説明

遊技機

【課題】 スクリーン上に遊技者の視認に優れる映像を与え得る映像装置を含む遊技機を提供すること。
【解決手段】 映像投影手段(41)からの光束を前面ガラス(11)に対向するように設けられるスクリーン(23)の背面側から与えて所定の映像を表示させ得る映像装置を含む遊技機である。映像投影手段(41)は、光束を与える光源と、光源からの光束をスクリーンの主面に対して垂直方向から角度を有する方向に向けて仕向ける光束経路変更手段(43)と、光束経路変更手段(43)を経た光束をスクリーン(23)に導く結像手段(44)と、光源から光束経路変更手段(43)の間の光路内にあって光束に光変調を与える変調手段と、を含み、変調手段に画像信号を送出する画像信号形成部と、画像信号に台形補正を与える画像信号補正部と、を更に含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像投影手段からの光束を前面ガラスに対向するように設けられるスクリーンの背面側から与えて所定の映像を表示させ得る映像装置を含む遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の遊技盤面中央近傍に設置される可変表示装置は、遊技状態に連動した図柄などを表示して遊技機の印象に大きな影響を与える。そこで、表示される図柄が遊技者にとってより見やすく且つインパクトのあるものとなるよう、これを大型化することが望まれた。近年、大型の液晶パネル表示装置などが普及し、大型の可変表示装置を遊技機に容易に与えることも出来るようになった。しかしながら、表示に対する趣向性の多様化などから、スクリーンに所定の映像を表示させ得るプロジェクタタイプの表示装置も検討されている。
【0003】
このうちスクリーンの背面に映像を投射して表示を行う背面投射型のプロジェクタ表示装置では、光源から遊技盤面と平行に設けられるスクリーンまでの光学距離を遊技機の限られたスペース、特に、スクリーンの主面と垂直方向、すなわち遊技機の厚さ方向で得ることが難しい、といった問題があった。光源とスクリーンの間にレンズを与えたとしても、レンズの拡大率を非常に大きくしなければならず、スクリーン上に遊技に耐えるだけの鮮明な大面積の表示を与えることは現実的ではなかった。そこで、光源からのスクリーンまでの光路を反射鏡などで延長することが提案された。
【0004】
例えば、特許文献1では、上記したような背面投射型のプロジェクタ表示装置を含む遊技機において、光源からの光束に光変調手段(液晶パネル)で光変調を与えレンズなどの結像手段を経た後に、反射鏡でスクリーンの背面側にこれを与えることが開示されている。スクリーンの背面側にプロジェクタを配置して直接光束を投射させる場合に較べて、スクリーンの表示画面を大型化しても遊技機の厚さを薄く維持できる、と述べている。
【0005】
ところで、特許文献1に開示のプロジェクタ表示装置においてもレンズなどの結像手段を用いている。かかる結像手段で光束を単純に拡大した場合、光束の中心部に較べ周縁部の光量が低下し、スクリーン上の映像を遊技者が視認しづらくなってしまう。そこで補正手段を与えた遊技機も提案されている。
【0006】
例えば、特許文献2では、遊技機の盤面の少なくとも一部にスクリーンを与え、スクリーンに映像を投射する投射レンズとこれを光軸に略垂直及び/または略平行な方向に変位させる光学系駆動手段とを含む投射装置を与えた遊技機が開示されている。投射レンズは、遊技進行用の制御装置により与えられる所定のステータス情報に基づいて光学系駆動手段によって、適宜、光軸に略垂直及び/または略平行な方向に変位を与えられる。これによりスクリーン上における画像の表示サイズ、表示位置等の基本要素を変化させることができ、多様な表現が可能になると述べているが、併せてレンズなどの結像手段で光束を単純に拡大した場合のスクリーン平面上での光量差も低減でき得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−35066号公報
【特許文献2】特開平2004−129766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記したような結像手段で光束を単純に拡大した場合のスクリーン上の映像に対する遊技者の視認性の問題については、特許文献2に開示の方法の如き、光学補正により解決でき得るが、より簡単な構成で解決されることが望まれる。
【0009】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、映像投影手段からの光束を前面ガラスに対向するように設けられるスクリーンの背面側から与えて所定の映像を表示させ得る映像装置を含む遊技機において、スクリーン上に遊技者の視認に優れる映像を与え得る映像装置を含む遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による遊技機は、映像投影手段からの光束を前面ガラスに対向するように設けられるスクリーンの背面側から与えて所定の映像を表示させ得る映像装置を含む遊技機であって、前記映像投影手段は、前記光束を与える光源と、前記光源からの前記光束を前記スクリーンの主面に対して垂直方向から角度を有する方向に向けて仕向ける光束経路変更手段と、前記光束経路変更手段を経た前記光束を前記スクリーンに導く結像手段と、前記光源から前記光束経路変更手段の間の光路内にあって前記光束に光変調を与える変調手段と、を含み、前記変調手段に画像信号を送出する画像信号形成部と、前記画像信号に台形補正を与える画像信号補正部と、を更に含むことを特徴とする。
【0011】
かかる発明によれば、光量の最も大なる光束の中心軸をスクリーンに正対した遊技者の視線方向からずらすことが出来て、拡散板としてのスクリーン上には遊技者の視認に優れる映像を与え得るのである。
【0012】
上記した発明において、前記映像投影手段は、前記スクリーンの主面と平行な面内で移動自在に設けられることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、映像投影手段の平面内移動による変化のあるスクリーン上の映像を遊技者の視認性を劣化させずに与え得るのである。
【0013】
上記した発明において、前記スクリーンは前記光束の透過率を変化させ得る液晶パネルからなることを特徴としてもよい。また、前記スクリーンの背面側に役物を与えることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、スクリーンによる光束の透過率の変化による遊技者の視覚的なインパクトをスクリーン上の映像についての遊技者の視認性を劣化させずに与え得るのである。
【0014】
上記した発明において、前記スクリーンは前記前面ガラス上に与えられることを特徴としてもよい。また、前記画像信号補正部は前記スクリーンの位置を計測するセンサー部からの信号に応じて前記画像信号に補正を与えることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、映像投影手段の光路長を大きく取ることができてより映像装置をコンパクトにしつつ大面積の表示を得られて、遊技者の視覚的なインパクトをスクリーン上の映像についての遊技者の視認性を劣化させずに与え得るのである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による遊技機の斜視図である。
【図2】本発明による遊技機の要部の断面図である。
【図3】本発明による遊技機の要部の(a)正面図、(b)側方断面図、及び、(c)背面図である。
【図4】本発明による遊技機の要部のブロック図である。
【図5】本発明による遊技機の要部のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の1つの実施例としての遊技機について、図1乃至図4を用いてその詳細を説明する。
【0017】
図1に示すように、遊技機1は、遊技場の島設備に設置される外枠2と、外枠2に対し開閉可能に取り付けられた前面枠3と、前面枠3に対し開閉可能に取り付けられた開口8’を有する前パネル8と、これに開閉可能に取り付けられて裏面から開口8’を閉塞するガラス扉10を有する。ガラス扉10には遊技者側から見て手前(前方)側に前面ガラス11、奥(後方)側に後面ガラス12をそれぞれ備える(図2を併せて参照)。遊技機1は、さらに、外枠2に対し開閉可能に取り付けられる下部扉7を備える。下部扉7には、遊技球を発射させるために操作されるハンドル4と、遊技球を貯留する上皿5と、払出された遊技球のうち上皿5に貯留されない遊技球を貯留する下皿6がそれぞれ取り付けられている。ここで、図示したように、遊技機1に向かって右側を+X方向、上側を+Y方向、手前側を+Z方向とそれぞれ定める。
【0018】
遊技機1の前面枠3には、後面ガラス12との間に遊技領域を形成する遊技盤30が固定され、遊技盤30にはセンター役物20、始動口31、アタッカー32、その他図示しない釘や役物が備えられる。遊技盤30の主面は、前パネル8及びガラス扉10を閉じて遊技を可能とした状態にあっては前面ガラス11及び後面ガラス12の主面と略平行(X−Y平面に平行)となる。
【0019】
図2に示すように、センター役物20は、遊技盤30に固定されて前方(+Z方向)に開口部を有する役物筐体21と、役物筐体21の前方の開口部を閉塞するようにその主面をX−Y平面と平行にして取り付けられる透明板22とを含む。透明板22の背面側(−Z側)には正面視を略長方形とする液晶シャッタ23が取り付けられている(図1参照)。液晶シャッタ23は、電圧を印加しない通常時に半透明であり、後方からの投射光を拡散させることによりその表面に映像を結像されるいわゆるリアプロジェクション投影機のスクリーンとなる。また、液晶シャッタ23は、電圧を印加することで透明になり、遊技者に対してその後方を透過して視認させることができる。つまり液晶シャッタ23は、可視光の透過率を変化させ得る液晶パネルであり、本実施例においては、高分子散乱型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)パネルである。
【0020】
役物筐体21の奥側(−Z側)には、プロジェクタユニット40が取り付けられている。プロジェクタユニット40はユニットごと交換できる。
【0021】
プロジェクタユニット40は、前方(+Z側)の開口した箱形のユニットケース45と、光学セット41と、光学セット41を液晶シャッタ23に平行な面内で2軸移動させる移動装置50とを含む。移動装置50の詳細については後述する。光学セット41は投射方向を上方(+Y方向)に向けたマイクロプロジェクタ42と、上方に投射された光束を液晶シャッタ23に向けて斜め下方に仕向けるよう反射させるプリズム43と、プリズム43で反射された光束を拡大して液晶シャッタ23に導く拡大レンズ44とを含む。このように、プロジェクタユニット40において、プリズム43により光束の経路を折り曲げるように変更して光路長を長くすることで、プロジェクタユニット40の奥行き(Z軸方向幅)を増大させることなく、液晶シャッタ23上に表示させる映像を大きくできる。また、液晶シャッタ23に投影させる投射光を斜め下方に向けているため、プロジェクタユニット40は液晶シャッタ23より高い(+Y方向)位置に取り付けられている。このように、プロジェクタユニット40からの投射光の光束は、液晶シャッタ23の主面に対して垂直方向から角度を有する。
【0022】
センター役物20にはプロジェクタユニット40の下方の液晶シャッタ23に対向する位置に演出用役物26が設置される。演出用役物26は、動作を与えられる人形のような可動役物であり、図示しないアクチュエータを備える。演出用役物26の代わりに、例えば、点灯するランプの位置や数により大当たりの期待度を報知するルーレット様の役物などを設置することもできる。なお、演出用役物26は、液晶シャッタ23の対面する位置に設置されているので、液晶シャッタ23を透明にしたときに遊技者に視認される。一方、演出用役物26の上方に取り付けられたプロジェクタユニット40は遊技者に視認されない。
【0023】
図2及び図3に示すように、プロジェクタユニット40の移動装置50は、ユニットケース45に固定される固定板51と、固定板51に対して水平方向(X方向)に移動可能に取り付けられる水平移動板52と、水平移動板52に対して鉛直方向(Y方向)に移動可能に取り付けられて光学セット41を支持する鉛直移動板53とを備える。固定板51の+Z側の面には水平方向に延びる溝54が設けられており、水平移動板52の突条55が水平方向にスライド可能にこれに係合している。また、水平移動板52の+Z側の面には鉛直方向に伸びる溝56が設けられており、鉛直移動板53の突条57が鉛直方向にスライド可能にこれに係合している。また、固定板51にはステッピングモータ等の回転角度を制御できるモータ61が固定され、モータ61の回転軸に固定されたピニオンギア62が水平移動板52の−Y側の面に設けられたラックギア63に係合している。さらに、水平移動板52には回転角度を制御できるモータ65が固定され、モータ65の回転軸に固定されたピニオンギア66が鉛直移動板53の−X側の面に設けられたラックギア67に係合している。なお、固定板51には、水平移動板52に固定されて突出するモータ65の移動を阻害しないために窓58が設けられている。
【0024】
移動装置50により、光学セット41はプロジェクタユニット40のユニットケース45内においてX−Y平面上の移動ができ、その移動距離はモータ61及びモータ65の回転角度を制御することで調整できる。光学セット41の移動に伴い、プロジェクタユニット40からの投射光はX−Y平面に沿って平行移動する。これにより、液晶シャッタ23上に投影される映像を液晶シャッタ23上で上下左右に移動させることができる。
【0025】
図4に示すように、マイクロプロジェクタ42は、光源71、偏光部72、光変調部73及び投影レンズ74を備え、これらを順に通過する光路を形成している。投影レンズ74にはその位置を調整するレンズ調整機構75が組み合わせられる。レンズ調整機構75には、レンズ調整回路143が接続されて、マイクロプロジェクタ42の焦点距離を調節できる。また、光変調部73には台形補正回路142を介してこれに入力される画像信号を生成する画像信号形成回路141が取り付けられている。なお、焦点距離の調整においては上記した拡大レンズ44を含めて調整が行われる。
【0026】
次に、上記した遊技機1の制御装置について図5を用いてその詳細を説明する。
【0027】
図5を参照すると、主制御部100は、図示しないメインCPU、ROM及びRAMを有し、ROMに記憶されたプログラムに従い、入賞球を検出するスイッチからの信号に基づいて動作し、大当たり判定等の遊技の基本的な進行を司る。主制御部100は、始動口31への遊技球の入賞を検知する始動口入賞検知スイッチ121と、図示しない普通図柄作動口における遊技球の通過を検知する普通図柄作動口通過検知スイッチ122と、アタッカー32などその他各種入賞口への遊技球の入賞を検知する各種入賞球検知スイッチ123と接続されており、それぞれの入賞を判定する判定手段として機能する。主制御部100に接続された特別図柄制御基板111、普通図柄制御基板112、ソレノイド基板113は、主制御部100の大当たり判定の結果等に対応した信号に基づきそれぞれ特別図柄表示装置131、普通図柄表示装置132、各種ソレノイド133の動作を制御できる。
【0028】
副制御部101は、図示しないCPU、ROM及びRAMを有し、大当たり判定等の結果に応じて主制御部100から与えられる信号に基づいて動作し、主にセンター役物20、図示しないランプ、スピーカなどで行われる遊技状態に対応した演出を司る。すなわち、副制御部101に接続された、音声基板114、装飾図柄制御基板115は、それぞれスピーカ134、装飾図柄表示装置135の動作を制御できる。
【0029】
図2及び図4を併せて参照すると、装飾図柄表示装置135は、液晶シャッタ23、演出用役物26及びプロジェクタユニット40を含み、液晶シャッタ23上において装飾図柄を変動表示させ、あるいは移動装置50を動作させてプロジェクタユニット40内で光学セット41を移動させ、また演出用役物26を可動させ得る。つまり、装飾図柄制御基板115は、マイクロプロジェクタ42の画像信号形成回路141、台形補正回路142及びレンズ調整回路143を含み、マイクロプロジェクタ42に投影させるための映像信号を生成し光変調部73に送出できるとともに、レンズ調整機構75に投影レンズ74の焦点距離を調節させることができる。また、装飾図柄制御基板115は、液晶シャッタ23の透過率を変化させる回路を含み、液晶シャッタ23の透過率を変化させることができる。さらに、装飾図柄制御基板115は、光学セット41の位置を制御するための回路及び演出用役物26の動作を制御するための回路を含み、移動装置50を動作させるための信号及び演出用役物26のアクチュエータを動作させるための信号をそれぞれ送出できる。
【0030】
再び図5を参照すると、演出制御部102は図示しないCPU、ROM及びRAMを有し、各種演出状態に応じて副制御部101から与えられる信号に基づいて動作し、ランプの光による演出を司る。演出制御部102に接続されたランプ基板116は各種ランプ136の動作を制御できる。演出制御部102は副制御部101と双方向通信を可能とし、副制御部101に司られる各種の演出に伴う動作と各種ランプ136の動作を同期させることができる。
【0031】
払出し制御部103は、入賞球の検知結果に応じて主制御部100から与えられる信号に基づいて動作し、賞球払出装置137の動作を司る。また、発射装置制御部104は、遊技球を発射させるための発射装置138の動作を司る。また、払出制御部103及び発射装置制御部104は払出用端子基板117に接続されており、補給球の球切れを検知するスイッチ、下皿に遊技球が満たされた状態であることを検知するスイッチ、ハンドル4に設けられたタッチスイッチや発射停止スイッチなどの各種スイッチ124からの検知信号をそれぞれ必要に応じて振り分けられて入力される。これにより、例えば下皿が満たされた状態であることを検知するスイッチの検知信号に基づいて賞球払出装置137及び発射装置138の動作を一旦停止させるなどの制御をすることができる。
【0032】
次に、上記した遊技機1の動作について説明する。
【0033】
遊技球の発射、球技球の入賞、大当たり判定、払出し等については公知の遊技機と同様であるので説明を省略し、ここでは主に装飾図柄表示装置135に含まれる液晶シャッタ23、演出用役物26及びプロジェクタユニット40の動作について説明する。
【0034】
遊技球が入賞口31に入賞した場合に、主制御部100は大当たり判定を行い、この結果を表示させるための信号を特別図柄制御基板111に送信し、これを介して特別図柄表示装置131に特別絵柄として定められた大当たり絵柄又ははずれ絵柄を変動表示させる。また、主制御部100は大当たり判定の結果を表示させるための信号を副制御部101にも送信する。副制御部101は装飾図柄制御基板115を介して装飾図柄表示装置135に装飾図柄として定められた大当たり又ははずれ絵柄を変動表示させる。
【0035】
装飾図柄制御基板115は、装飾図柄表示装置135に装飾図柄を変動表示させる際に、液晶シャッタ23を半透明とさせて、プロジェクタユニット40からの投射光により映像を表示できるように、液晶シャッタ23に電圧を印加させないよう制御を行う。これとともに、プロジェクタユニット40のマイクロプロジェクタ42には大当たり判定に基づいた装飾図柄の映像を変動表示させる。詳細には、装飾図柄制御基板115の画像信号形成回路141及び台形補正回路142は、マイクロプロジェクタ42の光変調部73に台形補正処理を与えた映像信号を送出する。これによってマイクロプロジェクタ42から投射される光束によって装飾図柄を含む所定の映像が液晶シャッタ23上に投影される。
【0036】
また、演出状態によっては装飾図柄を表示させたまま移動装置50を動作させて、液晶シャッタ23に表示された映像を上下左右に移動させる。例えば、映像を液晶シャッタ23上で左右に振動させたりすることもできる。
【0037】
さらに他の演出状態では、液晶シャッタ23に電圧を印加して透過率を上げて透明にさせるとともに、演出用役物26に動作を与える。これにより、遊技者に演出用役物26を視認させつつ演出を行う。つまり、演出用役物26を液晶シャッタ23の透過率の変化と連動して動作させるのである。これらの演出状態は、例えば、いわゆるリーチ演出の一環としてチャンス表示として用いることができる。
【0038】
本実施例によれば、光量の最も大きい光束の中心軸をスクリーンに正対した遊技者の視線方向からずらすことが出来る。これによって、遊技者は、液晶シャッタ23上で拡散される光により与えられる映像の中心部においても光量の極端に高い部分を視認しなくなる。加えて、台形補正回路142によって液晶シャッタ23上に鮮明な映像を与えることができる。その結果、液晶シャッタ23上に遊技者の視認に優れる映像を与え得るのである。
【0039】
また、上記したように液晶シャッタ23上の映像を上下左右に移動させる場合に、液晶シャッタ23の主面に対して平行に光束を移動させるので、遊技者の視認性を劣化させることなく変化のある映像を与えることができる。さらに、上記したように、液晶シャッタ23の透過率の変化と演出用役物26の動作を連動させることによって、液晶シャッタ23上の映像の遊技者の視認性を劣化させることなく、遊技者に視覚的なインパクトを与えることができる。
【0040】
なお、液晶シャッタ23を前面ガラス11の背面側に取り付けて、プロジェクタユニット40からの投射光により映像を表示させることもできる。これによって、センター役物20内にプロジェクタユニット40をコンパクトに設置したまま、投射光の光路長をより大きくして、より大きな面積の映像を表示させることができる。この場合において、例えば赤外線センサなどの、センター役物20から液晶シャッタ23までの距離を測定するためのセンサを備える。副制御部101は、装飾図柄制御基板115を介して、かかるセンサの測定した距離に基づいて最適な焦点距離を算出し、これに合わせてマイクロプロジェクタ42の投射光の焦点を調節させる。これによって前パネル8や、ガラス扉10の開閉などによって液晶シャッタ23までの距離が変動しても、液晶シャッタ23上に鮮明な映像を投影させることができる。これによって、液晶シャッタ23上に表示される映像についての視認性を劣化させずに、遊技者の視覚的なインパクトを増大させ得る。
【0041】
また、透明板22と対向するように、第2透明板をセンター役物20の奥側(プロジェクタユニット40より手前側)に設けてこれに液晶シャッタを取り付けてもよい。更に、前面ガラス11の背面側に液晶シャッタを追加して取り付けてもよい。液晶シャッタ23に追加して前後方向に画像を表示できる表示部を設置することで表現の多様性を得られる。かかる場合において、副制御部101は、演出状態に応じて映像を投影する液晶シャッタ23を含む表示部を選択し、選択した表示部に画像を表示できるようにする。例えば、表示部が前面ガラス11に取り付けられた液晶シャッタであれば、これにマイクロプロジェクタ42の投射光の焦点、拡大率、投射方向などを調節する。
【0042】
さらに、スクリーンの手前に可動役物を設け、その背景に映像を投影するようにしてもよい。例えば、液晶シャッタ23の取り付けられた透明板22をセンター役物20の奥側に設置して、その手前側のスペースを確保するとともに、かかるスペースに可動役物を設けることもできる。また、上記したように第2透明板を設けるなどして複数のスクリーンをZ軸方向に並べて設置し、奥側のスクリーンの手前に可動役物を配置することもできる。可動役物として演出用役物26を使用してもよい。これらの場合において、可動役物は、その奥側のスクリーンに投影される映像を優先的に遊技者に見せるよう、役物筐体21の外側に移動させ得ることが好ましい。
【0043】
ここまで本発明による代表的実施例及びこれに基づく変形例を説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した請求項の範囲を逸脱することなく種々の代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
【符号の説明】
【0044】
1 遊技機
11 前面ガラス
20 センター役物
22 透明板
23 液晶シャッタ
40 プロジェクタユニット
41 光学セット
115 装飾図柄制御基板
135 装飾図柄表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像投影手段からの光束を前面ガラスに対向するように設けられるスクリーンの背面側から与えて所定の映像を表示させ得る映像装置を含む遊技機であって、
前記映像投影手段は、前記光束を与える光源と、前記光源からの前記光束を前記スクリーンの主面に対して垂直方向から角度を有する方向に向けて仕向ける光束経路変更手段と、前記光束経路変更手段を経た前記光束を前記スクリーンに導く結像手段と、前記光源から前記光束経路変更手段の間の光路内にあって前記光束に光変調を与える変調手段と、を含み、
前記変調手段に画像信号を送出する画像信号形成部と、前記画像信号に台形補正を与える画像信号補正部と、を更に含むことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記映像投影手段は、前記スクリーンの主面と平行な面内で移動自在に設けられることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記スクリーンは前記光束の透過率を変化させ得る液晶パネルからなることを特徴とする請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記スクリーンの背面側に役物を与えることを特徴とする請求項3記載の遊技機。
【請求項5】
前記役物は前記スクリーンの前記光束の透過率の変化と連動して移動する機構を与えられることを特徴とする請求項4記載の遊技機。
【請求項6】
前記スクリーンは前記前面ガラス上に与えられることを特徴とする請求項3乃至5のうちの1つに記載の遊技機。
【請求項7】
前記画像信号補正部は前記スクリーンの位置を計測するセンサー部からの信号に応じて前記画像信号に補正を与えることを特徴とする請求項6記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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