説明

遊技機

【課題】可変入賞装置を備えたパチンコ機等の遊技機において、可変入賞装置の機能を損なうことなく不正行為のより確実な防止を図る。
【解決手段】パチンコ機の遊技盤3には作動口12、図柄表示装置13及び大入賞口16を有する可変入賞装置21等が設けられている。制御装置50は、所定の条件が満たされることを必要条件に、大当たり状態を発生させる。大当たり時には大入賞口用ソレノイド23によりシャッタ22が傾動動作され、大入賞口16は開放状態及び閉鎖状態をとる。シャッタ22が垂直状態のときに、該シャッタ22を不正に傾動させようとする力に抗して該シャッタ22を垂直状態に保持する保持手段を設け、大入賞口用ソレノイド23の駆動時には保持手段による保持機能が無効化されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッタと、該シャッタを作動するための電気的駆動手段とを有してなる可変入賞装置を備えたパチンコ機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の一種として、複数種類の図柄等を、予め定められた配列で変動表示するための特別図柄表示装置を備えたパチンコ機が知られている。
【0003】
この種のパチンコ機では、表示装置での変動表示停止時の表示図柄(停止図柄)に応じて、リーチ状態を経た後に遊技者に有利な状態となる「特別遊技状態」、リーチ状態を経た後に特別遊技状態とはならない「外れリーチ状態」、又は、リーチ状態を経ず、かつ、特別遊技状態ともならない「外れ状態」が発生させられる。停止図柄には、特別遊技状態を発生させるための特別遊技図柄(大当たり図柄)、外れリーチを発生させるための外れリーチ図柄、及び、外れ状態を発生させるための外れ図柄がある。
【0004】
前記のようなパチンコ機では、遊技者の操作に応じて変化する遊技状況が、所定の条件を満たすこと(例えば、遊技球が作動口に入賞すること等)に基づいて、特別図柄表示装置において、図柄の変動表示が開始される。また、上記特別遊技図柄、外れリーチ図柄、及び、外れ図柄の中から、遊技状況に応じた停止図柄が選択され、その選択された停止図柄で前記変動表示が停止させられる。そして、大当たり図柄で停止した場合には、特別変動入賞装置(可変入賞装置)が遊技者にとって有利な状態(大当たり状態)となるように切換えられる。より詳しくは、シャッタが傾動されて大入賞口が開放され、そこへ多くの遊技球を入賞させることによって、遊技者は大量の景品球を獲得することが可能となる。
【0005】
かかる可変入賞装置は、一般に、大入賞口を備えているとともに、大入賞口の前には、シャッタが設けられている。このシャッタは、大入賞口の側部に設けられた大入賞口用ソレノイドにより作動させられ、大入賞口を開閉する。詳しくは、当該ソレノイドが励磁状態(駆動状態)となることにより、シャッタが略水平に傾動し、これにより大入賞口が開かれる。また、ソレノイドが非励磁状態(非駆動状態)となることにより、シャッタが略垂直状態となり、これにより大入賞口は閉鎖される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが近年、上記可変入賞装置に関し、種々の不正行為が報告されるようになってきている。不正行為の代表例としては、パチンコ機の上皿の遊技球通路等から「セル」と称される薄肉長尺状の樹脂板をパチンコ機内部(遊技盤及びガラス板間)に挿入させ、シャッタを強制的に傾動させ、大入賞口を開放状態にするとともに、該開放状態にある大入賞口に大量の遊技球を不正に入賞させる行為が挙げられる。このような不正行為が行われると、大量の景品球が不正に導出されてしまい、結果的に遊技場側に多大な損害が及ぶケースがあった。
【0007】
上記の「セル」を用いて大入賞口を開放させる具体的方法としては、シャッタに「セル」の先端を引っかけて直接的にシャッタを傾動させる方法と、ソレノイドのプランジャを操作して(プランジャをコイルバネの付勢力に抗して没入させて)、シャッタを傾動させる方法とがある。特に、前者の不正行為については、不正行為を行おうとする操作対象部材が、外部から直接視認可能なシャッタであるため、比較的頻繁に行われているのが実状である。
【0008】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、シャッタと、該シャッタを作動するための電気的駆動手段とを有してなる可変入賞装置を備えたパチンコ機等の遊技機において、可変入賞装置の機能を損なうことなく不正行為のより確実な防止を図ることのできる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、第1の発明においては、自身が第2の状態をとることにより、第1の状態をとっているときよりも遊技媒体の入賞口への入賞を容易な状態にしうるシャッタと、該シャッタを作動させるための電気的駆動手段と、常には前記シャッタが第1の状態をとるよう前記電気的駆動手段を非駆動状態とし、特定条件が成立することを必要条件に前記シャッタが第2の状態をとるよう前記電気的駆動手段を駆動制御する制御手段とを有する可変入賞装置を備えた遊技機において、
前記シャッタが第1の状態をとっているときに、該シャッタに第2の状態をとらしめるべく作用する力に抗して該シャッタを第1の状態に保持する保持手段を設けるとともに、前記電気的駆動手段の駆動時には前記保持手段による保持機能が無効化されるようにしたことをその要旨としている。
【0010】
また、第2の発明においては、上記第1の発明にかかる遊技機において、前記シャッタが第1の状態をとることにより前記入賞口を閉鎖状態とし、前記シャッタが傾動により第2の状態をとることにより前記入賞口を開放状態にしうるものであることをその要旨としている。
【0011】
(作用)
上記第1の発明にかかる遊技機によれば、常にはシャッタが第1の状態をとるよう、制御装置によって電気的駆動手段が非駆動状態とされる。また、特定条件が成立することを必要条件に、制御装置によって電気的駆動手段が駆動制御され、これによりシャッタが作動させられ、第2の状態をとる。シャッタが第2の状態をとることによって、第1の状態をとっているときよりも遊技媒体の入賞口への入賞が容易となる。
【0012】
さて、本遊技機によれば、前記シャッタが第1の状態をとっているときには、不正行為に基づき、該シャッタに第2の状態をとらしめるべく作用する力を働かせようとしても、保持手段によって、シャッタは第1の状態に保持させられる。従って、不正行為者によってシャッタが強制的に第2の状態をとることが抑制される。一方、電気的駆動手段の駆動時には、前記保持手段による保持機能が無効化される。このため、制御手段によって、正当に電気的駆動手段が駆動制御された場合には、シャッタは、何ら阻害されることなく第2の状態をとりうる。
【0013】
また、第2の発明にかかる遊技機によれば、第1の発明の遊技機の作用に加えて、シャッタが第1の状態をとることにより、入賞口が閉鎖状態とされ、シャッタが傾動により第2の状態をとることにより、入賞口が開放状態にされうる。従って、不正行為によって、該シャッタを傾動させて入賞口を開放状態にしようと、作用力を働かせようとしても、保持手段によって、入賞口は閉鎖状態に保持させられる。従って、不正行為者によって入賞口が強制的に開放状態をとることが抑制される。一方、電気的駆動手段の駆動時には、前記保持手段による保持機能が無効化されるため、正当に電気的駆動手段が駆動制御された場合には、シャッタは、何ら阻害されることなく傾動され、入賞口が開放状態にされる。
【発明の効果】
【0014】
以上詳述したように、本発明によれば、シャッタと、該シャッタを作動するための電気的駆動手段とを有してなる可変入賞装置を備えたパチンコ機等の遊技機において、可変入賞装置の機能を損なうことなく不正行為のより確実な防止を図ることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施の形態におけるパチンコ機を示す斜視図である。
【図2】パチンコ機の遊技盤等を示す正面図である。
【図3】可変入賞装置を表側から見た状態を示す正面図である。
【図4】可変入賞装置を表側から見た状態を示す分解斜視図である。
【図5】可変入賞装置を裏側から見た状態を示す分解斜視図である。
【図6】シャッタの傾動動作を説明するための模式的な断面図であって、(a)は大入賞口の閉鎖状態を、(b)は大入賞口の開放状態を示す図である。
【図7】シャッタの傾動動作及び保持手段の保持状態を説明するための模式的な断面図であって、(a)は大入賞口が閉鎖された状態を、(b)は保持状態が解除された状態を、(c)は大入賞口が開放された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、遊技機としてのパチンコ機を具体化した一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1に示すように、外枠1には前枠2が回動軸を中心に回動可能に装着されている。同図では前枠2は閉じた状態にある。前枠2には遊技盤3(図2参照)、ガラス板を有してなるガラス扉枠4、上皿5、下皿6、ハンドル7等が装着されている。上皿5の側方であって前枠2内部にはスピーカ8が埋設されている。スピーカ8は遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態を音声にて報知するようになっている。
【0018】
次に、遊技盤3の遊技面上の構成について説明する。図2に示すように、遊技盤3には、図柄作動口12、図柄表示装置13、特定入賞口14、始動口15、及び、大入賞口16を備えた可変入賞装置21等が設けられている。
【0019】
図柄作動口12は、遊技盤3の中央下部に設けられている。また、図柄表示装置13は、遊技盤3の中央部に設けられており、LCD(液晶ディスプレイ)よりなる表示部13aを備えており、ここに複数の図柄列が表示される。例えば、これらの図柄列として左図柄列、中図柄列及び右図柄列の3つの図柄列(図示略)が表示される(それ以外の数の図柄列が表示されてもよい)。
【0020】
図柄表示装置13においては、遊技球Bが図柄作動口12へ入賞(又は通過)することに基づき、各図柄列の図柄変動が開始される。ここでの「入賞」には、景品球の払い出しを伴う場合のみならず、景品球の払い出しを伴わない単なる通過も含まれる。全ての図柄列での図柄変動が停止したとき、表示されている図柄の組み合わせが、予め定められた組み合わせ、すなわち、同一種類の図柄が直線(当たりライン)上に並んでいるときの図柄の組み合わせ、となる場合がある。この組み合わせとしては、例えば「7」「7」「7」がある。かかる図柄の組み合わせを、以下、「当たり図柄」という。なお、図柄表示装置13における図柄の表示態様としては、上記1ラインと称されるもの以外にも、5ライン(上中下の水平3ラインと斜めの2ライン)や、2ライン(上下の水平2ライン、又は、斜め2ライン)、或いは3ライン(中央の水平1ラインと斜めの2ライン)と称される当たりラインを有するタイプのものであってもよい。
【0021】
また、パチンコ機においては、上記「当たり」の発生に先立ち、リーチ遊技状態(リーチ状態)が発生する。ここで、リーチ状態とは、当たり発生の直前の状態をいい、例えば、右図柄列での図柄変動が、当たりライン上において左図柄列と同一種類の図柄で停止し、かつ、その後に中図柄列での図柄変動が左右の図柄列での停止図柄と同一種類の図柄で停止されれば、最終的に当たりの組み合わせとなる状態が含まれる。また、上記のリーチ状態には、中図柄列の図柄変動が、最終的に左・右両図柄列の停止図柄と同一種類の図柄(当たり図柄)で停止して当たり状態になるもの以外にも、異なる種類の図柄(これを「外れリーチ図柄」という)で停止して、当たり状態とならないもの(以下、「外れリーチ状態」という)が含まれる。
【0022】
特定入賞口14は、普通電動役物と呼ばれているものであり、前記図柄表示装置13の上部に設けられている。特定入賞口14は、羽根14aを備えた入賞装置でもある。この羽根14aは、図示しない特定入賞口用ソレノイドによって作動させられる。すなわち、該ソレノイドが励磁状態となることにより、羽根14aが開かれ、特定入賞口14に遊技球Bを入賞させることが可能となる。また、通常時には、ソレノイドは非励磁状態となっており、この状態においては特定入賞口14が閉じられ、特定入賞口14への遊技球Bの入賞は困難(不可能)となっている。
【0023】
本実施の形態では、図柄表示装置13において図柄が当たり図柄にて停止することにより、羽根14aが所定時間α(例えばα=5.9秒)だけ開放される。そして、所定個数(例えば3個)以上の遊技球Bが特定入賞口14に入賞し、そのことが検出されることに基づき、後述する大当たり状態が発生する。
【0024】
さて、所定個数(例えば3個)以上の遊技球Bが特定入賞口14に入賞することに基づき大当たり状態が発生すると、特別装置が作動する。この特別装置の作動は、特別電動役物を作動させ、遊技者にとって有利な特別遊技状態としての大当たり状態を発生させ、より多くの景品球を獲得するために必要な条件である。本実施の形態において、特別電動役物とは、電動役物のうち、大入賞口16の入口を開放するものである。
【0025】
さらに、始動口15は、特別電動役物を作動させることとなる遊技球Bの入賞に係る入賞口であって、回転体17や図示しない入賞口等を備えている。始動口15は、前記図柄表示装置13の右方に設けられており、遊技球Bの通路をも備えている。この通路の入口15aは、始動口15の上端部において開口している。通路の途中には、球受け部17aを有する回転体17が支持されている。回転体17には図示しない駆動モータが駆動連結されており、このモータにより回転体17が常に一定速度で回転させられている。球受け部17aが通路の入口15aと対向していないときに遊技球Bが同入口15aに入り込むと、遊技球Bは、その位置で待機させられる。回転体17の回転にともない、球受け部17aが入口に対向したとき、遊技球Bは、その球受け部17aに入り込む。そして、遊技球Bは、回転体17の回転により下方へ運ばれ、球受け部17aが最上位置以外の所定位置に至ったところで図示しない入賞口へと案内される。この遊技球Bの入賞により、上述した特別電動役物が作動する。
【0026】
なお、回転体17の回転速度は、大入賞口16の1回の開放時間よりも若干長い時間をかけて1回転するような値に設定されている。これは、大入賞口16の開放中に、遊技球Bが後述する始動口用スイッチ43によって検出され、ラウンド途中であるにもかかわらず次のラウンドに移行してしまうといった不具合を抑制するためである。
【0027】
大入賞口16を備えた可変入賞装置21は、図柄作動口12の下方に設けられている。大入賞口16の奥には、入賞通路が設けられており、大入賞口16に入賞した遊技球Bは入賞通路を通って図示しない入賞球集合部の方へと導かれる。また、大入賞口16の前には、シャッタ22が設けられている。このシャッタ22は、大入賞口16の側部に設けられた電気的駆動手段としての大入賞口用ソレノイド23により作動(傾動動作)させられ、大入賞口16を開閉する。大入賞口16の開放及び閉鎖のサイクルは、一定回数(例えば16回)繰り返されるが、このことが前述した大当たり状態に相当する。大入賞口16は、自身の開放後、以下の2条件のいずれかが先に満たされた場合に閉鎖される。その条件とは、(1)遊技球Bが大入賞口16に所定数(例えば10個)入賞すること、(2)大入賞口16の開放開始から所定時間(例えば9.5秒)が経過すること、である。
【0028】
さらには、遊技者の操作に応じて変化するパチンコ機の遊技状態を検出するべく、本実施の形態では、遊技盤3には各種の検出スイッチが設けられている。検出スイッチとしては、図柄作動口12に対応して設けられた図柄作動口用スイッチ41、前記特定入賞口14に対応して設けられた特定入賞口用スイッチ42、始動口15に対応して設けられた始動口用スイッチ43、及び大入賞口16に対応して設けられたカウントスイッチ44等が挙げられる。図柄作動口用スイッチ41は、遊技球Bの図柄作動口12への入賞を検出し、特定入賞口用スイッチ42は、遊技球Bの特定入賞口14への入賞を検出し、始動口用スイッチ43は、遊技球Bの始動口15への入賞(前記図示しない入賞口への入賞)を検出する。また、カウントスイッチ44は、遊技球Bの大入賞口16への入賞を検出する。
【0029】
本実施の形態では、図柄作動口用スイッチ41、前記特定入賞口用スイッチ42、始動口用スイッチ43、及びカウントスイッチ44を含む各スイッチの検出結果に基づき、図柄表示装置13、特定入賞口用ソレノイド、大入賞口用ソレノイド23等をそれぞれ駆動制御するために制御装置50が設けられている。制御手段を構成する制御装置50は、読み出し専用メモリ(ROM)、中央処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)等を備えている。ROMは所定の制御プログラムや初期データを予め記憶しており、CPUはROMの制御プログラム等に従って各種演算処理を実行する。RAMは、CPUによる演算結果を、各種図柄乱数バッファ、図柄乱数エリア、停止図柄エリア等に一時的に記憶する。
【0030】
さて、本実施の形態における特徴的部分について説明する。本実施の形態における可変入賞装置21は、上述したように、大入賞口16、シャッタ22及び大入賞口用ソレノイド23を備えている。図3,4,5に示すように、前記大入賞口16は、遊技盤3に取付けられる取付部材24のほぼ中央に開口形成されている。また、前記シャッタ22は、その下部において、取付部材24に対し傾動可能に軸支されている。
【0031】
取付部材24の裏面側には、裏箱25が取付けられており、該裏箱25に大入賞口用ソレノイド23及び電気配線基板30が取着されている。大入賞口用ソレノイド23は、本体部26、プランジャ27及びコイルバネ28(図6,7等参照)を備えており、プランジャ27は本体部26に対し出没可能となっている。コイルバネ28は、プランジャ27の先端部分と、本体部26との間に設けられ、このコイルバネ28の付勢力により、通常時には(大入賞口用ソレノイド23の非励磁状態(オフ状態:非駆動状態)には)、プランジャ27は、本体部26から突出した状態となる。一方、ソレノイド23が励磁状態(オン状態:駆動状態)になった場合には、プランジャ27がコイルバネ28の付勢力に抗して本体部26内に没入するようになっている。
【0032】
さらに、プランジャ27の先端には、アーム29が取付固定(又は一体形成)されており、該アーム29はプランジャ27とともに上下動するようになっている。アーム29には、シャッタ22側(遊技者側)へ延びる上下一対の突起31,32が一体形成されているとともに、該突起31,32間は、溝部33となっている。一方、シャッタ22の一側下部には、凸部34が一体形成されている。そして、この凸部34が、前記突起31,32間の溝部33内に収容可能となっている。
【0033】
かかる構造により、ソレノイド23が励磁状態になり、プランジャ27が本体部26内に没入した場合には、図6(b)に示すように、アーム29(突起31)が上動し、凸部34が上動した突起31によって持ち上げられ、シャッタ22が傾動する。これにより、大入賞口16は開放状態(第2の状態)となり、遊技球Bの大入賞口16への入賞が容易となる。但し、溝33の幅(高さ)は、凸部34の幅よりも大きく形成されているとともに、アーム29が若干上動した程度では、突起31が凸部34に当たらないような構成となっている。つまり、アーム29が所定量以上上動してはじめてシャッタ22の傾動が開始されるようになっている。
【0034】
また、その後、ソレノイド23が非励磁状態になり、プランジャ27が本体部26から突出した場合には、図6(a)に示すように、アーム27(突起32)が下動し、凸部34が下動した突起32によって押さえつけられ、シャッタ22が垂直状態に復帰する。これにより、大入賞口16は閉鎖状態(第1の状態)となり、遊技球Bの大入賞口16への入賞が困難(不可能)となる。
【0035】
また、大入賞口16の奥に延びるようにして、取付部材24には、入賞球通路等を構成するハウジング35が設けられている。このハウジング35には、上記カウントスイッチ44等が取付けられている。
【0036】
さらに、前記取付部材24の一側下部には、一対の支持部材36が突出形成されており、該支持部材36にはロックレバー37が回動可能に軸支されている。該ロックレバー37の一端部は、取付部材24の一側下部において、大入賞口16から離間した位置に形成された開口部24aから露出しており、遊技場関係者(例えば店員)がガラス扉枠4を開放させた上で、取付部材24の表側からロックレバー37の回動(上下動)操作を行うことができるようになっている。また、ロックレバー37の軸支部近傍下部には、段差部38が形成されているとともに、シャッタ22の軸支部には、ロックレバー37に向かって延びる係合突起39が一体形成されている。さらに、ロックレバー37の他端部には、錘37aが埋設されており、この錘37aの作用により、常には、前記係合突起39が段差部38に係合された状態(図7(a)参照)となっている。本実施の形態では、これらロックレバー37、係合突起39等により、保持手段が構成されており、係合突起39が段差部38に係合された状態にあっては、シャッタ22を傾動させようとしてシャッタ22に応力を加えても、シャッタ22は傾動されないようになっている。
【0037】
併せて、前記アーム29には、前記ロックレバー37に直交するようにして、レバー用ピン29aが突出形成されている。該レバー用ピン29aは、前記ロックレバー37の他端下部に当接した状態となっており、アーム29が上動した場合には、レバー用ピン29aが錘37aの重力に抗してロックレバー37の他端側を持ち上げ、これにより、係合突起39及び段差部38の係合状態が解除されるようになっている。なお、大入賞口16の両側には、前記ロックレバー37に遊技球Bが当たってしまうのを防止するための樹脂製のサイド飾り40が設けられている。
【0038】
次に、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0039】
本実施の形態によれば、図7(a)に示すように、大入賞口用ソレノイド23が非励磁状態のときには、シャッタ22は垂直状態に維持され、大入賞口16は閉鎖される。このとき、「セル」等を用いた不正行為によって、シャッタ22をこじ開けるべく力を働かせようとしても、保持手段によって(ロックレバー37の段差部38にシャッタ22の係合突起39が係合されているため)、シャッタ22は垂直状態に保持させられたままとなる。従って、不正行為者によってシャッタ22が強制的に傾動させられることが抑制され、不正行為の防止を図ることができる。
【0040】
一方、大入賞口用ソレノイド23の駆動時には、前記保持手段による保持機能が無効化される。より詳しくは、図7(b)に示すように、ソレノイド23が励磁状態となり、アーム29が上動した場合には、まず、レバー用ピン29aが錘37aの重力に抗してロックレバー37の他端側を持ち上げる。これにより、係合突起39及び段差部38の係合状態が解除される。
【0041】
その後、さらにアーム29が上動することにより、図7(c)に示すように、シャッタ22の凸部34が、上動したアーム29の突起31によって持ち上げられ、シャッタ22が傾動する。これにより、大入賞口16は開放状態となり、遊技球Bの大入賞口16への入賞が容易となる。つまり、正当に大入賞口用ソレノイド23が駆動制御された場合には、シャッタ22は、何ら動きを阻害されることなく開放状態をとりうる。その結果、可変入賞装置21としての機能が損なわれることなく、上記作用効果が奏される。
【0042】
また、本実施の形態では大入賞口用ソレノイド23にアーム29を設け、該アーム29の動作に基づいてシャッタ22が傾動動作されるようにした。このため、大入賞口用ソレノイド23の配置(配設位置)等に自由度を持たせることができる。
【0043】
さらに、本実施の形態では、ロックレバー37の一端側を開口部24aから露出させ、外部操作可能とした。このため、例えば入賞通路で球詰まりが発生した場合や、払出不十分等に基づくサービス球の払出を行いたい場合には、遊技場関係者(店員等)が、ガラス扉枠4を開放した上で、ロックレバー37の一端側を下動操作することにより、上記係合状態を容易に解除することができる。その結果、大当たり状態発生時以外にもシャッタ22を正当に開放させたい状況が発生したとしても、当該状況に十分対処することができる。
【0044】
また、本実施の形態では、前記ロックレバー37の露出位置は、シャッタ22とは離間しているため、「セル」等を用いて不正行為を使用とする者にとって、ロックレバー37を操作した上で、シャッタ22を傾動させる行為は一度に行うことは非常に困難となる。その結果、不正行為の防止を図ることができるという上記作用効果がより一層確実に奏されることとなる。
【0045】
さらに、本実施の形態では、アーム29の溝33の幅(高さ)を、シャッタ22の凸部34の幅よりも大きく形成した。このため、アーム29が若干上動した段階では、突起31が凸部34に当たらずにシャッタ22の傾動動作は開始されずに、まず係合突起39及び段差部38の係合状態が解除される。そして、その後、アーム29が所定量以上上動してはじめてシャッタ22の傾動が開始される。そのため、解除動作とシャッタ22の傾動動作が行われようとしたときの不具合(たとえば解除前にシャッタ22が傾動動作を始めようとすることによって、シャッタ22が傾動不能になること等)を抑制することができる。
【0046】
尚、上述した実施の形態の記載内容に限定されずに、例えば次のように実施してもよい。
【0047】
(a)上記実施の形態では、1つの可変入賞装置21を有するタイプのパチンコ機に具体化したが、2つ以上の可変入賞装置を備えたパチンコ機に具体化してもよい。
【0048】
(b)上記実施の形態では、大当たり状態が発生した場合に開放される可変入賞装置21に具体化したが、他の場合(獲得可能な景品球の比較的少ないいわゆる小当たりや中当たりの場合や、当たりの権利を獲得した場合であって、自身に入賞すれば大当たりの権利が発生する場合:上記実施の形態では特定入賞口14を指す)に開放される可変入賞装置にも具体化することもできる。
【0049】
(c)上記実施の形態では、ロックレバー37の一端側を開口部24aから露出させる構成としたが、露出させなくともよい。
【0050】
(d)上記実施の形態では、ロックレバー37の他端側に錘37aを設ける構成としたが、当該錘37aを省略することとしてもよい。
【0051】
(e)ロックレバー37の代わりに操作ボタンを露出させてもよい。
【0052】
(f)上記実施の形態では特に言及しなかったが、大入賞口11の奥にいわゆるVゾーンを有するタイプのパチンコ機に具体化することもできる。この場合には、複数ラウンドの大入賞口11の開放が行われる場合において、次回の開放を行うためには遊技球BがVゾーンに入賞するという継続条件が付加されることとなる。
【0053】
(g)図柄表示装置13としては、上述した液晶ディスプレイ以外にも、LED、CRT、ドットマトリックス、エレクトロルミネセンス(EL)、蛍光表示菅、ドラム等を用いてもよい。また、図柄列は1つであっても2つであってもよい。また、図柄表示装置13を有しないタイプのパチンコ機にも具体化するこができる。例えば、特定の入賞口に遊技球Bが入賞した場合に可変入賞装置が開放されるようなパチンコ機にも適用できる。
【0054】
(h)本発明は、上記実施の形態とは異なるタイプのパチンコ機等にも適用できる。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり確率が高められるようなパチンコ機にも、本発明を適用することができる。また、特定入賞口14や、始動口15を有しないタイプのパチンコ機にも適用できる。さらに、本発明は、パチンコ機以外にも、雀球、アレパチ等の各種遊技機にも適用できる。
【0055】
(i)上記実施の形態では、電気的駆動手段として、大入賞口用ソレノイド23を採用したが、他のアクチュエータ(例えば空圧シリンダ等)を用いてもよい。
【0056】
(j)上記実施の形態では、シャッタ22が垂直状態と傾動状態とをとりうる可変入賞装置21を用いたが、他の構造を有するタイプ(例えば一対の羽根が開閉されるタイプや、シャッタがスライドするとともに、案内部が突出状態となって大入賞口に入賞可能となるようなタイプ等)の可変入賞装置にも適用することもできる。
【0057】
(k)上記実施の形態では、大入賞口用ソレノイド23が励磁状態となることによりシャッタ22が傾動され大入賞口16が開かれ、大入賞口用ソレノイド23が非励磁状態となることにより大入賞口16が閉鎖されるようにした。これに対し、大入賞口用ソレノイド23が非励磁状態となることによりシャッタ22が開かれ、大入賞口16が閉鎖され、大入賞口用ソレノイド23が励磁状態となることによりシャッタ22が傾動されて大入賞口16が開かれようにしてもよい。また、大入賞口用ソレノイドが励磁され次いで非励磁状態とされることによりシャッタ22が傾動され、次に大入賞口用ソレノイドが励磁され次いで非励磁状態とされることによりシャッタ22が垂直状態となるようにしてもよい。
【0058】
なお、上記実施の形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0059】
(1)自身が第2の状態をとることにより、第1の状態をとっているときよりも遊技媒体の入賞口への入賞を容易な状態にしうるシャッタと、該シャッタを作動させるための電気的駆動手段と、常には前記シャッタが第1の状態をとり、特定条件が成立することを必要条件に前記シャッタが第2の状態をとるよう前記電気的駆動手段を駆動制御する制御手段とを有する可変入賞装置を備えた遊技機において、
前記シャッタが第1の状態をとっているときに、該シャッタに第2の状態をとらしめるべく作用する力に抗して該シャッタを第1の状態に保持する保持手段を設けるとともに、前記電気的駆動手段により前記シャッタが第2の状態をとらされるときには前記保持手段による保持機能が無効化されるようにしたことを特徴とする遊技機。
【0060】
(2)請求項1、2、上記付記(1)に記載の遊技機において、
前記電気的駆動手段には、前記シャッタを作動させるためのアームを設けるとともに、該アームの動作に基づいて前記シャッタが第1の状態及び第2の状態をとるようにしたことを特徴とする遊技機。
【0061】
(3)請求項1、2、上記付記(1)、(2)に記載の遊技機において、
前記保持手段は外部操作可能な操作部を備えており、該操作部に対し所定の操作がなされた場合にも前記保持手段による保持機能が無効化されるようにしたことを特徴とする遊技機。
【0062】
(4)上記付記(3)に記載の遊技機において、
前記操作部は、前記シャッタとは離間した位置において外部操作可能となっていることを特徴とする遊技機。
【0063】
(5)請求項1、2、上記付記(1)〜(4)に記載の遊技機において、
前記電気的駆動手段の駆動に際しては、まず前記保持手段による保持機能が無効化され、その後、前記シャッタが第2の状態をとるようにしたことを特徴とする遊技機。
【0064】
(6)請求項1、2、上記付記(1)〜(5)に記載の遊技機において、
前記保持手段による保持機能を第1の外部操作により無効化した上で、その後、第2の外部操作により前記シャッタが第2の状態をとりうるようにしたことを特徴とする遊技機。
【符号の説明】
【0065】
3…遊技盤、16…大入賞口、21…可変入賞装置、22…シャッタ、23…電気的駆動手段としての大入賞口用ソレノイド、29…アーム、37…ロックレバー、38…段差部、39…係合突起、50…制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身が第2の状態をとることにより、第1の状態をとっているときよりも遊技媒体の入賞口への入賞を容易な状態にしうるシャッタと、該シャッタを作動させるための電気的駆動手段と、常には前記シャッタが第1の状態をとるよう前記電気的駆動手段を非駆動状態とし、特定条件が成立することを必要条件に前記シャッタが第2の状態をとるよう前記電気的駆動手段を駆動制御する制御手段とを有する可変入賞装置を備えた遊技機において、
前記シャッタが第1の状態をとっているときに、該シャッタに第2の状態をとらしめるべく作用する力に抗して該シャッタを第1の状態に保持する保持手段を設けるとともに、前記電気的駆動手段の駆動時には前記保持手段による保持機能が無効化されるようにしたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機において、前記シャッタが第1の状態をとることにより前記入賞口を閉鎖状態とし、前記シャッタが傾動により第2の状態をとることにより前記入賞口を開放状態にしうるものであることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−200721(P2011−200721A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156192(P2011−156192)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【分割の表示】特願2009−120742(P2009−120742)の分割
【原出願日】平成10年12月15日(1998.12.15)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】