説明

遊技機

【課題】遊技者の視点が固定されにくい効果的な演出を用いて、遊技者を飽きさせない興趣性の高い遊技機を提供すること。
【解決手段】遊技盤に固定され、第1表示画面を有する第1画像表示器と、透過型の第2表示画面を有する第2画像表示器と、遊技盤に対して第2画像表示器を移動させる駆動手段と、第1表示画面に表示された画像の少なくとも一部をマスクするマスク画像を第2表示画面に表示させる表示制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤に対して移動可能に配置された画像表示器を備える遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機は、始動口への遊技球の入賞を契機として大当たり抽選を実行すると共に、特別図柄を変動表示してから大当たり抽選の結果を示す特別図柄を停止表示し、その停止表示された特別図柄が所定の当たり図柄であった場合に、大入賞口が開放されて遊技者が大当たり遊技を楽しめるように構成されている。この種のパチンコ遊技機としては、例えば特許文献1に開示されたパチンコ遊技機が挙げられる。
【0003】
特許文献1に記載のパチンコ遊技機は、装飾図柄等の遊技情報を表示する主表示部と、その他の遊技情報や遊技ガイド、テレビ映像、CM等を表示する副表示部とからなる画像表示器を備えている。この画像表示器は、遊技者が首を曲げることなく主表示部及び副表示部を見ることができるように、遊技盤の中央部分に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−158638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のパチンコ遊技機では、遊技者が首を曲げることなく副表示部の遊技機の情報等を正視できる。しかし、画像表示器の周辺に配置された装飾役物が作動していないときや大当たり抽選に落選し続けたとき等には、遊技者の視点が固定され易く遊技が単調になって、却って遊技者を疲れさせてしまうおそれがある。
【0006】
それ故に、本発明の目的は、遊技者の視点が固定されにくく遊技者の注意を引きつける効果的な動作を用いて上記問題を解決する遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、本欄における括弧内の参照符号や補足説明等は、本発明の理解を助けるために後述する実施形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0008】
遊技者によって遊技される、遊技盤(2)を有する遊技機(1)であって、前記遊技盤に固定され、第1表示画面(50)を有する第1画像表示器(5)と、透過型の第2表示画面(60)を有する第2画像表示器(6)と、前記遊技盤に対して前記第2画像表示器を移動させる駆動手段(151、29、30)と、前記第1表示画面に表示された画像の少なくとも一部をマスクするマスク画像(図4参照)を前記第2表示画面に表示させる表示制御手段(142)とを備える。
【0009】
また、前記第2表示画面の位置を検出する検出手段(131)と、前記検出手段によって検出された前記第2表示画面の位置が所定の位置であるか否かを判定する位置判定手段(131;図16のS22)とを備え、前記駆動手段は、前記第1表示画面に特定の演出(マスク演出対象の装飾図柄変動演出等)が表示された場合に、前記所定の位置に前記第2表示画面が位置するように前記第2画像表示器を移動させ、前記表示制御手段は、前記所定の位置に前記第2表示画面が位置する期間の少なくとも一部の期間に、前記マスク画像を前記第2表示画面に表示させてもよい。
【0010】
また、前記マスク画像によってマスクされる前記第1表示画面に表示された画像の一部は、所定のオブジェクト(装飾図柄やキャラクタ等)の画像を含んでもよい。
【0011】
また、前記マスク画像は、マスクした前記第1表示画面の画像を不完全に隠す画像であってもよい(図4参照)。
【0012】
また、前記マスク画像は、マスクした前記第1表示画面の画像を完全に隠す画像であってもよい(図22参照)。
【0013】
また、前記マスク画像は、マスクした前記第1表示画面の画像を透過する程度を変化させて、当該マスクした前記第1表示画面の画像が前記遊技者に見える程度を変化させてもよい。
【0014】
また、前記表示制御手段は、前記第1表示画面に表示される画像であるメイン画像をフレームバッファ(1426A、1426B)に描画すると共に、前記第2表示画面に表示されるマスク画像を複数の領域に分割して得られる分割画像として前記フレームバッファの空き領域に描画する描画手段(1424)と、前記メイン画像を前記フレームバッファから読み出して前記第1画像表示器に出力すると共に、前記分割画像を当該フレームバッファから読み出して前記マスク画像として前記第2画像表示器に出力する出力手段(1427)とを含んでもよい。
【0015】
また、前記空き領域のサイズ及び前記マスク画像のサイズに基づいて、前記分割画像のサイズ、及び当該マスク画像を構成する前記分割画像の数を示す分割数を算出する算出手段(141)を備え、前記描画手段は、前記算出手段によって算出された分割画像のサイズ及び分割数の画像を前記分割画像として前記空き領域に描画してもよい。
【0016】
また、前記空き領域のサイズ及び前記マスク画像のサイズに基づいて、当該マスク画像を前記空き領域に描画するために分割が必要か否かを判定する分割判定手段(141)を備え、前記描画手段は、前記分割判定手段によって分割が必要と判定された場合に前記マスク画像を前記分割画像として前記空き領域に描画し、前記分割判定手段によって分割が不要と判定された場合には前記マスク画像を分割することなく前記空き領域に描画し、前記出力手段は、前記第2画像表示器に対して、前記分割画像を前記フレームバッファから読み出して前記マスク画像として出力する処理、又は前記マスク画像を前記フレームバッファから読み出して出力する処理を行ってもよい。
【0017】
前記第1画像表示器(5)は、前記第2表示画面(50)を構成する各発光部(52)のそれぞれに近接配置された複数の光センサ(56)を備え、前記検出手段(131)は、前記光センサ(56)による検知結果に基づいて、前記第2表示画面(60)の位置を検出してもよい。
【0018】
前記第1画像表示器(5)は、液晶ディスプレイであり、前記第2画像表示器(6)は、マスク画像を単色表示する透明ELディスプレイであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、移動する第2画像表示器の第2表示画面にマスク画像が表示されるという遊技者の注意を引きつける効果的な動作が行われるので、遊技者はマスク画像によってマスクされる部分に必然的に注目することとなる。このことから、本発明によれば、いずれの部分がマスクされるのかを遊技者が視認し易く、また、遊技者の視線が固定されることを防止した遊技が単調にならない遊技機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】パチンコ遊技機1の概略正面図
【図2】パチンコ遊技機1の一部を示す概略平面図
【図3】図1における表示器4の拡大図
【図4】EL表示器6のEL画面60に表示されるマスク画像を例示する図
【図5】液晶画面50の概略構成を示す図
【図6】EL画面60の位置検出について説明するための図
【図7】駆動機構10の構成を示す斜視図
【図8】駆動機構10の分解斜視図
【図9】EL表示器6の拡大斜視図
【図10】パチンコ遊技機1の制御装置の構成の一例を示すブロック図
【図11】画像音響制御部140の構成の一例を示すブロック図
【図12】VRAM_FB1426の構成について説明するための図
【図13】画像音響制御部140のCPU141によって実行される設定処理の一例を示すフローチャート
【図14】メイン画像サイズ、サブ画像サイズ、フレームバッファサイズ、及び空き領域のサイズについて説明するための図
【図15】画像音響制御部140のCPU141によって実行される設定処理について説明するための図
【図16】演出制御部130のCPU131によって実行されるメイン処理の一例を示すフローチャート
【図17】VDP142によって実行される2画面表示のための描画処理の一例を示すフローチャート
【図18】分割数SNが「0」に設定されている場合にVDP142によって行われる2画面表示のための描画処理について説明するための図
【図19】分割数SNが「4」に設定されている場合にVDP142によって行われる2画面表示のための描画処理について説明するための図
【図20】分割画像の出力処理について説明するための図
【図21】駆動機構10の変形例について説明するための図
【図22】マスク画像の他の例について説明するための図
【図23】マスク画像の他の例について説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の遊技機の一実施形態に係るパチンコ遊技機1について説明する。
【0022】
[パチンコ遊技機1の概略構成]
まず、パチンコ遊技機1の概略構成について説明する。図1は、パチンコ遊技機1の概略正面図である。図1に示されるように、パチンコ遊技機1は、遊技球が打ち出される遊技盤2と、遊技盤2を囲む枠部材3とを備えている。枠部材3は、遊技盤2の表面側(図1の紙面手前側)に遊技盤2と所定の間隔を隔てて平行に配置された透明なガラス板(不図示)を支持する部材であり、遊技盤2に対して蝶番(不図示)を介して開閉可能に構成されると共に、遊技盤2に対して着脱可能に構成されている。
【0023】
枠部材3に支持されたガラス板と遊技盤2との間には、遊技球が移動する遊技領域20が形成されている。遊技者がハンドル31を握ってレバー32を時計回りに回転させると、ハンドル31の回転角度に応じた打球力で不図示の発射装置から遊技球が発射される。図には示されていないが、遊技盤2には、発射装置から発射された遊技球を遊技領域20へ案内するガイド部材が設けられており、遊技球は、このガイド部材によって遊技領域20の上部位置へ案内される。遊技球は、遊技領域20に配置された不図示の遊技クギや風車等に接触することでその移動方向を変化させながら、遊技盤2の表面に沿って落下する。
【0024】
遊技領域20には、入賞や抽選に関する役物として、第1始動口21、第2始動口22、大入賞口23、普通入賞口24、及びゲート25が設けられている。また、遊技領域20における大入賞口23の下方には、始動口21,22、又は入賞口23,24に入らなかった遊技球を遊技領域20の外へ排出する排出口26が設けられている。
【0025】
第1始動口21及び第2始動口22は、後述する液晶表示器5の下方に設けられている。第1始動口21及び第2始動口22は、第1始動口21を第2始動口22の上側として所定の間隔を隔てて上下に並んで配置されている。パチンコ遊技機1では、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が入賞することで、大当たり抽選が実行される。なお、以下の説明では、第1始動口21への遊技球の入賞を契機として実行される大当たり抽選を第1特別図柄抽選と呼び、第2始動口22への遊技球の入賞を契機として実行される大当たり抽選を第2特別図柄抽選と呼び、第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選を総称して特別図柄抽選と呼ぶものとする。
【0026】
第1始動口21と第2始動口22との間には、チューリップの花を模した一対の羽根部材を有する電動チューリップ27が配置されている。電動チューリップ27は、一対の羽根部材が閉じた閉姿勢(図1参照)と、一対の羽根部材が開いた開姿勢(図示なし)との間で姿勢変化可能に構成されており、電動ソレノイド(図示なし)が作動することによって姿勢変化する。
【0027】
電動チューリップ27の一対の羽根部材が閉姿勢の状態では、第1始動口21を構成する部材及び電動チューリップ27によって第2始動口22への遊技球の進入経路が塞がれており、遊技球が第2始動口22へ入ることはない。これに対して、遊技球がゲート25を通過すると、普通図柄抽選(電動チューリップ27の開閉抽選)が実行され、この普通図柄抽選に当選すると、電動チューリップ27の一対の羽根部材が規定時間だけ開姿勢を維持した後に閉姿勢に戻る動作が規定回数行われる。このように、普通図柄抽選に当選することで、第2始動口22への遊技球の進入経路が開放されて、遊技球が第2始動口22に入賞可能となる。すなわち、第2特別図柄抽選の実行が可能な状態となる。なお、電動チューリップ27の動作に関する規定時間及び規定回数は、パチンコ遊技機1の遊技状態に応じて変更されることがある。
【0028】
普通入賞口24は、ゲート25の下方に配置されている。普通入賞口24に遊技球が入賞した場合、抽選は実行されないが、第1始動口21や第2始動口22に遊技球が入賞した場合よりも多い賞球が払い出される。
【0029】
大入賞口23は、第2始動口22の下方に配置されている。大入賞口23は、特別図柄抽選の結果に応じて開放される。大入賞口23の開口部には、大入賞口23を開閉するプレートが設けられている。特別図柄抽選に当選していない状態では、このプレートが遊技盤2の表面と同一平面を形成する姿勢となっているために、大入賞口23に遊技球が入らない状態となっている。これに対して、特別図柄抽選に当選すると、プレートの下端側を軸としてプレートの上端側が遊技盤2の表面側へ傾倒して、大入賞口23が開放される。
【0030】
ここで、賞球の払い出しについて説明する。第1始動口21、第2始動口22、大入賞口23、及び普通入賞口24に遊技球が入って入賞すると、入賞した場所に応じた個数の賞球(遊技球)が払い出される。例えば、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が1個入賞すると4個の賞球が払い出され、大入賞口23に遊技球が1個入賞すると13個の賞球が払い出され、普通入賞口24に遊技球が入賞すると10個の賞球が払い出される。なお、遊技球がゲート25を通過しても賞球が払い出されることはない。
【0031】
遊技盤2の中央部には、演出のための各種の画像を表示する液晶表示器5、及び液晶表示器5に表示された画像の一部をマスクする(覆う)画像を表示するEL表示器6が設けられている。液晶表示器5及びEL表示器6については、後に詳述する。
【0032】
液晶表示器5と近接する位置に、各種の演出に用いられる盤ランプ8及び可動役物7が設けられている。盤ランプ8は、遊技者による遊技の進行に応じて発光することによって光による各種の演出を行う。可動役物7は、遊技盤2に対して可動に構成されており、例えば内蔵された発光素子を発光させながら回動することによって各種の演出を行う。なお、本実施形態では、遊技盤2に対して可動に構成された装飾役物が可動役物7のみである場合について説明するが、更に他の可動役物が設けられていてもよい。
【0033】
図2は、パチンコ遊技機1の一部を示す概略平面図である。図1及び図2に示されるように、枠部材3には、上記ハンドル31及びレバー32の他に、停止ボタン33、取り出しボタン34、スピーカ35、枠ランプ36、演出ボタン37、演出キー38、及び皿39が設けられている。
【0034】
皿39は、枠部材3からパチンコ遊技機1の正面側へ突出するように設けられており、上述の発射装置へ供給される遊技球を一時的に溜めるものである。この皿39には、上述のように払い出された賞球が排出される。遊技者がハンドル31を握ってレバー32を時計回りに回転させると、皿39に溜められた遊技球が発射装置へ供給されて、遊技領域20へ所定の時間間隔で発射される。この遊技球の発射は、遊技者が停止ボタン33を押下することによって一時的に停止される。
【0035】
取り出しボタン34は、皿39と近接する位置に設けられている。遊技者が取り出しボタン34を操作すると、皿39の下面の一部が開口されて、皿39に溜まった遊技球が皿39の下方に配置された不図示の箱へ落下する。なお、この皿39は、1つの皿によって構成されてもよいし、発射装置へ供給される遊技球及び賞球を溜める上皿と、賞球のみを溜める下皿との2つの皿によって構成されてもよい。
【0036】
スピーカ35は、楽曲や音声、効果音等を出力して音による演出を行う。枠ランプ36は、点灯又は点滅のパターンの変更、発光色の変更、光の照射方向の変更等の光による各種の演出を行う。
【0037】
演出ボタン37及び演出キー38は、それぞれ遊技者が演出に対する操作入力を行うために設けられている。演出ボタン37は、皿39の横に設けられており、演出キー38は、中央キーと中央キーの周辺に配列された複数(ここでは4つ)の周辺キーとを有しており、演出ボタン37に隣接配置されている。
【0038】
図3は、図1における表示器4の拡大図である。表示器4は、上述した特別図柄抽選や普通図柄抽選の結果や保留数に関する情報を表示するものである。図3に示されるように、表示器4は、第1特別図柄表示器41、第2特別図柄表示器42、第1特別図柄保留表示器43、第2特別図柄保留表示器44、普通図柄表示器45、普通図柄保留表示器46、及び遊技状態表示器47を備えている。
【0039】
第1特別図柄表示器41は、第1始動口21への遊技球の入賞を契機として特別図柄を変動表示してから第1特別図柄抽選の結果を示す特別図柄を停止表示する。第1特別図柄保留表示器43は、第1特別図柄抽選の保留数を表示する。第2特別図柄表示器42は、第2始動口22への遊技球の入賞を契機として特別図柄を変動表示してから第2特別図柄抽選の結果を示す特別図柄を停止表示する。第2特別図柄保留表示器44は、第2特別図柄抽選の保留数を表示する。普通図柄表示器45は、遊技球がゲート25を通過したことを契機として普通図柄を変動表示してから普通図柄抽選の結果を示す普通図柄を停止表示する。普通図柄保留表示器46は、普通図柄抽選の保留数を表示する。遊技状態表示器47は、パチンコ遊技機1の電源投入時点における遊技状態(例えば、通常遊技状態、確変遊技状態、時短遊技状態)を表示する。
【0040】
ここまでパチンコ遊技機1の概略構成について説明したが、上述したパチンコ遊技機1の構成は単なる一例であって、遊技盤2の盤面構成(入賞や抽選に関する役物の配置)等は、適宜変更されてもよい。例えば本発明に係る遊技機が右打ちが必要なパチンコ遊技機に適用される場合には、大入賞口23やゲート25等を液晶表示器5に対して右側の遊技領域20に配置するといった変更が行われる。
【0041】
[パチンコ遊技機1が行う特徴的な表示]
ところで、液晶表示器5は、遊技者が視認し易い位置に固定されているので、特別図柄抽選に当選しない期間が長時間続いたとき等に遊技者の視点が固定され易く、遊技が単調になるおそれがある。そこで、本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、遊技の進行に応じて、自動的にEL表示器6を移動させEL表示器6のEL画面60に画像(以下、マスク画像という)を表示させて、液晶表示器5に表示されている液晶画面50の一部を敢えてマスクする(覆う)ことによって、遊技者の視点が固定されにくい効果的な演出が行われるように構成されている。また、上記したマスクを行わないときには、遊技者が液晶表示器5による演出を見づらくならないように、EL表示器6は、自動的に所定の初期位置(例えば液晶表示器5の左下隅)に移動するように構成されている。
【0042】
例えば図4(A)に示すように、装飾図柄を変動させて特別図柄抽選の結果を遊技者に報知する演出(以下、装飾図柄変動演出という)のうち大当たり期待度の高いリーチ演出を行う装飾図柄変動演出が開始されると、EL表示器6が初期位置から移動して、液晶画面50に変動表示されている装飾図柄上に停止し、EL画面60にマスク画像を表示することによって、この変動表示されている装飾図柄をマスクする。ここで、マスク画像は、図4(A)に示すように、このマスク画像を通して遊技者が少し液晶画面50の画像を認識できる程度に細かい多数の隙間を有する。このことによって、遊技者は、マスクされた変動表示中の装飾図柄が何れの図柄で停止するのかを、注意して見なければ認識できなくなる。この結果として、意外性のある変化を遊技に持たせることができる。
【0043】
また、例えば図4(B)に示すように、EL表示器6が初期位置から移動して、液晶画面50に表示されるキャラクタやアイテム等のオブジェクト上に停止し、EL画面60にマスク画像を表示することによって、このオブジェクトをマスクする。ここで、マスクされるキャラクタやアイテム等のオブジェクトは、特別図柄抽選で大当たりした場合に装飾図柄変動演出に登場する可能性の高いオブジェクト(つまり、大当たり期待度の高いオブジェクト)であることが好ましい。図4(B)では、爆弾のアイテムがマスクされている。このことによって、遊技者は、キャラクタやアイテム等がマスクされた場合、それがどのキャラクタやアイテム等であるかを、注意して見なければ認識できなくなる。この結果として、意外性のある変化を遊技に持たせることができる。
【0044】
以下、このような効果的な演出を実現するためのパチンコ遊技機1の構成及び動作について説明する。
【0045】
[液晶表示器5の構成]
液晶表示器5は、遊技盤2を支持するパチンコ遊技機1の筐体に固定されている。このため、液晶表示器5は、遊技盤2に対して固定されている。液晶表示器5としては、例えば垂直方向11の画素数が「600」で、水平方向12の画素数が「800」という画面解像度(垂直画素数×水平画素数)の液晶画面50を有する液晶ディスプレイが使用される。液晶表示器5は、後述する画像音響制御部140から出力される画像を液晶画面50に表示する。液晶画面50には、例えば、特別図柄抽選の結果を報知するための装飾図柄、予告演出を行うキャラクタやアイテム、特別図柄抽選が保留されていることを示す保留表示画像等が表示される。
【0046】
図5は、液晶画面50の概略構成を示す図である。図5に示されるように、液晶画面50は、多数の画素ユニット51を有して構成されている。画素ユニット51は、垂直方向11に600個、水平方向12に800個並んで配置されているが、説明の便宜上、図5(A)では、実際よりも少なく画素ユニット51が表記されている。
【0047】
画素ユニット51は、カラー液晶素子52及び光センサ56を有している。カラー液晶素子52は、光の3原色のそれぞれの色を表示するR(Red)色液晶素子53、G(Green)色液晶素子54、及びB(Blue)色液晶素子55から構成されている。光センサ56は、液晶画面50の前方からの光を検知する受光素子であり、R色液晶素子53、G色液晶素子54、及びB色液晶素子55と隣接するように配置されている(図5(B)参照)。このように、光センサ56は、各カラー液晶素子52のそれぞれに近接配置されている。
【0048】
光センサ56が光を受光すると、受光した光の輝度に応じた電気信号が生成される。液晶画面50が有する各光センサ56は、後述する演出制御部130に接続されており、各光センサ56で生成された電気信号は演出制御部130に出力される。演出制御部130は、各光センサ56から出力される電気信号に基づいて、EL表示器6のEL画面60の位置を検出する。具体的には、後述するEL表示器6のフレーム61(図7参照)は、液晶表示器5の液晶画面50と対向する面が黒色に形成されており、液晶画面50においてフレーム61によって覆われた領域に設けられている光センサ56からは、フレーム61によって覆われていない領域に設けられている光センサ56から出力される電気信号とは異なるレベルの電気信号が出力される。図6には、液晶表示器5の液晶画面50に対してEL表示器6のEL画面60が左下方に位置したときにフレーム61によって覆われた領域16(ハッチングされた領域)が示されている。演出制御部130は、各光センサ56から出力される電気信号のレベルの違いに基づいて、フレーム61の位置、すなわちEL画面60の位置を検出することができる。
【0049】
図5(B)に示されるように、画素ユニット51には、画素ユニット51と隣接する他の画素ユニットとを区画する外壁57、及び画素ユニット51を構成するカラー液晶素子52と光センサ56とを区画する内壁58が設けられている。外壁57は、カラー液晶素子52及び光センサ56の外側を囲み、且つ画素ユニット51の基部から液晶画面50の前方へ向けて突出するように形成されている。内壁58は、カラー液晶素子52と光センサ56との間に画素ユニット51の基部から液晶画面50の前方へ向けて突出するように形成されている。この外壁57及び内壁58が設けられていることにより、光センサ56に対して近接するカラー液晶素子52から光が直接入射することが防止されるので、液晶画面50の前方からの光を各光センサ56で正確に検知して、EL表示器6の位置を精度良く検出することができる。
【0050】
[EL表示器6の構成]
EL表示器6は、液晶表示器5の前面側に液晶画面50と所定の間隔を隔てて配置されており、後述する駆動機構10によって遊技盤2及び液晶表示器5に対して上下左右に移動可能である。本実施形態におけるEL表示器6は、透明なEL画面60に画像を単色表示する透明ELディスプレイである。EL画面60は、樹脂製のフレーム61に形成された開口部に嵌め込まれることによってフレーム61に固定されている。EL画面60としては、例えば垂直方向11の画素数が「240」で、水平方向12の画素数が「320」という画面解像度を有するものが使用される。したがって、液晶表示器5及びEL表示器6は、EL画面60よりも液晶画面50の方が画面解像度が大きくなるように構成されている。
【0051】
EL表示器6として透過型のELディスプレイが使用されるので、EL画面60にマスク画像が表示された状態であっても、遊技者は、このマスク画像の多数の隙間(図4参照)を通してEL表示器6の裏面側に位置する画像(液晶画面50に表示された装飾図柄やキャラクタやアイテム等の表示オブジェクト)を、注意して視れば認識することができる。なお、EL表示器6のフレーム61の裏面(液晶画面50と対向する面)は、上述のように、黒色に形成されている。
【0052】
[駆動機構10の構成及び動作]
次に、図7〜図9を参照しつつ、EL表示器6を移動させる駆動機構10について説明する。図7は、駆動機構10の構成を示す斜視図であり、液晶画面50に表示された表示オブジェクト(装飾図柄、キャラクタ等)をEL画面60によってマスクできる位置にEL表示器6が位置した状態を示している。図8は、駆動機構10の分解斜視図である。図9は、EL表示器6の拡大斜視図である。
【0053】
駆動機構10は、EL表示器6を液晶表示器5の液晶画面50に沿って上下左右に移動させるものである。本実施形態においては、駆動機構10は、第1ステッピングモータ29(図10参照)の駆動力をEL表示器6に伝達して、EL表示器6を液晶画面50に沿って垂直方向11(図1参照)に移動させる昇降駆動機構200と、第2ステッピングモータ30(図10参照)の駆動力をEL表示器6に伝達して、EL表示器6を液晶画面50に沿って水平方向12(図1参照)に移動させるスライド駆動機構220とから構成されている。
【0054】
昇降駆動機構200は、大別して、第1支持部材201、ガイド部材202、ガイド部材203、第1回転軸204、第2回転軸205、第1駆動ベルト206、及び第2駆動ベルト207を備えている。
【0055】
第1支持部材201は、水平方向12を長手方向とする薄い板状部材である。この第1支持部材201は、図1に示されるように、液晶表示器5の液晶画面50の手前に配置されるため、液晶画面50に表示された画像の視認性の低下を最低限に抑えるために、透明な樹脂で形成されている。EL表示器6のフレーム61には、水平方向12に貫通する挿通孔62(図8及び図9参照)が形成されており、第1支持部材201は、挿通孔62に挿通されることによってフレーム61を水平方向12へ移動可能に支持する。
【0056】
図9に示されるように、第1支持部材201は、その一端側に連結部材194が固定されると共に、その他端側に連結部材197が固定されている。連結部材194は、ガイド部材202(図8参照)が挿通される円筒状の挿通孔195と、第1駆動ベルト206を挟持する挟持片196とを有している。ガイド部材202は、断面外形が円形の棒状部材であり、その長手方向が垂直方向11と一致するようにパチンコ遊技機1の筐体に固定されている。ガイド部材202の外径寸法は、挿通孔195の内径寸法よりも若干小さく設定されており、連結部材194は、挿通孔195にガイド部材202が挿通されることによって、垂直方向11へ移動可能にガイド部材202によって支持される。
【0057】
連結部材197は、連結部材194と同形状の部材であって、ガイド部材203(図8参照)が挿通される挿通孔198と、第2駆動ベルト207を挟持する挟持片199とを有している。ガイド部材203は、ガイド部材202と同形状の部材であって、ガイド部材202と所定の間隔を隔てて対向するようにパチンコ遊技機1の筐体に固定されている。連結部材197は、挿通孔198にガイド部材203が挿通されることによって、垂直方向11へ移動可能にガイド部材203によって支持される。
【0058】
このように連結部材194及び連結部材197がガイド部材202及びガイド部材203に支持されているので、第1支持部材201は、垂直方向11へスライド可能である。
【0059】
ガイド部材202,203の上側に第1回転軸204が設けられると共に、ガイド部材202,203の下側に第2回転軸205が設けられている(図7参照)。第1回転軸204及び第2回転軸205は、それぞれ軸方向が水平方向12と一致するように、不図示の軸受けに回転可能に支持されている。図8に示されるように、第1回転軸204は、その一端側にギヤ212及びプーリ208が固定されると共に、その他端にプーリ209が固定されている。第2回転軸205は、その一端にプーリ210が固定されると共に、その他端にプーリ211が固定されている。
【0060】
プーリ208とプーリ210との間には、内側に歯(ギヤ形状)が形成された無端環状の第1駆動ベルト206が張り渡されている。プーリ209とプーリ211との間には、第1駆動ベルト206と同じ構成の第2駆動ベルト207が張り渡されている。
【0061】
第1回転軸204のギヤ212(図7参照)には、第1ステッピングモータ29(図10参照)の駆動力が入力される。これにより、ギヤ212が固定された第1回転軸204が回転する。プーリ208〜211の外周には、第1駆動ベルト206及び第2駆動ベルト207の歯と噛合する歯が形成されており、第1回転軸204の回転力がプーリ208,209を介して第1駆動ベルト206及び第2駆動ベルト207に伝達される。その結果、第1駆動ベルト206及び第2駆動ベルト207が周運動すると共に、第1回転軸204及び第2回転軸205が同期回転する。この第1駆動ベルト206及び第2駆動ベルト207には、第1支持部材201の両端に固定された連結部材194,197が挟持片196,199によって固定されているので、第1ステッピングモータ29の駆動力が第1支持部材201にも伝達されて、第1支持部材201に支持されたEL表示器6が垂直方向11へ移動する。なお、第1ステッピングモータ29の回転方向を正回転又は逆回転に切り替えることで、垂直方向11におけるEL表示器6の移動方向を切り替えることができる。
【0062】
一方、スライド駆動機構220は、大別して、第2支持部材221、ガイド部材222、ガイド部材223、第1回転軸224、第2回転軸225、第1駆動ベルト226、及び第2駆動ベルト227を備えている。
【0063】
第2支持部材221は、垂直方向11を長手方向とする薄い板状部材である。この第2支持部材221は、第1支持部材201と同様に、透明な樹脂で形成されている。EL表示器6のフレーム61には、垂直方向11に貫通する挿通孔63(図8及び図9参照)が形成されており、第2支持部材221は、挿通孔63に挿通されることによってフレーム61を垂直方向11へ移動可能に支持する。
【0064】
図9に示されるように、第2支持部材221は、その一端側に連結部材214が固定されると共に、その他端側に連結部材217が固定されている。連結部材214は、ガイド部材222(図8参照)が挿通される円筒状の挿通孔215と、第2駆動ベルト227を挟持する挟持片216とを有している。ガイド部材222は、断面外形が円形の棒状部材であり、その長手方向が水平方向12と一致するように、パチンコ遊技機1の筐体に固定されている。ガイド部材222の外径寸法は、挿通孔215の内径寸法よりも若干小さく設定されており、連結部材214は、挿通孔215にガイド部材222が挿通されることによって、水平方向12へ移動可能にガイド部材222によって支持される。
【0065】
連結部材217は、連結部材214と同形状の部材であって、ガイド部材223(図8参照)が挿通される挿通孔218と、第1駆動ベルト226を挟持する挟持片219とを有している。ガイド部材223は、ガイド部材222と同形状の部材であって、ガイド部材222と所定の間隔を隔てて対向するようにパチンコ遊技機1の筐体に固定されている。連結部材217は、挿通孔218にガイド部材223が挿通されることによって、水平方向12へ移動可能にガイド部材223によって支持される。
【0066】
このように連結部材214及び連結部材217がガイド部材222及びガイド部材223に支持されているので、第2支持部材221は、水平方向12へスライド可能である。
【0067】
水平方向12におけるガイド部材222,223の外側に、第1回転軸224及び第2回転軸225が設けられている(図7参照)。第1回転軸224及び第2回転軸225は、それぞれ軸方向が垂直方向11と一致するように、不図示の軸受けに回転可能に支持されている。図8に示されるように、第1回転軸224は、その一端側にギヤ232及びプーリ228が固定されると共に、その他端にプーリ229が固定されている。第2回転軸225は、その一端にプーリ230が固定されると共に、その他端にプーリ231が固定されている。
【0068】
プーリ228とプーリ230との間には、内側に歯が形成された無端環状の第1駆動ベルト226が張り渡されている。プーリ229とプーリ231との間には、第1駆動ベルト226と同じ構成の第2駆動ベルト227が張り渡されている。
【0069】
第1回転軸224のギヤ232(図7参照)には、第2ステッピングモータ30(図10参照)の駆動力が入力される。これにより、ギヤ232が固定された第1回転軸224が回転する。プーリ228〜231の外周には、第1駆動ベルト226及び第2駆動ベルト227の歯と噛合する歯が形成されており、第1回転軸224の回転力がプーリ228,229を介して第1駆動ベルト226及び第2駆動ベルト227に伝達される。その結果、第1駆動ベルト226及び第2駆動ベルト227が周運動すると共に、第1回転軸224及び第2回転軸225が同期回転する。この第1駆動ベルト226及び第2駆動ベルト227には、第2支持部材221の両端に固定された連結部材214,217が挟持片216,219によって固定されているので、第2ステッピングモータ30の駆動力が第2支持部材221にも伝達されて、第2支持部材221に支持されたEL表示器6が水平方向12へ移動する。なお、第2ステッピングモータ30の回転方向を正回転又は逆回転に切り替えることで、水平方向12におけるEL表示器6の移動方向を切り替えることができる。
【0070】
このように、EL表示器6は、昇降駆動機構200によって垂直方向11へ移動し、スライド駆動機構220によって水平方向12へ移動する。なお、第1支持部材201及び第2支持部材221を除く駆動機構10の各構成部材は、液晶表示器5等が設けられた領域と遊技領域20とを区画する化粧カバー14(図1参照)によって覆われているために、図1には現れていない。
【0071】
[パチンコ遊技機1の制御装置の構成]
遊技盤2の裏面側(図1の紙面奥側)には、賞球として払い出される遊技球を溜めておく球タンクの他に、パチンコ遊技機1の動作を制御する制御装置が設けられている。図示されていないが、この制御装置は、メイン基板及びサブ基板を有している。メイン基板は、内部抽選や当選の判定等を行う遊技制御部100として機能するメイン制御基板、賞球の払い出しを制御する払出制御部120として機能する払出制御基板等から構成されている。このメイン基板は、メイン基板が改変された場合にその痕跡が残るように、透明部材で構成されたケース内に密閉状態で配置されている。一方のサブ基板は、演出を統括的に制御する演出制御部130として機能する演出制御基板、画像や音による演出を制御する画像音響制御部140として機能する画像音響制御基板、及び各種のランプ(枠ランプ36や盤ランプ8等)や可動役物7による演出を制御するランプ制御部150として機能するランプ制御基板等から構成されている。
【0072】
以下、図10を参照しつつ、パチンコ遊技機1の制御装置の構成について説明する。ここで、図10は、パチンコ遊技機1の制御装置の構成の一例を示すブロック図である。図10に示されるように、パチンコ遊技機1の制御装置は、遊技制御部100、払出制御部120、演出制御部130、画像音響制御部140、及びランプ制御部150を備えている。
【0073】
[遊技制御部100の構成]
遊技制御部100は、CPU101、ROM102、及びRAM103を備えている。CPU101は、ROM102に記憶されたプログラムに基づいて、内部抽選や当選の判定等の払い出し賞球数に関連する各種の演算処理を行う。RAM103は、CPU101が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。この遊技制御部100の主な機能は以下の通りである。
【0074】
遊技制御部100は、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が入賞すると特別図柄抽選を実行し、特別図柄抽選で当選したか否かを示す判定結果データを演出制御部130へ送信する。また、遊技制御部100は、特別図柄抽選に応じて決定した当選確率の変動設定(例えば300分の1から30分の1への変動設定)を示すデータ、特別図柄変動時間の短縮設定を示すデータ、特別図柄抽選に応じて決定した普通図柄変動時間の短縮設定を示すデータ等を演出制御部130へ送信する。
【0075】
遊技制御部100は、電動チューリップ27の羽根部材が開姿勢となる開時間、羽根部材が開閉する回数、及び羽根部材が閉じてから次に開くまでの開閉時間間隔を制御する。また、遊技制御部100は、遊技球が第1始動口21又は第2始動口22へ入賞したことによる特別図柄抽選の保留数、及び遊技球がゲート25を通過したことによる普通図柄抽選の保留数を管理する。
【0076】
遊技制御部100は、特別図柄抽選の結果に応じて、大入賞口23の開閉動作を制御する。例えば、所定条件(例えば、大入賞口23が開いてから30秒が経過、又は大入賞口23への10個の遊技球の入賞)を満たすまで、大入賞口23のプレートが突出傾倒して大入賞口23の開状態を維持するラウンドを所定回数(例えば15回)繰り返す。
【0077】
遊技制御部100は、第1始動口21、第2始動口22、大入賞口23、及び普通入賞口24に遊技球が入賞すると、入賞した場所に応じた所定数の賞球の払い出しを払出制御部120に指示する。払出制御部120が遊技制御部100の指示に応じて賞球の払い出しを行った場合、払い出された賞球の個数に関する情報が払出制御部120から遊技制御部100へ送られる。遊技制御部100は、払出制御部120から取得した情報に基づいて、払い出す賞球の個数を管理する。
【0078】
これらの機能を実現するために、遊技制御部100には、第1始動口スイッチ(SW)111、第2始動口スイッチ(SW)112、電動チューリップ開閉部113、ゲートスイッチ(SW)114、大入賞口スイッチ(SW)115、大入賞口制御部116、及び普通入賞口スイッチ(SW)117が接続されている。
【0079】
第1始動口スイッチ111は、第1始動口21に遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号を遊技制御部100へ送る。第2始動口スイッチ112は、第2始動口22に遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号を遊技制御部100へ送る。電動チューリップ開閉部113は、電動チューリップ27の一対の羽根部材に駆動伝達可能に連結された電動ソレノイドを有している。遊技制御部100からの制御信号に応じて電動ソレノイドが作動して、電動チューリップ27の一対の羽根部材が姿勢変化する。ゲートスイッチ114は、ゲート25を遊技球が通過したことを検出して、その検出信号を遊技制御部100へ送る。大入賞口スイッチ115は、大入賞口23に遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号を遊技制御部100へ送る。大入賞口制御部116は、大入賞口23のプレートに駆動伝達可能に連結された電動ソレノイドを有している。遊技制御部100からの制御信号に応じて電動ソレノイドが作動して、大入賞口23が開閉される。普通入賞口スイッチ117は、普通入賞口24に遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号を遊技制御部100へ送る。
【0080】
また、遊技制御部100には、表示器4(図3参照)が接続されている。遊技制御部100は、第1特別図柄抽選の結果を第1特別図柄表示器41に表示させ、第1特別図柄抽選を保留している保留数を第1特別図柄保留表示器43に表示させる。遊技制御部100は、第2特別図柄抽選の結果を第2特別図柄表示器42に表示させ、第2特別図柄抽選の保留数を第2特別図柄保留表示器44に表示させる。遊技制御部100は、普通図柄抽選の結果を普通図柄表示器45に表示させ、普通図柄抽選の保留数を普通図柄保留表示器46に表示させる。遊技制御部100は、遊技状態表示器47にパチンコ遊技機1の遊技状態を表示させる。
【0081】
[払出制御部120の構成]
払出制御部120は、CPU121、ROM122、及びRAM123を備えている。CPU121は、ROM122に記憶されたプログラムに基づいて、賞球の払い出しを制御する際の演算処理を行う。RAM123は、CPU121が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。
【0082】
払出制御部120は、遊技制御部100からの指示に基づいて、遊技球が入賞した場所に応じた所定数の賞球が皿39へ払い出されるように払出モータ125を制御する。ここで、払出モータ125は、遊技盤2の裏面側に配置された球タンクから遊技球を送り出すモータである。
【0083】
払出制御部120には、払出モータ125の他に、払出球検出部126、球有り検出部127、及び満タン検出部128が接続されている。払出球検出部126は、払出モータ125により球タンクから皿39へ払い出された賞球の数を検出する。球有り検出部127は、球タンクにおける遊技球の有無を検出する。満タン検出部128は、皿39が遊技球で満タンになったことを検出する。払出制御部120は、払出球検出部126、球有り検出部127、及び満タン検出部128の検出結果に応じて所定の処理を実行する。
【0084】
[演出制御部130の構成]
演出制御部130は、CPU131、ROM132、RAM133、及びRTC(リアルタイムクロック)134を備えている。CPU131は、ROM132に記憶されたプログラムに基づいて、演出を制御する際の演算処理を行う。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。RTC134は、現時点の日時を計測する。
【0085】
演出制御部130は、遊技制御部100から送られる特別図柄抽選結果等を示すデータに基づいて、演出内容を設定する。その際、抽選を行って演出内容を設定する場合もある。また、その際、演出ボタン37又は演出キー38からの操作情報の入力を受け付けて、その操作情報に応じた演出内容を設定する場合もある。さらに、特別図柄抽選の当選確率の変動設定を示すデータを遊技制御部100から受信した場合、特別図柄抽選の変動時間の短縮設定を示すデータを遊技制御部100から受信した場合、及び普通図柄抽選の変動時間の短縮設定を示すデータを遊技制御部100から受信した場合には、これらのデータに応じて演出内容を設定する。演出制御部130は、このようにして設定した演出内容の演出の実行を指示するコマンドを画像音響制御部140及びランプ制御部150へ送信する。
【0086】
演出制御部130には、液晶表示器5が備える光センサ56が接続されている。演出制御部130のCPU131は、各光センサ56から入力される電気信号に基づいて、EL表示器6のEL画面60の位置を検出する。
【0087】
[ランプ制御部150の構成]
ランプ制御部150は、CPU151、ROM152、及びRAM153を備えている。CPU151は、盤ランプ8や枠ランプ36の発光、及び可動役物7の動作を制御する際の演算処理を行う。ROM152には、CPU151によって実行されるプログラムや各種データ等が記憶されている。RAM153は、CPU151が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。
【0088】
ランプ制御部150のCPU151は、ROM152に記憶されている発光パターンデータの中から、演出制御部130から送信されたコマンドに対応する発光パターンデータを読み出して、盤ランプ8、枠ランプ36、及び可動役物7の発光を制御する。また、CPU151は、ROM152に記憶されている動作パターンデータの中から、演出制御部130から送信されたコマンドに対応する動作パターンデータを読み出して、可動役物7を動作させるモータ(不図示)の回転を制御する。
【0089】
ランプ制御部150は、演出制御部130から送信されたコマンドに基づいて、第1ステッピングモータ29及び第2ステッピングモータ30の回転を制御する。第1ステッピングモータ29は、その回転軸が昇降駆動機構200のギヤ212(図7参照)と噛合するように配置されており、第1ステッピングモータ29の駆動力がギヤ212に入力されることによって、EL表示器6が垂直方向11へ移動する。一方、第2ステッピングモータ30は、その回転軸がスライド駆動機構220のギヤ232(図7参照)と噛合するように配置されており、第2ステッピングモータ30の駆動力がギヤ232に入力されることによって、EL表示器6が水平方向12へ移動する。
【0090】
[画像音響制御部140の構成]
図11は、画像音響制御部140の構成を例示するブロック図である。画像音響制御部140は、図11に示されるように、各種演出の実行を指示するための制御信号を生成するCPU141と、CPU141によって生成された制御信号に応じた演出を表現するための画像を生成するVDP(Video Display Processor)142と、CPU141によって生成された制御信号に応じた演出を実現するための音響データを生成する音響DSP(Digital Signal Processor)143とを備えている。
【0091】
CPU141には、制御用ROM144、及びRAM145が接続されている。制御用ROM144には、CPU141によって実行されるプログラムや各種データ等が記憶されている。RAM145は、CPU141が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。CPU141は、演出制御部130から受信したコマンドに基づいて、VDP142及び音響DSP143の動作を制御するための制御信号を生成して、その制御信号をVDP142及び音響DSP143に出力する。
【0092】
音響DSP143には、音響用ROM146、及びSDRAM147が接続されている。音響用ROM146には、スピーカ35から出力させる楽曲や音声、効果音等に関する各種音響データが記憶されている。SDRAM147は、音響DSP143によるデータ処理等の作業領域として使用される。
【0093】
音響DSP143は、CPU141によって生成された制御信号に対応する音響データを音響用ROM146からSDRAM147に読み出し、その音響データに対して必要なデータ処理を行う。そして、液晶画面50やEL画面60による画像表示と同期させて、又は画像表示とは非同期に、データ処理後の音響データを不図示の増幅器を介してスピーカ35に出力する。
【0094】
VDP142は、CPU141から入力された制御信号に基づいて画像を描画して、液晶表示器5及びEL表示器6に出力する。VDP142は、CPU I/F1421、デコーダ1422、ROM I/F1423、描画エンジン1424、VRAM_RS1425、VRAM_FB1426、及び出力回路1427を備えている。
【0095】
VDP142には、内部バス1428及び内部バス1429が設けられている。CPU I/F1421、デコーダ1422、ROM I/F1423、描画エンジン1424、及びVRAM_RS1425は、内部バス1428を介して通信可能に接続されている。また、描画エンジン1424、VRAM_FB1426、及び出力回路1427は、内部バス1429を介して通信可能に接続されている。
【0096】
CPU I/F1421は、VDP142とCPU141とを通信可能に接続するインターフェースである。CPU141によって生成された制御信号は、CPU I/F1421を介してVDP142に入力される。ROM I/F1423は、画像用ROM148から画像データを読み出すためのインターフェースである。
【0097】
画像用ROM148には、液晶表示器5に表示される演出画像を構成する素材となる素材データが記憶されている。具体的には、3つの数字からなる装飾図柄や大当たりの期待度の大きさに応じた演出を行うためのキャラクタやアイテム等に関する画像データ、液晶表示器5に背景画面として表示される背景画像に関する画像データ、「リーチ」、「激アツ」等の文字に関する画像データといった、いわゆるスプライト機能を実現するための素材データが記憶されている。また、画像用ROM148には、EL表示器6に表示されるマスク画像(図4参照)を構成するデータが記憶されている。
【0098】
VRAM_RS1425は、画像用ROM148から読み出された素材データを一時的に記憶する記憶領域又は描画エンジン1424が実行する描画処理などの作業領域として使用されるメモリである。なお、例えばMPEG2(Moving Picture Experts Group phase 2)方式で符号化された画像データが画像用ROM148から読み出される場合には、デコーダ1422によって復号された画像データが素材データとしてVRAM_RS1425に格納される。VRAM_RS1425に格納された素材データは、描画エンジン1424が行う描画処理に使用される。このため、描画処理で頻繁に使用される素材データをVRAM_RS1425にバッファリングしておくことによって、描画エンジン1424による描画処理を効率良く実行することができる。
【0099】
描画エンジン1424は、CPU141からの制御信号に基づいて、液晶表示器5の液晶画面50及びEL表示器6のEL画面60に表示すべき画像をVRAM_FB1426に描画する。具体的には、CPU141からの制御信号、及びVRAM_RS1425に格納された素材データに基づいて、各ピクセルの色を計算し、計算した色の値をVRAM_FB1426に書き込むレンダリング処理を行う。VRAM_FB1426に描画された画像は、1フレーム分の画像に対応する複数の画素データから構成されており、各画素データは、R(Red)、G(Green)、B(Blue)を示す色情報と、画素の透過度を示すアルファ値とを含んでいる。出力回路1427は、VRAM_FB1426に描画された画像を所定の表示タイミングで液晶表示器5及びEL表示器6に出力して、液晶画面50及びEL画面60に画像を表示させる。なお、液晶表示器5のみを使用する場合には、描画エンジン1424は、液晶画面50に表示するための画像のみをVRAM_FB1426に描画して、その画像を液晶表示器5に出力する。
【0100】
図12は、VRAM_FB1426の構成について説明するための図である。図12に示されるように、VRAM_FB1426は、描画エンジン1424によって描画される1フレーム分の画像をそれぞれ記憶する第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bを備えるダブルバッファ方式のメモリである。描画エンジン1424は、第1フレームバッファ1426A内の画像を液晶表示器5及びEL表示器6に出力している間には、次のフレームの画像を第2フレームバッファ1426Bに描画する。一方、第2フレームバッファ1426B内の画像を液晶表示器5及びEL表示器6に出力している間には、次のフレームの画像を第1フレームバッファ1426Aに描画する。このように、描画エンジン1424は、一方のフレームバッファから画像を出力している間に他方のフレームバッファに描画処理を行うことで、高いフレームレートで描画処理を行うことができる。
【0101】
ところで、第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bは、本実施形態においては、いずれも垂直方向11に720ドット、水平方向12に960ドットの画素データを格納可能なメモリ領域を有している(図15(A)参照)。これに対して、液晶表示器5の液晶画面50に表示される画像(以下「メイン画像」と呼ぶ場合がある)は、垂直方向11に600ドット、水平方向12に800ドットの画素データから構成されている(図15(A)参照)。このため、EL表示器6のEL画面60には画像を表示せずに液晶表示器5の液晶画面50にのみ画像を表示する場合には、何ら問題なく描画処理を行うことができる。しかしながら、EL表示器6のEL画面60に表示される画像(以下「サブ画像」と呼ぶ場合がある)が垂直方向11に240ドット、水平方向12に320ドットの画素データから構成されており(図15(C)参照)、メイン画像及びサブ画像を並べて描画した場合に垂直方向11又は水平方向12の画素数が第1フレームバッファ1426Aに格納可能な画素データの画素数を超えるため、そのままでは、第1フレームバッファ1426Aにメイン画像及びサブ画像を一緒に描画することは不可能である。これは、第2フレームバッファ1426Bについても同様である。そこで、本実施形態に係るVDP142は、第1フレームバッファ1426Aにメイン画像を描画した後にできる空き領域(図15(B)参照)にサブ画像を複数の領域に分割した状態で描画することによって、第1フレームバッファ1426A(又は第2フレームバッファ1426B)にメイン画像及びサブ画像を一緒に描画することを可能にしている。以下、このような描画処理を実現するためのパチンコ遊技機1の動作について詳細に説明する。なお、以下の説明では、第1フレームバッファ1426Aを使用して描画処理が行われる場合を例に説明するが、第2フレームバッファ1426Bを使用して描画処理を行う場合にも同様の処理が行われる。
【0102】
[分割画像サイズ及び分割数の設定]
第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bは、メイン画像が描画された場合に、描画処理に使用されていない空き領域が生じる(図14(D)参照)。サブ画像は、この空き領域に描画されるが、空き領域にそのまま描画できない場合には複数の領域に分割された分割画像として空き領域に描画される。サブ画像を分割画像として描画する処理は、予め設定された分割画像サイズSS及び分割数SNに基づいて行われる。
【0103】
以下、図13〜図15を参照しつつ、分割画像サイズSS及び分割数SNを設定する処理について説明する。ここで、図13は、画像音響制御部140のCPU141によって実行される設定処理の一例を示すフローチャートである。図14は、メイン画像サイズ、サブ画像サイズ、フレームバッファサイズ、及び空き領域のサイズについて説明するための図である。図15は、画像音響制御部140のCPU141によって実行される設定処理について説明するための図である。なお、図13以降のフローチャートに基づいて説明する画像音響制御部140で行われる処理は、制御用ROM144に記憶されているプログラムに基づいてCPU141自身又はCPU141が発行する命令に従って行われる。
【0104】
例えば、パチンコ遊技機1の電源が投入されたときや、液晶表示器5を用いた1画面表示から液晶表示器5及びEL表示器6を用いた2画面表示に切り替えられるとき等に、分割画像サイズSS及び分割数SNの設定処理を指示する設定指示コマンドが演出制御部130から画像音響制御部140へ送信される。これに対して、画像音響制御部140のCPU141は、設定指示コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS1)。設定指示コマンドを受信していないとCPU141によって判定された場合(ステップS1:NO)、待機状態となる。
【0105】
CPU141は、設定指示コマンドを受信したと判定した場合(ステップS1:YES)、メイン画像サイズ、サブ画像サイズ、及びフレームバッファ(FB)サイズを取得する(ステップS2)。具体的には、VDP142から第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bのフレームバッファサイズを取得してRAM145に格納すると共に、液晶画面50の画面解像度及びEL画面60の画面解像度をメイン画像サイズ及びサブ画像サイズとしてVDP142を介して液晶表示器5及びEL表示器6から取得してRAM145に格納する。ここで、フレームバッファサイズは、図14(A)に示されるように、第1フレームバッファ1426A(或いは第2フレームバッファ1426B)に格納可能な画素データの垂直方向11の画素数L1及び水平方向12の画素数C1を示す情報であり、本実施形態では720×960(垂直画素数L1×水平画素数C1)である(図15(A)参照)。メイン画像サイズは、図14(B)に示されるように、メイン画像を構成する画素データの垂直方向11の画素数L2及び水平方向12の画素数C2を示す情報であり、液晶画面50の画面解像度と等しく、本実施形態では600×800(垂直画素数L2×水平画素数C2)である(図15(A)参照)。サブ画像サイズは、図14(C)に示されるように、サブ画像を構成する画素データの垂直方向11の画素数L3及び水平方向12の画素数C3を示す情報であり、EL画面60の画面解像度と等しく、本実施形態では240×320(垂直画素数L3×水平画素数C3)である(図15(C)参照)。
【0106】
次に、CPU141は、取得したメイン画像サイズ、及びフレームバッファサイズに基づいて、第1フレームバッファ1426Aにメイン画像を描画した後に生じる空き領域のサイズを算出する(ステップS3)。具体的には、以下の演算式を用いて、空き領域に描画可能な画素データの最低垂直画素数L4(図14(D)参照)、及び最低水平画素数C4(図14(D)参照)を算出する。
最低垂直画素数L4=垂直画素数L1−垂直画素数L2
最低水平画素数C4=水平画素数C1−水平画素数C2
本実施形態では、図15に示されるように、垂直画素数L1が「720」であり、垂直画素数L2が「600」であるため、最低垂直画素数L4として「120」が算出され、水平画素数C1が「960」であり、水平画素数C2が「800」であるため、最低水平画素数C4として「160」が算出される(図15(B)参照)。
【0107】
続いて、CPU141は、以下の演算式を用いて、サブ画像を構成する画素データの総数ST、及び空き領域に描画可能な画素データの総数VTを算出し、総数STが総数VTよりも小さいか否かを判定する(ステップS4)。
総数ST=垂直画素数L3×水平画素数C3
総数VT=垂直画素数L4×水平画素数C1+水平画素数C4×(垂直画素数L1−垂直画素数L4)
ここで、垂直画素数L3は、サブ画像を構成する画素データの垂直方向11の画素数であり、水平画素数C3は、サブ画像を構成する画素データの水平方向12の画素数である。総数ST及び総数VTを算出すると、CPU141は、総数STが総数VTよりも小さいか否かを判定する。総数STが総数VTよりも小さければ、サブ画像をそのまま或いは分割して第1フレームバッファ1426Aに描画することができると判断することができる。一方、総数STが総数VTよりも大きければ、サブ画像を分割したとしてもそのままでは第1フレームバッファ1426Aに描画することはできないと判断することができる。
【0108】
CPU141は、総数STが総数VTよりも小さいと判定した場合(ステップS4:YES)、サブ画像を空き領域に描画するためにサブ画像を分割する必要があるか否かを判定する(ステップS5)。具体的には、サブ画像を構成する画素データの垂直画素数L3(図14(C)参照)が空き領域の最低垂直画素数L4(図14(D)参照)よりも小さいか、又はサブ画像を構成する画素データの水平画素数C3(図14(C)参照)が空き領域の最低水平画素数C4(図14(D)参照)よりも小さいかの少なくとも一方の条件を満たしているか否かを判定する。ここで、垂直画素数L3が最低垂直画素数L4よりも小さいか、又は水平画素数C3が最低水平画素数C4よりも小さければ、サブ画像を分割することなく空き領域に描画することが可能であると判定することができる。一方、垂直画素数L3が最低垂直画素数L4よりも大きく且つ水平画素数C3が最低水平画素数C4よりも大きい場合、サブ画像を空き領域にそのまま描画できないので、サブ画像を分割して描画する必要があると判定することができる。このように、CPU141は、空き領域のサイズ、及びサブ画像サイズに基づいて、サブ画像の分割の必要性を判定する。
【0109】
CPU141は、分割が不要であると判定した場合(ステップS5:NO)、分割数SNを「0」に設定する(ステップS6)。ここで、分割数SNは、空き領域に描画される分割画像の数を示す情報である。言い換えれば、分割数SNは、サブ画像を構成する分割画像の数を示す情報である。このステップS6で設定された分割数SNは、設定情報としてRAM145に格納される。この設定情報は、VDP142へ出力される制御信号に含まれて、VDP142へと送られる。後に詳述するが、分割数SNが「0」に設定された場合、空き領域には分割画像が描画されず、サブ画像がそのまま描画されることになる。
【0110】
CPU141は、分割が必要であると判定した場合(ステップS5:YES)、空き領域サイズ及びサブ画像サイズに基づいて、分割画像サイズSS及び分割数SNを算出する(ステップS7)。ここで、分割画像サイズSSは、サブ画像が分割数SNで示される個数の分割画像に分割された場合に、1個の分割画像のサイズ(垂直画素数、及び水平画素数)を示す情報である。ステップS7では、以下の演算式を用いて、分割画像サイズSS(分割画像の垂直画素数SSLと分割画像の水平画素数SSC)及び分割数SNを算出する。
分割画像の垂直画素数SSL=最低垂直画素数L4
分割画像の水平画素数SSC=最低水平画素数C4
分割数SN=(垂直画素数L3/最低垂直画素数L4)×(水平画素数C3/最低水平画素数C4)
図15(B)及び(C)に示されるように、本実施形態では、最低垂直画素数L4として「120」が算出され、最低水平画素数C4として「160」が算出される。このため、ここでの分割画像サイズSSは、120×160(垂直画素数SSL×水平画素数SSC)となる。また、分割数SNは、(240/120)×(320/160)により「4」が算出される。
【0111】
CPU141は、分割画像サイズSS及び分割数SNを算出した後、算出した分割画像サイズSS及び分割数SNを設定情報としてRAM145に格納する(ステップS8)。この設定情報は、VDP142へ出力される制御信号に含まれて、VDP142へと送られる。なお、ステップS8の設定処理に代えてステップS6の設定処理が行われた場合には、サブ画像を分割する必要がないので分割画像サイズSSは算出されず、設定情報として、分割数SNが「0」であることを示す情報のみがVDP142へ送られる。
【0112】
ここで、分割画像サイズSS及び分割数SNを変化させた場合の分割画像サイズSSと空き領域サイズとの関係について図15(C)に基づいて説明する。垂直画素数L3が「240」であり水平画素数C3が「320」であるサブ画像に対して、仮に分割数SNが「0」に設定された場合(ステップS6の処理が行われた場合)、図15(B)及び図15(C)から明らかなように、垂直画素数L3が最低垂直画素数L4を超え且つ水平画素数C3が最低水平画素数C4を超えているので、第1フレームバッファ1426Aの空き領域にサブ画像をそのまま描画することはできない。
【0113】
また、仮に分割数SNが「2」に設定された場合、サブ画像を垂直画素数が「240」で水平画素数が「160」である2個の分割画像として空き領域に描画する第1の方法と、サブ画像を垂直画素数が「120」で水平画素数が「320」である2個の分割画像として空き領域に描画する第2の方法とが考えられる(図15(C)の中央の図を参照)。しかしながら、第1の方法でサブ画像を描画することを考えた場合、空き領域内の垂直方向11に延びる領域(図15(B)参照)に2個の分割画像を描画することは可能であるが、空き領域内の水平方向12に延びる領域に分割画像を描画することはできない。なぜなら、分割画像の垂直画素数「240」が、空き領域の最低垂直画素数L4(=120)を超えているからである。また、第2の方法でサブ画像を描画することを考えた場合、空き領域内の横方向に延びる領域(図15(B)参照)に2個の分割画像を描画することは可能であるが、空き領域内の垂直方向11に延びる領域に2個の分割画像を描画することはできない。なぜなら、分割画像の水平画素数「320」が、空き領域の最低水平画素数C4(=160)を超えているからである。このように、本実施形態で例示したサブ画像を分割画像として空き領域に描画する際に分割数SNを「2」に設定すると、分割画像を描画する位置によっては、分割画像を空き領域に描画できないケースが生じ得る。
【0114】
これに対して、上述のように分割数SNが「4」に設定された場合、図15(B)及び図15(C)の右側の図から明らかなように、垂直画素数SSLが空き領域の最低垂直画素数L4と同じ「120」に設定され、且つ水平画素数SSCが空き領域の最低水平画素数C4と同じ「160」に設定される。そして、この分割画像サイズSSの分割画像が空き領域に4個描画されることになる。この場合、各分割画像は、空き領域内の垂直方向11に延びる領域と水平方向12に延びる領域とのいずれにも描画可能である。したがって、分割数SNが「2」に設定された場合とは異なり、分割画像を描画する位置によって空き領域に分割画像を描画できないケースが生じることはない。このように、分割数SN及び分割画像サイズSSは、分割画像をどのような配列で空き領域に描画したとしても確実に空き領域に収まるように、適切な値に設定される。
【0115】
一方、上記ステップS4において総数STが総数VTよりも大きいとCPU141に判定された場合(ステップS4:NO)、たとえサブ画像を分割したとしても、サブ画像を構成する全ての画素データを空き領域に描画することは不可能である。このため、CPU141は、総数STが総数VTよりも大きいと判定した場合(ステップS4:NO)、縮小倍率を算出して(ステップS9)、算出した縮小倍率を設定情報としてRAM145に格納する(ステップS10)。そして、ステップS7,S8へ処理が進められて、分割画像サイズSS及び分割数SNが設定される。
【0116】
ここで、縮小倍率の設定方法について説明する。例えばステップS9で縮小倍率が「0.5」に設定された場合、垂直画素数L3が「240」であり水平画素数C3が「320」であるサブ画像(図15(C)の左側の図を参照)が、垂直画素数L3が「120」(=240×0.5)であり水平画素数C3が「160」(=320×0.5)であるサブ画像として、ステップS7,S8の処理が行われる。この場合、描画処理に際して、VRAM_RS1425上で垂直方向11及び水平方向12の画素数を1/2にしたサブ画像が生成されて、そのサブ画像が、分割画像サイズSS及び分割数SNに基づく分割画像として第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画されることになる。そして、これらの分割画像は、垂直方向11及び水平方向12の画素数を2倍にするスケーリング処理(拡大処理)が描画エンジン1424によって行われてからEL表示器6へ出力される。これにより、分割したとしても空き領域に描画できないサブ画像を空き領域に描画することが可能になる。したがって、空き領域サイズに対して画面解像度が大きい画像表示器を備えるパチンコ遊技機において、従来の描画処理ではその画像表示器に画像を表示することができないという問題を、分割画像サイズSS及び分割数SNに加えて縮小倍率を設定することで解決することができる。
【0117】
なお、縮小倍率は、例えば縮小後のサブ画像の総画素数(=垂直画素数×水平画素数)が、空き領域に描画可能な画素データの総数VT以下(好ましくは総数VTより所定数以上小さい値)となるように設定すればよい。これにより、サブ画像を分割画像として空き領域に描画することが可能となる。ただし、縮小倍率を小さくし過ぎると、スケーリング処理の結果としてEL表示器6に表示される画像の画質が低下するおそれがあるので、縮小倍率は、縮小後のサブ画像の総画素数が総数VTを超えない範囲で、できるだけ大きな値に設定することが好ましい。
【0118】
以上説明した図13のフローチャートに基づく設定処理が行われることにより、第1フレームバッファ1426Aへのメイン画像及びサブ画像の描画に際してサブ画像の縮小が必要か否かを示す情報、縮小が必要な場合には縮小倍率、サブ画像の分割が必要か否かを示す情報、分割が必要な場合には分割画像サイズSS及び分割数SN(分割数SN=0の場合は分割数SNのみ)が、設定情報としてRAM145に格納される。後述する描画エンジン1424による2画面表示のための描画処理は、この設定情報に基づいて実行される。
【0119】
CPU141は、液晶表示器5のみを用いた1画面表示を実行する際には、上記設定処理によってRAM145に格納した設定情報を含まない制御信号をVDP142へ出力する。これにより、VRAM_FB1426にメイン画像のみが描画されて、液晶表示器5のみを用いた1画面表示が行われる。一方、液晶表示器5及びEL表示器6を用いた2画面表示を実行する際には、CPU141は、設定情報を含む制御信号をVDP142へ出力する。これにより、VRAM_FB1426にメイン画像及びサブ画像が描画されて、液晶表示器5及びEL表示器6を用いた2画面表示が行われる。このように、CPU141が設定情報を含まない制御信号と設定情報を含む制御信号とを切り替えて出力することにより、VDP142が描画処理を適切に行うことができる。また、上記設定処理が行われることにより、例えばEL表示器6のリユースによってEL画面60の画面解像度、すなわちサブ画像サイズが変化した場合でも、第1フレームバッファ1426A又は第2フレームバッファ1426Bの空き領域へのサブ画像の描画を適切に行うことができる。
【0120】
[メイン処理]
以下、図16及び図4を参照しつつ、演出制御部130で行われる演出のメイン処理について説明する。ここで、図16は、演出制御部130のCPU131によって実行されるメイン処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下では、液晶画面50に既に演出画像が表示されている(液晶画面50による1画面表示が既に行われている)ことを前提として説明する。また、以下では、本実施形態の特徴的な処理と直接的に関連しない処理については、その説明を省略する。また、図16以降のフローチャートに基づいて説明する演出制御部130で行われる処理は、ROM132に記憶されているプログラムに基づいてCPU131自身又はCPU131が発行する命令に従って行われる。
【0121】
まず、ステップS21において、演出制御部130のCPU131は、EL画面60にマスク画像を表示させて液晶画面50の画像の一部をマスクする演出(以下、マスク演出という)の対象である装飾図柄変動演出の実行中か否かを判定する。ここで、マスク演出の対象である装飾図柄変動演出とは、典型的には、大当たり期待度が比較的高い装飾図柄変動演出(リーチ演出やスーパーリーチ演出に発展する装飾図柄変動演出)である。ステップS21での判定がYESの場合、処理はステップS22に移る。一方、ステップS21での判定がNO場合、処理はステップS32に移る。
【0122】
ステップS32において、CPU131は、1画面表示を指示するコマンドを画像音響制御部140へ送信する。これに応じて、画像音響制御部140のCPU141は、メイン画像のみをVRAM_FB1426に描画して液晶表示器5へ出力する処理を描画エンジン1424及び出力回路1427に実行させる。これによって、液晶画面50のみによる1画面表示が実行される。このことから、マスク演出対象の装飾図柄変動演出の実行中ではない期間には、ステップ21でNOと判定され、液晶画面50のみによる1画面表示が継続される。
【0123】
一方、ステップS21でYESと判定された場合、ステップS22において、CPU131は、EL画面60が所定位置に位置するか否かを判定する。ここで、この所定位置とは、液晶画面50に表示されるマスク対象の表示オブジェクト(装飾図柄やキャラクタ等)を、EL画面60に表示されるマスク画像によってマスクできる位置である。このことから、この所定位置は、毎回同じ位置ではなく、装飾図柄変動演出毎に異なるマスク対象の表示オブジェクトの位置に応じて異なる位置である。また、演出制御部130のRAM133には、光センサ56の検知結果に基づいて検出したEL画面60の液晶画面50に対する現在位置を示す位置情報(以下、現在位置情報という)と、EL画面60の液晶画面50に対する上記した所定位置を示す位置情報(以下、目標位置情報という)とが記憶されている。つまり、言い換えると、ステップS22において、CPU131は、現在位置情報が目標位置情報と一致するか否かを判定する。ステップS22での判定がYESの場合、処理はステップS26に移る、一方、ステップS22での判定がNOの場合、処理はステップS23に移る。
【0124】
ステップS23において、CPU131は、EL表示器6を移動させる。具体的には、CPU131は、第1ステッピングモータ29及び第2ステッピングモータ30の駆動を指示するコマンドをランプ制御部150へ送信する。このコマンドには、ステップS22の処理で説明した現在位置情報が示す位置と目標位置情報が示す位置との差分を示す差分情報が含まれている。そして、CPU151は、この差分情報に基づいて第1ステッピングモータ29及び第2ステッピングモータ30の駆動を制御する。これにより、駆動機構10(図7参照)が駆動して、EL表示器6が移動する結果、EL画面60が所定の位置に向かって移動する。その後、処理はステップS24に移る。
【0125】
ステップS24において、CPU131は、ステップS23の処理によって移動したEL表示器6のEL画面60の現在位置情報を更新して、RAM133に記憶させる。具体的には、CPU131は、液晶画面50に設けられた各光センサ56による検知結果(各光センサ56から出力される電気信号の変化)に基づいてEL画面60の最新の位置を検出して、その検出結果に基づいてEL画面60の現在位置情報を書き換える。その後、処理はステップS25に移る。
【0126】
ステップS25において、CPU131は、ステップS32と同様に、1画面表示を指示するコマンドを画像音響制御部140へ送信する。これに応じて、画像音響制御部140のCPU141は、メイン画像のみをVRAM_FB1426に描画して液晶表示器5へ出力する処理を描画エンジン1424及び出力回路1427に実行させる。これによって、液晶画面50のみによる1画面表示が実行される。その後、処理はステップS27に移る。
【0127】
一方、ステップS22でYESと判定された場合、ステップS26において、CPU131は、液晶画面50及びEL画面60による2画面表示を画像音響制御部140に実行させる。具体的には、CPU131は、1つ前のフレームで1画面表示(液晶画面50のみの表示)が行われていた場合には、2画面表示(液晶画面50の演出表示とEL画面60のマスク画像の表示)への切り替えを指示するコマンドを画像音響制御部140へ送信する。また、CPU131は、1つ前のフレームで既に2画面表示が行われていた場合には、この2画面表示の継続を指示するコマンドを画像音響制御部140へ送信する。これに応じて、画像音響制御部140のCPU141は、メイン画像及びサブ画像をVRAM_FB1426に描画して液晶表示器5及びEL表示器6へそれぞれ出力する処理を描画エンジン1424及び出力回路1427に実行させる。これにより、液晶画面50に表示されるマスク対象の表示オブジェクトは、EL画面60に表示されるマスク画像によってマスクされる(図4参照)。その後、処理はステップS27に移る。
【0128】
ステップS27において、CPU131は、ステップS21において判定されたマスク演出対象の装飾図柄変動演出が終了したか否かを判定する。具体的には、CPU131は、画像音響制御部140で行われている演出に関する情報を取得して、マスク演出対象の装飾図柄変動演出が終了したか否かを判定する。ステップS27での判定がYESの場合、処理はステップS28に移る。一方、ステップS27での判定がNOの場合、処理はステップS22に戻る。
【0129】
ここで、ステップS21でYESと判定された場合、まず、ステップS22でNOと判定され、ステップS23、S24、S25、S27、S22の処理が繰り返される。このことによって、EL画面60は、初期位置(図4参照)から、液晶画面50に表示されるマスク対象の表示オブジェクト(装飾図柄やキャラクタ等)の位置まで移動する。そして、ステップS22での判定がYESになり、ステップS26、S27、S22の処理が繰り返される。このことによって、EL画面60にマスク画像が表示されて、液晶画面50のマスク対象の表示オブジェクトがマスクされる。
【0130】
ステップS28において、ステップS32と同様に、CPU131は、1画面表示を指示するコマンドを画像音響制御部140へ送信する。これに応じて、画像音響制御部140のCPU141は、メイン画像のみをVRAM_FB1426に描画して液晶表示器5へ出力する処理を描画エンジン1424及び出力回路1427に実行させる。これによって、液晶画面50及びEL画面60による2画面表示から、液晶画面50のみによる1画面表示に切り替えられる。その後、処理はステップS29に移る。
【0131】
ステップS29において、CPU131は、EL画面60が初期位置に位置するか否かを判定する。なお、この初期位置とは、例えば液晶画面50の左下隅の位置である(図4参照)。演出制御部130のRAM133には、既に説明したように、現在位置情報が記憶されている。また、演出制御部130のROM132には、液晶画面50の初期位置を示す位置情報(以下、初期位置情報という)が記憶されている。つまり、言い換えると、ステップS29において、CPU131は、現在位置情報が示す位置が初期位置情報が示す位置と一致するか否かを判定する。ステップS29での判定がYESの場合、処理はステップS21に戻る。一方、ステップS29での判定がNOの場合、処理はステップS30に移る。
【0132】
ステップS30において、CPU131は、EL表示器6を移動させる。具体的には、CPU131は、第1ステッピングモータ29及び第2ステッピングモータ30の駆動を指示するコマンドをランプ制御部150へ送信する。このコマンドには、ステップS29の処理で説明した現在位置情報が示す位置と初期位置情報が示す位置との差分を示す差分情報が含まれている。そして、CPU151は、この差分情報に基づいて第1ステッピングモータ29及び第2ステッピングモータ30の駆動を制御する。これにより、駆動機構10(図7参照)が駆動して、EL表示器6が移動する結果、EL画面60が初期位置(図4参照)に向かって移動する。その後、処理はステップS31に移る。
【0133】
ステップS31において、CPU131は、ステップS30の処理によって移動したEL表示器6のEL画面60の現在位置情報を更新して、RAM133に記憶させる。具体的には、CPU131は、液晶画面50に設けられた各光センサ56による検知結果(各光センサ56から出力される電気信号の変化)に基づいてEL画面60の最新の位置を検出して、その検出結果に基づいてEL画面60の現在位置情報を書き換える。その後、処理はステップS28に戻る。
【0134】
ここで、ステップS29でNOと判定された場合、まず、ステップS30、S31、S28、S29のルートで処理が繰り返される。このことによって、EL画面60は、液晶画面50に表示されるマスク対象の表示オブジェクト(装飾図柄やキャラクタ等)の位置から初期位置(図4参照)まで移動する。
【0135】
以上に説明したように、演出制御部130のメイン処理において、CPU131は、マスク演出対象の装飾図柄変動演出が開始されると(ステップS21でYES)、EL画面60を移動させ(ステップS23、S24、S25)、マスク対象の表示オブジェクトが位置する所定位置までEL画面60が移動すると(ステップS22でYES)、EL画面60にマスク画像を表示してマスク対象の表示オブジェクトをマスクする。その後、CPU131は、マスク演出対象の装飾図柄変動演出が終了すると(ステップS27でYES)、EL画面60にマスク画像の表示を終了させ(ステップS28)、EL画面60を移動させて初期位置に戻す(ステップS29、S30、S31)。
【0136】
[描画処理]
以下、図17〜図20を参照しつつ、VDP142によって行われる2画面表示のための描画処理について説明する。図17は、VDP142によって実行される2画面表示のための描画処理の一例を示すフローチャートである。図18は、分割数SNが「0」に設定されている場合にVDP142によって行われる2画面表示のための描画処理について説明するための図である。図19は、分割数SNが「4」に設定されている場合にVDP142によって行われる2画面表示のための描画処理について説明するための図である。図20は、分割画像の出力処理について説明するための図である。なお、図17以降のフローチャートに基づいて説明するVDP142で行われる描画処理は、制御用ROM144に記憶されているプログラムに基づいてCPU141自身又はCPU141が生成する制御信号に基づいて行われる。また、以下の説明では、第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bのうち、第1フレームバッファ1426Aを使用して描画処理が行われる場合を例に挙げて説明するが、第2フレームバッファ1426Bを使用した描画処理も第1フレームバッファ1426Aを使用した描画処理と同様に行われる。
【0137】
CPU141からの制御信号がVDP142に入力されると、描画エンジン1424は、図17に示されるように、メイン画像及びサブ画像の描画処理に使用するフレームバッファを選択する(ステップS401)。具体的には、第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bのうち、液晶表示器5又はEL表示器6へ画像を出力しているフレームバッファを特定して、画像を出力していないフレームバッファを今回のフレームの描画処理に使用するフレームバッファとして選択する。
【0138】
ステップS401で例えば第1フレームバッファ1426Aを選択した場合、描画エンジン1424は、液晶表示器5に表示されるメイン画像を第1フレームバッファ1426Aに描画する(ステップS402)。例えば、装飾図柄及びキャラクタ等を示す第1画像と、装飾図柄等の背景を示す背景画像としての第2画像と、文字画像としての第3画像とを画像用ROM148からVRAM_RS1425に読み出して、これらの画像を合成した画像であるメイン画像を第1フレームバッファ1426Aに描画する(図18及び図19参照)。
【0139】
次に、描画エンジン1424は、マスク画像であるサブ画像を生成するために必要な素材データを画像用ROM148から読み出してVRAM_RS1425に格納して、その素材データを用いて、サブ画像(マスク画像)を生成する(ステップS403;図18及び図19参照)。
【0140】
サブ画像を生成すると、描画エンジン1424は、CPU141から出力された制御信号にステップS10(図13参照)の処理によって設定された縮小倍率を示す情報が含まれているか否かに基づいて、縮小倍率が設定されているか否かを判定する(ステップS405)。縮小倍率が設定されていると判定した場合(ステップS405:YES)、描画エンジン1424は、ステップS403の処理で生成されたサブ画像に対して、制御信号から抽出した縮小倍率を示す情報に基づいて、サブ画像の縮小処理を行う(ステップS406)。例えば縮小倍率が「0.5」に設定されている場合、描画エンジン1424は、垂直画素数L3が「240」で水平画素数C3が「320」のサブ画像から垂直画素数L3が「120」(=240×0.5)で水平画素数C3が「160」(=320×0.5)のサブ画像を生成する。
【0141】
描画エンジン1424は、ステップS406の処理を行った場合、又は縮小倍率が設定されていないと判定した場合(ステップS405:NO)、CPU141から出力された制御信号に含まれている分割数SNが「0」であるか否かを判定する(ステップS407)。分割数SNが「0」であると判定した場合(ステップS407:YES)、VRAM_RS1425内のサブ画像を分割することなく第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画することができるので、サブ画像をそのまま空き領域に描画する(ステップS408)。このように、描画エンジン1424は、分割が不要であるとCPU141によって予め判定されている場合には、メイン画像の描画によってできた第1フレームバッファ1426A内の空き領域にサブ画像を分割することなく描画する。
【0142】
図18には、サブ画像が分割されることなく第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画される例が示されている。図18に例示されているように、垂直画素数L2が「600」で水平画素数C2が「800」のメイン画像に対して上述した例(図12参照)とは異なり垂直画素数L1が「840」で水平画素数C1が「1120」であるフレームバッファが用意されている場合、そのフレームバッファの空き領域の最低垂直画素数L4は「240」(=840−600)で、最低水平画素数C4は「320」(=1120−800)であり、サブ画像の垂直画素数L3が最低垂直画素数L4と等しく、且つ水平画素数C3が最低水平画素数C4と等しくなっている。このような場合には、描画エンジン1424は、サブ画像を分割することなく第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画することが可能である。
【0143】
ステップS408の処理を行った場合、描画エンジン1424は、第2フレームバッファ1426Bに格納されている前のフレームの画像を表示する処理が完了して、ステップS402,S408の処理で第1フレームバッファ1426Aに描画した次のフレームの画像を表示するタイミングになったか否かを判定する(ステップS409)。表示タイミングになっていない場合(ステップS409:NO)、処理がステップS409へ戻されて待機状態となる。
【0144】
表示タイミングになったと描画エンジン1424によって判定された場合(ステップS409:YES)、出力回路1427は、図18に示されているように、メイン画像を第1フレームバッファ1426Aから読み出して液晶表示器5へ出力すると共に(ステップS410)、サブ画像を同じく第1フレームバッファ1426Aから読み出してEL表示器6へ出力する(ステップS411)。
【0145】
一方、描画エンジン1424は、CPU141から出力された制御信号に含まれている分割数SNが「0」ではない(2以上の偶数)であると判定した場合(ステップS407:NO)、ステップS403の処理でVRAM_RS1425に生成したサブ画像、又はステップS406の処理で縮小処理したサブ画像を分割画像として第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画する(ステップS413)。
【0146】
図19には、分割数SNが「4」であり、分割画像サイズSSが120×160(垂直画素数×水平画素数)に設定されている場合に(図15(C)の右側の図を参照)、第1フレームバッファ1426Aにメイン画像を描画した場合に生じた空き領域に対して、サブ画像が4個の分割画像(図15(C)参照)として描画される様子が示されている。サブ画像の分割が必要であるとCPU141によって予め判定されている場合、図19に例示されるように、描画エンジン1424は、サブ画像を複数の領域に分割して得られる分割画像(ここでは4個の分割画像)として第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画する。
【0147】
このように、描画エンジン1424は、CPU141によって分割が必要であると判定されて分割画像サイズSS及び分割数SNが予め設定されている場合、その設定に基づいてサブ画像を分割画像として第1フレームバッファ1426Aの空き領域に描画する。
【0148】
分割画像を描画した場合、描画エンジン1424は、ステップS402,S413の処理で第1フレームバッファ1426Aに描画した次のフレームの画像を表示するタイミングになったか否かを判定する(ステップS414)。表示タイミングになっていない場合には(ステップS414:NO)、処理がステップS414へ戻されて待機状態となる。一方、表示タイミングになったと描画エンジン1424によって判定された場合、出力回路1427は、図19に示されるように、メイン画像を第1フレームバッファ1426Aから読み出して液晶表示器5に出力する(ステップS415)。
【0149】
続いて、描画エンジン1424は、CPU141からの制御信号に縮小倍率を示す情報が含まれているか否かに基づいて、縮小倍率が設定されているか否かを判定する(ステップS416)。縮小倍率が設定されていないと描画エンジン1424によって判定された場合(ステップS416:NO)、すなわち図13に例示される設定処理でステップS9,S10の処理が行われておらず、このためステップS406の縮小処理が行われていない場合、出力回路1427は、分割画像を第1フレームバッファ1426Aから読み出して、サブ画像としてEL表示器6に出力する(ステップS417)。
【0150】
ところで、メイン画像は、液晶画面50を構成する画素(カラー液晶素子52)と同じ配列で第1フレームバッファ1426Aに格納されている。このため、メイン画像を構成する各画素データに関しては、そのままの順番で液晶表示器5に出力すればよい。また、サブ画像が分割されることなく第1フレームバッファ1426Aに描画された場合(図18参照)、このサブ画像は、EL画面60を構成する画素と同じ配列で第1フレームバッファ1426Aに格納されている。このため、このサブ画像を構成する各画素データに関しては、そのままの順番でEL表示器6に出力すればよい。
【0151】
これに対して、サブ画像が分割画像として第1フレームバッファ1426Aに描画された場合(図19参照)、このサブ画像は、EL画面60を構成する画素とは異なる配列で第1フレームバッファ1426Aに格納されている。そこで、サブ画像がEL画面60に正しく表示されるように、出力回路1427は、サブ画像を構成する各画素データが本来出力されるべき順序で出力されるように、分割画像を構成する各画素データを読み出す。例えば図19に例示された配列で4個の分割画像が第1フレームバッファ1426Aに格納されている場合、出力回路1427は、図20に示されるように、サブ画像の左上方の領域と同じ表示内容を示す第1分割画像に対して、水平方向12に1ライン分の画素データを読み出して出力する処理と、サブ画像の右上方の領域と同じ表示内容を示す第2分割画像に対して、水平方向12に1ライン分の画素データを読み出して出力する処理とを交互に繰り返す。これにより、サブ画像の上半分に対応する画素データが出力されたことになる。続いて、サブ画像の左下方の領域と同じ表示内容を示す第3分割画像に対して、水平方向12に1ライン分の画素データを読み出して出力する処理と、サブ画像の右下方の領域と同じ表示内容を示す第4分割画像に対して、水平方向12に1ライン分の画素データを読み出して出力する処理とを交互に繰り返す。これにより、分割画像の下半分に対応する画素データが出力されたことになる。
【0152】
このように、出力回路1427は、サブ画像が分割画像として描画された場合であってもそのサブ画像が正しくEL画面60に表示されるように、分割画像の読み出しを行う。
【0153】
一方、縮小倍率が設定されていると描画エンジン1424によって判定された場合(ステップS416:YES)、描画エンジン1424は、分割画像を拡大してから、サブ画像としてEL表示器6に出力する(ステップS418)。具体的には、縮小倍率の逆数を拡大倍率として第1フレームバッファ1426A内の各分割画像に対して拡大処理を行い、拡大処理された分割画像を出力回路1427に出力させる。その結果、EL画面60の画面解像度と同じ画素数の画素データが出力される。例えば縮小倍率が「0.5」に設定されている場合、描画エンジン1424は、拡大倍率を2倍(=1/0.5)に設定する。そして、第1フレームバッファ1426Aに格納されている各分割画像をVRAM_RS上で2倍に拡大して、拡大処理した各分割画像を、サブ画像として出力回路1427に出力させる。
【0154】
ステップS410及びS411の処理、ステップS415及びS417の処理、又はステップS415及びS418の処理が実行されることによって、EL画面60にマスク画像を表示させる2画面表示が実現される。
【0155】
[本実施形態の変形例]
図21は、駆動機構10の変形例について説明するための図である。上記実施形態においては、昇降駆動機構200及びスライド駆動機構220からなる駆動機構10によってEL表示器6が移動する場合について説明したが、EL表示器6は、他の駆動機構によって移動するものであってもよい。例えば、図21(A)に例示されるように、基台601に対して軸605を介して回動可能に連結されたアーム602と、アーム602に対して軸606を介して回動可能に連結されたアーム603と、アーム603に対して軸607を介して回動可能に連結されると共にEL表示器6が固定されたアーム604とを備える駆動機構を用いてもよい。
【0156】
また、図21(B)に例示されるように、アーム701の先端に固定された透明ELディスプレイ700が軸702を中心に回動することによって透明ELディスプレイ700が移動する駆動機構を用いてもよい。この場合、駆動機構10に比べて駆動機構の構成が簡素であるため、パチンコ遊技機1の製造コストを更に低減させることができる。
【0157】
また、本実施形態では、光センサ56の検知結果に基づいてEL画面60の位置を検出する場合について説明したが、これに代えて、第1ステッピングモータ29、及び第2ステッピングモータ30のステップ数に基づいて、EL画面60の位置を検出するようにしてもよい。また、液晶表示器5のバックライトからEL表示器6へ向けて可視光及び紫外光を出射させると共に、EL表示器6のフレーム61からの反射光のうち、紫外光のみを光センサ56側へ透過させるUVフィルタを備える構成を採用して、光センサ56による紫外光の受光結果に基づいてEL表示器6の位置検出を行ってもよい。この場合、不可視光を用いてセンシングが行われるので、ホール照明等の可視光による外乱の影響を低減して、EL表示器6の位置検出の精度を向上させることができる。
【0158】
また、本実施形態では、液晶画面50に表示された装飾図柄やキャラクタ等をマスク画像によってマスクした(図4参照)。しかし、マスク画像は、液晶画面50に表示された装飾図柄やキャラクタ等の一部をマスクしてもよい。
【0159】
また、本実施形態では、EL画面60が所定位置に達したこと(図16のステップS22でYES)を契機として、EL画面60にマスク画像を表示させた(ステップS26)。しかし、EL画面60にマスク画像を表示させるタイミングは、これには限らない。例えば、EL画面60にマスク画像を表示させるタイミングは、マスク演出対象の装飾図柄変動演出が開始した(ステップS21でYES)タイミングであってもよい。また、例えば、EL画面60にマスク画像を表示させるタイミングは、EL画面60が所定位置に達して所定時間(例えば1秒間)経過したタイミングでもよい。また、本実施形態では、マスク演出対象の装飾図柄変動演出が終了したこと(図16のステップS27でYES)を契機として、EL画面60のマスク画像の表示を終了させた(ステップS28)。しかし、EL画面60のマスク画像の表示を終了させるタイミングは、これには限らない。例えば、EL画面60のマスク画像の表示を終了させるタイミングは、マスク演出対象の装飾図柄変動演出の終了前のタイミング(例えば、終了1秒前のタイミング)でもよい。つまり、EL画面60が所定位置に位置する期間の少なくとも一部の期間に、マスク画像がEL画面60に表示されていればよい。
【0160】
また、本実施形態において、マスク画像は、一例として、多数の隙間によって少し液晶画面50が認識できるものとした(図4参照)。つまり、本実施形態において、マスク画像は、液晶画面50を不完全に隠すものとした。しかし、マスク画像は、例えば、全体的に薄く透けていることによって、液晶画面50を不完全に隠すものとしてもよい。
【0161】
また、本実施形態において、マスク画像の透ける程度は、図4に示した程度に限定されない。例えば、マスク画像の透ける程度は、遊技者が一見してマスクされた液晶画面50の画像を認識できる程度でもよいし、遊技者が意識を集中して視て初めてマスクされた液晶画面50の画像を認識できる程度でもよい。更には、マスク画像は、全く透けておらず、マスクされた液晶画面50の画像を完全に隠すものであってもよい(図22参照)。
【0162】
また、更には、マスク画像の透ける程度は、マスク画像の表示中に変化してもよい。この場合、図16のステップS26の処理において、EL画面60に表示されるマスク画像の透ける程度を変化させることとなる。
【0163】
また、マスク画像には、文字や画像等が表示されてもよい(図23参照)。
【0164】
また、本実施形態では、EL画面60として、単色表示する透明なEL画面を例に挙げて説明した。しかし、EL画面60は、複数の色を表示する透明なEL画面でもよい。
【0165】
また、上述したパチンコ遊技機1に設けられている各構成要素の形状、数、及び設置位置等は、単なる一例に過ぎず他の形状、数、及び設置位置であっても、本発明の範囲を逸脱しなければ本発明を実現できることは言うまでもない。また、上述した処理で用いられている数値等は、単なる一例に過ぎず他の数値であっても、本発明を実現できることは言うまでもない。
【0166】
以上、本発明を実施形態を用いて詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語及び技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義も含めて)が優先する。
【0167】
[上記実施形態の作用効果]
上記実施形態では、所定の装飾図柄変動演出(例えば、大当たり期待度の高い装飾図柄変動演出)において、液晶画面50に表示された装飾図柄やキャラクタ等をマスクできる位置にEL表示器6を移動させてEL画面60にマスク画像を表示することによって、この装飾図柄やキャラクタ等をマスクする(図4参照)。
このことによって、移動するEL表示器6のEL画面60にマスク画像が表示されるという遊技者の注意を引きつける効果的な動作が行われるので、遊技者はマスク画像によってマスクされる部分に必然的に注目することとなる。このことから、いずれの部分がマスクされるのかを遊技者が視認し易く、また、遊技者の視線が固定されることを防止した遊技が単調にならない遊技機を提供できる。
【0168】
また、上記実施形態の変形例では、液晶画面50に表示された装飾図柄やキャラクタ等をマスクできる位置にEL表示器6が位置する期間の少なくとも一部の期間に、マスク画像をEL画面60に表示させる。
このことから、マスクが実行されるタイミングや期間を予め設定することによって、マスク対象の装飾図柄やキャラクタ等が視認できるタイミングや期間を設定できる。この結果として、遊技者の注意を引きつける最適なタイミングでマスクの実行や終了をすることができる。
【0169】
また、上記実施形態では、マスク画像は、マスクした液晶画面50に表示された装飾図柄やキャラクタ等を不完全に隠す画像である(図4参照)。
このことによって、遊技者は、マスクされた装飾図柄やキャラクタ等を、注意して見なければ認識できなくなる。この結果として、意外性のある変化を遊技に持たせることができる。また、この結果として、装飾図柄変動演出が大当たり期待度の高いものであるのか等を知るために遊技者はマスク画像に集中する必要があるので、遊技者を遊技に効果的に引きこむことができる。
【0170】
また、上記実施形態の変形例では、マスク画像は、全く透けておらず、マスクされた液晶画面50の画像を完全に隠すものである(図22参照)。
このことによって、遊技者は、いずれの表示オブジェクトがマスクされるのかに注意を注ぎ、また、マスクされた表示オブジェクトが何であったのかが大変気になることとなり、遊技者を遊技に効果的に引きこむことができる。
【0171】
また、上記実施形態の変形例では、マスク画像の透ける程度を、マスク画像の表示中に変化させている。
このことによって、遊技者はマスクされた表示オブジェクトが何であるかに注目し、遊技者を遊技に効果的に引きこむことができる。
【0172】
また、上記実施形態では、サブ画像が第1フレームバッファ1426Aの空き領域に収まるように分割された状態で描画される。
このことによって、必要以上に容量の大きいフレームバッファを設けることなく、液晶画面50に表示されるメイン画像と、EL画面60に表示されるサブ画像とを1個の描画エンジン1424によって1つのフレームバッファ(第1フレームバッファ1426A又は第2フレームバッファ1426B)に描画することが可能となり、その結果、2個の画像表示器を備えることによる製造コストの上昇を抑制することができる。
【0173】
ところで、装飾図柄等を表示するメインの液晶表示器とは別の画像表示器を追加した遊技機を製造する場合、その画像表示器の画面解像度(サブ画像の垂直画素数×水平画素数)は、どのようなサイズの画像表示器が追加されるかによって異なるものと考えられる。上記実施形態によれば、第1フレームバッファ1426Aの空き領域に収まるように分割画像サイズ及び分割数が算出されて、その算出結果に基づいてサブ画像が分割画像として描画される。
このことによって、追加される画像表示器の画面解像度が変化したとしても、第1フレームバッファ1426Aへの描画処理を適切に行うことができる。
【0174】
また、上記実施形態では、メイン画像を描画した後の第1フレームバッファ1426Aの空き領域にサブ画像を分割しなければ描画できない場合にのみサブ画像が分割画像として描画され、分割が不要な場合にはサブ画像が空き領域にそのまま描画される。
このことによって、第1フレームバッファ1426Aの空き領域に対するサブ画像のサイズに応じた適切な描画処理を行うことができる。
【0175】
また、上記実施形態によれば、EL画面60が固定されたEL表示器6のフレーム61の実際の位置を光センサ56が検知することによってEL画面60の位置が検出されるので、例えばステッピングモータ29,30のステップ数に基づいてEL画面60の位置を検出する場合に比べて、EL画面60の位置を正確に検出することができる。その結果、液晶画面50に表示された画像とのズレが少ない最適なサブ画像をEL画面60に表示することができる。
【符号の説明】
【0176】
1 パチンコ遊技機
2 遊技盤
5 液晶表示器
6 EL表示器
10 駆動機構
29 第1ステッピングモータ
30 第2ステッピングモータ
50 液晶画面
52 カラー液晶素子
56 光センサ
60 EL画面
130 演出制御部
131 CPU
140 画像音響制御部
141 CPU
142 VDP
150 ランプ制御部
151 CPU
1424 描画エンジン
1425 VRAM_RS
1426 VRAM_FB
1426A 第1フレームバッファ
1426B 第2フレームバッファ
1427 出力回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者によって遊技される、遊技盤を有する遊技機であって、
前記遊技盤に固定され、第1表示画面を有する第1画像表示器と、
透過型の第2表示画面を有する第2画像表示器と、
前記遊技盤に対して前記第2画像表示器を移動させる駆動手段と、
前記第1表示画面に表示された画像の少なくとも一部をマスクするマスク画像を前記第2表示画面に表示させる表示制御手段とを備える、遊技機。
【請求項2】
前記第2表示画面の位置を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記第2表示画面の位置が所定の位置であるか否かを判定する位置判定手段とを備え、
前記駆動手段は、前記第1表示画面に特定の演出が表示された場合に、前記所定の位置に前記第2表示画面が位置するように前記第2画像表示器を移動させ、
前記表示制御手段は、前記所定の位置に前記第2表示画面が位置する期間の少なくとも一部の期間に、前記マスク画像を前記第2表示画面に表示させる、請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記マスク画像は、マスクした前記第1表示画面の画像を不完全に隠す画像である、請求項1に記載の遊技機。
【請求項4】
前記マスク画像は、マスクした前記第1表示画面の画像を完全に隠す画像である、請求項1に記載の遊技機。
【請求項5】
前記マスク画像は、マスクした前記第1表示画面の画像を透過する程度を変化させて、当該マスクした前記第1表示画面の画像が前記遊技者に見える程度を変化させる、請求項1に記載の遊技機。
【請求項6】
前記表示制御手段は、
前記第1表示画面に表示される画像であるメイン画像をフレームバッファに描画すると共に、前記第2表示画面に表示されるマスク画像を複数の領域に分割して得られる分割画像として前記フレームバッファの空き領域に描画する描画手段と、
前記メイン画像を前記フレームバッファから読み出して前記第1画像表示器に出力すると共に、前記分割画像を当該フレームバッファから読み出して前記マスク画像として前記第2画像表示器に出力する出力手段とを含む、請求項1に記載の遊技機。
【請求項7】
前記空き領域のサイズ及び前記マスク画像のサイズに基づいて、前記分割画像のサイズ、及び当該マスク画像を構成する前記分割画像の数を示す分割数を算出する算出手段を備え、
前記描画手段は、前記算出手段によって算出された分割画像のサイズ及び分割数の画像を前記分割画像として前記空き領域に描画する、請求項6に記載の遊技機。
【請求項8】
前記空き領域のサイズ及び前記マスク画像のサイズに基づいて、当該マスク画像を前記空き領域に描画するために分割が必要か否かを判定する分割判定手段を備え、
前記描画手段は、前記分割判定手段によって分割が必要と判定された場合に前記マスク画像を前記分割画像として前記空き領域に描画し、前記分割判定手段によって分割が不要と判定された場合には前記マスク画像を分割することなく前記空き領域に描画し、
前記出力手段は、前記第2画像表示器に対して、前記分割画像を前記フレームバッファから読み出して前記マスク画像として出力する処理、又は前記マスク画像を前記フレームバッファから読み出して出力する処理を行う、請求項6に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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