説明

遊技機

【課題】遊技者の誤解を招きやすいタイミングでの可動体の動作確認を必要最小限にすることで無用のトラブルを極力防止する。
【解決手段】遊技に関する抽選結果が遊技者に有利な特定結果である場合に作動して可動体を駆動する駆動手段44と、可動体が原点位置にあるか否かを検出する検出スイッチ45とを備え、電源投入時には各種演出手段について作動確認処理を行う遊技機で、電源投入時における駆動手段44の作動確認処理については、RAMの記憶内容が初期化される電源初期投入時(初期化コマンド受信時)であれば検出スイッチ45による検出結果に拘わらず実行させ(S34)、それ以外の電源投入時、即ちバックアップされていたRAMの記憶内容に基づいて電源遮断前の状態に復帰させる電源断復帰時(バックアップ復帰コマンド受信時)であれば検出スイッチ45によって原点位置にあることが検出されないことを条件に実行させる(S37)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、アレンジボール機、スロットマシン等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機では、演出用の可動体を設け(特許文献1)、内部抽選において遊技者に有利な特定結果が得られた場合、即ち例えば大当たりに当選した場合にその可動体を作動させることにより大当たり等の予告報知を行い、遊技者の気分を高揚させて遊技を大きく盛り上げようとするものが知られている。
【0003】
また、パチンコ機等の遊技機では、多くの場合、電源投入時に各種演出手段について作動確認処理を行うようになっており、例えば可動体についても、駆動手段を実際に作動させて正常に動作することを確認するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−29664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような大当たりの予告報知を行う可動体については、電源投入時に常に作動確認処理を行うようにすると、場合によっては遊技者に誤解を与え、無用のトラブルを引き起こす可能性があった。即ち、「電源投入時」のうち、例えば遊技ホールの開店に際して電源が投入された場合のようにRAMの記憶内容が初期化される「電源初期投入時」については特に問題はないが、バックアップされていたRAMの記憶内容に基づいて電源遮断前の状態に復帰させる「電源断復帰時」に常に可動体の作動確認処理を行うようにすると、例えば遊技者が気付かない程度の短時間だけ電源が遮断される瞬間停電の場合にも可動体が作動するため、遊技者はこれを大当たりの予告報知であると誤解してしまう虞がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、遊技者の誤解を招きやすいタイミングでの可動体の動作確認を必要最小限にすることで無用のトラブルを極力防止できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、遊技に関する抽選結果が遊技者に有利な特定結果である場合に作動して特定演出用可動体43を駆動する特定演出用駆動手段44と、前記特定演出用可動体43が所定の原点位置にあるか否かを検出する特定原点位置検出手段45とを備え、電源投入時には前記特定演出用駆動手段44を含む各種演出手段について所定の作動確認処理を行うように構成された遊技機において、前記電源投入時における前記特定演出用駆動手段44の前記作動確認処理については、RAMの記憶内容が初期化される電源初期投入時であれば前記特定原点位置検出手段45による検出結果に拘わらず実行させ、それ以外の前記電源投入時であれば前記特定原点位置検出手段45によって前記原点位置にあることが検出されないことを条件に実行させるように構成されているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、遊技者の誤解を招きやすい電源断復帰時における特定演出用可動体の動作確認を遊技者の誤解を招かない範囲で必要最小限にすることで無用のトラブルを極力防止でき、しかも電源投入時には特定演出用可動体を確実に原点位置に復帰させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるパチンコ機の全体正面図である。
【図2】同じくセンターケースの後構造体側の正面図である。
【図3】同じく第1可動演出手段の分解斜視図である。
【図4】同じく第2可動演出手段の分解斜視図である。
【図5】同じく制御系のブロック図である。
【図6】同じく主制御基板によるメイン処理のフローチャートである。
【図7】同じく演出制御基板による予告演出制御処理のフローチャートである。
【図8】同じくボタン操作演出制御処理のフローチャートである。
【図9】同じく演出制御基板による作動確認制御処理のフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態における主制御基板によるメイン処理のフローチャートである。
【図11】同じく演出制御基板による作動確認制御処理のフローチャートである。
【図12】本発明の第3の実施形態における演出制御基板による作動確認制御処理のフローチャートである。
【図13】本発明の第4の実施形態における演出制御基板による作動確認制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1〜図9は本発明をパチンコ機に採用した第1の実施形態を例示している。図1において、遊技機本体1は、矩形状の外枠2と、この外枠2の前側に左右一側、例えば左側のヒンジ3により開閉自在に枢着された前枠4とを備えている。前枠4の前側には、ガラス扉5と前面板6とが上下に配置され、夫々ヒンジ3と同じ側のヒンジ7により前枠4に開閉自在に枢支されている。
【0011】
前面板6の前側には、図1及び図2に示すように、払い出し手段(図示省略)から払い出された遊技球を貯留して発射手段(図示省略)に供給する上皿8が上部側に配置され、またその上皿8の下側には、例えば上皿8が満杯のときにその余剰球を貯留する下皿9が左端側に、発射手段を作動させるための発射ハンドル10が右端側に夫々設けられている。更に、上皿8等を前側から覆う上皿カバー11上には、例えば押しボタン式の演出用操作手段12が設けられている。なお、演出用操作手段12内にはLED13が配置されており、例えば操作有効期間中に点灯されるようになっている。
【0012】
また前枠4には、例えばガラス扉5の上部側に左右一対のスピーカ14が配置されると共に、ガラス扉5及び前面板6の各所に演出用のLED15が多数内蔵されており、更にガラス扉5の後側に対応して遊技盤16が着脱自在に装着されている。遊技盤16の前面側には、図1に示すように、発射手段から発射された遊技球を案内するガイドレール17が環状に装着されると共に、そのガイドレール17の内側の遊技領域18に、センターケース21、普通図柄始動手段22、特別図柄始動手段23、大入賞手段24、普通入賞手段25等の各種遊技部品が配置されている。
【0013】
センターケース21には、液晶式等の画像表示手段26の他、普通図柄表示手段31、特別図柄表示手段32、普通保留個数表示手段33、特別保留個数表示手段34、第1可動演出手段35、第2可動演出手段36等が設けられている。画像表示手段26は、演出図柄表示手段37、報知画像表示手段38等を構成している。
【0014】
普通図柄表示手段31は、普通図柄を変動表示するためのもので、例えば「○」「×」の2種類の普通図柄に対応する2個の発光体(例えばLED)により構成されており、通過ゲート等よりなる普通図柄始動手段22が遊技球を検出することを条件にそれら2つの発光体が所定時間交互に点滅して、普通図柄始動手段22による遊技球検出時に取得された当たり判定乱数値が予め定められた当たり判定値と一致する場合には当たり態様に対応する「○」側の発光体が発光した状態で、それ以外の場合には外れ態様に対応する「×」側の発光体が発光した状態で、点滅が終了するようになっている。
【0015】
また、普通図柄表示手段31の変動表示中、又は後述する普通利益状態中に普通図柄始動手段22が遊技球を検出した場合には、その検出時に取得された当たり判定乱数値が予め定められた上限保留個数、例えば4個を限度として記憶されると共に、例えば上限保留個数と同数の発光体よりなる普通保留個数表示手段33がその発光個数により当たり判定乱数値の記憶個数(以下、普通保留個数という)を表示して、その時点での普通保留個数を遊技者に報知するようになっている。
【0016】
特別図柄始動手段23は、特別図柄表示手段32による図柄変動を開始させるためのもので、上下2つの特別始動口23a,23bと、下特別始動口23bを開閉する開閉手段39とを備え、例えばセンターケース21の下側に配置されている。上特別始動口23aは、開閉手段等を有しない非作動式入賞口である。下特別始動口23bは、開閉手段39により遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能な閉状態とに切り換え可能な作動式入賞口で、普通図柄表示手段31の変動後の停止図柄が当たり態様となって普通利益状態が発生したときに、開閉手段39が所定時間、所定回数だけ閉状態から開状態に変化するように構成されている。
【0017】
特別図柄表示手段32は、1個又は複数個、例えば1個の特別図柄を変動表示可能な7セグメント式等の表示手段により構成されており、特別図柄始動手段23が遊技球を検出すること、即ち上下2つの特別始動口23a,23bの何れかに遊技球が入賞することを条件に特別図柄を所定時間変動表示して、特別始動口23a,23bへの入賞時に取得された大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致する場合には所定の大当たり態様で、それ以外の場合には外れ態様で停止するようになっている。特別図柄には、例えば大当たり態様及び外れ態様が夫々1又は複数種類ずつ設けられている。なお、それら各態様には夫々数字図柄等を割り当ててもよいし、遊技者がその特別図柄の種類を容易に区別できないように、任意の線や点の組み合わせのようなそれ自体としては特別な意味を持たない図柄を割り当ててもよい。
【0018】
また、特別図柄の変動表示中、又は後述する特別利益状態中に特別始動口23a,23bに遊技球が入賞した場合には、その入賞時に取得された大当たり判定乱数値等が夫々所定の上限保留個数、例えば各4個を限度として記憶されると共に、特別保留個数表示手段34が大当たり判定乱数値の記憶個数(以下、特別保留個数という)を表示して、その時点での特別保留個数を遊技者に報知するようになっている。
【0019】
演出図柄表示手段37は、例えば特別図柄表示手段32による特別図柄の変動表示と並行して演出図柄を変動表示するもので、1個又は複数個、例えば左右方向に3個の演出図柄を例えば各種の演出画像と共に画像表示手段26の表示画面26aに変動表示可能に構成されており、特別図柄始動手段23が遊技球を検出すること、即ち上下2つの特別始動口23a,23bの何れかに遊技球が入賞することを条件に特別図柄の変動開始と同時に所定の変動パターンに従って演出図柄の変動を開始すると共に、特別図柄の変動停止と同時に最終停止するように、演出図柄を左、右、中等の所定の順序で停止させるようになっている。
【0020】
演出図柄には、例えば「0」〜「9」の10種類の数字図柄が用いられ、「6・6・6」「7・7・7」等、3つの図柄が全て同じ図柄で揃ったものが大当たり態様、少なくとも1つの図柄が異なるものが外れ態様となっている。なお、本実施形態では、特別図柄が大当たり態様となる場合には演出図柄も大当たり態様となり、特別図柄が外れ態様となる場合には演出図柄も外れ態様となるものとする。なお、演出図柄表示手段37は、特別図柄の変動内容とは直接関係のない演出を行う場合があってもよい。
【0021】
報知画像表示手段38は、ボタン操作演出における操作有効期間中に、演出用操作手段12の操作が有効であることを報知するもので、画像表示手段26の表示画面26a上の所定位置に報知画像を表示するように構成されている。
【0022】
第1可動演出手段35は、図2,図3等に示すように、センターケース21に固定される固定部材41と、この固定部材41に対して前後方向の回転軸42を介して揺動可能に支持された第1可動体(特定演出用可動体)43と、この第1可動体43を揺動駆動する第1駆動手段(特定演出用駆動手段)44と、第1可動体43が所定の原点位置にあることを検出する第1原点位置検出スイッチ(特定原点位置検出手段)45とを備えている。
【0023】
第1可動体43は、例えばその一端側において、固定部材41から前向きに突設された回転軸42によって回転自在に支持され、他端側に所定のキャラクタ等の形状を象った装飾部46が配置されており、更にその背面側には、固定部材41側のガイド孔47に摺動自在に嵌合するガイドピン48と、回転軸42の周方向に沿って円弧状に配置される被駆動ギヤ49とが設けられている。
【0024】
第1駆動手段44は、例えばその駆動軸44aを前向きに突出させた状態で固定部材41の背面側に固定され、その駆動軸44aの先端側に、第1可動体43側の被駆動ギヤ49に噛合する駆動ギヤ44bが固定されており、それら駆動ギヤ44b、被駆動ギヤ49を介して第1可動体43を画像表示手段26の外側の原点位置(図2に実線で示す)と画像表示手段26の前側の作動位置(図2に二点鎖線で示す)との間で往復移動させることが可能に構成されている。また、第1原点位置検出スイッチ45は、例えば固定部材41の前側に配置されており、第1可動体43が原点位置にきたときに第1可動体43側の被検出部50を検出してONに切り替わるようになっている。
【0025】
第2可動演出手段36は、図2,図4等に示すように、センターケース21に固定される固定部材51と、この固定部材51に対して前後方向の回転軸52を介して揺動可能に支持された第2可動体(通常演出用可動体)53と、この第2可動体53を揺動駆動する第2駆動手段(通常演出用駆動手段)54と、第2可動体53が所定の原点位置にあることを検出する第2原点位置検出スイッチ(通常原点位置検出手段)55とを備えている。
【0026】
第2可動体53は、例えばその中心部において、固定部材51から前向きに突設された回転軸52によって回転自在に支持されており、背面側には、固定部材51側に設けられたカムギヤ56上の駆動ピン57が摺動自在に嵌合する被駆動用ガイド孔58が例えば回転軸52の半径方向の長孔状に形成されている。
【0027】
第2駆動手段54は、例えばその駆動軸54aを前向きに突出させた状態で固定部材51の背面側に固定され、その駆動軸54aの先端側に、カムギヤ56に噛合する駆動ギヤ54bが固定されており、それら駆動ギヤ54b、カムギヤ56を介して第2可動体53を、所定の原点位置(図2に実線で示す)を挟んで正面視時計方向及び反時計方向に所定角度の範囲で往復揺動させることが可能に構成されている。また、第2原点位置検出スイッチ55は、例えば固定部材51の前側に配置されており、第2可動体53が原点位置にきたときに第2可動体53側の被検出部59を検出してONに切り替わるようになっている。
【0028】
なお、センターケース21は、遊技盤16に形成された装着孔に対して前側から着脱自在に装着される前構造体21a(図1)と、後側に画像表示手段26が装着され且つ前構造体21aに対応して遊技盤16の裏側に着脱自在に装着される後構造体21b(図2)とを備えており、第1可動演出手段35及び第2可動演出手段36は、固定部材41,51が例えば後構造体21bに固定されると共に、第1可動体43の装飾部46及び第2可動体53以外の部分が前構造体21aによって前側から覆われている。
【0029】
大入賞手段24は、遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能な閉状態とに切り換え可能な開閉板40を備えた開閉式入賞手段で、特別図柄表示手段32の変動後の特別図柄が大当たり態様となることに基づいて特別利益状態が発生したときに、開閉板40が所定の開放パターンに従って前側に開放して、その上に落下した遊技球を内部へと入賞させるようになっている。なお、遊技盤16上には、センターケース21、第1可動演出手段35、第2可動演出手段36、大入賞手段24等の各部に演出用のLED60が多数内蔵されている。
【0030】
図5は本パチンコ機の制御系のブロック図である。図5において、61は主制御基板、62は演出制御基板で、これら各制御基板61,62は、遊技盤16に装着されたセンターケース21、その他の複数個の遊技部品を裏側から一括して覆う裏カバーの裏側等、前枠4及び遊技盤16を含む遊技機本体1の裏側の適宜箇所に着脱自在に装着された基板ケースに夫々収納されている。
【0031】
主制御基板61は、主に遊技盤16側の遊技動作に関わる制御を行うためのもので、CPU,ROM,RAM等により構成される普通乱数作成処理手段71、普通始動口チェック処理手段72、普通乱数記憶手段73、普通図柄処理手段74、普通利益状態発生手段75、普通図柄表示制御手段76、特別乱数作成処理手段81、特別始動口チェック処理手段82、特別乱数記憶手段83、特別図柄処理手段84、特別利益状態発生手段85、特別図柄表示制御手段86、特別遊技状態発生手段87、制御コマンド送信手段88等を備えている。
【0032】
普通乱数作成処理手段71は、変動後の普通図柄を当たり態様とするか否かの判定に用いる当たり判定乱数等を所定時間毎に繰り返し発生するように構成されている。普通始動口チェック処理手段72は、普通図柄始動手段22による遊技球の検出に基づく処理を行うもので、普通図柄始動手段22が遊技球を検出することに基づいて、普通乱数作成処理手段71で作成された当たり判定乱数値を1個取得し、その当たり判定乱数値を予め定められた上限保留個数(例えば4個)を限度として普通乱数記憶手段73に記憶させるように構成されている。
【0033】
普通図柄処理手段74は、普通図柄の変動表示に関する処理を行うもので、当たり判定手段91、普通停止図柄選択手段92、変動時間選択手段93等を備えている。当たり判定手段91は、普通図柄の変動後の停止図柄を当たり態様とするか否かの判定を行うもので、普通図柄表示手段31が変動表示可能な状態となり且つ普通乱数記憶手段73に1個以上の当たり判定乱数値が記憶されていること(普通保留個数が1以上であること)を条件に、普通乱数記憶手段73に最も早く記憶された当たり判定乱数値を取り出し、その当たり判定乱数値が予め定められた当たり判定値と一致するか否かに応じて当たり/外れの判定を行うように構成されている。
【0034】
普通停止図柄選択手段92は、普通図柄の変動後の停止図柄の種類を選択するものである。本実施形態では、当たり態様と外れ態様に対応するのは各1種類の図柄のみであるため、当たり判定機能による当たり/外れの判定結果に基づいて、当たり判定の場合には
「○」が、外れ判定の場合には「×」が画一的に選択される。変動時間選択手段93は、普通図柄の変動時間を選択するものである。
【0035】
普通利益状態発生手段75は、普通図柄処理手段74の当たり判定手段91による判定結果が当たり判定となり、普通図柄表示手段31の変動後の停止図柄が当たり態様となったときに、下特別始動口23bの開閉手段39を複数種類の開閉パターンの何れかに従って開状態に変化させるようになっている。
【0036】
普通図柄表示制御手段76は、普通図柄処理手段74による普通図柄処理に基づいて普通図柄表示手段31の表示制御を行うもので、普通図柄表示手段31が変動表示可能な状態となり且つ普通乱数記憶手段73に1個以上の当たり判定乱数値が記憶されていること(普通保留個数が1以上であること)を条件に普通図柄表示手段31による普通図柄の変動を開始させ、変動時間選択手段93で選択された変動時間が経過することに基づいて、普通停止図柄選択手段92で選択された停止図柄で普通図柄の変動を停止させるようになっている。
【0037】
特別乱数作成処理手段81は、変動後の特別図柄を大当たり態様、外れ態様の何れにするかについての判定に用いる大当たり判定乱数の他、変動後の特別図柄が大当たり態様となる場合の停止図柄の選択に用いる大当たり図柄乱数、変動後の特別図柄が外れ態様となる場合の停止図柄の選択に用いる外れ図柄乱数、演出図柄の変動パターンの選択に用いる変動パターン乱数、その他の所定の乱数を繰り返し発生する特別乱数作成処理を行うように構成されている。
【0038】
特別始動口チェック処理手段82は、特別図柄始動手段23への遊技球の入賞に基づく処理を行うもので、特別図柄始動手段23が遊技球を検出すること、即ち特別始動口23a,23bに遊技球が入賞することに基づいて、特別乱数作成処理手段81で作成された大当たり判定乱数値及び大当たり図柄乱数値を1個ずつ取得し、それら当たり判定乱数値及び当たり図柄乱数値を予め定められた上限保留個数(例えば各4個)を限度として特別乱数記憶手段83に記憶させるように構成されている。
【0039】
なお本実施形態では、変動パターン乱数及び外れ図柄乱数は特別図柄始動手段23が遊技球を検出した時点では取得せず、特別図柄の変動開始時に取得することとするが、それら変動パターン乱数、外れ図柄乱数等についても大当たり判定乱数値等と同様に特別図柄始動手段23が遊技球を検出した時点で取得し、特別乱数記憶手段83に記憶させるように構成してもよい。
【0040】
特別図柄処理手段84は、特別図柄の変動表示に関する処理を行うもので、大当たり判定手段94、特別停止図柄選択手段95、変動パターン選択手段96等を備えている。大当たり判定手段94は、乱数抽選により変動後の特別図柄を大当たり態様、外れ態様の何れにするかについての判定を行うもので、特別図柄表示手段32が変動表示可能な状態となり且つ特別乱数記憶手段83に1個以上の大当たり判定乱数値が記憶されていること
(特別保留個数が1以上であること)を条件に、特別乱数記憶手段83に最も早く記憶された大当たり判定乱数値を取り出し、その大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致するか否かによって大当たり/外れの判定を行うように構成されている。
【0041】
特別停止図柄選択手段95は、特別図柄の変動後の停止図柄を選択するもので、例えば大当たり判定手段94による判定結果が大当たり判定であった場合には、特別乱数記憶手段83に大当たり判定乱数値と共に記憶されている大当たり図柄乱数値に基づいて複数種類の大当たり態様の何れかを選択し、大当たり判定手段94による判定結果が外れ判定であった場合には、特別乱数作成処理手段81から取得した外れ図柄乱数値に基づいて複数種類の外れ態様の何れかを選択するように構成されている。
【0042】
変動パターン選択手段96は、演出図柄の変動パターンを選択するもので、例えば大当たり判定手段94による判定結果が大当たり判定であった場合には1又は複数種類のリーチ大当たり変動パターンの何れかを、大当たり判定手段94による判定結果が外れ判定の場合には特別停止図柄選択手段95により選択された停止図柄がリーチであるか否かに応じて1又は複数種類のリーチ外れ変動パターン又はリーチなし外れ変動パターンの何れかを、特別乱数作成処理手段81から取得した変動パターン乱数値に基づいて選択するように構成されている。
【0043】
特別利益状態発生手段85は、大入賞手段24を所定の開放パターンに従って開放する特別利益状態を発生させるためのもので、大当たり判定手段94による判定結果が大当たり判定となり、特別図柄表示手段32による特別図柄の変動後の停止図柄が大当たり態様となることに基づいて特別利益状態を発生させるようになっている。本実施形態の開放パターンは、大入賞手段24の開放から所定時間(例えば28秒)経過するか、それまでに所定個数(例えば9個)の遊技球が入賞することを条件に大入賞手段24を閉鎖する動作を、所定ラウンド数(例えば15ラウンド)行うように設定されているものとするが、複数種類の開放パターンを設け、例えば大当たり図柄乱数値に基づいてそれらの何れかを選択するように構成してもよい。
【0044】
特別図柄表示制御手段86は、特別図柄表示手段32の表示制御を行うもので、特別図柄処理手段84による特別図柄処理に基づいて特別図柄表示手段32による特別図柄の変動を開始させ、変動パターン選択手段96で選択された変動パターンに対応する変動時間が経過することに基づいて、特別停止図柄選択手段95で選択された停止図柄で特別図柄の変動を停止させるようになっている。
【0045】
特別遊技状態発生手段87は、特別利益状態発生後の所定期間に遊技者に有利な特別遊技状態を発生させるためのもので、時短状態発生手段87aと高確率状態発生手段87bとを備えている。時短状態発生手段87aは、特別乱数記憶手段83に記憶された大当たり判定乱数値が大当たり判定値と一致し且つ大当たり図柄乱数値が所定の高確率判定値と一致しない場合に、特別遊技状態の一つとして所定期間、例えば特別図柄が所定回数変動するまで時短状態を発生させるように構成されている。時短状態中は、特別図柄に関して特別図柄表示手段32の変動時間が通常変動時間よりも短い短縮変動時間に切り換えられる他、普通図柄に関して、当たり確率が通常確率(例えば1/10)から高確率(例えば1/1.3)へ、変動時間が通常変動時間(例えば27秒)から短縮変動時間(例えば2.7秒)へ、下特別始動口23bの開閉手段39の開閉パターンが通常開閉パターン(例えば0.2秒×1回開放)から特別開閉パターン(例えば2秒×3回開放)へ、夫々切り換えられるようになっている。
【0046】
高確率状態発生手段87bは、特別乱数記憶手段83に記憶された大当たり判定乱数値が大当たり判定値と一致し且つ大当たり図柄乱数値が所定の高確率判定値と一致した場合に、特別遊技状態の一つとして所定期間、例えば次の大当たり発生まで高確率状態を発生させるように構成されている。高確率状態中は、それ以外の通常確率状態中よりも大当たり判定値の数が例えば1個から10個へ増加されることにより、特別図柄が大当たり態様となる確率が通常確率(例えば1/350)よりも高い高確率(例えば1/35)に切り換えられると共に、例えば時短状態と同様の処理も並行して行われるようになっている。
【0047】
制御コマンド送信手段88は、所定の制御コマンドを一方向通信により演出制御基板62等のサブ制御基板側に送信して制御指令を与えるためのもので、特別図柄処理手段84による特別図柄処理に基づいて、変動パターンを指定する変動パターン指定コマンド、特別停止図柄を指定する特別停止図柄指定コマンド、特別図柄の停止を指示する変動停止コマンド等を演出制御基板62側に送信する機能、特別遊技状態発生手段87による特別遊技状態の発生時及び終了時にその特別遊技状態に応じて特別遊技状態発生コマンド、特別遊技状態終了コマンド等を演出制御基板62側に送信する機能等を備えている。
【0048】
以上のように構成される主制御基板61では、外部からの電源投入時に、図6に示すようなメイン処理が開始されるようになっている。なお、この「電源投入時」には、遊技ホールの開店時のように、例えば初期化スイッチ(図示省略)がON操作された状態で電源がONになるとき(以下、「電源初期投入時」という)と、停電状態からの復旧時のように、初期化スイッチがOFF状態のままで電源がONになるとき(以下、「電源断復帰時」という)とがある。
【0049】
このメイン処理(図6)が開始されると、まず初期設定処理(S1)が行われる。この初期設定処理では、例えばRAMが書き込み禁止に設定され、入出力ポートなどの周辺回路、乱数生成手段等の各部が初期状態に設定される。そして、所定の割り込みモードに設定された後、RAMクリア信号の値が確認される(S2)。このRAMクリア信号は、RAMの全領域を初期化するか否かを示す信号で、例えば初期化スイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。
【0050】
電源断復帰時のようにRAMクリア信号がOFFの場合には(S2:No)、バックアップRAMに記憶されているバックアップデータが有効か否かが判定される(S3)。このバックアップデータが有効か否かの判定は、例えば電源が遮断される直前にバックアップデータと共にバックアップRAMに保存された誤り検出符号に基づいて、バックアップRAMに保存されているデータが電源遮断時のデータと異なっているか否かを判断することにより行われる。
【0051】
バックアップが有効であると判定された場合には(S3:Yes)、演出制御基板62等のサブ制御基板に対してバックアップ復帰コマンドが送信される(S4)と共に、遊技復旧処理(S5)が行われ、バックアップRAMに記憶されているバックアップデータに基づいて電源遮断前の状態から遊技が再開される(S6)。
【0052】
一方、S2においてRAMクリア信号がONであるか(S2:Yes)、又はS3においてバックアップデータが有効でない(S3:No)と判定された場合には、RAMの記憶内容が初期化されると共に(S7)、演出制御基板62等のサブ制御基板に対して初期化コマンドが送信される(S8)。そして、割り込み許可状態に設定され(S9)、その後は、各種乱数等の初期値を更新するカウンタ更新処理が無限ループ状に実行される(S10)。
【0053】
演出制御基板62は、主制御基板61から送信される制御コマンド等に基づいて、演出図柄表示手段37、報知画像表示手段38、第1可動演出手段35の第1駆動手段44、第2可動演出手段36の第2駆動手段54、LED13,15,60、スピーカ14等を制御するもので、演出図柄制御手段101、予告演出制御手段102、作動確認制御手段103等を備えている。
【0054】
演出図柄制御手段101は、演出図柄表示手段37の表示制御及びそれに伴うスピーカ14からの音声出力の制御、LED60等の発光制御等を行うもので、主制御基板61から変動パターン指定コマンドを受信した場合に、指定された変動パターンに基づいて演出図柄表示手段37による演出図柄の変動及びそれに伴う音声出力、LED発光を開始させると共に、変動停止コマンドを受信したときに、特別停止図柄指定コマンドと変動パターン指定コマンドとに基づいて選択された停止図柄で演出図柄の変動を停止させ、またそれに伴って音声出力、LED発光を変化させるようになっている。
【0055】
予告演出制御手段102は、特別図柄表示手段32及び演出図柄表示手段37による図柄変動中に行われる予告演出を制御するもので、図7に示すような予告演出制御処理を、例えば主制御基板61からの制御コマンドの受信を契機として実行するように構成されている。
【0056】
予告演出制御手段102による予告演出制御処理(図7)では、まず変動パターン指定コマンドを受信したか否かが判定される(S11)。変動パターン指定コマンドを受信していなければ(S11:No)、ここで予告演出制御処理は終了するが、変動パターン指定コマンドを受信した場合には(S11:Yes)、予告演出を行うか否か、及び予告演出を行う場合にはその種類を選択する予告演出抽選処理(S12)が実行される。なお、本実施形態では、演出用操作手段12の操作に基づいて第1可動演出手段35の第1可動体43を動作させるボタン操作演出と、例えば大当たりとなる信頼度に応じて第2可動演出手段36の第2可動体53を動作させる可動体演出の2種類の予告演出が設けられているものとする。
【0057】
そして、予告演出抽選処理(S12)において、ボタン操作演出に当選した場合(S13:Yes)にはボタン操作演出制御処理(S14)が、可動体演出に当選した場合(S15:Yes)には可動体演出制御処理(S16)が夫々実行され、何れの予告演出にも当選しなかった場合(S15:No)にはそのまま予告演出制御処理は終了する。なお、複数の予告演出に当選する場合があってもよい。この場合には当選した複数の予告演出に対応する複数の演出制御処理が例えば並行して実行される。
【0058】
ボタン操作演出制御処理(S14)は、例えば図8に示すような手順で実行される。即ち、演出図柄の変動開始と同時又はその後の所定のタイミングでボタン操作演出の操作有効期間が開始されると(S21:Yes→S22:Yes)、遊技者に演出用操作手段12の操作が有効な操作有効期間中であることを報知すべく、例えば報知画像表示手段38に所定の報知画像が表示されると共に演出用操作手段12上のLED13が所定のパターンで点灯され(S23)、例えば所定時間が経過するまで演出用操作手段12の操作状態が監視される(S24,S25)。
【0059】
操作有効期間が開始されてから所定時間が経過するまでの間に演出用操作手段12が操作された場合には(S24:Yes)、例えばその時点で操作有効期間は終了する(S27)と共に、例えば当該変動が大当たり態様となる変動である(遊技に関する抽選結果が遊技者に有利な特定結果であることの一例)か否かが判定され(S28)、大当たり態様となる変動である場合に(S28:Yes)、第1可動演出手段35が作動され、第1駆動手段44の駆動によって第1可動体43が所定のパターンに従って動作し(S29)、ボタン操作演出制御処理は終了する。従って、操作有効期間中に遊技者が演出用操作手段12を押圧操作し、それによって第1可動演出手段35の第1可動体43が動作すれば、その図柄変動結果は必ず大当たり態様となる。即ち、遊技者から見ると第1可動体43が作動した時点で大当たり確定となる。
【0060】
もちろん、遊技者が操作有効期間中に演出用操作手段12を押圧操作したときに第1可動演出手段35を作動させる条件は任意であって、遊技に関する抽選結果が遊技者に有利な特定結果であることを条件とするものであればよく、例えば高確率状態となる大当たり変動であることを条件に作動させてもよい。
【0061】
一方、演出用操作手段12が操作されることなく操作有効期間の開始から所定時間が経過した場合には(S25:Yes)、それによって操作有効期間は終了し(S26)、そのままボタン操作演出制御処理は終了する。
【0062】
また、可動体演出制御処理(図7のS16)では、例えばその時点の特別図柄の変動における大当たり信頼度に応じた動作パターンで第2可動体53が動作するように第2駆動手段54の駆動制御が行われる。なお、この可動体演出制御処理(図7のS16)は、ボタン操作演出制御処理(S14)とは異なり、特別図柄が大当たり態様となる場合に限らず外れ態様となる場合にも第2可動体53が作動するようになっている。即ち、第2可動体53が作動しても大当たり態様になるとは限らず、外れ態様となる場合もある。
【0063】
作動確認制御手段103は、第1可動演出手段35の第1駆動手段44、第2可動演出手段36の第2駆動手段54、LED13,15,60、スピーカ14等の作動確認処理を制御するもので、例えば図9に示すような作動確認制御処理を、例えば主制御基板61からの制御コマンドの受信を契機として実行するように構成されている。
【0064】
作動確認制御手段103による作動確認制御処理(図9)では、まず主制御基板61から受信した制御コマンドが初期化コマンド、バックアップ復帰コマンドの何れかであるか否かが判定される(S31)。初期化コマンドとバックアップ復帰コマンドの何れも受信していない場合にはここで作動確認制御処理は終了する。
【0065】
受信した制御コマンドが初期化コマンドの場合(電源初期投入時である場合)には、以下の電源初期投入時確認処理(S32〜S35)が実行される。即ち、演出用操作手段12上、前枠4上、遊技盤16上の各LED13,15,60が所定時間点灯され(S32)、スピーカ14からRAMクリアの警告音が所定時間出力され(S33)、第1駆動手段44の作動による第1可動演出手段35の動作確認処理が実行され(S34)、第2駆動手段54の作動による第2可動演出手段36の動作確認処理が実行される(S35)。
【0066】
第1可動演出手段35の動作確認処理(S34)は例えば次のような手順で行われる。即ち、まず第1原点位置検出スイッチ45がONであるか否か(第1可動体43が原点位置にあるか否か)が判定され、ONでない場合には第1原点位置検出スイッチ45がONになるまで第1駆動手段44を原点復帰方向に作動させる。続いて、第1原点位置検出スイッチ45がOFFになるまで第1駆動手段44を原点復帰方向とは逆の方向に作動させた後、再び第1原点位置検出スイッチ45がONになるまで第1駆動手段44を原点復帰方向に作動させる。更にその後、第1可動体43が作動位置にくるまで第1駆動手段44を原点復帰方向とは逆の方向に所定ステップ作動させた後、再び第1原点位置検出スイッチ45がONになるまで第1駆動手段44を原点復帰方向に作動させる。以上のような動作確認処理が異常なく終了することにより、第1可動体43が原点位置にあること、及び第1可動演出手段35が正常であることを確認できる。
【0067】
また、第2可動演出手段36の動作確認処理(S35)についても、例えばS34と略同様に、第2原点位置検出スイッチ55がONでない場合には第2原点位置検出スイッチ55がONになるまで第2駆動手段54を作動させ、続いて第2原点位置検出スイッチ55がOFFになるまで第2駆動手段54を作動させた後、再び第2原点位置検出スイッチ55がONになるまで第2駆動手段54を作動させ、更に第2可動体53が例えば最大揺動位置に到達するまで第2駆動手段54を所定ステップ作動させた後、再び第2原点位置検出スイッチ55がONになるまで第2駆動手段54を作動させればよい。もちろん、第1,第2可動演出手段35,36の動作確認処理の手順はこれらに限られるものではない。
【0068】
以上のような電源初期投入時確認処理(S32〜S35)は、遊技ホールの開店時等の電源初期投入時に実行されるため、S34の動作確認処理によって第1可動体43が作動しても、遊技者に大当たりの予告報知であるとの誤解を与えるようなことはない。なお、S32〜S35の処理は、全て又は一部の処理を並行して実行してもよいし、所定順序で直列的に実行してもよい。
【0069】
一方、受信した制御コマンドがバックアップ復帰コマンドの場合(電源断復帰時である場合)には、電源断復帰時確認処理(S36〜S38)が実行される。この電源断復帰時確認処理では、電源初期投入時のS32,S33に対応するLED13,15,60の点灯、スピーカ14からの音声出力は実行されない。また、電源初期投入時のS35と同じ第2可動演出手段36の動作確認処理(S38)については無条件に実行されるが、電源初期投入時のS34と同じ第1可動演出手段35の動作確認処理(S37)については、第1原点位置検出スイッチ45がOFFである場合(S36:No)、即ち第1可動体43が原点位置にない場合に限って実行される。
【0070】
このように、停電状態からの復旧時等の電源断復帰時には、第1駆動手段44の作動による第1可動演出手段35の動作確認処理(S37)は、第1可動体43が原点位置にない場合を除いて実行されないため、例えば遊技者が気付かない程度の短時間だけ電源が遮断される瞬間停電が発生した場合に第1可動体43が作動して遊技者に大当たりの予告報知であるとの誤解を与えるようなことがなく、無用のトラブルを防止できる。また、電源断復帰時であっても、第1可動体43が原点位置にない場合には第1可動演出手段35の動作確認処理(S37)は実行されるが、この場合は第1可動体43が手動で動かされたか、第1可動体43の作動による大当たりの予告報知中に電源が遮断されたものと想定されるため、遊技者に誤解を与える可能性は低く、またこれによって電源投入時には第1可動体43を原点位置に確実に復帰させることが可能となる。
【0071】
また、第2可動体53については、上述したように特別図柄が大当たり態様となる場合だけでなく外れ態様となる場合にも作動する(作動しても大当たり確定ではない)ため、その第2可動体53を駆動する第2駆動手段54については、電源投入時(電源初期投入時および電源断復帰時)に常に作動確認処理を実行させてもトラブルとなる可能性は小さい。
【0072】
図10及び図11は本発明の第2の実施形態を例示し、電源遮断状態が所定時間以上継続した後の電源断復帰時における電源断復帰時確認処理では、第1原点位置検出スイッチ(特定原点位置検出手段)45によって原点位置にあることが検出された場合であっても第1駆動手段(特定演出用駆動手段)44を作動させるように構成した例を示している。
【0073】
図10に示すように、本実施形態のメイン処理は、第1の実施形態のメイン処理(図6)を一部変更して、RAMクリア信号がOFFであり(S2:No)、且つバックアップRAMに記憶されているバックアップデータが有効であると判定された場合(S3:Yes)に、電源遮断からの経過時間が所定時間Tよりも短いか否かに応じて異なるコマンドを送信するように構成されており、例えば電源遮断からの経過時間が所定時間Tよりも短い場合にはバックアップ復帰コマンド1が(S4a)、そうでない場合にはバックアップ復帰コマンド2が(S4b)、夫々送信されるように構成されている。
【0074】
また、図11に示すように、本実施形態の作動確認制御処理では、第1の実施形態の作動確認制御処理(図9)を一部変更して、主制御基板71から受信した制御コマンドがバックアップ復帰コマンド1の場合、即ち電源遮断からの経過時間が所定時間Tよりも短い場合の電源断復帰時には、第1の実施形態と同様に、第1可動演出手段35の動作確認処理(S37)については、第1原点位置検出スイッチ45がOFFである場合(S36:No)、即ち第1可動体43が原点位置にない場合に限って実行されるが、主制御基板71から受信した制御コマンドがバックアップ復帰コマンド2の場合、即ち電源遮断からの経過時間が所定時間T以上の電源断復帰時には、第1原点位置検出スイッチ45がONであるかOFFであるかに拘わらず(S36,S39)、第1可動演出手段35の動作確認処理(S37)が実行されるようになっている。
【0075】
このように、電源遮断からの経過時間が比較的長い場合には、その後の電源断復帰時に第1可動演出手段35を動作させても遊技者の誤解を招く虞が小さいため、本実施形態のように第1原点位置検出スイッチ45によって原点位置にあることが検出された場合であっても第1駆動手段44を作動させるように構成してもよい。
【0076】
図12は本発明の第3の実施形態を例示し、第1の実施形態の作動確認制御処理(図9)を一部変更して、第2駆動手段(通常演出用駆動手段)54の作動による第2可動演出手段36の動作確認処理については、主制御基板61から演出制御基板62に対して送信されるコマンドを待たず、演出制御基板62に電源が投入されることを条件に実行させるように構成した例を示している。
【0077】
図12に示すように、本実施形態の作動確認制御処理では、まず電源が投入されたか否かが判定される(S30)。そして、電源が投入されたと判定された場合に(S30:Yes)、第2駆動手段54の作動による第2可動演出手段36の動作確認処理が実行される(S35)。これにより、第2駆動手段54の作動による第2可動演出手段36の動作確認処理(S35)は、電源投入時には常に(即ち電源初期投入時と電源断復帰時との両方で)実行される。
【0078】
続いて、主制御基板61から初期化コマンド、バックアップ復帰コマンドの何れかを受信したか否かが判定される(S31)。そして、初期化コマンドを受信したと判定された場合(電源初期投入時である場合)には、第1の実施形態における電源初期投入時確認処理(S32〜S35)のうち、第2駆動手段54の作動による第2可動演出手段36の動作確認処理(S35)を除いた処理が実行される。即ち、演出用操作手段12上、前枠4上、遊技盤16上の各LED13,15,60が所定時間点灯され(S32)、スピーカ14からRAMクリアの警告音が所定時間出力され(S33)、また第1駆動手段44の作動による第1可動演出手段35の動作確認処理が実行される(S34)。
【0079】
一方、バックアップ復帰コマンドを受信したと判定された場合(電源断復帰時である場合)には、第1の実施形態における電源断復帰時確認処理(S36〜S38)のうち、第2駆動手段54の作動による第2可動演出手段36の動作確認処理(S38)を除いた処理が実行される。即ち、第1原点位置検出スイッチ45がOFFであることを条件に(S36:No)、即ち第1可動体43が原点位置にないことを条件に、電源初期投入時のS34と同じ第1可動演出手段35の動作確認処理が実行される(S37)。
【0080】
以上のような構成を採用しても、第1の実施形態と同様、第2駆動手段54の作動による第2可動演出手段36の動作確認処理(S35)については電源投入時には常に実行させ、第1駆動手段44の作動による第1可動演出手段35の動作確認処理(S34,S37)については、電源初期投入時であれば第1原点位置検出スイッチ45による検出結果に拘わらず実行させ、それ以外の電源断復帰時であれば第1原点位置検出スイッチ45によって原点位置にあることが検出されないことを条件に実行させるようにすることができる。
【0081】
図13は本発明の第4の実施形態を例示し、第3の実施形態の作動確認制御処理(図12)を更に変更して、第1駆動手段(特定演出用駆動手段)44の作動確認処理については、第1原点位置検出スイッチ(特定原点位置検出手段)45によって原点位置にあることが検出されない場合には、主制御基板61から演出制御基板62に対して送信されるコマンドを待たず、演出制御基板62に電源が投入されることを条件に実行させ、第1原点位置検出スイッチ(特定原点位置検出手段)45によって原点位置にあることが検出された場合には、電源初期投入時に主制御基板61から送信される初期化コマンドを演出制御基板62が受信することを条件に実行させるように構成した例を示している。
【0082】
図13に示すように、本実施形態の作動確認制御処理では、まず電源が投入されたか否かが判定される(S30)。そして、電源が投入されたと判定された場合に(S30:Yes)、第3の実施形態と同様に第2駆動手段54の作動による第2可動演出手段36の動作確認処理が実行される(S35)と共に、第1原点位置検出スイッチ45がOFFであることを条件に(S36:No)、即ち第1可動体43が原点位置にないことを条件に、第1可動演出手段35の動作確認処理が実行される(S37)。
【0083】
続いて、主制御基板61から初期化コマンドを受信したか否かが判定され(S31a)、初期化コマンドを受信したと判定された場合(即ち電源初期投入時である場合)には
(S31a:Yes)、第1の実施形態における電源初期投入時確認処理(S32〜S35)のうち、第2駆動手段54の作動による第2可動演出手段36の動作確認処理(S35)を除いた処理が実行される。即ち、演出用操作手段12上、前枠4上、遊技盤16上の各LED13,15,60が所定時間点灯され(S32)、スピーカ14からRAMクリアの警告音が所定時間出力され(S33)、また第1駆動手段44の作動による第1可動演出手段35の動作確認処理が実行される(S34)。なお、第1駆動手段44の作動による第1可動演出手段35の動作確認処理(S34)については、電源投入検出時のS37で既に実行済みであれば(S34a:Yes)ここでは実行されない。
【0084】
以上のような構成を採用しても、第1,第3の実施形態と同様、第2駆動手段54の作動による第2可動演出手段36の動作確認処理(S35)については電源投入時には常に実行させ、第1駆動手段44の作動による第1可動演出手段35の動作確認処理(S34,S37)については、電源初期投入時であれば第1原点位置検出スイッチ45による検出結果に拘わらず実行させ、それ以外の電源断復帰時であれば第1原点位置検出スイッチ45によって原点位置にあることが検出されないことを条件に実行させるようにすることができる。
【0085】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、特定演出用可動体及びそれを駆動する特定演出用駆動手段については、回転灯の反射板とこれを回転駆動するステッピングモータなど、任意の可動体とそれを駆動する任意の駆動手段を用いることが可能である。
【0086】
実施形態では特定演出用可動体としての第1可動体43以外に1種類の可動体53を設けた例を示したが、2種類以上の可動体を設けてもよいし、特定演出用可動体43以外の可動体は設けなくてもよい。また、特定演出用可動体43は、遊技に関する抽選結果が遊技者に有利な特定結果である場合に作動するものであればよく、演出用操作手段12が操作されることを条件として作動させるものである必要はない。
【0087】
また本発明は、アレンジボール機、雀球遊技機等の各種弾球遊技機の他、スロットマシン等の弾球遊技機以外の遊技機においても同様に実施することが可能である。
【符号の説明】
【0088】
43 第1可動体(特定演出用可動体)
44 第1駆動手段(特定演出用駆動手段)
45 第1原点位置検出スイッチ(特定原点位置検出手段)
53 第2可動体(通常演出用可動体)
54 第2駆動手段(通常演出用駆動手段)
55 第2原点位置検出スイッチ(通常原点位置検出手段)
61 主制御基板
62 演出制御基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に関する抽選結果が遊技者に有利な特定結果である場合に作動して特定演出用可動体(43)を駆動する特定演出用駆動手段(44)と、前記特定演出用可動体(43)が所定の原点位置にあるか否かを検出する特定原点位置検出手段(45)とを備え、電源投入時には前記特定演出用駆動手段(44)を含む各種演出手段について所定の作動確認処理を行うように構成された遊技機において、前記電源投入時における前記特定演出用駆動手段(44)の前記作動確認処理については、RAMの記憶内容が初期化される電源初期投入時であれば前記特定原点位置検出手段(45)による検出結果に拘わらず実行させ、それ以外の前記電源投入時であれば前記特定原点位置検出手段(45)によって前記原点位置にあることが検出されないことを条件に実行させるように構成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
主制御基板(61)からのコマンドに基づいて前記各種演出手段を制御する演出制御基板(62)を備え、前記特定演出用駆動手段(44)の前記作動確認処理は、前記特定原点位置検出手段(45)によって前記原点位置にあることが検出されない場合には、前記主制御基板(61)から前記演出制御基板(62)に対して送信されるコマンドを待たず、前記演出制御基板(62)に電源が投入されることを条件に実行させ、前記特定原点位置検出手段(45)によって前記原点位置にあることが検出された場合には、前記電源初期投入時に前記主制御基板(61)から送信される初期化コマンドを前記演出制御基板(62)が受信することを条件に実行させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
主制御基板(61)からのコマンドに基づいて前記各種演出手段を制御する演出制御基板(62)を備え、前記電源投入時には、前記電源初期投入時の他に、バックアップされていた前記RAMの記憶内容に基づいて電源遮断前の状態に復帰させる電源断復帰時があり、前記特定演出用駆動手段(44)の前記作動確認処理は、前記電源初期投入時に前記主制御基板(61)から送信される初期化コマンドを前記演出制御基板(62)が受信した場合と、前記電源断復帰時に前記主制御基板(61)から送信されるバックアップ復帰コマンドを前記演出制御基板(62)が受信し且つ前記特定原点位置検出手段(45)によって前記原点位置にあることが検出されない場合とに実行させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項4】
前記特定演出用可動体(43)以外の通常演出用可動体(53)を駆動する通常演出用駆動手段(54)と、前記通常演出用可動体(53)が所定の原点位置にあるか否かを検出する通常原点位置検出手段(55)とを備え、前記通常演出用駆動手段(54)の前記作動確認処理については、前記電源初期投入時に限らず前記電源投入時には常に前記通常原点位置検出手段(55)による検出結果に拘わらず実行させるように構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の遊技機。
【請求項5】
前記特定演出用可動体(43)以外の通常演出用可動体(53)を駆動する通常演出用駆動手段(54)と、前記通常演出用可動体(53)が所定の原点位置にあるか否かを検出する通常原点位置検出手段(55)とを備え、前記電源投入時には、前記電源初期投入時の他に、バックアップされていた前記RAMの記憶内容に基づいて電源遮断前の状態に復帰させる電源断復帰時があり、前記通常演出用駆動手段(54)の前記作動確認処理については、前記電源初期投入時に限らず前記電源断復帰時にも前記通常原点位置検出手段(55)による検出結果に拘わらず実行させるように構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の遊技機。
【請求項6】
主制御基板(61)からのコマンドに基づいて前記各種演出手段を制御する演出制御基板(62)を備え、前記通常演出用駆動手段(54)の前記作動確認処理は、前記主制御基板(61)から前記演出制御基板(62)に対して送信されるコマンドを待たず、前記演出制御基板(72)に電源が投入されることを条件に、前記通常原点位置検出手段(55)による検出結果に拘わらず実行させるように構成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の遊技機。
【請求項7】
主制御基板(61)からのコマンドに基づいて前記各種演出手段を制御する演出制御基板(62)を備え、前記通常演出用駆動手段(54)の前記作動確認処理は、前記電源初期投入時に前記主制御基板(61)から送信される初期化コマンドと、前記電源断復帰時に前記主制御基板(61)から送信されるバックアップ復帰コマンドとの何れかを前記演出制御基板(62)が受信することを条件に、前記通常原点位置検出手段(55)による検出結果に拘わらず実行させるように構成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の遊技機。
【請求項8】
前記電源投入時には、前記電源初期投入時と、バックアップされていた前記RAMの記憶内容に基づいて電源遮断前の状態に復帰させる電源断復帰時とがあり、前記電源断復帰時であっても、電源遮断状態が所定時間以上継続した後については、前記特定原点位置検出手段(45)によって前記原点位置にあることが検出された場合であっても前記特定演出用駆動手段(44)の前記作動確認処理を実行させるように構成されていることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−120922(P2012−120922A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−75707(P2012−75707)
【出願日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【分割の表示】特願2009−270238(P2009−270238)の分割
【原出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(391010943)株式会社藤商事 (1,465)
【Fターム(参考)】