説明

遊技機

【課題】停電時に各制御装置(遊技制御装置100、排出制御装置200及び装飾制御装置132)の処理手段を停止させる場合に制御内容が簡素化される遊技機を提供する。
【解決手段】電源電圧が第2の値まで低下したときに、遊技制御装置、排出制御装置及び装飾制御装置の処理手段に対して動作を停止させるための停止信号を、遊技制御装置及び排出制御装置の処理手段における停電処理が実行された後のタイミングで、遊技制御装置、排出制御装置及び装飾制御装置の処理手段に同時に出力する停止手段(リセット検出回路152a)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤の入賞口に遊技球が入賞したことに応じて賞球数情報を送信する遊技制御装置と、送信された賞球数情報に基づいて賞球排出を制御する排出制御装置とを備えた遊技機(例えば、パチンコ機)に係わり、停電があっても前記賞球排出のための処理ができるだけ的確に実行される遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なパチンコ機は、遊技盤面における遊技の進行を制御する遊技制御装置から送信された賞球数情報に基づいて、別途構成(基板が別に構成されているという意味)された排出制御装置が球排出機構(例えば、排出ユニット)を駆動制御することで、遊技者に遊技価値である賞球を供給する賞球排出(又は、賞球払出という)を行っていた。
即ち、遊技盤面に形成される遊技領域に遊技球(以下、場合により単に球という)を発射し、この発射球が遊技領域内に設けられた各種入賞口に入賞したことを条件として、遊技者に遊技価値の供給をすべく、排出制御装置に賞球数情報(例えば、5個賞球、10個賞球というデータ)を送信して、排出制御装置によりパチンコ機前面下部の供給皿(又は、受け皿という)に所定数の遊技球(即ち、賞球)を排出している。
ところで従来では、賞球として排出される遊技球を検出する手段は、特に設けられておらず、上述した賞球排出の正常性(賞球排出された遊技球数が全体として正しいか否か等)は特に監視されていない。これは、従来では、全ての入賞球(入賞した遊技球)を集めて1個宛検出するセーフユニットでの検出がなされた時点で前記賞球数情報が1個送信され、その賞球数情報に対応する賞球排出動作が終了するまでは、次の入賞球の賞球数情報が必ず送信されないようになっており、誤動作が起き難い構成だからであると考えられる。
【0003】
ところが、上述した従来の一般的な遊技機における入賞球の検出及び賞球排出の方法は、全ての入賞球をセーフユニットに集めた後に1個宛検出して、順番に賞球排出を実行する構成であるので、賞球排出が入賞時点よりもその分遅れることになり、特に多量の入賞が一時期に集中して発生したような場合には、全ての入賞球に対する賞球排出が完了する時点が入賞時点よりも相当に遅れる場合があり得る(例えば、特許文献1)。
そこで最近では、賞球排出を高速にするために、上記したセーフユニットを設けないで、各入賞口それぞれに入賞球検出手段を設けたタイプのパチンコ機が提案されている。即ち、セーフユニットで1個宛検出したことに基づいて遊技制御装置から排出制御装置へ賞球数情報を送信する方法に代わって、例えば遊技盤面に設けられた各入賞口毎に遊技球のセンサ(即ち、入賞球検出手段)を設け、これらセンサの何れかに遊技球が入賞すると、排出制御装置に逐次賞球数情報を送信するとともに、入賞した遊技球を上記のごとく一時停留しておくことなく遊技機外に排出する制御を行い、一方、排出制御装置は送信された賞球数情報を順次記憶していき、この記憶していった賞球数情報に基づいて排出制御装置により球排出機構を駆動して賞球排出を実行するパチンコ機の提案がある。
【0004】
しかし、このようなタイプのパチンコ機では、前述のセーフユニットを備えたタイプと異なり、賞球が未排出でも入賞球は即座に遊技機外に排出されてしまうため、例えば球排出機構の故障や停電のために賞球が排出されないなどの事故が生じたときには、未排出の賞球数がどれだけ残っていたのかを後で確認できる仕組みが必要になるとともに、そのような異常の発生を監視して遊技者や遊技店に大きな不利益が生じる前にそのような異常を検知する必要がある。
そこで、上述したようなセーフユニットのないタイプのパチンコ機としては、例えば、遊技制御装置に賞球数情報(入賞の情報、又は賞球数データそのものなど)を記憶する記憶手段を設け、入賞が検出される毎に前記記憶手段の記憶値をその入賞分だけ増加させるとともに、排出制御装置に対して賞球数情報を送信する毎にその賞球分だけ前記記憶手段の記憶値を減少させるようにしたもの(又は賞球検出手段を設けて賞球が検出される毎に記憶値を減少させるものなどもある)が提案されている。或いは、排出制御装置に、遊技制御装置から送信された賞球数情報を記憶する記憶手段を設け、賞球数情報が送信される毎に前記記憶手段の記憶値をその賞球分だけ増加させるとともに、賞球排出動作を実行する毎にその賞球分だけ前記記憶手段の記憶値を減少させるようにしたもの(又は賞球検出手段を設けて賞球が検出される毎に記憶値を減少させるものなどもある)も提案されている。
【0005】
このような構成であると、前記記憶手段に未排出の賞球数情報が常に記憶されていることになり、前記記憶手段の記憶値を確認することで未払の賞球数が判明する。また、前記記憶手段の記憶値と、賞球検出手段の検出信号や球排出機構の作動状態などとを比較することで、賞球排出の異常が監視できる。例えば、前記記憶手段の記憶値が存在する(例えば、入賞数が1以上である)のに、長時間球排出機構が作動せず、或いは前記賞球検出手段の検出信号が出力されない場合には、賞球を排出すべきなのになんらかの故障で賞球が排出されていないと判断できるからである。また、前記記憶手段に対して停電時にもバックアップ電源を供給するバックアップ電源手段を設けることで、停電により未排出となった賞球数を記憶保持し、電源復帰後にその未排出分の賞球排出が可能となる。
但し、上述したような記憶手段を有する構成では、停電時の電圧降下の影響や、データの送受信中(又は読み出し・書き込み中)に停電で動作停止することによって、遊技制御装置等の処理手段(例えば、マイコンのCPU)が前記記憶手段に不正常なデータを書き込み、停電復帰後に適正な賞球排出ができないなどの不具合が発生する恐れがないとはいえず、そのためにさらに次のような改良が提案されている。
即ち、停電時には、前記処理手段の動作を許容電圧降下内で停止させるリセット信号に先だって、停電開始による僅かな電圧降下(前記許容電圧降下よりもさらに小さいもの)を検出して出力される停電検出信号が前記処理手段に入力される構成とし、この停電検出信号が入力されると、前記処理手段がバックアップされる適正な状態になる準備処理(以下、停電処理という)をリセット信号による動作停止前に確実に実行する構成が提案されている。この停電処理には、最終的に信号の入出力を無効状態とする処理や、前記記憶手段へのアクセスを禁止する処理(機能停止処理)が含まれているため、不適正な電圧レベルで前記処理手段が動作して前記記憶手段へ不正常にアクセスしたり、不適正な賞球数情報を送信してしまうといった不正常な動作が回避され、上述した不具合が防止される。
【0006】
【特許文献1】特開平11−076543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上述の遊技機にあっては、以下のような問題点があった。
(1)すなわち、遊技制御装置又は排出制御装置のうちの一方の記憶手段のみに対してバックアップ電源手段が設けられている構成であると、他方の記憶手段の賞球数情報が停電によって消滅することによって停電復帰後に未排出の賞球を排出することができない可能性があった。
例えば、排出制御装置の記憶手段のみがバックアップされている場合に、遊技制御装置の記憶手段に未送信の賞球数情報が残っている状態で停電があると、この未送信の賞球数情報は未排出のまま消滅してしまい、停電復帰後に未排出であることを確認したり未排出を解消するために補足的に排出することが不可能となって、完全な排出不足となってしまう。
また例えば、遊技制御装置の記憶手段のみがバックアップされていて、遊技制御装置では賞球数情報の送信毎に賞球数情報を減算する構成の場合に、排出制御装置の記憶手段に未排出の賞球数情報が残っている状態で停電があると、この未排出の賞球数情報は未排出のまま消滅してしまい(遊技制御装置にも記憶されていないため)、やはり完全な排出不足となってしまう。
(2)各制御装置の処理手段を別個に停止させる構成では、制御内容が複雑化されてしまう。
そこで、本発明は、停電時に各制御装置の処理手段を停止させる場合に制御内容が簡素化される遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的達成のため、請求項1記載の遊技機は、遊技盤の入賞口へ遊技球が入賞することに関連して、遊技の進行を管理制御するとともに、賞球排出すべき賞球数情報を決定して記憶し、この賞球数情報を送信する遊技制御装置と、
前記遊技制御装置から送信される賞球数情報を記憶し、この賞球数情報に基づいて遊技球を排出する球排出機構を作動させて少なくとも賞球排出の制御を行う排出制御装置と、
前記遊技制御装置から送信される装飾制御信号に基づき、装飾部材の発光を制御する装飾制御装置と、を備えた遊技機において、
前記遊技制御装置の前記賞球数情報を記憶する記憶手段に対し、停電時においてもバックアップ電源を供給可能なバックアップ電源手段と、
電源電圧が、前記遊技制御装置及び排出制御装置の処理手段が停電処理を実行すべき第1の値まで低下したことを検出した場合に、前記遊技制御装置及び排出制御装置の処理手段に対して前記停電処理の実行を指令するための停電検出信号を出力する停電検出手段と、
電源電圧が第2の値まで低下したときに、前記遊技制御装置、前記排出制御装置及び前記装飾制御装置の処理手段に対して動作を停止させるための停止信号を、前記遊技制御装置及び排出制御装置の処理手段における停電処理が実行された後のタイミングで、該遊技制御装置、前記排出制御装置及び前記装飾制御装置の処理手段に同時に出力する停止手段と、
を設けたことを特徴とする。
なお、停電検出手段は、前記遊技制御装置や排出制御装置とは独立した別個の回路(例えば、電源供給装置内の回路)として設けてもよいが、例えば遊技制御装置又は排出制御装置内の回路として設けてもよいし、或いは遊技制御装置又は排出制御装置の処理手段の機能として設けることもできる(つまり、前記処理手段が停電検出手段としても機能する態様もあり得る)。
【0009】
また好ましい態様として、例えば請求項2に記載のように、前記遊技制御装置及び排出制御装置の処理手段により実行される前記停電処理は、該遊技制御装置及び排出制御装置に設けられる記憶手段へのアクセスを禁止する処理を少なくとも含む構成としてもよい。
なお、前記停電処理の内容には、その他の機能を停止する処理(例えば、割込や、信号入力又は出力の一部又は全部を無効とする処理)が含まれてもよい。また、前記停電処理には、このような機能停止処理の他に、次のような処理が含まれてもよい。例えば、前記記憶手段へのアクセス停止を実行する前に、スタックポインタや中断アドレス等のデータを前記記憶手段(バックアップされたメモリ)に保存し、停電復帰後に停電時と同じ状態(賞球数情報の記憶状態に加えて遊技状態含む)に復帰できるようにする処理が含まれていてもよい。
また、例えば請求項3に記載のように、前記遊技制御装置の記憶手段の所定エリアに前記賞球数情報のデータを累積加算して記憶する一方で、前記所定エリアのデータを前記球排出機構の動作により排出された賞球排出分だけ減算することで、未排出の賞球数情報を前記所定エリアに記憶保持する構成としてもよい。
また、例えば請求項4に記載のように、前記遊技制御装置は、前記記憶手段の所定エリアに記憶された賞球数情報のデータの残数が無しになっている場合に減算すべき賞球数が存在したとしても、前記所定エリアのデータを賞球排出分だけ減算せずに当該賞球排出分のデータを前記記憶手段の特定エリアに累積加算し、
前記累積加算後の前記特定エリアの値が既定値以上となったときには、異常又は不正な賞球排出が実行されていると判定し、
前記特定エリアの値が既定値に未到達の場合には、正常の範囲であると判定する構成であってもよい。
また、例えば請求項5に記載のように、前記遊技制御装置は、前記特定エリアの値が既定値以上となったときには、異常又は不正な賞球排出が実行されていると判定して、前記装飾制御装置の制御により異常報知を行わせるためのコマンドを該装飾制御装置に出力する構成であってもよい。
また、例えば請求項6に記載のように、前記停止手段は、
前記遊技制御装置及び排出制御装置を起動させる場合に、該遊技制御装置の処理手段よりも排出制御装置の処理手段の方が早く起動するように前記停止信号を解除する構成であってもよい。
また、例えば請求項7に記載のように、前記停電検出手段からの停電検出信号を、前記遊技制御装置の処理手段よりも前記排出制御装置の処理手段に対して遅延させて出力する停電処理遅延制御手段を備える構成であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の遊技機は、遊技制御装置の賞球数情報を記憶する記憶手段に対し、停電時においてもバックアップ電源を供給可能なバックアップ電源手段と、電源電圧が、前記遊技制御装置及び排出制御装置の処理手段が停電処理を実行すべき第1の値まで低下したことを検出した場合に、前記遊技制御装置及び排出制御装置の処理手段に対して前記停電処理の実行を指令するための停電検出信号を出力する停電検出手段と、電源電圧が第2の値まで低下したときに、前記遊技制御装置、前記排出制御装置及び装飾制御装置の処理手段に対して動作を停止させるための停止信号を、前記遊技制御装置及び排出制御装置の処理手段における停電処理が実行された後のタイミングで、該遊技制御装置、前記排出制御装置及び前記装飾制御装置の処理手段に同時に出力する停止手段と、を備える。
このため、次のような効果を奏する。
本発明では、未排出の賞球数情報が、遊技制御装置及び排出制御装置の両方の記憶手段に記憶され停電時もバックアップされている。このため、停電復帰後にも、未排出の賞球数情報のデータをこれら記憶手段の記憶値によって確認し、その未排出分の賞球排出(停電後の補足的賞球排出)が確実に可能となる。
また、各制御装置の処理手段を別個に停止させる構成に比べ、制御内容が簡素化される利点がある。
【0011】
また、請求項2記載の遊技機の場合には、遊技制御装置及び排出制御装置の処理手段により実行される停電処理は、該遊技制御装置及び排出制御装置に設けられる記憶手段へのアクセスを禁止する処理を少なくとも含むので、停電の際に各処理手段が正常に動作できる電圧時(完全に電源ダウンする前に)に各処理手段の機能を停止させて、停電により各処理手段が不安定になって各記憶手段に不定な値が書き込まれることなどが信頼性高く防止でき、各記憶手段に記憶されている内容(例えば賞球データ)を確実に保持できるなどの利点が得られる。
また、請求項3記載の遊技機の場合には、遊技制御装置の記憶手段の所定エリアに賞球数情報のデータを累積加算して記憶する一方で、前記所定エリアのデータを球排出機構の動作により排出された賞球排出分だけ減算することで、未排出の賞球数情報を前記所定エリアに記憶保持する。
このため、停電からの復帰時に、遊技制御装置で把握している以上の賞球が払い出されることが防止でき、遊技制御装置で不必要に排出エラーが発生してしまうことが防止できる。
また、請求項4記載の遊技機の場合には、遊技制御装置は、前記記憶手段の所定エリアに記憶された賞球数情報のデータの残数が無しになっている場合に減算すべき賞球数が存在したとしても、前記所定エリアのデータを賞球排出分だけ減算せずに当該賞球排出分のデータを前記記憶手段の特定エリアに累積加算し、前記累積加算後の前記特定エリアの値が既定値以上となったときには、異常又は不正な賞球排出が実行されていると判定し、前記特定エリアの値が既定値に未到達の場合には、正常の範囲であると判定する。
このため、賞球排出の正常性をより念を入れて監視することができる。
また、請求項5記載の遊技機の場合には、遊技制御装置は、前記特定エリアの値が既定値以上となったときには、異常又は不正な賞球排出が実行されていると判定して、装飾制御装置の制御により異常報知を行わせるためのコマンドを該装飾制御装置に出力する。
このため、過剰賞球排出のエラーが生じたことを報知することができる。
また、請求項6記載の遊技機の場合には、停止手段は、前記遊技制御装置及び排出制御装置を起動させる場合に、該遊技制御装置の処理手段よりも排出制御装置の処理手段の方が早く起動するように前記停止信号を解除する。
このため、送信される信号の取りこぼしを極力回避することができる。
また、請求項7記載の遊技機の場合には、停電検出手段からの停電検出信号を、前記遊技制御装置の処理手段よりも前記排出制御装置の処理手段に対して遅延させて出力する停電処理遅延制御手段を備える。
これにより、排出制御装置の機能が実質的に停止する停電処理が、停電検出時点よりも遅延して実行されるため、遊技制御装置から送信される賞球数情報に基づく排出動作が停電による動作停止のより間際まで継続されることになって、遊技者に対する所定数の賞球の全ての払い出し動作がより完全に実行される可能性が高まる。このため、前述したような完全な排出不足(停電からの復帰後にも排出不可能なもの)が発生し難くなる。
またこの場合、排出制御装置による賞球排出の監視(前記記憶手段の賞球数情報の管理等)も、停電による動作停止のより間際まで継続されることになる。これにより、例えば停電開始直前に払い出されて動作停止の間際に賞球の検出エリアを通過するような賞球分をも、できるだけ検出して前記記憶手段の記憶値から減算することが、できる限り漏れなくできるようになる。このため、停電復帰して未排出の賞球排出を実行する際に、排出制御装置の前記記憶手段の記憶値に実際には払い出された賞球数が含まれ、余分な賞球が払い出されてしまう不具合が、発生し難くなり、遊技店の損害を最小限に抑制できる。
また、停電による動作停止直前に遊技制御装置から送信された賞球数情報が、通信ディレイによって排出制御装置で受信できない不具合(即ち、賞球数情報の取りこぼし)が、確実に防止され、このような不具合による賞球数情報の消滅による前述した完全な排出不足の問題が解消される。
というのは、排出制御装置の処理手段が、停電検出と同時に前述の停電処理を開始する構成であると、賞球数情報が遊技制御装置から排出制御装置に送信されている最中に停電になってしまった場合、その賞球数情報が完全にデータとして成り立った状態で記憶されないまま(未完全データのまま)処理手段の機能(受信した賞球数情報のデータを記憶手段に書き込む機能等)が停電処理により停止されてしまうので、この送信中の賞球数情報分の賞球について、完全な排出不足となってしまう。また、排出制御装置の処理手段が、遊技制御装置の処理手段よりも先に停電処理を実行すると、例えば、停電間際に送信中の賞球数情報が、遊技制御装置では送信したことになっているのに、排出制御装置では受信されておらず、結局その賞球数情報がいずれの制御装置においても未排出のまま消滅してしまい、やはりその分の賞球が完全な排出不足となってしまう恐れもあった。なお、遊技制御装置からの信号の発信と、排出制御装置での信号の受信までには、当然一定の通信ディレイが存在するので、上記不具合は、排出制御装置の処理手段が、遊技制御装置の処理手段と同時に停電処理を実行する場合にも起こりうる。
ところが請求項7記載の遊技機では、上述したような停電に起因する賞球数情報の消滅又は損傷が起き難く、未排出の賞球数情報が停電時にもより完全に記憶保持されて、停電により未排出のまま残った賞球が停電復帰後により確実に排出可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態をパチンコ機に適用した例として、図面を参照して説明する。
A.遊技盤の構成
図1はパチンコ機の遊技盤を示す正面図である。
図1において、1aは遊技盤であり、前面の略円形領域がガイドレール2で囲まれることにより遊技領域3が形成されている。
この遊技領域3には、識別情報(以下、場合により特図という)を複数の変動表示領域毎に変動表示するための表示画面4aを有する画像表示装置4(特図表示装置などと呼ばれるもの)と、開閉扉5aにより開閉される大入賞口5bを有する特別変動入賞装置5と、左右一対の開閉部材を有し特図始動口(特図の変動表示の始動条件となる入賞口)として機能する普通変動入賞装置6と、この場合大入賞口5bの左側に設けられ後述する普通図柄(以下、場合により普図という)を表示する普図表示器(普通図柄表示器)7と、スルーチャッカー形式の普図始動口(普図の変動表示の始動条件となる入賞口)8と、一般入賞口9,10と、風車と呼ばれる打球方向変換部材11と、サイドランプ12と、アウト穴13と、特別変動入賞装置5の両側及び下側に設けられたランプ14や飾り15などが備えられている。
また、画像表示装置4の上部には、4個の特図始動記憶表示器16が設けられている。また、特別変動入賞装置5の両側上面には、一般入賞口17が設けれ、さらに大入賞口5bの右側には、普図始動記憶表示器18が設けられている。
【0013】
そして、普通変動入賞装置6内の入賞流路には特図始動スイッチ51が、普通図柄始動口8内の通過流路には普図始動スイッチ52(図3に示す、以下図1に示されていないものは同様)が、それぞれ設けられている。また、特別変動入賞装置5の大入賞口5b内における、継続入賞流路(いわゆる特別入賞口を通過する流路)にはアタッカーVスイッチ53が、また一般入賞流路(特別入賞口を通過しない流路)にはアタッカーカウントスイッチ54がそれぞれ設けられている。また、各一般入賞口9,10,17には、それぞれ、入賞口スイッチ55〜60が設けられている。
【0014】
ここで、画像表示装置4は、カラーで静止画及び動画が表示可能な、例えば液晶ディスプレイ(LCD)であり、CRTであってもよい。
普図表示器7は、例えば、一桁の数字を表示する7セグメントの表示部を有し液晶又はLED等よりなる表示器であり、この場合前記普通図柄(普図)は、一桁の数字である。なお、後述する図3では、この普図表示器7を構成する表示素子としてLEDを例示しており、この表示素子を普図LED7aと称している。
また、特図始動記憶表示器16或いは普図始動記憶表示器18は、後述するように特図或いは普図の始動記憶の数を表示するものである。
また、特図始動スイッチ51は、普通変動入賞装置6に入賞した遊技球を1個ずつ検出し、普図始動スイッチ52は、普通図柄始動口8を通過する遊技球を1個ずつ検出し、アタッカーカウントスイッチ54は、特別変動入賞装置5の大入賞口5bに入った遊技球のうち一般入賞した遊技球を1個ずつ検出し、アタッカーVスイッチ53は、大入賞口5bに入った遊技球のうちいわゆる継続入賞(V入賞)した遊技球を1個ずつ検出する。また、入賞口スイッチ55〜60は、各一般入賞口に入賞した遊技球を1個ずつ検出するものである。
【0015】
なお、遊技盤1aの遊技領域3には、通常天釘やヨロイ釘といった多数の障害釘が設けられるが、ここでは繁雑になるので図示省略している。また、同様に図示省略しているが、遊技盤1aには、その他の各種装飾ランプや、LED等が設けられていてもよい。
また本発明では、遊技盤における遊技領域はどのようなものでもよく、任意の構成を取り得る。パチンコ機以外の遊技機であってもよい。なお、本例ではいわゆる「第1種」に属するパチンコ機に適用した例を説明する。
【0016】
B.球排出機構の構成
次に、本形態例の排出ユニット(球排出機構)の構成について説明する。この排出ユニットは、図示省略しているが、遊技機裏面側に設けられるものである。
排出ユニットは、遊技球が重力で流れ落ちるように基本的に上下方向に形成された遊技球流路(図示略)と、この遊技球流路の上部に設けられた払出ユニット15a(図3に示す。以下同様)と、この遊技球流路の下部に設けられた流路切換ユニット15bとに分けられる。流路切換ユニット15bの下部には、排出される遊技球を検出する排出球検出手段が設けられており、この排出球検出手段としては、貸球として排出された遊技球を検出する貸球検出センサ50bと、賞球として排出された遊技球を検出する賞球検出センサ50aとが設けられ、このうち賞球検出センサ50a(正確には、第1賞球検出センサと第2賞球検出センサ)が、本発明の賞球検出手段に相当している。
遊技球流路は、遊技機裏面側上部の貯留タンク(図示省略)から誘導されて屈曲接続ユニット(図示省略)を経た遊技球が上端側から流下するもので、流路切換ユニット15bに形成された分岐部(図示略)において二つに分岐し、一方が賞球として排出された遊技球を通過させるための賞球流路(図示略)となっており、他方が貸球として排出された遊技球を通過させるための貸球流路(図示略)となっている。分岐部には、遊技球流路の上流側に対して賞球流路又は貸球流路の何れか一方を閉じる位置に揺動可能な流路切換弁(図示略)が設けられ、この流路切換弁が流路切換ソレノイド35に駆動されて何れか一方の位置に揺動することにより、遊技球流路の下流側に排出された遊技球が、賞球流路と貸球流路のうちのいずれか一方を通過する構成となっている。
また、この形態例の排出ユニットは、上記遊技球流路が2列設けられた2条タイプであり、遊技球流路に付随する構成要素(流路切換弁や排出球検出手段など)も、これに対応して2組設けられている。
【0017】
払出ユニット15aには、2列の遊技球流路に対応した2枚のスプロケット(図示略)と、これらを一括駆動する1個の球排出モータ42(例えば、パルスモータ)と、この球排出モータ42の回転出力をスプロケットに伝達するための歯車機構(図示略)と、重力によるスプロケットの不用意な回転(即ち、遊技球の不用意な排出)を防止するための停止部材(図示略)と、この停止部材を駆動するストッパーソレノイド46とを有する。
上記スプロケットは、遊技球流路の上部に設けられた開口(図示略)から外周部が部分的に遊技球流路内に位置するように配置され、外周の歯と歯の間(即ち、谷部)に遊技球が1個宛はまり込む寸法形状となっており、必ずこのスプロケットの回転を伴って遊技球がこのスプロケットの箇所を通過する構成となっている(即ち、スプロケットが回転しなければ上記開口の箇所を遊技球が通過できない構成となっている)。
球排出モータ42は、上記スプロケットを所定量(所定角度又は所定回転量)だけ回転させて、遊技球を所定数下流側に排出する動作を駆動制御するためのものである。なおこの球排出モータ42は、排出制御装置200によって制御される。
停止部材は、爪が形成された先端側が前記歯車機構の歯車に対して進退するように揺動自在となっている。この停止部材の基端は、例えば引張バネ(図示略)によって付勢されており、この付勢力の向きは、上記爪を歯車の外周に押し付ける向きに設定されている。また、この停止部材の爪は、上記歯車の外周に押し付けられたときに、上記歯車の歯に係合し歯車機構の回転(即ち、各スプロケットの回転)を阻止する。
また、ストッパーソレノイド46は、前記停止部材の背面側に配置されて、励磁されると前記停止部材を引きつける力(上記歯車から後退させる力)を発生させ、非励磁状態では前記停止部材を解放するものである。このストッパーソレノイド46も、排出制御装置200によって制御される。
【0018】
このように構成された払出ユニット15aでは、排出制御装置200の制御によりストッパーソレノイド46が作動すると(励磁されると)、上述の引きつける力により前記停止部材の先端側が後退方向に揺動してその爪が前記歯車の外周に係合した状態が解除され、前記スプロケットが回転可能状態になる。そして、この回転可能状態において、排出制御装置200の制御により球排出モータ42が作動して前記スプロケットが排出方向に所定量だけ回転することによって、それに対応した数量の遊技球が下流側に送り出され、重力により遊技球流路を流れ落ちてゆく。また、こうして所定量の遊技球が排出された直後には、排出制御装置200の制御により球排出モータ42の回転が停止されるとともに、ストッパーソレノイド46が即座に非作動状態(非励磁状態)に戻される。これにより、前記付勢力によって停止部材の先端側が前進方向に揺動してその爪が前記歯車の外周に係合状態となり、前記スプロケットの回転が阻止されて重力の作用で所定量を越える量の遊技球が流下してしまう誤動作が確実に防止される。なお、遊技球の排出中(即ち、賞球排出又は貸球排出の最中)に停電があり、球排出モータ42やストッパーソレノイド46の作動が排出制御装置200による停電処理により停止した場合にも、上述した停止部材の作用で遊技球の流下が即座に阻止される。
次に、貸球検出センサ50bは、前述した貸球流路を通過する遊技球(即ち、貸球)を検出するセンサであり、賞球検出センサ50aは、前述の賞球流路を通過する遊技球(即ち、賞球)を検出するセンサである。なお、これらセンサ50a,50bの検出出力は、排出制御装置200に入力されており、さらにこれらセンサのうち賞球検出センサ50aの検出出力は、遊技制御装置100にも入力されている。また、これらセンサ50a,50bは、遊技球流路が2条あることに対応して、各遊技球流路にそれぞれ1個宛設けられており、後述する図3では、例えば一方の賞球検出センサ50aを第1賞球検出センサ、他方の賞球検出センサ50aを第2賞球検出センサと称している。
【0019】
C.電源供給系統
図2は本形態例の遊技機1における電源供給系統を示す図である。図2において、遊技機1には外部からAC24Vが供給されるようになっており、外部電源であるAC24Vはターミナル基盤71を介して間接的に電源供給装置150に分配される。電源供給装置150はAC24Vを直流に変換し、各種のDC電圧を生成して各制御装置に供給する。具体的には、ソレノイド駆動用のDC32V、ランプ類駆動用、センサ駆動用及びバックライト駆動用のDC12Vを駆動用電源として生成するとともに、各制御装置を動作させるための制御装置用電源としてDC5Vを生成する。そして、DC32V及びDC5Vを発射制御装置72(図3では省略)に、DC32V、DC12V及びDC5V(バックアップ電源含む)を排出制御装置200に、DC32V、DC12V及びDC5V(バックアップ電源含む)を遊技制御装置100に、DC12V及びDC5Vを音制御装置133に、DC32V、DC12V及びDC5Vを装飾制御装置132に、DC12V及びDC5Vを表示制御装置131に供給する。
【0020】
ここで、発射制御装置72は発射操作ノブ(図示略)の回動量に応じて発射装置(図示略)制御し、回動量に対応した強さで遊技球を発射させる制御を行う。なお、発射制御装置72には排出制御装置200から発射イネーブル信号が入力されるようになっており、発射イネーブル信号は排出制御装置200側で何らかの異常が生じた場合に、発射装置の発射動作を停止したり、あるいは異常が解消された場合に発射動作を可能にする信号である。
【0021】
排出制御装置200は遊技制御装置100から送信された遊技価値排出制御情報(賞球数情報を含む情報)に基づき、所定数の遊技球(即ち、賞球)を排出させる制御を行う(詳細後述する)。
また、排出制御装置200は球貸機80(いわゆるCRサンドユニット)との間で信号の授受を行いながら、球貸しに伴う制御も行う。すなわち、球貸機80からの球貸し準備完了を示すBRDY信号を遊技機1側の排出制御装置200で受信し、遊技機1側の準備完了を示すPRDY信号を球貸機80側で受信することにより、球貸機80を含めた球貸し制御が可能になる。また、球貸機80から排出制御装置200に球を貸し出すことを要求するBRQ信号を送信し、その信号の受信に基づき排出制御装置200で貸球排出を行い、貸球排出が終了したことに基づきEXS信号を球貸機80側へ送信することにより一連の球貸し制御が可能になる。
【0022】
遊技制御装置100は、遊技の総括的制御を行う制御装置であり、この場合、賞球排出制御についても重要な役割を果たす(詳細後述する)。
表示制御装置131は遊技制御装置100から送信された表示データ(表示制御信号)に基づき、画像表示装置4の画像表示を制御するとともに、画像表示装置4に対して電源を供給している。装飾制御装置132は遊技制御装置100から送信された装飾データ(装飾制御信号)に基づき、サイドランプ等の発光を制御するとともに、この発光装飾部材に電源を供給している。音制御装置133は遊技制御装置100から送信された音データ(音制御信号)に基づき効果音を生成する等、効果音に関する制御を行う。
【0023】
D.制御系の構成
次に、本形態例のパチンコ機の制御系の構成について説明する。
図3は制御系を示す図である。この制御系は、大きく分けて、遊技制御装置100と、電源供給装置150や排出制御装置200を初めとするその他の周辺装置等によって構成される。
ここで、遊技制御装置100は、マイクロコンピュータ(以下、場合によりマイコンという)を含む回路で、例えば遊技盤1aの裏面に取付けられた役物制御ユニット(図示略)により実現されている。また、電源供給装置150は、例えば遊技機の枠側に設けられたユニットで実現されている。また、排出制御装置200は、例えば遊技機の枠側に設けられた排出制御ユニット(図示略)によって実現されている。
図3において、遊技制御装置100は、パチンコ遊技等に必要な役物制御を行うワンチップマイコンからなる遊技用マイクロコンピュータ110と、水晶の発振周波数を分周して所定のクロックを得るクロック生成回路(CLK)101と、各種信号の入出力を行う入出力インターフェース102とを含んで構成される。遊技用マイクロコンピュータ110は、CPU111、ROM112、RAM113を内蔵しており、いわゆるアミューズチップ用のICとして製造されている。
ここで、遊技用マイクロコンピュータ110のCPU111は、本発明の遊技制御装置の処理手段を構成している。また、RAM113は、本発明の遊技制御装置において賞球数情報を記憶する記憶手段に相当している。
【0024】
なお、賞球数情報とは、入賞の有無や数、及び入賞口の種類、又は賞球数そのものデータ(賞球データ)、或いは賞球数が判別できる情報である。この場合具体的には、遊技用マイクロコンピュータ110のRAM内に所定のメモリエリア(以下、払出要求残カウンタという。)が確保され、排出制御装置200に送信済みの賞球データであって未排出のもの(払出要求値)が、賞球数情報としてこのメモリエリアに記憶される。
例えば、5個賞球の入賞があってその賞球データが賞球数情報として遊技制御装置100から排出制御装置200に送信されると、上記払出要求残カウンタに賞球数5個分の賞球データが加算される。一方、賞球検出センサ50aにより賞球排出が検出されると、遊技制御装置100の処理で、その排出数分の賞球データが上記払出要求残カウンタから減算される。
【0025】
入出力インターフェース102には、前述した特図始動スイッチ51、普図始動スイッチ52、アタッカーVスイッチ53、アタッカーカウントスイッチ54、入賞口スイッチ1〜N(55〜60)からの検出信号が入力される。なお、これらスイッチ51〜54や入賞口スイッチ1〜Nは、いわゆる入賞球検出手段に相当する。但し、普図始動口に遊技球が入賞(通過)しても通常賞球排出は実行されない(普図始動口は通常普図変動を始動させるだけのものである)ので、このような場合、普図始動スイッチ52は、入賞球検出手段に相当しない。本形態例では、普図始動スイッチ52を入賞球検出手段から除くこととする。
また、この入出力インターフェース102には、賞球排出および貸球排出のための遊技球が有るかどうか(前述の排出ユニットの上流側に十分な遊技球が有るか否か)を検出する半端球検出スイッチ24、遊技機前面下部に設けられた受皿(図示省略)の満杯状態(球の過剰貯留)を検出するオーバーフロースイッチ122、遊技機前面のガラスを支持するガラス枠が開けられたことを検出するガラス枠解放スイッチ123からの検出信号も、入力されている。また、賞球排出数を検知するための前述の第1及び第2賞球検出センサ50aからの検出信号も、中継基板250を介して入力されている。
なお、入賞口スイッチ1〜N(55〜60)は、遊技盤に一般入賞口がn個ある場合には、n個配置される。
また、半端球検出スイッチ24とオーバーフロースイッチ122は、排出前提条件の成否を判断するための排出準備状態検出手段である。この場合の排出前提条件とは、半端球検出スイッチ24により遊技球が検出されていること、オーバーフロースイッチ122により受皿の満杯状態が検出されていないことであり、これら全ての前提条件が成立していないと、たとえ未排出の賞球が残っていても、賞球排出が行われないように構成されている。即ち、本形態例では、この排出前提条件の成否を示す情報が前記遊技価値排出制御情報の一部として送信され、排出制御装置200においてこの排出前提条件の成立が確認されていないと、排出制御装置200が賞球排出を行わない構成となっている。なお、この排出前提条件の成立が遊技制御装置100において確認されていないと、前述した賞球情報の送信(遊技制御装置100から排出制御装置200への送信)が実行されず、結果的に賞球排出が行われないように構成されていてもよい(この場合は、前記排出前提条件の情報は送信不要)。
【0026】
一方、入出力インターフェース102からは、前述の表示制御装置131、装飾制御装置132、音制御装置133、前述の普図表示器7の普図LED7a、前述の普通変動入賞装置6を駆動する普電ソレノイド134、前述の特別変動入賞装置5の開閉扉を駆動するアタッカーソレノイド135、遊技盤用外部出力端子136、試験用出力部138に信号が出力される。また、この入出力インターフェース102からは、排出制御装置200に前述の遊技価値排出制御情報の信号が出力される。
ここで、遊技盤用外部出力端子136は、遊技盤側に設けられた外部情報端子であり、ここから外部の管理装置(図示略)に各種信号(例えば、大当り信号等)を出力するものである。なお、管理装置はホール全体の遊技機、島設備等を管理するもので、この端子を介して遊技制御装置100から各種信号(例えば、大当り信号等)が入力され、入力された各種信号に基づいて営業上の必要なデータを演算処理し、処理したデータを必要に応じてディスプレイに表示したり、印刷したりする。
また、試験用出力部138は、遊技制御装置100に記憶されている情報の読み出し等が可能な通信用の端子であり、遊技制御装置100の状態を検査する際などに用いるものである。
【0027】
次に、排出制御装置200は、遊技制御装置100から入力される遊技価値排出制御情報に基づいて、前述の排出ユニット(球排出機構)を駆動して賞球を排出する制御(詳細後述する)を行うものである。この場合の排出制御装置200は、CPU211、ROM212、及びRAM213を含むマイクロコンピュータ210と、所定のクロックを得るクロック生成回路(CLK)204と、入出力用インターフェース205とを含んで構成される。なお、各素子間はアドレスバス、データバス、電源線等で接続されている。CPU211は遊技球の排出(賞球排出および貸球排出を含む)に必要な処理を行い、ROM212は排出制御に必要なプログラム等を格納している。
【0028】
排出制御装置200の入出力用インターフェース205には、前述の賞球検出センサ50a及び貸球検出センサ50bからの信号が入力されている。
また、入出力用インターフェース205からは、前述の球排出モータ42やストッパーソレノイド46、及び流路切換ソレノイド35に制御信号が出力される。
なお、排出制御装置200と球貸機(CRサンドユニット)80とは、入出力用インターフェース205を介して双方向通信可能であり、前述したような信号の授受を行う。
【0029】
次に、電源供給装置150は、DC32V生成回路150a(図4に示す、図3にないもの以下同様)、DC5V生成回路151、DC5VBB生成回路(バックアップ電源手段)151a、DC12V生成回路151b、停電検出回路152、リセット検出回路152aを含んで構成される。
DC32V生成回路150aには、前述したターミナル基盤71からのAC24Vが供給されており、DC32V生成回路150aはこのAC24VをDC32Vに変換する。
DC12V生成回路151bには、前記DC32Vが供給されており、DC12V生成回路151bはこのDC32VをDC12Vに変換する。
DC5V生成回路151には前記DC32Vが供給されており、DC5V生成回路151はこのDC32VをDC5Vに変換する。なお、DC12V生成回路151bやDC5V生成回路151で変換された電力は、前述のマイコン110,210等の各素子の動作に必要な電源として供給される。
【0030】
一方、DC5VBB生成回路151aは、RAM113,213に停電時のバックアップ電源を供給する回路であり、この場合、逆流防止用のダイオード153と、コンデンサ(スーパキャパシタ)156とを含んで構成される。
即ち、RAM113,213には、不可逆手段として機能するダイオード153を介して、また配線154a,154bや155a,155bを通して、DC5V生成回路151からDC5Vが供給される。そして、DC5V生成回路151からのDC5Vはコンデンサ156にも供給されるようになっている。コンデンサ156は、配線154a,154bや155a,155bを介して、RAM113及び213に接続されている。
配線154a,154bや155a,155bの途中にはオス/メスタイプのコネクタ(図示略)が設けられており、コネクタによりこれら配線は電源供給装置150側と遊技制御装置100側又は排出制御装置200側とに分離可能である。
ここで、コンデンサ156は、本発明のバックアップ電源手段の電源部に相当し、通常運転時(非停電時)にダイオード153を介して充電され、停電時はRAM113及び213をバックアップするものである。即ち、コンデンサ156は、これらRAM113,213の記憶内容(特に、賞球データのメモリエリア)を保持すべくこれらRAM113,213に対してバックアップ電源を供給する。
なお、図示省略しているが、コンデンサ156からRAM113,213にバックアップ電源を供給するための配線154aや配線155a等には、例えばLCフィルタが設けられ、ノイズや電圧変動等による不具合が防止される構成となっていてもよい。
【0031】
また、停電検出回路152は、本発明の停電検出手段に相当し、DC5V生成回路への電源供給が断たれること(即ち、停電)を事前に検出(例えば、DC32Vが22Vまで低下したとき停電開始として検出)して、遊技制御装置100と排出制御装置200のCPU111,211に対し、停電検出信号を出力する回路である。この場合具体的には、図5に示すように、停電開始を検出したときに、出力電圧がLレベルになる。
さらに、リセット検出回路152aは、本発明の停止手段に相当し、リセットすべき電圧降下を検出(例えば、DC32Vが11Vまで低下したときリセット検出)して、各制御装置のCPU等に対し、リセット信号(この場合本発明の停止信号に相当)を出力する回路で、この場合具体的には、図5に示すように、前記電圧降下を検出したときに、出力電圧がLレベルになる。
なお、リセット信号とは、一般にCPU等を初期状態に戻すための信号であるが、CPU等では、このリセット信号が入力中は実質的に動作を停止する。そして、このリセット信号が解除されると各CPU等は再起動する。
また図5に示すように、停電時において、上記リセット信号は、前記停電検出信号よりも必ず遅れて出力される(遅延時間T1又はT2だけ遅延してLレベルになる)。但しこの場合には、上記リセット信号が、各制御装置の処理手段にリセット検出と同時にいっせいに入力され、各制御装置の処理手段がリセット信号によって動作停止する時期が同時となっている(即ち、T1とT2は等しく設定されている)。
また、停電検出信号を受信した遊技制御装置100や排出制御装置200のCPU111,211は、少なくとも出力信号をオフしてRAM113,213へのアクセスを禁止し、実質的に賞球排出に関連する処理も強制停止させる停電処理を実行する(詳細後述する)。
このような構成であれば、停電の際に各CPU111,211が正常に動作できる電圧時(完全に電源ダウンする前に)に各CPU111,211の機能を停止させて、停電により各CPUが不安定になってRAM113や213に不定な値が書き込まれることなどが信頼性高く防止でき、各RAMに記憶されている内容(例えば賞球データ)を確実に保持できるなどの利点が得られる。
【0032】
そして、排出制御装置200内には、本発明の停電処理遅延制御手段(遅延要素)を構成する遅延回路201が設けられており、これにより、排出制御装置200の処理手段(CPU211)が、前記停電処理を、停電検出回路152が停電開始を検出した時点よりも遅延した開始タイミングで、停電によるリセット検出前に、実行する構成となっている。なお、この場合の遅延回路201は、停電検出回路152から停電開始検出時に出力される前記停電検出信号を、排出制御装置200のCPU211に対して遅延時間T3(図5に示す)だけ遅延させて伝達する排出制御装置200内の遅延要素である。なお、遅延時間T3は、例えば、少なくとも遊技制御装置100が後述する停電処理を遂行でき、この停電処理の直前に送信された賞球数情報を排出制御装置200が受信完了できる時間以上に設定され、最大の時間としてはリセット信号が出力されてくるまでに排出制御装置200での停電処理が遂行できる時間である。
【0033】
またこの場合、遊技制御装置100や排出制御装置200を含む各制御装置には、図3及び図4に示すように、上記リセット信号の立ち上がり(リセット解除の信号)のみをCPU等に遅延させて伝達するためのリセットパルス幅生成回路103,203,131a,132a,133a,72aが設けられ、これらリセットパルス幅生成回路の特性設定によって各CPU等の起動時期が任意に設定可能となっている。なお、各制御装置の起動時期の設定は、送信される信号の取りこぼしをできるだけ回避するため、基本的に、下位側の基板をより早く立ち上げ、上位側の基板をより遅く立ち上げるのが好ましい。例えば、サブ基板(表示制御装置131、装飾制御装置132、音制御装置133)をまず起動させ、次いで発射制御装置72を起動させ、次に排出制御装置200を起動させ、最後に遊技制御装置100を起動させる。或いは、遊技制御装置100以外の各制御装置がリセット解除検出と同時に起動した後、これに遅延して遊技制御装置100が起動する態様でもよい(この場合、リセットパルス幅生成回路103以外のリセットパルス幅生成回路は不要となる)。
【0034】
E.制御系の動作
次に、前述した制御系により行われる本パチンコ機の制御処理の一例について説明する。なお、本発明の特徴部分である賞球排出関連の処理(サブルーチンや割込処理)のみについて説明し、他の処理(メインルーチン含む)については省略する。
(a)遊技制御装置における賞球データ送信制御
まず、遊技制御装置100(マイコン110)による賞球データ送信制御の処理(賞球数情報の送信処理)を説明する。この処理は、例えば、遊技制御装置100のメイン制御処理(メインルーチン)におけるサブルーチンとして、図3の発振器101により作り出される基準時間(例えば、4ms)毎に1シーケンスずつ、繰り返し行われる。
【0035】
処理が開始されると、ステップS1において、入賞球検出手段(前述の入賞口スイッチ1〜Nなど)の出力を読み取り、なんらかの入賞が検出されているか否か判定する。入賞が検出されていれば、ステップS2に進み、検出されていなければ、1シーケンスの処理を終了する(例えば、メインルーチンにリターンする)。
そして、ステップS2では、検出された入賞に対応する賞球数を決定し、次いでステップS3では、RAM113内の所定のメモリエリア(以下、払出要求残カウンタという)に、決定した賞球数(例えば、5個、10個、或いは15個のうちのいずれかなど)に対応する値(賞球数情報)を払出要求値として加算する。
次に、ステップS4では、ステップS2で決定した賞球数(賞球数情報)を含むコマンドを排出制御装置200に送信する。なお、このコマンドは、前述した遊技価値排出制御情報の一部である。そして、前述した遊技価値排出制御情報には前述の排出前提条件の情報も含まれてもよいが、この場合上記コマンドは、この排出前提条件の情報とは別々に送信される。但し、上記コマンドを、排出前提条件をも含む情報として送信してもよい。このステップS4を経ると、1シーケンスが終了する。
以上の処理によれば、入賞が検出される毎に、賞球数情報(この場合、上記コマンド)が決定され、これが排出制御装置200に送信されるとともに、この賞球数情報が記憶手段であるRAM113の所定エリア(払出要求残カウンタ)の記憶値(この場合払出要求値)として累積加算される。
【0036】
(b)遊技制御装置における賞球払出監視制御
次に、遊技制御装置100による賞球払出監視制御の処理を説明する。この処理も、例えば、遊技制御装置100のメイン制御処理におけるサブルーチンとして、基準時間毎に1シーケンスずつ、繰り返し行われる。
処理が開始されると、ステップS11において、前記払出要求残カウンタに残数が有るか否か(即ち、値が賞球数1個分以上か否か)判定し、有ればステップS12に進み、無ければステップS16に進む。
次に、ステップS12では、賞球検出センサ50aの検出信号を読み取り賞球が検出されたか否か判定し、検出されればステップS13に進み、されなければステップS17に進む。
そして、ステップS13では、検出された賞球数分(通常は、1個宛検出される)だけ払出要求残カウンタのデータ(払出要求値)を減算し、1シーケンスの処理を終了する。なお本形態例では、払出要求残カウンタのデータがゼロになっている場合には、たとえこのステップS13に処理が進んで減算すべき賞球数が存在していても、払出要求残カウンタのデータをその分マイナス値として設定することはしない(即ち、この場合には、ゼロのまま留める)。但し、変形例としては、過剰排出分をマイナス値として記憶可能で、その分がその後の入賞分から差し引かれて調整されるような態様もあり得る。
【0037】
一方、ステップS17では、払出要求残カウンタに値があるのに賞球が検出されない(賞球排出する必要があるのに賞球排出が実行されない)ので、異常判定を行う。異常判定は、例えば、払出要求残カウンタに値があるのに賞球が検出されない時間が設定値を越えた場合に異常と判定するものである。異常と判定されれば、ステップS18に進んで異常を報知するためのなんらかの信号出力や表示などを行う。例えば、前述の遊技盤用外部出力端子136を介して管理装置にこの異常を示す信号を出力する。一方、異常と判定されなかった場合には、1シーケンスの処理を終了する。また、ステップS18を経ると、1シーケンスの処理を終了する。
また、ステップS16では、賞球検出の有無に基づく異常判定を行う。このステップS16に処理が進むのは、上述した払出要求残カウンタの残数が無しになっているので、いちおう賞球排出が正常に終了したと推定される。しかし、このような状態にもかかわらず、まんがいち賞球検出がなされている場合には、異常又は不正な賞球排出が実行されていると判断されるので、それを判定する。具体的には、例えばこのステップS16に処理が進む毎に賞球検出センサ50aの検出信号を読み取って賞球が検出されたか否か判定し、賞球が検出された場合には、RAM113内の特定のエリア(以下、異常判定用カウンタという)に検出された賞球数のデータを累積加算する。そして、この累積加算後の異常判定用カウンタの値をその都度確認して既定値(例えば、賞球数16個分)以上となったときには、異常又は不正な賞球排出(過剰賞球排出)が実行されているとして、ステップS20に進む。賞球が検出されない場合、或いは賞球が検出されても上記異常判定用カウンタの値が既定値に未到達の場合には、正常の範囲であるとして、1シーケンスの処理を終了する。なお、上記異常判定用カウンタの値は、例えばステップS11の判定が肯定的になったときに、初期化してゼロに戻す。
そして、ステップS20では、例えば装飾制御装置132にコマンドを出力し、過剰賞球排出のエラーが生じたことを報知する遊技機前面の特定の警告ランプ等を、例えば遊技機の電源が再投入されるまで点灯又は点滅させ続けるための設定を行い、その後、1シーケンスの処理を終了する。
【0038】
以上の処理によれば、賞球が検出される毎に、この賞球分に対応した賞球数情報が払出要求残カウンタの記憶値(払出要求値)から減算される。
また、払出要求値が有るのに賞球検出がなされないと異常判定され、場合により異常報知のための出力が実行される(ステップS17,S18)。
また、払出要求残カウンタカウンタの残数が無いのに賞球検出がなされているときにも、場合によっては異常報知の出力が実行される(ステップS16,S20)。
そして、正常に賞球検出が実行され、払出要求残カウンタのデータが減算されている過程(払出要求残カウンタの残数が有る状態)では、ステップS13を経て1シーケンスの処理が終了し、異常出力はなされない(即ち、正常として処理が続行される)。また、払出要求残カウンタに残数が無くなり、賞球検出が無くなった場合にも、ステップS16の判定が否定的となり、異常出力はなされない(即ち、正常として処理が続行される)。
なお、上述のステップS17,S18やステップS16,S20の処理は、賞球排出の正常性をより念を入れて監視するための処理であり、必ずしも設ける必要はない。また、これらの監視処理は、排出制御装置200の側でも行ってもよいし、管理装置で行うようにしてもよい。また、このような監視(例えば、カウンタに残数がないのに賞球検出がなされていることの確認)は、例えば管理装置のモニターの表示によってこれらデータを見ることができる管理者によって実行されてもよい。
【0039】
(c)排出制御装置のデータ受信処理
次に、排出制御装置200(マイコン210)により行われるデータ受信処理(割込処理)を説明する。なおこの処理は、遊技制御装置100の前述のステップS4の処理で送信される遊技価値排出制御情報のコマンドが入力されることで生じる割込信号を起因として実行される割込処理である。
処理が開始されると(即ち、上記コマンドが入力されると)、ステップS21において、先ずこのコマンドを受信する処理を行う。
次いで、ステップS22では、RAM213内の所定メモリエリア(以下、払出実行残カウンタという)に、受信したコマンドに含まれる賞球数情報を払出実行値として加算する。
以上の処理によれば、賞球数情報が受信される毎に、受信された賞球数情報が、払出実行残カウンタに累積加算される。
【0040】
(d)排出制御装置の賞球払出制御
次に、排出制御装置200の賞球払出制御を説明する。なおこの処理は、例えば、排出制御装置200のメイン制御処理におけるサブルーチンとして、基準時間毎に1シーケンスずつ、繰り返し行われる。
処理が開始されると、ステップS31で、前述の払出ユニット15aのモータ42やストッパーソレノイド46の作動が終了しているか否か(即ち、停止状態か否か)判定する。そして、停止状態ならばステップS32に進み、作動中ならばステップS38に進む。なお、ここで停止状態とは、モータ42の回転が停止し、ストッパーソレノイド46が励磁されていない状態(即ち、賞球排出を停止している状態)をいう。
次に、ステップS32では、RAM213内に設けられた特定のメモリエリア(以下、目標値カウンタという)の残数が無しか否か(即ち、値が賞球数1個分未満か否か)判定し、無ければステップS33に進み、有ればステップS41に進む。
そして、ステップS41では、異常を報知する信号の出力等を行う。このステップS41に処理が進むのは、払出ユニット15aが賞球排出を停止しているのに、賞球排出の目標値が設定される目標値カウンタに残数があるという異常な状態であるので、このような処理がなされる。なおこの処理は、賞球排出の正常性をより念を入れて監視するための処理であり、必ずしも設ける必要はない。
このステップS41を経ると、1シーケンスの処理を終了する。
【0041】
一方、ステップS33では、払出実行残カウンタに残数が有るか否か判定し、無ければ1シーケンスの処理を終了し、有ればステップS34に進む。
次に、ステップS34では、遊技制御装置100から送信されている遊技価値排出制御情報の中の排出前提条件の情報を読み取り、排出前提条件が成立しているか否か(賞球の払出が許可されているか否か)を判定し、許可されてなければ1シーケンスの処理を終了し、許可されていればステップS35に進む。
次いで、ステップS35では、賞球排出の目標賞球数である払出目標値を決定し、この値を目標値カウンタに設定する。払出目標値の決定は、例えば、次のようにして行う。即ち、払出実行残カウンタの残数(払出実行値)の値が、排出ユニット15の最大排出球数(例えば、15個)を越えている場合には、この最大排出球数の値とし、この最大排出球数以下である場合には、その残数の値とする。つまり、最大排出球数の範囲内でなるべく大きな値とする。このようにすれば、1回の賞球排出で最も多くの賞球が排出でき、賞球排出の高速化に寄与できるからである。
なおここで、排出ユニット15の最大排出球数とは、半端球検出スイッチ24が検出信号を出力している際に前述の誘導路内に保有されていると推定される遊技球の最低数などから決定される値である。
【0042】
次に、ステップS36では、排出ユニット15(流路切換ユニット15b)の流路切換弁用ソレノイド35を必要に応じて作動させて、前述した賞球流路を遊技球が通過する状態に設定する。
次に、ステップS37では、排出ユニット15(払出ユニット15a)のストッパーソレノイド46を作動させて前述した停止部材の係合状態を解除した状態で、目標値カウンタに設定された払出目標値分の賞球数に対応する回転角又は回転量だけ球排出モータ42を作動させる制御を開始する。
次いで、ステップS38では、賞球検出センサ50aの検出信号を読み取り賞球が検出されたか否か判定し、検出されればステップS39に進み、されなければ1シーケンスの処理を終了する。
そして、ステップS39とその後のステップS40では、検出された賞球数分(通常は、1個宛検出される)だけ払出実行残カウンタや目標値カウンタのデータを減算する。
ステップS40を経ると、1シーケンスの処理を終了する。
なお本形態例では、払出実行残カウンタのデータがゼロになっている場合には、たとえ上記ステップS39に処理が進んで減算すべき賞球数が存在していても、払出実行残カウンタのデータをその分マイナス値として設定することはしない(即ち、この場合には、ゼロのまま留める)。但し、変形例としては、過剰排出分をマイナス値として記憶可能で、その分がその後の入賞分から差し引かれて調整されるような態様もあり得る。
【0043】
以上の処理によれば、目標値カウンタに残数がない状態(排出ユニット15は停止状態)で、払出実行残カウンタに残数が生じると(賞球数情報が存在すると)、排出前提条件が成立していることを前提として、目標値カウンタにそれに応じた所定の払出目標値が設定され、この払出目標値分の賞球を排出する排出ユニット15の一回の賞球排出動作が開始される(ステップS31〜S37)。そして、排出ユニット15の作動中(賞球排出動作中)には、ステップS31の判定が常に否定的になり、ステップS38の処理が繰り返されて、賞球が検出される毎に、ステップS39,S40の処理でその賞球数分の値が払出実行残カウンタや目標値カウンタから順次減算される。次いで、排出ユニット15が停止すると、ステップS32以降が再び実行されるようになり、払出実行残カウンタに残数が生じる度に(残数が存在する限り)、以上の動作が繰り返される。
なお、排出ユニット15が賞球排出を停止しているのに、目標値カウンタに残数があると、前述したように異常報知が行われる(ステップS41)。
【0044】
(e)遊技制御装置の停電処理
次に、遊技制御装置100(CPU110)が、前述の停電検出回路152の停電検出信号に基づいて実行する停電処理の一例を説明する。
停電検出回路152からの停電検出信号が入力されると、遊技制御装置100(CPU110)は、これを例えば強制的な割込信号(いわゆるNMI割込の信号)として扱って、他の割込(センサやスイッチ類の入力等)を無効にするとともに、その時点で実行中の処理(賞球数情報の送信処理含む)を中断し、少なくとも以下の処理を優先的に行う。
まず、全ての出力をオフし、次いで、スタックポインタや中断アドレス或いは各レジスタのデータを全てバックアップされているRAM113の所定エリアに保存する。この際必要があれば、前述した払出要求残カウンタの残数(最新値)もバックアップされているRAM113の所定エリアに当然保存する。そして、最後に、RAM113へのアクセスを禁止した後、リセット信号入力待ち状態で待機する。
【0045】
(f)排出制御装置の停電処理
次に、排出制御装置200(CPU210)が、前述の停電検出回路152の停電検出信号に基づいて実行する停電処理の一例を説明する。
停電検出回路152から遅延回路201を経由して停電検出信号が入力されると、排出制御装置200(CPU210)は、これを例えば強制的な割込信号(いわゆるNMI割込の信号)として扱って、他の割込(センサやスイッチ類の入力等)を無効にするとともに、その時点で実行中の処理(賞球数情報のデータ受信処理含む)を中断し、少なくとも以下の処理を優先的に行う。
まず、全ての出力をオフし、次いで必要があれば、前述した払出実行残カウンタの残数(最新値)をバックアップされているRAM213の所定エリアに保存する。そして、最後に、RAM213へのアクセスを禁止した後、やはりリセット信号入力待ち状態で待機する。
【0046】
F.停電時の動作
次に、以上のように構成された本形態例のパチンコ機の停電時の動作について説明する。
この場合、停電があって、まず電源供給装置150におけるDC32V生成回路150aの出力が32Vから例えば22Vに低下すると、図5に示すように、電源供給装置150の停電検出回路152が停電検出信号を出力する(その出力がLレベルになる)。すると同時に、この停電検出信号が遊技制御装置100のCPU111に入力され、これによって前述の遊技制御装置100の停電処理が実行される。また、上記停電検出信号は、図5に示すように、前述の遅延回路201の作用で時間T3だけ遅延して排出制御装置200のCPU211に入力され、これに応じて前述の排出制御装置200の停電処理が実行される。即ち、排出制御装置200の停電処理は、遊技制御装置100の停電処理が実行された後に、開始される。
そして、各制御装置100,200で停電処理が実行されると、前述したように他の処理を中断してセンサ類の入力や通信のための割込も無視されるため、図6に示すように、それぞれの制御装置における賞球検出センサ50aの入力監視(即ち、賞球数情報の管理による賞球排出の正常性の監視)が中断され、さらに遊技価値排出制御情報の通信処理(送受信処理)も中断されるが、必ず遊技制御装置100の側で先にこの中断がなされる。
次いで、電源供給装置150におけるDC32V生成回路150aの出力が32Vから例えば11Vに低下すると、図5に示すように、電源供給装置150のリセット検出回路152aがリセット検出信号を出力する(その出力がLレベルになる)。すると同時に、このリセット検出信号が全ての制御装置100,200,131,132,133,72のCPU等に入力され、これによってこれら全ての制御装置のCPUが電源ダウン前に確実に動作を停止する。
なお停電後、前記RAM113,213のデータ(前述した払出要求残カウンタ及び払出実行残カウンタの値含む)は、前述したDC5VBB生成回路151a(バックアップ電源手段)によってバックアップされて記憶保持されることは、前述したとおりである。
【0047】
以上説明した本形態例の遊技機であると、次のような効果がある。
(1)本形態例では、未排出の賞球数のデータが、遊技制御装置100及び排出制御装置200の両方の記憶手段(RAM113,213)に記憶され停電時もバックアップされている。即ち、遊技制御装置100の払出要求残カウンタと、排出制御装置200の払出実行残カウンタとには、賞球数情報のデータが記憶される。
このため、停電復帰後にも、未排出の賞球数のデータをこれら記憶手段の記憶値によって確認し、その未排出分の賞球排出(停電後の補足的賞球排出)が確実に可能となる。
(2)しかも本形態例では、排出制御装置200の機能が実質的に停止する停電処理が、停電検出時点よりもT3だけ遅延して実行されるため、遊技制御装置100から送信される賞球数情報(この場合、賞球数そのもののデータ)に基づく排出動作が停電による動作停止のより間際まで継続されることになって、遊技者に対する所定数の賞球の全ての払い出し動作がより完全に実行される可能性が高まる。このため、前述したような完全な排出不足(停電からの復帰後にも排出不可能なもの)が発生し難くなる。
【0048】
(3)またこの場合、排出制御装置200による賞球排出の監視(この場合、前述した払出実行残カウンタの賞球数データの管理等)も、停電による動作停止のより間際まで継続されることになる。これにより、例えば停電開始直前に払い出されて動作停止の間際に賞球検出センサ50aの検出エリアを通過するような賞球分をも、できるだけ検出して前記払出実行残カウンタの記憶値から減算することが、できる限り漏れなくできるようになる。このため、停電復帰して未排出の賞球排出を実行する際に、前記払出実行残カウンタの記憶値に実際には払い出された賞球数が含まれ、余分な賞球が払い出されてしまう不具合が、発生し難くなり、遊技店の損害を最小限に抑制できる。
(4)また本形態例では、排出制御装置200の機能が実質的に停止する停電処理が、遊技制御装置100の機能が実質的に停止する停電処理の実行時点よりも遅延して実行される(この場合、遊技制御装置100の停電処理は停電検出と同時に実行される)。このため、停電による動作停止直前に遊技制御装置100から送信された賞球数情報が、通信ディレイによって排出制御装置200で受信できない不具合(即ち、賞球数情報の取りこぼし)が、確実に防止され、このような不具合による賞球数情報の消滅による前述した完全な排出不足の問題が解消される。
(5)また本形態例では、排出制御装置200の停電処理を遅延させる手段を、排出制御装置200内に設けた遅延回路によって実現している。このため、他の制御装置の停電処理の実行時期に影響を与えることなく、この排出制御装置200の停電処理の実行時期を的確に遅延させることが簡素な回路構成で容易に可能となる。またこのため、他の制御装置(例えば遊技制御装置)の停電処理の実行時期を遅延させることも容易に可能となる(同様の遅延回路を他の制御装置に追加すればよい)。
【0049】
(6)また本形態例では、排出された賞球を検出してその検出信号を遊技制御装置100と排出制御装置200に出力する賞球検出手段(賞球検出センサ50a)を備え、遊技制御装置100と排出制御装置200のそれぞれが、前述した如く、それぞれの記憶手段(RAM113,213)の所定エリア(払出要求残カウンタ、払出実行残カウンタ)に賞球数情報のデータを累積加算して記憶する一方で、前記賞球検出手段の検出信号を受信すると、この検出信号に基づいて前記所定エリアのデータを賞球排出分だけ減算することで、未排出の賞球数情報を前記所定エリアにこの場合同一のデータとして記憶保持している。そして停電時には、前述した停電処理の実行タイミングの遅延によって、上記賞球数情報の加算処理や減算処理についても、遊技制御装置100よりも排出制御装置200の方がより電源ダウン間際のぎりぎりまで実行することになる。
このため、未排出の賞球数情報のデータは、遊技制御装置100の記憶手段(RAM113)と排出制御装置200の記憶手段(RAM213)とで同じ値になるか、或いは遊技制御装置100の記憶手段(RAM113)の方が大きくなる。なぜなら、遊技制御装置100から排出制御装置200への賞球数情報の送信に基づく排出制御装置200の記憶手段(RAM213)への賞球数情報の加算は、前述したように取りこぼし無く確実になされるが、遊技制御装置100への賞球検出手段の検出信号の入力に基づく遊技制御装置100の記憶手段(RAM113)からの賞球数情報の減算は、取りこぼしが生じる恐れがあり、しかもその場合、排出制御装置200側よりも取りこぼしの量が必ず多くなるからである。
このため、停電からの復帰時に、遊技制御装置100で把握している以上の賞球が払い出されることが防止でき、遊技制御装置100の前述したような賞球払出監視制御(ステップS16)によって、不必要に排出エラーの処理(ステップS20)が実行されてしまうことが防止できる。
【0050】
(7)また本形態例は、遊技制御装置100や排出制御装置200の処理手段(CPU111,211)を含む各制御装置の処理手段に対して、停電時に動作を停止させるための停止信号(リセット信号)を出力する停止手段(リセット検出回路152a)を備え、この停止信号は、前記停電処理が実行された後の同じタイミングで、全ての処理手段に同時に入力される構成となっている。
このため、各制御装置の処理手段を別個に停止させる構成に比べ、制御内容が簡素化される利点がある。
【0051】
なお、本発明は上記形態例の態様に限られず、各種の変形,応用があり得る。
例えば、上記形態例では、賞球検出センサ50aの信号を遊技制御装置にも入力し、遊技制御装置の賞球数情報の記憶値(前述の払出要求残カウンタのデータ)を賞球検出に応じて減算する構成としたが、この遊技制御装置での賞球数情報の減算は、例えば賞球数情報の排出制御装置への送信時(又は送信後)にその送信分だけ減算する態様(排出制御装置側のみで未排出の賞球数情報を正確に管理する態様)もあり得る(この場合、賞球検出センサ50aの信号を遊技制御装置に入力する必要はない)。また逆に、賞球検出センサ50aの信号を遊技制御装置のみに入力し、排出制御装置では賞球排出動作を実行する毎にその分の賞球数情報を減算する態様(遊技制御装置側のみで未排出の賞球数情報を正確に管理する態様)もあり得る。
また、上記形態例では、停電処理遅延制御手段が排出制御装置内の遅延要素で構成されているが、図7に示すように、電源供給装置150の停電検出回路152b内に設けた遅延回路(遅延要素)によって構成してもよい。このようにすると、各制御装置の停電処理実行時期が、停電検出回路の構成によって一括して設定できる利点がある。
また、停電処理遅延制御手段は、必ずしもハード構成としての遅延回路に限られず、例えばCPU211内の処理(ソフト)によって構成することもできる。
また、上記形態例では、排出制御装置200の停電処理実行時期のみを停電検出時点に対して遅延させたが、例えば遊技制御装置100の停電処理実行時期についても停電検出時点より遅延させてもよい。但し、排出制御装置200の方がより遅延するように設定すべきである。
また、前述した停電処理においては、全てのセンサ類の入力を無効とせず(賞球検出センサ50aのみを有効として)、賞球検出センサ50aの読み込みを行うステップを設け、停電処理中においても排出される賞球の把握を行う構成としてもよい。このようにすれば、排出された賞球の取りこぼしの可能性や量をさらに少なくできる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】パチンコ機の遊技盤を示す正面図である。
【図2】パチンコ機の電源系統を示すブロック図である。
【図3】パチンコ機の制御系を示すブロック図である。
【図4】パチンコ機の制御系の要部詳細を示すブロック図である。
【図5】停電処理等の実行時期を示すタイミングチャートである。
【図6】停電処理等の実行時期を示すタイミングチャートである。
【図7】パチンコ機の制御系の要部詳細(他の例)を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0053】
1 パチンコ機(遊技機)
50a 賞球検出センサ(賞球検出手段)
100 遊技制御装置
111 CPU(処理手段)
113 RAM(記憶手段)
151a DC5VBB生成回路(バックアップ電源手段)
152 停電検出回路(停電検出手段)
152a リセット検出回路(停止手段)
156 コンデンサ(バックアップ電源)
200 排出制御装置
201 遅延回路(遅延要素、停電処理遅延制御手段)
211 CPU(処理手段)
213 RAM(記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤の入賞口へ遊技球が入賞することに関連して、遊技の進行を管理制御するとともに、賞球排出すべき賞球数情報を決定して記憶し、この賞球数情報を送信する遊技制御装置と、
前記遊技制御装置から送信される賞球数情報を記憶し、この賞球数情報に基づいて遊技球を排出する球排出機構を作動させて少なくとも賞球排出の制御を行う排出制御装置と、
前記遊技制御装置から送信される装飾制御信号に基づき、装飾部材の発光を制御する装飾制御装置と、を備えた遊技機において、
前記遊技制御装置の前記賞球数情報を記憶する記憶手段に対し、停電時においてもバックアップ電源を供給可能なバックアップ電源手段と、
電源電圧が、前記遊技制御装置及び排出制御装置の処理手段が停電処理を実行すべき第1の値まで低下したことを検出した場合に、前記遊技制御装置及び排出制御装置の処理手段に対して前記停電処理の実行を指令するための停電検出信号を出力する停電検出手段と、
電源電圧が第2の値まで低下したときに、前記遊技制御装置、前記排出制御装置及び前記装飾制御装置の処理手段に対して動作を停止させるための停止信号を、前記遊技制御装置及び排出制御装置の処理手段における停電処理が実行された後のタイミングで、該遊技制御装置、前記排出制御装置及び前記装飾制御装置の処理手段に同時に出力する停止手段と、
を設けたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記遊技制御装置及び排出制御装置の処理手段により実行される前記停電処理は、該遊技制御装置及び排出制御装置に設けられる記憶手段へのアクセスを禁止する処理を少なくとも含むことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記遊技制御装置の記憶手段の所定エリアに前記賞球数情報のデータを累積加算して記憶する一方で、前記所定エリアのデータを前記球排出機構の動作により排出された賞球排出分だけ減算することで、未排出の賞球数情報を前記所定エリアに記憶保持することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記遊技制御装置は、前記記憶手段の所定エリアに記憶された賞球数情報のデータの残数が無しになっている場合に減算すべき賞球数が存在したとしても、前記所定エリアのデータを賞球排出分だけ減算せずに当該賞球排出分のデータを前記記憶手段の特定エリアに累積加算し、
前記累積加算後の前記特定エリアの値が既定値以上となったときには、異常又は不正な賞球排出が実行されていると判定し、
前記特定エリアの値が既定値に未到達の場合には、正常の範囲であると判定することを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記遊技制御装置は、前記特定エリアの値が既定値以上となったときには、異常又は不正な賞球排出が実行されていると判定して、前記装飾制御装置の制御により異常報知を行わせるためのコマンドを該装飾制御装置に出力することを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記停止手段は、
前記遊技制御装置及び排出制御装置を起動させる場合に、該遊技制御装置の処理手段よりも排出制御装置の処理手段の方が早く起動するように前記停止信号を解除することを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1つに記載の遊技機。
【請求項7】
前記停電検出手段からの停電検出信号を、前記遊技制御装置の処理手段よりも前記排出制御装置の処理手段に対して遅延させて出力する停電処理遅延制御手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1つに記載の遊技機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−284399(P2008−284399A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224263(P2008−224263)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【分割の表示】特願2000−49536(P2000−49536)の分割
【原出願日】平成12年2月25日(2000.2.25)
【出願人】(000132747)株式会社ソフィア (2,465)
【Fターム(参考)】