説明

遠心脱水装置の再構築方法、及び遠心脱水装置の再構築設計システム

【課題】必要最小限の構成部品だけを交換することによって、既設のデカンタ型の遠心脱水装置を直胴型の遠心脱水装置に再構築する遠心脱水装置の再構築方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る遠心脱水装置1の再構築方法は、円筒形状の直胴部211a及び円錐台形状のテーパ部211bを有し、内部に供給される含水物を搬送しながら遠心力を利用して脱水する回転体2と、該回転体2のシャフト221を回転可能に支持する一対の軸受51D,52Dと、回転体2を収容するケーシング4と、を有する既設の遠心脱水装置1を新たな遠心脱水装置に再構築する方法において、既設の回転体2を、既設のケーシング4に収容可能であって、且つ、直胴部211aの回転体2全長に占める比率が既設の回転体2より高い新たな回転体に交換するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設のデカンタ型の遠心脱水装置を直胴型の遠心脱水装置に再構築することによって延命化または機能改善を図る、遠心脱水装置の再構築方法及び遠心脱水装置の再構築設計システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種汚泥等の含水物を脱水する手段として、遠心力を利用して固体と液体とを分離させる遠心脱水装置が従来用いられている。ここで、この遠心脱水装置は、一度設置してから使用不可能または使用不適当となるまでの標準的な耐用年数が、約15年とされている。そして、遠心脱水装置が耐用年数を迎えた場合、装置を更新するために、既設の構成を全て撤去した後、新たな遠心脱水装置を1から建設することが従来行われている。
【0003】
ところで、遠心脱水装置は、含水物が内部に供給されて回転駆動される回転体の形状によって、いわゆるデカンタ型と直胴型に大別される。デカンタ型とは、その回転体が、円筒形状の直胴部と円錐台形状のテーパ部とを有するものであって(例えば、特許文献1参照)、その差速装置の形式や制御方法等の違いによって、標準型と高効率型とに分類される。
【0004】
一方、直胴型とは、その回転体の大部分が、円筒形状の直胴部から構成されるものであって、回転体の末端部分まで一定の大きさの遠心力が得られる。従って、この直胴型は、デカンタ型と比較して低動力、低含水率、低薬注率、処理量増大といった性能面での優位性を有していることが知られており、別名で低動力型とも呼ばれている。そこで、遠心脱水装置が未だ耐用年数に達する前であっても、装置の性能の改善を図るべく、既設のデカンタ型の構成を全て撤去した後、直胴型の装置など既設の装置よりも高性能の装置を、1から建設する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−94611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の方法では、装置の更新、性能改善のために、交換する必要のない部品まで取り替えることにより、材料費増大によるコストアップ及び工数増大による作業の煩雑化を招くという問題がある。より詳細に説明すると、例えば延命化を目的として遠心脱水装置を再構築する場合、遠心脱水装置を構成する各部の構成は、構成部品毎に耐用年数が異なり、例えば、回転体のように回転駆動される構成部品と、回転体を収容するケーシングや回転体を支持する架台のように回転駆動されない構成部品とを比較すると、回転駆動されない構成部品は疲労や磨耗が生じにくいため、回転駆動される構成部品と比較して耐用年数が長い。それにも拘らず、従来の方法では既設の遠心脱水装置の全ての構成部品を撤去するため、耐用年数に未だ達していない構成部品まで取り替えることになる。
また、既設の遠心脱水装置の性能改善を図る場合でも同様で、性能向上に寄与しない構成部品まで取り替えることになる。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、必要最小限の構成部品だけを交換することによって、既設の遠心脱水装置を再構築する遠心脱水装置の再構築方法及び遠心脱水装置の再構築設計システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る遠心脱水装置の再構築方法は、円筒形状の直胴部及び円錐台形状のテーパ部を有し、内部に供給される含水物を搬送しながら遠心力を利用して脱水する回転体と、該回転体のシャフトを回転可能に支持する一対の軸受と、前記回転体を収容するケーシングと、を有する既設の遠心脱水装置を新たな遠心脱水装置に再構築する方法において、既設の前記回転体を、既設の前記ケーシングに収容可能であって、且つ、前記直胴部の前記回転体全長に占める比率が既設の前記回転体より高い新たな回転体に交換することを特徴とする。
【0009】
このような方法によれば、既設の回転体を新たな回転体に交換するだけの簡略な作業によって、回転体以外の構成の交換を最小限として既設の遠心脱水装置が再構築される。この時、遠心力を利用して含水物の脱水を行う回転体について、ケーシングに収容可能としつつ、既設の回転体に対して新設の回転体の直胴部の回転体全長に占める比率を高くすることで、脱水性能が向上する。
【0010】
また、本発明に係る遠心脱水装置の再構築方法は、前記回転体が、含水物が供給される外胴ボウルと、該外胴ボウルを挿通されたシャフトの周面に羽根部材が突出して設けられた内胴スクリューと、を有し、前記新たな回転体の外胴ボウルのシャフト径が、既設の前記軸受に対応することを特徴とする。
【0011】
このような方法によれば、新たな回転体のシャフト径が既設の軸受に対応しているので、回転体の交換に伴って軸受を交換する必要がない。従って、再構築の前後で軸受を流用することにより、材料費削減によるコストダウン及び工数削減による作業の簡略化を図ることができる。
【0012】
また、本発明に係る遠心脱水装置の再構築設計システムは、円筒形状の直胴部及び円錐台形状のテーパ部を具備して、含水物が供給される外胴ボウル、並びに該外胴ボウルを挿通されたシャフトの周面に羽根部材が突出して設けられた内胴スクリュー、を有する回転体と、該回転体を収容するケーシングと、前記外胴ボウルを挟んだシャフトの軸線方向両側で前記シャフトを回転可能に支持する一対の軸受と、を備える既設の遠心脱水装置を、新たな遠心脱水装置に再構築する遠心脱水装置の再構築設計システムにおいて、予め記憶部に記憶された複数の型式から、前記回転体が既設の前記ケーシングに収容可能な外径を有し、且つ、前記直胴部の前記回転体全長に占める比率が既設の前記回転体より大きく設定された型式を選択する基本型式選択手段と、前記基本型式選択手段が選択した型式について、前記回転体のシャフト軸線方向に沿う寸法を、既設の前記ケーシングの大きさに応じて変更する仕様変更手段と、該仕様変更手段による変更後の仕様、及び既設の前記遠心脱水装置の仕様について性能を比較する性能比較手段と、該性能比較手段による比較の結果、変更後の仕様が既設の前記遠心脱水装置の仕様と比較して脱水性能が改善している場合に、当該変更後の仕様を新たな前記遠心脱水装置の仕様に決定する新仕様決定手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、基本型式選択手段によって、予め記憶した複数の型式から基本型式として、ケーシングに収容可能で、且つ、直胴部の回転体全長に占める比率が既設の回転体より大きく設定された型式が選択される。次に、仕様変更手段によって、この基本型式の仕様の一部、具体的には回転体のシャフト軸線方向に沿う寸法が、既設のケーシングの大きさに応じて変更される。そして、比較性能手段によって既設の仕様と変更後の仕様について性能の比較をし、当該比較結果に基づいて新仕様決定手段によって変更後の仕様を決定することで、再構築後の新たな仕様を、既設のケーシングに収容可能で且つ既設の性能以上の性能のものとして、容易且つ確実に決定することができる。
【0014】
また、本発明に係る遠心脱水装置の再構築設計システムは、前記基本型式選択手段は、既設の前記回転体とシャフト径が同一または既設のシャフト径以上で最も近い径の型式を選択することを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、既設のシャフト径以上で最も近い径の型式を選択することで、ケーシングに収容可能かつ、既設以上の性能となりうる型式を選択することができるとともに、シャフトを支持する軸受などの支持構造の変更を最小限にすることができる。
【0016】
また、本発明に係る遠心脱水装置の再構築設計システムは、前記仕様変更手段が、前記回転体を構成する外胴ボウルのシャフト軸線方向への長さを変更することを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、基本型式の仕様について外胴ボウルのシャフト軸線方向への長さを変更することにより、既設のケーシングに収容可能な回転体の仕様を容易且つ確実に決定することができる。
【0018】
また、本発明に係る遠心脱水装置の再構築設計システムは、前記性能比較手段は、含水物の処理量、含水率、薬品注入率、または消費電力の少なくとも一つのパラメータについて、他のパラメータを一定として比較することで性能比較を行うことを特徴とする。
【0019】
このような構成によれば、既設の遠心脱水装置の仕様と、基本型式から変更した後の仕様との間で、容易且つ確実に性能を比較することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る遠心脱水装置の再構築方法及び遠心脱水装置の再構築設計システムによれば、既設のデカンタ型の遠心脱水装置を直胴型の遠心脱水装置に再構築するに際し、必要最小限の構成部品だけを交換するだけで済むため、材料費削減によるコストダウン及び工数削減による作業の簡略化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る既設デカンタ型の遠心脱水装置を示す鉛直方向の断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る直胴型の遠心脱水装置を示す鉛直方向の断面図である。
【図3】図1に示す状態からフィードパイプと回転体とを取り外した状態を示す鉛直方向の断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る遠心脱水装置の再構築設計システムの機能構成を示すブロック図である。
【図5】記憶部が格納するテーブルの一例を示す図である。
【図6】制御部において行われる遠心脱水装置の再構築設計処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
最初に、本発明の実施の形態に係る遠心脱水装置の再構築方法について説明する。本発明に係る遠心脱水装置の再構築方法は、既設の遠心脱水装置を新設遠心脱水装置に再構築するものである。まず、一般的な遠心脱水装置の構成について順に説明する。
【0023】
図1は、既設の遠心脱水装置1を示す鉛直方向の断面図である。遠心脱水装置1は、所謂デカンタ型と呼ばれるもので、内部が空洞状に形成された回転体2と、この回転体2の供給側端部から内部に挿入されたフィードパイプ3と、回転体2の長手方向中央部を収容するケーシング4と、回転体2の長手方向両端部に設けられた一対の支持ユニット5と、回転体2を回転駆動する駆動ユニット6と、を備えるものである。
【0024】
前記回転体2は、内部に供給された含水物を、搬送しながら遠心力を使用して脱水することにより、脱水ケーキと分離液とに分離するものである。この回転体2は、図1に示すように、中空の外胴ボウル21と、この外胴ボウル21の内部に設けられた内胴スクリュー22と、を具備している。
【0025】
外胴ボウル21は、その内部に含水物を供給されるものである。この外胴ボウル21は、図1に示すように、中空の筐体であるボウル本体211と、このボウル本体211の長手方向両端部から両側へ突出して設けられた中空の回転軸212と、を具備している。ここで、ボウル本体211は、円筒形状の直胴部211aと、円錐台形状のテーパ部211bと、を有している。そして、直胴部211aの供給側端部には、含水物から分離された分離液を排出するための分離液排出孔211cが、テーパ部211bの排出側端部には、含水物から分離された脱水ケーキを排出するためのケーキ排出孔211dが、それぞれ設けられている。
そして、このように構成される外胴ボウル21は、回転軸212が水平方向に延びるように配置された状態で、その両端部が支持ユニット5で下方から軸回りに回転可能に支持されることにより、ボウル本体211が設置面Fから所定の高さ位置に保持されている。尚、ボウル本体211の外形は本実施形態に限定されず、例えば直胴部211aの長さやテーパ部211bの傾斜角は、適宜設計変更が可能である。
【0026】
内胴スクリュー22は、外胴ボウル21の内部で含水物を撹拌しながら排出側へ搬送するものである。この内胴スクリュー22は、図1に示すように、長手方向中央部に若干大径のフィードゾーン221aが形成された略円柱形状のシャフト221と、このシャフト221の周面から径方向に突出して軸方向に螺旋状に延びる羽根部材222と、を有している。そして、シャフト221のフィードゾーン221aには、外胴ボウル21に連通する供給穴221bが貫通形成されている。
このように構成される内胴スクリュー22は、外胴ボウル21の内部に収容され、そのシャフト221の長手方向両端部が、外胴ボウル21の回転軸212の内部にそれぞれ挿入されている。尚、羽根部材222の軸方向へのピッチは任意に変更可能であり、例えば一定ピッチや漸減ピッチにすることが可能である。
【0027】
前記フィードパイプ3は、回転体2に対して含水物を供給するためのものである。このフィードパイプ3は、両端が開口した中空のパイプ部材であって、図1に示すように、回転体2の供給側端部から内胴スクリュー22のシャフト221の内部に差し込まれ、その一端は、シャフト221のフィードゾーン221aまで達している。一方、回転体2の供給側端部から突出したフィードパイプ3の他端は、支持ユニット5によって支持されている。
【0028】
前記ケーシング4は、外胴ボウル21を収容し、外胴ボウル21から排出される脱水ケーキ及び分離液を回収するものである。このケーシング4は、図1に示すように、中空の筐体であって、その供給側端部には、外胴ボウル21から回収した分離液を外部へ排出するための分離液シュート41が、排出側端部には、外胴ボウル21から回収した脱水ケーキを排出するためのケーキシュート42が、それぞれ設けられている。
【0029】
前記支持ユニット5は、回転体2をその長手方向両端部にて回転可能に支持するためのものである。この支持ユニット5は、図1に示すように、回転体2の供給側端部を支持する供給側支持ユニット51と、回転体2の排出側端部を支持する排出側支持ユニット52とから構成されている。
ここで、供給側支持ユニット51は、防振装置51Aを介して設置面Fの上に配置されたベースフレーム51Bと、このベースフレーム51Bに固定された軸受ハウジング51Cと、この軸受ハウジング51Cに収容されて外胴ボウル21の回転軸212を回転可能に支持する供給側軸受51Dと、ベースフレーム51Bから上方へ突出して設けられてフィードパイプ3の他端を保持するパイプ保持部材51Eと、を有している。
一方、排出側支持ユニット52は、防振装置52Aを介して設置面Fの上に配置されたベースフレーム52Bと、このベースフレーム52Bに固定された軸受ハウジング52Cと、この軸受ハウジング52Cに収容されて外胴ボウル21の回転軸212を回転可能に支持する排出側軸受52Dと、を有している。
尚、ベースフレーム51Bとベースフレーム52Bとを同一部材として構成することも可能である。
【0030】
前記駆動ユニット6は、回転体2を構成する外胴ボウル21と内胴スクリュー22とを異なる速度で回転駆動するものである。この駆動ユニット6は、図1に示すように、駆動源としてのモータ61と、このモータ61の回転駆動力を外胴ボウル21に伝達するベルト伝達機構62と、内胴スクリュー22のシャフト221を回転駆動する油圧式の差速装置63と、この差速装置63に対して作動油を供給する油圧ユニット64と、モータ61及び油圧ユニット64の動作を制御する制御盤65と、を具備している。
【0031】
ベルト伝達機構62は、モータ61によって回転駆動される駆動側プーリ621と、外胴ボウル21の回転軸212に固定された被駆動側プーリ622と、駆動側プーリ621及び被駆動側プーリ622の間に巻回された伝導ベルト623と、を有している。
【0032】
制御盤65は、図1に示すように、モータ61に接続されたインバータ651と、油圧ユニット64に接続されたトルク制御装置652と、を有している。そして、油圧ユニット64により内胴スクリュー22の搬送トルクが検出され、その検出結果がトルク制御装置652に対して入力されるようになっている。
トルク制御装置652は、油圧ユニット64に対しても制御信号を発することにより、油圧ユニット64から差速装置63に供給する油量を変化させる。これにより、内胴スクリュー22の回転速度が変化する。
【0033】
このように、外胴ボウル21と内胴スクリュー22の回転数の差速を制御することにより、外胴ボウル21の内部に含水物を堆積させれば、より長い時間に渡って遠心効果を含水物に与えることができるので、含水物の含水率をより低減させることができる。
【0034】
尚、本実施形態では、外胴ボウル21と内胴スクリュー22の回転数(差速)を制御するために、油圧式の差速装置及び油圧ユニットを用いたが、これに代えて、機械式の差速装置63を用いてもよい。機械式の差速装置63とは、不図示のモータの回転駆動力を遊星ギア機構又はサイクロ減速機で変速しつつシャフト221に伝達することによって、内胴スクリュー22を回転駆動するものである。尚、機械式の差速装置63を用いる場合、図1に示す油圧ユニット64は不要である。
また、本実施形態では、内胴スクリュー22の回転トルクを一定に保つ制御を行ったが、これに代えて、外胴ボウル21と内胴スクリュー22の回転数の差速を一定に保つ制御を行ってもよい。
【0035】
以上のように構成されるデカンタ型の遠心脱水装置1では、駆動ユニット6によって外胴ボウル21と内胴スクリュー22とが異なる回転速度で回転駆動された状態において、汚泥等の含水物がフィードパイプ3を通してシャフト221のフィードゾーン221aに供給される。すると、この含水物は遠心力を受けることにより、フィードゾーン221aから供給穴221bを通って外胴ボウル21へと移動する。
その後、この含水物は、外胴ボウル21と内胴スクリュー22との差速により、内胴スクリュー22の羽根部材222によって供給側から排出側へ向かって搬送されながら、遠心効果によって分離水と脱水ケーキとに分離される。そして、分離水は、分離液排出孔211cを通って分離液シュート41から装置外部へ排出される。一方、脱水ケーキは、ケーキ排出孔211dを通ってケーキシュート42から装置外部へ排出される。
【0036】
次に、図2は、本発明の実施形態に係る再構築方法により再構築された後の遠心脱水装置である直胴型の遠心脱水装置10を示す鉛直方向の断面図である。直胴型の遠心脱水装置10は、図1に示すデカンタ型の遠心脱水装置1と比較すると、回転体11の構成がデカンタ型の回転体2とは異なっている。それ以外の直胴型の構成については、基本的にデカンタ型と同じであるため、図2では図1と同じ符号を用い、ここでは説明を省略する。
【0037】
回転体11は、図2に示すように、中空の外胴ボウル12と、この外胴ボウル12の内部に設けられた内胴スクリュー13と、を備えている。
【0038】
外胴ボウル12は、図2に示すように、中空の筐体であるボウル本体121と、このボウル本体121の長手方向両端部から両側へ突出して設けられた中空の回転軸122と、を具備している。そして、ボウル本体121は、図1に示すデカンタ型のボウル本体211と異なり、円筒形状の直胴部121aだけで構成されている。また、ボウル本体121には、その供給側端部に、含水物から分離された分離液を排出するための分離液排出孔121bが設けられる一方、その排出側端部に、含水物から分離された脱水ケーキを排出するためのケーキ排出孔121cが設けられている。更に、ボウル本体121の内周面には、ケーキ排出孔121cに隣接して、外胴リング121dが取り付けられている。
【0039】
そして、このように構成される外胴ボウル12は、図2に示すように、デカンタ型の外胴ボウル21と同様、回転軸122の両端部が支持ユニット5で下方から支持されることにより、ボウル本体121が設置面Fから所定の高さ位置に保持されている。
【0040】
尚、本実施形態では、本発明に係る再構築方法の一例として、直胴部211aとテーパ部211bとを有するデカンタ型から、直胴部121aだけで構成される直胴型に再構築する場合について説明する。しかし、本発明に係る再構築方法は、直胴部の回転体全長に占める比率が既設の回転体より大きい新たな回転体に交換するものであれば足り、本実施形態に限定されず、例えば直胴部211aの回転体全長に占める比率が小さいデカンタ型から、直胴部211aの回転体全長に占める比率が大きいデカンタ型への再構築も含むものである。
【0041】
内胴スクリュー13は、図2に示すように、長手方向中央部に若干大径のフィードゾーン131aに形成された略円柱形状のシャフト131と、このシャフト131の周面から径方向に突出して軸方向に螺旋状に延びる羽根部材132と、を具備している。そして、シャフト131には、そのフィードゾーン131aに、外胴ボウル12に連通する供給穴131bが貫通形成されるとともに、排出側端部に、前記外胴ボウルの外胴リング121dと向かい合うようにして、内胴リング131cが取り付けられている。これにより、内胴リング131cと外胴リング121dとの間に、脱水ケーキをケーキ排出孔121cへ向かって絞り出すケーキ排出通路14が形成されている。
【0042】
以上のように構成される直胴型の遠心脱水装置によれば、駆動ユニット6によって外胴ボウル12と内胴スクリュー13とが回転駆動された状態において、汚泥等の含水物がフィードパイプ3を通してシャフト131のフィードゾーン131aに供給されると、この含水物は遠心力を受けることにより、フィードゾーン131aから供給穴131bを通って外胴ボウル12へと移動する。
その後、この含水物は、内胴スクリュー13の羽根部材132によって供給側から排出側へ向かって搬送されながら、遠心効果によって分離水と脱水ケーキとに分離される。そして、分離水は、分離液排出孔121bを通って分離液シュート41から装置外部へ排出される。一方、脱水ケーキは、ケーキ排出通路14を経てケーキ排出孔121cを通り、ケーキシュート42から装置外部へ排出される。
【0043】
このような直胴型によれば、外胴ボウル12が直胴部121aだけで構成されているため、外胴ボウル12の長手方向全長に渡って一定の遠心効果を得ることができる。これにより、外胴ボウル21の排出側端部において、ボウル本体211の径が細くなることによって遠心効果が低下するデカンタ型と比較すると、含水物の含水率をより確実に低減させることができる。更に、含水物は、幅の狭いケーキ排出通路14を通過する際に、外胴ボウル12の最外縁部の最も大きな遠心力を受けた含水物だけが選択的に搬送される為、含水物の含水率をより確実に低減させることができる。
【0044】
次に、本発明の実施形態に係る遠心脱水装置の再構築方法の作業手順、及びその作用効果について説明する。本発明の実施形態に係る遠心脱水装置の再構築方法は、既設のデカンタ型の遠心脱水装置を直胴型の遠心脱水装置に再構築する場合に用いるものである。
【0045】
まず、本発明の第1実施形態に係る遠心脱水装置の再構築方法について説明する。第1実施形態に係る遠心脱水装置の再構築方法は、既設のデカンタ型が内胴スクリューの搬送トルクを一定に制御するタイプであって、且つ、デカンタ型の差速装置が直胴型の内胴スクリューの搬送トルクに適合する場合に用いられる。
【0046】
遠心脱水装置の再構築を行う作業者は、まず、図1に示す状態から、フィードパイプ3を内胴スクリュー22から引き抜いた後、外胴ボウル21と内胴スクリュー22とを取り外す。これにより、遠心脱水装置1は、図1に示す状態からデカンタ型の回転体2が取り外されて、図3に示す状態となる。そして、作業者は、図3に示す状態の遠心脱水装置1に、図2に示す直胴型の回転体11、すなわち外胴ボウル12と内胴スクリュー13とを新たに取り付ける。
ここで、直胴型の回転体11としては、既設のケーシング4に収容可能な大きさのものを用いる。すなわち、回転体11は、図2に示すボウル本体121を構成する直胴部121aの外径D1が、図1に示すデカンタ型のケーシング4の高さ寸法H1より小さく形成されている。更に、回転体11は、図2に示すボウル本体121の長手方向寸法L1が、図1に示すデカンタ型のケーシング4の長さ寸法L2より短く形成されている。
【0047】
また、直胴型の回転体11としては、既設の支持ユニット5を流用可能な大きさのものを用いる。すなわち、回転体11は、図2に示すシャフト122の外径D2が、図1に示すデカンタ型のシャフト212の外径D3に略等しく形成されている。これにより、既設の供給側支持ユニット51を構成する軸受ハウジング51Cや供給側軸受51D、及び既設の排出側支持ユニット52を構成する軸受ハウジング52Cや排出側軸受け52Dを、取り外すことなくデカンタ型から直胴型へそのまま流用することができる。
【0048】
尚、この回転体2を回転体11に交換する際に、デカンタ型で使用していた軸受ハウジング51Cが特殊な形状であって、直胴型にはそのまま適用できない場合がある。このような場合、作業者は、必要に応じて軸受ハウジング51Cも取り外し、直胴型に適用可能な軸受ハウジング(不図示)に交換すればよい。
【0049】
また、作業者は、必要に応じてフィードパイプ3を交換してもよい。すなわち、デカンタ型の回転体2から直胴型の回転体11に交換すると、フィードゾーン221aとフィードゾーン131aとで位置が変化する場合があり、また、回転体2と回転体11とで固有振動数が変化する場合もある。従って、フィードパイプ3の先端が確実にフィードゾーン131aに届くように、或いはフィードパイプ3が回転体11の振動によって折れることを防止するために、フィードパイプ3も交換することが好適である。尚、フィードパイプ3の交換は、本発明に必須の構成要件ではない。
【0050】
このような第1実施形態に係る遠心脱水装置の再構築方法によれば、延命化または機能改善を目的として、既設のデカンタ型の遠心脱水装置1を直胴型の遠心脱水装置10に再構築するに際し、回転体2を新たな回転体11に交換するという、必要最小限の構成部品を交換するだけで済むため、料費削減によるコストダウン及び工数削減による作業の簡略化を図ることができる。
【0051】
また、作業者は、必要に応じて、図1に示すモータ61及びインバータ651を交換してもよい。すなわち、デカンタ型から直胴型へ再構築すると脱水性能が向上するため、デカンタ型の使用時と同じ含水率を維持すれば十分な場合、低動力での運転を選択可能となる。従って、このような低動力での運転を選択する場合には、それに対応したモータやインバータに交換することにより、省電力化を図ることができる。
【0052】
次に、本発明の第2実施形態に係る遠心脱水装置の再構築方法について説明する。第2実施形態に係る遠心脱水装置の再構築方法は、既設のデカンタ型が内胴スクリュー22の搬送トルクを一定に制御するタイプであって、且つ、デカンタ型の差速装置が直胴型の内胴スクリューの搬送トルクに適合しない場合に用いられる。
【0053】
より詳細に説明すると、既設のデカンタ型から直胴型へ再構築すると、外胴ボウル12のボウル本体121が直胴部121aだけで構成される直胴型は、デカンタ型と比較して回転体の容積が大きくなり、且つ、含水物が低含水率化して硬くなる。これにより、直胴型の内胴スクリュー13は、デカンタ型の内胴スクリュー22と比較して搬送トルクが大きくなる。従って、既設のデカンタ型において、低出力しか発揮できない機械式の差速装置63を使用していると、再構築に伴う搬送トルクの増大に対して差速装置63の出力が不足する場合がある。
【0054】
この場合、作業者は、既設のデカンタ型で使用していた機械式の差速装置63を取り外し、油圧式の差速装置63或いは高い出力を発揮可能な機械式の差速装置63に交換すればよい。ここで、高い出力を発揮可能な機械式の差速装置63を採用した場合、モータやインバータがこれに対応していなければ、これらも併せて交換すればよい。
【0055】
尚、本実施形態におけるそれ以外の作業については、第1実施形態の作業と同じであるため、ここでは説明を省略する。但し、デカンタ型から直胴型へ再構築した後に低動力で運転することが再構築前から判明している場合は、前述のように高い出力を発揮可能な機械式の差速装置63を採用しても、これに対応したモータやインバータに交換することなく、最初から省電力型のモータやインバータに交換すればよい。
【0056】
次に、本発明の第3実施形態に係る遠心脱水装置の再構築方法について説明する。第3実施形態に係る遠心脱水装置の再構築方法は、既設のデカンタ型が、内胴スクリュー22の搬送トルク制御を行わないタイプである場合に用いられる。
【0057】
この場合、内胴スクリュー22の搬送トルク制御を行わないため、前述のように、制御盤65にはトルク制御装置652が設けられていない。従って、作業者は、まず、トルク制御装置652を新たに設置するとともに、制御盤65を改造する。尚、本実施形態におけるその後の作業については、第2実施形態の作業と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0058】
次に、本発明の実施形態に係る遠心脱水装置の再構築設計システムについて説明する。図4は、本発明の実施形態に係る遠心脱水装置の再構築設計システム70の機能構成を示すブロック図である。遠心脱水装置の再構築設計システム70は、ROMやRAM等からなり、遠心脱水装置の各部仕様について予め定めた複数の型式データが記憶された記憶部71と、キーボードやマウス等からなり、ユーザが各種情報を入力する入力部72と、液晶画面等からなり、各部から出力された情報を表示する表示部73と、MPU等からなり、各部の動作を制御する制御部74と、を備えるものである。
【0059】
記憶部71は、直胴型の遠心脱水装置10に関する複数の型式データが、テーブル形式で格納している。図5は、記憶部71が格納するテーブルTの一例を示す図である。テーブルTには、型式名、シャフト径、ボウル本体の径、ボウル本体の長さ、軸長、ケーシングの高さ、ケーシングの長さ・・・等の仕様データが、互いに関連付けられた形で複数格納されている。尚、記憶部71が型式データを格納する形式としては、テーブル形式に限定されず、関連付けて格納可能な任意の形式を用いることができる。
【0060】
入力部72は、既設のデカンタ型の遠心脱水装置1に関する情報をユーザが入力可能に構成されている。ここで、ユーザが入力可能なデータとしては、既設デカンタ型の各部寸法値や、既設のデカンタ型の性能値、例えば含水物の処理量、含水率、薬注入率、または消費電力等が挙げられる。
【0061】
制御部74は、図4に示すように、予め定めた複数の型式から基本となる型式を選択する基本型式選択手段75と、選択した基本型式について仕様の一部を変更する仕様変更手段76と、既設の遠心脱水装置1の仕様を受け付ける既設仕様受付手段77と、変更後の仕様と既設の遠心脱水装置1の仕様とを性能比較する性能比較手段78と、性能比較した結果に基づいて新たな仕様を決定する新仕様決定手段79と、を具備している。
【0062】
基本型式選択手段75は、記憶部71から、複数の型式に関するデータが入力される。また、基本型式選択手段75は、既設仕様受付手段77から、シャフト221の外径に関するデータが入力される。そして、基本型式選択手段75は、入力されたデータに基づいて所定の処理を行った後、仕様変更手段76に対し、基本型式に関するデータを出力する。
【0063】
仕様変更手段76は、基本型式選択手段75から、基本型式に関するデータが入力される。また、仕様変更手段76は、既設仕様受付手段77から、ケーシング4の長さ寸法L2に関するデータが入力される。そして、仕様変更手段76は、入力されたデータに基づいて所定の処理を行った後、性能比較手段78に対し、変更後の仕様に関するデータを出力する。
【0064】
既設仕様受付手段77は、入力部72から、既設の遠心脱水装置1の仕様についてユーザが入力したデータが入力される。そして、既設仕様受付手段77は、入力されたデータに基づいて所定の処理を行った後、基本型式選択手段75に対し、シャフト212の外径に関するデータを出力する。また、既設仕様受付手段77は、仕様変更手段76に対し、ケーシング4の長さ寸法L2に関するデータを出力する。更に、既設仕様受付手段77は、性能比較手段78に対し、既設の遠心脱水装置1の各部仕様に関するデータを出力する。
【0065】
性能比較手段78は、図4に示すように、既設仕様性能演算部781と、変更仕様性能演算部782と、比較部783と、を有している。
【0066】
既設仕様性能演算部781は、既設仕様受付手段77から、既設の遠心脱水装置1の各部仕様に関するデータが入力される。そして、既設仕様性能演算部781は、入力されたデータに基づいて所定の処理を行った後、比較部783に対し、既設の性能演算結果に関するデータを出力する。
【0067】
変更仕様性能演算部782は、仕様変更手段76から、変更後の仕様に関するデータが入力される。そして、変更仕様性能演算部782は、入力されたデータに基づいて所定の処理を行った後、比較部783に対し、変更後の性能演算結果に関するデータを出力する。
【0068】
比較部783は、既設仕様性能演算部781から、既設の性能演算結果に関するデータが入力される。また、比較部783は、変更仕様性能演算部782から、変更後の性能演算結果に関するデータが入力される。そして、比較部783は、入力されたデータに基づいて所定の処理を行った後、新仕様決定手段79に対し、比較結果に関するデータを出力する。また、比較部783は、仕様変更手段76に対しても、比較結果に関するデータを出力する。尚、本実施形態では、既設の仕様での性能を演算によって求めているが、これに代えて、既設の仕様での性能値自体を入力部72でユーザが入力することによって、比較部783に入力されるようにしてもよい。
【0069】
新仕様決定手段79は、性能比較手段78の比較部783から、比較結果に関するデータが入力される。そして、新仕様決定手段79は、入力されたデータに基づいて所定の処理を行った後、表示部73に対し、新仕様に関するデータを出力する。また、新仕様決定手段79は、記憶部71に対しても、新仕様に関するデータを出力する。
【0070】
図6は、制御部74において行われる遠心脱水装置の再構築設計処理の流れを示すフローチャートである。遠心脱水装置の再構築設計処理が開始されると、まず、図4に示す基本型式選択手段75が、記憶部71から入力された複数の型式データと、既設仕様受付手段77から入力された既設のシャフト212の外径とを比較する。そして、複数の型式データ中に、既設のシャフト212と同一の外径の型式があるか否かを判定する(S1)。
【0071】
その結果、既設のシャフト221と同一の外径の型式が存在すると判断した場合(S1:Yes)、基本型式選択手段75は、当該型式を選択する(S2)。一方、既設のシャフト212と同一の外径の型式が存在しないと判断した場合(S1:No)、基本型式選択手段75は、既設のシャフト212の外径より大きい範囲で最小のシャフト径の型式を選択する(S3)。
【0072】
更に、基本型式選択手段75が、S2またはS3で選択した基本型式の中に、回転体11のボウル本体121の外径が、既設の回転体2のボウル本体211と同一の型式があるか否かを判定する(S4)。その結果、ボウル本体121の外径が既設のボウル本体211と同一の型式が存在すると判断した場合(S4:Yes)、基本型式選択手段75は、当該型式を選択する(S5)。一方、ボウル本体121の外径が既設のボウル本体211と同一の型式が存在しないと判断した場合(S4:No)、基本型式選択手段75は、ボウル本体211の外径が既設のケーシング4に収容可能な大きさの型式を選択する(S6)。例えば、基本型式選択手段75は、ボウル本体211の外径が、ケーシング4の高さ寸法より100mm以上小さい型式を選択する。
【0073】
そして、図4に示す仕様変更手段76が、選択した型式の仕様のうち回転体2のボウル本体211のシャフト軸線方向への長さを、既設のケーシング4に収容可能な長さに変更する(S7)。例えば、選択した基本型式の軸長J2、すなわち図2に示す供給側軸受51Dと排出側軸受52Dとの離間距離が、図1に示す既設のデカンタ型の軸長J1より長い場合には、その軸長の増加分(J2−J1)だけ、選択した型式のボウル本体211のシャフト軸線方向への長さを短くすればよい。
【0074】
次に、図4に示す性能比較手段78の既設仕様性能演算部781が、既設のデカンタ型の仕様に基づいてその性能を演算する(S8)。例えば、既設仕様性能演算部781は、既設のデカンタ型の仕様での単位時間当たりの処理量Qd(m/hr)を算出する。具体的には、既設仕様性能演算部781は、まず、既設の回転体2のボウル本体211の容積Vd(m)を算出する。そして、これに単位容積あたりの処理能力qd(1/hr)を乗じ、更に所定の定数A(m/hr)を加えることによって、単位時間当たりの処理量Qd(m/hr)を算出する。すなわち、次の(式1)が成り立つ。尚、単位容積あたりの処理能力qdは、脱水時間や薬注入率や回転数を所定値とした値を示している。
Qd(m/hr)=qd(1/hr)×Vd(m)+A(m/hr)・・・(式1)
【0075】
次に、図4に示す性能比較手段78の変更仕様性能演算部782が、基本型式を変更した後の仕様に基づいてその性能を演算する(S9)。例えば、変更仕様性能演算部782は、基本型式から変更後の仕様での単位時間当たりの処理量Qt(m/hr)を算出する。具体的には、既設仕様性能演算部781は、まず、仕様変更後の回転体11のボウル本体121の容積Vt(m)を算出する。そして、これに単位容積あたりの単位時間当たりの処理量qt(1/hr)を乗じ、更に所定の定数B(m/hr)を加えることによって、単位時間当たりの処理量Qt(m/hr)を算出する。すなわち、次の(式2)が成り立つ。
Qt(m/hr)=qt(1/hr)×Vt(m)+B(m/hr)・・・(式2)
【0076】
尚、既設仕様性能演算部781が演算する既設デカンタ型の仕様での性能、及び変更仕様性能演算部782が演算する変更後の仕様での性能としては、単位時間当たりの処理量Qd,Qtに限られず、含水率や薬注率や消費電力等を採用することもできる。
【0077】
そして、図4に示す性能比較手段78の比較部783が、既設デカンタ型の性能、例えば単位時間当たりの処理量Qdと、基本型式から変更後の仕様での性能、例えば単位時間当たりの処理量Qtとを、比較する。そして、比較部783は、変更後の仕様での性能が、既設デカンタ型の性能と比較して改善しているか否かを判定する(S10)。その結果、変更後の仕様での性能が、既設デカンタ型での性能と比較して改善していないと判断した場合(S10:No)、比較部783は、S6へと処理を戻す。そして、図4に示す基本型式選択手段75が、ボウル本体211の外径の1段階小さい型式を、新しい基本型式として選択する(S6)。その後、S7からS10までの処理を繰り返す。
【0078】
一方、S10における判定において、変更後の仕様での性能が、既設デカンタ型での性能と比較して改善していると判断した場合(S10:Yes)、図4に示す新仕様決定手段79が、当該変更後の仕様を新仕様として決定する(S11)。これにより、遠心脱水装置の再構築設計処理が終了する。
【0079】
尚、上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ、或いは動作手順等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 遠心脱水装置
2 回転体
3 フィードパイプ
4 ケーシング
5 支持ユニット
6 駆動ユニット
10 遠心脱水装置
11 回転体
12 外胴ボウル
13 内胴スクリュー
14 ケーキ排出通路
21 外胴ボウル
22 内胴スクリュー
41 分離液シュート
42 ケーキシュート
51 供給側支持ユニット
52 排出側支持ユニット
61 モータ
62 ベルト伝達機構
63 差速装置
64 油圧ユニット
65 制御盤
70 遠心脱水装置の再構築設計システム
71 記憶部
72 入力部
73 表示部
74 制御部
75 基本型式選択手段
76 仕様変更手段
77 既設仕様受付手段
78 性能比較手段
79 新仕様決定手段
121 ボウル本体
122 回転軸
131 シャフト
132 羽根部材
211 ボウル本体
212 回転軸
221 シャフト
222 羽根部材
621 駆動側プーリ
622 被駆動側プーリ
623 伝導ベルト
651 インバータ
652 トルク制御装置
781 既設仕様性能演算部
782 変更仕様性能演算部
783 比較部
121a 直胴部
121b 分離液排出孔
121c ケーキ排出孔
121d 外胴リング
131a フィードゾーン
131b 供給穴
131c 内胴リング
211a 直胴部
211b テーパ部
211c 分離液排出孔
211d ケーキ排出孔
221a フィードゾーン
221b 供給穴
51A 防振装置
51B ベースフレーム
51C 軸受ハウジング
51D 供給側軸受
51E パイプ保持部材
52A 防振装置
52B ベースフレーム
52C 軸受ハウジング
52D 排出側軸受
D1 外径
D2 外径
D3 外径
F 設置面
H1 高さ寸法
J1 軸長
J2 軸長
L1 長手方向寸法
L2 長さ寸法
T テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状の直胴部及び円錐台形状のテーパ部を有し、内部に供給される含水物を搬送しながら遠心力を利用して脱水する回転体と、該回転体のシャフトを回転可能に支持する一対の軸受と、前記回転体を収容するケーシングと、を有する既設の遠心脱水装置を新たな遠心脱水装置に再構築する方法において、
既設の前記回転体を、既設の前記ケーシングに収容可能であって、且つ、前記直胴部の前記回転体全長に占める比率が既設の前記回転体より高い新たな回転体に交換することを特徴とする遠心脱水装置の再構築方法。
【請求項2】
前記回転体が、含水物が供給される外胴ボウルと、該外胴ボウルを挿通されたシャフトの周面に羽根部材が突出して設けられた内胴スクリューと、を有し、
前記新たな回転体の外胴ボウルのシャフト径が、既設の前記軸受に対応することを特徴とする請求項1に記載の遠心脱水装置の再構築方法。
【請求項3】
円筒形状の直胴部及び円錐台形状のテーパ部を具備して、含水物が供給される外胴ボウル、並びに該外胴ボウルを挿通されたシャフトの周面に羽根部材が突出して設けられた内胴スクリュー、を有する回転体と、該回転体を収容するケーシングと、前記外胴ボウルを挟んだシャフトの軸線方向両側で前記シャフトを回転可能に支持する一対の軸受と、を備える既設の遠心脱水装置を、新たな遠心脱水装置に再構築する遠心脱水装置の再構築設計システムにおいて、
予め記憶部に記憶された複数の型式から、前記回転体が既設の前記ケーシングに収容可能な外径を有し、且つ、前記直胴部の前記回転体全長に占める比率が既設の前記回転体より大きく設定された型式を選択する基本型式選択手段と、
前記基本型式選択手段が選択した型式について、前記回転体のシャフト軸線方向に沿う寸法を、既設の前記ケーシングの大きさに応じて変更する仕様変更手段と、
該仕様変更手段による変更後の仕様、及び既設の前記遠心脱水装置の仕様について性能を比較する性能比較手段と、
該性能比較手段による比較の結果、変更後の仕様が既設の前記遠心脱水装置の仕様と比較して脱水性能が改善している場合に、当該変更後の仕様を新たな前記遠心脱水装置の仕様に決定する新仕様決定手段と、
を備えることを特徴とする遠心脱水装置の再構築設計システム。
【請求項4】
前記基本型式選択手段は、既設の前記回転体とシャフト径が同一または既設のシャフト径以上で最も近い径の型式を選択することを特徴とする請求項3に記載の遠心脱水装置の再構築設計システム。
【請求項5】
前記仕様変更手段が、前記回転体を構成する外胴ボウルのシャフト軸線方向への長さを変更することを特徴とする請求項3又は4に記載の遠心脱水装置の再構築設計システム。
【請求項6】
前記性能比較手段は、含水物の処理量、含水率、薬品注入率、または消費電力の少なくとも一つのパラメータについて、他のパラメータを一定として比較することで性能比較を行うことを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の遠心脱水装置の再構築設計システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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