説明

遊技機

【課題】遊技球の動きに多様性を持たせることにより興趣の向上を図ることができ、遊技領域において遊技釘の取付位置の自由度を高めることができる遊技機を提供すること。
【解決手段】装飾部材は、普通図柄作動口26、第1球入口72、第1球出口73及び第2球入口74を備える。普通図柄作動口26は、遊技領域内を流下する遊技球A1が上方から通過可能である。第1球入口72は、遊技領域内を流下する遊技球A1が側方から迂回経路76内に進入可能である。第1球出口73は、第1球入口72の下方に設けられ、第1球入口72を介して迂回経路76内に進入した遊技球A1を、遊技領域において普通図柄作動口26の下方の領域に放出する。第2球入口74は、第1球出口73の下方に設けられ、遊技領域内を流下する遊技球A1が側方から進入可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤に取り付けられる装飾部材に特徴を有する遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機やアレンジボール機等の遊技機には、機内部に配置された遊技盤上に遊技領域が区画形成され、遊技領域の略中央部に枠状の装飾部材(いわゆるセンター役物)が配設されている。また、装飾部材の後側には、複数の図柄を変動表示して図柄変動ゲームを行う液晶式やドラム式の図柄表示装置が配設され、図柄表示装置の表示領域は、装飾部材の開口部を介して露出するようになっている。さらに、装飾部材の下方には、遊技球の入賞を契機として図柄表示装置での変動表示を開始させる始動入賞装置が配設されている。なお、この種の遊技機では、遊技領域に打ち出された遊技球が始動入賞装置に入賞することにより、図柄表示装置において図柄変動ゲームが開始され、リーチ演出等の遊技演出がなされるようになっている。そして、図柄表示装置において図柄が所定の組み合わせで停止すると、遊技者に有利な特別遊技状態(いわゆる大当り)が発生するようになっている。
【0003】
このように、大当りの発生には始動入賞装置への遊技球の入賞が必要とされるため、遊技者は、図柄表示装置での図柄変動ゲームと同様に、始動入賞装置への遊技球の入賞にも大きな関心を持って遊技を楽しんでいる。そこで、装飾部材の内側領域の下部に遊技球が左右方向に転動するステージを設け、遊技領域内を流下する遊技球を、装飾部材に設けた球入口(いわゆるワープ入口)及び球案内通路(いわゆるワープ通路)を介してステージ上に案内し、さらにステージ上を転動させた後に遊技領域に放出させる遊技機が提案されている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1に記載の遊技機によれば、遊技球の動きに多様性を与えて遊技者を楽しませることができる。また、特許文献1に記載の遊技機は、始動入賞装置の入賞口を開放する電動式の羽根部材を備えている。この羽根部材は、普通図柄作動口への遊技球の通過を契機として変動する普通図柄の変動結果に応じて開放することにより、始動入賞装置への遊技球の入賞に対する期待を高めている。
【特許文献1】特開2002−291997号公報([0023]、図2など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されている普通図柄作動口は、装飾部材の左端部近傍に配設され、遊技球は、普通図柄作動口と球入口との間の領域を流下しうるようになっている。具体的に言うと、遊技領域内において装飾部材の左端部近傍まで流下した遊技球は、1.球入口から球案内通路に進入する経路、2.普通図柄作動口を通過する経路、3.普通図柄作動口と球入口との間の経路のいずれかを通過する。ところが、普通図柄作動口を通過した遊技球(2.の経路を通過した遊技球)は、その後、遊技領域内を流下するだけであって球入口に案内されることはないため、面白みに欠けてしまうという問題がある。
【0005】
また近年は、図柄表示装置の大型化に伴って装飾部材も大型化されているため、遊技領域の大部分を装飾部材が占有するようになっている。よって、上記3.の経路を確保するためには、遊技領域において球入口から離れた箇所(具体的には内レールの近傍)に普通図柄作動口を配置する必要がある。この場合、遊技領域内を流下する遊技球を球入口に誘導する遊技釘とは別に、遊技球を普通図柄作動口に誘導する遊技釘を配置しなければ、遊技球を普通図柄作動口に誘導することができない。ゆえに、遊技釘の取付位置の自由度が小さくなる。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技球の動きに多様性を持たせることにより興趣の向上を図ることができ、遊技領域において遊技釘の取付位置の自由度を高めることができる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、遊技球が流下可能な遊技領域を有する遊技盤と、前記遊技盤の裏側に配設され、図柄を変動させて表示する図柄表示装置と、前記遊技盤の遊技領域に配設され、開口部を介して前記図柄表示装置の表示領域を露出させる枠状の装飾部材と、前記遊技盤において前記装飾部材の下方に配設され、前記遊技領域内を流下する遊技球が入賞可能であり、遊技球の入賞を契機として前記図柄表示装置での図柄の変動表示を開始させる始動入賞装置と、前記遊技盤に配設され、前記図柄表示装置での図柄の変動結果に応じて開放することにより前記遊技領域内を流下する遊技球が入賞可能となる特別入賞装置と、前記装飾部材に配設され、普通図柄を変動させて表示する普通図柄表示部と、前記普通図柄表示部での普通図柄の変動結果に応じて前記始動入賞装置の入賞口を開放する開閉部材とを備えた遊技機において、前記装飾部材は、前記装飾部材の側部に一体的に設けられ、前記遊技領域内を流下する遊技球が上方から通過可能であり、遊技球の通過を契機として前記普通図柄表示部での普通図柄の変動表示を開始させる普通図柄作動口と、前記装飾部材の側部に設けられ、前記普通図柄作動口よりも遊技球が通過不能な間隔を隔てて前記開口部側に配置され、前記遊技領域内を流下する遊技球が側方から迂回経路内に進入可能な第1球入口と、前記装飾部材の側部において前記第1球入口の下方に設けられ、前記第1球入口を介して前記迂回経路内に進入した遊技球を、前記装飾部材の側部から前記遊技領域において前記普通図柄作動口の下方の領域に放出する第1球出口と、前記装飾部材の側部において前記第1球出口の下方に設けられ、前記遊技領域内を流下する遊技球が側方から進入可能な第2球入口と、前記装飾部材の側部に設けられ、前記第2球入口を通過した遊技球を前記装飾部材の内側領域に案内する球案内通路と、前記装飾部材の内側領域の下部に設けられ、前記球案内通路から案内された遊技球を前記遊技領域に放出するステージとを備えることを特徴とする遊技機をその要旨とする。
【0008】
従って、請求項1に記載の発明によると、普通図柄作動口の下方に第1球出口が設けられ、第1球出口の下方に第2球入口が設けられているため、第1球出口から放出された遊技球だけでなく、普通図柄作動口を通過した遊技球であっても、第2球入口を介してステージに案内される可能性がある。よって、遊技球の動きに多様性を持たせることができ、興趣の向上を図ることができる。さらに、第1球出口の下方に第2球入口が設けられているため、第1球入口を介して迂回経路内に進入したにもかかわらず第1球出口から放出された遊技球であっても、第2球入口を介してステージに案内される可能性がある。よって、遊技球の動きがさらに多様化されるため、遊技の興趣がよりいっそう向上する。
【0009】
また、第1球入口が、普通図柄作動口よりも遊技球が通過不能な間隔を隔てて開口部側に設けられている。換言すると、普通図柄作動口は、装飾部材に設けられた第1球入口の近傍に配置されている。これにより、第1球入口の近傍にある遊技球が、第1球入口だけでなく普通図柄作動口にも誘導されうるため、遊技球を誘導する遊技釘を共通化でき、それ以外の遊技釘の取付位置の自由度が高くなる。
【0010】
なお、第1球入口は、普通図柄作動口の上方に配置されていてもよいし、普通図柄作動口の下方に配置されていてもよいが、普通図柄作動口の上方に配置されることが好ましい。このように配置される場合、遊技領域内において普通図柄作動口及び第1球出口の近傍を流下する遊技球は、普通図柄作動口を通過する可能性もあるし、第1球出口から迂回経路内に進入する可能性もある。これにより、遊技球の動きがさらに多様化されるため、遊技の興趣がよりいっそう向上する。
【0011】
ここで、「ステージ」とは、装飾部材の内側領域の下部であって図柄表示装置の下側に配置されており、例えば始動入賞装置の入賞口などへの入賞経路を構成するものである。ステージの上面は、凸部及び凹部のない平坦形状をなすものであってもよいし、凸部及び凹部からなる起伏形状をなすものであってもよい。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記迂回経路は、前記普通図柄作動口の前記開口部側に隣接し、前記第1球入口を介して前記迂回経路内に進入した遊技球を前記第1球出口に案内するガイド部材を備え、前記ガイド部材は、前記装飾部材の外側領域を向いた凹状の湾曲面を有することをその要旨とする。
【0013】
従って、請求項2に記載の発明によると、迂回経路を構成するガイド部材が湾曲面を有しているため、遊技球を、湾曲面に沿ってスムーズに転動させて第1球出口から確実に放出させることができる。ゆえに、遊技球の動きに変化をつけることができ、その動きが面白いものとなる。さらに、普通図柄作動口を通過する遊技球の動きが直線的なのに対し、迂回経路を通過する遊技球の動きは曲線的であるため、遊技球の動きに多様性を持たせることができる。しかも、普通図柄作動口が下方に遊技球を放出するのに対し、迂回経路が第1球出口から横方向に遊技球を放出することができるため、遊技球の動きがさらに多様化される。従って、遊技者は、迂回経路内の遊技球の動きに興味を持つことになるため、遊技の興趣がよりいっそう向上する。なお、迂回経路内の遊技球の動きに興味を持たせるためには、迂回経路内を通過する遊技球の様子が遊技者から見えることがよい。
【0014】
ここで、ガイド部材としては、凹状に湾曲形成されたガイド板や、湾曲面を有するブロック状のガイド部材などを挙げることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記第1球出口の下端部には第1球出口側突片が設けられ、前記第1球出口側突片の突出方向の延長線上には、前記遊技領域内を流下する遊技球、または、前記第1球出口から放出された遊技球を前記第2球入口に誘導しうる誘導釘が植設されていることをその要旨とする。
【0016】
従って、請求項3に記載の発明によると、第1球出口から放出された遊技球は、そのまま遊技領域内を流下するのではなく、第1球出口側突片によって誘導釘側に導かれる。さらに、遊技球は、誘導釘に跳ね返って第2球入口に誘導されうるようになっている。ゆえに、遊技球の動きに変化をつけることができ、その動きが複雑化される。従って、遊技者は、第1球出口→誘導釘→第2球入口の順に移動する遊技球の動きに興味を持つことになるため、遊技の興趣がよりいっそう向上する。また、遊技者は、誘導釘に跳ね返った遊技球が第2球入口に入ることに対して期待することができる。
【0017】
また、第1球出口側突片が普通図柄作動口の下方の領域に位置するため、第1球出口側突片には、普通図柄作動口を通過して遊技領域内を流下する遊技球が接触する可能性がある。この場合、遊技球の方向が変更されるため、遊技球の動きに変化をつけることができ、その動きが複雑化される。
【0018】
なお、第1球出口側突片の突出量は、第1球出口側突片の先端が普通図柄作動口の開口端の直下に到達する程度、換言すると、第1球出口側突片の先端が普通図柄作動口を通過して遊技領域内を流下(落下)する遊技球に何とか接触する程度に設定されることが好ましい。仮に、第1球出口側突片の突出量が小さすぎると、普通図柄作動口を通過して遊技領域内を流下する遊技球の方向に影響を及ぼすことができなくなる。一方、第1球出口側突片の突出量が大きすぎると、普通図柄作動口を通過した遊技球の方向に大きな影響を及ぼすため、遊技球が第2球入口に進入する可能性が小さくなってしまう。その結果、遊技者は、遊技球の動きに対して期待できなくなる。
【発明の効果】
【0019】
以上詳述したように、請求項1〜3に記載の発明によれば、遊技球の動きに多様性を持たせることにより興趣の向上を図ることができ、遊技領域において遊技釘の取付位置の自由度を高めることができる遊技機を提供することができる。特に、請求項2によれば、遊技の興趣がよりいっそう向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を遊技機(パチンコ機)の遊技盤11に具体化した一実施形態を図面に基づき説明する。
(1)遊技盤11の構成
【0021】
図1に示されるように、遊技盤11の遊技盤面11aには、遊技領域12を区画する内レール13a及び外レール13bが略円形状に敷設されている。また、内レール13aと外レール13bとの間に生じる発射経路14には、操作ハンドル(図示略)を操作した際に発射装置によって発射された遊技球A1(図6等参照)が通過するようになっている。そして、発射経路14を通過した遊技球A1は、発射経路14の終端部に存在する球戻り防止部材15を押し広げて遊技領域12に進入し、遊技領域12内を流下するようになっている。また、遊技領域12内には風車16が配設され、遊技領域12のほぼ全域には複数の遊技釘41が植設されている。風車16及び各遊技釘41は、遊技領域12内を流下する遊技球A1の方向を変更するようになっている。
【0022】
図1に示されるように、遊技盤11の後側には、複数種類の図柄を変動表示して図柄変動ゲームを行う図柄表示装置18が配設されている。さらに、遊技領域12の略中央部には、『装飾部材』としてのセンター役物31が配設されている。センター役物31は、図柄表示装置18を装飾するための枠状部材である。図2,図3等に示されるように、センター役物31を構成する合成樹脂製の役物本体32の前面には全体的に装飾が施されており、その略中央部には横長矩形状の開口部33が設けられている。この開口部33は、図柄表示装置18の表示領域Hを露出させるべく、表示領域Hの大きさに対応して形成されている。また、役物本体32の外周部には、遊技盤11への取り付けの際に遊技領域12に当接するフランジ部34が突設されている。そして、フランジ部34の複数箇所を図示しないネジで固定することにより、センター役物31が遊技盤11に取り付けられる(図1参照)。
【0023】
なお図1に示されるように、センター役物31は、遊技領域12の右上に偏った状態で配置され、開口部33を含むセンター役物31の設置領域の面積は、遊技領域12の面積の65%程度を占めている。このため、遊技領域12に進入した遊技球A1の殆どが、センター役物31の左側の領域を流下するようになる。即ち、遊技球A1が流下可能な遊技領域12は、実質的にセンター役物31の上方、左方及び下方に略限定されている。また、センター役物31と前記内レール13aとの最短距離が遊技球A1の直径の2倍程度に設定されているため、センター役物31と内レール13aとの距離が最短距離となる領域は、役物(風車など)が設置困難な大きさとなっている。
【0024】
また、センター役物31の下方には、第1始動入賞口22aと第2始動入賞口22bとが形成された始動入賞装置22が配設されている。第1始動入賞口22a及び第2始動入賞口22bには、遊技領域12内を流下する遊技球A1が入賞可能になっている。なお、第1始動入賞口22aへの遊技球A1の入賞を契機として前記図柄表示装置18による図柄変動ゲームが開始されると、所定数(本実施形態では3個)の賞球の払い出しが行われるようになっている。同様に、第2始動入賞口22bへの遊技球A1の入賞を契機として図柄表示装置18による図柄変動ゲームが開始されると、所定数(本実施形態では4個)の賞球の払い出しが行われるようになっている。
【0025】
図1に示されるように、第2始動入賞口22bは、第1始動入賞口22aの直下に配置され、普通電動役物が一体的に構成された入賞口である。普通電動役物は、『開閉部材』である一対の羽根部材22cからなり、図示しないソレノイドの励磁作用で第2始動入賞口22bを開放することにより、第2始動入賞口22bへの遊技球A1の入賞が許容されるようになっている。
【0026】
また、始動入賞装置22の下方には、図示しないソレノイドにより開閉動作を行う開閉扉を備えた『特別入賞装置』である大入賞装置24が配設されている。大入賞装置24は、大入賞口への遊技球の入賞を契機として、所定数(本実施形態では15個)の賞球の払い出しが行われるようになっている。さらに、遊技領域12において大入賞装置24の左方には、左下外入賞口23aと左下内入賞口23bとが配設されている。また、遊技領域12において大入賞装置24の右方には、右下外入賞口23cと右下内入賞口23dとが配設されている。これらの入賞口23a,23b,23c,23dは、遊技球の入賞を契機として、所定数(本実施形態では10個)の賞球の払い出しが行われるようになっている。なお、遊技領域12の最下部(内レール13aの下端部)には、いずれの入賞口22,23a〜23d,24にも入賞しなかった遊技球A1を回収するためのアウト口25が配置されている。
【0027】
図1等に示されるように、前記センター役物31の左側部には、遊技球A1の通過を検知する機能を有する『普通図柄作動口』であるゲート26が一体的に設けられている。ゲート26は、上下方向に開口しており、遊技領域12内を流下する遊技球A1が上方から通過可能になっている。ゲート26の奥方には、通過した遊技球A1を検知するゲートスイッチ27(図9,図10参照)が設けられている。なお、ゲートスイッチ27にて遊技球A1が検知された場合に乱数を取得し、取得した乱数が所定の乱数値であるか否かに基づいて前記普通電動役物のソレノイドが駆動される。このような開放判定によって普通電動役物の一対の羽根部材22cが開放されるため、第2始動入賞口22bに遊技球A1が入賞しやすくなる。
【0028】
図1,図2等に示されるように、センター役物31の右下部には、当りの図柄「○」を示す可視表示部と、ハズレの図柄「×」を示す可視表示部とを備えた普通図柄表示部35が配設されている。この普通図柄表示部35では、ゲートスイッチ27にて遊技球A1が検知された場合に、普通図柄を変動させて表示(「○」及び「×」を交互に点灯)する普通図柄変動ゲームが開始され、該普通図柄変動ゲームの結果として、乱数抽選の結果を示す普通図柄が表示(一方の可視表示部が点灯)されるようになっている。そして、当りの図柄が導出された場合(普通図柄変動ゲームに当選した場合)、普通電動役物のソレノイドが所定時間だけ駆動され、一対の羽根部材22cが開放されるようになっている。
【0029】
また、普通図柄表示部35の右上には、普通図柄保留表示装置Fが配設されている。普通図柄保留表示装置Fは、第1保留ランプ、第2保留ランプ、第3保留ランプ及び第4保留ランプからなる複数(4個)の発光手段によって構成されている。保留ランプは、ゲート26の通過を契機として記憶された遊技球A1(普通図柄保留球)が存在する場合に点灯し、普通図柄保留球が存在しない場合に消灯する。各保留ランプは、普通図柄保留球の数(普通図柄保留球数)を示すためのものである。例えば、普通図柄保留球が2個である場合、2個の保留ランプが点灯する。
【0030】
ここで、「普通図柄保留球数」とは、ゲート26を通過した遊技球A1の数を所定の最大値(本実施形態では4)の範囲で記憶した値である。普通図柄保留球数は、ゲート26への遊技球A1の通過により「+1」され、開放判定が行われたことにより「−1」される。
(2)センター役物31の左上部の構成
【0031】
図1〜図8に示されるように、センター役物31の左上部は、前記外レール13bと略平行な正面視略円弧状に形成されており、センター役物31の中央部から左側に行くに従って低くなる傾斜した円弧状の遊技球転動通路91を有している。遊技球転動通路91は、遊技領域12の上部位置に打ち出されて遊技球転動通路91へ流下した遊技球A1を、遊技球転動通路91に沿ってセンター役物31の左側部へ流下案内するようになっている。
【0032】
図3,図6〜図8に示されるように、遊技球転動通路91上には、上流側突部92、第1突部93及び第2突部94が互いに離間した状態で配設されている。上流側突部92、第1突部93及び第2突部94は、遊技球転動通路91上を転動してきた遊技球A1を跳ね上げるためのものである。上流側突部92は、遊技球転動通路91において最も上流側に配置された突部である。第1突部93は、上流側突部92よりも遊技球A1の略4個分の直径だけ遊技球転動通路91の下流側に配置されている。第2突部94は、第1突部93よりも遊技球A1の略直径分だけ遊技球転動通路91の下流側に配置されている。また、上流側突部92、第1突部93及び第2突部94は、遊技球転動通路91の上流側に位置する第1面95と、遊技球転動通路91の下流側に位置する第2面96とを有し、それぞれ断面略三角形状をなしている。各突部92,93,94において、第1面95の面積は第2面96の面積よりも大きくなっている。また、遊技球転動通路91からの上流側突部92の突出量は、遊技球A1の直径の約7分の1に設定され、遊技球転動通路91からの第1突部93及び第2突部94の突出量は、遊技球A1の直径の約6分の1に設定されている。さらに、各突部92,93,94の奥行方向(遊技球転動通路91に直交する方向)の長さは、互いに等しくなっている。そして、第1突部93及び第2突部94は互いに同一形状をなしている。また、第1突部93が有する第1面95の水平面を基準とした傾斜角は、上流側突部92が有する第1面95の水平面を基準とした傾斜角よりも小さく、第2突部94が有する第1面95の水平面を基準とした傾斜角は、第1突部93が有する第1面95の水平面を基準とした傾斜角よりも小さくなっている。即ち、第1面95の水平面を基準とした傾斜角は、下流側の突部に行くに従って大きくなっている。
【0033】
図1〜図5に示されるように、前記センター役物31の左上部の前側には、遊技球転動通路91に沿って延びる跳ね上げ防止板97が取り付けられている。跳ね上げ防止板97は、遊技球転動通路91を転動する遊技球A1が前側に跳ね上がるのを防止するためのものである。跳ね上げ防止板97は、各突部92,93,94を正面から視認できないように覆っている。即ち、遊技球転動通路91からの跳ね上げ防止板97のセンター役物31から離間する方向への突出量は、遊技球転動通路91からの各突部92,93,94の突出量よりも大きくなっている。また、跳ね上げ防止板97の長手方向における長さは、上流側突部92から第2突部94までの距離よりも長くなっている。なお、跳ね上げ防止板97の前面には、文字や絵などの装飾が施されている。また、センター役物31内において各突部92,93,94の裏側(後方)となる箇所には、跳ね上げ防止板97の後方にある図示しない発光ダイオード(発光手段)を発光させるための発光制御基板98が設けられている(図2参照)。
(3)遊技釘41の配置
【0034】
図1,図5〜図8に示されるように、前記各遊技釘41の一部は、球戻り防止用釘42、案内釘43及び減速釘44a,44b,44cとなっている。これら球戻り防止用釘42、案内釘43及び減速釘44a〜44cは、正面視で跳ね上げ防止板97によって隠れない位置に植設されている。球戻り防止用釘42は、前記遊技領域12において複数本存在しており、前記球戻り防止部材15の右側の領域において前記外レール13b、遊技球転動通路91及び跳ね上げ防止板97が延びる方向と直交するように植設されている。そして、各球戻り防止用釘42よりも右側の位置に上流側突部92が配置され、各球戻り防止用釘42よりも左側の位置に第1突部93及び第2突部94が配置されている。また、隣接する球戻り防止用釘42間の距離は、遊技球A1の直径分よりも小さくなっている。各球戻り防止用釘42は、最も上方に位置する球戻り防止用釘42の上方を通過して各球戻り防止用釘42の右側に到達した遊技球A1が前記発射経路14に戻ることを防止するためのものである。また、案内釘43は、遊技領域12において複数本存在しており、遊技球転動通路91及び跳ね上げ防止板97が延びる方向に沿って植設されている。各案内釘43は、各球戻り防止用釘42を越えて各球戻り防止用釘42の右側に到達した遊技球A1を遊技球転動通路91上に案内するためのものである。
【0035】
図6〜図8に示されるように、減速釘44a〜44cは、上流側突部92の近傍と突部93,94の近傍とにそれぞれ植設されている。詳述すると、上流側突部92の近傍にある減速釘44aは、上流側突部92の先端(具体的には、第1面95と第2面96との接続部分)よりも左側かつ上方の領域に1本植設されている。減速釘44aは、遊技球転動通路91上を転動してきて上流側突部92の第1面95上を通過して跳ね上げられた遊技球A1の衝突により、遊技球A1の勢いを弱めるようになっている。また、突部93,94の近傍にある減速釘44b,44cは、第1突部93の先端(具体的には、第1面95と第2面96との接続部分)よりも左側かつ上方の領域であって、第2突部94の先端(具体的には、第1面95と第2面96との接続部分)よりも上方の領域に、2本植設されている。即ち、第2突部94は減速釘44b,44cの略直下に配置されている。減速釘44b,44cは、遊技球転動通路91上を転動してきて第1突部93の第1面95上を通過して跳ね上げられた遊技球A1の衝突により、遊技球A1の勢いを弱めるようになっている。そして、減速釘44b,44cに衝突した遊技球A1は、落下して第2突部94に衝突するようになっている。
【0036】
なお図7(a),(b)に示されるように、上流側突部92の先端と、減速釘44aの軸部(図6,図7の破線部分参照)の外周面との距離は、遊技球A1の直径(11mm)の1.03倍程度に設定されている。また、上流側突部92の第1面95を正面から見たときの延長線L1に直交して減速釘44aの軸部の外周面と遊技球転動通路91とを結ぶ線分L2の長さは、遊技球A1の直径の1.20倍程度に設定されている。さらに、線分L2及び延長線L1の交点S1と減速釘44aの軸部の外周面との距離は、遊技球A1の直径の0.88倍程度に設定されている。
【0037】
また図8(a),(b)に示されるように、第1突部93の先端と、2本の減速釘44b,44cのうち右側にある減速釘44cの軸部(図6,図8の破線部分参照)の外周面との距離は、遊技球A1の直径の1.03倍程度に設定されている。また、第1突部93の第1面95を正面から見たときの延長線L3に直交して減速釘44cの軸部の外周面と遊技球転動通路91とを結ぶ線分L4の長さは、遊技球A1の直径の1.41倍程度に設定されている。さらに、線分L4及び延長線L3の交点S2と減速釘44cの軸部の外周面との距離は、遊技球A1の直径の0.93倍程度に設定されている。
(4)センター役物31の左側部の構成
【0038】
図1〜図3,図9〜図12等に示されるように、センター役物31の左側部(前記発射経路14側の側部)には、前記ゲート26、第1球入口72、第1球出口73、第2球入口74及び球案内通路75が設けられている。第1球入口72は、ゲート26よりもセンター役物31の前記開口部33側、具体的には、ゲート26の右上に配置されている。また、第1球入口72は、ゲート26から遊技球A1が通過不能な間隔を隔てて配置されている。そして、第1球入口72は、センター役物31の左側方にて開口している。よって、遊技領域12内を流下する遊技球A1は、第1球入口72の左側方から迂回経路76内に進入可能となっている。
【0039】
なお、迂回経路76は、『ガイド部材』であるガイド板77、及び、装飾カバー部材78によって構成されている。ガイド板77は、ゲート26の開口部33側においてゲート26に隣接して配置されている。ガイド板77は、センター役物31の外側領域に向かって凹状に形成された板状部材であり、前記役物本体32の前面に突設されている。よって、ガイド板77は、センター役物31の外側領域を向いた凹状の湾曲面77aを有している。ガイド板77は、第1球入口72を介して迂回経路76内に進入した遊技球A1を第1球出口73に案内するようになっている。また、装飾カバー部材78は、迂回経路76を前方から覆うように設けられ、ガイド板77の前端(先端)に接続されている。装飾カバー部材78は、迂回経路76を通過する遊技球A1が前側に移動するのを防止するためのものである。また、装飾カバー部材78は、複数の孔部を有する梯子状をなしており、迂回経路76内を正面から視認できるように形成されている。なお、本実施形態の装飾カバー部材78は、前記跳ね上げ防止板97と一体形成されているため、センター役物31の部品点数を削減することができる。
【0040】
図1〜図3,図9,図10に示されるように、第1球出口73は、センター役物31の左側部において第1球入口72の下方に設けられている。また、第1球出口73は、ゲート26よりもセンター役物31の開口部33側、具体的には、ゲート26の右下に配置されている。そして、第1球出口73は、センター役物31の左側方にて開口している。よって、第1球入口72を介して迂回経路76内に進入した遊技球A1は、第1球出口73から前記遊技領域12においてゲート26の下方の領域に放出されるようになっている。
【0041】
また、第1球出口73の下端部には、第1球出口73から遊技領域12に放出された遊技球A1を左方向(センター役物31から離間する方向)へ誘導する第1球出口側突片73aが設けられている。第1球出口側突片73aは、第1球出口73の開口端から左方に突出しており、第1球出口側突片73aの上面は、前記ガイド板77の湾曲面77aに接続されている。第1球出口側突片73aの突出量は、第1球出口側突片73aの先端がゲート26の開口端の直下に到達する程度、換言すると、第1球出口側突片73aの先端がゲート26を通過して遊技領域12内を流下する遊技球A1に何とか接触する程度に設定されている。そして、遊技領域12内において第1球出口側突片73aの突出方向の略延長線上には、誘導釘45(図10(a)参照)が植設されている。誘導釘45は、遊技領域12内を流下する遊技球A1、または、第1球出口73から放出された遊技球A1を前記第2球入口74に誘導しうるようになっている。
【0042】
図1〜図3,図9〜図11等に示されるように、第2球入口74は、センター役物31の左側部において第1球出口73の下方に設けられている。そして、第2球入口74は、センター役物31の左側方にて開口している。よって、遊技領域12内を流下する遊技球A1は、第2球入口74の左側方から前記球案内通路75内に進入可能となっている。また、第2球入口74の下端部には、遊技領域12内を流下する遊技球A1を第2球入口74側に誘導する第2球入口側突片74aが設けられている。第2球入口側突片74aは、第2球入口74の開口端から左上方に突出している。水平面からの第2球入口側突片74aの角度は約30°に設定されている。第2球入口側突片74aの突出量は、前記第1球出口側突片73aの突出量と略等しくなっている。
【0043】
図11〜図14に示されるように、球案内通路75は、センター役物31の左側部に沿って下方に延びている。即ち、球案内通路75は、第2球入口74を通過した遊技球A1を下方へ案内し、球案内通路75の下端に設けた球出口79からセンター役物31の内側領域に案内するようになっている。
(5)ステージ81の構成
【0044】
図11〜図14に示されるように、センター役物31の内側領域の下部(即ち、前記役物本体32の前記開口部33の下側部分)には、球案内通路75から案内された遊技球A1を前記遊技領域12に放出するステージ81が設けられている。ステージ81は、開口部33の下端縁に沿って左右方向に延設されている。ステージ81は、球案内通路75から案内された遊技球A1を受けて転動させる転動面82をその上部に有している。転動面82の幅(遊技機前後方向における寸法)は、遊技球A1の直径よりもやや広くなっている。転動面82は、中央にある凸部83において最も高くなるとともに、凸部83の左側にある左凹部84a及び右側にある右凹部84bにて最も低くなっており、全体として曲線的な起伏形状をなしている。また、ステージ81の前端側には、上方向に突出する遊技球落下阻止板87が設けられている。遊技球落下阻止板87は、左凹部84a及び右凹部84bに対応する位置が切り欠かれており、左凹部84a及び右凹部84b以外の部位から遊技球A1が遊技領域12に落下するのを阻止するようになっている。
【0045】
図12〜図14に示されるように、凸部83は、円形状をなす落下孔86を有している。また、凸部83は、後側に行くに従って低くなる形状をなす凸部放出部85を有している。凸部放出部85は、前面側から見て凹状をなしており、後側に行くに従って幅広になっている。また、落下孔86は球経路に連通しており、球経路の末端には、前記フランジ部34の前面にて開口する排出口88が設けられている。なお、排出口88は、前記始動入賞装置22の真上位置かつ始動入賞装置22の後側に存在している。
(6)可動体ユニット51の構成
【0046】
図1,図15に示されるように、前記センター役物31の内側領域の下部には、前記図柄表示装置18での表示演出に合わせた可動演出を行う可動体ユニット51が取り付けられている。図15〜図22等に示されるように、可動体ユニット51を構成するユニット本体52には、6個の演出用可動体53と、3つの可動体カバー54とが取り付けられている。3つの可動体カバー54のうち2つの可動体カバー54は、それぞれ3個の演出用可動体53の下側に配置され、残り1つの可動体カバー54は、両可動体カバー54の間に配置されている。なお、各可動体カバー54と前記ステージ81とによって、遊技球A1が通過する遊技球通路が構成される。また、各可動体カバー54の下側面は、全体として曲線的な起伏形状をなしているため、ステージ81から遊技領域12に落下する遊技球A1の動きに変化を与えることができる。
【0047】
また、各演出用可動体53は、ユニット本体52の上側において回動軸55を介して上下方向に揺動可能となっている。また、各演出用可動体53は発光部56を備えており、発光部56は、演出用可動体53内において発光部56の裏側に配設されたLED基板57の発光ダイオード(図示略)によって点灯・点滅するようになっている。
【0048】
図16〜図19等に示されるように、各演出用可動体53は、ユニット本体52に内蔵された可動体モータ58の回転に伴って揺動するようなっている。具体的に言うと、可動体モータ58の回転軸にはモータギア59が取り付けられ、モータギア59には第1リブ60が設けられている。また、演出用可動体53には、上下方向に延びるアーム61が回動軸61aを介して回動可能に設けられ、アーム61の下端部には、モータギア59側に突出する第2リブ62が形成されている。そして、可動体モータ58及びモータギア59が回転すると、モータギア59に設けられた第1リブ60が第2リブ62を押し下げることにより、各演出用可動体53のうち1つの演出用可動体53が揺動するようになっている(図18及び図21(a),(b)参照)。これに伴い、演出用可動体53に対して揺動可能に取り付けられた人形63が、同人形63の自重により演出用可動体53にぶら下がった状態となる(図18,図21(a)参照)。また、一端がアーム61に取り付けられるとともに他端がユニット本体52に取り付けられたバネ64が延びるようになる。その後、さらに可動体モータ58及びモータギア59が回転し、第1リブ60が第2リブ62から離れていくと、バネ64の復元力により、演出用可動体53及び人形63は元の位置に戻る(図20(a),(b)参照)。なお、他の演出用可動体53を揺動させる機構は、モータギア59の第1リブ60によって揺動する演出用可動体53と同様の機構となっている。即ち、他の演出用可動体53は、それぞれ連結ギア65に設けられた第1リブ60によって揺動するようになっている。連結ギア65は、他の連結ギア65や中継ギア66に噛み合っており、モータギア59の回転に伴って回転するようになっている(図19参照)。
【0049】
図16,図22に示されるように、モータギア59において第1リブ60が設けられている面の反対側の面には、遮光板67が突設されている。また、ユニット本体52内にはセンサ基板68が設けられ、センサ基板68には、遮光板67を検出する位置検出センサ69が設けられている。位置検出センサ69は、略コ字状をなし、溝部を隔てて互いに向かい合う発光部と受光部とを備えている。位置検出センサ69は、モータギア59の回動に伴う遮光板67の動きを非接触状態で検知するようになっている。具体的に言うと、位置検出センサ69は、第1リブ60が第2リブ62に接触していない状態であって、発光部からの光を遮光板67が遮って受光部が受光不能となる場合(図22(a),(b)参照)に、遮光板67を検知する(オン状態となる)ようになっている。この場合、位置検出センサ69は、演出用可動体53が揺動前の初期位置にあることを示す検出信号を、パチンコ機が備える統括制御基板(図示略)のCPU(中央処理装置)に出力する。一方、発光部からの光を受光部が受光可能となる場合、位置検出センサ69は、遮光板67を検知せず(オフ状態となり)、検出信号を出力しない。
【0050】
次に、遊技球転動通路91を通過する遊技球A1の動きを説明する。
【0051】
例えば、発射装置によって発射されて遊技領域12に進入した遊技球A1が球戻り防止用釘42の上方を通過した場合、遊技球A1は、センター役物31の上部中央付近に到達する。そして、遊技球A1は、案内釘43などに衝突しながら遊技球転動通路91上に案内される。
【0052】
遊技球A1が、遊技球転動通路91上を流下して上流側突部92に到達した場合(図6,図7(a)参照)、遊技球A1は、上流側突部92に衝突して勢いが弱められる。さらに、遊技球A1は、上流側突部92の第1面95上を通過して跳ね上げられて減速釘44aに衝突する(図7(b)参照)。これにより、遊技球A1の勢いが弱められるとともに遊技球A1の向きが変更され、遊技球A1は、遊技球転動通路91における上流側突部92の下流側の領域に落下する。そして、遊技球A1は、再び遊技球転動通路91上を流下する。
【0053】
次に、遊技球A1が遊技球転動通路91上を流下して第1突部93に到達した場合(図6参照)、遊技球A1は、第1突部93に衝突して勢いが弱められる。さらに、遊技球A1は、第1突部93の第1面95上を通過して跳ね上げられて減速釘44b,44cに衝突する(図8(a)参照)。これにより、遊技球A1の勢いが弱められるとともに遊技球A1の向きが変更され、遊技球A1は、落下して第2突部94上に衝突し、勢いがさらに弱められる(図8(b)参照)。さらに、遊技球A1は、第2突部94の第1面95上を通過して跳ね上げられ、遊技球転動通路91における第2突部94の下流側に落下する。その後、遊技球A1は、再び遊技球転動通路91上を流下し、遊技球転動通路91の左端部(下流側端部)から落下する。
【0054】
次に、センター役物31の左側を流下する遊技球A1の動きを説明する。
【0055】
遊技球転動通路91の左端部から落下するなどして、遊技領域12内においてセンター役物31の左端部近傍まで流下した遊技球A1は、1.ゲート26に進入する経路、2.第1球入口72から迂回経路76に進入する経路、3.ゲート26の左側の経路のいずれかを通過する。1.の経路をとる場合、遊技球A1は、ゲート26を通過した後、遊技領域12におけるゲート26の下方の領域を流下する(図10(a)参照)。なお、遊技球A1は、ゲート26の下方の領域に到達した際に第1球出口側突片73aに接触すると、向きが変更されて左下方に流下するが、第1球出口側突片73aに接触しなければ、そのまま下方に流下する。一方、2.の経路をとる場合、遊技球A1は、第1球入口72から迂回経路76に進入した後、迂回経路76を通過して第1球出口73からゲート26の下方の領域に導かれる(図9参照)。このとき、遊技球A1は、第1球出口側突片73aによって左方向に誘導されて誘導釘45(図10(a)参照)に衝突しうるようになっている。遊技球A1が誘導釘45に衝突すると、遊技球A1は、誘導釘45によって向きが変更され、第2球入口74側に誘導される。なお、3.の経路をとる場合、遊技球A1は、遊技釘41によって向きを変更しながら遊技領域12内を流下する。そして、誘導釘45に衝突すると、遊技球A1は、誘導釘45によって向きが変更され、第2球入口74側に誘導される可能性が高くなる。
【0056】
その後、1.〜3.の経路を通過した遊技球A1が第2球入口側突片74a上に到達すると、遊技球A1は、第2球入口側突片74a上を転動して第2球入口74から球案内通路75内に進入する(図12参照)。そして、遊技球A1は、球案内通路75内を下方に移動し、球出口79からステージ81の転動面82上に導かれる。
【0057】
次に、ステージ81による遊技球A1の振分方法を説明する。
【0058】
図14に示されるように、転動面82上に導かれた遊技球A1は、凸部83、左凹部84a及び右凹部84bを通過するのに伴って加減速を繰り返しながら、転動面82上を左右方向に往復移動する。そして、遊技球A1の勢いがなくなると、遊技球A1は、凸部放出部85、左凹部84a及び右凹部84bのいずれか1つから遊技領域12に放出される。具体的に言うと、凸部放出部85に到達した遊技球A1は、落下孔86を介して球経路内に進入し、排出口88から遊技領域12に放出される。なお図1に示されるように、落下孔86に導かれた遊技球A1は、始動入賞装置22の直上から落下するため、高確率で始動入賞装置22の第1始動入賞口22aに入球する。一方、左凹部84aや右凹部84bに導かれた遊技球A1は、直接遊技領域12に放出される。なお図14に示されるように、遊技領域12を流下する遊技球A1が遊技釘41に跳ね返って転動面82上に導かれた場合でも、遊技球A1は転動面82上を転動し、凸部放出部85、右凹部84b及び右凹部84bのいずれかから遊技領域12に放出される。
【0059】
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
【0060】
(1)本実施形態のパチンコ機では、ゲート26の下方に第1球出口73が設けられ、第1球出口73の下方に第2球入口74が設けられているため、第1球出口73から放出された遊技球A1だけでなく、ゲート26を通過した遊技球A1であっても、第2球入口74を介してステージ81に案内される可能性がある。よって、遊技球A1の動きに多様性を持たせることができ、興趣の向上を図ることができる。さらに、第1球出口73の下方に第2球入口74が設けられているため、第1球入口72を介して迂回経路76内に進入したにもかかわらず第1球出口73から放出された遊技球A1であっても、第2球入口74を介してステージ81に案内される可能性がある。よって、遊技球A1の動きがさらに多様化されるため、遊技の興趣がよりいっそう向上する。
【0061】
また、第1球入口72が、ゲート26よりも遊技球A1が通過不能な間隔を隔てて開口部33側に設けられている。換言すると、ゲート26は、センター役物31に設けられた第1球入口72の近傍に配置されている。これにより、第1球入口72の近傍にある遊技球A1が、第1球入口72だけでなくゲート26にも誘導されうるようになる。このため、第1球入口72に遊技球A1を誘導する遊技釘41とゲート26に遊技球A1を誘導する遊技釘41とを共通化することができ、それ以外の遊技釘41の取付位置の自由度が高くなる。
【0062】
(2)本実施形態では、ゲート26に対して上方から遊技球A1が通過するのに対して、第1球入口72に対して左側方から遊技球A1が通過するため、遊技球A1の動きがさらに多様化される。従って、遊技者は、ゲート26付近や第1球入口72付近の遊技球A1の動きに興味を持つことになるため、遊技の興趣がよりいっそう向上する。
【0063】
(3)本実施形態では、センター役物31の設置領域の面積が遊技領域12の面積の65%程度を占めているため、センター役物31の左側の遊技領域12において、遊技球A1の流下経路を複数確保しつつ、ゲート26の配置スペースを確保することは困難である。そこで本実施形態では、ゲート26をセンター役物31の側部に一体的に設け、さらに、迂回経路76に連通する第1球入口72をゲート26よりもセンター役物31の開口部33側に配置している。これにより、遊技領域12が狭くても、遊技球A1の流下経路とゲート26の配置スペースとを確実に確保することができる。
【0064】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
【0065】
・上記実施形態の第1球入口72は、ゲート26の上方に配置されていたが、ゲート26の下方に配置されていてもよいし、ゲート26と同じ高さに配置されていてもよい。
【0066】
・上記実施形態の装飾カバー部材78は、跳ね上げ防止板97と一体形成されていたが、跳ね上げ防止板97とは別体に形成されていてもよい。
【0067】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0068】
(1)請求項1乃至3のいずれか1項において、前記遊技盤面上にある内レールと外レールとによって構成され、発射装置によって発射された遊技球が通過する発射経路を備え、前記普通図柄作動口、前記第1球入口、前記第1球出口及び前記第2球入口のそれぞれが、装飾部材において前記発射経路側の側部に設けられていることを特徴とする遊技機。
【0069】
(2)技術的思想(1)において、前記開口部を含む前記装飾部材の設置領域の面積は、前記遊技領域の面積の60%以上を占めており、前記遊技領域に侵入した遊技球の殆どが、前記装飾部材の前記発射経路側を流下し、前記装飾部材と前記内レールとの間の領域が役物が設置困難な大きさであることを特徴とする遊技機。
【0070】
(3)請求項1乃至3、技術的思想(1),(2)のいずれか1つにおいて、前記第2球入口の下端部には第2球入口側突片が設けられ、前記第2球入口側突片は、前記第2球入口の開口端から左上方に突出していることを特徴とする遊技機。
【0071】
(4)請求項1乃至3、技術的思想(1)乃至(3)のいずれか1つにおいて、前記迂回経路は、前記ガイド部材、及び、前記迂回経路を前方から覆う装飾カバー部材によって構成されていることを特徴とする遊技機。
【0072】
(5)技術的思想(4)において、前記装飾部材の左上部に、前記装飾部材の中央部から左側に行くに従って低くなる遊技球転動通路を設け、前記装飾部材の左上部の前側に、前記遊技球転動通路を転動する遊技球が前側に跳ね上がるのを防止する跳ね上げ防止板を設け、前記装飾カバー部材は、前記跳ね上げ防止板と一体形成されていることを特徴とする遊技機。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本実施形態における遊技盤を示す正面図。
【図2】センター役物を示す正面図。
【図3】センター役物を示す側面図。
【図4】センター役物を示す分解斜視図。
【図5】遊技盤の一部を示す要部正面図。
【図6】遊技盤の一部を示す要部正面図。
【図7】(a),(b)は遊技球の動きを示す説明図。
【図8】(a),(b)は遊技球の動きを示す説明図。
【図9】ゲート、第1球入口及び第1球出口などを示す斜視図。
【図10】(a)はゲート、第1球入口及び第1球出口などを示す正面図、(b)はゲート、第1球入口及び第1球出口などを示す側面図。
【図11】第2球入口及び球案内通路などを示す正面図。
【図12】第2球入口及び球案内通路などを示す斜視図。
【図13】ステージなどの構造を示す上面図。
【図14】ステージなどの構造を示す斜視図。
【図15】センター役物の下部を示す斜視図。
【図16】可動体ユニットの正面図。
【図17】(a)は可動体ユニットの左側面図、(b)は可動体ユニットの右側面図。
【図18】演出用可動体の動きを示す説明図。
【図19】可動体ユニットの内部構造を示す図。
【図20】(a),(b)は演出用可動体の動きを示す説明図。
【図21】(a),(b)は演出用可動体の動きを示す説明図。
【図22】(a),(b)は遮光板及び位置検出センサなどを示す斜視図。
【符号の説明】
【0074】
11…遊技盤
12…遊技領域
18…図柄表示装置
22…始動入賞装置
22…始動入賞装置の入賞口としての第2始動入賞口
22c…開閉部材としての羽根部材
24…特別入賞装置としての大入賞装置
26…普通図柄作動口としてのゲート
31…装飾部材としてのセンター役物
33…開口部
35…普通図柄表示部
45…誘導釘
72…第1球入口
73…第1球出口
73a…第1球出口側突片
74…第2球入口
75…球案内通路
76…迂回経路
77…ガイド部材としてのガイド板
77a…湾曲面
81…ステージ
A1…遊技球
H…表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下可能な遊技領域を有する遊技盤と、前記遊技盤の裏側に配設され、図柄を変動させて表示する図柄表示装置と、前記遊技盤の遊技領域に配設され、開口部を介して前記図柄表示装置の表示領域を露出させる枠状の装飾部材と、前記遊技盤において前記装飾部材の下方に配設され、前記遊技領域内を流下する遊技球が入賞可能であり、遊技球の入賞を契機として前記図柄表示装置での図柄の変動表示を開始させる始動入賞装置と、前記遊技盤に配設され、前記図柄表示装置での図柄の変動結果に応じて開放することにより前記遊技領域内を流下する遊技球が入賞可能となる特別入賞装置と、前記装飾部材に配設され、普通図柄を変動させて表示する普通図柄表示部と、前記普通図柄表示部での普通図柄の変動結果に応じて前記始動入賞装置の入賞口を開放する開閉部材とを備えた遊技機において、
前記装飾部材は、
前記装飾部材の側部に一体的に設けられ、前記遊技領域内を流下する遊技球が上方から通過可能であり、遊技球の通過を契機として前記普通図柄表示部での普通図柄の変動表示を開始させる普通図柄作動口と、
前記装飾部材の側部に設けられ、前記普通図柄作動口よりも遊技球が通過不能な間隔を隔てて前記開口部側に配置され、前記遊技領域内を流下する遊技球が側方から迂回経路内に進入可能な第1球入口と、
前記装飾部材の側部において前記第1球入口の下方に設けられ、前記第1球入口を介して前記迂回経路内に進入した遊技球を、前記装飾部材の側部から前記遊技領域において前記普通図柄作動口の下方の領域に放出する第1球出口と、
前記装飾部材の側部において前記第1球出口の下方に設けられ、前記遊技領域内を流下する遊技球が側方から進入可能な第2球入口と、
前記装飾部材の側部に設けられ、前記第2球入口を通過した遊技球を前記装飾部材の内側領域に案内する球案内通路と、
前記装飾部材の内側領域の下部に設けられ、前記球案内通路から案内された遊技球を前記遊技領域に放出するステージと
を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記迂回経路は、前記普通図柄作動口の前記開口部側に隣接し、前記第1球入口を介して前記迂回経路内に進入した遊技球を前記第1球出口に案内するガイド部材を備え、
前記ガイド部材は、前記装飾部材の外側領域を向いた凹状の湾曲面を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記第1球出口の下端部には第1球出口側突片が設けられ、
前記第1球出口側突片の突出方向の延長線上には、前記遊技領域内を流下する遊技球、または、前記第1球出口から放出された遊技球を前記第2球入口に誘導しうる誘導釘が植設されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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