説明

遊技機

【課題】 停電処理及び機能停止が適正かつ確実に遂行される遊技機を提供する。
【解決手段】 停電検出情報がアクティブとなってから、停電処理を実行するのに十分な時間が経過後に遊技制御装置及び該排出制御装置の動作を停止させるためのリセット情報を、前記遊技制御装置及び前記排出制御装置に対して同時にアクティブとするリセット情報制御手段を備え、停電検出手段は、電源が再投入された場合、停電復帰電圧を超えてから電源電圧が安定する所定時間経過後に停電検出情報を非アクティブに戻す機能を有し、リセット情報制御手段は、停電検出情報が非アクティブに戻されると、その後にリセット情報を非アクティブに戻す機能を有し、装飾制御装置を設け、装飾制御装置は、遊技制御情報を停電発生時において記憶保持不可能とし、電源が再投入された場合、遊技制御装置及び排出制御装置に対するリセット情報が非アクティブに戻されるよりも前に起動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源遮断時に停電処理を実行する遊技機(例えば、パチンコ機)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機などの遊技機としては、電力の供給を受けて動作し、プログラムの実行に従って遊技制御動作を行うマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)等の処理手段からなる遊技制御装置が設けられ、予め定められた遊技進行順序に従って遊技状態を進行制御するように構成されたものがある。このような遊技機では、通常、機内に複数設けられた被制御機器の動作を前記遊技制御装置が統括的に管理制御して遊技を進行させる構成になっているとともに、この遊技制御装置から遊技状態に応じて適宜送信される制御情報に基づいて、前記被制御機器のうちの特定機器の動作を個別に制御する従属制御装置(遊技制御装置の下位の制御装置)が設けられている。
例えば、遊技球等を遊技価値として遊技者に払出す排出ユニット(被制御機器)は、遊技制御装置から送信される遊技価値排出制御情報に基づく排出制御装置(従属制御装置)の制御処理によって駆動制御される。
【0003】
このような従来の遊技機としては、例えば以下の特許文献1、2に開示のものがある。
【特許文献1】特開平7−231972号公報
【特許文献2】特開平11−267318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような遊技機にあっては、遊技中に停電等が発生して遊技機への電力供給が絶たれた場合、機内の遊技情報が消滅してしまうことがあり、遊技者が不利益を被ることがあった。
したがって、このような遊技機においては停電処理を実行し、最終的にハード的に機能停止する動作が必要であった。
そこで本発明は、前記停電処理及び機能停止が適正かつ確実に遂行される遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的達成のため、請求項1記載の遊技機は、遊技盤の入賞口へ遊技球が入賞することに関連して、遊技の進行を管理制御する遊技制御情報を送信するとともに、賞球排出すべき賞球数情報を決定し、この賞球数情報を送信する遊技制御装置と、
前記遊技制御装置から送信される賞球数情報に基づいて遊技球を排出する球排出機構を作動させて少なくとも賞球排出の制御を行う排出制御装置と、を備えた遊技機において、
停電の発生により電源電圧が停電検出電圧に低下すると、前記遊技制御装置及び前記排出制御装置に対する停電検出情報をアクティブとする停電検出手段と、
前記停電検出情報がアクティブとなってから、前記遊技制御装置及び前記排出制御装置が停電処理を実行するのに十分な時間が経過後に該遊技制御装置及び該排出制御装置の動作を停止させるためのリセット情報を、前記遊技制御装置及び前記排出制御装置に対して同時にアクティブとするリセット情報制御手段と、
を備え、
前記停電検出手段は、電源が再投入された場合、停電復帰電圧を超えてから電源電圧が安定する所定時間経過後に前記停電検出情報を非アクティブに戻す機能を有し、
前記リセット情報制御手段は、前記停電検出情報が非アクティブに戻されると、その後に前記リセット情報を非アクティブに戻す機能を有し、
前記遊技制御装置から送信される遊技制御情報に基づいて装飾装置の装飾制御を行う装飾制御装置を設け、
前記装飾制御装置は、
前記遊技制御情報を停電発生時において記憶保持不可能とし、
電源が再投入された場合、前記遊技制御装置及び前記排出制御装置に対するリセット情報が非アクティブに戻されるよりも前に起動するようにしたことを特徴とする。
なお、上記「遊技制御情報」として記憶保持する情報は、純粋な遊技状態の情報(例えば、第1種のパチンコ機であれば、変動表示中か、大当たり中か、客待ち状態かなどの情報)だけでもよいし、その他の情報、例えば未排出の遊技価値情報(パチンコ機であれば、未排出の賞球数情報)だけでもよいし、或いはこれら複数の情報を含むものでもよい。また必ずしも、例えば遊技状態の情報そのものを含む必要はなく、遊技状態や制御状態を再開できる情報(例えば、マイコンを構成するCPUのスタックポインタや各レジスタのデータ等)であってもよい。
また、「停電検出情報」或いは「リセット情報」は、例えば、一方の値がアクティブで他方の値が非アクティブとして定義付けられた2値信号(バックアップ機能付き制御装置に対して外部より出力される信号)よりなるものでもよいし、一方の値がアクティブで他方の値が非アクティブとして定義付けられたフラグ等の2値データ(バックアップ機能付き制御装置内のデータ)であってもよい。
また、「停電検出手段」や「リセット情報出力手段(リセット情報制御手段)」は、バックアップ機能付き制御装置外に設けられた回路より構成してもよいし、バックアップ機能付き制御装置内の個別の回路によって構成することもできるし、バックアップ機能付き制御装置を構成する処理手段(マイクロコンピュータ等)の機能として実現することもできる。
また、「停電検出手段」は、必ずしも停電のみを検出するものに限られず、停電による電源遮断と、通常の電源オフ操作による電源遮断とを区別せずに検出するものでもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、前記停電処理及び機能停止が適正かつ確実に遂行される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】パチンコ機の裏側構成を示す図である。
【図2】パチンコ機の電源系統を示すブロック図である。
【図3】パチンコ機の電源供給装置等の詳細を示すブロック図である。
【図4】パチンコ機の主要制御系を示すブロック図である。
【図5】パチンコ機の電源遮断時動作を説明するタイミングチャートである。
【図6】パチンコ機の電源再投入時動作を説明するタイミングチャートである。
【図7】遊技価値情報の通信処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0008】
以下、本発明の実施の形態をパチンコ機に適用した例として、図面を参照して説明する。
なお、本形態例のパチンコ機は、特に電源遮断時(停電時含む)および電源再投入時(停電復帰時含む)の動作に関連する制御構成に特徴を有し、パチンコ機の遊技盤を含む正面構成については特に限定されないものである。そのため、その正面構成についての図示及び説明を省略する。
【0009】
A.パチンコ機裏側の全体構成
図1は、本形態例のパチンコ機の裏側全体構成を示す図である。図1において、符号1で示すものが遊技機(パチンコ機)であり、この遊技機1には遊技球貸出装置としてのカード式球貸機(以下、単に球貸機、或いはカードユニットという)2が併設されている。遊技機1に球貸機2を併設したパチンコ装置は、いわゆるCR機(カードリーディング機)と称される。
遊技機1は、前面側に設けられた額縁状の前面枠(図示省略)と、この前面枠に対して着脱自在に取り付けられ、前面側に遊技領域の形成された遊技盤(図示省略)と、この遊技盤の前面側に配置されるガラスを支持する樹脂製のガラス枠(図示省略)とを有している。ここで、前面枠はパチンコ機1を設置している木製の機枠5に対して開閉可能に支持され、ガラス枠は前面枠に開閉可能に支持されている。また遊技盤は、発射された遊技球を上方から落下させつつアウトあるいはセーフの判定を行う領域であり、入賞口に球が入ってセーフとなる場合は所定数の賞球が排出されるいわゆる入賞となる。
【0010】
なおこの場合、遊技盤に複数設けられた各入賞口の内部(或いは各入賞口専用の遊技球流路内)には、各入賞口に入った遊技球(即ち、入賞球)をそれぞれ検出するセンサ(図4により後述する)の検出部が設けられている。
また、遊技盤における遊技領域はパチンコ球を用いて遊技を行うものであれば、例えばいわゆる「第1種」に属するもの、あるいは「第2種」,「第3種」に属するもの、あるいは他の機種等であってもよく、任意の構成をとり得る。
但し、本形態例では、「第1種」に属するものとして、後述する制御系の構成例等を説明している。なお、「第1種」のパチンコ機の遊技盤面の主な構成(図示省略)は、例えば以下のようになっている。即ち、この種のパチンコ機の遊技盤面上には、識別情報(いわゆる特図)を複数の変動表示領域毎に変動表示する表示装置(特図表示装置などと呼ばれるもの)と、開閉扉により開閉される大入賞口を有する特別変動入賞装置と、左右一対の開閉部材を有し特図始動口(特図の変動表示の始動条件となる入賞口)として機能する普通変動入賞装置と、普通図柄(いわゆる普図)を表示する普図表示器と、スルーチャッカー形式の普図始動口(普図の変動表示の始動条件となる入賞口)と、複数の一般入賞口などが備えられている。
【0011】
遊技機1における裏機構の主要な部品としては、貯留タンク(上タンク)11、誘導路12、枠用外部出力端子盤13、半端センサユニット14、排出ユニット15、排出制御装置16(バックアップ機能付き制御装置)、遊技制御装置17(バックアップ機能付き制御装置)、発射制御装置18(バックアップ機能無し制御装置)、発射ユニット19、表示制御装置20(バックアップ機能無し制御装置)、装飾制御装置21(バックアップ機能無し制御装置)、音制御装置22(バックアップ機能無し制御装置)、カードユニット接続基板23、電源供給装置24、及び遊技盤用外部出力端子盤25などがある。
なお、従来のセーフユニットに相当する構成要素は無い。
【0012】
貯留タンク11は、排出される前の球を予め貯留しておくもので、この貯留タンク11の球数の不足は補給センサ(図示略)によって検出され、不足のときは島設備から球が補給される。貯留タンク11内の球は誘導路12により誘導され、排出ユニット15によって排出される。誘導路12に賞球排出あるいは球貸し排出のための球が有るかどうかは半端センサユニット14内の半端球検出スイッチ14a(図4に示す)によって検出される。
枠用外部出力端子盤13および遊技盤用外部出力端子盤25は、遊技店の管理装置(図示省略)との間における信号の授受などについての中継を行うもので、そのためのコネクタ等を搭載している。ここで、枠用外部出力端子盤13を介して管理装置との間でやり取りされる信号は、いわゆる枠側の制御装置(例えば、排出制御装置16や発射制御装置18)などに必要な信号や枠側の制御装置などで発生した信号であり、例えば、発射制御装置18に対する発射停止信号(入力信号)、貯留タンク11の貯留球不足を示す球切れ信号(出力信号)、貸し出された遊技球の数を示す球貸し信号(出力信号)、払い出された賞球の数を示す賞球数信号(出力信号)などである。一方、遊技盤用外部出力端子盤25を介して管理装置との間でやり取りされる信号は基本的に遊技制御装置17で発生し遊技機1から出力される信号である。この出力信号としては、例えば、特図の変動回数を示す図柄確定回数信号、大当たり中の状態を示す大当たり信号などがある。
【0013】
排出制御装置16は、球の排出(ここでは、賞球排出と貸球排出の両方)に必要な制御を行うもので、所定のケース内にこの制御機能を実現する回路基板が収納されて構成されている。この排出制御装置16は、図2に示すように遊技制御装置17から送信された遊技価値排出制御情報(少なくとも賞球数情報を含むもの)に基づき、所定数の遊技球(即ち、賞球)を排出させる制御を行う(詳細後述する)。
遊技制御装置17は、遊技盤に配設されている各種スイッチ、ソレノイド、ランプ等の電気部品(電気式役物)を電気的に制御するとともに、他の制御装置に制御情報を送って、遊技の進行を統括的に管理制御するもので、これら制御を行うマイコンを含む回路が形成された回路基板が、所定のケース内に収納された構成となっている。この遊技制御装置17は、遊技の総括的制御を行う制御装置であり、例えば、賞球排出制御についても重要な役割を果たす(詳細後述する)。
【0014】
発射制御装置18は、球の発射に必要な制御を行うもので、所定のケース内にこの制御機能を実現する回路基板が収納されて構成されている。
発射ユニット19は、発射制御装置18の制御に従いつつ、遊技機1の前面下部に設けられた発射操作ノブ(図示省略)の操作に応じて、球を発射するための機構である。
表示制御装置20は、図2に示すように遊技制御装置17から送信された表示制御情報に基づき、前述の表示装置の制御を行うもので、所定のケース内にこの制御機能を実現する回路基板が収納されて構成されている。またこの表示制御装置20は、前述の表示装置に対して電源を供給している。
装飾制御装置21は、図2に示すように遊技制御装置17から送信された装飾制御情報に基づき、遊技機1の前面側に設けられた装飾ランプ等の駆動制御を実行するもので、この場合表示制御装置20の裏面左側に配設されたケース内にこの制御機能を実現する回路基板が収納されて構成されている。
音制御装置22は、図2に示すように遊技制御装置17から送信された音制御情報に基づき、遊技機1の前面等に配設されたスピーカ(図示略)より、遊技状態に応じて各種効果音を適宜出力する制御を行うものであり、この場合表示制御装置20の裏面右側に配設されたケース内にこの制御機能を実現する回路基板が収納されて構成されている。
また、カードユニット接続基板23は、遊技機1側と球貸機2側との配線接続のための基板である。
【0015】
B.電源供給系統
図2は本形態例の遊技機1における電源供給系統を全体的に示す図であり、図3は電源供給装置等の詳細構成を示した図である。
図2において、遊技機1には外部からAC24Vが供給されるようになっており、外部電源であるAC24Vは電源供給装置24にまず分配される。電源供給装置24はAC24Vを直流に変換し、各種のDC電圧を生成して各制御装置に供給する。具体的には、ソレノイド駆動用のDC32V、ランプ類駆動用、センサ駆動用及びバックライト駆動用のDC12Vを駆動用電源として生成するとともに、各制御装置を動作させるための制御装置用電源としてDC5Vを生成する。
そして、DC32V及びDC5Vを発射制御装置18(図3では省略)に、DC32V、DC12V及びDC5V(バックアップ電源含む)を排出制御装置16に、DC32V、DC12V及びDC5V(バックアップ電源含む)を遊技制御装置17に、DC12V及びDC5Vを音制御装置22に、DC32V、DC12V及びDC5Vを装飾制御装置21に、DC12V及びDC5Vを表示制御装置20に供給する。
【0016】
ここで、発射制御装置18には排出制御装置16から発射停止信号が入力されるようになっており、発射停止信号は排出制御装置16側で何らかの異常が生じた場合に、発射装置の発射動作を停止したり、あるいは異常が解消された場合に発射動作を可能にするための信号である。
また、排出制御装置16は、球貸機2(カードユニット)や操作パネル基板26との間で、カードユニット接続基板23を介して信号(カードユニット制御情報や操作パネル信号)の授受を行い、貸球排出に必要な制御を行う。なお、操作パネル基板26は、遊技機前面下方の前面操作パネル(図示省略)に設けられた貸球排出のための操作部材や表示部材(図示省略)用の接続回路等が設けられた基板で、例えば前記前面操作パネルの裏側に配設されている。
【0017】
次に、電源供給装置等の詳細構成につき、図3により説明する。
電源供給装置24は、図3に示すように、DC32V生成回路30、DC12V生成回路31、DC5V生成回路32、DC5VBB生成回路33、及び停電検出回路34(リセット信号出力部34aを含む)を有している。
DC32V生成回路30には、前述したAC24Vが供給されており、DC32V生成回路30はこのAC24VをDC32Vに変換する。
DC12V生成回路31には、前記DC32Vが供給されており、DC12V生成回路31はこのDC32VをDC12Vに変換する。
DC5V生成回路32には前記DC32Vが供給されており、DC5V生成回路32はこのDC32VをDC5Vに変換する。なお、DC12V生成回路31やDC5V生成回路32で変換された電力は、後述のマイコン110,210等の各素子の動作に必要な電源として供給される。
【0018】
次に、DC5VBB生成回路33は、遊技制御装置17の後述のRAM113および排出制御装置16の後述のRAM213に電源遮断時(停電時含む)のバックアップ電源を供給する回路であり、この場合図4に示すように、逆流防止用のダイオード33aと、コンデンサ(スーパキャパシタ)33bとを含んで構成される。即ち、RAM113,213には、不可逆手段として機能するダイオード33aを介して、また配線36a,36b,37a,37bを通して、DC5V生成回路32からDC5Vが供給される。そして、DC5V生成回路32からのDC5Vは、コンデンサ33bにも、ダイオード33aを介して供給されるようになっている。また、コンデンサ33bは、配線36a,36b又は配線37a,37bを介して、RAM113および213に接続されている。
配線36a,36bや配線37a,37bの途中にはオス/メスタイプのコネクタ(図示略)が設けられており、このコネクタによりこれら配線は電源供給装置24側と遊技制御装置17側又は排出制御装置16側とに分離可能である。
【0019】
ここで、コンデンサ33bは、バックアップ電源を構成するもので、通常時(電源供給時)にダイオード33aを介して充電され、電源遮断時はRAM113又は213をバックアップする電力を出力(放電)するものである。また、ダイオード33aは、DC5V生成回路32の出力を受けて、各々の記憶手段(RAM113又は213)に対して通常時の電源を供給するとともに、コンデンサ33bに対して、上述の如く通常時に充電用電源を供給する。
即ち、コンデンサ33bとダイオード33aは、各制御装置17,16の各RAM113,213の全記憶内容(賞球数情報のメモリエリア含む)を停電時にも保持すべく、各RAM113,213に対して通常時の電源と停電時のバックアップ電源を供給する。このため、この場合には、遊技制御装置17と排出制御装置16が本発明のバックアップ機能付き制御装置となっており、他の制御装置18,20,21,22はバックアップ機能無し制御装置となっている。
なお、図示省略しているが、コンデンサ33bからRAM113,213にバックアップ電源を供給するための配線36aや配線37a等には、例えばLCフィルタが設けられ、ノイズや電圧変動等による不具合が防止される構成となっていてもよい。
【0020】
また、停電検出回路34は、DC5V生成回路への電源供給が断たれること(即ち、停電を含む電源遮断)を事前に検出(例えば、DC32Vが停電検出電圧である22Vまで低下したとき停電開始として検出)して、遊技制御装置17と排出制御装置16の後述するマイコン110,210に対する停電検出信号(停電検出情報)をアクティブとする回路である。この停電検出回路34は、本発明の停電検出手段を構成する。なおこの場合、停電検出回路34は、停電による電源遮断と、通常の電源オフ操作による電源遮断とを区別せずに検出するものである。すなわち、通常の電源オフ操作時にも、DC32Vが停電検出電圧である22Vまで低下すると、停電開始として検出し、停電検出信号を出力する。
さらに、この停電検出回路34内のリセット信号出力部34aは、各制御装置のマイコン110,210(CPU111,211)等をリセットすべき時期(後述する)に、各制御装置のマイコン110,210等に対するリセット信号(リセット情報)をアクティブとする機能を有する。このリセット信号出力部34aは、本発明のリセット情報出力手段を構成する。
なお、リセット信号とは、一般にCPU等を初期状態に戻すための信号であるが、CPU等では、このリセット信号が入力されると、このリセット信号が入力中は実質的に機能停止する。そして、このリセット信号が解除されると各CPU等は再起動する。また図3では、発射制御装置18を省略しているが、上記リセット信号は、この場合図2に示すように、発射制御装置18を構成する処理手段(例えば、ロジック回路)にも同様に入力される。
【0021】
C.球排出機構の構成
次に、本遊技機の排出ユニット15(球排出機構)の概略構成について、図4を参照しつつ説明する。なお、図4は制御系の主要構成を示す図(発射制御装置等は省略)である。
排出ユニット15は、遊技球が重力で流れ落ちるように基本的に上下方向に形成された遊技球流路(図示略)と、この遊技球流路の上部に設けられた払出ユニット15a(図4に示す。以下同様)と、この遊技球流路の下部に設けられた流路切換ユニット15bとに分けられる。流路切換ユニット15bの下部には、排出される遊技球を検出する排出球検出手段(貸球検出センサ41、賞球検出センサ42)が設けられ、このうち賞球検出センサ42(正確には、第1賞球検出センサと第2賞球検出センサ)が、賞球検出手段に相当している。
遊技球流路は、前述の貯留タンク11から誘導路12により誘導されて半端センサユニット14を経た遊技球が上端側から流下するもので、流路切換ユニット15bに形成された分岐部(図示略)において二つに分岐し、一方が賞球として排出された遊技球を通過させるための賞球流路(図示略)となっており、他方が貸球として排出された遊技球を通過させるための貸球流路(図示略)となっている。分岐部には、遊技球流路の上流側に対して賞球流路又は貸球流路の何れか一方を閉じる位置に揺動可能な流路切換弁(図示略)が設けられ、この流路切換弁が流路切換ソレノイド43に駆動されて揺動することにより、遊技球流路の下流側に排出された遊技球が、賞球流路と貸球流路のうちのいずれか一方を通過する構成となっている。
また、この場合の排出ユニット15は、上記遊技球流路が2列設けられた2条タイプであり、遊技球流路に付随する構成要素(流路切換弁や排出球検出手段など)も、これに対応して2組設けられている。
【0022】
払出ユニット15aには、2列の遊技球流路に対応した2枚のスプロケット(図示略)と、これらを一括駆動する1個の球排出モータ44(例えば、パルスモータ)と、重力によるスプロケットの不用意な回転(即ち、遊技球の不用意な排出)を防止するための停止部材(図示略)と、この停止部材を駆動するストッパーソレノイド45とを有する。
上記スプロケットは、遊技球流路の上部に設けられた開口(図示略)から外周部が部分的に遊技球流路内に位置するように配置され、外周の歯と歯の間(即ち、谷部)に遊技球が1個宛はまり込む寸法形状となっており、このスプロケットが回転しなければ上記開口の箇所を遊技球が通過できない構成となっている。
球排出モータ44は、上記スプロケットを所定量だけ回転させて、遊技球を所定数下流側に排出する動作を駆動制御するためのものである。なおこの球排出モータ44は、排出制御装置16によって制御される。
また、前記停止部材は、前記スプロケット又はこれと一体回転する部材に係合する方向に付勢された部材で、ストッパーソレノイド45は、励磁されるとこの停止部材を引きつける力(上記係合状態から後退させる力)を発生させ、非励磁状態では前記停止部材を解放する(係合させる)ものである。このストッパーソレノイド45も、排出制御装置16によって制御される。
【0023】
このような払出ユニット15aでは、排出制御装置16の制御によりストッパーソレノイド45が作動すると(励磁されると)、前記停止部材が前記スプロケットに対して係合した状態が解除され、前記スプロケットが回転可能状態になる。そして、この回転可能状態において、排出制御装置16の制御により球排出モータ44が作動して前記スプロケットが排出方向に所定量だけ回転することによって、それに対応した数量の遊技球が下流側に送り出され、重力により遊技球流路を流れ落ちてゆく。また、こうして所定量の遊技球が排出された直後には、排出制御装置16の制御により球排出モータ44の回転が停止されるとともに、ストッパーソレノイド45が即座に非作動状態(非励磁状態)に戻され、前記停止部材が係合状態となり、前記スプロケットの回転が阻止されて重力の作用で所定量を越える量の遊技球が流下してしまう誤動作が確実に防止される。なお、遊技球の排出中(即ち、賞球排出又は貸球排出の最中)に電源遮断(停電含む)があり、球排出モータ44やストッパーソレノイド45の作動が排出制御装置16による停電処理(後述する)により停止した場合にも、上述した停止部材の作用で遊技球の流下が即座に阻止される。
次に、貸球検出センサ41は、前述した貸球流路を通過する遊技球(即ち、貸球)を検出するセンサであり、賞球検出センサ42は、前述の賞球流路を通過する遊技球(即ち、賞球)を検出するセンサである。なお、これらセンサ41,42の検出出力は、排出制御装置16に入力されており、さらにこれらセンサのうち賞球検出センサ42の検出出力は、中継基板250を介して遊技制御装置17にも入力されている。また、これらセンサ41,42は、遊技球流路が2条あることに対応して、各遊技球流路にそれぞれ1個宛設けられており、図4では、例えば一方の賞球検出センサ42を第1賞球検出センサ、他方の賞球検出センサ42を第2賞球検出センサと称している。
【0024】
D.制御系の構成
次に、本パチンコ機の制御系の主要構成について説明する。
図4に示すように、この制御系は、大きく分けて、遊技制御装置17と、排出制御装置16を初めとするその他の周辺装置等によって構成される。
遊技制御装置17は、ワンチップマイコンからなる遊技用マイクロコンピュータ110と、水晶の発振周波数を分周して所定のクロックを得るクロック生成回路(CLK)101と、各種信号の入出力を行う入出力インターフェース102と、リセット信号第1遅延回路103とを含んで構成される。遊技用マイクロコンピュータ110は、CPU111、ROM112、RAM113を内蔵しており、いわゆるアミューズチップ用のICとして製造されている。
ここで、RAM113は、本発明のバックアップ機能付き制御装置(遊技制御装置17)において遊技状態を再開するための情報や未排出の遊技価値情報(この場合、賞球数情報)など(即ち、遊技制御情報)を電源遮断時(停電時含む)においても記憶保持するバックアップされた記憶手段に相当している。
【0025】
なお、賞球数情報とは、入賞の有無や数、及び入賞口の種類、又は賞球数そのものデータ(賞球データ)、或いは賞球数が判別できる情報である。この場合具体的には、遊技用マイクロコンピュータ110のRAM113内に所定のメモリエリア(以下、払出要求残カウンタという。)が確保され、排出制御装置16に送信済みの賞球データであって未排出のもの(払出要求値)が、賞球数情報としてこのメモリエリアに記憶される。
例えば、5個賞球の入賞があってその賞球データが賞球数情報として遊技制御装置17から排出制御装置16に送信されると、上記払出要求残カウンタに賞球数5個分の賞球データが加算される。一方、前述した賞球検出センサ42により賞球排出が検出されると、遊技制御装置17の処理で、その排出数分の賞球データが上記払出要求残カウンタから減算される。
【0026】
入出力インターフェース102には、図4に示すように、特図始動スイッチ51、普図始動スイッチ52、アタッカーVスイッチ53、アタッカーカウントスイッチ54、入賞口スイッチ1〜Nからの検出信号が入力される。
ここで、特図始動スイッチ51は、前述した特図始動口(普通変動入賞装置)への遊技球の入賞を検出するセンサであり、普図始動スイッチ52は、スルーチャッカー形式の普図始動口への遊技球の入賞(通過)を検出するセンサであり、アタッカーVスイッチ53は、前述の大入賞口(特別変動入賞装置)内の特別入賞口への遊技球の入賞(V入賞)を検出するセンサであり、アタッカーカウントスイッチ54は、前述の大入賞口(特別変動入賞装置)への遊技球の入賞(V入賞以外又はV入賞を含めた入賞)を検出するセンサであり、入賞口スイッチ1〜Nは、各一般入賞口への遊技球の入賞を検出するセンサである。これらスイッチ51〜54や入賞口スイッチ1〜Nは、いわゆる入賞球検出手段に相当する。但し、普図始動口に遊技球が入賞(通過)しても通常賞球排出は実行されない(普図始動口は通常普図変動を始動させるだけのものである)ので、このような場合、普図始動スイッチ52は、入賞球検出手段に相当しない。
また、この入出力インターフェース102には、賞球排出および貸球排出のための遊技球が有るかどうか(前述の排出ユニットの上流側に十分な遊技球が有るか否か)を検出する半端球検出スイッチ14a、遊技機前面下部に設けられた受皿(図示省略)の満杯状態(球の過剰貯留)を検出するオーバーフロースイッチ122、遊技機前面のガラスを支持するガラス枠が開けられたことを検出するガラス枠解放スイッチ123からの検出信号も、入力されている。また、賞球排出数を検知するための前述の第1及び第2賞球検出センサ42からの検出信号も、中継基板250を介して入力されている。
【0027】
なお、入賞口スイッチ1〜Nは、遊技盤に一般入賞口がn個ある場合には、n個配置される。
また、半端球検出スイッチ14aとオーバーフロースイッチ122は、排出前提条件の成否を判断するための排出準備状態検出手段である。この場合の排出前提条件とは、半端球検出スイッチ14aにより遊技球が検出されていること、オーバーフロースイッチ122により受皿の満杯状態が検出されていないことであり、これら全ての前提条件が成立していないと、たとえ未排出の賞球が残っていても、賞球排出が行われないように構成されている。即ち、本形態例では、この排出前提条件の成否を示す情報も前記遊技価値排出制御情報として送信され、排出制御装置16においてこの排出前提条件の成立が確認されていないと、排出制御装置16が賞球排出を行わない構成となっている。なお、この排出前提条件の成立が遊技制御装置17において確認されていないと、前述した賞球数情報の送信(遊技制御装置17から排出制御装置16への送信)が実行されず、結果的に賞球排出が行われないように構成されていてもよい(この場合は、前記排出前提条件の情報は送信不要)。
【0028】
一方、入出力インターフェース102からは、前述の表示制御装置20、装飾制御装置21、音制御装置22、前述の普図表示器を構成する普図LED7、前述の普通変動入賞装置を駆動する普電ソレノイド134、前述の特別変動入賞装置の開閉扉を駆動するアタッカーソレノイド135、前述の遊技盤用外部出力端子盤25を構成する遊技盤用外部出力端子136、試験用出力部138に信号が出力される。また、この入出力インターフェース102からは、排出制御装置16に前述の遊技価値排出制御情報の信号が出力される。
ここで、遊技盤用外部出力端子136は、遊技盤側に設けられた外部情報端子であり、ここから外部の管理装置(図示略)に前述の如く各種信号(例えば、大当り信号等)を出力するものである。なお、管理装置はホール全体の遊技機、島設備等を管理するもので、入力された各種信号に基づいて営業上の必要なデータを演算処理し、処理したデータを必要に応じてディスプレイに表示したり印刷したりする、例えばコンピュータシステムである。
また、試験用出力部138は、遊技制御装置17に記憶されている情報の読み出し等が可能な通信用の端子であり、遊技制御装置17の状態を検査する際などに用いるものである。
【0029】
次に、排出制御装置16は、遊技制御装置17から入力される遊技価値排出制御情報に基づいて、前述の排出ユニット15(球排出機構)を駆動して賞球を排出する制御(詳細後述する)を行うものである。この場合の排出制御装置17は、CPU211、ROM212、及びRAM213を含むマイクロコンピュータ210と、所定のクロックを得るクロック生成回路(CLK)204と、入出力用インターフェース205と、リセット信号第2遅延回路206とを含んで構成される。なお、各素子間はアドレスバス、データバス、電源線等で接続されている。CPU211は遊技球の排出(賞球排出および貸球排出を含む)に必要な処理を行い、ROM212は排出制御に必要なプログラム等を格納している。
ここで、RAM213は、本発明のバックアップ機能付き制御装置(排出制御装置16)において未排出の遊技価値情報(この場合、賞球数情報)などの遊技制御情報を電源遮断時(停電時含む)においても記憶保持するバックアップされた記憶手段に相当している。
【0030】
排出制御装置16の入出力用インターフェース205には、前述の賞球検出センサ42及び貸球検出センサ41からの信号が入力されている。
また、入出力用インターフェース205からは、前述の球排出モータ44やストッパーソレノイド45、及び流路切換ソレノイド43に制御信号が出力される。
なお、排出制御装置16と球貸機(カードユニット)2とは、入出力用インターフェース205と前述のカードユニット接続基板23(図4では省略)を介して双方向通信可能であり、前述したような信号の授受を行う。
【0031】
次に、遊技制御装置17と排出制御装置16にそれぞれ設けられたリセット信号第1遅延回路103とリセット信号第2遅延回路206(図3および図4に示す)について説明する。
リセット信号第1遅延回路103とリセット信号第2遅延回路206は、前述した停電検出回路34内のリセット信号出力部34aから出力されるリセット信号の非アクティブ側への立ち上がり(リセット解除の信号)のみを各マイコン110,210に別個の遅延時間(後述するT10,T11;図6参照)だけ遅延させて伝達するための回路であり、これら回路の特性設定によって各マイコン110,210の起動時期がそれぞれ任意に設定可能となっている。
なお、遊技制御装置17のマイコン110の起動時期の設定は、送信される信号の取りこぼしをできるだけ回避するため、基本的に、その他の制御装置よりも遅く立ち上げるのが好ましい。この場合には、表示制御装置20、装飾制御装置21、音制御装置22、および発射制御装置18が、上記リセット信号出力部34aの出力(リセット信号)が非アクティブとなるのと略同時に起動し、その後に排出制御装置16が起動し、さらにその後に遊技制御装置17が起動する構成となっている(図6参照;詳細後述する)。
また、これらリセット信号第1遅延回路103とリセット信号第2遅延回路206は、本発明のリセット情報出力手段を構成する。
【0032】
E.制御系の動作
次に、本パチンコ機の制御処理の一例について説明する。なお、本発明の特徴部分である停電処理や、賞球排出関連の処理(サブルーチンや割込処理)のみについて説明し、他の処理(メインルーチン含む)については省略する。
(a)遊技制御装置における賞球データ送信制御
まず、遊技制御装置17(マイコン110)による賞球データ送信制御の処理(賞球数情報の送信処理)を説明する。なおこの処理は、例えば、入賞検出手段による検出信号が入力されることで生じる割込信号を起因として実行される割込処理である。
【0033】
即ち、まずステップS1において、入賞球検出手段(前述の入賞口スイッチ1〜Nなど)の出力を読み取り、なんらかの入賞が検出されているか否か判定する。入賞が検出されていれば、割込許可のタイミングで割込処理を開始してステップS2に進み、検出されていなければ割込処理を実行しない。
そして、ステップS2では、検出された入賞に対応する賞球数を決定し、次いでステップS3では、RAM113内の所定のメモリエリア(以下、払出要求残カウンタという)に、決定した賞球数(例えば、5個、10個、或いは15個のうちのいずれかなど)に対応する値(賞球数情報)を払出要求値として加算する。
次に、ステップS4では、ステップS2で決定した賞球数(賞球数情報)を含むコマンドを排出制御装置16に送信する。なお、このコマンドは、前述した遊技価値排出制御情報の一部である。そして、前述した遊技価値排出制御情報には前述の排出前提条件の情報も含まれてもよいが、この場合上記コマンドは、この排出前提条件の情報とは別々に送信される。但し、上記コマンドを、排出前提条件をも含む情報として送信してもよい。このステップS4を経ると、1シーケンスが終了する(割込処理が終了する)。
以上の処理によれば、入賞が検出される毎に、賞球数情報(この場合、上記コマンド)が決定され、これが排出制御装置16に送信されるとともに、この賞球数情報が記憶手段であるRAM113の所定エリア(払出要求残カウンタ)の記憶値(この場合払出要求値)として累積加算される。
【0034】
なお、遊技制御装置17から排出制御装置16に送られる賞球数情報等(遊技価値排出制御情報)のコマンドは、例えばコマンドデータ(賞球データ等そのもの)を送信するための複数ビットのパラレル信号(DATA)と、これらコマンドデータの通信用の2ビットのコントロール信号(START信号,STB(ストローブ)信号)とよりなる(図7参照)。そして、図7の上段(通常時)に例示したように、コマンドデータがSTART信号に続いてSTB信号と同期して送信され、排出制御装置16のCPU211がSTB信号を確認しつつコマンドデータを読みとる構成となっている。即ち、図7に示すように、START信号は、一組のコマンドデータに先立って、一度だけアクティブになり、STB信号は、コマンドデータの送信タイミング(信号の安定時期)にアクティブになる。ここで、START信号は、排出制御装置16(CPU211)の受信処理(割込処理)を開始させるための例えば割込信号(マイコン210の所定の割込端子に入力されるもの)である。
【0035】
(b)遊技制御装置における賞球払出監視制御
次に、遊技制御装置17による賞球払出監視制御の処理を説明する。この処理は、例えば、遊技制御装置17のメイン制御処理におけるサブルーチンとして、基準時間毎に1シーケンスずつ、繰り返し行われる。
処理が開始されると、ステップS11において、前記払出要求残カウンタに残数が有るか否か(即ち、値が賞球数1個分以上か否か)判定し、有ればステップS12に進み、無ければステップS16に進む。
次に、ステップS12では、賞球検出センサ42の検出信号を読み取り賞球が検出されたか否か判定し、検出されればステップS13に進み、されなければステップS17に進む。
そして、ステップS13では、検出された賞球数分(通常は、1個宛検出される)だけ払出要求残カウンタのデータ(払出要求値)を減算し、1シーケンスの処理を終了する。
【0036】
一方、ステップS17では、払出要求残カウンタに値があるのに賞球が検出されない(賞球排出する必要があるのに賞球排出が実行されない)ので、異常判定を行う。異常判定は、例えば、払出要求残カウンタに値があるのに賞球が検出されない時間が設定値を越えた場合に異常と判定するものである。異常と判定されれば、ステップS18に進んで異常を報知するためのなんらかの信号出力や表示などを行う。例えば、前述の遊技盤用外部出力端子136を介して管理装置にこの異常を示す信号を出力する。一方、異常と判定されなかった場合には、1シーケンスの処理を終了する。また、ステップS18を経ると、1シーケンスの処理を終了する。
また、ステップS16では、賞球検出の有無に基づく異常判定を行う。このステップS16に処理が進むのは、上述した払出要求残カウンタの残数が無しになっているので、いちおう賞球排出が正常に終了したと推定される。しかし、このような状態にもかかわらず、まんがいち賞球検出がなされている場合には、異常又は不正な賞球排出が実行されていると判断されるので、それを判定する。具体的には、例えばこのステップS16に処理が進む毎に賞球検出センサ42の検出信号を読み取って賞球が検出されたか否か判定し、賞球が検出された場合には、RAM113内の特定のエリア(以下、異常判定用カウンタという)に検出された賞球数のデータを累積加算する。そして、この累積加算後の異常判定用カウンタの値をその都度確認して既定値(例えば、賞球数16個分)以上となったときには、異常又は不正な賞球排出が実行されているとして、ステップS20に進む。賞球が検出されない場合、或いは賞球が検出されても上記異常判定用カウンタの値が既定値に未到達の場合には、正常の範囲であるとして、1シーケンスの処理を終了する。なお、上記異常判定用カウンタの値は、例えばステップS11の判定が肯定的になったときに、初期化してゼロに戻す。
そして、ステップS20では、例えば装飾制御装置21にコマンドを出力し、過剰賞球排出のエラーが生じたことを報知する遊技機前面の特定の警告ランプ等を、例えば遊技機の電源が再投入されるまで点灯又は点滅させ続けるための設定を行い、その後、1シーケンスの処理を終了する。
【0037】
以上の処理によれば、賞球が検出される毎に、この賞球分に対応した賞球数情報が払出要求残カウンタの記憶値(払出要求値)から減算される。
また、払出要求値が有るのに賞球検出がなされないと異常判定され、場合により異常報知のための出力が実行される(ステップS17,S18)。
また、払出要求残カウンタの残数が無いのに賞球検出がなされているときにも、場合によっては異常報知の出力が実行される(ステップS16,S20)。
そして、正常に賞球検出が実行され、払出要求残カウンタのデータが減算されている過程(払出要求残カウンタの残数が有る状態)では、ステップS13を経て1シーケンスの処理が終了し、異常出力はなされない(即ち、正常として処理が続行される)。また、払出要求残カウンタに残数が無くなり、賞球検出が無くなった場合にも、ステップS16の判定が否定的となり、異常出力はなされない(即ち、正常として処理が続行される)。
なお、上述のステップS17,S18やステップS16,S20の処理は、賞球排出の正常性をより念を入れて監視するための処理であり、必ずしも設ける必要はない。
【0038】
(c)排出制御装置のデータ受信処理
次に、排出制御装置16(マイコン210)により行われる賞球数情報のデータ受信処理(割込処理)を説明する。なおこの処理は、遊技制御装置17の前述のステップS4の処理で送信される賞球数情報のコマンドが入力されることで生じる割込信号を起因として実行される割込処理である。
処理が開始されると(即ち、上記コマンドが入力されると)、ステップS21において、先ずこのコマンドを受信する処理を行う。
次いで、ステップS22では、RAM213内の所定メモリエリア(以下、払出実行残カウンタという)に、受信したコマンドに含まれる賞球数情報のデータを払出実行値として加算する。
以上の処理によれば、賞球数情報が受信される毎に、受信された賞球数情報が、払出実行残カウンタに累積加算される。
【0039】
(d)排出制御装置の賞球払出制御
次に、排出制御装置16の賞球払出制御(賞球排出の制御)を説明する。なおこの処理は、例えば、排出制御装置16のメイン制御処理におけるサブルーチンとして、基準時間毎に1シーケンスずつ、繰り返し行われる。
処理が開始されると、ステップS31で、前述の払出ユニット15aのモータ44やストッパーソレノイド45の作動が終了しているか否か(即ち、停止状態か否か)判定する。そして、停止状態ならばステップS32に進み、作動中ならばステップS38に進む。なお、ここで停止状態とは、モータ44の回転が停止し、ストッパーソレノイド45が励磁されていない状態(即ち、賞球排出を停止している状態)をいう。
次に、ステップS32では、RAM213内に設けられた特定のメモリエリア(以下、目標値カウンタという)の残数が無しか否か(即ち、値が賞球数1個分未満か否か)判定し、無ければステップS33に進み、有ればステップS41に進む。
そして、ステップS41では、異常を報知する信号の出力等を行う。このステップS41に処理が進むのは、払出ユニット15aが賞球排出を停止しているのに、賞球排出の目標値が設定される目標値カウンタに残数があるという異常な状態であるので、このような処理がなされる。なおこの処理は、賞球排出の正常性をより念を入れて監視するための処理であり、必ずしも設ける必要はない。
このステップS41を経ると、1シーケンスの処理を終了する。
【0040】
一方、ステップS33では、払出実行残カウンタに残数が有るか否か判定し、無ければ1シーケンスの処理を終了し、有ればステップS34に進む。
次に、ステップS34では、遊技制御装置17から送信されている遊技価値排出制御情報の中の排出前提条件の情報を読み取り、排出前提条件が成立しているか否か(賞球の払出が許可されているか否か)を判定し、許可されてなければ1シーケンスの処理を終了し、許可されていればステップS35に進む。
次いで、ステップS35では、賞球排出の目標賞球数である払出目標値を決定し、この値を目標値カウンタに設定する。払出目標値の決定は、例えば、次のようにして行う。即ち、払出実行残カウンタの残数(払出実行値)の値が、排出ユニット15の最大排出球数(例えば、15個)を越えている場合には、この最大排出球数の値とし、この最大排出球数以下である場合には、その残数の値とする。つまり、最大排出球数の範囲内でなるべく大きな値とする。このようにすれば、1回の賞球排出で最も多くの賞球が排出でき、賞球排出の高速化に寄与できるからである。
なおここで、排出ユニット15の最大排出球数とは、半端球検出スイッチ14aが検出信号を出力している際に前述の誘導路12内に保有されていると推定される遊技球の最低数などから決定される値である。
【0041】
次に、ステップS36では、排出ユニット15(流路切換ユニット15b)の流路切換弁用ソレノイド43を必要に応じて作動させて、前述した賞球流路を遊技球が通過する状態に設定する。
次に、ステップS37では、排出ユニット15(払出ユニット15a)のストッパーソレノイド45を作動させて前述した停止部材の係合状態を解除した状態で、目標値カウンタに設定された払出目標値分の賞球数に対応する回転角又は回転量だけ球排出モータ44を作動させる制御を開始する。
次いで、ステップS38では、賞球検出センサ42の検出信号を読み取り賞球が検出されたか否か判定し、検出されればステップS39に進み、されなければ1シーケンスの処理を終了する。
そして、ステップS39とその後のステップS40では、検出された賞球数分(通常は、1個宛検出される)だけ払出実行残カウンタや目標値カウンタのデータを減算する。
ステップS40を経ると、1シーケンスの処理を終了する。
【0042】
以上の処理によれば、目標値カウンタに残数がない状態(排出ユニット15は停止状態)で、払出実行残カウンタに残数が生じると(賞球数情報が存在すると)、排出前提条件が成立していることを前提として、目標値カウンタにそれに応じた所定の払出目標値が設定され、この払出目標値分の賞球を排出する排出ユニット15の一回の賞球排出動作が開始される(ステップS31〜S37)。そして、排出ユニット15の作動中(賞球排出動作中)には、ステップS31の判定が常に否定的になり、ステップS38の処理が繰り返されて、賞球が検出される毎に、ステップS39,S40の処理でその賞球数分の値が払出実行残カウンタや目標値カウンタから順次減算される。次いで、排出ユニット15が停止すると、ステップS32以降が再び実行されるようになり、払出実行残カウンタに残数が生じる度に(残数が存在する限り)、以上の動作が繰り返される。
なお、排出ユニット15が賞球排出を停止しているのに、目標値カウンタに残数があると、前述したように異常報知が行われる(ステップS41)。
【0043】
(e)遊技制御装置および排出制御装置の停電処理
次に、遊技制御装置17(マイコン110)や排出制御装置16(マイコン210)が、前述の停電検出回路34の停電検出信号に基づいて実行する停電処理の一例を説明する。
停電検出回路34からの停電検出信号が入力されると、この場合マイコン110や210は、これを強制的な割込信号(いわゆるNMI割込の信号)として扱って、先行する割込(センサやスイッチ類の入力等)の処理や実行中の他の処理を中断して、停電処理としての各処理を行う。
即ちCPU111又は211は、停電検出回路34からの停電検出信号が入力されると、まず、全レジスタやスタックポインタのデータ、或いはNMI割込発生前の割込許可/禁止状態のデータを、全てバックアップされているRAM113又は213の所定エリアに保存する。この際必要があれば、前述した払出要求残カウンタ又は払出実行残カウンタの残数(最新値)もバックアップされているRAM113又は213の所定エリアに当然保存する。
次に、全ての出力をオフし、賞球検出手段(前述した賞球検出センサ42)或いは入賞検出手段(前述した入賞口スイッチ1〜N等)の検出信号の読み込み処理を行った後、停電フラグをセットして、最後にRAM113又は213へのアクセスを禁止した後、リセット信号入力待ち状態で待機する。
ここで、出力をオフしRAMへのアクセスを禁止して待機する処理は、リセット信号によってハード的に動作停止するまで実質的に機能を停止(ソフト的に動作停止)して、不定な信号が出力されたり不定なデータが誤ってRAMに書き込まれることを信頼性高く防止するためのものである。また、全レジスタやスタックポインタ等の全データを保存する処理は、電源再投入後(停電復帰後含む)に電源遮断時と同じ状態(賞球数情報の記憶状態に加えて遊技状態や遊技制御状態又は排出制御状態含む)に復帰して動作を停電時点の状態からそのまま再開できるようにする処理である。また、賞球検出手段等の検出信号を停電処理中において読み込むのは、電源遮断間際に排出された賞球や入賞した入賞球の取りこぼしを無くすためである。
【0044】
F.電源遮断時の動作
次に、本パチンコ機の電源遮断時(停電時含む)の動作について説明する。
この場合、停電等があって、まず電源供給装置24におけるDC32V生成回路30の出力が32Vから停電検出電圧(例えば22V)に低下すると、図5に示すように、電源供給装置24の停電検出回路34が停電検出信号をアクティブとする(この場合その出力がLレベルになる)。すると同時に、この停電検出信号が遊技制御装置17のマイコン110や排出制御装置16のマイコン210に入力され、これによって前述の停電処理が遊技制御装置17や排出制御装置16にて実行される。なお、上記停電検出電圧は、停電検出時点まで(図5のT1の期間)払出ユニット15の動作が保証され、また、停電処理中の入賞検出手段等の検出信号の読み込み処理が終了するまで、センサ類(特に入賞検出手段等を構成する各スイッチ)の動作(即ち、DC12V電源)が保証され(図5のT2参照)、さらに、リセット信号がマイコン110等に入力されるまでマイコン110(CPU111)等の動作(即ちDC5V電源)が保証される値とすべきであり、本実施の形態では、例えば22Vに設定することで、この条件が満足できる。
【0045】
次いで、上記停電検出信号(アクティブ)の出力から所定の遅延時間T3(例えば約3msec)が経過すると、図5に示すように、停電検出回路34のリセット信号出力部34aがリセット信号をアクティブとする(この場合その出力がLレベルになる)。すると同時に、このリセット信号が全ての制御装置16,17,18,20,21,22のCPU等に入力され(T3=T4=T5)、これによってこれら全ての制御装置のCPU等が電源ダウン前に確実に動作を停止する。
なお電源遮断後、前記RAM113,213のデータ(前述した払出要求残カウンタ及び払出実行残カウンタの値を含む)は、前述したDC5VBB生成回路33(バックアップ電源)によってバックアップされて記憶保持されることは、前述したとおりである。また、遅延時間T3(本発明の所定時間に相当)は、前述した停電処理が遂行できる十分な時間に設定されている。
【0046】
G.電源再投入時の動作
次に、本パチンコ機の電源再投入時(停電復帰時含む)の動作について説明する。
(a)起動動作
停電復帰(この場合、通常の電源投入でも同じ)により、電源供給装置24におけるDC32V生成回路30の出力が例えば22Vを越えると、図6に示すように、電源電圧(DC32V)が十分安定する遅延時間T6−T7(例えば約3msec)が経過した後、電源供給装置24の停電検出回路34が停電検出信号を非アクティブとする(この場合その出力がHレベルになる)。すると同時に、この停電検出信号が遊技制御装置17のマイコン110や排出制御装置16のマイコン210に入力され、これによって停電検出状態が解除される。
次いで、上記停電検出信号(非アクティブ)の出力から所定の遅延時間T7(例えば約4msec)が経過すると、図6に示すように、停電検出回路34のリセット信号出力部34aがリセット信号を非アクティブとする(この場合その出力がHレベルになる)。すると同時に、このリセット信号がバックアップ機能無し制御装置18,20,21,22のCPU等に入力され、これによってこれら各制御装置18,20,21,22のCPU等がまず起動する。なお、遅延時間T7は、各制御装置(センサ類含む)や被制御機器(例えば、排出ユニット15のモータ44等)に各電源が十分達してからリセット信号が解除されるように設定されている(図6のT6,T8,T9参照)。
【0047】
次いで、前述したリセット信号第2遅延回路206の作用によって、上記リセット信号(非アクティブ)の出力から所定の遅延時間T11(例えば約300μsec)が経過すると、上記リセット信号がバックアップ機能付き制御装置である排出制御装置16に入力され、これによってこの排出制御装置16のマイコン210が起動する。
そして、前述したリセット信号第1遅延回路103の作用によって、上記リセット信号(非アクティブ)の出力から所定の遅延時間T10(例えば約600μsec)が経過すると、上記リセット信号がバックアップ機能付き制御装置である遊技制御装置17に入力され、これによってこの遊技制御装置17のマイコン110が最後に起動する。
なお、この場合詳細には、排出制御装置16や遊技制御装置17に入力されるリセット信号は、例えば上記遅延回路103,206の機能によって、図6に示すように、最終的に非アクティブとなる前に一時的に(他の制御装置と同時期に)非アクティブとなる。
【0048】
(b)電源再投入時の遊技制御装置の制御動作
停電等から所定の保証期間内に電源が復帰した時(即ち、電源再投入時)には、前述した停電処理によって遊技制御装置17のRAM113に設定された停電フラグが正常に記憶されている。このため、マイコン110では、起動後に停電復帰時であると判定して、RAM113の特定領域(記憶保持していた賞球データ等の情報を除く領域)のみを初期化する等の処理を行うとともに、スタックポインタや全レジスタ等のデータを電源遮断時のものに復帰させ、電源遮断時に中断したアドレスに復帰して、賞球排出制御動作(即ち、前述した賞球数情報の送信処理等)を含む全ての制御処理を、電源遮断時の状態からそのまま継続的に再開する。
【0049】
(c)電源再投入時の排出制御装置の制御動作
排出制御装置16のマイコン210も、同様の電源再投入時には、そのRAM213に前述の停電フラグが正常に記憶されている。このため、マイコン210でも、起動後に停電復帰時であると判定して、RAM213の特定領域(記憶保持していた賞球データ等の情報を除く領域)のみを初期化する等の処理を行うとともに、スタックポインタや全レジスタ等のデータを電源遮断時のものに復帰させ、電源遮断時に中断したアドレスに復帰して、賞球排出制御動作(即ち、前述した賞球数情報の受信処理等)を含む全ての制御処理を、電源遮断時の状態からそのまま継続的に再開する。
このため、遊技制御装置17と排出制御装置16間で賞球数情報等のデータを送信中に停電等が発生して、この送信処理が中断した場合には、この電源遮断時点がいずれのタイミングであっても、図7の下段(停電時)に示すように、電源再投入時に、この送信処理が電源遮断時点(中断時点)の状態からそのまま再開され、データの消失やとりこぼしが発生し難い。
【0050】
以上説明した本遊技機であると、次のような効果がある。
(1)停電検出情報がアクティブになると、その時点から所定時間(T3)経過後にリセット情報が必ずアクティブになり、バックアップ機能付き制御装置が停電処理を実行後に必ず機能停止する。このため、停電処理のみが実行されて機能停止が行われない事態が発生せず、バックアップ機能付き制御装置の制御処理が簡素になる。
(2)また、前記所定時間(T3)が、停電処理に要する時間以上(例えば、約3msec)に設定されているため、停電処理を完全に実行し終わることが確実に可能で、バックアップ機能付き制御装置において電源遮断時に記憶保持すべき情報が適正かつ確実に記憶保持される。このため、電源再投入後(停電復帰後含む)にその情報に基づいて、遊技の再開等が確実に可能となる。
特に、本遊技機では、遊技の進行を制御し遊技価値の発生に基づいて遊技価値情報(賞球数情報)を出力する遊技制御装置17と、この遊技制御装置17から出力される遊技価値情報に基づいて遊技価値を排出する排出制御を行う排出制御装置16とが、バックアップ機能付き制御装置とされ、電源遮断時に記憶保持される情報(遊技制御情報)には、遊技者の利益に直結する遊技価値情報と、遊技者の利益に影響の大きい遊技状態再開のための情報(遊技状態情報)とが含まれる。このため、遊技者の利益に最も影響の高い遊技価値情報が、電源遮断時にも信頼性高く記憶保持され、この遊技価値情報に基づく未払の遊技価値の払出しが、電源再投入時に適正かつ確実に実行できる。また、遊技者の利益に影響の強い遊技状態情報が、電源遮断時にも信頼性高く記憶保持され、この遊技状態情報に基づく遊技の再開(電源遮断時時点からの再開)が、電源再投入時に適正かつ確実に実行できる。
したがって、停電等による遊技者の不利益や遊技店とのトラブルの発生を信頼性高く回避できる。
(3)また、停電検出回路34(停電検出手段)は、電源電圧の規程値(この場合、例えば22V)を越える上昇を検出(即ち、電源再投入を検出)して、電源電圧が安定する所定時間(T6−T7)経過後に停電検出信号(停電検出情報)を非アクティブに戻す機能を有し、リセット信号出力部34a(リセット情報出力手段)は、停電検出情報が非アクティブに戻されると、その後(所定時間T7後)にリセット信号(リセット情報)を非アクティブに戻す機能を有する。このため、図6によって説明したように、リセット状態の解除(即ち、リセット情報の非アクティブ状態への復帰)が、確実に電源電圧(この場合、DC32V,12V,5V)が安定状態になり、かつ停電検出情報が非アクティブに戻された後に行われるので、制御装置の起動(機能復帰)が、特に信頼性高く安全な状態で実現できる。
【0051】
(4)また、本遊技機では、遊技制御情報を電源遮断時において記憶保持不可能で、前記リセット信号(リセット情報)がアクティブになると機能停止するバックアップ機能無し制御装置(発射制御装置18、表示制御装置20、装飾制御装置21、音制御装置22)を備えた。即ち、バックアップ機能無し制御装置18,20,21,22に対してもリセット情報が入力され、このリセット情報によって起動停止(機能停止又は機能回復)が制御される。このため、一つのリセット信号出力部34a(リセット情報出力手段)で、各制御装置(バックアップ機能付きおよびバックアップ機能無しの両者)の連動的な起動停止制御が一括して行える利点がある。
【0052】
なお、本発明は上記形態例の態様に限られず、各種の変形,応用があり得る。
例えば、停電検出手段は、通常の電源遮断操作による電源遮断と、停電などの不用意な電源遮断とを区別して、後者の電源遮断のみ(即ち、停電等のみ)を検出して停電検出信号を出力するような構成もあり得る。この場合停電処理(強制割込処理)は、停電等の場合しか実行されず、停電フラグも停電等の場合しか設定されないので、通常の電源遮断操作の場合には、バックアップ電源の保証期間内に電源が再投入されても、通常の起動処理(基本的にRAMの全エリアをまず初期化する処理を含むもの)が実行される。本発明はこのような態様も含むものである。
また、上記実施の形態では、バックアップ機能付き制御装置の遊技制御情報を電源遮断中に記憶保持する記憶保持手段として、コンデンサ33bよりなるバックアップ電源でバックアップされたRAM113,213を例示したが、これに限られず、例えばEEPROMによって上記記憶保持手段を構成することもできる。なお、EEPROMなどの不揮発性メモリに記憶保持するようにすれば、記憶保持可能な保証期間は理論上無限大となり、理論上電源遮断時間に無関係に、遊技の再開や電源遮断によって未排出となった補足的賞球排出等が電源再投入後に可能となる。
【0053】
また、上記形態例では、賞球検出センサ42の信号を遊技制御装置にも入力し、遊技制御装置の賞球数情報の記憶値(前述の払出要求残カウンタのデータ)を賞球検出に応じて減算する構成としたが、この遊技制御装置での賞球数情報の減算は、例えば賞球数情報の排出制御装置への送信時(又は送信後)にその送信分だけ減算する態様(排出制御装置側のみで未排出の賞球数情報を正確に管理する態様)もあり得る(この場合、賞球検出センサ42の信号を遊技制御装置に入力する必要はない)。また逆に、賞球検出センサ42の信号を遊技制御装置のみに入力し、排出制御装置では賞球排出動作を実行する毎にその分の賞球数情報を減算する態様(遊技制御装置側のみで未排出の賞球数情報を正確に管理する態様)もあり得る。
また、遊技制御装置のみがバックアップ機能付き制御装置とされていてもよいし、遊技制御装置や排出制御装置以外の制御装置(例えば、表示制御装置)がバックアップ機能(例えば、停電時の表示状態や表示制御状態を再開する情報を記憶保持するもの)を備えたバックアップ機能付き制御装置であってもよい。
また、賞球排出の方法についても、上記実施の形態に限定されないことはいうまでもない。
【0054】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0055】
ここで、従来の背景技術などにつき、以下に付記する。
従来、例えば、遊技球等を遊技価値として遊技者に払出す排出ユニット(被制御機器)は、遊技制御装置から送信される遊技価値排出制御情報に基づく排出制御装置(従属制御装置)の制御処理によって駆動制御される。また、この種の遊技機の中には、液晶ディスプレイ又はCRTディスプレイなどの表示装置が遊技盤面中央等に設けられ、この表示装置(被制御機器)が遊技制御装置からの表示制御情報に基づく表示制御装置(従属制御装置)の制御によって駆動されて、遊技の一部をなす表示ゲーム(例えば、識別情報の変動表示ゲーム)や、遊技状態を演出する演出表示などが実行されるタイプがある。また通常、この種の遊技機には、演出用の装飾ランプなどの電飾部材が各所に設けられ、この電飾部材(被制御機器)も、遊技制御装置からの装飾制御情報に基づく装飾制御装置(従属制御装置)の制御処理によって駆動制御される。
【0056】
ところで、上述したような遊技機にあっては、遊技中に停電等が発生して遊技機への電力供給が絶たれた場合、従来では、遊技機がどのような遊技状態であったかの遊技状態に関する情報や、未排出の遊技価値(例えば、賞球としての遊技球)の情報(例えば、いわゆる賞球データなどの賞球数情報)などが消滅してしまう。
このため、電力供給が再開されても(即ち、電源が再投入されても)、電源遮断時(停電発生時含む)に実行されていた遊技状態から遊技を再開することができず、停電発生等に伴う遊技者への補償ができないなど不都合が生じる。つまり、電源遮断前には、いわゆる大当たりなどの遊技者に有利な状態にあったのに、それが停電等で中断して、電源再投入後(停電復帰後含む)に大当たりでない状態から遊技が再開するような事態が発生する恐れがあり、この場合遊技者は取り返しのつかない不利益を被ることになる。
また、未排出の遊技価値情報が消滅することによって、その分の遊技価値の排出が電源再投入後に実行されなくなるので、この点でも遊技者が不利益を被る恐れがある。なお、例えば従前の一般的なパチンコ機は、全ての入賞球を一カ所に集めて1個ずつ検出し、入賞球を賞球払出が完了するまで保持しておくセーフユニットを備えていて、停電等があってもこのセーフユニットに保持されている入賞球を確認することで、未排出の賞球数がある程度判定できた。しかし、近年では賞球排出の高速化を図るべく、このようなセーフユニットを備えずに、各入賞口毎に入賞検出を行ってその入賞分の遊技価値情報(未排出の賞球数情報)を逐次加算して記憶し、入賞球を入賞検出後保持しないで即座に機外に排出してしまう遊技機が提案されており、このような遊技機の場合に遊技価値情報が消滅することは、未排出の賞球数を後で客観的に確認する方法が全くなくなってしまうことを意味し、遊技者と遊技店間のトラブルの原因になる。
そこで出願人は、電力供給が絶たれたときに、遊技機の遊技状態を再開するための情報や未排出の遊技価値情報など(遊技制御情報)を記憶保持するための記憶保持手段(例えば、停電時にもバックアップ電源が供給されるメモリよりなるもの)を例えば遊技制御装置に対して設けて、電源が再投入されるまでの間(正確には保証期間の間)、前記遊技制御情報をこの記憶保持手段に記憶保持する遊技機(即ち、バックアップ機能付き制御装置を備えた遊技機)を提案している。
【0057】
しかし、このように前記遊技制御情報を記憶保持するバックアップ機能付き制御装置を備えた遊技機にあっては、電源遮断時に電源電圧が動作保証電圧以下にダウンするまでに、少なくともそれら情報をバックアップされたメモリ等に確実に登録する処理(即ち、停電処理)を実行し、さらに登録された内容が確実に記憶保持されるように最終的にハード的に機能停止する動作が必要となり、この停電処理や機能停止を実行するにあたり、以下のような問題点があった。
即ち、一つの方法としては、制御装置が正常かつ確実に作動できる動作保証電圧より高い設定値(停電電圧)以下に電源電圧が比較的僅かに降下したときに、停電の開始として検出して、前記停電処理を実行し、その後さらに電源電圧が低下して前記停電電圧よりも低い設定値(リセット電圧)以下になったときに、リセット信号を前記制御装置のマイコン等に入力して、このマイコン等をハード的に機能停止させる方法がある。ところが、このように電圧のさらなる降下を機能停止の実行条件とすると、例えば前記停電電圧のみを一時的に下回るような電圧変動(前記リセット電圧までは下降しない電圧変動)があった場合には、前記停電処理のみが実行されて機能停止が行われない事態が発生する。そして、このような事態に陥っても制御処理が再開されて正常な動作が実行されるようにするためには、制御処理が極めて複雑になる問題がある。
【符号の説明】
【0058】
1 パチンコ機(遊技機)
16 排出制御装置(バックアップ機能付き制御装置)
17 遊技制御装置(バックアップ機能付き制御装置)
18 発射制御装置(バックアップ機能無し制御装置)
20 表示制御装置(バックアップ機能無し制御装置)
21 装飾制御装置(バックアップ機能無し制御装置)
22 音制御装置(バックアップ機能無し制御装置)
24 電源供給装置
34 停電検出回路(停電検出手段)
34a リセット信号出力部(リセット情報出力手段)
103 リセット信号第1遅延回路(リセット情報出力手段)
206 リセット信号第2遅延回路(リセット情報出力手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤の入賞口へ遊技球が入賞することに関連して、遊技の進行を管理制御する遊技制御情報を送信するとともに、賞球排出すべき賞球数情報を決定し、この賞球数情報を送信する遊技制御装置と、
前記遊技制御装置から送信される賞球数情報に基づいて遊技球を排出する球排出機構を作動させて少なくとも賞球排出の制御を行う排出制御装置と、を備えた遊技機において、
停電の発生により電源電圧が停電検出電圧に低下すると、前記遊技制御装置及び前記排出制御装置に対する停電検出情報をアクティブとする停電検出手段と、
前記停電検出情報がアクティブとなってから、前記遊技制御装置及び前記排出制御装置が停電処理を実行するのに十分な時間が経過後に該遊技制御装置及び該排出制御装置の動作を停止させるためのリセット情報を、前記遊技制御装置及び前記排出制御装置に対して同時にアクティブとするリセット情報制御手段と、
を備え、
前記停電検出手段は、電源が再投入された場合、停電復帰電圧を超えてから電源電圧が安定する所定時間経過後に前記停電検出情報を非アクティブに戻す機能を有し、
前記リセット情報制御手段は、前記停電検出情報が非アクティブに戻されると、その後に前記リセット情報を非アクティブに戻す機能を有し、
前記遊技制御装置から送信される遊技制御情報に基づいて装飾装置の装飾制御を行う装飾制御装置を設け、
前記装飾制御装置は、
前記遊技制御情報を停電発生時において記憶保持不可能とし、
電源が再投入された場合、前記遊技制御装置及び前記排出制御装置に対するリセット情報が非アクティブに戻されるよりも前に起動するようにしたことを特徴とする遊技機。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−227719(P2010−227719A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165867(P2010−165867)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【分割の表示】特願2008−130713(P2008−130713)の分割
【原出願日】平成12年4月12日(2000.4.12)
【出願人】(000132747)株式会社ソフイア (2,465)
【Fターム(参考)】