説明

遊技機

【課題】所定の入力部から入力される信号に応じて演出内容を変化させる演出機能を備えた遊技機を提供する。
【解決手段】所定の入力部から得られる信号に応じて異なる演出制御用のコマンドを出力する第1の制御部と、演出制御用のコマンドを入力し、当該演出制御用のコマンドに基づいて演出を決定する第2の制御部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機は、一般に、遊技盤に設けられた始動入賞口への遊技球の始動入賞時に遊技機に内蔵するプログラムが大当たり(「特賞」ともいう。)/外れの内部抽選を行い、大当たりの場合には遊技者にとって有利な遊技状態を提供する。遊技機は、実際の抽選結果を報知する特別図柄を表示する特別図柄表示装置と、演出図柄を表示する液晶ディスプレイ等の演出図柄表示装置を備える。特別図柄は複数の数字や図形等で構成された単純な図柄である一方、演出図柄は人物キャラクタやアニメキャラクタ等と数字等とが組み合わされた多彩な図柄である。特別図柄の表示と演出図柄の表示を別個に行う理由は、両者の役割が異なるからである。つまり、特別図柄の役割は、抽選した結果(大当たり又は外れ)を遊技者に報知することであるのに対して、演出図柄の役割は、遊技者が遊技に興じるような楽しいコンテンツを提供することにある。そこで、遊技機は、演出図柄を音楽、効果音等とシンクロナイズさせて変動させ、あるいは、演出図柄を使って遊技状態の変化を提示することによって、遊技者がわくわくドキドキするような凝った演出を提供する。遊技者は、一般的に、演出の面白さを基準にして遊技する機種を選ぶ傾向にあるため、商品がヒットするかどうかは、演出の面白さに依るところが大きい。
【0003】
上述した演出図柄の制御は、遊技機内部の制御部によって行われるが、その制御部の構成を、図面を用いて簡単に説明する。
【0004】
図2は、遊技機100内部の制御部200の構成例を示すブロック図である。
【0005】
図2に示すように、制御部は、主に、主制御部310と副制御部340と表示制御部370の3つの制御部を備える。
【0006】
主制御部310は、始動入賞口への入賞による遊技球の検出に基づいて内部で発生させた乱数に応じて、リーチ、大当たり、確率変動、外れ等の判定処理、副制御部340への各種コマンドの送信処理及び遊技機全体の制御を行う。また、主制御部310は、特別図柄を表示する特別図柄表示装置102を制御する。副制御部340は、主制御部310から送信されるコマンドに基づいて、表示制御部370を制御するためのコマンドを作成し、表示制御部370に送信する。また、副制御部340は、遊技領域等に設けられているランプの点滅制御、遊技機のスピーカから出力する音声の制御、モータの回転制御をして、遊技領域等に設置されているキャラクタフィギャア等の演出用の可動物を制御する。表示制御部370は、副制御部340から送信されるコマンドにしたがって液晶表示装置等である演出図柄表示装置103を制御する。
【0007】
演出図柄表示装置103が表示する演出図柄の変動態様は、主制御部310が副制御部340に送信する変動パターンコマンドの内容にしたがって決定される。変動パターンコマンドとは、リーチ、大当たり、外れの際に演出図柄表示装置103の表示画面に表示される演出図柄の変動態様を指示するコマンドである。主制御部310は、この変動パターンコマンドや停止図柄の組み合わせを指示する演出図柄指定コマンド等を副制御部340に送信する。副制御部340は、変動パターンコマンドと、変動パターンコマンドと演出図柄指定コマンドとに基づいて作成した演出図柄表示用コマンドとを表示制御部370に送信する。変動パターンコマンドを受信した表示制御部370は、演出図柄表示装置103に対して、変動パターンコマンドで指定される変動時間の間、指定の演出動作を行うことを指示する。また、演出図柄表示用コマンドを受信した表示制御部370は、演出図柄表示装置103に対して、演出図柄表示用コマンドで指定される図柄で図柄変動を停止させることを指示する。
【0008】
遊技機は、上記制御部を用いて各種コマンドの送受信処理及び各種コマンドの実行処理を行うことによって、バラエティに富んだ演出を遊技者に提供する。演出の一種として、例えば、「予告演出」がある。予告演出とは、リーチや大当たりの前兆演出のことであり、演出図柄表示装置103に表示されている変動中の演出図柄を含む表示内容を一時的かつ比較的高い頻度で変化させることによって、遊技者にとって有利な遊技状態になる可能性が高いことを示し、期待感をふくらませる演出である。具体的には、遊技者にとって有利な状態になる可能性があることを表現するキャッチフレーズ、アニメキャラクタ又は特殊な効果音を一時的に表示/出力する。遊技者は、遊技中にこの予告演出が出現する度にまもなくリーチや大当たりが発生するかもしれないという期待感を抱くことができ、長時間にわたって遊技をしても飽きることなく遊技を楽しむことができる。
【0009】
一方、従来技術の中には、電源投入時に押下されるRAMクリアスイッチ(RAMを初期化するスイッチ)の押下時間に応じて大当たり決定乱数の初期値を決定可能とする遊技機がある(特許文献1)。このRAMは、電源供給が途絶えた時(電断時)にも記憶内容を保持するバックアップ用のメモリであり、遊技動作制御時の制御データを格納する。RAMの記憶情報の強制消去は、パチンコホールの関係者が遊技盤の裏面に設置されたRAMクリアスイッチを押下操作しながら電源投入スイッチを操作することにより実行される。この遊技機は、初期値から上限値までを循環的にカウント動作する大当たり判定用の乱数カウンタの初期値を、RAMクリアスイッチの押下操作時間に応じて設定するものであり、その目的は、不正遊技の防止にある。
【0010】
【特許文献1】特開2003−325925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に開示された遊技機は、不正遊技防止の観点から、電源投入時に押下されるRAMクリアスイッチの押下時間に応じて、大当たり判定用の乱数カウンタの初期値を変更するものであって、当該変更結果を演出内容に反映させるものではない。したがって、この遊技機は、RAMクリアスイッチの押下時間に応じて演出内容(例えば、予告演出)を変化させることができず、演出の面白さを向上させるといった点で不十分である。
【0012】
そこで、本発明は、所定の入力部(例えば、RAMクリアスイッチ)からの信号に応じて演出内容(例えば、予告演出の内容)を変化させる演出機能を設けることによって、様々な演出を遊技者に提示する遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的を達成するために、本発明の遊技機は、所定の条件が成立した場合に、遊技者にとって有利な状態に遷移し、又は、遊技者に提示する演出を制御する遊技機において、所定の入力部から得られる信号に応じて異なる演出制御用の情報を出力する第1の制御部(図3の310)と、演出制御用の情報を入力し、当該情報に基づいて演出を決定する第2の制御部(図3の340)を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の遊技機は、さらに、演出が、予告演出の出現率(図10参照)であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の遊技機は、さらに、所定の入力部が、遊技機の電源部に接続されたスイッチであり、第1の制御部内の記憶部を初期化する機能を含むスイッチであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の遊技機は、さらに、信号が、スイッチの押下時間によって定まることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、パチンコホールの関係者の操作によって演出内容(例えば、予告演出の内容)を変更することが可能となるため、パチンコホールは、例えば日毎に又は台毎に予告演出の内容を変更することができる。したがって、遊技者にとっては、日によって又は色々な台で遊技することによって様々な種類の演出を楽しむことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、各図面において同じ機能を有する箇所には同一の符号を付す。
【0019】
(装置構成)
図1は、本実施形態の遊技機100の正面概観の一例を示す。図1において、本実施形態の遊技機は、遊技機の役物等を盤面に据え付ける遊技盤101、特別図柄表示装置102、演出図柄表示装置103、第1の始動入賞口104、普通図柄表示装置作動ゲート(左)105、普通図柄表示装置作動ゲート(右)106、普通図柄表示装置107、第2の始動入賞口でもある普通電動役物(チューリップ)108(以下、第2の始動入賞口108という。)、大入賞口を備える可変入賞球装置109、遊技機ハンドル111、特別図柄作動記憶表示灯(保留ランプ)112、普通図柄作動記憶表示灯(保留ランプ)113等を主に備える。
【0020】
特別図柄表示装置102は、例えば、液晶ディスプレイ又はCRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイ等の可変表示装置、7セグメントLED、ドットマトリクス表示装置等があり、複数の数字や図形等の特別図柄を変動表示する。特別図柄表示装置102の停止図柄を予め定めた特定の図柄の組み合わせにすることによって大当たり表示をする。特別図柄表示装置102は、例えば、2桁の7セグメントLEDである。
【0021】
演出図柄表示装置103は、液晶ディスプレイ又はCRTディスプレイ等の可変表示装置、7セグメントLED、ドットマトリクス表示装置、モータの回転により可変表示するドラム等であり、複数の数字や図形等からなる演出図柄を変動表示する。
【0022】
第1の始動入賞口104又は第2の始動入賞口108は、遊技者により打ち出された遊技球が入賞すると、内部の特別図柄始動スイッチのONにより入賞を検知し、それを契機に特別図柄は変動を開始する。特別図柄は、所定の変動時間経過後に変動を停止し、抽選結果を報知する。
【0023】
普通図柄表示装置作動ゲート(左)105及び普通図柄表示装置作動ゲート(右)106は、遊技者により打ち出された遊技球が通過すると、内部の普通図柄作動スイッチがONになることにより、その通過球を検知し、それを契機に普通図柄表示装置107に表示される普通図柄は変動を開始する。
【0024】
普通図柄表示装置107は、7セグメントLED等で普通図柄を変動表示する。第2の始動入賞口108は、普通図柄表示装置107が特定の普通図柄を停止表示した場合に開放し、第2の始動入賞口108内への入賞を容易にする。尚、第1の始動入賞口104は常時開放している。
【0025】
可変入賞球装置109は、特別図柄表示装置102の停止図柄が予め定めた特定の図柄の組み合わせとなった場合、すなわち、大当たりとなったときに、その後の大当たり遊技において、可変入賞球装置109の前面に付置された開閉部材114が開放及び閉鎖の動作を行う。
【0026】
大当たり遊技中は、開閉部材114はほぼ水平に開き、遊技球の入賞を受け付ける可変入賞球装置109が開放され、多数の遊技球の入賞を受け付ける。可変入賞球装置109に遊技球が入賞すると、可変入賞球装置109の内部の大入賞口スイッチがONになる。これにより、遊技機は、可変入賞球装置109への遊技球数を把握し、その入賞に伴う賞球(出玉、セーフ玉)払い出しを行う。可変入賞球装置109の開放は、所定の時間(例えば、30秒)経過するか、所定数(大入賞口入賞規定数)の遊技球が可変入賞球装置109に入賞するまで継続する。通常、この開放は、16回行われる。1回の開放を1ラウンドと呼ぶ。したがって、大当たり遊技は、通常、16ラウンドにわたって行われる。
【0027】
遊技機ハンドル111は、タッチセンサ及びストップボタン(発射停止)116を備える。タッチセンサが、遊技者が遊技機ハンドル111を握ったことを検知し、次いで、遊技機ハンドル111内部の可変抵抗器が、遊技機ハンドル111が右回り117又は左回り118に回されたことを検知すると、球発射装置(図示せず)は、遊技球を連続して打ち出す。遊技者は、遊技機ハンドル111を右方向117又は左方向118に回して、遊技盤101上へ打ち出される遊技球の打ち出しを調整することができる。また、遊技者がストップボタン116を押すと、球発射装置は、遊技球の打ち出しを停止する。
【0028】
特別図柄作動記憶表示灯112は、特別図柄の変動中に第1の始動入賞口104又は第2の始動入賞口108に入賞すると点灯し(以下、球の保留と呼ぶ)、連続して図柄(特別図柄)変動可能な回数を報知する。尚、当該回数を演出図柄表示装置103に表示してもよい。
【0029】
普通図柄作動記憶表示灯113は、普通図柄の変動中に普通図柄作動ゲート(左)105又は普通図柄作動ゲート(右)106を通過すると点灯し、連続して図柄(普通図柄)変動可能な回数を報知する。尚、当該回数を演出図柄表示装置103に表示してもよい。
【0030】
遊技盤101に据え付けられた役物、釘等はその上にガラス板を被されており、ガラス板と遊技盤101との間に確保されたスペースを打ち出された遊技球が落下していく。
【0031】
遊技機100は、演出切り替えスイッチ120を備える。遊技者は、演出切り替えスイッチ120を操作することにより、演出図柄表示装置103に好みの演出画面を表示させ、又は、演出用可動物の動作を制御することができる。
【0032】
(遊技機の制御部の構成)
図3は、遊技機100内の制御部300の構成を示すブロック図である。
【0033】
制御部300は、主に、主制御部310と副制御部340と表示制御部370の3つの制御部から構成される。不正行為防止及び法規上の制約のため、通常、各制御部は機能毎に別々の基板に実装され、通信可能に直接・間接的に接続されている。主制御部310は、第1の始動入賞口104又は第2の始動入賞口108への入賞を検出すると、内部で発生させた乱数に応じて各種コマンドの送信及び遊技機の全体制御を行う。主制御部310は、さらに特別図柄表示装置102も制御する。コマンドは、送信されたコマンド自体を識別して遊技状態を把握するための「コマンドID」部と、識別した遊技状態において、その中での具体的な制御情報種類を識別するための「イベント」部とから成る。
【0034】
主制御部310は、変動パターンコマンド、演出図柄指定コマンド等の各種コマンドを副制御部340に送信する。本実施形態では、特に、主制御部310は、電源投入時に、予告演出モード指定コマンドを副制御部340に送信する。予告演出モード指定コマンドは、RAMクリアスイッチの押下時間に基づいて作成される。予告演出モード指定コマンドの意味内容及びその作成方法については後述する。尚、本実施形態では予告演出モード指定コマンドの作成をRAMクリアスイッチの押下時間に基づいて作成する構成であるが、RAMクリアスイッチ以外の所定のスイッチの押下時間に基づいて作成する構成であってもよい。
【0035】
副制御部340は、変動パターンコマンドと演出図柄指定コマンドを受信すると、変動パターンコマンドと演出図柄表示用コマンドとを表示制御部370に送信する。演出図柄表示用コマンドは、変動パターンコマンドと演出図柄指定コマンドとに基づいて作成される。また、副制御部340は、変動パターンコマンドを受信すると、遊技領域等に設けられているランプの点滅制御、遊技機のスピーカから出力する音声の制御、モータを回転制御することによって遊技領域等に設けられているキャラクタフィギャア等の演出用可動物制御も行う。また、副制御部340は、予告演出モード指定コマンドを受信すると、後述する処理を実行した後、予告指定コマンドを表示制御部370に送信する。
【0036】
表示制御部370は、副制御部340から送信される変動パターンコマンド、演出図柄表示用コマンド、予告指定コマンドにしたがって演出図柄表示装置103を制御して、演出図柄表示装置103に予告演出を含む様々な演出画面を表示させる。
【0037】
副制御部340と表示制御部370とを、分離した別個の制御部としてとらえずに、遊技機の演出に係わる制御を協働して行う一つの制御部としてとらえてもよい。
【0038】
遊技機は、主制御部310、副制御部340、払出制御部450に電源電圧を供給する電源部(図示せず)と、当該電源部のバックアップ用のバックアップ電源部とを備える。電源部には、電源回路を駆動するための電源スイッチと、主制御部310内のRAMに記憶されたデータを初期化するためのRAMクリアスイッチが接続されている。電源スイッチがオン操作されると、電源部から各制御部へ所定の電源電圧が供給される。また、RAMクリアスイッチがオン操作されると、電源部からRAMクリア信号が主制御部310に出力される。一方、バックアップ電源部は、例えば電源スイッチがオフ操作されたときや停電が起きたとき等、遊技機の電源が落ちたときであっても、主制御部310内のRAMに記憶されているデータを保持するために、当該RAMにバックアップ用の電源電圧を供給している。
【0039】
次に、主制御部310、副制御部340、表示制御部370の各構成・機能を詳細に説明する。
【0040】
(主制御部の構成・機能)
図4は、主制御部310の内部構成を示すブロック図である。
【0041】
主制御部310は、CPU422、ROM420、RAM424、大入賞口ソレノイド出力ポート428、普通電動役物ソレノイド出力ポート430、特別図柄表示用出力ポート432、普通図柄表示用出力ポート434、特別図柄作動記憶表示灯用ポート436、普通図柄作動記憶表示灯用ポート438、副制御用コマンド出力ポート(予告演出モード指定コマンド、変動パターンコマンド、演出図柄指定コマンド等を送出)440、払出制御用コマンド出力ポート442、外部情報出力ポート444、入力ポート426を備える。演出図柄指定コマンドとは、演出図柄表示装置103に表示される停止図柄を指定するコマンドである。
【0042】
主制御部310は、遊技盤の裏面に設置されたRAMクリアスイッチ419からON/OFF信号を受信し、RAMクリアスイッチ419がONである時間を計測する。主制御部310は、計測した時間に基づいて予告演出モード指定コマンドを作成し、副制御部340に送信する。
【0043】
主制御部310は、入力ポート426を介して、各種スイッチ(特別図柄始動スイッチ410、普通図柄作動スイッチ412、大入賞口スイッチ414、その他のスイッチ418及び実装されている場合には特定領域スイッチ416)からデータを入力し処理する。
【0044】
主制御部310は、出力ポート428〜438、444を介して、特別図柄表示装置102、特別図柄作動記憶表示灯(保留ランプ)112、普通図柄表示装置107、普通図柄作動記憶表示灯(保留ランプ)113、大入賞口ソレノイド446、普通電動役物ソレノイド448、外部情報出力部454を直接制御する。また、主制御部310は、副制御部340に副制御用コマンド(予告演出モード指定コマンド、変動パターンコマンド、演出図柄指定コマンド等)を送信して副制御部340を制御する。さらに、主制御部310は、払出制御部450にコマンドを送信して賞球の払出制御を行う。
【0045】
次に、主制御部310が入力ポートを介して入力する各種スイッチ、主制御部310の構成要素及び主制御部の制御対象について詳細に説明する。
【0046】
特別図柄始動スイッチ410は、遊技者により打ち出されて第1の始動入賞口104又は第2の始動入賞口108に入賞した遊技球がこのスイッチを通過する時にONとなり、これを契機に、特別図柄表示装置102は特別図柄の変動を開始する。
【0047】
普通図柄作動スイッチ412は、遊技者により打ち出されて普通図柄表示装置作動ゲート(左)105及び普通図柄表示装置作動ゲート(右)106を通過した遊技球が、このスイッチを通過する時にONとなり、これを契機に普通図柄表示装置107は普通図柄の変動を開始する。
【0048】
大入賞口スイッチ414は、大当たり遊技中に可変入賞球装置109へ入賞した遊技球がこのスイッチを通過する時にONとなり、これを契機に主制御部310は遊技球の入賞を検知する。
【0049】
その他のスイッチ418としては、第1の始動入賞口104、第2の始動入賞口108、可変入賞球装置109以外の入賞口へ入賞した遊技球がこのスイッチを通過する時にONとなり、これを契機に主制御部310は遊技球の入賞を検知する。
【0050】
尚、特定領域スイッチ416が実装されている場合には、当該スイッチは、可変入賞球装置109の開放中に特定領域を通過した遊技球がこのスイッチを通過する時にONとなり、これを契機に主制御部310は次のラウンドの権利発生を検知する。
【0051】
CPU422は主制御部全体の制御を行う。
【0052】
ROM420は、主制御部310用のプログラムや、遊技機を制御するための各種のパラメータの値を記憶する。
【0053】
RAM424は、主制御部310に対する入出力データや演算処理のためのデータ、遊技に関連する乱数カウンタを始めとする各種カウンタ等を一時記憶し、又、各保留球の情報を記憶する保留メモリを有する。
【0054】
特別図柄表示装置102は、複数の数字や図形等の特別図柄を表示する。普通図柄表示装置107は、複数の数字や図形等の普通図柄を表示する。特別図柄作動記憶表示灯(保留ランプ)112は、特別図柄の変動予定回数を報知する。普通図柄作動記憶表示灯(保留ランプ)113は、普通図柄の変動予定回数を報知する。
【0055】
大入賞口ソレノイド446は、可変入賞球装置109の内部の構成部材の一つで、大当たり遊技中に可変入賞球装置109の前面に配置された開閉部材114を主制御部310からの指示に基づいて開放する。
【0056】
普通電動役物ソレノイド448は、普通図柄表示装置107が当たりの普通図柄を停止表示した場合に、主制御部310からの指示に基づいて普通電動役物108を開放する。
【0057】
払出制御部450は、主制御部310から払出制御用コマンドを受け、特別図柄始動スイッチ410、大入賞口スイッチ414、その他のスイッチ418等で入賞が検知された場合に、賞球払出装置452に賞球の払い出しを指示する。
【0058】
外部情報出力部454は、CPU422からの情報を情報表示装置201へ提供する。情報表示装置201は、遊技機の外部情報出力部454を介して遊技機と接続されている。CPU422は、外部情報出力部454を介して、図柄変動の停止、大当たり状態等がわかる信号を情報表示装置201へ出力する。その信号は、例えば、大当たり信号、入賞数信号、スタート信号、時短信号、扉開放信号である。
【0059】
(副制御部の構成・機能)
図5は、副制御部340の内部構成を示すブロック図である。
【0060】
副制御部340は、主制御部310と同様に、CPU514、RAM512、ROM510、各種入力ポート516、各種出力ポート518を備える。CPU514は、副制御部全体の制御を行う。ROM510は、副制御部340用のプログラムや、遊技機を制御するための各種のパラメータの値等を記憶する。本実施形態では、ROM510は、予告演出モード指定コマンドを予告指定コマンドに変換する際に参照するテーブルとして、演出モード選択テーブルと予告演出選択テーブルを保持する。
【0061】
副制御部340は、主制御部310が送信する副制御用コマンド(予告演出モード指定コマンド、変動パターンコマンド、演出図柄指定コマンド等)を受信する。
【0062】
副制御部340は、予告演出モード指定コマンドを受信すると、予告演出モード指定コマンドの内容にしたがって演出モード選択テーブルを参照し、複数の予告演出選択テーブルの中から一つの予告演出選択テーブルを選択する。副制御部340は、予告演出を行う場合には、選択した予告演出選択テーブルを参照し、そのテーブルの中から予告演出に対応する予告指定コマンドを抽選する。この処理の詳細については後述する。
【0063】
副制御部340は、受信した変動パターンコマンドを表示制御部370に送信する。また、副制御部340は、変動パターンコマンドと演出図柄指定コマンドとに基づいて演出図柄表示用コマンドを作成(実際に表示装置に表示する演出図柄を決定すること)し、表示制御部370に送信する。さらに、副制御部340は、予告指定コマンドを表示制御部370に送信する。
【0064】
副制御部340は、ランプ表示装置520の点滅制御、効果音発生装置522が出力する効果音の発生制御、演出用可動物524の制御等を行う。このように、副制御部340が、液晶表示、ランプ点灯、効果音の生成、演出用可動物の制御等の演出を集中制御することにより、主制御部310の負荷を軽減することができる。
【0065】
ランプ表示装置520は、遊技に関連するランプ類の表示装置であり、副制御部340の指示で複数のランプを選択的に点灯/消灯させる。効果音発生装置522は、遊技に関連する音響を発生する。演出用可動物524は、モータ等により回転制御される遊技領域等に設けられている演出用のキャラクタフィギャア等である。
【0066】
副制御部340は、演出切り替えスイッチ120からの入力を受け付ける。遊技者は、演出切り替えスイッチ120を操作することにより、演出図柄表示装置103に好みの演出画面を表示させ、又は、演出用可動物524の動作を制御することができる。このように、遊技者は演出切り替えスイッチ120を操作することにより、遊技機の演出面に参加することができる。
【0067】
次に、主制御部310又は副制御部340による、RAMクリアスイッチの押下時間の計測、予告演出モード指定コマンド及び予告指定コマンドの作成処理及び送信処理、演出モード選択テーブル及び予告演出選択テーブルに関して説明する。
【0068】
(主制御部310の処理内容)
図7は、電源投入時における主制御部310の主な処理の流れを示すフローチャートである。本処理において、主制御部310は、RAMクリアスイッチがONである時間の計測処理と予告演出モード指定コマンドの作成・送信処理を実行する。以下、具体的に説明する。
【0069】
主制御部310は、RAMクリアスイッチがONである時間、すなわち、パチンコホールの関係者がRAMクリアスイッチを押下した時間を記憶するRAMクリアスイッチオン時間値記憶領域をクリアにする(S702)。RAMクリアスイッチオン時間値記憶領域は、RAM424に設定されている。
【0070】
主制御部310は、RAMクリアスイッチがONである時間を計測し(S704、S706)、当該時間をRAMクリアスイッチオン時間値記憶領域に設定する(S708)。
【0071】
主制御部310は、RAMクリアスイッチオン時間値記憶領域に設定した時間に基づき予告演出モード指定コマンドを作成し、副制御部340に送信する(S710)。予告演出モード指定コマンドは、1バイトのコマンドID部と1バイトのイベント部とから成る。予告演出モード指定コマンドの作成方法の例を2つ挙げる。1つは、計測したRAMクリアスイッチオン時間値をイベント部にそのまま設定する方法である。もう1つは、計測したRAMクリアスイッチオン時間値に対応した演出モード番号をイベント部に設定する方法である。前者の場合、予告演出モード指定コマンドを受信した副制御部340は、予告演出モード指定コマンドのイベント部に設定された時間値に基づいて、所定のテーブルを選択する。選択されたテーブルは、後述する通り、以後、遊技中に予告演出が行われるときに参照される。他方、後者の場合、例えば、RAMクリアスイッチオン時間値が2秒未満のときには演出モード番号を0にし、2秒から3秒未満のときには演出モード番号を1にし、3秒以上のときには演出モード番号を2とする。予告演出モード指定コマンドを受信した副制御部340は、予告演出モード指定コマンドのイベント部に設定された演出モード番号に基づいて所定のテーブルを選択する。
【0072】
尚、本フローチャートは、本実施形態に特に関連する処理を記載したものである。これらの処理以外の通常処理としては、例えば、CPU422やRAM424の初期設定、RAM424のエラーチェック処理、割り込み処理、電源投入時に実行される各種のコマンド(例えば、払出開始指示コマンド、周辺装置初期化コマンド、機種判別コード指定コマンド、客待ち演出開始コマンド等)の送信処理等があるが、それらの説明は省略する。
【0073】
図8は、遊技者により打ち出された遊技球の始動入賞口108への入賞を契機に実行される主制御部310のコマンド送信処理の流れを示すフローチャートである。
【0074】
主制御部310は、第1の始動入賞口104又は第2の始動入賞口108に遊技球が入賞したことを検知すると(S800)、始動入賞保留処理(S802)、図柄変動中かどうかの判定処理(S804)、保留玉の有無の判定処理(S806)を経て、大当たり/外れの抽選処理を行う(S808)。
【0075】
主制御部310は、抽選結果が大当たりか外れかの判定処理を行う(S810)。抽選結果が大当たりの場合にはS812の処理に進み、外れの場合にはS814の処理に進み。具体的には、主制御部310は、始動入賞を検出したタイミングで大当たり乱数カウンタから乱数値を引き、その乱数値と所定の大当たり判定値とを比較し、両者が一致した場合、大当たり遊技に向けた処理を開始する。大当たりの場合には、主制御部310は、大当たり用の変動パターンと、大当たり用の演出図柄(停止図柄)を抽選する(S812)。これに対して、外れの場合には、主制御部310は、外れ用の変動パターンと、外れ用の演出図柄を抽選する(S814)。
【0076】
主制御部310は、抽選した変動パターンに対応する変動パターンコマンドと、演出図柄に対応する演出図柄指定コマンドとを副制御部340に送信する(S816)。
【0077】
尚、主制御部310の処理負担を軽減しつつ多彩な演出図柄を提供するため、主制御部310は演出図柄の抽選処理/コマンド送信処理を行わず、副制御部340が演出図柄の決定処理を行ってもよい。つまり、副制御部340は、主制御部310から受信した変動パターンコマンドに基づいて演出図柄を自ら決定してもよい。
【0078】
(副制御部340の処理内容)
図9は、電源投入時における副制御部340の主な処理の流れを示すフローチャートである。
【0079】
副制御部340は、主制御部310が電源投入時に送信する予告演出モード指定コマンドを受信する(S902)。
【0080】
副制御部340は、図10に示す演出モード選択テーブルを参照して、予告モードと演出図柄の背景を決定(設定)する(S904、S906)。
【0081】
図10を参照すると、例えば、予告演出モード指定コマンドのイベント部に設定されているRAMクリアスイッチオン時間値が2秒未満のときには、背景を「春の風景」(例えば、桜の花が咲いている風景)に設定し、予告モードを「予告・中出現モード」に設定する。また、RAMクリアスイッチオン時間値が2秒〜3秒未満のときには、背景を「冬の風景」(例えば、スキー場の風景)に設定し、予告モードを「予告・低出現モード」に設定する。また、RAMクリアスイッチオン時間値が3秒以上のときには、背景を「夏の風景」(例えば、スイカ割りの風景)に設定し、予告モードを「予告・高出現モード」に設定する。ここで、「予告・高出現モード」とは、予告演出の出現頻度が比較的高いモード(予告演出を行うパターンを選択する確率が通常の遊技状態と比較して高いモード)であり、「予告・中出現モード」とは、予告演出の出現頻度が中くらいのモードであり、「予告・低出現モード」とは、予告演出の出現頻度が比較的低いモード(予告演出を行うパターンを選択する確率が通常の遊技状態と比較して低いモード)である。後述する通り、副制御部340は、各モードに対応する予告演出選択テーブルを更に備える。
【0082】
尚、予告演出モード指定コマンドのイベント部に演出モード番号が設定されている場合には、当該番号に対応した予告モード及び背景を設定する。また、演出モード選択テーブルは、予告モードと共に背景も変更可能な構成となっているが、予告モードだけを変更可能な構成としてもよい。
【0083】
尚、図9に示すフローチャートは、本実施形態に特に関連する処理を記載したものである。これらの処理以外の通常処理としては、例えば、周辺装置初期化コマンドの受信処理、機種判別コード指定コマンドの受信処理、画像の背景指定コマンドの送信処理、客待ち演出開始コマンドの受信処理等があるが、それらの説明は省略する。
【0084】
図11は、遊技者により打ち出された遊技球の始動入賞口108への入賞を契機に副制御部340が予告指定コマンドを作成・送信する処理の流れを示すフローチャートである。
【0085】
副制御部340は、主制御部310から変動パターンコマンドを受信する(S1102)。
【0086】
副制御部340は、電源投入時に設定された各予告モード(予告・低出現モード、予告・中出現モード、予告・高出現モード)に対応する予告演出選択テーブルを選択する(S1104)。
【0087】
図12、図13、図14は、予告演出選択テーブルを示す図である。
【0088】
図12は、図10に示す演出モード選択テーブルを参照した結果、予告・低出現モードが設定されている場合に参照する予告演出選択テーブルである。図13は、予告・中出現モードが設定されている場合に参照する予告演出選択テーブルである。図14は、予告・高出現モードが設定されている場合に参照する予告演出選択テーブルである。本テーブルにおいて、行は、変動パターンコマンドのコマンドID(1〜15)を示し、列は、各種の予告演出の出現率を示す。
【0089】
副制御部340は、変動パターンコマンドのコマンドIDの値から行を選択し、当該行に含まれる複数の予告演出の中から一つの予告演出を抽選する(S1106)。予告演出のパターンとして、例えば、「予告演出なし」、「鳥が横切る」、「昆虫が横切る」、「雲が動く」、「鳥が横切り、昆虫が横切る」、「鳥が横切り、雲が動く」、「昆虫が横切り、雲が動く」の7パターンが予め用意されている。各予告演出の出現頻度は、受信した変動パターンコマンドのコマンドIDによって異なる。例えば、予告・低出現モードが設定されている場合にコマンドIDが1〜4の変動パターンコマンドを受信すると、予告・低出現モード用の予告演出選択テーブルが選択され、100%の確率で「予告演出なし」が抽選される(図12参照)。すなわち、この場合、予告演出は起きない。これに対して、予告・低出現モードが設定されている場合にコマンドIDが5の変動パターンコマンドを受信すると、90%の確率で「予告演出なし」が抽選され、5%の確率で「鳥が横切る」のパターン又は「昆虫が横切る」のパターンが抽選される。他の予告演出選択テーブルも同様な構成をとる。予告・低出現モード用の予告演出選択テーブルと、予告・中出現モード用の予告演出選択テーブルと、予告・高出現モード用の予告演出選択テーブルとに示された予告演出の出現率を比較すると、予告・高出現モード用の予告演出選択テーブルを参照する方が、予告・低出現モード用の予告演出選択テーブルを参照するよりも予告演出の出現率(予告演出が選択される率)が高い。したがって、予告演出の出現率を低くするためには、予告モードを予告・低出現モードに設定し、予告演出の出現率を高くするためには、予告モードを予告・高出現モードに設定する。すなわち、パチンコホールの関係者は、予告演出の出現率を低くするためには、RAMクリアスイッチを2秒〜3秒未満オンにし、予告演出の出現率を高くするためには、RAMクリアスイッチを3秒以上オンにする。
【0090】
副制御部340は、以上の処理によって予告演出を抽選し、それに対応する予告指定コマンドを表示制御部370に送信する(S1108)。
【0091】
以上説明した副制御部340の処理内容をまとめると次の通りになる。
【0092】
まず、副制御部340は、電源投入時に、RAMクリアスイッチオン時間に対応した予告演出モード指定コマンドを主制御部310から受信する。副制御部340は、受信した予告演出モード指定コマンドが示すRAMクリアスイッチオン時間が2秒未満であると、予告モードを予告・中出現モードに設定し、当該時間が2秒〜3秒未満であると、予告モードを予告・低出現モードに設定し、当該時間が3秒以上であると、予告モードを予告・高出現モードに設定する。次いで、遊技球の始動入賞口108への入賞を契機に演出図柄の変動が開示されると、設定した予告モードに対応する一つの予告演出選択テーブルを参照し、そのテーブルの中から予告演出を抽選する。予告演出を抽選するにあたっては、変動パターンコマンドのコマンドIDが参照される。次いで、副制御部340は、抽選された予告演出の種別を示す値を、コマンドのイベント部に設定することによって予告指定コマンドを作成し、当該予告指定コマンドを表示制御部370に送信する。
【0093】
(表示制御部の構成・機能)
図6は、表示制御部370の内部構成を示す概略ブロック図である。
【0094】
表示制御部370は、各種コマンド(変動パターンコマンド、演出図柄表示用コマンド、予告指定コマンド等)を受信する入力ポート618、CPU620、プログラムROM610、RAM612、画像処理用LSI(VDP)622、キャラクタROM616、ビデオRAM614、出力ポート624を備える。
【0095】
CPU620は、受信した各種コマンド及びプログラムROM610に記憶された画像処理プログラムにしたがって、画像表示制御を行う。RAM612は、CPU620に対する入出力データや演算処理のためのデータを一時記憶し、ワーク・エリアやバッファ・メモリとして機能する。VDP622は、CPU620からの図柄更新の指示に従って演出図柄表示装置103に表示するためのスプライト/スクロール等の画像データをビデオRAM614に展開し、CPU620からの出力指示に従って出力ポート624を介して演出図柄表示装置103の表示領域内に画像データを出力・表示する。キャラクタROM616は、CPU620からの指示を受けたVDP622がビデオRAM614に展開する、スプライト/スクロール等の画像データを記憶する。ビデオRAM614は、演出図柄表示装置103の表示領域内に出力する画像データを記憶する。演出図柄表示装置103は、LCD、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等であり、ビデオ信号を可視表示する。
【0096】
表示制御部370は、変動パターンコマンド及び演出図柄表示用コマンドにしたがって演出図柄表示装置103に表示される演出図柄の変動制御及び停止制御を行う。
【0097】
また、表示制御部370は、予告指定コマンドを受信すると、予告指定コマンドのイベント値に対応した予告演出画面を演出図柄表示装置103に表示するための制御を行う。
【0098】
以上説明したように、本実施形態では、予告演出を提供する遊技機であって、RAMクリアスイッチが押下された時間、すなわちRAMクリアスイッチオン時間に応じて予告演出の内容を異ならせる演出制御を行う。
【0099】
以下、主制御部310のCPU422が実行する遊技制御処理の一例を、図面を用いて説明する。
【0100】
図15のフローチャートが示す処理手順は、主制御部310のCPU422が、ROM420に記憶されている遊技制御プログラムを読み出して実行することにより行われる遊技制御割り込み処理である。この処理においては、周期(例えば4msecと2msec)毎に起動される2種類の割り込み処理(遊技制御系の第1の所定期間毎の割り込み処理(例えば4msec毎の割り込み処理)と、乱数更新及びスイッチチェック等の第2の所定期間毎の割り込み処理(例えば、2msec毎の割り込み処理))が並行して動いている。なお、必要に応じて第3の所定期間毎の割り込み処理や第4の所定期間毎の割り込み処理等を各割り込み処理の周期が重ならないように行うことも可能である。図15において、遊技機が電源の投入をされると、主制御部310はRAM424をクリアしてその初期設定を行い(S1510)、次に、副制御部340に初期コマンド(例えば、RAMクリア処理、初期図柄指定、初期状態等)及び予告演出モード指定コマンドを送信して(S1512)、画像、ランプ、音声及び遊技等に関わる初期設定の指示を行う。また、電源断が発生したときは電源復帰を行う。
【0101】
最初に、遊技制御系の第1の所定期間毎の割り込み処理について説明する。
【0102】
(コマンド出力管理処理(S1514))
主制御部310は、特別遊技管理処理(S1516)で作成されRAM424のコマンド記憶領域上に準備された変動パターンコマンド、演出図柄指定コマンドを副制御部340へ送信する。まず、送信するコマンドがあるか判断し、送信するコマンドがある場合、副制御部340へコマンドを送信する。出力するコマンドが無い場合、本処理はそのまま終了する。後述するように、コマンド送信が行われる場合、コマンドは、特別遊技管理処理(S1516)における特別図柄の変動開始処理が行われた「第1の所定期間毎の割り込み処理」の次に起動される「第1の所定期間毎の割り込み処理」におけるコマンド出力管理処理(S1514)の中で送信される。したがって、演出図柄の制御に関わるコマンドは、特別図柄の変動が開始させる処理を開始してから所定期間中として1割り込み後(例えば、4msec後)のコマンド出力管理処理によって送信されることになる。
【0103】
尚、このコマンド出力管理処理を特別遊技管理処理(S1516)の次の処理に移動させる処理手順を採用した場合、演出図柄の制御に関わるコマンドは、特別図柄を変動させる処理を開始してから所定期間中として同一割り込み内のコマンド出力管理処理によって送信されることになる。
【0104】
変動パターンコマンドと演出図柄指定コマンドとを受信した副制御部340は、表示制御部370に変動パターンコマンドと演出図柄表示用コマンドを送信する。変動パターンコマンドと液晶用コマンドを受信した表示制御部370は、演出図柄表示装置103の演出図柄を所定の変動時間だけ変動制御し、次に、演出図柄指定コマンドで指定された図柄で停止させる。
【0105】
ここで、表を用いて、演出図柄指定コマンドと演出図柄表示用コマンドの内容を説明する。
【0106】
図16は、主制御部310が副制御部340に送信する演出図柄指定コマンド及び当該コマンドを受信した副制御部340が表示制御部370に送信する演出図柄表示用コマンドの内容を示す表である。
【0107】
演出図柄指定コマンド及び演出図柄表示用コマンドは共に1バイトのコマンドIDと1バイトのEVENTからなる。演出図柄指定コマンドのコマンドIDは「B1」Hであり、EVENTは、「00」〜「02」Hである。他方、演出図柄表示用コマンドの「コマンドID」部は「B1」Hであり、EVENTは「00」〜「07」Hである。すなわち、主制御部310は、副制御部340に対して演出図柄指定コマンドを送信し、副制御部340は、受信した演出図柄指定コマンド等に基づいて、演出図柄表示装置103に実際に表示する演出図柄を選択・決定し、当該演出図柄に対応する演出図柄表示用コマンドを表示制御部370に送信する。
【0108】
また、図15に戻って説明すると、コマンド出力管理処理(S1514)を第1の所定期間毎の割り込み処理の前半部分に置いた理由は、処理の優先度が高い後述の第2の所定期間毎の割り込みが第1の所定期間毎の割り込み処理の後半部分で発生する可能性が高いため、処理時間が通常長いコマンド出力管理処理(S1514)を第1の所定期間毎の割り込み処理の後半部分に置くと、その処理の途中で第2の所定期間毎の割り込みによって割り込まれる可能性が高くなり、コマンド出力管理処理(S1514)が処理の途中で打ち切られるという問題が生じやすくなるからである。したがって、その問題をできるだけ回避するため、コマンド出力管理処理(S1514)を第1の所定期間毎の割り込み処理の前半部分、望ましくは、第1の所定期間毎の割り込み処理の最初の部分に置くことによって、コマンド出力管理処理(S1514)の実行タイミングと第2の所定期間毎の割り込みタイミングとができるだけ重ならないようにしている。
【0109】
(特別遊技管理処理(S1516))
特別遊技管理処理(S1516)では、図柄変動、役物制御等遊技に関わる制御が行われる。
【0110】
第1の始動入賞口104又は第2の始動入賞口108への入賞球又は保留球の保留消化による特別図柄の変動開始時には、RAM424上のリーチ乱数ループカウンタから読み取られるリーチ乱数(リーチの種類(通常リーチ、ロングリーチ等)を決定するための乱数)、図柄乱数ループカウンタから読み取られる図柄乱数(演出図柄指定コマンドを決定するための乱数)、及び第1の始動入賞口104又は第2の始動入賞口108への入賞球の大当り乱数(特賞か外れかを決定するための乱数)又はその保留球の保留メモリに記憶されている大当り乱数に基づいて、主制御部310は、変動パターンコマンド、演出図柄指定コマンド及び特別図柄(左)と特別図柄(右)の各停止図柄等をRAM424上の各コマンドや各図柄専用の領域(以下、所定エリアという。)に記憶する。演出図柄指定コマンドの体系に関しては、コマンド出力管理処理(S1514)の中で既に説明した。
【0111】
主制御部310は、大当り動作中には、可変入賞球装置109を所定時間だけ開放することを大入賞口作動ソレノイド446に指示するための、大入賞口開放データ及び大入賞口閉鎖データをRAM424上の所定エリアに記憶する。
【0112】
主制御部310は、特別図柄表示用出力ポート432を介して、特別図柄(左)と特別図柄(右)を所定の変動時間だけ変動制御し、RAM424上の所定エリアに記憶されている特別図柄(左)と特別図柄(右)の各停止図柄で停止させる。各停止図柄は、2桁からなる7セグメントの特別図柄表示装置102に表示される。
【0113】
このように、S1516において、主制御部310は、特別図柄指定コマンドを他の制御部に送信することにより特別図柄を制御するのではなく、特別図柄表示用出力ポート432を介して特別図柄表示装置102側に表示駆動信号を送信し、特別図柄を直接制御する。
【0114】
主制御部310は、特別図柄を直接制御して変動をさせる処理を開始(例えば、特別遊技管理処理(S1516)に係わる制御として、特別図柄変動タイマを設定することや、特別図柄表示装置102側に表示駆動信号の送信を開始すること等)した後(例えば、4msec後)に、次に発生する割り込み処理のコマンド出力管理処理(S1514)において、副制御部340に対して変動パターンコマンドと、当該特別図柄に対応する演出図柄を示す演出図柄指定コマンドとを送信する。ここで、変動パターンコマンドで指定される演出図柄変動時間と、特別図柄変動タイマに設定された変動時間とは同一の値に設定されているため、特別図柄と演出図柄の変動開始/変動停止のタイミングは、所定時間(例えば、4msec)、すなわち、遊技制御系の割り込み周期分の時間差で同期がとられている。すなわち、副制御部340の処理速度にもよるが、図17に示すように、演出図柄が停止状態から変動状態に移るタイミング(変動開始タイミング)は、特別図柄(左特別図柄及び右特別図柄)が停止状態から変動状態に移るタイミングより遅れる(例えば、4msec後)。同様に、演出図柄が変動状態から停止状態に移るタイミング(停止タイミング)は、特別図柄が変動状態から停止状態に移るタイミングより遅れる(例えば、4msec後)。
【0115】
このように、演出図柄は、特別図柄の変動開始及び特別図柄の図柄確定した後に変動及び図柄確定する。
【0116】
(普通遊技管理処理(S1518))
普通図柄表示装置作動ゲート(左)105(又は、普通図柄表示装置作動ゲート(右)106)の球の通過による普通図柄の変動開始時には、RAM424上の当り乱数に基づいて、主制御部310は普通図柄の停止図柄データ等を準備する。この処理は、主制御部310が普通遊技管理処理を行う中で、普通図柄変動開始時と判断された場合に行われる。
【0117】
(外部情報処理(S1520))
主制御部310からの遊技状態の情報を、外部情報出力部454を介して遊技機外部に伝えるために、主制御部310は外部情報処理を行うことにより情報を外部に伝える。
【0118】
(ソレノイド制御処理(S1521))
主制御部310は、RAM424上の所定エリアに記憶した大入賞口開放データと大入賞口閉鎖データに基づいて、可変入賞球装置109を開放や閉鎖することを、大入賞口ソレノイド446に指示する。また、主制御部310は、第2の始動入賞口108を開放や閉鎖することも普通電動役物ソレノイド448に指示する。
【0119】
(その他乱数更新処理(S1522))
主制御部310は、第1の所定期間の割り込み処理の残余時間中のS1522において、大当たり乱数及び大当たり特別図柄乱数以外の乱数(リーチ乱数、外れ図柄乱数等)を更新する。
【0120】
次に、第2の所定期間毎の割り込み処理について説明する。
【0121】
(当たり抽選乱数更新処理(S1530))
主制御部310は、例えば、周期2msec毎にRAM424上の大当り乱数ループカウンタをインクリメント(+1)することにより、特賞用の大当り乱数、大当たり特別図柄乱数を更新する。同時に、主制御部310は、RAM424上の小当り乱数ループカウンタをインクリメント(+1)することにより、普通図柄用の小当り乱数を更新する。尚、本実施形態において、ループカウンタとは、0〜所定の最大値までの値をサイクリックに更新するカウンタを意味する。
【0122】
(入力処理(S1532))
主制御部310は、第1の始動入賞口104又は第2の始動入賞口108への入賞球を特別図柄始動スイッチ410によって検知すると、大当り乱数ループカウンタから大当り乱数を読み取ってRAM424上に記憶する。また、特別図柄変動中に第1の始動入賞口104又は第2の始動入賞口108に球が入賞したことを特別図柄始動スイッチ410によって検知すると、主制御部310は大当り乱数ループカウンタから大当り乱数、大当たり特別図柄乱数を読み取り、RAM424上の保留球の保留メモリに記憶する(球の保留)。特別図柄変動中にこのステップが繰り返し実行される毎に、RAM424上の保留球の保留メモリ上に連続的に各大当り乱数の値が複数保留球分記憶される。
【0123】
また、主制御部310は、普通図柄表示装置作動ゲート(左)105(又は、普通図柄表示装置作動ゲート(右)106)の球の通過を検知すると、当り乱数ループカウンタから当り乱数を読み取ってRAM424上に記憶する。
【0124】
さらに、主制御部310は、特別図柄始動スイッチ410による第1の始動入賞口104又は第2の始動入賞口108への入賞検知、大入賞口スイッチ414による大当り動作時の可変入賞球装置109への入賞検知、その他スイッチ418による第1の始動入賞口104、第2の始動入賞口108、可変入賞球装置109以外のその他の入賞口への入賞検知の結果を、RAM424上に記憶する。特に可変入賞球装置109への入賞検知の際には、主制御部310はまた、RAM424上の大入賞カウンタをインクリメント(+1)する。なお、大入賞カウンタは、大当たり中以外(通常状態時等)はカウントされないように制御されている。
【0125】
尚、主制御部310は、特定領域スイッチ416が実装されている場合には、それによる特定領域を通過した遊技球の検知の際に、RAM424上のVフラグを立てる。
【0126】
(賞球払出管理処理(S1534))
入力処理(S1532)でRAM424上に記憶した、特別図柄始動スイッチ410による第1の始動入賞口104又は第2の始動入賞口108への入賞検知、大入賞口スイッチ414による大当り動作時の可変入賞球装置109への入賞検知、その他スイッチ418による第1の始動入賞口104、第2の始動入賞口108、可変入賞球装置109以外のその他の入賞口への入賞検知の各結果に対して、主制御部310は各々の予め設定された賞球数に対応した賞球の払い出し数をRAM424上に記憶する。
【0127】
主制御部310は、RAM424上に記憶した賞球の払い出し数に基づいて、賞球払出装置452へ賞球の払い出しをコマンド出力により指示する。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】遊技機の正面概観の一例を示す図である。
【図2】遊技機の従来の制御部の一実施形態を示すブロック図である。
【図3】遊技機の制御部の一実施形態を示すブロック図である。
【図4】遊技機の主制御部の一実施形態を示すブロック図である。
【図5】遊技機の副制御部の一実施形態を示すブロック図である。
【図6】遊技機の表示制御部の一実施形態を示すブロック図である。
【図7】電源投入時における主制御部の主な処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】遊技球の入賞を契機に実行される主制御部のコマンド送信処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】電源投入時における副制御部の主な処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】副制御部が保持する演出モード選択テーブルの一例を示す図である。
【図11】遊技球の入賞を契機に副制御部が予告指定コマンドを作成・送信する処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】予告・低出現モード用の予告演出選択テーブルの一例を示す図である。
【図13】予告・中出現モード用の予告演出選択テーブルの一例を示す図である。
【図14】予告・高出現用の予告演出選択テーブルの一例を示す図である。
【図15】主制御部のCPUが実行する遊技制御処理の一例を表すフローチャートを示す図である。
【図16】演出図柄指定コマンド及び演出図柄表示用コマンドの内容を示す図である。
【図17】特別図柄と演出図柄の変動停止の時間的関係を示す図である。
【符号の説明】
【0129】
100 遊技機
101 遊技盤
102 特別図柄表示装置
103 演出図柄表示装置
104 第1の始動入賞口
105 普通図柄表示装置作動ゲート(左)
106 普通図柄表示装置作動ゲート(右)
107 普通図柄表示装置
108 普通電動役物(チューリップ)(第2の始動入賞口)
109 大入賞口を備える可変入賞球装置
111 遊技機ハンドル
112 特別図柄作動記憶表示灯(保留ランプ)
113 普通図柄作動記憶表示灯(保留ランプ)
120 演出切り替えスイッチ
200、300 制御部
210、310 主制御部
240、340 副制御部
270、370 表示制御部
410 特別図柄始動スイッチ
412 普通図柄作動スイッチ
414 大入賞口スイッチ
416 特定領域スイッチ
418 その他のスイッチ
419 RAMクリアスイッチ
420 ROM
422 CPU
424 RAM
426 入力ポート
428 大入賞口ソレノイド出力ポート
430 普通電動役物ソレノイド出力ポート
432 特別図柄表示用出力ポート
434 普通図柄表示用出力ポート
436 特別図柄作動記憶表示灯用ポート
438 普通図柄作動記憶表示灯用ポート
440 副制御用コマンド出力ポート
442 払出制御用コマンド出力ポート
444 外部情報出力ポート
446 大入賞口ソレノイド
448 普通電動役物ソレノイド
450 払出制御部
452 賞球払出装置
510 ROM
512 RAM
514 CPU
516 各種入力ポート
518 各種出力ポート
520 ランプ表示装置
522 効果音発生装置
524 演出用可動物
610 プログラムROM
612 RAM
614 ビデオRAM
616 キャラクタROM
618 入力ポート
620 CPU
622 画像処理用LSI(VDP)
624 出力ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の条件が成立した場合に、遊技者にとって有利な状態に遷移し、又は、遊技者に提示する演出を制御する遊技機において、
所定の入力部から得られる信号に応じて異なる演出制御用の情報を出力する第1の制御部と、
前記演出制御用の情報を入力し、当該情報に基づいて前記演出を決定する第2の制御部
を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記演出は、予告演出の出現率であることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記所定の入力部は、遊技機の電源部に接続されたスイッチであり、前記第1の制御部内の記憶部を初期化する機能を含むスイッチであることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記信号は、前記スイッチの押下時間によって定まることを特徴とする請求項3に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−119111(P2008−119111A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−304179(P2006−304179)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】