説明

遊技機

【課題】大当り状態を誤報知する可能性がない遊技機を提供する。
【解決手段】
画像演出を実行する画像制御部は、一連の画像演出が終了するまでに、抽選結果に対応する停止図柄を決定してメモリの図柄領域に記憶した後、記憶完了フラグをON状態に設定する第一処理(ST48)と、CPUがリセットされた場合に機能して、所定のメモリ領域の格納データの正当性を判定することでCPUリセットの理由が電源投入によるものか否かを判定する第二処理(ST10)と、電源投入によるCPUリセットでない判定される場合において所定条件が成立すると、画像演出の進行を管理するメモリの記憶内容をクリアすることなく維持する第三処理(ST19)と、記憶完了フラグを判定して、これがOFF状態であれば、図柄領域に外れ状態の停止図柄を記憶する第四処理(ST24)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技動作に起因する抽選処理によって大当り状態を発生させる遊技機に関し、特に、CPUの異常リセット時にホットスタート処理を実行しても、大当り状態を誤報知する可能性のない遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機などの弾球遊技機は、遊技盤に設けた図柄始動口と、複数の表示図柄による一連の図柄変動態様を表示する図柄表示部と、開閉板が開閉される大入賞口などを備えて構成されている。そして、図柄始動口に設けられた検出スイッチが遊技球の通過を検出すると入賞状態となり、遊技球が賞球として払出された後、図柄表示部では表示図柄が所定時間変動される。その後、7・7・7などの所定の態様で図柄が停止すると大当り状態となり、大入賞口が繰返し開放されて、遊技者に有利な遊技状態を発生させている。
【0003】
このような遊技状態を発生させるか否かは、図柄始動口に遊技球が入賞したことを条件に実行される大当り抽選で決定されており、上記の図柄変動動作は、この抽選結果を踏まえたものとなっている。例えば、抽選結果が当選状態である場合には、リーチアクションなどと称される演出動作を20秒前後実行し、その後、特別図柄を整列させている。一方、ハズレ状態の場合にも、同様のリーチアクションが実行されることがあり、この場合には、遊技者は、大当り状態になることを強く念じつつ演出動作の推移を注視することになる。そして、図柄変動動作の終了時に、停止ラインに所定図柄が揃えば、大当り状態であることが遊技者に保証されたことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−110251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、昨今の遊技機では、その消費電力が益々増加しているので、例えば、電源設備の容量不足など基づき、交流電源が不安定な場合や、制御回路周辺のノイズレベルが高い場合には、CPUが異常リセットされることがある。
【0006】
このような場合、電源投入時と同様に、RAMの全領域をクリアするコールドスタート処理を実行し、初期状態から演出動作を開始しても良いが、このような制御を採ると、突然、遊技動作が初期状態に戻ることになり、せっかく盛り上がった遊技者の気持ちを白けさせてしまい、その遊技機に対する愛着を失うことにもなり兼ねない。
【0007】
そこで、CPUの異常リセット時にも、画一的にコールドスタート処理を実行するのではなく、RAMの記憶内容を維持して、可能な限り演出動作を継続するホットスタート処理を実行することが考えられる。
【0008】
しかし、ホットスタート処理を実行する場合には、適切な制御手法を採らないと、CPUの異常リセット後に、大当り抽選結果と矛盾する停止図柄が揃う可能性がある。例えば、変動開始前に停止図柄を決定してRAMのワークエリアに格納し、変動停止時にワークエリアの停止図柄を読み出して表示する構成を採る場合には、格納処理の途中でCPUがホットスタートされると不合理な停止図柄を読み出す可能性がある。
【0009】
この点を更に具体的に説明すると、前回の停止図柄が、例えば、外れ状態の「5・4・5」であって、今回の停止図柄が、外れ状態の「5・5・2」であった場合に、今回の左図柄(=5)と中図柄(=5)とがワークエリアに格納(上書き)されたタイミングで、CPUがホットスタートされて遊技動作が再開されると、今回の左図柄(=5)と、今回の中図柄(=5)と、前回の右図柄(=5)とが停止ラインに揃うことになり、その後に大当り状態に移行しないにも拘らず、大当り状態を報知することになり、遊技ホールとのトラブルになり兼ねない事態が招来する。
【0010】
ここで、大当り状態を誤報知しないための対策はあるものの(例えば、特許文献1)、特許文献1の手法では、上記のトラブルを避けることができない。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、交流電源が不安定な場合や、制御回路周辺のノイズレベルが高い場合にも、大当り状態を誤報知する可能性がない遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明は、所定のスイッチ信号に起因する抽選処理を実行し、その抽選結果に対応した一連の画像演出を経た後の図柄表示によって抽選結果を報知し、抽選結果が当選状態であれば、遊技者に有利な遊技状態に移行させる遊技機であって、前記画像演出を実行する画像制御部は、一連の画像演出が終了するまでに、抽選結果に対応する停止図柄を決定してメモリの図柄領域に記憶した後、記憶完了フラグをON状態に設定する第一手段と、CPUがリセットされた場合に機能して、所定のメモリ領域の格納データの正当性を判定することでCPUリセットの理由が電源投入によるものか否かを判定する第二手段と、第二手段によって、電源投入によるCPUリセットでない判定される場合において所定条件が成立すると、画像演出の進行を管理するメモリの記憶内容をクリアすることなく維持する第三手段と、第三手段が機能する場合に記憶完了フラグを判定して、これがOFF状態であれば、前記図柄領域に外れ状態の停止図柄を記憶する第四手段と、を有して構成されている。
【0013】
好ましくは、第三手段が機能する毎に更新される異常カウンタを設け、この異常カウンタの値が所定値未満であれば、前記所定条件が成立すると認定されるべきである。また、前記画像制御部の動作は、第一手段が機能する無限ループ処理と、第二手段ないし第四手段が機能する初期処理と、を有して構成され、前記無限ループ処理は、所定時間間隔で繰り返されているのが好適である。
【0014】
また、第一手段は、一連の画像演出の開始前に機能するよう構成されているのが好適であり、前記記憶完了フラグは、一連の画像演出の終了時にOFF状態に設定されるよう構成されているのが好適である。
【0015】
前記無限ループ処理では、所定時間毎に、異常カウンタが初期状態に戻されているのが好適であり、第二手段は、メモリの記憶内容に基づいて、電源投入によるCPUリセットであるか否かを判定するのが好適である。この場合、第二手段は、メモリの複数領域の記憶内容が各々所定値であるか否かを判定しており、各々、所定値である場合に、第三手段が機能するよう構成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
上記した通り、本発明によれば、CPUの異常リセット後に、ホットスタート処理を実行しても、大当り状態を誤報知することがない遊技機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例に示すパチンコ機の斜視図である。
【図2】図1のパチンコ機の遊技盤を図示した正面図である。
【図3】図1のパチンコ機の全体構成を示すブロック図である。
【図4】演出制御部の回路構成を示すブロック図である。
【図5】演出制御部の処理を説明するフローチャートである。
【図6】画像制御部の処理を説明するフローチャートである。
【図7】図6の一部を詳細に説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、本実施例のパチンコ機GMを示す斜視図である。このパチンコ機GMは、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が、裏側からではなく、表側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。
【0019】
ガラス扉6の外周には、LEDランプなどによる電飾ランプが、略C字状に配置されている。一方、ガラス扉6の下側には、スピーカが配置されている。
【0020】
前面板7には、発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠3の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータと連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
【0021】
上皿8の外周面には、チャンスボタン11が設けられている。このチャンスボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくチャンスボタン11を操作できる。このチャンスボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態がボタンチャンス状態となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。なお、ボタンチャンス状態は、必要に応じて設けられるゲーム状態である。
【0022】
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部と、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチとが設けられている。
【0023】
図2に示すように、遊技盤5の表面には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その略中央には、背面側に延びる中央開口HOが設けられている。そして、中央開口HOの奥底には、液晶カラーディスプレイで構成された表示装置DISPが配置されている。
【0024】
遊技領域5aの適所には、図柄始動口15、大入賞口16、普通入賞口17、ゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
【0025】
表示装置DISPは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この表示装置DISPは、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部19を有している。そして、特別図柄表示部Da〜Dcでは、大当り状態の招来を期待させるリーチ演出が実行されたり、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、当否結果を不確定に報知する予告演出などが実行される。
【0026】
普通図柄表示部19は普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。
【0027】
図柄始動口15は、左右一対の開閉爪を備えた電動式チューリップで開閉されるように構成され、普通図柄表示部19の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、開閉爪が所定時間だけ、若しくは、所定個数の遊技球を検出するまで開放されるようになっている。
【0028】
図柄始動口15に遊技球が入賞すると、特別図柄表示部Da〜Dcにおいて停止状態にあった前回の停止図柄が変動動作を開始し、所定時間後に図柄始動口15への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する。なお、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、一連の画像演出の間に、予告演出が実行される場合がある。
【0029】
大入賞口16は、例えば前方に開放可能な開閉板16aで開閉制御されるが、特別図柄表示部Da〜Dcの図柄変動後の停止図柄が「7・7・7」などの大当り図柄のとき、「大当りゲーム」と称する特別遊技が開始され、開閉板16aが開放されるようになっている。
【0030】
大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このような動作は、最大で例えば15回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、特別図柄表示部Da〜Dcの変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態(確変状態)となるという特典が付与される。
【0031】
図3は、上記した各動作を実現するパチンコ機GMの全体回路構成を示すブロック図である。図中の一点破線は、主に、直流電圧ラインを示している。
【0032】
図示の通り、このパチンコ機GMは、AC24Vを受けて各種の直流電圧や、電源異常信号ABN1、ABN2やシステムリセット信号(電源リセット信号)SYSなどを出力する電源基板20と、遊技制御動作を中心統括的に担う主制御基板21と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいてランプ演出及び音声演出を実行する演出制御基板22と、演出制御基板22から受けた制御コマンドCMD’に基づいて表示装置DISPを駆動する画像制御基板23と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMD”に基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板24と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板25と、を中心に構成されている。
【0033】
但し、この実施例では、主制御基板21が出力する制御コマンドCMDは、コマンド中継基板26と演出インタフェイス基板27を経由して、演出制御基板22に伝送される。また、演出制御基板22が出力する制御コマンドCMD’は、演出インタフェイス基板27を経由して、画像制御基板23に伝送され、主制御基板21が出力する制御コマンドCMD”は、主基板中継基板28を経由して、払出制御基板24に伝送される。
【0034】
これら主制御基板21、演出制御基板22、画像制御基板23、及び払出制御基板24には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路がそれぞれ搭載されている。そこで、これらの制御基板21〜24に搭載された回路、及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、本明細書では、主制御部21、演出制御部22、画像制御部23、及び払出制御部24と言うことがある。なお、演出制御部22、画像制御部23、及び払出制御部24の全部又は一部がサブ制御部である。
【0035】
ところで、このパチンコ機GMは、図3の破線で囲む枠側部材GM1と、遊技盤5の背面に固定された盤側部材GM2とに大別されている。枠側部材GM1には、ガラス扉6や前面板7が枢着された前枠3と、その外側の木製外枠1とが含まれており、機種の変更に拘わらず、長期間にわたって遊技ホールに固定的に設置される。一方、盤側部材GM2は、機種変更に対応して交換され、新たな盤側部材GM2が、元の盤側部材の代わりに枠側部材GM1に取り付けられる。なお、枠側部材1を除く全てが、盤側部材GM2である。
【0036】
図3の破線枠に示す通り、枠側部材GM1には、電源基板20と、払出制御基板24と、発射制御基板25と、枠中継基板32とが含まれており、これらの回路基板が、前枠3の適所に各々固定されている。一方、遊技盤5の背面には、主制御基板21、演出制御基板22、画像制御基板23が、表示装置DISPやその他の回路基板と共に固定されている。そして、枠側部材GM1と盤側部材GM2とは、一箇所に集中配置された接続コネクタC1〜C4によって電気的に接続されている。
【0037】
電源基板20は、接続コネクタC2を通して、主基板中継基板28に接続され、接続コネクタC3を通して、電源中継基板30に接続されている。電源基板20には、交流電源の投入と遮断とを監視する電源監視部MNTが設けられている。電源監視部MNTは、交流電源が投入されたことを検知すると、所定時間だけシステムリセット信号SYSをLレベルに維持した後に、これをHレベルに遷移させる。
【0038】
また、電源監視部MNTは、交流電源の遮断を検知すると、電源異常信号ABN1,ABN2を、直ちにLレベルに遷移させる。なお、電源異常信号ABN1,ABN2は、電源投入後に速やかにHレベルとなる。
【0039】
ところで、本実施例のシステムリセット信号は、交流電源に基づく直流電源によって生成されている。そのため、交流電源の投入(通常は電源スイッチのON)を検知してHレベルに増加した後は、直流電源電圧が異常レベルまで低下しない限り、Hレベルを維持する。したがって、直流電源電圧が維持された状態で、交流電源が瞬停状態となっても、システムリセット信号SYSがCPUをリセットすることはない。なお、電源異常信号ABN1,ABN2は、交流電源の瞬停状態でも出力される。
【0040】
主基板中継基板28は、電源基板20から出力される電源異常信号ABN1、バックアップ電源BAK、及びDC5V,DC12V,DC32Vを、そのまま主制御部21に出力している。一方、電源中継基板30は、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYSや、交流及び直流の電源電圧を、そのまま演出インタフェイス基板27に出力している。なお、演出インタフェイス基板27は、受けたシステムリセット信号SYSを、そのまま演出制御部22と画像制御部23に出力している。
【0041】
一方、払出制御基板24は、中継基板を介することなく、電源基板20に直結されており、主制御部21が受けると同様の電源異常信号ABN2や、バックアップ電源BAKを、その他の電源電圧と共に直接的に受けている。
【0042】
電源基板20が出力するシステムリセット信号SYSは、電源基板20に交流電源24Vが投入されたことを示す電源リセット信号であり、この電源リセット信号によって演出制御部22と画像制御部23のワンチップマイコンは、その他のIC素子と共に電源リセットされるようになっている。
【0043】
但し、このシステムリセット信号SYSは、主制御部21と払出制御部24には、供給されておらず、各々の回路基板21,24のリセット回路RSTにおいて電源リセット信号(CPUリセット信号)が生成されている。そのため、例えば、接続コネクタC2がガタついたり、或いは、配線ケーブルにノイズが重畳しても、主制御部21や払出制御部24のCPUが異常リセットされるおそれはない。なお、演出制御部22と画像制御部23は、主制御部21からの制御コマンドに基づいて、従属的に演出動作を実行することから、回路構成の複雑化を回避するために、電源基板20から出力されるシステムリセット信号SYSを利用している。
【0044】
ところで、主制御部21や払出制御部24に設けられたリセット回路RSTは、各々ウォッチドッグタイマを内蔵しており、各制御部21,24のCPUから、定時的なクリアパルスを受けない限り、各CPUは強制的にリセットされる。
【0045】
また、この実施例では、RAMクリア信号CLRは、主制御部21で生成されて主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンに伝送されている。ここで、RAMクリア信号CLRは、各制御部21,24のワンチップマイコンの内蔵RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、係員が操作する初期化スイッチSWのON/OFF状態に対応した値を有している。
【0046】
主制御部21及び払出制御部24は、電源基板20から電源異常信号ABN1,ABN2を受けることによって、停電や営業終了に先立って、必要な終了処理を開始するようになっている。また、バックアップ電源BAKは、営業終了や停電により交流電源24Vが遮断された後も、主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンの内蔵RAMのデータを保持するDC5Vの直流電源である。したがって、主制御部21と払出制御部25は、電源遮断前の遊技動作を電源投入後に再開できることになる(電源バックアップ機能)。このパチンコ機では少なくとも数日は、各ワンチップマイコンのRAMの記憶内容が保持されるよう設計されている。
【0047】
図3に示す通り、主制御部21は、主基板中継基板28を経由して、払出制御部25に制御コマンドCMD”を送信する一方、払出制御部25からは、遊技球の払出動作を示す賞球計数信号や、払出動作の異常に係わるステイタス信号CONや、動作開始信号BGNを受信している。ステイタス信号CONには、例えば、補給切れ信号、払出不足エラー信号、下皿満杯信号が含まれる。動作開始信号BGNは、電源投入後、払出制御部21の初期動作が完了したことを主制御部21に通知する信号である。
【0048】
また、主制御部21は、遊技盤中継基板29を経由して、遊技盤5の各遊技部品に接続されている。そして、遊技盤上の各入賞口16〜18に内蔵された検出スイッチのスイッチ信号を受ける一方、電動チューリップなどのソレノイド類を駆動している。ソレノイド類や検出スイッチは、主制御部21から給電された電源電圧VB(12V)で動作するよう構成されている。そして、図柄始動口15への入賞状態などを示す各スイッチ信号は、電源電圧VB(12V)と電源電圧Vcc(5V)とで動作するインタフェイスICで、TTLレベルのスイッチ信号に変換された上で、主制御部21に伝送される。
【0049】
図4に示すように、演出制御部22は、音声演出・ランプ演出・演出可動体による予告演出・データ転送などの処理を実行するワンチップマイコン40と、ワンチップマイコン40の制御プログラムなどを記憶するEPROM41と、ワンチップマイコン40からの指示に基づいて音声信号を再生して出力する音声再生出力回路42と、再生される音声信号の元データである圧縮音声データを記憶する音声用メモリ43と、ウォッチドッグタイマWDTとを備えて構成されている。
【0050】
ワンチップマイコン40には、パラレル入出力ポートPIOが内蔵されている。そして、パラレルポートPIOからは、制御コマンドCMD’及びストローブ信号STB’が出力されている。
【0051】
ウォッチドッグタイマWDTは、ワンチップマイコン40から定期的に供給されるクリアパルスでリセットされるが、プログラムの暴走などによって、このクリアパルスが途絶えると、リセット信号RESETを出力するようになっている。その結果、ワンチップマイコン40は、初期状態に強制的にリセットされ、プログラムの暴走状態などが解消される。
【0052】
図4に示す通り、演出制御基板22のワンチップマイコン40には、主制御基板21から出力された制御コマンドCMDとストローブ信号(割込み信号)STBとが、演出インタフェイス基板27のバッファ48を経由して供給されている。割込み信号STBは、ワンチップマイコンの割込み端子INTに供給されている。そして、ストローブ信号STBによって起動される受信割込み処理によって、演出制御部22は、制御コマンドCMDを取得することになる。
【0053】
演出制御部22が取得する制御コマンドCMDには、(1)異常報知その他の報知用制御コマンドなどの他に、(2)図柄始動口への入賞に起因する各種演出動作の概要特定する制御コマンド(変動パターンコマンド)や、図柄種別を指定する制御コマンド(図柄指定コマンド)が含まれている。ここで、変動パターンコマンドで特定される演出動作の概要には、演出開始から演出終了までの演出総時間と、大当たり抽選における当否結果とが含まれている。又、図柄指定コマンドには、大当たり抽選の結果に応じて大当たりの場合には、大当たり種別に関する情報(15R確変、2R確変、15R通常、2R通常など)やハズレの場合には、ハズレを特定する情報が含まれている。変動パターンコマンドで特定される演出動作の概要には、演出開始から演出終了までの演出総時間と、大当り抽選における当否結果とが含まれている。なお、これらに加えて、リーチ演出や予告演出の有無などを含めて変動パターンコマンドで特定しても良いが、この場合でも、演出内容の具体的な内容は特定されていない。
【0054】
そのため、演出制御部22では、変動パターンコマンドを取得すると、これに続いて演出抽選を行い、取得した変動パターンコマンドで特定される演出概要を更に具体化している。尚、図柄指定コマンドは演出制御部22では取得するもののそのまま画像制御部23に転送するようにしている。
【0055】
例えば、リーチ演出や予告演出について、その具体的な内容が決定される。そして、決定された具体的な遊技内容にしたがい、LED群などの点滅によるランプ演出や、スピーカによる音声演出の準備動作を行うと共に、液晶制御部23に対して、ランプやスピーカによる演出動作に同期した画像演出に関する制御コマンドCMD’を出力する。
【0056】
このような演出動作に同期した画像演出を実現するため、演出制御部22は、液晶制御部23に対するストローブ信号(割込み信号)STB’と共に、制御コマンドCMD’を演出インタフェイス基板27に向けて出力する。なお、演出制御部22は、表示装置に関連する報知用制御コマンドや、その他の制御コマンドを受信した場合は、その制御コマンドを、そのまま割込み信号STB’と共に演出インタフェイス基板27に向けて出力する。
【0057】
上記した演出制御基板22の構成に対応して、演出インタフェイス基板27は、8ビット長の制御コマンドCMD’と1ビット長の割込み信号STB’を受けるよう構成されている。そして、これらのデータCMD’,STB’は、バッファ回路46を経由して、そのまま液晶制御基板23に出力される。また、演出インタフェイス基板27は、演出制御部22から出力されるランプ駆動用の信号を受け、これを、ランプ接続基板34を経由してLEDランプ群に供給する。その結果、主制御部21が出力した制御コマンドCMDに対応するランプ演出が実現される。
【0058】
また、画像制御部23は、演出インタフェイス基板27を経由して制御コマンドを受信して画像制御動作を実行するワンチップマイコン50と、ワンチップマイコン50の指示に基づき表示装置DISPを駆動するVDP51と、グラフィックROM52と、制御用ROM53と、ワンチップマイコン50を強制リセットさせるウォッチドッグタイマWDTとを有して構成されている。
【0059】
そして、ノイズなどの影響で、ワンチップマイコン50のCPUが暴走状態になると、ウォッチドッグタイマWDTが起動してCPUが異常リセットされる。また、ノイズなどの影響で、CPUのリセット端子がLレベルに降下してCPUが異常リセットされる可能性もある。
【0060】
一方、システムリセット信号SYSは、演出インタフェイス基板27を経由して、演出制御部22と画像制御部23のワンチップマイコンの内蔵CPUのリセット端子RESETに供給されており、交流電源の投入時には、各CPUが電源リセットされる。
【0061】
図5は、主制御部21から受ける制御コマンドに基づいて演出動作を実行する演出制御部22の動作を説明するフローチャートである。図示の通り、演出制御部22は、CPUがリセットされて開始されるメイン処理(a)と、ストローブ信号STBによって起動される受信割込み処理(b)と、10mS毎に起動される第1タイマ割込み処理(c)と、2mS毎に起動される第2タイマ割込み処理(d)と、を含んで構成されている。
【0062】
図5(d)に示す通り、第2タイマ割込み処理では、電飾ランプを駆動するランプ演出処理(ST83)と、必要に応じて演出可動体AMUを駆動する演出モータ処理(ST84)とが2mS毎に実行される。
【0063】
図5(a)に示す通り、メイン処理(CPUリセット処理)では、ワンチップマイコン40内部の初期設定を実行した後(ST60)、バックアップ判定処理を実行する(ST61)。バックアップ判定処理とは、バックアップ処理(ST78)において保存されたデータの正当性を判定する処理である。バックアップ処理(ST78)において保存されるデータは、特に限定されないが、例えば、(1)RAM領域の所定データに対するチェックサム演算のサム値、(2)RAM領域に離散的に保存された特定データ、(3)RAM領域の所定データを別の領域に保存したバックアップデータなどを例示することができる。
【0064】
このようなバックアップデータについての判定において、正当性が確認できない場合には、RAMの全領域を初期化することで、演出制御部22をコールドスタートさせるべくステップST63の処理に移行させる(ST62)。
【0065】
ところで、主制御部21や払出制御部24と異なり、演出制御部22にはバックアップ電源が設けられていないので、バックアップ判定処理(ST61)において、正当データが検出できる可能性がないとも思われる。しかし、CPUがリセットされるのは、電源投入に対応する電源リセット時だけでなく、ノイズやウォッチドッグタイマによってCPUリセット信号がアクティブレベルとなる異常リセット時もある。
【0066】
そこで、本実施例では、CPUの異常リセット時に、可能な限り、それまでの遊技動作を継続して、演出制御部22の動作をホットスタートさせるべく、バックアップ判定処理(ST61〜ST62)を設けている。
【0067】
但し、バックアップ判定処理(ST78)では全てのデータを判定する訳ではないので、CPUが繰り返し異常リセットされる場合には、演出制御部22の動作を初期状態に戻すべきである。そこで、異常リセット回数をカウントするべく異常カウンタをインクリメント(+1)処理し(ST64)、異常カウンタの値が所定値(例えば2)を超えた場合には、コールドスタートさせるべくステップST63のRAMクリア処理に移行させている(ST65)。
【0068】
以上の通り、CPUが異常リセットされた場合でも、バックアップ判定(ST61)で正当判定され、且つ、異常リセット回数が所定値以下であれば、演出制御部22がホットスタートされて、それまでの遊技動作が継続される。
【0069】
次に、演出制御部22が、ホットスタートしたか、コールドスタートしたかに拘わらず、適宜に移動して予告演出などを実行する役物について、その動作位置を初期設定する(ST66)。そして、音声再生出力回路(音声再生IC)42について、必要な初期設定を実行する(ST67)。その後、ワンチップマイコン40のCPUを割込み許可状態に設定した後(ST68)、乱数値を更新しつつ(ST69)10mS間隔のタイマ割込みを待機する(ST70)。なお、更新される乱数値は、演出動作をランダム化するために演出抽選処理において使用される。
【0070】
図5(c)に示す通り、10mS間隔でタイマ割込みが生じる毎に、割込みフラグがセットされるので(ST82)、メイン処理のステップST70の処理では、割込みフラグがONになるのを繰り返しチェックする。そして、割込みフラグがONとなると、これをOFFにリセットした後に、タイマ更新処理を実行する(ST71)。
【0071】
続いて、受信割込み処理(図5(b))で受信された制御コマンド(受信コマンド)について、コマンド解析処理が実行される(ST72)。なお、受信コマンドには、変動パターンコマンドの他に、図柄変動動作の停止タイミングを規定する停止コマンドなどが含まれている。
【0072】
そして、新規に受信した制御コマンドが、変動パターンコマンドである場合には、演出抽選を実行して、抽選結果によって特定される演出コマンドを画像制御部23に送信する共に、演出コマンドによって特定される演出動作を開始するべく必要なフラグ設定処理を実行する。一方、停止コマンドを受信した場合には、これを画像制御部23に転送する共に、演出停止のための必要なフラグ設定処理を実行する。
【0073】
このような内容のコマンド解析処理(ST72)が終われば、次にエラー処理(ST73)や、チャンスボタン11についての入力処理(ST74)を、必要に応じて実行する。また、ランプ演出(ST83)や演出モータ処理(ST84)や音声演出(ST76)についての演出シナリオを作成又は更新する(ST75)。次に、作成または更新された演出シナリオに基づいた音声演出が実行される(ST76)。
【0074】
続いて、ウォッチドッグタイマWDTのクリア処理(ST77)とバックアップ処理(ST78)を実行した後にステップST68の処理に移行する。なお、バックアップ処理としては、例えば、チェックサム演算だけでなく、特定データを離散的に保存する処理や、ワーク領域の全データのバックアップ保存する処理などが例示される。
【0075】
以上、演出制御部22について詳細に説明したので、次に、画像制御部23の動作について説明する。画像制御部23は、CPUがリセットされて開始されるメイン処理(図6(a)と、ストローブ信号STB’によって起動される受信割込み処理(不図示)と、を含んで構成されている。
【0076】
図6(a)に示す通り、CPUがリセットされて開始されるメイン処理では、先ず、初期化処理が実行される(ST1)。なお、CPUリセットには、電源リセットだけでなく、ノイズやウォッチドッグタイマWDTによって、CPUリセット信号がアクティブレベルとなる異常リセットも含まれる。
【0077】
初期化処理の具体的内容は、図6(b)に示す通りであり、先ず、CPUリセットが、電源投入によるものか否かが判定される(ST10)。電源投入か否かの判定は適宜であるが、例えば、所定個数のキーデータが、RAMの該当の記憶領域に記憶済みか否かによって判定される。電源投入時はRAMの値が不定となっているため、予め定められたキーデータが保存されていないと思われる。そこで本実施例では、このような特定のRAMにおけるデータ保持状態を判定することを電源投入か否かの判定と同義であると解している。
【0078】
一方、電源投入時ではなく、CPUが異常リセットされたと判定される場合、即ちRAMのキーデータは予め定められた値であるが、異常リセットにより本処理が再び実行された場合には、次に、異常カウンタの値が判定され(ST11)、もし異常カウンタの値が3以上であれば、ステップST12〜ST17に示すコールドスタート処理が実行される。
【0079】
具体的には、先ず、ワンチップマイコン50の各部が初期化され(ST12)、RAMのCPU用ワークエリアがゼロクリアされる(ST13)。CPUのワークエリアには、一連の画像演出(図柄変動動作)を管理するフラグ値やカウンタ値が確保されているので、これらがゼロクリアされることで、画像演出は完全に初期化される。
【0080】
次に、VDP51の動作を規定するフラグ値やカウンタ値が格納されているVDP用ワークエリアについても、全てがゼロクリアされ、VDP51の内部レジスタや、VRAM(Video RAM)や、その他についても初期化される(ST14〜ST17)。その結果、表示装置DISPは、電源投入時と全く同じ初期状態の表示内容となる。
【0081】
一方、ステップST11の判定において、異常カウンタの値が3未満であれば、上記したコールドスタート処理に代えて、ステップST18〜ST24に示すホットスタート処理が実行される。
【0082】
ホットスタート処理では、先ず、異常カウンタがインクリメント(+1)され(ST18)、ワンチップマイコン50の各部が初期化される(ST19)。但し、CPUのワークエリアは、ゼロクリアされることなく、CPUリセット前のデータがそのまま維持される。
【0083】
VDP51についても同様であり、VDP用ワークエリアをゼロクリアすることなく、内部レジスタなどが初期化される(ST20)。但し、VRAMは初期化されるので(ST21)、表示装置DISPについては、CPUリセット前の画面が、とりあえず一瞬だけ消滅する。もっとも、ホットスタートによって画像演出が再開されると、それまでの画像演出に継続する画像演出が再開される。
【0084】
次に、記憶完了フラグFGの値を取得して、これがON状態かOFF状態かが判定される(ST22〜ST23)。記憶完了フラグFGとは、図柄指定コマンドに基づき画像制御部23における図柄抽選(ST41,ST43,ST44)で決定された左・中・右の停止図柄データを、三区画された所定の図柄領域WK1〜WK3(CPU用ワークエリア)に格納し終わったか否かを示すもので、ステップST48の処理でON設定され、ステップST51の処理でOFF設定される。・
したがって、記憶完了フラグFGがOFF状態であれば、変動停止処理(ST30)の後、変動開始処理(ST31)においてステップST48の処理を完了するまでに、CPUが異常リセットされたことになる。そこで、このような場合には、安全のため、図柄領域WK1〜WK3に、外れ状態の停止図柄データを上書き保存する(ST24)。特に限定されるものではないが、左・中・右の停止図柄として、この実施例では「2・4・6」の停止図柄データが格納される。
【0085】
一方、記憶完了フラグFGがON状態であれば、図柄領域WK1〜WK3の停止図柄データを信頼することができるので、何もしないで初期化処理を終える。
【0086】
以上のような初期化処理(ST1)が終われば、ウォッチドッグタイマをクリアした上で(ST2)、画像演出の進行を管理する各種のタイマを更新し(ST3)、演出制御部22から伝送された制御コマンドCMD’について、コマンド解析処理を実行する(ST4)。演出制御部22から伝送される制御コマンドCMD’(演出コマンドを含む)は、不図示の受信割込み処理によって取得され受信バッファに格納されている。
【0087】
そこで、新規に受信した制御コマンドCMD’の種別を解析した上で(ST4)、その制御コマンド種別に対応するコマンド別処理が実行される(ST5)。図7(a)は、コマンド別処理(ST5)の一部を図示したものであり、停止コマンド受信時に実行される変動停止処理(ST30)、変動パターンコマンドCMDに対応する演出コマンド受信時に実行される変動開始処理(ST31)、予告コマンド受信時に実行される予告処理(ST32)、大当り状態の演出を開始するための大当り開始処理(ST33)などが含まれている。
【0088】
変動開始処理(ST31)では、演出制御部22から受信した演出コマンドCMD’に基づいて、大当り状態か否か(ST40)、リーチ演出を伴う外れ状態か否か(ST42)が判定され、この判定結果に対応した図柄抽選処理が実行される(ST41,ST43,ST44)。
【0089】
具体的には、大当り状態であれば、大当り状態の種別に対応して、左・中・右の同一の停止図柄が抽選決定される(ST41)。一方、外れ状態であってリーチ演出を実行する場合には、共通する左停止図柄、及び右停止図柄と、これらとは一致しない中停止図柄とが抽選決定され(ST43)、リーチ演出を実行しない場合には、互いに一致しない左停止図柄、及び右停止図柄と、ランダムな中停止図柄とが抽選決定される(ST44)。
【0090】
その後、抽選決定された左停止図柄、中停止図柄、及び右停止図柄を、各々、図柄領域WK1〜WK3に格納する(ST45〜ST47)。次に、記憶完了フラグFGをON状態に設定した上で、3つの演出図柄の回転変動させる図柄変動動作を開始する(ST49)。なお、ステップST45を終えたタイミングや、ステップST46を終えたタイミングでは(矢印参照)、先に終えた図柄変動動作の停止図柄(その時に表示装置に表示されている停止図柄)と、これから始まる図柄変動動作における停止図柄とが、図柄領域WK1〜WK3に混在した状態となる。
【0091】
そのため、ノイズなどの影響で、矢印のタイミングでCPUが異常リセットされると、既にコマンド解析されたコマンドは、コマンドバッファから消去された状態となり、改めて図柄の作成が行なわれず、新旧の停止図柄が混在するので、従来の構成では、左・中・右の停止図柄について、不合理な表示状態が発生する可能性があった。
しかし、本実施例では、CPUリセット後に、OFF状態の記憶完了フラグGFに基づいて、停止図柄データが外れ状態に再設定されるので(ST23)、不合理な表示状態が発生する可能性がない。
【0092】
すなわち、本実施例では、図柄変動動作の開始直前までは、記憶完了フラグFGがOFF状態のままであるので、このOFF状態で、万一、CPUが異常リセットされても、停止コマンドの受信時に、前回の停止図柄から、所定の外れ停止図柄「2・4・6」に表示内容が変化するだけである。
【0093】
一方、記憶完了フラグFGがON設定されて開始される図柄変動動作では、その後、リーチ演出が実行される場合には、図柄領域WK1,WK3の左停止図柄と右停止図柄とが一時停止状態で表示される。そして、更に図柄変動動作や予告演出動作を実行した後、演出制御部22から停止コマンドを受けたタイミングで、変動停止処理が実行される(ST30)。
【0094】
変動停止処理では、実行中の図柄変動動作を停止すると共に、図柄領域WK1〜WK3の停止図柄データを読み出して、各データに対応して左停止図柄と、中停止図柄と、右停止図柄とを表示装置DISPに確定的に表示する(ST50)。そして、記憶完了フラグGFをOFF状態に設定すると共に(ST51)、その他の終了処理を実行してサブルーチン処理を終える(ST52)。
【0095】
以上、コマンド別処理に(ST5)について説明したので、図6(a)に戻って、その後の動作を説明する。コマンド別処理(ST5)が終われば、画像演出についての演出シナリオを作成又は更新して(ST6)、Vブランク割込みを待つ(ST7)。Vブランク割込みとは、表示装置DISPの垂直同期信号に同期して、VDP51からワンチップマイコン50に供給される割込みを意味する。
【0096】
そして、Vブランク割込みがあれば、ステップST6の処理で更新された演出シナリオに基づいて、VDP51のレジスタに必要な動作パラメータを書込むことで、画像演出を進行させる(ST8)。次に、異常カウンタをゼロクリアした上で(ST9)、ステップST2の処理に移行する。
【0097】
このように、本実施例では、Vブランク割込み毎に異常カウンタをクリアしているので、初期化処理(ST1)において異常カウンタの値が3以上となることは、現実的に、あり得ないとも考えられる。すなわち、ステップST2〜ST8の処理を一度も完結することなく、CPUが3回も異常リセットされることはないとも考えられる。
【0098】
しかし、本実施例では、例えば、初期化処理(ST1)の動作中に、VDP51がハングアップして、ウォッチドッグタイマが複数回起動するような場合もあり得るので、このような事態も想定して、ステップST11の処理を設けている。
【0099】
また、本実施例では、演出シナリオ更新処理(ST6)において、画像演出を管理するフラグ値やタイマ値について、その整合性を判定しており、重大な不整合が検出された場合には、異常タイマを3に設定した上で、ソフトウェアリセット処理を実行している。
【0100】
そのため、異常リセット回数を上限値に向けてカウントアップする処理(ST11)が何ら弊害とはならない。すなわち、本実施例では、CPU異常リセット後にホットスタートしたものの、とても正常には画像演出を再開できないと判定される異常時には、異常タイマを3に設定した後のソフトウェアリセットによって、直ちにコールドスタート処理を実行することができ、不自然な画像演出動作を継続させることがない。
【0101】
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定するものではない。例えば、本発明の適用は、必ずしも、弾球遊技機に限定されない。
【符号の説明】
【0102】
GM 遊技機
23 画像制御部
ST48 第一手段
ST10 第二手段
ST19 第三手段
ST24 第四手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のスイッチ信号に起因する抽選処理を実行し、その抽選結果に対応した一連の画像演出を経た後の図柄表示によって抽選結果を報知し、抽選結果が当選状態であれば、遊技者に有利な遊技状態に移行させる遊技機であって、
前記画像演出を実行する画像制御部は、
一連の画像演出が終了するまでに、抽選結果に対応する停止図柄を決定してメモリの図柄領域に記憶した後、記憶完了フラグをON状態に設定する第一手段と、
CPUがリセットされた場合に機能して、所定のメモリ領域の格納データの正当性を判定することでCPUリセットの理由が電源投入によるものか否かを判定する第二手段と、
第二手段によって、電源投入によるCPUリセットでない判定される場合において所定条件が成立すると、画像演出の進行を管理するメモリの記憶内容をクリアすることなく維持する第三手段と、
第三手段が機能する場合に記憶完了フラグを判定して、これがOFF状態であれば、前記図柄領域に外れ状態の停止図柄を記憶する第四手段と、
を有して構成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
第三手段が機能する毎に更新される異常カウンタを設け、この異常カウンタの値が所定値未満であれば、前記所定条件が成立すると認定される請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記画像制御部の動作は、第一手段が機能する無限ループ処理と、第二手段ないし第四手段が機能する初期処理と、を有して構成され、
前記無限ループ処理は、所定時間間隔で繰り返されている請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
第一手段は、一連の画像演出の開始前に機能するよう構成されている請求項1〜3の何れかに記載の遊技機。
【請求項5】
前記記憶完了フラグは、一連の画像演出の終了時にOFF状態に設定されるよう構成されている請求項1〜4の何れかに記載の遊技機。
【請求項6】
前記無限ループ処理では、所定時間毎に、異常カウンタが初期状態に戻されている請求項1〜5の何れかに記載の遊技機。
【請求項7】
第二手段は、メモリの記憶内容に基づいて、電源投入によるCPUリセットであるか否かを判定している請求項1〜6の何れかに記載の遊技機。
【請求項8】
第二手段は、メモリの複数領域の記憶内容が各々所定値であるか否かを判定しており、各々、所定値である場合に、第三手段が機能するよう構成されている請求項7に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−66577(P2013−66577A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206813(P2011−206813)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(391010943)株式会社藤商事 (1,465)
【Fターム(参考)】