遠隔操作式の水栓装置
【課題】操作装置と弁装置とを離隔して別々に設置することを可能となして水栓装置の設置部周りの美観,意匠性を良好となし且つ操作装置で加えた操作力を少ない部品点数、高い伝達効率で正確に弁装置に伝え得て、これを適正に動作させることのできる遠隔操作式の弁装置を提供する。
【解決手段】(イ)弁装置10と、(ロ)回転操作部180を備えた操作装置7を離隔して配置する。そしてそれらを揺動バー84を有する伝達機構12にて連結し、弁装置10を操作装置7にて遠隔操作するようになす。
【解決手段】(イ)弁装置10と、(ロ)回転操作部180を備えた操作装置7を離隔して配置する。そしてそれらを揺動バー84を有する伝達機構12にて連結し、弁装置10を操作装置7にて遠隔操作するようになす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は水栓装置に関し、詳しくは弁装置を操作装置と離隔して配置し、弁装置を操作装置にて遠隔操作するようになした遠隔操作式の水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水栓装置は弁装置に対して操作装置が直接結合した一体形態をなしており、この場合、例えば浴室の壁面から室内側に突出したカウンタ部に水栓装置を設置するとき、弁装置をカウンタ部の内部に収める必要のあることから、必然的にカウンタ部が大型化してしまう。そしてそのことによって水栓装置の設置部周りの美観,意匠性が損なわれてしまう。
【0003】
また従来の水栓装置では、操作装置の方向と弁装置の方向とを合致させる必要があるため、水栓装置全体の設置の方向が限られてしまい、水栓装置を設置する際の自由度が低いといった問題があった。
この場合、水栓装置における操作装置と弁装置とを別々に構成してそれらを離隔して配置し、弁装置を操作装置にて遠隔操作するようになすことが考えられる。
【0004】
例えば下記特許文献1には、操作装置と弁装置とを離隔して配置し、弁装置を操作装置にて遠隔操作するようになしたボックス型コックが開示されている。
この特許文献1に開示のものでは、操作部に加えられた操作力をラック部材からピニオンギヤに、更にピニオンギヤからラック部材に、更にラック部材からピニオンギヤへと伝達し、回転式の弁体を操作するようになしている。
【0005】
この特許文献1に開示のものは、単に弁体を開閉することを目的としたものであり、従って操作部に加えられた操作力を単にピニオンギヤとラック部材とで伝達することで目的を達することができるが、流量調節を必要とする水栓装置において、操作装置から弁装置への操作力の伝達経路を、これらピニオンギヤとラック部材とで構成するだけであると、ギヤとギヤとの噛合い部分のバックラッシに基いて発生する隙間(遊び)によって、流調操作部の操作位置が同一であっても、流量を増大させるときと減少させるときとで流量が異なってしまう、所謂ヒステリシス現象を起してしまい、水栓装置の性能を落してしまう。
【0006】
またこのようなピニオンギヤとラック部材との噛合いによる操作力の伝達機構の場合、操作装置に加えられた操作エネルギーがギヤの歯面と歯面との摩擦や滑り、或いはギヤとギヤとの間の遊びの部分で吸収されてしまい、操作力の伝達の効率が低いといった問題があり、その分大きな操作力を加える必要が生じたり、或いは操作力が正確に弁装置へと伝達され難いといった問題がある。
【0007】
【特許文献1】実開昭54−58643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上のような事情を背景とし、操作装置と弁装置とを離隔して別々に設置することを可能となして、水栓装置の設置の際のレイアウトの自由度を高めるとともに、水栓装置の設置部周りの美観,意匠性を良好となし、且つ操作装置で加えた操作力を高い伝達効率で正確に、また必要最小限の少ない部品点数で弁装置に伝え得て、弁装置を適正に動作させることのできる遠隔操作式の弁装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
而して請求項1のものは、(イ)弁装置と、(ロ)弁体の開弁量の調節を行う回転操作部を備え、該回転操作部の回転操作に基いて弁装置を作動させる、該弁装置とは離隔して配置された操作装置と、(ハ)該操作装置と該弁装置とを作動的に連結し、該操作装置に加えられた操作力を該弁装置に伝達する操作力の伝達機構と、を有し、該伝達機構は、長手形状をなし、長手方向の中間部で軸周りにシーソー運動可能に支持された揺動部材を有しているとともに、前記操作装置には、前記回転操作部の回転操作により回転操作量に応じた量で前記揺動部材の該操作装置側の一端部に対する作用点を、前記回転操作部の回転軸心と平行方向に直線運動させて、該揺動部材を前記軸周りに、該回転操作部の回転操作量に応じた量で連続的に回動させる運動変換部材が設けてあり、前記伝達機構が、前記揺動部材の前記軸周りの連続的な回動運動に基いて、前記弁装置側の他端部で該弁装置の前記弁体を前記回転操作部の回転操作量に応じた量で連続的且つ直線的に前進移動させ、該弁体の開弁量を連続的に変化させるものとなしてあることを特徴とする。
【0010】
請求項2のものは、請求項1において、前記運動変換機構が、前記回転操作部の回転操作によりねじ送りで直線運動する作用軸を有していることを特徴とする。
【0011】
請求項3のものは、請求項2において、前記運動変換部材が前記作用軸に加えて、該作用軸に螺合し、前記回転操作部の回転とともに回転してねじ送りで該作用軸を直線移動させる回転部材を有していて、それら作用軸と回転部材とで全体的に伸縮する伸縮軸を構成しているとともに、前記操作装置は、前記弁体を開閉させるプッシュ操作部と、該プッシュ操作部のプッシュ操作にて押込運動する押込部材とを有しており、該プッシュ操作部に対するプッシュ操作による該押込部材の押込運動及び押込位置から引込位置への引込運動により、前記伸縮軸を伸縮させることなく全体的に設定ストロークだけ前進及び後退移動させて位置切替えするものとなしてあり、前記伝達機構が、前記揺動部材の前記軸周りの回動運動により、前記プッシュ操作部の操作を前記弁体に伝達して、該弁体を吐水位置と止水位置とで位置切替えさせるようになしてあることを特徴とする。
【0012】
請求項4のものは、請求項3において、前記プッシュ操作部をプッシュ操作するごとに前記押込部材を前記押込位置と引込位置とに位置切替えし且つ位置保持するラッチ機構が設けてあり、且つ該ラッチ機構が前記操作装置に備えてあることを特徴とする。
【0013】
請求項5のものは、請求項4において、前記弁装置の側に、前記弁体を前記揺動部材側に付勢するばねが設けてあり、該ばねが前記伝達機構を介して前記ラッチ機構に付勢力を及ぼしており、該ばねが該ラッチ機構の動作用のばねを兼ねていることを特徴とする。
【0014】
請求項6のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記弁装置が、主弁体とパイロット弁体とを有し、該パイロット弁体との間に微小間隙を形成しつつ該パイロット弁体の進退移動に追従して該主弁体を同方向に進退移動させるパイロット式弁装置であり、該パイロット弁体に対して前記伝達機構が連結されていて、該パイロット弁体に操作力を伝達するようになしてあることを特徴とする。
【0015】
請求項7のものは、請求項1〜6の何れかにおいて、前記弁装置が浴室の壁から室内側に突出した洗面器置台の内部に、前記操作装置が該洗面器置台よりも上方で前記壁から室内側に突出したカウンタ部にそれぞれ配置してあり、前記伝達機構がそれら操作装置と弁装置と上下に連結していることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0016】
以上のように請求項1のものは、弁体の開弁量の調節を行う回転操作部を備えた操作装置と弁装置とを切り離して別々に離隔して設置するようになしたもので、かかる本発明によれば、水栓装置の設置の際のレイアウトの自由度を高めることができる。
また操作装置の設置個所に弁装置を併せて設置しておかなくても良く、弁装置をこれとは別の個所に且つ隠蔽状態で設けておくことができるため、操作装置の設置個所周り即ち水栓装置の設置個所周りの美観,意匠性を高めることができる。
【0017】
この請求項1のものは、操作装置に加えられた操作力を、シーソー運動可能な揺動部材を有する伝達機構を介して弁装置に伝達するようになしている点を特徴としており、この請求項1によれば、伝達機構としてピニオンギヤ及びラックギヤの噛合いにより操作力を伝達する場合に比べて、操作力の弁装置への伝達効率が高く、従って小さな操作荷重で弁装置を作動させることができ、操作装置を薄型に構成することが可能となる。
また揺動部材を有する伝達機構では所要部品点数を必要最小限に抑えることができ、水栓装置全体の部品点数を少なくし得て、水栓装置のコストを安価となすことができる。
【0018】
この請求項1は、回転操作部の回転操作により、その回転操作量に応じた量で、揺動部材の操作装置側の一端部に対する作用点を回転操作部の回転軸心と平行方向に直線運動させ、揺動部材を軸周りに且つ回転操作部の回転操作量に応じた量で連続的に回動させる運動変換部材を操作装置に設けてあり、操作力の伝達機構が、揺動部材の軸周りの連続的な回転運動に基いて、弁装置側の他端部で弁体を上記の回転操作量に応じた量で連続的且つ直線的に前進移動させ、弁体の開弁量を連続的に変化させるようになしている点を他の特徴としている。
【0019】
弁装置における弁体を単に開閉動作させるだけの場合、操作装置に押込操作部を設けておいて、その押込操作部により揺動部材の操作装置側の端部を直線的に押動し、操作力を弁体に伝達するようになすことは通常考え得るところである。
【0020】
しかしながら例えば流量調節を行う場合のように弁体を微妙に位置移動させることを必要とする場合、押込部材の僅かな押込みによって弁体が大きく移動してしまうことから、そうした揺動部材を仲介とした操作力の伝達方式をそのまま採用することは困難である。
そのようにすると、弁体の位置即ち弁体の開弁量を微妙に調節することが極めて難しく、押込部材を僅かに操作するだけでも弁体の位置が大きく変化してしまって、目的とする流量で吐水させることが困難となる。
【0021】
ここにおいてこの請求項1のものでは、弁体の開弁量の調節を行う操作部を回転操作部として操作装置に備えておき、その回転操作部の回転操作により、その操作量に応じた量で揺動部材の一端部に対する作用点を、回転操作部の回転軸心と平行方向に直線運動させる運動変換部材を設け、かかる運動変換部材によって、回転操作部の回転運動を一旦運動変換部材の作用点の直線運動に変換した上で、揺動部材の回動運動に変換するようにし、そしてこれにより揺動部材を微妙に回動運動させて、詳しくは揺動部材における各端部の軸周りの位置を微妙に位置変化させ、弁体の開弁量を連続的に変化させるようになしている。
【0022】
一般的に、揺動部材が傾けば傾くほど、弁体への操作量の伝達効率が悪くなる。
しかるにこの請求項1の場合、回転操作部を大きく回転操作した場合でも、詳しくは操作力の入力部を大きく回転移動させても、運動変換部材の作用点の直線移動量(距離)を容易に少なくすることができる。
その結果、高い伝達効率を維持することができる。
また、揺動部材の軸周りの回転角度位置を微小に変化させることができ、従ってこれに応じて弁体の位置を微妙に位置変化させることができる。
【0023】
従ってこの請求項1を、給水と給水停止及び給水量変化させる単水栓装置等の給水装置に適用し、回転操作部を流調操作部として構成した場合において、その回転操作部の操作により流調を行う際、回転操作部の回転操作に基づいて吐水の流量を微妙に且つ連続的に変化させ、調節することができる。
【0024】
また請求項1を、湯側弁体と水側弁体とを有し且つそれらの開弁量を互いに逆の関係で大小変化させて湯水の混合比率(即ち混合水温度)を変化させる湯水混合弁装置に適用し、回転操作部を、例えば湯側弁体の開弁量を調節することで混合水温度を変化させる温調操作部として構成した場合、回転操作部の操作により混合水温度を微妙に変化させ、調節することができる。
【0025】
この場合において、回転操作部の回転とともに回転する回転カムを運動変換機構に備えておき、そのカム面の揺動部材の操作装置側の一端部への接触点を、回転操作部の回転軸心と平行方向に変化させて、揺動部材を軸周りに回動運動させるようになすことができるが、請求項2に従って、運動変換部材を、回転操作部の回転操作によりねじ送りで直線運動する作用軸を有するものとなしておくことができる(請求項2)。
【0026】
このようにすれば、回転操作部の回転運動を効果的に運動変換機構の直線運動に変換することができ、且つ回転操作部を大きく回転操作しても、作用軸をその操作量に応じた少ない量(距離)だけ直線運動させることができ、これにより揺動部材の各端部を微妙に位置変化させ、またこれに伴って弁体を微妙に位置変化させて、その開弁量の調節を行うことができる。
【0027】
次に請求項3は、上記の作用軸に螺合し、回転操作部の回転とともに回転して、ねじ送りで作用軸を直線移動させる回転部材を運動変換部材に備えて、それら作用軸と回転部材とで全体的に伸縮する伸縮軸を構成するとともに、操作装置に、弁体を開閉させる操作部としてのプッシュ操作部と、これに対するプッシュ操作にて押込み運動する押込部材を設けておき、プッシュ操作部に対するプッシュ操作による押込部材の押込運動、及び押込位置から引込位置への引込運動により、伸縮軸を伸縮させることなく全体的に設定ストロークだけ前進及び後退移動させるようになし、そして上記の伝達機構により、揺動部材の軸周りの回動運動にてプッシュ操作部の操作を弁体に伝達し、かかる弁体を開弁位置と閉弁位置とに位置切替えするようになしたものである。
この請求項3によれば、回転操作部とプッシュ操作部とのそれぞれに加えた操作をともに揺動部材を介して弁体に伝達し得、以ってかかる弁体の開弁量を調節し、また開閉させることができる。
【0028】
この場合において請求項3を上記の単水栓装置等の給水装置に適用して、プッシュ操作部を吐止水操作部として構成し、そのプッシュ操作によって吐止水を行うようになすことができる。
また請求項3を上記の湯水混合弁装置に適用して、プッシュ操作部を例えば湯側弁体の開閉を行う開閉操作部として構成し、そのプッシュ操作部によって、湯側弁体を開弁状態と閉弁状態とに状態切替えすることで、湯水混合弁装置を、混合水吐水状態と水のみを吐水する水吐水状態とに状態切替えするようになすことができる。
【0029】
この請求項3の水栓装置では、伸縮軸が回転操作部の操作により予め所定の伸縮状態とされた後、プッシュ操作部の操作によりその伸縮量を(伸縮状態を)保ったまま、設定ストローク進退移動して前進位置と後退位置とに位置切替えされるため、この請求項3の水栓装置では、弁体が閉弁状態から開弁状態に状態切替えされたとき、予め調節済みの開弁量で弁体を開弁させることができる。
従って上記の単水栓装置等にあっては、止水状態から吐水状態に状態切替えしたときに、予め調節済みの流量で吐水を行わせる事ができる。
また湯水混合弁装置において、例えば湯側弁体を閉弁状態から開弁状態に状態切替えしたときに、即ち水吐水状態から混合水吐水状態に状態切替えしたときに、予め調節済みの混合水温度で混合水吐水を行わせることができる。
【0030】
この請求項3において、プッシュ操作部をプッシュ操作するごとに、押込部材を押込位置と引込位置とに位置切替えし且つ位置保持するラッチ機構を設け、且つそのラッチ機構を操作装置に備えておくこができる(請求項4)。
【0031】
このようにすれば、プッシュ操作部の操作によって弁体を開弁状態と閉弁状態とで切り替えたときに、そのラッチ機構によりその後も開弁状態と閉弁状態とをそのまま維持することが可能となる。
またそのラッチ機構は操作装置の側に備えてあるため、ラッチ機構による切替えの感触が手に直接伝わり、切替動作が行われたことを手で直接感じ取ることができ、使用者に良好な操作感を感じさせることができる。
【0032】
本発明ではまた、弁装置の側に弁体を後退方向で開弁方向に付勢するばねを設け、そのばねを、伝達機構を介して操作装置側に付勢力を及ぼすラッチ機構の動作用のばねとなしておくことができる(請求項5)。
このようにすれば、弁体を揺動部材側に付勢し、操作力を弁体に伝達させるためのばねと、ラッチ機構の動作用のばねとを別々に設けなくても良く、必要なばねの個数を少なくすることができる。
【0033】
本発明ではまた、弁装置を、主弁体とパイロット弁体とを有し、パイロット弁体との間に微小間隙を形成しつつパイロット弁体の進退移動に追従して主弁体を同方向に進退移動させるパイロット式弁装置として構成し、そしてそのパイロット弁体に伝達機構を連結して、パイロット弁体に操作力を伝達するようになしておくことができる(請求項6)。
このようにすれば必要な操作力を更に小さくすることができ、一層の軽操作を実現することができる。
また操作力を伝達する部材の強度を小さくすることができ、所要コストを安価とすることができる。
【0034】
本発明ではまた、浴室の壁から室内側に突出した洗面器置台の内部に弁装置を収納し、また操作装置を洗面器置台よりも上方で壁から室内側に突出したカウンタ部に設けておくことができ、そして上側の操作装置と下側の弁装置とを伝達機構にて連結しておくことができる(請求項7)。
【0035】
このようにすることで、浴室内の特定の1つのカウンタ部に弁装置と操作装置とを有する水栓装置を設置する場合に比べて、外観上現れる操作装置の設置側のカウンタ部をコンパクトに構成することができ、水栓装置の設置部の美観,意匠性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1は、浴室の内部を表している。
図中1は浴槽で、2は浴室の壁Wに取り付けられたカウンタ部材である。
カウンタ部材2は、壁Wから室内側に突出した下カウンタ部と、上カウンタ部3、及びそれらを上下に連絡する連絡部4を有している。
ここで下カウンタ部は洗面器置台5を成している。
またカウンタ部材2の上側には壁付のミラーMが設けられている。
【0037】
一方上カウンタ部3には、図2にも示しているように本実施形態の水栓装置6における操作装置7が取り付けられている。またこの上カウンタ部3には、先端に吐水口を有する水栓装置6における吐水管8が室内側に突き出す状態で設けられている。
尚、水栓装置6は水だけを吐水する単水栓の水栓装置となしておくこともできるし、また混合水を吐水する水栓装置となしておくこともできる。
【0038】
後者の場合には、図2に示しているように上カウンタ部3に温調(温度調節)操作部11を設けておき、その温調操作部11の操作により混合弁で適温に温度調節した混合水を吐水管8から吐水するようになしておくのが好適である。
【0039】
図2に示しているように、洗面器置台5の内部には水栓装置6における弁装置10が収容されており、この弁装置10と操作装置7とが、連絡部4の内部で伝達機構12にて上下に作動的に連結されている。
ここで伝達機構12は、操作装置7に加えられた操作力を弁装置10に伝達して弁装置10を動作させる。
尚90は伝達機構12に備えられた支持部材である。
【0040】
図4〜図6に弁装置10の構成が具体的に示してある。
図4は止水時の状態を表しており、図5は図4の要部を拡大して示している。
また図6は吐水時の状態を表している。
これらの図において、16は弁装置10におけるボデーで、その内部に主水路を形成する1次側の流入通路18,2次側の流出通路20が形成されている。
尚22は流入口で、24は流出口である。
【0041】
この実施形態では、弁機構全体が単一のユニットとしての着脱可能な弁カートリッジとして構成されている。図中26は、その弁カートリッジのカートリッジケースで、このカートリッジケース26は、図中の左部26-1と右部26-2とに分割されており、そしてそれらがカートリッジケース26の中間部をなす後述の背圧室形成部材28にて弾性的に連結されている。
弁カートリッジは、ボデー16内部に挿入された状態でボデー16への固定ナット30のねじ込みにより抜止状態に固定されている。
【0042】
図5において、32は主水路上に設けられたダイヤフラム弁体からなる主弁体で、樹脂製の硬質の主弁本体34と、これにより保持されたゴム製のダイヤフラム膜36とからなっている。
この主弁体32は、主弁座38に対して図中左右方向に進退移動して主水路を開閉し、また主水路の開度を変化させる。
詳しくは、主弁座38への着座によって主水路を遮断し、また主弁座38から図中左向きに離間することによって主水路を開放する。
また主弁座38からの離間量に応じて主水路の開度を大小変化させ、主水路を流れる水の流量即ち吐水部からの流量を調節する。
【0043】
この主弁体32の図中左側の背後には背圧室40が形成されている。
背圧室40は、内部の圧力を主弁体32に対して図中右向きの閉弁方向の押圧力として作用させる。
主弁体32には、これを貫通して1次側の流入通路18と背圧室40とを連通させる導入小孔42が設けられている。
この導入小孔42は、流入通路18からの水を背圧室40に導いて背圧室40の圧力を増大させる。
【0044】
主弁体32にはまた、これを貫通して背圧室40と2次側の流出通路20とを連通させる水抜水路としてのパイロット水路44が設けられている。
このパイロット水路44は、背圧室40内の水を流出通路20に抜いて、背圧室40の圧力を減少させる。
【0045】
図5に示しているように、主弁体32にはその中心部においてこれを軸心方向に貫通する貫通孔が設けられており、そこに吐止水パイロット弁体及び流調パイロット弁体を兼ねた共通のパイロット弁体46が挿通され、このパイロット弁体46の外周面と貫通孔の内周面との間に、通路幅が狭小な環状をなす上記パイロット水路44が形成されている。
【0046】
この主弁体32には、図7及び図8にも示しているように貫通孔の内周面に沿って主弁体32の軸心周りに環状をなすパイロット弁座48が一体に設けられている。
50はこのパイロット弁座48におけるシール部で、環状溝内部に環状をなす弾性シールリングとしてのOリング52を保持ししている。
【0047】
上記パイロット弁体46は、このパイロット弁座48に対し主弁体32の軸心に沿って図中左右方向に進退移動可能に嵌合するようになっている。
詳しくは、このパイロット弁体46は、断面円形をなし且つ図中左右方向即ち進退方向において外径が同径のシール部54と、これより先端側(図7中下側,図5中右側)の環状の凹所56とを有している。
環状の凹所56の軸方向の各端部は、凹所56の最小径部に向かって漸次小径となるテーパ面とされており、そのテーパ面の大径側の各端部に段付部58,60が形成されている。
【0048】
図4及び図5の止水状態ではパイロット弁体46は閉弁しており、このときパイロット弁体46は、シール部54をOリング52を介してパイロット弁座48に対し全周に亘って径方向に弾性接触させ、パイロット弁体46とパイロット弁座48との間を水密にシールした状態にある。
またこのとき主弁体32は主弁座38に着座した状態にあって、主水路は閉鎖された状態にある。
【0049】
図7及び図8はパイロット弁体46の移動による流調(流量調節)時の作用を表している。
この実施形態では、流調の際にパイロット弁体46はパイロット水路44を閉鎖することはなく、その移動によってパイロット水路44の開度だけを変化させる。
後述の回転操作部180に対する回転操作量がそのように規制されている。
【0050】
この実施形態では、図7(I)に示しているようにパイロット弁体46が同図中上向き(図5中左向き)に後退移動すると、パイロット弁体46とパイロット弁座48との間の隙間が一時的に大となり、背圧室40内の水がパイロット水路44を通じて流出通路20側に多く抜け出して背圧室40の圧力が減少する。
そこで主弁体32が流入通路18との圧力差により図中上向きに後退移動し、そして図7(II)に示しているように、流入通路18の圧力と背圧室40の圧力とがバランスする位置で主弁体32の後退移動が停止する。
即ち、主弁体32がパイロット弁体46の後退移動に追従するようにして共に後退移動し、そしてパイロット弁体46の停止とともに主弁体32もまた停止する。
このとき、パイロット弁体46と主弁体32との間には微小な間隙(追従間隙)が保持される。
主弁体32は以後もこの一定の微小間隙を保持しつつパイロット弁体46とともに移動する。
【0051】
この主弁体32の後退移動によって主弁体32と主弁座38との間の隙間が大となり、流入通路18から流出通路20への水の流入量が増大する。
【0052】
この状態からパイロット弁体46が更に図中上向きに後退移動させられると、背圧室40の圧力と流入通路18との圧力をバランスさせるようにして、主弁体32がパイロット弁体46の後退移動に追従して後退移動し、主水路の開度を更に広くして主水路を流れる水の流量を増大させる(図7(III)参照)。
【0053】
一方、パイロット弁体46が図8(I)に示しているように図中下向きに前進移動すると、パイロット弁体46とパイロット弁座48との間、詳しくはパイロット弁体46におけるシール部54とパイロット弁座48に保持されたOリング52との間の隙間が一時的に小さくなって、即ちパイロット水路44の開度が小さくなって、背圧室40から流出通路20に抜ける水の量が少なくなり背圧室40の圧力が増大する。
【0054】
このため、その増大した圧力により主弁体32が今度は図中下向き(図5中右向き)に前進移動して、背圧室40の圧力と流入通路18との圧力をバランスさせる位置で停止する。
このときにもパイロット弁体46と主弁体32との間には一定の微小間隙(追従間隙)が保持される。
このようにして背圧室40の圧力が一時的に増大すると、その増大した圧力により主弁体32が図中下向きに前進移動して、背圧室40の圧力と流入通路18の圧力とをバランスさせる位置で停止する。
このとき主弁体32と主弁座38との間の隙間は小さくなって、即ち主水路の開度が小さくなって、主水路を流れる水の流量が減少する(図8(II)参照)。
【0055】
そしてこの状態から更にパイロット弁体46が図中下向きに前進移動すると主水路の開度が更に小さくなり、主水路を流れる水の流量が更に減少する(図8(III)参照)。
【0056】
図5において、28は背圧室形成部材で逆カップ状を成しており、その内側に上記の背圧室40を形成している。
この背圧室形成部材28はまた、主弁体押えとしての働きもなしている。
【0057】
この背圧室形成部材28には、一対の弾性を有する環状のシールリングとしてのOリング64が保持されている。
これらOリング64は、後述の弁軸66の外周面に全周に亘り弾性接触して、弁軸66と背圧室形成部材28との間、即ち背圧室40との間を水密にシールする。
尚、カートリッジケース26における右部26-2にもまたその外周面にOリング68が保持されており、このOリング68にてボデー16との間が水密にシールされている。
【0058】
図5において、弁軸66は一様な円形断面且つ一様な外径で軸方向に延びており、そしてこの弁軸66の端部に上記のパイロット弁体46が一体に構成されている。
尚、この弁軸66の図5中右端部にはEリングから成る弾性止め輪62が装着されている。この止め輪62は、主弁体46の中心部に形成された貫通孔よりも大径をなしている。
【0059】
図4及び図6に示しているように、弁軸66の左端部には、弁軸66と同方向に進退移動する進退ロッド(進退部材)70が球面軸受部74で連結され、それら進退ロッド70と弁軸66とが図中左右方向に直線的に一体移動するようになっている。
72は、この進退ロッド70を内嵌させる筒状のガイド部材で、進退ロッド70は、このガイド部材72による案内の下にその内部を左右方向に摺動運動する。
76は、これら進退ロッド70及びガイド部材72を内部に収容する筒状のハウジングで、図中右端部がねじ結合にて弁機構に、詳しくはボデー16に固定されている。
【0060】
進退ロッド70の図中左端部には、これよりも大径をなすばね受部78が設けられており、このばね受部78と上記のガイド部材72との間にコイルばね80が介装され、進退ロッド70及び弁軸66に対し、パイロット弁体46を開弁させる方向にその付勢力が及ぼされている。
その付勢力の方向は、上記の操作装置7において加えられた操作力の、弁装置10詳しくはパイロット弁体46に対する作用方向とは逆方向である。
【0061】
図3において、操作装置7で加えられた操作力を弁装置10に伝達する上記の伝達機構12は、図中上下方向に長手形状をなし、軸82周りにシーソー運動可能な揺動バー(揺動部材)84を有している。
この揺動バー84は、操作装置7側の一端部82Aが、操作装置7に加えられる操作力によって図中左方向に大きな円弧でほぼ直線的に回動運動し、そして弁装置10側の反対側の他端部82Bが、同じく大きな円弧で図中右方向にほぼ直線的に回動運動する。
【0062】
この揺動バー84の他端部82Bは、図4に示しているように部分球面状の当り面を有する当り部86で、上記の進退ロッド70に当接しており、揺動バー84の他端部82Bが図中右方向に回動運動すると、これに押されて進退ロッド70及び弁軸66が、図4中右方向に直線的に前進運動させられる。
即ちパイロット弁体46が、コイルばね80を撓ませながらその付勢力に抗して閉弁方向に前進運動させられる。
【0063】
ここで揺動バー84の他端部82Bは、操作装置7の後述の回転操作部180(図11参照)が回転操作されたときには、その回転操作量に応じてその位置を図中右方向に連続的に変化させ、これに応じて弁軸66を、つまりパイロット弁体46を図中右方向に連続的に直線前進運動させ、回転操作部180の回転操作量に応じて、パイロット弁体46の位置を図6に示す開弁位置から図中右方向に連続的に変化させる。
そしてそのパイロット弁体46の図中右方向の連続的な前進移動により、主弁体32をこれに追従して図中右方向に連続的に前進移動させ、流量減少方向に流量調節を行う。
【0064】
一方流調操作部を上記とは逆方向、つまり流量増大方向に回転操作すると、揺動バー84の他端部82Bは、その回転操作量に応じてその位置を図中左方向に連続的に変化させる。
これにより弁軸66つまりパイロット弁体46は、コイルばね80の付勢力により進退ロッド70とともに図中左方向に、回転操作部180の回転操作量だけ図中左方向に連続的にその位置を変化させ、後退移動する。そしてそのことによって流量を連続的に増大させて行く。
【0065】
以上は流量調節時の動作であるが、パイロット弁体46が図6に示す開弁状態即ち吐水状態の下で、操作装置7の後述のプッシュ操作部182が図中左向きにプッシュ操作されると、揺動バー84の弁装置10側の他端部82Bは、図中右方向に一定ストロークで大きく且つ一挙に回動運動し、これに応じたストロークで弁軸66つまりパイロット弁体46を、図中右方向に大きく押し出して、パイロット弁体46を図6に示す開弁位置から、図4及び図5の閉弁位置へと位置切替えする。
【0066】
またその状態で再びプッシュ操作部182をプッシュ操作すると、図6に示しているように揺動バー84の他端部82Bは、今度はコイルばね80の付勢力で図中左方向に一定ストロークで大きく回動運動し、図4及び図5に示す閉弁位置即ち止水位置にあったパイロット弁体46を、図中左方向に大きく後退移動させて、かかるパイロット弁体46を閉弁位置から開弁位置へと位置切替えする。
そしてこれらの動作によって吐水と止水との切替えが行われる。
【0067】
揺動バー84は、上記の流量減少時及び止水時と、流量増大時及び吐水時とで、軸82周りに逆方向に回動運動即ちシーソー運動(揺動運動)し、操作装置7の操作に基づいて弁装置10のパイロット弁体46を、図中左右方向に直線的に進退移動させ、またこれに伴って主弁体32をパイロット弁体46に追従して進退移動させる。
【0068】
上記揺動バー84は、図9に示しているように全体として板状をなしている。
この揺動バー84は、図中上端側と下端側とが切り欠かれた形態をなしており、そして上端側の切欠部88と下端側の切欠部88とによって、上記の一端部82Aと他端部82Bとの図中左右方向の板幅が、切欠部88と88との間の本体部に比べて小寸法幅とされている。
【0069】
図10において、90は揺動バー84を支持する、全体として板状をなす支持部材で、幅方向中間部に縦方向に延びる貫通のスリット92を有しており、そのスリット92に揺動バー84を挿入させた状態で、軸82を介して揺動バー84を軸82周りに揺動可能に、即ちシーソー運動可能な状態に支持している。
【0070】
この支持部材90には、その下端部に上記のばね受部78を挿通する円形の挿通孔94が設けられ、またその上端部には、後述の作用軸104(図11参照)を挿通する挿通孔96が設けられている。
更に図中上端部と下端部との複数個所に、支持部材90とハウジング76又は後述の基部130とを固定するための複数の固定孔98が設けられている。
【0071】
図11に示しているように操作装置7は、後述の回転ハンドル式の回転操作部180及びプッシュ操作部182を含む操作機構100と、操作機構100を通じて加えられた操作力により駆動される駆動機構102とを有している。
【0072】
図12は、図11から操作機構100を取り除いて駆動機構102を単独で示した図で、同図に示しているようにこの駆動機構102は、図中左右方向に進退移動する作用軸104を有している。
ここで作動軸104は、回転操作部180の回転操作に基づいて図中左右方向に直線的に進退移動し、図中左端の当接部(作用点)106を、揺動バー84の一端部82Aに当接させた状態で、かかる当接部106を図中左右方向に連続的に移動させ、揺動バー84の一端部82Aを上記の軸82周りに回動運動させる。
【0073】
この作用軸104は、図中右端部に頭部110を有しており、図13に示しているようにその頭部110の周方向に180°隔たった2個所に、雄ねじ112が設けられている。また雄ねじ112と112との間の部分に、一対の係合部118が設けられている。
作用軸104は、雄ねじ112においてその外側の円筒形状をなす回転部材114の内周面の雌ねじ116に螺合されており、かかる作用軸104が、回転部材114とともに伸縮軸120を構成している。
【0074】
伸縮軸120は、回転部材114の回転により作用軸104をねじ送りで図中左右方向に進退移動させ、これにより伸縮軸120が全体として伸縮動作する。
作用軸104は、上記係合部118において図13に示す回止め部材122の一対の挟持片124にて挟持されており、その挟持片124の挟持作用によって、作用軸104が回転防止されている。
【0075】
即ちこの回止め部材122の回転防止作用によって、作用軸104が、回転部材114の回転により図11,図12中左右方向にねじ送りで進退移動せしめられる。
そしてこの作用軸104の図中左方向の前進移動及び右方向の後退移動に伴って、揺動バー84が図中反時計方向及び時計方向に回動(揺動)せしめられ、これにより上記のパイロット弁体46が図中左右方向に進退移動せしめられる。
【0076】
ここで回止め部材122は円形の台座部134を有しており、この台座部134が、伝達機構12の支持部材90にビス132にて固定されている。
【0077】
上記駆動機構102はまた、有底円筒形状をなす押ボタン(押込部材)126と、回転スリーブ129及び回転子128を有しており、それら要素と上記のコイルばね80とによってスラストロック機構(ラッチ機構)127(図11,図12)を構成している。
回転スリーブ129は、回転によりパイロット弁体46を図7及び図8に示しているように前進及び後退運動させることにより、主弁体32をこれに追従して移動させ流量調節を行う部分で、また押ボタン126は、1回の押込みごとにパイロット弁体46を前進位置である閉弁位置と後退位置である開弁位置とに位置切換えするための部分である。
【0078】
回転スリーブ129は、図12に示しているようにその基端部が、操作装置7における基部130に内嵌状態で回転可能に且つ抜止状態に組み付けられている。
ここで基部130は、止ねじ(固定具)(図示略)にて上記の支持部90に固定されている。
押ボタン126は、回転スリーブ129に内嵌されて回転スリーブ129に対し軸方向、即ち図13中上下方向(図12中左右方向)に移動可能とされている。
この押ボタン126の外周面には縦の突条136(図13参照)が設けられていて、この突条136が、回転スリーブ129の内面の縦の凹条138に嵌り込んでおり、押ボタン126が回転スリーブ129の回転とともに一体に回転するようになっている。
即ち回転スリーブ129の回転運動が押ボタン126に伝えられるようになっている。
【0079】
尚この押ボタン126にはまた、その内周面に縦の凹条140が形成されていて、そこに回転部材114の外周面に設けられた縦の突条142が嵌り込んでおり、回転部材114が押ボタン126と一体に回転するようになっている。
即ち回転スリーブ129を回転させると、その回転運動が押ボタン126を介して回転部材114に伝えられて、回転部材114が回転運動する。
尚、押ボタン126の外周面にはガイド突起144が設けられている。
このガイド突起144は、回転スリーブ129の嵌入溝146に嵌入して押ボタン126の上下方向の摺動時の案内及び軸方向の抜止めをなす。
【0080】
押ボタン126の下端には、図14にも示しているように山形状をなす係合歯148が周方向に沿って所定ピッチで連設されている。
この係合歯148の下面には、図13及び図14中の直下の回転子128を、押ボタン126の上下動即ち下向きの前進移動と上向きの後退移動とによってカム作用で回転させるための駆動カム面150が形成されている。
【0081】
回転子128はリング状の部材から成るもので、周方向の複数箇所(ここでは4箇所)に、図中上向きに山形状に突出する係合歯152が設けられている。
また周方向の同じ箇所においてその外側に突出する形態で鋸歯状をなす係合歯154が、同じく上向きに設けられている。
【0082】
内側の係合歯152は、一方の斜辺に沿った上面が押ボタン126の駆動カム面150に対応した第1従動カム面156とされている。
ここで第1従動カム面156の傾斜角度θ1は、ここでは押ボタン126側の駆動カム面150と同一角度とされている。
【0083】
一方外側の係合歯154においてもまた、その斜辺に沿った上面が角度θ2で傾斜した第2従動カム面106とされている。
この実施形態では、第1従動カム面156と第2従動カム面158との傾斜角度が異ならせてあり、第2従動カム面158の傾斜角度θ2が急角度をなし、これに対して第1従動カム面156の傾斜角度θ1が小角度とされている。
【0084】
この回転子128は、図11,図12及び図13に示しているようにその下面(図13参照)を回転部材114の外向きのフランジ部160の上面にて支持されており、かかるフランジ部160の上面を図14で示す矢印方向に回転摺動する。
回転部材114には、上記のコイルばね80の付勢力が揺動バー84,作用軸104を介して図13中上向き(図12中右向き)に及ぼされている。即ちこの回転部材114を介して回転子128,押ボタン126に対してコイルばね80の付勢力が後退方向に図12中右向き,図13中上向きに及ぼされている。
【0085】
上記回転スリーブ129には、図13に詳しく示しているようにその上部内周面にガイド部162が内方に突出する状態で設けられている。
このガイド部162は下端に係合歯164を有している。
この係合歯164の下面にもまた、回転子128をカム作用で回転させるための、回転子128の第2従動カム面158に対応した傾斜形状の案内カム面166が形成されている。
ここで案内カム面166の傾斜角度は、回転子128の第2従動カム面158と同じ傾斜角度とされている。
このガイド部162にはまた、上記のように上下方向に延びる嵌入溝146が周方向に所定間隔で形成されている。回転子128は、外方への突出形状をなす係合歯154を嵌入溝146に位置させる回転位置となったとき、かかる係合歯154を嵌入溝146の内部に嵌入させることによって、図中上方への後退運動が許容される。
【0086】
一方係合歯164は、係合歯154に噛み合ってこれをその前進状態、即ち図中下降状態に保持してロックする働きをなす。即ちパイロット弁体46を閉弁位置に保持してロックする働きをなす。
【0087】
この実施形態では、回転部材114の下側に、押ボタン126の押し込み時に回転子128を強制回転させる機能を備えた強制回転リング168が設けられている。
この強制回転リング168は、図11に示すように回止め部材122の台座部134上に載置されている。
この強制回転リング168は、全体として円筒形状をなしているとともに,その下端には内向きのフランジ部170が設けられている。
【0088】
この強制回転リング168には、その上端に沿って周方向に所定間隔で複数の爪172が上向きに突出状態で一体に設けられている。これら爪172の上面は傾斜形状のカム面174とされている。
これらカム面174は、押ボタン126により回転子128に対して下向きの力が及ぼされたとき、回転子128の突出形状の第2係合歯154の下面(図14参照)に当接して、回転子128をそのカム作用で強制的に図14中反時計方向に回転させる働きをなす。
【0089】
但し回転子128はその回転抵抗、即ち回転部材114におけるフランジ部160の上面に対する摺動抵抗、及び押ボタン126の駆動カム面150に対する摺動抵抗が小さいときには、コイルばね80の付勢力に基づいて、強制回転リング168のカム面174に接する前に、押ボタン126の駆動カム面150と、回転子128の第1従動カム面156とのカム作用で、強制回転リング168のカム面174に接する前に回転運動する。
【0090】
しかしながら回転子128は長期使用すると、摺動面で発生する磨耗粉などによって摺動抵抗が次第に増大するようになる。
そこで押ボタン126を下向きに押しても、回転子128が軽く円滑に回転しない恐れが生じてくる。
このとき、回転子128が円滑に回転しない場合であっても、押ボタン126を下向きに強く押し込むと、回転子128の係合歯154のコーナー部が、強制回転リング168のカム面174に当ることによって、回転子128が強制回転リング168のカム面174により強制的に回転駆動される。
【0091】
本実施形態では、回転スリーブ129を介して押ボタン126を回転させると、これと一体に回転部材114が回転し、そしてその回転により雌ねじ116と雄ねじ112とのねじ送りにて、作用軸104が図12中左右方向に進退移動する。即ち伸縮軸120が左右方向に伸縮する。
【0092】
詳しくは、押ボタン126を流量減少方向に回転操作すると、作用軸104が図12中左方向に前進移動して伸縮軸120が伸張する。
これにより作用軸104の当接部106の連続的な図中左方向の位置変化によって、揺動バー84の一端部82Aがこれに押されて図中左方向に回動運動し、当接部106に合せてその位置を連続的に図中左方向に変化させて行く。
【0093】
このとき揺動バー84の他端部82Bが、逆方向である図4中右方向に連続的に回動してその位置を変化させ、パイロット弁体46を図4中右方向に前進移動させ、その位置を連続的に変化させて行く。
そしてこのパイロット弁体46の連続的な位置変化によって、流量を連続的に減少させて行く。
【0094】
また押ボタン126を流量増大方向に回転させると、作用軸104が図12中右方向に連続的に後退運動して、当接部106の位置を連続的に変化させ、これに伴って揺動バー84の上端部82Aが、コイルばね80の付勢力にて図中右方向に当接部106に追従してその位置を連続的に変化させて行く。
【0095】
これに伴って揺動バー84の他端部82Bの位置が、コイルばね80に押されて図4中左方向に連続的に位置変化し、またこれとともにコイルばね80の付勢力によってパイロット弁体46が図4中左方向に後退移動して、その位置を連続的に左方向に変化させて行き、流量を増大させて行く。
【0096】
一方押ボタン126が図12中左方向に押し込まれると、その押込みごとに押ボタンが押込位置(図23(A)に示す状態)と引込位置(図23(B)に示状態)とに移動し、これとともにパイロット弁体46が図4,図5に示す閉弁位置と、図6に示す開弁位置とに位置切替えされ、且つスラストロック機構127によってそれぞれの位置に位置保持される。
【0097】
図15及び図16は、押ボタン126に対する1回の押し込みごとにパイロット弁体46を閉弁位置と開弁位置とに位置切換えして、それぞれの位置に位置保持するスラストロック機構127の作用を具体的に表している。
図15(I)はパイロット弁体46の閉弁状態即ち止水状態を表しており、このとき回転子128における係合歯154が回転スリーブ129のガイド部162の係合歯164に噛み合った状態にあって、回転子128は図15中の下降位置即ち前進位置(図12中の左位置)にロック状態に保持される。即ちパイロット弁体46が閉弁状態に保持される。
尚このとき、押ボタン126は押込位置で停止し、押込位置に保持される。
【0098】
この状態で(II)に示しているように押ボタン126を左に押し込むと、伸縮軸120が一定の伸縮量を保ったまま図11,図12中左向きに前進移動するとともに、回転子128がコイルばね80による図中右向きの付勢力に抗して左向きに(図15においては下向きに)押し下げられ、回転子128の係合歯154とガイド部162の係合歯164との係合が外れる。
すると押ボタン126の駆動カム面150と回転子128の第1従動カム面156とのカム作用で、回転子128が図15中左方向に所定角度回転させられ、そして押ボタン126の係合歯148と回転子128の係合歯152とが丁度噛み合った位置(第1ストッパ位置)で回転停止させられる。図15(III)(A)はこのときの状態を表している。
【0099】
このとき、(III)(B)に示しているように回転子128の第2従動カム面106はガイド部162の回転方向の次の案内カム面166に対向した状態となり、そこで(IV)に示しているように回転子128に加えていた押込力を除くと、コイルばね80の付勢力で回転子128が押ボタン126及び回転部材114とともに微小距離上昇して係合歯154の第2従動カム面106が、ガイド部162の案内カム面166に当接する。
【0100】
そしてそれら案内カム面166と第2従動カム面106とのカム作用で回転子128が更に同図中矢印で示す方向に回転移動して、図15(V)(B)に示すように係合歯154がガイド部162の嵌入溝146の位置に至る。
ここにおいて係合歯154が嵌入溝146に嵌入するに至って、回転子128が押ボタン126とともにコイルばね80の付勢力によって図23中右向き(図16中上向き)に後退運動させられ(図16(VI))、押ボタン126が図11中右向きに引き込まれて、その引込位置に位置保持されるとともに、伸縮軸120の位置が図23(B)の後退位置に位置切替えされ、パイロット弁体46が開弁状態(吐水状態)となって、主水路に水の流れが生じ、吐水部からの吐水が行われる。
【0101】
この開弁状態から再び押ボタン126を押し込むと、回転子128が図16の上昇位置から下降せしめられ、そして係合歯154が嵌入溝146から外れると、回転子128が駆動カム面150と第1従動カム面156とのカム作用で、図16(VII)中矢印方向(左方向)に回転移動して、回転子128の係合歯152が押ボタン126の回転方向の次の係合歯148に噛み合うに至って、ここに回転子128の次の1ピッチの回転運動がそこで停止せしめられる(図16(VIII))。
【0102】
この状態で押ボタン126に対する押込力を除くと、コイルばね80の付勢力で回転子128が最下位置から微小距離上昇して、係合歯154の第2従動カム面106がガイド部162の案内カム面166に当接するに至り(図16(IX))、更にそれらのカム作用で回転子128が引き続いて図中左方向に回転移動して、回転子128の係合歯154がガイド部162の次の係合歯164に噛み合う位置(第2ストッパ位置)となり、ここに回転子128の回転動がそこで停止させられる(図16(X))。
この図16(X)に示す状態は、図16(I)に示すのと同じ状態であって、ここにパイロット弁体46及び主弁体32が閉弁状態即ち止水状態となる。
【0103】
図17〜22は、上記操作装置7における操作機構100の具体的構成を示している。
操作機構100は、図17に示しているように弁体の開弁量の調節を行う流調操作部としての回転ハンドル式の回転操作部180と、押ボタン126及び押ボタン126を軸方向外側で覆う吐水操作部としてのプッシュ操作部182を含んで構成されている。
【0104】
このプッシュ操作部182は回転方向には固定で、図中左右方向にのみ移動可能とされている。
図17の回転操作部180は、図18に示しているように全体として円形のリング状をなしており、その周方向所定個所に外向きに突出するつまみ184が設けられている。
尚この回転操作部180は、全体としてわずかにテーパ形状をなしている。
上記回転スリーブ129とこのリング形状の回転操作部180との間には、操作力を伝達する中間リングとしての内リング部材186と、外リング部材188とが介在させられている。
【0105】
内リング部材186は、図18及び図19に示しているように円筒形状をなしており、回転スリーブ129に対して同図中上から下向き(図17では右から左向き)に被せられ、回転スリーブ129にて図18,図19中下側から支持されている。
この内リング部材186には、周方向所定個所に貫通の位置決孔190が設けられており、この位置決孔190に、回転スリーブ129の外周面に設けられた位置決突起192が嵌り込んでいる。そしてそれら位置決孔190と位置決突起192との係合作用で、内リング部材186が回転スリーブ129と一体回転するようになっている。
この内リング部材186にはまた、その外周面の周方向所定個所に、外向きに突出する位置決突起194が設けられている。
【0106】
一方外リング部材188は、図18にも示しているように円筒部196と、フランジ部198、及び図中下向きに突き出した弾性爪200とを有している。
この外リング部材188は、図17に示しているようにその支持部材となる上記の基部130に取り付けられている。
詳しくは、図17の底部202を基部130のフランジ部204に着座させる状態に、弾性爪200が基部130の外周部の環状の段付部206に弾性掛止され、基部130により支持される状態に、かかる基部130に回転可能に取り付けられている。
【0107】
この外リング部材188には、図19の部分拡大図に示しているように、内周面の周方向所定個所に一対の突起208,210が微小な間隔を隔てて内向きに突出する形態で設けられている。
これら突起208と210との間には位置決溝212が形成されており、そこに図21にも示しているように上記内リング部材186における外向きの位置決突起194が嵌り込んでいる。そしてこれにより、内リング部材186と外リング部材188とが一体に回転するようになっている。
ここで一方の突起208は図中上下中間部で切り欠かれており、その切欠部214によって突起208が、上突起208-1と下突起208-2とに分かれている。
【0108】
図18において、上記外リング部材188にはまた、フランジ部198に位置決用の切欠216と、上向きに起立する弾性爪218とが互いに異なった位置で周方向の複数個所に設けられている。
更にまたこのフランジ部198には、わずかにテーパ形状をなす回転操作部180に対する嵌込ガイド220が、上向きに起立する形態で設けられている。
【0109】
他方回転操作部180には、図18に示しているようにリング内周面に、外リング部材188の切欠216に嵌り込む位置決突起としてのリブ222と、上向きの弾性爪218を弾性掛止させるための掛止突起224とが、周方向の複数個所に設けられている。
これら回転操作部180と外リング部材188とは、外リング部材188の切欠216と回転操作部180のリブ222との嵌合により一体回転運動させられ、また外リング部材188の上向きの弾性爪218と、回転操作部180の掛止突起224との掛止作用に基づいて、図中上下方向(図17では左右方向)に組み付けられている。
即ち回転操作部180が、それら弾性爪218と掛止突起224との掛止作用により図17中右向きに抜け防止されている。
【0110】
図19及び図20に示しているように、支持部材としての基部130には、内向きのフランジ部204の上面から起立する円弧形状の立上り部226が設けられている。この立上り部226の内面には、周方向中間位置において縦の位置決溝228が設けられている。
【0111】
一方、上記プッシュ操作部182には、図20に示しているようにその上壁230から立ち下がる円弧形状の立下り部232が設けられている。
この立下り部232の外周面からは、周方向中間位置で図中下向きに突出する回転方向の位置決突起234が設けられている。ここで位置決突起234は、径方向に弾性変形可能な弾性片とされている。
図21に示しているようにプッシュ操作部182は、これら立上り部226と立下り部232とを嵌合させる状態に組み付けられている。そしてプッシュ操作部182は、それら位置決溝228と位置決突起234との嵌合により回転方向に位置決めされている。即ちそれらの位置決作用によって、プッシュ操作部182が回転方向に位置固定とされている。
【0112】
このプッシュ操作部182には、円弧形状をなす立下り部232の周方向端に、径方向外向きに突出したストッパ突起236が一体に形成されている。
このストッパ突起236は、回転操作部180を小流量側に回転操作したときの終端位置を規定するものである。
詳しくは、回転操作部180と一体に回転する外リング部材188の上記突起208、詳しくは上突起208-1を回転方向に当接させることで、回転操作部180の更なる回転を規制する。
このストッパ突起236はまた、プッシュ操作部182を止水状態にロックする、ロック用の突起としても働く。
【0113】
上記のように回転操作部180は、外リング部材188の上突起208-1が、プッシュ操作部182のストッパ突起236に当ることによって最小流量位置に位置規制される。図21及び図22(II)はこのときの状態を表している。
この状態で、図22(III)に示しているようにプッシュ操作部182を図中下向きにプッシュ操作すると、プッシュ操作部182が押込位置に位置保持される。
このとき、ストッパ突起236もまた図22(II)に示す位置よりも図中下向きに下がった位置、詳しくは(III)に示すように突起208における上突起208-1と下突起208-2との間の切欠214と同じ高さ位置に位置した状態となる(図22(III)(B)参照)。
【0114】
この状態で回転操作部180、詳しくは外リング部材188は更に反時計方向に回転移動可能となる。
そこで回転操作部180を同方向に微小角度回転させると、(III)に示すようにそこでストッパ突起236が上突起208-1と下突起208-2との間の切欠242に入り込んだ状態となる。
この状態のもとでは、プッシュ操作部182を介して押ボタン126に押込力を加えても(オン(開)操作しても)、ストッパ突起236と上突起208-1との当接作用によって、プッシュ操作部182及び押ボタン126は上昇移動することができず、従って押ボタン126はプッシュ操作部182を介して押込位置に、即ち止水位置に保持されてそこにロックされる。
尚回転操作部180は、図22(III)に示しているように突起208が基部130の円弧形状の立上り部226の周方向端に当接することによって、それ以上の回転が阻止される。
【0115】
図20に示しているように、プッシュ操作部182には上壁230の下面に、下向きに突出した円形の押圧部284が設けられている。
プッシュ操作部182は、図20中下向き、図17中左向きの力が加えられると、この押圧部284で押ボタン126を図17中左向きに押し込んで、弁軸66に一体に構成されたパイロット弁体46を右向きに移動させる。
押し込まれたプッシュ操作部182はその押込位置に位置保持される。
【0116】
以上の操作装置7は全体として次のような動きを行う。
図22(I)は、回転操作部180を最大流量まで回転させた状態を表している。この状態では、プッシュ操作部182を介して押ボタン126を開操作した状態で主水路に最大流量で水を流通する。
この状態から回転操作部180を図中反時計方向に回転させると、図22(II)に示す最小流量位置で、回転操作部180と一体に回転する外リング部材188の突起208、詳しくは上突起208-1が、プッシュ操作部182のストッパ突起236に当接して、それ以上の回転が一旦阻止される。
この状態でプッシュ操作部182を押し込んで、そこに位置保持させた状態とすると、この時点で回転操作部180の更なる若干の回転が許容された状態となる。
そこで回転操作部180を反時計方向に更に回転させると、わずかに回転させたところで外リング部材188の突起208が、基部130の立上り部226の周方向端に当接して、そこで更なる回転が阻止される。
【0117】
この状態のとき、押込位置にあるプッシュ操作部182のストッパ突起236が、外リング部材188の上突起208-1と下突起208-2との間の切欠214に入り込んだ状態となって、軸方向即ち図22(III)(B)の上下方向に移動禁止された状態となる。
即ちここにおいてプッシュ操作部182を介して押ボタン126がロックされた状態となる。従ってこの状態でプッシュ操作部182を介して押ボタン126に押込みの力を加えても、押ボタン126は上昇移動せず、従って押ボタン126及びプッシュ操作部182の上昇に基づく吐水も行われない。
【0118】
本実施形態では、弁装置10を操作装置7とは別に離隔して設け、伝達機構12にてそれらを連結するようになしているため、水栓装置6の設置の際のレイアウトの自由度を高めることができる。
また操作装置7の設置個所に弁装置10を併せて設置しておかなくても良く、弁装置10をこれとは別の個所に且つ隠蔽状態で設けておくことができるため、操作装置7の設置個所周り即ち水栓装置6の設置個所周りの美観,意匠性を高めることができる。
【0119】
またこの実施形態では、操作装置7に加えられた操作力を揺動バー84を介して弁装置10に伝達するようになしているため、伝達機構12としてピニオンギヤ及びラックギヤの噛合いにより操作力を伝達する方式のものに比べて、操作力の弁装置10への伝達効率が高く、従って小さな操作荷重で弁装置10を作動させることができ、操作装置7を薄型に構成することができる。
また揺動バー84を有する伝達機構12では所要部品点数を必要最小限に抑えることができ、水栓装置6全体の部品点数を少なくし得て、水栓装置6のコストを安価となすことができる。
【0120】
上記のようにこの実施形態では、回転操作部180の回転操作により、その回転操作量に応じた量で揺動バー84の操作装置7側の一端部82Aに対する作用軸104の当接部(作用点)を、直線運動させ、揺動バー84を軸82周りに且つ回転操作部180の回転操作量に応じた量で連続的に回動させて、揺動バー84の他端部82Bでパイロット弁体46を連続的且つ直線的に前進移動させ、流調動作させるようになしている。
【0121】
即ちこの実施形態では、回転操作部180の回転運動を一旦駆動機構102の当接部106の直線運動に変換した上で、揺動バー84の回動運動に変換するようにし、そしてこれにより揺動バー84を微妙に回動運動させて、詳しくは揺動バー84における他端部82Bの軸82周りの位置を微妙に位置変化させ、パイロット弁体46を流調動作させるようになしている。
【0122】
従ってこの実施形態の場合、回転操作部180を大きく回転操作した場合でも、詳しくは操作力の入力部を大きく回転移動させても、駆動機構102の当接部106の直線移動量(距離)を容易に少なくすることができる。
その結果、揺動バー84の軸82周りの回転角度位置を微小に変化させることができ、従ってこれに応じてパイロット弁体46の位置を微妙に位置変化させることができる。
それ故この実施形態の水栓装置6によれば、揺動バー84を介してパイロット弁体46を動作させているにも拘らず、回転操作部180の回転操作に基いて吐水流量を微妙に変化させ、調節することができる。
【0123】
特に本実施形態では、回転操作部180の回転操作に基いて、回転部材114の回転により作用軸104をねじ送りで直線進退運動させるようになしていることから、回転操作部180を大きく回転操作しても、作用軸104をその操作量に応じた少ない量(距離)で直線運動させることができ、これにより揺動バー84の各端部を微妙に位置変化させ、またこれに伴ってパイロット弁体46を微妙に位置変化させて、流調動作を行わせることができる。
【0124】
更に本実施形態によれば、回転操作部180とプッシュ操作部182とのそれぞれに加えた操作を、ともに作用軸104から揺動バー84を介してパイロット弁体46に伝達し得、以ってパイロット弁体46を流調動作及び吐止水動作させることができる。
【0125】
またスラストロック機構127を設けていることから、プッシュ操作部182の操作によって吐水と止水とを切り替えたときに、そのスラストロック機構127によりその後も吐水状態と止水状態とをそのまま維持することができる。
またそのスラストロック機構127は操作装置7の側に備えてあるため、スラストロック機構127による切替えの感触が手に直接伝わり、切替動作が行われたことを手で直接感じ取ることができ、使用者に良好な操作感を感じさせることができる。
【0126】
本実施形態ではまた、弁装置10の側にパイロット弁体46を後退方向且つ開弁方向に付勢する状態にコイルばね80を設け、そのコイルばね80をスラストロック機構127の動作用のばねとして利用している。
そのためパイロット弁体46を操作装置による操作方向と逆方向に戻すためのばねと、スラストロック機構127の動作用のばねとを別々に設けなくても良く、必要なばねの個数を少なくすることができる。
【0127】
本発明ではまた、弁装置10をパイロット式弁装置として構成し、そしてそのパイロット弁体46に伝達機構12を連結して、パイロット弁体46に操作力を伝達するようになしているため、必要な操作力を更に小さくすることができ、一層の軽操作を実現することができる。
また操作力を伝達する部材の強度を小さくすることができ、所要コストを安価とすることができる。
【0128】
本実施形態では、浴室の壁Wから室内側に突出した洗面器置台5の内部に弁装置10を収納し、また操作装置7を洗面器置台5よりも上方で壁Wから室内側に突出した上カウンタ部3に設けて、上側の操作装置7と下側の弁装置10とを伝達機構12にて連結している。
【0129】
このようにすることで、上カウンタ部に弁装置10と操作装置7とを有する水栓装置を設置する場合に比べて、外観上現れる操作装置7の設置側の上カウンタ部3をコンパクトに構成することができ、水栓装置6の設置部の美観,意匠性を高めることができる。
【0130】
次に図24〜図27は本発明の他の実施形態を示している。
この例は、湯水混合弁装置における湯側弁体の開閉の切替え及び開弁量調節に適用した場合の例で、図中320は弁装置(ここでは湯水混合弁装置)のボデーで、水の流入口322及びこれに続く流入通路326,湯の流入口324及びこれに続く湯の流入通路328が設けられている。
流入通路326,328を通じて流入した水と湯とは、混合室330で混合された上、2次側の流出通路332を通じ、流出口334から流出する。
尚、図24及び図25は弁装置10が水吐水状態に切り替った状態を表しており、従ってこのときには流出口334から水が流出する。
【0131】
一方、図26は弁装置10が湯水混合状態に切り替った状態を表しており、このときには水と湯とが混合室330に流入してそこで混合され、混合水が流出口334から流出する。
尚、336は後述の水側の背圧室348を形成する背圧室形成部材を兼ねたキャップで、ボデー320に固定されている。
【0132】
この実施形態において、弁装置10は、ダイヤフラム弁から成る湯側主弁体338,水側主弁体340を有している。
而して弁装置10には、湯側主弁体338に対応して湯側主弁座342,湯側背圧室346,湯側パイロット弁体350,湯側パイロット弁座354が設けられ、また水側主弁体340に対応して水側主弁座344,水側背圧室348,水側パイロット弁体352,水側パイロット弁座356が設けられている。
【0133】
湯側主弁体338,水側主弁体340は、基本的に図4〜図6に示す主弁体32と同様の構成を有するもので、また湯側パイロット弁体350,水側パイロット弁体352も、図4〜図6のパイロット弁体46と基本的に同様の構成を有している。
更に湯側パイロット弁座354,水側パイロット弁座356も図4〜図6に示すパイロット弁座48と基本的に同様の構成を有している。
ここではそれらについての詳しい説明は省略し、対応する部分に対応する符号のみを付して示してある。
但し湯側主弁体338と水側主弁体340とは、図中左右逆向きに設けられている。即ち湯側主弁体338は湯側主弁座342に向けて図中右方向に前進移動し、また水側主弁体340は水側主弁座344に向けて図中左方向に前進移動する。
【0134】
即ち湯側主弁体338は、湯側主弁座342に対し図中左右方向に進退移動し、弁開度を変化させる。
詳しくは、湯側主弁体338は湯側主弁座342への着座によって閉弁状態となり、また湯側主弁座342から図中左向きに離間することによって開弁し、そしてその開弁量の変化に応じて混合室330への湯流入量を変化させる。
【0135】
一方水側主弁体340は、水側主弁座344に対して図中左右方向に進退移動し、弁開度を変化させる。
詳しくは、水側主弁座344への着座によって閉弁状態となり、また水側主弁座344から図中右向きに離間することによって開弁し、そしてその開弁量の変化に応じて混合室330への水の流入量を変化させる。
但しこの弁装置10では、湯側主弁体338と水側主弁体340とは互いに逆の関係でその開弁量を大小変化させ、湯と水との流入量を互いに逆の関係で増減変化させる。
【0136】
また湯側背圧室346は、内部の圧力を湯側主弁体338に対し図中右方向の閉弁方向の押圧力として作用させ、また水側背圧室348は、内部の圧力を水側主弁体340に対し図中左方向の閉弁方向の押圧力として作用させる。
【0137】
上記湯側パイロット弁体350,水側パイロット弁体352もまた、互いに逆の関係で図中左右方向に進退移動する。
即ち湯側パイロット弁体350は、図中右方向に前進移動して最終的に閉弁状態となり、また左方向に後退移動することによって開弁状態となる。
一方水側パイロット弁体352は、図中左方向に前進移動して最終的に閉弁状態となり、また図中右方向に後退移動して開弁状態となる。
但しこの実施形態において、湯側パイロット弁体350と水側パイロット弁体352とは、共通の弁軸(温調軸)66に一体に構成されている。
【0138】
この弁装置10では、図27に示しているように湯側主弁体338,水側主弁体340の何れもが開弁状態の下で、湯側パイロット弁体350が図中右方向に前進移動すると、湯側主弁体338が湯側パイロット弁体350との間に一定の微小な追従間隙を保持しつつ、湯側パイロット弁体350に追従して同じ右方向に前進移動し、湯側主弁座342との間の間隙SHを減少させ、混合室330への湯の流入量を連続的に減少変化させる。
【0139】
このとき、水側主弁体340は水側パイロット弁体352の図中右方向の後退移動により、水側パイロット弁体352との間に一定の微小な追従間隙を保持しつつ、水側パイロット弁体352の図中右方向の後退移動に追従して右方向に後退移動し、水側主弁座344との間の間隙SCを連続的に増大させ、混合室330への水の流入量を増大変化させる。
そしてこれらによって、湯流入量に対する水流入量の比率を連続的に増大変化させ、混合水温度を連続的に低下させる。
【0140】
また逆に湯側パイロット弁体350が図中左方向に後退移動すると、湯側主弁体338がこれに追従して図中左方向に後退移動し、図27(II)に示しているように湯側主弁座342との間の間隙SHを連続的に増大させ、混合室330への湯の流入量を連続的に増大変化させる。
【0141】
またこのとき、水側パイロット弁体352は図中左方向に前進移動し、これに伴って水側主弁体340が水側パイロット弁体352に追従して図中左方向に前進移動し、水側主弁座344との間の間隙SCを連続的に減少させ、混合室330への水の流入量を連続的に減少変化させる。
これにより混合水温度が連続的に上昇し、そして温度上昇した混合水が流出口334から流出する。
【0142】
図24に示しているように、上記伝達機構12における揺動バー84は、進退ロッド70及び球面軸受部74を介して弁軸66に連結されている。
またこの実施形態においては、図1〜図23の上記第1の実施形態の回転操作部180が、湯側パイロット弁体350及び湯側主弁体338の開弁量を調節することによって(つまりは混合弁358の位置調節によって)湯水の混合比率、即ち混合水温度を調節する温調操作部として構成され、また第1の実施形態におけるプッシュ操作部182が、湯側パイロット弁体350及び湯側主弁体338の開閉操作部(つまりは混合水吐水と水吐水との切替操作部)として構成されている。
【0143】
この実施形態では、回転操作部180を回転操作すると、その操作力が伝達機構12を介して弁軸66に伝えられ、弁軸66が図中左右方向に進退移動させられる。
即ちこれと一体に構成された湯側パイロット弁体350,水側パイロット弁体352が互いに逆の関係で連続的に進退移動させられる。
そしてこれにより、湯側主弁体338と水側主弁体340とが互いに逆の関係で開弁量を大小変化させ、混合水温度を連続的に高低変化させる。
尚この実施形態においても、回転操作部180の回転操作によっては湯側主弁体338が閉弁状態とならないように、回転操作部180が回転規制されている。
【0144】
一方プッシュ操作部182をプッシュ操作、即ち押込操作するごとに、湯側パイロット弁体350及び湯側主弁体338が図26に示す開弁状態と、図24及び図25に示す閉弁状態とに切り替り、且つ上記のスラストロック機構172によりそれぞれの状態に位置保持される。
即ち弁装置10が、水のみを吐水する水吐水状態と、混合水を吐水する混合水吐水状態とに切り替る。
而して混合水吐水状態に切り替ったとき、湯側主弁体338及び水側主弁体340は前回調節済みの開弁量で開弁した状態となり、前回設定した混合水温度で混合水を流出させる。
【0145】
尚この例は、所謂ミキシングタイプの湯水混合弁装置の例であるが、本発明は、混合水温度の変化によって付勢力を変化させる感温ばねを有し、混合水温度を設定温度に自動的に調節する自動温度調節機能付きの湯水混合弁装置にも適用可能なものである。
【0146】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば上記実施形態ではラッチ機構としてスラストロック機構を用いた例を示しているが、かかるラッチ機構としてハートカム機構その他のラッチ機構を用いることも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明の一実施形態の遠隔操作式の水栓装置を備えた浴室の全体図である。
【図2】同実施形態の水栓装置を取付状態で示す斜視図である。
【図3】同実施形態の水栓装置の全体図である。
【図4】同実施形態における弁装置の断面図である。
【図5】図4の要部拡大図である。
【図6】図4の弁装置の開弁状態を示す図である。
【図7】弁装置の作用説明図である。
【図8】図7に続く作用説明図である。
【図9】同実施形態における伝達機構の揺動バーの斜視図である。
【図10】図9の揺動バーの支持部材の斜視図である。
【図11】同実施形態における操作装置の断面図である。
【図12】図11の操作装置の駆動機構の図である。
【図13】図12の駆動機構を各部品に分解して示す斜視図である。
【図14】図13の要部を更に拡大して示す図である。
【図15】同実施形態におけるスラストロック機構の作用説明図である。
【図16】図15に続く作用説明図である。
【図17】同実施形態における操作装置の操作機構の図である。
【図18】図17の操作機構の分解斜視図である。
【図19】図17の操作機構の別の分解斜視図である。
【図20】図19とは異なる部分の分解斜視図である。
【図21】図20とは異なる部分の取付状態の説明図である。
【図22】同実施形態における操作装置の作用説明図である。
【図23】同実施形態の図22とは異なる作用説明図である。
【図24】本発明の更に他の実施形態の要部を示した図である。
【図25】図24の更に要部を拡大して示した図である。
【図26】同実施形態を異なった作用状態で示した図である。
【図27】同実施形態の作用説明図である。
【符号の説明】
【0148】
2 カウンタ部材
3 上カウンタ部
5 洗面器置台
6 水栓装置
7 操作装置
10 弁装置
12 伝達機構
32 主弁体
46 パイロット弁体
80 コイルばね
82 軸
84 揺動バー(揺動部材)
102 駆動機構
104 作用軸
106 当接部(作用点)
114 回転部材
126 押ボタン(押込部材)
180 回転操作部
182 プッシュ操作部
【技術分野】
【0001】
この発明は水栓装置に関し、詳しくは弁装置を操作装置と離隔して配置し、弁装置を操作装置にて遠隔操作するようになした遠隔操作式の水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水栓装置は弁装置に対して操作装置が直接結合した一体形態をなしており、この場合、例えば浴室の壁面から室内側に突出したカウンタ部に水栓装置を設置するとき、弁装置をカウンタ部の内部に収める必要のあることから、必然的にカウンタ部が大型化してしまう。そしてそのことによって水栓装置の設置部周りの美観,意匠性が損なわれてしまう。
【0003】
また従来の水栓装置では、操作装置の方向と弁装置の方向とを合致させる必要があるため、水栓装置全体の設置の方向が限られてしまい、水栓装置を設置する際の自由度が低いといった問題があった。
この場合、水栓装置における操作装置と弁装置とを別々に構成してそれらを離隔して配置し、弁装置を操作装置にて遠隔操作するようになすことが考えられる。
【0004】
例えば下記特許文献1には、操作装置と弁装置とを離隔して配置し、弁装置を操作装置にて遠隔操作するようになしたボックス型コックが開示されている。
この特許文献1に開示のものでは、操作部に加えられた操作力をラック部材からピニオンギヤに、更にピニオンギヤからラック部材に、更にラック部材からピニオンギヤへと伝達し、回転式の弁体を操作するようになしている。
【0005】
この特許文献1に開示のものは、単に弁体を開閉することを目的としたものであり、従って操作部に加えられた操作力を単にピニオンギヤとラック部材とで伝達することで目的を達することができるが、流量調節を必要とする水栓装置において、操作装置から弁装置への操作力の伝達経路を、これらピニオンギヤとラック部材とで構成するだけであると、ギヤとギヤとの噛合い部分のバックラッシに基いて発生する隙間(遊び)によって、流調操作部の操作位置が同一であっても、流量を増大させるときと減少させるときとで流量が異なってしまう、所謂ヒステリシス現象を起してしまい、水栓装置の性能を落してしまう。
【0006】
またこのようなピニオンギヤとラック部材との噛合いによる操作力の伝達機構の場合、操作装置に加えられた操作エネルギーがギヤの歯面と歯面との摩擦や滑り、或いはギヤとギヤとの間の遊びの部分で吸収されてしまい、操作力の伝達の効率が低いといった問題があり、その分大きな操作力を加える必要が生じたり、或いは操作力が正確に弁装置へと伝達され難いといった問題がある。
【0007】
【特許文献1】実開昭54−58643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上のような事情を背景とし、操作装置と弁装置とを離隔して別々に設置することを可能となして、水栓装置の設置の際のレイアウトの自由度を高めるとともに、水栓装置の設置部周りの美観,意匠性を良好となし、且つ操作装置で加えた操作力を高い伝達効率で正確に、また必要最小限の少ない部品点数で弁装置に伝え得て、弁装置を適正に動作させることのできる遠隔操作式の弁装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
而して請求項1のものは、(イ)弁装置と、(ロ)弁体の開弁量の調節を行う回転操作部を備え、該回転操作部の回転操作に基いて弁装置を作動させる、該弁装置とは離隔して配置された操作装置と、(ハ)該操作装置と該弁装置とを作動的に連結し、該操作装置に加えられた操作力を該弁装置に伝達する操作力の伝達機構と、を有し、該伝達機構は、長手形状をなし、長手方向の中間部で軸周りにシーソー運動可能に支持された揺動部材を有しているとともに、前記操作装置には、前記回転操作部の回転操作により回転操作量に応じた量で前記揺動部材の該操作装置側の一端部に対する作用点を、前記回転操作部の回転軸心と平行方向に直線運動させて、該揺動部材を前記軸周りに、該回転操作部の回転操作量に応じた量で連続的に回動させる運動変換部材が設けてあり、前記伝達機構が、前記揺動部材の前記軸周りの連続的な回動運動に基いて、前記弁装置側の他端部で該弁装置の前記弁体を前記回転操作部の回転操作量に応じた量で連続的且つ直線的に前進移動させ、該弁体の開弁量を連続的に変化させるものとなしてあることを特徴とする。
【0010】
請求項2のものは、請求項1において、前記運動変換機構が、前記回転操作部の回転操作によりねじ送りで直線運動する作用軸を有していることを特徴とする。
【0011】
請求項3のものは、請求項2において、前記運動変換部材が前記作用軸に加えて、該作用軸に螺合し、前記回転操作部の回転とともに回転してねじ送りで該作用軸を直線移動させる回転部材を有していて、それら作用軸と回転部材とで全体的に伸縮する伸縮軸を構成しているとともに、前記操作装置は、前記弁体を開閉させるプッシュ操作部と、該プッシュ操作部のプッシュ操作にて押込運動する押込部材とを有しており、該プッシュ操作部に対するプッシュ操作による該押込部材の押込運動及び押込位置から引込位置への引込運動により、前記伸縮軸を伸縮させることなく全体的に設定ストロークだけ前進及び後退移動させて位置切替えするものとなしてあり、前記伝達機構が、前記揺動部材の前記軸周りの回動運動により、前記プッシュ操作部の操作を前記弁体に伝達して、該弁体を吐水位置と止水位置とで位置切替えさせるようになしてあることを特徴とする。
【0012】
請求項4のものは、請求項3において、前記プッシュ操作部をプッシュ操作するごとに前記押込部材を前記押込位置と引込位置とに位置切替えし且つ位置保持するラッチ機構が設けてあり、且つ該ラッチ機構が前記操作装置に備えてあることを特徴とする。
【0013】
請求項5のものは、請求項4において、前記弁装置の側に、前記弁体を前記揺動部材側に付勢するばねが設けてあり、該ばねが前記伝達機構を介して前記ラッチ機構に付勢力を及ぼしており、該ばねが該ラッチ機構の動作用のばねを兼ねていることを特徴とする。
【0014】
請求項6のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記弁装置が、主弁体とパイロット弁体とを有し、該パイロット弁体との間に微小間隙を形成しつつ該パイロット弁体の進退移動に追従して該主弁体を同方向に進退移動させるパイロット式弁装置であり、該パイロット弁体に対して前記伝達機構が連結されていて、該パイロット弁体に操作力を伝達するようになしてあることを特徴とする。
【0015】
請求項7のものは、請求項1〜6の何れかにおいて、前記弁装置が浴室の壁から室内側に突出した洗面器置台の内部に、前記操作装置が該洗面器置台よりも上方で前記壁から室内側に突出したカウンタ部にそれぞれ配置してあり、前記伝達機構がそれら操作装置と弁装置と上下に連結していることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0016】
以上のように請求項1のものは、弁体の開弁量の調節を行う回転操作部を備えた操作装置と弁装置とを切り離して別々に離隔して設置するようになしたもので、かかる本発明によれば、水栓装置の設置の際のレイアウトの自由度を高めることができる。
また操作装置の設置個所に弁装置を併せて設置しておかなくても良く、弁装置をこれとは別の個所に且つ隠蔽状態で設けておくことができるため、操作装置の設置個所周り即ち水栓装置の設置個所周りの美観,意匠性を高めることができる。
【0017】
この請求項1のものは、操作装置に加えられた操作力を、シーソー運動可能な揺動部材を有する伝達機構を介して弁装置に伝達するようになしている点を特徴としており、この請求項1によれば、伝達機構としてピニオンギヤ及びラックギヤの噛合いにより操作力を伝達する場合に比べて、操作力の弁装置への伝達効率が高く、従って小さな操作荷重で弁装置を作動させることができ、操作装置を薄型に構成することが可能となる。
また揺動部材を有する伝達機構では所要部品点数を必要最小限に抑えることができ、水栓装置全体の部品点数を少なくし得て、水栓装置のコストを安価となすことができる。
【0018】
この請求項1は、回転操作部の回転操作により、その回転操作量に応じた量で、揺動部材の操作装置側の一端部に対する作用点を回転操作部の回転軸心と平行方向に直線運動させ、揺動部材を軸周りに且つ回転操作部の回転操作量に応じた量で連続的に回動させる運動変換部材を操作装置に設けてあり、操作力の伝達機構が、揺動部材の軸周りの連続的な回転運動に基いて、弁装置側の他端部で弁体を上記の回転操作量に応じた量で連続的且つ直線的に前進移動させ、弁体の開弁量を連続的に変化させるようになしている点を他の特徴としている。
【0019】
弁装置における弁体を単に開閉動作させるだけの場合、操作装置に押込操作部を設けておいて、その押込操作部により揺動部材の操作装置側の端部を直線的に押動し、操作力を弁体に伝達するようになすことは通常考え得るところである。
【0020】
しかしながら例えば流量調節を行う場合のように弁体を微妙に位置移動させることを必要とする場合、押込部材の僅かな押込みによって弁体が大きく移動してしまうことから、そうした揺動部材を仲介とした操作力の伝達方式をそのまま採用することは困難である。
そのようにすると、弁体の位置即ち弁体の開弁量を微妙に調節することが極めて難しく、押込部材を僅かに操作するだけでも弁体の位置が大きく変化してしまって、目的とする流量で吐水させることが困難となる。
【0021】
ここにおいてこの請求項1のものでは、弁体の開弁量の調節を行う操作部を回転操作部として操作装置に備えておき、その回転操作部の回転操作により、その操作量に応じた量で揺動部材の一端部に対する作用点を、回転操作部の回転軸心と平行方向に直線運動させる運動変換部材を設け、かかる運動変換部材によって、回転操作部の回転運動を一旦運動変換部材の作用点の直線運動に変換した上で、揺動部材の回動運動に変換するようにし、そしてこれにより揺動部材を微妙に回動運動させて、詳しくは揺動部材における各端部の軸周りの位置を微妙に位置変化させ、弁体の開弁量を連続的に変化させるようになしている。
【0022】
一般的に、揺動部材が傾けば傾くほど、弁体への操作量の伝達効率が悪くなる。
しかるにこの請求項1の場合、回転操作部を大きく回転操作した場合でも、詳しくは操作力の入力部を大きく回転移動させても、運動変換部材の作用点の直線移動量(距離)を容易に少なくすることができる。
その結果、高い伝達効率を維持することができる。
また、揺動部材の軸周りの回転角度位置を微小に変化させることができ、従ってこれに応じて弁体の位置を微妙に位置変化させることができる。
【0023】
従ってこの請求項1を、給水と給水停止及び給水量変化させる単水栓装置等の給水装置に適用し、回転操作部を流調操作部として構成した場合において、その回転操作部の操作により流調を行う際、回転操作部の回転操作に基づいて吐水の流量を微妙に且つ連続的に変化させ、調節することができる。
【0024】
また請求項1を、湯側弁体と水側弁体とを有し且つそれらの開弁量を互いに逆の関係で大小変化させて湯水の混合比率(即ち混合水温度)を変化させる湯水混合弁装置に適用し、回転操作部を、例えば湯側弁体の開弁量を調節することで混合水温度を変化させる温調操作部として構成した場合、回転操作部の操作により混合水温度を微妙に変化させ、調節することができる。
【0025】
この場合において、回転操作部の回転とともに回転する回転カムを運動変換機構に備えておき、そのカム面の揺動部材の操作装置側の一端部への接触点を、回転操作部の回転軸心と平行方向に変化させて、揺動部材を軸周りに回動運動させるようになすことができるが、請求項2に従って、運動変換部材を、回転操作部の回転操作によりねじ送りで直線運動する作用軸を有するものとなしておくことができる(請求項2)。
【0026】
このようにすれば、回転操作部の回転運動を効果的に運動変換機構の直線運動に変換することができ、且つ回転操作部を大きく回転操作しても、作用軸をその操作量に応じた少ない量(距離)だけ直線運動させることができ、これにより揺動部材の各端部を微妙に位置変化させ、またこれに伴って弁体を微妙に位置変化させて、その開弁量の調節を行うことができる。
【0027】
次に請求項3は、上記の作用軸に螺合し、回転操作部の回転とともに回転して、ねじ送りで作用軸を直線移動させる回転部材を運動変換部材に備えて、それら作用軸と回転部材とで全体的に伸縮する伸縮軸を構成するとともに、操作装置に、弁体を開閉させる操作部としてのプッシュ操作部と、これに対するプッシュ操作にて押込み運動する押込部材を設けておき、プッシュ操作部に対するプッシュ操作による押込部材の押込運動、及び押込位置から引込位置への引込運動により、伸縮軸を伸縮させることなく全体的に設定ストロークだけ前進及び後退移動させるようになし、そして上記の伝達機構により、揺動部材の軸周りの回動運動にてプッシュ操作部の操作を弁体に伝達し、かかる弁体を開弁位置と閉弁位置とに位置切替えするようになしたものである。
この請求項3によれば、回転操作部とプッシュ操作部とのそれぞれに加えた操作をともに揺動部材を介して弁体に伝達し得、以ってかかる弁体の開弁量を調節し、また開閉させることができる。
【0028】
この場合において請求項3を上記の単水栓装置等の給水装置に適用して、プッシュ操作部を吐止水操作部として構成し、そのプッシュ操作によって吐止水を行うようになすことができる。
また請求項3を上記の湯水混合弁装置に適用して、プッシュ操作部を例えば湯側弁体の開閉を行う開閉操作部として構成し、そのプッシュ操作部によって、湯側弁体を開弁状態と閉弁状態とに状態切替えすることで、湯水混合弁装置を、混合水吐水状態と水のみを吐水する水吐水状態とに状態切替えするようになすことができる。
【0029】
この請求項3の水栓装置では、伸縮軸が回転操作部の操作により予め所定の伸縮状態とされた後、プッシュ操作部の操作によりその伸縮量を(伸縮状態を)保ったまま、設定ストローク進退移動して前進位置と後退位置とに位置切替えされるため、この請求項3の水栓装置では、弁体が閉弁状態から開弁状態に状態切替えされたとき、予め調節済みの開弁量で弁体を開弁させることができる。
従って上記の単水栓装置等にあっては、止水状態から吐水状態に状態切替えしたときに、予め調節済みの流量で吐水を行わせる事ができる。
また湯水混合弁装置において、例えば湯側弁体を閉弁状態から開弁状態に状態切替えしたときに、即ち水吐水状態から混合水吐水状態に状態切替えしたときに、予め調節済みの混合水温度で混合水吐水を行わせることができる。
【0030】
この請求項3において、プッシュ操作部をプッシュ操作するごとに、押込部材を押込位置と引込位置とに位置切替えし且つ位置保持するラッチ機構を設け、且つそのラッチ機構を操作装置に備えておくこができる(請求項4)。
【0031】
このようにすれば、プッシュ操作部の操作によって弁体を開弁状態と閉弁状態とで切り替えたときに、そのラッチ機構によりその後も開弁状態と閉弁状態とをそのまま維持することが可能となる。
またそのラッチ機構は操作装置の側に備えてあるため、ラッチ機構による切替えの感触が手に直接伝わり、切替動作が行われたことを手で直接感じ取ることができ、使用者に良好な操作感を感じさせることができる。
【0032】
本発明ではまた、弁装置の側に弁体を後退方向で開弁方向に付勢するばねを設け、そのばねを、伝達機構を介して操作装置側に付勢力を及ぼすラッチ機構の動作用のばねとなしておくことができる(請求項5)。
このようにすれば、弁体を揺動部材側に付勢し、操作力を弁体に伝達させるためのばねと、ラッチ機構の動作用のばねとを別々に設けなくても良く、必要なばねの個数を少なくすることができる。
【0033】
本発明ではまた、弁装置を、主弁体とパイロット弁体とを有し、パイロット弁体との間に微小間隙を形成しつつパイロット弁体の進退移動に追従して主弁体を同方向に進退移動させるパイロット式弁装置として構成し、そしてそのパイロット弁体に伝達機構を連結して、パイロット弁体に操作力を伝達するようになしておくことができる(請求項6)。
このようにすれば必要な操作力を更に小さくすることができ、一層の軽操作を実現することができる。
また操作力を伝達する部材の強度を小さくすることができ、所要コストを安価とすることができる。
【0034】
本発明ではまた、浴室の壁から室内側に突出した洗面器置台の内部に弁装置を収納し、また操作装置を洗面器置台よりも上方で壁から室内側に突出したカウンタ部に設けておくことができ、そして上側の操作装置と下側の弁装置とを伝達機構にて連結しておくことができる(請求項7)。
【0035】
このようにすることで、浴室内の特定の1つのカウンタ部に弁装置と操作装置とを有する水栓装置を設置する場合に比べて、外観上現れる操作装置の設置側のカウンタ部をコンパクトに構成することができ、水栓装置の設置部の美観,意匠性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1は、浴室の内部を表している。
図中1は浴槽で、2は浴室の壁Wに取り付けられたカウンタ部材である。
カウンタ部材2は、壁Wから室内側に突出した下カウンタ部と、上カウンタ部3、及びそれらを上下に連絡する連絡部4を有している。
ここで下カウンタ部は洗面器置台5を成している。
またカウンタ部材2の上側には壁付のミラーMが設けられている。
【0037】
一方上カウンタ部3には、図2にも示しているように本実施形態の水栓装置6における操作装置7が取り付けられている。またこの上カウンタ部3には、先端に吐水口を有する水栓装置6における吐水管8が室内側に突き出す状態で設けられている。
尚、水栓装置6は水だけを吐水する単水栓の水栓装置となしておくこともできるし、また混合水を吐水する水栓装置となしておくこともできる。
【0038】
後者の場合には、図2に示しているように上カウンタ部3に温調(温度調節)操作部11を設けておき、その温調操作部11の操作により混合弁で適温に温度調節した混合水を吐水管8から吐水するようになしておくのが好適である。
【0039】
図2に示しているように、洗面器置台5の内部には水栓装置6における弁装置10が収容されており、この弁装置10と操作装置7とが、連絡部4の内部で伝達機構12にて上下に作動的に連結されている。
ここで伝達機構12は、操作装置7に加えられた操作力を弁装置10に伝達して弁装置10を動作させる。
尚90は伝達機構12に備えられた支持部材である。
【0040】
図4〜図6に弁装置10の構成が具体的に示してある。
図4は止水時の状態を表しており、図5は図4の要部を拡大して示している。
また図6は吐水時の状態を表している。
これらの図において、16は弁装置10におけるボデーで、その内部に主水路を形成する1次側の流入通路18,2次側の流出通路20が形成されている。
尚22は流入口で、24は流出口である。
【0041】
この実施形態では、弁機構全体が単一のユニットとしての着脱可能な弁カートリッジとして構成されている。図中26は、その弁カートリッジのカートリッジケースで、このカートリッジケース26は、図中の左部26-1と右部26-2とに分割されており、そしてそれらがカートリッジケース26の中間部をなす後述の背圧室形成部材28にて弾性的に連結されている。
弁カートリッジは、ボデー16内部に挿入された状態でボデー16への固定ナット30のねじ込みにより抜止状態に固定されている。
【0042】
図5において、32は主水路上に設けられたダイヤフラム弁体からなる主弁体で、樹脂製の硬質の主弁本体34と、これにより保持されたゴム製のダイヤフラム膜36とからなっている。
この主弁体32は、主弁座38に対して図中左右方向に進退移動して主水路を開閉し、また主水路の開度を変化させる。
詳しくは、主弁座38への着座によって主水路を遮断し、また主弁座38から図中左向きに離間することによって主水路を開放する。
また主弁座38からの離間量に応じて主水路の開度を大小変化させ、主水路を流れる水の流量即ち吐水部からの流量を調節する。
【0043】
この主弁体32の図中左側の背後には背圧室40が形成されている。
背圧室40は、内部の圧力を主弁体32に対して図中右向きの閉弁方向の押圧力として作用させる。
主弁体32には、これを貫通して1次側の流入通路18と背圧室40とを連通させる導入小孔42が設けられている。
この導入小孔42は、流入通路18からの水を背圧室40に導いて背圧室40の圧力を増大させる。
【0044】
主弁体32にはまた、これを貫通して背圧室40と2次側の流出通路20とを連通させる水抜水路としてのパイロット水路44が設けられている。
このパイロット水路44は、背圧室40内の水を流出通路20に抜いて、背圧室40の圧力を減少させる。
【0045】
図5に示しているように、主弁体32にはその中心部においてこれを軸心方向に貫通する貫通孔が設けられており、そこに吐止水パイロット弁体及び流調パイロット弁体を兼ねた共通のパイロット弁体46が挿通され、このパイロット弁体46の外周面と貫通孔の内周面との間に、通路幅が狭小な環状をなす上記パイロット水路44が形成されている。
【0046】
この主弁体32には、図7及び図8にも示しているように貫通孔の内周面に沿って主弁体32の軸心周りに環状をなすパイロット弁座48が一体に設けられている。
50はこのパイロット弁座48におけるシール部で、環状溝内部に環状をなす弾性シールリングとしてのOリング52を保持ししている。
【0047】
上記パイロット弁体46は、このパイロット弁座48に対し主弁体32の軸心に沿って図中左右方向に進退移動可能に嵌合するようになっている。
詳しくは、このパイロット弁体46は、断面円形をなし且つ図中左右方向即ち進退方向において外径が同径のシール部54と、これより先端側(図7中下側,図5中右側)の環状の凹所56とを有している。
環状の凹所56の軸方向の各端部は、凹所56の最小径部に向かって漸次小径となるテーパ面とされており、そのテーパ面の大径側の各端部に段付部58,60が形成されている。
【0048】
図4及び図5の止水状態ではパイロット弁体46は閉弁しており、このときパイロット弁体46は、シール部54をOリング52を介してパイロット弁座48に対し全周に亘って径方向に弾性接触させ、パイロット弁体46とパイロット弁座48との間を水密にシールした状態にある。
またこのとき主弁体32は主弁座38に着座した状態にあって、主水路は閉鎖された状態にある。
【0049】
図7及び図8はパイロット弁体46の移動による流調(流量調節)時の作用を表している。
この実施形態では、流調の際にパイロット弁体46はパイロット水路44を閉鎖することはなく、その移動によってパイロット水路44の開度だけを変化させる。
後述の回転操作部180に対する回転操作量がそのように規制されている。
【0050】
この実施形態では、図7(I)に示しているようにパイロット弁体46が同図中上向き(図5中左向き)に後退移動すると、パイロット弁体46とパイロット弁座48との間の隙間が一時的に大となり、背圧室40内の水がパイロット水路44を通じて流出通路20側に多く抜け出して背圧室40の圧力が減少する。
そこで主弁体32が流入通路18との圧力差により図中上向きに後退移動し、そして図7(II)に示しているように、流入通路18の圧力と背圧室40の圧力とがバランスする位置で主弁体32の後退移動が停止する。
即ち、主弁体32がパイロット弁体46の後退移動に追従するようにして共に後退移動し、そしてパイロット弁体46の停止とともに主弁体32もまた停止する。
このとき、パイロット弁体46と主弁体32との間には微小な間隙(追従間隙)が保持される。
主弁体32は以後もこの一定の微小間隙を保持しつつパイロット弁体46とともに移動する。
【0051】
この主弁体32の後退移動によって主弁体32と主弁座38との間の隙間が大となり、流入通路18から流出通路20への水の流入量が増大する。
【0052】
この状態からパイロット弁体46が更に図中上向きに後退移動させられると、背圧室40の圧力と流入通路18との圧力をバランスさせるようにして、主弁体32がパイロット弁体46の後退移動に追従して後退移動し、主水路の開度を更に広くして主水路を流れる水の流量を増大させる(図7(III)参照)。
【0053】
一方、パイロット弁体46が図8(I)に示しているように図中下向きに前進移動すると、パイロット弁体46とパイロット弁座48との間、詳しくはパイロット弁体46におけるシール部54とパイロット弁座48に保持されたOリング52との間の隙間が一時的に小さくなって、即ちパイロット水路44の開度が小さくなって、背圧室40から流出通路20に抜ける水の量が少なくなり背圧室40の圧力が増大する。
【0054】
このため、その増大した圧力により主弁体32が今度は図中下向き(図5中右向き)に前進移動して、背圧室40の圧力と流入通路18との圧力をバランスさせる位置で停止する。
このときにもパイロット弁体46と主弁体32との間には一定の微小間隙(追従間隙)が保持される。
このようにして背圧室40の圧力が一時的に増大すると、その増大した圧力により主弁体32が図中下向きに前進移動して、背圧室40の圧力と流入通路18の圧力とをバランスさせる位置で停止する。
このとき主弁体32と主弁座38との間の隙間は小さくなって、即ち主水路の開度が小さくなって、主水路を流れる水の流量が減少する(図8(II)参照)。
【0055】
そしてこの状態から更にパイロット弁体46が図中下向きに前進移動すると主水路の開度が更に小さくなり、主水路を流れる水の流量が更に減少する(図8(III)参照)。
【0056】
図5において、28は背圧室形成部材で逆カップ状を成しており、その内側に上記の背圧室40を形成している。
この背圧室形成部材28はまた、主弁体押えとしての働きもなしている。
【0057】
この背圧室形成部材28には、一対の弾性を有する環状のシールリングとしてのOリング64が保持されている。
これらOリング64は、後述の弁軸66の外周面に全周に亘り弾性接触して、弁軸66と背圧室形成部材28との間、即ち背圧室40との間を水密にシールする。
尚、カートリッジケース26における右部26-2にもまたその外周面にOリング68が保持されており、このOリング68にてボデー16との間が水密にシールされている。
【0058】
図5において、弁軸66は一様な円形断面且つ一様な外径で軸方向に延びており、そしてこの弁軸66の端部に上記のパイロット弁体46が一体に構成されている。
尚、この弁軸66の図5中右端部にはEリングから成る弾性止め輪62が装着されている。この止め輪62は、主弁体46の中心部に形成された貫通孔よりも大径をなしている。
【0059】
図4及び図6に示しているように、弁軸66の左端部には、弁軸66と同方向に進退移動する進退ロッド(進退部材)70が球面軸受部74で連結され、それら進退ロッド70と弁軸66とが図中左右方向に直線的に一体移動するようになっている。
72は、この進退ロッド70を内嵌させる筒状のガイド部材で、進退ロッド70は、このガイド部材72による案内の下にその内部を左右方向に摺動運動する。
76は、これら進退ロッド70及びガイド部材72を内部に収容する筒状のハウジングで、図中右端部がねじ結合にて弁機構に、詳しくはボデー16に固定されている。
【0060】
進退ロッド70の図中左端部には、これよりも大径をなすばね受部78が設けられており、このばね受部78と上記のガイド部材72との間にコイルばね80が介装され、進退ロッド70及び弁軸66に対し、パイロット弁体46を開弁させる方向にその付勢力が及ぼされている。
その付勢力の方向は、上記の操作装置7において加えられた操作力の、弁装置10詳しくはパイロット弁体46に対する作用方向とは逆方向である。
【0061】
図3において、操作装置7で加えられた操作力を弁装置10に伝達する上記の伝達機構12は、図中上下方向に長手形状をなし、軸82周りにシーソー運動可能な揺動バー(揺動部材)84を有している。
この揺動バー84は、操作装置7側の一端部82Aが、操作装置7に加えられる操作力によって図中左方向に大きな円弧でほぼ直線的に回動運動し、そして弁装置10側の反対側の他端部82Bが、同じく大きな円弧で図中右方向にほぼ直線的に回動運動する。
【0062】
この揺動バー84の他端部82Bは、図4に示しているように部分球面状の当り面を有する当り部86で、上記の進退ロッド70に当接しており、揺動バー84の他端部82Bが図中右方向に回動運動すると、これに押されて進退ロッド70及び弁軸66が、図4中右方向に直線的に前進運動させられる。
即ちパイロット弁体46が、コイルばね80を撓ませながらその付勢力に抗して閉弁方向に前進運動させられる。
【0063】
ここで揺動バー84の他端部82Bは、操作装置7の後述の回転操作部180(図11参照)が回転操作されたときには、その回転操作量に応じてその位置を図中右方向に連続的に変化させ、これに応じて弁軸66を、つまりパイロット弁体46を図中右方向に連続的に直線前進運動させ、回転操作部180の回転操作量に応じて、パイロット弁体46の位置を図6に示す開弁位置から図中右方向に連続的に変化させる。
そしてそのパイロット弁体46の図中右方向の連続的な前進移動により、主弁体32をこれに追従して図中右方向に連続的に前進移動させ、流量減少方向に流量調節を行う。
【0064】
一方流調操作部を上記とは逆方向、つまり流量増大方向に回転操作すると、揺動バー84の他端部82Bは、その回転操作量に応じてその位置を図中左方向に連続的に変化させる。
これにより弁軸66つまりパイロット弁体46は、コイルばね80の付勢力により進退ロッド70とともに図中左方向に、回転操作部180の回転操作量だけ図中左方向に連続的にその位置を変化させ、後退移動する。そしてそのことによって流量を連続的に増大させて行く。
【0065】
以上は流量調節時の動作であるが、パイロット弁体46が図6に示す開弁状態即ち吐水状態の下で、操作装置7の後述のプッシュ操作部182が図中左向きにプッシュ操作されると、揺動バー84の弁装置10側の他端部82Bは、図中右方向に一定ストロークで大きく且つ一挙に回動運動し、これに応じたストロークで弁軸66つまりパイロット弁体46を、図中右方向に大きく押し出して、パイロット弁体46を図6に示す開弁位置から、図4及び図5の閉弁位置へと位置切替えする。
【0066】
またその状態で再びプッシュ操作部182をプッシュ操作すると、図6に示しているように揺動バー84の他端部82Bは、今度はコイルばね80の付勢力で図中左方向に一定ストロークで大きく回動運動し、図4及び図5に示す閉弁位置即ち止水位置にあったパイロット弁体46を、図中左方向に大きく後退移動させて、かかるパイロット弁体46を閉弁位置から開弁位置へと位置切替えする。
そしてこれらの動作によって吐水と止水との切替えが行われる。
【0067】
揺動バー84は、上記の流量減少時及び止水時と、流量増大時及び吐水時とで、軸82周りに逆方向に回動運動即ちシーソー運動(揺動運動)し、操作装置7の操作に基づいて弁装置10のパイロット弁体46を、図中左右方向に直線的に進退移動させ、またこれに伴って主弁体32をパイロット弁体46に追従して進退移動させる。
【0068】
上記揺動バー84は、図9に示しているように全体として板状をなしている。
この揺動バー84は、図中上端側と下端側とが切り欠かれた形態をなしており、そして上端側の切欠部88と下端側の切欠部88とによって、上記の一端部82Aと他端部82Bとの図中左右方向の板幅が、切欠部88と88との間の本体部に比べて小寸法幅とされている。
【0069】
図10において、90は揺動バー84を支持する、全体として板状をなす支持部材で、幅方向中間部に縦方向に延びる貫通のスリット92を有しており、そのスリット92に揺動バー84を挿入させた状態で、軸82を介して揺動バー84を軸82周りに揺動可能に、即ちシーソー運動可能な状態に支持している。
【0070】
この支持部材90には、その下端部に上記のばね受部78を挿通する円形の挿通孔94が設けられ、またその上端部には、後述の作用軸104(図11参照)を挿通する挿通孔96が設けられている。
更に図中上端部と下端部との複数個所に、支持部材90とハウジング76又は後述の基部130とを固定するための複数の固定孔98が設けられている。
【0071】
図11に示しているように操作装置7は、後述の回転ハンドル式の回転操作部180及びプッシュ操作部182を含む操作機構100と、操作機構100を通じて加えられた操作力により駆動される駆動機構102とを有している。
【0072】
図12は、図11から操作機構100を取り除いて駆動機構102を単独で示した図で、同図に示しているようにこの駆動機構102は、図中左右方向に進退移動する作用軸104を有している。
ここで作動軸104は、回転操作部180の回転操作に基づいて図中左右方向に直線的に進退移動し、図中左端の当接部(作用点)106を、揺動バー84の一端部82Aに当接させた状態で、かかる当接部106を図中左右方向に連続的に移動させ、揺動バー84の一端部82Aを上記の軸82周りに回動運動させる。
【0073】
この作用軸104は、図中右端部に頭部110を有しており、図13に示しているようにその頭部110の周方向に180°隔たった2個所に、雄ねじ112が設けられている。また雄ねじ112と112との間の部分に、一対の係合部118が設けられている。
作用軸104は、雄ねじ112においてその外側の円筒形状をなす回転部材114の内周面の雌ねじ116に螺合されており、かかる作用軸104が、回転部材114とともに伸縮軸120を構成している。
【0074】
伸縮軸120は、回転部材114の回転により作用軸104をねじ送りで図中左右方向に進退移動させ、これにより伸縮軸120が全体として伸縮動作する。
作用軸104は、上記係合部118において図13に示す回止め部材122の一対の挟持片124にて挟持されており、その挟持片124の挟持作用によって、作用軸104が回転防止されている。
【0075】
即ちこの回止め部材122の回転防止作用によって、作用軸104が、回転部材114の回転により図11,図12中左右方向にねじ送りで進退移動せしめられる。
そしてこの作用軸104の図中左方向の前進移動及び右方向の後退移動に伴って、揺動バー84が図中反時計方向及び時計方向に回動(揺動)せしめられ、これにより上記のパイロット弁体46が図中左右方向に進退移動せしめられる。
【0076】
ここで回止め部材122は円形の台座部134を有しており、この台座部134が、伝達機構12の支持部材90にビス132にて固定されている。
【0077】
上記駆動機構102はまた、有底円筒形状をなす押ボタン(押込部材)126と、回転スリーブ129及び回転子128を有しており、それら要素と上記のコイルばね80とによってスラストロック機構(ラッチ機構)127(図11,図12)を構成している。
回転スリーブ129は、回転によりパイロット弁体46を図7及び図8に示しているように前進及び後退運動させることにより、主弁体32をこれに追従して移動させ流量調節を行う部分で、また押ボタン126は、1回の押込みごとにパイロット弁体46を前進位置である閉弁位置と後退位置である開弁位置とに位置切換えするための部分である。
【0078】
回転スリーブ129は、図12に示しているようにその基端部が、操作装置7における基部130に内嵌状態で回転可能に且つ抜止状態に組み付けられている。
ここで基部130は、止ねじ(固定具)(図示略)にて上記の支持部90に固定されている。
押ボタン126は、回転スリーブ129に内嵌されて回転スリーブ129に対し軸方向、即ち図13中上下方向(図12中左右方向)に移動可能とされている。
この押ボタン126の外周面には縦の突条136(図13参照)が設けられていて、この突条136が、回転スリーブ129の内面の縦の凹条138に嵌り込んでおり、押ボタン126が回転スリーブ129の回転とともに一体に回転するようになっている。
即ち回転スリーブ129の回転運動が押ボタン126に伝えられるようになっている。
【0079】
尚この押ボタン126にはまた、その内周面に縦の凹条140が形成されていて、そこに回転部材114の外周面に設けられた縦の突条142が嵌り込んでおり、回転部材114が押ボタン126と一体に回転するようになっている。
即ち回転スリーブ129を回転させると、その回転運動が押ボタン126を介して回転部材114に伝えられて、回転部材114が回転運動する。
尚、押ボタン126の外周面にはガイド突起144が設けられている。
このガイド突起144は、回転スリーブ129の嵌入溝146に嵌入して押ボタン126の上下方向の摺動時の案内及び軸方向の抜止めをなす。
【0080】
押ボタン126の下端には、図14にも示しているように山形状をなす係合歯148が周方向に沿って所定ピッチで連設されている。
この係合歯148の下面には、図13及び図14中の直下の回転子128を、押ボタン126の上下動即ち下向きの前進移動と上向きの後退移動とによってカム作用で回転させるための駆動カム面150が形成されている。
【0081】
回転子128はリング状の部材から成るもので、周方向の複数箇所(ここでは4箇所)に、図中上向きに山形状に突出する係合歯152が設けられている。
また周方向の同じ箇所においてその外側に突出する形態で鋸歯状をなす係合歯154が、同じく上向きに設けられている。
【0082】
内側の係合歯152は、一方の斜辺に沿った上面が押ボタン126の駆動カム面150に対応した第1従動カム面156とされている。
ここで第1従動カム面156の傾斜角度θ1は、ここでは押ボタン126側の駆動カム面150と同一角度とされている。
【0083】
一方外側の係合歯154においてもまた、その斜辺に沿った上面が角度θ2で傾斜した第2従動カム面106とされている。
この実施形態では、第1従動カム面156と第2従動カム面158との傾斜角度が異ならせてあり、第2従動カム面158の傾斜角度θ2が急角度をなし、これに対して第1従動カム面156の傾斜角度θ1が小角度とされている。
【0084】
この回転子128は、図11,図12及び図13に示しているようにその下面(図13参照)を回転部材114の外向きのフランジ部160の上面にて支持されており、かかるフランジ部160の上面を図14で示す矢印方向に回転摺動する。
回転部材114には、上記のコイルばね80の付勢力が揺動バー84,作用軸104を介して図13中上向き(図12中右向き)に及ぼされている。即ちこの回転部材114を介して回転子128,押ボタン126に対してコイルばね80の付勢力が後退方向に図12中右向き,図13中上向きに及ぼされている。
【0085】
上記回転スリーブ129には、図13に詳しく示しているようにその上部内周面にガイド部162が内方に突出する状態で設けられている。
このガイド部162は下端に係合歯164を有している。
この係合歯164の下面にもまた、回転子128をカム作用で回転させるための、回転子128の第2従動カム面158に対応した傾斜形状の案内カム面166が形成されている。
ここで案内カム面166の傾斜角度は、回転子128の第2従動カム面158と同じ傾斜角度とされている。
このガイド部162にはまた、上記のように上下方向に延びる嵌入溝146が周方向に所定間隔で形成されている。回転子128は、外方への突出形状をなす係合歯154を嵌入溝146に位置させる回転位置となったとき、かかる係合歯154を嵌入溝146の内部に嵌入させることによって、図中上方への後退運動が許容される。
【0086】
一方係合歯164は、係合歯154に噛み合ってこれをその前進状態、即ち図中下降状態に保持してロックする働きをなす。即ちパイロット弁体46を閉弁位置に保持してロックする働きをなす。
【0087】
この実施形態では、回転部材114の下側に、押ボタン126の押し込み時に回転子128を強制回転させる機能を備えた強制回転リング168が設けられている。
この強制回転リング168は、図11に示すように回止め部材122の台座部134上に載置されている。
この強制回転リング168は、全体として円筒形状をなしているとともに,その下端には内向きのフランジ部170が設けられている。
【0088】
この強制回転リング168には、その上端に沿って周方向に所定間隔で複数の爪172が上向きに突出状態で一体に設けられている。これら爪172の上面は傾斜形状のカム面174とされている。
これらカム面174は、押ボタン126により回転子128に対して下向きの力が及ぼされたとき、回転子128の突出形状の第2係合歯154の下面(図14参照)に当接して、回転子128をそのカム作用で強制的に図14中反時計方向に回転させる働きをなす。
【0089】
但し回転子128はその回転抵抗、即ち回転部材114におけるフランジ部160の上面に対する摺動抵抗、及び押ボタン126の駆動カム面150に対する摺動抵抗が小さいときには、コイルばね80の付勢力に基づいて、強制回転リング168のカム面174に接する前に、押ボタン126の駆動カム面150と、回転子128の第1従動カム面156とのカム作用で、強制回転リング168のカム面174に接する前に回転運動する。
【0090】
しかしながら回転子128は長期使用すると、摺動面で発生する磨耗粉などによって摺動抵抗が次第に増大するようになる。
そこで押ボタン126を下向きに押しても、回転子128が軽く円滑に回転しない恐れが生じてくる。
このとき、回転子128が円滑に回転しない場合であっても、押ボタン126を下向きに強く押し込むと、回転子128の係合歯154のコーナー部が、強制回転リング168のカム面174に当ることによって、回転子128が強制回転リング168のカム面174により強制的に回転駆動される。
【0091】
本実施形態では、回転スリーブ129を介して押ボタン126を回転させると、これと一体に回転部材114が回転し、そしてその回転により雌ねじ116と雄ねじ112とのねじ送りにて、作用軸104が図12中左右方向に進退移動する。即ち伸縮軸120が左右方向に伸縮する。
【0092】
詳しくは、押ボタン126を流量減少方向に回転操作すると、作用軸104が図12中左方向に前進移動して伸縮軸120が伸張する。
これにより作用軸104の当接部106の連続的な図中左方向の位置変化によって、揺動バー84の一端部82Aがこれに押されて図中左方向に回動運動し、当接部106に合せてその位置を連続的に図中左方向に変化させて行く。
【0093】
このとき揺動バー84の他端部82Bが、逆方向である図4中右方向に連続的に回動してその位置を変化させ、パイロット弁体46を図4中右方向に前進移動させ、その位置を連続的に変化させて行く。
そしてこのパイロット弁体46の連続的な位置変化によって、流量を連続的に減少させて行く。
【0094】
また押ボタン126を流量増大方向に回転させると、作用軸104が図12中右方向に連続的に後退運動して、当接部106の位置を連続的に変化させ、これに伴って揺動バー84の上端部82Aが、コイルばね80の付勢力にて図中右方向に当接部106に追従してその位置を連続的に変化させて行く。
【0095】
これに伴って揺動バー84の他端部82Bの位置が、コイルばね80に押されて図4中左方向に連続的に位置変化し、またこれとともにコイルばね80の付勢力によってパイロット弁体46が図4中左方向に後退移動して、その位置を連続的に左方向に変化させて行き、流量を増大させて行く。
【0096】
一方押ボタン126が図12中左方向に押し込まれると、その押込みごとに押ボタンが押込位置(図23(A)に示す状態)と引込位置(図23(B)に示状態)とに移動し、これとともにパイロット弁体46が図4,図5に示す閉弁位置と、図6に示す開弁位置とに位置切替えされ、且つスラストロック機構127によってそれぞれの位置に位置保持される。
【0097】
図15及び図16は、押ボタン126に対する1回の押し込みごとにパイロット弁体46を閉弁位置と開弁位置とに位置切換えして、それぞれの位置に位置保持するスラストロック機構127の作用を具体的に表している。
図15(I)はパイロット弁体46の閉弁状態即ち止水状態を表しており、このとき回転子128における係合歯154が回転スリーブ129のガイド部162の係合歯164に噛み合った状態にあって、回転子128は図15中の下降位置即ち前進位置(図12中の左位置)にロック状態に保持される。即ちパイロット弁体46が閉弁状態に保持される。
尚このとき、押ボタン126は押込位置で停止し、押込位置に保持される。
【0098】
この状態で(II)に示しているように押ボタン126を左に押し込むと、伸縮軸120が一定の伸縮量を保ったまま図11,図12中左向きに前進移動するとともに、回転子128がコイルばね80による図中右向きの付勢力に抗して左向きに(図15においては下向きに)押し下げられ、回転子128の係合歯154とガイド部162の係合歯164との係合が外れる。
すると押ボタン126の駆動カム面150と回転子128の第1従動カム面156とのカム作用で、回転子128が図15中左方向に所定角度回転させられ、そして押ボタン126の係合歯148と回転子128の係合歯152とが丁度噛み合った位置(第1ストッパ位置)で回転停止させられる。図15(III)(A)はこのときの状態を表している。
【0099】
このとき、(III)(B)に示しているように回転子128の第2従動カム面106はガイド部162の回転方向の次の案内カム面166に対向した状態となり、そこで(IV)に示しているように回転子128に加えていた押込力を除くと、コイルばね80の付勢力で回転子128が押ボタン126及び回転部材114とともに微小距離上昇して係合歯154の第2従動カム面106が、ガイド部162の案内カム面166に当接する。
【0100】
そしてそれら案内カム面166と第2従動カム面106とのカム作用で回転子128が更に同図中矢印で示す方向に回転移動して、図15(V)(B)に示すように係合歯154がガイド部162の嵌入溝146の位置に至る。
ここにおいて係合歯154が嵌入溝146に嵌入するに至って、回転子128が押ボタン126とともにコイルばね80の付勢力によって図23中右向き(図16中上向き)に後退運動させられ(図16(VI))、押ボタン126が図11中右向きに引き込まれて、その引込位置に位置保持されるとともに、伸縮軸120の位置が図23(B)の後退位置に位置切替えされ、パイロット弁体46が開弁状態(吐水状態)となって、主水路に水の流れが生じ、吐水部からの吐水が行われる。
【0101】
この開弁状態から再び押ボタン126を押し込むと、回転子128が図16の上昇位置から下降せしめられ、そして係合歯154が嵌入溝146から外れると、回転子128が駆動カム面150と第1従動カム面156とのカム作用で、図16(VII)中矢印方向(左方向)に回転移動して、回転子128の係合歯152が押ボタン126の回転方向の次の係合歯148に噛み合うに至って、ここに回転子128の次の1ピッチの回転運動がそこで停止せしめられる(図16(VIII))。
【0102】
この状態で押ボタン126に対する押込力を除くと、コイルばね80の付勢力で回転子128が最下位置から微小距離上昇して、係合歯154の第2従動カム面106がガイド部162の案内カム面166に当接するに至り(図16(IX))、更にそれらのカム作用で回転子128が引き続いて図中左方向に回転移動して、回転子128の係合歯154がガイド部162の次の係合歯164に噛み合う位置(第2ストッパ位置)となり、ここに回転子128の回転動がそこで停止させられる(図16(X))。
この図16(X)に示す状態は、図16(I)に示すのと同じ状態であって、ここにパイロット弁体46及び主弁体32が閉弁状態即ち止水状態となる。
【0103】
図17〜22は、上記操作装置7における操作機構100の具体的構成を示している。
操作機構100は、図17に示しているように弁体の開弁量の調節を行う流調操作部としての回転ハンドル式の回転操作部180と、押ボタン126及び押ボタン126を軸方向外側で覆う吐水操作部としてのプッシュ操作部182を含んで構成されている。
【0104】
このプッシュ操作部182は回転方向には固定で、図中左右方向にのみ移動可能とされている。
図17の回転操作部180は、図18に示しているように全体として円形のリング状をなしており、その周方向所定個所に外向きに突出するつまみ184が設けられている。
尚この回転操作部180は、全体としてわずかにテーパ形状をなしている。
上記回転スリーブ129とこのリング形状の回転操作部180との間には、操作力を伝達する中間リングとしての内リング部材186と、外リング部材188とが介在させられている。
【0105】
内リング部材186は、図18及び図19に示しているように円筒形状をなしており、回転スリーブ129に対して同図中上から下向き(図17では右から左向き)に被せられ、回転スリーブ129にて図18,図19中下側から支持されている。
この内リング部材186には、周方向所定個所に貫通の位置決孔190が設けられており、この位置決孔190に、回転スリーブ129の外周面に設けられた位置決突起192が嵌り込んでいる。そしてそれら位置決孔190と位置決突起192との係合作用で、内リング部材186が回転スリーブ129と一体回転するようになっている。
この内リング部材186にはまた、その外周面の周方向所定個所に、外向きに突出する位置決突起194が設けられている。
【0106】
一方外リング部材188は、図18にも示しているように円筒部196と、フランジ部198、及び図中下向きに突き出した弾性爪200とを有している。
この外リング部材188は、図17に示しているようにその支持部材となる上記の基部130に取り付けられている。
詳しくは、図17の底部202を基部130のフランジ部204に着座させる状態に、弾性爪200が基部130の外周部の環状の段付部206に弾性掛止され、基部130により支持される状態に、かかる基部130に回転可能に取り付けられている。
【0107】
この外リング部材188には、図19の部分拡大図に示しているように、内周面の周方向所定個所に一対の突起208,210が微小な間隔を隔てて内向きに突出する形態で設けられている。
これら突起208と210との間には位置決溝212が形成されており、そこに図21にも示しているように上記内リング部材186における外向きの位置決突起194が嵌り込んでいる。そしてこれにより、内リング部材186と外リング部材188とが一体に回転するようになっている。
ここで一方の突起208は図中上下中間部で切り欠かれており、その切欠部214によって突起208が、上突起208-1と下突起208-2とに分かれている。
【0108】
図18において、上記外リング部材188にはまた、フランジ部198に位置決用の切欠216と、上向きに起立する弾性爪218とが互いに異なった位置で周方向の複数個所に設けられている。
更にまたこのフランジ部198には、わずかにテーパ形状をなす回転操作部180に対する嵌込ガイド220が、上向きに起立する形態で設けられている。
【0109】
他方回転操作部180には、図18に示しているようにリング内周面に、外リング部材188の切欠216に嵌り込む位置決突起としてのリブ222と、上向きの弾性爪218を弾性掛止させるための掛止突起224とが、周方向の複数個所に設けられている。
これら回転操作部180と外リング部材188とは、外リング部材188の切欠216と回転操作部180のリブ222との嵌合により一体回転運動させられ、また外リング部材188の上向きの弾性爪218と、回転操作部180の掛止突起224との掛止作用に基づいて、図中上下方向(図17では左右方向)に組み付けられている。
即ち回転操作部180が、それら弾性爪218と掛止突起224との掛止作用により図17中右向きに抜け防止されている。
【0110】
図19及び図20に示しているように、支持部材としての基部130には、内向きのフランジ部204の上面から起立する円弧形状の立上り部226が設けられている。この立上り部226の内面には、周方向中間位置において縦の位置決溝228が設けられている。
【0111】
一方、上記プッシュ操作部182には、図20に示しているようにその上壁230から立ち下がる円弧形状の立下り部232が設けられている。
この立下り部232の外周面からは、周方向中間位置で図中下向きに突出する回転方向の位置決突起234が設けられている。ここで位置決突起234は、径方向に弾性変形可能な弾性片とされている。
図21に示しているようにプッシュ操作部182は、これら立上り部226と立下り部232とを嵌合させる状態に組み付けられている。そしてプッシュ操作部182は、それら位置決溝228と位置決突起234との嵌合により回転方向に位置決めされている。即ちそれらの位置決作用によって、プッシュ操作部182が回転方向に位置固定とされている。
【0112】
このプッシュ操作部182には、円弧形状をなす立下り部232の周方向端に、径方向外向きに突出したストッパ突起236が一体に形成されている。
このストッパ突起236は、回転操作部180を小流量側に回転操作したときの終端位置を規定するものである。
詳しくは、回転操作部180と一体に回転する外リング部材188の上記突起208、詳しくは上突起208-1を回転方向に当接させることで、回転操作部180の更なる回転を規制する。
このストッパ突起236はまた、プッシュ操作部182を止水状態にロックする、ロック用の突起としても働く。
【0113】
上記のように回転操作部180は、外リング部材188の上突起208-1が、プッシュ操作部182のストッパ突起236に当ることによって最小流量位置に位置規制される。図21及び図22(II)はこのときの状態を表している。
この状態で、図22(III)に示しているようにプッシュ操作部182を図中下向きにプッシュ操作すると、プッシュ操作部182が押込位置に位置保持される。
このとき、ストッパ突起236もまた図22(II)に示す位置よりも図中下向きに下がった位置、詳しくは(III)に示すように突起208における上突起208-1と下突起208-2との間の切欠214と同じ高さ位置に位置した状態となる(図22(III)(B)参照)。
【0114】
この状態で回転操作部180、詳しくは外リング部材188は更に反時計方向に回転移動可能となる。
そこで回転操作部180を同方向に微小角度回転させると、(III)に示すようにそこでストッパ突起236が上突起208-1と下突起208-2との間の切欠242に入り込んだ状態となる。
この状態のもとでは、プッシュ操作部182を介して押ボタン126に押込力を加えても(オン(開)操作しても)、ストッパ突起236と上突起208-1との当接作用によって、プッシュ操作部182及び押ボタン126は上昇移動することができず、従って押ボタン126はプッシュ操作部182を介して押込位置に、即ち止水位置に保持されてそこにロックされる。
尚回転操作部180は、図22(III)に示しているように突起208が基部130の円弧形状の立上り部226の周方向端に当接することによって、それ以上の回転が阻止される。
【0115】
図20に示しているように、プッシュ操作部182には上壁230の下面に、下向きに突出した円形の押圧部284が設けられている。
プッシュ操作部182は、図20中下向き、図17中左向きの力が加えられると、この押圧部284で押ボタン126を図17中左向きに押し込んで、弁軸66に一体に構成されたパイロット弁体46を右向きに移動させる。
押し込まれたプッシュ操作部182はその押込位置に位置保持される。
【0116】
以上の操作装置7は全体として次のような動きを行う。
図22(I)は、回転操作部180を最大流量まで回転させた状態を表している。この状態では、プッシュ操作部182を介して押ボタン126を開操作した状態で主水路に最大流量で水を流通する。
この状態から回転操作部180を図中反時計方向に回転させると、図22(II)に示す最小流量位置で、回転操作部180と一体に回転する外リング部材188の突起208、詳しくは上突起208-1が、プッシュ操作部182のストッパ突起236に当接して、それ以上の回転が一旦阻止される。
この状態でプッシュ操作部182を押し込んで、そこに位置保持させた状態とすると、この時点で回転操作部180の更なる若干の回転が許容された状態となる。
そこで回転操作部180を反時計方向に更に回転させると、わずかに回転させたところで外リング部材188の突起208が、基部130の立上り部226の周方向端に当接して、そこで更なる回転が阻止される。
【0117】
この状態のとき、押込位置にあるプッシュ操作部182のストッパ突起236が、外リング部材188の上突起208-1と下突起208-2との間の切欠214に入り込んだ状態となって、軸方向即ち図22(III)(B)の上下方向に移動禁止された状態となる。
即ちここにおいてプッシュ操作部182を介して押ボタン126がロックされた状態となる。従ってこの状態でプッシュ操作部182を介して押ボタン126に押込みの力を加えても、押ボタン126は上昇移動せず、従って押ボタン126及びプッシュ操作部182の上昇に基づく吐水も行われない。
【0118】
本実施形態では、弁装置10を操作装置7とは別に離隔して設け、伝達機構12にてそれらを連結するようになしているため、水栓装置6の設置の際のレイアウトの自由度を高めることができる。
また操作装置7の設置個所に弁装置10を併せて設置しておかなくても良く、弁装置10をこれとは別の個所に且つ隠蔽状態で設けておくことができるため、操作装置7の設置個所周り即ち水栓装置6の設置個所周りの美観,意匠性を高めることができる。
【0119】
またこの実施形態では、操作装置7に加えられた操作力を揺動バー84を介して弁装置10に伝達するようになしているため、伝達機構12としてピニオンギヤ及びラックギヤの噛合いにより操作力を伝達する方式のものに比べて、操作力の弁装置10への伝達効率が高く、従って小さな操作荷重で弁装置10を作動させることができ、操作装置7を薄型に構成することができる。
また揺動バー84を有する伝達機構12では所要部品点数を必要最小限に抑えることができ、水栓装置6全体の部品点数を少なくし得て、水栓装置6のコストを安価となすことができる。
【0120】
上記のようにこの実施形態では、回転操作部180の回転操作により、その回転操作量に応じた量で揺動バー84の操作装置7側の一端部82Aに対する作用軸104の当接部(作用点)を、直線運動させ、揺動バー84を軸82周りに且つ回転操作部180の回転操作量に応じた量で連続的に回動させて、揺動バー84の他端部82Bでパイロット弁体46を連続的且つ直線的に前進移動させ、流調動作させるようになしている。
【0121】
即ちこの実施形態では、回転操作部180の回転運動を一旦駆動機構102の当接部106の直線運動に変換した上で、揺動バー84の回動運動に変換するようにし、そしてこれにより揺動バー84を微妙に回動運動させて、詳しくは揺動バー84における他端部82Bの軸82周りの位置を微妙に位置変化させ、パイロット弁体46を流調動作させるようになしている。
【0122】
従ってこの実施形態の場合、回転操作部180を大きく回転操作した場合でも、詳しくは操作力の入力部を大きく回転移動させても、駆動機構102の当接部106の直線移動量(距離)を容易に少なくすることができる。
その結果、揺動バー84の軸82周りの回転角度位置を微小に変化させることができ、従ってこれに応じてパイロット弁体46の位置を微妙に位置変化させることができる。
それ故この実施形態の水栓装置6によれば、揺動バー84を介してパイロット弁体46を動作させているにも拘らず、回転操作部180の回転操作に基いて吐水流量を微妙に変化させ、調節することができる。
【0123】
特に本実施形態では、回転操作部180の回転操作に基いて、回転部材114の回転により作用軸104をねじ送りで直線進退運動させるようになしていることから、回転操作部180を大きく回転操作しても、作用軸104をその操作量に応じた少ない量(距離)で直線運動させることができ、これにより揺動バー84の各端部を微妙に位置変化させ、またこれに伴ってパイロット弁体46を微妙に位置変化させて、流調動作を行わせることができる。
【0124】
更に本実施形態によれば、回転操作部180とプッシュ操作部182とのそれぞれに加えた操作を、ともに作用軸104から揺動バー84を介してパイロット弁体46に伝達し得、以ってパイロット弁体46を流調動作及び吐止水動作させることができる。
【0125】
またスラストロック機構127を設けていることから、プッシュ操作部182の操作によって吐水と止水とを切り替えたときに、そのスラストロック機構127によりその後も吐水状態と止水状態とをそのまま維持することができる。
またそのスラストロック機構127は操作装置7の側に備えてあるため、スラストロック機構127による切替えの感触が手に直接伝わり、切替動作が行われたことを手で直接感じ取ることができ、使用者に良好な操作感を感じさせることができる。
【0126】
本実施形態ではまた、弁装置10の側にパイロット弁体46を後退方向且つ開弁方向に付勢する状態にコイルばね80を設け、そのコイルばね80をスラストロック機構127の動作用のばねとして利用している。
そのためパイロット弁体46を操作装置による操作方向と逆方向に戻すためのばねと、スラストロック機構127の動作用のばねとを別々に設けなくても良く、必要なばねの個数を少なくすることができる。
【0127】
本発明ではまた、弁装置10をパイロット式弁装置として構成し、そしてそのパイロット弁体46に伝達機構12を連結して、パイロット弁体46に操作力を伝達するようになしているため、必要な操作力を更に小さくすることができ、一層の軽操作を実現することができる。
また操作力を伝達する部材の強度を小さくすることができ、所要コストを安価とすることができる。
【0128】
本実施形態では、浴室の壁Wから室内側に突出した洗面器置台5の内部に弁装置10を収納し、また操作装置7を洗面器置台5よりも上方で壁Wから室内側に突出した上カウンタ部3に設けて、上側の操作装置7と下側の弁装置10とを伝達機構12にて連結している。
【0129】
このようにすることで、上カウンタ部に弁装置10と操作装置7とを有する水栓装置を設置する場合に比べて、外観上現れる操作装置7の設置側の上カウンタ部3をコンパクトに構成することができ、水栓装置6の設置部の美観,意匠性を高めることができる。
【0130】
次に図24〜図27は本発明の他の実施形態を示している。
この例は、湯水混合弁装置における湯側弁体の開閉の切替え及び開弁量調節に適用した場合の例で、図中320は弁装置(ここでは湯水混合弁装置)のボデーで、水の流入口322及びこれに続く流入通路326,湯の流入口324及びこれに続く湯の流入通路328が設けられている。
流入通路326,328を通じて流入した水と湯とは、混合室330で混合された上、2次側の流出通路332を通じ、流出口334から流出する。
尚、図24及び図25は弁装置10が水吐水状態に切り替った状態を表しており、従ってこのときには流出口334から水が流出する。
【0131】
一方、図26は弁装置10が湯水混合状態に切り替った状態を表しており、このときには水と湯とが混合室330に流入してそこで混合され、混合水が流出口334から流出する。
尚、336は後述の水側の背圧室348を形成する背圧室形成部材を兼ねたキャップで、ボデー320に固定されている。
【0132】
この実施形態において、弁装置10は、ダイヤフラム弁から成る湯側主弁体338,水側主弁体340を有している。
而して弁装置10には、湯側主弁体338に対応して湯側主弁座342,湯側背圧室346,湯側パイロット弁体350,湯側パイロット弁座354が設けられ、また水側主弁体340に対応して水側主弁座344,水側背圧室348,水側パイロット弁体352,水側パイロット弁座356が設けられている。
【0133】
湯側主弁体338,水側主弁体340は、基本的に図4〜図6に示す主弁体32と同様の構成を有するもので、また湯側パイロット弁体350,水側パイロット弁体352も、図4〜図6のパイロット弁体46と基本的に同様の構成を有している。
更に湯側パイロット弁座354,水側パイロット弁座356も図4〜図6に示すパイロット弁座48と基本的に同様の構成を有している。
ここではそれらについての詳しい説明は省略し、対応する部分に対応する符号のみを付して示してある。
但し湯側主弁体338と水側主弁体340とは、図中左右逆向きに設けられている。即ち湯側主弁体338は湯側主弁座342に向けて図中右方向に前進移動し、また水側主弁体340は水側主弁座344に向けて図中左方向に前進移動する。
【0134】
即ち湯側主弁体338は、湯側主弁座342に対し図中左右方向に進退移動し、弁開度を変化させる。
詳しくは、湯側主弁体338は湯側主弁座342への着座によって閉弁状態となり、また湯側主弁座342から図中左向きに離間することによって開弁し、そしてその開弁量の変化に応じて混合室330への湯流入量を変化させる。
【0135】
一方水側主弁体340は、水側主弁座344に対して図中左右方向に進退移動し、弁開度を変化させる。
詳しくは、水側主弁座344への着座によって閉弁状態となり、また水側主弁座344から図中右向きに離間することによって開弁し、そしてその開弁量の変化に応じて混合室330への水の流入量を変化させる。
但しこの弁装置10では、湯側主弁体338と水側主弁体340とは互いに逆の関係でその開弁量を大小変化させ、湯と水との流入量を互いに逆の関係で増減変化させる。
【0136】
また湯側背圧室346は、内部の圧力を湯側主弁体338に対し図中右方向の閉弁方向の押圧力として作用させ、また水側背圧室348は、内部の圧力を水側主弁体340に対し図中左方向の閉弁方向の押圧力として作用させる。
【0137】
上記湯側パイロット弁体350,水側パイロット弁体352もまた、互いに逆の関係で図中左右方向に進退移動する。
即ち湯側パイロット弁体350は、図中右方向に前進移動して最終的に閉弁状態となり、また左方向に後退移動することによって開弁状態となる。
一方水側パイロット弁体352は、図中左方向に前進移動して最終的に閉弁状態となり、また図中右方向に後退移動して開弁状態となる。
但しこの実施形態において、湯側パイロット弁体350と水側パイロット弁体352とは、共通の弁軸(温調軸)66に一体に構成されている。
【0138】
この弁装置10では、図27に示しているように湯側主弁体338,水側主弁体340の何れもが開弁状態の下で、湯側パイロット弁体350が図中右方向に前進移動すると、湯側主弁体338が湯側パイロット弁体350との間に一定の微小な追従間隙を保持しつつ、湯側パイロット弁体350に追従して同じ右方向に前進移動し、湯側主弁座342との間の間隙SHを減少させ、混合室330への湯の流入量を連続的に減少変化させる。
【0139】
このとき、水側主弁体340は水側パイロット弁体352の図中右方向の後退移動により、水側パイロット弁体352との間に一定の微小な追従間隙を保持しつつ、水側パイロット弁体352の図中右方向の後退移動に追従して右方向に後退移動し、水側主弁座344との間の間隙SCを連続的に増大させ、混合室330への水の流入量を増大変化させる。
そしてこれらによって、湯流入量に対する水流入量の比率を連続的に増大変化させ、混合水温度を連続的に低下させる。
【0140】
また逆に湯側パイロット弁体350が図中左方向に後退移動すると、湯側主弁体338がこれに追従して図中左方向に後退移動し、図27(II)に示しているように湯側主弁座342との間の間隙SHを連続的に増大させ、混合室330への湯の流入量を連続的に増大変化させる。
【0141】
またこのとき、水側パイロット弁体352は図中左方向に前進移動し、これに伴って水側主弁体340が水側パイロット弁体352に追従して図中左方向に前進移動し、水側主弁座344との間の間隙SCを連続的に減少させ、混合室330への水の流入量を連続的に減少変化させる。
これにより混合水温度が連続的に上昇し、そして温度上昇した混合水が流出口334から流出する。
【0142】
図24に示しているように、上記伝達機構12における揺動バー84は、進退ロッド70及び球面軸受部74を介して弁軸66に連結されている。
またこの実施形態においては、図1〜図23の上記第1の実施形態の回転操作部180が、湯側パイロット弁体350及び湯側主弁体338の開弁量を調節することによって(つまりは混合弁358の位置調節によって)湯水の混合比率、即ち混合水温度を調節する温調操作部として構成され、また第1の実施形態におけるプッシュ操作部182が、湯側パイロット弁体350及び湯側主弁体338の開閉操作部(つまりは混合水吐水と水吐水との切替操作部)として構成されている。
【0143】
この実施形態では、回転操作部180を回転操作すると、その操作力が伝達機構12を介して弁軸66に伝えられ、弁軸66が図中左右方向に進退移動させられる。
即ちこれと一体に構成された湯側パイロット弁体350,水側パイロット弁体352が互いに逆の関係で連続的に進退移動させられる。
そしてこれにより、湯側主弁体338と水側主弁体340とが互いに逆の関係で開弁量を大小変化させ、混合水温度を連続的に高低変化させる。
尚この実施形態においても、回転操作部180の回転操作によっては湯側主弁体338が閉弁状態とならないように、回転操作部180が回転規制されている。
【0144】
一方プッシュ操作部182をプッシュ操作、即ち押込操作するごとに、湯側パイロット弁体350及び湯側主弁体338が図26に示す開弁状態と、図24及び図25に示す閉弁状態とに切り替り、且つ上記のスラストロック機構172によりそれぞれの状態に位置保持される。
即ち弁装置10が、水のみを吐水する水吐水状態と、混合水を吐水する混合水吐水状態とに切り替る。
而して混合水吐水状態に切り替ったとき、湯側主弁体338及び水側主弁体340は前回調節済みの開弁量で開弁した状態となり、前回設定した混合水温度で混合水を流出させる。
【0145】
尚この例は、所謂ミキシングタイプの湯水混合弁装置の例であるが、本発明は、混合水温度の変化によって付勢力を変化させる感温ばねを有し、混合水温度を設定温度に自動的に調節する自動温度調節機能付きの湯水混合弁装置にも適用可能なものである。
【0146】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば上記実施形態ではラッチ機構としてスラストロック機構を用いた例を示しているが、かかるラッチ機構としてハートカム機構その他のラッチ機構を用いることも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明の一実施形態の遠隔操作式の水栓装置を備えた浴室の全体図である。
【図2】同実施形態の水栓装置を取付状態で示す斜視図である。
【図3】同実施形態の水栓装置の全体図である。
【図4】同実施形態における弁装置の断面図である。
【図5】図4の要部拡大図である。
【図6】図4の弁装置の開弁状態を示す図である。
【図7】弁装置の作用説明図である。
【図8】図7に続く作用説明図である。
【図9】同実施形態における伝達機構の揺動バーの斜視図である。
【図10】図9の揺動バーの支持部材の斜視図である。
【図11】同実施形態における操作装置の断面図である。
【図12】図11の操作装置の駆動機構の図である。
【図13】図12の駆動機構を各部品に分解して示す斜視図である。
【図14】図13の要部を更に拡大して示す図である。
【図15】同実施形態におけるスラストロック機構の作用説明図である。
【図16】図15に続く作用説明図である。
【図17】同実施形態における操作装置の操作機構の図である。
【図18】図17の操作機構の分解斜視図である。
【図19】図17の操作機構の別の分解斜視図である。
【図20】図19とは異なる部分の分解斜視図である。
【図21】図20とは異なる部分の取付状態の説明図である。
【図22】同実施形態における操作装置の作用説明図である。
【図23】同実施形態の図22とは異なる作用説明図である。
【図24】本発明の更に他の実施形態の要部を示した図である。
【図25】図24の更に要部を拡大して示した図である。
【図26】同実施形態を異なった作用状態で示した図である。
【図27】同実施形態の作用説明図である。
【符号の説明】
【0148】
2 カウンタ部材
3 上カウンタ部
5 洗面器置台
6 水栓装置
7 操作装置
10 弁装置
12 伝達機構
32 主弁体
46 パイロット弁体
80 コイルばね
82 軸
84 揺動バー(揺動部材)
102 駆動機構
104 作用軸
106 当接部(作用点)
114 回転部材
126 押ボタン(押込部材)
180 回転操作部
182 プッシュ操作部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)弁装置と、(ロ)弁体の開弁量の調節を行う回転操作部を備え、該回転操作部の回転操作に基いて弁装置を作動させる、該弁装置とは離隔して配置された操作装置と、(ハ)該操作装置と該弁装置とを作動的に連結し、該操作装置に加えられた操作力を該弁装置に伝達する操作力の伝達機構と、を有し、
該伝達機構は、長手形状をなし、長手方向の中間部で軸周りにシーソー運動可能に支持された揺動部材を有しているとともに、
前記操作装置には、前記回転操作部の回転操作により回転操作量に応じた量で前記揺動部材の該操作装置側の一端部に対する作用点を、前記回転操作部の回転軸心と平行方向に直線運動させて、該揺動部材を前記軸周りに、該回転操作部の回転操作量に応じた量で連続的に回動させる運動変換部材が設けてあり、
前記伝達機構が、前記揺動部材の前記軸周りの連続的な回動運動に基いて、前記弁装置側の他端部で該弁装置の前記弁体を前記回転操作部の回転操作量に応じた量で連続的且つ直線的に前進移動させ、該弁体の開弁量を連続的に変化させるものとなしてあることを特徴とする遠隔操作式の水栓装置。
【請求項2】
請求項1において、前記運動変換機構が、前記回転操作部の回転操作によりねじ送りで直線運動する作用軸を有していることを特徴とする遠隔操作式の水栓装置。
【請求項3】
請求項2において、前記運動変換部材が前記作用軸に加えて、該作用軸に螺合し、前記回転操作部の回転とともに回転してねじ送りで該作用軸を直線移動させる回転部材を有していて、それら作用軸と回転部材とで全体的に伸縮する伸縮軸を構成しているとともに、
前記操作装置は、前記弁体を開閉させるプッシュ操作部と、該プッシュ操作部のプッシュ操作にて押込運動する押込部材とを有しており、
該プッシュ操作部に対するプッシュ操作による該押込部材の押込運動及び押込位置から引込位置への引込運動により、前記伸縮軸を伸縮させることなく全体的に設定ストロークだけ前進及び後退移動させて位置切替えするものとなしてあり、
前記伝達機構が、前記揺動部材の前記軸周りの回動運動により、前記プッシュ操作部の操作を前記弁体に伝達して、該弁体を吐水位置と止水位置とで位置切替えさせるようになしてあることを特徴とする遠隔操作式の水栓装置。
【請求項4】
請求項3において、前記プッシュ操作部をプッシュ操作するごとに前記押込部材を前記押込位置と引込位置とに位置切替えし且つ位置保持するラッチ機構が設けてあり、且つ該ラッチ機構が前記操作装置に備えてあることを特徴とする遠隔操作式の水栓装置。
【請求項5】
請求項4において、前記弁装置の側に、前記弁体を前記揺動部材側に付勢するばねが設けてあり、該ばねが前記伝達機構を介して前記ラッチ機構に付勢力を及ぼしており、該ばねが該ラッチ機構の動作用のばねを兼ねていることを特徴とする遠隔操作式の水栓装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかにおいて、前記弁装置が、主弁体とパイロット弁体とを有し、該パイロット弁体との間に微小間隙を形成しつつ該パイロット弁体の進退移動に追従して該主弁体を同方向に進退移動させるパイロット式弁装置であり、該パイロット弁体に対して前記伝達機構が連結されていて、該パイロット弁体に操作力を伝達するようになしてあることを特徴とする遠隔操作式の水栓装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかにおいて、前記弁装置が浴室の壁から室内側に突出した洗面器置台の内部に、前記操作装置が該洗面器置台よりも上方で前記壁から室内側に突出したカウンタ部にそれぞれ配置してあり、前記伝達機構がそれら操作装置と弁装置と上下に連結していることを特徴とする遠隔操作式の水栓装置。
【請求項1】
(イ)弁装置と、(ロ)弁体の開弁量の調節を行う回転操作部を備え、該回転操作部の回転操作に基いて弁装置を作動させる、該弁装置とは離隔して配置された操作装置と、(ハ)該操作装置と該弁装置とを作動的に連結し、該操作装置に加えられた操作力を該弁装置に伝達する操作力の伝達機構と、を有し、
該伝達機構は、長手形状をなし、長手方向の中間部で軸周りにシーソー運動可能に支持された揺動部材を有しているとともに、
前記操作装置には、前記回転操作部の回転操作により回転操作量に応じた量で前記揺動部材の該操作装置側の一端部に対する作用点を、前記回転操作部の回転軸心と平行方向に直線運動させて、該揺動部材を前記軸周りに、該回転操作部の回転操作量に応じた量で連続的に回動させる運動変換部材が設けてあり、
前記伝達機構が、前記揺動部材の前記軸周りの連続的な回動運動に基いて、前記弁装置側の他端部で該弁装置の前記弁体を前記回転操作部の回転操作量に応じた量で連続的且つ直線的に前進移動させ、該弁体の開弁量を連続的に変化させるものとなしてあることを特徴とする遠隔操作式の水栓装置。
【請求項2】
請求項1において、前記運動変換機構が、前記回転操作部の回転操作によりねじ送りで直線運動する作用軸を有していることを特徴とする遠隔操作式の水栓装置。
【請求項3】
請求項2において、前記運動変換部材が前記作用軸に加えて、該作用軸に螺合し、前記回転操作部の回転とともに回転してねじ送りで該作用軸を直線移動させる回転部材を有していて、それら作用軸と回転部材とで全体的に伸縮する伸縮軸を構成しているとともに、
前記操作装置は、前記弁体を開閉させるプッシュ操作部と、該プッシュ操作部のプッシュ操作にて押込運動する押込部材とを有しており、
該プッシュ操作部に対するプッシュ操作による該押込部材の押込運動及び押込位置から引込位置への引込運動により、前記伸縮軸を伸縮させることなく全体的に設定ストロークだけ前進及び後退移動させて位置切替えするものとなしてあり、
前記伝達機構が、前記揺動部材の前記軸周りの回動運動により、前記プッシュ操作部の操作を前記弁体に伝達して、該弁体を吐水位置と止水位置とで位置切替えさせるようになしてあることを特徴とする遠隔操作式の水栓装置。
【請求項4】
請求項3において、前記プッシュ操作部をプッシュ操作するごとに前記押込部材を前記押込位置と引込位置とに位置切替えし且つ位置保持するラッチ機構が設けてあり、且つ該ラッチ機構が前記操作装置に備えてあることを特徴とする遠隔操作式の水栓装置。
【請求項5】
請求項4において、前記弁装置の側に、前記弁体を前記揺動部材側に付勢するばねが設けてあり、該ばねが前記伝達機構を介して前記ラッチ機構に付勢力を及ぼしており、該ばねが該ラッチ機構の動作用のばねを兼ねていることを特徴とする遠隔操作式の水栓装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかにおいて、前記弁装置が、主弁体とパイロット弁体とを有し、該パイロット弁体との間に微小間隙を形成しつつ該パイロット弁体の進退移動に追従して該主弁体を同方向に進退移動させるパイロット式弁装置であり、該パイロット弁体に対して前記伝達機構が連結されていて、該パイロット弁体に操作力を伝達するようになしてあることを特徴とする遠隔操作式の水栓装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかにおいて、前記弁装置が浴室の壁から室内側に突出した洗面器置台の内部に、前記操作装置が該洗面器置台よりも上方で前記壁から室内側に突出したカウンタ部にそれぞれ配置してあり、前記伝達機構がそれら操作装置と弁装置と上下に連結していることを特徴とする遠隔操作式の水栓装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2009−257390(P2009−257390A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105032(P2008−105032)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]