説明

道路反射鏡並びにその製造方法

【課題】道路反射鏡に対象車の距離と速度を推測するための尺度を備えることは出来ないか?
【解決手段】鏡面に経緯線を設け推測の尺度として利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交差点に設置される道路反射鏡、並びに屋内、屋外にて用いられる監視ミラー、安全ミラー、並びにその製造方法に関する。(註:道路反射鏡はカーブミラーとも通常呼ばれるので本願書の記述で反射鏡とミラーは同義と解釈されたい)
【背景技術】
【0002】
従来の道路反射鏡は建物などに視界が遮られた見通しの悪い道路側面に設置されている。平面鏡もあるが殆んどは凸面鏡構造で、材質は樹脂、ステンレスなどで鏡面のサイズはさまざまで最近は屋内、屋外で使用される保安用のものも多い。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の道路反射鏡の凸面鏡構造は限られた鏡面上に広い視野を取り込むのは利点であるが大きな欠点はその映像が我われの通常行なう目視に比べてきわめて歪曲(デフォルム)されたものとなることである。すなわち、遠方の物体の映像は実際よりきわめて小さく、近くの物体の映像は実際より大きく写しだされる。従って物体の移動速度も同様に歪曲され通常の肉眼による目視の感覚からかけ離れたものとなる。よってこの種のミラーによる的確な確認作業は動体認知と運動神経に優れた若年の運転者といえども容易ではない。信号機のある交差点と相違し的確な自己判断を要求されるこの種の交差点での事故が多いのはこのためである。問題解決に考えられる方法は通常の感覚に近い映像を提供する大型の平面鏡の採用であろうが設置する場所に制約があり実現は不可能であり、またカーナビゲーションシステムを利用する電波発信装置を交差点に設置し接近する相手車輌を認識する装置(特願平10−15559)等の開発が試みられているが付帯設備のコストも高く実現にはほど遠いのが現状である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
よって本案は従来のミラーに改良を加えて、より効果的、かつ実用的な新規な構造のミラーを提供する。コストもかからない。すなわち鏡面の表面に[図1]に示すような複数の径線と緯線を設ける。
【0005】
経線の幅は鏡面の屈折率を勘案して中心部は広く外縁部は狭くするものとし中央部には鏡面の中心を示す円形像を設ける。
上述の構造により対象車輌との遠近と車輌の速度の推定に供する一応の尺度を道路反射鏡の鏡面上に初めて設置することになる。このことは従来の単なる鏡面像、すなわちなんらの尺度も図形も有しないミラーと比較すれば有益性は明白である。
【発明の効果】
【0006】
以下に具体例をあげて発明の効果について説明する。[図2]の鏡面外縁部に写る車輌(A)はまだ遠方である。しかしスピードがあればたちまち交差点にさしかかり(A’)のごとき大きな映像で交差点を通過する。この車輌の運動速度は鏡面上に描かれている3本の経線を横切って交差点に近づく車輌の鏡面像を観察することにおいて推測できる。よってこの車輌が通過するまで交差点は横切れないという判断ができる。
【0007】
他の事例について[図3]で説明する。鏡面左方の外縁部に一台の車輌(B)を確認した。数秒後、その位置はまだ(B’)地点であるので運動速度はかなり遅いことが確認できた。よって、この車輌が交差点に到達する前に観察者は交差点通過が可能との判断ができる。これらの判断が従来の鏡面像に比べてより具体的になされるのは鏡面を縦割りに分割し設置した経線のもたらす効果である。
【発明を実施するための他の形態】
【0008】
またこれら鏡面上に経緯線を設ける構造は監視カメラを併用する屋内平面ミラー、安全ミラー等に用いても映像個所の特定において大きな効果を発揮する。
【0009】
また上述の経緯線を反射輝度の大きい塗料、反射材、蛍光材などで形成すれば夜間時の使用にても効果を発揮する。
【0010】
次に[図4]はミラー鏡面に文字を設けて運転者の注意を喚起する[請求項3]に関する説明である。例えば急坂や急カーブの道路には通行車輌に警告する表示が必要である。そのような個所のミラー鏡面に(急坂注意)または(急カーブ注意)等の文字をプリントしたものを設置することが可能になる。文字面の標識を別途に設置する必要もなくコストも軽減できる。
【0011】
交差点に設置されるミラーの運転者までの距離は通常4〜7メートルと観察されるので鏡面の経緯線は2ミリから3ミリもあれば目視で確認できる。それ以上の経緯線の幅は鏡面を狭めるし、また鏡面を煩わしくするので望ましくないと考えられる。またミラー天頂部付近の鏡面は空や風景を通常映すので経緯線は省略してもよいと考えられる。また文字等をプリントするには鏡面の重要部から離れたこの部分が適当と考えられる。
【0012】
多くの交差点を観察するに交差点の状況は双方通行路、一方通行路、直線道路、屈曲路など様々である。多様の形状の製品を準備し、その場面のそれぞれに最適の形態の反射鏡を選択し、最善の効果を得られるように設置することが重要な作業であることは言うまでもない。
【産業上の利用の可能性】
【0013】
この種の構造の道路反射鏡の出願は見当たらないので海外諸国においても採用の可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】は経緯線が設けられた道路反射鏡の正面図である。
【図2】は反射鏡鏡面における一場面の説明図である。
【図3】は反射鏡鏡面における一場面の説明図である。
【図4】は鏡面に文字を表示した反射鏡正面図である。
【符号の説明】
【0014】
1 鏡面
2 緯線
3 経線
4 鏡面中心図形
5 道路センターライン
A 対象車
A’ 対象車
B 対象車
B’ 対象車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡面上に経緯線や図形等が設置されており、それらを鏡面上の実際の映像と対比観察させることにより対象車との遠近の距離とその速度の認識に役立てる道路反射鏡。
【請求項2】
前記請求項1の経緯線や図形等を反射輝度の高い塗料、反射材、蛍光材などで鏡面上に形成し夜間においても使用に供する道路反射鏡。
【請求項3】
前記請求項1、および請求項2の鏡面に文字や図形等を施し運転者の注意を喚起する道路反射鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−185593(P2009−185593A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56986(P2008−56986)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(598148360)
【Fターム(参考)】