説明

運搬容器

【課題】把持孔を閉鎖することによって運搬容器内に満載された収容物の荷こぼれを防止することができるように構成された運搬容器用グリップカバーを容易に容器本体へ装着及び取外すことができる運搬容器を提供する。
【解決手段】弾性変形可能な合成樹脂により長四角板状に形成されたグリップカバー15は、容器本体11の短側壁13内側面に設けられた添着凹部27に添着することにより、把持孔26の内側部を開閉可能に閉鎖している。グリップカバー15の下部には肉厚に形成された支持部51が設けられ、その一側面には、短側壁13の内側面に対して着脱可能に嵌合される一対の嵌合突部52が突設されている。添着凹部27の下端部に一対の嵌合孔28が貫設され、嵌合突部52が嵌合孔28内に着脱可能に嵌合固定されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、運搬容器の側壁に貫設された把持孔を開閉可能に閉鎖するように構成された運搬容器用グリップカバーを備える運搬容器に関するものである。より詳しくは、前記把持孔を閉鎖することによって運搬容器内に満載された収容物の荷こぼれを防止することができるように構成された運搬容器用グリップカバーを容易に容器本体へ装着及び取外すことができる運搬容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、運搬容器の側壁に貫設された把持孔から収容物が荷こぼれするのを防止するために、把持孔よりもやや大きく形成された平板状の合成樹脂板が便宜的に把持孔の内側部に添着して使用されていた。この合成樹脂板は、その下端部が把持孔の下方に位置する側壁の内側面に溶着されていたことから、その中央部から上端部が把持孔の内側部(開口部)を開閉可能に閉鎖することができるように構成されている。
【0003】
そして、この運搬容器内に収容物を満載したときには、前記合成樹脂板によって把持孔の開口部が閉鎖されていることから、前記収容物は把持孔を通って運搬容器の外部に落下して荷こぼれするのが防止されている。また、前記把持孔を把持して運搬容器を運搬する際には、把持孔の外方から内方に向かって斜め上方に指を挿入することによって、指の先端部が前記合成樹脂板を運搬容器の内方に押圧し、その中央部から上部が弾性変形を引き起こす。その結果、前記把持孔の上部が開口され、指を挿入するための隙間が形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記従来の合成樹脂板は、容器本体への装着及び取外しを容易に行うことができなかった。
この発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、収容物が把持孔から荷こぼれするのを防止することができるように構成された運搬容器用グリップカバーを容器本体へ容易に装着及び取外すことができるように構成した運搬容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の運搬容器は、底壁と、その底壁の周縁に沿って立設され、少なくとも対向する一対の把持孔を有する側壁とから構成される合成樹脂製の容器本体と、前記把持孔を有する側壁に配設されて前記把持孔を開閉可能にする合成樹脂製のグリップカバーとを備える運搬容器であって、前記グリップカバーは、前記側壁の内側面と面一又はその内側面よりも外側方に位置するように前記側壁の内側面に着脱可能に配設されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本願発明の運搬容器によれば、グリップカバーの装着及び取外しを容易に行うことができるとともに、収容物の挿入及び取出し時に収容物がグリップカバーに引っ掛かることなく、収容物の挿入及び取出しを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】(a)は実施形態のグリップカバーを示す斜視図、(b)は実施形態のグリップカバーを折り畳み式運搬容器に装着した状態を示す正断面図。
【図2】(a)は実施形態の折り畳み式運搬容器を示す平面図、(b)は同じく一部を破断した折り畳み式運搬容器を示す正面図。
【図3】実施形態の一部を破断した折り畳み式運搬容器を示す側面図。
【図4】実施形態の折り畳み式運搬容器を示す部分拡大正断面図。
【図5】(a)は実施形態の一部を破断した折り畳み式運搬容器を示す部分拡大側面図、(b)は同じく部分拡大断面図。
【図6】(a)は実施形態の折り畳んだ状態の折り畳み式運搬容器を示す平面図、(b)は同じく側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明を具体化した実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図2(a)、(b)及び図3に示すように、本実施形態の運搬容器としての折り畳み式運搬容器を構成する容器本体11は、合成樹脂により有底長四角箱状に形成されている。この容器本体11は、長四角板状に形成された底壁12と、その底壁12の対向する一側縁に沿って立設された一対の短側壁13と、前記底壁12の対向する他側縁に沿って立設された一対の長側壁14とを備えている。さらに、この折り畳み式運搬容器は、前記容器本体11の対向する一対の短側壁13の内側面に脱着可能に装着される一対のグリップカバー15を備えている。この折り畳み式運搬容器の容器本体11は、一対の短側壁13を底壁12の上面に折り畳んだ後、一対の長側壁14を短側壁13の上面に折り畳むことによって、折り畳み可能に構成されている。
【0009】
図2(b)に示すように、底壁12の対向する一側縁には、ほぼ四角柱状に形成された支持突条21aが容器本体11のコーナ部間を繋ぐように立設され、その上端面で短側壁13を支持している。また、底壁12の対向する他側縁には、ほぼ長四角柱状に形成された支持突条21bが容器本体11のコーナ部間を繋ぐように立設され、その上端面で長側壁14を支持している。図6(b)に示すように、前記支持突条21aは短側壁13の厚みとほぼ同じ高さに形成されており、支持突条21bは短側壁13の厚みと長側壁14の厚みとを加えた長さとほぼ同じ高さに形成されている。
【0010】
図2(b)、図4及び図6(a)に示すように、各支持突条21a,21bの上端部内方位置には、所定間隔をおいて回動手段を構成する軸受け部22が設けられ、短側壁13及び長側壁14の下端部内方位置に設けられた回動手段を構成する回動軸23を回動可能に軸着している。この構成によって、各短側壁13及び長側壁14は、容器本体11の内方に回動することができるとともに、容器本体11の外方に回動され難くなっている。
【0011】
図4に示すように、前記支持突条21aの上端部外方位置には、支持突条21aの外側面に沿って付勢突条24が上方に延びるように突設され、短側壁13の下端面を僅かに上方に押圧付勢している。また、図3に示すように、前記支持突条21aの外側部には、長四角形状に凹設された一対の収容凹部25が設けられている。
【0012】
一方、短側壁13の中央部には、容器本体11を運搬する際に指で把持するための把持孔26が長四角孔状に貫設されている。図1(b)に示すように、この把持孔26の上端部に設けられた指掛け部26aの内端部は、指を掛けたときに痛みを感じ難くするために滑らかな曲面形状に面取りされている。また、この把持孔26の周囲に位置する短側壁13の内側面は、長四角形状に凹設された添設用凹部としての添着凹部27となっている。さらに、この添着凹部27の下端部には、四角孔状に形成された左右一対の嵌合孔28が貫設されている。
【0013】
図5(a)に示すように、短側壁13の両端部には、その外側部上方位置を長四角形状に凹設することによって係合凹部31が設けられている。この係合凹部31の下部及び中央部には、側面ほぼコ字状に形成された規制手段を構成する規制凸部32が短側壁13の外側方に延びるように突設されている。図5(a)及び(b)に示すように、これら規制凸部32の上方には、平断面逆L字状に形成された係合突起33が突設されている。この係合突起33の基端部33aは短側壁13の外側方に延びるように設けられ、先端部33bは長側壁14の外側方に延びるように設けられている。
【0014】
図3に示すように、長側壁14の両端部には、長四角板状に形成された規制板41が長側壁14の内側方に延びるように突設され、前記短側壁13の係合凹部31内に収容されるようになっている。この規制板41の裏面(内側面)は前記規制凸部32の先端部と当接可能に構成されており、容器本体11を組み立てたとき、短側壁13が容器本体11の外方に回動するのを規制することができるようになっている。また、容器本体11を折り畳んだとき、これら規制板41は、前記支持突条21aの収容凹部25内に収容されるようになっている。
【0015】
図5(a)に示すように、規制板41の下端部から中央部にかけての裏面(内側面)には、その端縁に沿って規制手段を構成する規制突部42が短側壁13の内側方に延びるように突設されている。この規制突部42は、前記短側壁13の規制凸部32と当接可能に構成され、容器本体11を組み立てたとき、長側壁14が容器本体11の外方に回動するのを規制することができるようになっている。そして、これら規制凸部32及び規制突部42によって規制手段が構成されている。
【0016】
図2(b)に示すように、長側壁14の両端部には、容器本体11を組み立てたとき前記短側壁13の係合突起33と対応する位置に、長四角柱状に形成された押圧片43が設けられている。この押圧片43の三方の周縁部には切欠き44が形成されており、押圧片43を長側壁14の外側方から内側方に向かって押圧することができるように構成されている。そして、図5(a)及び(b)に二点鎖線で示すように、外側方から押圧された押圧片43の内側面によって、短側壁13に設けられた係合突起33の先端部33bが内方に押圧されるようになっている。
【0017】
前記押圧片43の上下に位置する長側壁14の内側面には、ほぼ四角柱状に形成された上下一対の係合突部45が長側壁14の内側方に延びるように突設されている。さらに、長側壁14の中央寄りに設けられた係合突部45の一側面は、長側壁14の中央側ほど低くなるテーパ形状に形成されたテーパ面45aとなっており、前記係合突起33の先端部33b(外側面)を滑らかにスライドさせることができるようになっている。また、前記係合突部45のテーパ面45aと対向する側面は、容器本体11を組み立てたとき、前記係合突起33の先端部33b(内側面)を係合固定することができるように構成された係合面45bとなっている。
【0018】
一方、図1(a)に示すように、グリップカバー15は、弾性変形可能な合成樹脂(超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、α―オレフィン系エラストマー又はポリ塩化ビニル)によりほぼ長四角板状に形成されている。このグリップカバー15の下部には、その中央部から上端部にかけてのグリップカバー15よりも肉厚に形成された支持部51が設けられ、前記短側壁13の内側面に設けられた添着凹部27の下端部に添着支持されるように構成されている。なお、前記グリップカバー15中央部の肉厚は1mm程度であるのが好ましく、このとき、グリップカバー15が適度に弾性変形して把持孔26内に指を挿入しやすくすることができる。
【0019】
この支持部51の一側面には、ほぼ四角板状に形成された2枚の嵌合板52aを備えた左右一対の嵌合突部52が突設され、前記添着凹部27下端部の嵌合孔28内に着脱可能に嵌合固定されるようになっている。各嵌合突部52を構成する嵌合板52aの先端部外側面には、前記嵌合孔28の外側部と係合してグリップカバー15を抜け止め係止するための係止突起52bが三角柱状に突設されている。
【0020】
このグリップカバー15の中央部から上部にかけて、前記嵌合突部52が設けられた同側面を長四角形状に膨出させることによってガイド突部53が設けられている。このガイド突部53は、グリップカバー15を容器本体11に装着したとき、前記把持孔26の外方から内方に向かって斜め上方に指の挿入をガイドすることができるように構成されている。さらに、このガイド突部53の膨出面(外側面)は、前記把持孔26内に収容されるように形成されている。
【0021】
なお、このガイド突部53の突出幅は、把持孔26内への指の挿入を容易に行うことができることから、3mm程度であるのが好ましい。また、このガイド突部53の膨出面は、把持孔26内への指の挿入をスムーズに行うことができることから、平滑に形成されているのが好ましい。
【0022】
図1(b)に示すように、このグリップカバー15の上端部には、前記嵌合突部52が設けられた同側面の上端縁に沿って指当て突条54が突設されている。この指当て突条54の先端部は全体に丸みを帯びた形状をしており、容器本体11を運搬する際に指の表側(爪側)が当たってもあまり痛く感じないように構成されている。また、この指当て突条54の先端部は、前記添着凹部27の上端部と当接されるように構成されている。さらに、このグリップカバー15の裏面(内側面)は、容器本体11に装着されたとき、短側壁13の内側面と面一又はその内側面よりも外側方に位置するように配設されている。
【0023】
上記折り畳み式運搬容器の作用について以下に記載する。
さて、上記のように構成された折り畳み式運搬容器を折り畳む際には、まず、一方の短側壁13の両側方に位置する押圧片43を好ましくは同時に各長側壁14の内側方に押圧する。すると、図5(a)及び(b)に二点鎖線で示されるように、前記押圧された押圧片43の内側面によって、係合突起33の先端部33bが長側壁14の内側方に押圧される。その結果、係合突起33の基端部33aに弾性変形が引き起こされ、係合突起33の先端部33bと係合突部45の係合面45bとの係合状態が解除される。
【0024】
続いて、支持突条21aの上端部に設けられた付勢突条24が短側壁13の下端面を上方に押圧付勢している付勢力により、短側壁13が容器本体11の内方に回動される。なおこのとき、前記付勢突条24による付勢力に加えて、前記一方の短側壁13の上端部を補助的に指で内方に押圧して短側壁13を回動させるようにするのが好ましい。そして、この回動された一方の短側壁13は底壁12の上面に折り畳まれる。
【0025】
次に、上記と同様にして、他方の短側壁13を底壁12の上面に折り畳んだ後、一対の長側壁14を前記折り畳まれた両短側壁13の上面に折り畳むことによって、図6(a)及び(b)に示されるように、容器本体11が平板状に小さくコンパクトに折り畳まれる。このとき、図6(b)に示されるように、長側壁14の両端部に突設されている規制板41は、支持突条21aの収容凹部25内に収容され、折り畳まれた状態の長側壁14の上端面を低い位置に配置させることができる。また、この折り畳み式運搬容器の容器本体11は、折り畳まれた状態で上下に積み重ねることができる。
【0026】
一方、上記折り畳まれた状態の折り畳み式運搬容器を組み立てて使用する際には、まず、図6(a)及び(b)に示される一対の長側壁14を、回動軸23を中心に90°回動させて支持突条21bの上端面上に立設させた後、一対の短側壁13を同様に回動させて支持突条21aの上端面上に立設させる。
【0027】
このとき、図5(b)に示されるように、短側壁13の両端部に突設された係合突起33の先端部33bは、長側壁14の内側面に突設された係合突部45のテーパ面45a上を滑らかにスライドしながら、係合突部45を越えて規制板41側に移動した後、係合突部45の係合面45bと係合固定される。その結果、これら短側壁13は、容器本体11内方への回動が規制された状態になる。
【0028】
さらにこのとき、長側壁14の規制板41が短側壁13の外側面を覆うように突設されていることから、短側壁13の外方への回動が規制されている。従って、この組み立てられた状態の一対の短側壁13は、容器本体11の内方及び外方のいずれの方向にも回動規制され、支持突条21aの上端面上で垂直方向に立設固定されている。
【0029】
また、一対の長側壁14は、短側壁13の両端部と当接された状態で配置されていることから、容器本体11内方への回動が防止されている。さらに、図5(a)に示されるように、長側壁14の規制板41に設けられた規制突部42が、短側壁13の両端部に設けられた規制凸部32と当接可能に構成されていることから、長側壁14の容器本体11外方への回動も規制されている。従って、この組み立てられた状態の一対の長側壁14は、容器本体11の内方及び外方のいずれの方向にも回動規制され、支持突条21bの上端面上で垂直方向に立設固定されている。
【0030】
この折り畳み式運搬容器の容器本体11は、組み立てられた状態で上下に積み重ねることができるとともに、組み立てられた状態の容器本体11の上下に、上記折り畳まれた状態の容器本体11を積み重ねることもできる。
【0031】
この組み立てられた状態の折り畳み式運搬容器の容器本体11内に収容物を満載したときには、グリップカバー15によって把持孔26の内側部が閉鎖されていることから、把持孔26を通って収容物が荷こぼれするのが防止されている。また、グリップカバー15の内側面が短側壁13の内側面よりも内側方に突出されていないことから、収容物の挿入及び取出し時にそれらが引掛けられることなく、収容物の挿入及び取出しを容易に行うことができる。
【0032】
この組み立てられた状態の折り畳み式運搬容器を運搬する際には、まず、一対の短側壁13の中央部に貫設された把持孔26の外方から内方に向かって斜め上方に指を挿入させる。このとき、前記両把持孔26内に挿入された指の先端部は、グリップカバー15のガイド突部53の膨出面を容器本体11の内方へと押圧しながらその膨出面上を滑らかに斜め上方にスライドし、図1(b)に二点鎖線で示されるようにグリップカバー15を容器本体11の内方に弾性変形させる。すると、前記把持孔26の指掛け部26aとグリップカバー15との間に、指が挿通される必要最小限の隙間が形成される。
【0033】
続いて、前記隙間内に指を挿通させた状態で、両把持孔26の指掛け部26aとその上方に位置する短側壁13の壁面を手で把持することによって、容器本体11を運搬することができる。このとき、前記把持孔26を把持している指の中央部及び先端部は、グリップカバー15の中央部による容器本体11外方への付勢力によって、ガイド突部53及び指当て突条54の外側面と、指掛け部26aとの間で挟持押圧されている。前記の指と当接されている部分は、いずれも丸みを帯びた形状に形成されていることから、把持孔26を把持する指にほとんど痛みを感じさせることがないうえ、指を傷付けることもない。
【0034】
さらにこのとき、前記指掛け部26aとグリップカバー15との間に形成された隙間が、指を挿通させるための必要最小限の広さであることから、容器本体11内に満載されている収容物は、把持孔26を通って容器本体11の外部に荷こぼれすることがない。
【0035】
上記実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ このグリップカバー15は、把持孔26の下方に位置する短側壁13の内側部に配設され、その把持孔26の内側部(開口部)を開閉可能に閉鎖している。さらに、このグリップカバー15には、前記把持孔26の外方から内方に向かって斜め上方に指の挿入をガイドするためのガイド突部53が設けられている。このため、容器本体11内に満載された収容物が把持孔26を通って外部に荷こぼれするのを防止することができる一方で、その把持孔26内に指を容易に挿入することができる。さらに、このグリップカバー15は、容器本体11外部からのゴミの進入を効果的に防止することもできる。
【0036】
また、このグリップカバー15は、短側壁13の内側面と面一又はその内側面よりも外側方に位置するように配設されている。このため、収容物を容器本体11内に容易に挿入することができるとともに、容器本体11内から容易に取り出すことができる。また、収容物が傷付けられるのを防止することもできる。
【0037】
・ ガイド突部53を、把持孔26の外側方に膨出するように形成することによって、把持孔26の外方から内方に向かって指を挿入したとき、その指をほぼ自動的に斜め上方に向かって滑らかに挿入させるようにガイドすることができる。このため、把持孔26内に指をより一層容易に挿入させることができる。特に、ガイド突部53の外側面上端部が円弧状に膨出するように形成されていることから、前記指の挿入をより一層的確に行わせることができる。
【0038】
さらに、前記のように形成されたガイド突部53の膨出面は、把持孔26を把持する指の先端部表側(爪の基端部の皮膚)とグリップカバー15の上端縁とが当接するのを防止することができるように構成されている。すなわち、把持孔26を把持したとき、指の中央部によって前記膨出面が容器本体11の内方に押圧され、図2(b)に二点鎖線で示されるように、グリップカバー15の上端縁が前記膨出面よりもより一層容器本体11の内方に配置されるように構成されている。このため、前記グリップカバー15の上端縁と指の先端部とが大きく離間した位置に配置されることから、前記指の先端部表側に痛みを感じさせることなく、容器本体11を容易に運搬することができる。
【0039】
・ グリップカバー15の下端部に嵌合突部52を設け、短側壁13に貫設された嵌合孔28内に脱着可能に嵌合させるように構成することによって、容器本体11に対して、グリップカバー15の装着及び取外しを容易に行うことができる。このため、容器本体11にグリップカバー15を装着して使用することができるとともに、グリップカバー15を装着せずに容器本体11を使用することができる。
【0040】
例えば、容器本体11内に収容される収容物が把持孔26よりも大きい場合や、収容物を満載せずに容器本体11の中央高さ程度まで収容する場合には、グリップカバー15を装着せずに使用した方がより一層便利に使用することができるケースが多い。従って、このグリップカバー15は、目的や用途に応じてその使用形態を選択することができるように構成されていることから大変便利である。
【0041】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 容器本体11の底壁12、短側壁13及び長側壁14の壁面に多数の孔を貫設することによってメッシュ状に形成すること。或いは、容器本体11の底壁12の壁面に多数の孔を貫設することによって、底壁12をメッシュ状に形成すること。或いは、容器本体11の短側壁13及び長側壁14の壁面に多数の孔を貫設することによって、短側壁13及び長側壁14をメッシュ状に形成すること。このように構成した場合、容器本体11内に野菜や果物等の青果物を収容する場合には、その青果物の腐敗を効果的に抑制することができる。
【0042】
・ ガイド突部53を左右に分割して形成してもよい。或いは、ガイド突部53を、例えば上記実施形態のガイド突部53の半分の大きさに縮小してもよい。
・ ガイド突部53を側面円弧状に膨出するように形成してもよい。
【0043】
・ グリップカバー15の支持部51に嵌合突部52を突設しないように構成し、支持部51と容器本体11の添着凹部27とを溶着又は接着させることによってグリップカバー15を容器本体11に固着させてもよい。
【0044】
・ グリップカバー15の支持部51を水平方向(ガイド突部53の膨出面と同じ方向)に延びるように突設するとともに、その支持部51の下端面に嵌合突部52を垂下させること。さらに、嵌合孔28を短側壁13の添着凹部27の下端部に貫設する代わりに、前記嵌合突部52と対応する位置、すなわち、把持孔26の下端部(短側壁13の外側面に突設されているリブ)に上下方向に貫設すること。
【0045】
・ 指当て突条54を省略すること。
・ グリップカバー15の上端部を延長して形成させること。例えば、容器本体11を把持したときに、指の先端部がグリップカバー15の上端縁よりも低い位置に配置されるように構成すること。このように構成した場合、指の先端部表側(爪の基端部の皮膚)がグリップカバー15の上端部と当接されないようにすることができる。
【0046】
・ 支持部51の厚みをその上方に位置するグリップカバー15の厚みと同じ厚みに形成させてもよい。
・ ガイド突部53が設けられた部分(中央部から上端部)を肉厚に形成させてもよい。このように構成した場合でも、肉厚に形成されていないグリップカバー15の中央部を中心に、グリップカバー15を適切に弾性変形させることができる。
【0047】
・ グリップカバー15を折り畳みできない構成の運搬容器に設けてもよい。
・ 例えば添着凹部27を省略し、グリップカバー15の内側面を短側壁13の内側面よりも内側方に位置するように配設してもよい。このように構成した場合でも、収容物が把持孔26から荷こぼれするのを防止することができるとともに、把持孔26内に指を容易に挿入させることができる。
【0048】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記グリップカバーは、前記ガイド部の上端部を円弧状に形成したことを特徴とする運搬容器。このように構成した場合、把持孔内に挿入される指を容易にガイドすることができる。
【0049】
・ 前記グリップカバーは、上部又は上端部に、前記ガイド部を設けたことを特徴とする運搬容器。このように構成した場合、把持孔内への指の挿入をより一層容易に行うことができる。
【0050】
・ 前記グリップカバーは、前記ガイド部の下方位置で前記側壁に固設されるように構成したことを特徴とする運搬容器。このように構成した場合、把持孔の外方から内方に向かって斜め上方に指を容易に挿入させることができる。
【0051】
・ 前記グリップカバーは、前記側壁に固設される部分を肉厚に形成したことを特徴とする運搬容器。このように構成した場合、ガイド部と側壁に固設された部分との中間位置でグリップカバーを弾性変形させることができることから、指を把持孔内に容易に挿入させることができる。
【0052】
・ 前記グリップカバーは、上端部を、前記把持孔の上端部と当接するように構成したことを特徴とする運搬容器。このように構成した場合、収容物の荷こぼれをより一層効果的に防止することができる。
【0053】
・ 前記把持孔の周囲を構成する側壁の内側面を凹設することによって添設用凹部を設け、前記グリップカバーがその添設用凹部内に添設されることを特徴とする運搬容器。
・ 前記ガイド部の外側部を把持孔内に収容するように構成したことを特徴とする運搬容器。このように構成した場合、把持孔内に指を容易に挿入することができる。
【0054】
・ 前記グリップカバーは、上端部に、丸みを帯びた形状に形成された指当て突条を突設したことを特徴とする運搬容器。
・ 前記グリップカバーは、弾性変形可能な合成樹脂によって構成したことを特徴とする運搬容器。
【0055】
・ 前記把持孔の内端部を、丸みを帯びた形状に形成したことを特徴とする運搬容器。このように構成した場合、把持孔をより一層把持しやすくすることができる。
・ 底壁と、その底壁の周縁に沿って立設され、少なくとも対向する一対の把持孔を有する側壁とから構成される容器本体と、前記把持孔を有する側壁に配設されて前記把持孔を開閉可能にするグリップカバーとを備える運搬容器であって、前記グリップカバーは、前記把持孔の下端部又はその把持孔の下方に位置する側壁の内側部に配設され、前記把持孔の内側部を開閉可能に閉鎖するとともに、前記把持孔の外方から内方に向かって斜め上方に指の挿入をガイドするためのガイド部を設けたことを特徴とする運搬容器。
【符号の説明】
【0056】
11…運搬容器を構成する容器本体、12…底壁、13…側壁としての短側壁、14…側壁としての長側壁、15…運搬容器用グリップカバーとしてのグリップカバー、26…把持孔、53…ガイド部としてのガイド突部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と、その底壁の周縁に沿って立設され、少なくとも対向する一対の把持孔を有する側壁とから構成される合成樹脂製の容器本体と、前記把持孔を有する側壁に配設されて前記把持孔を開閉可能にする合成樹脂製のグリップカバーとを備える運搬容器であって、
前記グリップカバーは、前記側壁の内側面と面一又はその内側面よりも外側方に位置するように前記側壁の内側面に着脱可能に配設されることを特徴とする運搬容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−70264(P2010−70264A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269766(P2009−269766)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【分割の表示】特願2000−256210(P2000−256210)の分割
【原出願日】平成12年8月25日(2000.8.25)
【出願人】(000010054)岐阜プラスチック工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】