説明

遊星歯車減速機

【課題】フリー機構付きの遊星歯車減速機を提供するにあたり、製造コストおよび管理コストを従来よりも低減すること。
【解決手段】油圧モータ6の出力軸7に一端部がスプライン結合される入力軸8と、入力軸8の他端部に配置され当該入力軸8と共に回転する第1サンギア9と、第1サンギア9に噛み合う第1遊星歯車11と、第1遊星歯車11が噛み合う内歯5bが内周に形成されモータケース4に対して回転自在に保持される筒状の回転ケース5と、回転ケース5の開口を覆うカバー12と、を備える遊星歯車減速機1である。入力軸8と第1サンギア9とが一体的に形成されており、第1サンギア9が通過可能な孔12aがカバー12に穿設されており、孔12aを覆うサブカバー18がカバー12にボルト19を介して固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊星歯車減速機に関し、特に、クローラ車両などの建設車両を駆動するのに好適に用いられる遊星歯車減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の遊星歯車減速機に関する技術としては、例えば、特許文献1に開示されているようなものがある。特許文献1に記載の遊星歯車減速機(2)では、原動機(1)の出力軸(11)と遊星歯車減速機(2)の入力歯車(14)とを駆動連結する連結継手(3)を、外部から着脱可能に設けている。原動機(1)と遊星歯車減速機(2)との間の動力伝達を遮断するときは、連結継手(3)をハウジング(24)内から外部へ抜き取る。なお、原動機(例えば油圧モータ)と遊星歯車減速機との間の動力伝達を遮断する機構は、当該技術分野において、フリー機構と呼ばれている。
フリー機構を上記したような構成とすることで、複雑な専用部品を使用することなくフリー機構付きの走行モータを提供することができる、と特許文献1において称されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−240066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、フリー機構は、一部の車両(または遊星歯車減速機)に設けられるオプションである。特許文献1に記載の遊星歯車減速機(2)では、フリー機構として複雑な専用部品を使用しないで済むかもしれないが、その遊星歯車減速機(2)を構成する裏蓋(4)、連結継手(3)は、フリー機構を有さない遊星歯車減速機を構成する標準の部品とは別に作製されている。したがって、一部の車両にのみオプションで必要となる部品を別に作製しなければならないことになり、製造コストは高くなる。また、別に作製しなければならない部品の種類が増えることは、その管理コストの増大にもつながる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、フリー機構付きの遊星歯車減速機を提供するにあたり、製造コストおよび管理コストを従来よりも低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、モータの出力軸に一端部がスプライン結合される入力軸と、前記入力軸の他端部に配置され当該入力軸と共に回転するサンギアと、前記サンギアに噛み合う遊星歯車と、前記遊星歯車が噛み合う内歯が内周に形成され、モータケースに対して回転自在に保持される筒状の回転ケースと、前記回転ケースの開口を覆うカバーと、を備える遊星歯車減速機において、前記入力軸と前記サンギアとが一体的に形成されており、前記サンギアが通過可能な孔が前記カバーに穿設されており、前記孔を覆うサブカバーが前記カバーに取り付けられていることを特徴とする、遊星歯車減速機である。
【0007】
この構成によると、サンギアおよび入力軸を標準品と同じ部品にすることができる。また、カバーについては標準品のカバーを加工して使用することができる。すなわち、フリー機構専用のサンギア、入力軸、およびカバーを別に作製してストックしておく必要がなく、製造コストおよび管理コストを従来よりも低減することができる。フリー機構用に新作する部品はサブカバーのみでよい。
【0008】
また本発明において、前記サブカバーは、ボルトにより前記カバーに固定されており、前記ボルトが螺合可能なボルト穴が前記入力軸の他端面に形成されていることが好ましい。
【0009】
この構成によると、サンギアが一体的に形成された入力軸を抜くときに、サブカバーの取付用のボルトをはずして使用することができる。すなわち、入力軸の引抜用の治具を別途備えてく必要がない。
【0010】
さらに本発明において、前記サブカバーは、前記サンギアの退避スペースとなる空間を内側に有するように山形に形成されており、前記サンギアを前記空間に退避させることで、前記サンギアと前記遊星歯車との噛み合いを解くとともに、前記入力軸と前記出力軸とのスプライン結合を解くことが好ましい。
【0011】
この構成によると、サブカバーをはずすことなくモータをフリーにすることができる。サブカバーをはずさないので減速機内部の潤滑油が外部に流出することを防止できる。
【0012】
さらに本発明において、前記サブカバーを摺動貫通するように設けられ、前記サンギアを前記空間に退避させるための引抜用ピンを備え、前記引抜用ピンは、入力軸側の先端にネジ部を有し、前記入力軸には、前記ネジ部が螺合可能なナット部が他端に形成されているとともに、前記ネジ部を収容可能な中空部が当該ナット部から延在するように設けられており、前記ネジ部が前記中空部に到達するまで前記ネジ部を前記ナット部にねじ込むことで、前記引抜用ピンを前記入力軸の他端にセットすることが好ましい。
【0013】
この構成によると、標準の遊星歯車減速機(フリー機構を有さない遊星歯車減速機)を構成する入力軸(部品)を加工して使用することができる。その結果、フリー機構専用のサンギアや入力軸を別に作製してストックしておく必要がなくなり、製造コストおよび管理コストを従来よりも低減することができる。フリー機構用に新作する主な部品は、サブカバーおよび引抜用ピンのみでよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フリー機構付きの遊星歯車減速機を提供するにあたり、フリー機構を有さない遊星歯車減速機(標準品)を構成する部品の多くを流用することができるようになり、製造コストおよび管理コストを従来よりも低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る遊星歯車減速機を示す一部切り欠き断面図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】図1に示した遊星歯車減速機において油圧モータをフリーにした状態を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る遊星歯車減速機を示す一部切り欠き断面図である。
【図5】図4のB部拡大図である。
【図6】図4に示した遊星歯車減速機において油圧モータをフリーにした状態を示す図である。
【図7】標準の遊星歯車減速機(フリー機構を有さない遊星歯車減速機)を示す一部切り欠き断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明に係る遊星歯車減速機は、例えば、油圧ショベルなどの建設車両を駆動するのに好適に用いられる減速機である。以下の説明では、本発明の理解が容易となるように、フリー機構を有さない遊星歯車減速機(標準品)の概要について説明した後、本発明に係るフリー機構付きの遊星歯車減速機について説明することとする。
【0017】
(標準品)
フリー機構を有さない標準の遊星歯車減速機200を図7に示した。図7に示すように、遊星歯車減速機200は、モータ部2と減速機部3とからなる。すなわち、遊星歯車減速機200は、モータ付きの遊星歯車減速機である。
【0018】
モータ部2は、油圧モータ6、出力軸7、およびこれら部品を収容するモータケース4などから構成される。遊星歯車減速機200は、モータケース4の外周に形成されたフランジ4aを介して建設車両のフレームに固定される。
【0019】
減速機部3は、入力軸58、第1サンギア9、第1遊星歯車11、遊星キャリア14、第2サンギア15、第2遊星歯車16、およびこれら部品を収容する筒状の回転ケース5などから構成される。回転ケース5の開口は、板部材からなるカバー52で覆われる。カバー52は、ボルト17により回転ケース5に固定されている。なお、第1サンギア9、第1遊星歯車11、第2サンギア15、および第2遊星歯車16は、いずれも平歯車である。
【0020】
油圧モータ6の出力軸7と減速機部3の入力軸58とは、端部同士が突き合せられた状態でスプライン継手10を介してスプライン結合される(後述する入力軸8、21についても同様)。油圧モータ6の出力軸7にスプライン継手10を介して一端部が連結された状態の入力軸58は、スプライン結合により、軸方向にはスライド可能であるが、回転方向には拘束される。
【0021】
出力軸7とは反対側の入力軸58の端部には、入力軸58と共に回転する第1サンギア9が配置される。入力軸58と第1サンギア9とは一体的に形成されている。一体的に形成するとは、例えば、削り出しなどの加工により1本の金属材料からサンギアを有する入力軸を作製することをいう。
【0022】
第1サンギア9の外側には、この第1サンギア9と噛み合う第1遊星歯車11が配置されている。第1遊星歯車11は、遊星キャリア14に回転自在に保持されており、自転しながら回転ケース5の内周に沿って公転運動を行うことになる。
【0023】
また、出力軸7および入力軸58には、第2サンギア15が緩挿されている。第2サンギア15は遊星キャリア14により回転させられる。第2サンギア15の外側には、この第2サンギア15と噛み合う第2遊星歯車16が配置されている。第2遊星歯車16は、モータケース4から突設されたボス部4bに回転自在に保持されており、ボス部4b周りに自転運動を行うことになる(ボス部4bは固定されているので公転運動は行わない)。
【0024】
なお、回転ケース5は、モータケース4に対してベアリングを介して回転自在に保持されるものであって、その内周には、第1遊星歯車11および第2遊星歯車16が噛み合う内歯5bが形成されている。また、入力軸58とカバー52との間にはスラストプレート53が配置されている。スラストプレート53は、入力軸58に作用するスラスト荷重を受けるための金属プレートである。回転ケース5の外周にはフランジ5aが設けられている。遊星歯車減速機200は、このフランジ5aを介して建設車両の駆動輪に連結される。
【0025】
油圧モータ6を駆動すると、その動力は減速機部3内を伝達し、回転ケース5が所定の回転数で回転する。
(第1実施形態)
【0026】
(遊星歯車減速機の構成)
図1〜3を参照しつつ、本発明に係るフリー機構付きの遊星歯車減速機1について説明する。なお、遊星歯車減速機1についての説明においては、前記した標準の遊星歯車減速機200と同一の部品についてはその説明を省略する。
【0027】
図1、2に示したように、回転ケース5の開口を覆うカバー12の中心部には、第1サンギア9が通過可能な大きさの孔12aが穿設されている。同様に、スラストプレート13の中心部にも第1サンギア9が通過可能な大きさの孔が穿設されている。そして、カバー12には、この孔12aを塞ぐサブカバー18が複数本のボルト19により固定されている。
【0028】
サブカバー18は、円板状の部品であって、大径部18a、中径部18b、および小径部18cをこの順に有する。中径部18bの外径と孔12aの内径とがほぼ等しくされている。また、大径部18aの厚みと中径部18bの厚みとはほぼ等しい。中径部18bの厚みはカバー12の厚みとほぼ等しくされている。すなわち、サブカバー18の厚みは、カバー12の厚みの2倍以上、3倍未満とされている。入力軸8の端面と小径部18cとの間にはわずかな隙間が設けられている。サブカバー18の大径部18aとカバー12との間には油漏れ防止のための樹脂製のシールリング20が挟み込まれている。また、ボルト19の頭部とサブカバー18との間にも、油漏れ防止のための樹脂製のシールリング30(シール材)が挟み込まれている。なお、シールリング20・30は、必ずしも樹脂製である必要はない。
【0029】
出力軸7とは反対側の入力軸8の端面中心には、ボルト19が螺合可能な大きさのボルト穴8aが軸方向に設けられている。なお、入力軸8の設けられるボルト穴8aの大きさは、ボルト19が螺合可能な大きさである必要は必ずしもなく、他の大きさのボルト穴であってもよい。さらには、入力軸8を引き抜ける手段であればよく、ボルト穴(ボルトによる引き抜き)に限られるものでもない。
【0030】
(モータ部2と減速機部3との間の動力伝達遮断手順)
周囲の安全確認をした後、ボルト19を緩めてサブカバー18を外す。取り外したボルト19のうち1本のボルト19を入力軸8のボルト穴8aにねじ込む。ねじ込んだボルト19を工具などで挟んで入力軸8を引き抜く。その後、粉塵などが減速機内部に入らないように、サブカバー18をカバー12に再取付する。サブカバー18をカバー12に再取付した状態を図3に示している。
【0031】
以上説明したように、本発明に係るフリー機構によると、フリー機構付きの遊星歯車減速機1を組立てあげるのに際し、入力軸8、スラストプレート13、およびカバー12以外の部品は、すべて、フリー機構を有さない標準の遊星歯車減速機200の部品と同じ部品とすることができる。入力軸8、スラストプレート13、およびカバー12に関しては、標準の遊星歯車減速機200の部品である、入力軸58、スラストプレート53、およびカバー52を少し加工して使用することができる。その結果、フリー機構専用のサンギア、入力軸8、カバー12などを別に作製してストックしておく必要がなくなり、製造コストおよび管理コストを従来よりも低減することができる。なお、フリー機構用に新作する部品はサブカバー18のみでよい。
【0032】
また、本実施形態によると、第1サンギア9が一体的に形成された入力軸8を抜くときに、サブカバー18の取付用のボルト19をはずして使用することができる。すなわち、入力軸8の引抜用の治具を別途備えてく必要がない。
(第2実施形態)
【0033】
(遊星歯車減速機の構成)
次に、図4〜6を参照しつつ、第2実施形態に係るフリー機構付きの遊星歯車減速機102について説明する。なお、前記した標準の遊星歯車減速機200と同一の部品についてはその説明を省略する。
【0034】
図4、5に示したように、回転ケース5の開口を覆うカバー12の中心部には、第1サンギア9が十分に通過可能な大きさの孔12aが穿設されている。同様に、スラストプレート13の中心部にも第1サンギア9が通過可能な大きさの孔が穿設されている。そして、カバー12には、この孔12aを塞ぐサブカバー22が複数本のボルト26により固定されている。
【0035】
(サブカバー)
サブカバー22は、内側に空間Sを有する断面山形の部品であって、大径部22a、および環状の中径部22bを有する。サブカバー22の中心には、後述する引抜用ピン23が挿入される孔22cが設けられている。サブカバー22を断面山形の部品とすることで、第1サンギア9の退避スペースとなる空間Sを減速機部3の内部側に確保している(図6参照)。
【0036】
環状の中径部22bの内径は、第1サンギア9の外径よりも少し大きくされている。サブカバー22の大径部22aとカバー12との間には油漏れ防止のための樹脂製のシールリング20が挟み込まれている。また、ボルト26の頭部とサブカバー22との間にも、油漏れ防止のための樹脂製のシールリング30(シール材)が挟み込まれている。なお、シールリング20・30は、必ずしも樹脂製である必要はない。
【0037】
(引抜用ピン)
本実施形態では、第1サンギア9を空間Sに退避させるための引抜用ピン23が、カバー12に取り付けられたサブカバー22の中央を摺動貫通するように設けられている。図5に示したように、引抜用ピン23は、円柱状の本体部28と、本体部28の端面中心から突出するように設けられた係合部29とからなる。
【0038】
係合部29が設けられた側とは反対側の本体部28の端面中心には、ボルト25(後述するフリー用カバー24をサブカバー22に固定するためのボルト)が螺合可能な大きさのボルト穴28aが軸方向に設けられている。
【0039】
係合部29は、先端のネジ部29aと、ネジ部29aと本体部28との間の棒状部29bとからなる。棒状部29bの径は、ネジ部29aの径よりも小さい。また、棒状部29bの長さは、入力軸21の端部に設けられたナット部21aの長さよりも少し長くされる。これにより、図5に示すように、定常時は、ネジ部29aの雄ネジとナット部21aの雌ネジとの間に軸方向に隙間が形成され、引抜用ピン23は、入力軸21の回転の妨げにならない。
【0040】
(入力軸)
スプライン継手10(スプライン結合部)とは反対側の入力軸21の端部には、引抜用ピン23のネジ部29a(雄ネジ部)が螺合可能なナット部21aが設けられている。すなわち、スプライン継手10とは反対側の入力軸21の端部には、ネジ部29aが螺合可能なネジ孔21c(雌ネジ部)が設けられている。また、ネジ部29aを収容可能な大きさの中空部21bがナット部21aから延在するように設けられている。なお、本実施形態では、ナット部21aから入力軸21の端まで中空部21bが形成されているが、入力軸21の端まで中空部21bを形成しなくてもよい。
【0041】
引抜用ピン23の本体部28とサブカバー22の孔22cとの間には油漏れ防止のための樹脂製のシールリング27が挟み込まれおり、引抜用ピン23の本体部28の外周面と、サブカバー22の孔22cとは摺動自在とされている。なお、シールリング27は、必ずしも樹脂製である必要はない。
【0042】
また、図5に示したように、引抜用ピン23の外側には、引抜用ピン23を保護するためのフリー用カバー24が配置されている。フリー用カバー24は、複数本のボルト25によりサブカバー22に固定されている。
【0043】
(引抜用ピン23のセット方法)
引抜用ピン23の先端に設けたネジ部29aを、当該ネジ部29aが入力軸21のナット部21aを超えて中空部21bに到達するまで(噛み合いがなくなるまで)、入力軸21のナット部21aにねじ込む。
【0044】
(モータ部2と減速機部3との間の動力伝達遮断手順)
周囲の安全確認をした後、ボルト25を緩めてフリー用カバー24を外す。取り外したボルト25のうち1本のボルト25を引抜用ピン23のボルト穴28aにねじ込む。ねじ込んだボルト25を工具などで挟んで、サブカバー22の内壁に第1サンギア9が当たるまで引抜用ピン23を引っ張る。引抜用ピン23先端のネジ部29a(雄ネジ部)が入力軸21のナット部21a(雌ネジ部)に引っ掛かることで第1サンギア9がスライド移動するのである。これにより、第1サンギア9が空間Sに退避し、第1サンギア9と第1遊星歯車11との噛み合いが解かれるとともに、入力軸21と出力軸7とのスプライン結合が解かれる。
【0045】
本実施形態によると、サブカバー22をはずすことなく油圧モータ6をフリーにすることができる。サブカバー22をはずさないので減速機内部の潤滑油が外部に流出することを防止できる。
【0046】
また、標準の遊星歯車減速機200(フリー機構を有さない遊星歯車減速機)を構成する入力軸58を加工して、本実施形態に係る入力軸21を作製することができる。その結果、フリー機構専用のサンギアや入力軸を別に作製してストックしておく必要がなくなり、製造コストおよび管理コストを従来よりも低減することができる。フリー機構用に新作する部品は、サブカバー22、引抜用ピン23、およびフリー用カバー24のみとなる。
【0047】
さらには、引抜用ピン23を引っ張るときに、フリー用カバー24の固定用のボルト25をはずして使用することができる。すなわち、引抜用ピン23の引抜用の治具を別途備えてく必要がない。
【符号の説明】
【0048】
1:遊星歯車減速機
2:モータ部
3:減速機部
4:モータケース
5:回転ケース
5b:内歯
6:油圧モータ
7:出力軸
8:入力軸
9:第1サンギア(サンギア)
11:第1遊星歯車
12:カバー
12a:孔
18:サブカバー
19:ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの出力軸に一端部がスプライン結合される入力軸と、
前記入力軸の他端部に配置され当該入力軸と共に回転するサンギアと、
前記サンギアに噛み合う遊星歯車と、
前記遊星歯車が噛み合う内歯が内周に形成され、モータケースに対して回転自在に保持される筒状の回転ケースと、
前記回転ケースの開口を覆うカバーと、
を備える遊星歯車減速機において、
前記入力軸と前記サンギアとが一体的に形成されており、
前記サンギアが通過可能な孔が前記カバーに穿設されており、
前記孔を覆うサブカバーが前記カバーに取り付けられていることを特徴とする、遊星歯車減速機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊星歯車減速機において、
前記サブカバーは、ボルトにより前記カバーに固定されており、
前記ボルトが螺合可能なボルト穴が前記入力軸の他端面に形成されていることを特徴とする、遊星歯車減速機。
【請求項3】
請求項1に記載の遊星歯車減速機において、
前記サブカバーは、前記サンギアの退避スペースとなる空間を内側に有するように山形に形成されており、
前記サンギアを前記空間に退避させることで、前記サンギアと前記遊星歯車との噛み合いを解くとともに、前記入力軸と前記出力軸とのスプライン結合を解くことを特徴とする、遊星歯車減速機。
【請求項4】
請求項3に記載の遊星歯車減速機において、
前記サブカバーを摺動貫通するように設けられ、前記サンギアを前記空間に退避させるための引抜用ピンを備え、
前記引抜用ピンは、入力軸側の先端にネジ部を有し、
前記入力軸には、前記ネジ部が螺合可能なナット部が他端に形成されているとともに、前記ネジ部を収容可能な中空部が当該ナット部から延在するように設けられており、
前記ネジ部が前記中空部に到達するまで前記ネジ部を前記ナット部にねじ込むことで、前記引抜用ピンを前記入力軸の他端にセットすることを特徴とする、遊星歯車減速機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−127470(P2012−127470A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281664(P2010−281664)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】