説明

遠心噴霧装置

【課題】 建屋内は、天井面、妻面に換気扇、循環扇を設置しないと外気の導入と、内気の循環がなく、略密封された空間である。建屋内で生育する作物の生育障害と、畜舎で飼育する豚、牛、鶏等が疾病にかかりやすく、生育環境等の改善が求められていた。
【構成】 吸込口、吐出口を有するケーシングに間隔をおいて、基端側が閉塞された噴霧手段用の筒体と、筒体に間隔をおいて設けた回転板と、モータと、回転板に水を圧送するポンプ、並びに筒体の水回収用の回収孔を設ける、筒体に間隔をおいて設けた環状体の中心で、かつ軸芯方向に多数個の突条及び貫通孔を設け、かつ環状体の開放側の軸方向で、かつ突条、及び貫通孔が設けられていない部位に帯環部を設ける構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウス、畜舎、工場等の建屋で冷房又は加湿を行うことで、温湿度の偏差を解消し、作物、家畜の生育環境、労働環境の向上に寄与する遠心噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、天候、気象条件に影響を受けずに、作物を栽培し又は家畜を飼育し、年中に亘り、人々が望む食物を収穫するという目的のもと、ビニールハウス等のハウス栽培が重宝されてきた。しかし、これらのハウスは、天井面、妻面に換気扇、循環扇を設置しないとハウス内での外気及び/又は内気の送風又は循環がなく、略密封された空間であるため、ハウス栽培で生育する作物は疫病にかかりやすかった。さらに、畜舎においても、畜舎内の換気が充分に行えないため、畜舎で飼育する豚、牛、鶏等の家禽が疾病にかかりやすく、その生育環境の改善が求められていた。
【0003】
さらに、作物の種類によっては、温度と湿度の偏差により、作物が結露し、葉核病、疫病等が発生し、収穫量の減少、良質な作物が収穫できなくなり、又、害虫が発生し、ハウス栽培の効率化が図れない等の問題点があった。
【0004】
また、前記と同様に、工場内においても、工場の占有面積が広大であると、その工場に設けた冷房機器だけ充分な冷房が行えず、作業者にとって、酷であり、昨今多発している熱中症等の病気を併発したりして、安全な労働環境が求められてきた。
【0005】
そこで、このような問題を解決するための手段として、本願発明のように、細霧及び/又は散霧を噴霧する装置又は方法が開示されていたので、本願発明に係る先行文献調査に基づく公報を幾つか下記に例示する。
【0006】
まず、第一に挙げられる先行文献としては(文献1とする)、特開2001−141288号の「加湿装置」がある。この概要は、送風フアンの送風作用で吸入口を通じて吸入された空気を吐出口へ吐出し、この送風ファンの下側に加湿用の水が貯蔵される水タンクを備えたケーシングと、水タンクの水を水道管に強制圧送するポンプと、ケーシングの吸入口及び吐出口の間に位置し、電動機に連結されて回転し、この送風ファンの中心から放射状に多数形成された長方形の水の噴出溝を通じて水道管から供給された水を粒子状にして噴出する回転体と、回転体の外周縁を覆うように形成され、円周方向に多数のスリット溝が形成され、電動機を覆うハウジングの一側面にネジ固定された固定体とから成立する構成であり、点検及び保守の作業性を向上させ、自由に移動可能な一体型の構造提供することを意図する。
【0007】
次に、第二に挙げられる先行文献としては(文献2とする)、実用新案登録第3068525号の「ミストファン及びミストファンキット」がある。この概要は、ミストファンは、送風扇を備えている送風扇枠の前面に、送風扇の羽根径に見合ったサイズで4個の噴出口を有するリング状の送液管を設置し、この送液管に設けられている水供給口から所定の圧力(1kgf/cm2 〜8kgf/cm2 )をかけた水を供給すると共に、送風扇を回転させることにより、その風圧で、噴出口から噴霧されてミスト状になった水を温室内に拡散させ、このミストの気化潜熱により、温室内を冷房するものである。そして、このミストファンには、図示の様に、その下方に水受けを設置することにより、送液管において結露した水滴を下方で受け止める様に構成であり、送液管内に消毒液や水を一定以上の圧力をかけて供給すると共に、送風扇を作動させることにより、送液管に設けた噴出口から噴霧されるミストを、ビニールハウス、温室又は畜舎内に拡散させ、これによりビニールハウス、温室又は畜舎内の消毒や気化潜熱による冷房を実行することを意図する。
【0008】
最後に、第三に挙げられる先行文献としては(文献3とする)、最公表1998−05432号の「散霧装置および散霧方法物」がある。この概要は、互いに対向配置された対向円盤の間に中心から外周方向に延びた複数の羽根を挟んで配置したような構造の羽根車を構成し、その中央に、給水用の開口を形成する。また、前記の対向円盤の間の空間に、前記給水開口から流入して来た水が衝突するように複数の邪魔部材を配設する構成であって、ビニールハウスないし温室、畜舎、農作物などに大量の噴霧を行うのに適する散霧装置および散霧方法に関し、簡易な装置によって大量の細霧を発生させ、広い領域に散布可能とすることを意図する。
【0009】
【特許文献1】特開2001−141288号
【特許文献2】実用新案登録第3068525号
【特許文献3】再公表1998−05432号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
文献(1)は、水タンクから加湿用の水を圧送し、この水を噴出溝から粒子状の噴出する構成であるが、この構成上、噴出溝から噴出される粒子の粒が粗くなる(大粒粒子の発生)と考えられる。この大型粒子の発生に伴う問題点として、大型粒子であると、回転板の回転数の上昇又は送風量を大きくしないと、その大型粒子が遠方まで飛散しないこと、また、この回転数では飛散しなかった大型粒子の量が増え、水量を一定量ポンプから圧送しても、その水量の漏れに無駄が生じること、この漏れにより大型粒子の水滴落下による作物又は家畜へ濡れ、疾病発生が生じること、さらに、この大型粒子により、細霧化(微粒粒子による飛散)ができなくなり、本装置の意図する細霧冷房、加湿効果が図れないこと、薬液障害等の2次的な問題まで発生する。なお、この装置を使用することによって、その本来の目的を達成するために、時間と手間がかかることも考えられ、効率よく細霧、噴霧が行うことが出来ないなどの問題が指摘される。
【0011】
次に、文献(2)は、送風扇枠の前面に、4個の噴出口を有するリング状の送液管を設置し、この噴出口から水を噴霧する構成であるが、この構成上、噴出口の形状が大きいため、前記文献(1)と同様の問題が発生すると考えられる。また、この噴出口を四個に分散して設けてあるため、その送液管の噴出口以外からは、水の噴霧が行われないため、その構成上、水量が一度に多く噴出されず、送風機からの送風量を増加させたとしても、遠方まで噴霧されないこと、また、塵埃の捕捉を意図した場合においては、前述した噴霧能力では、充分な効果は期待できないこと、そして、このことから、多数台の設置が必要となり、メンテナンスの煩雑化、管理に手間がかかること、稼動コストの上昇等の問題も発生する。
【0012】
最後に、文献(3)も文献(1)、文献(2)とその構成は異なるが、文献(1)と同様に大型粒子が発生し、前述したような問題が発生すると考えられる。
【0013】
そこで、本発明は、前記の問題点を解決するために、下記の効果を奏する。
(イ)回転板と突条及び/又は貫通孔をエリミネーターとして機能させ、この微細粒子の発生により、微細粒子を遠方まで噴霧及び/又は拡散(飛散)できること、そして、前記回転板の回転で飛散する微細粒子を、遠方まで到達可能となること、また、水及び/又はエネルギー資源の軽減化と、水及び/又は空気の圧送損失の減少化を図り、もって、省エネルギーを図る。
(ロ)各部品の先端側から、水滴の垂れを防止し、作物又は家畜、機械部品、人体等の濡れ防止と、品質の劣化、並びに濡れに起因する疾病防止と、作業者にとっても、安全な作業及び/又は労働環境を提供できる。
(ハ)細霧冷房、加湿効果が図れることで、薬液障害等による2次的な問題発生を回避、かつ予防できること、効率よく作物又は家畜、機械部品、人体等に対して、細霧、噴霧が行えること等の実益がある。
(ニ)また、遠方まで微細粒子を飛散することで、保温性、通気性の向上等を介して、生育環境を整えることで、良質な作物(畜産製品)が提供でき、作物の収穫量の拡充を図ることができる。
(ホ)さらに、遠方までの飛散が可能となり、例えば、設置台数の減少化が図れることから、メンテナンス・その他の管理の容易化、簡略化と、またランニングコスト・エネルギー資源の低廉化・容易化に貢献できること、並びに環境維持が図れる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明は、上記の(イ)〜(ニ)の目的を達成することを意図する。
【0015】
請求項1は、一方端に吸込口、他方端に吐出口を有するケーシングに、送風手段用の回転羽根と、この回転羽根を軸支する回転軸と、前記回転羽根を回転するモータを設けるとともに、このケーシングに間隔をおいて、基端側が閉塞された噴霧手段用の筒体と、この筒体に間隔をおいて設けた回転板と、この回転板を回転するモータと、前記回転板に水を圧送するポンプ、並びに前記筒体に設けた水回収用の回収孔を設ける構成の遠心噴霧装置であって、
この筒体に間隔をおいて設けた環状体に、間隔をおいて回転板を配備するとともに、この環状体の中心で、かつその軸芯方向に多数個の突条及び貫通孔を設け、かつこの環状体の開放側の軸方向で、かつこの突条、及び貫通孔が設けられていない部位に帯環部を設ける構成とした遠心噴霧装置である。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な突条及び貫通孔の位置関係を提供することを意図する。
【0017】
請求項2は、請求項1に記載の遠心噴霧装置であって、
前記多数個の突条及び貫通孔の直上に、前記回転板の環状端部が位置し、この多数個の突条及び貫通孔が、エリミネーターとして機能する構成とした遠心噴霧装置がある。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な環状体に設けた多数個の突条の少なくとも表面に形成した微細な凹凸形状を提供することを意図する。
【0019】
請求項3は、請求項1に記載の遠心噴霧装置であって、
前記環状体の少なくとも表面と、この環状体に設けた多数個の突条の少なくとも表面に、梨子地(ショットブラスト)加工、電飾加工等を介して、微細な凹凸形状を形成し、この環状体からの水滴の飛散を回避する構成とした遠心噴霧装置である。
【0020】
請求項4の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な筒体の少なくとも表面に形成した微細な凹凸形状を提供することを意図する。
【0021】
請求項4は、請求項1に記載の遠心噴霧装置であって、
前記筒体の少なくとも表面に、梨子地(ショットブラスト)加工、電飾加工等を介して、微細な凹凸形状を形成し、この環状体からの水滴の飛散を回避する構成とした遠心噴霧装置である。
【0022】
請求項5の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適なタンクとホースを提供することを意図する。
【0023】
請求項5は、請求項1に記載の遠心噴霧装置であって、
前記回転板に水を、ホースを介して吸水し、このホースを、この装置に装備するタンクに接続する構成とした遠心噴霧装置である。
【0024】
請求項6の発明は、請求項5の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な水位センサを提供することを意図する。
【0025】
請求項6は、請求項5に記載の遠心噴霧装置であって、
前記タンクには、水位センサを配備し、水の搬送量を随時監視する構成とした遠心噴霧装置である。
【0026】
請求項7の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な水漏れ防止用の防止壁を提供することを意図する。
【0027】
請求項7は、請求項1に記載の遠心噴霧装置であって、
前記筒体の開放側の下端部に、水漏れ防止用の防止壁に設ける構成とした遠心噴霧装置である。
【発明の効果】
【0028】
請求項1の発明は、一方端に吸込口、他方端に吐出口を有するケーシングに、送風手段用の回転羽根と、この回転羽根を軸支する回転軸と、前記回転羽根を回転するモータを設けるとともに、このケーシングに間隔をおいて、基端側が閉塞された噴霧手段用の筒体と、この筒体に間隔をおいて設けた回転板と、この回転板を回転するモータと、前記回転板に水を圧送するポンプ、並びに前記筒体に設けた水回収用の回収孔を設ける構成の遠心噴霧装置であって、
この筒体に間隔をおいて設けた環状体に、間隔をおいて回転板を配備するとともに、この環状体の中心で、かつその軸芯方向に多数個の突条及び貫通孔を設け、かつこの環状体の開放側の軸方向で、かつこの突条、及び貫通孔が設けられていない部位に帯環部を設ける構成とした遠心噴霧装置である。
【0029】
従って、請求項1は、
(イ)回転板と突条及び/又は貫通孔をエリミネーターとして機能させ、この微細粒子の発生により、微細粒子を遠方まで噴霧及び/又は拡散(飛散)できること、そして、前記回転板の回転で飛散する微細粒子を、遠方まで到達可能となること、また、水及び/又はエネルギー資源の軽減化と、水及び/又は空気の圧送損失の減少化を図り、もって、省エネルギーを図ることができること等の特徴を有する。
(ロ)各部品の先端側から、水滴の垂れを防止し、作物又は家畜、機械部品、人体等の濡れ防止と、品質の劣化、並びに濡れに起因する疾病防止と、作業者にとっても、安全な作業及び/又は労働環境を提供できること等の特徴を有する。
(ハ)細霧冷房、加湿効果が図れることで、薬液障害等による2次的な問題発生を回避、かつ予防できること、効率よく作物又は家畜、機械部品、人体等に対して、細霧、噴霧が行えること等の実益ができること等の特徴を有する。
(ニ)また、遠方まで微細粒子を飛散することで、保温性、通気性の向上等を介して、生育環境を整えることで、良質な作物(畜産製品)が提供でき、作物の収穫量の拡充を図ることができること等の特徴を有する。
(ホ)さらに、遠方までの飛散が可能となり、例えば、設置台数の減少化が図れることから、メンテナンス・その他の管理の容易化、簡略化と、またランニングコスト・エネルギー資源の低廉化・容易化に貢献できること、並びに環境維持が図れること等の特徴を有する。
【0030】
請求項2の発明は、請求項1に記載の遠心噴霧装置であって、
前記多数個の突条及び貫通孔の直上に、前記回転板の環状端部が位置し、この多数個の突条及び貫通孔が、エリミネーターとして機能する構成とした遠心噴霧装置がある。
【0031】
従って、請求項2は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な突条及び貫通孔の位置関係を提供できること等の特徴を有する。
【0032】
請求項3の発明は、請求項1に記載の遠心噴霧装置であって、
前記環状体の少なくとも表面と、この環状体に設けた多数個の突条の少なくとも表面に、梨子地(ショットブラスト)加工、電飾加工等を介して、微細な凹凸形状を形成し、この環状体からの水滴の飛散を回避する構成とした遠心噴霧装置である。
【0033】
従って、請求項3は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な環状体に設けた多数個の突条の少なくとも表面に形成した微細な凹凸形状を提供できること等の特徴を有する。
【0034】
請求項4の発明は、請求項1に記載の遠心噴霧装置であって、
前記筒体の少なくとも表面に、梨子地(ショットブラスト)加工、電飾加工等を介して、微細な凹凸形状を形成し、この環状体からの水滴の飛散を回避する構成とした遠心噴霧装置である。
【0035】
従って、請求項4は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な筒体の少なくとも表面に形成した微細な凹凸形状を提供できること等の特徴を有する。
【0036】
請求項5の発明は、請求項1に記載の遠心噴霧装置であって、
前記回転板に水を、ホースを介して吸水し、このホースを、この装置に装備するタンクに接続する構成とした遠心噴霧装置である。
【0037】
従って、請求項5は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な筒体の少なくとも表面に形成した微細な凹凸形状を提供できること等の特徴を有する。
【0038】
請求項6の発明は、請求項5に記載の遠心噴霧装置であって、
前記タンクには、水位センサを配備し、水の搬送量を随時監視する構成とした遠心噴霧装置である。
【0039】
従って、請求項6は、請求項5の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な水位センサを提供できること等の特徴を有する。
【0040】
請求項7の発明は、請求項1に記載の遠心噴霧装置であって、
前記筒体の開放側の下端部に、水漏れ防止用の防止壁に設ける構成とした遠心噴霧装置である。
【0041】
従って、請求項7は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な水漏れ防止用の防止壁を提供できること等の特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明の図面の説明をすると、図1は遠心噴霧装置の一例を示した断面側面図、図2は図1の正面図、図3は図1の背面図、図4は図1の環状体の一部を示した斜視断面図、図5は図1の側面図、図6は使用状態を示した第一の参考図、図7は使用状態を示した第二の参考図である。
【0043】
そこで、本発明の好ましい実施例の主要部及び/又は作用を分節し、この分節にしたがって、下記の構成の順で説明する。
(1) 遠心細霧装置である。
(2) 回転板である。
(3) 環状体である。
(4) 遠心細霧装置の流れの説明である。
(5) その他の構成である。
【0044】
(1)遠心細霧装置の説明に関して、
図1を基に、遠心細霧装置1について説明する。この遠心細霧装置1は、開放型の略筒状のケーシング2を外郭体とする構造であり、このケーシング2の一方端2aを吸込口3とし、他方端2bを吐出口4とする。
【0045】
そして、このケーシング2の一方端2aの内方は、送風手段用の回転羽根6を設ける。この回転羽根6は、ケーシング2に内装したモータ8の出力軸7に軸支することで、このモータ8の回転で、回転羽根6及び出力軸7が所定の回転数で回転し、ケーシング2の他方端2b(吐出口4)に向って、送風する。即ち、回転羽根6は、ハウス、畜舎、工場等の建屋A(以下、建屋Aとする)内に滞留、又は循環する内気及び/又は外気の吸込みと送風する構造である。従って、この目的を達するのであれば、回転羽根6の形状、枚数、取り付け位置等は限定されない。この回転羽根6のケーシング2の内周面との間に、間隔を有する。
【0046】
一方、このケーシング2の他方端2bの内方には、噴霧手段用の筒体10が前記ケーシング2の内面から間隙を設け、設置する。この間隙は、前記回転羽根6で生成された風の送風通路となる。なお、この筒体10の基端側10a(モータ側)には、その内面に所定の間隔を設けて環状体11が内装されている。そして、この環状体11は、その軸方向(X方向)において、筒体10の幅の略半分の幅としたことで、この筒体10の自由端側10bに帯状の環体部10cを形成する。この環体部10cは、後述するホースの設置場所を確保することと、後述する回転板からの水滴が、仮に垂れる場合でも、この水滴を受入れる構造(水の回収に役立つ構造)とし、水滴で発生する弊害を回避する。この筒体10の後端に設けた内側鍔片に、環状体11の後端内鍔片を添接し、螺子14を介して両者を一体とし、かつこの両者間に、隙間を形成する。またこの筒体10の後端は、モータケース8000(モータ8も可能)の外周の放射方向に設けた後面板1000を介して、このモータ8に支持されるとともに、ケーシング2の内面との間に間隔をおいて、内装される構造である。
【0047】
さらに、この環状体11には、その内面より間隔を設けて凹凸条を設けた円盤(浅皿)形状の回転板12が内装されている。この回転板12の後端は、前記後面板1000でカバーされるとともに、この回転板12は、前記モータケース8000(ケーシング2も可能)に設けたモータ13の出力軸13aに固止されている。従って、この回転板12は、モータ13の回転を介して、適宜の回転数で回る。なお、この回転板12の円盤形状の凹凸条は、給水手段から供給される水を、その広い表面で捉え、かつ滞留時間を確保することと、水を放射方向に端部に、確実に流動するために設けられている。また強度の向上及び/又は肉薄化が図れる特徴がある。そして、この凹凸条の形状及び/又は本数は、限定されない。
【0048】
(2)回転板の説明に関して、
回転板12は、その中心のボス部が、モータ13の出力軸13aに軸支されており、前述の如く、モータ13の運転により回転する。なお、この回転体12は、前記環状体11に内装できる径であり、この環状体11に接触せずに、スムーズかつ盲動することなく回転するので、水の飛散及び/又は噴霧と、水の効率的な利用、又は風圧の損失の回避等が図れる。
【0049】
そして、この回転板12には、水を供給するためホース21の開口が隣接して設けられている。このホース21の下端は、水を貯留するタンク20にあり、このタンク20は、ケーシング2の下部に添設、又は別置きされている。なお、このタンク20の貯水量を適宜調整するため、タンク20に水位センサ22を配備する。図示しないが、この水位センサ22は、電磁弁が配備した構成例では、水道等の給水設備から、随時水の供給又は停止を調整できる役割を果たす。図中23は、この水道等の給水設備から水の供給を行う供給口である。そして、25は、ポンプであり、前記供給口23から供給された水を随時搬送する。
【0050】
24は、噴霧量を調整するために、ケーシング2に添設又は別置きされた調整バルブである。なお、この調整バルブ24は、正転することで噴霧量を減少し、反転することで噴霧量を増加させる構造とする。
【0051】
(3)環状体の説明に関して、
環状体11は、上記に説明したように、環状体11の基端側11aは、後面板1000を介して閉塞し、その自由端側11bは開放している構造である。なお、環状体11は、軸方向(筒体の長さ)において、基端側11aより略中心位置(軸方向の略2分の1)で、その軸芯方向に、多数個の突条110が形成される。この突条110の端部は、前記回転板12の環状端部の近傍に位置する構成である。なお、この突条110は、前記環状体11を穿孔し、軸芯方向に立設させるため、環状体11には、適宜間隔を設けた多数の貫通孔111が形成される。その他の構造として、この突条110及び貫通孔111の形状は、原則として、その形状は限定されない。これは、突条110及び貫通孔111を、エリミネーターとして機能させることから、水が突条110に衝突して、微細粒子となる必要があり、その形状は、回転板12より飛散される、水が衝突し易い形状が望ましい。そして、この突条110をプレス成形する構造では、貫通孔111は、突条110と相似形状となる。また、この環状体11の自由端側11bより略中心位置(軸方向の略2分の1)で、この突条110及び貫通孔111が設けられてない部位に帯環部112を設ける。この帯環部112は、突条110及び貫通孔111を介して、飛散及び/又は噴霧されなかった水を、筒体10の下端部に設けた水回収用の回収孔100に、誘導するものであり、水道としての役割をする。この構造で、環状体11から、筒体10への水の流れ(水滴の流れ)と、水滴の飛散防止を図る。
【0052】
そして、帯環部112を、水道として役割を果たすために、環状体11及び/又は多数個の突条110の表面に、梨子地(ショットブラスト)加工、電飾加工等の加工を施し、その表面を微細な凹凸形状を形成する。この凹凸形状は、回転板12の回転により拡散又は飛散(飛散とする)された水が、突条110に衝突して、微細粒子となる。この微細粒子を、環状体11及び/又は突条110の表面に残留させるために形成されたものであり、この凹凸形状を介して、微細粒子の残留を確保する構造である。即ち、この微細粒子の表面張力で、球状となることを回避し、この表面上に残留し易くするためである。この残留効果は、水滴の発生回避と、その飛散をなくして、水の垂れをなくすこと、並びにこれらに纏わる前述の各弊害解消と、水の有効利用と、また省エネルギーの確保等を図ることができる。
【0053】
また、この梨子地(ショットブラスト)加工、電飾加工は、前記環状体11の表面、突条110の表面に限定されず、前述の構造及び効果から、筒体10の少なくとも表面にも、これらの加工を施す。
【0054】
(4)遠方噴霧装置における流れの説明に関して、
この遠方噴霧装置の構造は、詳述したので、この遠方噴霧装置の水の流れ、風の流れについて、以下に説明する。
【0055】
まず、回転羽根6の吸引により吸い込まれた建屋Aの内気及び/又は外気は、ケーシング2の吸込口3から吐出口4の方向へと順送される。
【0056】
また、前記タンク20よりホース21を介して圧送された水が、回転板12の回転(遠心力)で飛散される。この飛散により、水は、環状体11に設けた多数の突条110又は貫通孔111に衝突し、エリミネーターとして、総合的な粒子の微細化を行い、微細粒子を形成する。
【0057】
こうして形成された微細粒子は、前記表面に加工された凹凸形状のため、その帯環部112で残留し、前記送風により、吐出口4から送風される。なお、この送風で送出できなかった水又は大型粒子(微細粒子よりも大きな粒子とする)は、帯環部112を流れ、筒体10の下部に設けた水回収用の回収孔100まで流入する。この回収孔100まで流入した水は、タンク20に貯留され、噴霧手段として、再利用される。この帯環部112を流れる水は、筒体10にも流れこむ構造であり、水が大量に流れこんだ場合には、その水が筒体10外へと流出する危険性も生じる。そのため、筒体10の開放側の下端部に、水漏れ防止用の防止壁101を設置する。従って、この筒体10より、その外側に、水が溢れることなく、回収孔100によって、スムーズに回収される。また、この防止壁101を設置することで、水量を一定量ポンプから圧送する際も、その水量に無駄が生じなくなること、水の有効利用と、また省エネルギーの確保等を図ることができる。なお、この防止壁101は、その両端を少し折り曲げ形成することで、水滴の垂れを効率的に補集することもでき、回収孔100への水の回収率の向上が務まる。
【0058】
(5)その他の構成について説明に関して、
ケーシング2には、その上部に吊り具40を係止する係止部材41を数箇所備えており、この係止部材41を介して、建屋Aにおける作業者が望む位置、向きに設置することが可能となる。
【0059】
また、この吊り具40の長さを変更することにより、遠心細霧装置1は、水平状態から俯角調整を行うことも可能である。この俯角調整が可能となることより、作物へ直接的な加湿及び冷却が行え、遠方まで微細粒子を噴霧することで、保温性、通気性の向上等の生育環境を整えることを図り、良質な作物が提供でき、作物の収穫量の拡充を図ることができる。ただし、この俯角幅は、水の流路となる帯環部112から水が溢れることもあるため、限定されない。なお、この水の溢れを防止するためにも、前記防止壁101の高さ、大きさ、形状を変更する構造が考えられるが、送風による風圧の損失、微細粒子が防止壁101に衝突することも考慮しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は遠心噴霧装置の一例を示した断面側面図
【図2】図2は図1の正面図
【図3】図3は図1の背面図
【図4】図4は図1の環状体の一部を示した斜視断面図
【図5】図5は図1の側面図
【図6】図6は使用状態を示した第一の参考図
【図7】図7は使用状態を示した第二の参考図
【符号の説明】
【0061】
1 遠心細霧装置
2 ケーシング
2a 一方端
2b 他方端
3 吸込口
4 吐出口
6 回転羽根
7 回転軸
8 モータ
8000 モータケース
10 筒体
10a 基端側
10b 自由端側
10c 環体部
100 回収孔
101 防止壁
1000 後面板
11 環状体
11a 基端側
11b 自由端側
110 突条
111 貫通孔
112 帯環部
12 回転板
13 モータ
13a 出力軸
14 螺子
20 タンク
21 ホース
22 水位センサ
23 供給口
24 調整バルブ
25 ポンプ
40 吊り具
41 係止部材
A 建屋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方端に吸込口、他方端に吐出口を有するケーシングに、送風手段用の回転羽根と、この回転羽根を軸支する回転軸と、前記回転羽根を回転するモータを設けるとともに、このケーシングに間隔をおいて、基端側が閉塞された噴霧手段用の筒体と、この筒体に間隔をおいて設けた回転板と、この回転板を回転するモータと、前記回転板に水を圧送するポンプ、並びに前記筒体に設けた水回収用の回収孔を設ける構成の遠心噴霧装置であって、
この筒体に間隔をおいて設けた環状体に、間隔をおいて回転板を配備するとともに、この環状体の中心で、かつその軸芯方向に多数個の突条及び貫通孔を設け、かつこの環状体の開放側の軸方向で、かつこの突条、及び貫通孔が設けられていない部位に帯環部を設ける構成とした遠心噴霧装置。
【請求項2】
請求項1に記載の遠心噴霧装置であって、
前記多数個の突条及び貫通孔の直上に、前記回転板の環状端部が位置し、この多数個の突条及び貫通孔が、エリミネーターとして機能する構成とした遠心噴霧装置。
【請求項3】
請求項1に記載の遠心噴霧装置であって、
前記環状体の少なくとも表面と、この環状体に設けた多数個の突条の少なくとも表面に、梨子地(ショットブラスト)加工、電飾加工等を介して、微細な凹凸形状を形成し、この環状体からの水滴の飛散を回避する構成とした遠心噴霧装置。
【請求項4】
請求項1に記載の遠心噴霧装置であって、
前記筒体の少なくとも表面に、梨子地(ショットブラスト)加工、電飾加工等を介して、微細な凹凸形状を形成し、この環状体からの水滴の飛散を回避する構成とした遠心噴霧装置。
【請求項5】
請求項1に記載の遠心噴霧装置であって、
前記回転板に水を、ホースを介して吸水し、このホースを、この装置に装備するタンクに接続する構成とした遠心噴霧装置。
【請求項6】
請求項5に記載の遠心噴霧装置であって、
前記タンクには、水位センサを配備し、水の搬送量を随時監視する構成とした遠心噴霧装置。
【請求項7】
請求項1に記載の遠心噴霧装置であって、
前記筒体の開放側の下端部に、水漏れ防止用の防止壁に設ける構成とした遠心噴霧装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−60854(P2009−60854A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231895(P2007−231895)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(391008294)フルタ電機株式会社 (176)
【Fターム(参考)】