抜流路22に連通する球抜口69を開設し、排出流下口68の下方には、該排出流下口68を通過する遊技球を検出可能な排出センサ(通過センサ)70を配置している。
【0024】
スプロケット63は、その外周縁に平面視円弧状の複数の切欠き72を備え、該切欠き72とスプロケット収容部61の内壁部との間に、遊技球を受け入れて保持可能な縦孔状の球保持部73を複数(等間隔で10箇所)形成し、各球保持部73内に遊技球が最大3個ずつ縦に積み重なった状態で保持されるように構成されている。
【0025】
さらに、スプロケット収容部61の内壁面のうち、排出ステージ部材62から遊技球1個分だけ上方に隔てた部位には、円弧状のリブ74をスプロケット収容部61の中央へ向けて突設するとともに、排出流下口68および球抜口69の外側縁部を上方から覆う状態で配置している。
【0026】
このような構成を備えた球排出装置29において、スプロケット63が球保持部73に遊技球を保持した状態で正転方向Lへ回転すると、球保持部73に保持された遊技球が排出流下口68に到達する手前で、3個縦に積み重なった遊技球のうち1段目と2段目以上がリブ74によって隔てられる。この状態で球保持部73内の遊技球が排出流下口68の上方に移動すると、リブ74が遮蔽板となって2段目以上の遊技球が排出流下口68へ流入することを阻止する。一方、スプロケット63が球保持部73に遊技球を保持した状態で逆転方向Rへ回転すると、球保持部73に保持された遊技球が球抜口69に到達する手前で、3個縦に積み重なった遊技球のうち1段目と2段目以上がリブ74によって隔てられる。この状態で球保持部73内の遊技球が球抜口69の上方に移動すると、リブ74が遮蔽板となって2段目以上の遊技球が球抜口69へ流入することを阻止する。このようにして、球排出装置29は、排出ステージ部材62上においてスプロケット63の各球保持部73に保持した遊技球を、排出流下口68または球抜口69から1個ずつ排出することができる。
【0027】
そして、球排出装置29は、モータベース65の球貯留タンク26側(図7中左側)に突起部75を設け、スプロケット収容部61のうち球貯留タンク26とは反対側(図7中右側)には、取付ベース25へ向けて開放したキャップ状の嵌合受部76を設けている。また、突起部75に前後方向へ貫通した貫通孔77を開設し、該貫通孔77に取付ベース25の第3規制係止部52cを着脱可能な状態で挿通するとともに、嵌合受部76内には、取付ベース25の裏側のうち第3規制係止部52cを挟んで球貯留タンク26とは反対側(図4中左側)の下端部に設けられた円柱状の支持部78を着脱可能な状態で嵌合して、取付ベース25に着脱可能な状態で配置されている。さらに、嵌合受部76の後面部には取付孔79が開設され(図7参照)、該取付孔79には嵌合受部76と支持部78の先端部とを止着するための止着部材80が取り付けられている。この止着部材80は、支持部78の先端部に嵌脱自在な状態で止着される。
【0028】
そして、球貯留ユニット20は、球貯留タンク26内の遊技球の有無(球不足状態であるか否か)を検出可能な検出機構43(本発明における検出手段に相当)を備えている。検出機構43は、球貯留タンク26内の遊技球の不足状態を検出するためのものであり、図3および図9に示すように、球貯留タンク26内に配置される変位片84と、取付ベース25に設けられ、変位片84の状態変換を検出可能な変位センサ85とを備えて構成され、球貯留ユニット20の下部、具体的には、球貯留タンク26の下部の略中央部分に配置されている。
【0029】
変位片84は、球貯留タンク26の下部に設けられた軸受86と、揺動軸48の延長線上に配置された回動軸87とを介して回動自在な状態で軸着され、当該変位片84の先端を段差開口部41から第2流路35の下流部へ向けて突出するとともに、上下方向へ回動可能な状態で配置されている。また、変位片84の下部には、第2流路35に係合可能な変位係合部88を第2流路35の下流側に対向する状態で設けてある。さらに、変位片84の基部(軸着部)から変位係合部88(または変位片84の先端)とは反対側には、板状のカウンターウェイト部89を備え、該カウンターウェイト部89を球貯留タンク26の下方に配置している。そして、カウンターウェイト部89の取付ベース25側には、変位センサ85が検出可能な検出突起90を取付ベース25へ向けて突出している。
【0030】
また、変位センサ85は、取付ベース25の略中央部分を球貯留タンク26側へ凹ませた凹部91にセンサ基板92を配置し、該センサ基板92上に球貯留タンク26側へ突出する状態で実装されている。
【0031】
このような構成を備えた検出機構43において、変位片84は、遊技球が載っている状態では、この遊技球の重さにより下方へ回動して第1変位状態(図11(a)中実線および破線で示す状態)に変換する。この第1変位状態では、変位係合部88が第2流路35に係合し、検出突起90がカウンターウェイト部89とともに上方へ移動して変位センサ85に検出される。この変位センサ85が検出突起90を検出することに基づいて、検出機構43は、球貯留タンク26内に遊技球が貯留されている状態を検出することができる。また、遊技球が載っていない状態では、変位片84は、カウンターウェイト部89により上方へ回動して第2変位状態(図11(a)中二点鎖線で示す状態)に変換する。この第2変位状態では、変位係合部88が第2流路35から離れ、検出突起90がカウンターウェイト部89とともに下方へ移動して変位センサ85から外れる。この変位センサ85が検出突起90を検出しないことに基づいて、検出機構43は、球貯留タンク26内に遊技球が不足している状態を検出することができる。
【0032】
次に、排出制御装置15について説明する。
球貯留ユニット20の下方に設けられた排出制御装置15は、排出制御を司るCPU、排出制御のためのプログラム等を記憶しているROM、および遊技球の排出制御時にワークエリアとして利用されるRAM、入力インターフェース、出力インターフェース等(いずれも図示せず)から構成されている。さらに、図10に示すように、遊技盤上の入賞口の入賞センサ94を接続した遊技制御装置14、検出機構43の変位センサ85、球排出装置29の排出センサ70を入力インターフェースを介して接続し、球排出装置29の排出駆動モータ64、遊技機設置島設備の補給装置23、異常報知装置としてのLED・ランプ95、遊技店に設置された管理装置96を出力インターフェースを介して接続している。そして、排出制御装置15は、当該排出制御装置15に対して送受信される信号の処理段階に応じて、排出球数設定手段、タンク内球監視手段、タンク揺動状態検知手段、未排出球計数手段、モータ制御手段、補給要求手段、異常判定手段、異常報知手段として機能する。
【0033】
次に、球貯留ユニット20の作用について、特に、球排出装置29の着脱の際の作用について説明する。なお、球貯留タンク26は、図3および図11(a)に示すように、予め第1状態で状態変換を規制されているものとする。また、球貯留タンク26内には遊技球が貯留されて、検出機構43の変位片84が第1変位状態に変換しているものとする。
【0034】
球貯留ユニット20から球排出装置29を取り外すには、まず変換規制機構28の止着部材55と第1規制係止部52aおよび第3規制係止部52cとの止着状態を解除する。各止着部材55の止着状態を解除したならば、球貯留タンク26をスライドして取付ベース25から遠ざける。すると、第1規制係止部52aと第1被係止部53aとの係止、および第3規制係止部52cと第2被係止部53bとの係止が解除され、変換規制機構28が球貯留タンク26の状態変換(揺動)を許容する許容状態に変換する。このとき、球貯留タンク26は、スライド規制部材50を取付ベース25に係合してスライド距離を遊技球の直径未満の長さに規制される。したがって、排出口31の側縁部と球受部60の側縁部とのズレを、遊技球が通過できない程度の隙間に抑えることができる(図11(b)参照)。これにより、球貯留タンク26と球排出装置29との間の隙間から遊技球がこぼれ落ちる虞をなくすことができる。
【0035】
変換規制機構28を許容状態に変換したならば、球貯留タンク26を排出口31が上方へ移動する方向(図12中実線の矢印Aで示す方向)へ揺動して第2状態に変換する。すると、第1流路34および第2流路35が球排出装置29とは反対側(図12中左側)へ下り傾斜した姿勢になり、排出口31が球受部60との接続高さよりも上方へ移動する。したがって、球貯留タンク26内の遊技球を球排出装置29とは反対側へ寄せることができ、球貯留タンク26内の遊技球が球排出装置29へ転動したり、球排出装置29を押圧したりすることを防ぐことができる。したがって、球排出装置29のメンテナンス時の準備作業を容易に行うことができ、パチンコ遊技機1の復旧作業の効率向上を図ることができる。
【0036】
また、変位片84に遊技球を載せた状態で球貯留タンク26を第2状態に変換すると、検出機構43の変位係合部88が球貯留タンク26の第2流路35により上方へ押圧され、変位片84が第2変位状態に変換するとともに、第1変位状態への変換を規制される。さらに、第1被係止部53aが第2規制係止部52bの後方へ移動し、第2被係止部53bが第3規制係止部52cの上方へ移動する。この状態で球貯留タンク26をスライドして取付ベース25に近づけると、第1被係止部53aと第2規制係止部52bとが係止して、変換規制機構28が球貯留タンク26の状態変換(揺動)を規制する規制状態に変換し、球貯留タンク26を第2状態に維持することができる。そして、止着部材55により第1被係止部53aと第2規制係止部52bとを止着すれば、球貯留タンク26がスライドすることを防ぎ、変換規制機構28の規制状態が解除されることを防ぐことができる。
【0037】
また、検出機構43の変位係合部88が球貯留タンク26の第2流路35に係合して上方へ押圧され、変位片84が第2変位状態に変換するとともに、第1変位状態への変換を規制される。したがって、球貯留タンク26を第2状態に変換した場合には、検出機構43の検出突起90が変位センサ85から外れる。この変位センサ85が検出突起90を検出しないこと、言い換えると、変位センサ85により変位片84が第2変位状態に変換したことを検出することで、検出機構43は、球貯留タンク26が第2状態に変換したことを検出することができる。したがって、検出機構43は、球貯留タンク26の状態変換を検出する機能と、球貯留タンク26内の遊技球の有無を検出する機能とを備えることができる。したがって、球貯留タンク26の構成が複雑になることを抑えることができ、球貯留タンク26の製造コストの低減を図ることができる。
【0038】
さらに、変位片84の回動軸87を揺動機構27の揺動軸48の延長線上に配置しているので、球貯留タンク26の揺動中心と変位片84の回動中心とを同一直線上に配置することができ、球貯留タンク26の揺動に伴って変位片84を円滑に回動(変位状態変換)させることができる。したがって、球貯留タンク26の状態変換を確実に検出することができる。
【0039】
そして、この球貯留タンク26の第2状態の検出結果に基づいて、排出制御装置15は、球排出装置29の排出動作を禁止することができる。したがって、メンテナンス準備中に球排出装置29が排出動作を行ってしまう不都合を抑えることができる。
なお、球排出装置29の排出動作を禁止する制御については、後で詳細に説明する。
【0040】
さらに、球貯留タンク26を第2状態に変換した状態では、第2被係止部(係合部)53bが第3規制係止部52cを挿通した球排出装置29の突起部75の後方から退いて球排出装置29の着脱が許容される。この状態で、図13に示すように、球排出装置29の止着部材80を支持部78から外し、球排出装置29を後方(取付ベース25とは反対方向)へ引き出せば、球排出装置29を取り外すことができる。取り外した球排出装置29は、球貯留タンク26から分離された状態となるため、片手で持てる程度の大きさになり、持ち運びや取り回しが容易である。したがって、故障の原因を調べたり、あるいは内部に詰まった遊技球を落とすために引っくり返したりする作業を容易に行うことができる。このことから、メンテナンスの作業効率の向上を図ることができる。
【0041】
そして、球貯留ユニット20に球排出装置29を取り付けるには、突起部75の貫通孔77に第3規制係止部52cを挿通するとともに嵌合受部76内に支持部78を嵌合し、止着部材80により嵌合受部76と支持部78とを止着して、取付ベース25に球排出装置29を固定する。球排出装置29を固定したならば、変換規制機構28の第1被係止部53aの止着部材55と第2規制係止部52bとの止着状態を解除して、球貯留タンク26をスライドして取付ベース25から遠ざける。すると、第2規制係止部52bと第1被係止部53aとの係止が解除され、変換規制機構28が球貯留タンク26の状態変換(揺動)を許容する許容状態に変換する。
【0042】
変換規制機構28を許容状態に変換したならば、球貯留タンク26を排出口31が下方へ移動する方向(図12中破線の矢印Bで示す方向)へ揺動して第1状態に変換する。すると、第2流路35が球排出装置29へ向けて下り傾斜した姿勢になり、球貯留タンク26の排出口31が球排出装置29の球受部60と略同じ高さに配置される(図11(a)参照)。
【0043】
また、球貯留タンク26を第1状態に変換すると、第1被係止部53aが第1規制係止部52aの後方へ移動し、第2被係止部53bが第3規制係止部52cの後方へ移動する。この状態で、球貯留タンク26をスライドして取付ベース25に近づけると、球貯留タンク26の排出口31の後側の縁部と球排出装置29の球受部60の縁部とが略同一面上に配置されて排出口31が球受部60に接続する。さらに、第1被係止部53aと第1規制係止部52aとが係止するとともに、第2被係止部53bと第3規制係止部52cとが係止して、変換規制機構28が球貯留タンク26の状態変換(揺動)を規制する規制状態に変換し、球貯留タンク26を第1状態に維持することができる。
【0044】
また、検出機構43の変位係合部88が球貯留タンク26の第2流路35から押圧されなくなって球貯留タンク26から離隔可能となる。この状態で、球貯留タンク26の排出口31とは反対側に偏っていた遊技球が排出口31へ向けて転動して変位片84に載るので、この変位片84は、転動してきた遊技球に押し下げられて第1変位状態に変換する。したがって、球貯留タンク26を第2状態から第1状態へ変換して変位片84に遊技球が載ったことにより、検出機構43の検出突起90が変位センサ85により検出される。この変位センサ85が検出突起90を検出したこと、言い換えると、変位センサ85により変位片84が第1変位状態に変換したことを検出することで、検出機構43は、球貯留タンク26が第1状態に変換したことを検出することができる。そして、この球貯留タンク26の第1状態の検出結果に基づいて、排出制御装置15は、球排出装置29の排出動作を許容する。
なお、球排出装置29の排出動作を許容する制御については、後で詳細に説明する。
【0045】
さらに、球貯留タンク26を第1状態に変換した状態では、第2被係止部(係合部)53bが第3規制係止部52cを挿通した球排出装置29の突起部75の後方に係合または近接して球排出装置29の着脱が規制される。したがって、球貯留タンク26が第1状態のときに球排出装置29が誤って取り外されることを防ぐことができ、球貯留タンク26内の遊技球が球タンク内からこぼれて散乱する不都合を防止することができる。
【0046】
次に、上記した構成を有するパチンコ遊技機1の動作制御について、特に、排出制御装置15による遊技球の排出制御について、図10に基づき説明する。
発射装置(図示せず)により発射された遊技球が入賞口へ入賞すると、図10に示すように、入賞センサ94が遊技球の入賞を検出し、この入賞検出信号を遊技制御装置14へ送信する(S1)。そして、遊技制御装置14は、入賞検出信号に基づいて排出制御装置15へ賞球排出信号を送信する(S2)。賞球排出信号を受信した排出制御装置15は、排出球数設定手段として機能し、球貯留ユニット20からの賞球排出数を賞球排出信号に基づいて設定する(RAMの賞球排出数記憶領域に記憶させる)とともに、賞球排出数に応じた排出完了制限時間が経過するまで排出フラグをセットする(S3)。
【0047】
賞球排出数を設定したならば、排出制御装置15は、タンク内球監視手段として機能して検出機構43の変位センサ85からの信号を受信し(S4)、変位片84が第1変位状態に変換しているか否か、すなわち球貯留タンク26内に遊技球が貯留されているか否かを判定する。球貯留タンク26内に遊技球が貯留されていれば、貯留検出フラグをセットし(S5)、排出フラグおよび貯留検出フラグに基づいてモータ制御手段として機能し、排出駆動モータ64へ駆動信号(具体的には、スプロケット63を正転方向Lへ回転する駆動信号)を送信して(S6)、球排出装置29の排出流下口68から遊技球を排出する制御を行う。
【0048】
球排出装置29から遊技球を排出している途中で、球貯留タンク26内の遊技球が不足状態(遊技球が変位片84に載っていない状態)になった場合には、変位片84が第2変位状態に変換して変位センサ85が球不足状態を検出し、この不足検出信号が排出制御装置15へ送信される(S7)。すると、排出制御装置15は、球不足検出信号に基づいてタンク内球監視手段として機能し、貯留検出フラグをクリアする(S8)とともに補給要求フラグをセットする(S9)。そして、貯留検出フラグをクリアしたならば、モータ制御手段として機能して排出駆動モータ64への駆動信号の送信を停止し(S10)、球排出装置29の排出動作を中断する制御を行う。
【0049】
さらに、補給要求フラグに基づいて補給要求手段として機能し、補給装置23へ補給要求信号を送信する(S11)。この補給要求信号に基づいて補給装置23が球貯留タンク26へ遊技球を補給すると、球貯留タンク26内に遊技球が貯留されて変位片84に載り、変位片84が第1変位状態に変換する。すると、変位センサ85が変位片84の第1変位状態への変換、すなわち球貯留タンク26に遊技球が貯留された状態を検出し、この貯留検出信号をタンク内球監視手段として機能する排出制御装置15へ送信する(S12)。球貯留検出信号を受信した排出制御装置15は、所定時間(例えば、球貯留タンク26内に遊技球が十分に補給されるまでの時間)が経過した後で補給要求フラグをクリアし(S13)、補給装置23への補給要求信号の送信を停止する(S14)。さらに、貯留検出フラグをセットし(S15)、モータ制御手段として機能して球排出装置29の排出動作の中断を解除する(S16)。
【0050】
また、モータ制御手段として機能する排出制御装置15は、排出完了制限時間が経過して排出フラグがクリアされると、モータ停止フラグをセットして排出駆動モータ64への駆動信号の送信を停止する(S17)。このモータ停止フラグに基づいて未排出球計数手段として機能し(S18)、RAMの賞球排出数記憶領域に記憶された賞球排出数(S19)と、球排出装置29の排出センサ70により検出された遊技球の通過信号を受信して(S20)得られる既排出球数との差から未排出球数を算出する。そして、排出球数設定手段として機能してRAMの賞球排出数記憶領域を未排出球数に更新する(S21)。RAMの賞球排出数記憶領域が未排出球数に更新されると、異常判定手段として機能し(S22)、未排出球数が0か否かを判定し、0でなければ球排出装置29に異常が発生したとみなして排出異常フラグを設定する。0であればモータ停止フラグをクリアする。(S23)
【0051】
そして、排出制御装置15は、排出異常フラグに基づいて異常報知手段として機能し(S24)、LED・ランプ95に異常報知を示す点灯を行う信号を送信し(S25)、遊技店の店員に球排出装置29の復旧作業を促す報知を行う。さらに管理装置96に対して異常情報を送信する(S26)。
【0052】
また、排出異常フラグに基づいて(S27)補給要求手段として機能し、補給装置23へ補給禁止信号を送信する(S28)。そして、排出異常フラグに基づいて(S29)タンク内球監視手段として機能して貯留検出フラグをクリアし(S30)、変位センサ85から入力される信号を球貯留タンク26の状態を検出する信号として認識タンク揺動状態検出手段に設定を切り換える。
【0053】
この状態で、店員が球貯留ユニット20の変換規制機構28を解除し、球貯留タンク26を第2状態へ変換する。すると、変位片84が第2変位状態に変換して、変位センサ85により球貯留タンク26が第2状態であることを検知し、この検知信号を排出制御装置15へ送信する(S31)。
【0054】
そして、球貯留タンク26が第2状態を維持し、この状態で球排出装置29を取り出して、球排出装置29の故障を解消する。球排出装置29の故障を解消したならば、球排出装置29を取付ベース25に取り付けて、球貯留タンク26を第2状態から第1状態へ変換する。すると、変位片84が第1変位状態に変換して、変位センサ85により球貯留タンク26が第1状態であることを検知し、この検知信号を排出制御装置15へ送信する(S32)。検知信号を受けた排出制御装置15は、タンク揺動状態検出手段として機能し、球貯留タンク26が第2状態から第1状態へ変換したことを検出し、タンク揺動状態検出手段としての機能により球排出装置29の故障解消作業が終了したと認識し、タンク内球監視手段としての設定に切り換える。さらに、球貯留タンク26が第2状態から第1状態へ変換したならば、異常判定手段として機能して(S33)モータ停止フラグをクリアすることにより球排出装置29の排出動作を許容する(S34)とともに、排出異常フラグをクリアする。また、排出異常フラグのクリアに基づいて異常報知手段として機能し(S35)、LED・ランプ95に消灯を行う信号を送信し(S36)、また、管理装置96に対して異常解除情報を送信する(S37)。さらに、排出異常フラグのクリアに基づいて(S38)補給要求手段として機能し、補給装置23への補給禁止信号を解除する(S39)。したがって、排出動作停止状態において、検出機構43が球貯留タンク26の第2状態から第1状態への変換を検出すると、排出制御装置15が球排出装置29の排出動作を許容する。このことから、球貯留タンク26の底部を球排出装置29側へ向けて下り傾斜する操作と、球排出装置29の排出動作を許容する操作とを別個に行う必要がない。これにより、球排出装置29の排出動作を許容し忘れることを防ぐことができ、球排出装置29を異常状態から復帰させる作業を迅速に行うことができる。
また、球貯留タンク26の第2状態から第1状態への変換、言い換えると排出異常フラグのクリアに基づいて、補給装置23への補給信号を送信し、この補給要求信号に基づいて補給装置23が球貯留タンク26へ遊技球を補給するように設定(構成)すれば、球排出装置を異常状態から復帰させた後で、球貯留タンクへの遊技球の補給を迅速に行うことができて好適である。
【0055】
そして、変位センサ85が変位片84の第1変位状態への変換、すなわち球貯留タンク26に遊技球が貯留されている状態を検出するとともに、この貯留検出信号をタンク内球監視手段として機能する排出制御装置15へ送信する(S40)。球貯留検出信号を受信した排出制御装置15は、貯留検出フラグを再セットする(S41)。さらに、排出球数設定手段として機能し、賞球排出数記憶領域に記憶された未排出球数に基づいて未排出球数に応じた排出完了制限時間が経過するまで排出フラグを再セットする(S42)。この排出フラグとステップS41にてセットした貯留検出フラグに基づいて排出駆動モータ64へ駆動信号を送信し(S43)、球排出装置29の排出流下口68から賞球として未排出の遊技球を排出する制御を再開する。
【0056】
なお、上記実施形態では、排出制御装置15から補給装置23へ直接補給要求信号を送信したり、補給要求信号の送信を停止したりするように構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、排出制御装置15からの補給要求信号を一旦管理装置96へ送信し、管理装置96の管理の下で、補給要求信号に基づいて補給装置23を作動させるように構成してもよい。
【0057】
さらに、揺動軸48を前後方向へ摺動可能な状態で揺動軸受47に嵌合して、揺動機構27にスライド機構としての機能を備えたが、本発明はこれに限定されず、揺動機構27とは別個にスライド機構を備えてもよい。例えば、取付ベース25に前後方向へスライド可能なスライドベースを設け、該スライドベースに揺動機構27を介して球貯留タンク26を支持してもよい。
【0058】
また、検出機構43により球貯留タンク26の状態変換を検出できるように構成したが、本発明はこれに限定されず、検出機構43とは別個にタンク状態検出機構を備えてもよい。例えば、球貯留タンク26の底部または側部から延設された検出片と、取付ベース25に配置されて球貯留タンク26の検出片を検出可能なタンク状態検出センサとを備えてタンク状態検出機構を構成してもよい。そして、球貯留タンク26が第1状態に変換すると、検出片がタンク状態検出センサに検出されて球貯留タンク26の第1状態への変換を検出可能とし、球貯留タンク26が第2状態に変換すると、検出片がタンク状態検出センサから遠ざかって検出片の検出状態が解除されて、球貯留タンク26の第2状態への変換を検出できるように構成してもよい。さらに、球貯留タンク26が第1状態である場合に、変位片84に遊技球が載っていない状態では、変位片84がカウンターウェイト部89の重みにより第2変位状態を維持するように構成したが、バネなどの付勢部材の付勢力により第2変位状態を維持するようにしてもよい。
【0059】
また、球貯留ユニット20に取り付けられる球排出装置29は、切欠き72に遊技球を保持した状態でスプロケット63を回転して、遊技球を排出流下口68あるいは球抜口69へ導出する構成を備えたが、本発明はこれに限定されず、球貯留タンク26内の遊技球を球流路へ排出可能なものであればどのようなタイプの球排出装置であってもよい。
【0060】
上記した実施形態は、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、遊技球を貯留する球貯留タンクと、該球貯留タンクに貯留された遊技球を排出するための球排出装置とを備えた遊技機であればどのような遊技機でもよい。例えば、内部に封入した遊技球を循環させる封入球式パチンコ機、アレンジボール式遊技機、雀球式遊技機等の遊技機であってもよい。
【0061】
なお、前記した実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、上記した説明に限らず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】パチンコ遊技機の前方斜視図である。
【図2】パチンコ遊技機の後方斜視図である。
【図3】球貯留ユニットの後方斜視図である。
【図4】球貯留ユニットの分解斜視図である。
【図5】球貯留タンクの後方斜視図である。
【図6】球貯留タンクの前方斜視図である。
【図7】球排出装置の分解斜視図である。
【図8】スプロケット収容部からスプロケットを取り出した状態を示す斜視図である。
【図9】球貯留タンクを下方から見た斜視図である。
【図10】排出制御装置の機能ブロック図である。
【図11】(a)は球貯留タンクを第1状態に変換した球貯留ユニットの背面図、(b)は変換規制機構を許容状態に変換した際の排出口と球受部との位置関係を示す概略図である。
【図12】球貯留タンクを第2状態に変換した球貯留ユニットの背面図である。
【図13】球貯留タンクを第2状態に変換し、球排出装置を取り外した状態の球貯留ユニットの後方斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1 パチンコ遊技機
3 前面枠
20 球貯留ユニット
25 取付ベース
26 球貯留タンク
27 揺動機構
28 変換規制機構
29 球排出装置
30 遊技球流路
31 排出口
34 第1流路
35 第2流路
36 接続流路
37 第1段差部
39 第2段差部
41 段差開口部
43 検出機構
47 揺動軸受
48 揺動軸
50 スライド規制部材
52 規制係止部
52a 第1規制係止部
52b 第2規制係止部
52c 第3規制係止部
53 被係止部
53a 第1被係止部
53b 第2被係止部
60 球受部
61 スプロケット収容部
62 排出ステージ部材
63 スプロケット
64 排出駆動モータ
65 モータベース
75 突起部
76 嵌合受部
77 貫通孔
78 支持部
84 変位片
85 変位センサ
88 変位係合部
89 カウンターウェイト部
90 検出突起
94 入賞センサ
96 管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を貯留可能な球貯留タンクと、
該球貯留タンクの一側に連通し、球貯留タンクに貯留された遊技球を排出可能な球排出装置と、
前記球貯留タンクを揺動して、該球貯留タンクをその底部が球排出装置側へ向けて下り傾斜した第1状態と、前記底部が球排出装置とは反対側へ下り傾斜した第2状態とに変換可能とする揺動機構と、
前記球貯留タンクの状態変換を検出する検出手段と、
前記球排出装置の排出動作異常を検出可能であり、球排出装置の遊技球の排出動作を制御可能な排出制御手段と、
を備え、
該排出制御手段は、球排出装置の排出動作異常を検出すると、球排出装置の排出動作を停止し、
該排出動作停止状態において、検出手段が球貯留タンクの第2状態から第1状態への変換を検出すると、排出制御手段が球排出装置の排出動作を許容することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記検出手段は、
前記球貯留タンク内に配置され、前記第1状態において球貯留タンク内の遊技球が載ると第1変位状態に変換し、遊技球が外れると第2変位状態に変換する変位片と、
該変位片に設けられ、球貯留タンクに係合可能な変位係合部と、
前記変位片の状態変換を検出可能な変位センサと、
を備え、
前記変位片に遊技球を載せた状態で前記球貯留タンクが第2状態に変換すると、変位係合部が球貯留タンクに係合して変位片を第2変位状態に変換させるとともに、変位片の第1変位状態への変換を規制し、変位センサにより変位片が第2変位状態に変換したことを検出することで、球貯留タンクの第2状態への変換を検出可能とし、
前記球貯留タンクが第1状態に変換して前記変位片に遊技球が載ると、変位片が第1変位状態に変換し、変位センサにより変位片が第1変位状態に変換したことを検出することで、球貯留タンクの第1状態への変換を検出可能としたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記揺動機構は、球貯留タンクを揺動可能な状態で軸着する揺動軸を備え、
前記検出手段は、変位片を回動自在な状態で軸着する回動軸を備え、該回動軸を前記揺動軸の延長線上に配置したことを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記排出制御手段により球排出装置の排出動作が許容されている状態において、前記変位センサにより変位片が第1変位状態から第2変位状態へ変換したことを検出すると、遊技機設置島設備の補給装置へ補給要求信号を送信し、補給装置から球貯留タンクへ遊技球を補給するように構成したことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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