説明

過電圧を検出して下流デバイスの電力を停止する上流デバイス

【課題】過電圧を検出して下流デバイスの電源を停止する上流デバイスを提供する。
【解決手段】コントローラは、コントローラを持つ上流デバイスの外にある下流デバイスと1以上のデータラインを介して通信する通信回路と、1以上のデータラインの少なくとも1つの上で、基準値を超える値を持つ電圧を検出する検出回路とを備える。検出回路は、1以上のデータラインの少なくとも1つの上での基準値を超える値を持つ電圧の検出に呼応して、1以上の電線を介した下流デバイスへの給電を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記載される実施形態は、概してデバイス間の通信に係る。
【背景技術】
【0002】
図1は、ユニバーサルシリアルバス(USB)仕様改訂版2.0(2000年4月27日)(以下USB2と称する)システム100の先行技術図である。システム100は、ホストデバイス120と、ホストデバイス120にUSB2ケーブル110により接続されたバス電動式デバイス150とを有する。ホストデバイス120は、システムボード122を有し、システムボード122上に、USB2ホストコントローラ130を有する集積回路124を有する。USB2ホストコントローラ130は、データ信号を、USB2ケーブル110のそれぞれ異なるデータ信号ラインD+111およびD‐112を介してデバイス150に対して送受信するトランシーバ回路132を有する。デバイス150も同様に、データ信号ラインD+111およびD‐112を介してトランシーバ回路132と通信するトランシーバ回路152を有する。トランシーバ回路132および152は、約3.3Vと接地との間で電圧が変化するデータ信号を利用して通信する。集積回路124は、入出力(I/O)コントローラチップセットの一部であってよい。
【0003】
ホストデバイス120も、システムボード122上に電圧レギュレータモジュール(VRM)126を有して、約5ボルト(V)の供給信号を、USB2ケーブル110の電線VBUS115を介して電力デバイス150へ提供する。デバイス150は、5Vの供給信号を受信して、調節された電圧供給をトランシーバ152へ提供する電圧レギュレータ154を有する。
【0004】
図2は、USB2ケーブル110のセグメントの先行技術図である。図2に示すように、USB2ケーブル110は、互いに隣接して走る異なるデータ信号ラインD+111およびD‐112、電線VBUS115、および接地線GND118を有する。
【0005】
例えばUSB2ケーブル110の一部の破砕または断線等の理由により、データ信号ラインD+111および/またはD‐112から電線VBUS115に短絡があった場合、トランシーバ回路132は、例えば5Vの信号を受け取ることになり、これは、3.3Vデータ信号トランシーバ回路132が受け取るよう設計される値よりも高い。従ってこのような短絡は、トランシーバ回路132に損傷を与える可能性がある。ユニバーサルシリアルバス(USB)仕様改訂版2.0(2000年4月27日)(以下USB2と称する)では、USB2トランシーバは、電力バスVBUSへのデータラインD+および/またはD‐の連続した短絡に、最低24時間劣化なく耐える必要がある、と規定されている。
【0006】
3.3Vの半導体製造技術において5Vの保護を提供するメカニズムでは、複数のトランジスタを積層することにより、5Vの信号がデータラインD+111および/またはD‐112に現れた場合にも、電気的な過度の応力(EOS)による損傷が回避される。
【0007】
図3は、データラインD+111および/またはD‐112上の5Vの過電圧状態からトランシーバ回路132を保護するトランシーバ回路132の先行技術回路図である。図3に示すように、トランシーバ回路132は、トランスミッタ310、レシーバ320、過電圧検出器330、およびプログラム可能なコントローラ340を含む。トランスミッタ310、レシーバ320、および過電圧検出器330は、図示の回路を含む。
【0008】
トランスミッタ310は、データ信号をデータ信号ラインD+111を介して送信する高速電流源トランスミッタ312およびCMOS(相補形金属酸化膜半導体)トランスミッタ314を実装するトランジスタを含む。図3に示すように、CMOSトランスミッタ314は、積層型トランジスタを有することで、5Vの信号がデータラインD+111に現れた場合であっても、EOSによる損傷を回避する。過電圧検出器330は、分圧器332と差動増幅器334とを含み、5Vを超える電圧がデータラインD+111に現れたことを検出する。分圧器332は、データ信号ラインD+111上の電圧をスケーリングして、差動増幅器334は、スケーリングされた電圧を、同様にスケーリングされた5Vの信号に対応する値を有する基準電圧とノード333で比較する。差動増幅器334は、スケーリングされた電圧が基準電圧を超える場合に、ノード335で過電圧信号を生成する。プログラム可能なコントローラ340は、ノード335の過電圧信号を受けて、トランジスタゲート電圧を、概ね図3に示すような値に設定して、EOS損傷を回避する。
【0009】
このメカニズムは、データラインD+111上の5Vの信号に受動的に耐える。過電圧が、例えばUSB2ケーブル110の損傷によるデータ信号ラインD+111から電線VBUS115の短絡による場合、過電圧状態が長期間放置されると、トランシーバ回路132の信頼性は、依然として危険に曝されることになりうる。さらに、メカニズムの利用可能性は、少なくとも部分的に半導体製造技術の電圧公差にも左右される。半導体製造技術は縮小を続けているので、トランジスタは、ゲートおよび拡散において高電圧に耐えることができない性質となってきている。このような次第でこのメカニズムでは、トランジスタは24時間以内に劣化する可能性が高いので、USB2.0仕様を満たすことができない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
実施形態は、限定ではなくて例示として添付図面を参照することにより記載されるが、ここで同様の参照番号は、同様の部材を示す。
【0011】
【図1】ユニバーサルシリアルバス(USB)仕様改訂版2.0(2000年4月27日)(以下USB2と称する)システムの先行技術図である。
【0012】
【図2】USB2ケーブルのセグメントの先行技術図である。
【0013】
【図3】USB2ケーブルデータライン上の過電圧状態からトランシーバ回路を保護するUSB2ホストコントローラのトランシーバ回路の先行技術回路図である。
【0014】
【図4】一実施形態による、上流デバイスが過電圧常態を検出して、下流デバイスへの電流供給を停止するシステムのブロック図である。
【0015】
【図5】一実施形態による、上流デバイスが過電圧状態を検出して、下流デバイスへの電流供給を停止するシステムのフロー図である。
【0016】
【図6】一実施形態による、過電圧常態を検出して、下流デバイスへの電流供給を停止する上流デバイスの回路の例を示す。
【0017】
【図7】一実施形態による、過電圧常態を検出して、下流デバイスへの電流供給を停止する上流デバイスのコンポーネントの例のブロック図である。
【0018】
図面の部材は必ずしも実寸に即していない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の詳細な記載において、上流デバイスが過電圧検出を行い、下流デバイス電力を停止させることに関する装置、方法、システムの例示的な実施形態を示す。特徴、このような構造、機能、および/または、特性等は、便宜上、一実施形態を参照しながら記載されているが、適宜1以上の記載した特徴を有する様々な実施形態を実装することが可能である。
【0020】
図4は、一実施形態における、上流デバイス400の外部にある下流デバイス402の少なくとも一部への給電用に連結され、且つ、下流デバイス402との通信用に連結されたシステム410を含む上流デバイス400を示す。一実施形態の上流デバイス400は、ホストコンピューティングデバイスであってよい。一実施形態の上流デバイス400は、ホストコンピューティングデバイスの下流のハブデバイスであってもよい。
【0021】
一実施形態のシステム410は、下流デバイス402に連結された1以上のライン上の過電圧状態を検出して、下流デバイス402への電力供給を停止する。一実施形態のシステム410は、過電圧状態の電源を断つことで過電圧状態を解消してもよい。一実施形態においてシステム410に電源を断たせることにより、システム410を、一定の期間の過電圧状態に劣化なしに受動的に耐える必要性が減るように設計することができる。一実施形態においてシステム410に電源を断たせることにより、システム410が、電圧公差の少ない半導体製造技術によっても製造可能となる。
【0022】
一実施形態のシステム410は、図4に示すように、1以上の電源412、給電回路420、およびコントローラ430を含む。
【0023】
給電回路420は、例えば図4に示す電線451のような1以上の電線を介して、下流デバイス402へ給電してよい。一実施形態の給電回路420は、1以上の電源412から受電するように連結されてよい。
【0024】
電源412は、任意の適切な方法での実装が可能である。一実施形態の電源412は、バッテリまたは燃料電池等の、1以上の適切なエネルギー電池を含みうる。一実施形態の電源412は、交流電流/直流電流(AC−DC)変換器を含んでもよい。一実施形態の電源412は、DC−DC変換器を含んでもよい。一実施形態の電源412は、オプションとして、1以上の電圧レギュレータを含むことで、例えば給電回路420への給電を調節することができる。
【0025】
給電回路420は、任意の適切な方法で下流デバイス402へ1以上の電線を解して給電するよう連結される任意の適切な回路を含みうる。一実施形態の給電回路420は、図4に示すように、電圧レギュレータモジュール(VRM)422を含んでよく、1以上の電源412から1以上の電圧信号を受信して、1以上の調節された電圧信号を送り、下流デバイス402に給電してよい。
【0026】
一実施形態の下流デバイス402は、1以上の電線を介して電力を受け取り、下流デバイス402の少なくとも一部に給電するよう連結される任意の適切な給電回路(例えば図4に示す電圧レギュレータ442)を含んでよい。
【0027】
一実施形態のコントローラ430は、図4に示すように、下流デバイス402と1以上のデータラインを介して通信する通信回路432を含む。
【0028】
通信回路432は、任意の適切な方法で下流デバイス402と1以上のデータラインを介して通信するよう連結された任意の適切な回路を含んでよい。一実施形態の通信回路432は、図4に示すように、データラインD+455およびD‐456を介し差動データ信号を利用して下流デバイス402と通信する適切な回路を含んでよい。一実施形態の通信回路432は、下流デバイス402へ1以上のデータラインを介して信号を送信する任意の適切なトランスミッタ回路を含んでよい。一実施形態の通信回路432は、下流デバイス402から1以上のデータラインを介して信号を受信する任意の適切なレシーバ回路を含んでよい。通信回路432は、上流デバイス400の任意の適切なソースロジックからのデータ信号を送信する、および/または、上流デバイス400の任意の適切な宛先ロジックへのデータ信号を受信するよう連結される。
【0029】
一実施形態の下流デバイス402は、図4に示すように、上流デバイス400の通信回路432と1以上のデータラインを介して通信する任意の適切な通信回路444を含んでよい。
【0030】
一実施形態のコントローラ430は、図4に示すように、基準値を超える値を有する電圧を、データラインの少なくとも1つの上で検出する検出回路434を含む。検出回路434は、少なくとも1つのデータライン上での基準値を超える値を有する電圧の検出に呼応して、1以上の電線を介した下流デバイス402への給電を停止する。こうして一実施形態の検出回路434は、過電圧状態となると電源を断つ助けをすることで、データライン上の過電圧状態を解消する助けとなりうる。
【0031】
検出回路434は、基準値を超える値を有する電圧を検出するよう連結され、任意の適切な方法で下流デバイス402への給電を停止するよう連結された任意の適切な回路を含みうる。一実施形態の検出回路434は、図4に示すように、基準値を超える値を有する電圧を、データラインD+455および/またはデータラインD‐456の上で検出するよう連結されてよい。一実施形態の検出回路434は、図4に示すように、給電回路420に、下流デバイス402への給電を停止させるよう連結されてよい。
【0032】
一実施形態の給電回路420は、任意の適切な方法で下流デバイス402への給電を停止する任意の適切な回路を含んでよい。一実施形態の給電回路420は、1以上の電線を給電回路420の供給ノードに連結して、1以上の電線を給電回路420の供給ノードから切り離す1以上のトランジスタを含んでよい。給電回路420は、1以上の適切なpチャネル電界効果トランジスタ(pFET)、および/または、1以上の適切なnチャネル電界効果トランジスタ(nFET)等の、任意の適切な1以上のトランジスタを含んでよい。
【0033】
一実施形態の検出回路434は、1以上の電線を給電回路420の供給ノードから切り離す給電回路420の1以上のトランジスタを停止するよう連結されてよい。一実施形態の検出回路434は、少なくとも1つのデータライン上での基準値を超える値を有する電圧の検出に呼応して、1以上の信号を生成して給電回路420の1以上のトランジスタを停止させてよい。
【0034】
一実施形態の給電回路420は、図4に示すように、給電回路420の供給ノード426を電線451に対して連結したり切り離したりするpチャネルトランジスタ424を含んでよい。一実施形態の検出回路434は、少なくとも1つのデータライン上での基準値を超える値を有する電圧の検出に呼応して信号を生成してpチャネルトランジスタ424を停止させてよい。
【0035】
一実施形態の上流デバイス400は、図4に示すように、上流デバイス400と下流デバイス402との間の1以上の電線と1以上のデータラインとを収容する単一のケーブル450により下流デバイス402に連結されてよい。例えばケーブル450の一部の破砕または断線等によりケーブル450に損傷が発生して、電線にデータラインの短絡が生じた場合には、一実施形態の検出回路434は、短絡による過電圧状態を検出して、過電圧状態を解消するべく、電線への給電を停止することができる。
【0036】
一実施形態のケーブル450は、さらに、上流デバイス400と下流デバイス402との間の接地線等の基準ラインを収容してよい。一実施形態のケーブル450は、上流デバイス400のシステム410に取り外し可能に連結可能であってよい。一実施形態のケーブル450は、下流デバイス402に取り外し可能に連結可能であってよい。
【0037】
一実施形態のコントローラ430は、USB仕様改訂版2.0(2000年4月27日)またはより最新のUSB仕様等の、任意の適切なユニバーサルシリアルバス(USB)仕様に対応していてよい。一実施形態の給電回路420は、任意の適切なユニバーサルシリアルバス(USB)仕様に準拠した方法で、1以上の電線を介して給電してよい。一実施形態のケーブル450は、任意の適切なユニバーサルシリアルバス(USB)仕様に準拠していてよい。一実施形態のコントローラ430は、電線へのデータラインの短絡による過電圧状態を検出して、電線への給電を停止して過電圧状態を解消することのできる検出回路434を有しうるので、一実施形態のコントローラ430は、最低24時間劣化なく短絡等に耐えるというUSB仕様を容易に満たす。
【0038】
一実施形態のシステム410は、コントローラ430を支持することのできる回路ボード414を含んでよい。一実施形態のコントローラ430は、回路ボード414上に、または、回路ボード414に対して搭載される単一の集積回路上に実装されてよい。一実施形態の給電回路420は、図4に示すように、さらに回路ボード414により支持されてよい。別の実施形態の給電回路420は、別の回路ボードにより支持されてよい。このような別の回路ボードは、回路ボード414とは別個に支持されても、回路ボード414により支持されてもよい。一実施形態の電源412は、回路ボード414により支持されてもされなくてもよい。一実施形態の回路ボード414は、上流デバイス400のシステムボードとしての利用も可能である。
【0039】
一実施形態のシステム410は、図4に示すように、ケーブル450により下流デバイス402を回路ボード414に連結するコネクタ460を含みうる。コネクタ460は、回路ボード414とは別個に支持されても、回路ボード414により支持されてもよい。一実施形態のケーブル460は、任意の適切なユニバーサルシリアルバス(USB)仕様に準拠していてよい。
【0040】
図5は、一実施形態による、上流デバイス400が過電圧常態を検出して、下流デバイス402への電流供給を停止するシステムのフローダイアグラム500である。
【0041】
図5のブロック502で、上流デバイス400および下流デバイス402は、上流デバイス400と下流デバイス402との間の1以上のデータラインを介して通信してよい。ブロック502の下流デバイス402との通信は、任意の適切なユニバーサルシリアルバス(USB)仕様に準拠した方法で行われてよい。
【0042】
ブロック504で、基準値を超える値を有する電圧が、少なくとも1つのデータライン上で検出されうる。ブロック506で、下流デバイス402への1以上の電線を介した給電は、少なくとも1つのデータライン上での基準値を超える値を有する電圧の検出に呼応して停止させることができる。
【0043】
<コントローラ回路の例>図6は、一実施形態による、過電圧常態を検出して、下流デバイス402への電流供給を停止するコントローラ430の回路の例を示す。
【0044】
図6に示すように、一実施形態の通信回路432は、上流デバイス400から下流デバイス402へデータラインD+455およびD‐456を介して差動データ信号を送信するよう連結されたトランスミッタ回路670を含んでよい。
【0045】
一実施形態のトランスミッタ回路670は、図6に示すように、データ信号ラインD+455を介してデータ信号を送信する高速電流源トランスミッタ672とCMOSトランスミッタ674とを実装するよう連結される適切なトランジスタを含んでよい。一実施形態のトランスミッタ回路670は、図6に示すように、データ信号ラインD−456を介してデータ信号を送信する高速電流源トランスミッタ676とCMOSトランスミッタ678とを実装するよう連結される適切なトランジスタを含んでよい。
【0046】
一実施形態のトランスミッタ回路670は、データ信号ラインD+455および/またはD‐456上のいかなる過電圧状態にも受動的に耐えられる積層型トランジスタを含むかわりに、過電圧状態を解消するために検出回路434を利用することができる。
【0047】
一実施形態の通信回路432は、図6に示すように、下流デバイス402からデータラインD+455およびD‐456を介して差動データ信号を受信するよう連結されたレシーバ回路680を含んでよい。一実施形態のレシーバ回路680は、図6に示すように、データラインD+455およびD‐456上のデータ信号を感知するよう連結される差動増幅器682を含んでよい。
【0048】
一実施形態のレシーバ回路680は、データ信号ラインD+455および/またはD‐456上のいかなる過電圧状態にも受動的に耐えられるトランジスタを含むかわりに、過電圧状態を解消するために検出回路434を利用することができる。
【0049】
一実施形態の検出回路434は、図6に示すように、データラインD+455上の電圧を分圧して、別の電圧を生成する分圧器691と、別の電圧を基準電圧と比較して、比較結果を出力する比較器692とを含んでよい。
【0050】
一実施形態の基準電圧は、データラインD+455上のデータ信号よりマグニチュードが大きい電圧レベルに対応してよい。一実施形態の基準電圧は、データラインD+455上の電圧値が過剰とみなされるような基準値に対応していてよい。データラインD+455上の電圧が分圧器691によるスケーリングを受けることを考えると、一実施形態の基準電圧は、基準値と比して同様にスケーリングされた値を有してよい。一実施形態の比較器692は、分圧器691がスケーリングした電圧が基準電圧を超えている場合、ノード693で過電圧信号を出力してよい。
【0051】
分圧器691は、データラインD+455上の電圧をスケーリングするよう連結されるレジスタを実装する任意の適切な回路を用いて任意の適切な方法で実装されてよい。比較器692は、例えば基準電圧とスケーリングされた電圧とを比較するよう連結される差動増幅器の利用による等の、任意の適切な方法で実装されてよい。基準電圧は、任意の適切なソースから任意の適切な方法で生成されてよい。
【0052】
一実施形態の検出回路434は、図6に示すように、データラインD−456上の電圧を分圧して、別の電圧を生成する分圧器694と、別の電圧を基準電圧と比較して、比較結果を出力する比較器695とを含んでよい。
【0053】
一実施形態の基準電圧は、データラインD−456上のデータ信号よりマグニチュードが大きい電圧レベルに対応してよい。一実施形態の基準電圧は、データラインD−456上の電圧値が過剰とみなされるような基準値に対応していてよい。データラインD−456上の電圧が分圧器694によるスケーリングを受けることを考えると、一実施形態の基準電圧は、基準値に比して同様にスケーリングされた値を有してよい。一実施形態の比較器695は、分圧器694がスケーリングした電圧が基準電圧を超えている場合、ノード696で過電圧信号を出力してよい。
【0054】
分圧器694は、データラインD−456上の電圧をスケーリングするよう連結されるレジスタを実装する任意の適切な回路を用いて任意の適切な方法で実装されてよい。比較器695は、例えば基準電圧とスケーリングされた電圧とを比較するよう連結される差動増幅器の利用による等の、任意の適切な方法で実装されてよい。基準電圧は、任意の適切なソースから任意の適切な方法で生成されてよい。
【0055】
一実施形態では、分圧器691および694は、データラインD+455およびD‐456上の電圧を同様の方法でスケーリングしてよく、比較器692および695は、分圧器691および694がスケーリングした電圧を、実質的に同じ基準電圧と比較してよい。
【0056】
一実施形態の検出回路434は、分圧器691を含まずに、比較器692が、データラインD+455上の電圧を、基準値に対応する適切な基準電圧と比較するよう連結されてもよい。一実施形態の検出回路434は、分圧器694を含まずに、比較器695が、データラインD−456上の電圧を、基準値に対応する適切な基準電圧と比較するよう連結されてもよい。
【0057】
一実施形態の検出回路434は、ノード693の過電圧信号またはノード696の過電圧信号のいずれかに呼応して、ノード697に停止信号を出力してよい。一実施形態の検出回路434は、ノード693および696の過電圧信号の論理和としてノード697に停止信号を出力する適切な回路を含んでよい。一実施形態のコントローラ430は、汎用入出力(GPIO)によりノード697に停止信号を出力して、下流デバイス402への給電を停止してよい。
【0058】
別の実施形態の検出回路434は、別途、ノード693に過電圧信号を、また、ノード696に過電圧信号を出力してよく、また、一実施形態のコントローラ430は、別途、ノード693に過電圧信号を、また、ノード696に過電圧信号を出力することで、下流デバイス402への給電が停止されてもよい。一実施形態のコントローラ430は、別途、ノード693および696に、汎用入出力(GPIO)により過電圧信号を出力してよい。
【0059】
<上流デバイスの例>上流デバイス400は、任意の適切な方法で機能する任意の適切なコンポーネントを含んでよい。一実施形態の上流デバイス400は、任意のコンポーネントを含んでコンピュータシステムを形成してよい。上流デバイス400は、例えば、デスクトップコンピュータシステム、自動車コンピュータシステム、または、ポータブルコンピュータシステム(例えばノートブックコンピュータ、タブレット型コンピュータ、ノートブックコンピュータ、またはモバイルインターネットデバイス(MID))として機能してよいが、これらに限定はされない。
【0060】
図7は、一実施形態による、上流デバイス400のコンポーネントの例を示す。図7に示すように、上流デバイス400は、電源412、給電回路420、プロセッサ710、およびプロセッサ710に連結されたシステム制御ロジック720を含みうる。一実施形態のシステム制御ロジック720は、コントローラ430を含んでよい。プロセッサ710、システム制御ロジック720のロジック、および/または、上流デバイス400の任意の他の適切なコンポーネントまたはロジックは、コントローラ430を用いて下流デバイス402と通信してよい。
【0061】
上流デバイス400は、さらに、システム制御ロジック720に連結されたBIOS(basic input/output system)メモリ730、システム制御ロジック720に連結された揮発性メモリ740、システム制御ロジック720に連結された不揮発性メモリおよび/または記憶デバイス750、システム制御ロジック720に連結された1以上の入力デバイス760、システム制御ロジック720に連結されたディスプレイ770、システム制御ロジック720に連結された1以上の通信インタフェース780、および/またはシステム制御ロジック720に連結された1以上の他の入出力(I/O)デバイス790を有してよい。
【0062】
一実施形態のシステム制御ロジック720は、コントローラ430を含む任意の適切なインタフェースコントローラを含むことで、任意の適切な通信リンクをプロセッサ710に、および/またはシステム制御ロジック720と通信する任意の適切なデバイスまたはコンポーネントに提供してよい。
【0063】
一実施形態のシステム制御ロジック720は、BIOSメモリ730にインタフェースを提供するファームウェアコントローラを含んでよい。BIOSメモリ730は、上流デバイス400用の任意の適切なシステムおよび/またはビデオBIOSソフトウェアを格納する用途に利用することができる。BIOSメモリ730は、例えば適切なフラッシュメモリ等の任意の適切な不揮発性メモリを含んでよい。あるいは、一実施形態のBIOSメモリ730は、システム制御ロジック720へ含めることもできる。
【0064】
一実施形態のシステム制御ロジック720は、揮発性メモリ740へのインタフェースを提供する1以上のメモリコントローラを含みうる。揮発性メモリ740は、例えば上流デバイス400用のデータおよび/または命令をロードおよび格納するのに利用されてよい。揮発性メモリ740は、例えば適切なDRAM(ダイナミックラム)等の任意の適切な揮発性メモリを含んでよい。
【0065】
一実施形態のシステム制御ロジック720は、ディスプレイ770へのインタフェースを提供するグラフィックコントローラを含んでよい。ディスプレイ770は、例えば陰極線管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)等の任意の適切なディスプレイを含んでよい。一実施形態のグラフィックコントローラは、システム制御ロジック720の外にあってもよい。
【0066】
一実施形態のシステム制御ロジック720は、不揮発性メモリおよび/または記憶デバイス750、入力デバイス760、通信インタフェース780、および/または入出力デバイス790へのインタフェースを提供する1以上の入出力(I/O)コントローラを含んでよい。
【0067】
不揮発性メモリおよび/または記憶デバイス750は、例えばデータおよび/または命令を格納する用途に利用されてよい。不揮発性メモリおよび/または記憶デバイス750は、例えばフラッシュメモリ等の任意の適切な不揮発性メモリを含んでよく、および/または、例えば1以上のハードディスクドライブ(HDD)、1以上のコンパクトディスク(CD)ドライブ、および/または、1以上のDVD(digital versatile disc)ドライブ等の任意の適切な不揮発性記憶デバイスを含んでよい。
【0068】
入力デバイス760は、例えばキーボード、マウス、および/または、任意の他のカーソル制御デバイス等の任意の適切な入力デバイスを含んでよい。
【0069】
通信インタフェース780は、上流デバイス400が1以上のネットワークを介して、および/または、任意の他の適切なデバイスと通信する際のインタフェースを提供してよい。通信インタフェース780は、任意の適切なハードウェアおよび/またはファームウェアを含んでよい。一実施形態の通信インタフェース780は、例えばネットワークアダプタ、無線ネットワークアダプタ、電話モデム、および/または、無線モデムを含んでよい。無線通信においては、一実施形態の通信インタフェース780は、1以上のアンテナ782を利用してよい。
【0070】
入出力デバイス790は、例えば音声を対応するデジタル信号に変換する、および/または、デジタル信号を対応する音声へ変換する助けをする音響デバイス、カメラ、カムコーダ、プリンタ、および/または、スキャナ等の任意の適切な入出力デバイスを含んでよい。
【0071】
一実施形態の下流デバイス402は、システム制御ロジック720に連結されうる任意の適切なデバイスであってよく、これには、適切な不揮発性メモリまたは記憶デバイス750、入力デバイス760、通信インタフェース780、または任意の他の適切な入出力デバイス790が含まれるが、これらに限定はされない。下流デバイス402の例には、キーボード、カーソル制御デバイス、記憶ドライブ、記憶デバイス、ハブデバイス、ネットワークルータまたはスイッチ、バッテリ充電デバイス、プリンタ、スキャナ、カムコーダ、カメラ、メディアプレーヤ、セルラー式電話機、スマートフォン、モバイルインターネットデバイス、およびコンピュータシステム(デスクトップ、ノートブック、または他のコンピュータシステム等)が含まれるが、これらに限定はされない。
【0072】
システム制御ロジック720内に常駐するとして記載されたが、システム制御ロジック720の1以上のコントローラ(コントローラ430を含む)は、一実施形態では、プロセッサ710とともに存在することで、プロセッサ710を、1以上のデバイスまたはコンポーネントと直接通信させてよい。システム制御ロジック720の1以上のコントローラ(コントローラ430を含む)は、一実施形態では、単一のダイ上に、プロセッサ710の少なくとも一部分とともに集積されてもよい。システム制御ロジック720の1以上のコントローラ(コントローラ430を含む)は、一実施形態では、プロセッサ710とともにパッケージされることもできる。
【0073】
上述の記載では例示的な実施形態を述べた。これら実施形態に対しては、添付請求項の範囲内で様々な変更例および変形例が可能である。従って、記載および図面は制限的な意味合いではなくて例示的な意味合いで捉えられるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラであって、
前記コントローラを持つ上流デバイスの外にある下流デバイスと1以上のデータラインを介して通信する通信回路と、
前記1以上のデータラインの少なくとも1つの上で、基準値を超える値を持つ電圧を検出する検出回路とを備え、
前記検出回路は、前記1以上のデータラインの少なくとも1つの上での前記基準値を超える値を持つ電圧の検出に呼応して、1以上の電線を介した前記下流デバイスへの給電を停止するコントローラ。
【請求項2】
前記上流デバイスは、前記1以上の電線と前記1以上のデータラインとを収容する単一のケーブルにより前記下流デバイスに連結される請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
ユニバーサルシリアルバス(USB)仕様に準拠している請求項1に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記検出回路は、1以上のトランジスタを停止させて、供給ノードから1以上の電線を切り離す請求項1に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記検出回路は、
データライン上の電圧を分圧して、別の電圧を生成する分圧器と、
前記別の電圧を基準電圧と比較する比較器とを有する請求項1に記載のコントローラ。
【請求項6】
前記通信回路は、前記下流デバイスへ1以上のデータラインを介して信号を送信するトランスミッタ回路を有する請求項1に記載のコントローラ。
【請求項7】
前記通信回路は、前記下流デバイスから1以上のデータラインを介して信号を受信するレシーバ回路を有する請求項1に記載のコントローラ。
【請求項8】
上流デバイスと、前記上流デバイスの外にある下流デバイスとの間で、1以上のデータラインを介して通信する段階と、
前記1以上のデータラインの少なくとも1つの上で、基準値を超える値を持つ電圧を検出する段階と、
前記1以上のデータラインの少なくとも1つの上での前記基準値を超える値を持つ電圧の検出に呼応して、1以上の電線を介した前記下流デバイスへの給電を停止する段階と
を備える方法。
【請求項9】
前記通信する段階は、前記1以上の電線をも収容する単一のケーブルに収容されている1以上のデータラインを介して通信する段階を有する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記通信する段階は、ユニバーサルシリアルバス(USB)仕様に準拠した方法で前記下流デバイスと通信する段階を有する請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記停止する段階は、1以上のトランジスタを停止させて、供給ノードから1以上の電線を切り離す段階を有する請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記検出する段階は、データライン上の電圧を分圧して別の電圧を生成して、前記別の電圧を基準電圧と比較する段階を有する請求項8に記載の方法。
【請求項13】
システムであって、
回路ボードと、
前記回路ボードに支持されて、前記システムを持つ上流デバイスの外にある下流デバイスに1以上の電線を介して給電する給電回路と、
前記回路ボードに支持され、通信回路と検出回路とを有するコントローラとを備え、
前記通信回路は、1以上のデータラインを介して前記下流デバイスと通信し、
前記検出回路は、前記1以上のデータラインの少なくとも1つの上で、基準値を超える値を持つ電圧を検出し、
前記検出回路は、前記1以上のデータラインの少なくとも1つの上での前記基準値を超える値を持つ電圧の検出に呼応して、前記給電回路による1以上の電線を介した前記下流デバイスへの給電を停止するシステム。
【請求項14】
前記1以上の電線と前記1以上のデータラインとを収容する単一のケーブルにより前記下流デバイスを前記回路ボードに連結するコネクタを備える請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記コントローラは、ユニバーサルシリアルバス(USB)仕様に準拠している請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記検出回路は、前記給電回路の1以上のトランジスタを停止させて、前記給電回路の供給ノードから1以上の電線を切り離す請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記検出回路は、
データライン上の電圧を分圧して、別の電圧を生成する分圧器と、
前記別の電圧を基準電圧と比較する比較器とを有する請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記上流デバイスはホストデバイス、または、ホストデバイスの下流のハブデバイスである請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
システムであって、
プロセッサと、
交流電流/直流電流変換器(AC−DC変換器)と、
前記AC−DC変換器に連結されて、前記システムの外にある下流デバイスへ1以上の電線を介して給電する給電回路と、
通信回路と検出回路とを有するコントローラとを備え、
前記通信回路は、1以上のデータラインを介して前記下流デバイスと通信し、
前記検出回路は、前記1以上のデータラインの少なくとも1つの上で、基準値を超える値を持つ電圧を検出し、
前記検出回路は、前記1以上のデータラインの少なくとも1つの上での前記基準値を超える値を持つ電圧の検出に呼応して、前記給電回路による1以上の電線を介した前記下流デバイスへの給電を停止するシステム。
【請求項20】
上流デバイスは、前記1以上の電線と前記1以上のデータラインとを収容する単一のケーブルにより前記下流デバイスに連結される請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記コントローラは、ユニバーサルシリアルバス(USB)仕様に準拠している請求項19に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−165347(P2010−165347A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−289743(P2009−289743)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(591003943)インテル・コーポレーション (1,101)
【Fターム(参考)】