道路用防護柵
【課題】ビームパイプの連結及び支柱へ取付けるボルト接合をインナースリーブの中空部へ挿入したナット保持部材を使用して可能にした道路用防護柵を提供する。
【解決手段】インナースリーブ3の中空部内に、前記インナースリーブ3の直交する方向及び長手方向への移動を止める位置決め手段を備え、ナット6を回り止め状態に保持し、係止部を有するナット保持部材5が挿入され、同ナット保持部材5の各ナット6がインナースリーブ3の各ボルト孔と合致され、ビームパイプ4がその各ボルト孔をインナースリーブ3の各ボルト孔と一致する配置で嵌め込まれボルトをナット保持部材5の対応するナット6へねじ込み接合される。又、支柱1にブラケット2が取り付けられており、同ブラケット2のパイプ受け部に、上記ビームパイプ4が当てがわれ、同パイプ受け部からボルト9、11を差し入れナット保持部材の対応するナット6へねじ込む。
【解決手段】インナースリーブ3の中空部内に、前記インナースリーブ3の直交する方向及び長手方向への移動を止める位置決め手段を備え、ナット6を回り止め状態に保持し、係止部を有するナット保持部材5が挿入され、同ナット保持部材5の各ナット6がインナースリーブ3の各ボルト孔と合致され、ビームパイプ4がその各ボルト孔をインナースリーブ3の各ボルト孔と一致する配置で嵌め込まれボルトをナット保持部材5の対応するナット6へねじ込み接合される。又、支柱1にブラケット2が取り付けられており、同ブラケット2のパイプ受け部に、上記ビームパイプ4が当てがわれ、同パイプ受け部からボルト9、11を差し入れナット保持部材の対応するナット6へねじ込む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビームパイプによる道路用防護柵の技術分野に属し、更に云うと、ビームパイプの連結及び支柱へ取付けるボルト接合をインナースリーブの中空部へ挿入したナット保持部材を使用して可能にすると共に、意匠性と景観性、更には安全性を高めた道路用防護柵に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、隣接するビームパイプ同士を一連にボルト接合し、支柱に取付けたブラケットへ前記ビームパイプをボルト接合により取り付けて成る道路用防護柵が広く実用に供されている。
上記ビームパイプによる道路用防護柵は、前記ビームパイプが人の手を差し入れることができない程に小径で、ビームパイプの中空部内でボルト接合用のナットを保持することが困難ないし不可能なので、ナット保持部材を使用することが知られている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1に開示された道路用防護柵は、支柱に支持されたジョイントパイプとビームパイプをボルト接合するにあたり、平プレートにナットを固着し、更に前記平プレートに吸盤を取り付けてナット保持材を構成し、このナット保持材をジョイントパイプの内部へ挿入し、吸盤を吸着させて平プレートおよびナットの位置を決めボルト接合を可能にする構成が開示されている。
しかし、上記ナット保持材は、横断面が円形のビームパイプであると、吸着面が円弧状となり、連結具の吸盤を所望位置へきっちり吸着させることが難しい。また、一般的にビームパイプの内面は研磨していない粗面であることが多く、吸着板を吸着させることはそもそも困難である。
【0004】
また、下記の特許文献2に開示された道路用防護柵は、支柱に支持されたジョイントパイプとビームパイプをボルト接合するにあたり、断面が溝形状の保持材の溝中にナットをカシメて固定したナット保持材をジョイントパイプの内部へ挿入し、前記ナットとボルト孔の位置を合致させた上で、ナット保持材をリベット止め、或いはタッピングビス止め等の手段でジョイントパイプへ位置決めしてボルト接合する構成が開示されている。
【0005】
しかし、溝形状の保持材の溝中へナットを固定するためには、カシメ加工が必要で、加工に手間がかかるのでコストが嵩む。また、前記ナット保持材をジョイントパイプの内部へ挿入し、そのナットとボルト孔の位置を合致させた上で、リベット止め、或いはタッピングビス止め等の手段でナット保持材を位置決め固定する作業に技術的な熟練と多くの加工手間並びに工費を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭55−48909号公報
【特許文献2】実開平2−6717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した特許文献1及び2には、道路用防護柵を構成するビームパイプの中空部が人の手を差し入れられない程小径であったり、或いはビームパイプの中空部内へボルト接合のためのナットを差し入れて保持することが困難ないし不可能な場合のボルト接合に対処する手段として、それぞれのボルト接合の条件に応じた解決策が提案されている。
しかし、各先行技術に共通して見られる問題点は、ナット保持材をビームパイプの中空部内へ挿入し、そのナットの位置をボルト孔と合致させ、安定状態に位置決め保持する手段に難渋するもので、作業効率が悪く、施工精度にバラツキを生じる点が指摘されている。
したがって、ビームパイプのボルト接合に有効なナット保持材を使用した道路用防護柵が期待されているが、現在、そのような技術は見聞きしないし開示もない。
【0008】
本発明の目的は、上記の問題点を解決することであり、ビームパイプの連結及び支柱へ取り付けるボルト接合を、使い勝手に優れたナット保持部材を使用して行う道路用防護柵を提供することにある。
本発明の次の目的は、ビームパイプの上面側に通行人が当たると負傷しやすいボルト頭等の突起物を生じさせない構成とし、更に車道の外側又は車道側から見ても、ボルト頭やナット、或いはボルト軸部などの露出が極力少なく、視界に入りにくく、ビームパイプ同士の連結の際にその突き合わせ目地が1本のみに形成されて、意匠性、景観性に優れ、ナットの出っ張りのない安全な道路用防護柵を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る道路用防護柵は、
隣接するビームパイプ同士を一個の共通なインナースリーブを介して一連にボルト接合し、支柱にブラケットを取付け、当該ブラケットへ当該ビームパイプをボルト接合により取り付けて成る道路用防護柵であって、
前記ビームパイプ同士を連結する前記インナースリーブの中空部内にはナット保持部材が挿入され、
前記ナット保持部材は、前記インナースリーブの管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状とされ、当該インナースリーブの各ボルト孔と一致する配置でナットを回り止め状態に保持するナット嵌め込み部と当該ナットの抜け止めを防止する係止部を備えており、
前記ナット保持部材のナットは、前記インナースリーブのボルト孔と合致する位置に位置決めされており、
前記ビームパイプは、前記インナースリーブと前記ビームパイプのボルト孔とが一致する配置となるように、当該インナースリーブの外周面へ嵌め込まれ、そのボルト孔の外方から内向きに挿入したボルトを前記ナット保持部材の対応するナットへねじ込み接合されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載した道路用防護柵において、
ナット保持部材は、インナースリーブの長手方向に対する移動を止める位置決め手段を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載した道路用防護柵おいて
インナースリーブの長手方向に対する移動を止める位置決め手段は、ナット保持部材に保持されたナットを、インナースリーブのボルト孔と当該インナースリーブの長手方向に関して一致させるために、当該インナースリーブに設けた位置決め部へ挿し入れることを可能に突設させた位置決めストッパであり、
前記位置決めストッパは、前記ナット保持部材の外周面に備わることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか一に記載した道路用防護柵において、
インナースリーブには、その長手方向に連続する開口隙間が形成されており、
ナット保持部材の外周面には、当該ナット保持部材のナットを前記インナースリーブのボルト孔と一致させる、当該ナット保持部材の周方向に関する位置決め手段として、前記開口隙間へ挿し入れることが可能に突設させたスライドガイドを備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか一に記載した道路用防護柵において、
ナット保持部材は、インナースリーブの中空部内へ挿入する際、あるいは当該中空部から取り外す際に使用する掴み部を備えていることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5に記載した道路用防護柵において、
ナット保持部材は、インナースリーブの中空部内へ挿入する向きを確認させる目印を設けた掴み部を備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか一に記載した道路用防護柵において、
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットの外径よりも若干大きく形成され、当該ナット嵌め込み部へ嵌め込まれたナットは、当該ナット嵌め込み部の中で回らない程度に緩く保持されていることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか一に記載した道路用防護柵において、
ナット保持部材のナット嵌め込み部には、少なくともナットの外周面と接する範囲に、当該ナットを保持する形状で金属板が埋め込まれていることを特徴とする。
【0014】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか一に記載した道路用防護柵において、
ナット保持部材は、合成樹脂で形成されていることを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項1ないし9のいずれか一に記載した道路用防護柵において、
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットを横向きにスライドさせて嵌め込み可能に一側を切り欠いた挿入部が形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項11記載の発明は、請求項1ないし10のいずれか一に記載した道路用防護柵において、
ブラケットにビームパイプを当てがってボルト接合する際のボルトは、ナット保持部材に保持されるナットにねじ込まれていることを特徴とする。
【0016】
請求項12記載の発明は、請求項1ないし11のいずれか一に記載した道路用防護柵において、
ブラケットは、支柱に対して車道の外側から車道側に向けて水平方向に貫通させたボルトの他端へ当該ブラケットに設けられたボルト孔を通してナットを締結して取り付けられており、
インナースリーブとボルト接合されたビームパイプは、前記ブラケットのナット締結部位から車道側へ突き出されたパイプ受け部に当てがわれ、当該パイプ受け部に設けられたボルト孔と当該ビームパイプのボルト孔とを合致させ、当該パイプ受け部の背面側から当該ボルト孔へボルトを差し入れ、前記ナット保持部材の対応するナットへねじ込み結合されて成ることを特徴とする。
請求項13記載の発明は、請求項1ないし12のいずれか一に記載した道路用防護柵おいて、
インナースリーブとビームパイプを接合したボルト、及びブラケットとビームパイプとを夫々接合したボルトは、その頭頂部が平らに形成されており、車道の外側下面側から上向きないし斜め上向き方向にねじ込まれていることを特徴とする。
【0017】
請求項14記載の発明は、請求項1ないし13のいずれか一に記載した道路用防護柵おいて、
隣接する同径のビームパイプ同士は、前記ビームパイプの中空部内へ挿入したインナースリーブの略中央位置で当接状態で連結されており、前記ビームパイプ同士の突き合わせ目地が1本のみに形成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項15記載の発明は、請求項1ないし14のいずれか一に記載した道路用防護柵のおいて、
支柱を水平方向に貫通させたボルトの他端及び同他端へ締結したナットは、前記ボルトおよびナットで支柱へ固定されたブラケットの固定部位からその上方部を迂回して車道側へ突き出されたパイプ受け部により上面部が覆われていると共に、同ブラケットの前記固定部位からその上方部を迂回して車道側へ突き出されたパイプ受け部が形成する隙間部へ横方向から嵌め込まれたナットカバーにより側面部を覆われ、前記ナットは前記ナットカバーにより平行な2辺を挟まれて回り止めされていることを特徴とする。
【0019】
請求項16記載の発明は、請求項1ないし15のいずれか一に記載した道路用防護柵において、
支柱を水平方向に貫通させたボルトの他端及び同他端へ締結したナットは、前記ボルトおよびナットで支柱へ固定されたブラケットの固定部位からその上方部を迂回して車道側へ突き出されたパイプ受け部により上面部が覆われていると共に、同ブラケットの前記固定部位からその上方部を迂回して車道側へ突き出されたパイプ受け部が形成する隙間部へ横方向から嵌め込まれたナットカバーにより側面部を覆われ、前記ブラケットの固定部位の下辺を略V字形に折り返したリップによってナットの一辺が回り止めされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1〜12に記載した発明に係る道路用防護柵は、ビームパイプ同士をインナースリーブを利用して一連に接続するボルト接合を、予めボルト孔を設けたビームパイプの中空部内へ、インナースリーブのボルト孔と一致する配置でナットを回り止め状態に保持し、同ナットの抜け止めを防止する係止部を有するナット保持部材を挿入し、その各ナットをビームパイプの対応するボルト孔と合致させる操作のみで位置決めができ、ボルト孔の外から内向きにボルトを通し、ナット保持部材の対応するナットへねじ込み接合する作業を容易に行える。
【0021】
特に、ナット保持部材は、前記インナースリーブの管軸方向に対して直交する方向への移動及び長手方向への移動を止める位置決め手段を備えているので、ビームパイプの中空部内へ所定の態様で挿入するだけで、インナースリーブのボルト孔に対する各ナットの位置を一致させること、および位置の保持が簡単に確実に行え、ボルト接合を手際良く(又は効率良く)的確に行え、もって品質精度の高い道路用防護柵を構築できる。
【0022】
また、ビームパイプとブラケットとのボルト接合も、インナースリーブを介して連結されたビームパイプを、支柱に取付けられたブラケットのパイプ受け部へ当てがい、やはり同パイプ受け部のボルト孔とビームパイプのボルト孔とを合致させるだけの位置決め操作のみで、同パイプ受け部の背面側からボルト孔へボルトを差し入れ、ナット保持部材の対応するナットへねじ込み結合して実施できる。
つまり、前記ナット保持部材が、ビームパイプとインナースリーブとのボルト結合、及びビームパイプとブラケットとのボルト接合に必要な個数のナットを、ビームパイプ及びブラケットが備えるボルト孔と一致する配置に、言わば3次元方向に任意所望の向きに保持させるので、上記のボルト接合を率良く確実ならしめるのである。
【0023】
このナット保持部材をビームパイプの中空部内へ挿入し又は逆に抜き出す操作は、棒状部材の端部に設けた掴み部を掴むことで容易、確実に行うことができるし、また、掴み部の目印を目視、又は手で掴んだ際の感触で確認することにより、挿入方向の確認もできる。
棒状部材に埋めた各ナットは、ナット嵌め込み用孔の孔壁との間で供回りはしない程度に緩く埋め込まれているから、ボルト接合時に差し入れた接合ボルトとナットの芯合わせとボルト締め作業をボルトの操作のみで自在に行えるので、ネジ接合当初の位置合わせ(ネジ始端の探索ないし整合)も含めて的確に迅速に行うことができ、作業能率の良いボルト接合作業を行うことができる。
【0024】
また、ナット保持部材に設けられたナット嵌め込み部には、ナットを横向きにスライドして嵌め込み可能に一側を切り欠いた挿入部が形成されているので、非常にスムーズなナットの嵌め入れ作業が可能となるのみならず、スライドして嵌め入れるのでナットを落下させてしまう等の作業ミスを防止できる。のみならず、ナット保持部材の成形部材の使用材料量を大幅に節約して軽量化を図る肉盗み効果を期待できる。
【0025】
請求項13及び14に記載した道路用防護柵は、インナースリーブとビームパイプを接合したボルト、及びブラケットとビームパイプとを夫々接合したボルトが、その頭頂部が平らに形成されており、両ボルトには車道の外寄り下面側から上向き乃至斜め上向き方向にねじ込まれている。更に、隣接する同径のビームパイプ同士は、インナースリーブの略中央位置で当接状態で連結されて、その突き合わせ目地が1本のみに形成される構造としたので、歩道の外側から見ても、車道側から見ても、ボルトの頭やナット、目地部の露出が極力少なくなって、視界に入りにくく、見た目の意匠性、及び景観性に優れる。のみならず、ビームパイプの上面側に通行人が当たって負傷しやすい突起物を可及的に排除した構成であるので、ビームパイプに捕まり伝い歩きをした人や、ビームパイプに接触した人が不用意に負傷する心配が無く安全性の高い道路用防護柵を実現できる。
【0026】
のみならず、請求項15及び16の発明は、支柱を水平方向に貫通させてブラケットを接合するボルト及びナットが、ブラケットのパイプ受け部で上面部が覆われると共に、その隙間部に設けたナットカバーにより側面部が覆われて、前記ブラケット接合用のボルトの軸部やナットを完全にブラケット内へ収めて、視認できない構成としたので、やはり意匠性、景観性の向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のボルト接合構造を実施した道路用防護柵を一部を破断して示した平面図である。
【図2】上記道路用防護柵の上部を示した正面図である。
【図3】図2に示した道路用防護柵の側面図である。
【図4】図3に示した側面図の拡大図である。
【図5】A図は上記道路用防護柵を構成するインナースリーブとビームパイプとの関連する構成、特にボルト孔の配置関係を示した正面方向の分解図、B図はインナースリーブの側面図である。
【図6】ナット保持部材の一例を示した斜視図である。
【図7】同上ナット保持部材の平面図である。
【図8】A図は同上ナット保持部材の右側面図、B図は図7のB−B線矢視に沿って切断した断面図、C図は図7のC−C線矢視に沿って切断した断面図である。
【図9】図7の9−9線矢視方向に切断してナット保持部材の位置決め手段を示した断面図である。
【図10】図7の10−10線矢視方向に切断してナットの拘束状態を示した断面図である。
【図11】ナット保持部材の異なる実施例を示した斜視図である。
【図12】同上ナット保持部材の平面図である。
【図13】A図は同上ナット保持部材の右側面図、B図は図12のB−B線矢視に沿って切断した断面図、C図は図12のC−C線矢視に沿って切断した断面図、D図は図12のD−D線矢視に沿って切断した断面図である。
【図14】A、Bは、ナット保持部材の異なる実施例を示した斜視図である。
【図15】A、Bは、ナット保持部材の異なる実施例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は隣接するビームパイプ4、4同士を一個の共通なインナースリーブ3を介して一連にボルト接合し、支柱1にブラケット2を取付け、該ブラケット2へ前記ビームパイプ4をボルト接合により取り付けて成る道路用防護柵である。
この道路用防護柵は、先ず前記ビームパイプ4、4同士を連結するインナースリーブ3の中空部内に、インナースリーブ3の各ボルト孔3aと一致する配置でナット6を回り止め状態に保持し、同ナット6の抜け止めを防止する係止部53を有するナット保持部材5が挿入され、同ナット保持部材5の各ナット6がインナースリーブ3の各ボルト孔3aと合致する位置に位置決めされている。
当該インナースリーブ3の外周面へ、ビームパイプ4がその各ボルト孔4aをインナースリーブ3のボルト孔3aと一致する配置で嵌め込まれ、そのボルト孔の外方から内向きに挿入したボルト9、10をナット保持部材5の対応するナット6へねじ込み接合がされる。
【0029】
次に、支柱1に車道の外側から車道側に向けて水平方向に貫通させたボルトの他端へナットを締結してブラケット2が取り付けられ、同ブラケット1の前記ナット締結部位から車道側へ突き出されたパイプ受け部2aに、上記インナースリーブ3を介してボルト接合されたビームパイプ4Rが当てがわれ、同パイプ受け部2aに設けられたボルト孔とビームパイプ4の前記ボルト孔4a−3とを合致させ、同パイプ受け部2aの背面側からボルト孔へボルト11を差し入れ、ナット保持部材5の対応するナット6へねじ込み接合される。
【実施例1】
【0030】
以下に、本発明を図示した実施例に基づいて説明する。
図1〜図3は、ビームパイプ4の連結及び支柱1へのボルト接合を、例えば図6に示すナット保持部材5を使用して構築した道路用防護柵の実施例を示している。
【0031】
先ず、道路用防護柵のビームパイプ4の各ボルト接合に使用するナット保持部材5の構成について具体的に説明する。
ナット保持部材5は、図6に示すように、その外周面の形状が、前記インナースリーブ3の中空部内へ挿入され、同インナースリーブ3の内面へ内側から接して、同インナースリーブ3の管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状とされている。これは、ナット保持部材5の直径をインナースリーブ3の中空部の直径よりもほんの少しだけ小径にして同インナースリーブ3内へきっちりと収め、管軸に対して直交する方向への移動を制限する形状である。これはいわゆる3次元の向きにナット6を保持できる形状である。そして、位置決め手段の一つとしてのナット保持部材5の形状は、ナット保持部材5の外周面とインナースリーブ3の内周面との摩擦力が得られるような形状である。つまり、位置決め作用に適度な大きさの摩擦力を発生するように、ナット保持部材5の外周面に突き出された突起部分、或いはインナースリーブ3の中空部内面に密接して位置決め作用に適度な大きさの摩擦力を発生する大きさ(外径)とした横断面形状とされる。ナット保持部材5を上記の形状とすることで、閉鎖空間であるインナースリーブ3の中空部に、いわゆる3次元の向きにナット6を保持でき、かつ通常のナット保持部材では作業が困難な閉鎖空間への仮止め作業が非常に容易に可能となる。
上記ナット保持部材5の位置決め手段を得るための外周面の形状はこの限りではなく、以下に説明する構成の位置決め手段を備えることが好適に実施される。
【0032】
このナット保持部材5の外周面には、前記インナースリーブ3のボルト孔3a(図5参照)と一致する配置で、ナット6が回り止め状態に嵌め込まれるナット嵌め込み部51が設けられている。前記ナット嵌め込み部51には、嵌め込まれたナット6が抜け外れないように保持する係止部53を備えている。要するに、このナット保持部材5は、その管軸方向と周方向に、インナースリーブ3に予め設けられたボルト孔3a(図5)の個数および配置に対応する配置で、いわゆる3次元の向きにナット6を保持できる長さと外径の成形部材50を主体として構成されている。
【0033】
本実施例の場合、インナースリーブ3の全長は約264mmであるが、図1および図2に示したように、ビームパイプ4は、インナースリーブ3の左右両側から同インナースリーブ3の全長の1/2長さずつ嵌め込んでボルト接合される。そのためインナースリーブ3には、図5に示したように、インナースリーブ3の長手方向の中間部分を境に、左右に対称な配置で複数のボルト孔3a…が、いわば二つの孔群として設けられている。このためナット保持部材5は、左右二つの孔群に対して1個々ずつ合計2個使用される。必然的に、ナット保持部材5の主体である成形部材50の長さは、インナースリーブ3の長さを約二等分した約130mm程度の長さに形成されている。もっともインナースリーブ3における左右二つのボルト孔群3aを1個のナット保持部材5でカバーするべく、ナット保持部材5をインナースリーブ3の全長に及ぶ長さで構成しても良い。
【0034】
ナット保持部材5の主体である成形部材50の外周面は、図示した実施例の場合、インナースリーブ3の内径がφ32mmであるのに対し、上記したように同インナースリーブ3の管軸に対し直交する各方向への移動が制限される形状とされている。図4ではインナースリーブ3の内周面へ接触した形状を示しているが、後述する位置決め手段の機能を害さない程度のガタを有する形状であっても良い。
本実施例の成形部材50は、大量生産に適して安価に軽く製造でき、取り扱いが容易であるように、熱硬化性又は熱可塑性の合成樹脂、例えばフェノール樹脂やエポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等々を使用して成形することができる。また、低・中発泡ないし高発泡のポリスチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等で成形して実施することも好適である。非発泡の合成樹脂製として実施することもできるし、木製や金属製として製作し実施することもできる。
【0035】
上記成形部材50には、上記インナースリーブ3に設けられたボルト孔3aの配置および個数に合致する配置で、ナット6を回り止め状態に嵌め込むナット嵌め込み部51が設けられている。
具体的には図6〜図10に示したとおり、成形部材50には、ナット6の嵌め込み位置に、ナット嵌め込み用の孔51が、同成形部材50の中心線と直交する方向に貫通する形態で設けられている。このナット嵌め込み用孔51は、嵌め込んだナット6がボルト接合の作業時に共回りしない程度に固定する形状、大きさに成形されている。
このナット嵌め込み用孔51を貫通形態に設けた理由は、成形部材50の使用材料量を減量化し、軽量化する肉盗みにより、製造原価を引き下げるためである。ナット嵌め込み用孔51は、図示した正六角形のナット6を楽に挿入でき、かつ同ナット6を接合するボルトの先端で多少ぐらつかせられる余裕をもつ大きさの六角形状として、以下の構成に設けられている。
【0036】
ナット嵌め込み用孔51には、成形部材50の外周面からナット6の高さ相当の寸法だけ入った内部に、ナット6の底面を座らせる段部52が形成されている。ナット嵌め込み用孔51へ嵌め入れたナット6は、その底面を前記段部52へ座らせて回り止め状態に落ち着かせる構成とされている。したがって、前記段部52より以深のナット嵌め込み用孔51の貫通形状と大きさは、ナット6へねじ込まれるボルトの先端部が、ナット嵌め込み部へ当たることの無いように、また、成形部材50の使用材料量の減量化と軽量化の目的を達する肉盗みの必要の形態に形成する。一方、前記段部52へ落ち着いたナット6の上面は、成形部材50をインナースリーブ3の中空部内へ挿入する際に支障とならない程度に、同成形部材50の外周面よりも少し沈み込んで外周面近傍に露出する状態にナット嵌め込み用孔51内に嵌め込まれている。
【0037】
上記のようにナット嵌め込み用孔51内へ挿入されたナット6が不用意に浮上して抜け外れる不都合を防ぐため、ナット保持部材5には、ナット6の上面を押さえる係止部53が、次のように設けられている。
図7と図10では、ナット嵌め込み用孔51の入口部分に、六角形の一つの辺の中央部位に、成形部材50の構成材料を弾性変形可能な形状に成形した構成で設けられている。つまり、ナット6は、ナット嵌め込み用孔51の入口部分に在る弾性変形可能な形状の係止部53を押しのけてナット嵌め込み用孔51の中へ挿入されると、直ちに係止部53が働いて止め、ナット6が不用意に浮上したり抜け外れることを防止する。しかし、この係止部53を少し押しのけることにより、用済みのナット6は簡単に抜き外して回収できる。
【0038】
次に、上記構成のナット保持部材5を、上述したインナースリーブ3の中空部内へ挿入した際に、保持させた各ナット6を、インナースリーブ3の対応するボルト孔3a(図5Aを参照)と合致する位置へきちんと機械的に位置決めする手段が、成形部材50の外周面に次のように設けられている。
特には図9に示したとおり、ナット保持部材5において、成形部材50の長さ方向の中央部に位置するナット嵌め込み用孔51の外周部位に、インナースリーブ3の長手方向へ一定幅の板状に突き出るスライドガイド54が、成形部材50の材料で一体成形した突部として設けられている。
このスライドガイド54の用途および使用法は、適用対象であるインナースリーブ3の管壁の長手方向に連続するように形成された開口隙間3b(通例、この開口隙間3bは帯鋼板を丸めて成形した際の目地隙間である。図5Bを参照。)へ通して挿入する。かくすると、当該ナット保持部材5を、インナースリーブ3の中空部内で周方向へは回転しない状態に位置決めすることができる。したがって、このスライドガイド54は、インナースリーブ3の開口隙間3bへ嵌めて通すことが容易、確実な形状、大きさの突部として設けられている。
【0039】
次に、ナット保持部材5を、インナースリーブ3の中空部内へ、例えば上記スライドガイド54を開口隙間3bへ嵌めて挿入した場合に、同インナースリーブ3の管軸方向の位置決め手段として、やはり成形部材50の外周面へ突き出る凸部である位置決めストッパ55が設けられている。即ち、インナースリーブ3の中空部内へ挿入したナット保持部材5の各ナット6が、インナースリーブ3の対応するボルト孔3aと合致する位置へ到達すると、その位置に合わせてインナースリーブ3へ予め設けた位置決め部3cへ位置決めストッパ55が挿し入れられて止まり、位置決めがなされるのである。
図9に示す実施例では、位置決めストッパ55は、上記スライドガイド54を設けたナット嵌め込み用孔51において、貫通側の開口部の縁から成形部材50の外周面に突き出る突部として、やはり成形部材50の材料により一体的に形成された構成を示している。この位置決めストッパ部55に対して、インナースリーブ3には、前記位置決めストッパ55を挿し入れて止める位置決め部3cが貫通孔として設けられた構成の実施例を示している。
【0040】
したがって、ナット保持部材5は、インナースリーブ3の中空部内へ、上記スライドガイド54を開口隙間3bへ嵌めて単に押し込んで挿入すればよい。そうするとナット保持部材5の挿入過程で、上記位置決めストッパ部55が位置決め部3cへ挿し入れられて止まる手応えを感じて手を離すと、ナット保持部材5の各ナット6はインナースリーブ3の対応するボルト孔3aと合致させることができる。
【0041】
なお、図9に示す実施例のように、インナースリーブ3の位置決め部3cを貫通孔として設ける場合には、この位置決め部3cへ挿し入れる位置決めストッパ55は、インナースリーブ3の外側からドライバー等で押し込み操作が可能で弾性変形可能な形状、構造の構成とするのが好ましい。このように構成すると、インナースリーブ3に設けた位置決め部3cたる孔を通じて外部から入れたドライバー等により、位置決めストッパ55を押し込んだ状態(位置決め部から外した状態)にして、ナット保持部材5を動かすことが可能である。したがって、用済みとなったナット保持部材5はインナースリーブ3から簡単に抜き外して回収することができる。
【0042】
次に、図6と図7に示した実施例では、ナット保持部材5を、インナースリーブ3の中空部内へ挿入する際、又は逆に用済みになったナット保持部材5を引き抜く際に大なり小なりの抵抗力が発生することを考慮して、前記の挿入又は引き抜き操作の便利のために、ナット保持部材5の両端部に掴み部56が設けられた構成を示している。のみならず掴み部56の先端部の上下両面には、指先で掴みやすく又は滑り難くするグリップエンド56aが形成されている。したがって、ナット保持部材5をインナースリーブ3の中空部内へ挿入する作業、又は引き抜く作業時には、前記掴み部56を指先でしっかりと掴むことができ、インナースリーブ3の中空部内への出し入れ操作を簡単、確実に容易に行うことができる。
【0043】
なお、図7および図8Aに明瞭な掴み部56の凹み56bは、ナット保持部材5の両端の掴み部56の一方にのみ設けられている。この凹み56bの意義は次のとおりである。図5のインナースリーブ3に設けられたボルト孔3aの配置が左右対称であることを見れば、図6、図7に示した構成のナット保持部材5は、図5のインナースリーブ3の右半分のボルト孔3aに対して右端から左方へ挿入するべきであり、逆に同左半分のボルト孔3aに対して左端から右方へ挿入するべきことを理解されるであろう。前記したナット保持部材5の挿入方向の勝手を、目視又は手で掴んだ際の感触で確認を容易にさせるため、掴み部56に凹み56bが形成されている。
【0044】
次に、上記構成のナット保持部材5を使用してビームパイプ4同士の連結及び支柱1へ取り付けるボルト接合について説明する。
先ず、上記各ボルト接合作業に先行して、予め支柱1の上端へブラケット2が、その上端部を車道側に向かって水平方向(直径線方向)に貫通させたボルト7とナット8と取り付けられている。
このボルト7の他端及び同他端へ締結したナット8は、図1及び図4に示すように、前記ボルト7およびナット8で支柱へ固定されたブラケット2の固定部位からその上方部を迂回して車道側へ突き出されたパイプ受け部2aにより上面部が覆われていると共に、同ブラケット2の前記固定部位からその上方部を迂回して車道側へ突き出されたパイプ受け部2aが形成する隙間部へ横方向から嵌め込まれたナットカバー2b、2bによりその側面部を覆われている。したがって、前記ボルト7の軸部やナット8が完全にブラケット2内へ収まり視認しにくい構成なので、意匠性や景観性に優れている。
【0045】
また、前記ナット8は前記ナットカバー2b、2bにより平行な2辺を挟まれて回り止めとされ、前記ブラケット2の固定部位の下辺を略V字形に折り返したリップ2cによってナット8の一辺が回り止めされる構成とされている。勿論この限りではなく、単に前記ナットカバー2b、2bのみでナット8の回り止め効果をならしめる構成であってもよいし、前記略V字形に折り返したリップ2cのみでナット8の回り止め効果をならしめる構成で実施することもできる。
【0046】
上記のように支柱1へ取り付けたブラケット2へインナースリーブ3を介してビームパイプ4を取り付けるべく、先ず、インナースリーブ3に上述したナット保持部材5が取り付けられる。即ち、図5Aに示すように、インナースリーブ3のボルト孔3aの配置および個数と合致するようにナット嵌め込み部51を形成したナット保持部材5を、インナースリーブ3の左右両端の開口部からその中空部内へ左右2個挿入して使用し位置決めが行なわれる。
同ナット保持部材5の挿入作業は、インナースリーブ3のボルト孔3aの配置に垂らして、ナット保持部材5の挿入方向を定め、それを掴み部56の凹部56bの有無により予め確認しておく。そして、挿入方向を定めたナット保持部材5の先端を、インナースリーブ3の開口端部へ差し込み、且つ、インナースリーブ3の開口隙間3bへ上記スライドガイド54を嵌め合わせて単純に押し込む。そうすると、挿入過程の進みに応じて、インナースリーブ3のボルト孔3aとナット保持部材5の各ナット6の位置が合致する時機がくる。と同時期に、ナット保持部材5の位置決めストッパ55が、インナースリーブ3に予め設けてある位置決め部3cへ嵌って行き止まる。それをナット保持部材5を押す手指の感触として感じて止めると、インナースリーブ3の各ボルト孔3aとナット保持部材5の各ナット6の位置が合致した状態になる。他に両者の位置合わせのための確認や処理、操作を行う必要性は無用である。
【0047】
かくして、ナット保持部材5をインナースリーブ3内へ挿入すると、続いて例えば、右側のビームパイプ4Rの中空部内へ前記インナースリーブ3を中間位置まで挿入する。つまり、インナースリーブ3の左側半分がビームパイプ4Rの先端部から突き出た状態となる。
そして、ビームパイプ4Rの端部に予め設けてあるボルト孔4a(4a−1〜4a−3)を、インナースリーブ3の各ボルト孔3aの位置と合致させる。当然のことながら、インナースリーブ3の各ボルト孔3aの配置および個数と、ビームパイプ4Rのボルト孔4a配置および個数とは予めぴったり一致させた加工を行っている。したがって、ビームパイプ4Rのボルト孔4aとインナースリーブ3の各ボルト孔3aの配置とを合致させると、必然的に同インナースリーブ3の中空部内へ先に挿入したナット保持部材5の各ナット6の位置ともぴったり合致した状態になる。そこで先ず、ビームパイプ4Rのボルト孔4a−1およびその内方寄りに隣接して位置するボルト孔4a−2(以上、図5Aを参照)へボルト9、10を差し入れ(図1〜図4を参照)、ナット保持部材5の対応するナット6へねじ込み締結することにより、ビームパイプ4Rとインナースリーブ3との強固なボルト接合を行うことができる。前記インナースリーブ3とビームパイプ4を接合するボルト9、10は、その頭頂部が平らに形成されており、車道の外寄り下面側から上向き方向にねじ込まれている(図4参照)。したがって、車道の外側から見ても、車道側から見ても、ボルトの頭やナットの露出が極力少なくなって、視界に入りにくく、意匠性や景観性に優れる。
現段階のビームパイプ4Rは、その先端部からインナースリーブ3の左側半分が突き出た状態でボルト接合されている。
【0048】
次に、支柱1へ取り付けたブラケット2へ、前記状態のビームパイプ4Rを取り付ける構成を説明する。
前記支柱1に取り付けられたブラケット2の前面には、ビームパイプ4Rの外形と同じ曲率で凹面状に湾曲させたパイプ受け部2aが設けられている。同パイプ受け部2aに対して、上記のようにインナースリーブ3の左側半分が突き出た状態のビームパイプ4Rが当てがわれる。そして、同ブラケット2の前面のパイプ受け部2aへ予め設けておいたボルト孔と、ビームパイプ4Rにおいて最も外端寄り位置のボルト孔4a−3とを合致させ、同パイプ受け部2aの背面側から同ボルト孔へボルト11を差し入れ、ナット保持部材5の対応するナット6へねじ込み締結することにより、ビームパイプ4Rとインナースリーブ3並びにブラケット2とを三位一体の関係で強固にボルト接合することができる。上記ボルト11も、上記したボルト9、10と同じくその頭頂部が平らに形成されており、車道の外寄り下面側から斜め上向き方向にねじ込まれている(図1及び図4参照)。したがって、ビームパイプ4の上面側に通行人が当たって負傷しやすい突起物は可及的に排除される。この場合に、ナット保持部材5に保持された各ナット6は、回り止め状態に保持されており、しかも各ナット嵌め込み用孔51に対して、ナット6は多少グラつく状態に保持されているから、ボルト孔を通じて差し入れたボルト9、10、11の先端をそれぞれ、ナット保持部材5の対応するナット6に対し多少芯振れする状態に操作してネジの始端を探し当て、ねじ込み操作を容易に進めることができ、能率の良いボルト接合作業を進められる。
図1中の符号12は、支柱1の上端へ被せ、上記のボルト7で固定したキャップである。
【0049】
上記のようにインナースリーブ3の左側半分を突き出した状態のビームパイプ4をブラケット2へ取り付けた後、左側のビームパイプ4Lを用意し、その中空部内を前記左側半分突き出たインナースリーブ3へ嵌め入れ(図5A参照)、先行してボルト接合されている右側のビームパイプ4Rと長手方向の中央部位で当接状態に突き合わせ、同ビームパイプ4Lの端部に予め設けてあるボルト孔4aとインナースリーブ3の左側のボルト孔3aとを一致させて、上記した要領でボルト9、10によるボルト接合が行われる。本実施例は図2に示すように、同径の右側ビームパイプ4Rと左側ビームパイプ4Lが当接状態で連結されるのでその目地が一本のみであるので、美観が良いし、連結箇所に出っ張りが生じることがなく歩行者に安全である。
【0050】
その後、ビームパイプ4Lのボルト孔4a−3とブラケット2のボルト孔とをボルト11によりボルト接合する点も上記したと同様の要領で実施して、ビームパイプ4同士の連結と支柱1へのボルト接合が完了する。
なお、ビームパイプ4Lの他端は、上述したビームパイプ4Rと同様にナット保持部材5が取り付けられたインナースリーブ3の右側半分が挿入され、隣接する柱1のブラケット2へボルト接合を行い、その後上述したビームパイプ4に係る各ボルト接合を行う。これら一連の作業を順次長手方向へ連続して行い道路用防護柵を完成させるのである。
【実施例2】
【0051】
次に、図11〜図13は、上記図6〜図8に示したナット保持部材5と構成の基本が共通するものの、外見がかなり異なる実施例2のナット保持部材5’を示している。
本実施例2のナット保持部材5’の外周面の形状も、上述した実施例1と同様に、インナースリーブ3へ内側から接し、同インナースリーブ3の管軸に対して直交する各方向に移動を制限される形状とされている。このナット保持部材5’の外周面にも、前記インナースリーブ3のボルト孔と一致する配置で、ナット6が回り止め状態に嵌め込まれるナット嵌め込み部51が設けられている。また、前記ナット嵌め込み部51には、嵌め込まれたナット6が抜け外れないように保持する係止部53を備えた構成の基本形態は、上記実施例1とほぼ共通する。このナット保持部材5’の主体をなす成形部材50の両端に掴み部56が設けられ、その外端縁にグリップエンド56aが形成されている点も共通する。
なお、このナット保持部材5’の位置決め手段も、成形部材50の外周に突き出るスライドガイド54および位置決めストッパ55であるが、その位置および向きは上記実施例1のものとは若干異なる。その理由は、インナースリーブ3の開口隙間3bとボルト孔3aとの関係する配置が異なること、およびインナースリーブ3に設ける位置決め部3c(孔又は凹部)の位置が異なることが原因であり、本質的な構成上の差異点ではない。
【0052】
この実施例2のナット保持部材5’が、実施例1のナット保持部材5と大きく異なる点は、成形部材50の使用材料量を節約して軽量化を図る目的の肉盗み59が、主に外周面のあちこちに凹部として可能な限り多く設けられて、外見の外周面形態が複雑になっていることである。しかし、ナット保持部材5’としての用途、機能上に本質的な差異点はない。
したがって、本実施例2のナット保持部材5’を使用して実施するインナーのボルト接合構造についても、ほとんど差異点はないので、重複する説明は省略する。
【実施例3】
【0053】
更に、図14、図15に上記図6〜図8に示したナット保持部材5と構成の基本が共通するものの、ナット嵌め込み部のナット嵌め込み用孔51の形状のみが異なるタイプのナット保持部材5’’と5’’’を示した。したがって、本実施例3のナット保持部材5’’、5’’’の外周面の形状や位置決め手段、及びインナースリーブ3のボルト接合構造についても、機能上に本質的な差異点はないので、重複する説明は省略する。
相違点は、図14に示すように、ナット保持部材5’’は、3次元方向に設けられたナット嵌め込み用孔51の形状が、ナットを管軸方向に対し直交する横方向へスライドさせて嵌め込み可能に一側を切り欠いた挿入部51aが形成されていることにある。図示例では長手方向に3つ設けられたナット嵌め込み用孔51のうち真ん中の同孔51に挿入部51aを設けた場合を示した。
図15には全てのナット嵌め込み用孔51に挿入部51aを設けたナット保持部材5’’’を示した。
したがって、上記のナット保持部材5’’、5’’’を使用すると、挿入部51aを設けたナット嵌め込み用孔51へナット6をスライドさせてスムーズに嵌め入れ作業ができ、嵌め入れた後は同孔51内に設けられている係止め部53によりナット6が保持されて落下する等の作業ミスを最小限に防止できる利点がある。更に、上述した肉盗み効果を向上させることにも寄与する。
【0054】
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、本発明は、上記実施例の構成に限定されない。その目的と要旨を逸脱しない範囲において、当業者が必要に応じて行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のため言及する。
【符号の説明】
【0055】
1 支柱
2 ブラケット
3 インナースリーブ
3a ボルト孔
4 ビームパイプ(接合相手部材)
5、5’、5’’、5’’’ ナット保持部材
6 ナット
9.10、11 ボルト
51 ナット嵌め込み部
53 ナットの係止部
54 スライドガイド(位置決め手段)
3b 開口隙間
55 位置決めストッパ(位置決め手段)
3c 位置決め部
56 掴み部
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビームパイプによる道路用防護柵の技術分野に属し、更に云うと、ビームパイプの連結及び支柱へ取付けるボルト接合をインナースリーブの中空部へ挿入したナット保持部材を使用して可能にすると共に、意匠性と景観性、更には安全性を高めた道路用防護柵に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、隣接するビームパイプ同士を一連にボルト接合し、支柱に取付けたブラケットへ前記ビームパイプをボルト接合により取り付けて成る道路用防護柵が広く実用に供されている。
上記ビームパイプによる道路用防護柵は、前記ビームパイプが人の手を差し入れることができない程に小径で、ビームパイプの中空部内でボルト接合用のナットを保持することが困難ないし不可能なので、ナット保持部材を使用することが知られている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1に開示された道路用防護柵は、支柱に支持されたジョイントパイプとビームパイプをボルト接合するにあたり、平プレートにナットを固着し、更に前記平プレートに吸盤を取り付けてナット保持材を構成し、このナット保持材をジョイントパイプの内部へ挿入し、吸盤を吸着させて平プレートおよびナットの位置を決めボルト接合を可能にする構成が開示されている。
しかし、上記ナット保持材は、横断面が円形のビームパイプであると、吸着面が円弧状となり、連結具の吸盤を所望位置へきっちり吸着させることが難しい。また、一般的にビームパイプの内面は研磨していない粗面であることが多く、吸着板を吸着させることはそもそも困難である。
【0004】
また、下記の特許文献2に開示された道路用防護柵は、支柱に支持されたジョイントパイプとビームパイプをボルト接合するにあたり、断面が溝形状の保持材の溝中にナットをカシメて固定したナット保持材をジョイントパイプの内部へ挿入し、前記ナットとボルト孔の位置を合致させた上で、ナット保持材をリベット止め、或いはタッピングビス止め等の手段でジョイントパイプへ位置決めしてボルト接合する構成が開示されている。
【0005】
しかし、溝形状の保持材の溝中へナットを固定するためには、カシメ加工が必要で、加工に手間がかかるのでコストが嵩む。また、前記ナット保持材をジョイントパイプの内部へ挿入し、そのナットとボルト孔の位置を合致させた上で、リベット止め、或いはタッピングビス止め等の手段でナット保持材を位置決め固定する作業に技術的な熟練と多くの加工手間並びに工費を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭55−48909号公報
【特許文献2】実開平2−6717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した特許文献1及び2には、道路用防護柵を構成するビームパイプの中空部が人の手を差し入れられない程小径であったり、或いはビームパイプの中空部内へボルト接合のためのナットを差し入れて保持することが困難ないし不可能な場合のボルト接合に対処する手段として、それぞれのボルト接合の条件に応じた解決策が提案されている。
しかし、各先行技術に共通して見られる問題点は、ナット保持材をビームパイプの中空部内へ挿入し、そのナットの位置をボルト孔と合致させ、安定状態に位置決め保持する手段に難渋するもので、作業効率が悪く、施工精度にバラツキを生じる点が指摘されている。
したがって、ビームパイプのボルト接合に有効なナット保持材を使用した道路用防護柵が期待されているが、現在、そのような技術は見聞きしないし開示もない。
【0008】
本発明の目的は、上記の問題点を解決することであり、ビームパイプの連結及び支柱へ取り付けるボルト接合を、使い勝手に優れたナット保持部材を使用して行う道路用防護柵を提供することにある。
本発明の次の目的は、ビームパイプの上面側に通行人が当たると負傷しやすいボルト頭等の突起物を生じさせない構成とし、更に車道の外側又は車道側から見ても、ボルト頭やナット、或いはボルト軸部などの露出が極力少なく、視界に入りにくく、ビームパイプ同士の連結の際にその突き合わせ目地が1本のみに形成されて、意匠性、景観性に優れ、ナットの出っ張りのない安全な道路用防護柵を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る道路用防護柵は、
隣接するビームパイプ同士を一個の共通なインナースリーブを介して一連にボルト接合し、支柱にブラケットを取付け、当該ブラケットへ当該ビームパイプをボルト接合により取り付けて成る道路用防護柵であって、
前記ビームパイプ同士を連結する前記インナースリーブの中空部内にはナット保持部材が挿入され、
前記ナット保持部材は、前記インナースリーブの管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状とされ、当該インナースリーブの各ボルト孔と一致する配置でナットを回り止め状態に保持するナット嵌め込み部と当該ナットの抜け止めを防止する係止部を備えており、
前記ナット保持部材のナットは、前記インナースリーブのボルト孔と合致する位置に位置決めされており、
前記ビームパイプは、前記インナースリーブと前記ビームパイプのボルト孔とが一致する配置となるように、当該インナースリーブの外周面へ嵌め込まれ、そのボルト孔の外方から内向きに挿入したボルトを前記ナット保持部材の対応するナットへねじ込み接合されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載した道路用防護柵において、
ナット保持部材は、インナースリーブの長手方向に対する移動を止める位置決め手段を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載した道路用防護柵おいて
インナースリーブの長手方向に対する移動を止める位置決め手段は、ナット保持部材に保持されたナットを、インナースリーブのボルト孔と当該インナースリーブの長手方向に関して一致させるために、当該インナースリーブに設けた位置決め部へ挿し入れることを可能に突設させた位置決めストッパであり、
前記位置決めストッパは、前記ナット保持部材の外周面に備わることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか一に記載した道路用防護柵において、
インナースリーブには、その長手方向に連続する開口隙間が形成されており、
ナット保持部材の外周面には、当該ナット保持部材のナットを前記インナースリーブのボルト孔と一致させる、当該ナット保持部材の周方向に関する位置決め手段として、前記開口隙間へ挿し入れることが可能に突設させたスライドガイドを備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか一に記載した道路用防護柵において、
ナット保持部材は、インナースリーブの中空部内へ挿入する際、あるいは当該中空部から取り外す際に使用する掴み部を備えていることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5に記載した道路用防護柵において、
ナット保持部材は、インナースリーブの中空部内へ挿入する向きを確認させる目印を設けた掴み部を備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか一に記載した道路用防護柵において、
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットの外径よりも若干大きく形成され、当該ナット嵌め込み部へ嵌め込まれたナットは、当該ナット嵌め込み部の中で回らない程度に緩く保持されていることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか一に記載した道路用防護柵において、
ナット保持部材のナット嵌め込み部には、少なくともナットの外周面と接する範囲に、当該ナットを保持する形状で金属板が埋め込まれていることを特徴とする。
【0014】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか一に記載した道路用防護柵において、
ナット保持部材は、合成樹脂で形成されていることを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項1ないし9のいずれか一に記載した道路用防護柵において、
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットを横向きにスライドさせて嵌め込み可能に一側を切り欠いた挿入部が形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項11記載の発明は、請求項1ないし10のいずれか一に記載した道路用防護柵において、
ブラケットにビームパイプを当てがってボルト接合する際のボルトは、ナット保持部材に保持されるナットにねじ込まれていることを特徴とする。
【0016】
請求項12記載の発明は、請求項1ないし11のいずれか一に記載した道路用防護柵において、
ブラケットは、支柱に対して車道の外側から車道側に向けて水平方向に貫通させたボルトの他端へ当該ブラケットに設けられたボルト孔を通してナットを締結して取り付けられており、
インナースリーブとボルト接合されたビームパイプは、前記ブラケットのナット締結部位から車道側へ突き出されたパイプ受け部に当てがわれ、当該パイプ受け部に設けられたボルト孔と当該ビームパイプのボルト孔とを合致させ、当該パイプ受け部の背面側から当該ボルト孔へボルトを差し入れ、前記ナット保持部材の対応するナットへねじ込み結合されて成ることを特徴とする。
請求項13記載の発明は、請求項1ないし12のいずれか一に記載した道路用防護柵おいて、
インナースリーブとビームパイプを接合したボルト、及びブラケットとビームパイプとを夫々接合したボルトは、その頭頂部が平らに形成されており、車道の外側下面側から上向きないし斜め上向き方向にねじ込まれていることを特徴とする。
【0017】
請求項14記載の発明は、請求項1ないし13のいずれか一に記載した道路用防護柵おいて、
隣接する同径のビームパイプ同士は、前記ビームパイプの中空部内へ挿入したインナースリーブの略中央位置で当接状態で連結されており、前記ビームパイプ同士の突き合わせ目地が1本のみに形成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項15記載の発明は、請求項1ないし14のいずれか一に記載した道路用防護柵のおいて、
支柱を水平方向に貫通させたボルトの他端及び同他端へ締結したナットは、前記ボルトおよびナットで支柱へ固定されたブラケットの固定部位からその上方部を迂回して車道側へ突き出されたパイプ受け部により上面部が覆われていると共に、同ブラケットの前記固定部位からその上方部を迂回して車道側へ突き出されたパイプ受け部が形成する隙間部へ横方向から嵌め込まれたナットカバーにより側面部を覆われ、前記ナットは前記ナットカバーにより平行な2辺を挟まれて回り止めされていることを特徴とする。
【0019】
請求項16記載の発明は、請求項1ないし15のいずれか一に記載した道路用防護柵において、
支柱を水平方向に貫通させたボルトの他端及び同他端へ締結したナットは、前記ボルトおよびナットで支柱へ固定されたブラケットの固定部位からその上方部を迂回して車道側へ突き出されたパイプ受け部により上面部が覆われていると共に、同ブラケットの前記固定部位からその上方部を迂回して車道側へ突き出されたパイプ受け部が形成する隙間部へ横方向から嵌め込まれたナットカバーにより側面部を覆われ、前記ブラケットの固定部位の下辺を略V字形に折り返したリップによってナットの一辺が回り止めされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1〜12に記載した発明に係る道路用防護柵は、ビームパイプ同士をインナースリーブを利用して一連に接続するボルト接合を、予めボルト孔を設けたビームパイプの中空部内へ、インナースリーブのボルト孔と一致する配置でナットを回り止め状態に保持し、同ナットの抜け止めを防止する係止部を有するナット保持部材を挿入し、その各ナットをビームパイプの対応するボルト孔と合致させる操作のみで位置決めができ、ボルト孔の外から内向きにボルトを通し、ナット保持部材の対応するナットへねじ込み接合する作業を容易に行える。
【0021】
特に、ナット保持部材は、前記インナースリーブの管軸方向に対して直交する方向への移動及び長手方向への移動を止める位置決め手段を備えているので、ビームパイプの中空部内へ所定の態様で挿入するだけで、インナースリーブのボルト孔に対する各ナットの位置を一致させること、および位置の保持が簡単に確実に行え、ボルト接合を手際良く(又は効率良く)的確に行え、もって品質精度の高い道路用防護柵を構築できる。
【0022】
また、ビームパイプとブラケットとのボルト接合も、インナースリーブを介して連結されたビームパイプを、支柱に取付けられたブラケットのパイプ受け部へ当てがい、やはり同パイプ受け部のボルト孔とビームパイプのボルト孔とを合致させるだけの位置決め操作のみで、同パイプ受け部の背面側からボルト孔へボルトを差し入れ、ナット保持部材の対応するナットへねじ込み結合して実施できる。
つまり、前記ナット保持部材が、ビームパイプとインナースリーブとのボルト結合、及びビームパイプとブラケットとのボルト接合に必要な個数のナットを、ビームパイプ及びブラケットが備えるボルト孔と一致する配置に、言わば3次元方向に任意所望の向きに保持させるので、上記のボルト接合を率良く確実ならしめるのである。
【0023】
このナット保持部材をビームパイプの中空部内へ挿入し又は逆に抜き出す操作は、棒状部材の端部に設けた掴み部を掴むことで容易、確実に行うことができるし、また、掴み部の目印を目視、又は手で掴んだ際の感触で確認することにより、挿入方向の確認もできる。
棒状部材に埋めた各ナットは、ナット嵌め込み用孔の孔壁との間で供回りはしない程度に緩く埋め込まれているから、ボルト接合時に差し入れた接合ボルトとナットの芯合わせとボルト締め作業をボルトの操作のみで自在に行えるので、ネジ接合当初の位置合わせ(ネジ始端の探索ないし整合)も含めて的確に迅速に行うことができ、作業能率の良いボルト接合作業を行うことができる。
【0024】
また、ナット保持部材に設けられたナット嵌め込み部には、ナットを横向きにスライドして嵌め込み可能に一側を切り欠いた挿入部が形成されているので、非常にスムーズなナットの嵌め入れ作業が可能となるのみならず、スライドして嵌め入れるのでナットを落下させてしまう等の作業ミスを防止できる。のみならず、ナット保持部材の成形部材の使用材料量を大幅に節約して軽量化を図る肉盗み効果を期待できる。
【0025】
請求項13及び14に記載した道路用防護柵は、インナースリーブとビームパイプを接合したボルト、及びブラケットとビームパイプとを夫々接合したボルトが、その頭頂部が平らに形成されており、両ボルトには車道の外寄り下面側から上向き乃至斜め上向き方向にねじ込まれている。更に、隣接する同径のビームパイプ同士は、インナースリーブの略中央位置で当接状態で連結されて、その突き合わせ目地が1本のみに形成される構造としたので、歩道の外側から見ても、車道側から見ても、ボルトの頭やナット、目地部の露出が極力少なくなって、視界に入りにくく、見た目の意匠性、及び景観性に優れる。のみならず、ビームパイプの上面側に通行人が当たって負傷しやすい突起物を可及的に排除した構成であるので、ビームパイプに捕まり伝い歩きをした人や、ビームパイプに接触した人が不用意に負傷する心配が無く安全性の高い道路用防護柵を実現できる。
【0026】
のみならず、請求項15及び16の発明は、支柱を水平方向に貫通させてブラケットを接合するボルト及びナットが、ブラケットのパイプ受け部で上面部が覆われると共に、その隙間部に設けたナットカバーにより側面部が覆われて、前記ブラケット接合用のボルトの軸部やナットを完全にブラケット内へ収めて、視認できない構成としたので、やはり意匠性、景観性の向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のボルト接合構造を実施した道路用防護柵を一部を破断して示した平面図である。
【図2】上記道路用防護柵の上部を示した正面図である。
【図3】図2に示した道路用防護柵の側面図である。
【図4】図3に示した側面図の拡大図である。
【図5】A図は上記道路用防護柵を構成するインナースリーブとビームパイプとの関連する構成、特にボルト孔の配置関係を示した正面方向の分解図、B図はインナースリーブの側面図である。
【図6】ナット保持部材の一例を示した斜視図である。
【図7】同上ナット保持部材の平面図である。
【図8】A図は同上ナット保持部材の右側面図、B図は図7のB−B線矢視に沿って切断した断面図、C図は図7のC−C線矢視に沿って切断した断面図である。
【図9】図7の9−9線矢視方向に切断してナット保持部材の位置決め手段を示した断面図である。
【図10】図7の10−10線矢視方向に切断してナットの拘束状態を示した断面図である。
【図11】ナット保持部材の異なる実施例を示した斜視図である。
【図12】同上ナット保持部材の平面図である。
【図13】A図は同上ナット保持部材の右側面図、B図は図12のB−B線矢視に沿って切断した断面図、C図は図12のC−C線矢視に沿って切断した断面図、D図は図12のD−D線矢視に沿って切断した断面図である。
【図14】A、Bは、ナット保持部材の異なる実施例を示した斜視図である。
【図15】A、Bは、ナット保持部材の異なる実施例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は隣接するビームパイプ4、4同士を一個の共通なインナースリーブ3を介して一連にボルト接合し、支柱1にブラケット2を取付け、該ブラケット2へ前記ビームパイプ4をボルト接合により取り付けて成る道路用防護柵である。
この道路用防護柵は、先ず前記ビームパイプ4、4同士を連結するインナースリーブ3の中空部内に、インナースリーブ3の各ボルト孔3aと一致する配置でナット6を回り止め状態に保持し、同ナット6の抜け止めを防止する係止部53を有するナット保持部材5が挿入され、同ナット保持部材5の各ナット6がインナースリーブ3の各ボルト孔3aと合致する位置に位置決めされている。
当該インナースリーブ3の外周面へ、ビームパイプ4がその各ボルト孔4aをインナースリーブ3のボルト孔3aと一致する配置で嵌め込まれ、そのボルト孔の外方から内向きに挿入したボルト9、10をナット保持部材5の対応するナット6へねじ込み接合がされる。
【0029】
次に、支柱1に車道の外側から車道側に向けて水平方向に貫通させたボルトの他端へナットを締結してブラケット2が取り付けられ、同ブラケット1の前記ナット締結部位から車道側へ突き出されたパイプ受け部2aに、上記インナースリーブ3を介してボルト接合されたビームパイプ4Rが当てがわれ、同パイプ受け部2aに設けられたボルト孔とビームパイプ4の前記ボルト孔4a−3とを合致させ、同パイプ受け部2aの背面側からボルト孔へボルト11を差し入れ、ナット保持部材5の対応するナット6へねじ込み接合される。
【実施例1】
【0030】
以下に、本発明を図示した実施例に基づいて説明する。
図1〜図3は、ビームパイプ4の連結及び支柱1へのボルト接合を、例えば図6に示すナット保持部材5を使用して構築した道路用防護柵の実施例を示している。
【0031】
先ず、道路用防護柵のビームパイプ4の各ボルト接合に使用するナット保持部材5の構成について具体的に説明する。
ナット保持部材5は、図6に示すように、その外周面の形状が、前記インナースリーブ3の中空部内へ挿入され、同インナースリーブ3の内面へ内側から接して、同インナースリーブ3の管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状とされている。これは、ナット保持部材5の直径をインナースリーブ3の中空部の直径よりもほんの少しだけ小径にして同インナースリーブ3内へきっちりと収め、管軸に対して直交する方向への移動を制限する形状である。これはいわゆる3次元の向きにナット6を保持できる形状である。そして、位置決め手段の一つとしてのナット保持部材5の形状は、ナット保持部材5の外周面とインナースリーブ3の内周面との摩擦力が得られるような形状である。つまり、位置決め作用に適度な大きさの摩擦力を発生するように、ナット保持部材5の外周面に突き出された突起部分、或いはインナースリーブ3の中空部内面に密接して位置決め作用に適度な大きさの摩擦力を発生する大きさ(外径)とした横断面形状とされる。ナット保持部材5を上記の形状とすることで、閉鎖空間であるインナースリーブ3の中空部に、いわゆる3次元の向きにナット6を保持でき、かつ通常のナット保持部材では作業が困難な閉鎖空間への仮止め作業が非常に容易に可能となる。
上記ナット保持部材5の位置決め手段を得るための外周面の形状はこの限りではなく、以下に説明する構成の位置決め手段を備えることが好適に実施される。
【0032】
このナット保持部材5の外周面には、前記インナースリーブ3のボルト孔3a(図5参照)と一致する配置で、ナット6が回り止め状態に嵌め込まれるナット嵌め込み部51が設けられている。前記ナット嵌め込み部51には、嵌め込まれたナット6が抜け外れないように保持する係止部53を備えている。要するに、このナット保持部材5は、その管軸方向と周方向に、インナースリーブ3に予め設けられたボルト孔3a(図5)の個数および配置に対応する配置で、いわゆる3次元の向きにナット6を保持できる長さと外径の成形部材50を主体として構成されている。
【0033】
本実施例の場合、インナースリーブ3の全長は約264mmであるが、図1および図2に示したように、ビームパイプ4は、インナースリーブ3の左右両側から同インナースリーブ3の全長の1/2長さずつ嵌め込んでボルト接合される。そのためインナースリーブ3には、図5に示したように、インナースリーブ3の長手方向の中間部分を境に、左右に対称な配置で複数のボルト孔3a…が、いわば二つの孔群として設けられている。このためナット保持部材5は、左右二つの孔群に対して1個々ずつ合計2個使用される。必然的に、ナット保持部材5の主体である成形部材50の長さは、インナースリーブ3の長さを約二等分した約130mm程度の長さに形成されている。もっともインナースリーブ3における左右二つのボルト孔群3aを1個のナット保持部材5でカバーするべく、ナット保持部材5をインナースリーブ3の全長に及ぶ長さで構成しても良い。
【0034】
ナット保持部材5の主体である成形部材50の外周面は、図示した実施例の場合、インナースリーブ3の内径がφ32mmであるのに対し、上記したように同インナースリーブ3の管軸に対し直交する各方向への移動が制限される形状とされている。図4ではインナースリーブ3の内周面へ接触した形状を示しているが、後述する位置決め手段の機能を害さない程度のガタを有する形状であっても良い。
本実施例の成形部材50は、大量生産に適して安価に軽く製造でき、取り扱いが容易であるように、熱硬化性又は熱可塑性の合成樹脂、例えばフェノール樹脂やエポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等々を使用して成形することができる。また、低・中発泡ないし高発泡のポリスチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等で成形して実施することも好適である。非発泡の合成樹脂製として実施することもできるし、木製や金属製として製作し実施することもできる。
【0035】
上記成形部材50には、上記インナースリーブ3に設けられたボルト孔3aの配置および個数に合致する配置で、ナット6を回り止め状態に嵌め込むナット嵌め込み部51が設けられている。
具体的には図6〜図10に示したとおり、成形部材50には、ナット6の嵌め込み位置に、ナット嵌め込み用の孔51が、同成形部材50の中心線と直交する方向に貫通する形態で設けられている。このナット嵌め込み用孔51は、嵌め込んだナット6がボルト接合の作業時に共回りしない程度に固定する形状、大きさに成形されている。
このナット嵌め込み用孔51を貫通形態に設けた理由は、成形部材50の使用材料量を減量化し、軽量化する肉盗みにより、製造原価を引き下げるためである。ナット嵌め込み用孔51は、図示した正六角形のナット6を楽に挿入でき、かつ同ナット6を接合するボルトの先端で多少ぐらつかせられる余裕をもつ大きさの六角形状として、以下の構成に設けられている。
【0036】
ナット嵌め込み用孔51には、成形部材50の外周面からナット6の高さ相当の寸法だけ入った内部に、ナット6の底面を座らせる段部52が形成されている。ナット嵌め込み用孔51へ嵌め入れたナット6は、その底面を前記段部52へ座らせて回り止め状態に落ち着かせる構成とされている。したがって、前記段部52より以深のナット嵌め込み用孔51の貫通形状と大きさは、ナット6へねじ込まれるボルトの先端部が、ナット嵌め込み部へ当たることの無いように、また、成形部材50の使用材料量の減量化と軽量化の目的を達する肉盗みの必要の形態に形成する。一方、前記段部52へ落ち着いたナット6の上面は、成形部材50をインナースリーブ3の中空部内へ挿入する際に支障とならない程度に、同成形部材50の外周面よりも少し沈み込んで外周面近傍に露出する状態にナット嵌め込み用孔51内に嵌め込まれている。
【0037】
上記のようにナット嵌め込み用孔51内へ挿入されたナット6が不用意に浮上して抜け外れる不都合を防ぐため、ナット保持部材5には、ナット6の上面を押さえる係止部53が、次のように設けられている。
図7と図10では、ナット嵌め込み用孔51の入口部分に、六角形の一つの辺の中央部位に、成形部材50の構成材料を弾性変形可能な形状に成形した構成で設けられている。つまり、ナット6は、ナット嵌め込み用孔51の入口部分に在る弾性変形可能な形状の係止部53を押しのけてナット嵌め込み用孔51の中へ挿入されると、直ちに係止部53が働いて止め、ナット6が不用意に浮上したり抜け外れることを防止する。しかし、この係止部53を少し押しのけることにより、用済みのナット6は簡単に抜き外して回収できる。
【0038】
次に、上記構成のナット保持部材5を、上述したインナースリーブ3の中空部内へ挿入した際に、保持させた各ナット6を、インナースリーブ3の対応するボルト孔3a(図5Aを参照)と合致する位置へきちんと機械的に位置決めする手段が、成形部材50の外周面に次のように設けられている。
特には図9に示したとおり、ナット保持部材5において、成形部材50の長さ方向の中央部に位置するナット嵌め込み用孔51の外周部位に、インナースリーブ3の長手方向へ一定幅の板状に突き出るスライドガイド54が、成形部材50の材料で一体成形した突部として設けられている。
このスライドガイド54の用途および使用法は、適用対象であるインナースリーブ3の管壁の長手方向に連続するように形成された開口隙間3b(通例、この開口隙間3bは帯鋼板を丸めて成形した際の目地隙間である。図5Bを参照。)へ通して挿入する。かくすると、当該ナット保持部材5を、インナースリーブ3の中空部内で周方向へは回転しない状態に位置決めすることができる。したがって、このスライドガイド54は、インナースリーブ3の開口隙間3bへ嵌めて通すことが容易、確実な形状、大きさの突部として設けられている。
【0039】
次に、ナット保持部材5を、インナースリーブ3の中空部内へ、例えば上記スライドガイド54を開口隙間3bへ嵌めて挿入した場合に、同インナースリーブ3の管軸方向の位置決め手段として、やはり成形部材50の外周面へ突き出る凸部である位置決めストッパ55が設けられている。即ち、インナースリーブ3の中空部内へ挿入したナット保持部材5の各ナット6が、インナースリーブ3の対応するボルト孔3aと合致する位置へ到達すると、その位置に合わせてインナースリーブ3へ予め設けた位置決め部3cへ位置決めストッパ55が挿し入れられて止まり、位置決めがなされるのである。
図9に示す実施例では、位置決めストッパ55は、上記スライドガイド54を設けたナット嵌め込み用孔51において、貫通側の開口部の縁から成形部材50の外周面に突き出る突部として、やはり成形部材50の材料により一体的に形成された構成を示している。この位置決めストッパ部55に対して、インナースリーブ3には、前記位置決めストッパ55を挿し入れて止める位置決め部3cが貫通孔として設けられた構成の実施例を示している。
【0040】
したがって、ナット保持部材5は、インナースリーブ3の中空部内へ、上記スライドガイド54を開口隙間3bへ嵌めて単に押し込んで挿入すればよい。そうするとナット保持部材5の挿入過程で、上記位置決めストッパ部55が位置決め部3cへ挿し入れられて止まる手応えを感じて手を離すと、ナット保持部材5の各ナット6はインナースリーブ3の対応するボルト孔3aと合致させることができる。
【0041】
なお、図9に示す実施例のように、インナースリーブ3の位置決め部3cを貫通孔として設ける場合には、この位置決め部3cへ挿し入れる位置決めストッパ55は、インナースリーブ3の外側からドライバー等で押し込み操作が可能で弾性変形可能な形状、構造の構成とするのが好ましい。このように構成すると、インナースリーブ3に設けた位置決め部3cたる孔を通じて外部から入れたドライバー等により、位置決めストッパ55を押し込んだ状態(位置決め部から外した状態)にして、ナット保持部材5を動かすことが可能である。したがって、用済みとなったナット保持部材5はインナースリーブ3から簡単に抜き外して回収することができる。
【0042】
次に、図6と図7に示した実施例では、ナット保持部材5を、インナースリーブ3の中空部内へ挿入する際、又は逆に用済みになったナット保持部材5を引き抜く際に大なり小なりの抵抗力が発生することを考慮して、前記の挿入又は引き抜き操作の便利のために、ナット保持部材5の両端部に掴み部56が設けられた構成を示している。のみならず掴み部56の先端部の上下両面には、指先で掴みやすく又は滑り難くするグリップエンド56aが形成されている。したがって、ナット保持部材5をインナースリーブ3の中空部内へ挿入する作業、又は引き抜く作業時には、前記掴み部56を指先でしっかりと掴むことができ、インナースリーブ3の中空部内への出し入れ操作を簡単、確実に容易に行うことができる。
【0043】
なお、図7および図8Aに明瞭な掴み部56の凹み56bは、ナット保持部材5の両端の掴み部56の一方にのみ設けられている。この凹み56bの意義は次のとおりである。図5のインナースリーブ3に設けられたボルト孔3aの配置が左右対称であることを見れば、図6、図7に示した構成のナット保持部材5は、図5のインナースリーブ3の右半分のボルト孔3aに対して右端から左方へ挿入するべきであり、逆に同左半分のボルト孔3aに対して左端から右方へ挿入するべきことを理解されるであろう。前記したナット保持部材5の挿入方向の勝手を、目視又は手で掴んだ際の感触で確認を容易にさせるため、掴み部56に凹み56bが形成されている。
【0044】
次に、上記構成のナット保持部材5を使用してビームパイプ4同士の連結及び支柱1へ取り付けるボルト接合について説明する。
先ず、上記各ボルト接合作業に先行して、予め支柱1の上端へブラケット2が、その上端部を車道側に向かって水平方向(直径線方向)に貫通させたボルト7とナット8と取り付けられている。
このボルト7の他端及び同他端へ締結したナット8は、図1及び図4に示すように、前記ボルト7およびナット8で支柱へ固定されたブラケット2の固定部位からその上方部を迂回して車道側へ突き出されたパイプ受け部2aにより上面部が覆われていると共に、同ブラケット2の前記固定部位からその上方部を迂回して車道側へ突き出されたパイプ受け部2aが形成する隙間部へ横方向から嵌め込まれたナットカバー2b、2bによりその側面部を覆われている。したがって、前記ボルト7の軸部やナット8が完全にブラケット2内へ収まり視認しにくい構成なので、意匠性や景観性に優れている。
【0045】
また、前記ナット8は前記ナットカバー2b、2bにより平行な2辺を挟まれて回り止めとされ、前記ブラケット2の固定部位の下辺を略V字形に折り返したリップ2cによってナット8の一辺が回り止めされる構成とされている。勿論この限りではなく、単に前記ナットカバー2b、2bのみでナット8の回り止め効果をならしめる構成であってもよいし、前記略V字形に折り返したリップ2cのみでナット8の回り止め効果をならしめる構成で実施することもできる。
【0046】
上記のように支柱1へ取り付けたブラケット2へインナースリーブ3を介してビームパイプ4を取り付けるべく、先ず、インナースリーブ3に上述したナット保持部材5が取り付けられる。即ち、図5Aに示すように、インナースリーブ3のボルト孔3aの配置および個数と合致するようにナット嵌め込み部51を形成したナット保持部材5を、インナースリーブ3の左右両端の開口部からその中空部内へ左右2個挿入して使用し位置決めが行なわれる。
同ナット保持部材5の挿入作業は、インナースリーブ3のボルト孔3aの配置に垂らして、ナット保持部材5の挿入方向を定め、それを掴み部56の凹部56bの有無により予め確認しておく。そして、挿入方向を定めたナット保持部材5の先端を、インナースリーブ3の開口端部へ差し込み、且つ、インナースリーブ3の開口隙間3bへ上記スライドガイド54を嵌め合わせて単純に押し込む。そうすると、挿入過程の進みに応じて、インナースリーブ3のボルト孔3aとナット保持部材5の各ナット6の位置が合致する時機がくる。と同時期に、ナット保持部材5の位置決めストッパ55が、インナースリーブ3に予め設けてある位置決め部3cへ嵌って行き止まる。それをナット保持部材5を押す手指の感触として感じて止めると、インナースリーブ3の各ボルト孔3aとナット保持部材5の各ナット6の位置が合致した状態になる。他に両者の位置合わせのための確認や処理、操作を行う必要性は無用である。
【0047】
かくして、ナット保持部材5をインナースリーブ3内へ挿入すると、続いて例えば、右側のビームパイプ4Rの中空部内へ前記インナースリーブ3を中間位置まで挿入する。つまり、インナースリーブ3の左側半分がビームパイプ4Rの先端部から突き出た状態となる。
そして、ビームパイプ4Rの端部に予め設けてあるボルト孔4a(4a−1〜4a−3)を、インナースリーブ3の各ボルト孔3aの位置と合致させる。当然のことながら、インナースリーブ3の各ボルト孔3aの配置および個数と、ビームパイプ4Rのボルト孔4a配置および個数とは予めぴったり一致させた加工を行っている。したがって、ビームパイプ4Rのボルト孔4aとインナースリーブ3の各ボルト孔3aの配置とを合致させると、必然的に同インナースリーブ3の中空部内へ先に挿入したナット保持部材5の各ナット6の位置ともぴったり合致した状態になる。そこで先ず、ビームパイプ4Rのボルト孔4a−1およびその内方寄りに隣接して位置するボルト孔4a−2(以上、図5Aを参照)へボルト9、10を差し入れ(図1〜図4を参照)、ナット保持部材5の対応するナット6へねじ込み締結することにより、ビームパイプ4Rとインナースリーブ3との強固なボルト接合を行うことができる。前記インナースリーブ3とビームパイプ4を接合するボルト9、10は、その頭頂部が平らに形成されており、車道の外寄り下面側から上向き方向にねじ込まれている(図4参照)。したがって、車道の外側から見ても、車道側から見ても、ボルトの頭やナットの露出が極力少なくなって、視界に入りにくく、意匠性や景観性に優れる。
現段階のビームパイプ4Rは、その先端部からインナースリーブ3の左側半分が突き出た状態でボルト接合されている。
【0048】
次に、支柱1へ取り付けたブラケット2へ、前記状態のビームパイプ4Rを取り付ける構成を説明する。
前記支柱1に取り付けられたブラケット2の前面には、ビームパイプ4Rの外形と同じ曲率で凹面状に湾曲させたパイプ受け部2aが設けられている。同パイプ受け部2aに対して、上記のようにインナースリーブ3の左側半分が突き出た状態のビームパイプ4Rが当てがわれる。そして、同ブラケット2の前面のパイプ受け部2aへ予め設けておいたボルト孔と、ビームパイプ4Rにおいて最も外端寄り位置のボルト孔4a−3とを合致させ、同パイプ受け部2aの背面側から同ボルト孔へボルト11を差し入れ、ナット保持部材5の対応するナット6へねじ込み締結することにより、ビームパイプ4Rとインナースリーブ3並びにブラケット2とを三位一体の関係で強固にボルト接合することができる。上記ボルト11も、上記したボルト9、10と同じくその頭頂部が平らに形成されており、車道の外寄り下面側から斜め上向き方向にねじ込まれている(図1及び図4参照)。したがって、ビームパイプ4の上面側に通行人が当たって負傷しやすい突起物は可及的に排除される。この場合に、ナット保持部材5に保持された各ナット6は、回り止め状態に保持されており、しかも各ナット嵌め込み用孔51に対して、ナット6は多少グラつく状態に保持されているから、ボルト孔を通じて差し入れたボルト9、10、11の先端をそれぞれ、ナット保持部材5の対応するナット6に対し多少芯振れする状態に操作してネジの始端を探し当て、ねじ込み操作を容易に進めることができ、能率の良いボルト接合作業を進められる。
図1中の符号12は、支柱1の上端へ被せ、上記のボルト7で固定したキャップである。
【0049】
上記のようにインナースリーブ3の左側半分を突き出した状態のビームパイプ4をブラケット2へ取り付けた後、左側のビームパイプ4Lを用意し、その中空部内を前記左側半分突き出たインナースリーブ3へ嵌め入れ(図5A参照)、先行してボルト接合されている右側のビームパイプ4Rと長手方向の中央部位で当接状態に突き合わせ、同ビームパイプ4Lの端部に予め設けてあるボルト孔4aとインナースリーブ3の左側のボルト孔3aとを一致させて、上記した要領でボルト9、10によるボルト接合が行われる。本実施例は図2に示すように、同径の右側ビームパイプ4Rと左側ビームパイプ4Lが当接状態で連結されるのでその目地が一本のみであるので、美観が良いし、連結箇所に出っ張りが生じることがなく歩行者に安全である。
【0050】
その後、ビームパイプ4Lのボルト孔4a−3とブラケット2のボルト孔とをボルト11によりボルト接合する点も上記したと同様の要領で実施して、ビームパイプ4同士の連結と支柱1へのボルト接合が完了する。
なお、ビームパイプ4Lの他端は、上述したビームパイプ4Rと同様にナット保持部材5が取り付けられたインナースリーブ3の右側半分が挿入され、隣接する柱1のブラケット2へボルト接合を行い、その後上述したビームパイプ4に係る各ボルト接合を行う。これら一連の作業を順次長手方向へ連続して行い道路用防護柵を完成させるのである。
【実施例2】
【0051】
次に、図11〜図13は、上記図6〜図8に示したナット保持部材5と構成の基本が共通するものの、外見がかなり異なる実施例2のナット保持部材5’を示している。
本実施例2のナット保持部材5’の外周面の形状も、上述した実施例1と同様に、インナースリーブ3へ内側から接し、同インナースリーブ3の管軸に対して直交する各方向に移動を制限される形状とされている。このナット保持部材5’の外周面にも、前記インナースリーブ3のボルト孔と一致する配置で、ナット6が回り止め状態に嵌め込まれるナット嵌め込み部51が設けられている。また、前記ナット嵌め込み部51には、嵌め込まれたナット6が抜け外れないように保持する係止部53を備えた構成の基本形態は、上記実施例1とほぼ共通する。このナット保持部材5’の主体をなす成形部材50の両端に掴み部56が設けられ、その外端縁にグリップエンド56aが形成されている点も共通する。
なお、このナット保持部材5’の位置決め手段も、成形部材50の外周に突き出るスライドガイド54および位置決めストッパ55であるが、その位置および向きは上記実施例1のものとは若干異なる。その理由は、インナースリーブ3の開口隙間3bとボルト孔3aとの関係する配置が異なること、およびインナースリーブ3に設ける位置決め部3c(孔又は凹部)の位置が異なることが原因であり、本質的な構成上の差異点ではない。
【0052】
この実施例2のナット保持部材5’が、実施例1のナット保持部材5と大きく異なる点は、成形部材50の使用材料量を節約して軽量化を図る目的の肉盗み59が、主に外周面のあちこちに凹部として可能な限り多く設けられて、外見の外周面形態が複雑になっていることである。しかし、ナット保持部材5’としての用途、機能上に本質的な差異点はない。
したがって、本実施例2のナット保持部材5’を使用して実施するインナーのボルト接合構造についても、ほとんど差異点はないので、重複する説明は省略する。
【実施例3】
【0053】
更に、図14、図15に上記図6〜図8に示したナット保持部材5と構成の基本が共通するものの、ナット嵌め込み部のナット嵌め込み用孔51の形状のみが異なるタイプのナット保持部材5’’と5’’’を示した。したがって、本実施例3のナット保持部材5’’、5’’’の外周面の形状や位置決め手段、及びインナースリーブ3のボルト接合構造についても、機能上に本質的な差異点はないので、重複する説明は省略する。
相違点は、図14に示すように、ナット保持部材5’’は、3次元方向に設けられたナット嵌め込み用孔51の形状が、ナットを管軸方向に対し直交する横方向へスライドさせて嵌め込み可能に一側を切り欠いた挿入部51aが形成されていることにある。図示例では長手方向に3つ設けられたナット嵌め込み用孔51のうち真ん中の同孔51に挿入部51aを設けた場合を示した。
図15には全てのナット嵌め込み用孔51に挿入部51aを設けたナット保持部材5’’’を示した。
したがって、上記のナット保持部材5’’、5’’’を使用すると、挿入部51aを設けたナット嵌め込み用孔51へナット6をスライドさせてスムーズに嵌め入れ作業ができ、嵌め入れた後は同孔51内に設けられている係止め部53によりナット6が保持されて落下する等の作業ミスを最小限に防止できる利点がある。更に、上述した肉盗み効果を向上させることにも寄与する。
【0054】
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、本発明は、上記実施例の構成に限定されない。その目的と要旨を逸脱しない範囲において、当業者が必要に応じて行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のため言及する。
【符号の説明】
【0055】
1 支柱
2 ブラケット
3 インナースリーブ
3a ボルト孔
4 ビームパイプ(接合相手部材)
5、5’、5’’、5’’’ ナット保持部材
6 ナット
9.10、11 ボルト
51 ナット嵌め込み部
53 ナットの係止部
54 スライドガイド(位置決め手段)
3b 開口隙間
55 位置決めストッパ(位置決め手段)
3c 位置決め部
56 掴み部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接するビームパイプ同士を一個の共通なインナースリーブを介して一連にボルト接合し、支柱にブラケットを取付け、当該ブラケットへ当該ビームパイプをボルト接合により取り付けて成る道路用防護柵であって、
前記ビームパイプ同士を連結する前記インナースリーブの中空部内にはナット保持部材が挿入され、
前記ナット保持部材は、前記インナースリーブの管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状とされ、当該インナースリーブの各ボルト孔と一致する配置でナットを回り止め状態に保持するナット嵌め込み部と当該ナットの抜け止めを防止する係止部を備えており、
前記ナット保持部材のナットは、前記インナースリーブのボルト孔と合致する位置に位置決めされており、
前記ビームパイプは、前記インナースリーブと前記ビームパイプのボルト孔とが一致する配置となるように、当該インナースリーブの外周面へ嵌め込まれ、そのボルト孔の外方から内向きに挿入したボルトを前記ナット保持部材の対応するナットへねじ込み接合されていることを特徴とする、道路用防護柵。
【請求項2】
ナット保持部材は、インナースリーブの長手方向に対する移動を止める位置決め手段を備えることを特徴とする、請求項1記載した道路用防護柵。
【請求項3】
インナースリーブの長手方向に対する移動を止める位置決め手段は、ナット保持部材に保持されたナットを、インナースリーブのボルト孔と当該インナースリーブの長手方向に関して一致させるために、当該インナースリーブに設けた位置決め部へ挿し入れることを可能に突設させた位置決めストッパであり、
前記位置決めストッパは、前記ナット保持部材の外周面に備わることを特徴とする、請求項2に記載した道路用防護柵。
【請求項4】
インナースリーブには、その長手方向に連続する開口隙間が形成されており、
ナット保持部材の外周面には、当該ナット保持部材のナットを前記インナースリーブのボルト孔と一致させる、当該ナット保持部材の周方向に関する位置決め手段として、前記開口隙間へ挿し入れることが可能に突設させたスライドガイドを備えていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項5】
ナット保持部材は、インナースリーブの中空部内へ挿入する際、あるいは当該中空部から取り外す際に使用する掴み部を備えていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項6】
ナット保持部材は、インナースリーブの中空部内へ挿入する向きを確認させる目印を設けた掴み部を備えていることを特徴とする、請求項5に記載した道路用防護柵。
【請求項7】
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットの外径よりも若干大きく形成され、当該ナット嵌め込み部へ嵌め込まれたナットは、当該ナット嵌め込み部の中で回らない程度に緩く保持されていることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項8】
ナット保持部材のナット嵌め込み部には、少なくともナットの外周面と接する範囲に、当該ナットを保持する形状で金属板が埋め込まれていることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項9】
ナット保持部材は、合成樹脂で形成されていることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項10】
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットを横向きにスライドさせて嵌め込み可能に一側を切り欠いた挿入部が形成されていることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項11】
ブラケットにビームパイプを当てがってボルト接合する際のボルトは、ナット保持部材に保持されるナットにねじ込まれていることを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項12】
ブラケットは、支柱に対して車道の外側から車道側に向けて水平方向に貫通させたボルトの他端へ当該ブラケットに設けられたボルト孔を通してナットを締結して取り付けられており、
インナースリーブとボルト接合されたビームパイプは、前記ブラケットのナット締結部位から車道側へ突き出されたパイプ受け部に当てがわれ、当該パイプ受け部に設けられたボルト孔と当該ビームパイプのボルト孔とを合致させ、当該パイプ受け部の背面側から当該ボルト孔へボルトを差し入れ、前記ナット保持部材の対応するナットへねじ込み結合されて成ることを特徴とする、請求項1ないし11のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項13】
インナースリーブとビームパイプを接合したボルト、及びブラケットとビームパイプとを夫々接合したボルトは、その頭頂部が平らに形成されており、車道の外側下面側から上向きないし斜め上向き方向にねじ込まれていることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項14】
隣接する同径のビームパイプ同士は、前記ビームパイプの中空部内へ挿入したインナースリーブの略中央位置で当接状態で連結されており、前記ビームパイプ同士の突き合わせ目地が1本のみに形成されていることを特徴とする、請求項1ないし13のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項15】
支柱を水平方向に貫通させたボルトの他端及び同他端へ締結したナットは、前記ボルトおよびナットで支柱へ固定されたブラケットの固定部位からその上方部を迂回して車道側へ突き出されたパイプ受け部により上面部が覆われていると共に、同ブラケットの前記固定部位からその上方部を迂回して車道側へ突き出されたパイプ受け部が形成する隙間部へ横方向から嵌め込まれたナットカバーにより側面部を覆われ、前記ナットは前記ナットカバーにより平行な2辺を挟まれて回り止めされていることを特徴とする、請求項1ないし14のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項16】
支柱を水平方向に貫通させたボルトの他端及び同他端へ締結したナットは、前記ボルトおよびナットで支柱へ固定されたブラケットの固定部位からその上方部を迂回して車道側へ突き出されたパイプ受け部により上面部が覆われていると共に、同ブラケットの前記固定部位からその上方部を迂回して車道側へ突き出されたパイプ受け部が形成する隙間部へ横方向から嵌め込まれたナットカバーにより側面部を覆われ、前記ブラケットの固定部位の下辺を略V字形に折り返したリップによってナットの一辺が回り止めされていることを特徴とする、請求項1ないし15のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項1】
隣接するビームパイプ同士を一個の共通なインナースリーブを介して一連にボルト接合し、支柱にブラケットを取付け、当該ブラケットへ当該ビームパイプをボルト接合により取り付けて成る道路用防護柵であって、
前記ビームパイプ同士を連結する前記インナースリーブの中空部内にはナット保持部材が挿入され、
前記ナット保持部材は、前記インナースリーブの管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状とされ、当該インナースリーブの各ボルト孔と一致する配置でナットを回り止め状態に保持するナット嵌め込み部と当該ナットの抜け止めを防止する係止部を備えており、
前記ナット保持部材のナットは、前記インナースリーブのボルト孔と合致する位置に位置決めされており、
前記ビームパイプは、前記インナースリーブと前記ビームパイプのボルト孔とが一致する配置となるように、当該インナースリーブの外周面へ嵌め込まれ、そのボルト孔の外方から内向きに挿入したボルトを前記ナット保持部材の対応するナットへねじ込み接合されていることを特徴とする、道路用防護柵。
【請求項2】
ナット保持部材は、インナースリーブの長手方向に対する移動を止める位置決め手段を備えることを特徴とする、請求項1記載した道路用防護柵。
【請求項3】
インナースリーブの長手方向に対する移動を止める位置決め手段は、ナット保持部材に保持されたナットを、インナースリーブのボルト孔と当該インナースリーブの長手方向に関して一致させるために、当該インナースリーブに設けた位置決め部へ挿し入れることを可能に突設させた位置決めストッパであり、
前記位置決めストッパは、前記ナット保持部材の外周面に備わることを特徴とする、請求項2に記載した道路用防護柵。
【請求項4】
インナースリーブには、その長手方向に連続する開口隙間が形成されており、
ナット保持部材の外周面には、当該ナット保持部材のナットを前記インナースリーブのボルト孔と一致させる、当該ナット保持部材の周方向に関する位置決め手段として、前記開口隙間へ挿し入れることが可能に突設させたスライドガイドを備えていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項5】
ナット保持部材は、インナースリーブの中空部内へ挿入する際、あるいは当該中空部から取り外す際に使用する掴み部を備えていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項6】
ナット保持部材は、インナースリーブの中空部内へ挿入する向きを確認させる目印を設けた掴み部を備えていることを特徴とする、請求項5に記載した道路用防護柵。
【請求項7】
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットの外径よりも若干大きく形成され、当該ナット嵌め込み部へ嵌め込まれたナットは、当該ナット嵌め込み部の中で回らない程度に緩く保持されていることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項8】
ナット保持部材のナット嵌め込み部には、少なくともナットの外周面と接する範囲に、当該ナットを保持する形状で金属板が埋め込まれていることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項9】
ナット保持部材は、合成樹脂で形成されていることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項10】
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットを横向きにスライドさせて嵌め込み可能に一側を切り欠いた挿入部が形成されていることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項11】
ブラケットにビームパイプを当てがってボルト接合する際のボルトは、ナット保持部材に保持されるナットにねじ込まれていることを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項12】
ブラケットは、支柱に対して車道の外側から車道側に向けて水平方向に貫通させたボルトの他端へ当該ブラケットに設けられたボルト孔を通してナットを締結して取り付けられており、
インナースリーブとボルト接合されたビームパイプは、前記ブラケットのナット締結部位から車道側へ突き出されたパイプ受け部に当てがわれ、当該パイプ受け部に設けられたボルト孔と当該ビームパイプのボルト孔とを合致させ、当該パイプ受け部の背面側から当該ボルト孔へボルトを差し入れ、前記ナット保持部材の対応するナットへねじ込み結合されて成ることを特徴とする、請求項1ないし11のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項13】
インナースリーブとビームパイプを接合したボルト、及びブラケットとビームパイプとを夫々接合したボルトは、その頭頂部が平らに形成されており、車道の外側下面側から上向きないし斜め上向き方向にねじ込まれていることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項14】
隣接する同径のビームパイプ同士は、前記ビームパイプの中空部内へ挿入したインナースリーブの略中央位置で当接状態で連結されており、前記ビームパイプ同士の突き合わせ目地が1本のみに形成されていることを特徴とする、請求項1ないし13のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項15】
支柱を水平方向に貫通させたボルトの他端及び同他端へ締結したナットは、前記ボルトおよびナットで支柱へ固定されたブラケットの固定部位からその上方部を迂回して車道側へ突き出されたパイプ受け部により上面部が覆われていると共に、同ブラケットの前記固定部位からその上方部を迂回して車道側へ突き出されたパイプ受け部が形成する隙間部へ横方向から嵌め込まれたナットカバーにより側面部を覆われ、前記ナットは前記ナットカバーにより平行な2辺を挟まれて回り止めされていることを特徴とする、請求項1ないし14のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【請求項16】
支柱を水平方向に貫通させたボルトの他端及び同他端へ締結したナットは、前記ボルトおよびナットで支柱へ固定されたブラケットの固定部位からその上方部を迂回して車道側へ突き出されたパイプ受け部により上面部が覆われていると共に、同ブラケットの前記固定部位からその上方部を迂回して車道側へ突き出されたパイプ受け部が形成する隙間部へ横方向から嵌め込まれたナットカバーにより側面部を覆われ、前記ブラケットの固定部位の下辺を略V字形に折り返したリップによってナットの一辺が回り止めされていることを特徴とする、請求項1ないし15のいずれか一に記載した道路用防護柵。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−285810(P2010−285810A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140952(P2009−140952)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【Fターム(参考)】
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