遠心力を用いる構造体の製造方法
独自の形態を有する様々な中空構造体が回転スピニング技術で製造された。金型をその軸の1つの周りに回転させると、溶解性溶液またはエマルジョンの相分離が充填された金型内に誘発された。相間の密度の相違は、遠心力下で金型の内部管腔に沈降をもたらした。沈降の後、またはその間に、相分離した粒子のゲル化は中空構造体の形態を固定し、溶媒は金型の中心に残る。溶媒を金型から除去してコーティングまたは管を得る。回転速度と配合化学物質を制御することによって、管の寸法と壁の形態を操作することができる。この技術は、ポリマー管の製造への新しい手段を提供する。それは少量の出発材料しか必要とせず、管の多層化を可能にし、多様なポリマーに適用可能であり、良好な機械強度を維持しながら、高い拡散性の中空構造体を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体、詳細には構造体の壁、内部および外部表面に複雑で独特の形態を備えるポリマー管状構造体およびコーティングを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2003年2月13日出願の米国実用特許出願第10/365,532号の一部継続出願であり、米国実用特許出願第10/365,532号は、2002年7月11日出願の米国実用特許出願第10/169,948号の一部継続出願であり、米国実用特許出願第10/169,948号は、英語にて発行された2001年5月11日出願のPCT/CA01/00680の恩典を主張する国内段階出願であり、PCT/CA01/00680はさらに、2000年5月12日に出願した米国特許仮出願第60/203,910号の優先権を主張するものである。
【0003】
管状構造体およびコーティングは、多くの技術によって調製されてきており、その各々は各用途で制約がある。生物医学用途では、制約は限られたサイズと形状の構造体を調製するために多くの材料が必要なことであり、これは経費がかかることが実証されている。中空繊維膜(HFM)としても知られる多孔質ポリマー管では、数百ミクロン程度の厚さの壁を備える管が調製される。中でも、浸漬コーティングであれ、紡糸(spinning)であれ、または遠心鋳造によるものであれ、薄い壁を備える同心の長いHMFを調製する適切な方法はない。詳細に説明するように、本発明は、広範囲の壁と表面形態、寸法および形状を備えるHFM、コーティングまたは任意の中空構造体を調製する方法を含む。それらの壁の形態は、類似の機械的特性を維持しながら、かなり異なる輸送特性を備えるHFMの製造を可能にする。
【0004】
HFMは通常、環状金型(または紡糸口金)を通す転相によって調製され、溶媒/非溶媒系は、壁構造体の形態など得られる特性の多くを制御する。寸法は、紡糸口金によって制御され、同心度を微調整しなければならない。紡糸技術は市場で実証された記録を有するが、多量の材料を必要とし、再現性のあるHFMを調製するには或る量の技術が必要である。
【0005】
遠心鋳造は、管状および非同心両方の広範囲の構造体を作製するために用いられる方法である(米国特許第5,266,325号、第5,292,515号)。管形状を製造するには、円筒状金型にモノマー、ポリマー溶融物、またはモノマー溶液を部分的に充填し、金型の内部に空気を存在させ、遠心動作の下で金型の表面を被覆する。次いで金型の外側部分に回転駆動された材料は温度変化(冷却)、重合または溶媒の蒸発を用いて所定の位置に保持される。この方法では、回転前の金型内部に2つの相(気体と液体)が存在し、管形成に相分離は必要ではない。壁の形態は重合後に滲出するポロゲン(porogen)(塩、エチレングリコール等)の添加によってのみ達成される。気体は金型中で管(棒とは対照的に)を形成するために必要であるので、ミクロンスケールの小さな内径を有する小径管を得ることはできない。金型中の液体と気体の間の表面張力は、数十センチメートル長の管の内径の小型化を妨げる。
【0006】
Castro等の米国特許第3,870,775号は、エマルジョンとして水性希釈剤、ポリエステルをスチレンに溶解した溶液、および繊維質材料を用意し、金型に前記エマルジョンを充填し、ポリエステルが金型の内部表面に硬化するように溶媒と希釈剤からポリエステルと繊維質材料を分離させながら、金型を回転することを含む、管状製品の作製方法を教示する。
【0007】
Fried等の米国特許第3,870,775号は、真空を使用して、成形された製品から、溶液中に溶解した空気などの全ての空気を除去することを開示している。Friedによって開示された方法は、溶解した空気を真空によって除去しなければならないことを教示する。
【0008】
浸漬コーティングでは、管はマンドレルの周囲に形成され、続いてポリマー溶液と非溶媒系に浸漬され、それによって転相方法によってマンドレルをポリマーで被覆する。あるいは、マンドレルをポリマー溶液中に浸漬し、残った溶媒を蒸発させてもよい。これらの方法では、管の長さに沿った管壁の均一性は十分制御されない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、或るサイズ領域内で、同心性を有し、前述の方法では現在達成不可能な多層化能力を備えて管を製造することは非常に有利なことである。さらに、或るサイズ領域で、同心性を有し、前述の方法で現在不可能な多層化を備えて製造された複合構造体を有することは望ましい。例えば、複合構造体は、柔らかい薄織物の弾性率を柔らかい(低弾性率)材料に適合させることができる一方で、装置の有用性にとって重要な強度と開放性(patency)を提供する設計を可能にする。
【0010】
現在の被覆技術はコーティングの均一性、コーティングの厚さ、および多孔質材料の被覆に関して限界がある。例えば、浸漬コーティングは不均一なコーティングを与え、コーティングは多孔質材料に浸透する。噴霧コーティングは、本質的に各孔が被覆された順応性コーティングが得られる。
【0011】
様々な生理的用途または他の用途に用いることができ、広範囲の材料を用いて製造することができ、生物学的材料の複合材を含むことのできる管状または非管状構造体の製造方法を提供することは望ましい。
【0012】
本発明の目的は、ポリマーおよび/または合成および天然ポリマーの組み合わせ(有機および無機の両方)、セラミック、金属および生物学的細胞、組織、マトリックス、タンパク質を、中でもワイア、繊維、粒子を含む様々な形状で含む構造体、好ましくは管状構造体とコーティングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、中でもワイア、繊維、粒子を含む様々な形状の、1種または合成と天然ポリマーの組み合わせ(有機および無機の両方)、セラミック、金属および生物学的細胞、組織、マトリックス、タンパク質で、複合構造体を製造することを可能にする。
【0014】
本発明の一態様において、
(a)金型の内部に、相分離因子によって少なくとも2つの相に相分離することのできる少なくとも2つの成分を含む混合物を、そこから実質上全ての視認可能な気泡が取り除かれるように充填するステップと、
(b)前記混合物を含む前記金型を、前記相のうちの少なくとも1つの相が回転下で金型の内部表面上に付着するように有効な回転速度で回転させるステップと、
(c)金型の内部表面上に付着した前記少なくとも1つの相を安定化することによって製品を形成するステップとを含む、製品の製造方法が提供される。
【0015】
本発明の他の態様において、
金型の内部に、相分離因子によって少なくとも2つの相に相分離することのできる少なくとも2つの成分を含む混合物を、そこから実質上全ての視認可能な気泡が取り除かれるように充填するステップと、
前記混合物を含む前記金型を、前記相のうちの少なくとも1つの相が回転下で金型の内部表面に付着するように有効な回転速度で回転させるステップと、
前記金型の内部表面に付着した前記少なくとも1つの相を安定化することによって製品を形成するステップとを含む方法によって製造された製品が提供される。
【0016】
この方法によって形成された製品は金型から取り外すこと、または、代わりに金型の中に留めることができ、製品と金型は様々な用途に用いられる。製品はポリマー材料とすることができ、その場合混合物はモノマーまたはポリマーのいずれか、または両方を含む。
【0017】
製品は、多孔質構造体、ゲル構造体、または多孔質/ゲル構造体の重ね合わせ領域を含む壁形態を有することができる。ポリマー製品は、主としてゲル形態を含む壁形態を有し、表面(periphery)から管腔(lumenal)側へ走る多孔質チャネルを備えていてもよく、その結果、外部壁表面上に斑点が生じている。
【0018】
製品は、数種のポリマー(合成、天然、有機および無機)、ポリマーと金属、ポリマーとセラミック、ポリマーと粒子(無機、細胞、微粒子、ナノ粒子、タンパク質、多糖類、グリコサミノグリカン)、ポリマーと繊維(カーボン、ガラス、ポリマー、生体繊維等)からなる複合構造体であってよく、前記複合構造体の長手軸に沿った勾配など、均一または不均一のいずれかで分布している。
【0019】
ポリマー製品は分解性とすることができ、特定の条件に曝露することで可溶性材料になる。製品は加水分解によって、またはポリマー製品内に閉じ込められていてもよい非特異性(例えばフリーラジカル)または特異性の分子、例えば酵素などによって分解性とすることができる。ポリマー製品は架橋部またはポリマー主鎖の切断によって分解することができる。
【0020】
ポリマー製品は、多層製品を製造するためにステップ(a)、(b)および(c)を少なくとも1回繰り返すことによって製造された多層製品とすることができる。ポリマー製品は、1つまたは複数のこれらのステップ内に粒子を含むことができ、その位置は前記粒子の密度に影響を受ける。これらの粒子は治療薬剤の供給源とすることができ、無機または天然の有機物とすることができ、分解性または非分解性とすることができる。これらの粒子は生体または細胞などの生体の構成要素とすることができる。ポリマー製品は、酵素、薬剤、治療薬、細胞、細胞産物、遺伝子、ウイルスベクター、タンパク質、ペプチド、ホルモン、炭水化物、成長因子または金属の送達用貯蔵器として用いることができる。
【0021】
ポリマー製品は予め選択された構成要素を含む微粒子を含むことができ、製品は製品の壁構造体内に均一にまたは勾配をもって分布している前記微粒子を含む。
【0022】
ポリマー製品は、前記製品の製造の前に金型中に挿入された、ワイア、ステント、またはメッシュなどの予め定めた構造体を含むことができる。ポリマー製品は予め定めた構造体を被覆し、治療薬剤の放出または前記構造体の表面摩擦の低減によって、前記構造体の設計用途を高めることができる。
【0023】
ポリマー製品は他の管状構造体の内部壁上のコーティングとすることができる。
【0024】
以下は、本発明による管またはコーティングの製造方法を例示する説明であり、添付の図面が参照される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
この本発明の新規な方法においてコーティングおよび管状構造体を生成する力は、金型の回転に伴う慣性力である。金型は少なくとも2種の液相成分を含む混合物(最終製品を製造するために相分離される)で充填され、それによって金型内部の視認可能な気泡(例えば空気など)が実質上すべて除去される。次いで、金型を例えばドリルチャックまたは旋盤などの回転装置に挿入することによって、予め定めた或る速度で回転させる。金型の内部を液体混合物で完全に充填するプロセスは全ての視認される気泡を金型から除去することを保証するためである。しかし、小さな、または少量の溶解した気体は液体混合物中にまだ存在することが理解されるであろう。ある種の構造体の製造において、気体は相分離方法で或る目的の役割を果たす反応性ガスとすることができる点で、これらの少量の気体の存在は望ましいことである。
【0026】
相分離プロセスは、混合物の製造後直ちに開始する可能性があり、金型の回転中分離は継続され、これは相分離が混合物の一部であるときの例である。あるいは、相分離プロセスは、望むならば、混合物を相分離因子に曝露することによって混合物を形成した後に開始することができる。相分離が回転の前に完了し、その後回転は単に1相を金型の内部表面に移動させるためだけに機能する場合もあり、または金型が回転している間、相分離が継続する場合もある。
【0027】
金型の回転によって1相が金型の内部表面へ送られて金型の内部表面の形状を採り、次いで製品を製造するために安定化される。詳細には、この分離された相は金型の表面で安定化されなければならず、一般に安定化の方法は分離された相の材料の性質に依存するであろう。金型の内部表面へ移動される相は必ずしも表面に接着せず、特に製品が安定化された後に金型から取り外される場合、実際に接着は望ましくないことが理解されるであろう。このため、この分離される相が典型的に接着層を形成し易ければ、優先的に接着を防止するために金型の内部表面を処理することが望ましい場合がある。金型を製造する材料は、分離される相の材料に応じて接着を最小にするように選択することができる。これは、例えば、製品が安定化の後に金型から取り外されるとき、および/または他の物体が金型中に挿入され、その上に相が形成され安定化されるときである。あるいは、方法の意図するところが、金型の内部表面で製品を安定化させ、金型から製品を取り外す代わりにその両方を使用することであれば、金型の内部表面への製品の接着性を高めることが望ましく、これは混合物自体に表面修飾の働きをする添加剤を加えることによって、または付着の前に金型の内部表面を修飾することによって達成することができる。この場合、その上に被覆された製品を備える金型は、特別の用途に直ちに用いられる。
【0028】
製品がポリマーであるとき、溶液の成分は、モノマー、マクロマーもしくはポリマー、またはこれらの成分の2種または3種の組み合わせを含むことができる。相分離プロセスは、ポリマー鎖長の変化によって誘発される溶解性の変化、温度変化、新しく形成された化学反応物、pHの変化、光への曝露(UV、可視光、IR、レーザ)、非混和性液体の導入、水性溶液中のポリマー−ポリマー間の非混和性、電場または磁場からもたらされる。相分離された相の中のより高い密度の1相が、金型の内部表面の形状を採るその特別な相になる。相分離プロセスが液体成分の混合または金型を混合物で充填したときに始まる場合があり、相分離プロセスが金型の回転の間継続する場合があり、または金型の回転の前に完了する場合があることが理解されるであろう。
【0029】
分離された相のゲル化は、形成された製品の形態を固定または安定化するのに用いることができ、溶媒相は金型の中心に留まる。ある種の材料では、相分離され付着した相のゲル化は、分離された相中(付着した相はモノマーを含む)での重合の継続、金型の冷却または加熱、金型中の化学反応生成物の形成、相分離された混合物のpHの変化、および或る周波数または光の周波数で相分離された混合物を照射することを含む多数の方法を用いて達成することができるが制限されない。回転速度、処方化学物質、表面の化学的性質および金型の寸法を制御することによって、得られる製品の形態、機械的および多孔質特性を操作することができる。
【0030】
より密度の高い相を安定化する他の方法は、重合(そのゲル化は一実施例に過ぎないが)、温度の変化(より高密度の相の組成物に応じて上昇または降下のいずれか)、光、pHの変化、金型中の化学生成物の形成、カチオンおよび/またはアニオンの濃度の変化、電場および磁場をより広範囲に含むことができることが理解されるであろう。
【0031】
特別誂えの使い捨て金型中で合成した、本発明を用いて作られた中空構造体は、図1a〜4cに示されている。図1aを参照すれば、内径(ID)0.01〜100mmのガラス配管Aとすることのできる金型は、数十センチメートル程度の所望の長さに切断された。現在ゴムで作られたセプタムBをガラス配管の各端部に滑らせて注入口として働かせる。図3a〜3cを参照すれば、配管Aは上部注入口を通して押し込まれた針Dを用いて充填され、液体注入の間に気体の排出を可能にする。セプタムBを通る針Cを経由して所望の混合物を金型の下方端部に注入し、金型中の視認可能な気体を全て排気する。針D続いてCを引き抜くことによって、封止され液体で充填された金型が得られる。長さ方向に同心で均一な中空構造体のために、封止された金型を、アルコール水準器を用いて水平に装着されたドリルのチャックに配置した。
【0032】
図1b、1c、1dは、異なった形状の管を製造するために使用することのできる、異なった形状の金型の代替の実施形態を示す。例えば、図1dは金型の長さ方向に複数の異なる直径を有する金型を示しており、同形状の管を製造するために使用される。
【0033】
図2aは内部表面に矩形のフィンなどの内部表面形態を含む円筒形金型を示し、管の外部壁上に矩形の窪みを有する管を製造するために使用される。図2bは内部表面に凸の球状突起などの内部表面形態を含む円筒形金型を示し、管の外部壁上に凹の球状窪みを有する管を製造するために使用される。図2cは内部表面に尖った窪みなどの内部表面形態を含む円筒形金型を示し、管の外部壁上に窪みを有する管を製造するために使用される。図2dは内部表面に凹の球状突起などの内部表面形態を含む円筒形金型を示し、得られる管の壁中にこれらの形態が埋め込まれた管を製造するために使用される。図25a、b、cは、一方の側で波形であり、他の側で平滑であり、構造体の長手方向に沿って球状窪みを含む非同心の中空構造体になる金型60を示す。これらの全ての実施形態において、表面形態は対称的または非対称的に整列させることができ、異なる表面形態を任意の組み合わせで用いることができる。
【0034】
金型60の内部表面は、中空構造体の壁の形態に影響を与える物理的または化学的表面処理を用いて修飾することができる。例えば、分離された相は本質的に液体様であり得るので、それをビーズ化して内部表面に液滴を形成し、それによって壁の形態に影響を与えることができる。同様に、望ましい表面処理によって、分離した相を内部表面全体に広げることが可能になり、壁の形態に影響を与える。同様に、表面処理によって壁形態のゲル状材料に対する多孔質の割合を制御することができる。
【0035】
図4a、4b、4cは、充填された金型(A)を回転させる様々な図を示す。図4aにおいて、金型Aはドリルチャック(F)に挿入され、金型の回転が開始される。図4bにおいて、充填された金型(A)は旋盤(G)の2個の端部に取り付けられ、金型の回転が開始される。図4cにおいて、充填された金型(A)はアダプター(H)に挿入してドリルチャック(F)中に配置することができ、金型の回転が開始される。Oリング(I)はアダプター(H)の内部に金型(A)の位置を保つ。
【0036】
図5aおよび5bは金型の回転中の相分離プロセスを示す。図5aにおいて、混合物(E)で充填された金型(A)を、最終的に分離される相が遠心分離されるのに適切な速度で軸の周りを回転させる。図5bは回転中に相分離を始める混合物を示す。高密度の相(J)は金型の表面へ遠心され、そこでそれは金型(K)の形状を採る。
【0037】
当業者であれば、本方法が円筒形金型、またはそれから管を製造することに制限されないことを理解するであろう。或る軸の周りに回転して遠心力を用いることができる限り、金型として任意の中空構造体を用いることができる。
【0038】
分離された相を含む金型の回転で、より高密度の相が金型の内部表面へ押し付けられる。金型が静止または回転中、相分離は金型中に液体−液体または粘弾性的な固体−固体界面のいずれかをもたらす。相分離は或る範囲の様々な技術および環境変化を用いて誘発させることができる。モノマー溶液への伝播ラジカルの添加は、温度、pHの変化、金型を光へ曝露すること、非混和性液体の導入、電場および磁場と同様に、相分離を誘発させることができる。
【0039】
相の密度が異なる場合、1つまたは複数の相が表面へ押し付けられる。次いで、相分離した粒子は共有または物理的結合によって互いにゲル化し、分離した相の間に三次元網目を形成する。粒子のゲル化は、相分離を開始した後、本発明の方法内に有限の時間で開始することができる。
【0040】
この技術を用いて、多孔質材料はその上に塗布された外部コーティングを有することができる。混合物を金型中に注入する前に、多孔質材料の栓が金型の中へ挿入される(図8a)。金型への多孔質構造体の挿入の後、混合物が金型中へ注入され、所望の速度で回転される。相分離した相は挿入された栓の孔を経由して遠心され、多孔質栓の外部表面上に構造体を形成し、したがって内部孔を遮蔽することなく材料を封止する。また、多孔質材料も中空構造体とすることができ、ポリマー材料は以下に論じる中空構造体(図28)を被覆する。
【0041】
他の実施形態において、金型中に構造体を挿入し、相分離因子によって少なくとも2つの相に相分離することのできる成分を少なくとも2つの成分を含む溶液を金型の残る内部に充填することによって中空構造体を製造することができる。前記金型の回転下で、少なくとも1つの相がコアの表面に付着し、コアの表面に付着した前記相を安定化することによって前記製品が形成される。この方法を用いることによって、挿入されたコア構造体の外部寸法で画定される内部寸法を有する中空構造体を製造することができる。
【0042】
本発明の好ましい実施形態において、混合物は少なくとも2種またはそれ以上の相を含み、1つの相はモノマー、マクロマー、またはポリマーであり、他は溶媒である。
【0043】
開始すべきモノマーを含む混合物に対する開始剤は、フリーラジカル開始剤、熱またはUV開始剤およびレドックス開始剤またはイオン開始剤とすることができる。開始剤の例は、過硫酸アンモニウムまたは過硫酸カリウムとメタ重亜硫酸ナトリウム(sodium metabisulfite)の組み合わせ、またはテトラメチレンジアミンまたはアスコルビン酸、アゾニトリルおよびその誘導体、アルキルペルオキシドまたはその誘導体、アシルペルオキシドおよびその誘導体、ヒドロペルオキシドおよびその誘導体、ケトンペルオキシドおよびその誘導体、パーエステルおよびその誘導体、ペルオキシカーボネート(peroxy carbonates)およびその誘導体を含む。
【0044】
また、混合物は最終製品の所望の構造体および形成されるポリマー材料に応じて架橋剤を含むこともできる。架橋剤は少なくとも2個の反応性官能基を有する多官能性分子とすることができ、多官能性メタクリレートまたは多官能性アクリレート、多官能性アクリルアミドまたは多官能性メタクリルアミド、またはポリエチレングリコールと、好ましいが制限するものではない、エチレングリコールジメタクリレート(EDMA)、ヘキサメチレンジメタクリレート(HDMA)、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート、1,5−ヘキサジエン−3,4−ジオール(DVG)、2,3−ジヒドロキシブタンジオール1,4−ジメタクリレート(BHDMA)、1,4−ブタンジオールジメタクリレート(BDMA)、1,5−ヘキサジエン(HD)の1種との多官能性スターポリマー、ポリ(エチレンオキシド)のメチレンビスアクリルアミド(MBAm)多官能性スターポリマー、オリゴペプチド架橋剤、多官能性タンパク質、およびその誘導体、またはその組み合わせを含む。
【0045】
混合物に存在することのできるモノマーの例示的、非制限的なリストは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、2−ポリエチレングリコールエチルメタクリレート、エチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、2−クロロエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなどであるがそれだけに限定されない任意のアクリレート、メタクリレート、およびその誘導体;メタクリルアミド、ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−クロロエチルアクリルアミド、2−ニトロブチルアクリルアミドなどであるがそれだけに限定されないアクリルアミドおよびその誘導体;N−ビニルピロリドン、アセナフタレン、N−ビニルアセトアミド、フェニル−アセチレン、アクロレイン、メチルアクロレイン、N−ビニルピリジン、酢酸ビニル、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニルメチルケトン、塩化ビニリデン、スチレンおよびその誘導体、プロペン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化アクリロイル、酢酸アリル、塩化アリル、アリルベンゼン、ブタジエンおよびその誘導体;N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルカルバゾール、シンナメートおよびその誘導体;シトラコンイミドおよびその誘導体、クロトン酸、フタル酸ジアリル、1,1−ジフェニル−エチレン、クロロトリフルオロ−エチレン、ジクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどであるがそれだけに限定されないエチレンおよびその誘導体;フマレートおよびその誘導体;ヘキセンおよびその誘導体;酢酸イソプロペニル、イソプロペニルメチルケトン、イソプロペニルイソシアネートなどであるがそれだけに限定されないイソプレンおよびその誘導体;イタコナートおよびその誘導体;イタコンアミドおよびその誘導体;ジエチルマレアート、2−(アクリロイルオキシ)エチルジエチルホスフェート;ホスホン酸ビニルおよびその誘導体;無水マレイン酸、マレイミド、シリコンポリマーおよびその誘導体;多糖類およびその誘導体、炭水化物およびその誘導体;ペプチドとタンパク質断片およびその誘導体、キトサンおよびその誘導体;アルギネートおよびその誘導体;ならびにその任意の組み合わせを含む。
【0046】
混合物に存在することのできるポリマーの例示的、非制限的なリストは、ポリアクリレート、多糖類およびその誘導体、非制限的に、グリシジルメタクリル化で誘導されたデキストラン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート誘導されたデキストラン、デキストランメタクリレート、デキストランアクリレート、炭水化物およびその誘導体、ポリスルホン、ペプチド配列(sequences)、タンパク質、オリゴペプチド、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エトキシエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)などであるがそれだけに限定されないポリメタクリレート;ポリ酢酸ビニルポリアセタート、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ無水物、非制限的に、ポリ(N−ビニルピロリジノン)などのポリアミノ酸、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)ポリグリコール酸、ポリ乳酸、乳酸とグリコール酸のコポリマー、ならびにポリトリメチレンカーボネート、ポリ(ブタジエン)、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ(クロロプレン)、ネオプレン、ポリ(イソブテン)、ポリ(イソプレン)、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(オキシメチレン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシテレフタロイル)、ポリ[イミノ(1−オキソヘキサメチレン)]、ポリ(イミノアジポイル−イミノヘキサメタレン)、ポリ(イミノヘキサメチレン−イミノセバコイル)、ポリ[イミノ(1−オキソドデカメチレン)]などであるがそれだけに限定されないポリアミド、セルロース、ポリスルホン、ヒアロン酸(hyalonic acid)、ヒアルロン酸ナトリウム、アルギネート、アガロース、キトサン、キチン、およびその混合物を含む。
【0047】
モノマーおよび/またはポリマー用の混合物中の溶媒の非制限的な例示的リストは、水、アルコールおよび好ましくはエチレングリコール、エタノール、アセトン、ポリ(エチレングリコール)、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アルカンおよびその誘導体、アセトニトリル、酢酸、ベンゼン、無水酢酸、酢酸ベンジル、四塩化炭素、クロロベンゼン、n−ブタノール、2−クロロエタノール、クロロホルム、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ジ(エチレングリコール)、ジ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、1,4−ジオキサン、N,N,ジメチルアセトアミド、N,N,ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、ホルムアルデヒド、n−ヘプタン、ヘキサクロロエタン、ヘキサン、イソブタノール、イソプロパノール、メタノール、メチルエチルケトン、ニトロベンゼン、n−オクタン、n−ペンタノール、酢酸プロピル、プロピレングリコール、ピリデン、テトラヒドロフラン、トルエン、トリクロロエチレン、o−キシレンおよびp−キシレン、または前述のモノマーまたは架橋剤を必ずしも制限されずに含む求核性または求電子性分子の任意の1種またはその混合物を含む。
【0048】
溶媒は、モノマーを可溶化するが、モノマーから形成されたポリマーまたは架橋したポリマーを可溶化しないように選択することができる。成分の1種は、溶媒に溶解したポリマーを含むことができる。2つの相混合物はエマルジョンとすることができる。
【0049】
他の実施形態において、水性の2つの相系は2種の水溶性ポリマーから形成され、2種の水溶性ポリマーは溶液中で混和性がなく、これらのポリマーの少なくとも1種は架橋可能であり、架橋可能なポリマー相は他のポリマー相中に乳化される。架橋は、化学的に、フリーラジカルまたはレドックス開始、酸/塩基触媒、熱、求電子性または求核性攻撃、または照射で達成することができる。この後者の架橋の利点は、1ステップで殺菌された中空構造体が得られることである。さらに、ポリマーに結合した疎水性末端部を用いるUV照射および物理的架橋による架橋は可能な技術である。この水性ポリマーの非混和性は多くの水溶性ポリマー(例えば、デキストラン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ゼラチン、溶解性デンプンまたはフィコール)の組み合わせで起きる。ポリマーは溶液中に留まるが、或る濃度を超えると2つの水性相に分離する。乳化の後、分散された相中のポリマーは遠心力の下で架橋して、ヒドロゲル特性を有する管を形成することができる。中空構造体に適したエマルジョン系の例は、非限定的に中でも、グリシジルメタクリル化された誘導デキストラン(dex−GMA)/ポリ(エチレングリコール)(PEG)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−誘導デキストラン(dex−HEMA)/PEG、dex−ラクタート−HEMA/PEG、dex−GMA/Pluronic F68、PEG−ジメタクリレート(PEG−MA2)/MgSO4などの塩を加えた、または加えないデキストラン、PEG−MA2/MgSO4などの曇り点剤、ゼラチン/ポリ(ビニルピロリドン)、ゼラチン/デキストランを含む。
【0050】
他の実施形態において、生分解性モノマーまたはオリゴマーの連鎖または側鎖を有する親水性オリゴマーを含むマクロマーを用いることができ、その生分解性部分は、その自由末端に重合および架橋可能な末端キャップモノマーまたはオリゴマーで終端される。生分解は主鎖または架橋部で起き、非毒性で容易に消化または体から排泄される断片になる。例えば、マクロマーは修飾されたデキストラン−オリゴペプチド−メタクリレートまたはPEG−オリゴペプチド−アクリレートを含み、ペプチド配列は酵素に結合することができ、生分解性部分になる。
【0051】
他の実施形態において、封止された金型を水平面から0〜90°の予め定めた角度で回転させ、その長手方向に沿って寸法の変わるテーパー付き中空構造体を製造することができる。
【0052】
他の実施形態において、その長手方向に沿って寸法の変わるテーパー付き中空構造体は、封止された金型を回転軸から0〜90°の予め定めた角度で保持する、図20a〜dに示したものなどの保持装置を用いて製造することができる。図20a、b、cの保持具は円筒形金型70(図20dに示されている)を保持し、管を製造するためのその長手軸ではない軸の周りを回転する。保持装置(A)はアルミニウムから作られ、回転装置中に保持されたステム(B)を有することが好ましい。回転軸から或る角度(シータ)で保持装置に貫通した孔は金型(C)の挿入を可能にする。金型は2個のゴム製O−リングでその位置に保持され、2個のゴム製セプタム(E)でキャップされる。回転の角度と速度は金型の長手方向に沿って不均一な壁厚さ寸法をもたらす。
【0053】
図21aは重量の中心が回転軸上にない保持装置の図であり、金型は保持装置に挿入されたとき、回転装置の回転軸に平行な回転軸を有する。それらの金型から得られる中空構造体は、図21cに示したように、不均一な壁厚さを有する。代わりに、金型は回転軸上にない重量中心を有することができる(図21b)。これも図21cに類似した中空構造体をもたらす。
【0054】
他の実施形態において、分離された相の粘弾性特性および/または回転速度を制御することによって、細胞侵襲性(cell invasive)中空構造体を形成することができる。分離された相が高い弾性特性を有するならば、それは合体せず、ゲル化の後、相間の多孔質網目は十分大きくて細胞は構造体中へ侵入する。
【0055】
他の実施形態において、長手軸に沿って勾配をもって分布しているいくつかのポリマーを含む壁で円筒形の中空構造体を製造することができ、長手軸に沿って物理的および化学的特性に勾配のある壁を備える中空構造体が得られる。それらの特性は、拡散率、多孔質性、勾配、ピエゾ電導性、粘弾性および細胞侵襲性を含むが制限されない。
【0056】
他の実施形態において、方法を望むだけの回数繰り返すことによって、多層構造体を形成することができる。第1層を形成した後、傾けて溶媒を排出し、他の混合物を金型へ注入することができる。金型を被覆する第1層は次のコーティングの有効な金型になり、第2の形成は第1コーティング中に浸透することができ、ゲル化の後それらを互いに結合する。多層中空構造体は、同様のまたは異なる任意の材料から作られた、必要とする任意の順序で、必要な回数、実施例で説明した管の任意のものまたは全ての種類を用いて製造することができる。層状壁構造体(すなわちゲル状および多孔質)は、複数の配合物と複数回の回転、または1種の配合物/1度の回転で作ることができる。層は、ポリマー、生物ポリマー(コラーゲン、マトリックス分子、グリコサミノグリカンなど)のポリマーブレンド、または任意の種類の生分解性材料を含む複合ポリマー壁をもたらし、ポリマービーズまたは球、コロイド、薬剤、生物細胞、および壁区域に同心的に配置された他の混合物を含むことができる。
【0057】
実施例1と同じ方法であるが、任意の軸に沿って非対称的な金型形状を用いて調製された、様々な形状の構造体を製造することができる。図25a、25b、25cはそれらの金型の例を示し、一方の側で波形であり、他の側で平滑であり、構造体内部に長手方向に沿って球状窪みを含む中空構造体をもたらす。任意の実施例の配合物を使用して、この中空構造体の形状を可変直径の金型中に形成することができる。
【0058】
他の実施形態において、金型の周辺を占めるメッシュ、骨格(scaffold)、ステント、コイルおよび/または繊維などの他の構造体と一緒に複合中空構造体を形成することができるが制限されない。配合物が上述のようにこの金型に加えられ、構造体を被覆する中空構造体からなる複合中空構造体が得られる。以降に論じる実施例34と35はそれらの構造体を説明するもので、図28と29に示される。
【0059】
物理的および化学的の両方で架橋した中空構造体の製造が、分解性および分解性でない両方のポリマー管の製造と同様、この技術を用いて可能である。当業者であれば、本方法で製造された構造体を用いることのできる多くの用途を理解するであろう。これらの管の形態、多孔質および壁厚さを制御する能力によって、構造体が生理的に許容される材料から構成される場合、薬剤送達媒体(vehicle)としての使用が可能になる。また、薬剤も、管に組み込まれている他の材料または管壁自体に組み込むことができる。例えば、管は、薬剤を分散させたヒドロゲルなどの材料で充填することができるが制限されない。あるいは、壁構造体は薬剤または他の成分の貯蔵器として機能することができ、それらは、製品の製造中に薬剤または他の成分を混合物に含ませることによって壁構造体中に直接組み込むことができ、または、薬剤または成分を含む溶液中に製品を浸漬し、次いで製品中に取り込ませる(特に多孔質製品の場合)ことによって、それらを製造の後に組み込むことができる。あるいは、薬剤または他の成分は、薬剤または他の成分を放出するように設計された、微粒子、またはナノ粒子などの他の材料/薬剤貯蔵器中に組み込むことができる。各段階で組み込まれた材料で多層化することによって、薬剤が管壁内の特定の位置に送達された管を作ることができる。図24aと24bは、少量のモノマーを有する第2層配合物中に含まれた微粒子を有する管を示す。薬剤は、均一にまたは勾配を付けて送達することができる。設定を微調整することによって勾配を確立することができる。薬剤は、酵素、タンパク質、ペプチド、遺伝子、ベクター、成長因子、ホルモン、オリゴヌクレオチド、または細胞を含むことができるが制限されない。
【0060】
分子が壁構造体に拡散することの可能な中空構造体を製造することも可能である。また、壁構造体に拡散させ優先的に方向性のある薬剤送達を可能にするために、サイズおよび/または形状に基づいて選択的に分子を拡散することの可能な中空構造体を製造することができる。また、本発明は、例えば、中空構造体が埋め込まれる組織の機械的特性に適合するように、その最終用途に適切な機械的特性を備える中空構造体も提供することができる。
【0061】
本方法を用いて、外部ゲル相と内部多孔質相を有する中空構造体を製造することができる。また、本方法を用いて、多孔質相/ゲル相の重なり合う領域を備える中空構造体を提供することもできる。
【0062】
本方法の大きな利点を用いて、内径10μm〜100cmの様々な寸法の中空構造体を作ることができる。本方法の他の利点は、様々な材料と形状、ならびに他の中空構造体の内部表面上の薄いコーティングを備える複合中空構造体を作るのに用いることができる点である。
【0063】
他の実施形態において、中空構造体は、金型の内部に、生分解性であり、多糖類、ポリペプチド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステルエーテル、ポリエステルウレタン、ポリ無水物、およびその混合物から選択される少なくとも1種のポリマーを含む溶液を部分的に充填し、前記溶液を含む前記金型を回転下で液相が金型の内部表面上に付着するように有効な回転速度で回転し、相分離因子で金型の内部表面に付着した前記液相を安定化して前記製品を形成することによって製造することができる。付着した液相の安定化は、後続の溶媒除去を行って、または行わずにそのゲル化(液−液相分離)によって達成することができる。また、付着した液相の安定化は、その冷凍(固−液相分離)および後続の溶媒除去によって達成することができる。溶媒は、冷凍−乾燥または非溶媒で置き換えることによって除去することができ、それによって多孔質のポリマー構造体が形成される。
【0064】
用途および効用
本方法によって製造された製品は、非制限的に、耳排液管(aural drainage tube)、腹部/胃腸の構造的代替物、大動脈瘤用ステント、食道骨格を含んで、成長因子、抗生物質などの治療薬剤を放出しながら浮腫液体を排液するための先進の外傷用医薬材料(wound dressing)において、様々な用途に用いることができる。管形状の利点を利用する追加の用途は、排液、シャント(shunt)、および送達マトリックスなどの傷の手当てに有用な複合カテーテルを含む。コーティング用途は、ペースメーカのリード、埋め込み可能なセンサのワイアリード、侵襲的心臓病学(interventional cardiology)用のワイアに適用される。
【0065】
さらに詳細には、製品は既存の中空構造体上へのコーティングとすることができる。既存の中空構造体を金型中に挿入して製品で被覆するか、または既存の中空構造体を金型自体として用いる。製品は長手方向に沿って勾配をもった、または均一に分布している治療薬剤、細胞を含むことができる。さらに、治療薬剤は製品の壁の中へ直接組み込むことができ、またはそれらは、それ自体製品の壁中に組み込まれる微小粒子(微粒子)またはナノ粒子(ナノ粒子)中に組み込むことができる。それらの粒子は分解性材料、または非分解性材料とすることができ、細胞は、いくつかの例を挙げれば、非制限的に、嗅覚鞘細胞(olfactory ensheathing cell)、繊維芽細胞、または乏突起神経膠細胞(oligodendrocyte)、ニューロン、幹細胞、幹細胞誘導細胞、嗅覚鞘細胞、シュワン細胞、星状細胞、小神経膠細胞、または乏突起神経膠細胞、内皮細胞、上皮細胞、ケラチン生成細胞、平滑筋細胞、肝細胞、骨髄誘導細胞、造血幹細胞(hematopoetic cell)、神経膠細胞、炎症性細胞、および免疫系細胞を含む、遺伝子的に修飾した細胞または遺伝子的に修飾しない細胞とすることができる。製品にカプセル化された細胞は、治療用途に有用な分子を分泌することができる。
【0066】
製品は、神経誘導チャネル(nerve guidance channel)として用いることができるように生理学的に適合性のある材料から作ってもよい。神経誘導チャネルは、その長手方向に沿って勾配をもった、または均一に分布している細胞侵襲性骨格または治療薬剤、細胞を含むことができる。さらに、治療薬剤は、製品の壁の中、または壁の中に組み込まれた粒子内に存在することができる。それらの粒子は、上に開示した細胞を含む、分解性材料または非分解性材料とすることができる。
【0067】
あるいは、金型自体を神経誘導チャネルとして適した生理学的に適合する材料から作ることができ、製品は金型の内部上面を被覆する。製品は、既存の神経誘導チャネルの内部管腔上のコーティングであることが有効であり、長手方向に勾配をもって、または勾配をもたずに細胞侵入骨格、または薬剤、細胞、を含むことができる。上述のように、神経誘導チャネルは、その長手方向に沿って勾配をもって、または均一に分布している細胞侵襲性骨格、または治療薬剤、上述の細胞を含むことができる。さらに治療薬剤は、製品の壁の中または壁に組み込まれた粒子内に存在することができる。それらの粒子は分解性材料または非分解性材料から作ることができる。
【0068】
製品は、上述の遺伝子修飾した、または遺伝子修飾しない細胞を含むカプセル化した細胞治療用途に使用することができる。製品中にカプセル化された細胞は治療用途に有用な分子を分泌することができる。また、これらの細胞は本発明の方法を用いて製造されたバイオリアクター(bioreactor)に使用することもできる。
【0069】
製品は、心臓冠動脈のバイパス移植、または脳中のものを含んで、腹部大動脈瘤、および血管内(endovascular)移植のための血管移植片として用いることができる。さらに治療薬剤は、製品の壁に単独で埋め込まれていてもよく、または製品の壁中に存在する持続放出薬物送達粒子内に封入されていてもよい。それらの粒子は分解性材料または非分解性材料から作ることができる。
【0070】
製品は、細胞、薬剤等を含むことのできる、代替品または人工卵管として生理学的に適合性のある材料を用いて製造することができる。製品は、緑内障用排液移植片として、または涙腺導管用排液インプラントとして用いることができる。これらの排液インプラントは眼球の眼圧を制御するのに適した直径で製造することができる。さらに、粒子内に存在する、または存在しない治療薬剤は製品の壁中に存在することができる。排液インプラントは、眼球の眼圧を制御する装置の一部として使用することができる。また、製品は尿管または尿道の代替物に用いることができる。
【0071】
また、製品は、細胞産物を製造するためのバイオリアクターまたは腸などの人工組織とすることができる。多層構造体とすることのできる、またはできない製品は、細胞を含み、金型中に留まって、効率的に封止された容器になることができ、細胞増殖、生存能力、および分化のための栄養素が導入され、したがって廃棄物が除去される。製品は金型内の多孔質膜上のコーティングとすることができ、栄養素は製品の両側に曝露させることができる。製品は長手方向に勾配をもった、または勾配をもたない細胞侵襲性骨格、または薬剤、細胞を含むことができる。さらに、粒子内に存在する、または存在しない治療薬剤は、製品の壁に存在することができる。それらの粒子は、所与の細胞のリストを含むが制限されずに、分解性材料、または分解不可能な材料、遺伝子的に修飾した、または遺伝子的に修飾しない細胞とすることができる。バイオリアクターは分解性材料を含むことができるので、予め定めた時間の後、得られるバイオリアクターは完全に生体細胞とそれらの細胞外マトリックスを含み、細胞は腸の代替物として用いることのできる構造体中に組織化されていてもよく、または組織化されていなくてもよい。
【0072】
製品は既存の中空構造体上のコーティングとすることができ、バイオセンサとして用いられる。既存の中空構造体は、金型中に挿入されて製品で被覆されるか、または既存の中空構造体は金型自体である。製品は大きな表面積を有することができ、バイオセンサ用途の信号雑音比を改善する。コーティングはバイオセンサの再現性を改善するために良好に画定された表面化学物質を有することができる。
【実施例】
【0073】
ここで、本発明をいくつかの非制限的な実施例で例示する。最初の実施例は、回転する金型中で合成され(および架橋され)、遠心力によって管になる、2−ヒドロキシエチルメタクリレートポリマーおよびコポリマーに関する。また、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよびそのコポリマーの実施例として与えられるそれらの形態は、液体を充填した回転金型中で相分離を誘発することのできる任意のモノマーまたはポリマー系にも関連する。追加の実施例は微粒子、細胞、粒子、球、コイル、ステント、メッシュを含む架橋したデキストラン管および複合管に関する。
【0074】
(実施例1)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を過剰の水の存在中、架橋剤、好ましいが制限されないエチレンジメタクリレート(HDMA)と一緒に、フリーラジカル開始系および好ましくは過硫酸アンモニウム(APS)/メタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS)レドックス開始系を用いて重合した。表1に詳細を示した成分を有する均一な混合物を、2−ヒドロキシエチルメタクリレートに関する方法について説明した円筒形ガラス金型中に注入した。均一な混合物は関連する量のHEMAと水をガラス瓶に加え、ガラス瓶中で混合することによって作った。表1に示した適切な量の10%APS溶液を加えた後、溶液の混合を繰り返した。適切な量の10%SMBS溶液をこの混合物に加え、さらに30秒間混合した。次いで、均一な混合物を20ゲージの針を用いてLuer−lok注射器中に引き抜いた。針を注射器から取り外し、新しい20ゲージの針と0.8μmフィルターを用いてモノマー混合物を重合金型中に注入した。
【0075】
封止された金型を、アルコール水準器を用いて水平に搭載したRZR−1二重可変速度範囲の攪拌ドリル(Heidolph、ドイツ)のチャック中に配置した。回転速度は表1に示したように2700rpmであった。金型の内部表面上に得られるゲル状コーティングを図6に示しており、厚さ約10±3μmである。図6はガラス金型の内部のゲル状コーティングの環境制御型走査電子顕微鏡(ESEM)写真であり、混合物処方はHEMA1%、水99%、APS0.01%、SMBS0.01%、4000rpmであった。
【0076】
(実施例2)
ゲル状と多孔質形態の両方を備えるコーティングを実施例1と同じ方法で調製した。使用したモノマー混合物はコモノマーとしてポリ(エチレングリコール)メタクリレートも含んでいた。実施例2で用いたモノマー混合物と回転条件を表1に示す。金型の内部表面上に得られる多孔質材料/ゲル状混成コーティングは、図7aと7bに示されており、外部のゲル状コーティング(金型の内部表面に面する表面)は図7a中で前方に面し、内部の多孔質構造体(水に面するもの)は図7b中で前方に面している。コーティングの厚さは、約30±5μmである。図7aと7bの顕微鏡写真はガラス金型からコーティングを取り外した後に撮った。さらに詳細には、図7aは、ガラス金型の内部に塗布した多孔質コーティングの外部表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を示しており、混合物は、HEMA1.9%、PEGMA0.1%、水98%、APS0.02%、SMBS0.02%、2700rpmである。図7bは、ガラス金型の内部に塗布した多孔質コーティングの内部表面を示しており、混合物処方は、HEMA1.9%、PEGMA0.1%、水98%、APS0.02%、SMBS0.02%、2700rpmである。
【0077】
(実施例3)
多孔質材料はこの方法を用いて塗布された外部コーティングを有することができる。ゲル状または多孔質形態のいずれか、またはその両方とすることのできるコーティングを実施例1と類似の方法で調製した。金型中に均一な混合物を注入する前に、多孔質材料の栓を金型中に挿入した(図8a)。多孔質PLGAは前述の技術(Holy等、Biomaterials、20、1177〜1185、1999)を用いて製造されるが、多孔質材料はポリマー、セラミック、金属、複合材、またはその組み合わせを含む任意の材料から作ることができる。金型へ多孔質構造体の挿入の後、実施例3として表1に示されている均一な混合物を金型中に注入し、表1に示した速度で回転させる。金型から取り外した、得られるコーティングされた多孔質材料を図8bに示す。多孔質材料の内部にはコーティングまたは閉塞された孔はなく、視認できるコーティングは外部だけであった。実施例は、前記多孔質材料の形態に影響を及ぼさない、成功裏の多孔質材料の外部コーティングを示している。
【0078】
(実施例4〜5)
多孔質の細胞侵襲性管は、使用されるモノマーがコモノマーとしてメチルメタクリレート(MMA)を含むことを除いて、実施例1と同じ方法で製造することができる。また、実施例5も、開始系中の第2つの成分としてSMBSをTEMEDに置き換える。実施例4〜5に用いたモノマー混合物と回転速度は表1に示されており、両方とも細胞侵襲性の多孔質管が得られる。この特別な場合において、非制限的に、APS/TEMEDレドックス系などのより速い開始系の使用、または均一な混合物中のより高濃度の開始剤は、多孔質構造体を達成するために有利である。図9aと9bは実施例4と5の多孔質壁の形態を示す。形成は、粘弾性的粒子分離に加えて、合体しない突然の相分離に起因する。
【0079】
(実施例6〜7)
半多孔質の非細胞透過性管は、使用されるモノマーがコモノマーとしてメチルメタクリレート(MMA)を含むことができることを除いて、実施例1と同じ方法で製造することができる。実施例6〜7に用いたモノマー混合物と回転速度は表1に示されており、両方とも半透過性の非細胞侵襲性の管が得られる。実施例6において、回転速度は10,000rpmであり、高い回転速度は管壁に対する相分離構造体を緻密にし、壁膜への拡散に影響を及ぼす閉孔性のゲル状壁形態をもたらす(図10a)。
【0080】
実施例7の場合、より遅い相分離は、より低い回転速度で非多孔質のゲル状構造体を得るのに有利であるので、相分離因子としての開始系はより低濃度とすることができる。
【0081】
(実施例8〜9)
多孔質/ゲル状混合管は、使用されるモノマーが相分離に影響を与えるMMA/およびまたはエチレングリコール(EG)を含むことができることを除いて、実施例1と同じ方法で製造することができる。実施例8〜9に用いたモノマー混合物と回転速度は表1に示されており、両方とも1回の重合で多孔質/ゲル状混合管が得られる。図11aに見られる実施例8の断面の二重層形態は、相分離の出発時点で液状相が沈澱し、続いて相分離の終点に向かって粘弾性的に沈澱することによるものである。したがって、EGなどの水以外の共溶媒は、相分離を遅らせ、または加速し、したがって、壁の二重層形態を制御するのに有用である。
【0082】
実施例9については、多孔質/ゲル状管は、より遅い相分離と組み合わせてより速い速度が図11bの形態を誘発できることを除いて、実施例1と同じ方法で製造することができる。
【0083】
(実施例10)
放射状多孔質の多孔質/ゲル状混合管は、より高密度の分離相を硬質金型の内部表面上に液滴としてビーズ化することができるとき、実施例1と同じ方法で製造することができる。分離相の接触角度は、硬質金型の表面修飾によって、または金型内部の材料を変更することによって影響される。したがって、壁の形態は、金型の表面化学物質によって影響される。実施例10で用いるモノマー混合物および回転条件は表1に示されており、分離した相の溶解性に影響を与えるためにメチルメタクリレートまたはエチレングリコールなどの共溶媒を含むことができる。図12aと12bは放射状多孔質断面を有する多孔質/ゲル状管の顕微鏡写真であり、図12cは同じ処方の外部長手方向の形態を示す。図12dの光学顕微鏡写真に示した中空構造体は、実施例10と同じ処方で合成されたが、シラン処理したガラス金型中で形成された。シラン化剤はSigma−Aldrich製のSigmacoteであった。Sigmacote溶液をガラス金型に引き抜き、次いでオーブン中で乾燥して溶媒を蒸発させた。ガラススライド上での接触角度の研究は、水の接触角度が、表面修飾の後、44.7±3°/11.6±1.8°から47±0.3°/44±0.4°へ変化することを示した。次いで、表1の実施例10として示した処方でガラス金型を使用した。中空の繊維膜は、ビタミンB12およびデキストラン10kDについて、42%〜57%の平衡水含有量、22kPa〜400kPaの弾性弾性率、10−7〜10−9cm2s−1の拡散性透過率を有した。管壁は、固有の微小構造体を反映して、大きく異なる透過率を備えながら、類似の機械的強度を得ることができよう。実施例10に説明したビーズ化は良好な機械強度を維持しつつ拡散性の高い中空構造体を可能にする。
【0084】
(実施例11)
放射状の性質の孔を有する多孔質管は、表1に実施例11として示したモノマー処方混合物と回転条件で、実施例1と同じ方法で製造することができる。壁の形態は主としてゲルであり、放射状に貫通するチャネルまたは孔は実施例10のようにビーズ化を必要としない。この形態の例を図13aに示す。
【0085】
(実施例12)
放射状の繊維を有する多孔質管は、表1に実施例12として示したモノマー処方混合物と回転条件で、実施例1と同じ方法で製造することができる。壁の形態は、主として放射状に貫通する繊維を備える空間である。形成された中空構造体の内部管腔は壁の厚さに比べて小さく、この形態の例は図13bに示されている。この実施例において、遅い回転速度で低濃度の沈降の防止が達成された。この驚くべき結果は、特に、類似のモノマー濃度を有するが回転速度が大きく異なる実施例2(図7aと7b)に比べて、壁の形態に対する回転速度の大きな効果を示す。
【0086】
(実施例13)
表1に実施例13として示されている混合物処方を有する多層管の壁の断面の形態。これらの多層管は、実施例1と同じ方法を必要なだけ繰り返して製造することができる。表1の実施例13は形成された第1の外部層(o)と第2の内部に形成された層(i)を参照する。多層中空構造体は、1層を形成し、形成された中空構造体を金型の表面コーティングとして用いて中空構造体の方法を所望の回数繰り返すことによって可能である。多層中空構造体は、実施例に説明した、類似または異なる任意の材料から、必要な任意の順序で、必要な回数で作られた、任意または全ての種類の管を用いて製造することができる。例を図14に示す。
【0087】
(実施例14)
表1に実施例14として示した混合物処方を有する管の内部層の平滑な表面形態は、実施例1と同じ方法で製造することができる。平滑な内部表面を有する管を図15に示す。
【0088】
(実施例15)
表1に実施例15として示した混合物処方を用いて作ることのできる、管の内部層の窪み/粗い表面形態は、実施例1と同じ方法で製造することができる。窪み/粗内部表面を有する管を図16aに示す。ゲル状/多孔質壁形態および窪み/粗内部表面管を示す横方向の断面を図16bに示す。
【0089】
(実施例16)
独特の細胞状表面パターンを有する管の内部管腔の独特な表面形態は、表1に実施例1と同じ方法で製造された実施例16として示した混合物処方を用いて作ることができる。図17aに見えるこれらの表面形態はこの方法を用いて形成される。図17bは、ゲル状/多孔質壁の形態を有する管の内部管腔上のそれらの細胞状表面パターンを示す。
【0090】
(実施例17)
非常に小さな直径の微小管は、金型サイズが非常に小さいことを除いて、実施例1と同じ方法で製造することができる。図18は、内径450μmの小さな直径の毛細管中に、表1に実施例17として示した混合物処方から製造された管である。内径10μm以上の金型を用いてより小さな配管を形成することができる。
【0091】
(実施例18)
様々な形状の構造体は、金型サイズが円筒形でもなく均一な内径ももたないことを除いて、実施例1と同じ方法で製造することができる。図19は、様々な直径の金型中に、表1に実施例18として示した混合物処方から製造された管である。任意の実施例処方を用いてこの形状の中空構造体を形成することができる。
【0092】
(実施例19)
その長手方向に寸法が変化するテーパーの付いた中空構造体は、封止された金型を水平面から0〜90°の予め定めた角度で搭載したドリルのチャック中に配置したことを除いて、実施例1と同じ方法で製造することができる。
【0093】
(実施例20)
長手に沿って可変壁厚さまたは穴を有する中空構造体は、封止された金型が図2a〜dなどの内部表面形態をいくらか有することを除いて、実施例1と同じ方法で製造することができる。任意の実施例の処方を使用してこの中空構造体の形状を形成することができる。
【0094】
(実施例21)
中空構造体は、相分離因子として温度を用いてポリマー溶液の液体−液相分離から製造することができる。ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)を87:13(重量%)のジオキサン/水混合物に60℃で溶解して溶液を形成し、予備加熱したガラス金型中に注入した。封止された金型へ注入して金型から全ての空気を除去した後、それを室温でドリルのチャックに配置し、4000rpmで回転した。金型を室温まで冷却し、液体−液相分離とゲル化を誘発させた。次いで、金型を冷却し、冷凍−乾燥器に置くことによってジオキサン/水混合物を除去した。次いで、形成された管を金型から取り外した。
【0095】
(実施例22)
N−2−(ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)(30容積%)を過剰のアセトン/ジメチルスルホキシド(DMSO)(93:7v/v)の存在下で、好ましいが制限されない、メチレンビスアクリルアミド(1モル%)の架橋剤で、開始系としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を用いて重合した。また、モノマー性糖を重合混合物に加えてもよく、加えなくてもよい。混合物を完全に混合し、実施例1に説明したように、表1に実施例22として示した混合物処方を用いて、円筒形ガラス金型中に注入した。
【0096】
封止された金型をアルコール水準器を用いて水平に搭載した攪拌ドリルのチャックに配置し、50℃で24時間4000rpmで回転した。金型の内部表面に得られる中空構造体は金型から取り外される。
【0097】
(実施例23)
金型をその長手軸ではない軸の周りに回転させることを除いて、実施例1と同じ方法で調製された長手方向に沿って不均一な寸法のコーティング。図20に示した保持装置はアルミニウムから作製し、ドリルのチャック中に固定され、重合金型を或る角度に保持するように設計される。金型は形成された保持装置によって定められるその長手軸ではない軸の周りを回転させることができる。得られるコーティングは、テーパーの付いた、その長手軸に沿って不均一な寸法を有する。任意の実施例処方を使用して中空構造体のこの形状を形成することができる。
【0098】
(実施例24)
不均一な寸法のコーティングを、回転軸上に重量中心のない保持装置中で重合金型を回転させることを除いて、実施例1と同じ方法で調製した。実施例1に示した重合金型を、回転軸から偏心した円筒形のアルミニウム保持装置(図21aまたは21b)中に配置した。次いで、保持装置をドリルのチャックに挿入し、回転を開始した。得られたコーティングは、図21cに示したようにその横方向断面が不均一である。任意の実施例の処方を使用して中空構造体のこの形状を形成することができる。
【0099】
(実施例25)
コーティングの外部管腔に位置する分解性微粒子を有するコーティングは、相分離したモノマー成分よりも密度の高い粒子材料が均一なモノマー混合物に含まれていたことを除いて、実施例1と同じ方法で調製することができる。重合金型を回転させると、高密度の粒子は金型の内部表面に移動する。高密度のポリマー相が金型内でゲル化するとき、コーティングが形成され、図22に横方向の断面が示されている。平均直径20ミクロンのポリカプロラクトン(PCL)微粒子をCao等のBiomaterials、20、329〜339、1999に記載されたようにして製造し、濾過したモノマー混合物に表2に示した量を加えた。溶液の濾過は、微粒子を加えた後は行わなかった。それらの粒子含有管は、この製造方法に資する任意の管用材料を用いて、および、処方混合物に適合性のある任意の生分解性または非生分解性ポリマーから作られた微粒子を用いて作製することができる。
【0100】
(実施例26)
コーティングの内部管腔近くに位置する微粒子を有するコーティングは、溶媒とより高密度相の間の密度を有する粒子状材料がモノマー混合物に含まれていたことを除いて、実施例1と同じ方法で調製することができる。重合金型を回転させると、高密度の粒子は溶媒と高密度ポリマー相の間の界面へ移動する。高密度のポリマー相が金型内でゲル化するとき、コーティングの内部管腔近くに固定された粒子を有するコーティングが形成される。それらの粒子含有管は、この製造方法に実施可能な任意の管用材料を用いて、および、処方混合物に適合性のある任意の生分解性または非生分解性ポリマーから作られた微粒子を用いて作製することができる。
【0101】
(実施例27)
回転軸の長手方向に沿って勾配の付いた分解性微粒子を有するコーティングは、相分離したモノマー成分よりも密度の高い粒子材料が均一なモノマー混合物に含まれ、封止された金型が水平面から0〜90°の予め定めた角度で搭載されたドリルチャックに配置されたことを除いて、実施例1と同じ方法で調製することができる。微粒子は重量のため沈降し、金型を回転すると、粒子は金型の内部表面へ移動し、次いで高密度ポリマー相のゲル化によってその位置に固定される。平均直径20ミクロンのポリカプロラクトン(PCL)微粒子をCao等のBiomaterials、20、329〜339、1999に記載されたようにして製造し、濾過したモノマー混合物に表2に示した量を加えた。溶液の濾過は、微粒子を加えた後は行わなかった。それらの粒子含有管は、この製造方法に実施可能な任意の管用材料を用いて、および、処方混合物に適合性のある任意の生分解性または非生分解性ポリマーから作られた微粒子を用いて作製することができる。
【0102】
(実施例28)
コーティングの内部管腔近くに位置する微粒子を有するコーティングは、治療薬剤を含む粒子材料が均一なモノマー混合物内に含まれたことを除いて、実施例1と同じ方法で調製することができる。例えば、神経成長因子(NFG)および卵アルブミン(OVA)などの分子を、Cao等のBiomaterials、20、329〜339、1999に記載された溶媒蒸発技術を用いてPCLポリマー微粒子中にカプセル化することができる。したがって、微粒子を含む混合物は、混合物をフィルターに通さないことを除いて、実施例1に説明したように封止された円筒形ガラス金型中に注入される。治療薬剤の例は、非制限的に、NGF、BDNF、NT−3、NT−4/5、FGF−1、FGF−2、IGF、VEGF、CNTF、GDNF、BMP類、ホルモン、タンパク質、ペプチド、神経保護剤などの化学薬剤を含む。
【0103】
(実施例29)
コーティング内に粒子を有するコーティングは、非球形状の粒子材料が均一なモノマー混合物内に含まれることを除いて、実施例1と同じ方法で調製することができる。平均直径50ミクロン、および長さ1〜10cmのガラス繊維を、表2に記載の濾過したモノマー混合物に加えた。溶液の濾過は、繊維を加えた後は行わなかった。金型を回転させると、高密度の粒子は金型の内部表面に移動する。高密度のポリマー相が金型内でゲル化するとき、コーティングが形成され、図23に金型から取り外して示されている。それらの粒子含有管は、この製造方法に実施可能な任意の管用材料を用いて、および、非制限的に、ガラス、カーボンナノファイバー、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリジオキサノン、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリラクチド、ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー繊維、および処方混合物に適合性のあるラクチドとグリコリドのコポリマーを含む繊維を用いて作製することができる。
【0104】
(実施例30)
コーティングの内部管腔近くに位置する粒子を有する多層管の壁の断面の形態であり、混合物処方は表2に実施例30として示されている。これらの多層化した粒子状管は、実施例1と同じ方法を必要なだけ繰り返して製造することができる。表2の実施例30は、形成された第1の外部層(o)と第2の内部に形成された粒子を含む層(i)を参照している。多層中空構造体は、1層を形成し、形成された中空構造体を金型の表面コーティングとして用いて中空構造体の方法を所望の回数繰り返すことによって可能であり、粒子は方法の任意の段階に含まれる。第1の重合に続いて、コーティングはガラス金型から取り外さず、代わりに残っている混合物を排出し、金型を再封止し、HEMAモノマー、架橋剤、開始剤、および微粒子を含む新しい配合物を管を含む金型中に注入する。金型はドリルチチャックに挿入し、2度目の回転を行う。多層中空構造体は、実施例に述べた類似のまたは異なる材料の任意の材料から作られた、必要な任意の順序で、必要な数の任意または全ての層に粒子を含む、任意のまたは全ての種類の管を用いて製造することができる。例を図24に示す。金型の内部表面のゲル状コーティングは、内部コーティングの外部部分に埋め込まれたポリカプロラクトン微粒子を含む。図24は、ポリ(カプロラクトン)微粒子を含むコーティングの走査電子顕微鏡(SEM)写真を示し、微粒子はコーティングの長手方向に沿って均一に配分されるが、実施例27に述べた方法を用いて、長手方向に不均一に配分されたコーティングを形成することができる。
【0105】
(実施例31)
様々な形状の構造体は、金型形状が任意の軸に沿って非対称的であることを除いて、実施例1と同じ方法で製造することができる。図25は、中空構造体をもたらすそれらの金型の例であり、一方の側で波形であり、他の側で平滑であり、構造体の長手方向に沿って球状窪みを含む。任意の実施例処方を使用して、可変直径を有する金型中に中空構造体のこの形状を形成することができる。
【0106】
(実施例32)
ゲル状と多孔質形態の両方を有するコーティングを、出発モノマー混合物を金型に注入する前に相分離させることを除いて、実施例1と同じ方法で調製した。モノマー混合物は注入装置の内部で相分離させることが可能であり、異種溶液を金型中に注入した。次いで、封止された金型を実施例1で前に述べたようにドリルのチャック中に配置した。実施例32に用いたモノマー混合物および回転条件を表2に示す。金型から取り外した後に得られる多孔質材料/ゲル状コーティングを図26aおよび26bに示す。
【0107】
(実施例33)
ゲル状と多孔質形態の両方を有するコーティングを、出発モノマー混合物が金型中にある間に、回転前に相分離させることを除いて、実施例1と同じ方法で調製した。実施例33に用いたモノマー混合物および回転条件を表2に示す。金型の内部表面に得られる多孔質材料/ゲル状混成コーティングを図27に示す。
【0108】
(実施例34および35)
ゲル状と多孔質形態の両方を有するコーティングを、金型が主としてワイアから作られた物体を含むことを除いて、実施例1と同じ方法で調製した。ゲル状または多孔質形態のいずれか、または両方を備えるコーティングを実施例1と同じ方法で調製した。混合物を金型へ注入する前に、主としてワイアから作られた物体が金型中に挿入される(図28および29)。実施例34は、ステントの外径と同じ内径を有する金型の内部に配置された金属製ステントである。ステントを金型中に挿入した後、表2に実施例34として示した均一な混合物が金型中に注入され、金型は表2に示した速度で回転させる。得られるコーティングされたステントを図28に示す。実施例35は、ワイアを金属棒の周りに巻き付けて形状加工されたコイル状ワイアである。コイル状ワイアを金型に挿入した後、表2に実施例34として示した均一な混合物を金型中に注入し、表2に示した速度で金型を回転した。マンガンのコイル状ワイアを含む、得られるコーティングは金型から取り外され、図29に示されている。コイル状ワイアまたはステントはポリマー、金属、またはセラミック材料から構成することができよう。
【0109】
(実施例36〜37)
放射状多孔質を有する多孔質/ゲル状混合管は、多孔質とゲル状成分の比を重合金型の表面化学的性質を変化させて、実施例1と同じ方法で製造することができる。図30は、金型から取り外した3種のコーティングを示し、これらは、(a)清浄なガラス金型、(b)2−メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシラン(MPEOS−実施例36)で修飾したガラス金型、および(c)N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(AEAPS−実施例37)で修飾したガラス金型で作製した。ガラス金型はGlass & Plastic Cleaner(登録商標)100溶液中で10分間超音波をかけ、脱イオン水で洗い、30分間空気乾燥した。実施例36と37に用いたモノマー混合物および回転条件を表2に示す。金型から取り外した、得られる多孔質材料/ゲル状混成コーティングを図30aに示す。MPEOSとAEAPSの両方でのガラス金型の表面修飾は、清浄化したガラス金型を9:1容積/容積の濃H2SO4/H2O2の溶液中に10分間浸漬し、十分な水で洗い、30分間空気乾燥した。実施例36については、ガラス金型を、濃HClを加えることによって調製したpH2だけの、水:メタノール(5:95重量%)溶液中のMPEOS2重量%溶液に浸漬した。表面修飾反応は40℃で15分間行った.反応はシラン処理したガラスを110℃の空気中で30分間乾燥することによって完了させた。金型から取り外した、得られる多孔質材料/ゲル状混成コーティングは図30bに示されており、コーティング壁内に図30aのコーティングよりもかなり高い割合のゲルを有する。
【0110】
実施例37については、AEAPSでのガラス金型の表面修飾は、水:メタノール(5:95重量%)溶液中のAEAPS2重量%溶液に40℃で15分間浸漬することによって達成した。反応はシラン処理したガラスを110℃の空気中で30分間乾燥することによって完了させた。金型から取り外した、得られる多孔質材料/ゲル状混成コーティングは図30cに示されており、コーティング壁内に図30aのコーティングよりもかなり高い割合の多孔質材料を有する。図30bと30cのSEM顕微鏡写真に示したコーティングは、図30aと同じ処方で合成したが、表面修飾した金型中で形成した。
【0111】
(実施例38)
非分解性または分解性いずれかの特性を備える多孔質/ゲル状混合コーティングは、2つの相が常に存在し、互いに非溶解性であることを除いて、実施例1と同じ方法で製造することができる。Van Dijk-Wolthuis等(Macromolecules 28、(1995) 6317〜6322)の提案した実験方法を適用し、触媒としてN,N−ジメチルアミノピリジンを用い、ジメチルスルホキシド(DMSO)中でグリシジルメタクリレートをデキストランに固定することによって、置換の程度(残るグルコピラノース100当たりのメタクリレート基の数DS)を変動させてグリシジルメタクリレート化し、表2に実施例38で示した分子量の誘導デキストラン(dex−GMA)を合成した。ポリエチレングリコール(PEG、10,000g/モルのMw)を0.22MKCl中に0.2g/ml〜0.4g/mlの濃度に溶解した。Dex−GMAを0.22MKCl中に0.2g/ml〜0.4g/mlの濃度に溶解した。両方の溶液および0.22MKCl溶液の追加の量を注射器の予備フィルターを用いて濾過し、次いで10分間脱気した。各溶液の異なる容量を表2の実施例38で示した最終組成物へ互いに混合した。混合物を2分間渦流動させ、水中水エマルジョンを得た。Dex−GMAは非制限的に、好ましくはフリーラジカル開始系を用いて、および好ましくは過硫酸アンモニウム(APS)/メタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS)レドックス開始系を用いて重合した。表2の実施例38で示した適切な量の0.1g/mlのAPS溶液を加えた後、溶液の短い渦流動を繰り返した。表2の実施例38で示した適切な量の0.015g/mlのSMBS溶液をこの混合物に加え、再び簡単に渦流動させた。次いで、実施例1で説明したように混合物をガラス金型へ注入した。金型は、アルコール水準器を用いて水平に搭載されたドリルのチャックに配置した。回転速度は表2の実施例38で示したように6000rpmであった。得られる分解性、または非分解性コーティングのSEM顕微鏡写真は、壁の外部部分のゲル状形態および壁の内部部分の多孔質形態で図31に示されている。
【0112】
(実施例39)
非分解性、または分解性特性のいずれか、およびゲル状相中に独特のチャネルを有する多孔質/ゲル状混合コーティングは、水に対するPEGの比を増加させることを除いて、実施例38と同じ方法で製造することができる。各溶液の異なる容量を互いに混合して、表2の実施例39で示した最終組成物にした。得られる分解性、または非分解性コーティングのSEM顕微鏡写真を図32に示す。
【0113】
(実施例40)
非分解性、または分解性特性のいずれか、および図33に示した2つの壁形態が鋭く画定されて分離する多孔質/ゲル状混合コーティングは、組成物中のdex−GMAの割合を増加させたことを除いて、実施例38と同じ方法で製造することができる。異なる容量の各溶液を互いに混合して、表2の実施例40で示した最終組成物にした。得られる分解性、または非分解性コーティングのSEM顕微鏡写真を図33に示す。
【0114】
(実施例41)
非分解性、または分解性特性のいずれかを有する多孔質/ゲル状混合コーティングは、組成物中のPEGの割合を増加させ、組成物中の水の割合を減少させたことを除いて、実施例40と同じ方法で製造することができる。異なる容量の各溶液を互いに混合して、表2の実施例41で示した最終組成物にした。
【0115】
(実施例42)
非分解性、または分解性特性のいずれかを有する主としてゲル状のコーティングは、組成物中に使用したdex−GMAの分子量が表2よりもはるかに小さかったことを除いて、実施例40と同じ方法で製造することができる。異なる容量の各溶液を互いに混合して、表2の実施例42で示した最終組成物にした。得られる分解性、または非分解性コーティングのSEM顕微鏡写真は図34に示されており、壁の緻密さを表している。
【0116】
(実施例43)
非分解性、または分解性特性のいずれかを有する多孔質/ゲル状混合コーティングは、組成物中のPEGの割合を増加させ、組成物中の水の割合を減少させたことを除いて、実施例42と同じ方法で製造することができる。異なる容量の各溶液を互いに混合して、表2の実施例43で示した最終組成物にした。
【0117】
(実施例44)
非分解性、または分解性特性のいずれか、および多孔質内部管腔を有する主としてゲル状のコーティングは、表2に示したように、組成物中のdex−GMAの割合を増加させ、組成物中の水の割合を減少させたことを除いて、実施例42と同じ方法で製造することができる。異なる容量の各溶液を互いに混合して、表2の実施例44で示した最終組成物にした。図35は、実施例44の壁形態の緻密さと多孔質内部管腔を示している。
【0118】
(実施例45)
分解性特性を有する多孔質/ゲル状混合コーティングは、重合ポリマーが2−ヒドロキシエチルメタクリレート誘導デキストラン(dex−HEMA)であることを除いて、実施例37と同じ方法で製造することができる。異なる容量の各溶液を互いに混合して、表2の実施例45で示した最終組成物にした。
【0119】
(実施例46)
分解性特性を有する多孔質/ゲル状混合コーティングは、組成物中のdex−HEMAの割合を増加させ、組成物中の水の割合を減少させたことを除いて、実施例45と同じ方法で製造することができる。異なる容量の各溶液を互いに混合して、表2の実施例46で示した最終組成物にした。
【0120】
(実施例47)
非分解性、または分解性特性のいずれかを有する多孔質/ゲル状混合コーティングは、PEGをPluronic F68に置き換えて表2の実施例47で示した最終組成物にしたことを除いて、実施例38と同じ方法で製造することができる。
【0121】
(実施例48)
微粒子を含む多孔質/ゲル状混合コーティングは、混合物中にポリマー主鎖を分解する酵素分解粒子が含まれたことを除いて、実施例38と同じ方法で製造することができる。異なる量のdex−GMA、PEG、デキストラン含有PCL微粒子、および水溶液を互いに混合して、表2の実施例48に示した最終組成物にした。多孔質/ゲル状混合コーティングは、加水分解では非分解性であるが、酵素の存在下で分解を受ける。コーティングの壁に組み込まれたPCL微粒子は加水分解で分解して酵素を放出し、ポリマー主鎖の切断によってコーティングを分解する。
【0122】
(実施例49)
分解性特性を有する多孔質/ゲル状混合コーティングは、重合ポリマーがdex−オリゴペプチド−メタクリレートであることを除いて、実施例38と同じ方法で製造することができる。異なる量のdex−Lys−Pro−Leu−Gly−Ile−Ala−メタクリレート、PEG、および水溶液を互いに混合して、表2の実施例49に示した最終組成物にした。多孔質/ゲル状混合コーティングは、加水分解では非分解性であるが、オリゴペプチド架橋の切断によってコーティングを分解する細胞分泌(cell−secreted)酵素、ゼラチナーゼA(MMP2)の存在下で分解を受ける。
【0123】
(実施例50)
微粒子を含む多孔質/ゲル状混合コーティングは、混合物中に架橋剤を分解する酵素分解粒子が含まれたことを除いて、実施例49と同じ方法で製造することができる。
【0124】
異なる量のdex−Lys−Pro−Leu−Gly−Ile−Ala−メタクリレート、PEG、MMP2含有PCL微粒子、および水溶液を互いに混合して、表2の実施例50に示した最終組成物にした。多孔質/ゲル状混合コーティングは、加水分解では非分解性であるが、MMP2の存在下で分解を受ける。コーティングの壁に組み込まれたPCL微粒子は加水分解で分解して酵素を放出し、オリゴペプチド架橋の切断によってコーティングを分解する。
【0125】
(実施例51)
分解性特性を有する多孔質/ゲル状混合コーティングは、重合の間にコーティング中に捕捉された酵素が混合物中に含まれてポリマー主鎖を分解することを除いて、実施例38と同じ方法で製造することができる。異なる量のdex−GMA、PEG、デキストラナーゼ、および水溶液を互いに混合して、表2の実施例48に示した最終組成物にした。多孔質/ゲル状混合コーティングは、加水分解では非分解性であるが、酵素の存在下でポリマー主鎖の分解を受ける。
【0126】
(実施例52)
中空構造体は、金型中に固体コアを挿入した後に製造することができる。2%酢酸水溶液中のキトサン3%溶液を等量のエタノールで希釈し、2倍モル過剰の無水酢酸と混合した。円筒形ガラスコアを含む封止されたガラス金型中に溶液を注入し、それによって金型を完全に充填した後、それを500rpmで回転させた。形成されたキチンはゲル化と離液(syneresis)によって相分離され、円筒形ガラスコアの外部に付着した。次いで、コアを金型から取り外すと、得られたゲル管はコア上に残されるか、あるいはそこから取り外される。この方法の修正においては、キチンゲル管を、コアから取り外す前に空気中で貯蔵することによって乾燥させる。
【0127】
(実施例53)
中空構造体は、金型の内部に生分解性ポリマー溶液を部分的に充填することによって製造することができる。2%酢酸水溶液中のキトサン3%溶液を等量のエタノールで希釈し、2倍モル過剰の無水酢酸と混合した。封止されたガラス金型中に溶液を注入し、それによって金型の約2/3を充填した後、それを10000rpmで30秒間、次いで3000rpmで15分間回転させた。24時間貯蔵した後、形成されたキチンゲル管を金型から取り外した。
【0128】
(実施例54)
中空構造体は、金型の内部を生分解性ポリマー溶液で部分的に充填することによって製造することができる。ジメチルスルホキシド中のポリ(乳酸−コ−グリコール酸)15%溶液を封止されたガラス金型中に注入し、それによって金型の半分を充填し、5000rpmおよび−10℃で溶液が完全に凍結するまで回転した。次いで、金型を開放し、5℃の水中に貯蔵して有機溶媒を取り除いた。次いで形成された管を金型から取り外した。
【0129】
(実施例55)
長手軸に沿って物理的および化学的特性に勾配を付けた壁を含む中空構造体は、円筒形金型を表1の実施例6で使用されたモノマー混合物で部分的に充填し、続いて、表1の実施例8で使用されたモノマー混合物を注入して円筒形金型の残部を充填することによって製造することができる。中空構造体は実施例1に述べた類似の方法で製造することができる。円筒形金型の充填および後続の可変速度攪拌ドリルの回転内の重合は水平面に平行な角度から水平面に90°までの角度で達成することができる。
【0130】
(実施例56)
長手軸に沿って物理的および化学的特性に勾配を付けた壁を含む中空構造体は、市場で入手可能な勾配付け装置、シリンジポンプ、または円筒形金型を1種以上のモノマー/マクロマー混合物で充填するための特別に制御される液体送達装置を用いて、実施例55に説明したようにして製造することができる。
【0131】
本明細書に用いられる用語「含む(comprises)」、「含んで(comprising)」、「含んで(including)」、および「含む(includes)」は、包含的であって範囲が設定されず、排他的ではないものと解釈すべきである。特に、請求項を含んで、本明細書に使用されるとき、用語「含む(comprises)」、「含んで(comprising)」、「含んで(including)」、「含む(includes)」、およびその様々な変形は、特定の特徴、ステップまたは成分が含まれることを意味する。これらの用語は、他の特徴、ステップまたは成分を排除するものと解釈すべきではない。
【0132】
本発明の好ましい実施形態の前述の説明は、本発明の原理を説明するために示したものであり、示した特定の実施形態に制限するものではない。本発明の範囲は、以下の請求項およびその等価のものの範囲内に包含される全ての実施形態によって定義されることを意図している。
【表1】
【表2】
【0133】
【0134】
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】図1aは、本発明による管の製造に用いられる円筒形金型の断面である。 図1bは、円筒形金型の代替の実施形態の断面である。 図1cは、円筒形金型の他の代替の実施形態の断面である。 図1dは、円筒形金型の他の代替の実施形態の断面である。
【図2】図2aは、金型の内部表面の長さに沿って表面形態を有する円筒形金型の実施形態の断面である。 図2bは、金型の内部表面の長さに沿って表面形態を有する円筒形金型の代替の実施形態の断面である。 図2cは、金型の内部表面の長さに沿って表面形態を有する円筒形金型の他の代替の実施形態の断面である。 図2dは、金型の内部表面の長さに沿って表面形態を有する円筒形金型の他の代替の実施形態の断面である。
【図3】図3a〜3cは、円筒形金型に液体を充填するステップを示す図である。 図3aは、穿刺針(D)を用いて金型から空気を流出させながら、下部注入口に貫通している針(C)を経由して溶液(E)を注射器に注入するステップを示す図である。 図3bは、金型を液体溶液で充填し、空気は溶液が金型を満たすと共に針(D)から出る、円筒形金型に液体を充填するステップを示す図である。 図3cは、金型が完全に溶液で充填され、視認できる空気が全て取り除かれる、円筒形金型に液体を充填するステップを示す図である。
【図4】図4aは、充填された金型(A)がドリルチャック(F)に挿入され、金型の回転が開始される、円筒形金型を回転する方法を示す図である。 図4bは、充填された金型(A)が旋盤(G)の2個の端部に取り付けられ、金型の回転が開始される、円筒形金型を回転する他の方法を示す図である。 図4cは、充填された金型(A)がドリルチャック(F)中に配置するようにアダプター(H)に挿入され、金型の回転が開始され、Oリング(I)が金型(A)の位置をアダプター(H)内部に保持する、円筒形金型を回転する他の方法を示す図である。
【図5】図5aは、適切な速度で軸の周りを回転させて、最終的に分離するである相を遠心にかける、液体混合物(E)で充填された金型(A)を示す俯瞰図である。 図5bは、高密度の相(J)が金型の周辺に遠心され、そこで金型(K)の内部表面の形状を採る、回転中に相分離を始める図5aの混合物(E)を示す図である。
【図6】HEMA1%、水99%、APS0.01%、SMBS0.01%の混合物処方、4000rpm(表1にも実施例1として記載されている)で製造された、ガラス金型の内部のゲル状コーティングを示す環境制御型走査電子顕微鏡(ESEM)写真である。
【図7】図7aは、HEMA1.9%、PEGMA0.1%、水98%、APS0.02%、SMBS0.02%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例2として記載されている)で製造された、ガラス金型の内部に塗布された多孔質コーティングの外部表面を示す走査電子顕微鏡(SEM)写真である。 図7bは、HEMA1.9%、PEGMA0.1%、水98%、APS0.02%、SMBS0.02%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例2として記載されている)で製造された、ガラス金型の内部に塗布された多孔質コーティングの内部表面を示す図である。
【図8】図8aは、液体混合物注入前の、図5aの金型内の多孔質栓(L)を示しており、相分離およびゲル化の後、多孔質材料の外部表面が内部の多孔質に何ら影響を与えずに相分離した混合物でコーティングされることを示す図である。 図8bは、HEMA7%、水93%、APS0.05%、SMBS0.04%の混合物処方、4000rpm(表1にも実施例3として記載されている)で製造された、相分離の前に図8aの金型内に含まれる多孔質ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(lactic−co−glycolic acid)[75:25]材料に塗布されたコーティングを示すSEM顕微鏡写真である。
【図9】図9aは、HEMA15.75%、MMA2.25%、水82%、EDMA0.02%、APS0.08%、SMBS0.06%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例4として記載されている)で製造された、細胞侵襲性多孔質管の壁の断面を示すSEM顕微鏡写真である。 図9bは、HEMA20%、水80%、EDMA0.02%、APS0.1%、TEMED0.04%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例5として記載されている)で製造された、細胞侵襲性多孔質管の壁の断面を示すESEM顕微鏡写真である。
【図10】図10aは、HEMA20%、水80%、EDMA0.02%、APS0.1%、SMBS0.06%の混合物処方、10,000rpm(表1にも実施例6として記載されている)で製造された、主としてゲル状管の壁の断面を示すESEM顕微鏡写真である。 図10bは、HEMA23.25%、MMA1.75%、水75%、EDMA0.025%、APS0.125%、SMBS0.1%の混合物処方、2500rpm(表1にも実施例7として記載されている)で製造された、主としてゲル状管の壁の断面を示すESEM顕微鏡写真である。
【図11】図11aは、HEMA28.3%、水58.3%、MMA5.3%、エチレングリコール8.3%、APS0.125%、SMBS0.1%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例8として記載されている)で製造された、多孔質/ゲル状混合管の壁の断面を示すSEM顕微鏡写真である。 図11bは、HEMA27%、MMA3%、水70%、APS0.1%、SMBS0.075%の混合物処方、4000rpm(表1にも実施例9として記載されている)で製造された、多孔質/ゲル状混合管の壁の断面を示すSEM顕微鏡写真である。
【図12】図12aは、HEMA27%、MMA3%、水70%、APS0.15%、SMBS0.12%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例10として記載されている)でガラス金型中に作られた、放射状孔を有する多孔質/ゲル状混合管の壁の断面を示す光学顕微鏡写真である。 図12bは、HEMA27%、MMA3%、水70%、APS0.15%、SMBS0.12%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例10として記載されている)でガラス金型中に作られた、放射状孔を有する多孔質/ゲル状混合管の壁の断面を示すESEM顕微鏡写真である。 図12cは、HEMA27%、MMA3%、水70%、APS0.15%、SMBS0.12%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例10として記載されている)でガラス金型中に作られた、放射状孔を有する多孔質/ゲル状混合管の外部長手方向を示す光学顕微鏡写真である。 図12dは、HEMA27%、MMA3%、水70%、APS0.15%、SMBS0.12%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例10として記載されている)でシラン処理されたガラス金型中に作られた、放射状孔のない多孔質/ゲル状混合管の外部長手方向を示す光学顕微鏡写真であり、中空構造体は12a〜cと同じ処方で合成されたが、シラン処理ガラス金型中で回転された。
【図13】図13aは、HEMA20%、水80%、APS0.1%、SMBS0.04%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例11として記載されている)で製造された、放射状孔を有する主としてゲル状壁の断面を示すESEM顕微鏡写真である。 図13bは、HEMA2%、水98%、APS0.02%、SMBS0.02%の混合物処方、30rpm(表1にも実施例12として記載されている)で製造された、放射状繊維を有する主として多孔質壁の断面を示すSEM顕微鏡写真である。
【図14】(第1(外部)層はHEMA1.8%、PEGDMA0.2%、水98%、APS0.002%、SMBS0.002%の混合物処方、2700rpm、第2(内部)層はHEMA27%、MMA3%、水70%、APS0.12%、SMBS0.09%の混合物処方、4000rpm)(表1にも実施例13として記載されている)で製造された、多層管の壁の断面を示すSEM顕微鏡写真である。
【図15】HEMA20%、水80%、EDMA0.02%、APS0.1%、SMBS0.04%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例14として記載されている)で製造された、平滑な内部表面を有する管の内部管腔を示すESEM顕微鏡写真である。
【図16】図16aは、HEMA28.3%、水58.3%、MMA5.3%、エチレングリコール8.3%、APS0.15%、SMBS0.12%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例15として記載されている)で製造された、粗い内部表面を有する管の内部管腔を示すSEM顕微鏡写真である。 図16bは、図16aに示した管の、金型/ポリマー界面に近い壁の横方向断面のSEM顕微鏡写真であり、ゲル状/多孔質壁形態および窪み/粗い内部表面を示す。
【図17】図17aは、HEMA27.3%、MMA2.7%、水70%、EDMA0.03%、APS0.12%、SMBS0.09%の処方、4000rpm(表1にも実施例16として記載されている)で製造された、金型/ポリマー界面に近い管の壁の横方向断面のSEM顕微鏡写真であり、ゲル状/多孔質壁形態および内部表面上の独特な細胞状表面パターンを示す。 図17bは、図17aに示した管の内部表面上の細胞状表面パターンを示すSEM顕微鏡写真である。
【図18】HEMA22.5%、MMA2.5%、水75%、APS0.125%、SMBS0.1%の混合物処方、4000rpm(表1にも実施例17として記載されている)で製造された、非常に小さな直径の微小管を示すSEM顕微鏡写真であり、内径450μmの小さな直径の毛管中に作られた。
【図19】HEMA23.25%、MMA1.75%、水75%、APS0.125%、SMBS0.1%の混合物処方、2500rpm(表1にも実施例17として記載されている)で製造された、不均一な形状の構造体を示す光学顕微鏡写真であり、金型サイズは均一な内部直径をもたない。
【図20】本発明による管を製造するために用いられるその長手軸ではない軸の周りに回転するように、円筒形金型を収容する保持装置を示す図である。
【図21】金型が保持装置に挿入されたとき、金型が回転装置の回転軸に平行な回転軸を有するように、重力の中心が回転軸上にない保持装置を示す図である。
【図22】ポリカプロラクトン微粒子1%、HEMA19.77%、EDMA0.02%、水79.04%、APS0.1%、SMBS0.04%の混合物処方、2500rpm(表2にも実施例25として記載されている)のコーティングの外部管腔中に配置された分解性微粒子を示すSEM顕微鏡写真であり、微粒子はモノマー配合物に加えられた。
【図23】ガラス繊維2%、HEMA28.05%、MMA4.95%、水67%、APS0.165%、SMBS0.132%の混合物処方、2500rpm(表2にも実施例29として記載されている)のコーティングの外部管腔中に配置されたガラス繊維を示すSEM顕微鏡写真であり、ガラス繊維はモノマー配合物に加えられた。
【図24】図24aは、(第1(外部)層はHEMA23%、MMA2%、水75%、APS0.125%、SMBS0.1%の混合物処方、6000rpm、第2(内部)層はHEMA2%、水98%、ポリカプロラクトン微粒子1%、APS0.1%、SMBS0.04%の混合物処方、6000rpm)(表2にも実施例30として記載されている)で製造された、管の内部管腔近くに配置された分解性微粒子を含む多層管の壁の断面を示すSEM顕微鏡写真であり、微粒子はモノマー配合物に加えられた。 図24bは、内部表面にコーティングされた微粒子を示すSEM顕微鏡写真である。
【図25】図25(a)は、非対称的な断面を有する金型の代替の実施形態の端部を示す図である。 図25(b)は、図25(a)の金型の線BBに沿って切り取った断面である。 図25(c)は、図25(a)の金型の線AAに沿って切り取った断面である。
【図26】HEMA25%、水72.5%、MMA2.5%、APS0.1%、SMBS0.075%の混合物処方、4000rpm(表2にも実施例32として記載されている)で製造された、管の横方向断面を示すSEM顕微鏡写真であり、モノマー溶液は金型に導入する前に相分離させた。
【図27】HEMA21.3%、水74.4%、MMA2.1%、APS0.12%、SMBS0.1%の混合物処方、4000rpm(表2にも実施例33として記載されている)で製造された、管の横方向断面を示すSEM顕微鏡写真であり、モノマー溶液は金型中で回転前に相分離させた。
【図28】HEMA22.5%、水75%、MMA2.5%、APS0.2%、SMBS0.15%の混合物処方、6000rpm(表2にも実施例34として記載されている)で製造された、管の長手方向を示すSEM顕微鏡写真であり、管は金型の内部に配置したステントで形成され、これもコーティングであると考えることができる。
【図29】HEMA28.05%、水67%、MMA4.95%、APS0.165%、SMBS0.132%の混合物処方、2500rpm(表2にも実施例35として記載されている)で製造された、管の長手方向を示すSEM顕微鏡写真であり、管は金型の内部に配置したコイル状マンガンワイアで形成した。
【図30】図30aは、HEMA28.05%、MMA4.95%、水67%、APS0.165%、SMBS0.162%の混合物処方、2500rpm(表2にも実施例36として記載されている)で、洗浄したガラス金型中に製造された、多孔質/ゲル状混合管の断面を示すSEM顕微鏡写真である。 図30bは、HEMA28.05%、MMA4.95%、水67%、APS0.165%、SMBS0.162%の混合物処方、2500rpm(表2にも実施例36として記載されている)で金型中に製造された、多孔質/ゲル状混合管の断面を示すSEM顕微鏡写真であり、中空構造体は図30aと同じ処方で合成したが、2−メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシランで修飾したガラス金型表面中で回転した。 図30cは、HEMA28.05%、MMA4.95%、水67%、APS0.165%、SMBS0.162%の混合物処方、2500rpm(表2にも実施例36として記載されている)で金型中に製造された、多孔質/ゲル状混合管の断面を示すSEM顕微鏡写真であり、中空構造体は図30aと同じ処方で合成したが、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランで修飾したガラス金型表面中で回転した。
【図31】dex−GMA10%、40,000g/モル、置換の程度10%、PEG10%、10,000g/モル、水80%、APS0.14%、SMBS0.018%、6000rpm(表1にも実施例38として記載されている)で製造された、多孔質/ゲル状混合管の壁の断面を示すSEM顕微鏡写真である。
【図32】dex−GMA10%、40,000g/モル、置換の程度10%、PEG20%、10,000g/モル、水70%、APS0.14%、SMBS0.018%、6000rpm(表1にも実施例39として記載されている)で製造された、多孔質/ゲル状混合管の壁の断面を示すSEM顕微鏡写真である。
【図33】dex−GMA20%、40,000g/モル、置換の程度10%、PEG10%、10,000g/モル、水70%、APS0.28%、SMBS0.035%、6000rpm(表1にも実施例40として記載されている)で製造された、多孔質/ゲル状混合管の壁の断面を示すSEM顕微鏡写真である。
【図34】dex−GMA20%、6,000g/モル、置換の程度10%、PEG10%、10,000g/モル、水70%、APS0.28%、SMBS0.035%、6000rpm(表1にも実施例42として記載されている)で製造された、多孔質/ゲル状混合管の壁の断面を示すSEM顕微鏡写真である。
【図35】dex−GMA30%、6,000g/モル、置換の程度10%、PEG10%、10,000g/モル、水60%、APS0.42%、SMBS0.053%、6000rpm(表1にも実施例44として記載されている)で製造された、多孔質/ゲル状混合管の壁の断面を示すSEM顕微鏡写真である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体、詳細には構造体の壁、内部および外部表面に複雑で独特の形態を備えるポリマー管状構造体およびコーティングを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2003年2月13日出願の米国実用特許出願第10/365,532号の一部継続出願であり、米国実用特許出願第10/365,532号は、2002年7月11日出願の米国実用特許出願第10/169,948号の一部継続出願であり、米国実用特許出願第10/169,948号は、英語にて発行された2001年5月11日出願のPCT/CA01/00680の恩典を主張する国内段階出願であり、PCT/CA01/00680はさらに、2000年5月12日に出願した米国特許仮出願第60/203,910号の優先権を主張するものである。
【0003】
管状構造体およびコーティングは、多くの技術によって調製されてきており、その各々は各用途で制約がある。生物医学用途では、制約は限られたサイズと形状の構造体を調製するために多くの材料が必要なことであり、これは経費がかかることが実証されている。中空繊維膜(HFM)としても知られる多孔質ポリマー管では、数百ミクロン程度の厚さの壁を備える管が調製される。中でも、浸漬コーティングであれ、紡糸(spinning)であれ、または遠心鋳造によるものであれ、薄い壁を備える同心の長いHMFを調製する適切な方法はない。詳細に説明するように、本発明は、広範囲の壁と表面形態、寸法および形状を備えるHFM、コーティングまたは任意の中空構造体を調製する方法を含む。それらの壁の形態は、類似の機械的特性を維持しながら、かなり異なる輸送特性を備えるHFMの製造を可能にする。
【0004】
HFMは通常、環状金型(または紡糸口金)を通す転相によって調製され、溶媒/非溶媒系は、壁構造体の形態など得られる特性の多くを制御する。寸法は、紡糸口金によって制御され、同心度を微調整しなければならない。紡糸技術は市場で実証された記録を有するが、多量の材料を必要とし、再現性のあるHFMを調製するには或る量の技術が必要である。
【0005】
遠心鋳造は、管状および非同心両方の広範囲の構造体を作製するために用いられる方法である(米国特許第5,266,325号、第5,292,515号)。管形状を製造するには、円筒状金型にモノマー、ポリマー溶融物、またはモノマー溶液を部分的に充填し、金型の内部に空気を存在させ、遠心動作の下で金型の表面を被覆する。次いで金型の外側部分に回転駆動された材料は温度変化(冷却)、重合または溶媒の蒸発を用いて所定の位置に保持される。この方法では、回転前の金型内部に2つの相(気体と液体)が存在し、管形成に相分離は必要ではない。壁の形態は重合後に滲出するポロゲン(porogen)(塩、エチレングリコール等)の添加によってのみ達成される。気体は金型中で管(棒とは対照的に)を形成するために必要であるので、ミクロンスケールの小さな内径を有する小径管を得ることはできない。金型中の液体と気体の間の表面張力は、数十センチメートル長の管の内径の小型化を妨げる。
【0006】
Castro等の米国特許第3,870,775号は、エマルジョンとして水性希釈剤、ポリエステルをスチレンに溶解した溶液、および繊維質材料を用意し、金型に前記エマルジョンを充填し、ポリエステルが金型の内部表面に硬化するように溶媒と希釈剤からポリエステルと繊維質材料を分離させながら、金型を回転することを含む、管状製品の作製方法を教示する。
【0007】
Fried等の米国特許第3,870,775号は、真空を使用して、成形された製品から、溶液中に溶解した空気などの全ての空気を除去することを開示している。Friedによって開示された方法は、溶解した空気を真空によって除去しなければならないことを教示する。
【0008】
浸漬コーティングでは、管はマンドレルの周囲に形成され、続いてポリマー溶液と非溶媒系に浸漬され、それによって転相方法によってマンドレルをポリマーで被覆する。あるいは、マンドレルをポリマー溶液中に浸漬し、残った溶媒を蒸発させてもよい。これらの方法では、管の長さに沿った管壁の均一性は十分制御されない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、或るサイズ領域内で、同心性を有し、前述の方法では現在達成不可能な多層化能力を備えて管を製造することは非常に有利なことである。さらに、或るサイズ領域で、同心性を有し、前述の方法で現在不可能な多層化を備えて製造された複合構造体を有することは望ましい。例えば、複合構造体は、柔らかい薄織物の弾性率を柔らかい(低弾性率)材料に適合させることができる一方で、装置の有用性にとって重要な強度と開放性(patency)を提供する設計を可能にする。
【0010】
現在の被覆技術はコーティングの均一性、コーティングの厚さ、および多孔質材料の被覆に関して限界がある。例えば、浸漬コーティングは不均一なコーティングを与え、コーティングは多孔質材料に浸透する。噴霧コーティングは、本質的に各孔が被覆された順応性コーティングが得られる。
【0011】
様々な生理的用途または他の用途に用いることができ、広範囲の材料を用いて製造することができ、生物学的材料の複合材を含むことのできる管状または非管状構造体の製造方法を提供することは望ましい。
【0012】
本発明の目的は、ポリマーおよび/または合成および天然ポリマーの組み合わせ(有機および無機の両方)、セラミック、金属および生物学的細胞、組織、マトリックス、タンパク質を、中でもワイア、繊維、粒子を含む様々な形状で含む構造体、好ましくは管状構造体とコーティングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、中でもワイア、繊維、粒子を含む様々な形状の、1種または合成と天然ポリマーの組み合わせ(有機および無機の両方)、セラミック、金属および生物学的細胞、組織、マトリックス、タンパク質で、複合構造体を製造することを可能にする。
【0014】
本発明の一態様において、
(a)金型の内部に、相分離因子によって少なくとも2つの相に相分離することのできる少なくとも2つの成分を含む混合物を、そこから実質上全ての視認可能な気泡が取り除かれるように充填するステップと、
(b)前記混合物を含む前記金型を、前記相のうちの少なくとも1つの相が回転下で金型の内部表面上に付着するように有効な回転速度で回転させるステップと、
(c)金型の内部表面上に付着した前記少なくとも1つの相を安定化することによって製品を形成するステップとを含む、製品の製造方法が提供される。
【0015】
本発明の他の態様において、
金型の内部に、相分離因子によって少なくとも2つの相に相分離することのできる少なくとも2つの成分を含む混合物を、そこから実質上全ての視認可能な気泡が取り除かれるように充填するステップと、
前記混合物を含む前記金型を、前記相のうちの少なくとも1つの相が回転下で金型の内部表面に付着するように有効な回転速度で回転させるステップと、
前記金型の内部表面に付着した前記少なくとも1つの相を安定化することによって製品を形成するステップとを含む方法によって製造された製品が提供される。
【0016】
この方法によって形成された製品は金型から取り外すこと、または、代わりに金型の中に留めることができ、製品と金型は様々な用途に用いられる。製品はポリマー材料とすることができ、その場合混合物はモノマーまたはポリマーのいずれか、または両方を含む。
【0017】
製品は、多孔質構造体、ゲル構造体、または多孔質/ゲル構造体の重ね合わせ領域を含む壁形態を有することができる。ポリマー製品は、主としてゲル形態を含む壁形態を有し、表面(periphery)から管腔(lumenal)側へ走る多孔質チャネルを備えていてもよく、その結果、外部壁表面上に斑点が生じている。
【0018】
製品は、数種のポリマー(合成、天然、有機および無機)、ポリマーと金属、ポリマーとセラミック、ポリマーと粒子(無機、細胞、微粒子、ナノ粒子、タンパク質、多糖類、グリコサミノグリカン)、ポリマーと繊維(カーボン、ガラス、ポリマー、生体繊維等)からなる複合構造体であってよく、前記複合構造体の長手軸に沿った勾配など、均一または不均一のいずれかで分布している。
【0019】
ポリマー製品は分解性とすることができ、特定の条件に曝露することで可溶性材料になる。製品は加水分解によって、またはポリマー製品内に閉じ込められていてもよい非特異性(例えばフリーラジカル)または特異性の分子、例えば酵素などによって分解性とすることができる。ポリマー製品は架橋部またはポリマー主鎖の切断によって分解することができる。
【0020】
ポリマー製品は、多層製品を製造するためにステップ(a)、(b)および(c)を少なくとも1回繰り返すことによって製造された多層製品とすることができる。ポリマー製品は、1つまたは複数のこれらのステップ内に粒子を含むことができ、その位置は前記粒子の密度に影響を受ける。これらの粒子は治療薬剤の供給源とすることができ、無機または天然の有機物とすることができ、分解性または非分解性とすることができる。これらの粒子は生体または細胞などの生体の構成要素とすることができる。ポリマー製品は、酵素、薬剤、治療薬、細胞、細胞産物、遺伝子、ウイルスベクター、タンパク質、ペプチド、ホルモン、炭水化物、成長因子または金属の送達用貯蔵器として用いることができる。
【0021】
ポリマー製品は予め選択された構成要素を含む微粒子を含むことができ、製品は製品の壁構造体内に均一にまたは勾配をもって分布している前記微粒子を含む。
【0022】
ポリマー製品は、前記製品の製造の前に金型中に挿入された、ワイア、ステント、またはメッシュなどの予め定めた構造体を含むことができる。ポリマー製品は予め定めた構造体を被覆し、治療薬剤の放出または前記構造体の表面摩擦の低減によって、前記構造体の設計用途を高めることができる。
【0023】
ポリマー製品は他の管状構造体の内部壁上のコーティングとすることができる。
【0024】
以下は、本発明による管またはコーティングの製造方法を例示する説明であり、添付の図面が参照される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
この本発明の新規な方法においてコーティングおよび管状構造体を生成する力は、金型の回転に伴う慣性力である。金型は少なくとも2種の液相成分を含む混合物(最終製品を製造するために相分離される)で充填され、それによって金型内部の視認可能な気泡(例えば空気など)が実質上すべて除去される。次いで、金型を例えばドリルチャックまたは旋盤などの回転装置に挿入することによって、予め定めた或る速度で回転させる。金型の内部を液体混合物で完全に充填するプロセスは全ての視認される気泡を金型から除去することを保証するためである。しかし、小さな、または少量の溶解した気体は液体混合物中にまだ存在することが理解されるであろう。ある種の構造体の製造において、気体は相分離方法で或る目的の役割を果たす反応性ガスとすることができる点で、これらの少量の気体の存在は望ましいことである。
【0026】
相分離プロセスは、混合物の製造後直ちに開始する可能性があり、金型の回転中分離は継続され、これは相分離が混合物の一部であるときの例である。あるいは、相分離プロセスは、望むならば、混合物を相分離因子に曝露することによって混合物を形成した後に開始することができる。相分離が回転の前に完了し、その後回転は単に1相を金型の内部表面に移動させるためだけに機能する場合もあり、または金型が回転している間、相分離が継続する場合もある。
【0027】
金型の回転によって1相が金型の内部表面へ送られて金型の内部表面の形状を採り、次いで製品を製造するために安定化される。詳細には、この分離された相は金型の表面で安定化されなければならず、一般に安定化の方法は分離された相の材料の性質に依存するであろう。金型の内部表面へ移動される相は必ずしも表面に接着せず、特に製品が安定化された後に金型から取り外される場合、実際に接着は望ましくないことが理解されるであろう。このため、この分離される相が典型的に接着層を形成し易ければ、優先的に接着を防止するために金型の内部表面を処理することが望ましい場合がある。金型を製造する材料は、分離される相の材料に応じて接着を最小にするように選択することができる。これは、例えば、製品が安定化の後に金型から取り外されるとき、および/または他の物体が金型中に挿入され、その上に相が形成され安定化されるときである。あるいは、方法の意図するところが、金型の内部表面で製品を安定化させ、金型から製品を取り外す代わりにその両方を使用することであれば、金型の内部表面への製品の接着性を高めることが望ましく、これは混合物自体に表面修飾の働きをする添加剤を加えることによって、または付着の前に金型の内部表面を修飾することによって達成することができる。この場合、その上に被覆された製品を備える金型は、特別の用途に直ちに用いられる。
【0028】
製品がポリマーであるとき、溶液の成分は、モノマー、マクロマーもしくはポリマー、またはこれらの成分の2種または3種の組み合わせを含むことができる。相分離プロセスは、ポリマー鎖長の変化によって誘発される溶解性の変化、温度変化、新しく形成された化学反応物、pHの変化、光への曝露(UV、可視光、IR、レーザ)、非混和性液体の導入、水性溶液中のポリマー−ポリマー間の非混和性、電場または磁場からもたらされる。相分離された相の中のより高い密度の1相が、金型の内部表面の形状を採るその特別な相になる。相分離プロセスが液体成分の混合または金型を混合物で充填したときに始まる場合があり、相分離プロセスが金型の回転の間継続する場合があり、または金型の回転の前に完了する場合があることが理解されるであろう。
【0029】
分離された相のゲル化は、形成された製品の形態を固定または安定化するのに用いることができ、溶媒相は金型の中心に留まる。ある種の材料では、相分離され付着した相のゲル化は、分離された相中(付着した相はモノマーを含む)での重合の継続、金型の冷却または加熱、金型中の化学反応生成物の形成、相分離された混合物のpHの変化、および或る周波数または光の周波数で相分離された混合物を照射することを含む多数の方法を用いて達成することができるが制限されない。回転速度、処方化学物質、表面の化学的性質および金型の寸法を制御することによって、得られる製品の形態、機械的および多孔質特性を操作することができる。
【0030】
より密度の高い相を安定化する他の方法は、重合(そのゲル化は一実施例に過ぎないが)、温度の変化(より高密度の相の組成物に応じて上昇または降下のいずれか)、光、pHの変化、金型中の化学生成物の形成、カチオンおよび/またはアニオンの濃度の変化、電場および磁場をより広範囲に含むことができることが理解されるであろう。
【0031】
特別誂えの使い捨て金型中で合成した、本発明を用いて作られた中空構造体は、図1a〜4cに示されている。図1aを参照すれば、内径(ID)0.01〜100mmのガラス配管Aとすることのできる金型は、数十センチメートル程度の所望の長さに切断された。現在ゴムで作られたセプタムBをガラス配管の各端部に滑らせて注入口として働かせる。図3a〜3cを参照すれば、配管Aは上部注入口を通して押し込まれた針Dを用いて充填され、液体注入の間に気体の排出を可能にする。セプタムBを通る針Cを経由して所望の混合物を金型の下方端部に注入し、金型中の視認可能な気体を全て排気する。針D続いてCを引き抜くことによって、封止され液体で充填された金型が得られる。長さ方向に同心で均一な中空構造体のために、封止された金型を、アルコール水準器を用いて水平に装着されたドリルのチャックに配置した。
【0032】
図1b、1c、1dは、異なった形状の管を製造するために使用することのできる、異なった形状の金型の代替の実施形態を示す。例えば、図1dは金型の長さ方向に複数の異なる直径を有する金型を示しており、同形状の管を製造するために使用される。
【0033】
図2aは内部表面に矩形のフィンなどの内部表面形態を含む円筒形金型を示し、管の外部壁上に矩形の窪みを有する管を製造するために使用される。図2bは内部表面に凸の球状突起などの内部表面形態を含む円筒形金型を示し、管の外部壁上に凹の球状窪みを有する管を製造するために使用される。図2cは内部表面に尖った窪みなどの内部表面形態を含む円筒形金型を示し、管の外部壁上に窪みを有する管を製造するために使用される。図2dは内部表面に凹の球状突起などの内部表面形態を含む円筒形金型を示し、得られる管の壁中にこれらの形態が埋め込まれた管を製造するために使用される。図25a、b、cは、一方の側で波形であり、他の側で平滑であり、構造体の長手方向に沿って球状窪みを含む非同心の中空構造体になる金型60を示す。これらの全ての実施形態において、表面形態は対称的または非対称的に整列させることができ、異なる表面形態を任意の組み合わせで用いることができる。
【0034】
金型60の内部表面は、中空構造体の壁の形態に影響を与える物理的または化学的表面処理を用いて修飾することができる。例えば、分離された相は本質的に液体様であり得るので、それをビーズ化して内部表面に液滴を形成し、それによって壁の形態に影響を与えることができる。同様に、望ましい表面処理によって、分離した相を内部表面全体に広げることが可能になり、壁の形態に影響を与える。同様に、表面処理によって壁形態のゲル状材料に対する多孔質の割合を制御することができる。
【0035】
図4a、4b、4cは、充填された金型(A)を回転させる様々な図を示す。図4aにおいて、金型Aはドリルチャック(F)に挿入され、金型の回転が開始される。図4bにおいて、充填された金型(A)は旋盤(G)の2個の端部に取り付けられ、金型の回転が開始される。図4cにおいて、充填された金型(A)はアダプター(H)に挿入してドリルチャック(F)中に配置することができ、金型の回転が開始される。Oリング(I)はアダプター(H)の内部に金型(A)の位置を保つ。
【0036】
図5aおよび5bは金型の回転中の相分離プロセスを示す。図5aにおいて、混合物(E)で充填された金型(A)を、最終的に分離される相が遠心分離されるのに適切な速度で軸の周りを回転させる。図5bは回転中に相分離を始める混合物を示す。高密度の相(J)は金型の表面へ遠心され、そこでそれは金型(K)の形状を採る。
【0037】
当業者であれば、本方法が円筒形金型、またはそれから管を製造することに制限されないことを理解するであろう。或る軸の周りに回転して遠心力を用いることができる限り、金型として任意の中空構造体を用いることができる。
【0038】
分離された相を含む金型の回転で、より高密度の相が金型の内部表面へ押し付けられる。金型が静止または回転中、相分離は金型中に液体−液体または粘弾性的な固体−固体界面のいずれかをもたらす。相分離は或る範囲の様々な技術および環境変化を用いて誘発させることができる。モノマー溶液への伝播ラジカルの添加は、温度、pHの変化、金型を光へ曝露すること、非混和性液体の導入、電場および磁場と同様に、相分離を誘発させることができる。
【0039】
相の密度が異なる場合、1つまたは複数の相が表面へ押し付けられる。次いで、相分離した粒子は共有または物理的結合によって互いにゲル化し、分離した相の間に三次元網目を形成する。粒子のゲル化は、相分離を開始した後、本発明の方法内に有限の時間で開始することができる。
【0040】
この技術を用いて、多孔質材料はその上に塗布された外部コーティングを有することができる。混合物を金型中に注入する前に、多孔質材料の栓が金型の中へ挿入される(図8a)。金型への多孔質構造体の挿入の後、混合物が金型中へ注入され、所望の速度で回転される。相分離した相は挿入された栓の孔を経由して遠心され、多孔質栓の外部表面上に構造体を形成し、したがって内部孔を遮蔽することなく材料を封止する。また、多孔質材料も中空構造体とすることができ、ポリマー材料は以下に論じる中空構造体(図28)を被覆する。
【0041】
他の実施形態において、金型中に構造体を挿入し、相分離因子によって少なくとも2つの相に相分離することのできる成分を少なくとも2つの成分を含む溶液を金型の残る内部に充填することによって中空構造体を製造することができる。前記金型の回転下で、少なくとも1つの相がコアの表面に付着し、コアの表面に付着した前記相を安定化することによって前記製品が形成される。この方法を用いることによって、挿入されたコア構造体の外部寸法で画定される内部寸法を有する中空構造体を製造することができる。
【0042】
本発明の好ましい実施形態において、混合物は少なくとも2種またはそれ以上の相を含み、1つの相はモノマー、マクロマー、またはポリマーであり、他は溶媒である。
【0043】
開始すべきモノマーを含む混合物に対する開始剤は、フリーラジカル開始剤、熱またはUV開始剤およびレドックス開始剤またはイオン開始剤とすることができる。開始剤の例は、過硫酸アンモニウムまたは過硫酸カリウムとメタ重亜硫酸ナトリウム(sodium metabisulfite)の組み合わせ、またはテトラメチレンジアミンまたはアスコルビン酸、アゾニトリルおよびその誘導体、アルキルペルオキシドまたはその誘導体、アシルペルオキシドおよびその誘導体、ヒドロペルオキシドおよびその誘導体、ケトンペルオキシドおよびその誘導体、パーエステルおよびその誘導体、ペルオキシカーボネート(peroxy carbonates)およびその誘導体を含む。
【0044】
また、混合物は最終製品の所望の構造体および形成されるポリマー材料に応じて架橋剤を含むこともできる。架橋剤は少なくとも2個の反応性官能基を有する多官能性分子とすることができ、多官能性メタクリレートまたは多官能性アクリレート、多官能性アクリルアミドまたは多官能性メタクリルアミド、またはポリエチレングリコールと、好ましいが制限するものではない、エチレングリコールジメタクリレート(EDMA)、ヘキサメチレンジメタクリレート(HDMA)、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート、1,5−ヘキサジエン−3,4−ジオール(DVG)、2,3−ジヒドロキシブタンジオール1,4−ジメタクリレート(BHDMA)、1,4−ブタンジオールジメタクリレート(BDMA)、1,5−ヘキサジエン(HD)の1種との多官能性スターポリマー、ポリ(エチレンオキシド)のメチレンビスアクリルアミド(MBAm)多官能性スターポリマー、オリゴペプチド架橋剤、多官能性タンパク質、およびその誘導体、またはその組み合わせを含む。
【0045】
混合物に存在することのできるモノマーの例示的、非制限的なリストは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、2−ポリエチレングリコールエチルメタクリレート、エチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、2−クロロエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなどであるがそれだけに限定されない任意のアクリレート、メタクリレート、およびその誘導体;メタクリルアミド、ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−クロロエチルアクリルアミド、2−ニトロブチルアクリルアミドなどであるがそれだけに限定されないアクリルアミドおよびその誘導体;N−ビニルピロリドン、アセナフタレン、N−ビニルアセトアミド、フェニル−アセチレン、アクロレイン、メチルアクロレイン、N−ビニルピリジン、酢酸ビニル、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニルメチルケトン、塩化ビニリデン、スチレンおよびその誘導体、プロペン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化アクリロイル、酢酸アリル、塩化アリル、アリルベンゼン、ブタジエンおよびその誘導体;N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルカルバゾール、シンナメートおよびその誘導体;シトラコンイミドおよびその誘導体、クロトン酸、フタル酸ジアリル、1,1−ジフェニル−エチレン、クロロトリフルオロ−エチレン、ジクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどであるがそれだけに限定されないエチレンおよびその誘導体;フマレートおよびその誘導体;ヘキセンおよびその誘導体;酢酸イソプロペニル、イソプロペニルメチルケトン、イソプロペニルイソシアネートなどであるがそれだけに限定されないイソプレンおよびその誘導体;イタコナートおよびその誘導体;イタコンアミドおよびその誘導体;ジエチルマレアート、2−(アクリロイルオキシ)エチルジエチルホスフェート;ホスホン酸ビニルおよびその誘導体;無水マレイン酸、マレイミド、シリコンポリマーおよびその誘導体;多糖類およびその誘導体、炭水化物およびその誘導体;ペプチドとタンパク質断片およびその誘導体、キトサンおよびその誘導体;アルギネートおよびその誘導体;ならびにその任意の組み合わせを含む。
【0046】
混合物に存在することのできるポリマーの例示的、非制限的なリストは、ポリアクリレート、多糖類およびその誘導体、非制限的に、グリシジルメタクリル化で誘導されたデキストラン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート誘導されたデキストラン、デキストランメタクリレート、デキストランアクリレート、炭水化物およびその誘導体、ポリスルホン、ペプチド配列(sequences)、タンパク質、オリゴペプチド、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エトキシエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)などであるがそれだけに限定されないポリメタクリレート;ポリ酢酸ビニルポリアセタート、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ無水物、非制限的に、ポリ(N−ビニルピロリジノン)などのポリアミノ酸、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)ポリグリコール酸、ポリ乳酸、乳酸とグリコール酸のコポリマー、ならびにポリトリメチレンカーボネート、ポリ(ブタジエン)、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ(クロロプレン)、ネオプレン、ポリ(イソブテン)、ポリ(イソプレン)、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(オキシメチレン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシテレフタロイル)、ポリ[イミノ(1−オキソヘキサメチレン)]、ポリ(イミノアジポイル−イミノヘキサメタレン)、ポリ(イミノヘキサメチレン−イミノセバコイル)、ポリ[イミノ(1−オキソドデカメチレン)]などであるがそれだけに限定されないポリアミド、セルロース、ポリスルホン、ヒアロン酸(hyalonic acid)、ヒアルロン酸ナトリウム、アルギネート、アガロース、キトサン、キチン、およびその混合物を含む。
【0047】
モノマーおよび/またはポリマー用の混合物中の溶媒の非制限的な例示的リストは、水、アルコールおよび好ましくはエチレングリコール、エタノール、アセトン、ポリ(エチレングリコール)、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アルカンおよびその誘導体、アセトニトリル、酢酸、ベンゼン、無水酢酸、酢酸ベンジル、四塩化炭素、クロロベンゼン、n−ブタノール、2−クロロエタノール、クロロホルム、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ジ(エチレングリコール)、ジ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、1,4−ジオキサン、N,N,ジメチルアセトアミド、N,N,ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、ホルムアルデヒド、n−ヘプタン、ヘキサクロロエタン、ヘキサン、イソブタノール、イソプロパノール、メタノール、メチルエチルケトン、ニトロベンゼン、n−オクタン、n−ペンタノール、酢酸プロピル、プロピレングリコール、ピリデン、テトラヒドロフラン、トルエン、トリクロロエチレン、o−キシレンおよびp−キシレン、または前述のモノマーまたは架橋剤を必ずしも制限されずに含む求核性または求電子性分子の任意の1種またはその混合物を含む。
【0048】
溶媒は、モノマーを可溶化するが、モノマーから形成されたポリマーまたは架橋したポリマーを可溶化しないように選択することができる。成分の1種は、溶媒に溶解したポリマーを含むことができる。2つの相混合物はエマルジョンとすることができる。
【0049】
他の実施形態において、水性の2つの相系は2種の水溶性ポリマーから形成され、2種の水溶性ポリマーは溶液中で混和性がなく、これらのポリマーの少なくとも1種は架橋可能であり、架橋可能なポリマー相は他のポリマー相中に乳化される。架橋は、化学的に、フリーラジカルまたはレドックス開始、酸/塩基触媒、熱、求電子性または求核性攻撃、または照射で達成することができる。この後者の架橋の利点は、1ステップで殺菌された中空構造体が得られることである。さらに、ポリマーに結合した疎水性末端部を用いるUV照射および物理的架橋による架橋は可能な技術である。この水性ポリマーの非混和性は多くの水溶性ポリマー(例えば、デキストラン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ゼラチン、溶解性デンプンまたはフィコール)の組み合わせで起きる。ポリマーは溶液中に留まるが、或る濃度を超えると2つの水性相に分離する。乳化の後、分散された相中のポリマーは遠心力の下で架橋して、ヒドロゲル特性を有する管を形成することができる。中空構造体に適したエマルジョン系の例は、非限定的に中でも、グリシジルメタクリル化された誘導デキストラン(dex−GMA)/ポリ(エチレングリコール)(PEG)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−誘導デキストラン(dex−HEMA)/PEG、dex−ラクタート−HEMA/PEG、dex−GMA/Pluronic F68、PEG−ジメタクリレート(PEG−MA2)/MgSO4などの塩を加えた、または加えないデキストラン、PEG−MA2/MgSO4などの曇り点剤、ゼラチン/ポリ(ビニルピロリドン)、ゼラチン/デキストランを含む。
【0050】
他の実施形態において、生分解性モノマーまたはオリゴマーの連鎖または側鎖を有する親水性オリゴマーを含むマクロマーを用いることができ、その生分解性部分は、その自由末端に重合および架橋可能な末端キャップモノマーまたはオリゴマーで終端される。生分解は主鎖または架橋部で起き、非毒性で容易に消化または体から排泄される断片になる。例えば、マクロマーは修飾されたデキストラン−オリゴペプチド−メタクリレートまたはPEG−オリゴペプチド−アクリレートを含み、ペプチド配列は酵素に結合することができ、生分解性部分になる。
【0051】
他の実施形態において、封止された金型を水平面から0〜90°の予め定めた角度で回転させ、その長手方向に沿って寸法の変わるテーパー付き中空構造体を製造することができる。
【0052】
他の実施形態において、その長手方向に沿って寸法の変わるテーパー付き中空構造体は、封止された金型を回転軸から0〜90°の予め定めた角度で保持する、図20a〜dに示したものなどの保持装置を用いて製造することができる。図20a、b、cの保持具は円筒形金型70(図20dに示されている)を保持し、管を製造するためのその長手軸ではない軸の周りを回転する。保持装置(A)はアルミニウムから作られ、回転装置中に保持されたステム(B)を有することが好ましい。回転軸から或る角度(シータ)で保持装置に貫通した孔は金型(C)の挿入を可能にする。金型は2個のゴム製O−リングでその位置に保持され、2個のゴム製セプタム(E)でキャップされる。回転の角度と速度は金型の長手方向に沿って不均一な壁厚さ寸法をもたらす。
【0053】
図21aは重量の中心が回転軸上にない保持装置の図であり、金型は保持装置に挿入されたとき、回転装置の回転軸に平行な回転軸を有する。それらの金型から得られる中空構造体は、図21cに示したように、不均一な壁厚さを有する。代わりに、金型は回転軸上にない重量中心を有することができる(図21b)。これも図21cに類似した中空構造体をもたらす。
【0054】
他の実施形態において、分離された相の粘弾性特性および/または回転速度を制御することによって、細胞侵襲性(cell invasive)中空構造体を形成することができる。分離された相が高い弾性特性を有するならば、それは合体せず、ゲル化の後、相間の多孔質網目は十分大きくて細胞は構造体中へ侵入する。
【0055】
他の実施形態において、長手軸に沿って勾配をもって分布しているいくつかのポリマーを含む壁で円筒形の中空構造体を製造することができ、長手軸に沿って物理的および化学的特性に勾配のある壁を備える中空構造体が得られる。それらの特性は、拡散率、多孔質性、勾配、ピエゾ電導性、粘弾性および細胞侵襲性を含むが制限されない。
【0056】
他の実施形態において、方法を望むだけの回数繰り返すことによって、多層構造体を形成することができる。第1層を形成した後、傾けて溶媒を排出し、他の混合物を金型へ注入することができる。金型を被覆する第1層は次のコーティングの有効な金型になり、第2の形成は第1コーティング中に浸透することができ、ゲル化の後それらを互いに結合する。多層中空構造体は、同様のまたは異なる任意の材料から作られた、必要とする任意の順序で、必要な回数、実施例で説明した管の任意のものまたは全ての種類を用いて製造することができる。層状壁構造体(すなわちゲル状および多孔質)は、複数の配合物と複数回の回転、または1種の配合物/1度の回転で作ることができる。層は、ポリマー、生物ポリマー(コラーゲン、マトリックス分子、グリコサミノグリカンなど)のポリマーブレンド、または任意の種類の生分解性材料を含む複合ポリマー壁をもたらし、ポリマービーズまたは球、コロイド、薬剤、生物細胞、および壁区域に同心的に配置された他の混合物を含むことができる。
【0057】
実施例1と同じ方法であるが、任意の軸に沿って非対称的な金型形状を用いて調製された、様々な形状の構造体を製造することができる。図25a、25b、25cはそれらの金型の例を示し、一方の側で波形であり、他の側で平滑であり、構造体内部に長手方向に沿って球状窪みを含む中空構造体をもたらす。任意の実施例の配合物を使用して、この中空構造体の形状を可変直径の金型中に形成することができる。
【0058】
他の実施形態において、金型の周辺を占めるメッシュ、骨格(scaffold)、ステント、コイルおよび/または繊維などの他の構造体と一緒に複合中空構造体を形成することができるが制限されない。配合物が上述のようにこの金型に加えられ、構造体を被覆する中空構造体からなる複合中空構造体が得られる。以降に論じる実施例34と35はそれらの構造体を説明するもので、図28と29に示される。
【0059】
物理的および化学的の両方で架橋した中空構造体の製造が、分解性および分解性でない両方のポリマー管の製造と同様、この技術を用いて可能である。当業者であれば、本方法で製造された構造体を用いることのできる多くの用途を理解するであろう。これらの管の形態、多孔質および壁厚さを制御する能力によって、構造体が生理的に許容される材料から構成される場合、薬剤送達媒体(vehicle)としての使用が可能になる。また、薬剤も、管に組み込まれている他の材料または管壁自体に組み込むことができる。例えば、管は、薬剤を分散させたヒドロゲルなどの材料で充填することができるが制限されない。あるいは、壁構造体は薬剤または他の成分の貯蔵器として機能することができ、それらは、製品の製造中に薬剤または他の成分を混合物に含ませることによって壁構造体中に直接組み込むことができ、または、薬剤または成分を含む溶液中に製品を浸漬し、次いで製品中に取り込ませる(特に多孔質製品の場合)ことによって、それらを製造の後に組み込むことができる。あるいは、薬剤または他の成分は、薬剤または他の成分を放出するように設計された、微粒子、またはナノ粒子などの他の材料/薬剤貯蔵器中に組み込むことができる。各段階で組み込まれた材料で多層化することによって、薬剤が管壁内の特定の位置に送達された管を作ることができる。図24aと24bは、少量のモノマーを有する第2層配合物中に含まれた微粒子を有する管を示す。薬剤は、均一にまたは勾配を付けて送達することができる。設定を微調整することによって勾配を確立することができる。薬剤は、酵素、タンパク質、ペプチド、遺伝子、ベクター、成長因子、ホルモン、オリゴヌクレオチド、または細胞を含むことができるが制限されない。
【0060】
分子が壁構造体に拡散することの可能な中空構造体を製造することも可能である。また、壁構造体に拡散させ優先的に方向性のある薬剤送達を可能にするために、サイズおよび/または形状に基づいて選択的に分子を拡散することの可能な中空構造体を製造することができる。また、本発明は、例えば、中空構造体が埋め込まれる組織の機械的特性に適合するように、その最終用途に適切な機械的特性を備える中空構造体も提供することができる。
【0061】
本方法を用いて、外部ゲル相と内部多孔質相を有する中空構造体を製造することができる。また、本方法を用いて、多孔質相/ゲル相の重なり合う領域を備える中空構造体を提供することもできる。
【0062】
本方法の大きな利点を用いて、内径10μm〜100cmの様々な寸法の中空構造体を作ることができる。本方法の他の利点は、様々な材料と形状、ならびに他の中空構造体の内部表面上の薄いコーティングを備える複合中空構造体を作るのに用いることができる点である。
【0063】
他の実施形態において、中空構造体は、金型の内部に、生分解性であり、多糖類、ポリペプチド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステルエーテル、ポリエステルウレタン、ポリ無水物、およびその混合物から選択される少なくとも1種のポリマーを含む溶液を部分的に充填し、前記溶液を含む前記金型を回転下で液相が金型の内部表面上に付着するように有効な回転速度で回転し、相分離因子で金型の内部表面に付着した前記液相を安定化して前記製品を形成することによって製造することができる。付着した液相の安定化は、後続の溶媒除去を行って、または行わずにそのゲル化(液−液相分離)によって達成することができる。また、付着した液相の安定化は、その冷凍(固−液相分離)および後続の溶媒除去によって達成することができる。溶媒は、冷凍−乾燥または非溶媒で置き換えることによって除去することができ、それによって多孔質のポリマー構造体が形成される。
【0064】
用途および効用
本方法によって製造された製品は、非制限的に、耳排液管(aural drainage tube)、腹部/胃腸の構造的代替物、大動脈瘤用ステント、食道骨格を含んで、成長因子、抗生物質などの治療薬剤を放出しながら浮腫液体を排液するための先進の外傷用医薬材料(wound dressing)において、様々な用途に用いることができる。管形状の利点を利用する追加の用途は、排液、シャント(shunt)、および送達マトリックスなどの傷の手当てに有用な複合カテーテルを含む。コーティング用途は、ペースメーカのリード、埋め込み可能なセンサのワイアリード、侵襲的心臓病学(interventional cardiology)用のワイアに適用される。
【0065】
さらに詳細には、製品は既存の中空構造体上へのコーティングとすることができる。既存の中空構造体を金型中に挿入して製品で被覆するか、または既存の中空構造体を金型自体として用いる。製品は長手方向に沿って勾配をもった、または均一に分布している治療薬剤、細胞を含むことができる。さらに、治療薬剤は製品の壁の中へ直接組み込むことができ、またはそれらは、それ自体製品の壁中に組み込まれる微小粒子(微粒子)またはナノ粒子(ナノ粒子)中に組み込むことができる。それらの粒子は分解性材料、または非分解性材料とすることができ、細胞は、いくつかの例を挙げれば、非制限的に、嗅覚鞘細胞(olfactory ensheathing cell)、繊維芽細胞、または乏突起神経膠細胞(oligodendrocyte)、ニューロン、幹細胞、幹細胞誘導細胞、嗅覚鞘細胞、シュワン細胞、星状細胞、小神経膠細胞、または乏突起神経膠細胞、内皮細胞、上皮細胞、ケラチン生成細胞、平滑筋細胞、肝細胞、骨髄誘導細胞、造血幹細胞(hematopoetic cell)、神経膠細胞、炎症性細胞、および免疫系細胞を含む、遺伝子的に修飾した細胞または遺伝子的に修飾しない細胞とすることができる。製品にカプセル化された細胞は、治療用途に有用な分子を分泌することができる。
【0066】
製品は、神経誘導チャネル(nerve guidance channel)として用いることができるように生理学的に適合性のある材料から作ってもよい。神経誘導チャネルは、その長手方向に沿って勾配をもった、または均一に分布している細胞侵襲性骨格または治療薬剤、細胞を含むことができる。さらに、治療薬剤は、製品の壁の中、または壁の中に組み込まれた粒子内に存在することができる。それらの粒子は、上に開示した細胞を含む、分解性材料または非分解性材料とすることができる。
【0067】
あるいは、金型自体を神経誘導チャネルとして適した生理学的に適合する材料から作ることができ、製品は金型の内部上面を被覆する。製品は、既存の神経誘導チャネルの内部管腔上のコーティングであることが有効であり、長手方向に勾配をもって、または勾配をもたずに細胞侵入骨格、または薬剤、細胞、を含むことができる。上述のように、神経誘導チャネルは、その長手方向に沿って勾配をもって、または均一に分布している細胞侵襲性骨格、または治療薬剤、上述の細胞を含むことができる。さらに治療薬剤は、製品の壁の中または壁に組み込まれた粒子内に存在することができる。それらの粒子は分解性材料または非分解性材料から作ることができる。
【0068】
製品は、上述の遺伝子修飾した、または遺伝子修飾しない細胞を含むカプセル化した細胞治療用途に使用することができる。製品中にカプセル化された細胞は治療用途に有用な分子を分泌することができる。また、これらの細胞は本発明の方法を用いて製造されたバイオリアクター(bioreactor)に使用することもできる。
【0069】
製品は、心臓冠動脈のバイパス移植、または脳中のものを含んで、腹部大動脈瘤、および血管内(endovascular)移植のための血管移植片として用いることができる。さらに治療薬剤は、製品の壁に単独で埋め込まれていてもよく、または製品の壁中に存在する持続放出薬物送達粒子内に封入されていてもよい。それらの粒子は分解性材料または非分解性材料から作ることができる。
【0070】
製品は、細胞、薬剤等を含むことのできる、代替品または人工卵管として生理学的に適合性のある材料を用いて製造することができる。製品は、緑内障用排液移植片として、または涙腺導管用排液インプラントとして用いることができる。これらの排液インプラントは眼球の眼圧を制御するのに適した直径で製造することができる。さらに、粒子内に存在する、または存在しない治療薬剤は製品の壁中に存在することができる。排液インプラントは、眼球の眼圧を制御する装置の一部として使用することができる。また、製品は尿管または尿道の代替物に用いることができる。
【0071】
また、製品は、細胞産物を製造するためのバイオリアクターまたは腸などの人工組織とすることができる。多層構造体とすることのできる、またはできない製品は、細胞を含み、金型中に留まって、効率的に封止された容器になることができ、細胞増殖、生存能力、および分化のための栄養素が導入され、したがって廃棄物が除去される。製品は金型内の多孔質膜上のコーティングとすることができ、栄養素は製品の両側に曝露させることができる。製品は長手方向に勾配をもった、または勾配をもたない細胞侵襲性骨格、または薬剤、細胞を含むことができる。さらに、粒子内に存在する、または存在しない治療薬剤は、製品の壁に存在することができる。それらの粒子は、所与の細胞のリストを含むが制限されずに、分解性材料、または分解不可能な材料、遺伝子的に修飾した、または遺伝子的に修飾しない細胞とすることができる。バイオリアクターは分解性材料を含むことができるので、予め定めた時間の後、得られるバイオリアクターは完全に生体細胞とそれらの細胞外マトリックスを含み、細胞は腸の代替物として用いることのできる構造体中に組織化されていてもよく、または組織化されていなくてもよい。
【0072】
製品は既存の中空構造体上のコーティングとすることができ、バイオセンサとして用いられる。既存の中空構造体は、金型中に挿入されて製品で被覆されるか、または既存の中空構造体は金型自体である。製品は大きな表面積を有することができ、バイオセンサ用途の信号雑音比を改善する。コーティングはバイオセンサの再現性を改善するために良好に画定された表面化学物質を有することができる。
【実施例】
【0073】
ここで、本発明をいくつかの非制限的な実施例で例示する。最初の実施例は、回転する金型中で合成され(および架橋され)、遠心力によって管になる、2−ヒドロキシエチルメタクリレートポリマーおよびコポリマーに関する。また、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよびそのコポリマーの実施例として与えられるそれらの形態は、液体を充填した回転金型中で相分離を誘発することのできる任意のモノマーまたはポリマー系にも関連する。追加の実施例は微粒子、細胞、粒子、球、コイル、ステント、メッシュを含む架橋したデキストラン管および複合管に関する。
【0074】
(実施例1)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を過剰の水の存在中、架橋剤、好ましいが制限されないエチレンジメタクリレート(HDMA)と一緒に、フリーラジカル開始系および好ましくは過硫酸アンモニウム(APS)/メタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS)レドックス開始系を用いて重合した。表1に詳細を示した成分を有する均一な混合物を、2−ヒドロキシエチルメタクリレートに関する方法について説明した円筒形ガラス金型中に注入した。均一な混合物は関連する量のHEMAと水をガラス瓶に加え、ガラス瓶中で混合することによって作った。表1に示した適切な量の10%APS溶液を加えた後、溶液の混合を繰り返した。適切な量の10%SMBS溶液をこの混合物に加え、さらに30秒間混合した。次いで、均一な混合物を20ゲージの針を用いてLuer−lok注射器中に引き抜いた。針を注射器から取り外し、新しい20ゲージの針と0.8μmフィルターを用いてモノマー混合物を重合金型中に注入した。
【0075】
封止された金型を、アルコール水準器を用いて水平に搭載したRZR−1二重可変速度範囲の攪拌ドリル(Heidolph、ドイツ)のチャック中に配置した。回転速度は表1に示したように2700rpmであった。金型の内部表面上に得られるゲル状コーティングを図6に示しており、厚さ約10±3μmである。図6はガラス金型の内部のゲル状コーティングの環境制御型走査電子顕微鏡(ESEM)写真であり、混合物処方はHEMA1%、水99%、APS0.01%、SMBS0.01%、4000rpmであった。
【0076】
(実施例2)
ゲル状と多孔質形態の両方を備えるコーティングを実施例1と同じ方法で調製した。使用したモノマー混合物はコモノマーとしてポリ(エチレングリコール)メタクリレートも含んでいた。実施例2で用いたモノマー混合物と回転条件を表1に示す。金型の内部表面上に得られる多孔質材料/ゲル状混成コーティングは、図7aと7bに示されており、外部のゲル状コーティング(金型の内部表面に面する表面)は図7a中で前方に面し、内部の多孔質構造体(水に面するもの)は図7b中で前方に面している。コーティングの厚さは、約30±5μmである。図7aと7bの顕微鏡写真はガラス金型からコーティングを取り外した後に撮った。さらに詳細には、図7aは、ガラス金型の内部に塗布した多孔質コーティングの外部表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を示しており、混合物は、HEMA1.9%、PEGMA0.1%、水98%、APS0.02%、SMBS0.02%、2700rpmである。図7bは、ガラス金型の内部に塗布した多孔質コーティングの内部表面を示しており、混合物処方は、HEMA1.9%、PEGMA0.1%、水98%、APS0.02%、SMBS0.02%、2700rpmである。
【0077】
(実施例3)
多孔質材料はこの方法を用いて塗布された外部コーティングを有することができる。ゲル状または多孔質形態のいずれか、またはその両方とすることのできるコーティングを実施例1と類似の方法で調製した。金型中に均一な混合物を注入する前に、多孔質材料の栓を金型中に挿入した(図8a)。多孔質PLGAは前述の技術(Holy等、Biomaterials、20、1177〜1185、1999)を用いて製造されるが、多孔質材料はポリマー、セラミック、金属、複合材、またはその組み合わせを含む任意の材料から作ることができる。金型へ多孔質構造体の挿入の後、実施例3として表1に示されている均一な混合物を金型中に注入し、表1に示した速度で回転させる。金型から取り外した、得られるコーティングされた多孔質材料を図8bに示す。多孔質材料の内部にはコーティングまたは閉塞された孔はなく、視認できるコーティングは外部だけであった。実施例は、前記多孔質材料の形態に影響を及ぼさない、成功裏の多孔質材料の外部コーティングを示している。
【0078】
(実施例4〜5)
多孔質の細胞侵襲性管は、使用されるモノマーがコモノマーとしてメチルメタクリレート(MMA)を含むことを除いて、実施例1と同じ方法で製造することができる。また、実施例5も、開始系中の第2つの成分としてSMBSをTEMEDに置き換える。実施例4〜5に用いたモノマー混合物と回転速度は表1に示されており、両方とも細胞侵襲性の多孔質管が得られる。この特別な場合において、非制限的に、APS/TEMEDレドックス系などのより速い開始系の使用、または均一な混合物中のより高濃度の開始剤は、多孔質構造体を達成するために有利である。図9aと9bは実施例4と5の多孔質壁の形態を示す。形成は、粘弾性的粒子分離に加えて、合体しない突然の相分離に起因する。
【0079】
(実施例6〜7)
半多孔質の非細胞透過性管は、使用されるモノマーがコモノマーとしてメチルメタクリレート(MMA)を含むことができることを除いて、実施例1と同じ方法で製造することができる。実施例6〜7に用いたモノマー混合物と回転速度は表1に示されており、両方とも半透過性の非細胞侵襲性の管が得られる。実施例6において、回転速度は10,000rpmであり、高い回転速度は管壁に対する相分離構造体を緻密にし、壁膜への拡散に影響を及ぼす閉孔性のゲル状壁形態をもたらす(図10a)。
【0080】
実施例7の場合、より遅い相分離は、より低い回転速度で非多孔質のゲル状構造体を得るのに有利であるので、相分離因子としての開始系はより低濃度とすることができる。
【0081】
(実施例8〜9)
多孔質/ゲル状混合管は、使用されるモノマーが相分離に影響を与えるMMA/およびまたはエチレングリコール(EG)を含むことができることを除いて、実施例1と同じ方法で製造することができる。実施例8〜9に用いたモノマー混合物と回転速度は表1に示されており、両方とも1回の重合で多孔質/ゲル状混合管が得られる。図11aに見られる実施例8の断面の二重層形態は、相分離の出発時点で液状相が沈澱し、続いて相分離の終点に向かって粘弾性的に沈澱することによるものである。したがって、EGなどの水以外の共溶媒は、相分離を遅らせ、または加速し、したがって、壁の二重層形態を制御するのに有用である。
【0082】
実施例9については、多孔質/ゲル状管は、より遅い相分離と組み合わせてより速い速度が図11bの形態を誘発できることを除いて、実施例1と同じ方法で製造することができる。
【0083】
(実施例10)
放射状多孔質の多孔質/ゲル状混合管は、より高密度の分離相を硬質金型の内部表面上に液滴としてビーズ化することができるとき、実施例1と同じ方法で製造することができる。分離相の接触角度は、硬質金型の表面修飾によって、または金型内部の材料を変更することによって影響される。したがって、壁の形態は、金型の表面化学物質によって影響される。実施例10で用いるモノマー混合物および回転条件は表1に示されており、分離した相の溶解性に影響を与えるためにメチルメタクリレートまたはエチレングリコールなどの共溶媒を含むことができる。図12aと12bは放射状多孔質断面を有する多孔質/ゲル状管の顕微鏡写真であり、図12cは同じ処方の外部長手方向の形態を示す。図12dの光学顕微鏡写真に示した中空構造体は、実施例10と同じ処方で合成されたが、シラン処理したガラス金型中で形成された。シラン化剤はSigma−Aldrich製のSigmacoteであった。Sigmacote溶液をガラス金型に引き抜き、次いでオーブン中で乾燥して溶媒を蒸発させた。ガラススライド上での接触角度の研究は、水の接触角度が、表面修飾の後、44.7±3°/11.6±1.8°から47±0.3°/44±0.4°へ変化することを示した。次いで、表1の実施例10として示した処方でガラス金型を使用した。中空の繊維膜は、ビタミンB12およびデキストラン10kDについて、42%〜57%の平衡水含有量、22kPa〜400kPaの弾性弾性率、10−7〜10−9cm2s−1の拡散性透過率を有した。管壁は、固有の微小構造体を反映して、大きく異なる透過率を備えながら、類似の機械的強度を得ることができよう。実施例10に説明したビーズ化は良好な機械強度を維持しつつ拡散性の高い中空構造体を可能にする。
【0084】
(実施例11)
放射状の性質の孔を有する多孔質管は、表1に実施例11として示したモノマー処方混合物と回転条件で、実施例1と同じ方法で製造することができる。壁の形態は主としてゲルであり、放射状に貫通するチャネルまたは孔は実施例10のようにビーズ化を必要としない。この形態の例を図13aに示す。
【0085】
(実施例12)
放射状の繊維を有する多孔質管は、表1に実施例12として示したモノマー処方混合物と回転条件で、実施例1と同じ方法で製造することができる。壁の形態は、主として放射状に貫通する繊維を備える空間である。形成された中空構造体の内部管腔は壁の厚さに比べて小さく、この形態の例は図13bに示されている。この実施例において、遅い回転速度で低濃度の沈降の防止が達成された。この驚くべき結果は、特に、類似のモノマー濃度を有するが回転速度が大きく異なる実施例2(図7aと7b)に比べて、壁の形態に対する回転速度の大きな効果を示す。
【0086】
(実施例13)
表1に実施例13として示されている混合物処方を有する多層管の壁の断面の形態。これらの多層管は、実施例1と同じ方法を必要なだけ繰り返して製造することができる。表1の実施例13は形成された第1の外部層(o)と第2の内部に形成された層(i)を参照する。多層中空構造体は、1層を形成し、形成された中空構造体を金型の表面コーティングとして用いて中空構造体の方法を所望の回数繰り返すことによって可能である。多層中空構造体は、実施例に説明した、類似または異なる任意の材料から、必要な任意の順序で、必要な回数で作られた、任意または全ての種類の管を用いて製造することができる。例を図14に示す。
【0087】
(実施例14)
表1に実施例14として示した混合物処方を有する管の内部層の平滑な表面形態は、実施例1と同じ方法で製造することができる。平滑な内部表面を有する管を図15に示す。
【0088】
(実施例15)
表1に実施例15として示した混合物処方を用いて作ることのできる、管の内部層の窪み/粗い表面形態は、実施例1と同じ方法で製造することができる。窪み/粗内部表面を有する管を図16aに示す。ゲル状/多孔質壁形態および窪み/粗内部表面管を示す横方向の断面を図16bに示す。
【0089】
(実施例16)
独特の細胞状表面パターンを有する管の内部管腔の独特な表面形態は、表1に実施例1と同じ方法で製造された実施例16として示した混合物処方を用いて作ることができる。図17aに見えるこれらの表面形態はこの方法を用いて形成される。図17bは、ゲル状/多孔質壁の形態を有する管の内部管腔上のそれらの細胞状表面パターンを示す。
【0090】
(実施例17)
非常に小さな直径の微小管は、金型サイズが非常に小さいことを除いて、実施例1と同じ方法で製造することができる。図18は、内径450μmの小さな直径の毛細管中に、表1に実施例17として示した混合物処方から製造された管である。内径10μm以上の金型を用いてより小さな配管を形成することができる。
【0091】
(実施例18)
様々な形状の構造体は、金型サイズが円筒形でもなく均一な内径ももたないことを除いて、実施例1と同じ方法で製造することができる。図19は、様々な直径の金型中に、表1に実施例18として示した混合物処方から製造された管である。任意の実施例処方を用いてこの形状の中空構造体を形成することができる。
【0092】
(実施例19)
その長手方向に寸法が変化するテーパーの付いた中空構造体は、封止された金型を水平面から0〜90°の予め定めた角度で搭載したドリルのチャック中に配置したことを除いて、実施例1と同じ方法で製造することができる。
【0093】
(実施例20)
長手に沿って可変壁厚さまたは穴を有する中空構造体は、封止された金型が図2a〜dなどの内部表面形態をいくらか有することを除いて、実施例1と同じ方法で製造することができる。任意の実施例の処方を使用してこの中空構造体の形状を形成することができる。
【0094】
(実施例21)
中空構造体は、相分離因子として温度を用いてポリマー溶液の液体−液相分離から製造することができる。ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)を87:13(重量%)のジオキサン/水混合物に60℃で溶解して溶液を形成し、予備加熱したガラス金型中に注入した。封止された金型へ注入して金型から全ての空気を除去した後、それを室温でドリルのチャックに配置し、4000rpmで回転した。金型を室温まで冷却し、液体−液相分離とゲル化を誘発させた。次いで、金型を冷却し、冷凍−乾燥器に置くことによってジオキサン/水混合物を除去した。次いで、形成された管を金型から取り外した。
【0095】
(実施例22)
N−2−(ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)(30容積%)を過剰のアセトン/ジメチルスルホキシド(DMSO)(93:7v/v)の存在下で、好ましいが制限されない、メチレンビスアクリルアミド(1モル%)の架橋剤で、開始系としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を用いて重合した。また、モノマー性糖を重合混合物に加えてもよく、加えなくてもよい。混合物を完全に混合し、実施例1に説明したように、表1に実施例22として示した混合物処方を用いて、円筒形ガラス金型中に注入した。
【0096】
封止された金型をアルコール水準器を用いて水平に搭載した攪拌ドリルのチャックに配置し、50℃で24時間4000rpmで回転した。金型の内部表面に得られる中空構造体は金型から取り外される。
【0097】
(実施例23)
金型をその長手軸ではない軸の周りに回転させることを除いて、実施例1と同じ方法で調製された長手方向に沿って不均一な寸法のコーティング。図20に示した保持装置はアルミニウムから作製し、ドリルのチャック中に固定され、重合金型を或る角度に保持するように設計される。金型は形成された保持装置によって定められるその長手軸ではない軸の周りを回転させることができる。得られるコーティングは、テーパーの付いた、その長手軸に沿って不均一な寸法を有する。任意の実施例処方を使用して中空構造体のこの形状を形成することができる。
【0098】
(実施例24)
不均一な寸法のコーティングを、回転軸上に重量中心のない保持装置中で重合金型を回転させることを除いて、実施例1と同じ方法で調製した。実施例1に示した重合金型を、回転軸から偏心した円筒形のアルミニウム保持装置(図21aまたは21b)中に配置した。次いで、保持装置をドリルのチャックに挿入し、回転を開始した。得られたコーティングは、図21cに示したようにその横方向断面が不均一である。任意の実施例の処方を使用して中空構造体のこの形状を形成することができる。
【0099】
(実施例25)
コーティングの外部管腔に位置する分解性微粒子を有するコーティングは、相分離したモノマー成分よりも密度の高い粒子材料が均一なモノマー混合物に含まれていたことを除いて、実施例1と同じ方法で調製することができる。重合金型を回転させると、高密度の粒子は金型の内部表面に移動する。高密度のポリマー相が金型内でゲル化するとき、コーティングが形成され、図22に横方向の断面が示されている。平均直径20ミクロンのポリカプロラクトン(PCL)微粒子をCao等のBiomaterials、20、329〜339、1999に記載されたようにして製造し、濾過したモノマー混合物に表2に示した量を加えた。溶液の濾過は、微粒子を加えた後は行わなかった。それらの粒子含有管は、この製造方法に資する任意の管用材料を用いて、および、処方混合物に適合性のある任意の生分解性または非生分解性ポリマーから作られた微粒子を用いて作製することができる。
【0100】
(実施例26)
コーティングの内部管腔近くに位置する微粒子を有するコーティングは、溶媒とより高密度相の間の密度を有する粒子状材料がモノマー混合物に含まれていたことを除いて、実施例1と同じ方法で調製することができる。重合金型を回転させると、高密度の粒子は溶媒と高密度ポリマー相の間の界面へ移動する。高密度のポリマー相が金型内でゲル化するとき、コーティングの内部管腔近くに固定された粒子を有するコーティングが形成される。それらの粒子含有管は、この製造方法に実施可能な任意の管用材料を用いて、および、処方混合物に適合性のある任意の生分解性または非生分解性ポリマーから作られた微粒子を用いて作製することができる。
【0101】
(実施例27)
回転軸の長手方向に沿って勾配の付いた分解性微粒子を有するコーティングは、相分離したモノマー成分よりも密度の高い粒子材料が均一なモノマー混合物に含まれ、封止された金型が水平面から0〜90°の予め定めた角度で搭載されたドリルチャックに配置されたことを除いて、実施例1と同じ方法で調製することができる。微粒子は重量のため沈降し、金型を回転すると、粒子は金型の内部表面へ移動し、次いで高密度ポリマー相のゲル化によってその位置に固定される。平均直径20ミクロンのポリカプロラクトン(PCL)微粒子をCao等のBiomaterials、20、329〜339、1999に記載されたようにして製造し、濾過したモノマー混合物に表2に示した量を加えた。溶液の濾過は、微粒子を加えた後は行わなかった。それらの粒子含有管は、この製造方法に実施可能な任意の管用材料を用いて、および、処方混合物に適合性のある任意の生分解性または非生分解性ポリマーから作られた微粒子を用いて作製することができる。
【0102】
(実施例28)
コーティングの内部管腔近くに位置する微粒子を有するコーティングは、治療薬剤を含む粒子材料が均一なモノマー混合物内に含まれたことを除いて、実施例1と同じ方法で調製することができる。例えば、神経成長因子(NFG)および卵アルブミン(OVA)などの分子を、Cao等のBiomaterials、20、329〜339、1999に記載された溶媒蒸発技術を用いてPCLポリマー微粒子中にカプセル化することができる。したがって、微粒子を含む混合物は、混合物をフィルターに通さないことを除いて、実施例1に説明したように封止された円筒形ガラス金型中に注入される。治療薬剤の例は、非制限的に、NGF、BDNF、NT−3、NT−4/5、FGF−1、FGF−2、IGF、VEGF、CNTF、GDNF、BMP類、ホルモン、タンパク質、ペプチド、神経保護剤などの化学薬剤を含む。
【0103】
(実施例29)
コーティング内に粒子を有するコーティングは、非球形状の粒子材料が均一なモノマー混合物内に含まれることを除いて、実施例1と同じ方法で調製することができる。平均直径50ミクロン、および長さ1〜10cmのガラス繊維を、表2に記載の濾過したモノマー混合物に加えた。溶液の濾過は、繊維を加えた後は行わなかった。金型を回転させると、高密度の粒子は金型の内部表面に移動する。高密度のポリマー相が金型内でゲル化するとき、コーティングが形成され、図23に金型から取り外して示されている。それらの粒子含有管は、この製造方法に実施可能な任意の管用材料を用いて、および、非制限的に、ガラス、カーボンナノファイバー、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリジオキサノン、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリラクチド、ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー繊維、および処方混合物に適合性のあるラクチドとグリコリドのコポリマーを含む繊維を用いて作製することができる。
【0104】
(実施例30)
コーティングの内部管腔近くに位置する粒子を有する多層管の壁の断面の形態であり、混合物処方は表2に実施例30として示されている。これらの多層化した粒子状管は、実施例1と同じ方法を必要なだけ繰り返して製造することができる。表2の実施例30は、形成された第1の外部層(o)と第2の内部に形成された粒子を含む層(i)を参照している。多層中空構造体は、1層を形成し、形成された中空構造体を金型の表面コーティングとして用いて中空構造体の方法を所望の回数繰り返すことによって可能であり、粒子は方法の任意の段階に含まれる。第1の重合に続いて、コーティングはガラス金型から取り外さず、代わりに残っている混合物を排出し、金型を再封止し、HEMAモノマー、架橋剤、開始剤、および微粒子を含む新しい配合物を管を含む金型中に注入する。金型はドリルチチャックに挿入し、2度目の回転を行う。多層中空構造体は、実施例に述べた類似のまたは異なる材料の任意の材料から作られた、必要な任意の順序で、必要な数の任意または全ての層に粒子を含む、任意のまたは全ての種類の管を用いて製造することができる。例を図24に示す。金型の内部表面のゲル状コーティングは、内部コーティングの外部部分に埋め込まれたポリカプロラクトン微粒子を含む。図24は、ポリ(カプロラクトン)微粒子を含むコーティングの走査電子顕微鏡(SEM)写真を示し、微粒子はコーティングの長手方向に沿って均一に配分されるが、実施例27に述べた方法を用いて、長手方向に不均一に配分されたコーティングを形成することができる。
【0105】
(実施例31)
様々な形状の構造体は、金型形状が任意の軸に沿って非対称的であることを除いて、実施例1と同じ方法で製造することができる。図25は、中空構造体をもたらすそれらの金型の例であり、一方の側で波形であり、他の側で平滑であり、構造体の長手方向に沿って球状窪みを含む。任意の実施例処方を使用して、可変直径を有する金型中に中空構造体のこの形状を形成することができる。
【0106】
(実施例32)
ゲル状と多孔質形態の両方を有するコーティングを、出発モノマー混合物を金型に注入する前に相分離させることを除いて、実施例1と同じ方法で調製した。モノマー混合物は注入装置の内部で相分離させることが可能であり、異種溶液を金型中に注入した。次いで、封止された金型を実施例1で前に述べたようにドリルのチャック中に配置した。実施例32に用いたモノマー混合物および回転条件を表2に示す。金型から取り外した後に得られる多孔質材料/ゲル状コーティングを図26aおよび26bに示す。
【0107】
(実施例33)
ゲル状と多孔質形態の両方を有するコーティングを、出発モノマー混合物が金型中にある間に、回転前に相分離させることを除いて、実施例1と同じ方法で調製した。実施例33に用いたモノマー混合物および回転条件を表2に示す。金型の内部表面に得られる多孔質材料/ゲル状混成コーティングを図27に示す。
【0108】
(実施例34および35)
ゲル状と多孔質形態の両方を有するコーティングを、金型が主としてワイアから作られた物体を含むことを除いて、実施例1と同じ方法で調製した。ゲル状または多孔質形態のいずれか、または両方を備えるコーティングを実施例1と同じ方法で調製した。混合物を金型へ注入する前に、主としてワイアから作られた物体が金型中に挿入される(図28および29)。実施例34は、ステントの外径と同じ内径を有する金型の内部に配置された金属製ステントである。ステントを金型中に挿入した後、表2に実施例34として示した均一な混合物が金型中に注入され、金型は表2に示した速度で回転させる。得られるコーティングされたステントを図28に示す。実施例35は、ワイアを金属棒の周りに巻き付けて形状加工されたコイル状ワイアである。コイル状ワイアを金型に挿入した後、表2に実施例34として示した均一な混合物を金型中に注入し、表2に示した速度で金型を回転した。マンガンのコイル状ワイアを含む、得られるコーティングは金型から取り外され、図29に示されている。コイル状ワイアまたはステントはポリマー、金属、またはセラミック材料から構成することができよう。
【0109】
(実施例36〜37)
放射状多孔質を有する多孔質/ゲル状混合管は、多孔質とゲル状成分の比を重合金型の表面化学的性質を変化させて、実施例1と同じ方法で製造することができる。図30は、金型から取り外した3種のコーティングを示し、これらは、(a)清浄なガラス金型、(b)2−メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシラン(MPEOS−実施例36)で修飾したガラス金型、および(c)N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(AEAPS−実施例37)で修飾したガラス金型で作製した。ガラス金型はGlass & Plastic Cleaner(登録商標)100溶液中で10分間超音波をかけ、脱イオン水で洗い、30分間空気乾燥した。実施例36と37に用いたモノマー混合物および回転条件を表2に示す。金型から取り外した、得られる多孔質材料/ゲル状混成コーティングを図30aに示す。MPEOSとAEAPSの両方でのガラス金型の表面修飾は、清浄化したガラス金型を9:1容積/容積の濃H2SO4/H2O2の溶液中に10分間浸漬し、十分な水で洗い、30分間空気乾燥した。実施例36については、ガラス金型を、濃HClを加えることによって調製したpH2だけの、水:メタノール(5:95重量%)溶液中のMPEOS2重量%溶液に浸漬した。表面修飾反応は40℃で15分間行った.反応はシラン処理したガラスを110℃の空気中で30分間乾燥することによって完了させた。金型から取り外した、得られる多孔質材料/ゲル状混成コーティングは図30bに示されており、コーティング壁内に図30aのコーティングよりもかなり高い割合のゲルを有する。
【0110】
実施例37については、AEAPSでのガラス金型の表面修飾は、水:メタノール(5:95重量%)溶液中のAEAPS2重量%溶液に40℃で15分間浸漬することによって達成した。反応はシラン処理したガラスを110℃の空気中で30分間乾燥することによって完了させた。金型から取り外した、得られる多孔質材料/ゲル状混成コーティングは図30cに示されており、コーティング壁内に図30aのコーティングよりもかなり高い割合の多孔質材料を有する。図30bと30cのSEM顕微鏡写真に示したコーティングは、図30aと同じ処方で合成したが、表面修飾した金型中で形成した。
【0111】
(実施例38)
非分解性または分解性いずれかの特性を備える多孔質/ゲル状混合コーティングは、2つの相が常に存在し、互いに非溶解性であることを除いて、実施例1と同じ方法で製造することができる。Van Dijk-Wolthuis等(Macromolecules 28、(1995) 6317〜6322)の提案した実験方法を適用し、触媒としてN,N−ジメチルアミノピリジンを用い、ジメチルスルホキシド(DMSO)中でグリシジルメタクリレートをデキストランに固定することによって、置換の程度(残るグルコピラノース100当たりのメタクリレート基の数DS)を変動させてグリシジルメタクリレート化し、表2に実施例38で示した分子量の誘導デキストラン(dex−GMA)を合成した。ポリエチレングリコール(PEG、10,000g/モルのMw)を0.22MKCl中に0.2g/ml〜0.4g/mlの濃度に溶解した。Dex−GMAを0.22MKCl中に0.2g/ml〜0.4g/mlの濃度に溶解した。両方の溶液および0.22MKCl溶液の追加の量を注射器の予備フィルターを用いて濾過し、次いで10分間脱気した。各溶液の異なる容量を表2の実施例38で示した最終組成物へ互いに混合した。混合物を2分間渦流動させ、水中水エマルジョンを得た。Dex−GMAは非制限的に、好ましくはフリーラジカル開始系を用いて、および好ましくは過硫酸アンモニウム(APS)/メタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS)レドックス開始系を用いて重合した。表2の実施例38で示した適切な量の0.1g/mlのAPS溶液を加えた後、溶液の短い渦流動を繰り返した。表2の実施例38で示した適切な量の0.015g/mlのSMBS溶液をこの混合物に加え、再び簡単に渦流動させた。次いで、実施例1で説明したように混合物をガラス金型へ注入した。金型は、アルコール水準器を用いて水平に搭載されたドリルのチャックに配置した。回転速度は表2の実施例38で示したように6000rpmであった。得られる分解性、または非分解性コーティングのSEM顕微鏡写真は、壁の外部部分のゲル状形態および壁の内部部分の多孔質形態で図31に示されている。
【0112】
(実施例39)
非分解性、または分解性特性のいずれか、およびゲル状相中に独特のチャネルを有する多孔質/ゲル状混合コーティングは、水に対するPEGの比を増加させることを除いて、実施例38と同じ方法で製造することができる。各溶液の異なる容量を互いに混合して、表2の実施例39で示した最終組成物にした。得られる分解性、または非分解性コーティングのSEM顕微鏡写真を図32に示す。
【0113】
(実施例40)
非分解性、または分解性特性のいずれか、および図33に示した2つの壁形態が鋭く画定されて分離する多孔質/ゲル状混合コーティングは、組成物中のdex−GMAの割合を増加させたことを除いて、実施例38と同じ方法で製造することができる。異なる容量の各溶液を互いに混合して、表2の実施例40で示した最終組成物にした。得られる分解性、または非分解性コーティングのSEM顕微鏡写真を図33に示す。
【0114】
(実施例41)
非分解性、または分解性特性のいずれかを有する多孔質/ゲル状混合コーティングは、組成物中のPEGの割合を増加させ、組成物中の水の割合を減少させたことを除いて、実施例40と同じ方法で製造することができる。異なる容量の各溶液を互いに混合して、表2の実施例41で示した最終組成物にした。
【0115】
(実施例42)
非分解性、または分解性特性のいずれかを有する主としてゲル状のコーティングは、組成物中に使用したdex−GMAの分子量が表2よりもはるかに小さかったことを除いて、実施例40と同じ方法で製造することができる。異なる容量の各溶液を互いに混合して、表2の実施例42で示した最終組成物にした。得られる分解性、または非分解性コーティングのSEM顕微鏡写真は図34に示されており、壁の緻密さを表している。
【0116】
(実施例43)
非分解性、または分解性特性のいずれかを有する多孔質/ゲル状混合コーティングは、組成物中のPEGの割合を増加させ、組成物中の水の割合を減少させたことを除いて、実施例42と同じ方法で製造することができる。異なる容量の各溶液を互いに混合して、表2の実施例43で示した最終組成物にした。
【0117】
(実施例44)
非分解性、または分解性特性のいずれか、および多孔質内部管腔を有する主としてゲル状のコーティングは、表2に示したように、組成物中のdex−GMAの割合を増加させ、組成物中の水の割合を減少させたことを除いて、実施例42と同じ方法で製造することができる。異なる容量の各溶液を互いに混合して、表2の実施例44で示した最終組成物にした。図35は、実施例44の壁形態の緻密さと多孔質内部管腔を示している。
【0118】
(実施例45)
分解性特性を有する多孔質/ゲル状混合コーティングは、重合ポリマーが2−ヒドロキシエチルメタクリレート誘導デキストラン(dex−HEMA)であることを除いて、実施例37と同じ方法で製造することができる。異なる容量の各溶液を互いに混合して、表2の実施例45で示した最終組成物にした。
【0119】
(実施例46)
分解性特性を有する多孔質/ゲル状混合コーティングは、組成物中のdex−HEMAの割合を増加させ、組成物中の水の割合を減少させたことを除いて、実施例45と同じ方法で製造することができる。異なる容量の各溶液を互いに混合して、表2の実施例46で示した最終組成物にした。
【0120】
(実施例47)
非分解性、または分解性特性のいずれかを有する多孔質/ゲル状混合コーティングは、PEGをPluronic F68に置き換えて表2の実施例47で示した最終組成物にしたことを除いて、実施例38と同じ方法で製造することができる。
【0121】
(実施例48)
微粒子を含む多孔質/ゲル状混合コーティングは、混合物中にポリマー主鎖を分解する酵素分解粒子が含まれたことを除いて、実施例38と同じ方法で製造することができる。異なる量のdex−GMA、PEG、デキストラン含有PCL微粒子、および水溶液を互いに混合して、表2の実施例48に示した最終組成物にした。多孔質/ゲル状混合コーティングは、加水分解では非分解性であるが、酵素の存在下で分解を受ける。コーティングの壁に組み込まれたPCL微粒子は加水分解で分解して酵素を放出し、ポリマー主鎖の切断によってコーティングを分解する。
【0122】
(実施例49)
分解性特性を有する多孔質/ゲル状混合コーティングは、重合ポリマーがdex−オリゴペプチド−メタクリレートであることを除いて、実施例38と同じ方法で製造することができる。異なる量のdex−Lys−Pro−Leu−Gly−Ile−Ala−メタクリレート、PEG、および水溶液を互いに混合して、表2の実施例49に示した最終組成物にした。多孔質/ゲル状混合コーティングは、加水分解では非分解性であるが、オリゴペプチド架橋の切断によってコーティングを分解する細胞分泌(cell−secreted)酵素、ゼラチナーゼA(MMP2)の存在下で分解を受ける。
【0123】
(実施例50)
微粒子を含む多孔質/ゲル状混合コーティングは、混合物中に架橋剤を分解する酵素分解粒子が含まれたことを除いて、実施例49と同じ方法で製造することができる。
【0124】
異なる量のdex−Lys−Pro−Leu−Gly−Ile−Ala−メタクリレート、PEG、MMP2含有PCL微粒子、および水溶液を互いに混合して、表2の実施例50に示した最終組成物にした。多孔質/ゲル状混合コーティングは、加水分解では非分解性であるが、MMP2の存在下で分解を受ける。コーティングの壁に組み込まれたPCL微粒子は加水分解で分解して酵素を放出し、オリゴペプチド架橋の切断によってコーティングを分解する。
【0125】
(実施例51)
分解性特性を有する多孔質/ゲル状混合コーティングは、重合の間にコーティング中に捕捉された酵素が混合物中に含まれてポリマー主鎖を分解することを除いて、実施例38と同じ方法で製造することができる。異なる量のdex−GMA、PEG、デキストラナーゼ、および水溶液を互いに混合して、表2の実施例48に示した最終組成物にした。多孔質/ゲル状混合コーティングは、加水分解では非分解性であるが、酵素の存在下でポリマー主鎖の分解を受ける。
【0126】
(実施例52)
中空構造体は、金型中に固体コアを挿入した後に製造することができる。2%酢酸水溶液中のキトサン3%溶液を等量のエタノールで希釈し、2倍モル過剰の無水酢酸と混合した。円筒形ガラスコアを含む封止されたガラス金型中に溶液を注入し、それによって金型を完全に充填した後、それを500rpmで回転させた。形成されたキチンはゲル化と離液(syneresis)によって相分離され、円筒形ガラスコアの外部に付着した。次いで、コアを金型から取り外すと、得られたゲル管はコア上に残されるか、あるいはそこから取り外される。この方法の修正においては、キチンゲル管を、コアから取り外す前に空気中で貯蔵することによって乾燥させる。
【0127】
(実施例53)
中空構造体は、金型の内部に生分解性ポリマー溶液を部分的に充填することによって製造することができる。2%酢酸水溶液中のキトサン3%溶液を等量のエタノールで希釈し、2倍モル過剰の無水酢酸と混合した。封止されたガラス金型中に溶液を注入し、それによって金型の約2/3を充填した後、それを10000rpmで30秒間、次いで3000rpmで15分間回転させた。24時間貯蔵した後、形成されたキチンゲル管を金型から取り外した。
【0128】
(実施例54)
中空構造体は、金型の内部を生分解性ポリマー溶液で部分的に充填することによって製造することができる。ジメチルスルホキシド中のポリ(乳酸−コ−グリコール酸)15%溶液を封止されたガラス金型中に注入し、それによって金型の半分を充填し、5000rpmおよび−10℃で溶液が完全に凍結するまで回転した。次いで、金型を開放し、5℃の水中に貯蔵して有機溶媒を取り除いた。次いで形成された管を金型から取り外した。
【0129】
(実施例55)
長手軸に沿って物理的および化学的特性に勾配を付けた壁を含む中空構造体は、円筒形金型を表1の実施例6で使用されたモノマー混合物で部分的に充填し、続いて、表1の実施例8で使用されたモノマー混合物を注入して円筒形金型の残部を充填することによって製造することができる。中空構造体は実施例1に述べた類似の方法で製造することができる。円筒形金型の充填および後続の可変速度攪拌ドリルの回転内の重合は水平面に平行な角度から水平面に90°までの角度で達成することができる。
【0130】
(実施例56)
長手軸に沿って物理的および化学的特性に勾配を付けた壁を含む中空構造体は、市場で入手可能な勾配付け装置、シリンジポンプ、または円筒形金型を1種以上のモノマー/マクロマー混合物で充填するための特別に制御される液体送達装置を用いて、実施例55に説明したようにして製造することができる。
【0131】
本明細書に用いられる用語「含む(comprises)」、「含んで(comprising)」、「含んで(including)」、および「含む(includes)」は、包含的であって範囲が設定されず、排他的ではないものと解釈すべきである。特に、請求項を含んで、本明細書に使用されるとき、用語「含む(comprises)」、「含んで(comprising)」、「含んで(including)」、「含む(includes)」、およびその様々な変形は、特定の特徴、ステップまたは成分が含まれることを意味する。これらの用語は、他の特徴、ステップまたは成分を排除するものと解釈すべきではない。
【0132】
本発明の好ましい実施形態の前述の説明は、本発明の原理を説明するために示したものであり、示した特定の実施形態に制限するものではない。本発明の範囲は、以下の請求項およびその等価のものの範囲内に包含される全ての実施形態によって定義されることを意図している。
【表1】
【表2】
【0133】
【0134】
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】図1aは、本発明による管の製造に用いられる円筒形金型の断面である。 図1bは、円筒形金型の代替の実施形態の断面である。 図1cは、円筒形金型の他の代替の実施形態の断面である。 図1dは、円筒形金型の他の代替の実施形態の断面である。
【図2】図2aは、金型の内部表面の長さに沿って表面形態を有する円筒形金型の実施形態の断面である。 図2bは、金型の内部表面の長さに沿って表面形態を有する円筒形金型の代替の実施形態の断面である。 図2cは、金型の内部表面の長さに沿って表面形態を有する円筒形金型の他の代替の実施形態の断面である。 図2dは、金型の内部表面の長さに沿って表面形態を有する円筒形金型の他の代替の実施形態の断面である。
【図3】図3a〜3cは、円筒形金型に液体を充填するステップを示す図である。 図3aは、穿刺針(D)を用いて金型から空気を流出させながら、下部注入口に貫通している針(C)を経由して溶液(E)を注射器に注入するステップを示す図である。 図3bは、金型を液体溶液で充填し、空気は溶液が金型を満たすと共に針(D)から出る、円筒形金型に液体を充填するステップを示す図である。 図3cは、金型が完全に溶液で充填され、視認できる空気が全て取り除かれる、円筒形金型に液体を充填するステップを示す図である。
【図4】図4aは、充填された金型(A)がドリルチャック(F)に挿入され、金型の回転が開始される、円筒形金型を回転する方法を示す図である。 図4bは、充填された金型(A)が旋盤(G)の2個の端部に取り付けられ、金型の回転が開始される、円筒形金型を回転する他の方法を示す図である。 図4cは、充填された金型(A)がドリルチャック(F)中に配置するようにアダプター(H)に挿入され、金型の回転が開始され、Oリング(I)が金型(A)の位置をアダプター(H)内部に保持する、円筒形金型を回転する他の方法を示す図である。
【図5】図5aは、適切な速度で軸の周りを回転させて、最終的に分離するである相を遠心にかける、液体混合物(E)で充填された金型(A)を示す俯瞰図である。 図5bは、高密度の相(J)が金型の周辺に遠心され、そこで金型(K)の内部表面の形状を採る、回転中に相分離を始める図5aの混合物(E)を示す図である。
【図6】HEMA1%、水99%、APS0.01%、SMBS0.01%の混合物処方、4000rpm(表1にも実施例1として記載されている)で製造された、ガラス金型の内部のゲル状コーティングを示す環境制御型走査電子顕微鏡(ESEM)写真である。
【図7】図7aは、HEMA1.9%、PEGMA0.1%、水98%、APS0.02%、SMBS0.02%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例2として記載されている)で製造された、ガラス金型の内部に塗布された多孔質コーティングの外部表面を示す走査電子顕微鏡(SEM)写真である。 図7bは、HEMA1.9%、PEGMA0.1%、水98%、APS0.02%、SMBS0.02%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例2として記載されている)で製造された、ガラス金型の内部に塗布された多孔質コーティングの内部表面を示す図である。
【図8】図8aは、液体混合物注入前の、図5aの金型内の多孔質栓(L)を示しており、相分離およびゲル化の後、多孔質材料の外部表面が内部の多孔質に何ら影響を与えずに相分離した混合物でコーティングされることを示す図である。 図8bは、HEMA7%、水93%、APS0.05%、SMBS0.04%の混合物処方、4000rpm(表1にも実施例3として記載されている)で製造された、相分離の前に図8aの金型内に含まれる多孔質ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(lactic−co−glycolic acid)[75:25]材料に塗布されたコーティングを示すSEM顕微鏡写真である。
【図9】図9aは、HEMA15.75%、MMA2.25%、水82%、EDMA0.02%、APS0.08%、SMBS0.06%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例4として記載されている)で製造された、細胞侵襲性多孔質管の壁の断面を示すSEM顕微鏡写真である。 図9bは、HEMA20%、水80%、EDMA0.02%、APS0.1%、TEMED0.04%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例5として記載されている)で製造された、細胞侵襲性多孔質管の壁の断面を示すESEM顕微鏡写真である。
【図10】図10aは、HEMA20%、水80%、EDMA0.02%、APS0.1%、SMBS0.06%の混合物処方、10,000rpm(表1にも実施例6として記載されている)で製造された、主としてゲル状管の壁の断面を示すESEM顕微鏡写真である。 図10bは、HEMA23.25%、MMA1.75%、水75%、EDMA0.025%、APS0.125%、SMBS0.1%の混合物処方、2500rpm(表1にも実施例7として記載されている)で製造された、主としてゲル状管の壁の断面を示すESEM顕微鏡写真である。
【図11】図11aは、HEMA28.3%、水58.3%、MMA5.3%、エチレングリコール8.3%、APS0.125%、SMBS0.1%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例8として記載されている)で製造された、多孔質/ゲル状混合管の壁の断面を示すSEM顕微鏡写真である。 図11bは、HEMA27%、MMA3%、水70%、APS0.1%、SMBS0.075%の混合物処方、4000rpm(表1にも実施例9として記載されている)で製造された、多孔質/ゲル状混合管の壁の断面を示すSEM顕微鏡写真である。
【図12】図12aは、HEMA27%、MMA3%、水70%、APS0.15%、SMBS0.12%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例10として記載されている)でガラス金型中に作られた、放射状孔を有する多孔質/ゲル状混合管の壁の断面を示す光学顕微鏡写真である。 図12bは、HEMA27%、MMA3%、水70%、APS0.15%、SMBS0.12%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例10として記載されている)でガラス金型中に作られた、放射状孔を有する多孔質/ゲル状混合管の壁の断面を示すESEM顕微鏡写真である。 図12cは、HEMA27%、MMA3%、水70%、APS0.15%、SMBS0.12%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例10として記載されている)でガラス金型中に作られた、放射状孔を有する多孔質/ゲル状混合管の外部長手方向を示す光学顕微鏡写真である。 図12dは、HEMA27%、MMA3%、水70%、APS0.15%、SMBS0.12%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例10として記載されている)でシラン処理されたガラス金型中に作られた、放射状孔のない多孔質/ゲル状混合管の外部長手方向を示す光学顕微鏡写真であり、中空構造体は12a〜cと同じ処方で合成されたが、シラン処理ガラス金型中で回転された。
【図13】図13aは、HEMA20%、水80%、APS0.1%、SMBS0.04%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例11として記載されている)で製造された、放射状孔を有する主としてゲル状壁の断面を示すESEM顕微鏡写真である。 図13bは、HEMA2%、水98%、APS0.02%、SMBS0.02%の混合物処方、30rpm(表1にも実施例12として記載されている)で製造された、放射状繊維を有する主として多孔質壁の断面を示すSEM顕微鏡写真である。
【図14】(第1(外部)層はHEMA1.8%、PEGDMA0.2%、水98%、APS0.002%、SMBS0.002%の混合物処方、2700rpm、第2(内部)層はHEMA27%、MMA3%、水70%、APS0.12%、SMBS0.09%の混合物処方、4000rpm)(表1にも実施例13として記載されている)で製造された、多層管の壁の断面を示すSEM顕微鏡写真である。
【図15】HEMA20%、水80%、EDMA0.02%、APS0.1%、SMBS0.04%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例14として記載されている)で製造された、平滑な内部表面を有する管の内部管腔を示すESEM顕微鏡写真である。
【図16】図16aは、HEMA28.3%、水58.3%、MMA5.3%、エチレングリコール8.3%、APS0.15%、SMBS0.12%の混合物処方、2700rpm(表1にも実施例15として記載されている)で製造された、粗い内部表面を有する管の内部管腔を示すSEM顕微鏡写真である。 図16bは、図16aに示した管の、金型/ポリマー界面に近い壁の横方向断面のSEM顕微鏡写真であり、ゲル状/多孔質壁形態および窪み/粗い内部表面を示す。
【図17】図17aは、HEMA27.3%、MMA2.7%、水70%、EDMA0.03%、APS0.12%、SMBS0.09%の処方、4000rpm(表1にも実施例16として記載されている)で製造された、金型/ポリマー界面に近い管の壁の横方向断面のSEM顕微鏡写真であり、ゲル状/多孔質壁形態および内部表面上の独特な細胞状表面パターンを示す。 図17bは、図17aに示した管の内部表面上の細胞状表面パターンを示すSEM顕微鏡写真である。
【図18】HEMA22.5%、MMA2.5%、水75%、APS0.125%、SMBS0.1%の混合物処方、4000rpm(表1にも実施例17として記載されている)で製造された、非常に小さな直径の微小管を示すSEM顕微鏡写真であり、内径450μmの小さな直径の毛管中に作られた。
【図19】HEMA23.25%、MMA1.75%、水75%、APS0.125%、SMBS0.1%の混合物処方、2500rpm(表1にも実施例17として記載されている)で製造された、不均一な形状の構造体を示す光学顕微鏡写真であり、金型サイズは均一な内部直径をもたない。
【図20】本発明による管を製造するために用いられるその長手軸ではない軸の周りに回転するように、円筒形金型を収容する保持装置を示す図である。
【図21】金型が保持装置に挿入されたとき、金型が回転装置の回転軸に平行な回転軸を有するように、重力の中心が回転軸上にない保持装置を示す図である。
【図22】ポリカプロラクトン微粒子1%、HEMA19.77%、EDMA0.02%、水79.04%、APS0.1%、SMBS0.04%の混合物処方、2500rpm(表2にも実施例25として記載されている)のコーティングの外部管腔中に配置された分解性微粒子を示すSEM顕微鏡写真であり、微粒子はモノマー配合物に加えられた。
【図23】ガラス繊維2%、HEMA28.05%、MMA4.95%、水67%、APS0.165%、SMBS0.132%の混合物処方、2500rpm(表2にも実施例29として記載されている)のコーティングの外部管腔中に配置されたガラス繊維を示すSEM顕微鏡写真であり、ガラス繊維はモノマー配合物に加えられた。
【図24】図24aは、(第1(外部)層はHEMA23%、MMA2%、水75%、APS0.125%、SMBS0.1%の混合物処方、6000rpm、第2(内部)層はHEMA2%、水98%、ポリカプロラクトン微粒子1%、APS0.1%、SMBS0.04%の混合物処方、6000rpm)(表2にも実施例30として記載されている)で製造された、管の内部管腔近くに配置された分解性微粒子を含む多層管の壁の断面を示すSEM顕微鏡写真であり、微粒子はモノマー配合物に加えられた。 図24bは、内部表面にコーティングされた微粒子を示すSEM顕微鏡写真である。
【図25】図25(a)は、非対称的な断面を有する金型の代替の実施形態の端部を示す図である。 図25(b)は、図25(a)の金型の線BBに沿って切り取った断面である。 図25(c)は、図25(a)の金型の線AAに沿って切り取った断面である。
【図26】HEMA25%、水72.5%、MMA2.5%、APS0.1%、SMBS0.075%の混合物処方、4000rpm(表2にも実施例32として記載されている)で製造された、管の横方向断面を示すSEM顕微鏡写真であり、モノマー溶液は金型に導入する前に相分離させた。
【図27】HEMA21.3%、水74.4%、MMA2.1%、APS0.12%、SMBS0.1%の混合物処方、4000rpm(表2にも実施例33として記載されている)で製造された、管の横方向断面を示すSEM顕微鏡写真であり、モノマー溶液は金型中で回転前に相分離させた。
【図28】HEMA22.5%、水75%、MMA2.5%、APS0.2%、SMBS0.15%の混合物処方、6000rpm(表2にも実施例34として記載されている)で製造された、管の長手方向を示すSEM顕微鏡写真であり、管は金型の内部に配置したステントで形成され、これもコーティングであると考えることができる。
【図29】HEMA28.05%、水67%、MMA4.95%、APS0.165%、SMBS0.132%の混合物処方、2500rpm(表2にも実施例35として記載されている)で製造された、管の長手方向を示すSEM顕微鏡写真であり、管は金型の内部に配置したコイル状マンガンワイアで形成した。
【図30】図30aは、HEMA28.05%、MMA4.95%、水67%、APS0.165%、SMBS0.162%の混合物処方、2500rpm(表2にも実施例36として記載されている)で、洗浄したガラス金型中に製造された、多孔質/ゲル状混合管の断面を示すSEM顕微鏡写真である。 図30bは、HEMA28.05%、MMA4.95%、水67%、APS0.165%、SMBS0.162%の混合物処方、2500rpm(表2にも実施例36として記載されている)で金型中に製造された、多孔質/ゲル状混合管の断面を示すSEM顕微鏡写真であり、中空構造体は図30aと同じ処方で合成したが、2−メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシランで修飾したガラス金型表面中で回転した。 図30cは、HEMA28.05%、MMA4.95%、水67%、APS0.165%、SMBS0.162%の混合物処方、2500rpm(表2にも実施例36として記載されている)で金型中に製造された、多孔質/ゲル状混合管の断面を示すSEM顕微鏡写真であり、中空構造体は図30aと同じ処方で合成したが、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランで修飾したガラス金型表面中で回転した。
【図31】dex−GMA10%、40,000g/モル、置換の程度10%、PEG10%、10,000g/モル、水80%、APS0.14%、SMBS0.018%、6000rpm(表1にも実施例38として記載されている)で製造された、多孔質/ゲル状混合管の壁の断面を示すSEM顕微鏡写真である。
【図32】dex−GMA10%、40,000g/モル、置換の程度10%、PEG20%、10,000g/モル、水70%、APS0.14%、SMBS0.018%、6000rpm(表1にも実施例39として記載されている)で製造された、多孔質/ゲル状混合管の壁の断面を示すSEM顕微鏡写真である。
【図33】dex−GMA20%、40,000g/モル、置換の程度10%、PEG10%、10,000g/モル、水70%、APS0.28%、SMBS0.035%、6000rpm(表1にも実施例40として記載されている)で製造された、多孔質/ゲル状混合管の壁の断面を示すSEM顕微鏡写真である。
【図34】dex−GMA20%、6,000g/モル、置換の程度10%、PEG10%、10,000g/モル、水70%、APS0.28%、SMBS0.035%、6000rpm(表1にも実施例42として記載されている)で製造された、多孔質/ゲル状混合管の壁の断面を示すSEM顕微鏡写真である。
【図35】dex−GMA30%、6,000g/モル、置換の程度10%、PEG10%、10,000g/モル、水60%、APS0.42%、SMBS0.053%、6000rpm(表1にも実施例44として記載されている)で製造された、多孔質/ゲル状混合管の壁の断面を示すSEM顕微鏡写真である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)金型の内部に、相分離因子によって少なくとも2つの相に相分離することのできる少なくとも2つの成分を含む混合物を、そこから実質上全ての視認可能な気泡が取り除かれるように充填するステップと、
(b)前記混合物を含む前記金型を、前記相のうちの少なくとも1つの相が回転下で金型の内部表面上に付着するように有効な回転速度で回転させるステップと、
(c)金型の内部表面上に付着した前記少なくとも1つの相を安定化することによって製品を形成するステップとを含む、製品の製造方法。
【請求項2】
前記製品を前記金型から取り外すことを含む請求項1または61に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも2つの成分中の少なくとも1つがモノマーとマクロマーの群からなる群から選択され、他が少なくとも1種の溶媒であり、内部表面上に付着する前記少なくとも1つの相が少なくともモノマーまたはマクロマーを含み、前記付着した相の安定化ステップが重合によるモノマーまたはマクロマーのゲル化を含む、請求項1、2、または61に記載の方法。
【請求項4】
前記相分離因子が、溶液不混和性、光、pH、開始剤、温度変化、金型中の化学生成物の形成、カチオンおよび/またはアニオン濃度の変化、電場ならびに磁場からなる群から選択される、請求項1、2、3、または61に記載の方法。
【請求項5】
前記開始剤が、フリーラジカル開始剤、熱および光開始剤、レドックス開始剤、アニオン性、カチオン性または開環開始剤からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも2つの成分が、少なくとも1種の溶媒に溶解した少なくとも1種のポリマーを含み、前記混合物が少なくとも2種の溶液から構成され、内部表面上に付着する前記少なくとも1つの相が少なくとも前記ポリマーを含み、前記付着した相の安定化ステップがそのゲル化を含む、請求項1、2、または61に記載の方法。
【請求項7】
前記相分離因子が、溶液不混和性、光、pHの変化、温度変化、金型中の化学生成物の形成、カチオンおよび/またはアニオン濃度の変化、電場ならびに磁場からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ゲル化が、光、pHの変化、温度変化、金型中の化学生成物の形成、カチオンおよび/またはアニオン濃度の変化、電場および磁場からなる群から選択される因子に曝露することによって達成される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記中空金型が、前記製品がポリマー管になるような円筒形管である、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、または61に記載の方法。
【請求項10】
前記円筒形管が円筒形管の前記内部表面上に予め選択された表面形態を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記金型に前記混合物を充填する前に、多孔質構造体を前記金型中に挿入するステップを含み、前記製品が前記多孔質構造体の外部表面上に被覆される、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に記載の方法。
【請求項12】
前記混合物が架橋剤を含む請求項1、2、または3に記載の方法。
【請求項13】
前記架橋剤が、多官能性エステル、カーボネート、多イソシアネート、メタクリレートまたはポリ−N−イソプロピルアクリルアミドもしくはアクリレート、アクリルアミドまたはメタクリルアミド、および好ましくはエチレングリコールジメタクリレート(EDMA)、ヘキサメチレンジメタクリレート(HDMA)、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート、1,5−ヘキサジエン−3,4−ジオール(DVG)、2,3−ジヒドロキシブタンジオール−1,4−ジメタクリレート(BHDMA)、1,4−ブタンジオールジメタクリレート(BDMA)、ポリ(エチレンオキシド)の1,5−ヘキサジエン(HD)多官能性スターポリマー、二官能性ペプチド、オリゴペプチド架橋剤、酵素分解性架橋剤を含むタンパク質およびタンパク質断片、加水分解性架橋剤、オリゴペプチド架橋剤、ナイトレンおよび光への曝露のうち1つからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記モノマーが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、2−ポリエチレングリコールエチルメタクリレート、エチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、2−クロロエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなどであるが、それだけに限定されないアクリレート、メタクリレート、およびその誘導体;メタクリルアミド、ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−クロロエチルアクリルアミド、2−ニトロブチルアクリルアミドを含むアクリルアミドおよびその誘導体;N−ビニルピロリドン、アセナフタレン、N−ビニルアセトアミド、フェニル−アセチレン、アクロレイン、メチルアクロレイン、N−ビニルピリジン、酢酸ビニル、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニルメチルケトン、塩化ビニリデン、スチレンおよびその誘導体;プロペン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化アクリロイル、酢酸アリル、塩化アリル、アリルベンゼン、ブタジエンおよびその誘導体;N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルカルバゾール、シンナメートおよびその誘導体;シトラコンイミドおよびその誘導体;クロトン酸、フタル酸ジアリル、1,1−ジフェニル−エチレン、クロロトリフルオロ−エチレン、ジクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどであるがそれだけに限定されないエチレンおよびその誘導体;フマレートおよびその誘導体;ヘキセンおよびその誘導体;酢酸イソプロペニル、イソプロペニルメチルケトン、イソプロペニルイソシアネートなどであるがそれだけに限定されないイソプレンおよびその誘導体;イタコナートおよびその誘導体;イタコンアミドおよびその誘導体;ジエチルマレアート、2−(アクリロイルオキシ)エチルジエチルホスフェート;ホスホン酸ビニルおよびその誘導体;無水マレイン酸、マレイミド、シリコンモノマーおよびその誘導体;ラクトン、ラクタム、カーボネート、ならびにその任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1、2、または3に記載の方法。
【請求項15】
前記溶媒が、水、アルコール、エチレングリコール、エタノール、アセトン、ポリ(エチレングリコール)およびその誘導体;ポリ(エチレングリコール)、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アルカンおよびその誘導体の溶液;アセトニトリル、酢酸、ベンゼン、無水酢酸、酢酸ベンジル、四塩化炭素、クロロベンゼン、n−ブタノール、2−クロロエタノール、クロロホルム、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ジ(エチレングリコール)、ジ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、1,4−ジオキサン、N,N,ジメチルアセトアミド、N,N,ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、ホルムアルデヒド、n−ヘプタン、ヘキサクロロエタン、ヘキサン、イソブタノール、イソプロパノール、メタノール、メチルエチルケトン、ニトロベンゼン、n−オクタン、n−ペンタノール、酢酸プロピル、プロピレングリコール、ピリデン、テトラヒドロフラン、トルエン、トリクロロエチレン、o−キシレンおよびp−キシレン、モノマー、マクロマー、液体架橋剤、またはその混合物の群から選択される求核性、求電子性、または両親媒性分子からなる群から選択される、請求項1、2、または3に記載の方法。
【請求項16】
前記溶媒が前記モノマーまたはマクロマーを溶解するが、前記モノマーまたはマクロマーから形成されたポリマーまたは架橋ポリマーを溶解しない、請求項1、2、または3に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1種のモノマーまたはマクロマーが約0.001重量%〜約75重量%の範囲で存在する、請求項1、2、または3に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1種のモノマーまたはマクロマーが約0.001重量%〜約60重量%の範囲で存在する、請求項1、2、または3に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマーが、ポリアクリレート、ポリスルホン、ペプチド配列、タンパク質および誘導体、オリゴペプチド、分解性ポリマー、コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、フィブリン、フィブロネクチン、ラミニン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エトキシエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)などであるがそれだけに限定されないポリメタクリレート;ポリ(酢酸ビニル)ポリアセタート、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリ(N−ビニルピロリジノン)を含むポリアミノ酸、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)ポリグリコール酸、ポリ乳酸、乳酸とグリコール酸のコポリマー、ならびにポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ブタジエン)、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ(クロロプレン)、ネオプレン、ポリ(イソブテン)、ポリ(イソプレン)、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(オキシメチレン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシテレフタロイル)、ポリ[イミノ(1−オキソヘキサメチレン)]、ポリ(イミノアジポイル−イミノヘキサメタレン)、ポリ(イミノヘキサメチレン−イミノセバコイル)、ポリ[イミノ(1−オキソドデカメチレン)]などであるがそれだけに限定されないポリアミド、セルロース、ポリスルホン、炭水化物;ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、アルギネート、dex−ラクテート−HEMA、dex−GMA、dex−HEMAを含むデキストラン−アクリレートなどのデキストランおよび修飾デキストラン、アガロース、キトサンならびにその誘導体;キチンならびにその混合物;デンプン、デンプン誘導体、セルロースおよび誘導体などの多糖類および修飾多糖類からなる群から選択される請求項6に記載の方法。
【請求項20】
前記金型の内部表面を物理的または化学的に修飾し、分離した液相のビーズ化または分散を誘発させることによって、予め選択された形態を前記製品の壁の中に誘発させるステップを含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
シラン化剤を含む分子による、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
溶媒を除去するステップを含み、ステップ(a)、(b)および(c)を少なくとも1回繰り返して多層製品を製造することを含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
溶媒を除去するステップを含み、ステップ(a)、(b)および(c)を繰り返すことを含み、ステップ(a)において、前記混合物に、構成要素が壁中に埋め込まれた多層製品を製造するための粒子が含まれており、前記構成要素が、細胞、タンパク質、ペプチド、酵素、遺伝子、ベクター、成長因子、ホルモン、ヌクレオチド、治療薬、薬剤、および炭水化物を含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記構成要素が、製品の壁に直接埋め込まれる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記構成要素が微粒子またはナノ粒子に埋め込まれており、微粒子またはナノ粒子が製品の壁に埋め込まれる、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記金型を前記混合物で充填する前に、前記金型の前記内部表面を、回転中にその上に付着される製品の接着性が高まるように処理する、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記金型を前記混合物で充填する前に、前記金型の前記内部表面を、回転中にその上に付着される製品の接着が防止されるように処理する、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
(a)予め選択されたサイズと形状の構造体を金型の内部に挿入して固定し、金型の内部の残りの部分に、相分離因子によって少なくとも2つの相に相分離することのできる少なくとも2つの成分を含む混合物を、そこから実質上全ての気泡が取り除かれるように充填するステップと、
(b)前記構造体と混合物を含む前記金型を、前記相のうちの少なくとも1つの相が回転下で構造体の外部表面に付着するように有効な回転速度で回転させるステップと、
(c)前記金型の内部表面に付着した前記少なくとも1つの相を安定化することによって前記製品を形成するステップとを含む、製品の製造方法。
【請求項29】
前記混合物が、等量のエタノールで希釈し、2倍モル過剰の無水酢酸と混合した、キトサンを酢酸水溶液に溶かした溶液を含み、前記製品が、ゲル化および離液を用いた相分離により形成され、予め選択されたサイズと形状の構造体の外側に付着したキチンである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記キトサンの溶液がキトサンを2%酢酸水溶液に溶かした3%溶液であり、予め選択されたサイズと形状の構造体を前記金型から取り外す、請求項29に記載の方法であって、予め選択されたサイズと形状の構造体からキチン製品を残すステップ、予め選択されたサイズと形状の構造体からキチン製品を取り外すステップ、および空気中に貯蔵することによってキチン製品を乾燥してから予め選択されたサイズと形状の構造体から取り外すステップのうち1つを含む、方法。
【請求項31】
金型の内部に、相分離因子によって少なくとも2つの相に相分離することのできる少なくとも2つの成分を含む混合物を、そこから実質上全ての視認可能な気泡が取り除かれるように充填するステップと、
前記混合物を含む前記金型を、前記相のうちの少なくとも1つの相が回転下で金型の内部表面に付着するように有効な回転速度で回転させるステップと、
前記金型の内部表面に付着した前記少なくとも1つの相を安定化することによって製品を形成するステップとを含む方法によって製造された製品。
【請求項32】
前記製品を前記金型から取り外すことを含む、請求項31に記載の製品。
【請求項33】
前記中空金型が、前記製品が管になるような円筒形管である、請求項31に記載の製品。
【請求項34】
前記少なくとも2つの成分中の少なくとも1つがモノマーとマクロマーの群からなる群から選択され、他が少なくとも1種の溶媒であり、内部表面上に付着する前記少なくとも1つの相が少なくとも1種のモノマーとマクロマーを含み、前記付着した相の安定化ステップが、重合による少なくとも1種のモノマーとマクロマーのゲル化を含む、請求項31に記載の製品。
【請求項35】
前記相分離因子が、溶液不混和性、ポリマーの非混和性、光、pH、開始剤、温度変化、金型中の化学生成物の形成、カチオンおよび/またはアニオン濃度の変化、電場および磁場からなる群から選択される、請求項34に記載の製品。
【請求項36】
前記開始剤が、フリーラジカル開始剤、熱および光開始剤、レドックス開始剤、アニオン性、カチオン性または開環開始剤からなる群から選択される、請求項35に記載の製品。
【請求項37】
前記製品が、多孔質構造体、ゲル構造体または多孔質/ゲル構造体の重なり合う領域を含む壁形態を有する、請求項34に記載の製品。
【請求項38】
前記製品が、主としてゲル形態を含む壁形態を有し、表面から管腔側へ走る多孔質チャネルを備えていることで外部壁表面上に斑点が生じている、請求項34に記載の製品。
【請求項39】
前記少なくとも2つの成分が、少なくとも1種の溶媒に溶解した少なくとも1種のポリマーを含み、前記混合物が少なくとも2種の溶液から構成され、内部表面上に付着する前記少なくとも1つの相が少なくともポリマーを含み、前記付着した相の安定化ステップがそのゲル化を含む請求項31に記載の製品。
【請求項40】
前記相分離因子が、溶液不混和性、光、pHの変化、温度変化、金型中の化学生成物の形成、カチオンおよび/またはアニオン濃度の変化、電場および磁場からなる群から選択される、請求項39に記載の製品。
【請求項41】
前記ゲル化が、光、pHの変化、温度変化、金型中の化学生成物の形成、カチオンおよび/またはアニオン濃度の変化、電場および磁場からなる群から選択される因子に曝露することによって達成される、請求項39に記載の製品。
【請求項42】
前記製品が、多孔質構造体、ゲル構造体、または多孔質/ゲル構造体の重なり合う領域を含む壁形態を有する、請求項39に記載の製品。
【請求項43】
前記製品が、主としてゲル形態を含む壁形態を有し、表面から管腔側へ走る多孔質チャネルを備えていることで外部壁表面上に斑点が生じている、請求項39に記載の製品。
【請求項44】
前記製品が、多層製品を製造するためにステップ(a)、(b)および(c)を少なくとも1回繰り返して製造された多層製品である、請求項31に記載の製品。
【請求項45】
前記壁構造体が、薬剤、治療薬、細胞、細胞産物、遺伝子、ウイルスベクター、タンパク質、ペプチド、ホルモン、炭水化物、成長因子、酵素の送達用貯蔵器として用いられる、請求項34に記載の製品。
【請求項46】
前記壁構造体が、薬剤、治療薬、細胞、細胞産物、遺伝子、ウイルスベクター、タンパク質、ペプチド、ホルモン、炭水化物、成長因子、酵素の送達用貯蔵器として用いられる、請求項39に記載の製品。
【請求項47】
前記溶液が予め選択された構成要素を含む粒子を含み、前記粒子が製品の壁構造体内に均一にまたは勾配をもって分布している、請求項39に記載の製品。
【請求項48】
前記粒子が微粒子またはナノ粒子であり、前記予め選択された構成要素が、酵素、タンパク質、ペプチド、遺伝子、ベクター、成長因子、ホルモン、ヌクレオチド、炭水化物、薬剤、治療薬、または細胞を含む、請求項39に記載の製品。
【請求項49】
前記細胞が、ニューロン、幹細胞、幹細胞誘導細胞、嗅覚鞘細胞、シュワン細胞、星状細胞、小神経膠細胞、または乏突起神経膠細胞、内皮細胞、上皮細胞、繊維芽細胞、ケラチン生成細胞、平滑筋細胞、肝細胞、骨髄誘導細胞、造血幹細胞、神経膠細胞、炎症性細胞、および免疫系細胞を含む、請求項39に記載の製品。
【請求項50】
前記粒子が微粒子またはナノ粒子であり、前記予め選択された構成要素が、酵素、タンパク質、ペプチド、遺伝子、ベクター、成長因子、ホルモン、オリゴヌクレオチド、または細胞を含む、請求項39に記載の製品。
【請求項51】
前記細胞が、ニューロン、幹細胞、幹細胞誘導細胞、嗅覚鞘細胞、シュワン細胞、星状細胞、小神経膠細胞、または乏突起神経膠細胞、内皮細胞、上皮細胞、繊維芽細胞、ケラチン生成細胞、平滑筋細胞、肝細胞、骨髄誘導細胞、造血幹細胞、神経膠細胞、炎症性細胞、および免疫系細胞を含む、請求項50に記載の製品。
【請求項52】
前記粒子が分解性粒子であり、それによって前記構成要素を経時的に放出する、請求項50に記載の製品。
【請求項53】
被覆すべき金型の中に物体を挿入するステップを含み、前記物体が前記少なくとも1つの相で被覆され、その少なくとも1つの相が前記物体上で安定化される、請求項1に記載の方法。
【請求項54】
前記物体が、メッシュ、骨格、ステント、コイル、耳排液管、腹部/胃腸の構造的代替物、腹部大動脈瘤用ステント、食道骨格、および金型の表面を占める繊維からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項55】
前記金型が、神経誘導チャネルとして機能するのに適した材料から作られ、前記製品がその内部表面に被覆される、請求項1に記載の方法。
【請求項56】
前記製品が、神経誘導チャネルとして機能するのに適した材料から作られる、請求項1に記載の方法。
【請求項57】
前記方法が被覆すべき金型の中に物体を挿入するステップを含む請求項31に記載の製品であって、前記少なくとも1つの相で被覆された物体を含み、その少なくとも1つの相が前記物体上で安定化される、製品。
【請求項58】
前記金型の内部表面上に付着された前記少なくとも1つの相を安定化することによる前記ステップ(c)が、ゲル化、相の光への曝露、pHの変化、温度変化、金型内の化学生成物の形成、カチオンおよび/またはアニオン濃度の変化、電場および磁場の1つまたは組み合わせによって達成される、請求項3に記載の方法。
【請求項59】
前記金型の内部表面上に付着された前記少なくとも1つの相を安定化することによる前記ステップ(c)が、ゲル化、相の光への曝露、pHの変化、温度変化、金型内に化学生成物の形成、カチオンおよび/またはアニオン濃度の変化、電場および磁場の1つまたは組み合わせによって達成される、請求項6に記載の方法。
【請求項60】
冠動脈バイパス移植片、血管移植片、人工卵管、緑内障用排液インプラント、涙腺導管用排液インプラント、腸、靭帯、腱、神経誘導チャネル、尿管または尿道の代替物などの人工組織、耳排液管、腹部/胃腸の構造的代替物、大動脈瘤用ステント、食道骨格、複合カテーテル、シャント、送達マトリックス、ペースメーカのリードに塗布されたコーティング、移植可能なセンサのワイアリード、侵襲的心臓病学用のワイア、およびバイオセンサとして使用するための請求項31に従って製造された製品。
【請求項61】
(a)金型の内部に、相分離因子によって少なくとも2つの相に相分離することのできる少なくとも2つの成分を含む混合物を部分的に充填するステップと、
(b)前記混合物を含む前記金型を、前記相のうちの少なくとも1つの相が回転下で金型の内部表面に付着するように有効な回転速度で回転させるステップと、
(c)前記金型の内部表面に付着した前記少なくとも1つの相を安定化することによって製品を形成するステップとを含む、製品の製造方法。
【請求項62】
前記混合物が、生分解性であり、多糖類、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステルエーテル、ポリエステルウレタン、ポリ無水物、ポリペプチド、タンパク質およびその誘導体の群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記円筒形管に、1種以上の個別のモノマー/マクロマー配合物を、段階的な壁組成から構成されるポリマー管製品が形成されるように逐次的に充填する、請求項9に記載の方法。
【請求項64】
前記個別のモノマー/マクロマー配合物が、市販の勾配付け装置、シリンジポンプ、または特別制御液体送達装置を用いて段階的に前記円筒形中空金型中に導入される請求項63に記載の方法。
【請求項1】
(a)金型の内部に、相分離因子によって少なくとも2つの相に相分離することのできる少なくとも2つの成分を含む混合物を、そこから実質上全ての視認可能な気泡が取り除かれるように充填するステップと、
(b)前記混合物を含む前記金型を、前記相のうちの少なくとも1つの相が回転下で金型の内部表面上に付着するように有効な回転速度で回転させるステップと、
(c)金型の内部表面上に付着した前記少なくとも1つの相を安定化することによって製品を形成するステップとを含む、製品の製造方法。
【請求項2】
前記製品を前記金型から取り外すことを含む請求項1または61に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも2つの成分中の少なくとも1つがモノマーとマクロマーの群からなる群から選択され、他が少なくとも1種の溶媒であり、内部表面上に付着する前記少なくとも1つの相が少なくともモノマーまたはマクロマーを含み、前記付着した相の安定化ステップが重合によるモノマーまたはマクロマーのゲル化を含む、請求項1、2、または61に記載の方法。
【請求項4】
前記相分離因子が、溶液不混和性、光、pH、開始剤、温度変化、金型中の化学生成物の形成、カチオンおよび/またはアニオン濃度の変化、電場ならびに磁場からなる群から選択される、請求項1、2、3、または61に記載の方法。
【請求項5】
前記開始剤が、フリーラジカル開始剤、熱および光開始剤、レドックス開始剤、アニオン性、カチオン性または開環開始剤からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも2つの成分が、少なくとも1種の溶媒に溶解した少なくとも1種のポリマーを含み、前記混合物が少なくとも2種の溶液から構成され、内部表面上に付着する前記少なくとも1つの相が少なくとも前記ポリマーを含み、前記付着した相の安定化ステップがそのゲル化を含む、請求項1、2、または61に記載の方法。
【請求項7】
前記相分離因子が、溶液不混和性、光、pHの変化、温度変化、金型中の化学生成物の形成、カチオンおよび/またはアニオン濃度の変化、電場ならびに磁場からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ゲル化が、光、pHの変化、温度変化、金型中の化学生成物の形成、カチオンおよび/またはアニオン濃度の変化、電場および磁場からなる群から選択される因子に曝露することによって達成される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記中空金型が、前記製品がポリマー管になるような円筒形管である、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、または61に記載の方法。
【請求項10】
前記円筒形管が円筒形管の前記内部表面上に予め選択された表面形態を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記金型に前記混合物を充填する前に、多孔質構造体を前記金型中に挿入するステップを含み、前記製品が前記多孔質構造体の外部表面上に被覆される、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10に記載の方法。
【請求項12】
前記混合物が架橋剤を含む請求項1、2、または3に記載の方法。
【請求項13】
前記架橋剤が、多官能性エステル、カーボネート、多イソシアネート、メタクリレートまたはポリ−N−イソプロピルアクリルアミドもしくはアクリレート、アクリルアミドまたはメタクリルアミド、および好ましくはエチレングリコールジメタクリレート(EDMA)、ヘキサメチレンジメタクリレート(HDMA)、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート、1,5−ヘキサジエン−3,4−ジオール(DVG)、2,3−ジヒドロキシブタンジオール−1,4−ジメタクリレート(BHDMA)、1,4−ブタンジオールジメタクリレート(BDMA)、ポリ(エチレンオキシド)の1,5−ヘキサジエン(HD)多官能性スターポリマー、二官能性ペプチド、オリゴペプチド架橋剤、酵素分解性架橋剤を含むタンパク質およびタンパク質断片、加水分解性架橋剤、オリゴペプチド架橋剤、ナイトレンおよび光への曝露のうち1つからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記モノマーが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、2−ポリエチレングリコールエチルメタクリレート、エチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、2−クロロエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなどであるが、それだけに限定されないアクリレート、メタクリレート、およびその誘導体;メタクリルアミド、ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−クロロエチルアクリルアミド、2−ニトロブチルアクリルアミドを含むアクリルアミドおよびその誘導体;N−ビニルピロリドン、アセナフタレン、N−ビニルアセトアミド、フェニル−アセチレン、アクロレイン、メチルアクロレイン、N−ビニルピリジン、酢酸ビニル、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニルメチルケトン、塩化ビニリデン、スチレンおよびその誘導体;プロペン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化アクリロイル、酢酸アリル、塩化アリル、アリルベンゼン、ブタジエンおよびその誘導体;N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルカルバゾール、シンナメートおよびその誘導体;シトラコンイミドおよびその誘導体;クロトン酸、フタル酸ジアリル、1,1−ジフェニル−エチレン、クロロトリフルオロ−エチレン、ジクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどであるがそれだけに限定されないエチレンおよびその誘導体;フマレートおよびその誘導体;ヘキセンおよびその誘導体;酢酸イソプロペニル、イソプロペニルメチルケトン、イソプロペニルイソシアネートなどであるがそれだけに限定されないイソプレンおよびその誘導体;イタコナートおよびその誘導体;イタコンアミドおよびその誘導体;ジエチルマレアート、2−(アクリロイルオキシ)エチルジエチルホスフェート;ホスホン酸ビニルおよびその誘導体;無水マレイン酸、マレイミド、シリコンモノマーおよびその誘導体;ラクトン、ラクタム、カーボネート、ならびにその任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1、2、または3に記載の方法。
【請求項15】
前記溶媒が、水、アルコール、エチレングリコール、エタノール、アセトン、ポリ(エチレングリコール)およびその誘導体;ポリ(エチレングリコール)、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アルカンおよびその誘導体の溶液;アセトニトリル、酢酸、ベンゼン、無水酢酸、酢酸ベンジル、四塩化炭素、クロロベンゼン、n−ブタノール、2−クロロエタノール、クロロホルム、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ジ(エチレングリコール)、ジ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、1,4−ジオキサン、N,N,ジメチルアセトアミド、N,N,ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、ホルムアルデヒド、n−ヘプタン、ヘキサクロロエタン、ヘキサン、イソブタノール、イソプロパノール、メタノール、メチルエチルケトン、ニトロベンゼン、n−オクタン、n−ペンタノール、酢酸プロピル、プロピレングリコール、ピリデン、テトラヒドロフラン、トルエン、トリクロロエチレン、o−キシレンおよびp−キシレン、モノマー、マクロマー、液体架橋剤、またはその混合物の群から選択される求核性、求電子性、または両親媒性分子からなる群から選択される、請求項1、2、または3に記載の方法。
【請求項16】
前記溶媒が前記モノマーまたはマクロマーを溶解するが、前記モノマーまたはマクロマーから形成されたポリマーまたは架橋ポリマーを溶解しない、請求項1、2、または3に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1種のモノマーまたはマクロマーが約0.001重量%〜約75重量%の範囲で存在する、請求項1、2、または3に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1種のモノマーまたはマクロマーが約0.001重量%〜約60重量%の範囲で存在する、請求項1、2、または3に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマーが、ポリアクリレート、ポリスルホン、ペプチド配列、タンパク質および誘導体、オリゴペプチド、分解性ポリマー、コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、フィブリン、フィブロネクチン、ラミニン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エトキシエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)などであるがそれだけに限定されないポリメタクリレート;ポリ(酢酸ビニル)ポリアセタート、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリ(N−ビニルピロリジノン)を含むポリアミノ酸、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)ポリグリコール酸、ポリ乳酸、乳酸とグリコール酸のコポリマー、ならびにポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ブタジエン)、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ(クロロプレン)、ネオプレン、ポリ(イソブテン)、ポリ(イソプレン)、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(オキシメチレン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシテレフタロイル)、ポリ[イミノ(1−オキソヘキサメチレン)]、ポリ(イミノアジポイル−イミノヘキサメタレン)、ポリ(イミノヘキサメチレン−イミノセバコイル)、ポリ[イミノ(1−オキソドデカメチレン)]などであるがそれだけに限定されないポリアミド、セルロース、ポリスルホン、炭水化物;ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、アルギネート、dex−ラクテート−HEMA、dex−GMA、dex−HEMAを含むデキストラン−アクリレートなどのデキストランおよび修飾デキストラン、アガロース、キトサンならびにその誘導体;キチンならびにその混合物;デンプン、デンプン誘導体、セルロースおよび誘導体などの多糖類および修飾多糖類からなる群から選択される請求項6に記載の方法。
【請求項20】
前記金型の内部表面を物理的または化学的に修飾し、分離した液相のビーズ化または分散を誘発させることによって、予め選択された形態を前記製品の壁の中に誘発させるステップを含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
シラン化剤を含む分子による、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
溶媒を除去するステップを含み、ステップ(a)、(b)および(c)を少なくとも1回繰り返して多層製品を製造することを含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
溶媒を除去するステップを含み、ステップ(a)、(b)および(c)を繰り返すことを含み、ステップ(a)において、前記混合物に、構成要素が壁中に埋め込まれた多層製品を製造するための粒子が含まれており、前記構成要素が、細胞、タンパク質、ペプチド、酵素、遺伝子、ベクター、成長因子、ホルモン、ヌクレオチド、治療薬、薬剤、および炭水化物を含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記構成要素が、製品の壁に直接埋め込まれる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記構成要素が微粒子またはナノ粒子に埋め込まれており、微粒子またはナノ粒子が製品の壁に埋め込まれる、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記金型を前記混合物で充填する前に、前記金型の前記内部表面を、回転中にその上に付着される製品の接着性が高まるように処理する、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記金型を前記混合物で充填する前に、前記金型の前記内部表面を、回転中にその上に付着される製品の接着が防止されるように処理する、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
(a)予め選択されたサイズと形状の構造体を金型の内部に挿入して固定し、金型の内部の残りの部分に、相分離因子によって少なくとも2つの相に相分離することのできる少なくとも2つの成分を含む混合物を、そこから実質上全ての気泡が取り除かれるように充填するステップと、
(b)前記構造体と混合物を含む前記金型を、前記相のうちの少なくとも1つの相が回転下で構造体の外部表面に付着するように有効な回転速度で回転させるステップと、
(c)前記金型の内部表面に付着した前記少なくとも1つの相を安定化することによって前記製品を形成するステップとを含む、製品の製造方法。
【請求項29】
前記混合物が、等量のエタノールで希釈し、2倍モル過剰の無水酢酸と混合した、キトサンを酢酸水溶液に溶かした溶液を含み、前記製品が、ゲル化および離液を用いた相分離により形成され、予め選択されたサイズと形状の構造体の外側に付着したキチンである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記キトサンの溶液がキトサンを2%酢酸水溶液に溶かした3%溶液であり、予め選択されたサイズと形状の構造体を前記金型から取り外す、請求項29に記載の方法であって、予め選択されたサイズと形状の構造体からキチン製品を残すステップ、予め選択されたサイズと形状の構造体からキチン製品を取り外すステップ、および空気中に貯蔵することによってキチン製品を乾燥してから予め選択されたサイズと形状の構造体から取り外すステップのうち1つを含む、方法。
【請求項31】
金型の内部に、相分離因子によって少なくとも2つの相に相分離することのできる少なくとも2つの成分を含む混合物を、そこから実質上全ての視認可能な気泡が取り除かれるように充填するステップと、
前記混合物を含む前記金型を、前記相のうちの少なくとも1つの相が回転下で金型の内部表面に付着するように有効な回転速度で回転させるステップと、
前記金型の内部表面に付着した前記少なくとも1つの相を安定化することによって製品を形成するステップとを含む方法によって製造された製品。
【請求項32】
前記製品を前記金型から取り外すことを含む、請求項31に記載の製品。
【請求項33】
前記中空金型が、前記製品が管になるような円筒形管である、請求項31に記載の製品。
【請求項34】
前記少なくとも2つの成分中の少なくとも1つがモノマーとマクロマーの群からなる群から選択され、他が少なくとも1種の溶媒であり、内部表面上に付着する前記少なくとも1つの相が少なくとも1種のモノマーとマクロマーを含み、前記付着した相の安定化ステップが、重合による少なくとも1種のモノマーとマクロマーのゲル化を含む、請求項31に記載の製品。
【請求項35】
前記相分離因子が、溶液不混和性、ポリマーの非混和性、光、pH、開始剤、温度変化、金型中の化学生成物の形成、カチオンおよび/またはアニオン濃度の変化、電場および磁場からなる群から選択される、請求項34に記載の製品。
【請求項36】
前記開始剤が、フリーラジカル開始剤、熱および光開始剤、レドックス開始剤、アニオン性、カチオン性または開環開始剤からなる群から選択される、請求項35に記載の製品。
【請求項37】
前記製品が、多孔質構造体、ゲル構造体または多孔質/ゲル構造体の重なり合う領域を含む壁形態を有する、請求項34に記載の製品。
【請求項38】
前記製品が、主としてゲル形態を含む壁形態を有し、表面から管腔側へ走る多孔質チャネルを備えていることで外部壁表面上に斑点が生じている、請求項34に記載の製品。
【請求項39】
前記少なくとも2つの成分が、少なくとも1種の溶媒に溶解した少なくとも1種のポリマーを含み、前記混合物が少なくとも2種の溶液から構成され、内部表面上に付着する前記少なくとも1つの相が少なくともポリマーを含み、前記付着した相の安定化ステップがそのゲル化を含む請求項31に記載の製品。
【請求項40】
前記相分離因子が、溶液不混和性、光、pHの変化、温度変化、金型中の化学生成物の形成、カチオンおよび/またはアニオン濃度の変化、電場および磁場からなる群から選択される、請求項39に記載の製品。
【請求項41】
前記ゲル化が、光、pHの変化、温度変化、金型中の化学生成物の形成、カチオンおよび/またはアニオン濃度の変化、電場および磁場からなる群から選択される因子に曝露することによって達成される、請求項39に記載の製品。
【請求項42】
前記製品が、多孔質構造体、ゲル構造体、または多孔質/ゲル構造体の重なり合う領域を含む壁形態を有する、請求項39に記載の製品。
【請求項43】
前記製品が、主としてゲル形態を含む壁形態を有し、表面から管腔側へ走る多孔質チャネルを備えていることで外部壁表面上に斑点が生じている、請求項39に記載の製品。
【請求項44】
前記製品が、多層製品を製造するためにステップ(a)、(b)および(c)を少なくとも1回繰り返して製造された多層製品である、請求項31に記載の製品。
【請求項45】
前記壁構造体が、薬剤、治療薬、細胞、細胞産物、遺伝子、ウイルスベクター、タンパク質、ペプチド、ホルモン、炭水化物、成長因子、酵素の送達用貯蔵器として用いられる、請求項34に記載の製品。
【請求項46】
前記壁構造体が、薬剤、治療薬、細胞、細胞産物、遺伝子、ウイルスベクター、タンパク質、ペプチド、ホルモン、炭水化物、成長因子、酵素の送達用貯蔵器として用いられる、請求項39に記載の製品。
【請求項47】
前記溶液が予め選択された構成要素を含む粒子を含み、前記粒子が製品の壁構造体内に均一にまたは勾配をもって分布している、請求項39に記載の製品。
【請求項48】
前記粒子が微粒子またはナノ粒子であり、前記予め選択された構成要素が、酵素、タンパク質、ペプチド、遺伝子、ベクター、成長因子、ホルモン、ヌクレオチド、炭水化物、薬剤、治療薬、または細胞を含む、請求項39に記載の製品。
【請求項49】
前記細胞が、ニューロン、幹細胞、幹細胞誘導細胞、嗅覚鞘細胞、シュワン細胞、星状細胞、小神経膠細胞、または乏突起神経膠細胞、内皮細胞、上皮細胞、繊維芽細胞、ケラチン生成細胞、平滑筋細胞、肝細胞、骨髄誘導細胞、造血幹細胞、神経膠細胞、炎症性細胞、および免疫系細胞を含む、請求項39に記載の製品。
【請求項50】
前記粒子が微粒子またはナノ粒子であり、前記予め選択された構成要素が、酵素、タンパク質、ペプチド、遺伝子、ベクター、成長因子、ホルモン、オリゴヌクレオチド、または細胞を含む、請求項39に記載の製品。
【請求項51】
前記細胞が、ニューロン、幹細胞、幹細胞誘導細胞、嗅覚鞘細胞、シュワン細胞、星状細胞、小神経膠細胞、または乏突起神経膠細胞、内皮細胞、上皮細胞、繊維芽細胞、ケラチン生成細胞、平滑筋細胞、肝細胞、骨髄誘導細胞、造血幹細胞、神経膠細胞、炎症性細胞、および免疫系細胞を含む、請求項50に記載の製品。
【請求項52】
前記粒子が分解性粒子であり、それによって前記構成要素を経時的に放出する、請求項50に記載の製品。
【請求項53】
被覆すべき金型の中に物体を挿入するステップを含み、前記物体が前記少なくとも1つの相で被覆され、その少なくとも1つの相が前記物体上で安定化される、請求項1に記載の方法。
【請求項54】
前記物体が、メッシュ、骨格、ステント、コイル、耳排液管、腹部/胃腸の構造的代替物、腹部大動脈瘤用ステント、食道骨格、および金型の表面を占める繊維からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項55】
前記金型が、神経誘導チャネルとして機能するのに適した材料から作られ、前記製品がその内部表面に被覆される、請求項1に記載の方法。
【請求項56】
前記製品が、神経誘導チャネルとして機能するのに適した材料から作られる、請求項1に記載の方法。
【請求項57】
前記方法が被覆すべき金型の中に物体を挿入するステップを含む請求項31に記載の製品であって、前記少なくとも1つの相で被覆された物体を含み、その少なくとも1つの相が前記物体上で安定化される、製品。
【請求項58】
前記金型の内部表面上に付着された前記少なくとも1つの相を安定化することによる前記ステップ(c)が、ゲル化、相の光への曝露、pHの変化、温度変化、金型内の化学生成物の形成、カチオンおよび/またはアニオン濃度の変化、電場および磁場の1つまたは組み合わせによって達成される、請求項3に記載の方法。
【請求項59】
前記金型の内部表面上に付着された前記少なくとも1つの相を安定化することによる前記ステップ(c)が、ゲル化、相の光への曝露、pHの変化、温度変化、金型内に化学生成物の形成、カチオンおよび/またはアニオン濃度の変化、電場および磁場の1つまたは組み合わせによって達成される、請求項6に記載の方法。
【請求項60】
冠動脈バイパス移植片、血管移植片、人工卵管、緑内障用排液インプラント、涙腺導管用排液インプラント、腸、靭帯、腱、神経誘導チャネル、尿管または尿道の代替物などの人工組織、耳排液管、腹部/胃腸の構造的代替物、大動脈瘤用ステント、食道骨格、複合カテーテル、シャント、送達マトリックス、ペースメーカのリードに塗布されたコーティング、移植可能なセンサのワイアリード、侵襲的心臓病学用のワイア、およびバイオセンサとして使用するための請求項31に従って製造された製品。
【請求項61】
(a)金型の内部に、相分離因子によって少なくとも2つの相に相分離することのできる少なくとも2つの成分を含む混合物を部分的に充填するステップと、
(b)前記混合物を含む前記金型を、前記相のうちの少なくとも1つの相が回転下で金型の内部表面に付着するように有効な回転速度で回転させるステップと、
(c)前記金型の内部表面に付着した前記少なくとも1つの相を安定化することによって製品を形成するステップとを含む、製品の製造方法。
【請求項62】
前記混合物が、生分解性であり、多糖類、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステルエーテル、ポリエステルウレタン、ポリ無水物、ポリペプチド、タンパク質およびその誘導体の群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記円筒形管に、1種以上の個別のモノマー/マクロマー配合物を、段階的な壁組成から構成されるポリマー管製品が形成されるように逐次的に充填する、請求項9に記載の方法。
【請求項64】
前記個別のモノマー/マクロマー配合物が、市販の勾配付け装置、シリンジポンプ、または特別制御液体送達装置を用いて段階的に前記円筒形中空金型中に導入される請求項63に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【公表番号】特表2006−517478(P2006−517478A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501417(P2006−501417)
【出願日】平成16年2月13日(2004.2.13)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000191
【国際公開番号】WO2004/071736
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(505305835)マトリジェン,コーポレーション (1)
【出願人】(306010967)
【出願人】(306010978)
【出願人】(306010989)
【出願人】(306010990)
【出願人】(306011001)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月13日(2004.2.13)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000191
【国際公開番号】WO2004/071736
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(505305835)マトリジェン,コーポレーション (1)
【出願人】(306010967)
【出願人】(306010978)
【出願人】(306010989)
【出願人】(306010990)
【出願人】(306011001)
【Fターム(参考)】
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