説明

運動支援装置、運動支援方法、運動支援システム、運動支援制御プログラム、および記録媒体

【課題】運動中のユーザの体調を適切に評価する運動支援装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る運動支援装置は、ユーザの運動量を表す運動データの推移と、ユーザの生理状態を表す生体データの推移とを組み合わせることにより、ユーザの身体状態を評価し、その評価結果に基づいてユーザに指示内容を提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動中のユーザの身体状態を評価する運動支援装置、運動支援方法、運動支援制御プログラムに関する。また、このような運動支援装置を含む運動支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、肥満防止および健康増進のために、ウォーキングやジョギングなどのロードワークを実施する人が増えている。これらの運動は、手軽におこなうことができ、また有酸素運動であるため体に無理な負担がかからない。そのため、これらの運動は老若男女を問わず幅広い人気がある。
【0003】
しかし運動する人の体力や運動能力によっては、これらの運動でも過度の負担となり、かえって身体を害することがある。例えば、書籍、テレビジョン番組およびDVDなどのメディアを参照しておこなう場合には、実施する個人の体力や運動能力によっては過度の運動となってしまう。また、十分な知識を有していないために無理な運動を実施してしまい、その結果、心筋梗塞、狭心症、および熱中症などの生体急変による重大な事故を引き起こすことがある。
【0004】
このような問題を解決するために、ユーザの身体の状態を評価して運動をサポートするシステムが開発されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、ユーザの身体に装着されて加速度および角速度の少なくとも一方を検出する運動センサと、身体に装着されて脈波を検出する脈波センサと、運動センサおよび脈波センサの出力データを用いて身体状態を表す情報を演算して監視する手段とを備えている身体状態の監視装置が開示されている。この装置によれば、例えば、運動量が予め定められた範囲内にあって脈拍が過多または過少であるときに、警報信号が出力される。
【0006】
また、特許文献2には、ウォーキング者が携帯する携帯端末と健康管理センターの健康管理端末とがネットワークで接続されたウォーキングサポートシステムが開示されている。ウォーキング者は、ウォーキングの前後に携帯端末から人体情報を健康管理端末に送信することにより健康管理センターから適切なアドバイスを受けることができる。また、ウォーキング中に異常事態が発生した場合には、携帯端末の異常ボタンを押すことにより、然るべき機関に自動で通報される。
【0007】
また、特許文献3には、ユーザのバイタル情報を検出する装着型のセンサユニットと、ユーザ端末と、このユーザ端末に対し通信ネットワークを介して接続可能なセンタ装置とを備えている運動支援システムが開示されている。このシステムによれば、ユーザの運動目的および個人データをもとに、このユーザに適した運動コンテンツが提示される。また、運動中のバイタル情報をもとに、このユーザの運動データを算出し、算出された運動データが目標値の範囲内に入っていない場合には、他の運動コンテンツに変更される。
【特許文献1】特開2003−24287号公報(平成15年1月28日公開)
【特許文献2】特開2003−6340号公報(平成15年1月10日公開)
【特許文献3】特開2006−255028号公報(平成18年9月28日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ユーザの生体急変による事故を未然に防ぐには、生体データおよび運動データを適切に処理し、ユーザの状況を踏まえた異常判定をおこなう必要がある。すなわちユーザが実施している運動の身体への負荷が適当であるか否かを監視し、状況に応じてユーザに適切な指示をおこなう必要がある。
【0009】
しかしながら、上述した従来の技術においては、ユーザの身体状態を判断する際の信頼性に課題がある。この課題に関して、さらに具体的に説明すれば以下の通りである。
【0010】
たとえば、特許文献1に記載されている監視装置は、測定した脈拍が設定された範囲内にあるか否かを判断するものであり、測定の瞬間値のみで正常か否かを判断している。そのため脈拍の変化の時間推移を考慮していない点で信頼性に課題が残る。また生体データとしては、脈波を検出するに留まっている。通常、血圧を検出せずに心筋梗塞および狭心症を未然に防ぐことは困難であり、同様に、体温を検出せずに熱中症を未然に防ぐことは困難である。脈波を検出するのみでは不十分である。
【0011】
また、特許文献2に記載されているサポートシステムでは、人体情報を検出して健康管理端末に送信するのはウォーキングの前後のみであり、ウォーキング中には人体情報を検出していない。そのため、ウォーキング前の人体情報に基づきウォーキングを許諾しても、ウォーキング中の急激な体調変化には対応できない。また、異常通報に関しては、ユーザ自身が携帯端末の異常ボタンを押す必要がある。そのため、ユーザが異常を自覚していない場合には、危険を回避することができない。
【0012】
また、特許文献3に記載されている運動支援システムも、算出された運動データが目標値の範囲内に入っているか否かを判断しているのみで、運動データの時間推移を考慮していない。また、センサユニットから得たバイタル情報を基にして異常事態を判定したり、運動停止などの処置をしたりすることに関しては考慮されていない。
【0013】
そこで、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、運動中のユーザの身体状態が急激に変化した場合にも対応できる運動支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る運動支援装置は、上述した課題を解決するために、ユーザの運動量を表す運動データと、該ユーザの生理状態を表す生体データとの組み合わせから、該ユーザの身体状態を評価する評価手段と、該評価手段によって得られた評価結果を用いて該ユーザに提示する指示内容を決定する決定手段とを備えている運動支援装置であって、前記評価手段は、前記運動データの推移と、前記生体データの推移との組み合わせから、該ユーザの身体状態を評価することを特徴とする。
【0015】
なお、生体データおよび運動データは、数値、または数値の集合を意図している。
【0016】
前記構成によれば、本発明の運動支援装置は、ユーザの運動量を表す運動データと、ユーザの生理状態を表す生体データとの組み合わせから、ユーザの身体状態を評価することができる。その際に、運動データがどのように推移しているか、および生体データがどのように推移しているかの両者を組み合わせて、ユーザの身体状態を評価する。すなわち、データの瞬間値を用いて身体状態を評価するのではなく、ある一定の時間に運動データがどの程度変化しており、その際に生体データがどの程度変化しているかをもって、身体状態を評価することができる。このため、データの瞬間値そのものは予め設定した許容範囲であるが直前に検出したデータから急激に変化している場合にも対応できる。したがって、ユーザの急激な体調変化も検出できる。本発明の運動支援装置は、このような急激な体調変化に対応した指示内容をユーザに提示するために、指示内容を決定する。ユーザは提示された指示内容により、ユーザ自身の身体に急激な体調変化が起こっていることを自覚でき、また、指示内容に従って適切な行動をとることができる。そのため、生体急変によるユーザの重大な事故を未然に防ぐことができるという効果を奏する。
【0017】
さらに本発明の運動支援装置においては、前記評価手段は、前記運動データの推移パターンと前記生体データの推移パターンとの各組み合わせに対して身体状態の評価が関連付けられているテーブルを参照することによって、前記ユーザの身体状態を評価することが好ましい。
【0018】
前記構成によれば、運動データの推移パターンと生体データの推移パターンとの組み合わせによる分析(マトリックス分析)をおこなって、身体状態を評価する。そのため、単純な閾値による評価と比較して、多面的な評価が可能となる。
【0019】
さらに本発明の運動支援装置においては、前記決定手段は、前記生体データと予め設定された目標値とを比較した比較結果と、前記評価手段による評価結果とに基づいて、前記指示内容を決定することが好ましい。
【0020】
前記構成によれば、生体データを、予め設定された目標値と比較し、その比較結果と、評価手段により得られた評価結果とに基づいて、ユーザに指示する内容を決定することができる。生体データとその目標値とを比較することにより、ユーザの実施している運動が適切な負荷をユーザに与えているか否かを判定することができる。したがって、ユーザの身体状態と運動の負荷状況とに基づく適切な指示をユーザに提示することが可能となる。それにより、生体急変による重大な事故を未然に防止するばかりでなく、適切な負荷の運動をユーザは常に実施できる。
【0021】
さらに本発明の運動支援装置においては、前記ユーザの年齢、および前記ユーザの運動実施期間の少なくとも何れか1つに基づいて、前記目標値を設定する設定手段をさらに備えていることが好ましい。
【0022】
前記構成によれば、設定手段によって容易に生体データの適切な目標値を算出し設定することができる。具体的には、ユーザの年齢を用いることにより、運動強度の算出が容易となる。また、ユーザの運動実施期間を用いることにより、ユーザの運動能力および体力に応じた目標値を設定することが可能となる。
【0023】
さらに本発明に係る運動支援装置において、前記生体データは、前記ユーザの脈拍数、血圧、および体温の少なくとも何れか1つを表すデータであることが好ましい。
【0024】
前記構成によれば、脈拍数、血圧、および体温などの急激な変化を検出することが可能となる。これらの生体データに急激な変化が生じている場合に、ユーザに適切な指示を送ることにより、心筋梗塞、狭心症、および熱中症などの種々の生体急変を未然に防ぐことが可能となる。
【0025】
さらに本発明に係る運動支援装置においては、前記決定手段によって決定された前記指示内容を、画面表示、音声、およびバイブレータの少なくとも何れか一つによってユーザに提示する提示手段をさらに備えていることが好ましい。
【0026】
前記構成によれば、提示手段が画面表示である場合には、指示内容を正確に知ることができ、かつ大量の情報を取得できる。提示手段が音声またはバイブレーションである場合には、指示内容が提示されていることをユーザが認識しやすくなる。
【0027】
さらに本発明に係る運動支援方法は、上記の課題を解決するために、ユーザの運動量を表す運動データと、該ユーザの生理状態を表す生体データとの組み合わせから、運動支援装置が該ユーザの身体状態を評価する評価工程と、前記評価工程によって得られた評価結果を用いて、前記運動支援装置が前記ユーザに提示する指示内容を決定する決定工程とを含む、運動支援方法であって、前記評価工程は、ユーザの運動量を表す運動データの推移と、該ユーザの生理状態を表す生体データの推移との組み合わせから、該ユーザの身体状態を評価することを特徴とする。
【0028】
前記構成によれば、本発明に係る運動支援装置と同様の効果を奏する。
【0029】
なお、前記運動支援装置を含む運動支援システムも本発明の範疇に含まれる。
【0030】
すなわち、本発明に係る運動支援システムは、センシング装置と運動支援装置とを含む運動支援システムであって、前記センシング装置は、ユーザの加速度を検出し、該加速度を表す加速度データを出力する加速度センサと、前記ユーザの生理状態を検出し、該生理状態を表す生体データを出力する生体センサと、前記加速度データ、または、前記加速度データに基づいて算出された前記ユーザの運動量を表す運動データと、前記生体データとを、前記運動支援装置に送信する送信手段と、を備えており、前記運動支援装置は、前記加速度データまたは前記運動データと、前記生体データとを前記センシング装置から受信する受信手段と、前記運動データの推移と前記生体データの推移との組み合わせから、前記ユーザの身体状態を評価する評価手段と、前記評価手段によって得られた評価結果を用いて該ユーザに提示する指示内容を決定する決定手段と、を備えていることを特徴とする。
【0031】
また、前記運動支援装置は、コンピュータによって実現してもよい。この場合、コンピュータを前記各手段として動作させることにより前記運動支援装置をコンピュータにおいて実現する運動支援制御プログラム、およびその運動支援制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る運動支援装置は、以上のように、運動データの推移と、生体データの推移とを組み合わせてユーザの身体状態を評価する評価手段を備えている。
【0033】
運動データの推移と、運動中における生体データの推移とによって身体状態を評価するため、身体状態の急激な変化にも適切に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
〔実施形態1〕
本発明に係る運動支援システムの実施形態について、図1から図8を参照して以下に説明する。なお、本実施形態においては、ロードワークとしてジョギングをおこなう場合について説明するがこれに限定されるものではない。
【0035】
(運動支援システムの構成)
はじめに、本実施形態に係る運動支援システムについて、図2を参照して以下に説明する。
【0036】
図2は、本発明に係る運動支援システム100の一実施形態を示す概略構成図である。図2に示すように、運動支援システム100は、センシング装置10と、情報端末装置20(運動支援装置)とを含んで構成されている。両者は、有線または無線通信により少なくともセンシング装置10から情報端末装置20に各種データを送信できるように構成されている。通信方式としては、例えば、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信方式および無線LANなどの無線データ通信方式、ならびにケーブルなどを介しての有線接続方式などが挙げられる。
【0037】
センシング装置10は、ユーザの身体、特に、ユーザの指または腕など、脈拍数および血圧などの生体データが検出可能な部位に装着される。情報端末装置20はユーザによって携行される。情報端末装置20は、センシング装置10からデータの提供を受けるための通信機能を有していればよく、例えば、携帯電話、PHS(personal handy−phone system)、PDA(personal digital assistant)、およびスマートフォンなどを用いることができる。センシング装置10において検出されたデータは情報端末装置20に送信される。情報端末装置20は送信されたデータを受信して処理することにより、ロードワーク中のユーザの生体データおよび運動データをリアルタイムに把握する。
【0038】
(情報端末装置)
情報端末装置20の構成について、図1および図4を参照して以下に説明する。
【0039】
図4は、情報端末装置20の構成を示すブロック図である。図4に示すように、情報端末装置20は、情報処理部21、および情報処理部21に接続されているバス22、ならびに、バス22を介して情報処理部21に接続されている、プログラムメモリ23、データメモリ24、通信インターフェース(通信I/F)25、センサ通信インターフェース(センサ通信I/F)26および入出力インターフェース(入出力I/F)27を含んで構成されている。
【0040】
通信I/F25は、インターネット上のサーバ装置との間で通信をおこなうためのインターフェースである。情報処理部21は、通信I/F25を介して、インターネット上のサーバからユーザの位置情報、周辺の天気予報および交通情報を取得することができる。
【0041】
センサ通信I/F26は、センシング装置10との間でデータの送受信をおこなうためのインターフェースである。情報処理部21は、センサ通信I/F26を介して、センシング装置10にデータを送信したり、センシング装置10からデータを受信したりすることができる。
【0042】
入出力I/F27は、ユーザが情報を入力したり、ロードワークにおける指示内容をユーザに伝えたりするためのインターフェースである。入出力I/F27には、テンキーなどの入力手段を有する入力部28、LCD(液晶ディスプレイ)などの表示手段を有する表示部29(提示手段)、ならびにユーザに信号を伝えるバイブレータ30(提示手段)およびスピーカ31(提示手段)が接続されている。情報処理部21は、入出力I/F27を介して、入力部28において入力されたデータを取り込んだり、ユーザに対する指示内容を表示部29に表示させたり、指示内容をユーザに伝えるためにバイブレータ30を振動させたり、指示内容を音声によりユーザに伝えるためにスピーカ31から音声出力させたりすることができる。
【0043】
データメモリ24は、種々のデータを記憶するための記憶装置である。記憶装置としては、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、RAMなどを用いることができる。データメモリ24は、個人情報記憶エリア24a、ロードワークリアルタイムデータ記憶エリア24b、ロードワーク蓄積データ記憶エリア24c、および指示内容記憶エリア24dを含んでいる。
【0044】
個人情報記憶エリア24aには、ユーザの個人情報、最大脈拍数データ、およびロードワークの適正ペースのなどの情報(データ)が格納される。個人情報としては、ユーザの生年月日、年齢、性別、身長、体重、運動期間(例えば、有酸素運動を定期的に実施してからの年月)、住所、氏名、職業、家族構成、および嗜好などのデータが挙げられる。これらの情報は、ユーザが入力部28を介して入力する情報である。最大脈拍数は年齢から算出することができる(例えば、最大脈拍数=220−ユーザの年齢)。ロードワークの適正ペースは後述する適正ペース算出部によって算出されるものである。
【0045】
ロードワークリアルタイムデータ記憶エリア24bには、センシング装置10から送信された情報が順次格納される。センシング装置10から送信される情報は、センシング装置10に含まれる生体センサによって検出される脈拍数、血圧および体温などの生体データ、センシング装置10に含まれる加速度センサによって検出された加速度から算出された歩数データ、ならびに、歩数から算出された移動距離、移動速度および消費カロリなどの運動データである。ロードワークリアルタイムデータ記憶エリア24bには、これらのデータを、各時点で検出された検出データの集まりである時系列データとして記憶させることができる。なお歩数データとしては積算歩数でも、単位時間当たりの歩数であってもよい。
【0046】
ロードワーク蓄積データ記憶エリア24cには、ロードワーク終了後にロードワークの結果に関するデータが格納される。ロードワークの結果は、例えば、ロードワークの実施日、開始時刻、終了時刻、および走行距離をまとめた表1のようなテーブル、ならびに、表2のように、5分ごとの各時点における速度、脈拍数、および運動強度をまとめたテーブルにして格納される。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
脈拍数は、単位時間(例えば1分)当たりの脈拍数を意図している。
【0050】
指示内容記憶エリア24dには、ユーザへの指示に用いられるコンテンツ(ここでは、「即、中止してください」などのユーザへの指示内容を示す文字情報)が格納されている。このコンテンツは、例えば表3のように格納されている。表3に示すように、これらのコンテンツは、音声(アラート)を鳴らすか否か、およびバイブを振動させるか否かなどの提示方法と関連付けて格納されている。また、ユーザの身体状態を評価する際に用いる評価テーブルが格納されている。
【0051】
【表3】

【0052】
指示内容は、表示部29への表示、バイブレータ30の振動、スピーカ31からの音声出力などによって、ユーザに伝えられる。
【0053】
プログラムメモリ23には、個人情報設定プログラム23a、検出データ取得プログラム23b、ロードワーク状況分析プログラム23c、および適正ペース算出プログラム23dが格納されている。個人情報設定プログラム23a、検出データ取得プログラム23b、ロードワーク状況分析プログラム23c、および適正ペース算出プログラム23dは、後述する個人情報設定部21a、検出データ取得部21b(算出手段)、ロードワーク状況分析部21c(評価手段、決定手段)、および適正ペース算出部21d(設定手段)として、情報処理部21を機能させるためのプログラムである。
【0054】
次に情報処理部21に含まれる構成について図1を参照して説明する。
【0055】
図1は、情報処理部21の要部構成を示すブロック図である。
【0056】
図1に示すように、情報処理部21は、個人情報設定部21a、検出データ取得部21b、ロードワーク状況分析部21c、および適正ペース算出部21dを含んで構成されている。情報処理部21は、例えば中央処理ユニット(CPU:Central Processing Unit)などの装置を用いることができる。
【0057】
個人情報設定部21aは、ユーザによって入力部28を用いて入力された個人情報を入出力I/F27を介して受け付け、その個人情報を個人情報記憶エリア24aに格納することができる。
【0058】
検出データ取得部21bは、センサ通信I/F26を介して、センシング装置10から送信された生体データ、歩数データおよび時刻情報を受信し、受信データをロードワークリアルタイムデータ記憶エリア24bに格納することができる。また、受信したユーザの安静時の脈拍数のデータを個人情報記憶エリア24aに格納することができる。また、受信した歩数データから移動距離、移動速度および消費カロリなどの運動データを算出し、算出した運動データをロードワークリアルタイムデータ記憶エリア24bに格納することができる。また、検出データ取得部21bは、ロードワーク終了後に、表1および表2のように構成されるロードワーク結果テーブルを作成し、作成したテーブルをロードワーク蓄積データ記憶エリア24cに格納することができる。
【0059】
ロードワーク状況分析部21cは、ロードワークリアルタイムデータ記憶エリア24bに格納された生体データおよび運動データを分析し、ユーザの身体状態を評価することができる。また、その評価結果に基づいてユーザへの指示内容を決定することができる。なお分析の際には、予め設定されたテーブルを参照することも可能である。また、ロードワーク状況分析部21cは、指示内容記憶エリア24dから指示内容を読み込み、入出力I/F27から処理出力をおこなうことができる。例えば、指示内容が表示データとバイブレータデータと音声データとを含むものであれば、入出力I/F27を介して、表示部29に表示データを表示させ、バイブレータ30を振動させ、そして、スピーカ31から音声データを音声出力させることができる。
【0060】
適正ペース算出部21dは、適正な運動強度を実現するためのロードワークのペース配分を算出することができる。適正な運動強度を実現するためのロードワークのペースは、ロードワークを実施する季節および時間帯などの種々の要因によって変化する。適正ペース算出部21dは、ユーザがロードワークを実施する日時に基づき、ロードワーク蓄積データ記憶エリア24cに格納されている、過去の同じ季節および同じ時間帯のロードワーク結果のデータを読み込む。このデータを用いることにより、ロードワークを実施する季節および時間帯を考慮した適正な運動強度を実現させるロードワークのペースを算出することができる。この算出された適正ペースデータは個人情報記憶エリア24aに格納される。このペースにしたがってロードワークをおこなうことにより、適正な運動強度を実現するロードワークを容易におこなうことができる。なお、過去にロードワークの実績がない場合には、適正ペースは設定しなくてもよい。
【0061】
運動強度は酸素摂取量と比例関係にあり、運動時の酸素摂取量が最大酸素摂取量の何%になるかで運動強度を表すことができる。最大酸素摂取量は、呼吸により体内に取り込まれる酸素の最大量のことである。運動中の酸素摂取量は、運動強度と共に増大するが、酸素摂取量が最大酸素摂取量に達すると、運動強度が増大しても、それ以上の酸素を取り込むことはできなくなる。ここで、最大酸素摂取量の相対値によって表された運動強度は、運動時の脈拍数と高い相関関係にあるため、脈拍数を測定することにより、運動強度を求めることができる。すなわち、適正な運動強度が実現されているか否かは、脈拍数を測定することにより判定できる。例えば、以下のようにして脈拍数を用いて運動強度を求めることができる。
最大脈拍数=220−ユーザの年齢
運動強度=100×(運動時脈拍数−安静時脈拍数)/(最大脈拍数−安静時脈拍数)
一般に、体力強化のためには、40%以上の運動強度が必要とされている。この場合に、以下のようにして運動強度が40%であるときの脈拍数を求めることができる。
運動強度40%の脈拍数=(最大脈拍数−安静時脈拍数)×0.4+安静時脈拍数
したがって、適正な運動強度を実現するためには、安静時脈拍数をあらかじめ個人情報記憶エリア24aに格納しておくことが好ましい。また、加速度の小さい状態を安静状態とみなして脈拍数センサ11により安静時脈拍数を検出し、情報端末装置20に送信することも可能である。
【0062】
(センシング装置)
図3は、センシング装置10を示すブロック図である。図3に示すように、センシング装置10は、脈拍数センサ11(生体センサ)、血圧センサ12(生体センサ)、体温センサ13(生体センサ)、加速度センサ14、CPU15、アンテナ16、およびメモリ17を備えている。
【0063】
脈拍数センサ11は、ユーザの脈拍数または心拍を検出するものである。血圧センサ12は、ユーザの血圧を検出するものである。体温センサ13は、ユーザの体温を検出するものである。加速度センサ14は、ユーザの動きの加速度を検出するものである。脈拍数センサ11、血圧センサ12、体温センサ13、および加速度センサ14はそれぞれ公知のセンサを用いればよい。
【0064】
CPU15は、加速度センサ14の検出データから、公知のアルゴリズムを用いて歩数データを抽出する。CPU15は、脈拍数センサ11、血圧センサ12、および体温センサ13によって検出したそれぞれの検出データを監視する。そして、脈拍数、血圧、および体温の少なくともいずれかが所定値を超えた場合、および所定量以上変化した場合、ならびに所定時間となった場合のいずれかの場合に、生体データおよび歩数データをアンテナ16から情報端末装置20に送信する。CPU15がリアルタイムクロックなどの時刻管理モジュールを内蔵している場合には、時刻情報を同時に送信してもよい。
【0065】
メモリ17は、情報端末装置20に送信する上記のデータを、送信するまで一時的に記憶するためのものである。
【0066】
(運動支援システムの処理)
次に、以上のように構成された運動支援システム100にて実行される処理について、図5から図8を参照して以下に説明する。
【0067】
図5は、運動支援システム100のロードワーク開始前における初期設定の処理の流れを示すフローチャートである。
【0068】
ユーザは、まず、ロードワークを開始する前に、センシング装置10を所定の部位に装着し、情報端末装置20のアプリケーションを起動する。このアプリケーションが起動されると、個人情報設定プログラム23a、検出データ取得プログラム23b、ロードワーク状況分析プログラム23c、および適正ペース算出プログラム23dが、情報処理部21にロードされ、個人情報設定部21a、検出データ取得部21b、ロードワーク状況分析部21c、および適正ペース算出部21dにより、図5から図8に示す各処理が実行される。アプリケーションは任意の方法によって取得することができる。
【0069】
図5を参照しながら、センシング装置10の装着後および情報端末装置20のアプリケーション起動後における、センシング装置10、および情報端末装置20のそれぞれの処理を示すステップS101〜S102、およびS111〜S115について説明すれば以下の通りである。
【0070】
ステップS101〜S102:ユーザに装着された後、センシング装置10は、脈拍数センサ11によってロードワーク前のユーザの安静時脈拍数を検出する(ステップS101)。センシング装置10は、アンテナ16を介して、検出した安静時脈拍数のデータの情報端末装置20への送信を開始する(ステップS102)。情報端末装置20は、後述するステップS113において、安静時脈拍数のデータを受信する。センシング装置10は、情報端末装置20からの送信停止に関する信号を受信すると、安静時脈拍数データの送信を停止する。
【0071】
ステップS111〜S116:ユーザは、はじめにユーザの個人情報を入力部28から入力する。個人情報としては、生年月日、年齢、性別、身長、体重、および所定の運動を開始してからの期間などである。これらの情報は、最大脈拍数の算出、最適な運動強度の算出、およびロードワーク時のユーザの状況分析をおこなうためにも用いられる。所定の運動を開始してからの期間は、後述するステップS114においてユーザに応じた目標脈拍数を算出するために使用するためのものである。例えば、「2日に一回以上の20分程度の運動」をどの程度の期間実施しているかに対応するレベル値を入力するものであってもよい。例えば、3ヶ月未満であればレベル1、3ヶ月以上6ヶ月未満であればレベル2、6ヶ月以上1年未満であればレベル3、1年以上2年未満であればレベル4、および2年以上であればレベル5のような選択式とすることが可能である。
【0072】
情報端末装置20の個人情報設定部21aは、ユーザによる入力部28からのユーザの個人情報の入力を受け付け、個人情報記憶エリア24aに格納する(ステップS111)。適正ペース算出部21dは、個人情報記憶エリア24aから入力された個人情報を読み込み、その情報を基にユーザの最大脈拍数を算出する(ステップS112)。最大脈拍数の算出は、
最大脈拍数=220−ユーザの年齢
で求められることが一般に知られており、本実施形態においては、この算出式により最大脈拍数を求めているが、他の算出式により求めてもよい。情報端末装置20は、ステップS102においてセンシング装置10から送信されている安静時脈拍数を受信する(ステップS113)。受信した安静時脈拍数のデータは適正ペース算出部21dに送られる。適正ペース算出部21dは、安静時脈拍数、および個人情報記憶エリア24aから読み出した個人情報を用いて、ユーザに最適な運動強度を実現するための目標脈拍数を算出する(ステップS114)。目標脈拍数の算出は、
目標脈拍数=(最大脈拍数−安静時脈拍数)×係数+安静時脈拍数
によって求められることが一般に知られており、本実施形態においては、この算出式により目標脈拍数を求めているが、他の算出式により求めてもよい。なお、係数は上述したレベルによって異なる。本実施形態においては、レベル1、2、3、4、および5における係数を、それぞれ、0.4、0.5、0.6、0.7、および0.8としている。
【0073】
情報端末装置20は、S102において送信されているデータを受信すると、安静時脈拍数データの送信を停止させる信号を、センシング装置10に送信する。ステップS111において受け付けた個人情報、およびステップS114において算出した目標脈拍数を個人情報記憶エリア24aに格納する(ステップS115)。
【0074】
以上で運動支援システム100の初期設定は完了する。初期設定は、運動支援システム100の初回使用時のみ実施することを基本としているが、安静時脈拍数の検出は毎回実施してもよい。
【0075】
図6は、運動支援システム100のロードワーク時における処理の流れを示すフローチャートである。図6を参照しながら、ステップS201〜S213、およびステップS221〜S231について説明すれば以下の通りである。
【0076】
ステップS221〜S231:ユーザは、情報端末装置20に対してロードワーク開始の操作をおこなう。情報端末装置20は、ユーザからのロードワーク開始操作を受け付け、センシング装置10にロードワーク開始信号を送信する(ステップS221)。適正ペース算出部21dは、個人情報記憶エリア24aから目標脈拍数を読み込み(ステップS222)、後述する算出方法によりロードワークの適正ペースを算出し、個人情報記憶エリア24aに格納する(ステップS223)。その後、情報端末装置20は、センシング装置10からの生体データおよび歩数データの受信待ち状態となる(ステップS224)。
【0077】
情報端末装置20が、後述するステップS210におけるセンシング装置10からの送信データを受信すると(ステップS225)、検出データ取得部21bは、受信した歩数データから運動データを算出し(ステップS226)、算出した運動データをロードワークリアルタイムデータ記憶エリア24bに格納する(ステップS227)。算出する運動データとしては、移動距離、移動速度、および消費カロリなどが挙げられる。なお、歩数データをそのまま運動データとして用いてもよい。また、センシング装置10において、歩数データから移動距離などの運動データを算出し、算出した運動データを情報端末装置20に送信するものであってもよい。この場合には、ステップS226を省略することができる。次いで、ロードワーク状況分析部21cは、ロードワークリアルタイムデータ記憶エリア24bから、生体データの時系列データおよび運動データの時系列データを取得し、後述する分析方法により生体データおよび運動データを用いて、ユーザの身体状態を評価し、評価結果に基づいてユーザへの指示を決定し、適切な指示をユーザに提示する(ステップS228)。
【0078】
ステップS228における分析結果がロードワーク継続であれば、情報端末装置20は、ステップS224におけるセンシング装置から10のデータ受信待ちの状態に遷移する(ステップS229)。したがって、ステップS224〜ステップS228までの各処理は、ロードワークが終了するまで繰り返される。それにより、ロードワークリアルタイムデータ記憶エリア24bには、各時点における生体データと運動データとが蓄積される。ロードワーク状況分析部21cは、このようにして蓄積されたデータにより構成された時系列データを参照することにより、ユーザの身体状態を適切に評価し、その結果に基づきユーザに対して適切な指示を提示することが可能となる。
【0079】
一方、ステップS228における分析結果がロードワーク終了であれば、情報端末装置20は、ロードワーク終了の指示である信号を、センシング装置10に送信する(ステップS230)。そして、検出データ取得部21bは、表1および表2のようなロードワーク結果テーブルを作成し、ロードワーク蓄積データ記憶エリア24cにこの結果を格納し(ステップS231)、終了となる。
【0080】
ステップS201〜ステップS213:一方、センシング装置10は、情報端末装置20からのロードワーク開始信号を受信すると(ステップS201)、ユーザの加速度の検出を開始する(ステップS202)。センシング装置10は、加速度検出の開始から所定の時間(例えば1分)経過したら(ステップS203)、公知のアルゴリズムを用いて歩数を抽出し(ステップS204)、歩数データをメモリ15に格納する(ステップS205)。また、センシング装置10は、脈拍数、血圧、および体温の生体データを検出し(ステップS206)、検出した生体データをメモリ17に格納する(ステップS207)。
【0081】
センシング装置10は、検出した生体データを1分前の生体データと比較して、所定値以上変化(例えば、脈拍数が3回以上増加)しているかの判定をおこなう(ステップS208)。生体データが所定値以上変化している場合には、センシング装置10は、即座に、時刻、生体データ、および歩数データを情報端末装置20に送信する(ステップS210)。一方、変化量が所定値より少ない場合には、センシング装置10は、所定の時間(例えば3分)経過ごとに、時刻、生体データ、および歩数データを情報端末装置20に送信する(ステップS210)。なお、この場合には、全てのデータを送信するもの、または未送信のデータのみを送信するものいずれであってもよい。データ送信が未完了である場合には、ステップS210に遷移してデータの再送信をおこなう。
【0082】
センシング装置10が、情報端末装置20からのロードワーク終了の指示信号を受信していない場合には、ステップS202に遷移し、加速度の検出を継続する(ステップS212)。情報端末装置20からのロードワーク終了の指示信号を受信した場合には、加速度の検出を停止し(ステップS213)、終了となる。
【0083】
次に、適正ペースの算出方法について説明する。
【0084】
図7は、情報端末装置20の情報処理部21における適正ペースの算出処理の流れを示すフローチャートである。
【0085】
図7を参照しながら、適正ペースの算出の処理を示すステップS301〜S308について説明すれば以下の通りである。
【0086】
適正ペース算出部21dは、ロードワーク蓄積データ記憶エリア24cにロードワーク結果テーブルが格納されているか否かを判定する(ステップS301)。ロードワーク結果テーブルが格納されていない場合には、適正ペースを設定しない(ステップS302)。
【0087】
ロードワーク結果テーブルが格納されている場合には、適正ペース算出部21dは、ロードワークを実施する日時と同じ季節のロードワーク結果テーブルの有無を判定する(ステップS303)。本実施形態においては、3月〜5月を春、6月〜8月を夏、9月〜11月を秋、および12月〜2月を冬として、同じ季節か否かを判定している。同じ季節のロードワーク結果テーブルがない場合には、次のようにして適正ペースを算出する。適正ペース算出部21dは、ロードワーク蓄積データ記憶エリア24cに格納されている全てのロードワーク結果を用いて、目標脈拍数の上下5%の範囲内にある脈拍数であったときの速度の平均値を算出し、適正ペース1とする(ステップS304)。同じ季節のロードワーク結果テーブルがある場合には、次のようにして適正ペースを算出する。適正ペース算出部21dは、ロードワークを実施する日時と同じ季節かつ同じ時間帯のロードワーク結果テーブルの有無を判定する(ステップS305)。同じ時間帯のロードワーク結果テーブルがない場合には、適正ペース算出部21dは、同じ季節のロードワーク結果を用いて、適正ペース1の算出と同様の手法により、適正ペース2を算出する(ステップS306)。同じ季節かつ同じ時間帯のロードワーク結果テーブルがある場合には、適正ペース算出部21dは、その中のロードワーク結果を用いて、適正ペース1の算出と同様の手法により、適正ペース3を算出する(ステップS307)。
【0088】
適正ペース算出部21dは、以上により算出したユーザの適正ペースを、個人情報記憶エリア24aに格納する。上述した算出方法は、目標脈拍数を維持するためのロードワークのペースはロードワークを実施する季節および時間帯によって異なることを踏まえたものである。なお、情報端末装置20は、通信I/F25を介して、インターネットサーバ等から気温および湿度などの気象データを受信することが可能である。そのため、適正ペース算出部21dは、これらのデータも参照して適正ペースの設定をおこなうことも可能である。
【0089】
次に、生体データおよび運動データを用いて、ユーザの身体状態を評価し、評価結果に基づいてユーザに適切な指示を提示する方法について説明する。なお、生体データとして脈拍数を用い、運動データとしてロードワーク(ジョギング)における速度を用いて説明する。
【0090】
図8は、情報処理部21における、ユーザの身体状態を評価し、その結果に基づいてユーザへの指示内容を決定する処理の流れを示すフローチャートである。
【0091】
図8を参照しながら、ユーザの身体状態を評価し、その結果に基づいてユーザへの指示内容を決定する処理を示すステップS401〜S418について説明すれば以下の通りである。
【0092】
ステップS401〜ステップS418:ロードワーク状況分析部21cは、ロードワークリアルタイムデータ記憶エリア24bに格納されている生体データおよび運動データを抽出し、現在の脈拍数が危険数値に達しているか否かの判定をおこなう(ステップS401)。例えば、脈拍数が最大脈拍数に達している場合には、危険数値に達しているとみなす。また、血圧および体温に関しても、ユーザによってあらかじめ設定された数値を危険数値とし、判定することができる。それにより心筋梗塞および狭心症などの事故を未然に防ぐことが可能となる。生体データが危険数値に達している場合に、ロードワーク状況分析部21cは、指示内容記憶エリア24dから“中止”の指示内容を取得する(ステップS402)。
【0093】
脈拍数が危険数値に達していない場合には、ロードワーク状況分析部21cは、表4の評価テーブルを参照してロードワーク時の脈拍数の推移を評価し、身体状態を評価する(ステップS403)。本実施形態においては、後述するように、評価を「正常(○)」、「注意(△)」、および「異常(×)」の3段階の評価によりおこなっている。
【0094】
【表4】

【0095】
ステップS403における脈拍数の推移の評価において、ロードワーク状況分析部21cは、現在の脈拍データおよびロードワークの速度データ、ならびにその直前に受信した脈拍データおよびロードワークの速度データを、ロードワークリアルタイムデータ記憶エリア24bに格納されている脈拍データの時系列データおよび速度データの時系列データから抽出する。ロードワーク状況分析部21cは、抽出したデータを用いて、各データの増減を計算する。すなわち、現在の脈拍データと直前の脈拍データとを比較することによって、脈拍数の推移(増加、減少、または一定の別)を決定し、また、現在の速度データと直前の速度データとを比較することによって、速度の推移(増加、減少、または一定の別)を特定する。ロードワーク状況分析部21cは、指示内容記憶エリア24dから評価テーブルを読み込み、脈拍数および速度の推移に対応した評価を決定する(ステップS403)。なお、脈拍数変化の評価に利用される評価テーブルは、脈拍数の推移、および、速度の推移の各組み合わせに対し、評価値を関連付けたテーブルである。表4に例示した評価テーブルは、脈拍数変化を「正常」、「注意」、「異常」の3段階で評価するためのものである。
【0096】
表4を参照すれば、ロードワークの速度が一定であるにも関わらず脈拍数が増加している場合には、ロードワーク状況分析部21cは、脈拍数の推移を「注意」と評価する(表4における「△」)。ロードワークの速度が減少しているにも関わらず脈拍数が増加している場合には、ロードワーク状況分析部21cは、脈拍数の推移を「異常」と評価する(表4における「×」)。ロードワークの速度の変化に関わらず脈拍数が一定もしくは減少している場合または速度および脈拍数のいずれも増加している場合には。ロードワーク状況分析部21cは、脈拍数の推移を「正常」と評価する(表4における「○」)。
【0097】
各データの増加、減少および一定の判断は、例えば、現在のデータを直前に検出したデータと比較して、その差が直前に検出したデータの5%以内の範囲内であれば一定とし、それを超える場合には、増加または減少とするものであってもよい。また、5%〜20%の範囲内の増加を「増加1」、20%以上の増加を「増加2」とし、同様に5%〜20%の範囲内の減少を「減少1」、20%以上の減少を「減少2」として、増加、減少をさらに細分化して評価するものであってもよい。
【0098】
上記のように、ロードワーク状況分析部21cは、速度の変化と脈拍数の変化とを対応付けて評価しているため、運動の負荷が減少しているにもかかわらず脈拍数が上昇しているといった身体の異常な事態を検出することが可能となる。
【0099】
なお、ステップ403においては、表4に示すような脈拍数の推移と速度の推移とに基づく評価テーブルの他に、表5に示すような血圧の推移と速度の推移とに基づく評価テーブル、または表6に示すような体温の推移と速度の推移とに基づく評価テーブルを利用して、生体データの変化を評価するようにしてもよい。
【0100】
【表5】

【0101】
【表6】

【0102】
次いで、ロードワーク状況分析部21cは、この評価結果に基づいてユーザに指示する内容を決定する。
【0103】
まず、ロードワーク状況分析部21cは、ステップS403の評価結果を参照し、脈拍数の推移が正常の範囲内であるか否かを判定する(ステップS404)。ステップS403の評価結果が「△」または「×」である場合には、脈拍数の推移を正常の範囲外と判定する。ステップS404の評価結果が「○」である場合には、脈拍数の推移を正常の範囲内と判定する。
【0104】
ロードワーク状況分析部21cは、ステップS404において脈拍数の推移を正常の範囲外と判定した場合、速度データの時系列データを用いて速度の推移を計算する(ステップS405)。計算の結果、速度が減少している場合には、ロードワーク状況分析部21cは、指示内容記憶エリア24dから“中止”の指示内容を取得する(ステップS406)。速度が減少していない場合には、ロードワーク状況分析部21cは、指示内容記憶エリア24dから“ペースダウン”の指示内容を取得する(ステップS407)。
【0105】
ロードワーク状況分析部21cは、ステップS404において脈拍数の推移を正常の範囲内と判定した場合には、個人情報記憶エリア24aから目標脈拍数を読み込み、現在の脈拍数が目標脈拍数を超えているか、下回っているか、または目標脈拍数であるかを判定する(ステップS408、S410)。なお、本実施形態においては、目標脈拍数を超えているか、下回っているか、または同じかの判定については、目標脈拍数の5%以内の範囲内である場合に、「同じ」と判定し、目標脈拍数+5%を超えている場合に、「超えている」と判定し、目標脈拍数−5%を下回っている場合に、「下回っている」と判定しているが、これに限定されるものではない。
【0106】
まず、現在の脈拍数が、目標脈拍数を越えているか否かを判定し(ステップS408)、超えていた場合には、ロードワーク状況分析部21cは、指示内容記憶エリア24dから“ペースダウン”の指示内容を取得する(ステップS409)。一方、ステップS408において目標脈拍数を越えていないと判定した場合には、目標脈拍数を下回っているかを判定する(ステップS410)。
【0107】
目標脈拍数を下回っている場合には、ロードワーク状況分析部21cは、個人情報記憶エリア24aに適正ペースが格納されているか否かを判定する(ステップS411)。適正ペースが格納されていない場合には、ロードワーク状況分析部21cは、指示内容記憶エリア24dから“ペースアップ”の指示内容を取得する(ステップS416)。適正ペースが個人情報記憶エリア24aに格納されている場合には、ロードワーク状況分析部21cは、適正ペースを読み込み、さらにロードワークリアルタイムデータ記憶エリアから24bから現在の速度を読み込み、両者を比較して現在の速度が適正ペースであるか否かを判定する(ステップS412)。現在の速度が適正ペースに達していない場合には、ロードワーク状況分析部21cは、指示内容記憶エリア24dから“ペースアップ”の指示内容を取得する(ステップS413)。現在の速度が適正ペースであるかそれよりも速い場合には、ロードワーク状況分析部21cは、指示内容記憶エリア24dから“維持”の指示内容を取得する(ステップS414)。なお、現在の速度が適正ペースの70%に達していない場合に、「適正ペースに達していない」と判定するものであってもよい。
【0108】
ロードワーク状況分析部21cは、ステップS410において、現在の脈拍数が目標脈拍数と同じであると判定した場合には、指示内容記憶エリア24dから“維持”の指示内容を取得する(ステップS415)。
【0109】
ロードワーク状況分析部21cは、ステップS402、ステップS406、ステップS407、ステップS409、ステップS413、ステップS414、ステップS415、またはステップS416の処理をおこなった後、これらのステップにおいて取得した指示内容をロードワークリアルタイムデータ記憶エリア24bに格納する。ロードワーク状況分析部21cは、ロードワークリアルタイムデータ記憶エリア24bから、ステップS417において格納した指示内容を読み込み、読み込んだ指示内容を入出力I/F27を介して出力する(ステップS418)。ユーザへのフィードバックは、ユーザの注意を促すために、情報端末装置20が備えている機能を利用してもよい。例えば、表3のような画面表示、音声、およびバイブレータを組み合わせてもよい。
【0110】
なお、ステップS403において、ロードワーク状況分析部21cが、脈拍数の変化を「○」と評価した場合にステップ415に遷移し、「△」と評価した場合にステップS407に遷移し、または「×」と評価した場合にステップS406に遷移するものであってもよい。この場合においても、急激な脈拍数の変化に対応した適切な指示をユーザに送ることが可能となる。
【0111】
以上のように運動支援システム100を採用すれば、ユーザは加速度の低い状態を安静状態とみなしてセンシング装置10によって安静な状態の脈拍数を検出し、情報端末装置20に送信する。情報端末装置20は、あらかじめ登録されている個人情報(生年月日、性別、身長、体重、運動期間など)から、ユーザの最大脈拍数を算出する。運動(例えばウォーキング)中は、センシング装置10によって検出された生体データおよび加速度データから算出された歩数データを情報端末装置20に定期的に送信し、情報端末装置20において、歩数データから移動速度などの運動データを算出し、単位時間ごとの運動データの変化および生体データの変化を用いてマトリックス分析をおこなう。それにより、ユーザの運動状況を踏まえた生体データの変化状況を評価することができる。例えば、ロードワークの速度が一定または減少しているのにも関わらず、脈拍数が増加し続けている場合には、警告の指示をフィードバックすることが可能になる。
【0112】
また、情報端末装置20は、毎回の運動結果を記憶することができる。運動を実施する季節および時刻の影響によって、所定の脈拍数を実現する運動の速度は変わってくる。しかし、情報端末装置20を用いることにより、毎回のロードワーク開始時に、適切な効果をあげるためのロードワークの適正ペースを算出し設定することが可能となる。
【0113】
したがって、運動支援システム100によれば、ジョギングおよびウォーキングなどの運動中の体調変化に応じて、運動を中止すべきか継続すべきかを判断する際の支援が得られる。また、運動を継続する場合は、ユーザの運動能力に応じて無理のない運動強度となるペース設定が得られるだけでなく、運動効率を上げるためにペースを上げるべきか、下げるべきか、または維持するべきかを判断する際の支援も得られる。
【0114】
なお、情報処理部21は、検出された値を体調の評価に用いる前にその検出値がエラーなどの異常値であるか否かを判定する異常値判定手段を備えているものであってもよい。この場合には、正しくない値を、評価に用いるデータの中から排除することにより、身体状態の評価の精度を高めることができる。
【0115】
以下、検出した値が異常値か否かを判定する方法について説明する。
【0116】
検出データ取得部21bは、時系列に基づいて、ロードワークリアルタイムデータ記憶エリア24bに、生体データx(n)を格納する。検出データ取得部21bは、直前の過去所定回数分の生体データをロードワークリアルタイムデータ記憶エリア24bから読み込み、読み込んだデータからその平均μ(l)、および標準偏差σ(l)を算出する。現在の生体データx(n)、平均μ(l)、および標準偏差σ(l)を用いて比較をおこない、現在の生体データx(n)が、
(μ(l)−σ(l))<生体データx(n)<(μ(l)+σ(l))
の範囲内になければ「異常の可能性がある値」として蓄積する。次いで、生体データx(n)の次に検出された生体データx(n+1)、平均μ(l)、および標準偏差σ(l)を用いて比較をおこない、生体データx(n+1)が、
(μ(l)−σ(l))<生体データx(n+1)<(μ(l)+σ(l))
の範囲内になければ、すなわち、2回連続で直前過去所定回数の生体データから乖離していれば、x(n)を異常値とみなして、身体状態の評価に用いるデータの中から排除する。ロードワーク状況分析部21cは、異常値が排除された時系列データを用いることにより、評価の精度を高めることができる。
【0117】
〔実施形態2〕
本発明に係る運動支援装置を、サーバクライアント連携に応用した実施の形態を以下に説明する。
【0118】
情報端末装置20は、位置検出部、速度検出部、および生体データ検出部を備えており、ユーザの位置データ、速度データ、および生体データの時系列データを取得することによって、ユーザの状態を捕捉する。情報端末装置20は、通信I/F25を介して、位置データ、速度データ、および生体データをサーバ基地局にロードワーク情報として送信する。その後、このロードワーク情報に基づいてサーバにおいて選定されたサービス情報を、情報端末装置20は受信する。ロードワーク情報を送信する際に、ユーザの情報端末装置20の操作情報をサーバ基地局に送信してもよい。
【0119】
位置検出部は、GPSなどの地上での地理的な位置を検出する装置によって構成することができる。速度検出部は、加速度センサなどの移動速度を検出する装置によって構成することができる。情報端末装置20は、検出された各種情報を、リアルタイムにサーバ基地局に送信してもよい。サーバ基地局は、情報端末装置20からのロードワーク情報に基づいて、データベース上のサービス情報を検索し、検索結果として取得したサービス情報を、情報端末装置20に送信する。
【0120】
このサービス情報は、リアルタイムに取得されるユーザの位置情報およびロードワークにおけるコース情報などに基づき、天気予報および交通情報を提示する。それにより、ユーザのロードワークにおける利便性が向上した情報を提供することができる。情報端末装置20は、サーバ基地局からのこれらの情報を受信し、表示部29においてこれらの情報を表示する。
【0121】
(付記事項)
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0122】
例えば、情報端末装置20の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0123】
すなわち、情報端末装置20は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである情報端末装置20の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、前記情報端末装置20に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0124】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0125】
また、情報端末装置20を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0126】
なお、本発明の運動支援システムは、以下の点を特徴点としていると換言することも可能である。すなわち、加速度を検出する加速度検出ステップと加速度から運動データを算出するステップと、生体データを検出する生体データ検出ステップと、運動データの時系列変化を算出するステップと生体データの時系列変化を算出するステップと、運動データの時系列変化と生体データの時系列変化をマトリックス分析することによって身体の異常の有無を監視することを特徴としていると換言することができる。また、加速度を検出する加速度検出ステップと加速度から運動データを算出するステップと、生体データを検出する生体データ検出ステップと、個人情報と運動データと生体データに基づいて運動の負荷状況を算出することを特徴としているとも換言することができる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、ロードワーク中のユーザに適切な指示を送る支援システムに広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の一実施形態における情報処理部の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるセンシング装置および情報端末装置を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるセンシング装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態における情報端末装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態のロードワーク前における運動支援システムの初期設定の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態のロードワーク時における運動支援システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態の情報処理部におけるロードワークの適正ペースを算出する処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態の情報処理部におけるロードワーク時の身体状態の評価、およびその評価結果に基づくユーザへの指示内容を決定する処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0129】
10 センシング装置
11 脈拍数センサ(生体センサ)
12 血圧センサ(生体センサ)
13 体温センサ(生体センサ)
14 加速度センサ
15 CPU(送信手段)
16 アンテナ(送信手段)
20 情報端末装置(運動支援装置)
21 情報処理部
21a 個人情報設定部
21b 検出データ取得部(算出手段)
21c ロードワーク状況分析部(評価手段、決定手段)
21d 適正ペース算出部(設定手段)
22 バス
24a 個人情報記憶エリア
24b ロードワークリアルタイムデータ記憶エリア
24c ロードワーク蓄積データ記憶エリア
24d 指示内容記憶エリア
26 センサ通信I/F(受信手段)
29 表示部(提示手段)
30 バイブレータ(提示手段)
31 スピーカ(提示手段)
100 運動支援システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの運動量を表す運動データと、該ユーザの生理状態を表す生体データとの組み合わせから、該ユーザの身体状態を評価する評価手段と、該評価手段によって得られた評価結果を用いて該ユーザに提示する指示内容を決定する決定手段とを備えている運動支援装置であって、
前記評価手段は、前記運動データの推移と、前記生体データの推移との組み合わせから、該ユーザの身体状態を評価することを特徴とする運動支援装置。
【請求項2】
前記評価手段は、前記運動データの推移パターンと前記生体データの推移パターンとの各組み合わせに対して身体状態の評価が関連付けられているテーブルを参照することによって、前記ユーザの身体状態を評価することを特徴とする請求項1に記載の運動支援装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記生体データと予め設定された目標値とを比較した比較結果と、前記評価手段による評価結果とに基づいて、前記指示内容を決定することを特徴とする請求項1または2に記載の運動支援装置。
【請求項4】
前記ユーザの年齢、および前記ユーザの運動実施期間の少なくとも何れか1つに基づいて、前記目標値を設定する設定手段をさらに備えていることを特徴とする請求項3に記載の運動支援装置。
【請求項5】
前記生体データは、前記ユーザの脈拍数、血圧、および体温の少なくとも何れか1つを表すデータであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の運動支援装置。
【請求項6】
前記決定手段によって決定された前記指示内容を、画面表示、音声、およびバイブレータの少なくとも何れか一つによってユーザに提示する提示手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1から5に記載の運動支援装置。
【請求項7】
ユーザの運動量を表す運動データと、該ユーザの生理状態を表す生体データとの組み合わせから、運動支援装置が該ユーザの身体状態を評価する評価工程と、
前記評価工程によって得られた評価結果を用いて、前記運動支援装置が前記ユーザに提示する指示内容を決定する決定工程とを含む、運動支援方法であって、
前記評価工程は、ユーザの運動量を表す運動データの推移と、該ユーザの生理状態を表す生体データの推移との組み合わせから、該ユーザの身体状態を評価することを特徴とする運動支援方法。
【請求項8】
センシング装置と運動支援装置とを含む運動支援システムであって、
前記センシング装置は、
ユーザの加速度を検出し、該加速度を表す加速度データを出力する加速度センサと、
前記ユーザの生理状態を検出し、該生理状態を表す生体データを出力する生体センサと、
前記加速度データ、または、前記加速度データに基づいて算出された前記ユーザの運動量を表す運動データと、前記生体データとを、前記運動支援装置に送信する送信手段と、を備えており、
前記運動支援装置は、
前記加速度データまたは前記運動データと、前記生体データとを前記センシング装置から受信する受信手段と、
前記運動データの推移と前記生体データの推移との組み合わせから、前記ユーザの身体状態を評価する評価手段と、
前記評価手段によって得られた評価結果を用いて該ユーザに提示する指示内容を決定する決定手段と、を備えていることを特徴とする運動支援システム。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか1項に記載の運動支援装置を動作させる運動支援制御プログラムであって、コンピュータを前記各手段として機能させるための運動支援制御プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の制御プログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−142333(P2009−142333A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−319968(P2007−319968)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】