説明

遊離性基を有するインクとコーティング用の改質炭素生産品

【課題】改質炭素生産品を提供する。
【解決手段】少なくとも1種の有機基が結合した炭素を含む改質炭素生産品が開示され、その有機基は、(a) 少なくとも1種の芳香族基又はC1 〜C12アルキル基、及び(b) 式−AG−Sp−LG−Zを有するイオン基又はイオン性基を含であり、AGは活性基、Spはその活性基がLGを離脱することを助長するスペーサー基であり、Zは対イオンであり、その芳香族基又はC1 〜C12アルキル基は炭素に直接結合し、有機基は任意の量で存在する。また、本発明は、これらの改質炭素生産品を含むインクとコーティング用の組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改質炭素生産品、及びその改質カーボンブラック生産品を含むインクとコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、主な黒色顔料は、ファーネスブラックのようなカーボンブラックであり、このカーボンブラックは、乾燥した粉末状態、フラッシペースト、又は濃厚な液体の状態で、着色剤として使用可能である。一般に、着色剤は、色調、非変色性、質感、不透明、光沢、レオロジー、最終用途、印刷性に影響を与える。
現在使用されているインクには、種々の部類がある。これらの分類には、印刷用インク、紫外線硬化インク、ポールペンインク、スタンプパッド、マーキングインクが挙げられる。一般に、インクは、凸版、平版、フレキソ、グラビア、スクリーン、ステンシル、複写、静電気によって施すことができる。このようなインクは、ニュース、刊行物、コマーシャル、カートン、書籍、ダンボール、紙袋、包装材料、ラベル、金属容器、プラスチック容器、プラスチックフィルム、ホイル、ラミネート、食品内装物、衛生紙、生地等に見ることができる。マグローヒル社の「Encyclopedia of Science and Technology, Vol.7, pags. 159-164」(非特許文献1)は、利用可能なインクの種類とそれらの用途をより詳細に記載しており、これらの記載はいずれも本願でも参考にして取り入れられている。
【0003】
また、コーティングも顔料を含むことができ、各種表面の装飾、保護、及び機能のための処理に使用される。これらの表面には、コイル、金属、器具、家具、ハードボード、挽材、合板、船舶、メインテナンス、自動車、缶、ボール紙が挙げられる。海底パイプラインに施されるようなコーティングは、保護を目的とする。また、自動車の外側コーティングは、装飾と保護の機能のためである。また、船舶デッキや自動車シートは、摩擦調節のためである。あるコーティングは、船舶の下部表面を汚れを抑制し、また、缶の中の食物や飲物を保護する。シリコンチップ、プリント配線ボード、信号伝送導波ファイバーのコーティング、ビデオテープやコンピューターディスクの磁気コーティングはいわゆるコーティングのハイテク用途である。
【0004】
水性のインクとコーティングの水系ビヒクルの種類には、バインダーが、水に可溶なもの、コロイド状に分散するもの、乳化してラテックスを形成するものが挙げられる。バインダーと揮発性液体の組み合わせはビヒクルと称され、これは、溶液、又は非溶媒中の微細なバインダー粒子のディスパージョンであることができる。顔料は、コーティングビヒクル中に分散された、微細に分割された不溶性の固体粒子であり、最終的な膜の中でバインダーの全体に分布する。水系コーティングの成分と製造は、文献「Concised Encyclopedia of Polymers, Science and Engineering, pags. 160-171 (1990)」(非特許文献2)により詳しく説明されており、本願でも参考にして取り入れられている。
【0005】
非水性のインクとコーティングは、水系ビヒクルが適さない多くの用途に使用される。例えば、金属、ガラス、プラスチックのような疎水性で無孔質の基材に印刷されるインクは、速乾性でなければならない。したがって、水ではなく、ケトン、エステル、アルコール、炭化水素のような溶媒が使用されることが多い。このような溶媒をベースにしたインクは、紙基材、工業的ボール箱ラベル、種々の金属やプラスチックの容器、コンポーネントの印刷に広く使用されている。具体的な例には、ニュースインク組成物、ウェブオフセットグロスの熱硬化インク組成物が挙げられる。
【0006】
また、インクとコーティングは、ある場合には、耐水性であることが必要とされる。このような場合、耐水性樹脂を、インク又はコーティングを非水系溶媒の中に溶かし、乾燥後に所望の耐水性を与えることができる。このような非水系コーティングの主な用途は、金属やプラスチックの自動車部品である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】マグローヒル社の「Encyclopedia of Science and Technology, Vol.7, pags.159-164」
【非特許文献2】「Concised Encyclopedia of Polymers, Science and Engineering, pags.160-171(1990)」
【発明の概要】
【0008】
本発明は、少なくとも1種の有機基が結合した炭素を含む改質炭素生産品に関するものであり、その有機基は、(a) 少なくとも1種の芳香族基又はC1 〜C12アルキル基、及び(b) 式−AG−Sp−LG−Zを有する基を含み、AGは活性基、Spは遊離性基の離脱を助長するスペーサー基である。LGは遊離性基、Zは対イオンである。芳香族基又はC1 〜C12アルキル基は、炭素に直接結合する。また、本発明は、これらの改質炭素生産品を含むインク又はコーティングの組成物に関する。
【0009】
本願における用語「炭素」は、結晶性及び/又はアモルファスのタイプであることができる。例えば、限定されるものではないが、グラファイト、カーボンブラック、炭素繊維、ガラス質炭素、活性チャーコール、活性炭が挙げられる。これらの微細に分割した形態が好ましく、また、種々の炭素の混合物を使用することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本改質炭素生産品は、少なくとも1種の有機基が結合した炭素を含み、ここで、その有機基は、(a) 芳香族基又はC1 〜C12アルキル基、及び(b) 式−AG−Sp−LG−Zを有するイオン基又はイオン性基を含み、AGは活性基、Spは遊離性基LGの離脱を助長するスペーサー基である。LGは遊離性基であり、Zは対イオンである。活性基は、遊離性基の離脱を助長する任意の基である。活性基の例には、限定されるものではないが、−SO2 −、−NRSO2 −、−NRCO−、−O2 C−、−SO2 NR−等がある。Rは、相互に関係なく、C1 〜C12の置換又は未置換アルキル、C2 〜C12の置換又は未置換アルケニル、シアノエチル、又は置換又は未置換のC7 〜C20アラルキル又はアルカリルである。スペーサー基は、好ましくは、−AGの隣の炭素に結合した少なくとも1つの水素を有する任意のエチレン基又は置換エチレン基である。遊離性基は、炭素系着色剤又は顔料に結合した有機基から遊離することができる任意の基である。遊離性基が、炭素生産品に結合した有機基から遊離すると、炭素生産品に結合した残りのイオン基又はイオン性基の数が減少する。遊離性基の例には、限定されるものではないが、−OSO3 - 、−SSO3 - 、−OPO32- 、Q+ 等がある。Q+ は、NR3 + 、N(C243+ 、又はピリジンのようなN置換複素環である。芳香族基又はC1 〜C12アルキル基は、炭素に直接結合し、炭素に結合して存在する有機基の量には制限はない。好ましくは、炭素に結合した有機基の量は、使用した炭素のCTAB又は全面積を基準に約0.10〜約4.0マイクロモル/m2 、より好ましくは約2.0〜約3.3マイクロモル/m2 である。
【0011】
式−AG−Sp−LG−Zの適切なイオン基又はイオン性基には、限定されるものではないが、
SO224 OSO3 -+
SO224 SSO3 -+
SO224 OPO32-2 +
SO224+-
NRSO224 OSO3 -+
NRSO224 SSO3 -+
NRSO224 OPO32-2 +
NRSO224+-
SO2 NRC24 OSO3 -+
SO2 NRC24 SSO3 -+
SO2 NRC24 OPO32-2 +
SO2 NRC24+-
NRCOC24 OSO3 -+
NRCOC24 SSO3 -+
NRCOC24+-
2 CC24 OSO3 -+
2 CC24 SSO3 -+
SO224 SO264 SO3 -+
SO224 SO264 CO2 -+
NRCOC24 SO224 OSO3 -+
NRCOC24 SO264 SO3 -+
NRCOC24 SO264 CO2 -+
が挙げられ、Rは、相互に関係なく、水素、C1 〜C12の置換又は未置換アルキル、C2 〜C12の置換又は未置換アルケニル、シアノエチル、又は置換又は未置換のC7 〜C20アラルキル又はアルカリルであり、Mは、H又はアルカリ金属の例えばLi、Na、K、Cs、又はRbであり、Qは上述の通りである。Xは、ハリド又は無機酸又は有機酸から誘導されたアニオンである。
【0012】
また、N置換複素環のような複素環式又は環式の一般的なイオン基又はイオン性基も使用可能である。具体的な例には、限定されるものではないが、
【0013】
【化1】

【0014】
上記のN環式において、SO3 - がLG、M +が対イオンである。AG−SpがN環である。
環式の例には次のものが挙げられる。
【0015】
【化2】

【0016】
ここで、Rは上記の通りであり、波線は、芳香族基のような有機基への結合を意味する。より具体的な例には、次のものが挙げられる。
【0017】
【化3】

【0018】
ここで、線分は、炭素生産品への結合を意味する。高温又は基本的条件下で、これらの環式構造は、スルフィットイオンを遊離することができる。
好ましい有機基はC64 SO224 OSO3 - Na +である。イオン基又はイオン性基のLG−Z部分は、好ましくは、炭素生産品が、例えば、水性インク又はコーティング配合物の中に入れられたとき、遊離反応によって炭素生産品から除去(遊離)される。この遊離は、加熱する又はしない中で、経時的に生じることができる。このような遊離反応の例は、SO224 OSO3 M基が(CH32 NC24 OHと反応してSO2 CH=CH2 とM +H(CH32+24 OHSO42- を生成する反応である。水性又は非水性のインク又はコーティングの組成物又は配合物が、これらの1種以上の改質炭素生産品と適切な有機溶媒又は水系媒体の例えば水を含んで調製されることができる。これらの改質炭素生産品がコーティング配合物の中に存在し、遊離反応が生じると、改質炭素生産品は、少なくとも1種の有機基を結合した炭素を含み、ここで、有機基は、(a) 芳香族基又はC1 〜C12アルキル基、及び(b) 式−AG−CH=CH2 、−AG−C24 OH、又は−AG−C24 −O−C24 −AG−を有する基を含み、各AGは同じでも異なってもよいが、炭素に結合する。これらの炭素生産品を含むインクとコーティングは、本発明の一部である。
【0019】
炭素は、結晶性及び/又はアモルファスのタイプであることができる。例えば、限定されるものではないが、グラファイト、カーボンブラック、ガラス質炭素、活性チャーコール、炭素繊維、活性炭、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの微細に分割した形態が好ましく、また、種々の炭素の混合物を使用することもできる。
【0020】
本改質炭素生産品は、好ましくは、炭素に、液体反応媒体中のジアゾニウム塩を反応させ、少なくとも1種の有機基を炭素表面に結合させることによって調製することができる。ジアゾニウム塩は、炭素に結合する有機基を含むことができる。ジアゾニウム塩は、1以上のジアゾニウム基を有する有機化合物である。好ましい反応媒体には、水、任意の水含有媒体、任意のアルコール含有媒体が挙げられる。水が最も好ましい媒体である。炭素がカーボンブラックである改質炭素生産品とその好ましい種々の製造方法は、米国特許出願第08/356660号(発明の名称:カーボンブラックのジアゾニウム塩の反応、得られたカーボンブラック生産品、及びそれらの用途、1994年12月15日出願)、及びその一部継続出願の米国特許出願第08/572525号(1995年12月14日出願)に開示されており、これらは本願でも参考にして取り入れられている。炭素がカーボンブラックでない改質炭素生産品とその好ましい種々の製造方法は、米国特許第5554739号(発明の名称:炭素材料とジアゾニウム塩の反応、得られた炭素生産品)、WO96/18696、WO96/18688に開示されており、これらは本願でも参考にして取り入れられている。
【0021】
上記の改質炭素生産品の好ましい調製において、ジアゾニウム塩は、炭素との反応を可能にするのに十分に安定であれば足りる。即ち、この反応は、不安定で分解を受けることが考えられるもの以外のジアゾニウム塩を用いて行うことができる。ある分解プロセスは、炭素とジアゾニウム塩の反応と競合し、炭素に結合する有機基の全数を減らすことがある。また、この反応は、多くのジアゾニウム塩が分解を受ける高温で行うこともできる。また、高温は、反応媒体中のジアゾニウム塩の溶解を促進し、プロセス中のそのハンドリングを改良するのに有益なこともある。しかしながら、高温は、分解プロセスによってジアゾニウム塩の損失をもたらすことがある。ジアゾニウム塩は、その場所で調製することができる。本発明の改質炭素生産品は、副生物又は未結合塩は、僅かの量しか含まないことが好ましい。
【0022】
好ましい調製プロセスにおいて、カーボンブラックは、薄くて容易に攪拌できる水系スラリーとして、又はカーボンブラック造粒水が適当量存在する中で、ジアゾニウム塩と反応することができる。所望により、カーボンブラックペレットを、バッチ式又は連続式の通常の造粒法を用いて作成することができる。同様に、その他の炭素もまたジアゾニウム塩と反応することができる。また、カーボンブラック以外の炭素を用いた改質炭素生産品が、例えば、非水性のインク又はコーティングに使用される場合、例えば、好ましくは、インク又はコーティングの改質炭素生産品の不都合な沈殿を防ぐため、ジアゾニウム塩と反応させる前に、適当なプロセスで微細な粒子サイズに粉砕することが好ましい。また、カーボンブラック以外の炭素を用いた改質炭素生産品が、インクジェットインクに使用される場合、インクの不都合な沈殿を防ぐため、ジアゾニウム塩と反応させる前に、適当なプロセスで微細な粒子サイズに粉砕することが好ましい。炭素に結合した少量の有機基を用いる場合、インクジェットインクに付加的な粒子安定化手段が必要なことがある。このような手段の1つとして、高分子分散剤を使用することができる。
【0023】
前述のように、有機基は、芳香族基又はC1 〜C12アルキル基を含む。芳香族基には、限定されるものではないが、1つ以上の環を有する不飽和環状炭化水素が挙げられる。芳香族基は置換又は未置換でよい。芳香族基には、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、アントラセンチル等)、ヘテロアリール基(イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、チエニル、チアゾイル、フリル、トリアジニル、インドリル等)が挙げられる。C1 〜C12アルキル基は、枝分かれしてもしなくてもよく、好ましくは、エチルである。
【0024】
また、その他の付加的な有機基が、本発明の改質炭素生産品に結合することができる。これらの付加的なその他の有機基は、(a) 芳香族基又はC1 〜C12アルキル基、及び(b) イオン基又はイオン性基、を含むことができ、ここで、イオン基又はイオン性基は、有機基から遊離しない(not eliminated)。好ましくは、所望により、イオン基又はイオン性基は、約2.4マイクロモル/m2 未満の濃度で存在する。これらの付加的なイオン性基は、使用媒体中でイオン基を生成することができる。イオン基は、アニオン基又はカチオン基であることができ、イオン性基は、アニオン又はカチオンを生成することができる。結合可能なその他の付加的な有機基の例には、例えば、C64 SO3 - Na +、C64 CO2 - Na +が挙げられる。これら以外の例は、米国特許第5571311号、同5630868号、米国特許出願第08/572542号、同08/663707号、同08/663694号に記載されており、これらはいずれも本願でも参考にして取り入れられている。
【0025】
本発明の改質炭素生産品のディスパージョンは、安息香酸ナトリウムや酢酸ナトリウムのような安定剤や緩衝剤を添加して、過度に早期の遊離や加水分解から安定化することができる。水系溶液中の安定剤や緩衝剤は、一般に、これらのディスパージョンの安定性を改良するレベルであり、好ましくは、約0.05M未満である。式−AG−Sp−LG−Zの基の他に結合したカルギキシレート基を有する炭素生産品は、改良された安定性を有することができる。
【0026】
本発明の改質炭素生産品は、水系又は非水系のイオンやコーティングの配合物に使用することができる。一般に、インクは、着色剤又は顔料、及び粘度と乾燥性を調節する溶媒を含む。インクは、所望により、印刷中のキャリヤー及び/又は印刷性や乾燥性等を改良する添加剤として機能するビヒクル又はワニスを含むことができる。インクの特性、調製、用途の一般的説明は、刊行物「The Printing Manual, 5th Ed., R.H. Leach, et al, Eds. (Chapman & Hall, 1993)」を参照されたい。その他のインク添加剤をインク配合物に含めることもできる。また、未改質炭素と改質炭素生産品の混合物を含むインク配合物を使用することは、本発明の範囲に含まれる。
【0027】
本発明の改質炭素生産品は、予備的ディスパージョンとして又は固体として、標準的な技術を用いてインク配合物に含めることができる。本発明の改質炭素生産品の使用は、配合物の粘度を低下させることで、顕著な効果とコスト削減を与えることができる。また、このことは、配合物中の炭素生産品のより高い充填量を可能にする。また、混合時間を短縮することができる。また、本発明の改質炭素生産品は、改良された噴出性、ブルー色調、光沢を与えることができる。
【0028】
また、このような改質炭素生産品は、ペイントや仕上剤のような非水系のコーティング組成物に使用することもできる。即ち、本発明の1つの態様は、適切な溶媒と本発明の改質炭素生産品を含むコーティング組成物である。バインダーのようなその他の通常のコーティング添加剤が、非水系コーティング組成物の中に含められることができる。
【0029】
非水系コーティング配合物は、最終用途の条件と要請によって大きく異なる。一般に、コーティング系は30重量%以下の炭素を含む。樹脂含有率は、配合物の100重量%近くまで大きく異なることができる。例えば、アクリル、アルキド、ウレタン、エポキシ、セルロース誘導体等がある。溶媒含有率は、0〜80重量%の範囲であることができる。例えば、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、アルコール、ポリアルコール、ケトン、エステル等がある。添加剤の2つの別な一般的部類は、フィラーと改質剤である。フィラーの例は、別な着色顔料(例えば、TiO2 、フェタロブルー等)、クレー、タルク、シリカ、カーボネートである。フィラーは、最終的な使用上の要請に応じて、60重量%以下まで添加することができる。改質剤の例は、流動助剤、レベリング剤、殺菌剤であり、一般に、5重量%未満で添加される。本発明の改質炭素生産品は、予備的ディスパージョン又は固体として、標準的技術を用いて非水系コーティングに混和することができる。
【0030】
本発明の改質炭素生産品を含む組成物を混和する非水系媒体の例には、限定されるものではないが、メラミン−アクリル樹脂、メラミン−アルキド樹脂、ウレタン−硬化アルキド樹脂、ウレタン−硬化アクリル樹脂等が挙げられる。また、本発明の改質炭素生産品は、水系エマルジョンペイント中で使用することもできる。これらの種類のペイントにおいては、顔料を含む非水系部分が存在し、その非水系部分は水系ペイントに分散される。したがって、本発明の改質炭素生産品は、水系エマルジョンペイントの中に分散される非水系部分の一部として使用することができる。
【0031】
また、本発明の改質炭素生産品は、水系のインク又はコーティングの配合物に有用である。「水系」とは、水と、アルコールのような別な水混和性又は水分散性物質の混合物も含まれる。このように、本発明は、水と本発明の改質炭素生産品を含む水系インク組成物を提供する。その他の既知のインク添加剤を、この水系インク配合物に含めることもできる。前述のように、インクは、前述のような種々の構成成分からなることができる。種々の水系インク組成物が、例えば、米国特許第2833736号、同3607813号、同4104833号、同4308061号、同4770706号、同5026755号に開示されており、これらいずれも本願でも参考にして取り入れられている。
【0032】
また、本発明の改質炭素生産品はインクジェットインク配合物に有用である。米国特許第5571311号と同5630868号に記載の添加剤と配合物が、本発明の改質炭素生産品と併せて使用することができる。
本発明の改質炭素生産品は、予備的ディスパージョン又は固体として、標準的技術を用いて水系インク配合物の中に混和することができる。
フレキソインクは、ある群のインク組成物である。フレキソインクは、一般に、着色剤、バインダー、及び非水系又は水系の溶媒を含む。本発明の改質炭素生産品は、フレキソインク着色剤として有用であることができる。本発明の改質炭素生産品は、水系ニュースインクに使用されることもできる。例えば、水系ニュースインク組成物は、水、本発明の改質炭素生産品、樹脂、及び消泡剤又は界面活性剤のような通常の添加剤を含むことができる。
【0033】
また、本発明の改質炭素生産品は、ペイントや仕上剤のような水系コーティング組成物に使用することもできる。このように、本発明の1つの態様は、水、樹脂、及び本発明の改質炭素生産品を含む改良された水系コーティング組成物である。別な既知の水系コーティング添加剤を、この水系コーティング組成物の中に含めることもできる。例えば、本願でも参考にして取り入れている刊行物「McGraw-Hill Encyclopedia of Science & Technology, 5th Ed. (McGraw-Hill) 」を参照されたい。また、本願でも参考にして取り入れている米国特許第5051464号、同5319044号、同5204404号、同5051464号、同4692481号、同5356973号、同5314945号、同5266406号、同5266361号を参照されたい。また、本発明の水系組成物は、別な着色顔料(例えば、TiO2 、フェタロブルー等)、クレー、タルク、シリカ、カーボネートを含むこともできる。本発明の改質炭素生産品は、予備的ディスパージョン又は固体として、標準的技術を用いて水系コーティング組成物に混和することができる。
【0034】
各種の用途にインク又はコーティングが使用可能である。好ましくは、本発明の水系インク又はコーティングにおいて、改質炭素生産品は、インク又はコーティングの20重量%以下の量で存在する。また、未改質炭素と、本発明の改質炭素生産品の混合物を含む水系又は非水系のインク又はコーティング配合物を使用することは、本発明の範囲に含まれる。前述したような通常の添加剤を、このディスパージョンに添加して、水系インク又はコーティングの特性をさらに改良することもできる。
【0035】
また、本発明の改質炭素生産品は、インク配合物が溶媒、水系媒体、又は水系エマルジョンうベースとするインクジェットインクに使用することもできる。
以下の例は、例証のためであって、本発明の範囲を限定するものではない。
BET窒素表面積はASTMのD−4820を用いて測定した。CTAB面積の測定はASTMのD−2414を用いて行った。L*** の値は、10度D65 CIELABカラースペースに設定し、Hunter Lab Scan 6000を用いて測定した。この測定のため、窒素吸着曲線を0.55相対圧力まで拡張した。相対圧力は「圧力(P)/飽和圧力(Po、窒素が凝集する圧力)」である。吸着層の厚さ(t、オングストローム)は、次の関係を用いて計算した。
t=0.88(P/Po)2 +6.45(P/Po)+2.98
次いで、吸着した窒素の体積(v)をt1 に対してプロットし、3.9〜6.2オングストロームの間でt値についてデータをプロットすることにより、直線を当てはめた。次いで、この直線の勾配からt−面積を次のようにして求めた。
t−面積(m2 /g)=15.47×勾配
【0036】
カーボンブラック生産品の硫黄含有率を、各例のソックスレー洗浄の後の燃焼分析から測定した。結合した硫黄分を、未処理カーボンブラックの検定による差異から求めた。
【0037】
−例1.カーボンブラック生産品の調製−
この例は、A〜Jと表示したカーボンブラック生産品の調製を例証する。各サンプルについて、361m2 /gのCTAB表面積と117ml/100gのDBPAを有する10gのカーボンブラックを、70℃で攪拌している約90gの水の中のスルファニル酸と4-アミノフェニルスルファトエチルスルホン(APSES)(下記の表に示した量)に添加した。数mlのNaNO2 水溶液を1分間にわたって添加し、その混合物を70℃で1時間攪拌した。得られたディスパージョンは、結合したC64 SO3 - Na +及び/又はC64 SO224 OSO3 - Na +基を有するカーボンブラック生産品を含んでいた。
【0038】
【表1】

【0039】
−例2.カーボンブラック生産品の調製−
8インチの造粒機に、350m2 /gのCTAB表面積と120ml/100gのDBPAを有する300gのカーボンブラック、スルファニル酸(SA)、及び4-アミノフェニルスルファトエチルスルホン(APSES)(下記の表に示した量)を装填した。この造粒機を100rpmで1分間運転した。65℃の脱イオン水中のNaNO2 溶液を添加し、この造粒機を600rpmで1分間運転した。さらに5gの水を添加し、この造粒機を600rpmでさらに1分間運転した。4-スルホベンゼンジアゾニウム水酸化物内部塩及び/又は4-(2-スルファトエチル)スルホニルベンゼンジアゾニウム水酸化物内部塩がその場で生成し、それらはカーボンブラックと反応した。この生産品は、p−C64 SO3 - Na +及び/又はp−C64 SO224 OSO3 - Na +基を結合していた。選択した生産品のサンプルを0.5MのNaOH中で1時間煮沸し、ソックスレー抽出器で終夜にわたって抽出し、乾燥し、硫黄を分析し、結合したスルホンの量を求めた。
【0040】
【表2】

【0041】
−例3.カーボンブラック生産品の調製−
8インチの造粒機に、350m2 /gのCTAB表面積と120ml/100gのDBPAを有する300gのカーボンブラックと66.1gのスルファニル酸を装填した。この造粒機を100rpmで1分間運転した。脱イオン(228.5g)とNaNO2 (26.9g)の65℃の溶液を添加し、この造粒機を600rpmで1分間運転した。さらに5gの水を添加し、この造粒機を600rpmでさらに1分間運転した。4-スルホベンゼンジアゾニウム水酸化物内部塩がその場で生成し、それがカーボンブラックと反応した。この生産品のサンプルを乾燥し、ソックスレー抽出器中でメタノールを用いて終夜にわたって抽出し、乾燥し、硫黄を分析した。この生産品は2.96マイクロモル/m2 の結合したp−C64 SO3 - Na +基を有していた。
【0042】
−例4.カーボンブラック生産品の調製−
361m2 /gのCTAB表面積と117ml/100gのDBPAを有するカーボンブラックを100部/hrで、スルファニル酸と亜硝酸ナトリウムの水溶液とともに、連続運転中のピンミキサーに装填した。得られた物質を乾燥し、結合したp−C64 SO3 - Na +基を有する造粒カーボンブラック生産品を得た。
【0043】
【表3】

【0044】
−例5.コーティング組成物へのカーボンブラック生産品の使用−
この例は、水系熱硬化アクリル組成物の中に例1のカーボンブラック生産品を使用することを例証する。コーティング組成物を次のようにして調製した。
組成物A:289gの水、0.5gのPatco845消泡剤、及び17gのジメチルエタノールアミンを、低剪断ミキサーを用いて5分間混合した。172gのCargill17−7241アクリル樹脂、及び21.5gのSURFYNOL CT136界面活性剤を添加し、その組成物を低剪断ミキサーを用いてさらに10分間混合した。Patco845消泡剤は、アメリカンイングリーディエント社(カンサスシティ、ミズリー州)から入手可能である。Cargill17−7241アクリル樹脂はカーギル社(ミネアポリス、ミシガン州)から入手可能である。SURFYNOL CT136界面活性剤はエアープロダクツアンドケミカルズ社(アレンタウン、ペンシルバニア州)の登録商標である。
【0045】
組成物B:61.0gの水、84.4gのCargill17−7241アクリル樹脂、10.1gのジメチルエタノールアミン、19.8gのCargill23−2347メラミン樹脂、及び1.14gのBYK−306界面活性剤を、低剪断ミキサーを用いて10分間混合した。Cargill23−2347メラミン樹脂はカーギル社(ミネアポリス、ミシガン州)から入手可能である。BYK−306は、BYKケミーUSA(ウォーリングフォード)が製造販売する界面活性剤の登録商標である。
【0046】
組成物C:例1のカーボンブラック生産品に水を加え、低剪断下で約15分間攪拌することにより、例1のカーボンブラック生産品の2重量%ディスパージョンを調製した。このディスパージョン12.5gに3.2gの組成物Aと9.3gの組成物Bを、磁気スターラーを用いて20分間にわたって混合した。このコーティング組成物を、使用前に所定の時間で静置した。
560m2 /gの窒素表面積、100ml/100gのDBPA、及び9.5%の揮発分を有するカーボンブラックから対照標準コーティング組成物を調製した。28.2gの組成物A、19.4gの水、2.6gのカーボンブラック、及び150gの#550スチール球を、ペイント振盪器上の1/2パイント缶の中で3時間振盪させた。濾過した後、この材料の5.7gを19.3gの組成物Bに添加し、この混合物を磁気攪拌棒を用いて15分間攪拌した。このコーティング組成物を、使用前に所定の時間で静置した。
【0047】
このコーティングを3ミルのBirdアプリケーターを用いてレネタ(Leneta)紙上に引き延ばし、163℃で15分間乾燥した。クリヤーコートを施し、そのサンプルを再度乾燥した。L* 、a* 、b* の各値を測定し、対照標準カーボンブラックのそれらと比較した。下記の表は、結合したp−C64 SO224 OSO3 - Na +基を有する例1のカーボンブラック生産品を使用すると、改良された噴出性を有するコーティングが得られることを示す。
【0048】
【表4】

【0049】
−例6.コーティング組成物へのカーボンブラック生産品の使用−
この例は、例5の水系コーティング組成物に例1Bのカーボンブラック生産品を使用することを例証する。コーティングを、例5と同様にして調製、評価したが、但し、コーティングをいろいろな回数で引き延ばし、クリヤーコートの有り無しで評価した。表中の結果は、液体コーティング配合物が使用前にある期間静置されると、コーティングの噴出性が改良されることを示す。
【0050】
【表5】

【0051】
−例7.コーティング組成物へのカーボンブラック生産品の使用−
この例は、水系熱硬化アクリル組成物の中に例2〜4のカーボンブラック生産品を使用することを例証する。コーティング組成物を次のようにして調製した。
【0052】
組成物A:289.4gの水、0.4gのPatco845消泡剤、及び17gのジメチルエタノールアミンを低剪断ミキサーを用いて5分間混合した。86.0gのCargill17−7241アクリル樹脂と10.7gのSURFYNOL CT136界面活性剤を添加し、低剪断ミキサーを用いてさらに10分間混合した。
【0053】
組成物B:685.5gの水、230.2gのCargill17−7241アクリル樹脂、27.4gのジメチルエタノールアミン、54.0部のCargill23−2347メラミン樹脂、及び3.部のBYK−306界面活性剤を、低剪断ミキサーを用いて10分間混合した。
組成物C:例2Bのカーボンブラック生産品の10重量%ディスパージョンを、そのカーボンブラック生産品を水に加えて低剪断下で約15分間攪拌することによって調製した。このディスパージョン2.5gを3.2gの組成物Aと19.3gの組成物Bに、磁気スターラーを用いて20分間混合した。このコーティング組成物を、使用前に所定の時間で静置した。
【0054】
このコーティングを、例5の方法によって評価し、例5の対照標準コーティングと比較した。下記の表は、結合したC64 SO224 OSO3 - Na +基を有する例2のカーボンブラック生産品を使用したとき、改良された噴出性が得られたことを示す。
【0055】
【表6】

【0056】
−例8.コーティング組成物へのカーボンブラック生産品の使用−
この例は、異なるアミンを含む以外は例5と同様な水系コーティング組成物中で例2Bのカーボンブラック生産品を使用することを例証する。コーティング組成物を以下のようにして調製した。
組成物A:57.8gの水、0.1gのPatco845消泡剤、及びアミンを低剪断ミキサーを用いて5分間混合した。34.4gのCargill17−7241アクリル樹脂と4.3gのSURFYNOL CT136界面活性剤を添加し、低剪断ミキサーを用いてさらに10分間混合した。
【0057】
組成物B:342.7gの水、115.1gのCargill17−7241アクリル樹脂、アミン、27.0gのCargill23−2347メラミン樹脂、及び1.5gのBYK−306界面活性剤を、低剪断ミキサーを用いて10分間混合した。
組成物C:例2Bのカーボンブラック生産品の10重量%ディスパージョンを、そのカーボンブラック生産品を水に加えて低剪断下で約15分間攪拌することによって調製した。このディスパージョン2.5gを3.2gの組成物Aと19.3gの組成物Bに、磁気スターラーを用いて20分間混合した。このコーティング組成物を、使用前に所定の時間で静置した。
このコーティングを例5の方法によって評価し、例5の対照標準コーティングと比較した。
【0058】
【表7】

【0059】
−例9.カーボンブラック生産品の調製−
361m2 /gのCTAB表面積と117ml/100gのDBPAを有するカーボンブラックを100部/hrで、35部/hrのp−アミノフェニルスルファトエチルスルホンと100.4部/hrの亜硝酸ナトリウムの9%水溶液とともに、連続運転中のピンミキサーに装填した。この生産品は結合したC64 SO224 OSO3 - Na +基を有した。
【0060】
−例10.コーティング組成物へのカーボンブラック生産品の使用−
この例は、例5の水系コーティング組成物の中に例9のカーボンブラック生産品を使用することを例証する。このコーティングを調製し、8日間後に例5と同様にして評価した。このコーティングは、それぞれ−0.43、0.00、0.15のΔL* 、Δa* 、Δb* を有した。
本発明のこれらの他の態様は、本願で開示した発明の詳細な説明と具体例から考察して当業者には明らかであろう。これらの発明の詳細な説明と具体例は例示に過ぎなく、本発明の真の範囲と思想は、請求の範囲に示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の有機基が結合した炭素を含む改質炭素生産品であって、その有機基は、(a) 少なくとも1種の芳香族基又はC1 〜C12アルキル基、及び(b) 式−AG−Sp−LG−Zを有するイオン基又はイオン性基を含み、AGは活性基、Spはその活性基がLGを離脱することを助長するスペーサー基、LGは遊離性基、Zは対イオンであり、その芳香族基又はC1 〜C12アルキル基が炭素に直接結合した、改質炭素生産品。
【請求項2】
そのイオン基又はイオン性基が、
SO224 OSO3 -+
SO224 SSO3 -+
SO224 OPO32-2 +
SO224+-
NRSO224 OSO3 -+
NRSO224 SSO3 -+
NRSO224 OPO32-2 +
NRSO224+-
SO2 NRC24 OSO3 -+
SO2 NRC24 SSO3 -+
SO2 NRC24 OPO32-2 +
SO2 NRC24+-
NRCOC24 OSO3 -+
NRCOC24 SSO3 -+
NRCOC24+-
2 CC24 OSO3 -+
2 CC24 SSO3 -+
SO224 SO264 SO3 -+
SO224 SO264 CO2 -+
NRCOC24 SO224 OSO3 -+
NRCOC24 SO264 SO3 -+、又は
NRCOC24 SO264 CO2 -+
であり、Rは、相互に関係なく、水素、C1 〜C12の置換又は未置換アルキル、C2 〜C12の置換又は未置換アルケニル、シアノエチル、又は置換又は未置換のC7 〜C20アラルキル又はアルカリルであり、Mは、H、Li、Na、K、又はCsであり、Q+ は、NR3 + 、N(C243+ 、又はN置換複素環であり、Xは、ハリド、又は無機酸又は有機酸から誘導されたアニオンである請求項1に記載の改質炭素生産品。
【請求項3】
そのイオン基又はイオン性基がSO224 OSO3 -+である請求項2に記載の改質炭素生産品。
【請求項4】
その活性基が−SO2 、−NRSO2 、−NRCO、−O2 C、又は−SO2 NHである請求項1に記載の改質炭素生産品。
【請求項5】
そのスペーサー基がエチレン基又は置換エチレン基である請求項1に記載の改質炭素生産品。
【請求項6】
そのスペーサー基が、−AGに隣接する炭素に結合した少なくとも1つの水素を有する基である請求項5に記載の改質炭素生産品。
【請求項7】
その遊離性基が、−OSO3 - 、−SSO3 - 、−OPO32- 、又はQ+ であり、Q+ が、NR3 + 、N(C243+ 、又はN置換複素環であり、Rが、相互に関係なく、水素、C1 〜C12の置換又は未置換アルキル、C2 〜C12の置換又は未置換アルケニル、シアノエチル、又は置換又は未置換のC7 〜C20アラルキル又はアルカリルである請求項1に記載の改質炭素生産品。
【請求項8】
その対イオンが、H、Li、Na、K、Rb、Cs、ハリド、又は無機酸又は有機酸から誘導されたアニオンである請求項1に記載の改質炭素生産品。
【請求項9】
炭素が、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、ガラス質炭素、微細分割炭素、活性チャーコール、活性炭、又はこれらの混合物である請求項1に記載の改質炭素生産品。
【請求項10】
炭素がカーボンブラックである請求項9に記載の改質炭素生産品。
【請求項11】
その炭素に結合した第2有機基をさらに有し、その第2有機基が、(a) 芳香族基又はC1 〜C12アルキル基、及び(b) イオン基又はイオン性基を含み、そのイオン基又はイオン性基が、有機基から遊離しない請求項1に記載の改質炭素生産品。
【請求項12】
その第2有機基がC64 SO3 - Na +又はC64 CO2 - Na +である請求項11に記載の改質炭素生産品。
【請求項13】
その第2有機基が、約2.4マイクロモル/m2 未満の濃度で炭素に結合して存在する請求項11に記載の改質炭素生産品。
【請求項14】
その有機基が、使用される炭素のCTAB又は全表面積を基準に約0.10〜約4.0マイクロモル/m2 のレベルで存在する請求項1に記載の改質炭素生産品。
【請求項15】
そのレベルが、使用される炭素のCTAB又は全表面積を基準に約2.0〜約3.3マイクロモル/m2 のレベルである請求項14に記載の改質炭素生産品。
【請求項16】
(a) 請求項1に記載の改質炭素生産品、及び (b)非水系又は水系ビヒクルを含むインク組成物。
【請求項17】
(a) 請求項1に記載の改質炭素生産品、及び (b)非水系又は水系ビヒクルを含むコーティング組成物。
【請求項18】
炭素が、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、ガラス質炭素、微細分割炭素、活性チャーコール、活性炭、又はこれらの混合物である請求項16に記載のインク組成物。
【請求項19】
炭素がカーボンブラックである請求項18に記載のインク組成物。
【請求項20】
炭素が、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、ガラス質炭素、微細分割炭素、活性チャーコール、活性炭、又はこれらの混合物である請求項17に記載のコーティング組成物。
【請求項21】
炭素がカーボンブラックである請求項20に記載のコーティング組成物。
【請求項22】
少なくとも1種の有機基が結合した炭素を含む改質炭素生産品であって、その有機基は、(a) 少なくとも1種の芳香族基又はC1 〜C12アルキル基、及び(b) 式−AG−CH=CH2 、−AG−C24 OH、又は−AG−C24 −O−C24 −AGを有する基を含み、各AGは同じでも異なってもよく、AGは活性基であり、その芳香族基又はC1 〜C12アルキル基が炭素に直接結合する、改質炭素生産品。
【請求項23】
その活性基が−SO2 、−NRSO2 、−NRCO、−O2 C、又は−SO2 NHであり、Rが、相互に関係なく、水素、C1 〜C12の置換又は未置換アルキル、C2 〜C12の置換又は未置換アルケニル、シアノエチル、又は置換又は未置換のC7 〜C20アラルキル又はアルカリルである請求項22に記載の改質炭素生産品。
【請求項24】
(a) 請求項22に記載の改質炭素生産品、及び (b)非水系又は水系ビヒクルを含むインク組成物。
【請求項25】
(a) 請求項22に記載の改質炭素生産品、及び (b)非水系又は水系ビヒクルを含むコーティング組成物。
【請求項26】
炭素が、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、ガラス質炭素、微細分割炭素、活性チャーコール、活性炭、又はこれらの混合物である請求項24に記載のインク組成物。
【請求項27】
炭素が、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、ガラス質炭素、微細分割炭素、活性チャーコール、活性炭、又はこれらの混合物である請求項25に記載のコーティング組成物。
【請求項28】
水系又は非水系溶媒、請求項1に記載の改質炭素生産品、及びカーボンブラック以外の着色顔料を含むコーティング組成物。
【請求項29】
水系又は非水系溶媒、請求項2に記載の改質炭素生産品、及びカーボンブラック以外の着色顔料を含むコーティング組成物。
【請求項30】
水系又は非水系溶媒、請求項3に記載の改質炭素生産品、及びカーボンブラック以外の着色顔料を含むコーティング組成物。
【請求項31】
水系又は非水系溶媒、請求項4に記載の改質炭素生産品、及びカーボンブラック以外の着色顔料を含むコーティング組成物。
【請求項32】
水系又は非水系溶媒、請求項5に記載の改質炭素生産品、及びカーボンブラック以外の着色顔料を含むコーティング組成物。
【請求項33】
水系又は非水系溶媒、請求項6に記載の改質炭素生産品、及びカーボンブラック以外の着色顔料を含むコーティング組成物。
【請求項34】
水系又は非水系溶媒、請求項7に記載の改質炭素生産品、及びカーボンブラック以外の着色顔料を含むコーティング組成物。
【請求項35】
水系又は非水系溶媒、請求項1に記載の改質炭素生産品、及びクレー、タルク、シリカ、又はカーボネートを含むコーティング組成物。
【請求項36】
水系又は非水系溶媒、請求項21に記載の改質炭素生産品、及びカーボンブラック以外の着色顔料を含むコーティング組成物。
【請求項37】
水系又は非水系溶媒、請求項22に記載の改質炭素生産品、及びカーボンブラック以外の着色顔料を含むコーティング組成物。
【請求項38】
水系又は非水系溶媒、請求項11に記載の改質炭素生産品、及びカーボンブラック以外の着色顔料を含むコーティング組成物。
【請求項39】
水系又は非水系溶媒、請求項12に記載の改質炭素生産品、及びカーボンブラック以外の着色顔料を含むコーティング組成物。
【請求項40】
その炭素に結合した第2有機基をさらに有し、その第2有機基が、(a) 芳香族基又はC1 〜C12アルキル基、及び(b) イオン基又はイオン性基、を含み、そのイオン基又はイオン性基は、有機基から遊離しない請求項22に記載の改質炭素生産品。
【請求項41】
その第2有機基がC64 SO3 - Na +又はC64 CO2 - Na +である請求項40に記載の改質炭素生産品。
【請求項42】
その第2有機基が、約2.4マイクロモル/m2 未満の濃度で炭素に結合して存在する請求項40に記載の改質炭素生産品。
【請求項43】
(a) 請求項11に記載の改質炭素生産品、及び (b)非水系又は水系ビヒクルを含むインク組成物。
【請求項44】
(a) 請求項11に記載の改質炭素生産品、及び (b)非水系又は水系ビヒクルを含むコーティング組成物。
【請求項45】
(a) 請求項1に記載の改質炭素生産品、及び (b)緩衝剤、安定剤、又はこれらの双方、を含む水系組成物。
【請求項46】
その緩衝剤が安息香酸ナトリウム又は酢酸ナトリウムである請求項45に記載の水系組成物。
【請求項47】
(a) 請求項1に記載の改質炭素生産品、及び (b)非水系又は水系ビヒクルを含むインクジェットインク組成物。
【請求項48】
炭素が、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、ガラス質炭素、微細分割炭素、活性チャーコール、活性炭、又はこれらの混合物である請求項47に記載のインクジェットインク組成物。
【請求項49】
その炭素がカーボンブラックである請求項48に記載のインクジェットインク組成物。
【請求項50】
(a) 請求項22に記載の改質炭素生産品、及び (b)非水系又は水系ビヒクルを含むインクジェットインク組成物。
【請求項51】
その炭素がカーボンブラックである請求項50に記載のインクジェットインク組成物。
【請求項52】
そのイオン基又はイオン性基が、環状基又は複素環式基を含む請求項1に記載の改質炭素生産品。
【請求項53】
そのイオン基又はイオン性基が、
【化1】

であり、Rが、相互に関係なく、水素、C1 〜C12の置換又は未置換アルキル、C2 〜C12の置換又は未置換アルケニル、シアノエチル、又は置換又は未置換のC7 〜C20アラルキル又はアルカリルである請求項52に記載の改質炭素生産品。
【請求項54】
(a) 請求項52に記載の改質炭素生産品、及び (b)非水系又は水系ビヒクルを含むインク組成物。
【請求項55】
(a) 請求項52に記載の改質炭素生産品、及び (b)非水系又は水系ビヒクルを含むコーティング組成物。
【請求項56】
(a) 請求項52に記載の改質炭素生産品、及び (b)非水系又は水系ビヒクルを含むインクジェットインク組成物。
【請求項57】
AGが、N(COCH=CHCO)とN(COCH=CCH3 CO)である請求項22に記載の改質炭素生産品。
【請求項58】
そのAGが、環状基又は複素環式基である又はこれらの一部を形成する請求項22に記載の改質炭素生産品。

【公開番号】特開2010−265478(P2010−265478A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−173631(P2010−173631)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【分割の表示】特願2000−506285(P2000−506285)の分割
【原出願日】平成10年8月7日(1998.8.7)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】