説明

遊技機

【課題】検出手段のノイズ耐性を低下させずに、スイッチング電源の占有体積を低減すること。
【解決手段】 所定電圧の直流電力にて動作する検出機器58を有し、遊技者にとっての有利状態が発生したことや不正に係わる所定状態が発生したことを検出する検出手段31と、所定電圧の直流電力にて動作する演出用機器を用いて遊技に関する演出を行う演出手段80と、所定周波数f1でスイッチングを行う第1のスイッチングレギュレータ回路961bにて生成された前記所定電圧の電力を前記検出手段に供給する第1スイッチング電源961と、前記所定周波数f1よりも高い周波数f2でスイッチングを行う第2のスイッチングレギュレータ回路962bにて生成された前記所定電圧の電力を前記演出用機器に供給する第2スイッチング電源962と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の遊技を実施可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機としては、遊技機に設けられた演出用の可動物を動作させるためのソレノイドやモータ並びに演出用のLEDやランプ等を有する演出用装置と、遊技球の入賞を検出するための遊技球スイッチや遊技機の前面扉の開放を検知するための開放センサ等の検出装置とが同一電圧で動作する場合には、双方に対して同じスイッチング電源から直流電力を供給するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−246053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スイッチングレギュレータを使用したスイッチング電源は、周知のように、変換効率がシリーズレギュレータを使用した電源に比較して高く、遊技機の消費電力を低減できるが、これらスイッチング電源には、コイルやコンデンサが必要となるために、電源が占有する体積が大きくなってしまい、限られた遊技機のスペースを有効活用できないことから、これら、これらスイッチング電源を小型化するために、内蔵されているスイッチングレギュレータのスイッチング速度を早くする、つまり、スイッチング周波数(発振周波数)を高めた場合には、スイッチングにより発生する電源ノイズが大きくなり、これらのノイズの影響により、遊技球スイッチのON/OFF検出や前面扉の開放スイッチのON/OFF検出等を行う検出機器(検出手段)において、電源ノイズの増加に伴いその他のノイズに対する耐性が低下して、誤検出が発生し易くなってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、検出手段におけるノイズ耐性を電源ノイズの増加により低下させることなく、遊技機に設けられたスイッチング電源の占有体積を低減することのできる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の遊技機は、
所定の遊技を実施可能な遊技機(パチンコ機1)であって、
所定電圧の直流電力にて動作する検出機器(例えば、各スイッチ14a、14b、23、29a、30aや、扉開放スイッチ42、磁気センサ43、電波センサ44、振動センサ45等に接続された入力回路58)を有し、所定条件が成立したこと(遊技者にとって有利な状態である入賞が発生したことや、不正に係わる所定状態であるドアオープン状態や振動センサによる振動検出等の状態が発生したこと)を検出する検出手段(主基板31)と、
前記所定電圧の直流電力にて動作する演出用機器(例えば、左枠LED28b、右枠LED28c、並びに天ランプモジュール530内の各LEDや、役物(ギミック)を動作させるためのモータやソレノイド)を有し、該演出用機器を用いて遊技に関する演出を行う演出手段(演出制御基板80)と、
所定周波数(発振周波数f1)でスイッチングを行う第1のスイッチングレギュレータ回路(例えば、スイッチングレギュレータ回路(IC)961b)を有し、該第1のスイッチングレギュレータ回路にて生成された前記所定電圧(例えば12V)の電力を前記検出手段に供給する第1スイッチング電源(第1スイッチング電源961)と、
前記所定周波数よりも高い周波数(発振周波数f2)でスイッチングを行う第2のスイッチングレギュレータ回路(例えば、スイッチングレギュレータ回路(IC)962b)を有し、該第2のスイッチングレギュレータ回路にて生成された前記所定電圧の電力を前記演出用機器に供給する第2スイッチング電源(第2スイッチング電源962)と、
を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、検出手段には、第2スイッチング電源よりも低い周波数でスイッチングを行う第1スイッチング電源から電源ノイズが小さい電力が供給される一方、演出手段には、第1スイッチング電源よりも高い周波数でスイッチングを行うことで第1スイッチング電源に比較して小型化できる第2スイッチング電源から電力が供給されるので、検出手段におけるノイズ耐性を電源ノイズの増加により低下させることなく、遊技機に設けられたスイッチング電源の占有体積を低減することができる。
【0007】
本発明の手段1の遊技機は、請求項1に記載の遊技機であって、
前記第1のスイッチングレギュレータ回路(例えば、スイッチングレギュレータ回路(IC)961b)は、前記所定電圧以外の電圧を出力不能(出力電圧変更端子を有していないことで、出力電圧変更信号の入力が不可)であって、前記所定電圧(例えば12V)のみを出力する
ことを特徴としている。
この特徴によれば、第1のスイッチングレギュレータ回路は、前記所定電圧のみしか出力できないため、所定電圧以外の電圧を出力可能であるスイッチングレギュレータ回路のように、スイッチングレギュレータ回路から出力される電圧を変化させて検出手段を誤動作させる不正が行われてしまうことを防止できる。
【0008】
本発明の手段2の遊技機は、請求項1または手段1に記載の遊技機であって、
前記検出手段が有する検出機器(入力回路58)は、前記所定電圧の変化にて検出対象の状態の発生を検知する機器であって、検出対象の状態が発生していないときに検出される前記所定電圧(例えば12V)が、該所定電圧より低い規定電圧(例えば1V)となったことを条件に、検出対象の状態が発生したことを検知する(入力回路58が図7に示すように、逆論理にて検出する部分)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、検出対象の状態が発生していないときに検出される規定値以下の電圧が前記所定電圧となったことを条件に、検出対象の状態が発生したことを検知する場合に比較して、電源ノイズによる影響を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明が適用された実施例の遊技機であるパチンコ機を示す正面図である。
【図2】パチンコ機を示す背面図である。
【図3】パチンコ機の回路構成例を示すブロック図である。
【図4】演出制御基板における回路構成例を示すブロック図である。
【図5】電源基板に搭載された各スイッチング電源からの電力供給の状況を示す説明図である。
【図6】各スイッチング電源に使用したスイッチングレギュレータの仕様を示す図である。
【図7】入力回路における信号の入力状況を示す図である。
【図8】(a)は、本実施例に用いたスイッチングレギュレータとヒューズとの関係を示す図であり、(b)は、比較例のスイッチングレギュレータとヒューズとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る遊技機を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0011】
まず、本発明の遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1(以下、パチンコ機1と略称する)を正面からみた正面図であり、図2はパチンコ機1を示す背面図である。尚、以下の説明において、図1の手前側(遊技者側)をパチンコ機1の前面側、奥側を背面側として説明する。尚、本実施例におけるパチンコ機1の前面とは、遊技者側からパチンコ機1を見たときに該遊技者と対向する対向面である。
【0012】
パチンコ機1は、縦長の方形状に形成された外枠100(図2参照)と、外枠100に開閉可能に取り付けられた前面枠101(図2参照)と、で主に構成されている。前面枠101の前面には、ガラス扉枠102及び下扉枠103がそれぞれ一側を中心に開閉可能に設けられている。
【0013】
図1に示すように、ガラス扉枠102の下方に取り付けられた下扉枠103の前面上部には、遊技媒体(遊技球)としてのパチンコ球(打球)を貯留可能な遊技球貯留部としての打球供給皿(上皿とも言う)3が上面に形成された上皿部3aが、パチンコ機1の前方(パチンコ機1の前面方向)に向けて突設されている。また、この上皿部3aの下方には、後述する操作レバー600が揺動自在に軸支されるとともに、上面に余剰球貯留皿(下皿とも言う)4が形成された下皿部4a(突出部)が、パチンコ機1の前方(パチンコ機1の前面方向)に向けて突設されている。その右側方には、パチンコ球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。
【0014】
操作レバー600は、遊技者が把持する操作桿を含み、操作桿の所定位置(例えば遊技者が操作桿を把持したときに操作手の人差し指が掛かる位置など)には、トリガースイッチが内設されたトリガボタンが設けられている。トリガボタンは、遊技者が操作レバー600の操作桿を操作手(例えば左手など)で把持した状態において、所定の操作指(例えば人差し指など)で押引操作することなどにより所定の指示操作ができるように構成されていればよい。操作レバー600の下部における下皿4aの本体内部などには、操作桿に対する傾倒操作を検知するために四方向に配置されたレバースイッチ510a〜510dが設けられていればよい。
【0015】
また、上皿3を形成する部材には、例えば上皿3本体の上面における手前側の所定位置(例えば操作レバー600の上方)などに、遊技者が押下操作などにより所定の指示操作を可能な操作ボタン516が設けられている。操作ボタン516は、遊技者からの押下操作などによる所定の指示操作を、機械的、電気的、あるいは、電磁的に、検出できるように構成されていればよい。操作ボタン516の設置位置における上皿の本体内部などには、操作ボタン516に対してなされた遊技者の操作行為を検知するボタンスイッチ516a(図3を参照)が設けられていればよい。
【0016】
ガラス扉枠102の背面には、前面枠101に対して着脱可能に取り付けられた透明な遊技盤6が配置されている。尚、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が形成されている。尚、ガラス扉枠102の開放を検知する開放スイッチ42が、ガラス扉枠102の開放端側となる、パチンコ機1の右側辺中央位位置に設けられている。
【0017】
遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の飾り図柄を変動表示する複数の変動表示領域を含む変動表示装置(飾り図柄表示装置)9が、透明な遊技盤6を透して目視できるように、該遊技盤6の背面に設けられている。また、遊技盤6の所定箇所には、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての特別図柄を変動表示する特別図柄表示器(特別図柄表示装置)8(図3参照)が設けられている。変動表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの変動表示領域(図柄表示エリア)がある。変動表示装置9は、特別図柄表示器8による特別図柄の変動表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄であって、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての飾り図柄の変動表示を行う。変動表示装置9は、後述する演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ81(図3参照)等の各デバイスによって制御される。
【0018】
特別図柄表示器8は、例えば0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。特別図柄表示器8には、第1識別情報としての第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器(第1可変表示手段)8aと、第2識別情報としての第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器(第2可変表示手段)8bが設けられている。
【0019】
第1特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が後述する第1始動口15aに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が後述する第2始動口15bに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
【0020】
また、変動表示装置9は、画像(映像)を表示可能な画像用液晶パネルよりなる画像表示装置で実現されている。変動表示装置9は、特別図柄表示器8による特別図柄の変動表示期間中に、飾り図柄の変動表示を行う。
【0021】
なお、本実施例においては、変動表示装置9は、画像用液晶パネルを用いた例について説明するが、これに限らず、画像用液晶パネルのデバイスとしては、CRT(Cathode Ray Tube)、FED(Field Emission Display)、PDP(Plasma Display Panel)、ドットマトリクスLED、有機或いは無機のエレクトロルミネッセンス(EL)パネル等のその他の画像表示形態の表示装置により構成されてもよい。
【0022】
変動表示装置9の下方には、パチンコ球を受け入れ可能な入賞領域としての第1始動口15aおよび第2始動口15bを有する始動入賞装置15が設けられている。始動入賞装置15では、上部に第1始動口15aが設けられ、その下部に第2始動口15bが設けられている。第2始動口15bの左右には、開閉動作をすることが可能な態様で一対の可動片13、13が設けられている。第1始動口15aは、上方を向いて開口しており、常にパチンコ球の進入(受け入れ)が可能な状態となっている。一方、第2始動口15bは、上方に第1始動口15aの周囲の構造物が設けられ、左右に可動片13、13が設けられているため、可動片13、13が閉状態であるときにパチンコ球の進入(受け入れ)が不可能な状態となり、可動片13、13が開状態であるときにパチンコ球の進入(受け入れ)が可能な状態となる。このように、第1始動口15aは入賞のしやすさが変化せず、第2始動口15bは可動片13、13の開閉動作によって入賞のしやすさが変化する。
【0023】
尚、始動入賞装置15は、可動片13、13が閉状態になっている状態において、第2始動口15bに入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、パチンコ球が入賞しにくい)ように構成されていても良い。また、始動入賞装置15は、始動口として、入賞のしやすさが変化しない第1始動口15aのみが設けられたものであっても良く、可動片13、13の開閉動作によって入賞のしやすさが変化する第2始動口15bのみが設けられたものであっても良い。
【0024】
始動入賞装置15の可動片13、13は、後述する開放条件が成立したときに、ソレノイド16によって駆動されることにより、閉状態から所定期間開状態とされた後、閉状態とされる。始動入賞装置15の可動片13、13が開状態となることにより、パチンコ球が第2始動口15bに入賞し易くなり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態(第1の状態)となる。一方、始動入賞装置15の可動片13、13が閉状態となることにより、パチンコ球が第2始動口15bに入賞しなくなり(始動入賞しにくくなり)、遊技者にとって不利な状態(第2の状態)となる。第1始動口15aに入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14aによって検出される。また、第2始動口15bに入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14bによって検出される。
【0025】
遊技盤6の所定箇所には、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ14bに入った有効入賞球の記憶数すなわち保留記憶(始動記憶または始動入賞記憶ともいう)数を表示する4つの特別図柄保留記憶表示器18(図3参照)が設けられている。特別図柄保留記憶表示器18は、保留記憶数を入賞順に4個まで表示する。特別図柄保留記憶表示器18は、第1始動口15aまたは第2始動口15bに始動入賞があるごとに、保留記憶の記憶データが1増えて、点灯状態のLEDの数を1増やす。そして、特別図柄保留記憶表示器18は、特別図柄表示器8で変動表示が開始されるごとに、保留記憶の記憶データが1減って、点灯状態のLEDの数を1減らす(すなわち1つのLEDを消灯する)。具体的には、特別図柄保留記憶表示器18は、特別図柄表示器8で変動表示が開始されるごとに、点灯状態をシフトする。尚、この例では、第1始動口15aまたは第2始動口15bへの入賞による保留記憶数に上限数(4個まで)が設けられている。しかし、これに限らず、保留記憶数の上限数は、4個以上の値にしても良く、4個よりも少ない値にしても良い。
【0026】
始動入賞装置15の下部には、ソレノイド21によって開閉される開閉板を用いた特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は、開閉板によって開閉される大入賞口が設けられており、大当り遊技状態において開閉板が遊技者にとって有利な開状態(第1の状態)に制御され、大当り遊技状態以外の状態において開閉板が遊技者にとって不利な閉状態(第2の状態)に制御される。このように、特別可変入賞球装置20は、大当り遊技状態となるときに開放条件が成立する。特別可変入賞球装置20に入賞し遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(V入賞領域:特別領域)に入った入賞球及び他方の領域に入ったパチンコ球は、そのままカウントスイッチ23で検出される。遊技盤6の背面には、大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21a(図3参照)も設けられている。また、遊技盤6の背面には、磁石を使用した不正を検知するための磁気センサ43が設けられている(図1参照)。
【0027】
パチンコ球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、複数種類の識別情報としての普通図柄を変動表示する普通図柄表示器10における変動表示が開始される。この実施例では、図示しない左右のLED(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって変動表示が行なわれ、例えば、変動表示の終了時に左側のLEDが点灯すれば当りになる。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)となったときに、始動入賞装置15の可動片13、13の開放条件が成立し、始動入賞装置15における可動片13、13が所定回数、所定時間だけ開状態になる。普通図柄表示器10の近傍には、ゲート32を通過した有効通過球の記憶数、すなわち、始動通過記憶数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄保留記憶表示器41(図3参照)が設けられている。ゲート32へのパチンコ球の通過があるごとに、始動通過記憶の記憶データが1増えて、普通図柄保留記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10における変動表示が開始されるごとに、始動通過記憶の記憶データが1減って、点灯するLEDを1減らす。
【0028】
遊技盤6には、パチンコ球を受け入れて入賞を許容する入賞装置の入賞領域として、第1通常入賞口29、第2通常入賞口30よりなる複数の通常入賞口が設けられる。第1通常入賞口29へのパチンコ球の入賞は、第1入賞口スイッチ29aによって検出される。第2通常入賞口30へのパチンコ球の入賞は、第2入賞口スイッチ30aによって検出される。尚、第1始動口15a、第2始動口15b、および、大入賞口も、パチンコ球を受け入れて入賞を許容する入賞装置の入賞領域を構成する。また、遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aが内蔵される装飾発光部25L、25Rが設けられ、下部には、入賞しなかったパチンコ球を回収するアウト口26がある。
【0029】
遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27L、27Rが設けられ、左右下部には、効果音を発する2つのスピーカ27a、27bが設けられている。尚、以下の説明では、スピーカ27L、27R、27a、27bと総称してスピーカ27と表記する場合がある。
【0030】
遊技領域7の外周には、回転体用LED等の各種LEDが内蔵される天ランプモジュール530と、左枠LED28b(図3参照)が内蔵される左発光部28Lおよび右枠LED28c(図3参照)が内蔵される右発光部28Rが設けられている。さらに、遊技領域7における各構造物(大入賞口等)の周囲には装飾LEDが設置されている。これら回転体用LED、左枠LED28bおよび右枠LED28cおよび装飾用LEDは、パチンコ機1に設けられている装飾発光体の一例である。
【0031】
そして、この例では、左発光部28Lの所定箇所に、賞球払出中に点灯する賞球LED51が設けられ、右枠LED28cの所定箇所に、補給球が切れたときに点灯する球切れLED52が設けられている。
【0032】
賞球LED51、球切れLED52、装飾LED25a、左枠LED28b、右枠LED28c、天ランプモジュール530内の各LED等の各種発光手段は、主基板31から出力される演出制御コマンドに基づき演出制御用マイクロコンピュータ81から出力されるシリアル信号に基づいて点灯制御(LED制御)される。また、スピーカ27L、27R、27a、27bからの音発生制御(音制御)も、演出制御用マイクロコンピュータ81により実施される。
【0033】
遊技者の打球操作ハンドル5の操作により図示しない打球発射装置から発射されたパチンコ球は、打球誘導レール(図示略)を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7に立設された遊技釘に当接して進路を変更しながら該遊技領域7を下りてくる。パチンコ球が、第1始動口15aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されるか、または、第2始動口15bに入り第2始動口スイッチ14bで検出されると、特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば、特別図柄表示器8において特別図柄が変動表示を始める。特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、保留記憶数を1増やす。
【0034】
特別図柄表示器8における特別図柄の変動表示は、変動表示が行なわれるごとに設定された変動表示時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が特定表示結果としての大当り図柄(大当り表示結果ともいう)であると、大当りとなり、大当り遊技状態に移行する。大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)のパチンコ球が入賞するまで開放する。そして、特別可変入賞球装置20の開放中にパチンコ球がV入賞領域に入賞しカウントスイッチ23で検出されると、継続権が発生し特別可変入賞球装置20の開放が再度行なわれる。継続権の発生は、例えば15ラウンドのような所定回数を上限値として許容される。このような制御は、繰返し継続制御と呼ばれる。繰返し継続制御において、特別可変入賞球装置20が開放されている状態がラウンドと呼ばれる。
【0035】
停止時の特別図柄表示器8における特別図柄が大当り図柄のうちの予め定められた特別な大当り図柄(確変大当り図柄)である場合には、大当り遊技状態後に大当りとすると判定される確率(大当り確率)が、大当り遊技状態と異なる通常状態である通常遊技状態よりも高くなる確率変動状態(以下、確変状態と呼ぶ)という遊技者にとってさらに有利な状態になる。以下、確変状態は、高確率状態(高確状態と略称で呼ぶ場合もある)ともいう。また、非確変状態は、低確率状態(低確状態と略称で呼ぶ場合もある)ともいう。
【0036】
また、特別図柄表示器8での変動表示の停止時における特別図柄の表示結果が、確変大当り図柄である場合には、大当り遊技状態後に変動時間短縮状態である時短状態に所定期間に亘り制御される。時短状態とは、通常遊技状態に比べて、特別図柄表示器8、変動表示装置9、および、普通図柄表示器10のそれぞれの変動表示時間(変動開始時から表示結果の導出表示時までの時間)を短縮して早期に表示結果を導出表示させる制御状態をいう。さらに、時短状態中には、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、始動入賞装置15の可動片13、13の開放時間が長くされ、開放回数が増加させられる。時短状態中では、図柄の変動表示時間が短縮されるので、後述する保留記憶数が早期に消化され、保留記憶数の上限(例えば「4」)を超えて発生した始動入賞が無効になってしまう状態を減少でき、短期間に頻繁に表示結果を導出表示して早期に大当り表示結果を導出表示しやすくなるので、時間効率的な観点で変動表示の表示結果が大当り図柄の表示結果となりやすくなり、遊技者にとって有利な遊技状態となる。このように、確変大当りAの場合は、大当り遊技状態の終了後の所定期間において、高確率状態かつ時短状態に制御されることとなる。大当り遊技状態の終了後の所定期間に亘る時短状態は、次の大当り遊技状態が発生するか、または、特別図柄および飾り図柄の変動表示が所定回数(100回)行なわれるまでの、いずれか早い方の条件が成立するまで継続される。
【0037】
また、入賞に応じたパチンコ球の払出しの面から考えると、時短状態は、非時短状態と比べて、普通図柄の変動表示時間が短縮され、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められ、当り時における始動入賞装置15の可動片13、13の開放時間が長くされ、当り時における始動入賞装置15の可動片13、13の1度の開放回数が多くされることに基づいて、通常遊技状態と比べて始動入賞装置15の可動片13、13が開放状態となりやすい。したがって、時短状態では、第2始動口15bへの入賞(始動入賞が有効である場合と無効である場合との両方を含む)が生じやすくなるため、遊技領域7へ打込んだパチンコ球数(打込球数)に対して、入賞に応じた賞球として払出されるパチンコ球数(払出球数)の割合が、通常遊技状態と比べて多くなる。一般的に、発射球数に対する入賞による賞球の払出球数の割合は、「ベース」と呼ばれる。例えば、100球の打込球数に対して40球の払出球数があったときには、ベースは40(%)となる。この実施例の場合では、例えば通常遊技状態のような非時短状態よりもベースが高い時短状態を高ベース状態と呼び、逆に、そのような高ベース状態と比べてベースが低い通常遊技状態のような非時短状態を低ベース状態と呼ぶ。
【0038】
このように、発射球数に対する入賞による賞球の払出球数の割合が一般的に「ベース」と呼ばれるが、例えば1分間等の単位時間におけるパチンコ球の最大発射数は、一定数に制限されている。このため、「ベース」は、単位時間において、遊技領域に設けられた複数の入賞口への入賞による賞球の払出球数の合計値によっても示すことができる。例えば、単位時間におけるパチンコ球の最大発射数を100球とすると、単位時間における入賞による賞球の払出球数の合計値は、一般的な「ベース」の値と一致することとなる。このような関連性に基づいて、本実施形態では、第1始動口15a、第2始動口15b、第1通常入賞口29、第2通常入賞口30のそれぞれを異常監視対象入賞口としており、該異常監視対象入賞口の入賞による賞球の払出球数の合計値は、ベースと呼ばれ、入賞に関する異常監視の対象として用いられる。
【0039】
確変状態(高確率状態)と非確変状態(低確率状態)とのどちらの状態であるかは、確変状態においてセットされるフラグである確変フラグがセットされているか否かに基づいて判断される。また、時短状態(高ベース状態)と非時短状態(低ベース状態)とのどちらの状態であるかは、時短状態においてセットされるフラグである時短フラグがセットされているか否かに基づいて判断される。
【0040】
また、前述の時短状態に制御されていない状態においては、特別図柄の保留記憶数が所定個数以上となるごとに、特別図柄および飾り図柄の変動表示時間を短縮する記憶変動短縮状態に制御する記憶変動短縮制御が行なわれる。記憶変動短縮制御は、特別図柄の保留記憶数が所定個数未満となった段階で終了する。したがって、時短状態に制御されていない状態においても、特別図柄および飾り図柄の変動表示時間が短縮される場合がある。
【0041】
変動表示装置9において変動表示される飾り図柄は、特別図柄表示器8における特別図柄の変動表示の装飾効果を高めるために、特別図柄の変動表示と所定の関係を有して変動表示される装飾的な意味合いがある図柄である。このような図柄についての所定の関係には、例えば、特別図柄の変動表示が開始されたときに飾り図柄の変動表示が開始する関係、および、特別図柄の変動表示の終了時に特別図柄の表示結果が導出表示されるときに飾り図柄の表示結果が導出表示されて飾り図柄の変動表示が終了する関係等が含まれる。特別図柄表示器8により予め定められた大当り図柄が表示結果として導出表示されるときには、変動表示装置9により、左、中、右図柄がゾロ目となる大当り図柄の組合せが表示結果として導出表示される。このような特別図柄による大当り図柄の表示結果および飾り図柄による大当り図柄の組合せの表示結果は、大当り表示結果という。
【0042】
特別図柄表示器8と変動表示装置9とは変動表示結果が前述したような対応関係になるため、以下の説明においては、これらをまとめて変動表示部と呼ぶ場合がある。
【0043】
次に、リーチ表示態様(リーチ)について説明する。本実施形態におけるリーチ表示態様(リーチ)とは、停止した図柄が大当り図柄の一部を構成しているときに未だ停止していない図柄については変動表示が行なわれていること、および、すべてまたは一部の図柄が大当り図柄のすべてまたは一部を構成しながら同期して変動表示している状態である。
【0044】
例えば、変動表示装置9において、図柄が停止することで大当りとなる有効ライン(本実施例の場合は横1本の有効ライン)が予め定められ、その有効ライン上の一部の表示領域に予め定められた図柄が停止しているときに未だ停止していない有効ライン上の表示領域において変動表示が行なわれている状態(例えば、変動表示装置9における左、中、右の変動表示領域のうち左、右の表示領域に同一の図柄が停止表示されている状態で中の表示領域は未だ変動表示が行なわれている状態)、および、有効ライン上の表示領域のすべてまたは一部の図柄が大当り図柄のすべてまたは一部を構成しながら同期して変動表示している状態(例えば、変動表示装置9における左、中、右の表示領域のすべてに変動表示が行なわれており、常に同一の図柄が揃っている状態で変動表示が行なわれている状態)をリーチ表示態様またはリーチという。
【0045】
また、リーチの際に、通常と異なる演出が表示(変動表示装置9)やLEDや音で行なわれることがある。この演出をリーチ演出という。また、リーチの際に、キャラクタ(人物等を模した演出表示であり、図柄(飾り図柄等)とは異なるもの)を表示させたり、変動表示装置9の背景画像の表示態様(例えば、色等)を変化させたりすることがある。このキャラクタの表示や背景の表示態様の変化をリーチ演出表示という。また、リーチの中には、それが出現すると、通常のリーチに比べて、大当りが発生しやすいように設定されたものがある。このような特別(特定)のリーチをスーパーリーチという。
【0046】
また、変動表示装置9については、大当りを発生させる契機となる変動表示において、大当りとなる可能性がある旨を報知する擬似連等の大当り予告演出が行なわれる場合がある。
【0047】
この実施例の場合は、大当りとして、後述するように通常大当りCおよび確変大当りAというような複数種類の大当りが設けられている。以下の説明においては、大当りの種類を特定せずに単に「大当り」と示すときは、これら複数種類の大当りを代表して示す場合である。
【0048】
通常大当りCは、大当り遊技状態の終了後に確変状態にならず、かつ、時短状態にならないことにより、低確率状態、かつ、低ベース状態となる大当り(非確変大当り)である。このような、低確率状態かつ低ベース状態となった状態は、低確低ベース状態と呼ばれる。確変大当りAは、大当り遊技状態の終了後に確変状態になり、かつ、所定期間に亘り時短状態になる高確率状態、かつ、高ベース状態となる大当りである。このような、高確率状態かつ高ベース状態となった状態は、高確高ベース状態と呼ばれる。確変大当りとなった後においては、所定期間が経過すると時短状態が終了し、高確率状態、かつ、低ベース状態になる。このような、高確率状態かつ低ベース状態となった状態は、高確低ベース状態と呼ばれる。
【0049】
次に、パチンコ機1の背面(裏面)の構造について図2を参照して説明する。図2は、パチンコ機を示す背面図である。
【0050】
図2に示すように、パチンコ機1裏面側では、変動表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80を含む変動表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声出力基板70、LEDドライバ基板(図示省略)、および、球払出制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている。
【0051】
さらに、パチンコ機1裏面側には、DC34V、DC12VおよびDC5V等の各種直流電圧を生成するスイッチング電源回路が搭載された電源基板960や発射制御基板が設けられている。電源基板960は、図示しない発射制御基板の背面側に取り付けられ、その背面側に払出制御基板37が重なっているが、払出制御基板37に重なることなく外部から視認可能に露出した露出部分には、パチンコ機1における主基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電源スイッチが設けられている。さらに、露出部分における電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
【0052】
パチンコ機1裏面において、上方には、各種情報をパチンコ機1外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板(図示略)が設置されている。ターミナル基板には、例えば、球切れ検出スイッチ167の出力を導入して外部出力するための球切れ用端子、賞球個数信号を外部出力するための賞球用端子および球貸し個数信号を外部出力するための球貸し用端子、遊技枠が開放状態であることを示すドア開放信号を外部出力するためのドア開放用端子等が設けられている。また、中央付近には、主基板31からの各種信号(大当り信号等)をパチンコ機1外部に出力するための各端子を備えた情報端子基板(情報出力基板)36が設置されている。
【0053】
図示しない遊技機設置島から供給される球を貯留可能な球タンク38に貯留されたパチンコ球は、タンクレールを通り、カーブ樋を経てケースカバーで覆われた球払出装置97に至る。球払出装置97の上方の球経路761には、通路内に球がない旨を検出する遊技媒体切れ検出手段としての球切れ検出スイッチ167が設けられている。球切れ検出スイッチ167が球切れを検出すると、球払出装置97の払出動作が停止する。球切れ検出スイッチ167はパチンコ球通路内のパチンコ球の有無を検出するスイッチである。球切れ検出スイッチ167がパチンコ球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構からパチンコ機1に対してパチンコ球の補給が行なわれる。
【0054】
入賞に基づく景品としてのパチンコ球や球貸し要求に基づくパチンコ球が多数払出されて上皿3が満杯になると、パチンコ球は後述する溢れ球通路を経て下皿4に導かれる。さらにパチンコ球が払出されると、スイッチ片(図示略)が貯留状態検出手段としての満タンスイッチ19(図3参照)を押圧して、貯留状態検出手段としての満タンスイッチ19がオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに打球発射装置の駆動も停止する。
【0055】
図3は、主基板31における回路構成の一例を示すブロック図である。尚、図3には、パチンコ機1に搭載されている払出制御基板37、中継基板77、及び、演出制御基板80も示されている。主基板(遊技制御基板)31には、プログラムにしたがってパチンコ機1を制御する基本回路(遊技制御手段に相当)となる遊技制御用マイクロコンピュータ156と、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ14b、カウントスイッチ23、第1入賞口スイッチ29a、第2入賞口スイッチ30a、扉開放スイッチ42、磁気センサ43、電波センサ44、振動センサ45からの信号の他、電源断信号およびクリア信号等の各種信号を遊技制御用マイクロコンピュータ156に与える入力回路58と、始動入賞装置15の可動片13、13を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21、および、大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21aを遊技制御用マイクロコンピュータ156からの指令にしたがって駆動する出力回路59と、が搭載されている。
【0056】
扉開放スイッチ42は、前述したように、ガラス扉枠102の開放を検知するためのスイッチセンサであり、ガラス扉枠102が開放された場合にON状態となるセンサである。尚、扉開放スイッチ42は、前面枠101が開放された場合にもON状態となる。
【0057】
磁気センサ43は、磁石を使用した不正を検知するためのセンサであり、所定強度以上の磁力線を検出した場合にON状態となるセンサである。尚、本実施例では、磁気センサ43を1つとしているが、該磁気センサ43を複数配置するようにしても良い。
【0058】
電波センサ44は、強力な電磁波により電子機器を誤動作させる不正を検知するためのセンサであり、所定強度以上の電磁波を検出した場合にON状態となるセンサである。尚、本実施例では、電波センサ44を1つとしているが、該電波センサ44を複数配置するようにしても良い。
【0059】
振動センサ45は、パチンコ機1を振動させて、遊技球の進路を不正に変更する等の不正を検知するためのセンサであり、所定の加速度以上の振動(移動)を検出した場合にON状態となるセンサである。尚、本実施例では、振動センサ45を1つとしているが、該振動センサ45を複数配置するようにしても良い。
【0060】
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段(変動データを記憶する変動データ記憶手段)としてのRAM55、およびプログラムにしたがって制御動作を行うプロセッサであるCPU56、および、I/Oポート57を含む。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。
【0061】
遊技制御用マイクロコンピュータ156においては、CPU56がROM54に格納されているプログラムにしたがって制御を実行する。したがって、以下に説明するような遊技制御用マイクロコンピュータ156が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的にはCPU56がプログラムにしたがって制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。また、遊技制御手段は、CPU56を含む遊技制御用マイクロコンピュータ156で実現されている。
【0062】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、クロック信号を発生させるクロック回路、システムリセット手段として機能するリセットコントローラ、乱数回路、および、CPU56に割込要求信号を送出するCTCを内蔵する。
【0063】
乱数回路は、特別図柄および飾り図柄の変動表示の表示結果により大当りとするか否かを判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。この乱数回路は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則にしたがって更新させていき、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることに基づいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
【0064】
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ14bへの始動入賞が生じたときに乱数回路から数値データを乱数値R1として読出し、その数値データに基づいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを判定する。そして、大当りとすると判定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。尚、大当りとするか否かの判定は、実際には特別図柄および飾り図柄の変動表示の開始時に、始動入賞時に抽出した乱数値に基づいて実行される。また、乱数回路が発生させた乱数は、確変とするか否かを決定するための確変判定用乱数や、特別図柄の変動パターンを決定する変動パターン決定用乱数など、大当りとするか否かの判定以外の判定用乱数として用いても良い。
【0065】
クロック回路は、システムクロック信号をCPU56に出力し、このシステムクロック信号を分周して生成した所定の周期の基準クロック信号CLKを、各乱数回路に出力する。リセットコントローラは、ローレベルの信号が一定期間入力されたとき、CPU56および各乱数回路に所定の初期化信号を出力して、遊技制御用マイクロコンピュータ156をシステムリセットする。
【0066】
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板960において作成されるバックアップ電源963によってバックアップされている揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、パチンコ機1に対する電源電力の供給が停止したときである電源断時でも、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグ等)と未払出賞球数を示すデータとは、バックアップデータとして、RAM55に保存される。制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータに基づいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。
【0067】
さらに、電源基板960からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力回路58に入力される。電源断信号は、入力回路58を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートに入力される。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力回路58に入力される。クリア信号は、入力回路58を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートに入力される。
【0068】
電源基板960には、図3に示すように、上述したバックアップ電力を生成するバックアップ電源963とともに、パチンコ機1が動作するための通常の動作電力を供給するための第1スイッチング電源961と、第2スイッチング電源962とが設けられており、これら各スイッチング電源から、上述したように、DC34V、DC12VおよびDC5Vの各種直流電力が供給される。
【0069】
また、遊技盤6に設けられた複数のスイッチのそれぞれは、図3に示すように、入力回路58を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートに接続されている。これにより、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、複数のスイッチのそれぞれから各スイッチの入力状態を示す入力検出信号を受けることで、いずれのスイッチにより遊技球が検出されたかを逐次把握できるようになっている。
【0070】
また、不正に関する所定状態が発生したことを検知するための扉開放スイッチ42、磁気センサ43、電波センサ44、振動センサ45のそれぞれも、図3に示すように、入力回路58を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートに接続されている。これにより、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、それぞれのスイッチやセンサからスイッチやセンサの検出状態を示す検出状態信号を受けることで、いずれのスイッチやセンサがON状態となったかを逐次把握できるようになっている。
【0071】
入力回路58は、図7に示すように、逆論理により各スイッチ並びにセンサのON状態を検知する。つまり、通常において各スイッチ並びにセンサが接続された信号線は、各スイッチ並びにセンサがOFFの通常状態においては、後述する第1スイッチング電源961から供給される12Vの電圧に維持され、各スイッチ並びにセンサがON状態となったときにほぼ0Vの状態となるので、入力回路58は、信号線の電圧が、12Vと0Vとの間の規定電圧(例えば1V)以下となったときに、各スイッチ並びにセンサがON状態であることを検知する。
【0072】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156が搭載する出力回路78は、CPU56が出力する演出制御コマンドを、中継基板77を介して演出制御基板80に送信する。また、出力回路78は、CPU56が出力する制御信号を、中継基板77を介して特別図柄表示器8や特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄表示器10、普通図柄保留記憶表示器41に出力し、中継基板77を介して特別図柄表示器8や特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄表示器10、普通図柄保留記憶表示器41に供給される。尚、特別図柄表示器8や特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄表示器10、普通図柄保留記憶表示器41を、中継基板77を介さずに主基板31に直接接続するようにしても良い。
【0073】
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、演出制御基板80に表示制御、音制御、および、LED制御を含む演出制御を指令するための制御信号としての演出制御コマンド(演出制御信号)を送信する。
【0074】
遊技制御用マイクロコンピュータ156が演出制御基板80に対して送信する演出制御コマンドには、客待ちデモ指定コマンドや可変表示コマンドが含まれる。
【0075】
客待ちデモ指定コマンドは、遊技制御用マイクロコンピュータ156が客待ちデモンストレーション時の表示を指定する演出制御コマンド(客待ちデモ指定コマンド)であり、特別図柄の変動が終了してから所定時間が経過したことに応じて送出され、該客待ちデモ指定コマンドが演出制御基板80に対して送出されたときには、変動表示装置9に所定の客待ちデモ画面が表示される。つまり、通常においては、遊技者が交替するときには、遊技者が不在となる期間が存在するので、これら客待ちデモ指定コマンドは、遊技者が交替することで遊技者が不在となったと想定されるときに出力される。
【0076】
また、可変表示コマンドは、特別図柄の可変表示に対応して変動表示装置9において可変表示される飾り図柄の変動パターンを指定するために、変動開始時に送信される演出制御コマンドであり、変動開始を指定するためのコマンドである。
【0077】
演出制御基板80には、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156からの演出制御コマンドを受信し、変動表示装置9での演出表示の表示制御や、本発明における遊技関連音となる演出に係わる効果音(演出音)の出力制御を行う演出制御用マイクロコンピュータ81等の電気部品制御手段が搭載されている。
【0078】
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ81が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156からの演出制御コマンドを受信し、飾り図柄を可変表示する変動表示装置9の表示制御やスピーカ27L、27R、27a、27bからの音出力制御を行う。
【0079】
また、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ81が、レバースイッチ510a〜510dやボタンスイッチ516aからの検出信号を検知することで、操作レバー600の操作や操作ボタン516の遊技者による操作を検知する。
【0080】
また、演出制御用マイクロコンピュータ81は、遊技盤6に設けられているステージLED25bの表示制御を行うとともに、枠側に設けられている賞球LED51、球切れLED52、左枠LED28b、右枠LED28c、並びに天ランプモジュール530内の各LEDの点灯制御を行う。
【0081】
図4に示すように、演出制御基板80は、演出制御用CPU86、RAM85を含む演出制御用マイクロコンピュータ81を搭載している。演出制御基板80において、演出制御用CPU86は、図示しない内蔵のROMに格納されたプログラムに従って動作し、入力回路260を介して演出制御コマンドを受信する。
【0082】
また、演出制御用CPU86は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)262に、変動表示装置9に表示する画像生成等の変動表示装置9の表示制御を行わせる表示制御処理を実施する。
【0083】
VDP262は、演出制御用マイクロコンピュータ81とは独立したアドレス空間を有し、そこにVRAMをマッピングする。VRAMは、画像データを展開するためのバッファメモリである。そして、VDP262は、VRAM内の画像データを、フレームメモリを介して変動表示装置9に出力する。
【0084】
演出制御用CPU86は、受信した演出制御コマンドに従ってCGROM(図示せず)から必要なデータを読み出すための指令をVDP262に出力する。CGROMは、変動表示装置9に表示されるキャラクタ画像データや動画像データ、具体的には、人物、文字、図形や記号等(飾り図柄を含む)、および背景画像のデータをあらかじめ格納しておくためのROMである。VDP262は、演出制御用CPU86の指令に応じて、CGROMから画像データを読み出す。そして、VDP262は、読み出した画像データにもとづいて表示制御を実行する。
【0085】
また、この実施の形態では、演出制御用マイクロコンピュータ81(演出制御用CPU86)と共動して、各スピーカ27R、27L、27a、27bから出力する音を生成する音声処理IC173とD/AコンバータIC177並びに該D/AコンバータIC177にてアナログ信号に変換された音信号(生成音)を増幅するデジタルアンプ175が演出制御基板80に搭載されており、演出制御用CPU86は、主基板31からの演出制御コマンドにもとづいて音番号(ID)データを音声処理IC173に出力して、該音番号(ID)データに対応する音を音声処理IC173に生成させる。
【0086】
音声処理IC173は、演出制御用マイクロコンピュータ81から音番号データが入力されると、該入力された音番号データに応じた音声や効果音を、各スピーカ27R、27L、27a、27b毎に個別に生成しデジタルアンプ175に出力する。デジタルアンプ175は、D/AコンバータIC177の出力レベルを、演出制御用マイクロコンピュータ81(演出制御用CPU86)により設定されている音量レベルに応じた音量に増幅して各スピーカ27R、27L、27a、27bに出力する。
【0087】
音声処理IC173には、図4に示すように、外部ROM174がローカルに接続されている。この外部ROM174には、音番号(ID)データに対応付けて該音番号(ID)データが該当する演出コマンドにより実施される各種演出に対応した音を出力するための各スピーカ27R、27L、27a、27b毎の音制御データが格納されている。つまり、これら音制御データは、演出期間(例えば飾り図柄の変動期間)において各スピーカ27R、27L、27a、27bから出力する効果音または音声の出力態様(音量レベル、音像を定位される位置、エコー等のエフェクトの有無等)が時系列的に音源データとともに記述されたデータの集まりである。
【0088】
ここで、本実施例の電源基板960に使用した各スイッチング電源の構成や動作について以下に説明する。
【0089】
電源基板960に搭載されている第1スイッチング電源961には、図5に示すように、交流を直流に反転整波して出力するAC/DC変換回路、AC/DC変換回路にて整波された直流波形から34Vの直流電流(VSL1)を生成するスイッチングレギュレータ回路(IC)961a、AC/DC変換回路にて整波された直流波形から12Vの直流電流(VDD1)を生成するスイッチングレギュレータ回路(IC)961b、AC/DC変換回路にて整波された直流波形から5Vの直流電流(VCC1)を生成するスイッチングレギュレータ回路(IC)961cが内蔵されている。
【0090】
また、電源基板960に搭載されている第2スイッチング電源962にも、図5に示すように、交流を直流に反転整波して出力するAC/DC変換回路、AC/DC変換回路にて整波された直流波形から34Vの直流電流(VSL2)を生成するスイッチングレギュレータ回路(IC)962a、AC/DC変換回路にて整波された直流波形から12Vの直流電流(VDD2)を生成するスイッチングレギュレータ回路(IC)962b、AC/DC変換回路にて整波された直流波形から5Vの直流電流(VCC2)を生成するスイッチングレギュレータ回路(IC)962cが内蔵されている。
【0091】
第1スイッチング電源961から出力される各直流電流(VSL1、VDD1、VCC1)は、図3並びに図5に示すように、パチンコ遊技機1において遊技を行うための制御を司る主基板31、払出制御基板37、打球発射装置からの遊技球の発射を打球操作ハンドル5の操作により制御する図示しない発射制御基板や、主基板31の入力回路58に接続されている各種スイッチやセンサに対して供給される。
【0092】
一方、第2スイッチング電源962から出力される各直流電流(VSL2、VDD2、VCC2)は、図3並びに図5に示すように、パチンコ遊技機1において遊技を行うための制御ではなく、演出に関する制御を行う演出制御基板80や、変動表示装置9、演出制御基板80により制御される装飾LED25aや左枠LED28b、右枠LED28c、並びに天ランプモジュール530等の各LEDや、図示しない役物(ギミック)を動作させるためのモータやソレノイド、演出に関する操作を受付けるための操作ボタン516や操作レバー600に対して供給される。
【0093】
尚、第2スイッチング電源962から出力される12VのVDD2については、図3並びに図5に示すように、主基板31に接続された遊技盤6に設けられている各ソレノイド16、21、21aや、主基板31に接続された各表示器等に使用されるLED等にも供給される。
【0094】
つまり、本発明の第1のスイッチングレギュレータ回路となる第1スイッチング電源961は、本発明の検出手段となる、主基板31に接続されている各種のスイッチやセンサ並びにこれら各種のスイッチやセンサのON状態を検出する入力回路58を有する主基板31に対して、所定電圧の直流電力を供給し、本発明の第2のスイッチングレギュレータ回路となる第2スイッチング電源962は、演出制御基板80に接続された各LED等の演出用機器用いて遊技に関する演出を行う、本発明の演出手段となる演出制御基板80対して、所定電圧の直流電力を供給している。
【0095】
尚、本実施例では、スイッチやセンサ等に比較して消費電力が大きな各ソレノイド16、21、21aや、主基板31に接続された各表示器等に使用されるLED等には、後述するように、発振周波数の高い第2スイッチング電源962からのVDD2を供給することで、周波数の低い第1スイッチング電源961からの供給電力を低減することで、該第1スイッチング電源961も小型化できるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら主基板31に接続されたソレノイド16、21、21aや、各表示器等に使用されるLEDにも、第1スイッチング電源961から出力されるVDD1を供給するようにしても良い。
【0096】
尚、第1スイッチング電源961、第2スイッチング電源962から出力される各直流電力の電源供給ライン上には、図5に示すように、ヒューズが設けられている。
【0097】
次に、第1スイッチング電源961、第2スイッチング電源962に使用されるスイッチングレギュレータ回路(IC)の違いについて、図6を用いて12Vの電源を生成するスイッチングレギュレータ回路(IC)961b、962bを例に説明する。
【0098】
第1スイッチング電源961に使用したスイッチングレギュレータ回路(IC)961bは、出力電圧変更端子を有していないことで、出力電圧変更信号の入力が不可とされた固定電圧出力型のスイッチングレギュレータ回路(IC)であって、発振周波数f1にて最大出力Xアンペアの12V直流電流を出力する。
【0099】
一方、第2スイッチング電源962に使用したスイッチングレギュレータ回路(IC)962bは、出力電圧変更端子を有していて出力電圧変更信号の入力が可能とされた変動電圧出力型のスイッチングレギュレータ回路(IC)であって、発振周波数f2にて最大出力Yアンペアの12V直流電流を出力する。
【0100】
このように、本実施例では、主基板31や各スイッチやセンサ等に供給される電力を生成するスイッチングレギュレータ回路(IC)961bに、固定電圧出力型のスイッチングレギュレータ回路(IC)を使用しており、このようにすることで、例えば、出力電圧変更端子に不正に出力電圧変更信号を入力して主基板31や各スイッチやセンサ等を誤動作させる不正が行われてしまうことを確実に防止できるようになっている。
【0101】
また、第2スイッチング電源962の最大出力Yアンペアは、第1スイッチング電源961の最大出力Xアンペアよりも大きく、より、第1スイッチング電源961よりも大きな電流を供給可能とされているとともに、第2スイッチング電源962の発振周波数f2は、第1スイッチング電源961の発振周波数f1よりも高く、第2スイッチング電源962は第1スイッチング電源961よりも、出力する単位出力当りの占有体積が小さい。
【0102】
つまり、発振周波数fを高めることで、スイッチングにより切り出された反転整流電流の充電・放電に必要とされるコイルやコンデンサの容量を低減することができるために、これらコイルやコンデンサとして低容量のものを使用できるようになるので、スイッチング電源の単位出力当りの占有体積を低減する。
【0103】
一方、第1スイッチング電源961は、発振周波数f1が第2スイッチング電源962の発振周波数f2よりも低いので、コイルやコンデンサとして比較的大きな容量のもを使用する必要があるために、単位出力当りの占有体積は大きいものの、スイッチングによるノイズの発生が第2スイッチング電源962よりも少なく、電源ノイズの少ない直流電流VDD1を供給できる。
【0104】
つまり、第1スイッチング電源961から供給されるVDD1は、単位出力当りの占有体積が大きい電源から供給されるが電源ノイズが小さい電力であり、第2スイッチング電源962から供給されるVDD2は、単位出力当りの占有体積が小さい電源から供給されるが電源ノイズが大きい電力であるので、第1スイッチング電源961から供給されるVDD1を主基板31や、該主基板31の入力回路58に接続されている各スイッチやセンサに供給することで、これらこれら遊技の制御を司る主基板31や、遊技において遊技者にとって有利な状態が発生したことや、不正に係わる所定状態が発生したことを検出する検出手段等の、遊技に必要不可欠な部分の耐ノイズ性が、第1スイッチング電源961の電源ノイズによって大きく低下してしまうことを防止できるとともに、これら遊技に必要不可欠な部分以外である演出等に係わる部分や、比較的大きな電力を消費するソレノイドやLED等については、発振周波数を高めることで小型化された第2スイッチング電源962から出力されるVDD2を供給することで、双方の電源として低い周波数であるf1を共に使用した場合に比較して、電源が占有する体積を低減している。
【0105】
尚、上記では、スイッチングレギュレータ回路(IC)961b,962bを例に説明したが、スイッチングレギュレータ回路(IC)961a,962aについても、スイッチングレギュレータ回路(IC)961c,962cについても同様である。
【0106】
次に、スイッチングレギュレータ回路(IC)とヒューズの関係について簡潔に説明する。
【0107】
尚、本実施例の各スイッチングレギュレータ回路(IC)には、図8に示すように、周知の過電流防止回路が組み込まれており、短絡等により過電流が出力されて該過電流防止回路が動作すると一時的に出力が停止され、該出力の停止により過電流防止回路の動作が停止すると再度電流が出力することが繰り返される(ヒカップ状態)ことで、過電流が継続して出力されることによってスイッチングレギュレータ回路(IC)が破損してしまうことを防止できるようになっている。
【0108】
本実施例では、上述したように各電源ラインにヒューズが設けられているが、これらヒューズの容量としては、第2スイッチング電源962からの電源ラインに設けられたヒューズについては、通常の場合と同じく、対応するスイッチングレギュレータ回路(IC)の最大出力電流にほぼ等しいもの、つまりスイッチングレギュレータ回路(IC)の最大出力電流が仮に5アンペアであれば、5アンペアのものを使用しているのに対し、第1スイッチング電源961からの電源ラインに設けられたヒューズについては、対応するスイッチングレギュレータ回路(IC)の最大出力電流よりも小さいもの、例えば、スイッチングレギュレータ回路(IC)の最大出力電流が仮に3アンペアであれば、1アンペアのものを使用している。
【0109】
このように、第1スイッチング電源961からの電源ラインのヒューズとして、スイッチングレギュレータ回路(IC)の最大出力電流Xアンペアよりも小さいZアンペアのヒューズを使用することで、電源ラインを短絡させることによる不正(短絡不正)を防止できるようになる。
【0110】
具体的には、図8(a)に示すように、電源ラインが不正に短絡された場合には、スイッチングレギュレータ回路(例えば、スイッチングレギュレータ回路(IC)961b)は過電流防止回路で保護されているために破損することなく、上記したヒカップ状態となることで、該スイッチングレギュレータ回路から少なからず電力が出力されたとしても、ヒューズが短絡による過電流の出力によって溶断するので、これらヒカップ状態による電力が各センサやスイッチ等へ供給されてしまうことが防止されるため、過電流防止回路の動作による電断により、逆論理とされたスイッチやセンサ等がON状態と誤判定されてしまうことを回避することができるので、電源ラインを短絡させることによる不正(短絡不正)を防止できる。
【0111】
これに対し、図8(b)に示すように、電源ラインのヒューズとして、スイッチングレギュレータ回路(IC)の最大出力電流Xアンペアとほぼ等しいか或いは大きいZアンペアのヒューズを使用した場合には、短絡によってヒューズが溶断しない状態で過電流防止回路が動作して上記したヒカップ状態となることで、該ヒカップ状態にて出力される電力が各センサやスイッチ等へ供給されて動作可能となることで、過電流防止回路の動作による電断により、逆論理とされたスイッチやセンサ等がON状態と誤判定されてしまうことになってしまうため、電源ラインを短絡させることによる不正(短絡不正)が可能となってしまうが、この場合には、本実施例のように、不正を検知するための各スイッチやセンサ(扉開放スイッチ42、磁気センサ43、電波センサ44、振動センサ45)も逆論理とすることで、不正を検知するための各スイッチやセンサがON状態であると検知されて、例えば、変動表示装置9に不正の発生が表示される等により報知されるようになるので、これら電源ラインを短絡させることによる不正(短絡不正)を検知することが可能となる。
【0112】
つまり、本実施例では、スイッチングレギュレータ回路(IC)の最大出力電流Xアンペアよりも小さいZアンペアのヒューズを使用することで、電源ラインを短絡させることによる不正(短絡不正)を積極的に防止するとともに、仮にヒューズが短絡で溶断しなかった場合であっても、これら電源ラインに接続されている不正を検知するための各スイッチやセンサ(扉開放スイッチ42、磁気センサ43、電波センサ44、振動センサ45)の検出論理を逆論理としておくことで、不正(短絡不正)を検知して報知することができるようになっている。
【0113】
以上、本実施例によれば、本発明の検出手段となる各スイッチやセンサや主基板31(入力回路58)等には、第2スイッチング電源よりも低い周波数でスイッチングを行う第1スイッチング電源から電源ノイズが小さい電力が供給される一方、本発明の演出手段となる各種のソレノイドやLED並びにこれら各種のソレノイドやLEDの動作を制御する演出制御基板80等には、第1スイッチング電源よりも高い周波数でスイッチングを行うことで、第1スイッチング電源に比較して占有体積を低減できるとともにコイル等を小型化できることで低コスト化を図れる第2スイッチング電源から電力が供給されるので、検出手段におけるノイズ耐性を電源ノイズの増加により低下させることなく、パチンコ機1に設けられたスイッチング電源の占有体積を低減することができる。
【0114】
また、本実施例によれば、第1のスイッチングレギュレータ回路は、前記所定電圧のみしか出力できないため、所定電圧以外の電圧を出力可能であるスイッチングレギュレータ回路のように、スイッチングレギュレータ回路から出力される電圧を変化させて検出手段を誤動作させる不正が行われてしまうことを防止できる。
【0115】
また、本実施例によれば、検出対象の状態が発生していないときに検出される規定値以下の電圧が前記所定電圧となったことを条件に、検出対象の状態が発生したことを検知する場合に比較して、電源ノイズによる影響を低減できる。
【0116】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0117】
例えば、前記実施例では、パチンコ機1を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技媒体としてメダルを使用して遊技を行うスロットマシンや、遊技媒体が、遊技機内部に内封され、貸し出されたパチンコ玉やメダルの数や、入賞に応じて付与されたパチンコ玉やメダルの数が加算される一方、遊技に使用されたパチンコ玉やメダルの数が減算されて記憶される封入式遊技機や、パチンコ玉やメダルを用いずに、例えば貸出要求に応じて貸し出されたポイントや点数等の価値や入賞に応じて付与されたポイントや点数等の価値を全てクレジットとして記憶し、クレジットとして記憶された価値のみを使用して遊技を行うことが可能な遊技機であっても良い。尚、この場合には、これらポイントや点数等が遊技媒体に相当し、クレジットが遊技用価値となる。
【0118】
また、前記実施例では、スイッチング電源を2つとした形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらスイッチング電源を、発信周波数が低いf1の第1スイッチング電源の外に、発信周波数がf1よりも高いf2、f3・・・等の複数のスイッチング電源を設けるようにしても良いし、これらスイッチング電源の周波数を高めることで小型化した電源回路を、各基板に搭載して分散するようにしても良い。
【符号の説明】
【0119】
1 パチンコ機
6 遊技盤
8 特別図柄表示器
9 変動表示装置
10 普通図柄表示器
13 可動片
31 主基板
80 演出制御基板
81 演出制御用マイクロコンピュータ
86 演出制御用CPU
156 遊技制御用マイクロコンピュータ
960 電源基板
961 第1スイッチング電源
961a スイッチングレギュレータ回路(IC)
961b スイッチングレギュレータ回路(IC)
961c スイッチングレギュレータ回路(IC)
962 第2スイッチング電源
962a スイッチングレギュレータ回路(IC)
962b スイッチングレギュレータ回路(IC)
962c スイッチングレギュレータ回路(IC)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の遊技を実施可能な遊技機であって、
所定電圧の直流電力にて動作する検出機器を有し、所定条件が成立したことを検出する検出手段と、
前記所定電圧の直流電力にて動作する演出用機器を有し、該演出用機器を用いて遊技に関する演出を行う演出手段と、
所定周波数でスイッチングを行う第1のスイッチングレギュレータ回路を有し、該第1のスイッチングレギュレータ回路にて生成された前記所定電圧の電力を前記検出手段に供給する第1スイッチング電源と、
前記所定周波数よりも高い周波数でスイッチングを行う第2のスイッチングレギュレータ回路を有し、該第2のスイッチングレギュレータ回路にて生成された前記所定電圧の電力を前記演出用機器に供給する第2スイッチング電源と、
を備えることを特徴とする遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−94309(P2013−94309A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238106(P2011−238106)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000144153)株式会社三共 (5,148)
【Fターム(参考)】