説明

運転負担判定装置

【課題】運転者の運転負担の度合いを定量的に判定することが可能な運転負担判定装置の提供。
【解決手段】眼球回転角速度算出部63は、眼球電位検出部31が検出した運転者の眼球電位に基づいて当該運転者の眼球回転角速度を逐次算出する。眼球回転角速度判定部64は、眼球回転角速度算出部63が算出した眼球回転角速度の絶対値を所定の閾値と比較し、眼球回転角速度が閾値を超えている場合に高速眼球運動状態であると判定する。高速眼球運動割合判定部65は、当該眼球が高速眼球運動状態となる時間を眼球回転角速度判定部64の判定結果に応じて計測し、所定の判定時間内において高速眼球運動状態が占める時間割合を求める。運転負担度判定部67は、高速眼球運動割合判定部65求めた高速眼球運動状態の時間割合に基づいて、当該運転者の運転負担の度合いを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を運転する運転者の運転負担の度合いを判定する運転負担判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を運転する運転者の状態を、当該運転者の眼球の動きに基づいて判定することが知られている。
【0003】
また、眼球の動きを検知する方法として、電気的に検知する方法が知られている。
【0004】
特開平9−38037号公報には、視覚刺激を提示したときの高速眼球運動の回数に基づいて、有効視野範囲を計測する眼球運動計数型有効視野計測装置が記載されている。
【0005】
眼球運動計数型有効視野計測装置は、眼球の水平方向及び垂直方向の眼球運動を個別に導出する二対の眼球運動導出電極と、眼球運動導出電極が導出した電位の電位差を検出する眼球運動計測装置と、眼球運動計測装置が検出した電位差の微分を求める微分回路と、微分回路が求めた微分の絶対値を求める絶対値回路と、絶対値回路が求めた絶対値のうち閾値を超える高速眼球運動成分を出力する比較器と、比較器の出力に基づいて視覚刺激が提示されているときの高速眼球運動の回数を算出する比較・計数回路とを有する。
【0006】
また、特開2007−125184号公報には、水平眼球運動信号及び垂直眼球運動信号の電圧値に基づいて眼球角度を算出する方法が記載されている。
【0007】
眼球角度の算出前に、水平眼球運動信号及び垂直眼球運動信号の電圧値と特定の視対象とに基づいて、電圧値を眼球角度に換算するための電圧値−眼球角度校正データを測定して記憶する。水平眼球運動信号及び垂直眼球運動信号の電圧値と記憶した電圧値−眼球角度校正データとに基づいて水平方向の眼球角度及び垂直方向の眼球角度を算出する。
【0008】
また、特開平4−73042号公報には、眼球筋電信号に基づいて眼球の視線方向を出力する視線トレーサが記載されている。眼筋筋電信号は、メガネフレームの鼻あて及び耳かけに設けられた電極によって検出される。
【0009】
【特許文献1】特開平9−38037号公報
【特許文献2】特開2007−125184号公報
【特許文献3】特開平4−73042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特開平9−38037号公報や特開2007−125184号公報や特開平4−73042号公報の技術は、被験者の眼球周辺で検出する眼球電位に基づいて、被験者の眼球の動きを単に検知するものであり、眼球の動きに基づいて被験者の状態(例えば、車両を運転する運転者の負担の度合い)を判定するものではない。
【0011】
本発明は、上述の実情に鑑みてなされたものであり、運転者の運転負担の度合いを定量的に判定することが可能な運転負担判定装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成すべく、本発明の運転負担判定装置は、眼球回転角速度検知手段と眼球運動状態判定手段と眼球運動割合検知手段と運転負担度判定手段とを備える。
【0013】
眼球回転角速度検知手段は、運転者の眼球の回転角速度を逐次検知する。眼球運動状態判定手段は、眼球回転角速度検知手段が検知した眼球回転角速度の絶対値を所定の閾値と比較し、眼球回転角速度が閾値を超えている場合に高速眼球運動状態であると判定し、又は眼球回転角速度が閾値未満の場合に低速眼球運動状態であると判定する。眼球運動割合検知手段は、当該眼球が高速眼球運動状態となる時間又は低速眼球運動状態となる時間を眼球運動状態判定手段の判定結果に応じて計測し、所定の判定時間内において高速眼球運動状態が占める時間割合又は低速眼球運動状態が占める時間割合を検知する。運転負担度判定手段は、眼球運動割合検知手段が検知した高速眼球運動状態の時間割合又は低速眼球運動状態の時間割合に基づいて、当該運転者の運転負担の度合いを判定する。
【0014】
なお、運転負担度判定手段は、高速眼球運動状態の時間割合が予め設定された第1基準値を超えている場合、又は低速眼球運動状態の時間割合が予め設定された第2基準値未満の場合に、運転者の運転負担の度合いが大きいと判定してもよい。
【0015】
また、眼球運動状態判定手段は、眼球回転角速度が所定の閾値である場合に、高速眼球運動状態又は低速眼球運動状態であると判定してもよい。
【0016】
上記構成では、高速眼球運動状態が占める時間割合が高い場合、又は低速眼球運動状態が占める時間割合が低い場合は、運転者が進行方向前方から視線を移動させる頻度が多いため、運転負担度判定手段は運転者の運転負担の度合いが大きいと判定する。反対に、高速眼球運動状態が占める時間割合が低い場合、又は低速眼球運動状態が占める時間割合が高い場合は、運転者が進行方向前方から視線を移動させる頻度が少ないため、運転負担度判定手段は運転者の運転負担の度合いが小さいと判定する。すなわち、高速眼球運動状態又は低速眼球運動状態が所定の判定時間内において占める時間割合を検知することにより、定量的に運転者の運転負担の度合いを判定することができる。
【0017】
また、運転者毎によるばらつきが少ない眼球回転角速度を検知して用いるため、高速眼球運動状態又は低速眼球運動状態の判定に所定の閾値を設定することができる。
【0018】
また、運転者の運転負担の度合いが大きいと判定された場合は、車内に搭載された報知装置による運転者への報知のように、運転者の視線を進行方向前方から逸らしてしまう契機となり得る状態の発生又は継続を中止又は中断することによって、運転負担の増大を抑制することができる。
【0019】
また、眼球回転角速度検知手段は、眼球電位検出手段と記憶手段と眼球回転角度演算手段と眼球回転角速度演算手段とを有してもよい。
【0020】
眼球電位検出手段は、当該運転者の水平方向の眼球電位を検出する。記憶手段は、当該運転者の眼球電位と眼球回転角度との関係を予め記憶する。眼球回転角度演算手段は、眼球電位検出手段が検出した眼球電位と記憶手段に記憶された関係とを用いて眼球回転角度を求める。眼球回転角速度演算手段は、眼球回転角度演算手段が求めた眼球回転角度を時間微分することにより眼球回転角速度を算出する。
【0021】
上記構成では、運転者の眼球電位と眼球回転角度との関係を運転開始前に予め記憶手段に記憶し、運転中に眼球電位検出手段が検出した眼球電位と記憶手段に記憶された関係とを用いて眼球回転角度を求めるため、運転者毎の眼球電位のばらつきを吸収し、眼球電位に起因する誤差の影響を少なくすることができる。
【0022】
なお、記憶手段が記憶する関係は、例えば、運転者の複数の眼球回転角度に対する眼球電位を運転開始前に測定することにより求めることができる。
【0023】
また、第1基準値及又は第2基準値を用いて運転者の運転負担の度合いを判定する場合、第1基準値又は第2基準値には、段階的に設定された複数の基準値を含んでもよく、運転負担度判定手段は、高速眼球運動状態の時間割合又は低速眼球運動状態の時間割合を当該複数の基準値と比較して、運転者の運転負担の度合いを段階的に判定してもよい。
【0024】
上記構成では、第1基準値として設定された複数の基準値のうち大きい基準値を超えるほど、又は第2基準値として設定された複数の基準値のうち小さい基準値を超えるほど、運転者の運転負担の度合いが大きいと判定することができるため、運転者の運転負担の度合いを細かく判定することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、運転者の運転負担の度合いを定量的に判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図1〜図11に基づいて説明する。
【0027】
図1は本発明の実施形態に係る運転負担判定装置を備える車両のブロック構成図であり、図2は運転者の眼球電位を検出する状態を示す模式図であり、図3は眼球電位を検出する他の実施形態を示す斜視図であり、図4は眼球電位の検出例を示すグラフであり、図5は眼球電位と眼球回転角度との関係の例を示すグラフであり、図6は図4の眼球電位に基づいて算出した眼球回転角度を示すグラフであり、図7は図6の眼球回転角度に基づいて算出した眼球回転角速度を示すグラフであり、図8は図7の眼球回転角速度の整流値を示すグラフであり、図9は個人認証処理のフローチャートであり、図10は定数設定処理のフローチャートであり、図11は眼球運動判定処理のフローチャートである。
【0028】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る車両1は、運転負担判定装置2と報知制御部7と報知装置8とを備える。運転負担判定装置2は、携帯ユニット3と演算ユニット4とを備える。演算ユニット4は、定数処理部5と負担判定処理部6とを備える。定数判定部5は、校正部51と定数書き出し部52とメモリー53と個人認証部54と定数読み出し部55とを有する。負担判定処理部6は、無線受信部61と眼球回転角度算出部62と眼球回転角速度算出部63と眼球回転角速度判定部64と高速眼球運動割合判定部65とタイマー66と運転負担度判定部67とを有する。
【0029】
運転負担判定装置2と報知制御部7とは、共通のCPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とカウンタとを備える。CPUは、演算ユニット4の定数処理部5のうち校正部51と定数書き出し部52と個人認証部54と定数読み出し部55と、演算ユニット4の負担判定処理部6のうち眼球回転角度算出部62と眼球回転角速度算出部63と眼球回転角速度判定部64と高速眼球運動割合判定部65と運転負担度判定部67と、報知制御部7とを構成し、ROMに格納されたプログラムを読み出して後述する各処理を実行する。RAMは、メモリー53を構成するとともに、その他の処理中の一時記憶領域を構成する。カウンタは、タイマー66を構成する。なお、運転負担判定装置2と報知制御部7とは、共通のCPU,ROM,RAM,カウンタを備えるのではなく、例えば、定数処理部5や負担判定処理部6や報知制御部7に対してそれぞれ別のCPU,ROM,RAM,カウンタを備えてもよい。
【0030】
報知制御部7は、車両1に備えられた各種制御装置(携帯ユニット3と演算ユニット4とを含む)から信号が入力し、入力した信号に基づいて報知装置8に対して報知制御信号を出力する。
【0031】
報知装置8は、画像により運転者に対して報知するディスプレイ81と、音声により運転者に対して報知するスピーカー82とを有し、報知制御部7から入力する報知制御信号に基づいて報知する。
【0032】
携帯ユニット3は、眼球電位検出部31と眼球電位増幅部32と無線送信部33とを有し、運転者の胸ポケットに収まる形状のユニットである。
【0033】
眼球電位検出部31は、眼球回転角速度検知手段の眼球電位検出手段を構成し、運転者の水平方向の眼球電位Epを検出する。
【0034】
本実施形態では、眼球電位検出部31は、携帯ユニット3の本体部から二本延びた導線の先に一つずつ設けられる。眼球電位検出部31は、図2に示すように、運転者の両目の外側(こめかみ部分)の皮膚にそれぞれ電気的に接触させた状態で、水平方向の眼球電位Epを逐次検出する。
【0035】
ここで、眼球電位Epとは、眼球を動かす筋肉が収縮したときに発生する電位であって、眼球周辺の皮膚から検出することができるものをいう。眼球電位Epは、眼球回転角度の変化に応じて変化する。また、水平方向の眼球電位Epとは、両目が位置する点を通過する線に対して水平な方向の眼球の運動によって発生する電位のことをいう。
【0036】
図4に眼球電位Epの検出例を示す。縦軸が眼球電位Ep(V)であり、横軸が時間tである。
【0037】
なお、本実施形態では、二つの眼球電位検出部31を設けて水平方向の眼球電位Epを検出するが、これに限らず、三つ以上眼球電位検出部31を設けてもよい。例えば、二対(四つ)の眼球電位検出部31を設けて水平眼球電位Epを片目ずつ検出してもよい。
【0038】
眼球電位増幅部32は、フィルタ部と増幅部とを有し、眼球電位検出部31が検出した眼球電位Epを含む眼球電位信号を、フィルタ部によりノイズを低減させた後、増幅部により増幅する。
【0039】
無線送信部33は、眼球電位増幅部32が増幅した眼球電位信号を周波数変調して演算ユニット4へ送信する。
【0040】
なお、携帯ユニット3は、図3に示すように、眼鏡に組み込み形成してもよい。眼鏡の弦がそれぞれ顔面と接触する部分を眼球電位検出部31として両目の両外側から検出する方法、あるいは眼鏡の片側の弦と鼻当ての部分を眼球電位検出部31として片目の両外側から検出する。眼球電位増幅部32と無線送信部33とを眼鏡に一体化することによって、運転者が簡易に装着することが可能になる。
【0041】
次に、演算ユニット4の定数判定部5について説明する。校正部51は、負担判定処理部6から入力する眼球電位信号の眼球電位Epに基づいて、定数設定処理を実行する。校正部51は、報知制御部7を介してスピーカー82に接続され、定数設定処理において、運転者に対して所定の視線方向を要求する音声をスピーカー82から報知させる。
【0042】
定数設定処理では、運転者に眼球電位検出部31が取り付けられた状態で、運転開始前に、所定の眼球回転角度Evとなる三点以上の視線方向を要求する。要求する複数の視線方向は、予め正面に対する眼球回転角度Ev(deg)が対応付けられて記憶される。そして、各視線方向を要求する報知に対して検出された眼球電位Epと、それぞれの眼球電位Epを検知したときに要求された視線方向に対応付けて記憶された眼球回転角度Evとに基づいて、運転者の眼球電位Epと眼球回転角度Evとの関係の設定を行う。
【0043】
本実施形態では、水平方向における正面、右、左の所定のターゲットへに対して視線方向を要求する音声をスピーカー82から報知させる。そして、各視線方向を要求する報知の後、所定時間経過後に状態が安定していると見做してそのときに入力する眼球電位Epを当該要求に応答した信号としてRAMの一時記憶領域に記憶し、記憶した複数の眼球電位Epと眼球回転角度Evとに基づいて、次式(1)を満たす校正用定数K1,K2を求める。
【0044】
Ev=K1×Ep+K2 …(1)
【0045】
図5に眼球電位Epと眼球回転角度Evとの関係の例を示す。縦軸が眼球回転角度Ev(deg)であり、横軸が(水平)眼球電位Ep(V)である。図5に示す例では、K1=0.0556,K2=0が算出される。
【0046】
なお、運転者の眼球電位Epと眼球回転角度Evとの関係は、前記式(1)を満たす校正用定数K1,K2に限らず、例えば、運転者の複数の眼球回転角度Evとそれに対応する眼球電位Epとのテーブルを作成してもよい。
【0047】
本実施形態では、所定の眼球回転角度Evを求めるために要求する視線方向として、左右のドアミラーの各中心、及び当該ドアミラーを含む水平方向における運転者の正面に設定する。なお、視線方向の対象とする位置はこれに限らず、視線方向を指定する目的で車内に予め付した目印などを使用してもよい。
【0048】
また、校正部51は、定数設定処理では、運転者に対して校正用定数K1,K2を設定すると共に、当該校正用定数K1,K2に関連付けたIDを発行する。発行するIDは、運転者個人に関連付けられた(運転免許証の情報などの)IDであってもよく、求めた校正用定数K1,K2の数値に基づいて求めた(校正用定数K1,K2を羅列した数列などの)IDであってもよい。
【0049】
定数書き出し部52は、校正部51が設定した校正用定数K1,K2と、校正部51が発行したIDとを関連付けてメモリー53に記憶させる。
【0050】
メモリー53は、校正部51が設定した校正用定数K1,K2と、校正部51が発行したIDとを関連付けて記憶する。メモリー53は、電力供給の有無に係わらず記憶された情報を書き換えられるまで保持する。
【0051】
個人認証部54は、車内に設置された認証装置9と接続され、車両1の運転開始の際に個人認証処理を実行し、事前に校正部51により発行されたIDの認証を行う。
【0052】
定数読み出し部55は、個人認証部54による個人認証処理において認証されたIDに対応する校正用定数K1,K2をメモリー53から読み出して、演算ユニット4へ出力する。
【0053】
認証装置9は、識別情報入力部を有する。識別情報入力部は、運転者によるIDの入力を受け付ける。
【0054】
本実施形態では、タッチパネル機能を有するディスプレイ81が認証装置9であり、ディスプレイ81の表示画面が識別情報入力部である。
【0055】
なお、本実施形態では、報知装置8のディスプレイ81を認証装置9としたが、これに限らず、運転免許証の情報を読み取るカードリーダや、指紋、静脈、虹彩、網膜パターンなどを識別する生体認証装置やIDを入力するテンキーなどを認証装置9として設けてもよい。また、携帯ユニット3に認証装置9の機能を設けてもよい。
【0056】
次に、演算ユニット4の負担判定処理部6について説明する。
【0057】
負担判定処理部6は、運転中(例えば5msec毎)に、運転負担判定処理を実行する。負担判定処理部6は、運転負担判定処理において、携帯ユニット3から入力する眼球電位Epと、メモリー53に記憶された校正用定数K1,K2とに基づいて、運転中の運転者の眼球回転角度Evを算出し、算出した眼球回転角度Evに基づいて、運転者の運転負担の度合いを判定する。
【0058】
無線受信部61は、無線送信部33が送信した信号を受信し、眼球電位信号に復調し、眼球回転角度算出部62及び定数判定部5の校正部51へ出力する。なお、本実施形態では運転者側の携帯ユニット3と車両1側の演算ユニット4との間を無線にて構成したが、これに限らず、携帯ユニット3と演算ユニット4との間を有線にて構成してもよい。
【0059】
眼球回転角度算出部62は、眼球回転角速度検知手段の眼球回転角度演算手段を構成し、定数設定処理においてメモリー53に記憶された関係と、眼球電位検出部31が検出する眼球電位Epとを用いて眼球回転角度Evを算出する。具体的には、眼球回転角度算出部62は、個人認証処理において定数読み出し部55がメモリー53から読み出して入力する校正用定数K1,K2と、無線受信部61より入力する眼球電位信号から逐次求められた眼球電位Epとを前記式(1)に代入し、眼球回転角度Evを算出する。
【0060】
図6に、図4の眼球電位Epに基づいて算出した眼球回転角度Evを示す。縦軸が眼球回転角度Ev(deg/sec)であり、横軸が時間tである。
【0061】
眼球回転角速度算出部63は、眼球回転角速度検知手段の眼球回転角速度演算手段を構成し、眼球回転角度算出部62が算出した眼球回転角度Evを時間微分することにより眼球回転角速度を逐次算出する。
【0062】
このように、携帯ユニット3の眼球電位検出部31と負担判定処理部6の眼球回転角度算出部62及び眼球回転角速度算出部63とは、眼球回転角速度検知手段を構成し、運転者の眼球の回転角速度を逐次算出する。
【0063】
図7に、図6の眼球回転角度Evに基づいて算出した眼球回転角速度Ev’を示す。縦軸が眼球回転速度Ev’(deg/sec2)であり、横軸が時間tである。
【0064】
眼球回転角速度判定部64は、眼球運動状態判定手段を構成し、眼球回転角速度算出部63が算出した眼球回転角速度の絶対値を所定の閾値Mと比較し、眼球回転角速度が所定の閾値M以上の場合に、高速眼球運動状態Efであると判定する。
【0065】
図7に示すように、眼球回転角速度には、正の値と負の値があり、例えば、正面の状態がゼロの場合に、左方向を見ると正の値で、右方向を見ると負の値を示すが、本実施形態では、方向に関係なく単に角度を求めたいため、眼球回転角速度の絶対値を使用する。
【0066】
また、所定の閾値Mは、複数の運転者に対応する共通の値であり、予め実験データなどに基づいた値が記憶される。本実施形態では、所定の閾値Mは、高速眼球運動状態Efである値に設定される。
【0067】
図8に、図7の眼球回転角速度Ev’の整流値(絶対値)を示す。縦軸が眼球回転角速度Ev’’(deg/sec2)であり、横軸が時間tであり、Mが所定の閾値であり、Efが高速眼球運動状態であり、Esが低速眼球運動状態である。
【0068】
なお、本実施形態では、眼球回転角速度が所定の閾値Mを超えている場合に高速眼球運動状態Efであると判定するが、眼球回転角速度が所定の閾値M未満の場合に低速眼球運動状態Esであると判定してもよい。
【0069】
また、本実施形態では、所定の閾値Mが高速眼球運動状態Efである値に設定し、眼球回転角速度が所定の閾値Mである場合に高速眼球運動状態Efであると判定するが、所定の閾値Mを低速眼球運動状態Esである値に設定し、眼球回転角速度が所定の閾値Mである場合に低速眼球運動状態Esであると判定してもよい。
【0070】
高速眼球運動割合判定部65は、眼球運動割合検知手段を構成し、眼球が高速眼球運動状態Efとなる時間を眼球回転角速度判定部64の判定結果に応じて計測し、所定の判定時間(例えば1sec)内において高速眼球運動状態Efが占める時間割合を求める。
【0071】
具体的には、高速眼球運動割合判定部65は、眼球回転角速度判定部64の判定に基づいて、タイマー66によるカウントで現在までの所定の判定時間内における高速眼球運動状態Efの時間を計測する。高速眼球運動状態Efと低速眼球運動状態Esとの間で複数回の状態遷移がある場合には、当該所定の判定時間内における高速眼球運動状態Efの時間を全て積算する。つまり、高速眼球運動割合判定部65は、運転負担判定処理において、少なくとも現在までの所定の判定時間において、高速眼球運動状態Efの開始時及び終了時をRAMの一時記憶領域に記憶し、所定の判定時間内における高速眼球運動状態Efの時間割合を求める。
【0072】
なお、本実施形態では、高速眼球運動割合判定部65は、眼球が高速眼球運動状態Efとなる時間を計測し、所定の判定時間内において高速眼球運動状態Efが占める時間割合を検知するが、眼球が低速眼球運動状態Esとなる時間を計測し、所定の判定時間内において低速眼球運動状態Esが占める時間割合を求めてもよい。
【0073】
また、所定の判定時間内における高速眼球運動状態Ef又は低速眼球運動状態Esが占める時間割合を検知するためには、上記処理のほか、所定の判定時間内における、高速眼球運動状態Ef又は低速眼球運動状態Esである単位時間の数を計数することによって割合を求めてもよい。具体的には、比較的短い単位時間毎に高速眼球運動状態Ef又は低速眼球運動状態Esであるか否かを判定し、所定の判定時間内において、高速眼球運動状態Ef又は低速眼球運動状態Esの個数を算出し、算出した個数に基づいて割合を求めてもよい。例えば、5ミリ秒毎に高速眼球運動状態Efであるか否か判定し、所定の判定時間である0.5秒間において、高速眼球運動状態Efである個数が100分の幾つであるかに基づいて時間割合を求める。
【0074】
運転負担度判定部67は、運転負担度判定手段を構成し、高速眼球運動割合判定部65が検知した高速眼球運動状態Efの時間割合に基づいて、運転者の運転負担の度合いを判定する。具体的には、運転負担度判定部67は、高速眼球運動状態Efの時間割合が予め設定された第1基準値を超えたか否かを判定し、高速眼球運動状態Efの時間割合が予め設定された第1基準値を超えている場合には、運転者が進行方向前方から視線を移動させる頻度が多いため、運転者の運転負担の度合いが大きいと判定する。反対に、高速眼球運動状態Efの時間割合が予め設定された第1基準値以下である場合には、運転者が進行方向前方から視線を移動させる頻度が少ないため、運転者の運転負担の度合いが小さいと判定する。また、本実施形態では、運転負担度判定部67は、運転者の運転負担の度合いが大きいと判定した場合に、運転負担度合大情報を報知制御部7へ出力する。
【0075】
なお、運転負担度判定部67は、運転者の運転負担の度合いが小さいと判定した場合に、運転負担度合小情報を報知制御部7へ出力してもよい。
【0076】
また、低速眼球運動状態Esであるか否かを判定する場合には、低速眼球運動状態Esの時間割合に基づいて、運転者の運転負担の度合いを判定する。また、低速眼球運動状態Esであるか否かを判定する場合には、低速眼球運動状態Esの時間割合が予め設定された第2基準値未満の場合に、運転者の運転負担の度合いが大きいと判定する。
【0077】
また、第1基準値又は第2基準値は、段階的に設定された複数の基準値を含んでもよく、運転負担度判定部67は、高速眼球運動状態Efの時間割合又は低速眼球運動状態Esの時間割合を複数の基準値と比較して、運転者の運転負担の度合いを段階的に判定してもよい。例えば、第1基準値を低い第1基準値と高い第1基準値との二つ設け、低い第1基準値を本実施形態と同じ値に設定し、低い第1基準値以下のときは、運転者の運転負担の度合いが小さいと判定し、低い第1基準値を超えて高い第1基準値以下のときは、運転者の運転負担の度合いが大きいと判定し、高い第1基準値を超えたときは、運転者の運転負担の度合いが非常に大きいと判定し、3段階で評価することができる。これにより、第1基準値として設定された複数の基準値のうち、より高い基準値を超えるほど、又は第2基準値として設定された複数の基準値のうち、より低い基準値を超えるほど、運転者の運転負担の度合いが大きいと判定することができるため、運転者の運転負担の度合いを細かく判定することができる。
【0078】
本実施形態では、運転負担度判定部67が運転負担度合大情報を出力していない場合、報知制御部7により通常の報知状態が設定される。
【0079】
また、運転負担度判定部67が運転負担度合大情報を出力した場合、報知制御部7が特別報知状態に設定する。特別報知状態では、報知装置8による報知の中止や、報知装置8による報知の中断を設定してその後運転者の運転負担の度合いが大きくなくなってから報知する。このとき、例えば、報知装置8により報知される複数の情報に対して、緊急性の違いに応じて低・中・高の三段階の重み付けを予め設定してもよい。そして、運転者の運転負担の度合いが大きいと判定された場合、緊急性の低い情報の報知は中止し、緊急性の中程度の情報は運転者の運転負担の度合いが低くなるまで中断し、緊急性の高い情報はディスプレイ81及びスピーカー82の二種類よる同時の報知を設定してもよい。また、運転負担判定部67から運転負担度合大情報が長時間、報知制御部7へ継続して入力した場合に、運転者に対して休憩を促す報知を設定してもよい。
【0080】
以下、本実施形態の運転負担判定装置2による処理を、図9〜図11のフローチャートに沿って説明する。
【0081】
運転負担判定装置2による処理が実行される前に、携帯ユニット3は、運転前に運転者に携帯されるか座席シートに設けられた保持部に保持される。また、二つの眼球電位検出部31は、運転前に運転者の両目の外側の皮膚にそれぞれ取り付けられる。
【0082】
次に、個人認証部54が実行する個人認証処理について、図9のフローチャートに沿って説明する。本処理は、車両1の電源が投入されて演算ユニット4に電力が供給された状態で開始する。本実施形態の車両1は、個人認証処理を実行することにより走行が可能となる。
【0083】
まず、ステップS1では、運転者に対してIDが発行されているか否かを要求する画面をディスプレイ82に表示する。ディスプレイ82には、「IDを持っていますか?」と、選択的に入力を受け付ける「はい」及び「いいえ」とが表示される。「はい」が押されて選択されると、定数が記憶されていると判定し、ステップS2へ移行する。
【0084】
ステップS2では、以前に記憶されたときに発行されたIDの入力を要求する画面をディスプレイ82に表示する。ディスプレイ82には、「IDを入力してください。」と、テンキー、一字クリアキー、完了キー、及び各キーの入力結果が表示される。運転者はテンキーでIDを入力して完了キーを押す。
【0085】
ステップS3では、入力完了されたIDが記憶されているIDと一致するか否かを判定する。
【0086】
一致しなければステップS2へ戻り、一致する場合にはステップS4へ移行する。
【0087】
ステップS4では、入力されたIDに関連付けられた校正用定数K1,K2が定数読み出し部55によってメモリー53から読み出され、読み出された校正用定数K1,K2が眼球回転角度算出部62へ出力され、眼球運動判定処理へ移行する。
【0088】
また、ステップS1において、「IDを持っていますか?」に対して、記憶されていないことを示す「いいえ」が押されて選択されると、定数設定処理へ移行する。
【0089】
次に、校正用定数を求めるために校正部51が実行する定数設定処理について、図10のフローチャートに沿って説明する。
【0090】
ステップS11では、運転者に正面を見ることを要求する。具体的には、校正部51は、音声データ「校正を開始します。座席に真っ直ぐ座って正面を向いてください。しばらくそのままでお願いします。」をスピーカー82により報知させる信号を報知制御部7へ送信する。
【0091】
ステップS12では、所定時間(例えば5秒間)経過か否かを判定する。校正部51は、所定時間経過していない場合には、本ステップの判定を繰り返し、所定時間経過している場合には、ステップS13へ移行する。
【0092】
ステップS13では、運転者に右方向の視線を要求する。具体的には、校正部51は、音声データ「次に、頭を動かさず、目だけを動かして右ドアミラーをみてください。しばらくそのままでお願いします。」をスピーカー82により報知させる信号を報知制御部7へ送信する。
ステップS14では、所定時間(例えば5秒間)経過か否かを判定する。校正部51は、所定時間経過していない場合には、本ステップの判定を繰り返し、所定時間経過している場合には、ステップS15へ移行して現在の眼球電位EpをRAMの一時記憶領域に記憶する。
【0093】
ステップS16では、運転者に左方向の視線を要求する。具体的には、校正部51は、音声データ「次に、頭を動かさず、目だけを動かして左ドアミラーをみてください。しばらくそのままでお願いします。」をスピーカー82により報知させる信号を報知制御部7へ送信する。
【0094】
ステップS17では、所定時間(例えば5秒間)経過か否かを判定する。校正部51は、所定時間経過していない場合には、本ステップの判定を繰り返し、所定時間経過している場合には、ステップS18へ移行して現在の眼球電位EpをRAMの一時記憶領域に記憶する。
【0095】
ステップS19では、運転者に対して再び正面を見ることを要求する。具体的には、校正部51は、音声データ「最後にもう一度正面を見てください。しばらくそのままでお願いします。」をスピーカー82により報知させる信号を報知制御部7へ送信する。
【0096】
ステップS20では、所定時間(例えば5秒間)経過か否かを判定する。校正部51は、所定時間経過していない場合には、本ステップの判定を繰り返し、所定時間経過している場合には、ステップS21へ移行して現在の眼球電位EpをRAMの一時記憶領域に記憶する。
【0097】
なお、本実施形態では、ステップS19,S20における正面視の要求の後の眼球電位Epを記憶するが、ステップS11,S12における正面視の要求の後の眼球電位Epは記憶しない。これは、ステップS19,S20では、左右の目標位置への要求がされた後でるため、ステップS11,S12での視線の位置で測定するよりも、左右の目標位置と水平に近い高さで測定されることが期待できるからである。また、ステップS11,S12において、校正のための視線位置の要求に運転者が慣れることが期待できる。
【0098】
ステップS22では、校正用定数K1,K2を算出し、IDを発行する。校正部51は、RAMの一時記憶領域に記憶された左右及び正面に対する眼球電位Epと、各眼球電位Epを検知したときに要求された視線方向に対応付けて記憶された眼球回転角度Evとに基づいて、前記式(1)を満たす校正用定数K1,K2を算出する。また、算出した校正用定数K1,K2に関連付けてIDを発行し、校正用定数K1,K2及びIDをメモリー53に記憶させる。校正部51は、「校正が終了しました。IDを発行します。」をスピーカー82により報知させる信号を報知制御部7へ送信すると共に、発行したIDをディスプレイ81に表示させる信号を報知制御部7へ送信する。
【0099】
次に、負担処理判定部6が実行する眼球運動判定処理について図11のフローチャートに沿って説明する。本処理は、運転者に対する校正用定数が既に求められ、当該運転者に対して眼球電位検出部31が取り付けられた状態で、車両1の走行中、逐次実行される。
【0100】
まず、ステップS31では、無線受信部61は、眼球電位信号を受信する。
【0101】
次に、ステップS32では、眼球回転角度算出部62は、定数読み出し部55によりメモリー53から読み出されて入力した校正用定数K1,K2と、眼球電位信号から求めた眼球電位Epとを前記式(1)に代入して眼球回転角度Evを算出する。
【0102】
次に、ステップS33では、眼球回転角速度算出部63は、ステップS32で算出した眼球回転角度Evを時間微分して眼球回転角速度を算出する。
【0103】
次に、ステップS34では、眼球回転角速度判定部64は、ステップS33で算出した眼球回転角速度の絶対値が所定の閾値M以上であるか否か判定し、眼球回転角速度の絶対値が所定の閾値M以上である場合にステップS35で高速眼球運動状態Efであると判定する。
【0104】
次にステップS36では、高速眼球運動割合判定部65は、ステップS35の判定結果に基づいて、現在までの所定の判定時間内において、眼球が高速眼球運動状態Efとなる時間を計測し、所定の判定時間内における高速眼球運動状態Efが占める時間割合を算出する。
【0105】
次に、ステップS37では、運転負担度判定部67は、ステップS36で算出した時間割合が予め設定された第1基準値を超えているか否か判定し、時間割合が予め設定された第1基準値を超えている場合にステップS38で運転者の運転負担の度合いが大きいと判定し、運転負担度大情報を報知制御部7へ送信する。また、時間割合が予め設定された第1基準値を超えていない場合には、運転者の運転負担の度合いが小さいと判定して本処理を終了する。
【0106】
本実施形態では、高速眼球運動状態Efが占める時間割合が高い場合は、運転者が進行方向前方から視線を移動させる頻度が多いため、運転負担度判定部67は、運転者の運転負担の度合いが大きいと判定する。反対に、高速眼球運動状態Efが占める時間割合が低い場合は、運転者が進行方向前方から視線を移動させる頻度が少ないため、運転負担度判定手段は運転者の運転負担の度合いが小さいと判定する。すなわち、高速眼球運動状態Efが所定の判定時間内において占める時間割合を検知することにより、定量的に運転者の運転負担の度合いを判定することができる。
【0107】
また、運転者毎によるばらつきが少ない眼球回転角速度を算出して用いるため、高速眼球運動状態Efの判定に所定の閾値Mを設定することができる。
【0108】
また、運転者の運転負担の度合いが大きいと判定された場合は、車内に搭載された報知装置8による運転者への報知のように、運転者の視線を進行方向前方から逸らしてしまう契機となり得る状態の発生又は継続を中止又は中断することによって、運転負担の増大を抑制することができる。
【0109】
また、運転者の眼球電位Epと眼球回転角度Evとの関係として校正用定数K1,K2を運転前に予めメモリー53に記憶し、運転中に眼球電位検出部31が検出した眼球電位Epとメモリー53に記憶された関係とを用いて眼球回転角度Evを求めるため、運転者毎の眼球電位Epのばらつきを吸収し、眼球電位Epに起因する誤差の影響を少なくすることができる。
【0110】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【0111】
例えば、上記実施形態では、高速眼球運動状態(又は低速眼球運動状態)の所定の判定時間内における時間割合に基づいて運転者の運転負担の判定を行ったが、係る判定に加えて、操舵角、アクセル開度、車速、ヨーレイト、ブレーキ開度、ウィンカ操作など、運転中に発生する他の信号から運転者の運転負担を判定してもよい。この場合、操舵角の大きい状況、アクセル開度の大きい状況、車速の高い状況、ヨーレイトの大きい状況、ブレーキ開度の大きい状況、ウィンカ操作が行われている状況が、それぞれ運転者の負担が高い状況であると判定することができる。さらにこれらの判定を組み合わせる場合、それぞれの判定に対して負担度に応じた重み付けを設定してもよい。このように、複数の信号に基づいて運転者の運転負担を判定することにより、判定の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の実施形態に係る運転負担判定装置を備える車両のブロック構成図である。
【図2】運転者の眼球電位を検出する状態を示す模式図である。
【図3】眼球電位を検出する他の実施形態を示す斜視図である。
【図4】水平眼球電位の検出例を示すグラフである。
【図5】眼球電位と眼球回転角度との関係の例を示すグラフである。
【図6】図4の水平眼球電位に基づいて算出した眼球回転角度を示すグラフである。
【図7】図6の眼球回転角度に基づいて算出した眼球回転角速度を示すグラフである。
【図8】図7の眼球回転角速度の整流値を示すグラフである。
【図9】個人認証処理のフローチャートである。
【図10】定数設定処理のフローチャートである。
【図11】眼球運動判定処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0113】
1:車両
2:運転負担判定装置
3:携帯ユニット
4:演算ユニット
5:定数処理部
6:負担判定処理部
7:報知制御部
8:報知装置
9:認証装置
31:眼球電位検出部(眼球回転角速度検知手段,眼球電位検出手段)
62:眼球回転角度算出部(眼球回転角速度検知手段,眼球回転角度演算手段)
63:眼球回転角速度算出部(眼球回転角速度検知手段,眼球回転角速度演算手段)
64:眼球回転角速度判定部(眼球運動状態判定手段)
65:高速眼球運動割合判定部(眼球運動割合検知手段)
67:運転負担度判定部(運転負担度判定手段)
Ef:高速眼球運動状態
Es:低速眼球運動状態

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の眼球の回転角速度を逐次検知する眼球回転角速度検知手段と、
前記眼球回転角速度検知手段が検知した眼球回転角速度の絶対値を所定の閾値と比較し、前記眼球回転角速度が前記閾値を超えている場合に高速眼球運動状態であると判定し、又は前記眼球回転角速度が前記閾値未満の場合に低速眼球運動状態であると判定する眼球運動状態判定手段と、
前記眼球が前記高速眼球運動状態となる時間又は前記低速眼球運動状態となる時間を前記眼球運動状態判定手段の判定結果に応じて計測し、所定の判定時間内において前記高速眼球運動状態が占める時間割合又は前記低速眼球運動状態が占める時間割合を検知する眼球運動割合検知手段と、
前記眼球運動割合検知手段が検知した前記高速眼球運動状態の時間割合又は前記低速眼球運動状態の時間割合に基づいて、前記運転者の運転負担の度合いを判定する運転負担度判定手段と、を備えた
ことを特徴とする運転負担判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転負担判定装置であって、
前記眼球回転角速度検知手段は、
前記運転者の水平方向の眼球電位を検出する眼球電位検出手段と、
前記運転者の眼球電位と眼球回転角度との関係を予め記憶する記憶手段と、
前記眼球電位検出手段が検出した眼球電位と前記記憶手段に記憶された関係とを用いて眼球回転角度を求める眼球回転角度演算手段と、
前記眼球回転角度演算手段が求めた眼球回転角度を時間微分することにより前記眼球回転角速度を算出する眼球回転角速度演算手段と、を有する
ことを特徴とする運転負担判定装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の運転負担判定装置であって、
前記運転負担度判定手段は、前記高速眼球運動状態の時間割合が予め設定された第1基準値を超えている場合、又は前記低速眼球運動状態の時間割合が予め設定された第2基準値未満の場合に、前記運転者の運転負担の度合いが大きいと判定する
ことを特徴とする運転負担判定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の運転負担判定装置であって、
前記第1基準値又は前記第2基準値は、段階的に設定された複数の基準値を含み、
前記運転負担度判定手段は、前記高速眼球運動状態の時間割合又は前記低速眼球運動状態の時間割合を前記複数の基準値と比較して、前記運転者の運転負担の度合いを段階的に判定する
ことを特徴とする運転負担判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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