説明

過酸化水素蒸気処理技術のための中赤外分光法を用いるモニターおよび制御

【課題】過酸化水素蒸気処理技術のための中赤外分光法を用いるモニターおよび制御を提供すること。
【解決手段】過酸化物蒸気システムであって、該システムは、以下:光源(30)であって、少なくとも中赤外範囲の成分を有する光を供給する光源;手段(32、34)であって、(a)過酸化物蒸気によって吸収される第1の狭いスペクトル、(b)キャリア蒸気によって吸収される第2の狭いスペクトル、および(c)該過酸化物蒸気にも該キャリア蒸気にもいずれによっても吸収されない第3のスペクトルの中赤外範囲の光を個々に検出するための手段;ならびに手段(40、42)であって、該中赤外範囲の検出された光から、少なくとも該過酸化物蒸気の濃度を決定するための手段、を備える、システム。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、過酸化水素蒸気の分野に関する。本発明は、過酸化水素蒸気濃度の感知、ならびに過酸化水素蒸気滅菌および他の処理システムの制御における特定の適用を見出す。
【0002】
代表的には、過酸化水素蒸気滅菌システムは、過酸化水素水溶液を気化するためのヒーターを備える。過酸化水素および水蒸気は、滅菌または他の処理チャンバー中およびそれらを通って伝達される。チャンバーにおいて、過酸化水素蒸気は、過酸化水素蒸気を水蒸気に変換する酸化反応で微生物を死滅させる。水蒸気および残存する過酸化水素蒸気は、代表的には、チャンバーから排出される。過酸化水素は、太陽光で直ちに分解するため、この蒸気を、大気へ放出し得る。あるいは、過酸化水素蒸気を、水蒸気に変換し得、そしてキャリヤ空気を乾燥し得、そして閉じたループ内の蒸発器に再循環し得る。
【0003】
代表的には、過酸化水素水溶液は、チャンバー内に予め選択した最小の過酸化水素濃度を維持するように意図された速度で蒸発器に送られるが、チャンバー内の蒸気が、飽和するほど速くはない。凝縮は、蒸気中の過酸化水素の濃度を枯渇させ(この凝縮液は、過酸化水素が非常に濃縮される)、このプロセスの全体の効率を減少させる。この凝縮液(過酸化水素が濃縮された状態である)はまた、重大な材料適合性の問題を生じ得る。しかし、この蒸気の過飽和を避けるようにサイクルのパラメータを設定することを除いて、このプロセスの飽和は、代表的には、モニターまたは制御されていない。チャンバーにおける温度は、代表的には、予め選択された温度で保持され、この温度は、チャンバーにおいて滅菌されている製品の温度適合性に従って選択される。この選択された温度は、過酸化水素蒸気が、効率的に微生物と反応するのに十分に高いが、チャンバー内の選択された過酸化水素濃度を維持できないほど高い速度で、過酸化水素が酸素および水蒸気に分解するほど高くなく選択される。
【0004】
過酸化水素蒸気濃度をモニターするための種々の技術が、提案されている。これらとしては、電気化学的方法(例えば、触媒的ゲート、電流滴定測定、および電位差測定)が挙げられる。しかし、電気化学的測定技術は、種々の欠点を有する。代表的には、これらは、気/液界面または気/固界面を横切る物質移動に依存する。これは、より長い時定数および制御システムの遅い応答をもたらす。電気化学的センサーの出力は、センサーに近接する気体運動の量に感受性である。電気化学的方法は、種に特異的ではない。干渉する種は、代表的には、分離することができない。電気化学的センサーの較正は、複雑であり、そして代表的には、工場での較正のために製造業者にセンサーを返却することを必要とする。さらに、電気化学的技術は、温度および圧力に感受性である。温度補償についての必要性は、較正を複雑にする。滅菌チャンバーが、減圧範囲に保持される場合、この減圧は、電気化学的方法を用いた濃度測定を極めて複雑にし、そして無効にしさえし得る。電気化学的センサーは、代表的には、飽和を決定するような場合、湿度センサーの使用を必要とする水蒸気の濃度を測定しない。
【0005】
水蒸気および過酸化水素蒸気の濃度はまた、分光学的方法で決定され得る。過酸化水素および水蒸気はともに、特性周波数で多重のスペクトル線を有する。赤外領域において、このスペクトル線は、とても高密度であるため、これらは、一般的には、連続体として観察され、過酸化水素蒸気および水蒸気は、それぞれ、特徴的な曲線または周波数の吸収スペクトルを有する。
【0006】
過酸化水素は、紫外領域にスペクトルを有する。紫外光は、過酸化水素によって強く吸収されず、従って弱いシグナルが与えられる。また、紫外光は、過酸化水素を分解し、過酸化水素を水蒸気および酸素に分解する。さらに、過酸化水素濃度は、紫外光で測定することができるが、代表的には、水蒸気濃度の測定が存在しない。水蒸気を測定することなく、飽和パーセントは、決定することができない。
【0007】
過酸化水素蒸気および水蒸気はともに、近赤外領域にスペクトルピークを有する。水蒸気または過酸化水素蒸気に固有のスペクトル線が存在し得るが、これらの線は、一般的に利用可能な赤外センサーのスペクトルの区別よりも、より近接している。ピークまたは連続体として観測された場合、過酸化水素蒸気および水蒸気のピークは、著しく重複する。部分的に重複しているピークから、個々に過酸化水素蒸気および水蒸気の濃度を決定するために、比較的複雑な計算が必要とされる。さらに、近赤外領域において、比較的弱いエネルギー移動が存在する。従って、この出力シグナルは、比較的弱い傾向がある。この弱いシグナルにおけるノイズの問題を排除するために、比較的高価な、よりノイズのないハードウェアが、一般的に利用される。さらに、シグナル/ノイズ比を改善するために、蒸気を通過する近赤外光について、比較的長い経路長(しばしば約25cmのオーダー)が利用される。
【0008】
過酸化水素蒸気濃度を制御するための先行技術は、チャンバーにおいて滅菌または高レベルの消毒が達成されたことを示すために、単独で使用されるための十分な信頼性を欠いている。どちらかというと、化学指標または生物学的指標が、一般的に、チャンバー内に配置される。化学指標は、経時的に過酸化物蒸気との接触に応答して、色または他の物理変化を受ける。しかし、化学指標は、代表的には、経時的に組込まれた過酸化水素濃度を測定するのみであるので、これらは、ただ、滅菌または高レベルの消毒が達成されたことの指標であるのみであり、そして証拠とはみなされない。滅菌または消毒が達成されたことを証明するために、生物学的指標は、代表的に、使用される。生物学的指標における試験胞子は、チャンバー内の蒸気に曝される。次いで、この胞子は、増殖するならばその増殖を観察するために数日間インキュベートされる。高い信頼性があるが、生物学的指標は、判断するために数日間を必要とする。代表的には、滅菌した物品は、生物学的指標試験の結果が報告されるまで、滅菌後、余分に数日間在庫で保有される。
【0009】
本発明は、上記参照した問題およびその他を克服する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明の1つの局面に従って、過酸化物蒸気システムが、提供される。光源は、中赤外範囲における少なくとも1成分を有する光を供給する。1つの手段は、過酸化物蒸気によって吸収された第1の狭いスペクトル、キャリヤ蒸気によって吸収される第2の狭いスペクトル、および過酸化物蒸気にもキャリヤ蒸気にもいずれによっても吸収されない第3のスペクトルで、中赤外光を、個々に検出する。1つの手段は、中赤外範囲における検出された光から少なくとも過酸化物蒸気の濃度を決定する。
【0011】
本発明の別の局面において、過酸化物蒸気法が、提供される。中赤外範囲における光は、モニターされる領域を通って投影される。中赤外光は、過酸化物蒸気によって吸収される第1の狭いスペクトル、キャリア蒸気によって吸収される第2の狭いスペクトル、および過酸化物蒸気にもキャリア蒸気にもいずれにも吸収されない第3のスペクトルで検出する。少なくとも過酸化物蒸気の濃度は、中赤外範囲において検出される光から決定される。
【0012】
本発明の1つの利点は、減少した部品の費用にある。
【0013】
本発明の別の利点は、小型のプローブにある。
【0014】
別の利点は、滅菌パラメータまたは消毒パラメータのより正確な制御にある。
【0015】
別の利点は、殺傷速度またはD−値のより大きな制御およびモニターにある。
【0016】
本発明の別の利点は、滅菌または高レベルの消毒が達成される予測性を大きく改善する濃度および飽和%の両方をモニターすることである。
【0017】
本発明のなおさらなる利点および利益は、以下の好ましい実施形態の詳細な説明を読み、そして理解する際に、当業者に明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
過酸化水素水溶液(例えば、35%溶液または50%溶液)は、レザバ10から制御バルブ12を通って蒸発器14へ供給される。蒸発器において、この過酸化水素水溶液は、例えば、加熱プレート16を用いて加熱される。ファンまたは他の送風機構18は、蒸発した過酸化水素および蒸発した水を処理チャンバー20に推進する。この処理チャンバー20は、小さい品目(item)に対して滅菌もしくは高レベルの消毒を実施するためには、比較的小さくあり得るか、または完成した製品もしくは他の大量の物質のパレットを処理するためには、比較的大きく(例えば、部屋の大きさ)あり得る。チャンバーの1以上の点で、この蒸気は、このチャンバーから排出される。このチャンバーからの蒸気は、換気システムを介して大気に放出され得る。あるいは、この気体は、過酸化水素を水蒸気に分解する過酸化水素分解器22に供給される。乾燥器24は、水蒸気を除去し、そして乾燥気体をファン18および蒸発器14に通す。ある適用において、排出された蒸気の全てまたは一部は、分解または除去されることなく再循環され得る。
【0019】
濃度センサーは、照明源30、好ましくは、中赤外範囲(すなわち、約2200〜15,000ナノメートル(2.2〜15ミクロン))の光を発生する照明源を備える。この光源は、チャンバー20の一部分を通る赤外光を放ち、そして1つ以上の赤外検出器32に突き当たる。フィルター34は、照明源と検出器との間に配置されて、検出器によって受け取られる光の特定のスペクトルを制御する。例証された実施形態において、このフィルターは、検出器に隣接する。必要に応じて、フィルター34’は、フィルター34に加えてか、またはフィルター34の代わりにかのいずれかで照明源に隣接して配置され得る。単一の検出器32が提供される場合、このフィルター34は、3つのフィルター領域を含み、この領域は、漸進的に検出器の前で移動され、その結果、この検出器は、3つのスペクトル範囲のそれぞれにおいて中赤外光を受け取る。第1の狭いスペクトル範囲(好ましくは、8,000ナノメートル(8ミクロン)に中心がある)は、過酸化水素によって吸収されるが、水蒸気によって吸収されないスペクトル範囲である。水によって吸収されるが、過酸化水素によって吸収されない、中赤外範囲におけるいくつかのスペクトル範囲またはスペクトルピークの1つは、第2のフィルターセグメントによって検出器に通過する。最終的に、このフィルターは、過酸化水素または水蒸気のいずれによっても吸収されず、そして選択された過酸化水素および水蒸気のスペクトル範囲に近い、スペクトル範囲の光を通過するフィルターセグメントを備え、バックグラウンド強度を提供する。それぞれ3つのフィルターセグメントを単一の検出器または照明源の前で動かすというよりは、3つの静止したフィルターセグメントが、3つの検出器とともに提供され得る。用語「フィルター」が使用されるが、比較的狭い振動数のスペクトルを多色性の光ビームから分離するための種々の方法(例えば、屈折)が存在することが理解されるべきである。このようなスペクトル範囲分離技術の全ては、本明細書中において説明の簡単のため「フィルタリング(filtering)」と呼ぶ。
【0020】
過酸化水素によって吸収されたスペクトル範囲における光の強度、水蒸気によって吸収された範囲における光の強度、およびバックグラウンドのスペクトル範囲における光の強度が、どのように得られても、これらは、それぞれの過酸化水素および水蒸気の範囲における吸光度または透過率を計算するための処理装置または他の手段40に伝達される。透過率は、バックグラウンド範囲における光の強度に対する、過酸化水素または水蒸気のスペクトル範囲における透過した光の強度の対数比率である。吸光度は、透過率の逆であり、すなわち、吸光度は、バックグラウンド範囲において吸収された強度に対する、過酸化水素または水蒸気のスペクトル範囲において吸収された光の強度の対数比率である。濃度決定処理装置または手段42は、濃度に対する吸光度(透過率)についての慣用的なテーブルに従って予めプログラムされている。この関係は、代表的には、非線形曲線によって記述される。吸光度は、曲線を記述する多項式または他の非線形方程式を解くことによって濃度に変換され得る。しかし、本発明のシステムは、曲線の比較的限られた範囲において作業しているので、第1の参照(look−up)テーブルおよび第2の参照テーブルを使用することが、計算的により速く、そして好ましい。この第1の参照テーブルは、過酸化水素の吸光度または透過率をその濃度に変換し、そしてこの第2の参照テーブルは、水蒸気の吸光度または透過率を濃度に変換する。参照テーブルの値の間に入る値は、一次補間によって決定され得る。
【0021】
一旦、過酸化水素および水蒸気の濃度が分かり、チャンバー内の温度が分かると、それぞれの分圧は、一般に利用可能な表から決定され得る。この目的を達成するために、温度モニター44は、チャンバー内に設置されて、温度を決定する。濃度変数および温度変数に対する分圧の間で非線形関係がさらに存在し、この関係は、非線形方程式によって記述され得る。しかし、参照テーブル46を使用することがさらに好ましく、これは、過酸化水素および水蒸気のそれぞれの決定された濃度、ならびに対応する分圧を決定するためのモニターされた温度によって対処される。チャンバー内には2成分の蒸気のみが存在するので、加算回路48は、2つの分圧を合計し、この回路は、チャンバー内の蒸気圧を生成する。さらなる成分(例えば、アルコール)が、必要に応じて、過酸化水素水溶液に添加される場合、蒸気圧に対するその寄与を決定するために同じ手順が続く。飽和パーセントは、成分の濃度、圧力、および温度の公知の関数である。さらに、参照テーブル50が、好ましくは、提供され、このテーブルは、対応する飽和パーセントを検索するために、過酸化物および水蒸気の濃度、蒸気圧、ならびに温度によって対処する。必要に応じて、お互いに対処している複数の参照テーブル42、46、50を使用する代わりに、単一の大きな参照テーブル52が、必要に応じて、提供されて、過酸化物および水蒸気の吸光度または透過率ならびにチャンバー温度を、飽和パーセントに直接変換し得る。さらに別の選択肢として、飽和参照テーブルおよび蒸気圧参照テーブルは、単一の参照テーブル54に組み合わせられて、過酸化水素および水蒸気の濃度ならびに温度を、飽和パーセントに直接変換する手段を提供し得る。
【0022】
過酸化水素蒸気の濃度、水蒸気の濃度、温度、および飽和パーセントは、制御器60に伝達される。例証的な実施形態において、飽和比較器(comparitor)または手段62は、実際に測定された飽和パーセントを、予め選択された飽和パーセント64(好ましくは、100%よりわずかに低い(例えば、95〜99%))と比較する。正確に制御された割合は、チャンバー20にわたる状態の安定性とともに変動する。飽和パーセントの設定値は、全ての領域を、より悪い状況の領域でさえも飽和条件未満に維持するために選択される。測定された飽和パーセントが、選択された飽和パーセントよりも低い場合、第1の比較器62は、バルブ制御器66に、過酸化水素水溶液制御バルブ12を開けさせる。この様式において、飽和パーセントは、選択された飽和パーセントで実質的に維持される。
【0023】
第2の比較器または手段70は、測定された過酸化水素濃度を、予め選択した過酸化水素濃度72と比較する。測定された過酸化水素濃度が、予め選択した濃度未満であることに応じて、アラーム(例えば、警告灯74)が作動されて、操作者にシステムの異常を警告する。代表的には、水溶液中の過酸化物の濃度は、過酸化水素水溶液またはシステムにおける欠陥が存在しない限り、選択される過酸化水素濃度レベルを、常に、維持するかまたは超過するのに十分に高くなるように選択される。必要に応じて、より高い濃度の過酸化水素溶液の第2の供給源は、蒸発器と接続されて、過酸化水素濃度をブーストし得る。
【0024】
必要に応じて、積分器76は、長期にわたって、過酸化水素の濃度を積分する。サイクルの終了を決定する処理装置または手段78は、長期にわたって積分された濃度、飽和パーセント、およびチャンバー内の温度を受け取り、そして予め選択したレベルの滅菌または高レベルの消毒の安定に達した時点を決定する。代表的には、より低い濃度で、この滅菌サイクルは、より長い。より高い濃度で、このサイクルは、短縮される。サイクルの終了の処理装置78は、好ましくは、参照テーブルであり、このテーブルは、反復性の試行錯誤較正サイクルに基づいて予めプログラムされている。このサイクルが終了される場合、サイクルの終了の処理装置78は、制御バルブ制御器66に制御バルブ12を閉めさせて、そして制御バルブを閉めたままに保つ。
【0025】
過酸化水素に関して記述したが、他の過酸および過酸化物蒸気、ならびにこのような蒸気とお互いおよび他の化合物との混合物を使用することもまた、企図される。過酢酸は、単独または過酸化水素と組み合わせてのいずれかで、特に有効な抗菌物質であることが見出されている。
【0026】
制御システムの観点において記述したが、同様な過酸化物蒸気濃度モニター技術がまた、使用されて、他の理由のために過酸化物蒸気の濃度を測定し得ることも理解されるべきである。例えば、この技術は、過酸化物が使用されている設備の周囲雰囲気における過酸化物蒸気の濃度を測定するために使用され得る。モニターされた濃度は、設備内の人員に対して予め選択された安全性限界を上回るモニターされた過酸化物の濃度に応じて、警告を発するために使用され得る。
本発明の好ましい実施形態によれば、以下のシステム等が提供される。
(項1)
過酸化物蒸気システムであって、該システムは、以下:
光源(30)であって、少なくとも中赤外範囲の成分を有する光を供給する光源;
手段(32、34)であって、(a)過酸化物蒸気によって吸収される第1の狭いスペクトル、(b)キャリア蒸気によって吸収される第2の狭いスペクトル、および(c)該過酸化物蒸気にも該キャリア蒸気にもいずれによっても吸収されない第3のスペクトルの中赤外範囲の光を個々に検出するための手段;ならびに
手段(40、42)であって、該中赤外範囲の検出された光から、少なくとも該過酸化物蒸気の濃度を決定するための手段、
を備える、システム。
(項2)
前記過酸化物蒸気が、過酸化水素蒸気であり、前記キャリア蒸気が、水蒸気を含む、項1に記載のシステム。
(項3)
前記第1のスペクトルが、約8,000ナノメートルを中心とする、項2に記載のシステム。
(項4)
前記濃度決定手段(40、42)が、以下:
手段(40)であって、前記第1のスペクトルおよび前記第2のスペクトルの光の吸光度または該第1のスペクトルおよび該第2のスペクトルの光の透過率のうちの少なくとも1つを決定するための手段;ならびに
手段(42)であって、決定された該吸光度または該透過率を、前記過酸化物の濃度およびキャリア蒸気の濃度に変換するための手段、
を備える、項1〜3のいずれか1項に記載のシステム。
(項5)
項1〜4のいずれか1項に記載のシステムであって、該システムは、以下:
温度センサー(44)であって、温度を検出するためのセンサー;ならびに
飽和パーセント手段(54)であって、該検出された温度、前記過酸化物蒸気濃度、および前記キャリア蒸気濃度から、飽和パーセントを決定するための手段、
をさらに備える、システム。
(項6)
項5に記載のシステムであって、前記飽和パーセント手段が、以下:
手段(46)であって、前記過酸化物蒸気の濃度および前記キャリア蒸気の濃度を、部分蒸気圧に変換するための手段;
手段(48)であって、該部分蒸気圧を組み合わせるための手段;そして
手段(50)であって、該部分蒸気圧、前記温度、ならびに該過酸化物濃度および該キャリア蒸気濃度を、前記飽和パーセントに変換するための手段、
を備える、システム。
(項7)
項6に記載のシステムであって、前記濃度決定手段(40、42)、前記蒸気圧決定手段(60)および前記飽和度決定手段(50)のうちの少なくとも1つが、参照テーブルを備える、システム。
(項8)
項5〜7のいずれか1項に記載のシステムであって、該システムは、以下:
液体過酸化物およびキャリア混合物の供給源;
手段(14)であって、前記過酸化物蒸気および前記キャリア蒸気を生成するために、該液体混合物を蒸発させるための手段;
比較手段(62)であって、予め選択された飽和パーセント(64)と、前記決定された飽和パーセントを比較するための手段;ならびに
制御手段(66)であって、該決定された飽和パーセントおよび該予め選択された飽和パーセントの比較に従って、液体混合物の蒸発を制御するための手段、
をさらに備える、システム。
(項9)
項8に記載のシステムであって、前記蒸発が、前記飽和パーセントを、95〜99%の飽和度の範囲に維持するために制御される、システム。
(項10)
項8および9のいずれか1項に記載のシステムであって、該システムが、以下:
積分手段(76)であって、長期にわたって、前記決定された過酸化物の濃度を積分するための手段;ならびに
サイクルの終了手段(78)であって、該長期にわたって積分された濃度に従って、前記過酸化物蒸気の生成を終了するための手段、
をさらに備える、システム。
(項11)
項1〜7のいずれか1項に記載のシステムであって、該システムが、以下:
液体過酸化物およびキャリア混合物の供給源;
手段(14)であって、前記過酸化物蒸気および前記キャリア蒸気を生成するために、該液体混合物を蒸発させるための手段;ならびに
制御手段(60)であって、前記過酸化物蒸気濃度および前記飽和パーセントのうちの少なくとも1つに従って、該液体混合物の蒸発を制御するための手段、
をさらに備える、システム。
(項12)
項11に記載のシステムであって、前記制御手段が、以下:
積分手段(76)であって、長期にわたって、前記決定された過酸化物蒸気の濃度を積分するための手段;および
サイクルの終了手段(78)であって、該長期にわたって積分された濃度に従って、前記過酸化物蒸気の生成を終了するための手段、
を備える、システム。
(項13)
項11および12のいずれか1項に記載のシステムであって、該システムは、以下:
比較手段(70)であって、前記決定された過酸化物蒸気濃度を、最小の過酸化物蒸気濃度(72)と比較するための手段、
をさらに備える、システム。
(項14)
高レベルの消毒または滅菌システムであって、該システムは、以下:
処理チャンバー;
過酸化物水溶液の供給源;
蒸発器であって、過酸化物蒸気およびキャリア蒸気を生成するために、該過酸化物水溶液を蒸発させるため、ならびに該過酸化物蒸気および該キャリア蒸気を該処理チャンバーに供給するための蒸発器;
項1〜13のいずれか1項に記載の過酸化物蒸気システムであって、該処理チャンバーにおいて、少なくとも該過酸化物蒸気の濃度を決定するためのシステム;ならびに
制御手段であって、該決定された過酸化物蒸気の濃度に従って、過酸化物およびキャリア蒸気の生成を制御するための手段、
を備える、システム。
(項15)
過酸化物蒸気方法であって、該方法は、以下:
モニターされる領域を通して中赤外範囲の光を投影する工程;
(a)過酸化物蒸気によって吸収される第1の狭いスペクトル、(b)キャリア蒸気によって吸収される第2の狭いスペクトル、および(c)該過酸化物蒸気にも該キャリア蒸気にもいずれによっても吸収されない第3のスペクトルの中赤外光を、個々に検出する工程;
該中赤外範囲において検出された光から、少なくとも該過酸化物蒸気の濃度を決定する工程、
を包含する、方法。
(項16)
前記過酸化物蒸気が、過酸化水素であり、そして前記キャリア蒸気が、水蒸気を含む、項15に記載の方法。
(項17)
前記第1の狭いスペクトルが、約8,000ナノメートルを中心とする、項15および16のいずれか1項に記載の方法。
(項18)
項15〜17のいずれか1項に記載の方法であって、該方法は、以下:
前記決定されたスペクトルを、前記過酸化物蒸気および前記キャリア蒸気を通る中赤外光の吸光度および透過率の1つに変換する工程;ならびに
該決定された吸光度および透過率の1つを、該過酸化物蒸気の濃度および該キャリア蒸気の濃度に変換する工程、
をさらに包含する、方法。
(項19)
項15〜18のいずれか1項に記載の方法であって、該方法は、以下:
モニターされる領域における温度を検出する工程;そして
該検出された温度ならびに前記過酸化物蒸気濃度および前記キャリア蒸気濃度からモニターされる領域における蒸気の飽和パーセントを決定する工程、
をさらに包含する、方法。
(項20)
項19に記載の方法であって、前記飽和パーセントを決定する工程が、以下:
前記過酸化物蒸気および前記キャリア蒸気の濃度を該過酸化物蒸気および該キャリア蒸気の部分蒸気圧に変換する工程;
該部分蒸気圧を組み合わせる工程;ならびに
前記モニターされた温度および全蒸気圧から該飽和パーセントを決定する工程、
をさらに包含する、方法。
(項21)
項19または20のいずれか1項に記載の方法であって、該方法は、以下:
過酸化物およびキャリアガス蒸気を、前記モニターされる領域に供給する工程;ならびに
前記決定された飽和パーセントに従って、該過酸化物およびキャリアガス蒸気の供給を制御する工程、
をさらに包含する、方法。
(項22)
項21に記載の方法であって、モニターされる領域において、前記過酸化物および前記キャリアガス蒸気を、95〜99%の間の飽和度に維持するために、該過酸化物およびキャリア蒸気の供給が、制御される、方法。
(項23)
項21および22のいずれか1項に記載の方法であって、該方法は、以下:
決定された過酸化物蒸気濃度を時間で積分する工程;ならびに
該積分された濃度に従って、前記過酸化物およびキャリア蒸気を、前記モニターされる領域に供給することを終了する工程、
をさらに包含する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は、種々の部品および部品の配列、ならびに種々の工程および工程の配置の形態を取り得る。これらの図面は、好ましい実施形態を例証する目的のためのみであり、そして本発明を制限するように解釈されない。
【図1】図1は、本発明に従った滅菌または高レベルの消毒システムの図の例証である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書および図面に記載のシステム

【図1】
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【公開番号】特開2008−275642(P2008−275642A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184259(P2008−184259)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【分割の表示】特願2003−512682(P2003−512682)の分割
【原出願日】平成14年7月9日(2002.7.9)
【出願人】(502042506)ステリス インコーポレイテッド (22)
【Fターム(参考)】