説明

遠位大腿膝義肢

【課題】遠位大腿膝義肢セットを改良する。
【解決手段】女性患者の解剖学的構造によりぴったり合うよう、既存の義肢より前後側寸法が大きくなり、内外側寸法が狭まるように設計される遠位大腿膝義肢セット。義肢は、遠位側から見た時、M/L寸法が義肢の後端から始まって義肢の前端に向かって次第に顕著に狭まるほぼ台形の形状を有するように設計される。加えて、義肢は各々、切除された大腿骨の解剖学的構造にぴったり合うように縮小された形の膝蓋溝と縮小された形の前側顆を含み、また、女性の解剖学的構造に合うように最適化された溝トラッキングも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許法第119条(e)項の規定に基づいて、2005年12月15日に提出された表題「遠位大腿膝義肢」の米国仮特許出願第60/750613号、及び、2006年6月27日に提出された表題「遠位大腿膝義肢」の米国仮特許出願第60/805933号の利益を主張し、その開示内容の各々を参考として本願に組み入れる。
【0002】
本発明は、一般に整形外科用装具に関し、特に遠位大腿膝義肢に関する。
【背景技術】
【0003】
膝関節の関節表面を冒す疾病や外傷は、一般に、膝全置換(“TKR”)又は膝全関節形成(“TKA”)として知られた手法に従い、大腿骨と脛骨の関節端を外科手術により大腿骨と脛骨のインプラント又は義肢と置換することによって効果的に治療される。大腿骨と脛骨のインプラントは、正常な膝機能を回復させるべく互いに関節結合することから、低い摩擦係数を示す材料で作られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遠位大腿膝義肢は各種サイズで提供されており、特定の患者の解剖学的構造にぴったりフィットするように外科医により選択されるけれども、遠位大腿膝義肢の設計には改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、女性患者の解剖学的構造によりぴったり合うよう、既存義肢より前後側(“A/P”)寸法が大きくなり、内外側(“M/L”)寸法が狭まるように設計される遠位大腿膝義肢セットを提供する。義肢は、遠位側から見た時、M/L寸法が義肢の後端から始まって義肢の前端に向かって次第に顕著に狭まるほぼ台形の形状を有するように設計される。加えて、義肢は各々、切除された大腿骨の解剖学的構造にぴったり合うように縮小された形の膝蓋溝(patellar sulcus)と縮小された形の前側顆を含み、また、女性の解剖学的構造に合うように最適化された溝トラッキング(sulcus tracking)も含む。
【0006】
その1つの形態において、本開示は、各々の大腿義肢が、前側端と後側端を有する遠位側非関節結合面を含み、それぞれ、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において遠位側非関節結合面の前側端と後側端を結ぶ外側線と遠位側非関節結合面の前側端と後側端を結ぶ内側線の間に限定された遠位テーパ角が次第に増大していく標準アスペクト比の複数の義肢を含み、これら義肢の少なくとも幾つかが約21°以上の遠位テーパ角を有する、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セットを提供する。
【0007】
その別の形態において、本開示は、各々の大腿義肢が、前側端と後側端を有する遠位側非関節結合面を含み、また、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法を有し、かつ、遠位側非関節結合面の前側端と遠位側非関節結合面の後側端からほぼ等距離の前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法を有する大腿義肢を含み、これら義肢の少なくとも幾つかが、第1ポイントと第2ポイント、すなわち、全前後側寸法約52.0、内外側寸法約55.0の第1ポイントと、全前後側寸法約77.0、内外側寸法約78.5の第2ポイントを結ぶ線によって限定された概念上の境界より下に入る全前後側寸法と内外側寸法を有する、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セットを提供する。ここで、前記の線は、次の方程式によって限定される。
(内外側寸法)=(0.94×全前後側寸法)+6.12
【0008】
そのなお別の形態において、本開示は、各々の大腿義肢が、前側端と後側端を有する遠位側非関節結合面を含み、それぞれ、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において遠位側非関節結合面の前側端によって限定された1つの前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法が次第に増大していく標準アスペクト比の複数の義肢を含み、これら義肢の少なくとも幾つかが、第1ポイントと第2ポイント、すなわち、全前後側寸法約52.0、内外側寸法約50.0の第1ポイントと、全前後側寸法約77.0、内外側寸法約70.5の第2ポイントを結ぶ線によって限定された概念上の境界より下に入る全前後側寸法と内外側寸法を有する、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セットを提供する。ここで、前記の線は、次の方程式によって限定される。
(内外側寸法)=(0.82×全前後側寸法)+7.36
【0009】
その更に別の形態において、本開示は、各々の大腿義肢が、遠位側非関節結合面と前側非関節結合面を含み、それぞれ、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において前側非関節結合面上の最も遠位側のポイントによって限定された1つの前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法が次第に増大していく標準アスペクト比の複数の義肢を含み、これら義肢の少なくとも幾つかが、第1ポイントと第2ポイント、すなわち、全前後側寸法約52.0、内外側寸法約40.1の第1ポイントと、全前後側寸法約77.0、内外側寸法約53.5の第2ポイントを結ぶ線によって限定された概念上の境界より下に入る全前後側寸法と内外側寸法を有する、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セットを提供する。ここで、前記の線は、次の方程式によって限定される。
(内外側寸法)=(0.54×全前後側寸法)+12.23
【0010】
その別の形態において、本開示は、各々の大腿義肢が、遠位側非関節結合面と前側非関節結合面を含み、それぞれ、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において前側非関節結合面上の最も遠位側のポイントによって限定された1つの前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法が次第に増大していく複数の義肢を含み、これら義肢の少なくとも幾つかが、第1ポイントと第2ポイント、すなわち、全前後側寸法約52.0、内外側寸法約40.3の第1ポイントと、全前後側寸法約77.0、内外側寸法約51.8の第2ポイントを結ぶ線によって限定された概念上の境界より下に入る全前後側寸法と内外側寸法を有する、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セットを提供する。ここで、前記の線は、次の方程式によって限定される。
(内外側寸法)=(0.46×全前後側寸法)+16.38
【0011】
そのなお更なる形態において、本開示は、各々の大腿義肢が、前側端と後側端を有する遠位側非関節結合面を含み、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法を有し、かつ、遠位側非関節結合面の前側端と遠位側非関節結合面の後側端からほぼ等距離の前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法を有する複数の大腿義肢を含み、これら大腿義肢の少なくとも幾つかが、第1ポイントと第3ポイント、すなわち、全前後側寸法約52.0、内外側寸法約55.0の第1ポイントと、全前後側寸法約77.0、内外側寸法約78.5の第3ポイントを結ぶ上線と、第2ポイントと第4ポイント、すなわち、全前後側寸法約52.0、内外側寸法約47.0の第2ポイントと、全前後側寸法約77.0、内外側寸法約70.0の第4ポイントを結ぶ下線によって限定された概念上の境界の内に入る全前後側寸法と内外側寸法を有する、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セットを提供する。ここで、前記の上線は方程式
(内外側寸法)=(0.94×全前後側寸法)+6.12
によって限定され、前記の下線は方程式
(内外側寸法)=(0.92×全前後側寸法)−0.84
によって限定される。
【0012】
そのなお別の形態において、本開示は、各々の大腿義肢が、前側端と後側端を有する遠位側非関節結合面を含み、それぞれ、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において遠位側非関節結合面の前側端と遠位側非関節結合面の後側端からほぼ等距離の1つの前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法が次第に増大していく標準アスペクト比の複数の義肢を含み、これら義肢の内外側寸法がそれぞれ第1の割合で増大し、全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、この第1の割合と第2の割合が0.89にほぼ等しい、又はそれより小さい比率を限定する、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セットを提供する。
【0013】
その更に別の形態において、本開示は、各々の大腿義肢が、前側端と後側端を有する遠位側非関節結合面を含み、それぞれ、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において遠位側非関節結合面の前側端と遠位側非関節結合面の後側端からほぼ等距離の1つの前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法が次第に増大していく複数の標準義肢を含み、これら義肢の内外側寸法がそれぞれ第1の割合で増大し、全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、この第1の割合と第2の割合が0.75にほぼ等しい、又はそれより小さい比率を限定する、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セットを提供する。
【0014】
その更なる形態において、本開示は、それぞれ、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において最も後側に位置するポイントに直近の場所で限定された1つの前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法が次第に増大していく標準アスペクト比の複数の義肢を含み、これら義肢の内外側寸法がそれぞれ第1の割合で増大し、全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、この第1の割合と第2の割合が0.96にほぼ等しい、又はそれより小さい比率を限定する、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セットを提供する。
【0015】
その別の形態において、本開示は、それぞれ、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において最も後側に位置するポイントに直近の場所で限定された1つの前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法が次第に増大していく複数の義肢を含み、これら義肢の内外側寸法がそれぞれ第1の割合で増大し、全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、この第1の割合と第2の割合が0.84にほぼ等しい、又はそれより小さい比率を限定する、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セットを提供する。
【0016】
その更に別の形態において、本開示は、各々の大腿義肢が、前側端と後側端を有する遠位側非関節結合面を含み、それぞれ、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において遠位側非関節結合面の前側端によって限定された1つの前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法が次第に増大していく標準アスペクト比の複数の義肢を含み、これら義肢の内外側寸法がそれぞれ第1の割合で増大し、全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、この第1の割合と第2の割合が0.78にほぼ等しい、又はそれより小さい比率を限定する、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セットを提供する。
【0017】
そのなお別の形態において、本開示は、各々の大腿義肢が、前側端と後側端を有する遠位側非関節結合面を含み、それぞれ、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において遠位側非関節結合面の前側端によって限定された1つの前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法が次第に増大していく複数の義肢を含み、これら義肢の内外側寸法がそれぞれ第1の割合で増大し、全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、この第1の割合と第2の割合が0.76にほぼ等しい、又はそれより小さい比率を限定する、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セットを提供する。
【0018】
その別の形態において、本開示は、各々の大腿義肢が、遠位側非関節結合面と前側非関節結合面を含み、それぞれ、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において前側非関節結合面上の最も遠位側のポイントによって限定された1つの前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法が次第に増大していく標準アスペクト比の複数の義肢を含み、これら義肢の内外側寸法がそれぞれ第1の割合で増大し、全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、この第1の割合と第2の割合が0.44にほぼ等しい、又はそれより小さい比率を限定する、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セットを提供する。
【0019】
その更なる形態において、本開示は、各々の大腿義肢が、前側端と後側端を有する遠位側非関節結合面を含み、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において遠位側非関節結合面の前側端と後側端を結ぶ外側線と遠位側非関節結合面の前側端と後側端を結ぶ内側線の間に限定された遠位テーパ角が次第に増大していく複数の義肢を含み、これら義肢の遠位テーパ角がそれぞれ第1の割合で増大し、義肢の全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、この第1の割合と第2の割合が0.22にほぼ等しい、又はそれより大きい比率を限定する、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セットを提供する。
【0020】
その更に別の形態において、本開示は、各々の大腿義肢が、前側端と後側端を有する遠位側非関節結合面を含み、それぞれ、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において遠位側非関節結合面の前側端と後側端を結ぶ外側線と遠位側非関節結合面の前側端と後側端を結ぶ内側線の間に限定された遠位テーパ角が次第に増大していく複数の義肢を含み、これら大腿義肢の少なくとも幾つかが、第1ポイントと第3ポイント、すなわち、全前後側寸法約52.0、遠位テーパ角約27.0゜の第1ポイントと、全前後側寸法約77.0、遠位テーパ角約32.0゜の第3ポイントを結ぶ線によって限定された上境界と、第2ポイントと第4ポイント、すなわち、全前後側寸法約58.0、遠位テーパ角約22.5゜の第2ポイントと、全前後側寸法約77.0、遠位テーパ角約26.0゜の第4ポイントを結ぶ線によって限定された下境界によって限定された概念上の境界の内に入る全前後側寸法と遠位テーパ角を有する、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セットを提供する。
【0021】
そのなお別の形態において、本開示は、各々の大腿義肢が、前側端と後側端を有する遠位側非関節結合面を含み、それぞれ、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において遠位側非関節結合面の前側端と後側端を結ぶ外側線と遠位側非関節結合面の前側端と後側端を結ぶ内側線の間に限定された遠位テーパ角が次第に増大していく複数の義肢を含み、これら大腿義肢の少なくとも幾つかが、第1ポイントと第3ポイント、すなわち、全前後側寸法約52.0、遠位テーパ角約34.0゜の第1ポイントと、全前後側寸法約77.0、遠位テーパ角約32.0゜の第3ポイントを結ぶ線によって限定された上境界と、第2ポイントと第4ポイント、すなわち、全前後側寸法約58.0、遠位テーパ角約22.5゜の第2ポイントと、全前後側寸法約77.0、遠位テーパ角約26.0゜の第4ポイントを結ぶ線によって限定された下境界によって限定された概念上の境界の内に入る全前後側寸法と遠位テーパ角を有する、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セットを提供する。
【0022】
その更なる形態において、本開示は、遠位平面と前側非関節結合面、外側の前側顆と内側の前側顆、これらの顆の間に限定された膝蓋溝を含み、この膝蓋溝がその最も前側のポイントと前側非関節面の間に最大約2.5mm〜3.2mmの厚さを有する遠位大腿義肢を提供する。
【0023】
その別の形態において、本開示は、遠位平面と前側非関節結合面、各々1つの前側関節面を限定する外側の前側顆と内側の前側顆を含み、これら顆の少なくとも1つが、その顆の前側関節面の最も前側のポイントと前側非関節面の間に最大約4.0mm〜6.1mmの厚さを有する遠位大腿義肢を提供する。
【0024】
そのなお別の形態において、本開示は、義肢の外側前側顆と内側前側顆の間に配置された膝蓋溝及び遠位平面を有する非関節結合面を含み、前記溝が終点を有し、前記終点において、前記遠位平面と前記溝との交点から延びる第1の線と前記終点の間に内外側分化距離(lateralization distance)が限定されていて、この内外側分化距離が5.0mmより大きい遠位大腿義肢を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る例示的遠位大腿義肢の側面図である。
【図2】図1の義肢の、そのある一定の寸法を記入した別の側面図である。
【図3】図2の義肢の、図2の線3−3に沿って見た遠位側視図で、既知の義肢に重ね合わせた図である。
【図4】図3の義肢の寸法“B−B”におけるM/L対A/P寸法関係を示す。
【図5】男性と女性の多様なサイズの大腿骨を基準とする代表的な解剖学的ミッドボックスM/L対A/P寸法関係を示すグラフである。
【図5A】代表的大腿骨の解剖学的全A/P寸法の図である。
【図5B】代表的大腿骨の解剖学的M/L寸法の図である。
【図6】本発明に従って設計された義肢に関するミッドボックスM/L寸法対全A/P寸法を幾つかの既知の義肢と比較して示すグラフである。
【図7】本発明に従って設計された義肢に関する寸法“B−B”に沿った前側M/L寸法対全A/P寸法を幾つかの既知の義肢と比較して示すグラフである。
【図8】本発明に従って設計された義肢に関する後側M/L寸法対全A/P寸法を幾つかの既知の義肢と比較して示すグラフである。
【図9】図6の義肢に関する(ミッドボックスM/L対全A/P寸法)対全A/P寸法比を示すグラフである。
【図10】図7の義肢に関する(寸法“B−B”に沿った前側M/L寸法対全A/P寸法)対全A/P寸法比を示すグラフである。
【図11】図8の義肢に関する(後側M/L寸法対全A/P寸法)対全A/P寸法比を示すグラフである。
【図12】本発明に従って設計された例示的義肢の、同じ形状及び遠位テーパ角を有する既知の義肢に重ね合わせた遠位側視図である。
【図13】本発明に従って設計された義肢に関する遠位テーパ角対全A/P寸法を幾つかの既知の義肢と比較して示すグラフである。
【図14】例示的義肢の遠位側視図である。
【図15】図14の義肢の側面図で、その凹形の膝蓋溝を既知の義肢と比較して示す図である。
【図16】図14の義肢の別の側面図で、その縮小された形状の前側顆を既知の義肢と比較して示す図である。
【図17A】従来の溝トラッキングを有する既知の義肢の前後側視図である。
【図17B】内外側でより分化された溝トラッキングを有する本発明に係る例示的義肢の前後側視図である。
【図18】本発明に従って設計された義肢に関する線A−Aに沿ったM/L寸法対全A/P寸法を幾つかの既知の義肢と比較して示すグラフである。
【図19】図18の義肢に関する(線A−Aに沿ったM/L寸法対全A/P寸法)対全A/P寸法比を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の上述の特徴と他の特徴、及び、これらを達成する方法を明らかにし、より良く理解するため、以下、本発明の実施例を図面に則して詳細に説明する。
【0027】
図中に付けられた参照符号は、同じ符号が相応の同じ部品を指す。ここで述べる例は本発明の実施例であり、このような例が本発明の範囲を制限するものと解釈すべきではない。
【0028】
ここで使用する通り、方向について以下の定義を適用する。前側と後側は、それぞれ身体の前面に近い方、後面に近い方を意味する。従って、ここで述べる義肢に関しては、前側は、脚が延伸位置にある時に身体の前面に近い方の膝部分を指す。近位側と遠位側は、それぞれ構造の基幹に近い方、基幹から遠い方を指す。例えば、遠位大腿骨は膝関節の一部であり、近位側大腿骨の方は腰関節の一部である。最後に、形容詞の「内側の」と「外側の」は、それぞれ矢状面に近い方、矢状面から遠い方を意味する。矢状面とは、身体の中心を通って身体を右半分と左半分に分割する想像上の垂直面のことである。
【0029】
本発明に従って作られた遠位側大腿膝義肢は、例えばリューマチ関節炎、変形性関節症、外傷性関節炎、多発性関節炎、膠原病疾患、及び/又は、大腿顆の虚血壊死、特に膝蓋骨侵食、機能不全又は膝蓋骨切除がある時の関節構造の外傷後損失、中等度の外反、内反、屈曲変形、又は他の状態による深刻な痛みや障害を持つ患者において膝関節機能を回復させるのに使用することを目的とする。
【0030】
最初に図1について説明すると、ここに示してあるのは、本発明の一実施例に係る膝全置換/膝全関節形成のための遠位大腿義肢50で、一般に、外関節結合面52と非関節結合の骨接触内面54を含む。関節結合面52は、前側関節接合面56、遠位関節結合面58、外側後側顆状関節結合面60、及び、内側後側顆状関節結合面62を含む。義肢50は、人間の遠位膝大腿義肢として機能するのに必要な機械的性質を有する生物学的両立性のある材料で作ってよい。好ましくは、義肢50は、チタン、チタン合金、コバルトクロム合金、ステンレス鋼、又はセラミックで作る。加えて図3について説明すると、義肢50は、更に、それぞれ外側前側顆66と内側前側顆68を含む膝蓋骨フランジ64、ならびに、外側前側顆66と内側前側顆68の間に置かれた膝蓋溝70を含む。義肢はまた、それぞれ外側後側顆72と内側後側顆74も含む。
【0031】
図1について説明すると、義肢50の非関節結合内面54は、切除された遠位大腿骨を受け止めるのに適応する。遠位大腿骨に対してなされる外科的切断は、膝関節形成術において当業者に知られたどんな手段を使っても、そんな順序ででも、また、どんな構成ででも行うことができる。遠位大腿骨を切除するための切断ガイド及びプロセスの例が、本発明の譲受人に譲渡された2005年6月13日提出の表題「調節可能な切断ガイド」の米国特許出願第11/151062号(代理人書類照合番号ZIM0231)、及び、2005年6月16日提出の表題「多位置決め可能な切断ガイド」の米国特許出願第11/154774号(代理人書類照合番号ZIM0234)において図示、説明されており、その開示内容を参考として特にここに組み入れる。
【0032】
好ましい一実施例では、義肢50が、遠位大腿骨に作られた複数のチャンファ面、すなわち“ボックスカット”に対応する複数のチャンファ面を包含する。非関節面54は、有孔金属面、又は、そこで骨の成長を促進しそうな何らかの表面を包含する。義肢50の非関節面54は、好ましくは、前側非関節面76、遠位前側非関節面78、遠位非関節面80、2つの遠位後側非関節面82、及び、2つの後側非関節面84を包含する。
【0033】
遠位非関節面80は、ほぼ平坦で、切除された大腿骨の最も遠位側の面を受け止めるのに適応する。遠位非関節面80は前側端と後側端を包含する。遠位非関節面80の前側端は、遠位前側非関節面78の一端と接し、この面78も前側端と後側端を含む。面78は、面80から前側かつ上側に延び、それも、面78と面80の間に鈍角が作られるように延びる。前側非関節面76は、面78の前側端から上側に延びる。
【0034】
遠位非関節面80の後側端は、遠位後側非関節面82の一端と接し、この面82も前側端と後側端を含む。面82は、面80から後側かつ上側に延び、それも、面82と面80の間に鈍角が作られるように延びる。後側非関節面84は、面82の後側端から上側に延びる。
【0035】
下で詳述する通り、多くの患者、特に女性患者にとっては、義肢の内外側(“M/L”)幅寸法が女性の大腿骨と関節面の現実の解剖学的M/L幅寸法によりぴったり合う形でサイズの異なる1組の義肢50を製作することが望ましい。下で述べる通り、義肢50は、所与の1組の前後側(“A/P”)義肢の代わりに、その従来型義肢と比べて最適な義肢サイズと関節運動を提供すべく正確なA/Pサイズとより精確な最適化されたM/L寸法の両方を持つ義肢を外科医が使用するのを可能にするような、M/L寸法を狭めた1組の義肢を外科医に提供することにより、上の点に対処する。
【0036】
図3において、義肢50の輪郭86は既知の義肢の輪郭88に重ね合わせられている。下で詳述する通り、義肢50は、切除された大腿骨を基準として起点の後側遠位窩から前側へ前側遠位窩に向かうにつれて既知の義肢の形状又は輪郭88と比べてM/L寸法が次第に顕著に狭まるような、遠位側から見てほぼ台形の特異な形状又は輪郭86を有する。図2及び3について説明すると、ここに示してあるのは、前側“P”、後側“P”、遠位側“D”、近位側“PR”、内側“M”及び外側“L”の各方向を基準として下記の寸法を有することを特徴とした義肢50である。寸法“後側”は、義肢50の後側顆72、74を結ぶ線上の最も幅の広いポイントにおけるM/L幅である。寸法“C−C”は、後側遠位窩と遠位平面との接合点におけるM/L幅、すなわち、遠位非関節面80と遠位後側非関節面82との交線に沿ったM/L幅である。寸法“B−B”は、遠位平面と前側遠位窩との接合点におけるM/L幅、すなわち、遠位非関節面80と遠位前側非関節面78との交線に沿ったM/L幅である。寸法“A−A”は、前側遠位窩と前側フランジの後側との接合点におけるM/L幅、すなわち、遠位前側非関節面78と前側非関節面76との交線に沿ったM/L幅である。寸法“MB”は、義肢50の“ミッドボックス”ポイントにおけるM/L幅、すなわち、遠位非関節面80の上で寸法C−Cと寸法B−Bのほぼ中間に位置する線に沿った内外側幅寸法である。
【0037】
下で述べる通り、1組の義肢50の輪郭は、各サイズをベースにして既知の義肢に相対してM/L寸法が次第に狭まっていくという言い方でも説明できる。例えば、所与の女性大腿骨について、M/L寸法は時々、相応のA/P寸法を持つ既知の義肢のそれより小さいことが観察されたのである。この差違は、A/Pサイズが小さめの義肢では小さいが、A/Pサイズが大きくなるにつれて増大する。例えば図5について説明すると、ここに示してあるのは、男性と女性の遠位大腿骨の現実の解剖学的構造を基準とする代表的なミッドボックスM/L対A/P寸法関係である。女性群の代表的データは概してミッドボックスM/L寸法の低い方の値にまとまっており、男性群の代表的データは概してミッドボックスM/L寸法の高い方の値にまとまっている。代表的なミッドボックスM/L寸法の一般的傾向を見るため、女性群データと男性群データのベストフィット最大公約数的な線を図5に書き入れた。図5から分かる通り、女性の遠位大腿骨では、男性の遠位大腿骨と比べて、代表的なM/L寸法とA/P寸法の間に顕著な区別が存在する。図5A及び5Bは、代表的大腿骨についての解剖学的な全A/P寸法とミッドボックスM/L寸法の例を示す。
【0038】
図2において、遠位非関節面80に垂直な2本の線、すなわち、全前後側(“Overall A/P”)寸法は、外側関節結合面58の後側面上の最も後側のポイントを通過する線と、外側関節結合面58の前側面上の最も前側のポイントを通過する線の間の距離である。図2はまた、切除されたその上に義肢50が位置決めされた大腿骨の輪郭を破線で示す。
【0039】
1つの比較例として、従来型義肢(CからGへと大きくなっていく5つのサイズを持つ従来型1“Conventional 1”)の後側寸法“Posterior”、A−A寸法“A-A”及び全前後側寸法“Overall A/P”とこれらの寸法比を、本発明に従って設計された1組の義肢(CからGへと大きくなっていく5つのサイズを持つ実施例1“Embodiment 1”)の対応する寸法及び寸法比と比較する。これらの値を下の表1に示す。別段の指示がない限り、ここに記載の寸法数値はすべて単位ミリメートル(“mm”)である。
【表1】

【0040】
下の表2は、従来型1(Conventional 1)、従来型2(Conventional 2)(従来型1に類似の)、実施例1(Embodiment 1)、実施例2(Embodiment 2)(実施例1に類似の)を含む数組の義肢、ならびに、他の、競合型1(Competitive 1)、競合型2(Competitive 2)、競合型3(Competitive 3)、競合型4(Competitive 4)及び競合型5(Competitive 5)と名付けた5組の競合する既知の義肢を対象とするデータセットに適合する一次方程式の答を示す。データセットは、Posterior M/L対Overall A/P、及び、(Posterior M/L対Overall A/P)対Overall A/Pの比を含む。

【表2】

【0041】
表2のデータから、実施例1及び2の義肢セットの傾斜は既知の義肢セットの傾斜と比べて差のあることが分かる。特に、表2のデータから、実施例1及び2の義肢セットは、A/Pサイズが大きくなるにつれて後側M/L寸法が狭まり(例えば、傾斜が0.93より小さいことで指し示された通り)、これと反対に、既知の義肢セットは、A/Pサイズが大きくなるにつれて後側M/L寸法とA/P寸法の間にほぼ平行の関係、又は1対1の関係がある(傾斜が0.93以上であることで指し示された通り)ことが分かる。つまり、既知の義肢セットでは、後側M/L寸法とA/P寸法は、A/Pサイズが大きくなるにつれてほぼ同じ割合で増大する。また、(後側M/L対全A/P)対全A/P寸法比の傾斜は、実施例1及び2義肢セットの場合−0.0032より小さいが、対する既知の義肢セットの場合の傾斜は−0.0032より大きく、これは、実施例1及び2の義肢セットの場合、A/Pサイズが大きくなるにつれて後側M/L寸法が次第に顕著に狭まっていくことを指し示す。こうして、本発明に従って設計された義肢セットは、既知の義肢セットと比べて女性の解剖学的構造に合うようにより解剖学的に最適化される中で、インプラント後側M/L幅寸法と相異なるA/Pサイズとの特異な組み合わせを外科医に提供する。
【0042】
下の表3は、従来型1(Conventional 1)、従来型2(Conventional 2)(従来型1に類似の)、実施例1(Embodiment 1)、実施例2(Embodiment 2)(実施例1に類似の)を含む数組の義肢、ならびに、他の、競合型1(Competitive 1)、競合型2(Competitive 2)、競合型3(Competitive 3)、競合型4(Competitive 4)及び競合型5(Competitive 5)と名付けた5組の競合する既知の義肢を対象とするデータセットに適合する一次方程式の答を示す。データセットは、B-B M/L対Overall A/P、及び、(B-B M/L対Overall A/P)対Overall A/Pの比を含む。

【表3】

【0043】
表3のデータから、実施例1及び2の義肢セットの傾斜は既知の義肢セットの傾斜と比べてかなりの差のあることが分かる。A/P寸法が与えられている場合の“B−B”前側M/L寸法の大きさはかなり目立つ。すなわち、B−B幅寸法、すなわち、前側幅寸法の、相異なるA/Pサイズ全体にわたっての変化は、実施例1及び2の義肢セットと既知の義肢セットの間でより劇的に顕著である。特に、実施例1及び2の義肢セットは、A/Pサイズが大きくなるにつれて前側M/L寸法が狭まり(例えば、傾斜が0.78より小さいことで指し示された通り)、これと反対に、既知の義肢セットは、A/Pサイズが大きくなるにつれて前側M/L寸法とA/P寸法の間にほぼ平行の関係、又は1対1の関係がある(傾斜が0.78以上であることで指し示された通り)。つまり、既知の義肢セットでは、前側M/L寸法とA/P寸法は、A/Pサイズが大きくなるにつれてほぼ同じ割合で増大する。また、(後側M/L対全A/P)対全A/P寸法比の傾斜は、実施例1及び2義肢セットの場合−0.0038より大きく、対する既知の義肢セットの場合の傾斜は−0.0038より小さく、これは、実施例1及び2の義肢セットの場合、A/Pサイズが大きくなるにつれて“B−B”前側M/L寸法が次第に顕著に狭まっていくことを指し示す。こうして、本発明に従って設計された義肢セットは、既知の義肢セットと比べて女性の解剖学的構造に合うようにより解剖学的に最適化される中で、インプラントM/L幅寸法の特異な組み合わせを義肢の全体システムとして外科医に提供する。
【0044】
別の比較例として、従来型義肢(CからGへと大きくなっていく5つのサイズを持つ従来型3“Conventional 3”、従来型4“Conventional 4”及び従来型5“Conventional 5”)の後側寸法“Posterior”、B−B寸法“B-B”及び全前後側寸法“Overall A/P”を、本発明に従って設計された1組の義肢(CからGへと大きくなっていく5つのサイズを持つ実施例3“Embodiment 3”、実施例4“Embodiment 4”及び実施例5“Embodiment 5”)の対応する寸法と比較する。一実施例において、従来型5と実施例5の値は、従来型3及び4と実施例3及び4のそれぞれの平均値であってよい。これらの値を下の表4に示す。

【表4】

【0045】
図6は、各々、CからGへとサイズが大きくなっていく義肢セットの従来型5(Conventional 5)と実施例5(Embodiment 5)、ならびに、他の、競合型1(Competitive 1)、競合型2(Competitive 2)、競合型3(Competitive 3)、競合型4(Competitive 4)、競合型5(Competitive 5)、競合型6(Competitive 6)、競合型7(Competitive 7)及び競合型8(Competitive 8)と名付けた8組の競合する既知の義肢を対象とするミッドボックスM/L寸法対全A/P寸法のグラフである。
【0046】
図7は、各々、CからGへとサイズが大きくなっていく義肢セットの従来型5(Conventional 5)と実施例5(Embodiment 5)、ならびに、他の、競合型1(Competitive 1)、競合型2(Competitive 2)、競合型3(Competitive 3)、競合型4(Competitive 4)、競合型5(Competitive 5)、競合型6(Competitive 6)、競合型7(Competitive 7)及び競合型8(Competitive 8)と名付けた8組の競合する既知の義肢を対象とするB−B内M/L寸法対全A/P寸法のグラフである。
【0047】
図8は、各々、CからGへとサイズが大きくなっていく義肢セットの従来型5(Conventional 5)と実施例5(Embodiment 5)、ならびに、他の、競合型1(Competitive 1)、競合型2(Competitive 2)、競合型3(Competitive 3)、競合型4(Competitive 4)、競合型5(Competitive 5)、競合型6(Competitive 6)、競合型7(Competitive 7)及び競合型8(Competitive 8)と名付けた8組の競合する既知の義肢を対象とする後側M/L寸法対全A/P寸法のグラフである。
【0048】
下の表5は、図6、7及び8に示したデータセット、ならびに、表4に示した実施例3(Embodiment 3)及び実施例4(Embodiment 4)と従来型3(Conventional 3)及び従来型4(Conventional 4)のデータセットの各々に適合する一次方程式の答を示す。

【表5】

【0049】
表5のデータから、実施例3、4及び5の義肢セットの傾斜は既知の義肢セットの傾斜と比べて差のあることが分かる。特に、表5のデータから、実施例3、4及び5の義肢セットは、A/Pサイズが大きくなるにつれて後側M/L寸法が狭まり(例えば、傾斜が約0.85より小さいことで指し示された通り)、これと反対に、既知の義肢セットは、A/Pサイズが大きくなるにつれて後側M/L寸法とA/P寸法の間にほぼ平行の関係、又は1対1の関係がある(傾斜が0.85以上であることで指し示された通り)ことが分かる。つまり、既知の義肢セットでは、後側M/L寸法とA/P寸法は、A/Pサイズが大きくなるにつれてほぼ同じ割合で増大する。実施例において、義肢50のA/Pサイズが大きくなるにつれて後側M/L寸法が呈する傾斜は、約0.50、0.55、0.60又は0.65程度に小さくても、約0.85、0.84、0.83、0.81、0.80、0.75又は0.70程度に大きくてもよい。一実施例において、義肢50のA/Pサイズが大きくなるにつれて後側M/L寸法が呈する傾斜は、約0.80である。つまり、義肢50の後側M/L寸法は、対応する全A/P寸法より小さい割合で増大する。対照的に、既知の義肢セットでは、後側M/L寸法とA/P寸法は、A/Pサイズが大きくなるにつれてほぼ同じ割合で増大する。こうして、本発明に従って設計された義肢セットは、既知の義肢セットと比べて女性の解剖学的構造に合うようにより解剖学的に最適化される中で、インプラント後側M/L幅寸法と相異なるA/Pサイズとの特異な組み合わせを義肢の全体システムとして外科医に提供する。
【0050】
その上、表5のデータから、実施例3、4及び5の義肢セットの傾斜は、B−B寸法及びMB寸法で見ると、既知の義肢セットの傾斜と比べてかなりの差のあることが分かる。A/P寸法が与えられている場合のB−B値及びMB値の大きさはかなり目立つ。すなわち、B−B幅寸法、又は、MB幅寸法の、相異なるA/Pサイズ全体にわたっての変化は、実施例3、4及び5の義肢セットと既知の義肢セットの間でより劇的に顕著である。
【0051】
特に、実施例3、4及び5の義肢セットは、A/Pサイズが大きくなるにつれてB−B内M/L寸法が狭まり(例えば、傾斜が約0.77より小さいで指し示された通り)、これと反対に、既知の義肢セットは、A/Pサイズが大きくなるにつれてB−B内M/L寸法とA/P寸法の間にほぼ平行の関係、又は1対1の関係がある(傾斜が0.78以上であることで指し示された通り)。実施例において、義肢50のA/Pサイズが大きくなるにつれてB−B内M/L寸法が呈する傾斜は、約0.30、0.35、0.40又は0.45程度に小さくても、約0.77、0.76、0.75、0.74、0.72、0.70、0.65、0.60又は0.50程度に大きくてもよい。一実施例において、義肢50のA/Pサイズが大きくなるにつれてB−B内M/L寸法が呈する傾斜は、約0.46である。つまり、義肢50のB−B内M/L寸法は、対応する全A/P寸法より小さい割合で増大する。対照的に、既知の義肢セットでは、B−B内M/L寸法とA/P寸法は、A/Pサイズが大きくなるにつれてほぼ同じ割合で増大する。
【0052】
その上、実施例3、4及び5の義肢セットは、A/Pサイズが大きくなるにつれてMB内M/L寸法が狭まり(例えば、傾斜が約0.76より小さいことで指し示された通り)、これと反対に、既知の義肢セットは、A/Pサイズが大きくなるにつれてMB内M/L寸法とA/P寸法の間にほぼ平行の関係、又は1対1の関係がある(傾斜が0.77以上であることで指し示された通り)。実施例において、義肢50のA/Pサイズが大きくなるにつれてMB内M/L寸法が呈する傾斜は、約0.40、0.45、0.50、0.55又は0.57程度に小さくても、約0.76、0.75、0.74、0.73、0.72、0.71、0.70、0.65又は0.60程度に大きくてもよい。実施例において、義肢50のA/Pサイズが大きくなるにつれてMB内M/L寸法が呈する傾斜は、約0.60である。つまり、義肢50のB−B内M/L寸法は、対応する全A/P寸法より小さい割合で増大する。対照的に、既知の義肢セットでは、MB内M/L寸法とA/P寸法は、A/Pサイズが大きくなるにつれてほぼ同じ割合で増大する。
【0053】
こうして、本発明に従って設計された義肢セットは、既知の義肢セットと比べて女性の解剖学的構造に合うようにより解剖学的に最適化される中で、インプラントM/L幅寸法の特異な組み合わせを義肢の全体システムとして外科医に提供する。
【0054】
図6について説明すると、実施例5に関する値の範囲は、点鎖線で示した通りの平行四辺形のような概念上の境界の線の内にほぼ入る。明らかに、他の既知の義肢で、このMB内M/L寸法と対応する全A/P寸法の値の範囲内に入るMB内M/L寸法を持つ義肢は1つもない。平行四辺形は、主に、全A/P寸法とMB寸法によって与えられた座標によって限定された4つのポイント、すなわち、第1ポイント又は左上隅(“First Point”)−(52.0、55.0)、第2ポイント又は左下隅(“Second Point”)−(52.0、47.0)、第3ポイント又は右上隅(“Third Point”)−(77.0、78.5)及び第4ポイント又は右下隅(“Fourth Point”)−(77.0、70.0)によって限定される。従って、第1ポイントと第3ポイントによって限定された平行四辺形の上境界は、方程式MB M/L=0.94×Overall A/P+6.12によって与えられてよく、第2ポイントと第4ポイントによって限定された平行四辺形の下境界は、方程式MB M/L=0.92×Overall A/P−0.84によって与えられてよい。
【0055】
下の表6に、全A/P寸法と、後側M/L対全A/P、MB内M/L対全A/P、B−B内M/L対全A/Pの各寸法比を、実施例3、4及び5、ならびに、従来型3、4及び5の義肢について示す。

【表6】

【0056】
図9は、図6に則して上で述べた義肢に関する(MB M/L対Overall A/P)対Overall A/Pの比を示すグラフである。図10は、図7に則して上で述べた義肢に関する(B-B M/L対Overall A/P)対Overall A/Pの比を示すグラフである。図11は、図8に則して上で述べた義肢に関する(Posterior M/L対Overall A/P)対Overall A/Pの比を示すグラフである。
【0057】
下の表7は、図9、10及び11に示したデータセット、ならびに、表6の実施例3及び4と従来型3及び4のデータセットの各々に適合する一次方程式の答を示す。

【表7】

【0058】
表7のデータから、実施例3、4及び5の義肢セットの傾斜は既知の義肢セットの傾斜と比べて差のあることが分かる。特に表7のデータから分かる通り、実施例3、4及び5の義肢セットは、A/Pサイズが大きくなるにつれて後側M/L寸法が狭まり(実施例3、4及び5の義肢セットについて、(後側M/L対全A/P)対全A/P寸法比の傾斜が−0.0032より小さいことで指し示された通り)、対する既知の義肢セットは、競合型7を除いて、−0.0032以上であり、これは、実施例3、4及び5の義肢セットの場合、A/Pサイズが大きくなるにつれて後側M/L寸法が次第に顕著に狭まっていくことを指し示す。こうして、本発明に従って設計された義肢セットは、既知の義肢セットと比べて女性の解剖学的構造に合うようにより解剖学的に最適化される中で、インプラント後側M/L幅寸法と相異なるA/Pサイズとの特異な組み合わせを外科医に提供する。
【0059】
その上、実施例3、4及び5の義肢セットの傾斜は、MB寸法及びB−B内M/L寸法で見ると、既知の義肢セットの傾斜と比べてかなりの差のあることが分かる。A/P寸法が与えられている場合のB−B内前側M/L寸法の大きさはかなり目立つ。すなわち、B−B幅寸法、すなわち、前側幅寸法の、相異なるA/Pサイズ全体にわたっての変化は、実施例3、4及び5の義肢セットと既知の義肢セットの間でより劇的に顕著である。特に、(B−B内M/L対全A/P)対全A/P寸法比の傾斜は、実施例3、4及び5の義肢セットの場合−0.0032より小さく、対する既知の義肢セットの場合の傾斜は−0.0032以上であり、これは、実施例3、4及び5の義肢セットの場合、A/Pサイズが大きくなるにつれてB−B内M/L寸法が次第に顕著に狭まっていくことを指し示す。
【0060】
その上、(MB内M/L対全A/P)対全A/P寸法比の傾斜は、実施例3、4及び5の義肢セットの場合−0.0054より小さく、対する既知の義肢セットの場合の傾斜は−0.0054以上であり、これは、実施例3、4及び5の義肢セットの場合、A/Pサイズが大きくなるにつれてMB内M/L寸法が次第に顕著に狭まっていくことを指し示す。義肢50は、A/Pサイズが大きくなるにつれて(MB内M/L対全A/P)対全A/P寸法比の傾斜が、−0.0075、−0.0072、−0.0069、−0.0066又は−0.0063程度に小さくても、−0.0055、−0.0057、−0.0059又は−0.0061程度に大きくてもよい。こうして、本発明に従って設計された義肢セットは、既知の義肢セットと比べて女性の解剖学的構造に合うようにより解剖学的に最適化される中で、インプラントM/L幅寸法の特異な組み合わせを義肢の全体システムとして外科医に提供する。
【0061】
図9について説明すると、実施例5に関する値の範囲は、点鎖線で示した通りの四角形のような概念上の境界の線の内にほぼ入る。明らかに、他の既知の義肢で、このMB内M/L対全A/P寸法比と対応する全A/P寸法の値の範囲内に入るMB内M/L対全A/P寸法比を持つ義肢は1つもない。四角形は、主に、全A/P寸法とMB内M/L対全A/P寸法比によって与えられた座標によって限定された4つのポイント、すなわち、第1ポイント又は左上隅(“First Point”)−(52.0、1.06)、第2ポイント又は左下隅(“Second Point”)−(52.0、0.90)、第3ポイント又は右上隅(“Third Point”)−(77.0、1.02)及び第4ポイント又は右下隅(“Fourth Point”)−(77.0、0.91)によって限定される。従って、第1ポイントと第3ポイントによって限定された四角形の上境界は、方程式MB M/L / Overall A/P Ratio=−0.0015×Overall A/P+1.14によって与えられてよく、第2ポイントと第4ポイントによって限定された下境界は、方程式MB M/L / Overall A/P Ratio=0.0002×Overall A/P+0.89によって与えられてよい。
【0062】
別の比較例として、従来型義肢(CからGへと大きくなっていく5つのサイズを持つ従来型3“Conventional 3”、従来型4“Conventional 4”及び従来型5“Conventional 5”)のA−A寸法“A-A”及び全前後側寸法“Overall A/P”を、本発明に従って設計された1組の義肢(CからGへと大きくなっていく5つのサイズを持つ実施例3“Embodiment 3”、実施例4“Embodiment 4”及び実施例5“Embodiment 5”)の対応する寸法と比較する。一実施例において、従来型5と実施例5の値は、従来型3及び4と実施例3及び4のそれぞれの平均値であってよい。これらの値を下の表8に示す。

【表8】

【0063】
図18は、各々、CからGへとサイズが大きくなっていく義肢セットの従来型5(Conventional 5)と実施例5(Embodiment 5)、ならびに、他の、競合型1(Competitive 1)、競合型2(Competitive 2)、競合型3(Competitive 3)、競合型4(Competitive 4)、競合型5(Competitive 5)、競合型6(Competitive 6)、競合型7(Competitive 7)及び競合型8(Competitive 8)と名付けた8組の競合する既知の義肢を対象とするA−A内M/L寸法対全A/P寸法のグラフである。
【0064】
下の表9は、図18に示したデータセット、ならびに、表8の実施例3及び4と従来型3及び4のデータセットに適合する一次方程式の答を示す。

【表9】

【0065】
表9のデータから、実施例3、4及び5の義肢セットの傾斜は既知の義肢セットの傾斜と比べて差のあることが分かる。特に表9のデータから分かる通り、実施例3、4及び5の義肢セットは、A/Pサイズが大きくなるにつれてA−A内M/L寸法が狭まり(例えば、競合型5を除いて、傾斜約0.46で指し示された通り)、これと反対に、既知の義肢セットは、A/Pサイズが大きくなるにつれて後側M/L寸法とA/P寸法の間にほぼ平行の関係、又は1対1の関係がある(傾斜が0.46以上であることで指し示された通り)。一実施例において、義肢50のA/Pサイズが大きくなるにつれてA−A内M/L寸法が呈する傾斜は、約0.30である。
【0066】
下の表10に、全前後側寸法“Overall A/P”と寸法“A-A”対“Overall A/P”の比を、実施例3、4及び5、ならびに、従来型義肢3、4及び5について示す。

【表10】

【0067】
図19は、図18に則して上で述べた義肢に関する(A-A M/L対Overall A/P)対Overall A/Pの比を示すグラフである。
【0068】
下の表11は、図19に示したデータセット、ならびに、表10の実施例3及び4と従来型3及び4のデータセットに適合する一次方程式の答を示す。

【表11】

【0069】
表11のデータから、実施例3、4及び5の義肢セットの傾斜は既知の義肢セットの傾斜と比べて差のあることが分かる。特に表11のデータから分かる通り、実施例3、4及び5の義肢セットは、A/Pサイズが大きくなるにつれてA−A内M/L寸法が狭まり(実施例3、4及び5の義肢セットについて、(A−A内M/L対全A/P)対全A/P寸法比の傾斜が−0.0049より小さいことで指し示された通り)、これと反対に、既知の義肢セットは、競合型5を除いて、−0.0049以上であり、これは、実施例3、4及び5の義肢セットの場合、A/Pサイズが大きくなるにつれてA−A内M/L寸法が次第に顕著に狭まっていくことを指し示す。こうして、本発明に従って設計された義肢セットは、既知の義肢セットと比べて女性の解剖学的構造に合うようにより解剖学的に最適化される中で、インプラントA−A内M/L幅寸法と相異なるA/Pサイズとの特異な組み合わせを外科医に提供する。
【0070】
図18について説明すると、実施例5に関する値の範囲は、1つの概念上の境界の線の下にほぼ入る。ここで言う境界は、全A/P寸法とA−A内M/L寸法によって与えられた座標によって限定された2つのポイント、すなわち、第1ポイント“First Point”(52.0、40.3)と第2ポイント“Second Point”(77.0、51.8)によって限定されてよい。従って、この境界は、方程式A-A M/L=0.46×Overall A/P+16.38によって与えられた線を限定する。
【0071】
図19について説明すると、実施例5に関する値の範囲は、1つの概念上の境界の線の下にほぼ入る。ここで言う境界は、全A/P寸法とA−A内M/L対全A/P寸法比によって与えられた座標によって限定された2つのポイント、すなわち、第1ポイント“First Point”(52.0、0.78)と第2ポイント“Second Point”(77.0、0.67)によって限定されてよい。従って、この境界は、方程式A-A M/L / Overall A/P=−0.0041×Overall A/P+0.99によって与えられた線を限定する。
【0072】
本発明に係る義肢の設計を特徴づける別の方途としては、遠位テーパ角“DT”の使用がある。義肢50の輪郭86を既知の義肢の輪郭88に重ね合わせた図12に則して説明すると、遠位テーパ角“DT”は、各々、前側遠位チャンファ面のエッジ上の1点、すなわち、寸法“B−B”に沿ったポイント90と、後側遠位チャンファ面のエッジ上の1点、すなわち、寸法“C−C”に沿ったポイント92とを結ぶ義肢両側の2本の線の間の角度である。図12には、義肢50にとっての遠位テーパ角DT1と既知の義肢にとっての遠位テーパ角DT2がそれぞれ描かれている。図12から、義肢50にとっての遠位テーパ角DT1は既知の義肢にとっての遠位テーパ角DT2より大きいことが分かる。
【0073】
図13は、上で述べた義肢の幾つかに関する遠位テーパ角対全A/P寸法のチャートである。上と同様、図13のデータセットに適合する一次方程式を適用した。その答を下の表12に示す。

【表12】

【0074】
表12のデータから分かる通り、実施例3〜5の義肢の遠位テーパ角と全A/P寸法との比は、既知の義肢のそれと異なる。特に、前傾のデータから、傾斜が0.20より大きいことで立証された通り、実施例3〜5の義肢は、A/Pサイズが大きくなるにつれてより顕著に一貫して増大する遠位テーパ角を呈することが分かる。加えて、図13から分かる通り、実施例5の義肢セットは、義肢全サイズを通して、表12に示した通りの正の傾斜を呈する既知の義肢セットより大きい遠位テーパ角を有する。更に、実施例5の義肢セットの遠位テーパ角曲線は、既知の義肢セットのランダム化した“シーソー”曲線又は扁平化した曲線と対照的に一貫して上向きの傾斜を呈する。これは、実施例5の義肢セットの場合、A/Pサイズが大きくなるにつれて遠位テーパ角と全A/P寸法の間により厳密な平行の関係、又はほぼ1対1の関係があることを指し示す。実施例において、義肢50のA/Pサイズが大きくなるにつれて遠位テーパ角が呈する傾斜は、約0.21、0.22、0.230.24、0.25、0.26、0.27又は0.30程度に小さくても、約0.42、0.39、0.36又は0.33程度に大きくてもよい。一実施例において、義肢50のA/Pサイズが大きくなるにつれて遠位テーパ角が呈する傾斜は、約0.28である。
【0075】
図13に示した通り、実施例5に関する値の範囲は、点鎖線で示した通りの四角形のような概念上の境界の線の内にほぼ入る。明らかに、他の既知の義肢で、この遠位テーパ角と対応する全A/P寸法の値の範囲内に入る遠位テーパ角を持つ義肢は1つもない。四角形は、主に、全A/P寸法と遠位テーパ角によって与えられた座標によって限定された4つのポイント、すなわち、左上隅(“1B”)−(52.0、27.0°)、左下隅(“4”)−(52.0、22.5°)、右上隅(“2”)−(77.0、32.0°)及び右下隅(“3”)−(77.0、26.0°)によって限定される。あるいは代わりに、左上隅は座標 (52.0、34.0°) (“1A”)であってよい。あるいは代わりに、ポイント1A、1B、2、3及び4は、概念上の境界を限定する五角形を限定する。実施例5の義肢セットの遠位テーパ角は約21°以上であってよい。義肢50の遠位テーパ角の値は、21°、22°、23°、25°又は27°程度に小さくても、35°、33°、31°又は29°程度に大きくてもよい。
【0076】
再び図8について説明すると、義肢セットは、標準アスペクト比のカテゴリと非標準アスペクト比のカテゴリとに分類してよい。ここで使用する通り、用語“標準アスペクト比”は、52.0mmから77.0mmまでの範囲に及ぶ全A/P寸法に対して、対応する後側M/L寸法が上境界(Upper Boundary)と下境界(Lower Boundary)の間にほぼ入る義肢セットのその寸法関係を言う。上境界と下境界は、全A/P寸法と後側M/L寸法によって与えられた座標によって限定されたポイントを持つ線によって限定されてよい。上境界は、第1ポイント又は左下ポイント(“First Upper Point”)−(52.0、59.0)と第2ポイント又は右上ポイント(“Second Upper Point”)−(77.0、83.5)を結ぶ線によって限定されてよい。下境界は、3つの例示的境界によって限定されてよい。一実施例において、下境界1は、第1ポイント又は左下ポイント(“First Lower Point 1”)−(52.0、51.0)と第2ポイント又は右上ポイント(“Second Lower Point 1”)−(77.0、73.0) を結ぶ線によって限定されてよい。別の実施例において、下境界2は、第1ポイント又は左下ポイント(“First Lower Point 2”)−(52.0、53.0) と第2ポイント又は右上ポイント(“Second Lower Point 2”)−(77.0、75.0)を結ぶ線によって限定されてよい。なお別の実施例において、下境界3は、第1ポイント又は左下ポイント(“First Lower Point 3”)−(52.0、55.0)と第2ポイント又は右上ポイント(“Second Lower Point 3”)−(77.0、77.0)を結ぶ線によって限定されてよい。約52.0mmから77.0mmまでの範囲に及ぶ全A/P寸法を有する義肢について、上境界と下境界をそれぞれ方程式で限定してよい。すなわち、上境界線は、方程式Posterior M/L=0.98×Overall A/P+8.04によって限定されてよい。下境界1線は、方程式Posterior M/L=0.88×Overall A/P+5.24によって限定されてよい。下境界2線は、方程式Posterior M/L=0.88×Overall A/P+7.24によって限定されてよい。下境界3線は、方程式Posterior M/L=0.88×Overall A/P+9.24によって限定されてよい。
【0077】
図11について説明すると、義肢セットに関する標準アスペクト比カテゴリを限定するのに使用される上述の上境界と下境界は、52.0mmから77.0mmまでの範囲に及ぶ全A/P寸法を限定する目的のために後側M/L対全A/P寸法比と共に使用してもよい。上境界と下境界は、全A/P寸法と後側M/L対全A/P寸法比によって与えられた座標によって限定されたポイントを有する線によって限定されてよい。上境界は、第1ポイント又は左下ポイント(“First Upper Point”)−(52.0、1.13)と第2ポイント又は右上ポイント(“Second Upper Point”)−(77.0、1.08)を結ぶ線によって限定されてよい。下境界は、3つの例示的境界によって限定されてよい。下境界1は、第1ポイント又は左下ポイント(“First Lower Point 1”)−(52.0、0.98)と第2ポイント又は右上ポイント(“Second Lower Point 1”)−(77.0、0.95)を結ぶ線によって限定されてよい。下境界2は、第1ポイント又は左下ポイント(“First Lower Point 2”)−(52.0、1.02)と第2ポイント又は右上ポイント(“Second Lower Point 2”)−(77.0、0.97)を結ぶ線によって限定されてよい。下境界3は、第1ポイント又は左下ポイント(“First Lower Point 3”)−(52.0、1.06)と第2ポイント又は右上ポイント(“Second Lower Point 3”)−(77.0、1.00)を結ぶ線によって限定されてよい。約52.0mmから77.0mmまでの範囲に及ぶ全A/P寸法を有する義肢について、上境界と下境界をそれぞれ方程式で限定してよい。すなわち、上境界線は、方程式Posterior M/L / Overall A/P=−0.0020×Overall A/P+1.24によって限定されてよい。下境界1線は、方程式Posterior M/L / Overall A/P=−0.0013×Overall A/P+1.05によって限定されてよい。下境界2線は、方程式Posterior M/L / Overall A/P=−0.0018×Overall A/P+1.11によって限定されてよい。下境界3線は、方程式Posterior M/L / Overall A/P=−0.0023×Overall A/P+1.18によって限定されてよい。
【0078】
上述の標準アスペクト比の定義を適用した上で図8〜11について説明すると、競合型5、競合型7及び競合型8に則して述べた義肢は、非標準アスペクト比のカテゴリに属することが分かる。
【0079】
再び図13について説明すると、実施例5は遠位テーパ角が21゜以上である。対照的に、他の標準アスペクト比の義肢はすべて、遠位テーパ角が21゜より小さい。
【0080】
図6について説明すると、実施例5は、MB内M/L寸法が、第1ポイント(52.0、55.0)と第3ポイント(77.0、78.5)を結ぶ線によって限定された境界より下にある。従って、全A/P寸法の範囲を52.0mmから77.0mmまでとすると、実施例5は、MB内M/L寸法が方程式MB M/L=0.94×Overall A/P+6.12によって与えられた線より下に入る。対照的に、他の標準アスペクト比の義肢はすべて、MB内M/L寸法が上の方程式によって与えられた線より上に入る。
【0081】
図9について説明すると、実施例5は、MB内M/L対全A/P寸法比が、第1ポイント(52.0、1.06)と第3ポイント(77.0、1.02)を結ぶ線によって限定された境界より下にある。従って、全A/P寸法の範囲を52.0mmから77.0mmまでとすると、実施例5は、MB内M/L対全A/P寸法比が方程式MB M/L / Overall A/P=−0.0015×Overall A/P+1.14によって与えられた線より下に入る。対照的に、他の標準アスペクト比の義肢はすべて、MB内M/L対全A/P寸法比が上の方程式によって与えられた線より上に入る。
【0082】
図7について説明すると、実施例5は、B−B内M/L寸法が、第1ポイント(52.0、50.0)と第2ポイント(77.0、70.5)を結ぶ線によって限定された境界より下にある。従って、全A/P寸法の範囲を52.0mmから77.0mmまでとすると、実施例5は、B−B内M/L寸法が方程式B-B M/L=0.82×Overall A/P+7.36によって与えられた線より下に入る。対照的に、他の標準アスペクト比の義肢はすべて、B−B内M/L寸法が上の方程式によって与えられた線より上に入る。
【0083】
図10について説明すると、実施例5は、B−B内M/L対全A/P寸法比が、第1ポイント(52.0、0.96)と第2ポイント(77.0、0.92)を結ぶ線によって限定された境界より下にある。従って、全A/P寸法の範囲を52.0mmから77.0mmまでとすると、実施例5は、B−B内M/L対全A/P寸法比が方程式B-B M/L / Overall A/P=−0.0018×Overall A/P+1.06によって与えられた線より下に入る。対照的に、他の標準アスペクト比の義肢はすべて、B−B内M/L対全A/P寸法比が上の方程式によって与えられた線より上に入る。
【0084】
図18について説明すると、実施例5は、A−A内M/L寸法が、第3ポイント(52.0、40.1)と第4ポイント(77.0、53.5)を結ぶ線によって限定された境界より下にある。従って、全A/P寸法の範囲を52.0mmから77.0mmまでとすると、実施例5は、A−A内M/L寸法が方程式A-A M/L=0.54×Overall A/P+12.23によって与えられた線より下に入る。対照的に、他の標準アスペクト比の義肢はすべて、A−A内M/L寸法が上の方程式によって与えられた線より上に入る。
【0085】
図19について説明すると、実施例5は、A−A内M/L対全A/P寸法比が、第3ポイント(52.0、0.77)と第4ポイント(77.0、0.69)を結ぶ線によって限定された境界より下にある。従って、全A/P寸法の範囲を52.0mmから77.0mmまでとすると、実施例5は、A−A内M/L対全A/P寸法比が方程式A-A M/L / Overall A/P=−0.0031×Overall A/P+0.93によって与えられた線より下に入る。対照的に、他の標準アスペクト比の義肢はすべて、A−A内M/L対全A/P寸法比が上の方程式によって与えられた線より上に入る。
【0086】
再び表5について説明すると、実施例3〜5は、A/Pサイズの増大につれて後側M/L寸法の呈する傾斜が約0.98より小さい。義肢50は、A/Pサイズの増大につれて後側M/L寸法の呈する傾斜の値が、約0.50、0.55、0.60又は0.65程度に小さくても、約0.96、0.95、0.94、0.91、0.88、0.85、0.84、0.83、0.81、0.80、0.75又は0.70程度に大きくてもよい。対照的に、他の標準アスペクト比の義肢はすべて、A/Pサイズの増大につれて後側M/L寸法が呈する傾斜が0.98以上である。
【0087】
なお表5について説明すると、実施例3〜5は、A/Pサイズの増大につれてMB内M/L寸法の呈する傾斜が約0.91より小さい。義肢50は、A/Pサイズの増大につれてMB内M/L寸法の呈する傾斜の値が、約0.40、0.45、0.50、0.55又は0.57程度に小さくても、約0.90、0.89、0.87、0.84、0.81、0.79、0.76、0.75、0.74、0.73、0.72、0.71、0.70、0.65又は0.60程度に大きくてもよい。対照的に、他の標準アスペクト比の義肢はすべて、A/Pサイズの増大につれてMB内M/L寸法の呈する傾斜が0.91以上である。
【0088】
再び表5について説明すると、実施例3〜5は、A/Pサイズの増大につれてB−B内M/L寸法の呈する傾斜が約0.80より小さい。義肢50は、A/Pサイズの増大につれてB−B内M/L寸法の呈する傾斜の値が、約0.30、0.35、0.40又は0.45程度に小さくても、0.79、0.78、0.77、0.76、0.75、0.74、0.72、0.70、0.65、0.60又は0.50程度に大きくてもよい。対照的に、他の標準アスペクト比の義肢はすべて、A/Pサイズの増大につれてB−B内M/L寸法の呈する傾斜が0.80以上である。
【0089】
表9について説明すると、実施例3〜5は、A/Pサイズの増大につれてA−A内M/L寸法の呈する傾斜が約0.46より小さい。義肢50は、A/Pサイズの増大につれてA−A内M/L寸法の呈する傾斜の値が、約0.15、0.20、0.25又は0.30程度に小さくても、0.45、0.44、0.42、0.40、0.37、0.34又は0.31程度に大きくてもよい。対照的に、他の標準アスペクト比の義肢はすべて、A/Pサイズの増大につれてA−A内M/L寸法の呈する傾斜が0.46以上である。
【0090】
表7について説明すると、実施例3〜5は、A/Pサイズの増大につれて(後側M/L対全A/P)対全A/P寸法比の呈する傾斜が−0.0020より小さい。義肢50は、A/Pサイズの増大につれて(後側M/L対全A/P)対全A/P寸法比の呈する傾斜の値が、−0.0060、−0.0055、−0.0050、−0.0045又は−0.0040程度に小さくても、−0.0021、−0.0022、−0.0025、−0.0030又は−0.0035程度に大きくてもよい。対照的に、他の標準アスペクト比の義肢はすべて、A/Pサイズの増大につれて(後側M/L対全A/P)対全A/P寸法比の呈する傾斜が−0.0020以上である。
【0091】
再び表7について説明すると、実施例3〜5は、A/Pサイズの増大につれて(MB内M/L対全A/P)対全A/P寸法比の呈する傾斜が−0.0023より小さい。義肢50は、A/Pサイズの増大につれて(MB内M/L対全A/P)対全A/P寸法比の呈する傾斜の値が、−0.0075、−0.0072、−0.0069、−0.0066又は−0.0063程度に小さくても、−0.0022、−0.0025、−0.0030、−0.0035、−0.0040、−0.0045、−0.0050、−0.0055又は−0.0060程度に大きくてもよい。対照的に、他の標準アスペクト比の義肢はすべて、A/Pサイズの増大につれて(MB内M/L対全A/P)対全A/P寸法比の呈する傾斜が−0.0023以上である。
【0092】
再び表7について説明すると、実施例3〜5は、A/Pサイズの増大につれて(B−B内M/L対全A/P)対全A/P寸法比の呈する傾斜が−0.0032より小さい。義肢50は、A/Pサイズの増大につれて(B−B内M/L対全A/P)対全A/P寸法比の呈する傾斜の値が、−0.0085、−0.0080、−0.0075又は−0.0070程度に小さくても、−0.0031、−0.0032、−0.0034、−0.0037、−0.0040、−0.0045、−0.0050、−0.0055、−0.0060又は−0.0065程度に大きくてもよい。一実施例において、A/Pサイズの増大につれて(B−B内M/L対全A/P)対全A/P寸法比の呈する傾斜の値は、約−0.0069である。別の実施例において、A/Pサイズの増大につれて(B−B内M/L対全A/P)対全A/P寸法比の呈する傾斜の値は、約−0.0068である。なお別の実施例において、A/Pサイズの増大につれて(B−B内M/L対全A/P)対全A/P寸法比の呈する傾斜の値は、約−0.0071である。対照的に、他の標準アスペクト比の義肢はすべて、A/Pサイズの増大につれて(B−B内M/L対全A/P)対全A/P寸法比の呈する傾斜が−0.0032以上である。
【0093】
再び表7について説明すると、実施例3〜5は、A/Pサイズの増大につれて(A−A内M/L対全A/P)対全A/P寸法比の呈する傾斜が−0.0049より小さい。義肢50は、A/Pサイズの増大につれて(A−A内M/L対全A/P)対全A/P寸法比の呈する傾斜の値が、−0.0080、−0.0075、−0.0070又は−0.0065程度に小さくても、−0.0050、−0.0051、−0.0053、−0.0055又は−0.0060程度に大きくてもよい。対照的に、他の標準アスペクト比の義肢はすべて、A/Pサイズの増大につれて(A−A内M/L対全A/P)対全A/P寸法比の呈する傾斜が−0.0049以上である。
【0094】
本発明の別の態様によれば、義肢50は、膝蓋溝と前側フランジ顆の厚みが、膝全置換/膝全関節形成の施術中に切除される大腿骨の厚みより大きくなる潜在的可能性を少なくするため、既知の義肢と比べて、凹形の輪郭又は減縮した輪郭の膝蓋溝、ならびに、細くした輪郭又は減縮した輪郭の前側フランジ顆を含む。
【0095】
図14について説明すると、ここに示してあるのは、それぞれ外側前側顆66と内側前側顆68の間に設けられた溝70を含む義肢50の遠位側視図である。図15は、本発明に係る義肢50の側面図で、ここで、義肢50の溝70の前側輪郭はカーブ94として描かれ、既知の義肢の溝の前側輪郭はカーブ96の形に描かれている。前側非関節面76に平行で、その最も前側のポイントにおいてカーブ94又は96に接する線を使って寸法Dを限定してよい。寸法D1は、溝70の最大厚み、すなわち、前側非関節面76とカーブ94又はカーブ96に沿った最も前側のポイントの間の溝70の幅を表す。図15から分かる通り、義肢50の溝70のカーブ94は、既知の義肢の溝のカーブ96と比べて凹形に窪んでおり、又は、後側へずれており、ここで、義肢50の寸法D1は既知の義肢の寸法D1より小さい。有利には、義肢50の膝蓋溝70を凹形に窪ませることで、膝蓋溝は、既知の義肢におけるより少し後側で関節結合できることになり、これで、関節が延伸状態及び早期屈曲状態にある時に切除される大腿骨の厚みより膝蓋溝の厚みが大きくなる可能性は縮小されることになる。
【0096】
図16について説明すると、本発明に係る義肢50の外側前側顆66又は内側前側顆68の前側輪郭はカーブ102として描かれており、既知の義肢の前側顆の前側輪郭はカーブ104として描かれている。寸法D2は、前側非関節面76と、この非関節面76に平行に引かれた、その最も前側のポイントにおいてカーブ102又はカーブ104に接する線の間の外側前側顆と内側前側顆の一方又は両方の最大厚み又は最大深さを表す。図16から分かる通り、義肢50の外側前側顆66と内側前側顆68の少なくとも一方のカーブ102が、既知の義肢の前側溝のカーブ104と比べて凹形に窪んでおり、又は、後側へずれており、ここで、義肢50の寸法D2は既知の義肢の寸法D2より小さい。有利には、前側フランジ顆の厚みを減じることで、前側フランジ輪郭は減縮され、また、顆が該成分の縁に融合する一方、膝蓋骨の亜脱臼を未然に防ぐのに適した高さを維持するので、急な変化の少ない、より滑らかな形状が得られる。
【0097】
下の表13は、上で述べた寸法D1及びD2を、本発明に係る義肢50(実施例5)と既知の義肢(従来型5)との比較の中で示し、また、本発明に係る義肢の寸法D1及びD2と既知の義肢のそれとの差として示す。別段の取決めがない限り、別段の指示がない限り、ここに記載の寸法数値はすべて単位ミリメートル(“mm”)である。

【表13】

【0098】
図13から分かる通り、実施例5の溝と顆の厚みD1及びD2はそれぞれ、既知の義肢(従来型5)と比べてかなり減少している。特に、実施例の溝の厚みD1は約2.5mmから3.2mmまでの範囲であってよく、顆の厚みD2は約5.0mmから6.4mmまでの範囲であってよい。実施例において、義肢50の溝の厚みD1は、約2.5、2.6、2.7又は2.8mm程度に小さくても、3.2、3.1、3.0又は2.9mm程度に大きくてもよい。実施例において、義肢50の顆の厚みD2は、約4.0、4.3、4.7、5.0、5.2、5.4又は5.6mm程度に小さくても、6.4、6.2、6.1、6.0又は5.8mm程度に大きくてもよい。
【0099】
本発明に係る義肢は更に、義肢を女性の解剖学的構造に最高に適合できるようにするために改良された膝蓋溝トラッキングを含む。Q角(膝蓋腱と大腿の長軸とのなす角度“quadriceps angle”)は、身体の前面で1対の線分によって、詳記するならば、一方が脛骨結節から膝蓋溝の中央へと伸び、他方が膝蓋溝の中央から前側上腸骨棘(ASIS)へと延びる1対の線分によって形成される。成人の場合、Q角は代表的に男性が14゜、女性が17゜で、女性の方が男性より約3゜横方向に大きい。この観察を反映して、下で詳述する通り、義肢50の膝蓋溝70の終点は、既知の義肢に関して3゜横方向にずれている、すなわち、一実施例では、内外側分化角108が、図17Aにおいて約7゜、図17Bにおいて約10゜である。
【0100】
図17A及び17Bはそれぞれ、既知の義肢と本発明に係る義肢50の前後側視図で、ここで、図17A及び17Bに示した膝蓋骨は、義肢の前側フランジの上に環状構造“PA”を重ね合わせた形を模したものである。義肢の関節結合の間、膝蓋骨は、義肢の膝蓋溝の内部を追跡する。図15、17A及び17Bについて説明すると、内外側分化角108(図17A及び17B)の頂点106は、義肢50の平らな遠位非関節面80(図15)と一致する平面と、膝蓋溝70のカーブ94(図15)との交点に位置する。頂点106から、線110が遠位非関節面80に対して直交の方向に引かれ、膝蓋溝70の終点112は、遠位非関節面80に平行な、それも、多様な義肢サイズの差異に応じて変化する高さ“H”にある線114における膝蓋溝70の中心として限定される。線118が、頂点106を膝蓋溝の終点112と結び、頂点106で始まる線110と線118の間の角度が内外側分化角108である。下の表14に示した、遠位非関節面80と線114の間の高さ寸法“H”が変化する義肢のサイズC〜Gの範囲(図17A及び17B)について、線110と点112の間の距離、すなわち内外側分化距離も、図17A及び17Bに示した通り変化する。ここで、上のデータを下の表14に、既知の義肢(従来型1、図17A)と本発明に係る義肢50(実施例1、図17B)ごとにまとめる。別段の指示がない限り、ここに記載の寸法数値はすべて単位ミリメートル(“mm”)である。

【表14】

【0101】
表14から分かる通り、義肢50の内外側分化距離は、女性の解剖学的構造によりぴったり合うように膝蓋溝トラッキングを最適化するために既知の義肢と比べて大きくされている。一実施例において、内外側分化距離は5.0mmより大きい。一実施例において、義肢50における内外側分化距離は、約5.0、5.3、5.6又は5.9mm程度に小さくても、7.0、6.7、6.4又は6.1mm程度に大きくてもよい。
【0102】
以上、本発明を例示の通り設計されたものとして説明してきたが、本発明は、本開示の主旨と範囲の枠内で更に改良することができる。よって、本出願は、本発明の一般的原理を使ってその何らかのバリエーションや何らかの用途をカバーすることを意図する。更に、本出願は、本開示から出発して、本発明が関係し、付記請求項の限度内に入る技術において既知又は通常の実践に含まれるような適用場面をカバーすることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々の大腿義肢が、前側端と後側端を有する遠位側非関節結合面(80)を含み、それぞれ、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において前記遠位側非関節結合面の前側端と後側端を結ぶ外側線と前記遠位側非関節結合面の前側端と後側端を結ぶ内側線の間に限定された遠位テーパ角が次第に増大していく標準アスペクト比の複数の義肢を含む、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大膝義肢セット(50)において、
前記義肢の少なくとも幾つかが約21°以上の遠位テーパ角を有することを特徴とする遠位大腿義肢セット。
【請求項2】
前記義肢の少なくとも幾つかが約21°から35゜までの間の前記遠位テーパ角を有することを特徴とする、請求項1に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項3】
前記義肢の少なくとも幾つかが約23°から27゜までの間の前記遠位テーパ角を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項4】
各々の大腿義肢が、前側端と後側端を有する遠位側非関節結合面(80)を含み、各々、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法を有し、かつ、前記遠位側非関節結合面の前側端と前記遠位側非関節結合面の後側端からほぼ等距離の前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法を有する、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セット(50)において、
前記義肢の少なくとも幾つかが、第1ポイントと第2ポイント、すなわち、全前後側寸法約52.0、内外側寸法約55.0の第1ポイントと、全前後側寸法約77.0、内外側寸法約78.5の第2ポイントを結ぶ線によって限定された概念上の境界より下に入る全前後側寸法と内外側寸法を有し、
前記線が方程式
(内外側寸法)=(0.94×全前後側寸法)+6.12
によって限定されることを特徴とする遠位大腿義肢セット。
【請求項5】
前記全前後側寸法と前記内外側寸法のほぼ全部が前記概念上の境界より下に入ることを特徴とする、請求項4に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項6】
前記義肢の前記内外側寸法がそれぞれ第1の割合で増大し、前記全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、前記第1の割合と第2の割合が0.89にほぼ等しい、又はそれより小さい比率を限定することを特徴とする、請求項4に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項7】
各々の大腿義肢が、前側端と後側端を有する遠位側非関節結合面(80)を含み、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法を有し、かつ、前記遠位側非関節結合面の前側端と前記遠位側非関節結合面の後側端からほぼ等距離の前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法を有する標準アスペクト比の複数の義肢を含む、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セット(50)において、
前記義肢の少なくとも幾つかが、第1ポイントと第2ポイント、すなわち、全前後側寸法約52.0、内外側寸法約50.0の第1ポイントと、全前後側寸法約77.0、内外側寸法約70.5の第2ポイントを結ぶ線によって限定された概念上の境界より下に入る全前後側寸法と内外側寸法を有し、
前記線が方程式
(内外側寸法)=(0.82×全前後側寸法)+7.36
によって限定されることを特徴とする遠位大腿義肢セット。
【請求項8】
前記全前後側寸法と前記内外側寸法のほぼ全部が前記概念上の境界より下に入ることを特徴とする、請求項7に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項9】
前記義肢の前記内外側寸法がそれぞれ第1の割合で増大し、前記全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、前記第1の割合と第2の割合が0.78にほぼ等しい、又はそれより小さい比率を限定することを特徴とする、請求項7又は8に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項10】
各々の大腿義肢が、遠位側非関節結合面(80)と前側非関節結合面(76)を含み、それぞれ、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において前側非関節結合面上の最も遠位側のポイントによって限定された1つの前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法が次第に増大していく標準アスペクト比の複数の義肢を含む、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セット(50)において、
前記義肢の少なくとも幾つかが、第1ポイントと第2ポイント、すなわち、全前後側寸法約52.0、内外側寸法約40.1の第1ポイントと、全前後側寸法約77.0、内外側寸法約53.5の第2ポイントを結ぶ線によって限定された概念上の境界より下に入る全前後側寸法と内外側寸法を有し、
前記線が方程式
(内外側寸法)=(0.54×全前後側寸法)+12.23
によって限定されることを特徴とする遠位大腿義肢セット。
【請求項11】
前記全前後側寸法と前記内外側寸法のほぼ全部が前記概念上の境界より下に入ることを特徴とする、請求項10に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項12】
前記義肢の前記内外側寸法がそれぞれ第1の割合で増大し、前記全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、前記第1の割合と第2の割合が0.44にほぼ等しい、又はそれより小さい比率を限定することを特徴とする、請求項10又は11に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項13】
各々の大腿義肢が、遠位側非関節結合面(80)と前側非関節結合面(76)を含み、それぞれ、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において前側非関節結合面上の最も遠位側のポイントによって限定された1つの前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法が次第に増大していく複数の義肢を含む、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セット(50)において、
前記義肢の少なくとも幾つかが、第1ポイントと第2ポイント、すなわち、全前後側寸法約52.0、内外側寸法約40.3の第1ポイントと、全前後側寸法約77.0、内外側寸法約51.8の第2ポイントを結ぶ線によって限定された概念上の境界より下に入る全前後側寸法と内外側寸法を有し、
前記線が方程式
(内外側寸法)=(0.46×全前後側寸法)+16.38
によって限定されることを特徴とする遠位大腿義肢セット。
【請求項14】
前記全前後側寸法と前記内外側寸法のほぼ全部が前記概念上の境界より下に入ることを特徴とする、請求項13に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項15】
前記義肢の前記内外側寸法がそれぞれ第1の割合で増大し、前記全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、前記第1の割合と第2の割合が0.44にほぼ等しい、又はそれより小さい比率を限定することを特徴とする、請求項13又は14に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項16】
各々の大腿義肢が、前側端と後側端を有する遠位側非関節結合面(80)を含み、各々、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法を有し、かつ、前記遠位側非関節結合面の前側端と前記遠位側非関節結合面の後側端からほぼ等距離の前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法を有する、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セット(50)において、
前記義肢の少なくとも幾つかが、第1ポイントと第3ポイント、すなわち、全前後側寸法約52.0、内外側寸法約55.0の第1ポイントと、全前後側寸法約77.0、内外側寸法約78.5の第3ポイントを結ぶ上線と、第2ポイントと第4ポイント、すなわち、全前後側寸法約52.0、内外側寸法約47.0の第2ポイントと、全前後側寸法約77.0、内外側寸法約70.0の第4ポイントを結ぶ下線によって限定された概念上の境界の内に入る全前後側寸法と内外側寸法を有し、
前記上線が方程式
(内外側寸法)=(0.94×全前後側寸法)+6.12
によって限定され、前記下線が方程式
(内外側寸法)=(0.92×全前後側寸法)−0.84
によって限定されることを特徴とする遠位大腿義肢セット。
【請求項17】
前記全前後側寸法と前記内外側寸法のほぼ全部が前記概念上の境界の内に入ることを特徴とする、請求項16に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項18】
前記概念上の境界が平行四辺形を限定することを特徴とする、請求項16又は17に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項19】
前記義肢の前記内外側寸法がそれぞれ第1の割合で増大し、前記全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、前記第1の割合と第2の割合が0.75にほぼ等しい、又はそれより小さい比率を限定することを特徴とする、請求項16、17又は18に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項20】
各々の大腿義肢が、前側端と後側端を有する遠位側非関節結合面(80)を含み、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において前記遠位側非関節結合面の前側端と前記遠位側非関節結合面の後側端からほぼ等距離の前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法が次第に増大していく標準アスペクト比の複数の義肢を含む、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セット(50)において、
前記義肢の前記内外側寸法がそれぞれ第1の割合で増大し、前記全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、前記第1の割合と第2の割合が0.89にほぼ等しい、又はそれより小さい比率を限定することを特徴とする遠位大腿義肢セット。
【請求項21】
前記比率が約0.45から0.89までの間であることを特徴とする、請求項20に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項22】
前記比率が約0.50から0.75までの間であることを特徴とする、請求項20又は21に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項23】
前記比率が約0.55から0.70までの間であることを特徴とする、請求項20、21又は22に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項24】
前記比率が約0.60にほぼ等しいことを特徴とする、請求項20、21、22又は23に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項25】
各々の大腿義肢が、前側端と後側端を有する遠位側非関節結合面(80)を含み、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において前記遠位側非関節結合面の前側端と前記遠位側非関節結合面の後側端からほぼ等距離の前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法が次第に増大していく標準アスペクト比の複数の義肢を含む、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セット(50)において、
前記義肢の前記内外側寸法がそれぞれ第1の割合で増大し、前記全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、前記第1の割合と第2の割合が0.75にほぼ等しい、又はそれより小さい比率を限定することを特徴とする遠位大腿義肢セット。
【請求項26】
前記比率が約0.45から0.75までの間であることを特徴とする、請求項25に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項27】
前記比率が約0.50から0.70までの間であることを特徴とする、請求項25又は26に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項28】
前記比率が約0.55から0.65までの間であることを特徴とする、請求項25、26又は27に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項29】
前記比率が約0.60にほぼ等しいことを特徴とする、請求項25、26、27又は28に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項30】
それぞれ、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において最も後側に位置するポイントに直近の場所で限定された1つの前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法が次第に増大していく標準アスペクト比の複数の義肢を含む、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セット(50)において、
前記義肢の前記内外側寸法がそれぞれ第1の割合で増大し、前記全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、前記第1の割合と第2の割合が0.96にほぼ等しい、又はそれより小さい比率を限定することを特徴とする遠位大腿義肢セット。
【請求項31】
前記比率が約0.50から0.96までの間であることを特徴とする、請求項30に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項32】
前記比率が約0.80にほぼ等しいことを特徴とする、請求項31又は32に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項33】
それぞれ、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において最も後側に位置するポイントに直近の場所で限定された1つの前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法が次第に増大していく複数の義肢を含む、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セット(50)において、
前記義肢の前記内外側寸法がそれぞれ第1の割合で増大し、前記全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、前記第1の割合と第2の割合が0.84にほぼ等しい、又はそれより小さい比率を限定することを特徴とする遠位大腿義肢セット。
【請求項34】
前記比率が約0.50から0.84までの間であることを特徴とする、請求項33に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項35】
前記比率が約0.80にほぼ等しいことを特徴とする、請求項33又は34に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項36】
各々の大腿義肢が、前側端と後側端を有する遠位側非関節結合面(80)を含み、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において前記遠位側非関節結合面の前側端によって限定された1つの前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法が次第に増大していく標準アスペクト比の複数の義肢を含む、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セット(50)において、
前記義肢の前記内外側寸法がそれぞれ第1の割合で増大し、前記全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、前記第1の割合と第2の割合が0.78にほぼ等しい、又はそれより小さい比率を限定することを特徴とする遠位大腿義肢セット。
【請求項37】
前記比率が約0.30から0.78までの間であることを特徴とする、請求項36に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項38】
前記比率が約0.46にほぼ等しいことを特徴とする、請求項36又は37に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項39】
各々の大腿義肢が、前側端と後側端を有する遠位側非関節結合面(80)を含み、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において前記遠位側非関節結合面の前側端によって限定された1つの前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法が次第に増大していく複数の義肢を含む、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セット(50)において、
前記義肢の前記内外側寸法がそれぞれ第1の割合で増大し、前記全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、前記第1の割合と第2の割合が0.76にほぼ等しい、又はそれより小さい比率を限定することを特徴とする遠位大腿義肢セット。
【請求項40】
前記比率が約0.30から0.76までの間であることを特徴とする、請求項39に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項41】
前記比率が約0.46にほぼ等しいことを特徴とする、請求項39又は40に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項42】
各々の大腿義肢が、遠位側非関節結合面(80)と前側非関節結合面(76)を含み、それぞれ、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において前側非関節結合面上の最も遠位側のポイントによって限定された1つの前後側場所で最も内側に位置するポイントと最も外側に位置するポイントの間に限定された内外側寸法が次第に増大していく標準アスペクト比の複数の義肢を含む、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セット(50)において、
前記義肢の前記内外側寸法がそれぞれ第1の割合で増大し、前記全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、前記第1の割合と第2の割合が0.44にほぼ等しい、又はそれより小さい比率を限定することを特徴とする遠位大腿義肢セット。
【請求項43】
前記比率が約0.20から0.44までの間であることを特徴とする、請求項42に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項44】
前記比率が約0.30にほぼ等しいことを特徴とする、請求項42又は43に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項45】
各々の大腿義肢が、前側端と後側端を有する遠位側非関節結合面(80)を含み、それぞれ、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において前記遠位側非関節結合面の前側端と後側端を結ぶ外側線と前記遠位側非関節結合面の前側端と後側端を結ぶ内側線の間に限定された遠位テーパ角が次第に増大していく複数の義肢を含む、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セット(50)において、
前記義肢の前記遠位テーパ角がそれぞれ第1の割合で増大し、前記義肢の前記全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、前記第1の割合と第2の割合が0.22にほぼ等しい、又はそれより大きい比率を限定することを特徴とする遠位大腿義肢セット。
【請求項46】
前記比率が約0.22から0.42までの間であることを特徴とする、請求項45に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項47】
前記比率が約0.28にほぼ等しいことを特徴とする、請求項45又は46に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項48】
各々の大腿義肢が、前側端と後側端を有する遠位側非関節結合面(80)を含み、それぞれ、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において前記遠位側非関節結合面の前側端と後側端を結ぶ外側線と前記遠位側非関節結合面の前側端と後側端を結ぶ内側線の間に限定された遠位テーパ角が次第に増大していく複数の義肢を含む、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セット(50)において、
前記全前後側寸法と前記遠位テーパ角の少なくとも幾つかが、第1ポイントと第3ポイント、すなわち、全前後側寸法約52.0、遠位テーパ角約27.0゜の第1ポイントと、全前後側寸法約77.0、遠位テーパ角約32.0゜の第3ポイントを結ぶ線によって限定された上境界と、第2ポイントと第4ポイント、すなわち、全前後側寸法約58.0、遠位テーパ角約22.5゜の第2ポイントと、全前後側寸法約77.0、遠位テーパ角約26.0゜の第4ポイントを結ぶ線によって限定された下境界によって限定された概念上の境界の内に入ることを特徴とする遠位大腿義肢セット。
【請求項49】
前記全前後側寸法と前記遠位テーパ角のほぼ全部が前記概念上の境界の内に入ることを特徴とする、請求項48に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項50】
前記概念上の境界が四角形を限定することを特徴とする、請求項48又は49に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項51】
前記義肢の前記遠位テーパ角がそれぞれ第1の割合で増大し、前記全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、前記第1の割合と第2の割合が0.22にほぼ等しい、又はそれより大きい比率を限定することを特徴とする、請求項48、49又は50に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項52】
各々の大腿義肢が、前側端と後側端を有する遠位側非関節結合面(80)を含み、それぞれ、各義肢において最も前側に位置するポイントと最も後側に位置するポイントの間に限定された全前後側寸法が次第に増大していき、かつ、各義肢において前記遠位側非関節結合面の前側端と後側端を結ぶ外側線と前記遠位側非関節結合面の前側端と後側端を結ぶ内側線の間に限定された遠位テーパ角が次第に増大していく複数の義肢を含む、特に女性の解剖学的構造に適応した遠位大腿義肢セット(50)において、
前記全前後側寸法と前記遠位テーパ角の少なくとも幾つかが、第1ポイントと第3ポイント、すなわち、全前後側寸法約52.0、遠位テーパ角約34.0゜の第1ポイントと、全前後側寸法約77.0、遠位テーパ角約32.0゜の第3ポイントを結ぶ線によって限定された上境界と、第2ポイントと第4ポイント、すなわち、全前後側寸法約58.0、遠位テーパ角約22.5゜の第2ポイントと、全前後側寸法約77.0、遠位テーパ角約26.0゜の第4ポイントを結ぶ線によって限定された下境界によって限定された概念上の境界の内に入ることを特徴とする遠位大腿義肢セット。
【請求項53】
前記全前後側寸法と前記遠位テーパ角のほぼ全部が前記概念上の境界の内に入ることを特徴とする、請求項52に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項54】
前記概念上の境界が四角形を限定することを特徴とする、請求項52又は53に記載の遠位大腿義肢セット。
【請求項55】
前記義肢の前記遠位テーパ角がそれぞれ第1の割合で増大し、前記全前後側寸法がそれぞれ第2の割合で増大し、前記第1の割合と第2の割合が0.22にほぼ等しい、又はそれより大きい比率を限定することを特徴とする、請求項52、53又は54に記載の遠位大腿義肢セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−520(P2012−520A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221305(P2011−221305)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【分割の表示】特願2008−545981(P2008−545981)の分割
【原出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(502427840)ジンマー,インコーポレイティド (12)
【Fターム(参考)】