説明

道路勾配推定システム、道路勾配推定装置、及びプログラム

【課題】車両の計測データを用いて、道路勾配を精度よく推定することができるようにする。
【解決手段】車載器12において、車両の速度、燃料消費量、及び位置を計測する。駆動力算出部60によって、燃料消費マップに基づいて、計測された速度及び燃料消費量の組み合わせに対応する駆動力を求め、道路勾配推定部62によって、計測された速度と求められた駆動力とに基づいて、道路勾配を推定する。情報通信部30によって、推定された道路勾配、計測された位置、及び参照した燃料消費マップの燃料消費量の信頼度を送信する。センター側サーバにおいて、車載器12より送信された道路勾配、位置、及び燃料消費量の信頼度を受信し、受信した燃料消費量の信頼度に応じて、道路勾配地図における受信した位置の道路勾配を、受信した道路勾配を用いて更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路勾配推定システム、道路勾配推定装置、及びプログラムに係り、特に、車両の計測データを用いて道路勾配を推定する道路勾配推定システム、道路勾配推定装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、供給される燃料量から実燃費を求めると共に、走行速度をパラメータとして予め定めてなる燃費データに基づいて、実際の走行速度に対する基準燃費を求め、実燃費と基準燃費との差から、坂路勾配の度合いを推定する坂路勾配推定方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−256646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の技術では、計算の基となる燃費データの信頼度が一律である(全てのデータが100%信頼できると仮定している)ため、道路勾配の推定精度がよくない、という問題がある。また、データを更新する手段が備えられていないため、システムを使用し続けても、推定精度が向上しない、という問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、車両の計測データを用いて、道路勾配を精度よく推定することができる道路勾配推定システム、道路勾配推定装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明に係る道路勾配推定システムは、車両の速度、燃料消費量、及び位置を計測する計測手段、前記速度と、前記速度及び道路勾配に応じて変化する車両に関する物理量との組み合わせ、及び前記燃料消費量の第1対応関係を記憶すると共に、前記速度と前記物理量との組み合わせ、及び前記第1対応関係において対応する燃料消費量の信頼度の第2対応関係を記憶する対応関係記憶手段、前記対応関係記憶手段に記憶された前記第1対応関係に基づいて、前記計測手段によって計測された前記速度及び前記燃料消費量の組み合わせに対応する前記物理量を求め、前記計測された前記速度と前記求められた前記物理量とに基づいて、道路勾配を推定する道路勾配推定手段、及び前記道路勾配推定手段によって推定された前記道路勾配、前記計測された位置、及び前記第2対応関係における、前記計測された前記速度及び前記燃料消費量の組み合わせに対応する燃料消費量の信頼度を送信する送信手段を含む道路勾配推定装置と、各地点の道路勾配を格納した道路勾配地図を記憶した道路勾配地図記憶手段、前記道路勾配推定装置より送信された前記道路勾配、前記位置、及び前記燃料消費量の信頼度を受信する受信手段、及び前記受信手段によって受信した前記燃料消費量の信頼度に応じて、前記道路勾配地図における前記受信した前記位置の道路勾配を、前記受信した道路勾配を用いて更新する道路勾配更新手段を含むサーバと、を含んで構成されている。
【0007】
本発明によれば、道路勾配推定装置において、計測手段によって、車両の速度、燃料消費量、及び位置を計測する。道路勾配推定手段によって、前記対応関係記憶手段に記憶された前記第1対応関係に基づいて、前記計測手段によって計測された前記速度及び前記燃料消費量の組み合わせに対応する前記物理量を求め、前記計測された前記速度と前記求められた前記物理量とに基づいて、道路勾配を推定する。
【0008】
そして、送信手段によって、前記道路勾配推定手段によって推定された前記道路勾配、前記計測された位置、及び前記第2対応関係における、前記計測された前記速度及び前記燃料消費量の組み合わせに対応する燃料消費量の信頼度を送信する。
【0009】
そして、サーバにおいて、受信手段によって、前記道路勾配推定装置より送信された前記道路勾配、前記位置、及び前記燃料消費量の信頼度を受信する。道路勾配更新手段によって、前記受信手段によって受信した前記燃料消費量の信頼度に応じて、前記道路勾配地図における前記受信した前記位置の道路勾配を、前記受信した道路勾配を用いて更新する。
【0010】
このように、車両の速度と、速度及び道路勾配に応じて変化する車両に関する物理量との組み合わせ、及び燃料消費量の対応関係を用いて、道路勾配を推定すると共に、推定するのに用いた当該燃料消費量の信頼度に応じて、道路勾配地図を更新することにより、車両の計測データを用いて、道路勾配を精度よく推定することができる。
【0011】
本発明に係るサーバは、前記道路勾配更新手段によって更新された道路勾配を前記道路勾配推定装置へ送信する更新結果送信手段を更に含み、前記道路勾配推定装置は、前記サーバにより送信された前記道路勾配を受信する更新結果受信手段と、前記更新結果受信手段によって受信された前記道路勾配に基づいて、前記計測された前記速度と前記求められた物理量との組み合わせに対する燃料消費量を算出し、前記算出された燃料消費量を用いて、前記第1対応関係における、前記計測された前記速度と前記求められた物理量との組み合わせに対する燃料消費量を更新する対応関係更新手段を更に含むようにすることができる。これによって、車両の速度と、速度及び道路勾配に応じて変化する車両に関する物理量との組み合わせ、及び燃料消費量の対応関係を更新することができるため、道路勾配を更に精度よく推定することができる。
【0012】
本発明に係る道路勾配記憶手段は、各地点の道路勾配及び各地点の前記道路勾配の信頼度を格納した前記道路勾配地図を記憶し、前記道路勾配更新手段は、前記道路勾配地図における前記受信した位置の道路勾配を更新すると共に、前記道路勾配推定装置より受信した前記燃料消費量の信頼度を用いて、前記道路勾配地図における前記受信した位置の道路勾配の信頼度を更新するようにすることができる。
【0013】
また、上記のサーバは、前記道路勾配更新手段によって更新された道路勾配、及び前記道路勾配の信頼度を送信する更新結果送信手段を更に含み、前記道路勾配推定装置は、前記サーバにより送信された前記道路勾配を受信する更新結果受信手段と、前記更新結果受信手段によって受信された前記道路勾配に基づいて、前記計測された前記速度と前記求められた物理量との組み合わせに対する燃料消費量を算出し、前記算出された燃料消費量を用いて、前記第1対応関係における、前記計測された前記速度と前記求められた物理量との組み合わせに対する燃料消費量を更新する共に、前記更新結果受信手段によって受信した前記道路勾配の信頼度を用いて、前記第2対応関係における、前記計測された前記速度と前記求められた物理量との組み合わせに対する燃料消費量の信頼度を更新する対応関係更新手段を更に含むようにすることができる。
【0014】
本発明に係る道路勾配推定装置は、各地点の道路勾配を格納した道路勾配地図を記憶した道路勾配地図記憶手段と、車両の速度、燃料消費量、及び位置を計測する計測手段と、前記速度と、前記速度及び前記道路勾配に応じて変化する車両に関する物理量との組み合わせ、及び前記燃料消費量の第1対応関係を記憶すると共に、前記速度と前記物理量との組み合わせ、及び前記第1対応関係において対応する燃料消費量の信頼度の第2対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、前記対応関係記憶手段に記憶された前記第1対応関係に基づいて、前記計測手段によって計測された前記速度及び前記燃料消費量の組み合わせに対応する前記物理量を求め、前記計測された前記速度と前記求められた前記物理量とに基づいて、道路勾配を推定する道路勾配推定手段と、前記第2対応関係における、前記計測された前記速度及び前記燃料消費量の組み合わせに対応する前記燃料消費量の信頼度に応じて、前記道路勾配地図における前記計測された位置の道路勾配を、前記道路勾配推定手段によって推定された道路勾配を用いて更新する道路勾配更新手段と、を含んで構成されている。
【0015】
本発明に係るプログラムは、各地点の道路勾配を格納した道路勾配地図を記憶した道路勾配地図記憶手段と、車両の速度と、前記速度及び前記道路勾配に応じて変化する車両に関する物理量との組み合わせ、及び燃料消費量の第1対応関係を記憶すると共に、前記速度と前記物理量との組み合わせ、及び前記第1対応関係において対応する燃料消費量の信頼度の第2対応関係を記憶する対応関係記憶手段とを備えたコンピュータを、前記対応関係記憶手段に記憶された前記第1対応関係に基づいて、車両の速度、燃料消費量、及び位置を計測する計測手段によって計測された前記速度及び前記燃料消費量の組み合わせに対応する前記物理量を求め、前記計測された前記速度と前記求められた前記物理量とに基づいて、道路勾配を推定する道路勾配推定手段、及び前記第2対応関係における、前記計測された前記速度及び前記燃料消費量の組み合わせに対応する前記燃料消費量の信頼度に応じて、前記道路勾配地図における前記計測された位置の道路勾配を、前記道路勾配推定手段によって推定された道路勾配を用いて更新する道路勾配更新手段として機能させるためのプログラムである。
【0016】
本発明に道路勾配推定装置及びプログラムによれば、計測手段によって、車両の速度、燃料消費量、及び位置を計測する。道路勾配推定手段によって、前記対応関係記憶手段に記憶された前記第1対応関係に基づいて、前記計測手段によって計測された前記速度及び前記燃料消費量の組み合わせに対応する前記物理量を求め、前記計測された前記速度と前記求められた前記物理量とに基づいて、道路勾配を推定する。
【0017】
そして、道路勾配更新手段によって、前記第2対応関係における、前記計測された前記速度及び前記燃料消費量の組み合わせに対応する前記燃料消費量の信頼度に応じて、前記道路勾配地図における前記計測された位置の道路勾配を、前記道路勾配推定手段によって推定された道路勾配を用いて更新する。
【0018】
このように、車両の速度と、速度及び道路勾配に応じて変化する車両に関する物理量との組み合わせ、及び燃料消費量の対応関係を用いて、道路勾配を推定すると共に、推定するのに用いた当該燃料消費量の信頼度に応じて、道路勾配地図を更新することにより、車両の計測データを用いて、道路勾配を精度よく推定することができる。
【0019】
本発明に係る道路勾配推定装置は、前記更新手段によって更新された道路勾配に基づいて、前記計測された前記速度と前記求められた物理量との組み合わせに対する燃料消費量を算出し、前記算出された燃料消費量を用いて、前記第1対応関係における、前記計測された前記速度と前記求められた物理量との組み合わせに対する燃料消費量を更新する対応関係更新手段を更に含むようにすることができる。これによって、車両の速度と、速度及び道路勾配に応じて変化する車両に関する物理量との組み合わせ、及び燃料消費量の対応関係を更新することができるため、道路勾配を更に精度よく推定することができる。
【0020】
本発明に係る道路勾配推定装置の道路勾配記憶手段は、各地点の道路勾配及び各地点の前記道路勾配の信頼度を格納した前記道路勾配地図を記憶し、前記道路勾配更新手段は、前記道路勾配地図における前記計測された位置の道路勾配を更新すると共に、前記第2対応関係における、前記計測された前記速度及び前記燃料消費量の組み合わせに対応する前記燃料消費量の信頼度を用いて、前記道路勾配地図における前記計測された位置の前記道路勾配の信頼度を更新するようにすることができる。
【0021】
本発明に係る道路勾配推定装置は、前記更新手段によって更新された道路勾配に基づいて、前記計測された前記速度と前記求められた物理量との組み合わせに対する燃料消費量を算出し、前記算出された燃料消費量を用いて、前記第1対応関係における、前記計測された前記速度と前記求められた物理量との組み合わせに対する燃料消費量を更新すると共に、前記更新手段によって更新された道路勾配の信頼度を用いて、前記第2対応関係における、前記計測された前記速度と前記求められた物理量との組み合わせに対する燃料消費量の信頼度を更新する対応関係更新手段を更に含むようにすることができる。
【0022】
上記の物理量を、車両の駆動力又は走行抵抗とすることができる。
【0023】
また、本発明のプログラムは、記憶媒体に格納して提供することも可能である。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明の道路勾配推定システム、道路勾配推定装置、及びプログラムによれば、車両の速度と、速度及び道路勾配に応じて変化する車両に関する物理量との組み合わせ、及び燃料消費量の対応関係を用いて、道路勾配を推定すると共に、推定するのに用いた当該燃料消費量の信頼度に応じて、道路勾配地図を更新することにより、車両の計測データを用いて、道路勾配を精度よく推定することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る道路勾配推定システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るセンター側サーバの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る車載器の構成を示すブロック図である。
【図4】燃料消費マップを示すグラフである。
【図5】信頼度マップを示すグラフである。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る車載器における道路勾配推定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係るセンター側サーバにおけるデータ更新処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る車載器における経路探索処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る車載器の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る車載器における道路勾配推定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。車両に搭載され、かつ、自車両のドライバに対して目的地までの経路を案内する車載器を備えた道路勾配推定システムに本発明を適用した場合を例に説明する。
【0027】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る道路勾配推定システム10は、複数の車両の各々に搭載された車載器12と、交通情報センター側に設けられたセンター側サーバ14とを備えている。車載器12とセンター側サーバ14とは、インターネットなどのネットワーク16を介して接続されている。なお、車載器12が、道路勾配推定装置の一例である。
【0028】
センター側サーバ14は、CPUと、RAMと、後述するデータ更新処理ルーチンを実行するためのプログラムを記憶したROMとを備えた通常のサーバから構成されている。図2に示すように、センター側サーバ14は、ネットワーク16を介してデータの送受信を行うための通信部20と、各地点の道路勾配を格納した道路勾配地図を記憶した道路勾配地図データベース22と、車載器12に対して道路勾配地図を配信するように通信部20を制御する配信制御部24と、通信部20により受信したデータに基づいて、道路勾配地図データベース22の道路勾配地図を更新するデータ更新部26とを備えている。なお、通信部20が、受信手段及び更新結果送信手段の一例であり、データ更新部26が、道路勾配更新手段の一例である。
【0029】
道路勾配地図データベース22は、各地点の道路勾配を格納した道路勾配地図を記憶していると共に、各地点の道路勾配の信頼度を記憶している。
【0030】
配信制御部24は、車載器12からの配信要求を受信したときに、道路勾配地図データベース22に記憶されている道路勾配地図を、当該車載器12へ送信するように、通信部20を制御する。なお、データ更新部26による道路勾配地図の更新については後述する。
【0031】
図3に示すように、車載器12は、ネットワーク16を介してデータの送受信を行うための情報通信部30と、自車両の車速を計測する車速計測部32と、自車両の内燃機関への燃料噴射量を計測する燃料噴射量計測部34と、自車両の位置を計測する位置計測部36と、ドライバが目的地を入力するための入力操作部38と、走行した位置の道路勾配を推定する共に、走行コストを最適にする目的地までの経路を探索するコンピュータ40と、探索された経路をドライバに対して表示する表示装置42と、を備えている。なお、情報通信部30が、送信手段及び更新結果受信手段の一例である。
【0032】
位置計測部16は、例えば、GPSセンサを用いて構成され、自車両の現在位置を計測する。
【0033】
コンピュータ40は、CPUと、RAMと、後述する道路勾配推定処理ルーチン及び経路探索処理ルーチンを実行するためのプログラムを記憶したROMとを備え、機能的には次に示すように構成されている。コンピュータ40は、情報通信部30により道路勾配地図の配信要求をセンター側サーバ14へ送信させて、センター側サーバ14から受信した道路勾配地図を取得する道路勾配データ取得部50と、道路勾配地図を記憶する道路勾配地図記憶部52と、車速計測部32によって計測された自車両の車速、燃料噴射量計測部34によって計測された燃料噴射量、及び位置計測部36によって計測された自車両の位置を計測情報として取得する計測情報取得部56と、後述する燃料消費マップを記憶した燃料消費マップ記憶部58と、取得した計測情報及び燃料消費マップに基づいて、自車両の駆動力を算出する駆動力算出部60と、算出した自車両の駆動力に基づいて、道路勾配を推定すると共に、推定結果をセンター側サーバ14へ送信させる道路勾配推定部62と、センター側サーバ14での道路勾配の更新結果に基づいて、燃料消費マップを更新するマップ更新部64とを備えている。なお、燃料消費マップ記憶部58が、対応関係記憶手段の一例であり、マップ更新部64が、対応関係更新手段の一例である。
【0034】
道路勾配データ取得部50は、情報通信部30を介して、センター側サーバ14へ道路勾配地図の配信要求を送信し、センター側サーバ14から道路勾配地図をダウンロードして、道路勾配地図記憶部52の記憶内容を更新する。
【0035】
燃料消費マップ記憶部58には、図4に示すような、駆動力と速度と燃料消費量との対応関係が格納された燃料消費マップが予め記憶されている。例えば、燃料消費マップは、車両が工場出荷状態であるときに記憶される。この燃料消費マップの値は、テスト走行などから車種毎に測定されるものである。この燃料消費マップは、車両固有の性能誤差を含んでいないため、マップ全体の信頼性は低い。
【0036】
また、燃料消費マップ記憶部58には、図5に示すような、駆動力と速度との組み合わせに対する、燃料消費量のマップデータの信頼度が格納された信頼度マップが予め記憶されている。信頼度マップの信頼度は、例えば、該当するデータの出現頻度を表わしており、初期状態では、信頼度マップには、全体的に低い信頼度が格納されている。また、加速度=0の状態や、アクセス・ブレーキ共に踏まない状態に対しては出現頻度が高くなるため、該当する信頼度には、高い信頼度が格納されている。また、燃料消費マップの燃料消費量には、データの平均値が格納されており、信頼度(出現頻度)が高いほど、外れ値の影響が低くなるため、信頼度が高い値が格納されていることとなる。なお、燃料消費マップが、第1対応関係の一例であり、信頼度マップが、第2対応関係の一例である。
【0037】
駆動力算出部60は、実際にドライバが運転した走行について計測された計測情報(速度、燃料消費量)を、燃料消費マップに照らし合わせることにより、計測情報(速度、燃料消費量)に対応する駆動力を算出する。駆動力算出部60は、駆動力の算出の際に参照した、計測情報(速度、燃料消費量)に対応する燃料消費量の信頼度を、燃料消費マップ記憶部58から取得し、取得した燃料消費量の信頼度を、道路勾配推定部62へ出力する。
【0038】
道路勾配推定部62は、計測された速度と、算出された駆動力とに基づいて、以下の(1)式を解いて、道路勾配を推定する。
【0039】
駆動力F=(1+γ)mα+μmgcosθ+mg・sinθ+λAv
・・・(1)
【0040】
ただし、Aは車両前面投影面積、gは重力加速度、mは車両重量、vは車両速度、αは車両加速度である。また、γは回転部慣性重量比率、λは空気抵抗係数、θは道路勾配、μは転がり抵抗係数である。
【0041】
上記(1)式における未知数は、加速度α、速度vおよび道路勾配θである。時刻iにおける速度をvとし、1秒後の速度をvi+1とすれば、加速度α=(vi+1−)/1であり、駆動力は速度vi、i+1および道路勾配θで表される。
【0042】
道路勾配推定部62は、推定された道路勾配と、計測された自車両の位置と、参照した燃料消費マップの信頼度(計測された速度及び算出された駆動力の組み合わせに対応する燃料消費量の信頼度)とを、道路勾配の推定結果として、情報通信部30を介して、センター側サーバ14へアップロードする。
【0043】
センター側サーバ14では、上記の道路勾配の推定結果を受信すると、データ更新部26によって、以下のように、道路勾配地図を更新すると共に、信頼度マップにおける道路勾配の信頼度を更新する。
【0044】
まず、時刻tにおけるサーバ側の道路勾配値をθとし、道路勾配値θの信頼度をRθtとする。
【0045】
ある車両の車載器12から道路勾配推定値θ’、推定時に参照した燃料消費マップの信頼度R’が送信されたとき、次の時刻t’における道路勾配値θt’は,以下の(2)式〜(4)式に従って、更新される。
【0046】
道路勾配値θt’=θ×(1−a)+θ’×a
{ifR’≧Rθt} 信頼性が高いとき
・・・(2)
道路勾配値θt’=θ×(1−a×R’/Rθt)+θ’×a×R’/Rθt
{else ifRθt>R’≧Rθt/2} 信頼性がある程度
・・・(3)
道路勾配値θt’=θ {else} 信頼性が低いとき ・・・(4)
【0047】
また、次の時刻t’における道路勾配値θt’の信頼度Rθt’は,以下の(5)式〜(7)式に従って、更新される。
【0048】
信頼度Rθt’=Rθt×(1−a)+R’×a
{if R’≧Rθt} ・・・(5)
信頼度Rθt’=Rθt×(1−a)+R’×a
{else if Rθt>R’≧Rθt/2} ・・・(6)
信頼度Rθt’=Rθt {else} ・・・(7)
【0049】
ただし、αは平均化するときの忘却係数である。
【0050】
また、データ更新部26は、更新された道路勾配値θt’及び信頼度Rθt’を、更新結果として、通信部20を介して車載器12へ送信する。
【0051】
車載器12のマップ更新部64は、上記の道路勾配の更新結果を受信すると、以下のように、燃料消費マップを更新すると共に、信頼度マップを更新する。
【0052】
まず、時刻tにおける速度をvtとし、燃料消費量をCtとする。
【0053】
更新された道路勾配θt’と計測された速度とを用いて、上記(1)式に従って、駆動力を計算し直し、駆動力Ftを得る。
【0054】
燃料消費マップの{vt、Ft}に対応する燃料消費量をC、当該燃料消費量の信頼度をRとする。
【0055】
このとき、燃料消費マップにおける{vt、Ft}に対応する燃料消費量C’は、以下の(8)式〜(10)式に従って更新される。
【0056】
{vt、Ft}に対応する燃料消費量C’
=C×(1−a)+Ct×a
{if Rθt’≧R} 信頼性が高いとき
・・・(8)
{vt、Ft}に対応する燃料消費量C’
=C×(1−a×Rθt’/R)+Ct×α×Rθt’/R
{else if R>Rθt’≧R/2}信頼性がある程度
・・・(9)
{vt、Ft}に対応する燃料消費量C’=C
{else} 信頼性が低いとき
・・・(10)
【0057】
また、信頼度マップにおける{vt、Ft}に対応する信頼度R’は、以下の(11)式〜(13)式に従って更新される。
【0058】
{vt、Ft}に対応する信頼度R’=R×(1−a)+Rθt’×a
{if Rθt’≧R} ・・・(11)
{vt、Ft}に対応する信頼度R’
=R×(1−a)+Rθt’×a {else if R>Rθt’≧R/2}
・・・(12)
{vt、Ft}に対応する信頼度R’=R
{else} ・・・(13)
【0059】
ただし、aは平均化するときの忘却係数である。
【0060】
また、コンピュータ40は、道路ネットワークデータを記憶した道路ネットワークデータベース66と、ドライバによる入力操作部38の操作により入力された目的地、位置計測部36によって計測された出発地としての自車両の位置、及び道路ネットワークデータに基づいて、出発地から目的地までの経路候補を複数探索する経路候補探索部68と、探索された複数の経路候補に含まれる各リンクについて、道路勾配地図記憶部52から道路勾配を取得する道路勾配取得部70と、探索された複数の経路候補に含まれる各リンクについて、当該リンクの道路勾配を用いて、走行する際の走行コストを算出する走行コスト算出部72と、探索された複数の経路候補から、総走行コストが最小となる経路を選択して表示装置42に出力する経路選択部74とを備えている。
【0061】
経路候補探索部68は、入力操作部38の操作により入力された目的地、位置計測部36によって計測された出発地、及び道路ネットワークデータに基づいて、最短経路を探索するアルゴリズムや、最短時間の経路を探索するアルゴリズムなどを用いて、出発地から目的地までの経路候補を複数探索する。経路探索のアルゴリズムについては、従来既知のものを利用すればよく、詳細な説明を省略する。
【0062】
道路勾配取得部70は、探索された複数の経路候補に含まれる各リンクについて、当該リンクの道路勾配を、道路勾配地図記憶部52に記憶された道路勾配地図から取得する。なお、複数の経路候補に含まれる各リンクとは、複数の経路候補の少なくとも1つに含まれている全てのリンクの各々を示している。
【0063】
走行コスト算出部72は、探索された複数の経路候補に含まれる各リンクについて、当該リンクについて取得された道路勾配を考慮して、当該リンクを走行する際の走行コストを算出する。なお、走行コストを算出する方法については、従来既知のものを利用すればよく、詳細な説明を省略する。
【0064】
経路選択部74は、探索された複数の経路候補の各々について、当該経路候補に含まれる各リンクについて算出された走行コストの総和を計算して、当該経路候補における総走行コストを算出する。また、経路選択部74は、総走行コストが最小となる経路候補を選択して、選択された経路候補を表示装置42に出力する。
【0065】
次に、第1の実施の形態に係る道路勾配推定システム10の動作について説明する。まず、車載器12を搭載した車両において、イグニッションキーがオンされると(エンジンが起動されると)、車載器12は、ネットワーク16を介してセンター側サーバ14へ道路勾配地図の配信要求を送信して、道路勾配地図をダウンロードし、道路勾配地図記憶部52に記憶し、あるいは、道路勾配地図記憶部52の記憶内容を更新する。また、車載器12を搭載した各車両が走行しているときに、コンピュータ40において、図6に示す道路勾配推定処理ルーチンが実行される。
【0066】
ステップ100において、車速計測部32、燃料噴射量計測部34、及び位置計測部36の各計測値を取得する。そして、ステップ102において、上記ステップ100で取得した車速と燃料噴射量とに基づいて、燃料消費マップから、対応する駆動力を推定すると共に、信頼度マップから、取得した車速と推定した駆動力とに対応する燃料噴射量の信頼度を取得する。
【0067】
次のステップ104では、上記ステップ100で取得した車速、及び上記ステップ102で推定した駆動力に基づいて、上記(1)式に従って、道路勾配を推定する。ステップ106において、上記ステップ104で推定した道路勾配、上記ステップ100で取得した自車両の位置、及び上記ステップ102で取得した燃料消費量の信頼度を、センター側サーバ14へ送信する。
【0068】
センター側サーバ14では、車載器12から、道路勾配の推定結果、車両の位置、及び燃料消費量の信頼度を受信すると、図7に示すデータ更新処理ルーチンが実行される。
【0069】
まず、ステップ120において、受信した燃料消費量の信頼度及び道路勾配の推定結果を用いて、受信した車両位置に対応する、道路勾配地図における道路勾配値を、上記の(2)式〜(4)式に従って、更新する。
【0070】
そして、ステップ122において、受信した燃料消費量の信頼度を用いて、受信した車両位置に対応する、道路勾配地図における道路勾配値の信頼度を、上記の(5)式〜(7)式に従って、更新する。
【0071】
次のステップ124では、上記ステップ120、122での道路勾配及び信頼度の更新結果を、道路勾配の推定結果を送信した車載器12へ送信して、データ更新処理ルーチンを終了する。
【0072】
また、車載器12では、上記図6に示すように、ステップ108において、センター側サーバ14から、上記ステップ106で送信した道路勾配の推定結果を用いた道路勾配の更新結果を受信したか否かを判定する。センター側サーバ14から、更新結果を受信すると、ステップ110へ進む。
【0073】
ステップ110では、上記ステップ108で受信した道路勾配の更新値を用いて、道路勾配地図記憶部52に記憶している道路勾配地図を更新する。
【0074】
そして、ステップ112では、上記ステップ108で受信した道路勾配の更新値と、上記ステップ100で取得した速度とを用いて、上記(1)式に従って、駆動力を計算し直し、計算した駆動力と、上記ステップ100で取得した速度とに対応する、燃料消費マップの燃料消費量を、上記(8)式〜(10)式に従って更新する。
【0075】
次のステップ114では、上記ステップ108で受信した道路勾配の信頼度の更新値を用いて、上記ステップ112で計算した駆動力と、上記ステップ100で取得した速度とに対応する、信頼度マップの信頼度を、上記(11)式〜(13)式に従って更新して、上記ステップ100へ戻る。
【0076】
上記のように、道路勾配推定処理ルーチンの各処理が繰り返し実行されることにより、センター側サーバ14での道路勾配地図が随時更新される。更に、各車載器12で上記の道路勾配推定処理ルーチンの各処理が実行されることにより、センター側サーバ14での道路勾配地図の各地点の道路勾配が随時更新される。また、各車載器12における、燃料消費マップが随時更新される。
【0077】
また、ドライバが入力操作部38を操作して目的地を入力すると、コンピュータ40において、図8に示す経路探索処理ルーチンが実行される。
【0078】
まず、ステップ130において、位置計測部36によって計測された現在の自車両の位置を取得し、取得した現在の自車両の位置を、出発地として設定すると共に、ドライバにより入力された目的地を示す情報を取得し、目的地を設定する。
【0079】
そして、ステップ132において、経路探索アルゴリズムにより、出発地から目的地までの経路候補を複数検索する。次のステップ134では、上記ステップ132で検索された複数の経路候補に含まれるリンクのうち、算出対象のリンクを1つ選択する。そして、ステップ136において、道路勾配地図記憶部52から算出対象のリンクの道路勾配を取得し、ステップ138において、算出対象のリンクについて、上記ステップ136で取得した道路勾配を用いて、走行コストを算出する。
【0080】
ステップ140では、上記ステップ132で検索された複数の経路候補に含まれる全てのリンクについて、上記ステップ134〜138の処理を行ったか否かを判定し、上記ステップ134〜138の処理が行われていないリンクがある場合には、上記ステップ134へ戻り、当該リンクを算出対象のリンクとして設定する。
【0081】
一方、上記ステップ132で検索された複数の経路候補に含まれる全てのリンクについて、上記ステップ134〜138の処理を行った場合には、ステップ142へ進み、上記ステップ132で検索された複数の経路候補の各々について、総走行コストを算出する。
【0082】
そして、ステップ144において、上記ステップ142で算出された総走行コストが最小となる経路候補を選択し、ステップ146で、選択された経路候補を表示装置42に出力して、経路探索処理ルーチンを終了する。
【0083】
上記経路探索処理ルーチンが実行されると、例えば、車載されたナビゲーションシステムにおいて、探索された目的地までの経路をドライバに対して案内する処理が行われる。
【0084】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る道路勾配推定システムによれば、車両の速度と駆動力との組み合わせ、及び燃料消費量の対応関係を示す燃料消費マップを用いて、道路勾配を推定すると共に、推定するのに用いた燃料消費マップにおける当該燃料消費量の信頼度に応じて、道路勾配地図を更新することにより、車両の計測データを用いて、道路勾配を精度よく更新することができる。また、車両の速度と駆動力との組み合わせ、及び燃料消費量の対応関係を示す燃料消費マップを更新することができるため、道路勾配を更に精度よく推定することができる。
【0085】
また、燃料消費マップから道路勾配を計算し、燃料消費マップの値の信頼度(精度)に応じて道路勾配データを更新する。また、生成された道路勾配データの精度に応じて燃料消費マップを更新することにより、より精度の高い道路勾配地図を構築することができる。また、通信機能を用いて他の車両のデータを組み合わせることにより、道路勾配地図データベースの抜けを減らすだけではなく、自車が未走行の道路勾配データを得ることができる。それにより、初めて走行する道路においても燃費等のコストが極力かからない走り方を提示することができる。
【0086】
また、車載器を搭載した各車両からの道路勾配の推定結果を収集することにより、精度の高い道路勾配地図を提供できるとともに、それぞれの車両の燃料消費マップの精度および信頼度を向上できるため、燃料消費量の推定精度を上げることができる。
【0087】
また、燃料消費マップの、信頼度が高い部分を用いて計算するため、精度のよい道路勾配を推定することができる。さらにその精度の高い道路勾配の地点における燃料消費量を用いて燃料消費マップを更新することにより、車両固有のクセが反映され、燃料消費マップの信頼性が向上する。
【0088】
また、道路勾配を推定するセンサを設置しなくても、道路勾配データを正確に推定できる。また、各車両において燃料消費マップがより正確なものになっていくため、目的地までの燃費の推定精度が向上していく。
【0089】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0090】
第2の実施の形態では、センター側サーバを用いていない点と、車載器において、道路勾配地図の更新を行っている点とが、第1の実施の形態と異なっている。
【0091】
図9に示すように、第2の実施の形態に係る車載器212は、道路勾配地図を記憶する道路勾配地図データベース252と、計測情報取得部56と、燃料消費マップ記憶部58と、駆動力算出部60と、道路勾配推定部62と、道路勾配推定部62により推定された道路勾配に基づいて、道路勾配地図データベース252の道路勾配地図を更新するデータ更新部263と、マップ更新部64と、道路ネットワークデータベース66と、経路候補探索部68と、道路勾配取得部70と、走行コスト算出部72と、経路選択部74とを備えている。なお、道路勾配地図データベース252が、道路勾配地図記憶手段の一例であり、データ更新部263が、道路勾配更新手段の一例である。
【0092】
道路勾配地図データベース252は、各地点の道路勾配を格納した道路勾配地図を記憶していると共に、各地点の道路勾配の信頼度を記憶している。
【0093】
道路勾配推定部62は、駆動力算出部60により算出した自車両の駆動力に基づいて、道路勾配を推定すると共に、道路勾配の推定結果と、計測された自車両の位置と、参照した燃料消費マップにおける燃料消費量の信頼度とを、データ更新部263へ出力する。
【0094】
データ更新部263は、上記の道路勾配の推定結果が入力されると、道路勾配の推定結果及び燃料消費マップの信頼度に基づいて、上記(2)式〜(4)式に従って、道路勾配地図データベース252に記憶された道路地図における、計測された自車両の位置の道路勾配を更新する。データ更新部263は、入力された燃料消費マップの信頼度に基づいて、上記(5)式〜(7)式に従って、道路勾配地図データベース252における、計測された自車両の位置の道路勾配の信頼度を更新する。
【0095】
また、データ更新部263は、更新された道路勾配値及び信頼度を、更新結果として、マップ更新部64へ出力する。
【0096】
マップ更新部64は、データ更新部263による道路勾配の更新結果及び信頼度の更新結果に基づいて、上記(8)式〜(13)式に従って、燃料消費マップ及び信頼度マップを更新する。
【0097】
次に、第2の実施の形態に係る道路勾配推定処理ルーチンについて、図10を用いて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の処理については、同一符号を付して説明を省略する。
【0098】
ステップ100において、車速計測部32、燃料噴射量計測部34、及び位置計測部36の各計測値を自車情報として取得する。そして、ステップ102において、上記ステップ100で取得した車速と燃料噴射量とに基づいて、対応する駆動力を推定すると共に、対応する燃料噴射量の信頼度を取得する。
【0099】
次のステップ104では、上記ステップ100で取得した車速、及び上記ステップ102で推定した駆動力に基づいて、上記(1)式に従って、道路勾配を推定する。ステップ200において、上記ステップ104で推定した道路勾配、及び上記ステップ102で取得した燃料消費量の信頼度を用いて、上記ステップ100で取得した自車両の位置に対応する、道路勾配地図における道路勾配値を、上記の(2)式〜(4)式に従って、更新する。
【0100】
そして、ステップ202において、上記ステップ102で取得した燃料消費量の信頼度を用いて、上記ステップ100で取得した自車両の位置に対応する、道路勾配地図における道路勾配値の信頼度を、上記の(5)式〜(7)式に従って、更新する。
【0101】
次のステップ204では、上記ステップ200で更新された道路勾配の更新結果と、上記ステップ100で取得した速度とを用いて、上記(1)式に従って、駆動力を計算し直し、計算した駆動力と、上記ステップ100で取得した速度とに対応する、燃料消費マップにおける燃料消費量を、上記(8)式〜(10)式に従って更新する。
【0102】
次のステップ206では、上記ステップ202で更新された道路勾配の信頼度の更新結果を用いて、上記ステップ204で計算した駆動力と、上記ステップ100で取得した速度とに対応する、信頼度マップにおける信頼度を、上記(11)式〜(13)式に従って更新して、上記ステップ100へ戻る。
【0103】
上記のように、道路勾配推定処理ルーチンの各処理が繰り返し実行されることにより、道路勾配地図が随時更新されると共に、燃料消費マップが随時更新される。
【0104】
また、ドライバが入力操作部38を操作して目的地を入力すると、コンピュータ240において、上記の第1の実施の形態と同様に、上記図8に示す経路探索処理ルーチンが実行される。
【0105】
以上説明したように、第2の実施の形態に係る車載器によれば、車両の速度と駆動力との組み合わせ、及び燃料消費量の対応関係を示す燃料消費マップを用いて、道路勾配を推定すると共に、推定するのに用いた燃料消費マップにおける当該燃料消費量の信頼度に応じて、道路勾配地図を更新することにより、車両の計測データを用いて、道路勾配を精度よく更新することができる。また、車両の速度と駆動力との組み合わせ、及び燃料消費量の対応関係を示す燃料消費マップを更新することができるため、道路勾配を更に精度よく推定することができる。
【0106】
なお、上記の実施の形態では、内燃機関で駆動する車両に、車載器を搭載した場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、モータで駆動する電気自動車や、ハイブリッド車両に、車載器を搭載してもよい。この場合には、回生エネルギーを考慮した経路探索を行なうようにすればよい。
【0107】
また、燃料消費マップを用いる場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、速度及び駆動力の組み合わせと、燃料消費量との関係を示す関数を用いて、対応する駆動力を推定するようにしてもよい。
【0108】
また、燃料消費マップの信頼度を、読み出し回数を示す値としてもよい。これによって、読み出し回数が多いデータほど、燃料消費マップにおける燃料消費量の信頼度を上昇させることができる。
【0109】
また、エンジン起動時に、道路勾配地図データベースから道路勾配地図をダウンロードする場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、道路勾配地図データベースから道路勾配地図を随時ダウンロードするようにしてもよい。また、ナビ地図更新時など道路勾配データがある程度新しい情報に更新されてから、道路勾配地図をダウンロードするようにしてもよい。
【0110】
また、速度及び道路勾配に応じて変化する車両に関する物理量として、駆動力を用いた場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、速度及び道路勾配に応じて変化する車両に関する物理量として、走行抵抗を用いてもよい。
【符号の説明】
【0111】
10 道路勾配推定システム
12、212 車載器
14 センター側サーバ
16 ネットワーク
16 位置計測部
20 通信部
22、252 道路勾配地図データベース
26、263 データ更新部
30 情報通信部
32 車速計測部
34 燃料噴射量計測部
36 位置計測部
38 入力操作部
40、240 コンピュータ
52 道路勾配地図記憶部
56 計測情報取得部
58 燃料消費マップ記憶部
60 駆動力算出部
62 道路勾配推定部
64 マップ更新部
74 経路選択部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の速度、燃料消費量、及び位置を計測する計測手段、
前記速度と、前記速度及び道路勾配に応じて変化する車両に関する物理量との組み合わせ、及び前記燃料消費量の第1対応関係を記憶すると共に、前記速度と前記物理量との組み合わせ、及び前記第1対応関係において対応する燃料消費量の信頼度の第2対応関係を記憶する対応関係記憶手段、
前記対応関係記憶手段に記憶された前記第1対応関係に基づいて、前記計測手段によって計測された前記速度及び前記燃料消費量の組み合わせに対応する前記物理量を求め、前記計測された前記速度と前記求められた前記物理量とに基づいて、道路勾配を推定する道路勾配推定手段、及び
前記道路勾配推定手段によって推定された前記道路勾配、前記計測された位置、及び前記第2対応関係における、前記計測された前記速度及び前記燃料消費量の組み合わせに対応する燃料消費量の信頼度を送信する送信手段
を含む道路勾配推定装置と、
各地点の道路勾配を格納した道路勾配地図を記憶した道路勾配地図記憶手段、
前記道路勾配推定装置より送信された前記道路勾配、前記位置、及び前記燃料消費量の信頼度を受信する受信手段、及び
前記受信手段によって受信した前記燃料消費量の信頼度に応じて、前記道路勾配地図における前記受信した前記位置の道路勾配を、前記受信した道路勾配を用いて更新する道路勾配更新手段
を含むサーバと、
を含む道路勾配推定システム。
【請求項2】
前記サーバは、前記道路勾配更新手段によって更新された道路勾配を前記道路勾配推定装置へ送信する更新結果送信手段を更に含み、
前記道路勾配推定装置は、前記サーバにより送信された前記道路勾配を受信する更新結果受信手段と、
前記更新結果受信手段によって受信された前記道路勾配に基づいて、前記計測された前記速度と前記求められた物理量との組み合わせに対する燃料消費量を算出し、前記算出された燃料消費量を用いて、前記第1対応関係における、前記計測された前記速度と前記求められた物理量との組み合わせに対する燃料消費量を更新する対応関係更新手段を更に含む請求項1記載の道路勾配推定システム。
【請求項3】
前記道路勾配記憶手段は、各地点の道路勾配及び各地点の前記道路勾配の信頼度を格納した前記道路勾配地図を記憶し、
前記道路勾配更新手段は、前記道路勾配地図における前記受信した位置の道路勾配を更新すると共に、前記道路勾配推定装置より受信した前記燃料消費量の信頼度を用いて、前記道路勾配地図における前記受信した位置の道路勾配の信頼度を更新する請求項1又は2記載の道路勾配推定システム。
【請求項4】
前記サーバは、前記道路勾配更新手段によって更新された道路勾配、及び前記道路勾配の信頼度を送信する更新結果送信手段を更に含み、
前記道路勾配推定装置は、前記サーバにより送信された前記道路勾配を受信する更新結果受信手段と、
前記更新結果受信手段によって受信された前記道路勾配に基づいて、前記計測された前記速度と前記求められた物理量との組み合わせに対する燃料消費量を算出し、前記算出された燃料消費量を用いて、前記第1対応関係における、前記計測された前記速度と前記求められた物理量との組み合わせに対する燃料消費量を更新する共に、前記更新結果受信手段によって受信した前記道路勾配の信頼度を用いて、前記第2対応関係における、前記計測された前記速度と前記求められた物理量との組み合わせに対する燃料消費量の信頼度を更新する対応関係更新手段を更に含む請求項3記載の道路勾配推定システム。
【請求項5】
各地点の道路勾配を格納した道路勾配地図を記憶した道路勾配地図記憶手段と、
車両の速度、燃料消費量、及び位置を計測する計測手段と、
前記速度と、前記速度及び前記道路勾配に応じて変化する車両に関する物理量との組み合わせ、及び前記燃料消費量の第1対応関係を記憶すると共に、前記速度と前記物理量との組み合わせ、及び前記第1対応関係において対応する燃料消費量の信頼度の第2対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、
前記対応関係記憶手段に記憶された前記第1対応関係に基づいて、前記計測手段によって計測された前記速度及び前記燃料消費量の組み合わせに対応する前記物理量を求め、前記計測された前記速度と前記求められた前記物理量とに基づいて、道路勾配を推定する道路勾配推定手段と、
前記第2対応関係における、前記計測された前記速度及び前記燃料消費量の組み合わせに対応する前記燃料消費量の信頼度に応じて、前記道路勾配地図における前記計測された位置の道路勾配を、前記道路勾配推定手段によって推定された道路勾配を用いて更新する道路勾配更新手段と、
を含む道路勾配推定装置。
【請求項6】
前記更新手段によって更新された道路勾配に基づいて、前記計測された前記速度と前記求められた物理量との組み合わせに対する燃料消費量を算出し、前記算出された燃料消費量を用いて、前記第1対応関係における、前記計測された前記速度と前記求められた物理量との組み合わせに対する燃料消費量を更新する対応関係更新手段を更に含む請求項5記載の道路勾配推定装置。
【請求項7】
前記道路勾配記憶手段は、各地点の道路勾配及び各地点の前記道路勾配の信頼度を格納した前記道路勾配地図を記憶し、
前記道路勾配更新手段は、前記道路勾配地図における前記計測された位置の道路勾配を更新すると共に、前記第2対応関係における、前記計測された前記速度及び前記燃料消費量の組み合わせに対応する前記燃料消費量の信頼度を用いて、前記道路勾配地図における前記計測された位置の前記道路勾配の信頼度を更新する請求項5又は6記載の道路勾配推定装置。
【請求項8】
前記更新手段によって更新された道路勾配に基づいて、前記計測された前記速度と前記求められた物理量との組み合わせに対する燃料消費量を算出し、前記算出された燃料消費量を用いて、前記第1対応関係における、前記計測された前記速度と前記求められた物理量との組み合わせに対する燃料消費量を更新すると共に、前記更新手段によって更新された道路勾配の信頼度を用いて、前記第2対応関係における、前記計測された前記速度と前記求められた物理量との組み合わせに対する燃料消費量の信頼度を更新する対応関係更新手段を更に含む請求項7記載の道路勾配推定装置。
【請求項9】
前記物理量を、車両の駆動力又は走行抵抗とした請求項5〜請求項8の何れか1項記載の道路勾配推定装置。
【請求項10】
各地点の道路勾配を格納した道路勾配地図を記憶した道路勾配地図記憶手段と、車両の速度と、前記速度及び前記道路勾配に応じて変化する車両に関する物理量との組み合わせ、及び燃料消費量の第1対応関係を記憶すると共に、前記速度と前記物理量との組み合わせ、及び前記第1対応関係において対応する燃料消費量の信頼度の第2対応関係を記憶する対応関係記憶手段とを備えたコンピュータを、
前記対応関係記憶手段に記憶された前記第1対応関係に基づいて、車両の速度、燃料消費量、及び位置を計測する計測手段によって計測された前記速度及び前記燃料消費量の組み合わせに対応する前記物理量を求め、前記計測された前記速度と前記求められた前記物理量とに基づいて、道路勾配を推定する道路勾配推定手段、及び
前記第2対応関係における、前記計測された前記速度及び前記燃料消費量の組み合わせに対応する前記燃料消費量の信頼度に応じて、前記道路勾配地図における前記計測された位置の道路勾配を、前記道路勾配推定手段によって推定された道路勾配を用いて更新する道路勾配更新手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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