説明

遊技機

【課題】デジパチとハネモノの複合機で、ハネモノ側での時短継続率が低くても、実質的な時短継続率を高めることができるパチンコ遊技機を提供する
【解決手段】羽変動入賞装置8の遊技球が流入する位置の近傍に保留装置9が設けられている。保留装置9の遊技球を保持する受け皿部91は、遊技球を受けて保持する受け位置と、保持した遊技球を放出する放出位置とに回転可能になっている。羽変動入賞装置8に遊技球が入賞する際に、その後大当たり遊技状態が発生する場合に、時短有りになるか無しになるかが決まっている。保留装置を操作すると、羽変動入賞装置8への遊技球の入賞率が変化する。時短無しの場合に、羽変動入賞装置8への入賞率を下げることによって、非時短状態になるのを抑制し、時短を継続し易くできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ店などの遊技場に設置して使用される遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なパチンコ遊技機として、所謂デジパチと呼ばれるものが知られている。
このパチンコ遊技機においては、遊技球が打ち込まれて流下する遊技盤面に形成された遊技領域に始動入賞口が設けられ、当該始動入賞口に遊技球が入賞することに基いて、内部の主基板側の制御装置において、可変表示装置に表示される変動表示ゲームの大当たり、はずれの抽選が行われ、抽選で大当たりに決定された変動表示ゲームが表示されると遊技領域に設けられたアタッカが開放して、アタッカに遊技球が入賞可能になる大当たり遊技状態になる。大当たり遊技状態では、基本的に遊技者が多数の遊技球を獲得可能になる。
【0003】
また、一般的なパチンコ遊技機として、所謂ハネモノと呼ばれるものが知られている。このパチンコ遊技機においては、遊技球が打ち込まれて流下する遊技盤面に形成された遊技領域に始動入賞口が設けられ、当該始動入賞口に遊技球が入賞することに基いて、開閉する羽を備えた特定入賞装置において、閉時に遊技球の入賞を阻止する羽が開放して遊技球が入賞し易い状態になる。この際に特定入賞装置に入賞した遊技球が特定入賞装置内に設けられたV入賞領域(特定領域)を通過すると大当たりになり、前記羽が開放を複数回繰り返す動作を、さらに複数回繰り返す大当たり遊技状態が発生する。この際には、遊技球を入賞し易くする羽の開放が多数回繰り返されることによって、遊技者が多数の遊技球を獲得可能になる。
【0004】
また、このようなデジパチと、ハネモノとを組み合わせたパチンコ遊技機も知られている。このパチンコ遊技機では、変動表示ゲームを開始させるためのデジパチ用始動入賞口と、特定入賞装置を開放させるためのハネモノ用始動入賞口と、変動表示ゲームを表示する可変表示装置と、変動表示ゲームが大当たりになった場合に開放するアタッカとを備えている。このパチンコ遊技機では、特定入賞装置の羽が開になって遊技球が入賞するとともに上述の特定領域を通過した場合に、羽が開放を繰り返すのではなく、前記アタッカが開放を繰り返すようになっており、デジパチ側で当たりになっても、ハネモノ側で当たりになってもアタッカが開放することによって多くの遊技球を遊技者が獲得可能になっている。
【0005】
このようなパチンコ遊技機では、単純にデジパチとハネモノとの遊技が行えるようにするのではなく、これらを組み合わせて新たな遊技性が生じるように開発が行われている。
例えば、デジパチでは、一般的に上述の変動表示ゲーム、すなわち、特別図柄(特図)の変動表示ゲーム(特図ゲーム)に加えて、普通図柄(普図)の変動表示ゲーム(普図ゲーム)が行われる。例えば、遊技盤に設けられたスルーチャッカ(始動ゲート)を遊技球が通過したことに基いて、普図の変動表示ゲームの当たりまたははずれの抽選が行われ、抽選で当たりになる普図ゲームが普図表示器に表示された際に、始動入賞口に設けられた電動チューリップ(電チュー)が開放する。
【0006】
また、上述のパチンコ遊技機では、普図ゲームのゲーム時間を短くして、単位時間当たりの普図ゲームの回数を増やし、かつ、普図ゲームの当たり確率を高くし、さらに普図ゲームが当たりになった場合の電チューの開放時間を長くした(開放回数を増やすことも含まれる)電チューサポート(電サポ)状態が発生するようになっている。電サポ状態は、例えば、確変状態や時短状態で発生する。電サポ状態では、始動入賞口に頻繁に遊技球が入賞することによって、特図ゲームの発生回数が多くなるとともに、始動入賞口への入賞による賞球で遊技球の減少が抑えられ、大当たりになった場合に、遊技球が大きく増加する可能性が高くなる。
【0007】
このようは普図ゲームで開放する電チューをデジパチ用の始動入賞口ではなく、ハネモノ用の始動入賞口に設けるとともに、デジパチ用始動入賞口を左打ちした際に遊技球が入賞しやすいものとし、ハネモノ用の始動入賞口、特定入賞装置および上述の電チューを右打ちにより遊技球が入賞し易いものとしているパチンコ遊技機が知られている。この際の左打ちとは、遊技領域の上部で左側から右側に発射される遊技球の発射勢を弱めることにより、主に遊技領域の左側を遊技球が流下する状態とする打ち方である。また、右打ちとは、逆に発射勢を強めることにより、主に遊技領域の右側を遊技球が流下する状態とする打ち方である。
【0008】
このパチンコ遊技機では、特図ゲームの当たりに、時短有り当たりと、時短無し当たりとを設けるとともに、電チューを備えたハネモノ用始動入賞口に遊技球が入賞した際に抽選で当たりおよびはずれを決めるものとするとともに、当たりに時短有り当たりと、時短無し当たりを設けるものとする。なお、この場合の抽選は、極めて高い確率で当たりになって、特定入賞装置の羽を開放するようになっており、主に時短有り当たりか、時短無し当たりかを決めるものになっている。
【0009】
デジパチでの時短当たりでは、特図ゲームが当たりになってアタッカが開放することによって発生する大当たり状態が終わった後の状態が時短状態、すなわち、上述の電サポ状態になる。この場合に、右打ちすると、電チューを備えたハネモノ用の始動入賞口に遊技球が頻繁に入賞し、特定入賞装置の羽が頻繁に開放して、特定入賞装置に頻繁に遊技球が入賞可能になる。それにより、特定入賞装置内で入賞した遊技球が特定領域を通過する可能性が高くなる。
【0010】
したがって、右打ちすることによって、ハネモノ側で大当たりを発生させ、アタッカを開放する大当たり遊技状態を発生させることができる。
また、ハネモノ側の始動入賞口における抽選で時短有り当たりになった場合には、この時短有り当たりで特定入賞装置が開放した際に入賞した遊技球が特定領域を通過してアタッカを開放する大当たり状態が発生した場合に、この大当たり状態後に時短状態になる。
【0011】
なお、時短状態は、例えば、特図ゲーム100回、または、上述の電チューのハネモノ用の入賞口への入賞による抽選100回で終了するか、または、これらの回数の合計が100回で終了する。時短状態の場合に、基本的に遊技者が右打ちするので、大当たり状態終了後に保留されている特図ゲーム以外は、基本的に新たに特図ゲームは開始されない。また、時短状態(電サポ状態)でない場合に、右打ちしても、例えば、閉状態の電チューに遊技球が入賞できないか、極めて遊技球が入賞し難い状態になっており、特定入賞装置の羽を開放させることが難しいので、遊技者は、デジパチ用始動入賞口を狙って左打ちする。
【0012】
このようなパチンコ遊技機の遊技においては、時短になっていない非時短状態で遊技を開始した際に、まず、遊技領域の左側にあるデジパチ用始動入賞口を狙って遊技球を左打ちする。
この場合に、デジパチ用始動入賞口に遊技球が入賞して、特図ゲームが順次行われる。この特図ゲームで時短有り当たりになると、大当たり遊技状態後が時短状態になる。
【0013】
時短状態では、上述のように右打ちしてスルーチャッカに遊技球を通過させ、時短中に高確率で当たりになる普図ゲームを行わせることによって、電チューが頻繁に開放して、ハネモノ用始動入賞口に遊技球が頻繁に入賞し、特定入賞装置が頻繁に開放する。これにより特定入賞装置に遊技球が入賞し易くなることによって、入賞した遊技球が特定領域を通過する機会が増えて、比較的短期間で大当たりが発生する。
【0014】
この場合に、電チューのハネモノ用始動入賞口に入賞することによって行われる抽選で、時短当たりになっていれば、再び、遊技者は右打ちすることによって、上述のように比較的短期間で大当たりが発生する。
【0015】
したがって、時短当たりが連続する状態になると、遊技者は右打ちしているだけで、大当たりを短い間隔で続けて発生させることが可能になる。
しかし、電チューのハネモノ用始動入賞口に入賞することによって行われる抽選で、時短無し当たりを発生させてしまうと、大当り状態後が時短無しの状態(非時短状態)になり、上述のように右打ちしてもほとんど大当たりが発生しない状態になる。そこで、遊技者は再び、左打ちしてデジパチ用始動入賞口を狙って、特図ゲームで時短当たりを発生させようとすることになる。
【0016】
このような遊技機では、電チューのハネモノ用始動入賞口に入賞することによって行われる抽選で、全当たりのうちの50%よりかなり高い確率で時短当たりが発生するような設定にすると、ハネモノ側で時短当たりが複数回連続して発生することが多くなり、このような状態を、デジパチの確変状態に代えて発生させることによって遊技者の興趣を高めることができる。なお、特定入賞装置における特定領域の通過率を高めると、比較的短時間で大当たりが続けて発生する可能性があり、確変状態に比較して続けて発生する大当りの間隔を短くして、より遊技者の興趣を高めることも可能である。
【0017】
ここで、このようなパチンコ遊技機で、さらに新たな遊技性を持たせる方法として、遊技領域を流下する遊技球を補足して保留し、保留された遊技球を入賞口に向けて流下させることにより、高い確率で入賞口に遊技球を入賞させる保留装置を用いることが考えられる。
上述のようなパチンコ遊技機ではないが、保留装置を有するパチンコ遊技機は既に提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開平9−155015号公報
【特許文献2】特許3527271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところで、上述のようなデジパチとハネモノとを合わせたパチンコ遊技機では、どうしても、遊技者の興趣が時短の連続回数に向かってしまい、ハネモノ側での時短有り大当たりの発生確率が高い機種が遊技者に好まれてしまう。しかし、遊技性や、遊技店の利益等を考慮した場合に、ハネモノ側での時短有り大当たりの発生確率をあまり高くすることには問題がある。
そこで、上述の保留装置を用いることによって、ハネモノ側での時短有り大当たりの発生確率が低くても遊技者の興趣を高めることができるパチンコ遊技機を開発することが望まれている。
【0020】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、デジパチとハネモノの複合機で、ハネモノ側での時短有り大当たりの発生確率(時短継続率)が低くても、実質的な時短継続率を高めることができ、かつ、実質的な時短継続率をそれ程高くしなくても遊技者の興趣を高めることができるパチンコ遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
請求項1に記載の遊技機は、発射された遊技球が流下する遊技領域を備える遊技盤と、
前記遊技盤に設けられ、遊技球が入賞可能な第1始動装置と、
前記遊技盤に設けられ、遊技球が入賞可能な第2始動装置と、
前記遊技盤に設けられ、遊技球が流入可能な第3始動装置と、
前記遊技盤に設けられ、遊技球が入賞し易い開状態と、遊技球が入賞できない閉状態との間で変動し、かつ、遊技球が入賞する内部空間に、特別領域と、一般領域とを備えるとともに、これら特別領域と一般領域とのうちのいずれか一方の領域を入賞した遊技球が通過するように設定されている第1入賞装置と、
前記第2始動装置に設けられ、当該第2始動装置に遊技球が入賞し易い開状態と、遊技球が入賞し難いか入賞できない閉状態との間で変動する第2入賞装置と、
前記遊技盤に設けられ、遊技球が入賞し易い開状態と、遊技球が入賞できない閉状態との間で変動する第3入賞装置と、
前記第1始動装置に遊技球が入賞することに基いて、第1当たり、第2当たり、または、はずれが抽選により決定される第1ゲームを制御する第1ゲーム制御手段と、
前記第2始動装置に遊技球が入賞することに基いて少なくとも第3当たり、または、第4当たりが抽選により決定される第2ゲームを制御する第2ゲーム制御手段と、
前記第3始動装置に遊技球が流入することに基いて少なくとも第5当たり、または、はずれが抽選により決定される第3ゲームを制御する第3ゲーム制御手段と、
前記第1ゲーム、前記第2ゲームおよび第3ゲームの抽選結果を示す表示を行う表示手段と、
前記第2ゲームが前記第3当たりまたは前記第4当たりになった場合に、前記第1入賞装置を開状態とする第1入賞装置制御手段と、
前記第3ゲームが前記第5当たりとなった場合に、前記第2入賞装置を開状態とする第2入賞装置制御手段と、
前記第1ゲームが前記第1当たりまたは前記第2当たりとなった場合と、前記第1入賞装置に入賞した遊技球が前記特定領域を通過した場合に、前記第3入賞装置が複数回開閉する当たり状態を発生させる第3入賞装置制御手段と、
第1ゲームで前記第1当たりになることにより発生する前記当たり状態が終了する際と、前記第2ゲームで前記第3当たりとなって前記第1入賞装置が開放するとともに当該第1入賞装置に遊技球が入賞して前記特定領域を通過することにより発生する前記当たり状態が終了する際に、前記第3ゲームが単位時間内に第5当たりとなる確率が低く、前記第2入賞装置が開状態になる機会が少ない通常状態とし、
かつ、前記第1ゲームで前記第2当たりになることにより発生する前記当たり状態が終了する際と、前記第2ゲームで前記第4当たりとなって前記第1入賞装置が開放するとともに当該第1入賞装置に遊技球が入賞して前記特定領域を通過することにより発生する前記当たり状態が終了する際に、前記第3ゲームが単位時間内に第5当たりとなる確率が前記通常状態より高く、前記第2入賞装置が開状態となる機会が前記通常状態より多い有利状態とする第3ゲーム状態制御手段とを備える遊技機において、
前記遊技盤の前記第1入賞装置の遊技球が入賞する位置の近傍に設けられ、前記遊技領域を流下する遊技球が流入した場合に、流入した遊技球を1以上の所定数を上限として保持するとともに、保持した遊技球を前記第1入賞装置と離れた位置に配置された所定の入賞口に向けて放出可能な保留装置と、
遊技者の操作により、前記保留装置から所定の前記入賞口に向けて保持している遊技球を放出させる操作手段とを備えていることを特徴とする。
【0022】
請求項1に記載の遊技機においては、上述の従来のデジパチの構成とハネモノの構成とを合わせ持ち、有利状態(電サポ状態)の連続により、ハネモノ側で大当たりが短期間に複数回連続して発生し易いパチンコ遊技機において、遊技者の操作により、電サポ状態が終了するのを抑制することができる。
【0023】
第2ゲームが第4当たりの場合に、第4当たりの発生により開放された第1入賞装置に遊技球が入賞して特定領域を通過して当たり状態が発生するとその後電サポ状態となる。また、第2ゲームが第3当たりの場合に、第3当たりの発生により開放された第1入賞装置に遊技球が入賞して特定領域を通過して当たり状態が発生すると、その後通常状態となってしまい、電サポ状態が継続しない。
【0024】
したがって、第2入賞装置を備える第2始動装置に遊技球が入賞して第3当たりが発生した場合に、開放している第1入賞装置への遊技球の入賞を阻止することによって、電サポ状態が継続せずに終了するのを防止することができる。
【0025】
しかし、第2始動装置に遊技球が入賞して第2ゲームが第3当たりとなって、表示手段に第3当たりであることが表示された後に、遊技球の発射を停止しても、既に発射された遊技球が開放された第1入賞装置に至って入賞してしまうのを阻止できない。第2始動装置に遊技球が入賞しそうな段階で、遊技球の発射を停止した場合には、第4当たりの場合も遊技球の発射止められてしまい、開放した第1入賞装置に遊技球を入賞させられず、遊技球が特定領域を通過することがないので、大当たり状態を発生できなくなってしまう。
【0026】
本発明では、第1入賞装置の遊技球が入賞する位置の近傍に流入した遊技球を保持する保留装置が備えら得ているので、例えば、保留装置に保留された遊技球を操作手段により所定の入賞口に向けて保持している遊技球を放出すれば、遊技球が再び保留可能となり、既に発射されて第1入賞装置に向かう遊技球を補足して第1入賞装置への遊技球の入賞を阻止する可能性がある。また、保留装置に遊技球が保留された状態と、保留されていない状態とで、保留装置または保留された遊技球に遊技球が接触するなどした場合に、開放した第1入賞装置への遊技球の入賞率を変更できる可能性がある。また、保留装置が遊技球を保持する状態と、遊技球を放出する状態とで、保留装置に遊技球が接触するなどした場合に、開放した第1入賞装置への遊技球の入賞率を変更できる可能性がある。
【0027】
すなわち、操作手段で、第1入賞装置の遊技球が入賞する近傍に配置された保留装置を操作した際に、第1入賞装置への遊技球の入賞率を変えられるので、第3当たりで第1入賞装置が開放する場合には、保留装置の状態を第1入賞装置への入賞率が下がる状態とし、第4当たりで第1入賞装置が開放する場合には、第1入賞装置への入賞率が上がる状態とすることにより、電サポ状態の継続回数を増加させることができる。
【0028】
これにより、例えば、電サポ状態が終了する第3当たりになる抽選確率を、電サポ状態が継続する第4当たりになる抽選確率より高くして、電サポ状態の継続率を低くしても、遊技者の操作により、電サポ状態の継続率を高めることができる。言い換えれば、電サポ状態の継続率を低く設定しても、遊技者の操作により実質的な継続率を高めることができ、電サポ状態の継続率が低いことへの遊技者の不満を解消できる。
【0029】
また、遊技者の操作を含む実質的な電サポ状態の継続率をそれ程高くしなくとも、電サポ状態の継続率を高めるための操作、すなわち、第3当たりの場合の第1入賞装置への遊技球の入賞を阻止する操作が、遊技者にとって遊技の一部となり、遊技球の入賞の阻止が成功したり、失敗したりすることへの興味から、実質的な電サポ状態の継続率がそれほど高くなくともこのような遊技に満足することにより、継続率が高くないことへの不満が生じるのを防止できる・
【0030】
請求項2に記載の遊技機は、請求項1に記載の発明において、前記所定数の遊技球を保持した前記保留装置に向って流下した遊技球が、前記保留装置に保持されることなく、前記保留装置に保持されている遊技球に接触して前記第1入賞装置に入賞可能な方向に誘導されるように、前記保留装置が設けられていることを特徴とする。
【0031】
請求項2に記載の発明においては、保留装置に遊技球が保持されている場合に、この遊技球に既に発射された遊技球が接触して開放している第1入賞装置に入賞可能方向に誘導されてしまう。
したがって、第3当たりが発生して第1入賞装置が開放する場合に、保留装置に遊技球を保持していると、第1入賞装置への遊技球の入賞率が高くなっており、第1入賞装置に遊技球が入賞して特定領域を通過して電サポなし当たりが発生して、電サポ状態が終了してしまう可能性が高まる。
それに対して、保留装置が遊技球を保持していない状態では、保留装置側に流下する遊技球を補足して保留することによって、第1入賞装置への遊技球の入賞率が減少する。これにより、第3当たりの発生時に保留装置の遊技球を放出するように操作手段を操作することによって、電サポ状態の継続率を上げることができる。
【0032】
請求項3に記載の遊技機は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記第2ゲームで前記第3当たりが発生することにより、前記第1入賞装置が閉状態から開状態に移行する直前に、遊技者に対して前記操作手段を操作するように報知する報知手段を備えていることを特徴とする。
【0033】
請求項3に記載の発明においては、第2入賞装置に遊技球が入賞して第3当たりまたは第4当たりが発生した場合に、表示手段に抽選結果として第3当たりか第4当たりかが表示されるが、一般的にパチンコ遊技機では、遊技者に抽選結果が分かり難い状態で表示される。例えば、表示手段としてのLEDのセグメント表示器に備えられた複数のセグメントの点灯と消灯の状態で、第3当たりか第4当たりかが報知されるとともに、第3当たりになる各セグメントの点灯と消灯のパターンが複数あるとともに、第4当たりになる各セグメントの点灯と消灯のパターンが複数ある。この場合に、第3当たりになる各セグメントの点灯と消灯のパターンを全て覚えておき、これらのパターンのいずれかが表示された場合に、例えば、直ぐに操作手段を操作して第1入賞装置への遊技球の入賞を阻止することになる。
【0034】
しかし、一般の遊技者は、必ずしも第3当たりのパターンを覚えておらず、第3当たりが発生してもそれが分からず、操作手段を操作することができない。この場合に、上述のパターンを覚えている遊技者、または、メモ等でパターンを確認できる遊技者は、電サポ状態の継続率を高めて獲得可能な遊技球を増加せることができるが、その他の遊技者は、遊技球の獲得数が少なくなってしまう。
そこで、上述のように第3当たりの発生を報知することによって、上述の表示手段における第3当りの表示パターンを覚えていない遊技者も、操作手段の操作により電サポ状態の継続率を高めて、獲得可能な遊技球を増加させることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、デジパチとハネモノとを組み合わせ、電サポ状態が継続することにより、ハネモノでの大当たりが連続し易くなるパチンコ遊技機において、電サポ状態の継続率が低くても、操作手段の操作により電サポ状態の継続率を高められることによって、遊技者の興趣が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態に係るパチンコ遊技機の遊技盤上の遊技領域を示す正面図である。
【図2】前記パチンコ遊技機の制御係を示すブロック図である。
【図3】前記遊技領域における保留装置による遊技球の流下方向の変化を示す遊技盤の正面図である。
【図4】前記遊技領域における保留装置による遊技球の流下方向の変化を示す遊技盤の正面図である。
【図5】前記遊技領域における保留装置による遊技球の流下方向の変化を示す遊技盤の正面図である。
【図6】前記遊技領域における保留装置による遊技球の流下方向の変化を示す遊技盤の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1に示すように、この実施の形態のパチンコ遊技機は、所謂デジパチとハネモノと呼ばれる2種類を融合したパチンコ遊技機としての構成を有するものである。
遊技盤1の盤面上の遊技領域2内には、その略中央部(中央より少し下側でかつ少し左側)に可変表示装置(表示手段)3が設けられている。可変表示装置3は、例えば、液晶表示装置からなるもので、当たり抽選手段として機能する後述の主制御装置14で行われる抽選の各種大当たりおよびはずれの抽選結果を表示するものであり、抽選結果の表示に際し、識別情報としての装飾図柄の変動表示ゲームを表示し、この変動表示ゲームの大当たりおよびはずれによって上述の抽選結果を報知するようになっている。
【0038】
遊技盤1の遊技領域2の外側には、表示手段としての特図表示器4a、羽始動図柄表示器4b、普図表示器4cが設けられている。これら、特図表示器4a、羽始動図柄(羽図)表示器4b、普図表示器4cは、例えば、7セグのLED表示装置からなる。なお、特図表示器4a、羽図表示器4b、普図表示器4cは、数字を表示可能な7セグの表示装置である必要はなく、例えば、複数個の任意の形状のセグメントが任意の位置に配置されたものでよく、各セグメントの点灯および消灯を個別に制御できるようになっていればよい。特図表示器4a、羽図表示器4b、普図表示器4cは、後述の変動パターンの一部として設定される変動表示時間だけ変動表示(一部のセグメントを点滅表示)した後に特図(特別図柄)、羽図(羽始動図柄)または普図(普通図柄)を停止表示(抽選結果表示)する。
【0039】
ここで、特図表示器4aの前記点滅表示後に特図を停止表示する特図の変動表示ゲームを特図ゲーム(第1ゲーム)と称する。可変表示装置3で表示される変動表示ゲームは、実行されている特図ゲームに対応したものであり、特図ゲームと同様の結果になる装飾図柄の変動表示ゲームが可変表示装置に表示される。
羽図表示器4bには、後述の羽図ゲーム(第2ゲーム)が表示される。また、普図表示器4cには、後述の普図ゲーム(第3ゲーム)が表示される。
【0040】
前記可変表示装置3の直ぐ下には、遊技領域2の左右の中央より少し左側に第1始動入賞口(第1始動装置)52が設けられている。第1始動入賞口52は、遊技者が遊技球の発射勢を弱めて左打ちすることによって、右打ちするより遊技球が入賞し易い状態になるように配置されている。
また、遊技領域の右上部には、第2始動入賞口(第2始動装置)54を備えた所謂電チューと呼ばれる普通変動入賞装置(第2入賞装置)5が設けられている。第2始動入賞口54は、遊技者が遊技球の発射勢を強めて右打ちすることによって、左打ちするより遊技球が入賞し易い状態になるように配置されている。
この普通変動入賞装置5は、開閉動作自在な1対の可動片51,51を備え、第2始動入賞口54に遊技球が入賞できないように(入賞し難いように)可動片51,51が閉じた状態(閉状態)と、遊技球が入賞し易くなるように可動片51,51が開いた状態(開状態)との間で変動するようになっている。
【0041】
第1始動入賞口52には、遊技球の入賞を検知する第1始動入賞球検知センサ53a(図2に図示)が設けられており、第1始動入賞球検知センサ53aは、主制御装置14に、遊技球が第1始動入賞口52に入賞した際に第1始動入賞信号を出力する。また、第2始動入賞口54には、遊技球の入賞を検知する第2始動入賞球検知センサ53b(図2に図示)が設けられており、第2始動入賞球検知センサ53bは、主制御装置14に、遊技球が第2始動入賞口54に入賞した際に第2始動入賞信号を出力する。主制御装置14は、第1始動入賞信号の入力に基づいて特図ゲーム(変動表示ゲーム)の各大当たり(第1当たりもしくは第2当たり)、または、はずれを決める乱数を取得する。また、主制御装置14は、第2始動入賞信号の入力に基づいて羽図ゲームの各大当たり(第3当たりもしくは第4当たり)、または、はずれを決める乱数の取得を行う。
【0042】
また、可変表示装置3には、画面の周縁部分に後述の特図保留数の表示が行われる特図保留数表示領域が設定されている。主制御装置14では、第1始動入賞球検知センサ53aから始動入賞信号が入力した場合に、上限になる数値(たとえば4)の範囲内で第1特図保留数に1加算し、この始動入賞に基づいて特図ゲームおよび変動表示ゲームが開始される場合に、特図保留数から1減算する。この特図保留数が特図保留数表示領域にマークの数として表示される。
【0043】
同様に、主制御装置14では、第2始動入賞球検知センサ53bから始動入賞信号が入力した場合に、上限になる数値(たとえば4)の範囲内で羽図保留数に1加算し、この始動入賞に基づいて羽図ゲームが開始される場合に、羽図保留数から1減算する。この羽図保留数がLEDからなる表示ランプ群4dの一部に点灯したLEDの数として表示される。なお、第2始動入賞球検知センサ53bが設けられる第2始動入賞口54は、遊技球の入賞に基いて直ぐに後述の羽変動入賞装置(第1入賞装置)8の羽部材81を開放することが好ましく、第2始動入賞口54に遊技球が入賞しても、それを保留しないものとしてもよい。以下の説明では、第2始動入賞口54に遊技球が入賞しても、当該遊技球の入賞を保留しないものとする。
【0044】
また、可変表示装置3の下方で、さらに第1始動入賞口52の下方に、大入賞口61を有する特別変動入賞装置(第3入賞装置)6が設けられている。この特別変動入賞装置6には、いわゆるアタッカとしての構成を有するもので、大入賞口61を開閉する可動扉62が備えられ、通常行われる通常遊技状態では、可動扉62が遊技球を大入賞口61に流入させないように立って閉じた閉状態になり、特図ゲームの結果が各大当たりになって大当たり遊技状態が発生した場合に遊技球が流入し易いように前に略水平に倒れて開いた開状態になる。特別変動入賞装置6は、左打ちしても右打ちしても遊技球が略同様に入賞する位置に設けられている。
特別変動入賞装置6には、その大入賞口61に入賞した遊技球を検知する大入賞球検知センサ63が設けられている。
【0045】
なお、大当たりになった場合には、大当たり遊技状態として、例えば、特別変動入賞装置6が閉状態から開状態になって再び閉状態になる開閉動作としての1ラウンドの動作を、所定ラウンド数だけ行うようになっている。パチンコ遊技機によって異なる場合があるが、例えば、大当たり遊技状態では、所定ラウンド数が15程度になっている。なお、ラウンド数は、大当たりの種類によって異なる場合がある。大当たり遊技状態における特別変動入賞装置6の制御は、当たり状態制御手段としての主制御装置14が行う。なお、後述のように羽変動入賞装置8に入賞した遊技球が一般領域84ではなく、特別領域85を通過した場合も、上述の大当たり遊技状態が発生する。
【0046】
可変表示装置3の右上部には、スルーチャッカとしての普通図柄(普図)始動口(第3始動装置)7が設けられている。また、普図始動口7に対応して、普図始動口7内を通過した遊技球を検知する通過球検知センサ71が設けられ、通過球検知センサ71は遊技球を検知すると主制御装置14に通過球検知信号を出力する。当該通過球検知信号の入力に基づいて主制御装置14は、普通変動入賞装置5を開状態とする当たりと、普通変動入賞装置5を閉状態のままとするはずれとを抽選する普図抽選を行う。なお、この普図抽選の結果は、普図の変動表示ゲーム(以下、普図ゲーム)を普図表示器4cで表示することにより報知される。上述の普図表示器4cの上には、表示ランプ群4dが設けられており、特図保留数と同様に求められる普図保留数が表示される。普図始動口7は、遊技球の発射勢を強めて右打ちした方が左打ちするより遊技球が入賞し易い位置に配置されている。
【0047】
上述のように、普図ゲームが当たりになった場合に、普通変動入賞装置5が開放し、普通変動入賞装置5(第2始動入賞口54)への遊技球の入賞率が高まり、羽図ゲームの開始機会が増加するようになっている。また、遊技領域2の左側部には、複数の一般入賞口10,10が設けられている。また、一般入賞口10,10に対応して、一般入賞口10,10に入賞した遊技球を検知する一般入賞球検知センサ11がそれぞれ設けられている。
【0048】
また、可変表示装置3の右側部には、羽変動入賞装置8が設けられている。羽変動入賞装置8には、遊技球が入賞可能な入賞開口部82と、当該入賞開口部82を開閉する上述の羽部材81と、遊技球が入賞する内部空間に設けられている特定領域85と一般領域64と備えている。上述の第2始動入賞口54に遊技球が入賞して第3当たりまたは第4当たりになると、羽変動入賞装置8の羽部材81が開放されて遊技球が入賞可能になる。羽変動入賞装置8の入賞開口部82は、遊技球の発射勢を強めて遊技球を右打ちした場合の方が左打ちするより遊技球が入賞し易い位置に配置されている。
【0049】
羽変動入賞装置8の内部には、羽変動入賞装置8に入賞した遊技球を検知する羽入賞球検知センサ86(図2参照)が設けられている。また、羽変動入賞装置8の内部には、上述の特定領域85と、一般領域84とが設けられ、羽変動入賞装置8に入賞した遊技球は、特定領域85もしくは一般領域84を通過するように設定されている。また、特定領域85には、特定領域通過球検知センサ87が設けられ、特定領域85を通過する遊技球を検知するようになっている。特定領域85を遊技球が通過した場合には、上述の特別変動入賞装置6を開閉する上述の大当たり遊技状態が発生するようになっている。なお、特図ゲームで第1当たりまたは第2当たりになった際に発生する大当たり遊技状態と、上述のように特定領域85を遊技球が通過した際に発生する大当り遊技状態は、同様のものであるが、ラウンド数を異なるものとしてもよい。
【0050】
また、羽変動入賞装置8内部には、入賞した遊技球を特定領域85と一般領域84のいずれかに振り分ける振分装置87が設けられており、振分装置87によって遊技球が特定領域85と一般領域84のいずれかに振り分けられるようになっている。この振分装置87により、入賞した遊技球が特定領域85を通過する振分率が設定可能になっており、予め設定された振分率で遊技球が特定領域に振り分けられるように振分装置87が制御されている。ここでは、振分装置87の振分部材88が特定領域85に遊技球を振り分ける位置にいる時間と、一般領域に振り分ける位置にいる時間とを調整することによって、振分率を設定するようになっている。振分部材88は、領域振分ソレノイド89により駆動される。なお、振分装置87としては、周知の様々なものを用いることが可能であり、振分率の設定方法も、採用された振分装置に基いて決定される。
【0051】
羽変動入賞装置8の遊技球が入賞する位置になる入賞開口部82および開状態の羽部材81の位置の近傍に保留装置9が設けられている。この保留装置9は、遊技領域2を流下する遊技球が流入した場合にこれを保持する受け皿部91を備えている。なお、受け皿部91は、遊技球より反発力が弱い低反発部材からなり、遊技球が流入した場合に、遊技球が跳ねるのを抑制して、遊技球が保持される可能性を高めているが、構造的に遊技球が跳ねづらいものとしてもよい。
【0052】
この受け皿部91は、例えば、半円状の構造を有し、上側が開放された状態で流下した遊技球を受ける構造になっている。また、受け皿部91は、所定数の遊技球として一個の遊技球が保持可能になっている。さらに、受け皿部91は、遊技球の発射勢を強めて羽変動入賞装置8の入賞開口部82を狙って遊技球を発射した際に、遊技球が流入し易い配置になっている。また、受け皿部91は右に傾くように回転自在で、かつ、保留放出ソレノイド93により、受け皿部91は開口を上に向けて遊技球を受ける受け位置と、開口を右下に傾けて遊技球を放出する放出位置との間で変動するように駆動可能になっている。なお、保留放出ソレノイド93は、主制御装置への押しボタンスイッチ30からの操作入力信号により作動するようになっている。例えば、ボタンスイッチ30を押すと、保留放出ソレノイド93により、受け皿部91が上述の受位置から放出位置に移動し、放出位置で停止した後に再び受位置に戻るようになっている。ボタンスイッチ30は、パチンコ遊技機の遊技盤1を支持する前面枠等(例えば、前面枠のガラス扉の下側に設けられた上皿の前部等)に設けられている。
【0053】
また、保留装置9は、保留した遊技球を上述のように受け皿部91の開口を右下に向けて回転させることにより放出するようになっている。この保留装置9の右下で、羽変動入賞装置8の遊技球が流入する位置から保留装置9より離れた位置に保留装置9から放出された遊技球が高い確率で入賞する所定の入賞口96が遊技盤1に設けられている。この入賞口96には、入賞口96に入賞した遊技球を検知する保留入賞球検知センサ97が設けられている。
【0054】
また、特別変動入賞装置6の下方の遊技領域2の最下端部には、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域2の外部になる遊技盤1裏面に排出させるアウト口12が設けられている。また、遊技盤1の前面には、遊技球の流下方向を規制するとともに流下方向を転換する遊技釘13(一部だけ図示)や風車(図示略)等の流下規制転換部材が設けられている。
【0055】
次に、この例のパチンコ遊技機の制御系を図2に示されるブロック図を参照して説明する。パチンコ遊技機の制御系は、大きく分けて主制御部(主基板の制御装置としての主制御手段)15と、副制御部(サブ基板側の制御装置としての副制御手段)16と、これら主制御部15および副制御部16に電力を供給する電源供給装置とから構成されている。主制御部15には、例えば、遊技機用のワンチップマイコン等で構成される主制御装置14が備えられ、主制御装置14には、プログラムを実行するCPU14a、プログラムやプログラムで使用するデータを記憶したROM14bや、プログラムに基づいて発生したデータやROM14bから読み出した各種データ等を記憶するRAM14cや周波数発生回路部14d等が備えられている。
【0056】
主制御装置14(CPU14a)には、パチンコ遊技機に設けられた各種センサからの信号が入力可能になっており、第1始動入賞球検知センサ53a、第2始動入賞球検知センサ53b、大入賞球検知センサ63、羽入賞球検知センサ86、特定領域通過球検知センサ87、通過球検知センサ71、保留入賞球検知センサ97、一般入賞球検知センサ11が接続されるとともに、遊技球の入賞に対応して賞球を払出す遊技球払出装置17から払い出された賞球を検知する遊技球払出検知センサ18、パチンコ遊技機におけるエラーを検知するエラー検知センサ19、保留装置9を操作する操作手段としてのボタンスイッチ30等が接続されている。
【0057】
また、主制御装置14は、パチンコ遊技機の各種装置を動作させるため各種信号を出力するようになっている。例えば、主制御装置14には、遊技店において設置された各遊技機のデータを集計管理するための集中管理装置20が主制御装置14からデータを入力可能に接続されている。また、主制御装置14には、サブ制御装置(副制御手段)としての払出制御装置22、図柄制御装置23、ランプ制御装置24、音声制御装置25が接続され、これらサブ制御装置に対してコマンド(制御指令)を出力可能とされている。
【0058】
なお、ここで、払出制御装置22は実質的に賞球を払出すためのパチンコ遊技機における遊技の主要な制御を行うことから主制御部15に含まれるものとし、遊技の演出に係わる図柄制御装置23、ランプ制御装置24、音声制御装置25は副制御部16に含まれるものになっている。
【0059】
また、主制御装置14には、特図表示器4a、羽図表示器4b、普図表示器4cが接続され、主制御装置14が特図表示器4aの特図の表示制御、羽図表示器4bの羽図の表示制御、普図表示器4cの普図の表示制御を行う。
また、主制御装置14には、上述の普通変動入賞装置5の可動片51,51を駆動する普通変動ソレノイド55、特別変動入賞装置6の可動扉62を駆動する特別変動ソレノイド64、羽変動入賞装置8の羽部材81を駆動する羽変動ソレノイド83がそれぞれ接続され、これらソレノイド55,64、83が主制御装置からの駆動信号で制御される。
また、主制御装置には、上述の振分装置87の振分部材88を駆動する領域振分ソレノイド89と、保留装置9の受け皿部91を駆動する保留放出ソレノイド93がそれぞれ接続され、これらソレノイド89,93が主制御装置からの駆動信号で制御される。
【0060】
また、払出制御装置22には、払出制御装置22により制御されて賞球および貸球を払出す遊技球払出装置17が接続されるとともに、プリペードカード(記録媒体)26のデータを読み込で遊技球の貸出制御を行うためのCRユニット27が球貸信号制御装置28を介して接続されている。払出制御装置22は、主制御装置14からのコマンドに基づいて賞球を払出すとともに、CRユニット27から球貸信号制御装置28を介して入力される球貸信号に基づいて貸球を払出す制御を行う。
【0061】
また、主制御部15には、主制御装置14と直接接続されていないが、遊技球を遊技領域2に発射する打球発射装置(図示略)の発射駆動装置29を制御する発射制御装置29aが設けられ、発射制御装置29aには、遊技球の発射を操作するための回転式操作ハンドル29b、発射停止釦29c、タッチセンサ29dが接続されている。
【0062】
主制御部15の主制御装置14は、パチンコ遊技機における遊技の進行を制御するもので、第1始動入賞球検知センサ53a、第2始動入賞球検知センサ53b、大入賞球検知センサ63、羽入賞球検知センサ86、保留入賞球検知センサ97、一般入賞球検知センサ11から遊技球の検知信号が入力された場合、すなわち、各入賞口に遊技球が入賞した場合に、払出制御装置22にコマンドを出力して、賞球として遊技球の払い出しを行わせる。
【0063】
また、第1ゲーム制御手段としての主制御装置14は、第1始動入賞球検知センサ53aからの始動入賞信号の入力時に、上述の特図保留数の処理を行うとともに、特図保留数が上限未満の場合に、特図ゲームの大当たりまたははずれを決定する抽選処理で用いられる抽選決定情報としての各種乱数(当たり判定乱数、図柄乱数、演出乱数)を取得し、当該乱数をRAM14c(乱数記憶手段の一部)に記憶する。また、特図ゲームの開始時に抽選処理によって、当たり判定乱数に基づいて特図ゲームの大当たり、または、はずれを決定する。なお、大当たりまたははずれの決定では、大当たり判定値が登録された大当たり判定用テーブルを用い、当該テーブルに登録された大当たり判定値が当たり判定乱数と一致する場合に、大当たりとする。なお、大当たり判定値は、当たり判定乱数が取り得る数値範囲の数値になっている。
【0064】
また、図柄乱数に基いて、大当たりの種類を決定する。特図には、はずれの特図と、複数の時短無し大当たり(第1当たり)の特図と、複数の時短有り大当り(第2当たり)の特図があり、大当りの場合に、はずれの特図を除いた大当たりの複数の特図から一つの特図を抽選で決定することにより、時短無し大当たりか、時短有り大当たりかが決定される。なお、時短については後述する。
また、上述の演出乱数により抽選で変動パターンが決定される。変動パターンは、変動表示ゲームの長さ(変動表示ゲームおよび特図ゲームの時間)と、所謂リーチの種類などを決めたものであり、例えば、はずれの場合に、変動パターンを決定することにより、リーチになるか否かや、リーチになる場合にノーマルリーチや、スーパーリーチや、プレミアムリーチなどのリーチの種類を決定する。大当たりの場合には、全てリーチになるので、リーチの種類を決定するものになる。
【0065】
これらの抽選による決定に基いて、主制御装置14の制御により特図ゲームが特図表示器4aに表示され、特図ゲーム終了時にはずれの特図または、上述の当たりの特図のうちの一つの特図が停止表示される。
また、主制御装置14は、可変表示装置3における装飾図柄の変動表示ゲームの表示や結果の報知や演出のために図柄制御装置23やランプ制御装置24や音声制御装置25等にコマンドを出力する。
【0066】
なお、上述の各抽選の契機になる特図ゲーム(変動表示ゲーム)の開始の条件は、前の特図ゲームがはずれで終了した際と、特図ゲームが大当たりになったことにより、または、特定領域85を遊技球が通過することにより、特別変動入賞装置6を開放する大当たり遊技状態になった場合に、この大当たり遊技状態が終了した際とに、特図保留数が1以上になっているか、第1始動入賞信号が入力した場合である。また、時短状態は、時短有り当たりの発生に基いて大当たり遊技状態が発生した場合に、大当たり遊技状態後の遊技状態が時短状態になる。時短無し当たりの場合には、大当たり遊技状態後の状態が時短ではなく通常状態(非時短状態)になる。
【0067】
また、第2ゲーム制御手段としての主制御装置14は、第2始動入賞球検知センサ53bからの始動入賞信号の入力時に、羽始動図柄(羽図)ゲーム(第2ゲーム)の当たり、はずれの抽選で用いられる当たり判定乱数と、当たりの場合に、時短無し当たり(第3当たり)と、時短有り当たり(第4当たり)とを決定する図柄乱数とを取得する。この場合も特図ゲームの場合と同様に当たりまたははずれを決定するとともに、当たりの場合に複数の時短無し当たりになる羽図と、複数の時短有り当たりになる羽図とから一つの羽図を選択して表示する。なお、羽図(羽始動図柄)は、便宜的に付けた名称であり、羽図を特図としてもよい。
【0068】
なお、羽図ゲームにおいては、はずれになる確率が極めて低く、実質的には時短有り当たりまたは時短無し当たりのいずれかが発生する。なお、時短有り当たりの場合には、羽図ゲームで当たりになることにより、羽変動入賞装置8の羽部材81が開放して遊技球が入賞するとともに入賞した遊技球が特定領域85を通過することによって、特別変動入賞装置6を開放する大当たり状態が発生した場合に、大当たり状態が終了した際の遊技状態が時短状態になる。時短無し当たりの場合には、大当たり遊技状態の終了時に時短状態にならず、通常状態になる。また、羽図ゲームが当たりの場合に、時短有り当たりか、時短無し当たりかは、羽図ゲーム終了時に羽図表示器4bに停止表示される羽図が、時短有り当たりの羽図か、時短無し当たりの羽図かで判断することができる。
しかし、この例において、羽図は、従来の特図と同様に分かりづらいものになっており、時短無し当たりの複数の特図の全てを覚えているか、メモして見られる状態の遊技者しか、確実に時短無し当たりの発生を判定することができない。なお、時短無し当たりの羽図と、時短有り当たりの羽図とを区別し易いものとしてもよい。
【0069】
また、主制御装置14は、通過球検知センサ71から遊技球の検知信号が入力した場合に、上述の普図保留数を加算する処理を行うとともに、普図ゲーム(第3ゲーム)の当たり外れを決定する抽選処理で用いられる当たり判定乱数を取得し、普図保留数が上限未満の場合に乱数を記憶する。また、所定の開始条件として、前の普図ゲームのはずれでの終了もしくは当たり後の普通変動入賞装置5の開閉動作の終了で普図ゲームを開始するとともに普図保留数を1減算する。この際に当たり判定乱数による抽選処理によって、普図ゲームの当たり外れを決定する。
【0070】
また、主制御装置14は、第1入賞装置制御手段として、普通変動入賞装置5を備える第2始動入賞口54に遊技球が入賞することにより行われる上述の羽図ゲームが当たり(第3当たり、または、第4当たり)になったことに基いて、羽変動入賞装置8の羽部材81を駆動する羽変動ソレノイド83を制御して羽変動入賞装置8を閉状態から開状態とする制御を行う。
【0071】
また、主制御装置14は、第2入賞装置制御手段として、普図ゲームが当たり(第5当たり)になった場合には、普通変動入賞装置(第2入賞装置)5の可動片51,51を駆動する普通変動ソレノイド55を制御して普通変動入賞装置5を閉状態から開状態とする制御を行う。また、主制御装置14は、第3入賞装置制御手段として、特図ゲームが大当たり(第1当たり、第2当たり)になった場合と、特定領域85を遊技球が通過した場合には、特別変動入賞装置(第3入賞装置)6の可動扉62を開閉する特別変動ソレノイド64を制御して所定の条件に基づいて特別変動入賞装置6を閉状態から開状態に変動させて上述の大当たり遊技状態を発生させる制御を行う。
【0072】
また、主制御装置14は、第3ゲーム状態制御手段として、時短状態と、通常状態とで、普図ゲームの条件を変更する。すなわち、通常状態では、普図ゲームのゲーム時間が長く、普図ゲームの当たり確率が低くされている。それに対して電サポ状態としての時短状態では、普図ゲームのゲーム時間が通常状態より短く、普図ゲームの当たり確率が通常状態より高くされている。これにより通常状態に比較して時短状態では、時間当たりの普図ゲームが当たりになる確率が高くされている。
【0073】
また、第2入賞装置制御手段としての主制御装置14は、普図ゲームが当たりになって普通変動入賞装置が開放する場合に、通常状態より時短状態の方が開放時間を長くしている。また、普図ゲームの一回の当たりに対する普通変動入賞装置の開放回数を、通常状態より時短状態の方が大きくされている。
また、時短状態は、特図ゲームと、羽図ゲームとの実行回数の和が例えば100になった場合に終了して通常状態になる。
【0074】
また、副制御部16の変動表示ゲーム表示制御手段としての図柄制御装置23は、可変表示装置3を制御するものであり、可変表示装置3がビデオディスプレイプロセッサ35を介して接続されている。上述の主制御装置14により決定された各大当たりおよびはずれと、変動パターンとしての変動表示時間等に基づいて、図柄制御装置23により装飾図柄の変動表示ゲームの可変表示装置3における表示が制御される。また、図柄制御装置23は、主制御装置14において、算出される特図保留数に基づいて、可変表示装置3の特図保留数表示領域31における特図保留数のマークの表示を制御する。
【0075】
副制御部16のランプ制御装置24は、遊技盤1の盤面に設けられた盤面関係の電飾(LED等の光源)24aと、パチンコ遊技機の遊技盤1を支持する前面枠に設けられ、遊技盤1の前面を覆うガラス扉関係の電飾(LED等の光源)24bとが接続され、LEDやランプ等による演出を制御する。
【0076】
音声制御装置25には、サウンドプロセッサ、アンプ、スピーカ等からなる音声発生装置25aが接続されており、音声制御装置25は、演出用の効果音、音声、音楽等の出力を制御する。
【0077】
このような遊技機においては、上述の従来の場合と同様に、時短状態ではなく通常状態で遊技を行う場合に、遊技者は遊技球を左打ちして第1始動入賞口52を狙う。これにより、遊技球が第1始動入賞口52に入賞することによって、特図表示器4aで特図ゲームが行われるとともに、可変表示装置3で変動表示ゲームが行われる。この変動表示ゲームで時短有り当たり(第2当たり)が発生すると、大当り遊技状態後が時短状態になる。
【0078】
時短状態になると、通常状態に比較して、普図始動口7を遊技球が通過した際に、普図ゲームが高い確率で当たりになって、普通変動入賞装置5が開状態になるとともに、普通変動入賞装置5の開放時間が長くなる。これにより、普通変動入賞装置5の第2始動入賞口54に遊技球が多く入賞し、それに基いて羽図ゲームが当たりになって、羽変動入賞装置8の羽部材81が開放し、羽変動入賞装置8に比較的多くの遊技球が入賞可能になる。それに伴って、遊技球が特定領域85を通過する可能性が高くなり、遊技球が特定領域85を通過することにより、特別変動入賞装置6を開放する大当たり遊技状態が発生する。
【0079】
大当たり遊技状態後は、上述のように羽図ゲームが時短無し当たりなら非時短状態になり、羽図ゲームが時短当たりならば時短状態になる。時短状態が継続した場合には、遊技者は引き続き右打ちをして、上述のように普図始動口7に遊技球を通過させ、最終的に上述のように遊技球が特定領域85を通過して、再び、大当たり遊技状態が短期間のうちに発生する。
非時短状態の場合には、遊技者は、左打ちに切り替えて、第1始動入賞口52に遊技球を入賞させ、再び、特図ゲームで時短有り当たりを発生させようとすることになる。
したがって、羽図ゲームで時短有り当たりを発生させることによって、短期間で大当たり遊技状態を発生可能な遊技者に有利な状態が継続することになるが、羽図ゲームで時短無し当たりを発生させると、遊技者に有利な状態が終了してしまうことになる。
【0080】
ここで、時短状態の場合に、第2始動入賞口54に遊技球が入賞することに基いて行われる羽図ゲームの抽選で、時短無し当たりになっても、時短無し当たりに基く羽変動入賞装置8の開放時に、遊技球が入賞するとともに特定領域85を通過しなければ、大当たり遊技状態が発生せず、時短状態が終了せずに、そのまま時短状態が保持される。ここで、時短有り当たりか、時短無し当たりかは、羽図表示器4bに表示されるので、時短無し当たりの羽図が表示された場合に、遊技球の発射を停止して、羽変動入賞装置9への遊技球の入賞を阻止することが考えられる。しかし、羽図表示器4bに時短無し当たりが表示されてから羽変動入賞装置8が開放するまでの時間は短く、羽図表示器4bに時短無し当たりが表示された際に、遊技球の発射を停止しても、その前に発射された遊技球が開放した羽変動入賞装置8に入賞可能なタイミングになっている可能性が高い。
【0081】
したがって、羽図表示器4bに時短無し当たりが表示されてから遊技球の発射を直ぐに停止しても、時短無し当たりによる大当たり遊技状態の発生を阻止できない。
それに対して、この実施形態では、保留装置9の状態の変化、すなわち、受け位置の受け皿部91に遊技球が保持された状態、受け位置の受け皿部91に遊技球が保持されていない状態、受け皿部91が受け位置からずれて放出位置または放出位置に近づいた位置にある状態により、開状態の羽変動入賞装置8への遊技球の入賞率が変化するようになっている。
【0082】
たとえば、図3に示すように、受け位置の受け皿部91に遊技球が保持されていない状態では、右打ちされた遊技球が、主に、受け皿部91に向かって流下し、受け皿部91に保持され易い状態になっていることから、開状態の羽変動入賞装置8に遊技球が入賞せずに、受け皿部91に遊技球が保持される可能が高い。また、遊技球が受け皿部91に保持されなくても、羽変動入賞装置8の開状態の羽部材81や、遊技釘13等により、羽変動入賞装置8への遊技球の入賞率が低くされている。これらのことから、受け位置の受け皿部に遊技球が保持されていない場合に、開状態の羽変動入賞装置8への遊技球の入賞率は低くなる。また、受け皿部91は、上述のように低反発部材からなり、受け皿部91に衝突した遊技球が跳ねて、開状態の羽変動入賞装置8に入賞する可能性が低い。
【0083】
ここで、図4に示すように、右打ちされた遊技球が受け皿部91に保持されていても、ボタンスイッチ30を押すことにより、受け皿部91を回転させて、保留された遊技球を所定の入賞口96に向けて放出することができる。この際に放出された遊技球は、高い確率で入賞口96に入賞する。すなわち、保留装置9は、入賞口96へ入賞させるための遊技球を保留するものである。したがって、羽図表示器4bに時短無し当たりの羽図が表示された場合に、ボタンスイッチ30を押して、遊技球を保留装置9から排出することにより、開状態の羽変動入賞装置8への遊技球の入賞率を低減することができる。
【0084】
また、図5に示すように受け位置の受け皿部91に遊技球を保持したままの状態では、右打ちされた遊技球が高い確率で受け皿部91に保持された反発性の高い遊技球に衝突し、跳ねることになる。この際に、跳ねた遊技球が遊技釘13等を避けて開状態の羽変動入賞装置8の入賞開口部82に向かう可能性が高くなるように受け皿部91の形状や配置が設定されるとともに、それに対応して遊技釘13の位置も保留された遊技球に当たって跳ねた遊技球が羽変動入賞装置8に入賞し易くなるように設定されている。これにより、受け位置の受け皿部91に遊技球が保留された状態では、開状態の羽変動入賞装置へ遊技球の入賞率が高くなってしまう。
【0085】
したがって、受け位置の受け皿部91に遊技球が保留された状態で、羽図ゲームで、時短無し当たりが発生した場合に、保留された遊技球を上述のように放出しない場合に、高い確率で開状態の羽変動入賞装置8に遊技球が入賞してしまい、時短無し当たりに基く大当たり遊技状態が発生して、時短状態が終了してしまう。
【0086】
また、図6に示すように、ボタンスイッチ30を押して、保留装置9の受け皿部91が放出位置に配置されて保持した遊技球を入賞口96に放出した後に受け位置に復帰する前に遊技球が流下してきた場合に、受け皿部91が低反発性なので、遊技球が跳ねづに、羽変動入賞装置8へ入賞するのが抑制される。また、受け皿部91は、その底部中央が回転中心になっており、受け位置の受け皿部91より、放出位置の受け皿部91の方が低くなっている。これにより、放出位置から戻る前の受け皿部91に遊技球が当たる場合にその位置が低くなり、遊技球の羽変動入賞装置8への遊技球の入賞率が低下する。
【0087】
すなわち、受け位置で遊技球を保持した状態の受け皿部91は、羽変動入賞装置8への遊技球の入賞率を高め、受け位置で遊技球を保持していない受け皿部91および放出位置の受け皿部91は、羽変動入賞装置8への遊技球の入賞率を低下させる。
したがって、保留装置9に遊技球が保持されている状態で、普通変動入賞装置5の第2始動入賞口54に遊技球が入賞した際に、羽図表示器4bを見ては時短無し当たりの特図が表示される場合には、ボタンスイッチ30を押して保留装置9の受け皿部91から遊技球を放出することによって、開状態の羽変動入賞装置8への遊技球の入賞率を低下させることによって、時短無し当たりに基く非時短状態の発生を抑制することができる。
【0088】
また、保留装置9に遊技球が保持されている状態で、普通変動入賞装置5の第2始動入賞口54に遊技球が入賞した際に、羽図表示器4bを見ては時短有り当たりの特図が表示される場合には、ボタンスイッチ30を押すことなく保留装置9の受け皿部91を受け位置に保持し、保持された遊技球により開状態の羽変動入賞装置8への遊技球の入賞率を高めることによって、時短有り当たりに基く時短状態の発生を促すことができる。
【0089】
これにより、ボタンスイッチ30により保留装置9を操作した場合には、時短の継続率を高めることができる。したがって、羽図ゲームにおける時短有り当たりの抽選確率を、時短無し当たりの抽選確率に対して高くすることにより、これらの抽選確率に基く時短の継続率を高めなくても、ボタンスイッチ30による保留装置9の操作で、実質的な時短の継続率を高めることができる。したがって、抽選確率に基く時短の継続率を低く設定することができる。
【0090】
また、時短の継続率が低くても、遊技者は、ボタンスイッチ30の保留装置9の操作により時短の継続率が高められることに興趣を持つことから、遊技者の興味を引き付けるために、時短の継続率を高める必要がなく、時短の継続率を高めることにより、遊技者の獲得可能な遊技球が多くなりすぎてしまうのを防止できる。
【0091】
この実施形態では、遊技者が表示手段としての羽図表示器4bに表示される羽図が時短無し当たりの羽図か否かを判定して、当該遊技者がボタンスイッチ3を操作するか否かを決定することになるが、遊技者によっては、羽図から時短無し当たりか否かを判定することが困難であり、このような遊技者にとっては、この実施形態のパチンコ遊技機が不利なものになり、羽図から時短無し当たりが判定可能な遊技者との間で獲得可能な遊技球の数に大きな格差が生じる虞がある。
【0092】
そこで、羽図ゲームで時短無し当たりが発生した場合に、少なくとも羽図表示装置4bに時短無し当たりの羽図が表示されるタイミングもしくはそれより少し早いタイミングで、例えば、可変表示装置3にボタンスイッチ30を押すように指示する表示を行うことによって、時短無し当たりの発生を報知することが考えられる。
【0093】
この場合に、第2ゲーム制御手段としての主制御装置14により、普図始動口7を遊技球が通過することによって開始されえる羽図ゲームが時短無し当たりになった場合に、主制御装置14は、副制御部16の図柄制御装置23に羽図ゲームで時短無し当たりが発生したことを示すコマンドを出力する。
前記コマンドが入力された図柄制御装置23では、可変表示装置3において、直ぐにボタンスイッチ30を押すように指示する表示を行う。可変表示装置3に報知されてボタンスイッチ30を押した際に、既に、遊技球が開状態の羽変動入賞装置8に入賞してしまう場合には、例えば、上述のコマンドの出力から羽変動入賞装置8の開放までの時間を長くすることが好ましい。
【0094】
上述の時短無し当たりの発生が報知されることによって、羽図表示器4bに表示された羽図が時短無し当たりか否かを判定しなくとも、時短無し当たり発生時に、ボタンスイッチ30で保留装置9を操作して、羽変動入賞装置8への遊技球の入賞を阻止することによって、特定領域85を遊技球が通過するのを阻止できる。これにより、表示される羽図から時短無し当たりか否かを判定できない遊技者でも、多くの遊技球を獲得可能になり、時短無し当たりを羽図から判定できる遊技者との間の大きな較差を解消することができる。なお、時短無し当たりの報知は、全ての時短無し当たりで行う必要はなく、時短無し当たりになった場合に、例えば、抽選により報知するか否かを決定するものとしてもよい。
【0095】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述および図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【符号の説明】
【0096】
1 遊技盤
3 可変表示装置(報知手段)
4a 特図表示器(表示手段)
4b 羽図表示器(表示手段)
4c 普図表示器(表示手段)
5 普通変動入賞装置(第2入賞装置)
52 第1始動入賞口(第1始動装置)
54 第2始動入賞口(第2始動装置)
6 特別変動入賞装置(第3入賞装置)
7 普図始動口(第3始動装置)
8 羽変動入賞装置(第1入賞装置)
84 一般領域
85 特定領域
9 保留装置
14 主制御装置(第1ゲーム制御手段、第2ゲーム制御手段、第3ゲーム制御手段、第1入賞装置制御手段、第2入賞装置制御手段、第3入賞装置制御手段、第3ゲーム状態制御手段)
23 図柄制御手段(報知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射された遊技球が流下する遊技領域を備える遊技盤と、
前記遊技盤に設けられ、遊技球が入賞可能な第1始動装置と、
前記遊技盤に設けられ、遊技球が入賞可能な第2始動装置と、
前記遊技盤に設けられ、遊技球が流入可能な第3始動装置と、
前記遊技盤に設けられ、遊技球が入賞し易い開状態と、遊技球が入賞できない閉状態との間で変動し、かつ、遊技球が入賞する内部空間に、特別領域と、一般領域とを備えるとともに、これら特別領域と一般領域とのうちのいずれか一方の領域を入賞した遊技球が通過するように設定されている第1入賞装置と、
前記第2始動装置に設けられ、当該第2始動装置に遊技球が入賞し易い開状態と、遊技球が入賞し難いか入賞できない閉状態との間で変動する第2入賞装置と、
前記遊技盤に設けられ、遊技球が入賞し易い開状態と、遊技球が入賞できない閉状態との間で変動する第3入賞装置と、
前記第1始動装置に遊技球が入賞することに基いて、第1当たり、第2当たり、または、はずれが抽選により決定される第1ゲームを制御する第1ゲーム制御手段と、
前記第2始動装置に遊技球が入賞することに基いて少なくとも第3当たり、または、第4当たりが抽選により決定される第2ゲームを制御する第2ゲーム制御手段と、
前記第3始動装置に遊技球が流入することに基いて少なくとも第5当たり、または、はずれが抽選により決定される第3ゲームを制御する第3ゲーム制御手段と、
前記第1ゲーム、前記第2ゲームおよび第3ゲームの抽選結果を示す表示を行う表示手段と、
前記第2ゲームが前記第3当たりまたは前記第4当たりになった場合に、前記第1入賞装置を開状態とする第1入賞装置制御手段と、
前記第3ゲームが前記第5当たりになった場合に、前記第2入賞装置を開状態とする第2入賞装置制御手段と、
前記第1ゲームが前記第1当たりまたは前記第2当たりになった場合と、前記第1入賞装置に入賞した遊技球が前記特定領域を通過した場合に、前記第3入賞装置が複数回開閉する当たり状態を発生させる第3入賞装置制御手段と、
第1ゲームで前記第1当たりになることにより発生する前記当たり状態が終了する際と、前記第2ゲームで前記第3当たりになって前記第1入賞装置が開放するとともに当該第1入賞装置に遊技球が入賞して前記特定領域を通過することにより発生する前記当たり状態が終了する際に、前記第3ゲームが単位時間内に第5当たりになる確率が低く、前記第2入賞装置が開状態になる機会が少ない通常状態とし、
かつ、前記第1ゲームで前記第2当たりになることにより発生する前記当たり状態が終了する際と、前記第2ゲームで前記第4当たりになって前記第1入賞装置が開放するとともに当該第1入賞装置に遊技球が入賞して前記特定領域を通過することにより発生する前記当たり状態が終了する際に、前記第3ゲームが単位時間内に第5当たりになる確率が前記通常状態より高く、前記第2入賞装置が開状態になる機会が前記通常状態より多い有利状態とする第3ゲーム状態制御手段とを備える遊技機において、
前記遊技盤の前記第1入賞装置の遊技球が入賞する位置の近傍に設けられ、前記遊技領域を流下する遊技球が流入した場合に、流入した遊技球を1以上の所定数を上限として保持するとともに、保持した遊技球を前記第1入賞装置と離れた位置に配置された所定の入賞口に向けて放出可能な保留装置と、
遊技者の操作により、前記保留装置から所定の前記入賞口に向けて保持している遊技球を放出させる操作手段とを備えていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記所定数の遊技球を保持した前記保留装置に向って流下した遊技球が、前記保留装置に保持されることなく、前記保留装置に保持されている遊技球に接触して前記第1入賞装置に入賞可能な方向に誘導されるように、前記保留装置が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記第2ゲームで前記第3当たりが発生することにより、前記第1入賞装置が閉状態から開状態に移行する直前に、遊技者に対して前記操作手段を操作するように報知する報知手段を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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