説明

道路管理システム

【課題】道路に配備、敷設されているキロポスト及び、光ファイバー網を、道路の近辺の種々の条件、環境の総合的な把握に利用し、道路の安全、安心を高める。
【解決手段】中央の情報管理サーバと、道路に配備されているキロポストに装備されている情報取得手段と、前記道路に埋設されていて、前記情報管理サーバと、前記情報取得手段との間の情報交信に利用される光ファイバー網とを備えている道路管理システムであって、前記情報取得手段は、検知手段を備えていて、当該検知手段で取得した情報を、前記光ファイバー網を介して前記中央の情報管理サーバに送信することを特徴とする道路管理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の管理を通じて、より安全で安心な社会の構築に貢献する道路管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から道路上に設置されている検出装置を利用して刊行状況を検出し、交通を監視して管理する装置、方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−117639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1などに記載されている従来の方法、装置は、道路の交通状況を検知し、渋滞の解消などに利用されるものが一般的であった。
【0004】
道路の近辺の温度、天候、路面の状況などの道路のコンディションは、道路を走行する自動車の安全などに大きな影響を与える。
【0005】
この道路の近辺の種々の条件、環境の変動を総合的に把握して道路の安全、安心を高める提案は従来行われていなかった。
【0006】
日本では、高速道路や一般国道などの主要な道路(都道府県道など)に、事故などの際の目印として目立つように、路肩や中央分離帯などに、キロポストという距離標が設置されている。キロポストは、道路の起点からの距離を表した標識であって、一般的にキロメートル単位で表しているものであるが、本発明においては、この他に、100mごとに路肩や中央分離帯などに設置されることがある100mポストも含めてキロポストとしている。
【0007】
また、前記の高速道路や一般国道などの主要な道路(都道府県道など)には光ファイバー網が敷設されているのが一般的である。
【0008】
このように従来から道路に配備、敷設されているキロポスト及び、光ファイバー網を、道路の近辺の種々の条件、環境の総合的な把握に利用し、道路の安全、安心を高める提案も従来行われていなかった。
【0009】
そこで、本発明は、従来から道路に配備、敷設されているキロポスト及び、光ファイバー網を、道路の近辺の種々の条件、環境の総合的な把握に利用し、道路の安全、安心を高めることを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、この発明が提案する道路管理システムは、次の通りのものである。
【0011】
中央の情報管理サーバと、道路に配備されているキロポストに装備されている情報取得手段と、前記道路に埋設されていて、前記情報管理サーバと、前記情報取得手段との間の情報交信に利用される光ファイバー網とを備えている道路管理システムであって、前記情報取得手段は、検知手段を備えていて、当該検知手段で取得した情報を、前記光ファイバー網を介して前記中央の情報管理サーバに送信することを特徴とする道路管理システム(請求項1)。
【0012】
検知手段には撮像手段が含まれており、当該撮像手段で撮影した映像を、前記前記情報取得手段が、前記光ファイバー網を介して前記中央の情報管理サーバに送信することを特徴とする請求項1記載の道路管理システム(請求項2)。
【0013】
検知手段には温度センサが含まれており、当該温度センサで計測した温度に関する情報を、前記前記情報取得手段が、前記光ファイバー網を介して前記中央の情報管理サーバに送信することを特徴とする請求項1記載の道路管理システム(請求項3)。
【0014】
前記温度センサには、キロポストの周囲の雰囲気の温度を計測する大気温度センサと、道路の路面温度を計測する路面温度センサとの双方、又はいずれか一方が含まれることを特徴とする請求項3記載の道路管理システム(請求項4)。
【0015】
検知手段には明度センサが含まれており、当該明度センサで計測した明度に関する情報を、前記前記情報取得手段が、前記光ファイバー網を介して前記中央の情報管理サーバに送信することを特徴とする請求項1記載の道路管理システム(請求項5)。
【0016】
検知手段には気圧センサが含まれており、当該気圧センサで計測した気圧に関する情報を、前記前記情報取得手段が、前記光ファイバー網を介して前記中央の情報管理サーバに送信することを特徴とする請求項1記載の道路管理システム(請求項6)。
検知手段には音声センサが含まれており、当該音声センサで計測した音声レベルに関する情報を、前記前記情報取得手段が、前記光ファイバー網を介して前記中央の情報管理サーバに送信することを特徴とする請求項1記載の道路管理システム(請求項7)。
検知手段には振動センサが含まれており、当該振動センサで計測した振動に関する情報を、前記前記情報取得手段が、前記光ファイバー網を介して前記中央の情報管理サーバに送信することを特徴とする請求項1記載の道路管理システム(請求項8)。
検知手段には路面センサが含まれており、当該路面センサで計測した路面に関する情報を、前記前記情報取得手段が、前記光ファイバー網を介して前記中央の情報管理サーバに送信することを特徴とする請求項1記載の道路管理システム(請求項9)。
前記情報取得手段は、外部の通信手段との間で無線にて情報の交信を行うインターフェイス部を備えていると共に、外部の通信手段からの要求に応じて、前記情報取得手段が備えている記憶手段に記憶されている情報を当該インターフェイス部を介して、前記外部の通信手段に送信することを特徴とする請求項1記載の道路管理システム(請求項10)。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、従来から道路に配備、敷設されているキロポスト及び、光ファイバー網を、道路の近辺の種々の条件、環境の総合的な把握に利用し、道路の安全、安心を高めることができる。
【0018】
そして、道路の管理を通じて、より安全で安心な社会の構築に貢献する道路管理システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1図示のように、高速道路や一般国道などの主要な道路(都道府県道など)1には、事故などの際の目印として目立つように、路肩や中央分離帯などに、キロポスト3、3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g(以下、総称して「キロポスト3」ということがある)が設置されている。
【0020】
また、高速道路や一般国道などの主要な道路(都道府県道など)1には光ファイバー網2が一般に敷設されている。
【0021】
本発明の道路管理システムは、コンピュータからなる中央の情報管理サーバ6と、道路1に配備されているキロポスト3に装備されている情報取得手段と、道路1に埋設されていて、情報管理サーバ6と、キロポスト3に装備されている情報取得手段との間の情報交信に利用される光ファイバー網2とを備えている。
【0022】
キロポスト3に装備されている情報取得手段は、検知手段を備えていて、当該検知手段で取得した情報を、光ファイバー網2を介して中央の情報管理サーバ6に送信するようになっている。
【0023】
前記の情報取得手段は、図3に例示するように、光ファイバー網2を介して中央の情報管理サーバ6との間で情報の送受信を行う送受信部31と、外部の通信手段(例えば、携帯電話のような携帯端末)との間で無線にて情報の交信を行うインターフェイス部32を備えている。
【0024】
また、キロポスト3に装備されている情報取得手段が備えている検知手段には、CCDカメラなどからなる撮像手段33、温度センサ34、明度センサ35、気圧センサ36、音声センサ37、振動センサ38、路面センサ39、CPU、RAMなどからなる制御手段40、フラッシュメモリなどからなる記憶手段41が含まれている。
【0025】
一方、中央の情報管理サーバ6には、ファイバー網2を介して各キロポスト3に装備されている情報取得手段との間で情報の送受信を行う送受信部61と、外部の通信手段(例えば、携帯電話のような携帯端末)との間で無線にて情報の交信を行うインターフェイス部62、CPU、RAMなどからなる制御手段63、ハードディスクなどからなる記憶手段65などが備えられている。
【0026】
CCDカメラなどからなる撮像手段33は、制御手段40の制御の下にキロポスト3が設置されている場所の近辺の状況を撮影する。この撮影した映像は、制御手段40の制御の下に記憶手段41に格納しておくなり、制御手段40が行った所定の判定動作を経て、予め定めてある閾値を越える画像データである場合に、送受信部31を介して、光ファイバー網2を経て、情報管理サーバ6に送るようにすることができる。
【0027】
温度センサ34には、キロポスト3の周囲の雰囲気の温度を計測する大気温度センサと、道路1の路面温度を計測する路面温度センサとの双方、又はいずれか一方が含まれるようにすることができる。
【0028】
温度センサ34は、制御手段40の制御の下に、キロポスト3の周囲の雰囲気の温度及び/又は道路1の路面温度を計測し、その計測した温度データは、制御手段40の制御の下に記憶手段41に格納しておくなり、制御手段40が行った所定の判定動作を経て、予め定めてある閾値を越える温度データである場合に、送受信部31を介して、光ファイバー網2を経て、情報管理サーバ6に送るようにすることができる。
【0029】
明度センサ35は、制御手段40の制御の下に、キロポスト3の周囲の明度を計測し、その計測した明度データは、制御手段40の制御の下に記憶手段41に格納しておくなり、制御手段40が行った所定の判定動作を経て、予め定めてある閾値を越える明度データである場合に、送受信部31を介して、光ファイバー網2を経て、情報管理サーバ6に送るようにすることができる。
【0030】
気圧センサ36は、制御手段40の制御の下に、キロポスト3設置場所の気圧を計測し、その計測した気圧データは、制御手段40の制御の下に記憶手段41に格納しておくなり、制御手段40が行った所定の判定動作を経て、予め定めてある閾値を越える気圧データである場合に、送受信部31を介して、光ファイバー網2を経て、情報管理サーバ6に送るようにすることができる。
【0031】
音声センサ37は、制御手段40の制御の下に、キロポスト3周囲の音声を検知し、その検知した音声データは、制御手段40の制御の下に記憶手段41に格納しておくなり、制御手段40が行った所定の判定動作を経て、予め定めてある閾値を越える音声データである場合に、送受信部31を介して、光ファイバー網2を経て、情報管理サーバ6に送るようにすることができる。
【0032】
例えば、予め定めてある範囲以上の大きな音声データである場合に、事故などの異常が生じたものとして、送受信部31を介して、光ファイバー網2を経て、情報管理サーバ6に情報を送るようにすることができる。
【0033】
振動センサ38は、制御手段40の制御の下に、キロポスト3設置場所の振動を検知し、その検知した振動データは、制御手段40の制御の下に記憶手段41に格納しておくなり、制御手段40が行った所定の判定動作を経て、予め定めてある閾値を越える振動データである場合に、送受信部31を介して、光ファイバー網2を経て、情報管理サーバ6に送るようにすることができる。
【0034】
例えば、予め定めてある範囲以上の大きな振動データである場合に、地震などの異常が生じたものとして、送受信部31を介して、光ファイバー網2を経て、情報管理サーバ6に情報を送るようにすることができる。
【0035】
路面センサ39は、制御手段40の制御の下に、路面に関する情報、例えば、路面の凍結や、路面の損傷などを検知し、その検知した路面データは、制御手段40の制御の下に記憶手段41に格納しておくなり、制御手段40が行った所定の判定動作を経て、予め定めてある閾値を越える路面データである場合に、送受信部31を介して、光ファイバー網2を経て、情報管理サーバ6に送るようにすることができる。
【0036】
これによって、路面が損傷する、路面に穴が開く、等の予兆を事前に検知することが可能になる。また、温度センサ34で取得した路面の温度と合わせて、路面凍結、スリップに対する注意情報を道路1走行中の自動車に知らせるようにできる。
【0037】
キロポスト3に配備されている情報取得手段には、外部の通信手段(例えば、携帯電話のような携帯端末)との間で無線にて情報の交信を行うインターフェイス部32が配備されているので、道路1の点検を行っている者や、道路1を走行している自動車に同乗している者などが、携帯端末を介して近辺のキロポスト3に配備されている情報取得手段との間で情報の交信を行い、道路1の点検を行っている者や、道路1を走行している自動車に同乗している者などが把握した道路近辺の情報をキロポスト3に配備されている情報取得手段に送信して、制御手段40の制御の下に記憶手段41に格納しておくなり、送受信部31を介して、光ファイバー網2を経て、情報管理サーバ6に送るようにすることができる。
【0038】
また、道路1の点検を行っている者や、道路1を走行している自動車に同乗している者などが、携帯端末を介して近辺のキロポスト3に配備されている情報取得手段との間で情報の交信を行い、制御手段40の制御の下で、記憶手段41に格納されていた情報を、インターフェイス部32を介して取得することができる。例えば、キロポスト3が設置されている地域の観光情報や、道路の混雑状況、などを入手できる。
【0039】
前記のような情報取得手段が各キロポスト3に配備されていることにより、既存の道路のインフラストラクチャリング(キロポストや光ファイバ網)を活用し、道路及び道路の周辺から有効な情報を得て、より安全、安心な道路環境を提供することができる。
【0040】
そして、このようにして、道路のインテルイジェント化と評することができるように、あたかも道路自体を道路利用者にとって有用な種々の情報を発信するものとして活用し、道路から発信される情報を利用して、より安全、安心な道路環境を実現することができる。
【0041】
以上、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々の形態に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】道路におけるキロポスト、光ファイバ網の設置状況を説明する概念図。
【図2】本発明の一実施形態を説明する概念図。
【図3】本発明の一実施形態におけるブロック構成を説明する図。
【符号の説明】
【0043】
1 道路
2 光ファイバー網
3、3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g キロポスト
6 中央の情報管理サーバ
31 送受信部
32 インターフェイス部
33 撮像手段
34 温度センサ
35 明度センサ
36 気圧センサ
37 音声センサ
38 振動センサ
39 路面センサ
40 制御手段
41 記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央の情報管理サーバと、
道路に配備されているキロポストに装備されている情報取得手段と、
前記道路に埋設されていて、前記情報管理サーバと、前記情報取得手段との間の情報交信に利用される光ファイバー網と
を備えている道路管理システムであって、
前記情報取得手段は、検知手段を備えていて、当該検知手段で取得した情報を、前記光ファイバー網を介して前記中央の情報管理サーバに送信することを特徴とする道路管理システム。
【請求項2】
検知手段には撮像手段が含まれており、当該撮像手段で撮影した映像を、前記前記情報取得手段が、前記光ファイバー網を介して前記中央の情報管理サーバに送信することを特徴とする請求項1記載の道路管理システム。
【請求項3】
検知手段には温度センサが含まれており、当該温度センサで計測した温度に関する情報を、前記前記情報取得手段が、前記光ファイバー網を介して前記中央の情報管理サーバに送信することを特徴とする請求項1記載の道路管理システム。
【請求項4】
前記温度センサには、キロポストの周囲の雰囲気の温度を計測する大気温度センサと、道路の路面温度を計測する路面温度センサとの双方、又はいずれか一方が含まれることを特徴とする請求項3記載の道路管理システム。
【請求項5】
検知手段には明度センサが含まれており、当該明度センサで計測した明度に関する情報を、前記前記情報取得手段が、前記光ファイバー網を介して前記中央の情報管理サーバに送信することを特徴とする請求項1記載の道路管理システム。
【請求項6】
検知手段には気圧センサが含まれており、当該気圧センサで計測した気圧に関する情報を、前記前記情報取得手段が、前記光ファイバー網を介して前記中央の情報管理サーバに送信することを特徴とする請求項1記載の道路管理システム。
【請求項7】
検知手段には音声センサが含まれており、当該音声センサで計測した音声レベルに関する情報を、前記前記情報取得手段が、前記光ファイバー網を介して前記中央の情報管理サーバに送信することを特徴とする請求項1記載の道路管理システム。
【請求項8】
検知手段には振動センサが含まれており、当該振動センサで計測した振動に関する情報を、前記前記情報取得手段が、前記光ファイバー網を介して前記中央の情報管理サーバに送信することを特徴とする請求項1記載の道路管理システム。
【請求項9】
検知手段には路面センサが含まれており、当該路面センサで計測した路面に関する情報を、前記前記情報取得手段が、前記光ファイバー網を介して前記中央の情報管理サーバに送信することを特徴とする請求項1記載の道路管理システム。
【請求項10】
前記情報取得手段は、外部の通信手段との間で無線にて情報の交信を行うインターフェイス部を備えていると共に、外部の通信手段からの要求に応じて、前記情報取得手段が備えている記憶手段に記憶されている情報を当該インターフェイス部を介して、前記外部の通信手段に送信することを特徴とする請求項1記載の道路管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate