説明

遊技機

【課題】遊技者の賞球払い出し動作に伴う作業の煩わしさを回避して遊技動作の継続性を満たしつつ、遊技者が任意のタイミングで所望の数だけ賞球の払い出しが行なえる遊技機を提供する。
【解決手段】遊技開始後球切れスイッチ25が球切れを検出すると、払出制御基板31は賞球メモリに払い出すべき賞球数が存在する限り、所定条件下で賞球払出装置26による入賞数に応じた賞球の払出し動作に替えて賞球メモリに記憶した払い出し可能な最大賞球数N以下の賞球数の払い出しを行なわせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発射装置から遊技盤上に打ち出された遊技球が当該遊技盤上のいずれかの入賞口に入賞することにより、その入賞に応じた所定数の賞球を払い出す遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
ぱちんこ遊技機は、遊技盤上に始動口、普通入賞口、大入賞口などの入賞領域が設けられている。発射装置からレールを通じて遊技盤に向けて打ち込まれた遊技球が入賞領域のいずれかの入賞口へ入賞すると、予め設定された所定数の賞球が賞球払出装置により払い出される。
【0003】
遊技盤の裏面側には、遊技機全体の動作を制御するCPU、遊技制御プログラムを格納したROM、入力信号の一時記憶やCPUのワークエリアとして使用されるRAMなどを備えた主制御基板、賞球払出装置に賞球の払い出しを行なわせる払出制御基板や発射装置の動作を制御する発射制御基板などが設けられている。賞球払出装置の球通路には、賞球の払い出しが正常に行なわれているかを検出する賞球通過センサが設けられる。賞球払出装置の下流側には受け皿が設けられており、払い出された賞球は受け皿に遊技球として一時的に貯留されて発射装置へ導かれる。
【0004】
例えば、上下に受け皿が設けられている機種の場合、賞球払出装置より払い出された賞球は上受け皿に一時的に貯留されて発射装置へ導かれる。上受け皿に貯留量を超えた賞球が払い出された場合には、当該上受け皿と連通する下受け皿へ溢れ球が導かれるようになっている。上記上受け皿から下受け皿へ連通する球通路に満タンスイッチが設けられ、遊技球の貯留量が満杯になったことを検出する。上記満タンスイッチがONになった場合或いは賞球通過センサが設定時間以上遊技球を検出している場合には異常と判定しており、賞球払出装置の払い出しを停止するようになっている(特許文献1)。
或いは遊技者による遊技継続性を優先するため、上受け皿及び下受け皿に各々満杯検出スイッチを設けておき、双方の満杯スイッチが満杯を検出した場合のみ、賞球の払い出しを停止する遊技機も提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2006−130335号公報
【特許文献2】特開2003−126470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上下に受け皿が設けられた遊技機の場合、賞球払出装置から払い出された賞球は上受け皿に貯留され、遊技球として発射装置に供給される。上受け皿には通常100個から200個程度の遊技球しか貯留できないにもかかわらず、大当たりが発生すると2000個程度の遊技球が賞球として賞球払出装置から連続して払い出される。一般に遊技球の発射速度より賞球の払い出し速度のほうが速いため、上受け皿は即座に満杯状態となり溢れ球が球通路を通じて下受け皿へ導かれるがすべての賞球を貯留することはできない。この場合、満タンスイッチ(満杯スイッチ)がONになり或いは賞球通過センサが設定時間以上遊技球を検出することになるため、賞球払出装置の払い出しは一時的に停止される。払い出しを停止している間の入賞数は払出制御基板の賞球メモリに蓄積され、該賞球メモリに記憶された賞球数に相当する遊技球がのちに賞球払出装置から払い出されるようになっている。
【0006】
遊技者が遊技を中断することなく発射ハンドルを回し続けると、賞球払出装置は停止したままであるため、上受け皿に貯留された遊技球がなくなるまでしか遊技動作を続行できない。遊技者がさらに遊技を続行するためには、下受け皿若しくはすでにドル箱に貯留された遊技球を上受け皿に移し替えて遊技を続けるか、下受け皿の遊技球をドル箱に落下させることにより満タンスイッチをOFFさせ、賞球通過センサを遊技球が通過するようにして、賞球払出装置の払い出し動作を可能にしなければならない。
このような作業を遊技中に頻繁に遊技者に強いることは煩わしく遊技に集中できない。また、下受け皿からドル箱へ遊技球を落下させて賞球払出装置の払い出しを復帰させて賞球メモリに蓄積された個数の賞球をドル箱へ落下させながら遊技を続行するのは騒々しくなる。また、遊技者が遊技球を手掴みして下受け皿やドル箱から上受け皿へ補充するとすれば、汗や皮脂により遊技球に埃が付着し易く、発射装置や賞球払出装置などの動作不良の要因となる。
【0007】
一体皿が設けられた遊技機の場合、遊技機に大当たりが発生すると受け皿がすぐに一杯になってしまい、賞球払出装置の下流側(受け皿の上流側)にも受けられる満タンスイッチがONになり賞球払出装置の払い出しが停止する。そして、遊技者が遊技を続行すると、それ以降は賞球として払い出されるべき遊技球のほとんどが払出制御基板の賞球メモリに格納されてしまう。また、受け皿内の遊技球の減少により満タンスイッチがOFFになると再度賞球が払い出されるが、遊技球の発射速度より賞球の払い出し速度のほうが速いため再度満タンスイッチがONになり賞球払出装置の払い出しが停止する。このように、遊技者が遊技を継続する限り賞球払出動作が断続的に行なわれる。よって、払出モータの動作時間が長くなり、消費電力が増えモータが加熱しやすくなり、遊技機への負担が増大する。
また、遊技をやめて入賞した賞球の払い出しを行なうと、賞球メモリに記憶されたすべての賞球数に相当する遊技球が一気に払い出されるため、受け皿より落下させる遊技球を受けるドル箱の準備に追われることになる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、遊技者の賞球払い出し動作に伴う作業の煩わしさを回避して遊技動作の継続性を満たしつつ、遊技者が任意のタイミングで所望の数だけ賞球の払い出しが行なえる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
発射装置から遊技盤上に打ち出された遊技球が当該遊技盤上のいずれかの入賞口に入賞することにより、その入賞に応じた所定数の賞球を払い出す遊技機であって、遊技球を発射装置へ供給し賞球として払い出された遊技球を一時的に貯留する受け皿と、受け皿の遊技球供給方向下流側に設けられ受け皿の球切れを検出する球切れ検出手段と、入賞に応じて所定数の賞球を受け皿へ払い出しする賞球払出手段と、賞球払出手段と受け皿を連通する球通路に設けられ、受け皿が遊技球で満たされたことを検出する満タン検出手段と、遊技球の入賞によって払い出すべき賞球数を演算して賞球メモリに記憶し、演算結果に応じて賞球払出手段による賞球の払い出しを制御する払出制御手段を備え、遊技開始後球切れ検出手段が球切れを検出すると、払出制御手段は賞球メモリに払い出すべき賞球数が存在する限り、所定条件下で賞球払出手段に入賞数に応じた賞球の払出し動作に替えて賞球メモリに記憶した払い出し可能な最大賞球数N以下の賞球数の払い出しを行なわせることを特徴とする。
【0010】
また、満タン検出手段が満タンを検出し賞球払出手段による賞球払出しが規制制御されてから、払出制御手段は、賞球メモリに払い出すべき賞球数が存在し、球切れ検出手段が球切れを検出しかつ満タン検出手段が満タンを検出しない場合に限って賞球払出手段に最大賞球数N以下の賞球数の払い出しを行なわせることを特徴とする。
【0011】
また、払出制御手段は、球切れ検出手段が球切れを検出しかつ賞球メモリが零になったとき、賞球払出し規制制御を解除して賞球払出手段に入賞数に応じた通常の賞球の払出し動作を行なわせることを特徴とする。
【0012】
また、払出制御手段は、賞球メモリに記憶された全賞球数が最大賞球数Nに満たなければ賞球払出手段へ全数払い出し指令を行い、賞球数が最大賞球数N以上であれば賞球払出手段へ最大賞球数Nの払い出し指令を行なうことを特徴とする。
【0013】
また、賞球メモリに賞球数が存在する限り払い出し可能な最大賞球数Nを遊技者が所定範囲内で入力設定可能な払出数設定スイッチを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、受け皿の底部に設けられた球抜き孔を閉鎖する球抜き部と、該球抜き部を開閉するアクチュエータと、該アクチュエータを作動させる球抜きスイッチを具備し、当該球抜きスイッチが押されている間だけ払出制御手段はアクチュエータを作動させて球抜き孔を開放し、払出制御手段は球切れスイッチの検出信号を無視しかつ賞球メモリに記憶されている最大賞球数Nに優先させて入賞数に応じた賞球の払い出しを賞球払出手段に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上述した遊技機を用いれば、遊技開始後(賞球メモリ数が零かつ球切れ検出手段が遊技球を検出した後)満タン検出手段が満タンを検出し賞球払出手段による賞球払出しが規制されると、払出制御手段は所定条件下で賞球メモリに記憶した払い出し可能な最大賞球数N個以下の賞球数の払い出しを賞球払出手段に行なわせる。よって、賞球の払出しが規制されたまま、遊技者が遊技を続行して受け皿に遊技球が無くなりそうになっても、所定条件下で賞球払出手段にN個以下の賞球数の払い出しが行なわれるため、遊技者は常に賞球の払い出しを迫られること無く遊技に集中することができる。
この所定条件とは、賞球メモリに払い出すべき賞球数が存在し、球切れ検出手段が球切れを検出しかつ満タン検出手段が満タンを検出しない場合、すなわち受け皿に遊技球が無くなりそうになる場合が該当する。
また、遊技開始後(賞球メモリ数が零かつ球切れ検出手段が遊技球を検出した後)満タン検出手段が満タンを検出し賞球払出手段による賞球払出しが規制されてから球切れ検出手段が球切れを検出したとき、払出制御手段は、賞球払出し規制制御を解除して賞球払出手段に入賞数に応じた通常の賞球の払出し動作を行なわせるので、例えば遊技者が遊技を止めたり中断したりする場合に遊技機のリセットが行なえる。
【0016】
また、払出制御手段は、賞球メモリに記憶された賞球数がN個に満たなければ賞球払出手段へ全数払い出し指令を行い、賞球数がN個以上であれば賞球払出手段へN個の払い出し指令を行なうので、遊技者は適正な範囲で賞球の一部を払いだして、遊技を継続することができる。
【0017】
また、賞球メモリに賞球数が存在する限り払い出し可能な賞球数Nを遊技者が所定範囲内で入力設定可能な払出数設定スイッチを備えていると、遊技者が所定範囲内で遊技継続に必要な払い出し数を決めて遊技を楽しむことができる。
【0018】
また、球抜きスイッチが押されている間だけ払出制御手段はアクチュエータを作動させて球抜き孔を開放し、球切れスイッチの検出信号を無視しかつ賞球メモリに記憶されている最大賞球数Nに優先させて入賞数に応じた賞球の払い出しを賞球払出手段に実行させるので、遊技継続中であってもすべての賞球の払い出し作業に追われること無く、遊技者が望む数だけ賞球を払い出して遊技を継続することができる。
即ち、遊技者の賞球払出し動作に伴う作業の煩わしさを回避して遊技動作の継続性を満たしつつ、遊技者が任意のタイミングで所望の数だけで払い出しが行なえる遊技機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
図2において本実施形態に係る遊技機は、遊技盤1と、遊技盤1上に遊技球を打ち出すためのハンドル2と、遊技者が投入する遊技球及び払い出しされた賞球等を受け得る上受け皿3及び下受け皿4が設けられている。
【0020】
また、遊技盤1の左端部には後述する発射装置より打ちこまれる遊技球を案内するレール5が設けられている。また、遊技盤1の中央部には図柄表示装置6が設けられている。図柄表示装置6は、遊技球が電動チューリップ7に入賞すると図示しない乱数発生装置によって図柄の抽選を始動するようになっている。また、図柄表示装置6の回りには、通過ゲート8、図示しないチャッカー(普通入賞口)、アタッカー(大入賞口)9、風車10などが釘と共に設けられている。遊技盤1の下部には、入賞しなかった遊技球を回収して排出するアウトロ11が設けられている。
また、前面枠12には、入賞に応じた賞球の払出し数を表示する表示装置13、前面枠12を内枠(図示せず)より開閉するための鍵穴14などが設けられている。
【0021】
遊技者がハンドル2を把持しながら所定方向へ回転操作することにより、内部の発射装置を駆動させ、連続的に遊技盤1上へ遊技球を打ち出す。ハンドル2の操作にて遊技盤1上へ打ち出された遊技球が、当該遊技盤1上に形成された入賞口(チャッカー、アタッカー9等)に入賞すると、その入賞に対応して設定された個数の賞球が後述する賞球払出装置から上受け皿3へ払い出されるようになっている。
【0022】
次に、図1を参照して遊技機の前縁部を構成する上受け皿付近の具体的な構成例について説明する。
上受け皿3は遊技球を発射装置16へ供給し賞球として払い出された遊技球を一時的に貯留する。上受け皿3は球供給路17を通じて発射装置16と連通している。また、球供給路17の一部に下受け皿4へ連通する連通路18が枝分かれして形成されている。球供給路17には、第1の球抜き部19が開閉可能に設けられている。また、上受け皿3の底部には球抜き孔20が形成されており、当該球抜き孔20には第2の球抜き部21が開閉可能に設けられている。尚、下受け皿4にはボタン操作で底部の球抜き孔が開閉できる公知の球抜き機構が設けられている。
【0023】
第1の球抜き部19は、上受け皿3の前縁部に設けられた球抜きレバー22に機械的にリンクしており、当該球抜きレバー22を操作することにより発射装置16側への遊技球の供給を遮断して連通路18を介して下受け皿4へ連通するようになっている。また、第2の球抜き部21は、開閉用ソレノイド23に連結している。上受け皿3の前縁部に設けられた球抜きスイッチ24を押し続けている間だけ開閉用ソレノイド23が作動して球抜き孔20を開放して下受け皿4へ遊技球を導くようになっている。尚、一体皿の場合には球抜き孔20を開放して遊技球を図示しないドル箱に回収することになる。
【0024】
上受け皿3の遊技球供給方向下流側には球切れスイッチ25(球切れ検出手段)が設けられている。球切れスイッチ25は、例えば非接触型の光電式センサが用いられ、上受け皿3に一時的に貯留する遊技球の球切れを検出する。球切れスイッチ25が球切れを検出しかつ賞球メモリが零になったとき、後述するように払出制御手段は、賞球払出動作をリセットするようになっている。また、賞球メモリが零のまま球切れスイッチ25が遊技球を検出した場合が遊技開始となる。
【0025】
上受け皿3の賞球払出方向上流側には賞球払出装置26(賞球払出手段)が設けられている。賞球払出装置26には払出モータ27が設けられており、該払出モータ27により回転駆動される回転体(図示せず)により入賞に応じた所定数の賞球を上受け皿3へ向かって払い出す。賞球払出装置26と上受け皿3を連通する球通路28には満タンスイッチ29(満タン検出手段)が設けられている。満タンスイッチ29は、上受け皿3に遊技球が貯留されて賞球払出装置26側へ溢れてきたこと、すなわち上受け皿3が遊技球で満杯になったことを検出する。満タンスイッチ29が上受け皿3の満タンを検出すると賞球払出装置26による賞球の払い出し動作を停止するようになっている。
【0026】
尚、オプションではあるが、上受け皿3の前縁部には払出数設定スイッチ30が設けられていても良い。払出数設定スイッチ30は、賞球払出装置26による賞球払出しが規制されたときに払い出し可能な最大賞球数Nを遊技者が所定範囲内(Nは球切れスイッチ25が賞球有りを検出できる数より多くかつ満タンスイッチ29が満タンを検出する数に満たない範囲内;例えば25≦N≦125;Nは25の倍数)で入力設定するものである。
また、図示しないが、前面枠13には、プリペイドカードや現金を使って遊技する際に遊技球を貸し出すよう指令する貸球ボタンや現金、プリペイドカード返却を促す返却ボタンなどが設けられている。
【0027】
次に、遊技機の制御系について、図3のブロック図を参照して説明する。
払出制御基板31(払出制御手段)は、遊技球の入賞によって払い出すべき賞球数を演算して賞球メモリに記憶し、満タンスイッチ29が満タンを検出すると賞球払出装置26による賞球の払い出しを規制するよう制御する。払出制御基板31は、予め設定される払い出し可能な最大賞球数Nを賞球メモリに記憶している。満タンスイッチ29がONして賞球払出装置26による賞球の払い出しが規制されると、後述する所定条件下でN個以下の賞球数の払い出しを行なわせる。
【0028】
払出制御基板31には、球切れスイッチ25(SW1)、満タンスイッチ29(SW2)、球抜きスイッチ24(SW3)、払出数設定スイッチ30から検出信号や入力信号が入力される。払出制御基板31からは、払出モータ27、賞球数を表示する表示装置13(表示手段)、上受け皿3の球切れや満タン状態をランプ等の点滅で報知する報知装置32(報知手段)へ出力信号が出力される。尚、遊技開始後、満タンスイッチ29が満タンを検出し賞球払出装置26による賞球払出しが規制されてから球切れスイッチ25が球切れを検出したとき、払出制御基板31は、賞球払出し規制制御を解除して賞球払出装置26に入賞数に応じた通常の賞球の払出し動作を行なわせる。これにより、例えば遊技者が遊技を止めたり中断したりしても遊技機のリセットが行なえる。
【0029】
また、発射制御基板33は、払出制御基板31を経由して主制御基板34から制御信号が入力される。発射制御基板33からは、発射装置16や開閉用ソレノイド23へ動作信号を出力する。発射制御基板33は、発射装置16による遊技球の発射速度を例えば1分間に100球程度になるように制御する。
【0030】
また、払出制御基板31は、主制御基板34から動作を監視されている。主制御基板34は、遊技機全体の動作を制御するCPU、遊技制御プログラムを格納したROM、入力信号の一時記憶やCPUのワークエリアとして使用されるRAMなどを備えている。主制御基板34は遊技制御プログラムにしたがって払出制御基板31や発射制御基板33へ指令を発して賞球払出装置26に賞球の払い出しを行なわせ、発射装置16の発射動作を制御する。
【0031】
ここで、遊技者が遊技継続を行なう際の払出制御基板31による通常の払出制御動作について図4のフローチャートを参照して説明する。
先ず、前提として賞球メモリ数が零でかつ球切れスイッチ25(SW1)が遊技球を検出したとき(上受け皿3に必要な遊技球が存在するとき)に遊技が開始される。遊技者はハンドル1を回転操作して遊技を開始すると、発射装置16が作動して遊技球がレール5を通じて遊技盤1へ打ち込まれる(図1、図2参照)。
【0032】
ステップS1において、払出制御基板31は遊技球の入賞をまって払い出すべき賞球数を賞球メモリ上で演算し(ステップS2)、該賞球メモリのメモリ数を表示装置13へ表示する(ステップS3)。ステップS1において、入賞がない場合には、賞球メモリのメモリ数零を表示装置13へ表示する(ステップS3)。
【0033】
次に、ステップS4に進行して、賞球払出装置26から入賞に応じた賞球数の賞球払い出し動作が行なわれる。次いで、払出制御基板31は全賞球数から残りの払い出すべき賞球数を賞球メモリ上で演算し(ステップS5)、該賞球メモリのメモリ数を表示装置13へ表示する(ステップS6)。
【0034】
満タンスイッチ29(SW2)は上受け皿3に一時的に貯留される遊技球が溢れたか否かを常時監視している。ステップS7において、満タンスイッチ29が満タンを検出すると、賞球払出装置26による賞球の払い出しを規制制御する規制制御ルーチンへ移行する(図5参照)。また、満タンスイッチ29が満タンを検出しない場合にはステップS1に戻って通常の払出動作が続行される。
【0035】
ここで、図5を参照して、満タンスイッチ29(SW2)が満タンを検出した場合の払出規制制御ルーチンについて説明する。ステップS11において、払出制御基板31は遊技球の入賞をまって、払い出すべき賞球数を賞球メモリ上で演算し(ステップS12)、該賞球メモリのメモリ数を表示装置13へ表示する(ステップS13)。ステップS11において、入賞がない場合には、賞球メモリのメモリ数零を表示装置13へ表示する(ステップS13)。
【0036】
次に、ステップS14において、球切れスイッチ25(SW1)が上受け皿3上に遊技球(賞球を含む)を検出しているか否か判定する。球切れスイッチ25(SW1)が遊技球を検出している場合には、上受け皿3に遊技に必要な遊技球があるためステップS11へ戻って遊技を続行できる。球切れスイッチ25(SW1)が遊技球を検出していない場合にはステップS15へ進行する。
【0037】
ステップS15において、払出制御基板31は、賞球メモリを読みだし賞球数が無い場合には賞球の払い出しは行なえないため、遊技機がリセットされ、図4の通常制御ルーチンによる払出制御が行なわれる。賞球メモリに払い出すべき賞球数が存在する場合にはステップS16へ進行する。
【0038】
ステップS16において、払出制御基板31は賞球メモリに記憶されている全賞球数が、予め記憶している最大賞球数N個以上か否かを判定する。全賞球数がN個以上であれば、ステップS17に進行して賞球払出装置26を起動させて、賞球をN個払い出して遊技を続行する。賞球が払い出されると、ステップS18に進行して賞球メモリ数からN個を減算する演算を行い(ステップS18)、該賞球メモリに記憶したメモリ数を表示装置13へ表示する(ステップS19)。そして、再度ステップS11へ戻って規制制御ルーチンを続行する。尚、最大賞球数Nは予め払出制御基板31において設定された数でもよいが、遊技者が払出しスイッチ30を操作して所定範囲内(Nは球切れスイッチ25が賞球有りを検出できる数より多くかつ満タンスイッチ29が満タンを検出する数に満たない範囲内)で入力設定するようにしても良い。この場合、遊技者が遊技状況に応じて所定範囲内で遊技継続に必要な最大賞球数Nを変えて遊技を楽しむことができる。
【0039】
また、ステップS16において、賞球メモリに記憶されている賞球数が最大賞球数Nに満たない場合には、ステップS20へ進行して賞球払出装置26を起動して入賞した賞球を全数払い出して遊技を続行する。賞球が払い出されると、ステップS18に進行して賞球メモリから払い出された賞球数を減算する演算を行い(ステップS18)、該賞球メモリに記憶したメモリ数を表示装置13へ表示する(ステップS19)。そして、再度ステップS11へ戻って規制制御ルーチンを続行する。
【0040】
このように、上受け皿3が満杯になって一旦賞球払出装置26の払出し動作が規制制御されていても、球切れスイッチ25が球切れを検出しかつ満タンスイッチ29が満タンを検出しない場合に限って賞球払出装置26に最大賞球数N個以下の所定賞球数の払い出しを行なわせる。したがって、遊技者は遊技継続により受け皿に遊技球が無くなりそうになっても、賞球メモリに賞球数が存在する限り、N個以下の賞球の払い出しが行なわれるため、遊技者は賞球の払い出しを迫られること無く遊技に集中することができる。
【0041】
尚、ステップS14において、球切れスイッチ25が球切れを検出し、満タンスイッチ29が満タンを検出する場合は、受け皿上で球詰まりを起している場合と考えられるため、遊技継続を望む遊技者に報知手段32により報知することが好ましい。また、球切れスイッチ25が球切れを検出せず満タンスイッチ29が満タンを検出する場合は、受け皿に遊技球が溢れている場合であり、球切れスイッチ25が球切れを検出せず満タンスイッチ29が満タンを検出しない場合は、少なくとも受け皿には遊技球が存在するため、いずれも場合も賞球の払い出す必要はない。
【0042】
次に、遊技者が遊技を継続しながら、賞球メモリに蓄積された賞球の払い出し(球抜き)を行なう制御動作について、図6のフローチャートを参照して説明する。
遊技者はハンドル2を回転操作(遊技継続)したまま球抜きスイッチ24(SW3)を押すと(ステップS21)、球抜き制御ルーチンが開始される。即ち、開閉用ソレノイド23がONして上受け皿3の底部に設けられた球抜き孔20を閉鎖する第2の球抜き部21が開放される(ステップS22)。このとき、遊技球は、球抜き孔20を通じて下受け皿4へ導かれる(図1参照)。
【0043】
この球抜きスイッチ24(SW3)が押されている間だけ払出制御手段31は球切れスイッチ25(SW1)の検出信号を無視する(ステップS23)。即ち、上受け皿3の球切れの有無は無視される。次いで、払出制御手段31の賞球メモリに設定された最大賞球数Nは解除される(ステップS24)。次いで、賞球払出装置26の下流側に遊技球が溢れているか否かを満タンスイッチ29(SW2)により判定する(ステップS25)。満タンスイッチ29(SW2)が満タンを検出していなければ、ステップS26へ進行して賞球払出動作を開始する。
【0044】
即ち、賞球メモリに記憶されている全ての入賞数に応じた賞球数の払い出しを賞球払出装置16に実行させる。具体的には、球抜きスイッチ24(SW3)が押し続けられていること(開閉用ソレノイド23がONになっていること)を確認したうえで(ステップS27)、払出制御手段31の賞球メモリ数を演算により求める。即ち、賞球メモリに蓄積された全賞球数から入賞によりリアルタイムで払出された賞球数を減算する演算を行ないながら(ステップS28)賞球の払い出しが行なわれ、演算結果が表示装置13へ賞球メモリ数として表示される(ステップS29)。尚、下受け皿4に貯留した遊技球は、ボタン操作で底部の球抜き孔からドル箱へ回収するようにしても良い。
【0045】
次に、遊技者が球抜きスイッチ24(SW3)の押圧を解除(開閉用ソレノイド23がOFF)すると(ステップS30)、上受け皿3の底部に設けられた球抜き孔20を第2の球抜き部21が閉鎖する。次いで、ステップS31において、払出制御手段31は球切れスイッチ25(SW1)の検出信号を有効として扱う。即ち、払出制御手段31により上受け皿3の球切れの検出信号が満タンスイッチ29(SW2)の検出信号と共に監視される。次に、払出制御手段31の賞球メモリに再度最大賞球数Nが設定される(ステップS32)。
【0046】
次にステップS33へ進行して、払出制御基板31は、賞球メモリを読みだし賞球数が無い場合にはステップS34へ進行する。また、賞球メモリに払い出すべき賞球数が存在する場合には図5に示す規制制御ルーチンヘ戻って遊技を続行する。ステップS34において、球切れスイッチ25(SW1)が遊技球(賞球含む)を検出しているか否か判定する。遊技球を検出している場合には、上受け皿3に遊技に必要な遊技球があるため図5に示す規制制御ルーチンヘ戻って遊技を続行する。また、球切れスイッチ25(SW1)が遊技球を検出できない場合には、遊技が中断された状態となるため遊技機をリセットして図4に示す通常の払出動作に移行する。
【0047】
このように、遊技者は遊技継続中に球抜きを行なう場合でも、すべての賞球の払い出し作業に追われること無く、遊技者が望む数だけ賞球を払い出して遊技を継続することができる。
即ち、遊技者の賞球払い出し動作に伴う作業の煩わしさを回避して遊技動作の継続性を満たしつつ、任意のタイミングで所望の数だけ賞球の払い出しが行なえる。
【0048】
本実施形態は、上受け皿3及び下受け皿4を有する遊技機を例示して説明したがこれに限定されるものではなく、例えば上下一体の受け皿を備えた遊技機に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】遊技機の装置前面部の構成を示す説明図である。
【図2】遊技機の斜視図である。
【図3】遊技機の制御系のブロック図である。
【図4】通常の払出制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】払出規制制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】球抜き制御ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1 遊技盤
2 ハンドル
3 上受け皿
4 下受け皿
5 レール
6 図柄表示装置
7 電動チューリップ
8 チャッカー
9 アタッカー
10 風車
11 アウトロ
12 前面枠
13 表示装置
14 鍵穴
16 発射装置
17 球供給路
18 連通路
19 第1の球抜き部
20 球抜き孔
21 第2の球抜き部
22 球抜きレバー
23 開閉用ソレノイド
24 球抜きスイッチ
25 球切れスイッチ
26 賞球払出装置
27 払出モータ
28 球通路
29 満タンスイッチ
30 払出数設定スイッチ
31 払出制御基板
32 報知装置
33 発射制御基板
34 主制御基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射装置から遊技盤上に打ち出された遊技球が当該遊技盤上のいずれかの入賞口に入賞することにより、その入賞に応じた所定数の賞球を払い出す遊技機であって、
遊技球を発射装置へ供給し賞球として払い出された遊技球を一時的に貯留する受け皿と、
受け皿の遊技球供給方向下流側に設けられ受け皿の球切れを検出する球切れ検出手段と、
入賞に応じて所定数の賞球を受け皿へ払い出しする賞球払出手段と、
賞球払出手段と受け皿を連通する球通路に設けられ、受け皿が遊技球で満たされたことを検出する満タン検出手段と、
遊技球の入賞によって払い出すべき賞球数を演算して賞球メモリに記憶し、演算結果に応じて賞球払出手段による賞球の払い出しを制御する払出制御手段を備え、
遊技開始後球切れ検出手段が球切れを検出すると、払出制御手段は賞球メモリに払い出すべき賞球数が存在する限り、所定条件下で賞球払出手段による入賞数に応じた賞球の払出し動作に替えて賞球メモリに記憶した払い出し可能な最大賞球数N以下の賞球数の払い出しを行なわせる遊技機。
【請求項2】
満タン検出手段が満タンを検出し賞球払出手段による賞球払出しが規制制御されてから、払出制御手段は、賞球メモリに払い出すべき賞球数が存在し、球切れ検出手段が球切れを検出しかつ満タン検出手段が満タンを検出しない場合に限って賞球払出手段に最大賞球数N以下の賞球数の払い出しを行なわせる請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
払出制御手段は、球切れ検出手段が球切れを検出しかつ賞球メモリが零になったとき、賞球払出し規制制御を解除して賞球払出手段に入賞数に応じた通常の賞球の払出し動作を行なわせる請求項1又は2記載の遊技機。
【請求項4】
払出制御手段は、賞球メモリに記憶された全賞球数が最大賞球数Nに満たなければ賞球払出手段へ全数払い出し指令を行い、賞球数が最大賞球数N以上であれば賞球払出手段へ最大賞球数Nの払い出し指令を行なう請求項1記載の遊技機。
【請求項5】
賞球メモリに賞球数が存在する限り払い出し可能な最大賞球数Nを遊技者が所定範囲内で入力設定可能な払出数設定スイッチを備えた請求項1記載の遊技機。
【請求項6】
受け皿の底部に設けられた球抜き孔を閉鎖する球抜き部と、該球抜き部を開閉するアクチュエータと、該アクチュエータを作動させる球抜きスイッチを具備し、当該球抜きスイッチが押されている間だけ払出制御手段はアクチュエータを作動させて球抜き孔を開放し、払出制御手段は球切れスイッチの検出信号を無視しかつ賞球メモリに記憶されている最大賞球数Nに優先させて入賞数に応じた賞球の払い出しを賞球払出手段に実行させる請求項1記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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