説明

遊技設備のメダル供給機

【課題】 メダルを縦向きにして送り出す機構を不要にして装置を簡素化するとともに、供給時のメダル枚数のカウントをミスやエラーなく安定的に行えるようにする。
【解決手段】 隣接する遊技機10のメダル投入口11にメダルをシュート30で移送するメダル供給機20において、メダル供給機20はその供給口25にメダルを横向きで供給するもので、シュート30を複数のシュート部材で屈曲自在に構成し、供給口25に上流シュート部材31の基端部を取り付け、下流シュート部材32の先端部に遊技機10のメダル投入口11と係合するアダプタ35を備え、上流シュート部材31にはメダルを横向きで移送させる広幅のガイド溝31aを形成し、下流シュート部材32にはメダルを縦向きで移送させる狭幅のガイド溝32aを形成し、上流シュート部材31と下流シュート部材32との間にメダルを横向きから縦向きへ姿勢を変える傾斜面32cを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機のメダル投入口に投入するメダルを遊技者に代わって機械的に供給しながら投入するメダル供給機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メダルを投入して遊技する遊技機では、遊技者がメダル貸し機で借りたメダルを遊技機の受皿に一旦移し、これをメダル投入口に1枚ずつ投入して遊技している。近年ではメダルを受皿に移したりメダル投入口に投入する手間を省略するために、図14に示すようにメダル供給機50(公知のメダル貸し機)の供給口53にメダルを移送するシュート52を取り付け、シュート52の先端部を遊技機40のメダル投入口41に係合してメダルの投入を遊技者に代わって機械的且つ連続的に行えるようにした遊技設備が提案されている(例えば特許文献1参照)。図中、42は受皿、51は貨幣投入口、54はシュート52をメダル投入口41と係合するアダプタである。
【0003】
ところで、遊技機40のメダル投入口41は縦向きのメダルを上方から投入するスリット状の投入穴が形成されているから、前記のシュート52はメダルを縦向きで移送させるように狭幅の深いガイド溝が形成されている。この場合、メダル供給機50では貯溜されているメダルを一枚一枚縦向きの状態にしてシュート52のガイド溝へ送り出す機構が必要で装置が複雑になり、また、投入金額に応じたメダル枚数のカウントもミスやエラーが生じ易く不安定であった。
【特許文献1】特開2001−46723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、メダルを縦向きにして送り出す機構を不要にして装置を簡素化するとともに、メダル枚数のカウントがミスやエラーなく安定的に行えるようにした遊技設備のメダル供給機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 隣接する遊技機のメダル投入口にメダルをシュートで移送するメダル供給機において、メダル供給機はその供給口にメダルを横向きで供給するもので、シュートを複数のシュート部材で屈曲自在に構成し、供給口に上流側のシュート部材の基端部を取り付け、下流側のシュート部材の先端部に遊技機のメダル投入口と係合するアダプタを備え、上流側のシュート部材にはメダルを横向きで移送させる広幅のガイド溝を形成し、下流側のシュート部材にはメダルを縦向きで移送させる狭幅のガイド溝を形成し、上流側と下流側のシュート部材間にメダルを横向きから縦向きへ姿勢を変える姿勢変更部を設けたことを特徴とする、遊技設備のメダル供給機
2) 姿勢変更部が、上流側と下流側のシュート部材同士を回動自在に枢支し、下流側のシュート部材のアダプタを遊技機のメダル投入口に係合した際にメダルが前記枢支部分を通過できるように開放し、アダプタをメダル投入口から外すように下流側のシュート部材を回動した際に前記枢支部分をメダルが通過できないように閉塞するようにした構成である、前記1)記載の遊技設備のメダル供給機
3) 姿勢変更部が横向きのメダルを縦向きにする傾斜面であって、しかも傾斜面が緩やかな勾配から垂直又は垂直に近い急勾配へ無段階に変化するように形成したものである、前記1)又は2)記載の遊技設備のメダル供給機
4) 下流側のシュート部材の先端部にメダルの流れを解除可能に塞き止めるメダル移送停止手段を設けた、前記1)〜3)いずれか記載の遊技設備のメダル供給機
5) メダル移送停止手段が、バネの付勢力で下流側のシュート部材のガイド溝の途中を解除可能に閉塞する可動バーである、前記4)記載の遊技設備のメダル供給機
6) メダル移送停止手段が、下流側のシュート部材の側面に遊技者の指が挿入できる挿入穴を形成し、挿入穴に挿入した指でメダルの流れを塞き止めるようにしたものである、前記4)記載の遊技設備のメダル供給機
7) シュートの途中を上方へ折曲可能に構成した、前記1)〜6)いずれか記載の遊技設備のメダル供給機
にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、メダル供給機の内部にメダルを縦向きにする機構を省略して簡素化でき、供給時のメダル枚数のカウントをエラーなく安定的且つ正確に行うことができ、低コスト安定品質のメダル供給機を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の姿勢変更部は、上流側と下流側のシュート部材同士を回動自在に枢支し、下流側のシュート部材のアダプタを遊技機のメダル投入口に係合した場合のみメダルが前記枢支部分を通過できるように開放する構造にし、アダプタをメダル投入口から外した際に誤ってメダルが落下しないように前記枢支部分を閉塞できるようにするストッパを形成する。姿勢変更部の傾斜面は、緩やかな勾配から垂直又は垂直に近い急勾配へ無段階に変化するように形成してメダルの姿勢変化を円滑にする。メダル移送停止手段としては、バネの付勢力でガイド溝の途中を解除可能に閉塞する可動バーを設けたものや、下流側のシュート部材の側面に遊技者の指が挿入できる挿入穴を形成し、挿入穴に挿入した指でメダルの流れを塞き止めるようにした方法があり、コスト等に応じて選ばれる。メダル移送停止手段は、下流側のシュート部材に代えてアダプタ自身に設けてもよい。以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0008】
図1〜9に示す実施例はスロットマシンのメダル投入口にメダルを機械的に供給しながら投入するメダル供給機の例である。図1は実施例の遊技機とメダル供給機の斜視図、図2は実施例のシュートの斜視図、図3は実施例のシュートの分解斜視図、図4は実施例の姿勢変更部のストッパ機構の説明図、図5は実施例のアダプタの一部切欠斜視図、図6は実施例のメダル移送停止手段の説明図、図7,8は実施例のメダルの移送を示す説明図、図9は実施例のメダルの移送停止の解除を示す説明図である。
【0009】
本実施例の遊技機10は、図1〜3に示すように正面にメダルmを投入するメダル投入口11と、遊技結果に応じて払い出されたメダルmを受ける受皿12とを備えている。隣接して設置されるメダル供給機20は、正面に貨幣を投入する貨幣投入口21と、内部にメダルmを払い出し時まで一時貯溜するホッパー22と、メダルmを横向きの状態で落下させる複数の通過孔23と、通過したメダルmを払い出す払出口24とを備えている。25は取り付けたシュート30にメダルmを供給する供給口、25aはネジ穴である。
【0010】
シュート30は、図2〜6に示すように上流シュート部材31と下流シュート部材32とで屈曲自在に構成されている。上流シュート部材31は、メダルmの外径よりやや広幅の浅いガイド溝31aが形成され、基端部には上流シュート部材31を上下方向に回動させる回動基部31bが形成され、先端部には底部を有する拡径した屈曲筒部31dが形成されている。31cはネジ穴、31eは通過口である。
【0011】
下流シュート部材32は、メダルmの厚さよりやや大きい幅且つメダルmの外径とほぼ同じかやや深いガイド溝32aが形成され、基端部には上流シュート部材31の屈曲筒部31dの内側に嵌挿する屈曲筒部32bが形成され、屈曲筒部32bの内面に横向きのメダルmを縦向きにするための緩やかな勾配から急勾配へ無段階に変化する傾斜面32cが形成され、先端部にはガイド溝32aの底部にメダルmの落下口32dが形成され、先端部の側面にはアダプタ35を脱着自在に取り付ける取付凹所32eが形成され、取付凹所32eの後方にネジ穴32fが連通するように形成され、ネジ穴32fにバネ32hを介してメダルmの流れを塞き止める可動バー32gをネジ32iとナット32jで回動自在に取り付けている。
【0012】
この上流シュート部材31の回動基部31bをメダル供給機20の供給口25に円筒状の支持部材33と受け部材34で上下左右に回動自在に取り付ける。支持部材33は回動基部31bを上下方向に回動自在に枢支するとともに払出口24から払い出されたメダルmを横向きの状態でガイド溝31aに送るもので、受け部材34は上流シュート部材31の回動基部31bを枢支した支持部材33を左右方向に回動自在に支承するものである。33aはネジ穴、33bはネジ、34aは取付片、34bはネジ穴、34cはネジである。
【0013】
上流シュート部材31の屈曲筒部31dには下流シュート部材32の屈曲筒部32bを上方から嵌挿して通路口31eを通して左右に屈曲自在に取り付ける。このとき、図4(a)に示すように下流シュート部材32を遊技機10側に回動した際は傾斜面32cが上流シュート部材31のガイド溝31aの終端に配置されてメダルmが流れるようにし、図4(b)に示すように下流シュート部材32を遊技機10と反対側に回動した際は屈曲筒部32bの筒壁が上流シュート部材31のガイド溝31aの終端に配置されるようにし、非供給時にメダルmを誤って流さないように塞き止めるストッパ機構を構成している。
【0014】
下流シュート部材32の先端部には遊技機10のメダル投入口11と係合するアダプタ35が脱着自在に取り付けられる。アダプタ35は、下部にメダル投入口11の形状に合わせた係合凹所35aが形成され、内側上部には下流シュート部材32の取付凹所32eに嵌合する取付凸所35bが形成され、下流シュート部材32の落下口32dから落下したメダルmを縦向きの状態でメダル投入口11に案内する斜めのガイド面35cが形成されている。
【0015】
本実施例では、シュート30を上下左右に屈曲させてアダプタ35を遊技機10のメダル投入口11に係合し、遊技者がメダル供給機20の貨幣投入口21に貨幣を投入すると、ホッパー22のメダルmが通過孔23で横向きに通過(同時に図示しないカウント装置で枚数をカウント)して払出口24に落下し、投入金額に応じた所定枚数になるとメダルmの供給を停止する。払出口24に落下したメダルmは図7に示すように支持部材33で上流シュート部材31のガイド溝31aへ案内され、ガイド溝31aに沿って横向きの状態で滑動するように移送される。メダルmが屈曲筒部31d,32bに達すると傾斜面32cで横向きから縦向きに姿勢が変えられる。このとき、傾斜面32cは緩やかな勾配から急勾配へ無段階に変化するように形成されているから、メダルmが円滑に姿勢変更される。
【0016】
縦向きになったメダルmは図8に示すように下流シュート部材32のガイド溝32aに沿って縦向きの状態で転動するように移送される。下流シュート部材32の先端部に達したメダルmはバネ32hの付勢力で縦向きになっている可動バー32gで一旦流れが塞き止められる。その後、図9に示すように遊技者により可動バー32gが下方へ押されることで塞き止めが解除され、メダルmが落下口32dから縦向きのまま落下して遊技機10のメダル投入口11へ所要枚数が連続的に投入され、遊技が行なわれる。
【0017】
このように、本実施例によれば遊技者がメダルmを遊技機10の受皿12に移し替えたりメダル投入口11に一枚ずつ投入する煩わしい作業から開放されて遊技に集中できる。また、メダル供給機20の内部にメダルmを縦向きにする機構を省略して簡素化でき、供給時のメダルmの枚数のカウントもエラーなく安定的且つ正確に行うことができ、低コスト安定品質のメダル供給機20となった。
【0018】
図10に示すのは、実施例のメダル移送停止手段の他の例である。図10は実施例の他の例のメダル移送停止手段の説明図である。図中、32kは挿入穴、Hは遊技者の指である。図10に示す実施例の他の例は、実施例の可動バー32gに代えて下流シュート部材32の落下口32dの手前側面に遊技者の指Hが挿入できる挿入穴32kを形成し、指Hを挿入穴32kに挿入することでメダルmの流れを塞き止めるようにした例である。この例は可動バー32gやその取り付けに必要な部品を省略して低コストで実施できる。その他、符号、構成、作用効果は実施例と同じである。
【0019】
図11〜13に示すのは、シュートを屈曲筒部で上方へ折曲できるようにした実施例の他の例である。図11は実施例の他の例のシュートの斜視図、図12は実施例の他の例のシュートの分解斜視図、図13は実施例の他の例のシュートの折曲を示す説明図である。図中、10aは蝶番、31fは枢支軸、31gは枢支穴である。
【0020】
図11〜13に示す実施例の他の例では、上流シュート部材31と屈曲筒部31dを別体にし、上流シュート部材31の終端部の両壁面に枢支軸31fを突設し、屈曲筒部31dの傾斜面32cの上方の両壁面に枢支穴31gを形成し、枢支軸31fを枢支穴31gに嵌入して屈曲筒部31dが上流シュート部材31に対して上方へ折曲できるようにしている。遊技機10は蝶番10aで正面側を開閉可能に構成している。従って、図13に示すようにシュート30を途中で上方へ折曲することで、遊技機10の正面を開放してメンテナンスする際や、遊技者がメダルmを投入した後に遊技する際や、通行人が遊技機10の正面を通る際に接触を防止して邪魔にならないようにできる。その他、符号、構成、作用効果は実施例と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の遊技設備のメダル供給機は、スロットマシン等メダルを縦向きに投入して遊技する遊技機に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例の遊技機とメダル供給機の斜視図である。
【図2】実施例のシュートの斜視図である。
【図3】実施例のシュートの分解斜視図である。
【図4】実施例の姿勢変更部のストッパ機構の説明図である。
【図5】実施例のアダプタの一部切欠斜視図である。
【図6】実施例のメダル移送停止手段の説明図である。
【図7】実施例のメダルの移送を示す説明図である。
【図8】実施例のメダルの移送を示す説明図である。
【図9】実施例のメダルの移送停止の解除を示す説明図である。
【図10】実施例の他の例のメダル移送停止手段の説明図である。
【図11】実施例の他の例のシュートの斜視図である。
【図12】実施例の他の例のシュートの分解斜視図である。
【図13】実施例の他の例のシュートの折曲を示す説明図である。
【図14】従来の遊技機とメダル供給機の斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
10 遊技機
10a 蝶番
11 メダル投入口
12 受皿
20 メダル供給機
21 貨幣投入口
22 ホッパー
23 通過孔
24 払出口
25 供給口
25a ネジ穴
30 シュート
31 上流シュート部材
31a ガイド溝
31b 回動基部
31c ネジ穴
31d 屈曲筒部
31e 通過口
31f 枢支軸
31g 枢支穴
32 下流シュート部材
32a ガイド溝
32b 屈曲筒部
32c 傾斜面
32d 落下口
32e 取付凹所
32f ネジ穴
32g 可動バー
32h バネ
32i ネジ
32j ナット
32k 挿入穴
33 支持部材
33a ネジ穴
33b ネジ
34 受け部材
34a 取付片
34b ネジ穴
34c ネジ
35 アダプタ
35a 係合凹所
35b 取付凸所
35c ガイド面
40 遊技機
41 メダル投入口
42 受皿
50 メダル供給機
51 貨幣投入口
52 シュート
53 供給口
54 アダプタ
H (遊技者の)指
m メダル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する遊技機のメダル投入口にメダルをシュートで移送するメダル供給機において、メダル供給機はその供給口にメダルを横向きで供給するもので、シュートを複数のシュート部材で屈曲自在に構成し、供給口に上流側のシュート部材の基端部を取り付け、下流側のシュート部材の先端部に遊技機のメダル投入口と係合するアダプタを備え、上流側のシュート部材にはメダルを横向きで移送させる広幅のガイド溝を形成し、下流側のシュート部材にはメダルを縦向きで移送させる狭幅のガイド溝を形成し、上流側と下流側のシュート部材間にメダルを横向きから縦向きへ姿勢を変える姿勢変更部を設けたことを特徴とする、遊技設備のメダル供給機。
【請求項2】
姿勢変更部が、上流側と下流側のシュート部材同士を回動自在に枢支し、下流側のシュート部材のアダプタを遊技機のメダル投入口に係合した際にメダルが前記枢支部分を通過できるように開放し、アダプタをメダル投入口から外すように下流側のシュート部材を回動した際に前記枢支部分をメダルが通過できないように閉塞するようにした構成である、請求項1記載の遊技設備のメダル供給機。
【請求項3】
姿勢変更部が横向きのメダルを縦向きにする傾斜面であって、しかも傾斜面が緩やかな勾配から垂直又は垂直に近い急勾配へ無段階に変化するように形成したものである、請求項1又は2記載の遊技設備のメダル供給機。
【請求項4】
下流側のシュート部材の先端部にメダルの流れを解除可能に塞き止めるメダル移送停止手段を設けた、請求項1〜3いずれか記載の遊技設備のメダル供給機。
【請求項5】
メダル移送停止手段が、バネの付勢力で下流側のシュート部材のガイド溝の途中を解除可能に閉塞する可動バーである、請求項4記載の遊技設備のメダル供給機。
【請求項6】
メダル移送停止手段が、下流側のシュート部材の側面に遊技者の指が挿入できる挿入穴を形成し、挿入穴に挿入した指でメダルの流れを塞き止めるようにしたものである、請求項4記載の遊技設備のメダル供給機。
【請求項7】
シュートの途中を上方へ折曲可能に構成した、請求項1〜6いずれか記載の遊技設備のメダル供給機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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